(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エレベーター制御方法およびエレベーター制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20240125BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B66B1/18 L
B66B3/00 K
(21)【出願番号】P 2021012091
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 威裕
(72)【発明者】
【氏名】呂 嘉
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
(72)【発明者】
【氏名】土本 秀男
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135184(JP,A)
【文献】特開2016-023083(JP,A)
【文献】特開2017-036122(JP,A)
【文献】特開平02-276779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0274488(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101873985(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視センター装置からエレベーターを制御するエレベーター制御方法において、
前記監視センター装置はデータ受信部とエレベーター制御部及び呼び登録記憶部を備え、
前記データ受信部が前記エレベーターの利用者の携帯端末から少なくとも建物、乗り場階および目的階を含むかご呼び要求を受付け、
前記エレベーター制御部が複数のエレベーターの制御装置へかご呼び命令を発行し、
前記かご呼び命令を呼び登録記憶部に記憶し、
前記データ受信部が、前記かご呼び命令に対するエレベーターの制御装置から応答を受取り、
前記エレベーター制御部が前記かご呼び命令が発行された制御装置のうち予め定められた条件を満たす応答
であって、最も早い応答、前記かご呼び命令の人数に見合った積載量を満たすエレベーターについての応答、貨物用のエレベーターについての応答、非常用のエレベーターについての応答およびサービス提供可能なエレベーターについての応答のいずれかに対応する
エレベーターを除く他のエレベーターの制御装置へかご呼びキャンセル命令を発行するエレベーター制御方法。
【請求項2】
前記データ受信部が、予め定められた期間内に同じ建物、同じ乗り場階、同じ移動方向情報を含むかご呼び要求を複数受け付けたとき、受け付けた複数のかご呼び要求に対して複数のかご呼び要求を集約したかご呼び命令を複数のエレベーターの各々の制御装置へ発行する請求項1に記載のエレベーター制御方法。
【請求項3】
前記監視センター装置は複数のエレベーター情報を登録したエレベーターマスターDBを備え、
前記エレベーター制御部が前記かご呼び要求を受け付けたとき、当該かご呼び要求に対応するエレベーターを前記エレベーターマスターDBに登録されている複数のエレベーター情報から特定し、特定されたエレベーターの制御装置へかご呼び命令を発行する請求項2に記載のエレベーター制御方法。
【請求項4】
前記エレベーター制御部が、
前記予め定められた条件に基づき前記エレベーターマスターDBからかご呼び命令を発行するエレベーターを選択する請求項3に記載のエレベーター制御方法。
【請求項5】
監視センター装置からエレベーターを制御するにエレベーター制御システムにおいて、
エレベーターの利用者が使用する携帯端末から少なくとも建物、乗り場階および目的階を含むかご呼び要求を受付けるデータ受信部と、
前記かご呼び要求に対応する複数のエレベーターの制御装置へかご呼び命令を発行するエレベーター制御部と、
前記かご呼び命令を記憶する呼び登録記憶部とを有し、
前記データ受信部が、前記かご呼び命令に対するエレベーターの制御装置から応答を受取り、
前記エレベーター制御部が、前記かご呼び命令が発行された制御装置のうち予め定められた条件を満たす応答
あって、最も早い応答、前記かご呼び命令の人数に見合った積載量を満たすエレベーターについての応答、貨物用のエレベーターについての応答、非常用のエレベーターについての応答およびサービス提供可能なエレベーターについての応答のいずれかに対応する
エレベーターを除く他のエレベーターの制御装置へかご呼びキャンセル命令を発行するエレベーター制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ビル、建物、設備などの建物に複数のエレベーターが設置されており、利用者は乗り込む乗場へ到着したかごを利用している。このようなエレベーターにおいては、エレベーターを乗込む階へ呼ぶことが必要である。この呼びのために、携帯端末を使用する技術が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、乗りかごの運転を制御するエレベーター制御装置と、任意の階の乗場で無線信号を発信し、携帯端末に予めインストールされた呼び登録用のアプリケーションソフトを起動する乗り場に設置された無線信号装置とを備え、携帯端末のアプリケーションソフトの起動により、予め設定された利用者の目的階をエレベーター制御装置に送信する。エレベーター制御装置は、利用者の目的階を乗場呼びとして登録し、乗りかごを乗場呼びの登録階に応答させるエレベーターシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1では、複数台のエレベーターを対象に携帯端末によって呼び登録が発生した場合、エレベーターの群管理制御装置が、呼びに対する応答が可能なかごを選択し、携帯端末からの呼びへ応答する。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、エレベーターの群管理制御装置が呼び登録を割付けるかごを選択する必要が有る。特許文献1では、建物に、複数のエレベーターが設置されていると、全てのかごを呼び出すことになってしまう。このため、群管理機能を有さないエレベーターが設置されている場合、新たに群管理制御装置を取り付けることが必要となる。また、群管理機能を有する場合でも、群管理制御装置にかごを選択するかご選択機能を追加することが必要となる。
【0006】
本発明では、このような状況を鑑み、群管理機能、かご選択機能の有無に関わらず、携帯端末を用いてかごの呼びを行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の代表的な構成は、監視センター装置からエレベーターを制御するエレベーター制御方法において、監視センター装置はデータ受信部とエレベーター制御部及び呼び登録記憶部を備え、データ受信部がエレベーターの利用者の携帯端末から少なくとも建物、乗り場階および目的階を含むかご呼び要求を受付け、エレベーター制御部が複数のエレベーターの制御装置へかご呼び命令を発行し、かご呼び命令を呼び登録記憶部に記憶し、データ受信部が、かご呼び命令に対するエレベーターの制御装置から応答を受取り、エレベーター制御部が前記かご呼び命令が発行された制御装置のうち予め定められた条件を満たす応答であって、最も早い応答、前記かご呼び命令の人数に見合った積載量を満たすエレベーターについての応答、貨物用のエレベーターについての応答、非常用のエレベーターについての応答およびサービス提供可能なエレベーターについての応答のいずれかに対応するエレベーターを除く他のエレベーターの制御装置へかご呼びキャンセル命令を発行するエレベーター制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレベーター運用効率を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例におけるエレベーターシステムのシステム構成を示すブロック図の例である。
【
図2】本発明の一実施例における監視センター装置のハードウエア構成の例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例で用いられるエレベーターマスター情報の例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例で用いられるかご呼び命令の例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例におけるかご呼び処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施例におけるかご呼びの集約命令作成処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施例におけるかご呼びの集約命令作成処理を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施例における携帯端末の画面遷移の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施例を、図面を参照して説明する。本実施例では、利用者が建物1に設置されたエレベーターA号機16~エレベーターC号機18のいずれかを利用しようとしているものとする。また、建物1は監視センター2に設けられた監視センター装置3により遠隔操作が実行される。なお、
図1では、遠隔操作対象として、建物1一棟全てのエレベーターを記載しているが、監視センター装置3はバンク単位等で分けた複数のエレベーターを管理対象としてもよい。さらに、エレベーターの台数も
図1に示す3台に限定されず、1台以上であればよい。
【0011】
まず、
図1に、本実施例におけるエレベーターシステムの機能構成を示す機能ブロック図を示す。本エレベーターシステムでは、スマートフォンなどの携帯端末19、20、建物1に設けられた各種装置、施設および監視センター2に設置された監視センター装置3が、互いに公衆回線網90を介して接続されている。
【0012】
ここで、携帯端末19、20は、それぞれの利用者が所持し、エレベーターを呼び出すための遠隔呼び要求アプリケーションがインストールされている。携帯端末19、20は、スマートフォン、タブレット、携帯電話、ノートPCといった携帯端末など情報処理装置で実現できる。また、携帯端末19、20を、スマートフォンなどと接続可能なスマートデバイスで実現してもよい。なお、
図1には、携帯端末19、20を2台記載したが、この台数に限定されない。さらに、後述する携帯端末19、20は、各利用者によって建物1外で利用されてもよい。
【0013】
また、監視センター装置3は、監視センター2に設置され、データ送受信部5、エレベーター制御部6、呼び登録記憶部7およびエレベーターマスターDB8を有する。データ送受信部5は、携帯端末19、20から公衆回線網を経由して送信される、かご呼び要求(以下かご呼び命令と記載)28を受信する。エレベーター制御部6は、データ送受信部5が受信したかご呼び命令28を用いてエレベーターを呼び出す、つまり、エレベーターの運行(稼働)を制御するためのかご呼び命令を作成する。呼び登録記憶部7は、作成されたかご呼び命令28を一時記憶する。このため、呼び登録記憶部7は、いわゆるメモリ23で実現することが望ましい。このかご呼び命令28については、詳細を後述する。
【0014】
エレベーターマスターDB8は、後述するエレベーターマスター情報30を記憶する。このため、エレベーターマスターDB8は、いわゆるストレージ等と呼称される記憶装置で実現することが望ましい。また、エレベーターマスターDB8は、監視センター装置3とは別筐体で構成してもよい。この場合、ネットワークを介して接続されるファイルシステムで、エレベーターマスターDB8を実現する
また、建物1には、通信装置9と、複数のエレベーター16-18とこれらを管理する監視装置(監視装置A 10、監視装置B 11および監視装置C 12)が設置されている。通信装置9は、かご呼び命令28をデータ送受信部5から受信し、これを監視装置10-12に送信する。この際、かご呼び命令28は、直接制御装置16-15に送信される構成としてもよい。
【0015】
監視装置10-12は、エレベーター(エレベーターA号機16、エレベーターB号機17およびエレベーターC号機18)の運行状況や故障を監視する装置であるが、監視センター装置からの命令により各々のエレベーターを遠隔制御する機能を備えていても良い。制御装置は制御盤とも呼ばれ昇降路、機械室等に設置される。
監視端末4は公衆回線網90を介して監視センター装置3と接続される。監視端末4は、コンピュータ装置で実現でき、監視センター装置3に対して指示を送信したり、監視センター装置3の処理内容を出力したりできる。また、監視端末4は、エレベーターA号機16~エレベーターC号機18の運行状況を出力できる。なお、監視端末4は、公衆回線網90でなく、イントラネットなど監視センター2の内部ネットワークを介して、監視センター装置3と接続する構成としてもよい。さらに、監視端末4は、監視センター2内に設置してもよいし、外部で利用できるようにしてもよい。
【0016】
次に、
図2を用いて、本実施例における監視センター装置3のハードウエア構成を説明する。監視センター装置3はコンピュータ装置等で実現される。そして、監視センター装置3は、ネットワークI/F2100(ネットワークンターフェース)21、処理部22、メモリ23および記憶装置24等が互いにバスなどの通信路を介して接続されている。ネットワークI/F21は、データ送受信部5を構成し、公衆回線網90などの外部との接続、通信を行うNFC(Network Interface Card)等が用いられる。
【0017】
処理部22は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置でありメモリ23に格納されたソフトウェアモジュールを記憶装置24に格納されたデータを参照して実行する。
【0018】
メモリ23には、エレベーター制御部6、かご呼び命令生成部26、かご呼び命令集約部27が格納される。
【0019】
かご呼び命令生成部26は利用者からのかご呼び要求に基づいて記憶装置24に格納されたエレベーターマスター情報30を参照してかご呼び命令28を作成する。このときかご呼び命令集約部27は、ある一定期間内に受け付けた複数の利用者からのかご呼び要求のうち、一つのかご呼び命令に集約可能なかご呼び要求を一つのかご呼び命令に集約する。
【0020】
エレベーター制御部6は、かご呼び命令生成部26が作成したかご呼び命令を制御装置13-15に監視装置10-12経由で発行するときに呼び登録記憶部7に記憶させる。
【0021】
記憶装置24は、エレベーターマスターDB8に対応し、どの建物にどのエレベーターが設置されているかを記憶するエレベーターマスター情報30を格納する。呼び履歴記憶部70には利用者からの呼び履歴が記憶される。履歴は全ての履歴を記憶するのではなく予め定められた期間、又は件数を記録する。この履歴に用いて利用者の呼び階、目的階をプリセットすることが可能となる。
【0022】
記憶装置24は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで実現できる。
【0023】
次に、
図3、
図4および
図8を用いて、本実施例で用いられる情報について説明する。
図3は本実施例で用いられるエレベーターマスター情報30の一例を示す図である。エレベーターマスター情報30は、建物1を識別する建物IDと、当該建物1に設置されたエレベーターを識別するエレベーター識別情報であるエレベーターIDを対応付けた情報である。
【0024】
図3では、エレベーターマスター情報30は1つのエレベーターIDを1レコードとして構成されるが、この構成に限定されない。例えば、1つの建物IDを1レコードとし、複数のエレベーターIDを1レコードに含める構成としてもよい。さらに、建物IDは、上述したようなに、管理単位を識別する一例である。このため、このような管理単位を識別する単位識別情報を用いてもよい。
【0025】
図4は本実施例で用いられるかご呼び命令28の一例を示す図である。かご呼び命令28は、利用者からのかご呼び要求に基づき作成される命令であり、制御要求ID41、呼び階42、目的階43、建物ID44およびエレベーターID45が互いに対応付けられている情報である。制御要求ID41は、利用者からのかご呼び要求を識別する。呼び階42は、利用者がエレベーターに乗り込みを希望する乗場のある階を示す。目的階43は、利用者降車をする階を示す。なお、呼び階や目的階の名称は、乗り場階や行先階などのその表現は限定されない。
【0026】
建物ID44、エレベーターID45は、エレベーターマスター情報30を参照して決められる。
【0027】
図5は本発明の一実施例におけるかご呼び処理の例を示すフローチャートである。建物1に設置されたエレベーター16-18を利用する利用者は携帯端末19-20にインストールされているアプリケーション(アプリ)で利用するエレベーターを設定しておく。具体的には乗り場に設置された二次元バーコード等の識別子を携帯端末19-20で読み込むことにより設定が行われる。このとき、特定のエレベーターを設定してもよいし、当該建物に設置されている複数のエレベーターを纏めて設定しても良い。
【0028】
このアプリは、ショートメッセージサービス(SMS)を含むメッセージを送受信可能なソーシャル・ネットワーキング・サービスのアプリケーションで実現することも可能である。
【0029】
まず、ステップS1で、携帯端末19-20のいずれか(以下、携帯端末と称する)が、かご呼び要求を作成し、監視センター装置3へ送信する。このとき、設定済の建物ID、エレベーターIDや、入力された呼び階、目的階等も合わせて送信される。
【0030】
ステップS2で監視センター装置3がかご呼び要求を受け付ける。ステップS3でかご呼び命令生成部26が予め定められた期間に受け付けたかご呼び要求の中に同じ建物、フロア、移動方向の呼びがあるかどうかを判定する。
【0031】
予め定められた期間に複数の呼びがあった場合はかご呼び命令集約部27が集約可能かどうかを判定し、ステップS5でかご呼び命令の集約を行う。複数の呼びがなかった場合はステップS4で通常のかご呼び命令を作成する。
【0032】
図6の本発明の一実施例におけるかご呼びの集約命令作成処理を示すフローチャートでステップS5の集約処理の詳細を説明する。かご呼び命令集約部27はステップS20で受け取った複数のかご呼び命令をメモリ23へ格納する。ステップS21でかご呼び命令の建物ID、呼び階、移動方向が一致しているかどうかを判定する。
【0033】
一致していると判定したときはステップS23で受け取った複数のかご呼び命令を単一のかご呼び命令に変換する。一致しないと判定したときはS22で受け取った複数の命令のままとする。受け取る複数の命令は2つに限られることはなく3以上のかご呼び命令を一つのかご呼び命令に変換しても良いが、エレベーターのかごには乗車可能な人数が決まっているため、乗車可能人数を限度としてそれよりも少ない人数の範囲で変換する呼び命令の数を制限しても良い。
【0034】
図5に戻り、ステップS6で呼び要求があった建物のフロアに呼びが可能な複数のエレベーターがあるかどうかを判定する。呼びが可能かどうかは遠隔呼びに対応したエレベーターが複数あるかどうかで判定しても良いし、サービスを提供していない休止中のエレベーターが複数あるかどうかで判定しても良い。
【0035】
呼び可能なエレベーターが複数ある場合はステップS7で複数のエレベーターに対するかご呼び命令を作成して発行しステップS8で発行した呼び命令をかご呼び登録記憶部7へ登録する。その後ステップS9で呼びに応答したエレベーターが条件を満たすかどうかを判定する。条件は最も早く応答したエレベーターとしても良いし、呼びの人数に見合った積載量を満たすエレベーターとしても良い。さらに貨物用、非常用のエレベーターからの応答を除外してもよい。さらに、時間帯に応じてサービスを提供するエレベーターの数や号機を設定する場合には当該時間帯にサービス提供可能なエレベーターからの応答かどうかを判定しても良い。
【0036】
ステップS9で条件を満たしたエレベーターからの応答があった場合はステップS10でかご呼び命令を発行したエレベーターのうち条件を満たさない又は応答の無いエレベーターをかご呼び登録記憶部7から求め、かご呼び命令のキャンセル命令を制御装置へ送信する。
【0037】
ステップS9で条件を満たすエレベーターの制御装置からの応答がなかった場合はエラーメッセージを携帯端末へ送信する。
【0038】
ステップS6で呼びが可能なエレベーターが1台しかないと判定された場合は当該エレベーターの制御装置へかご呼び命令を発行し、かご呼び登録記憶部7へ登録する。1台による運用の場合でも時間帯により携帯端末からの呼びに応答しない時間帯を設けることも可能である。このようなサービス時間帯以外ではステップS13で条件を満たさないと判断されステップS14でエラーメッセージを出力する。
【0039】
最後にステップS15でかご呼び登録記憶部7に格納されたかご呼び命令に対応する呼び履歴を呼び履歴記憶部70に記録し、かご呼び登録記憶部7に格納されたかご呼び命令を削除する。
【0040】
図7は本発明の一実施例におけるかご呼びの集約命令作成処理を説明する図であるかご呼び命令1(a)とかご呼び命令2(b)が同じ時間帯に監視センター装置3で受信したかご呼び命令の場合について説明する。かご呼び命令1とかご呼び命令2の建物ID、呼び階、移動方向が一致しているかどうかを判定する。建物ID同じ「1000」、呼び階が同じ「01」、移動方向が「上」で一致しているため集約が可能である。
【0041】
このためかご呼び命令1とかご呼び命令2を集約し、(c)のかご呼び命令のとおり建物ID、呼び階、移動方向が同じで、目的階がかご呼び命令1の「03」とかご呼び命令2の「02」の両方を目的階とするかご呼び命令を作成する。作成された呼び命令をエレベーターマスターDB8に記載された情報を基に当該呼び階へ呼ぶことが可能なエレベーターA-Cへ発行するために3命令を作成する。
【0042】
この例では2命令を集約しているが、3命令以上のかご呼び命令を集約してもよい。ただし、かごの積載量の制限があるため携帯端末を用いない通常のかご呼びにより乗車する人数を見込んだかご呼び命令の集約が必要である。
【0043】
図8は、本発明の一実施例における携帯端末の画面遷移の例を示す図である。
【0044】
利用者が操作する携帯端末で建物1のエレベーターを呼ぶための事前登録処理として(a)ホーム画面を表示する。利用者は携帯端末で、乗場に設けられた二次元コードなどのコードやRFIDタグ、ICカードなどの媒体を読み取ることで、どのエレベーターを呼ぶか登録する。これらの媒体には、建物IDおよびエレベーターIDが含まれる。
【0045】
この登録処理が携帯端末が他の人物と「友達」登録するのと同様に建物を「友達」登録することになる。この例では「友達登録ありがとうございます。XXビルです。」と表示し、建物を登録の対象としているが、エレベーターやフロアに設置された複数のエレベーターを登録単位として設定できるようにしても良い。
【0046】
次に、利用者が初回にエレベーターを呼ぶときは(b)階数入力の画面から呼び階54と目的階55を入力し、「エレベーターを呼ぶ56」というボタンを押す。この操作により監視センター装置3へ呼び要求が届き、監視センター装置3から建物内の各々のエレベーターの制御盤へ呼び命令が送信される。
【0047】
2回目以降にエレベーターを呼ぶとき利用者は携帯端末に(c)階数入力の画面を表示させる。このとき過去のかご呼び履歴に基づいて呼び階と目的階をペアにした履歴ボタン57,58が表示され、この中から呼び階と目的階を選択することができる。もちろん他の階の選択ボタン59を押して、(b)階数入力画面に遷移し新たな呼び階、目的階を指定することも可能である。
【0048】
(b)階数入力画面のエレベーターを呼ぶボタン56、(c)階数入力画面の履歴ボタン57, 58のいずれかを押すと(d)呼び出し開始画面が表示されボタンで指定するとかご呼びが開始され、呼び出し階、目的階に対応した利用者のメッセージ「1階から3回へお願いします。」が表示される。この利用者の要求に応答してエレベーターから(e)確認完了通知画面のように「はい!わかりました」というメッセージが表示され要求を受け付けたことが示される。このあと呼びに応答するエレベーターが無い場合やサービス提供時間帯でなかった場合などは(f)結果エラー画面のように「すみません。ご期待に沿えませんでした。」のようなメッセージが表示される。
【符号の説明】
【0049】
1…建物、4…監視端末、19,20…携帯端末、10…監視装置A、16…エレベーターA号機、13…制御装置A、11…監視装置B、17…エレベーターB号機、14…制御装置B、12…監視装置C、18…エレベーターC号機、15…制御装置C、9…通信装置、2…監視センター、3…監視センター装置、5…データ送受信部、6…エレベーター制御部、7…呼び登録記憶部、8…エレベーターマスターDB、70…呼び履歴記憶部、26…かご呼び命令生成部、27かご呼び命令集約部、28…かご呼び命令