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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】液位決定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021531524
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 US2019064205
(87)【国際公開番号】W WO2020117780
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】62/774,529
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507190880
【氏名又は名称】バイオ-ラッド ラボラトリーズ インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リンス アダム フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】プライス グレン レオ
(72)【発明者】
【氏名】イオバンニ ロバート アラン
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-514751(JP,A)
【文献】特開2008-051570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取り込み装置と;
未知量の液体を含有する容器のデジタル画像を、該画像取り込み装置から受け取り、
該デジタル画像から解析領域を抽出し、
該解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出し、
該勾配値の中の最小勾配値を特定し、
該解析領域内の該最小勾配値の位置に基づいて該容器内の液位を決定する
ように構成されたコントローラと
を含む、容器内の液位を決定するためのシステムであって、
該勾配値を算出することは、
該解析領域内の複数の行方向のピクセル強度を合計することと、
該解析領域内のピクセル強度の列方向の平均値を算出することと、
各行について、該列方向の平均値の、成分ごとの行の減算値を算出することにより、列方向の勾配値を算出することと
を含む、
該システム
【請求項2】
デジタル画像がカラー画像であり、コントローラが、該カラー画像をグレースケールに変換するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
デジタル画像から解析領域を抽出するようにコントローラが構成されることが、
デジタル画像内の1つまたは複数の視認可能なしるしを特定し、
該特定された視認可能なしるしに関連する容器タイプについて、データストアを検索し、
該容器タイプに基づいて該デジタル画像における解析領域の場所を特定する
ように、コントローラが構成されることを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出するようにコントローラが構成されることが、
解析領域における行方向の複数のピクセル強度を合計し、
該解析領域における列方向のピクセル強度の平均値を計算する
ように、コントローラが構成されることを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出するようにコントローラが構成されることが、
ソーベルフィルタを解析領域のy軸に沿ってピクセルに適用してソーベル勾配を抽出し、
該抽出したソーベル勾配を該解析領域のx軸に沿って合計する
ように、コントローラが構成されることを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
解析領域が1ピクセルの幅を有し、
勾配値を算出するようにコントローラが構成されることが、該解析領域のy軸に沿って行方向のピクセルの強度勾配を計算するようにコントローラが構成されることを含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項7】
容器内の液位を決定するようにコントローラが構成されることが、解析領域において行インデックスを勾配列ベクトルの長さで除算することによって、該解析領域内の液体の割合を計算するようにコントローラが構成されることを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
コントローラが、
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較し、
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、ディスプレイデバイスに警告を出力する
ようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
コントローラが、液位、および格納されている容器断面体積(cross-sectional volume)に基づいて、容器内の液体体積を決定するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
コントローラが、
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較し、
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、自動アナライザを液体節約動作モードに切り替える
ようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
未知量の液体を含有している容器のデジタル画像を画像取り込み装置から受け取る工程;
該デジタル画像から解析領域を抽出する工程;
該解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出する工程;
該勾配値の中の最小勾配値を特定する工程;および、
該解析領域内の該最小勾配値の位置に基づいて該容器内の液位を決定する工程
を含む、容器内の液位を決定するためのコンピュータ実装方法であって、
該勾配値を算出する工程は、
該解析領域内の複数の行方向のピクセル強度を合計することと、
該解析領域内のピクセル強度の列方向の平均値を算出することと、
各行について、該列方向の平均値の、成分ごとの行の減算値を算出することにより、列方向の勾配値を算出することと
を含む、
該方法
【請求項12】
デジタル画像がカラー画像であり、コントローラが、該カラー画像をグレースケールに変換するようにさらに構成されている、請求項11記載の方法。
【請求項13】
デジタル画像から解析領域を抽出する工程が、
デジタル画像内の1つまたは複数の視認可能なしるしを特定すること;
該特定された視認可能なしるしに関連する容器タイプについて、データストアを検索すること;および、
該容器タイプに基づいて該デジタル画像における解析領域の場所を特定すること
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出する工程が、
解析領域における行方向の複数のピクセル強度を合計すること;および、
該解析領域における列方向のピクセル強度の平均値を計算すること
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出する工程が、
ソーベルフィルタを解析領域のy軸に沿ってピクセルに適用してソーベル勾配を抽出すること;および、
該抽出したソーベル勾配を該解析領域のx軸に沿って合計すること
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
解析領域が1ピクセルの幅を有し、
勾配値を算出する工程が、該解析領域のy軸に沿って行方向のピクセルの強度勾配を計算することを含む、
請求項11記載の方法。
【請求項17】
容器内の液位を決定する工程が、解析領域において行インデックスを勾配列ベクトルの長さで除算することによって、該解析領域内の液体の割合を計算することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項18】
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較する工程;および
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、ディスプレイデバイスに警告を出力する工程
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項19】
液位、および格納されている容器断面体積に基づいて、容器内の液体体積を決定する工程
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項20】
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較する工程;および、
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、自動アナライザを液体節約動作モードに切り替える工程
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により組み入れられる2018年12月3日に出願された米国仮特許出願第62/774,529号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
患者が疾患に罹患しているかどうかを判定するには、自動分析機器またはアナライザを使用して患者の試料(例えば、血液または液体)を検査する。アナライザは試薬(例えば、緩衝液)を容器内に保管している。検査を完了するのに適切な試薬供給を確実にするために、容器内の液位が決定される。いくつかの場合において、容器内の液体が不適切であると、アナライザの構成要素が損傷するおそれがある。
【0003】
容器内の液体の量を評価するための1つの方法は、人間の操作者による手作業での目視検査によるものであるが、これは不正確であり時間がかかる可能性がある。静電容量法および圧力法は、容器の内部で液体と接触するプローブを使用して液位を決定する。しかしながら、このような方法は容器内の液体の汚染をもたらすおそれがある。
【発明の概要】
【0004】
概要
容器内の液位を決定するためのシステムおよび方法が本明細書に記載される。本開示は、液体と接触することも液体を汚染することもなく容器内の液位を決定するシステムおよび方法を提供する。本システムおよび方法は、自動分析機器(例えば、自動血液アナライザ)において使用され得る。
[本発明1001]
画像取り込み装置と;
未知量の液体を含有する容器のデジタル画像を、該画像取り込み装置から受け取り、
該デジタル画像から解析領域を抽出し、
該解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出し、
該勾配値の中の最小勾配値を特定し、
該解析領域内の該最小勾配値の位置に基づいて該容器内の液位を決定する
ように構成されたコントローラと
を含む、容器内の液位を決定するためのシステム。
[本発明1002]
デジタル画像がカラー画像であり、コントローラが、該カラー画像をグレースケールに変換するようにさらに構成されている、本発明1001のシステム。
[本発明1003]
デジタル画像から解析領域を抽出するようにコントローラが構成されることが、
デジタル画像内の1つまたは複数の視認可能なしるしを特定し、
該特定された視認可能なしるしに関連する容器タイプについて、データストアを検索し、
該容器タイプに基づいて該デジタル画像における解析領域の場所を特定する
ように、コントローラが構成されることを含む、本発明1001のシステム。
[本発明1004]
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出するようにコントローラが構成されることが、
解析領域における行方向の複数のピクセル強度を合計し、
該解析領域における列方向のピクセル強度の平均値を計算する
ように、コントローラが構成されることを含む、本発明1001のシステム。
[本発明1005]
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出するようにコントローラが構成されることが、
ソーベルフィルタを解析領域のy軸に沿ってピクセルに適用してソーベル勾配を抽出し、
該抽出したソーベル勾配を該解析領域のx軸に沿って合計する
ように、コントローラが構成されることを含む、本発明1001のシステム。
[本発明1006]
解析領域が1ピクセルの幅を有し、
勾配値を算出するようにコントローラが構成されることが、該解析領域のy軸に沿って行方向のピクセルの強度勾配を計算するようにコントローラが構成されることを含む、
本発明1001のシステム。
[本発明1007]
容器内の液位を決定するようにコントローラが構成されることが、解析領域において行インデックスを勾配列ベクトルの長さで除算することによって、該解析領域内の液体の割合を計算するようにコントローラが構成されることを含む、本発明1001のシステム。
[本発明1008]
コントローラが、
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較し、
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、ディスプレイデバイスに警告を出力する
ようにさらに構成されている、本発明1001のシステム。
[本発明1009]
コントローラが、液位、および格納されている容器断面体積(cross-sectional volume)に基づいて、容器内の液体体積を決定するようにさらに構成されている、本発明1001のシステム。
[本発明1010]
コントローラが、
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較し、
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、自動アナライザを液体節約動作モードに切り替える
ようにさらに構成されている、本発明1001のシステム。
[本発明1011]
未知量の液体を含有している容器のデジタル画像を画像取り込み装置から受け取る工程;
該デジタル画像から解析領域を抽出する工程;
該解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出する工程;
該勾配値の中の最小勾配値を特定する工程;および、
該解析領域内の該最小勾配値の位置に基づいて該容器内の液位を決定する工程
を含む、容器内の液位を決定するためのコンピュータ実装方法。
[本発明1012]
デジタル画像がカラー画像であり、コントローラが、該カラー画像をグレースケールに変換するようにさらに構成されている、本発明1011の方法。
[本発明1013]
デジタル画像から解析領域を抽出する工程が、
デジタル画像内の1つまたは複数の視認可能なしるしを特定すること;
該特定された視認可能なしるしに関連する容器タイプについて、データストアを検索すること;および、
該容器タイプに基づいて該デジタル画像における解析領域の場所を特定すること
を含む、本発明1011の方法。
[本発明1014]
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出する工程が、
解析領域における行方向の複数のピクセル強度を合計すること;および、
該解析領域における列方向のピクセル強度の平均値を計算すること
を含む、本発明1011の方法。
[本発明1015]
解析領域内の異なる位置についての勾配値を算出する工程が、
ソーベルフィルタを解析領域のy軸に沿ってピクセルに適用してソーベル勾配を抽出すること;および、
該抽出したソーベル勾配を該解析領域のx軸に沿って合計すること
を含む、本発明1011の方法。
[本発明1016]
解析領域が1ピクセルの幅を有し、
勾配値を算出する工程が、該解析領域のy軸に沿って行方向のピクセルの強度勾配を計算することを含む、
本発明1011の方法。
[本発明1017]
容器内の液位を決定する工程が、解析領域において行インデックスを勾配列ベクトルの長さで除算することによって、該解析領域内の液体の割合を計算することを含む、本発明1011の方法。
[本発明1018]
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較する工程;および
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、ディスプレイデバイスに警告を出力する工程
をさらに含む、本発明1011の方法。
[本発明1019]
液位、および格納されている容器断面体積に基づいて、容器内の液体体積を決定する工程
をさらに含む、本発明1011の方法。
[本発明1020]
決定された液位を、容器タイプに関連する液位しきい値と比較する工程;および、
該液位が該容器タイプに関連する該液位しきい値を下回っていると決定されたことに応答して、自動アナライザを液体節約動作モードに切り替える工程
をさらに含む、本発明1011の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一態様による、1つまたは複数の容器内の液位を決定するためのシステムを示すブロック図である。
図2】一態様による、画像取り込み装置の画像センサから見た、図1に示した容器の模式的な側面図である。
図3】一態様による、図1のシステムにおいて使用するのに適したコントローラを示すブロック図である。
図4】一態様による、容器内の液位を決定する方法を示す流れ図である。
図5】一態様による、容器内の液位を決定する方法を示すシーケンス図である。
図6図6A~6Eは、一態様による、解析領域の勾配を算出する工程を示す。分かりやすくするため、図6B~6Eには全ての行ピクセルおよび列ピクセルは示していない。
図7】一態様による、行インデックスの関数としてプロットした平均強度および勾配ベクトルの例を示し、x軸の下にはデジタル画像の最初の解析領域を示す。プロットは、気液境界またはメニスカスの場所を明確化する勾配最小点を示している。
図8】一態様による、解析領域と液位測定の結果をデジタル画像上に重ね合わせた元のデジタル画像を示す。
図9】一態様による、容器が欠失している解析領域についての勾配ベクトルプロットの例を示す。勾配は、図10に示した容器ホルダからのエッジによる強い正のピークを有する。
図10】一態様による、容器が1つ存在しない、1組の容器の元のデジタル画像を示す。解析領域と液位測定の結果をデジタル画像上に重ね合わせている。
図11】容器が存在しない時に解析領域の背景に白色バーが配置されているデジタル画像を示す。
図12】勾配が、解析領域内の白色バーの場所に対応する強いピークを有する、勾配ベクトルプロットの例を示す。
図13】一態様による、システムの一部または全部として使用されるコンピュータの構成要素の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
次に、添付の図面にその例が示されているいくつかの態様について言及する。可能な場合には必ず、類似または同様の機能性を示すために類似または同様の参照番号が図面において使用されていることに留意されたい。構造および方法の代替的態様が、記載されている原理から逸脱することなく利用され得ることを、当業者は以下の説明から容易に認識するであろう。
【0007】
画像取り込み装置およびコントローラを使用して容器内の液位を決定するためのシステムおよび方法を一例として開示する。ここで図1を参照すると、図1は、未知量の液体を含有する1つまたは複数の容器102内の液位を決定するためのシステム100の一態様を示す。図1に示されている態様において、システム100は、画像取り込み装置104と、コントローラ106と、ディスプレイ107とを含む。別の態様において、システム100は、異なる要素および/または追加の要素を含む。さらに、記載されているのとは異なる様式で機能を要素間で分散させてもよい。
【0008】
容器102は、血液または他の液体などの患者の試料を検査するために分析機器またはアナライザが使用し得る液体試薬を保管するために使用されている。一態様において、容器102は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、またはポリ塩化ビニルなどの半透明なプラスチック材料から形成されている。
【0009】
画像取り込み装置104は、1つまたは複数の容器102のデジタル画像を取り込み、取り込んだ画像を解析のためにコントローラ106に伝送するように構成されている。一態様において、画像取り込み装置104は、レンズを透過した光を取り込んで画像を形成するソリッドステート電子装置を含む画像センサを含む。センサタイプの例には、電荷結合素子(CCD)および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)が含まれる。画像取り込み装置104は、複雑なものまたは高価なものである必要はない。初期世代のスマートフォンに用いられている、より単純なデジタルカメラを使用することができる。画像取り込み装置104のための照明は、画像センサにもよるが、一般に、検査室またはオフィスの作業スペースの昼間の周囲光(例えば、可視光)に類似したものであることができる。
【0010】
コントローラ106は、図5に関して以下で説明するように、1つまたは複数の容器102のデジタル画像を画像取り込み装置104から受け取り、デジタル画像から解析領域を抽出し、解析領域に勾配フィルタを適用し、解析領域内の最小勾配値の場所を決定し、決定した最小勾配値に基づいて容器内の液位を決定する。
【0011】
ディスプレイ107は、システム100についての情報、および1つまたは複数の容器102内の決定された液位についての情報を受け取り、受け取った情報をユーザに対して表示するために出力する。一態様において、ディスプレイ107は、(画像取り込み装置104およびコントローラ106と共に)血液または他の液体などの患者の試料を検査するために使用される分析アナライザ(図示せず)の構成要素である。いくつかの態様において、ディスプレイ107は、システム100からリモートにあり、ネットワーク117を介してコントローラ106と通信する。システム100からリモートにあるディスプレイ107の例には、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、またはデスクトップコンピュータが含まれる。
【0012】
システム100は、有線または無線接続によりネットワーク117に接続されている。ネットワーク117は、典型的にはインターネットであるが、LAN、MAN、WAN、モバイルネットワーク、有線ネットワークもしくは無線ネットワーク、電気通信網、プライベートネットワーク、または仮想プライベートネットワーク、およびこれらの任意の組み合わせを非限定的に含む、任意のネットワークであってもよい。ネットワーク117は、部屋または建物の中で無線で通信する場合、Bluetooth、近距離無線通信、WiFi技術、または類似の通信方法を使用してもよい。
【0013】
図2は、一態様による、画像取り込み装置104の画像センサが取り込む、図1に示した容器102の模式的な側面図である。図2はまた、画像取り込み装置104によって検出可能な領域である視野118も示している。視野118内には、容器102内の液位を決定するためにコントローラ106が使用する1つまたは複数の解析領域110がある。一態様において、図2に示されているように、デジタル画像の視野118は容器102の上部および底部を越えて延在している。
【0014】
図3は、コントローラ106の一態様のハイレベルブロック図である。様々な態様において、コントローラ106は、埋め込まれたエンドユーザアプリケーションの一部として、または図13に示したコンピュータなどの、CPUと、メモリと、ネットワークインターフェースと、周辺インターフェース(例えば、ディスプレイ、キーボード)とを備えたコンピュータ(例えば、サーバクラスコンピュータ)において実行されるプログラムとして実装されている。コンピュータは、オープンソースオペレーティングシステム(例えば、LINUX)で動作することができ、4GB以上のメモリおよび32GB以上のディスクストレージと共に高性能CPUを有する。他のタイプのコンピュータを使用することもでき、より強力なコンピュータが将来開発された時は、それらを本明細書の教示にしたがって構成することができると予想される。任意の要素によって実装される機能は、非一時的な有形のコンピュータアクセス可能記憶媒体(例えば、RAM、ハードディスク、もしくは光学/磁気媒体)に格納されているコンピュータプログラム製品から、またはハードウェアおよび/もしくはファームウェアにおける同等の実装によって、提供され得る。
【0015】
コントローラ106は、容器のデジタル画像に取り込まれた解析領域内の最小勾配値に基づいて容器内の液位を決定することによって、画像取り込み装置104からのデジタル画像を処理する。図3に示されている態様において、コントローラ106は、抽出モジュール108と、画像プロセッサ112と、体積モジュール114と、データストレージ116とを含む。
【0016】
抽出モジュール108は、容器102のデジタル画像から解析領域110を抽出するように構成されている。画像プロセッサ112は、デジタル画像からの解析領域110を処理するように構成されている。体積モジュール114は、容器102内の液体の体積割合および/または体積を算出するように構成されている。これらのモジュールの機能については、図5に関して以下でより詳細に説明する。
【0017】
データストレージ116は、容器102のデジタル画像、ならびに容器102についての情報、例えば容器102のタイプ、容器102の解析領域110の定義、および容器102の断面体積(cross-sectional volume)を格納するように構成された、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。データストレージ116は、揮発性(例えば、RAM)または不揮発性(例えば、ハードドライブ)であることができる。一態様において、データストレージ116は、システム100からリモートにあり、ネットワーク117を介してアクセスされる。あるいは、データストレージ116はシステム100の固有の構成要素である。いくつかの態様において、データは、アクセス速度および/またはアクセスの信頼性を向上させるためにルックアップテーブルなどの技術を使用して格納されている。
【0018】
図4は、一態様による、容器102の液位を決定する方法200を示す。図4の各工程は、方法200を実施するコントローラ102の視点から示されている。しかしながら、一部または全ての工程が他のエンティティまたは構成要素によって実施されてもよい。加えて、いくつかの態様では、各工程が並列に実施されてもよいし、各工程が異なる順番で実施されてもよいし、または異なる工程が実施されてもよい。
【0019】
図示されている態様において、コントローラ106は、画像取り込み装置104から容器102の画像を得る210。コントローラ106が複数のタイプの容器102の液位を決定できる場合、コントローラ106は、図5に関して以下で説明するように、容器特有の情報を使用して容器102のタイプを決定する220。コントローラ106は、多くの手段によって、例えば、画像の視認可能なしるしによって、容器102上のRFIDタグ、または容器ホルダ内の1つもしくは複数の物理的スイッチからの信号などによって、容器102のタイプについての情報を受け取ることができる。代替的態様において、コントローラ106は容器のタイプを決定しない。
【0020】
コントローラ106は、図5に関して以下で説明するように、画像から液位を決定し230、容器102の液位を(例えば、ディスプレイ107を通して)出力する240。さらに、いくつかの態様において、コントローラ106は、容器102の決定された液位に基づいて、機器の動作を変更するかまたは他の是正措置を取る。例えば、液位がしきい値を下回っている場合、コントローラ106は、ユーザに対する警報の表示をトリガするか、機器を液体節約動作モードに切り替えるか、液体の追加を求める要請またはメンテナンス要求を送信するなどしてもよい。
【0021】
図5は、一態様による、容器102内の液体の体積割合を決定するコンピュータ実装方法300を示す。図5の各工程は、方法300を実施するシステム100の様々な要素の視点から示されている。しかしながら、一部または全ての工程が他のエンティティまたは構成要素によって実施されてもよい。加えて、いくつかの態様では、各工程が並列に実施されてもよいし、各工程が異なる順番で実施されてもよいし、または異なる工程が実施されてもよい。
【0022】
一態様において、コントローラ106は、容器102の1つまたは複数の中に保管されている液体を使用する検査を機器が実施することを要求するユーザ入力を受け取ったことに応答して、方法300を開始する。いくつかの実装形態において、検査が実行されるかは容器102内の液体の量に基づく。例えば、コントローラ106は、画像取り込み装置104に、容器102の画像を取り込むよう命令し、取り込まれた画像を液体しきい値と比較する。コントローラ106が、取り込まれた画像に基づいて、容器102内の液体の量がしきい値量と等しいまたはしきい値量を超えていると決定した場合、コントローラ106は、検査を進めてもよいと決定する(および任意で、検査を進めてもよいという表示を出力する)。反対に、容器102内の液体の量がしきい値量より少ない場合、コントローラ106は、検査は停止されており容器を交換または補充すべきであるという表示を出力する。代替的構成において、方法300は、容器102内の液体の量に関係なく、機器の起動時に、設定可能なペースで定期的に、各検査の後に、または所定の回数の検査(例えば、2回またはそれより多い回数の検査)の後に、実行される。
【0023】
画像取り込み装置104は、容器102のデジタル画像を取り込み301、デジタル画像をデータストレージ116に送る302。一態様において、デジタル画像はグレースケール画像である。あるいは、デジタル画像がカラー画像である場合、画像プロセッサ112が、解析の前にカラー画像をグレースケールに変換してもよい。
【0024】
一態様において、抽出モジュール108はデータストレージ116からデジタル画像を取得し303、画像内の容器102のタイプを特定する304。例えば、画像内の最小視野118には、1つまたは複数の解析領域110、および任意で容器102または容器ホルダ上の視認可能なしるし(例えば、バーコード)が含まれる。システムが複数の容器または複数タイプの容器の液位を検出する態様において、しるしにより、画像内の容器タイプを特定することができる。1つまたは複数の既定の容器タイプを使用するいくつかの態様において、容器のタイプを特定するしるしが、画像取り込み装置104が取り込んだ容器102のデジタル画像とは別個に、データストレージ116に格納されている。しるしは、データストレージ116に格納されている容器102についての情報(例えば、解析領域の定義、断面体積、容器タイプ、警告しきい値)を取得するために使用される識別子であり得る。この情報は、複数タイプ/複数サイズの容器102を解析する時に使用され、それによって、特定された容器特性に応じた液位の計算が可能になる(例えば、長さのみが異なる2つの容器は、異なる全内部体積を有する)。
【0025】
代替的態様において、容器は、視覚的にではなく、物理的スイッチによってトリガされる信号を用いて、特定される。例えば、容器102が容器ホルダ内に配置された時、容器102は1つまたは複数の物理的スイッチを押すかまたは別の方法で作動させ、各スイッチの電気回路を完全な回路または閉回路にする。小型の容器はスイッチを1つ作動させることができ、中型の容器はスイッチを2つ作動させることができ、大型の容器はスイッチを3つ作動させることができる。別の例では、容器のタイプごとに独特のパターンのスイッチが作動される。容器のタイプごとに作動されるスイッチの数またはパターンがデータストレージ116に格納され、容器102の特定に使用するためにコントローラ106によって取得されてもよい(例えば、容器102が視覚的に特定できない場合)。いくつかの態様において、容器ホルダはまた、特定の容器タイプのフットプリントに適合するように構成されている。
【0026】
あるいは、容器のタイプが既知である態様において、容器のタイプはデータストレージ116に予め格納されている。抽出モジュール108は、しるしまたは1つもしくは複数の作動された物理的スイッチに基づいて、デジタル画像内の容器102の解析領域110の定義(例えば、場所または境界)についてデータストレージ116を検索する305。いくつかの態様において、解析領域110は、容器タイプに一部基づいており、解析領域110の2つの角のx座標およびy座標によって定義されている。あるいは、解析領域110は、解析領域110の幅および高さに加えて、解析領域110の1つの角のx座標およびy座標によって定義されている。抽出モジュール108は、解析領域110の定義を受け取り306、デジタル画像から解析領域110を抽出する307。いくつかの態様において、解析領域110は、約1~50ピクセルの幅、および画像内の容器102の高さの約70~90%である。いくつかの態様において、解析領域110は幅が1ピクセルである。抽出モジュール108は、抽出した解析領域110をデータストレージ116に格納する308。
【0027】
画像プロセッサ112は、抽出された解析領域110(図6Aおよび6Bに示されている;強度のN×M行列、I)をデータストレージ116から取得する309。一態様において、画像プロセッサ112は行方向の強度を合計し(図6Cに示されている;N×1ベクトル、S)、抽出された解析領域110における列方向の強度のスライディング平均値(sliding average)を計算し(図6Dに示されている;列ベクトルA)、平均値の一次微分または勾配を計算する(図6Eに示されている;勾配G)。行方向の強度を合計する際、Sの各成分は、Iの対応する行の各値の和である。抽出された解析領域110における列方向のピクセルのスライディング平均値を計算する際、スライドするm点ウィンドウ(m-point window)を用いてSの行を平均化することによって列ベクトルAを生成する。いくつかの態様において、mは2以上である(例えば、2~10)。Aの各成分は、Sのm個の値の平均値である。ベクトルAは、Sよりもm-1個少ない成分を有する。勾配Gは、成分ごとにAの行を減算することによって計算される。例えば、勾配Gは、行pから行p-kを減算する(ただし、k≦p<(N-m))ことによって計算することができる。いくつかの態様において、列方向のスライディング平均値の計算の前に行方向のピクセル強度の合計は行わず、スライディング平均値の勾配をx軸に沿って合計する。解析領域110が幅1ピクセルである場合、画像プロセッサ112は、最初の行方向の強度の合計は行わずに、抽出された解析領域110における列方向のピクセルのスライディング平均値を計算する。
【0028】
いくつかの態様において、画像プロセッサ112は、解析領域110に勾配フィルタ(ソーベルフィルタまたはソーベル・フェルドマン演算子など)を適用して311、ソーベル勾配を抽出する。勾配フィルタは、デジタル画像に対して二次元空間勾配測定を行い、画像のエッジに対応する高空間周波数領域(すなわち、ピクセル間の強度コントラストが強い区域)を強調する。いくつかの態様において、画像プロセッサ112は、x軸に沿ってピクセルを平均化し、y軸に沿ってソーベル勾配を抽出する。あるいは、画像プロセッサ112は、解析領域110において、y軸に沿ってソーベル勾配を抽出し、抽出した勾配をx軸に沿って合計する。
【0029】
次に、画像プロセッサ112は、抽出された解析領域110における最小勾配値の場所を決定する313。最小勾配値の場所は、抽出された解析領域110内の液体の気液境界(すなわち、メニスカス)にある(すなわち、抽出された解析領域110内にメニスカスがある場合)。最小勾配値の場所は、勾配値のベクトルに沿って探索することによって、すなわち、最小値を含む列ベクトルの行インデックスまたはピクセル行を探索することによって決定される(図7に示されている)。液面が解析領域110より上方または下方にある場合、勾配値は行インデックス全体にわたって比較的一定であることに留意されたい。ソーベルフィルタをy軸に沿ってピクセルに適用し、抽出したソーベル勾配をx軸に沿って合計する一態様において、最小勾配値の場所は、合計したソーベル勾配値のベクトルに沿って探索することによって決定される。画像プロセッサ112がx軸に沿ってピクセルを平均化し、y軸に沿ってソーベルフィルタを適用する一態様において、最小勾配値の場所は、抽出したソーベル勾配のベクトルに沿って探索することによって決定される。画像プロセッサ112は、解析領域110内の液面の場所である最小勾配値の場所(すなわち、行インデックス)を、データストレージ116に格納する315。
【0030】
体積モジュール114は、データストレージ116から行インデックスを取得し317、解析領域110内の液体の割合(すなわち、液位)または解析領域割合を算出する319(図8に示されている)。一態様において、解析領域割合は、行インデックスを勾配列ベクトルの長さで除算することによって算出される。体積モジュール114は、容器タイプに関連する識別子に基づいて、容器102についての解析領域割合しきい値をデータストレージ116から取得する321。解析領域割合しきい値とは、液位がそれ以下である時にディスプレイ107に警告が送られる、当該液位を示す。例えば、警告は、液体が規定の液位を下回っている時に機器を動作させるべきではないと指摘するか、機器の休止時間を減らすために追加の流体を添加することを要求するなどしてもよい。体積モジュール114は、容器タイプに関連する決定された解析領域割合を、取得した解析領域割合しきい値と比較する。一態様において、容器タイプについての決定された解析領域割合が、取得したしきい値を下回っている場合、体積モジュール114はディスプレイ107に警告を送る。あるいは、体積モジュール114は、解析領域割合を算出せず、代わりに、容器タイプに関連する識別子に基づいて容器の行インデックスしきい値を取得し321、取得した行インデックスしきい値と決定された行インデックスを比較する。決定された行インデックスとインデックスしきい値との比較に基づいて、ディスプレイ107に警告が送られる。
【0031】
さらに別の態様において、体積モジュール114は、容器タイプに基づいて容器102の断面体積をデータストレージ116から取得すること323によって、容器102内の液体の体積を決定する。容器102の形状が一様でない態様では、容器の断面体積もまた一様でないと考えられる。したがって、形状が一様でない容器の場合、体積モジュール114は複数の断面体積を取得する。データストレージ116は、体積モジュール114からクエリを受け取ると、容器タイプを用いて容器断面体積を検索する。次いで、体積モジュール114は、最小勾配値の場所(すなわち、行インデックス)と解析領域110の終端部との間の断面体積を合計し、解析領域110の下方にある液体を考慮するための一定体積(これも容器のしるしに基づいて格納されている)を足すことによって、容器102内の液体の体積を算出する325。算出した液体体積が体積しきい値を下回っている場合、警告が送られる。
【0032】
体積モジュール114は、ディスプレイ107に表示する329ための警告を送る327。警告は、テキストでのメッセージ、アイコン、または任意の他の視覚表示であり得る。警告はまた、可聴警告、例えばチャイムまたはクラクションであり得る。追加的または代替的に、警告は、ディスプレイ107以外の場所に提示されてもよい。例えば、自動アナライザ機器の警報灯が作動してもよい。いくつかの態様において、警告に加えてまたは警告の代わりに、容器102の体積がしきい値を上回っていると体積モジュール114が決定するまで、機器はさらなる動作を行わない。体積割合、行インデックス、または体積が、解析領域割合しきい値、行インデックスしきい値、または体積しきい値を上回っていることに応答して、先に要求された機器の動作が進められる。いくつかの態様において、ディスプレイ107には、容器102の液位または液体体積の状態が含まれる。そのような状態は、決定された解析体積割合または体積によって更新される。さらに、いくつかの態様において、警告は、機器100の動作パラメータを変える(例えば、液体の使用量を減らすために)か、追加の流体を求める要請もしくは指示を送るか、または機器の任意の他の適切な予防メンテナンス措置をトリガする。
【0033】
特定の態様において、画像プロセッサ112は、解析領域110における平均化したピクセルの勾配を用いて、容器102が存在しないまたは欠失しているかどうかを決定する。明確なエッジを有する物体または形状を容器102の背後に配置し、容器102が存在しない時にデジタル画像を取り込むと前記物体または形状が解析領域110内に入るようにする。例えば、一態様において、容器102が存在しない時、明瞭なエッジを有する1つもしくは複数の白色バーまたは容器ホルダを背景に視認することができる。解析領域110の勾配を算出すると、解析領域110内の前記物体または形状のために、勾配は異なる形状を有する。
【0034】
容器102が容器ホルダに存在しない時に視認可能である明るく明確なエッジ120(例えば、図10に示されているエッジ120)を容器ホルダが有する一態様において、勾配は、容器ホルダの明確なエッジ120(図10に示されている)のために、負のピーク(または最小勾配値)ではなく強い正のピーク(すなわち、図9に示されているような最大勾配値)を有する。容器102が存在する時は、容器102が容器ホルダのエッジ120を遮る。解析領域110の背景に白色バーが配置されている一態様において、容器102が存在しない時(図12に示されている)、勾配は、解析領域110内の白色バーの場所(図11に示されている)に対応する強いピークを有する。画像プロセッサ112は、(液位を決定するために)勾配値のベクトルに沿って最小勾配値を探索するのとは独立して、またはそれと同時に、勾配値のベクトルに沿って1つまたは複数の最大勾配値を探索することができる。最大勾配値(または強い正の勾配ピーク)の存在を特定したことに応答して、画像プロセッサ112は、容器102が存在しないという警告を送る。任意で、コントローラ106は、最大勾配値が存在することに応答して、体積がゼロであると出力する。
【0035】
図13は、一態様による、図1のシステム100の一部または全部として使用されるコンピュータ1300の物理的構成要素を示すブロック図である。チップセット1304に接続された少なくとも1つのプロセッサ1302が示されている。チップセット1304には、メモリ1306、ストレージデバイス1308、グラフィックスアダプタ1312、およびネットワークアダプタ1316も接続されている。ディスプレイ1318は、グラフィックスアダプタ1312に接続されている。一態様において、チップセット1304の機能は、メモリコントローラハブ1320およびI/Oコントローラハブ1322によって提供される。別の態様において、メモリ1306は、チップセット1304ではなくプロセッサ1302に直接接続されている。
【0036】
ストレージデバイス1308は、ハードドライブ、CD-ROM(compact disk read-only memory)、DVD、またはソリッドステートメモリデバイスなどの、任意の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。メモリ1306は、プロセッサ1302が使用する命令およびデータを保持する。グラフィックスアダプタ1312は、画像および他の情報をディスプレイ1318に表示する。ネットワークアダプタ1316は、コンピュータ1300をローカルエリアネットワークまたは広域ネットワークに接続する。
【0037】
当技術分野において公知であるように、コンピュータ1300は、図13に示されているものとは異なる構成要素および/または他の構成要素を有してもよい。加えて、コンピュータ1300は、例示されている特定の構成要素を欠いてもよい。一態様において、ホストまたはスマートフォンなどのコンピュータ1300は、グラフィックスアダプタ1312および/またはディスプレイ1318、ならびにキーボード1310または外部ポインティングデバイス1314を欠き得る。さらに、ストレージデバイス1308は、コンピュータ1300のローカルおよび/またはリモート(例えば、ストレージエリアネットワーク(SAN)内に具現化される)にあってもよい。
【0038】
当技術分野において公知であるように、コンピュータ1300は、本明細書に記載の機能を提供するためのコンピュータプログラムモジュールを実行するように適合されている。本明細書において使用される「モジュール」なる用語は、特定の機能を提供するために用いられるコンピュータプログラム論理を指す。したがって、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアにおいて実装され得る。一態様において、プログラムモジュールは、ストレージデバイス1308に格納され、メモリ1306にロードされて、プロセッサ1302によって実行される。
【0039】
要約すると、開示された手法により、コンピュータベースのシステムが容器内の液位を自動で検出することが可能となる。これらの手法は、容器102の内部にプローブまたは任意の他の物理的構成要素を追加することなく実施され得、それによって液体の汚染の可能性が減少する。これは、コンピュータベースのシステムが以前は不可能であった方法で液位をモニタすることを可能にすることによって、様々な機器の操作におけるさらなる自動化およびより良い効率を可能にする。さらに、これらの手法は、人類が従来使用していた技術とは類似しない。
【0040】
以上の説明は例示を目的として提示されており、網羅的であることも、開示されている寸分たがわぬ形態に本発明を限定することも意図されていない。関連技術の当業者であれば、上記の開示を鑑みて多くの改変および変形が可能であることを認識できよう。
【0041】
この説明のいくつかの部分では、各態様を、情報に対する動作のアルゴリズムおよび記号表現に関して説明している。これらのアルゴリズムの記述および表現は、データ処理技術の当業者によって、その作業の内容を他の当業者に効果的に伝えるために一般に使用されている。これらの動作は、機能的、計算的、または理論的に記載されているが、コンピュータプログラムまたは同等の電気回路マイクロコードなどによって実施されることが理解されよう。さらに、一般性を失うことなく、これらの動作の配置をモジュールと呼ぶことが、場合によっては好都合であることも明らかになっている。記載された動作およびそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらの任意の組み合わせにおいて具現化され得る。
【0042】
本明細書に記載された工程、動作、またはプロセスはいずれも、1つまたは複数のハードウェアモジュールまたはソフトウェアモジュールを、単独でまたは他のデバイスと組み合わせて用いて、実施または実装され得る。一態様において、ソフトウェアモジュールは、記載された工程、動作、またはプロセスのいずれかまたは全部を実施するためにコンピュータプロセッサが実行することができるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品を用いて実装される。
【0043】
各態様はまた、本明細書における動作を実施するための装置にも関連し得る。この装置は、必要な目的のために特別に構築されていてもよく、かつ/またはコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に作動もしくは再構成される汎用コンピューティングデバイスを含んでもよい。そのようなコンピュータプログラムは、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体、または、コンピュータシステムバスに接続され得る、電子命令を格納するのに適した任意のタイプの媒体に格納され得る。さらに、本明細書において言及されている任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含んでもよいし、または計算能力を高めるための複数プロセッサ設計を利用したアーキテクチャであってもよい。
【0044】
各態様はまた、本明細書に記載の計算プロセスによって生成される製品にも関連し得る。そのような製品は、計算プロセスの結果として得られる、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体に格納された情報を含んでもよく、コンピュータプログラム製品または本明細書に記載の他のデータの組み合わせの任意の態様を含んでもよい。
【0045】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、内容に別段の明確な規定がない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数の言及物を含む。
【0046】
本明細書中で引用された特許、特許出願、および他の公開済みの参考資料は全て、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
最後に、本明細書で使用された文言は、主に、読みやすさおよび教示の目的で選択されており、本発明主題を明確に描写するまたは制限するために選択されたものではない場合もある。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本明細書に基づく出願に由来する任意の請求項によって限定されることが意図されている。したがって、本発明の各態様の開示は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を例示するものであり、限定するものではないことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13