(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240125BHJP
H04N 23/76 20230101ALI20240125BHJP
H04N 25/46 20230101ALI20240125BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/76
H04N25/46
(21)【出願番号】P 2021548782
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2020034219
(87)【国際公開番号】W WO2021059991
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019174841
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-292369(JP,A)
【文献】特開2005-328323(JP,A)
【文献】特開2008-017090(JP,A)
【文献】特開2008-141239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/76
H04N 25/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズーム光学系によって形成される被写体像を撮像し、映像データを生成する撮像部と、
前記映像データに対してビニング処理をする映像処理部と、
前記ズーム光学系のズーム量に関する値
が、前記ビニング処理による解像性能の低下が目立つと判断される値である場合は前記映像処理部における前記ビニング処理を行わせず、目立たないと判断される値である場合は行わせるよう制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記撮像部から順次読み出される前記映像データの映像レベルに関する値と画素加算数毎の閾値を比較することにより、前記映像処理部が実施する前記ビニング処理の画素加算数を決定する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記映像処理部は、前記映像データのフレーム間タイミングにおいて前記ビニング処理の設定切替を行うことによって前記映像データの途切れを抑制する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記ビニング処理の設定切替が、垂直列の画素加算と水平列の画素加算の間の切替えを含む
ことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交通監視用や防犯用などの撮像装置では、遠方の被写体を大きく撮影するために、超望遠ズームレンズによるズーム拡大撮影が行われていた。このようなレンズ条件では、レンズの透過光量が減少して被写体像が暗くなる。
【0003】
特許文献1には、『監視カメラのズーム拡大時の光量不足を補うため、監視カメラの焦点距離に応じて、照明装置の照明配光特性を制御する』旨の技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ズーム画角に応じて照明装置の配光角度を狭めるため、ズーム画角内の被写体を重点的に照明することができる。しかしながら、照明光は遠くの被写体には届かない。そのため、特許文献1の技術では、遠方の被写体を明るく撮影できない点で改善の余地があった。
【0006】
なお、ズーム拡大撮影では、被写体像が暗くなるだけではなく、ズーム光学系のレンズ収差や回折現象などの特性によって被写体像の解像性能が低下しやすい。
【0007】
そこで、本発明では、ズーム光学系の特性を利用して、映像データの明るさを補うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置の一つは、撮像部、映像処理部、および制御部を備える。
撮像部は、ズーム光学系によって形成される被写体像を撮像し、映像データを生成する。
映像処理部は、前記映像データに対してビニング処理をする。
制御部は、前記ズーム光学系のズーム量を情報取得し、前記ズーム量に基づいて、前記映像処理部における前記ビニング処理を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ズーム光学系の特性を利用して、映像データの明るさを補うことが可能になる。
【0010】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の撮像装置100の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、撮像装置100によるビニング処理の制御を説明する流れ図である。
【
図3】
図3は、垂直2画素加算を説明する図である。
【
図4】
図4は、水平2画素加算を説明する図である。
【
図5】
図5は、垂直3画素加算を説明する図である。
【
図6】
図6は、水平3画素加算を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
<実施例1の構成>
図1は、本発明の撮像装置100の構成を示すブロック図である。
【0014】
同図において、撮像装置100は、ズーム光学系101、レンズ制御部102、撮像部103、駆動回路104、プロセス処理部105、映像出力部106、および通信制御部107を備える。
【0015】
ズーム光学系101は、ズーム量(焦点距離)が可変する光学系であって、ズーム量を駆動するパワーズーム機構と、フォーカス距離の調整のためのフォーカス光学系と、入射光量を制限する絞り機構と、ズーム光学系101の撮影方向をパン・チルト方向に回動駆動するための雲台駆動機構とを、必要に応じて備える。
【0016】
レンズ制御部102は、ズーム光学系101を制御する。
例えば、撮像装置100が検出する被写体の焦点情報に基づいて、レンズ制御部102はズーム光学系101内のフォーカス光学系を位置駆動して被写体にピントを合わせる。このフォーカス光学系のレンズ内位置に基づいて、レンズ制御部102は、被写体までの距離(フォーカス距離)を検出する。
【0017】
また、撮像装置100が検出する測光情報に基づいて、レンズ制御部102はズーム光学系101内の絞り機構を駆動してズーム光学系101のF値(絞り値)を制御する。
【0018】
さらに、ズーム光学系101のパン・チルト方向やフォーカス距離などに基づいて、レンズ制御部102は、ズーム光学系101のズーム量を可変して、被写体の想定サイズに応じたズーム倍率の制御などを行う。
【0019】
撮像部103は、ズーム光学系101を介して形成される被写体像を撮像し、映像データを生成する。
【0020】
駆動回路104は、内部の動作クロックを垂直水平の座標管理に使用するために、垂直カウンタおよび水平カウンタを備える。これらのカウンタによって生成される駆動信号(水平同期、垂直同期など)は撮像部103に与えられる。この駆動信号に従って、撮像部103は、電子シャッタ制御、映像データの画素読み出しなどを行う。
【0021】
プロセス処理部105は、撮像部103から得た映像データに対して映像処理を施す機能と、撮像装置100の制御を行う機能とを有する。
【0022】
映像出力部106は、映像処理を施した映像データを、所定の映像信号形式に変換し、外部同期または内部同期に従って映像出力を外部の映像受信機201へ出力する。例えば、撮像装置100が監視カメラである場合、映像出力はネットワークを介して外部の監視センターなどへ送出される。
【0023】
通信制御部107は、撮像装置100と外部の通信制御機202との間で、必要な通信を実施する。
【0024】
図1に示す点線範囲は、プロセス処理部105の内部ブロックの構成を示す。
この内部ブロックに示すように、プロセス処理部105は、映像処理部111、および制御部112を備える。
【0025】
映像処理部111は、映像処理用の同期信号の水平垂直タイミングに従って、撮像部103から読み出される映像データに対して、ビニング処理、可変ゲイン調整(撮像感度)、デモザイク処理、色処理、階調補正(ガンマ補正含む)、輪郭補正、データ圧縮処理などの映像処理を必要に応じて施す。
【0026】
制御部112は、レンズ制御部102、駆動回路104、映像処理部111、および通信制御部107などを制御する。
【0027】
なお、上述したプロセス処理部105を、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えたコンピュータシステムとして構成してもよい。このハードウェアがプログラムを実行することによって、プロセス処理部105の上述した各種機能が実現する。このハードウェアの一部または全部については、専用の回路、汎用の機械学習マシン、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ISP(Image Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(programmable logic device)などで代替してもよい。また、ハードウェアの一部または全部をネットワーク上のサーバに集中または分散してクラウド配置することによって、複数の撮像装置100がネットワークを介してプロセス処理部105のシステムを共同使用してもよい。
【0028】
<実施例1の動作> 次に、ビニング処理の制御について説明する。
図2は、撮像装置100によるビニング処理の制御を説明する流れ図である。
以下、同図に示すステップ番号の順に説明する。
【0029】
ステップS101: 映像処理部111は、撮像部103から取得した映像データについて、主要被写体を含む指定領域(例えば、撮像画面の中央領域など)の映像レベルを算出し、制御部112へ出力する。
このような映像レベルは、映像処理部111によるゲインアップ分やフレーム蓄積分の自動設定値から算出してもよい。
【0030】
制御部112は、指定領域の映像レベルを、所定の閾値Vと比較する。この閾値Vは、指定領域の映像レベルが映像用途(例えば監視用など)において十分な明るさか否かを判定する明るさ許容限界値である。
【0031】
指定領域の映像レベルが閾値V以上の場合、十分な明るさの映像レベルであるため、制御部112は、ビニング処理を行わないと判断する。その場合、制御部112は、ステップS103に動作を移行する。
【0032】
一方、指定領域の映像レベルが閾値V未満の場合、制御部112は、映像レベルの明るさが不足していると判断する。その場合、制御部112は、ビニング処理の判断を先に進めるため、ステップS102に動作を移行する。
【0033】
ステップS102: レンズ制御部102は、ズーム光学系101のズーム量を「ズーム量に関する値」として求め、制御部112へ出力する。
制御部112は、ズーム光学系101のズーム量を、所定の閾値Zと比較する。
【0034】
一般に、ズーム量が大きくなるにしたがって、被写体像の像倍率は高くなる。そのため、像倍率の分だけ被写体像が引き伸ばされるため、被写体像は暗くなると共に光学的な解像性能は低下する。この光学的な解像性能の低下が、ビニング処理による電子的な解像性能の低下を隠す程度になると、ビニング処理を行っても電子的な解像性能の低下は目立たなくなる。
このビニング処理による電子的な解像性能の低下が目立たなくなるズーム量の境界値が、所定の閾値Zに設定される。
【0035】
したがって、ズーム量が閾値Z未満の場合、制御部112は、ビニング処理を行わないと判断する。その場合、制御部112は、ステップS103に動作を移行する。
【0036】
一方、ズーム量が閾値Z以上の場合、制御部112はビニング処理による解像性能の低下は目立たないと判断する。その場合、制御部112は、ビニング処理を行うため、ステップS104に動作を進める。
【0037】
なお、ステップ102では、ズーム光学系のF値をズーム量に関する値として求め、所定の閾値Fzと比較してもよい。
【0038】
一般に、ズーム量が大きくなるにしたがって焦点距離が大きくなり、ズーム光学系のF値(=焦点距離/有効口径)は大きくなる。ズーム光学系のF値がある程度大きくなると、被写体像に回折現象による劣化が目立つようになり、被写体像の光学的な解像性能が低下する。
【0039】
この光学的な解像性能の低下が、ビニング処理による電子的な解像性能の低下を隠す程度になると、ビニング処理を行っても電子的な解像性能の低下は目立たなくなる。
このビニング処理による電子的な解像性能の低下が目立たなくなるF値の下限境界が、所定の閾値Fzに設定される。
【0040】
したがって、F値が閾値Fz未満の場合、制御部112は、ビニング処理による解像性能の低下は目立つと判断する。その場合、制御部112は、ビニング処理を行わないと判断し、ステップS103に動作を移行する。
【0041】
一方、F値が閾値Fz以上の場合、制御部112はビニング処理による解像性能の低下は目立たないと判断する。その場合、制御部112は、ビニング処理を行うため、ステップS104に動作を進める。
【0042】
ステップS103: このステップではビニング処理を行わないと判断されたため、制御部112は映像処理部111に対してビニング処理を解除するように指示する。この指示によって、映像処理部111は、ビニング処理を解除する。さらに、映像処理部111は、ビニング処理を行わない分だけ、映像データのゲインアップ分(撮像感度による増幅)を増やす。このような映像処理部111の動作によって、映像データの撮影途中でビニング処理の設定切替が行われても、、映像データの最終的な出力レベルの変動はほぼ生じない。
【0043】
制御部112は、ビニング処理の解除が完了した後に、ズーム量のモニタリングを継続するため、ステップS101に動作を戻す。ステップS104: このステップではビニング処理を行うと判断したため、制御部112は、ビニング処理の画素加算数を決定するための動作を開始する。
【0044】
まず、制御部112は、映像処理部111から調整ゲイン量Sを取得する。この調整ゲイン量Sは、映像データを適正レベルまでに増幅するために必要な利得として映像処理部111において算出される値である。
【0045】
この調整ゲイン量Sは、撮像部103から順次読み出される映像データの映像レベルに関する値である。例えば、調整ゲイン量Sは、映像レベルに基づいて決定されるゲインアップ分と、映像データのフレーム蓄積分の合計ゲイン量に相当する。なお、フレーム蓄積を実施しない場合、フレーム蓄積分は0[dB]として合計ゲイン量が計算される。ステップS105: 制御部112は、調整ゲイン量Sを閾値A[dB]と比較する。
【0046】
閾値A[dB]は、比較的小さいゲイン量であり、ビニング処理の画素加算数を2画素にすれば、映像データの明るさを適度に補うことが可能な調整ゲイン量の上限範囲に相当する。
【0047】
そこで、調整ゲイン量Sが閾値A[dB]未満の場合、制御部112は、ビニング処理の画素加算数を2画素として、ステップS106に動作を移行する。
【0048】
一方、調整ゲイン量Sが閾値A[dB]以上の場合、ビニング処理の画素加算数は2画素では足りない。この場合、制御部112は、ステップS106に動作を移行する。
【0049】
ステップS106: 制御部112は、映像処理部111に対して、ビニング処理として垂直2画素加算または水平2画素加算を設定する。
【0050】
この指示によって、映像処理部111は、2画素加算のビニング処理を行う分だけ、映像データのゲインアップ分(撮像感度による増幅)を減らす。このような映像処理部111の動作によって、映像データの撮影途中でビニング処理の設定切替があっても、映像データの最終的な出力レベルの変動はほぼ生じない。
【0051】
図3は、垂直2画素加算を説明する図である。
図3[A]は、RGBベイヤー配列の映像データを示す。
図3[B]は、垂直2画素加算によるビニング処理を示す。
図3[C]は、ビニング処理後の映像データを示す。
【0052】
例えば、RGBベイヤー配列のRGRG・・・の垂直列について、R画素を縦2画素ずつ合成し、ビニング処理後のR画素を生成する。また、G画素を縦2画素ずつ合成し、ビニング処理後のG画素を生成する。
【0053】
一方、RGBベイヤー配列のGBGB・・・の垂直列について、G画素を縦2画素ずつ合成し、ビニング処理後のG画素を生成する。また、B画素を縦2画素ずつ合成し、ビニング処理後のB画素を生成する。
【0054】
このような垂直2画素加算によるビニング処理によれば、2画素の合計分だけ映像データが明るくなる。さらに、垂直2画素加算によるビニング処理には、水平方向の解像性能を維持しつつ、垂直方向の高域ノイズを抑制する効果も見込まれる。
【0055】
図4は、水平2画素加算を説明する図である。
図4[A]は、RGBベイヤー配列の映像データを示す。
図4[B]は、水平2画素加算によるビニング処理を示す。
図4[C]は、ビニング処理後の映像データを示す。
【0056】
例えば、RGBベイヤー配列のRGRG・・・の水平行について、R画素を横2画素ずつ合成し、ビニング処理後のR画素を生成する。また、G画素を横2画素ずつ合成し、ビニング処理後のG画素を生成する。
【0057】
一方、RGBベイヤー配列のGBGB・・・の水平行について、G画素を横2画素ずつ合成し、ビニング処理後のG画素を生成する。また、B画素を横2画素ずつ合成し、ビニング処理後のB画素を生成する。
【0058】
このような水平2画素加算によるビニング処理によれば、2画素の合計分だけ映像データが明るくなる。さらに、水平2画素加算によるビニング処理には、垂直方向の解像性能を維持しつつ、水平方向の高域ノイズを抑制する効果も見込まれる。
このようなビニング処理の設定切替は、映像処理部111がフレーム間タイミングで実施するため、映像データは途切れず、フレーム落ちは生じない。
このようなビニング処理の設定後に、制御部112は、ズーム量のモニタリングを継続するため、ステップS101に動作を戻す。
【0059】
ステップS107: 制御部112は、調整ゲイン量Sを閾値B[dB]と比較する。
閾値B[dB]は、閾値A[dB]より大きなゲイン量であり、ビニング処理の画素加算数を3画素にすれば、映像データの明るさを適度に補うことが可能な調整ゲイン量Sの上限範囲に相当する。
【0060】
調整ゲイン量Sが閾値B[dB]未満の場合、制御部112は、ビニング処理の画素加算数を3画素として、ステップS108に動作を移行する。
一方、調整ゲイン量Sが閾値B[dB]以上の場合、ビニング処理の画素加算数は3画素では足りない。この場合、制御部112は、ステップS109に動作を移行する。
【0061】
ステップS108: 制御部112は、映像処理部111に対して、ビニング処理として垂直3画素加算または水平3画素加算を設定する。
この指示によって、映像処理部111は、3画素加算のビニング処理を行う分だけ、映像データのゲインアップ分(撮像感度による増幅)を減らす。このような映像処理部111の動作によって、映像データの撮影途中でビニング処理の設定切替が行われても、、映像データの最終的な出力レベルの変動はほぼ生じない。
【0062】
図5は、垂直3画素加算を説明する図である。
図5[A]は、RGBベイヤー配列の映像データを示す。
図5[B]は、垂直3画素加算によるビニング処理を示す。
図5[C]は、ビニング処理後の映像データを示す。
【0063】
例えば、RGBベイヤー配列のRGRG・・・の垂直列について、R画素を縦3画素ずつ合成し、ビニング処理後のR画素を生成する。
また、RGBベイヤー配列のGBGB・・・の垂直列について、B画素を縦3画素ずつ合成し、ビニング処理後のB画素を生成する。
さらに、RGBベイヤー配列の横2画素×縦3画素に含まれるG画素3つを合成し、ビニング処理後のG画素を生成する。
【0064】
このような垂直3画素加算によるビニング処理によれば、3画素の合計分だけ映像データが明るくなる。さらに、垂直3画素加算によるビニング処理には、水平方向の解像性能をなるべく維持しつつ、垂直方向の高域ノイズを抑制する効果も見込まれる。
【0065】
図6は、水平3画素加算を説明する図である。
図6[A]は、RGBベイヤー配列の映像データを示す。
図6[B]は、水平3画素加算によるビニング処理を示す。
図6[C]は、ビニング処理後の映像データを示す。
【0066】
例えば、RGBベイヤー配列のRGRG・・・の水平行について、R画素を横3画素ずつ合成し、ビニング処理後のR画素を生成する。
また、RGBベイヤー配列のGBGB・・・の水平行について、B画素を横3画素ずつ合成し、ビニング処理後のB画素を生成する。
さらに、RGBベイヤー配列の横3画素×縦2画素に含まれるG画素3つを合成し、ビニング処理後のG画素を生成する。
【0067】
このような水平3画素加算によるビニング処理によれば、3画素の合計分だけ映像データが明るくなる。さらに、水平3画素加算によるビニング処理には、垂直方向の解像性能をなるべく維持しつつ、水平方向の高域ノイズを抑制する効果も見込まれる。
【0068】
映像処理部111は、このビニング処理の設定切替をフレーム間タイミングで実施する。そのため、映像データは途切れず連続し、フレーム落ちは生じない。。
【0069】
このようなビニング処理の設定後に、制御部112は、ズーム量のモニタリングを継続するため、ステップS101に動作を戻す。
【0070】
ステップS109: 制御部112は、調整ゲイン量Sを閾値C[dB]と比較する。
閾値C[dB]は、閾値B[dB]より大きなゲイン量であり、ビニング処理の画素加算数を4画素にすれば、映像データの明るさを適度に補うことが可能な調整ゲイン量Sの上限範囲に相当する。
そこで、調整ゲイン量Sが閾値C[dB]未満の場合、制御部112は、ビニング処理の画素加算数を4画素として、ステップS110に動作を移行する。
【0071】
一方、調整ゲイン量Sが閾値C[dB]以上の場合、ビニング処理の画素加算数は4画素では足りない。なお、
図2に点線で示すように、5画素以上の画素加算数の設定については、解像性能の低下が目立たない適正な範囲まで繰り返すことが可能である。
【0072】
ステップS110: 制御部112は、映像処理部111に対して、ビニング処理として4画素加算を設定する。
この指示によって、映像処理部111は、4画素加算のビニング処理を行う分だけ、映像データのゲインアップ分(撮像感度による増幅)を減らす。このような映像処理部111の動作によって、映像データの撮影途中でビニング処理の設定切替が行われても、、映像データの最終的な出力レベルの変動はほぼ生じない。
【0073】
図7は、4画素加算を説明する図である。
図7[A]は、RGBベイヤー配列の映像データを示す。
図7[B]は、4画素加算によるビニング処理を示す。
図7[C]は、ビニング処理後の映像データを示す。
【0074】
例えば、RGBベイヤー配列の横3画素×縦3画素に含まれるR画素4つを合成し、ビニング処理後のR画素を生成する。
また、RGBベイヤー配列の横3画素×縦3画素に含まれるB画素4つを合成し、ビニング処理後のB画素を生成する。
さらに、RGBベイヤー配列の横4画素×縦2画素(または横2画素×縦4画素)に含まれるG画素4つを合成し、ビニング処理後のG画素を生成する。
ビニング処理後のRGBそれぞれの画素は、合成前の4画素の重心位置に基づいて、ベイヤー配列になるように再配列される。
【0075】
このような4画素加算によるビニング処理によれば、4画素の合計分だけ映像データが明るくなる。さらに、垂直4画素加算によるビニング処理には、水平方向および垂直方向の高域ノイズを抑制する効果も見込まれる。
【0076】
映像処理部111は、このビニング処理の設定切替をフレーム間タイミングで実施する。そのため、映像データは途切れず連続し、フレーム落ちは生じない。。
【0077】
このようなビニング処理の設定後に、制御部112は、ズーム量のモニタリングを継続するため、ステップS101に動作を戻す。
【0078】
上述した一連の動作によって、「ズーム量に関する値」および「映像レベルに関する値」に応じたビニング処理の設定切替が、映像データが途切れることなく実施される。
【0079】
<実施例1の効果>[1]ズーム拡大撮影では、被写体像が暗くなって、映像データのS/Nが低下する。さらに、ズーム拡大撮影においては、ズーム光学系のレンズ収差や回折現象によって被写体像の解像性能が低下しやすい。
実施例1では、ズーム光学系のこのような特性を次のように利用する。
【0080】
(A)制御部112は、ズーム量に関する値に基づいてビニング処理を制御する。そのため、ズーム拡大による光学的な解像性能の低下に合わせてビニング処理を実施することが可能になる。したがって、ビニング処理による解像性能の低下を目立たなくすることが可能になる。
【0081】
(B)ズーム拡大に合わせてビニング処理の画素加算が行われることによって、ズーム拡大時の映像データの明るさ不足を補うことが可能になる。
【0082】
(C)ビニング処理による画素加算では、画像空間上に非相関に分布するランダムノイズの増加率が抑制されるため、映像データのS/Nを高めることが可能になる。
【0083】
(D)ビニング処理によってズーム拡大時の映像データの明るさが補われる分だけ、映像データのゲインアップ分やフレーム蓄積分を下げることが可能になる。そのため、ゲインアップ分によるノイズ増加を抑えることが可能になる。また、フレーム蓄積分によるフレームレートの低下を回避することが可能になる。
【0084】
[2]また、実施例1では、制御部112が、撮像部103から順次読み出される映像データの映像レベルに関する値に基づいて、映像処理部が実施するビニング処理の画素加算数を制御する。
例えば、ズーム拡大時においても被写体が十分に明るい場合は、撮像部103から順次読み出される映像レベルも十分に明るくなる。この場合、制御部112は、映像レベルに関する値に基づいて、ビニング処理の画素加算数を「1画素(ビニング処理をしない)」に設定することによって、無用なビニング処理を省くことが可能になる。
【0085】
また、撮像部103から順次読み出される映像レベルが暗くなる(例えば調整ゲイン量Sが大きくなる)に従って、制御部112はビニング処理の画素加算数を増やす。そのため、映像データの明るさ不足を適切な画素加算数で補うことが可能になる。
【0086】
[3]さらに、実施例1では、映像処理部111は、映像データのフレーム間タイミングにおいてビニング処理の設定切替を行う。そのため、ビニング処理の設定切替に伴う映像データの途切れを抑制することが可能になる。
【0087】
<実施形態の補足事項> なお、上述した実施例1では、RGBベイヤー配列の映像データに対してビニング処理を実施する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、デモザイク処理後のRGB3面の映像データに対してビニング処理を実施してもよい。また、輝度色差変換後の映像データに対してビニング処理を実施してもよい。
【0088】
また、実施例1では、ビニング処理後の映像データの縦横画素数が、ビニング処理の設定切替によって変化する。そこで、映像処理部111が、ビニング処理後の映像データに対して、縦横画素数が一定値となるような画素数変換を実施してもよい。
【0089】
さらに、実施例1では、「ズーム量に関する値」として、「ズーム量」や「F値」を使用する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。ズーム量の大小を推定可能な値であればよい。例えば、「ズーム量に関する値」は、ズーム光学系のズーム拡大率、像倍率、有効口径、またはズームリング位置などでもよい。
【0090】
また、実施例1では、「映像レベルに関する値」として「映像レベル」や「調整ゲイン量S」を使用する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。「映像レベルに関する値」は、映像レベルの大小を推定可能な値であればよい。例えば、「映像レベルに関する値」は、映像データの代表値(平均値、ピークホールド値、中間値など)でもよい。
【0091】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
【0092】
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、実施例1の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0093】
100…撮像装置、101…ズーム光学系、102…レンズ制御部、103…撮像部、104…駆動回路、105…プロセス処理部、106…映像出力部、107…通信制御部、201…通信制御機、201…映像受信機