(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】半架橋体およびその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61B17/04
(21)【出願番号】P 2021561960
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 US2019052060
(87)【国際公開番号】W WO2020214200
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520425730
【氏名又は名称】スチャーガード メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リア, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ラディジンスキー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アクロイド, ジェニファー
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02387131(US,A)
【文献】特開2009-000507(JP,A)
【文献】特表2012-528678(JP,A)
【文献】特表2013-528470(JP,A)
【文献】特表2016-527958(JP,A)
【文献】特表2014-516288(JP,A)
【文献】実公昭49-025194(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071596(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0249924(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0018874(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1768878(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1758236(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸持上デバイスであって、
少なくとも1つの小孔を有する挿入体と、
少なくとも部分的に前記挿入体にわたって配置される上位材料層と、前記挿入体の下方に配置される下位材料層であって、前記下位材料層は、下位表面上に配置される接着剤を有する、下位材料層との少なくとも1つの部材と
を備え、
前記挿入体、前記上位
材料層、および前記下位
材料層は、
3つの区域を形成し、前記区域はそれぞれ、前記区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有
し、
前記3つの区域は、前記上位材料層と前記下位材料層との間に挟持される挿入体を有する第1の区域と、ともに結合される前記上位材料層および前記下位材料層のみを有する第2の区域と、前記下位材料層のみを有する第3の区域とを含む、縫合糸持上デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの部材は、前記上位
材料層と、前記下位
材料層との両方を含む、請求項1に記載の縫合糸持上デバイス。
【請求項3】
縫合糸持上デバイスであって、
少なくとも1つの小孔を有する挿入体と、
少なくとも部分的に前記挿入体にわたって配置される上位材料層と、前記挿入体の下方に配置される下位材料層であって、前記下位材料層は、下位表面上に配置される接着剤を有する、下位材料層との少なくとも1つの部材と
を備え、
前記挿入体、前記上位材料層、および前記下位材料層は、複数の区域を形成し、前記区域はそれぞれ、前記区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有し、
前記少なくとも1つの部材は、前記上位材料層と、前記下位材料層との両方を含み、
前記上位
材料層は、
少なくとも1つの小孔を有し、前記上位材料層は、前記下位
材料層を部分的に被覆し、
前記上位材料層の前記少なくとも1つの小孔と前記挿入体の前記少なくとも1つの小孔とが整合させられ、前記上位材料層のうち前記上位材料層の前記小孔を除く部分は、前記挿入体
のうち前記挿入体の前記小孔を除く部分を被覆する
、縫合糸持上デバイス。
【請求項4】
縫合糸持上デバイスであって、
少なくとも1つの小孔を有する挿入体と、
少なくとも部分的に前記挿入体にわたって配置される上位材料層と、前記挿入体の下方に配置される下位材料層であって、前記下位材料層は、下位表面上に配置される接着剤を有する、下位材料層との少なくとも1つの部材と
を備え、
前記挿入体、前記上位材料層、および前記下位材料層は、複数の区域を形成し、前記区域はそれぞれ、前記区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有し、
前記少なくとも1つの部材は、前記上位材料層と、前記下位材料層との両方を含み、
前記下位
材料層は、前記上位
材料層より長い
、縫合糸持上デバイス。
【請求項5】
縫合糸持上デバイスであって、
少なくとも1つの小孔を有する挿入体と、
少なくとも部分的に前記挿入体にわたって配置される上位材料層と、前記挿入体の下方に配置される下位材料層であって、前記下位材料層は、下位表面上に配置される接着剤を有する、下位材料層との少なくとも1つの部材と、
前記挿入体および前記上位
材料層の両方にわたって延在する
防水層と
を備え、
前記挿入体、前記上位材料層、および前記下位材料層は、複数の区域を形成し、前記区域はそれぞれ、前記区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有する、縫合糸持上デバイス。
【請求項6】
前記第3の区域は、前記3つの区域の中で最大の長さと、最大の幅とを有する、請求項
1に記載の縫合糸持上デバイス。
【請求項7】
前記第3の区域は、前記3つの区域の中で最大の表面積を有する、請求項
1に記載の縫合糸持上デバイス。
【請求項8】
前記第2の区域は、前記3つの区域の中で最も狭い、請求項
1に記載の縫合糸持上デバイス。
【請求項9】
前記第2の区域は、前記上位
材料層を前記下位
材料層に結合する接着剤を含む、請求項
1に記載の縫合糸持上デバイス。
【請求項10】
前記第1の区域は、第1の弾性を有し、前記第2の区域は、第2の弾性を有し、前記第3の区域は、第3の弾性を有し、前記第3の弾性は、前記第2の弾性および前記第1の弾性の両方を上回る、請求項
1に記載の縫合糸持上デバイス。
【請求項11】
システムであって、
一対の半架橋体を含む縫合糸持上デバイスであって、前記半架橋体の対はそれぞれ、i)少なくとも1つの小孔を伴う挿入体と、ii)少なくとも部分的に前記挿入体にわたって配置される上位材料層と、前記挿入体の下方に配置される下位材料層であって、前記下位材料層は、下位表面上に配置される接着剤を有する、下位材料層との少なくとも1つの部材とを有し、前記挿入体、前記上位
材料層、および前記下位
材料層は、
3つの区域を形成し、前記区域はそれぞれ、前記区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有
し、前記3つの区域は、前記上位材料層と前記下位材料層との間に挟持される挿入体を有する第1の区域と、ともに結合される前記上位材料層および前記下位材料層のみを有する第2の区域と、前記下位材料層のみを有する第3の区域とを含む、縫合糸持上デバイスと、
前記半架橋体の対を結合する締結要素と
を備える、システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの部材は、前記上位
材料層と、前記下位
材料層との両方を含む、請求項
11に記載の
システム。
【請求項13】
第1の半架橋体が第1の端部を有し、第2の半架橋体が第2の端部および第3の端部を有し、
前記半架橋体の対は、
前記第1の端部に取り付けられた前記第1の半架橋体の第1の挿入体が
、前記第2の半架橋体の第2の挿入体が取り付けられていない前記第3の端部よりも、前記第2の端部に取り付けられた前記第2の半架橋体の
前記第2の挿入体
の近くにあるように、創傷の両側に配置され、相互に面するように整合されるように構成される、請求項
11に記載の
システム。
【請求項14】
前記締結要素は、縫合糸である、請求項
11に記載の
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が、本明細書に完全に記載されている場合と同様に、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる、2019年4月19日に出願された、米国仮出願第62/836,341号、および2019年7月22日に出願された、米国仮出願第62/876、849号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、創傷閉鎖、およびそれを改良するための方法およびデバイスに関する。より具体的には、本開示は、これを使用して創傷閉鎖を促進するための、半架橋体デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
縫合は、患者の開放創および/または外科手術切開部を閉鎖するために使用される、縫い目である。医療施術者は、概して、取り付けられた糸を伴う針を使用し、実質的に、皮膚の2つの隣接する区分をともに縫着し、創傷または切開部を閉鎖する。外科手術的な結び目が、多くの場合、縫合糸を固着し、適切な治癒を確実にするために使用される。皮膚に接触する縫合糸および外科手術的な結び目が、炎症性となる、および/または「肉の中に食い込んだ」状態になり、実際に創傷または切開部の治癒を妨げ得る。加えて、縫合糸が過度に緊密に、または過度に緩く結ばれた場合、合併症が、生じ得る。また、従来的な技法は、見苦しい「針跡」を残し得る。
【0004】
閉鎖は、特に、皮膚が、肩、膝、下顎角等を覆うような皮膚の高張力面積内では、困難であり得る。創傷外転が、2つの創傷表面が、閉鎖された切開部が張力下になく、構造特徴的に、静置している水平な皮膚表面の上方の平面内に置かれるように、水平に相互に対向されたときに生じる。最大の外転を伴う創傷閉鎖は、創傷治癒および瘢痕成熟プロセスの間の高張力面積における継続する周囲応力に起因する、瘢痕の過度の拡張に耐える。しかしながら、創傷外転は、熟練度の低いオペレータには達成することが技術的に困難であり得、これを促進するためのデバイスが、望ましい。さらに、切除欠損が皮膚内に存在する閉鎖部に、過度の張力が、存在し得る。縫合糸が、そのような創傷を閉鎖するために過度の張力下に設置されると、縫合糸自体が、皮膚を通してスライス(「チーズ切断」)し得る。
【0005】
また、均一な弾性の接着創被覆は、皮膚に、張力源から最も遠い創被覆点において最大になる、剪断力を付与し、これは、水泡形成のリスクを増大させる。張力源から最も遠い創被覆の端部における弾性が、皮膚のような弾性を伴って移動し、したがって、水泡形成のリスクを低減させるように、可変の弾性の接着創被覆の必要性が、存在する。
【0006】
したがって、公知の縫合および創被覆技法を改良し、進歩させる縫合デバイスの必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくともいくつかの実施例では、縫合糸持上デバイスは、少なくとも1つの小孔を有する、挿入体と、少なくとも部分的に挿入体にわたって配置される、上位材料層と、挿入体の下方に配置される、下位材料層であって、下位表面上に配置される、接着剤を有する、下位材料層とを含み、挿入体、上位層、および下位層は、3つの区域を形成し、3つの区域はそれぞれ、3つの区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有する。
【0008】
縫合糸持上デバイスは、第1の端部と、第2の端部とを有する、挿入体を含み、第2のものは、第1の端部より持上され、挿入体は、下位段と、上位段と、下位段を上位段に接続する、傾斜部とを含む、階段形状構成を有し、上位段および下位段はそれぞれ、小孔を有し、上位材料層は、挿入体上に配置され、下位材料層は、挿入体の下方に配置され、下位材料層は、下位表面上に配置される、接着剤を有し、複数の長手方向に配向されるフィラメントは、少なくとも部分的に、上位層および下位層のうちの少なくとも一方を通して位置する。
【0009】
いくつかの実施例では、縫合糸持上デバイスは、第1の端部と、第2の端部とを有する、挿入体を含み、第2のものは、第1の端部より持上され、挿入体は、下位段と、上位段と、下位段を上位段に接続する、傾斜部とを含む、階段形状構成を有し、上位段および下位段はそれぞれ、小孔を有し、上位材料層は、少なくとも部分的に、挿入体にわたって配置され、下位材料層は、挿入体の下方に配置され、下位材料層は、下位表面上に配置される、接着剤を有する。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
縫合糸持上デバイスであって、
少なくとも1つの小孔を有する挿入体と、
少なくとも部分的に前記挿入体にわたって配置される上位材料層と、前記挿入体の下方に配置される下位材料層であって、前記下位材料層は、下位表面上に配置される接着剤を有する、下位材料層との少なくとも1つの部材と
を備え、
前記挿入体、前記上位層、および前記下位層は、複数の区域を形成し、前記区域はそれぞれ、前記区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有する、縫合糸持上デバイス。
(項目2)
前記少なくとも1つの部材は、前記上位層と、前記下位層との両方を含む、項目1に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目3)
前記上位層は、前記下位層を部分的に被覆し、前記挿入体を完全に被覆する、項目2に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目4)
前記下位層は、前記上位層より長い、項目2に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目5)
前記複数の区域は、種々の厚さを有する、項目1に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目6)
ポリエチレンを含む防水層をさらに備え、前記防水層は、前記挿入体および前記上位層の両方にわたって延在する、項目1に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目7)
前記複数の区域は、3つの区域を含む、項目1に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目8)
前記3つの区域は、前記上位層と前記下位層との間に挟持される挿入体を有する第1の区域と、ともに結合される前記上位層および前記下位層のみを有する第2の区域と、前記下位層のみを有する第3の区域とを含む、項目7に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目9)
前記第3の区域は、前記3つの区域の中で最大の長さと、最大の幅とを有する、項目8に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目10)
前記第3の区域は、前記3つの区域の中で最大の表面積を有する、項目8に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目11)
前記第2の区域は、前記3つの区域の中で最も狭い、項目8に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目12)
前記第2の区域は、前記上位層を前記下位層に結合する接着剤を含む、項目8に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目13)
前記第1の区域は、第1の弾性を有し、前記第2の区域は、第2の弾性を有し、前記第3の区域は、第3の弾性を有し、前記第3の弾性は、前記第2の弾性および前記第1の弾性の両方を上回る、項目8に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目14)
システムであって、
一対の半架橋体を含む縫合糸持上デバイスであって、前記半架橋体の対はそれぞれ、i)少なくとも1つの小孔を伴う挿入体と、ii)少なくとも部分的に前記挿入体にわたって配置される上位材料層と、前記挿入体の下方に配置される下位材料層であって、前記下位材料層は、下位表面上に配置される接着剤を有する、下位材料層との少なくとも1つの部材とを有し、前記挿入体、前記上位層、および前記下位層は、複数の区域を形成し、前記区域はそれぞれ、前記区域のうちの他のものと異なる弾性と、剛性とを有する、縫合糸持上デバイスと、
前記半架橋体の対を結合する締結要素と
を備える、システム。
(項目15)
前記少なくとも1つの部材は、前記上位層と、前記下位層との両方を含む、項目14に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目16)
前記半架橋体の対は、形状およびサイズが類似し、第1の半架橋体の第1の挿入体が第2の半架橋体の第2の挿入体に最近接するように、創傷の両側に配置され、相互に面するように整合されるように構成される、項目14に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目17)
前記半架橋体の対はそれぞれ、種々の厚さの複数の区域を含む、項目14に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目18)
前記複数の区域は、3つの区域を含む、項目17に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目19)
前記3つの区域は、前記上位層と前記下位層との間に挟持される挿入体を有する第1の区域と、ともに結合される前記上位層および前記下位層のみを有する第2の区域と、前記下位層のみを有する第3の区域とを含む、項目18に記載の縫合糸持上デバイス。
(項目20)
前記締結要素は、縫合糸である、項目19に記載の縫合糸持上デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示される半架橋体の種々の実施形態が、図面を参照して本明細書に開示される。
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、半架橋体の概略断面図である。
【0012】
【0013】
【
図3】
図3は、創傷を閉鎖するために使用されている一対の半架橋体を示す、概略断面図である。
【0014】
【
図4A】
図4A-Fは、種々の縫合パターンを示す、概略図である。
【
図4B】
図4A-Fは、種々の縫合パターンを示す、概略図である。
【
図4C】
図4A-Fは、種々の縫合パターンを示す、概略図である。
【
図4D】
図4A-Fは、種々の縫合パターンを示す、概略図である。
【
図4E】
図4A-Fは、種々の縫合パターンを示す、概略図である。
【
図4F】
図4A-Fは、種々の縫合パターンを示す、概略図である。
【0015】
【
図5】
図5A-Cは、種々の形状の挿入体を有する、半架橋体の代替実施形態である。
【0016】
【
図6】
図6-7は、相互嵌合特徴を有する半架橋体の変形例の概略上面図および側面図である。
【
図7】
図6-7は、相互嵌合特徴を有する半架橋体の変形例の概略上面図および側面図である。
【0017】
【
図8】
図8および9は、さらに別の実施形態による、半架橋体の側面図および上面図を示す、概略図である。
【
図9】
図8および9は、さらに別の実施形態による、半架橋体の側面図および上面図を示す、概略図である。
【0018】
【
図10】
図10は、
図8および9の半架橋体の挿入体の概略上面図および側面図である。
【0019】
【
図11】
図11は、
図8および9の半架橋体の斜視上面図および底面図と、半架橋体の構成要素の第3の斜視分解図とを含む。
【0020】
【
図12】
図12は、創傷を閉鎖するための1つの可能性として考えられる縫合パターンと併用されている一対の半架橋体を示す、概略図である。
【0021】
【
図13A】
図13A-Bは、さらに別の実施形態による、平坦な半架橋体の側面図と、平坦な半架橋体の上面図とを示す、概略図である。
【
図13B】
図13A-Bは、さらに別の実施形態による、平坦な半架橋体の側面図と、平坦な半架橋体の上面図とを示す、概略図である。
【0022】
【0023】
【0024】
【
図15】
図15A-Cは、平坦な半架橋体デバイスのステープルとの併用を示す、概略図である。
【0025】
【0026】
本発明の種々の実施形態が、ここで、添付の図面を参照して説明されるであろう。これらの図面が、本発明のいくつかの実施形態のみを描写し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
創傷閉鎖デバイスに行われている種々の改良にもかかわらず、従来の方法は、上記に議論されるようないくつかの欠点を被る。
【0028】
したがって、創傷の適切かつより迅速な治癒を促進することに役立つために使用される、デバイスおよび方法へのさらなる改良の必要性が、存在する。他の利点の中でもとりわけ、本開示は、これらの必要性のうちの1つ以上のものに対処し得る。
【0029】
図1は、半架橋体100の概略断面図である。半架橋体100は、概して、近位端102と遠位端104との間に延在し、近位端は、創傷に比較的により近接し、遠位端は、創傷から比較的により遠くにある。半架橋体は、2つの材料層の間に挟持される、挿入体105を含んでもよい。示されるように、挿入体は、下位層106と、上位層108とを含む、2つの材料層の間に挟持される。いくつかの変形例では、1つ以上の防水層が、挿入体を含まず、合計2つ、3つ、または4つの層が形成され得るように、上位層または下位層の上方に配置されてもよい。
【0030】
挿入体105は、リジッドな材料から形成されてもよい。いくつかの実施例では、挿入体は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(LDPEおよびHDPE)、ポリメタクリル酸メチル、10ミルまたは20ミルのPETGまたは1ミル程度の少量のPETG等のポリエチレンテレフタレートグリコール(PTG)、ポリジメチルシロキサン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリアミドおよびナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の熱可塑性材料から形成される。好ましくは、熱可塑性材料は、好適な融解温度を有してもよい。挿入体105は、金属等の他の好適な材料から形成されてもよい。
【0031】
示されるように、挿入体105は、下位段110と、傾いた傾斜部112と、上位段114とを含む、階段形状であってもよく、傾いた傾斜部は、2つの段をともに接続する。挿入体105は、およそ5~20mm、好ましくは、約10mmの長さを有してもよい。挿入体105は、選定される材料に応じて、およそ2~6mmである幅と、およそ0.025~2mmの厚さを有してもよい。例えば、20ミルPETGの挿入体は、0.5mmの厚さであってもよく、10ミルPETGの挿入体は、0.25mmの厚さであってもよく、1ミルPETGの挿入体は、0.025mmの厚さであってもよい。少なくともいくつかの実施例では、上位段は、およそ2~5mm持上されてもよい。少なくともいくつかの実施例では、下位および上位段は、同一の長さまたはほぼ同一の長さである。挿入体105は、概して、下位段、傾いた傾斜部、および上位段に沿って、一定の単一の厚さを有してもよい。
図2に最良に示されるように、上位段および下位段110、114はそれぞれ、縫合糸を受容するための個別の小孔120、124を含んでもよい。少なくともいくつかの実施例では、小孔は、示されるように、円形であり、同一のサイズである。代替として、小孔は、楕円形、長方形、三角形等の他の形状から形成されてもよい。小孔120、124は、下記により詳細に説明されるであろうように、半架橋体が、単純なプーリおよび垂直マットレス構成を含む、種々の縫合構成と併用されることを可能にし得る。挿入体が、代わりに、単一のみの小孔、または2つを上回る小孔(例えば、3つ、4つ、5つ、以上の小孔)を含み得ることを理解されたい。
【0032】
挿入体105は、本デバイスの一端上に、本場合では、近位端102に隣接して配置されてもよく、実質的または完全に、下位層および上位層106、108によって被覆されてもよい。下位層および上位層106、108は、典型的には、創被覆体として使用されるもの等、長方形の材料細片から形成されてもよい。いくつかの実施例では、下位層および上位層または細片は、長さがおよそ50mmであり、幅が5~25mmである。いくつかの実施例では、下位層および上位層は、挿入体と同一の幅を有する、または挿入体よりわずかに広い。いくつかの実施例では、下位層および/または上位層は、それらの幅よりも実質的に長い(例えば、それらの幅より2倍、3倍、4倍、5倍、または6倍長い)。本長さ対幅の比は、それにわたって張力を拡散させるための適切な接着表面積を提供し得る。より長い上位材料および/または下位材料はまた、挿入体の上位段が下位材料層に接触するように落下する急斜面効果を低減および/または排除させ得る。
【0033】
上位層および下位層106、108は、同一または類似の材料、サイズ、および/または構成から形成されてもよい。代替として、上位層および下位層は、いくつかの特性を共有してもよい、または異なる材料、サイズ、および/または構成から形成されてもよい。
【0034】
下位層106は、製織材料または不製織材料から形成されてもよい。いくつかの実施例では、下位層は、血液および/または流体の吸収を防止する、好適な不製織材料を含む。好適な材料の一実施例は、STERI-STRIP(登録商標)補強接着性皮膚閉鎖体である。いくつかの実施例では、下位層106は、皮膚と接触するであろう、接着性下位表面を有してもよい。代替として、下位層106の両面が、接着剤を有してもよい。下位層106の材料は、等方性(すなわち、これは、その平面に沿ったいかなる方向においても等しい弾性を有する)であってもよい。代替として、下位層106の材料は、異方性(すなわち、これは、その平面に沿って少なくとも2つの方向において可変の弾性を有する)であってもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、下位層106は、材料がその長手方向軸に沿って伸展しないが、側方向において伸展するような異方性特性をもたらす、長手方向に配向されるポリマーフィラメントまたは繊維ガラス撚線(例えば、
図2のフィラメント130)で補強されてもよい。
図2は、下位層106上に配置される挿入体105を有する半架橋体の一実施例を示し、下位層は、長手方向に配向されるフィラメント130を有する。単純にするために、上位層は、示されていない。
図2に示されるように、フィラメントは、下位層の長さの一部にのみ沿って位置してもよい。したがって、フィラメント130は、下位層の全長、下位層の長さの半分超、下位層の半分、または下位層の長さの半分未満に沿って延在してもよい(例えば、フィラメントは、下位層の長さの100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%またはそれ未満に沿って延在してもよい)。代替として、下位層106は、フィラメントを全く含まなくてもよい。すなわち、下位層は、他の技法の使用を通して、フィラメントの使用を伴わずに等方性であってもよい、または異方性であってもよい。下位層は、一端において等方性であり、別の端部において異方性であってもよい(例えば、これは、挿入体が配置されている近位端においてフィラメントを含み、反対端部上でフィラメントを含まなくてもよい)。ある実施例では、下位層は、皮膚の浸軟の可能性を防止または低減させるように選択されてもよい。
【0036】
上位層108は、製織材料または不製織材料から形成されてもよい。いくつかの実施例では、上位層は、血液および/または流体の吸収を防止する、好適な不製織材料を含む。いくつかの実施例では、上位層108は、挿入体または下位層と接触するであろう、接着性下位表面を有してもよい。上位層108の材料は、等方性(すなわち、これは、その平面に沿ったいかなる方向においても等しい弾性を有する)であってもよい。代替として、上位層108の材料は、異方性(すなわち、これは、その平面に沿って少なくとも1つの方向における伸展を有していない)であってもよい。
【0037】
ある実施例では、上位層108もまた、材料がその長手方向軸に沿って伸展しないが、側方向において伸展するような異方性特性をもたらす、長手方向に配向されるポリマーフィラメントまたは繊維ガラス撚線で補強されてもよい。フィラメント130は、上位層の全長、上位層の長さの半分超、上位層の半分、または上位層の長さの半分未満(例えば、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%またはそれ未満)に沿って延在してもよい。代替として、上位層108は、フィラメントを全く含まなくてもよい。すなわち、上位層は、フィラメントの使用を伴わずに等方性であってもよい、または異方性であってもよい。上位層は、一端において等方性であり、別の端部において異方性であってもよい(例えば、これは、挿入体が配置される近位端においてフィラメントを含み、これを長手方向において非弾性またはあまり弾性ではない状態にし、反対端部上でフィラメントを含まず、これを長手方向においてより弾性にし得る)。
【0038】
上位層および/または下位層に関して適切な弾性(例えば、等方性対異方性)を選定することによって、皮膚と下位材料層との間のインピーダンス不整合が、低下され、水泡形成の可能性を低減させ得る。水泡形成は、皮膚に付与される張力が、皮膚の水平面内に、皮膚の層を相互から分離する(例えば、真皮から表皮を分離する)、剪断力を生成するため、皮膚に付着する非撓曲性材料から結果として生じ得る。いくつかの実施例では、上位層および/または下位層内の所定の場所における下層の皮膚の弾性を模倣し得る、異方性区画の存在が、ある位置における剪断力を緩和させ得る。いくつかの実施例では、上位層および/または下位層内の所定の場所における等方性区画の存在が、ある位置における剪断力を緩和させ得る。加えて、上位層および/または下位層内のフィラメントが、挿入体を安定させ、これを直立状態に保持し、これが倒れることを防止する役割を果たし得る。
【0039】
前述のように、上位層および下位層は、特性の一部または全てを共有してもよい。例えば、2つの層は、同一の材料から形成されてもよい、同一の不製織構築物を有してもよい、同一のタイプの接着剤を含んでもよい、同一の弾性プロファイル、および/または同一の範囲、方向、量、および/またはフィラメント配向を有してもよい。
【0040】
使用時、半架橋体100が、創傷の両側における皮膚表面上に平坦に置かれてもよく、下位材料層は、皮膚表面に接触する。半架橋体100の縁は、創傷の縁に設置されてもよい、または創傷から2~5mm後退されてもよい。好ましくは、下位層の下位表面上の接着剤が、下位層を皮膚に結合する。階段形状の挿入体105は、下位層の上方に配置され、上位層によって被覆される。少なくともいくつかの実施例では、2つの半架橋体100が、使用され、2つの架橋体は、相互に面し、創傷「W」の両側に配置される(
図3)。ある縫合パターンが、半架橋体を用いて創傷の端部を寄せ集めるために、使用されてもよい。種々のパターンの詳細が、下記に説明されるであろう。しかしながら、概して、半架橋体は、2つの半架橋体の上位段が、縫合糸によって寄せ集められると相互と接触するように、まとめられてもよい。代替として、単一のみの対の半架橋体が、使用されてもよい。複数の対の半架橋体(例えば、4つの半架橋体)もまた、いくつかの実施例において使用されてもよい。
【0041】
図4A-Cは、例示的半架橋体を使用して創傷の端部を寄せ集めるために使用されている、種々の縫合パターンP1-P5を図示する。
図4Aでは、遠近近遠プーリ縫合パターンP1が、縫合糸を用いて形成される。本場合では、「遠」は、下位段上の小孔120を通して通過することを指す一方、「近」は、上位段上の小孔124を通して通過することを指し、「遠近近遠」は、縫合糸がこれらの小孔を通して通過するシーケンスを指す。本および他の実施例では、点線が、縫合糸が皮膚および/または半架橋体の下にあり、上視から見られ得ないことを示す。
図4Bでは「遠遠近近」垂直マットレス縫合パターンP2が、示される。
図4Cでは、2つの可能性として考えられる縫合パターンP3、P4が、示され、第1のものは、単純な中断された「近近」縫合パターンP3であり、第2のものは、単純な中断された「遠遠」縫合パターンP4である。最後に、
図4D-Eでは、水平マットレス縫合パターンP5が、示される。
図4Dでは、2つの半架橋体が、創傷の両側に配置され、合計4つの半架橋体に関して、各半架橋体が、これに隣接する別の半架橋体と垂直に整合され、創傷の反対の対向する半架橋体と水平に整合される。創傷の両側において複数の半架橋体を使用することの代わりに、複合半架橋体が、
図4Eに示されるように形成されてもよく、複合半架橋体は、広げられた上位材料層と、下位材料層とを有し、2つ以上の挿入体(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの挿入体)が、層間に挟持され、相互と整合される。随意のフィラメントが、本構成に示され、フィラメントは、上位層、下位層、または両方のうちのいずれかの1つまたは2つの側面に位置する。
【0042】
上記に説明される縫合パターン、または他の好適なもののうちのいずれかを使用して、医師は、最大10または20ニュートンの張力を縫合糸に印加し、創傷の2つの端部をともに寄せ集めてもよい。半架橋体、具体的には、挿入体は、縫合糸を創傷の上方に持上するように作用し得、医師が、半架橋体の使用を伴わずに可能性として考えられるよりも多い力を印加することを可能にし得る。また、説明されるようなリジッドな挿入体を有するデバイスの使用は、張力下で創傷を閉鎖する縫合糸のチーズ切断を防止し得る。例えば、本デバイスを用いずに20ニュートンの力下で閉鎖される創傷は、皮膚を通した縫合糸のチーズ切断を被る可能性が高いであろう。しかしながら、本デバイスおよび技法のうちのいずれかを使用することによって、縫合糸の力は、実質的に挿入体によって支承され、次いで、本デバイスの面積全体に伝達され、本デバイスの比較的に大きい面積が、患者の皮膚への障害または損傷を防止することに役立ち得る。加えて、縫合糸の持上は、患者の皮膚の「針跡」の尤度を低減させ得る。
【0043】
いくつかの実施例では、挿入体の形状は、異なってもよい。例えば、
図5Aは、近位端502と、遠位端504と、段と、挿入体を挟持する上位材料層および下位材料層506、508とを有する、楔形状の挿入体505aとを有する、半架橋体構造物500aを示す。
図5Bは、近位端502と、遠位端504と、傾斜形状の挿入体505bと、挿入体を挟持する上位材料層および下位材料層506、508とを有する、半架橋体構造物500bを示す。
図1-6の挿入体のうちのいずれかが、縫合糸を創傷表面の上方に持上するために使用されてもよい。
【0044】
図5Cは、連続的な半架橋体の代わりに2つの別個の段が形成される、別の実施例を示す。具体的には、架橋体500cは、第1の段150aと、第2の段150bとを含み、第1の段の高さは、第2の段の高さを上回る。代替として、第1および第2の段150a、150bは、同一の高さであってもよい。各段は、上記に説明されるように、小孔を含んでもよい。2つの段は、相互に直接接続されていないが、両方とも、上位材料層および下位材料層によって挟持される。少なくともいくつかの実施例では、上位材料層および/または下位材料層は、段のそれぞれに隣接して配置される、フィラメント130a、130bのセットを含むが、2つの段の間の間隔は、そのような材料を含まない。本実施形態の使用時における一実施例が、架橋体500cがプーリ縫合配列P6において使用されている、
図4Fに示されている。
【0045】
加えて、挿入体の最上位段は、2つの構成要素が一体化するとき、2つの対向する半架橋体605a、605bが、2つの半架橋体の突出部および谷部とともに噛合し、相互と相互係止し得るように、一連の離間された突出部606と、くぼみ607とを含む、相互嵌合部を有してもよい(
図6)。
図7は、半架橋体705a、705bが、相互と噛合し、完全な架橋体を形成するように配列される高低歯構成を含む、相互嵌合部の別の実施例を図示する。
【0046】
半架橋体を製造するために、上記に説明されるもの等のリジッドまたは実質的にリジッドな挿入体(例えば、熱可塑性挿入体)が、大型シートにおける上位層と下位層との間に挟持されてもよい。構成要素が、適切なサイズにダイカットされてもよく、孔が、挿入体内に形成され、小孔を生成してもよい。アセンブリが、プレス機が、挿入体の融解温度を超過しているが、上位層および下位層の安全温度を下回る温度を有する、加熱プレス機内に設置されてもよい。加熱プレス機はまた、挿入体内に段を生成するための持上部分を含んでもよい。挿入体内に段を形成することに加えて、加熱プレス機はまた、本デバイスの側面を上向きに丸め、下位縁を患者の皮膚から離れるように方向転換させることによって、半架橋体の底部における鋭的縁の存在を低減させ得る。適切な加熱の後、アセンブリは、除去され、冷却されてもよい。完成されたデバイスは、次いで、上記に説明されるように創傷を閉鎖するために使用され得る。代替として、挿入体は、(射出成型、3D印刷、または他の技法を介して)別個に形成され、後に、上位層および下位層に結合されてもよい。
【0047】
本明細書に説明される縫合糸固着デバイス、システム、および方法は、他の目的の中でもとりわけ、縫合糸を固着させ、縫合糸が炎症を起こした、感染した、肉の中に食い込んだ、および/または再開放した状態になり得る尤度を低減または排除し、縫合糸が定位置に留まり得る時間長を増大させるために使用され得る。加えて、本明細書に開示されるデバイスは、医師が、縫合糸を結ぶとき、近傍の組織を損傷させることなく強い力を印加することを可能にすることが可能であり得、いくつかの場合には、比較的に大きい創傷を閉鎖するために皮膚移植の使用を回避するために使用され得る。
【0048】
図8は、さらに別の実施形態による、半架橋体800の概略断面図である。半架橋体800は、概して、近位端802と遠位端804との間に延在し、近位端は、創傷に比較的により近接し、遠位端は、創傷から比較的により離れている。半架橋体は、2つの材料層間に挟持される、挿入体805を含んでもよい。具体的には、2つの材料層は、下位層806と、上位層808とを含む。下位層および上位層806、808は、それらが接触している場所において、接着剤を介してともに結合されてもよい。加えて、挿入体805は、接着剤または他の好適な手段を介して、下位層806の上部および/または上位層808の底部に結合されてもよい。
【0049】
挿入体805は、挿入体105を参照して上記に議論される、種々の熱可塑性物質および/または金属等の材料のうちのいずれかから形成されてもよく、下位層および上位層806、808は、下位層および上位層106、808と同一の材料から形成されてもよい。示されるように、挿入体805は、階段形状であってもよく、
図1の構成と同様に、下位段と、傾いた傾斜部と、上位段とを含む。
図9に最良に示されるように、上位段および下位段はそれぞれ、縫合糸を受容するための個別の小孔820、824を含んでもよい。少なくともいくつかの実施例では、小孔は、示されるように、円形であり、同一のサイズである、または前述に説明される構成のうちのいずれかにあってもよい。
【0050】
半架橋体800は、3つの区域z1、z2、z3に分割されてもよい。第1の区域z1は、下位層および上位層806、808の間に挟持される、挿入体805を含んでもよい。第2の区域z2は、挿入体805を伴わず、下位層および上位層806、808のみを含んでもよい。第3の区域z3は、下位層806等の単一の材料のみを含んでもよい。3つの区域z1-z3は、創傷縁から遠くなるほどより剛性ではない状態になる、示差的剛性区域(例えば、近位端802において最大剛性、および遠位端804において最小剛性)を形成してもよい。第1の区域z1は、主に、本質的に非弾性の挿入体805の存在に起因する、最大剛性を提供する。第2の区域z2は、任意の好適な様式において接着剤と融合される、またはともに結合され得る、その不製織材料の二重層(例えば、下位層806および上位層808)を伴ってあまり剛性ではなくあり得る。第3の区域z3は、不製織材料の単分子層(例えば、下位層806のみまたは上位層808のみ)を伴って最も剛性ではなくあり得、最も確実な接着区域としての役割を果たし得る。
【0051】
いかなる特定の理論にも拘束されるわけではないが、創傷の近傍では(すなわち、第1の区域z1により近接して)、より多くの流体に暴露されるであろうことが、考えられる。創被覆の全ては、創被覆の縁のある距離に伴って接着性を喪失する傾向を有する。例えば、10mmの創被覆は、湿気等に起因する、縁の接着性の1~2mmの喪失を有し得る。したがって、数日後、10mm幅の細片が、実際には、その後のさらなる劣化を伴って、6~8mmのみの有用な接着性を有し得る。したがって、より広く、より長い第3の区域z3を有することが、接着性を喪失することに先立ってはるかにより多くの幅を提供し得、また、より多くの断面表面積を通して剪断を低減させる傾向にあるであろう。
【0052】
いくつかの実施例では、挿入体805は、前述に議論されるように、段を含むように屈曲される、平坦な部片として形成されてもよい。少なくともいくつかの実施例では、段は、20~60度の角度θを形成する。少なくともいくつかの実施例では、角度θは、30~50度である。少なくともいくつかの実施例では、角度θは、
図10に示されるように、40度に等しい、またはおよそ40度である。
【0053】
斜視図に示されるように、下位層および上位層806、808、および挿入体805は、それに隣接する他の構成要素に合致する、形状と、サイズとを有してもよい。例えば、下位層および上位層806、808は両方とも、第1の区域z1における挿入体805に合致する、略長方形の階段状形状を有してもよい。下位層および上位層806、808は両方とも、第2の区域z2において狭められた縮径部有してもよく、下位層806は、第3の区域z3においてより広く、より長い長方形形状を有してもよい。
【0054】
少なくともいくつかの実施例では、半架橋体は、およそ2~3mmまたは約2.3~2.4mmの全長を有する。第3の区域z3は、半架橋体の全長の40%~50%である、長さを有してもよい。第1の区画および第2の区域z1、z2は、長さがほぼ等しくてもよい、または第1の区域z1が、第2の区域z2よりわずかに長くてもよい。第3の区域z3は、3つの区域の中で最も広くてもよく、0.5~0.6mmの幅を有してもよい。第2の区域z2は、最も狭くてもよく、0.3~0.35mmの幅を有してもよい。第1の区域z1は、第2の区域z2より広く、第3の区域z3より狭くてもよく、0.4~0.5mmの幅を有してもよい。表面積は、第3の区域z3において最大であり、第2の区域z2において最小であってもよい。挿入体805は、0.010mm~0.030mm、具体的には、約0.020mmの厚さを有してもよい。
【0055】
少なくともいくつかの実施例では、2つの半架橋体800が、使用され、2つの架橋体は、相互に面し、創傷「W」の両側に配置される(
図12)。ある縫合パターンが、他の実施形態を参照して上記に説明される縫合技法およびパターンのうちのいずれかを使用して、半架橋体を用いて創傷の端部を寄せ集めるために、使用されてもよい。しかしながら、概して、半架橋体は、縫合糸によって寄せ集められるとき、2つの半架橋体の上位段が、相互に接近する、または相互と接触するように、まとめられてもよい。
【0056】
半架橋体は、上位段と、下位段と、接続傾斜部とを含む、挿入体を有するものとして開示されているが、他の変形例も、可能性として考えられる。例えば、前述で説明されるような傾斜角を有することの代わりに、挿入体は、完全に平坦であってもよい。例えば、半架橋体900は、端部902、904間に延在し、下位層906および上位層908によって被覆される、平面状挿入体905を含む(
図13A-B)。本デバイスを製造するステップにおいて、上位材料層および下位材料層が、挿入体を挟持し、
図13A-Bの平坦な構成に類似する構成を形成し得ることを理解されたい。「下位層/挿入体/上位層」の平坦な挟持体は、高温(例えば、200度F)における熱成形の前に、集合的にダイカットされ、傾斜角および任意の数の段を形成してもよい。平坦な構成が、ある用途において使用され得ること、および他の用途も、10、20、30、40、50、または60度の角度を提供するために熱成形を要求し得ることを理解されたい。したがって、傾斜角は、具体的な用途のために所望に応じて形成され得る。
【0057】
傾斜がなくても、半架橋体900の平坦な構成は、挿入体905を介して縫合糸または他の締結要素を持上し、上記に説明される利点のうちの1つ以上のものを達成し得る。少なくともいくつかの実施例では、下位層906は、接着剤裏地を伴う不製織ポリエステルから形成され、挿入体905は、PETGから形成され、上位層908は、ポリエチレンから形成される。少なくともいくつかの実施例では、下位層906はまた、部分的にまたは完全に、3M製Microfoamテープ(登録商標)等の可変厚を有する、弾性テープを含んでもよく、テープは、可変厚に起因する、可変の弾性を有することが可能である。不製織ポリエステルの下位層906は、一端において、その上部表面に接着される、PETG挿入体を有してもよく、挿入体は、1つ以上の(例えば、2つの)小孔を有する。材料層形成に起因して、3つの区域z1、z2、z3を有する階段状構成が、形成され、第1の区域z1は、3つの層全てを有し、第2の区域z2は、2つの層を有し、第3の区域z3は、下位層のみを有する。
【0058】
図13Bに示されるように、第3の区域z3は、伸展可能かつ吸収性の接着材料の単層のみを伴う、デバイス900の最も広い部分であってもよい。下位層の材料は、力下において大量の歪みを被り得、そのため、弾性材料が、接着創被覆の共通の問題である、後端におけるより少ない剪断力を可能にするために使用されてもよい。第2の区域z2は、2つの層の狭められた中央部分であってもよい。下位層に加えて、第2の区域も、ポリエチレン上位層908を有し、血液および流体が創被覆の中に吸収されないように耐え得る。ポリエチレン層はまた、中心区域を狭めるための強度および補強も提供し得る。第1の区域z1は、挿入体905の存在に起因して、最も強力であり、よりリジッドであり得る。挿入体905は、高張力(例えば、最大20Nまたは30Nの力)下での引裂に耐え得、また、縫合糸材料を皮膚の上方に持上し得る。
【0059】
第1の区画および第2の区域z1、z2は、血液が本デバイスから拭取され、剪断力が、下位剛性材料の単層によって低減される、第3の区域z3への堅固な接続を提供することを可能にしてもよい。したがって、異なる領域が、創傷により近接する第1の区域z1から創傷から最も遠い第3の区域に向かって増大する弾性を伴って、形成されてもよい。すなわち、第1の区域z1は、最低の弾性を有してもよく、第2の区域z2は、中間の弾性を有してもよく、第3の区域z3は、最大の弾性を有してもよい。逆に、第1の区域z1は、最大の剛性を有してもよく、第2の区域z2は、第1の区域z1の剛性未満である、中間の剛性を有してもよく、第3の区域z3は、他の2つの区域と比較して最低の剛性を有してもよい。デバイス900はまた、創傷により近接するにつれて、持上を提供するための高さが増大する。
【0060】
いかなる特定の理論にも拘束されるわけではないが、縫合が、創傷を寄せ集めるための張力を印加するだけではなく、リジッドな挿入体上に下向きの力を印加するようにも作用することが、考えられる。本下向きの力は、下位層の接着剤と皮膚の一貫した接触を保持するために役立つ。加えて、平面状のリジッドな挿入体は、本圧力を皮膚上に均一に分散させ得、下向きの力は、浸軟の尤度を低減させ得る。
【0061】
図13C-Eは、
図13A-Bの平坦な半架橋体のいくつかの変形例を示す、概略上面図および側面図である。
図13Cでは、
図13A-Bのものに類似するが、第2の区域z2内の調整または狭められた縮径部を除外する、半架橋体デバイス900Cが、形成される。代わりに、下位層および上位層は、示されるように第1の区画および第2の区域z1、z2内に存在する連続的な幅を提示する一方、第3の区域z3は、両方よりも広い。
【0062】
図13Dでは、半架橋体900Dは、第2の区域z2内に形成される、狭められた縮径部を含むが、上位層908Cは、部分的に、2つの材料層を有する第2の区域z2が、
図13A-Bの実施形態よりわずかに長くなるように、示されるように、下位層906のより広い部分にわたって延在する。本実施例では、上位層908Cは、挿入体に隣接する第1の幅と、調整された縮径部における第2の幅と、下位層のより広い領域における第3の幅とを含む、3つの幅を有してもよい。
図13Cおよび13Dの実施形態が、上位層のみが、挿入体に隣接する一定の第1の幅と、第2の区域z2の大部分と、下位層のより広い領域を覆う第2の幅とを含むように、組み合わせられ得ることを理解されたい。
【0063】
図13Eは、半架橋体900Eのさらに別の実施形態を図示し、半架橋体は、上記に説明されるように、下位層906と、挿入体905と、上位層908とを有する。半架橋体900Eはさらに、防水性の材料から形成される、被覆層912と、上位層908上に配置され、部分的にまたは完全にそれにわたって延在している、被覆層912とを含む。被覆層912は、上位層908と同一の長さであってもよく、第1の区域z1内に配置されてもよく、第2の区域z2の中に延在し、第2の区域z2に付加的な剛性を提供してもよい。
【0064】
使用時、2つの半架橋体デバイス900が、創傷の両側における皮膚表面上に平坦に置かれてもよく、本デバイスの下位層は、皮膚表面に接触し、接着されている(
図14A)。半架橋体900の縁は、創傷W14の縁に設置されてもよい、または創傷W14から2~5mm後退されてもよい。縫合糸S14が、
図14Aに示されるように、第1の半架橋体の第1の小孔に進入し、皮膚を穿刺し、下層の組織を通して創傷を横断し、第2の半架橋体の第1の小孔から退出してもよい。縫合糸S14は、創傷の縁部を寄せ集めるために使用されてもよく、結び目が、結ばれてもよい(
図14B)。概して、半架橋体デバイスは、示されるように、創傷の中側の近傍に配置されるが、異なる構成も、可能性として考えられる。創傷の中心が、寄せ集められた状態で(
図14B)、付加的な縫合糸S14’が、創傷の縁を寄せ集め、創傷を完全に閉鎖するために使用されてもよい(
図14C)。
【0065】
半架橋体デバイスを使用する他の方法も、可能性として考えられることを理解されたい。例えば、
図15A-Cに示されるように、外科手術用ステープルS15またはクリップが、縫合糸の代わりに使用され、創傷W15を閉鎖してもよく、挿入体の小孔のうちのいずれかを通して延在してもよい。加えて、種々の種類の締結要素(例えば、縫合糸、クリップ、ステープル等)の組み合わせが、使用されてもよく、本デバイスの小孔が、任意または全ての種類の締結要素を受入するように構成されてもよい。
【0066】
別の実施例(
図16A-B)では、半架橋体デバイスが、より大きい創傷W16を閉鎖するために使用されてもよい。本実施例では、創傷W16は、下層の組織を穿刺および横断することが、困難または不可能であるほど、下層の組織を欠損している場合がある。そのような場合には、懸吊された縫合糸S16が、下層の組織を横断することなく組織を寄せ集めるために使用され得る。一実施例では、皮膚は、本デバイスの区域z1の下方において欠損され得るが、区域z2およびz3内では存在し得る。そのような状況では、縫合糸は、第1の区域z1に隣接する皮膚を穿刺し得ないが、半架橋体デバイスは、区域z2およびz3のみを介して皮膚を固着させたままにし得る。
【0067】
本明細書における発明は、特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態が、本発明の原理および用途の例証にすぎないことを理解されたい。したがって、多数の修正が、例証的実施形態に成され得、他の配列も、添付の請求項によって定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、考案され得ることを理解されたい。
【0068】
種々の従属請求項およびその中に記載される特徴が、初期の請求項内に提示されるものと異なる方法において組み合わせられ得ることを理解されたい。また、個々の実施例に関連して説明される特徴が、説明される実施形態の他のものと共有され得ることも理解されたい。