(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】延性プレハブせん断壁
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20240125BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20240125BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E04H9/02 321C
E04B2/56 643A
F16F7/00 Z
(21)【出願番号】P 2021564872
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020029120
(87)【国際公開番号】W WO2020223062
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラビス アール. アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】カレブ ジェイ. クヌードソン
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0084056(US,A1)
【文献】特開平10-046706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0144008(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0041551(US,A1)
【文献】特開2001-173121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00-9/16
E04B 2/56-2/70
F16F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に使用するためのせん断壁であって、
第1および第2の表面を備える中央パネルと、
前記第1および第2の表面の下隅で前記中央パネルに連結されるように構成されている複数のサイドプレートであって、前記せん断壁が取り付けられた支持面に結合されるようにさらに構成されている前記複数のサイドプレートと、
を備え、
前記中央パネルはヒューズを備えており、
前記ヒューズは、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記中央パネルの減少面積セクションであり、
前記せん断壁は、前記ヒューズで降伏するように構成されており、
前記サイドプレートは、
前記中央パネルの前記第1および第2の表面に形成された第1の凹部内に嵌合している第1プレートと、
前記中央パネルの前記第1および第2の表面に形成された第2の凹部内に嵌合している第2プレートと、を含
んでおり、
前記第2プレートは、前記第1プレートに溶接されている、または構造的に結合されている、せん断壁。
【請求項2】
前記中央パネルは、天然木材およびエンジニアードウッドのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項1に記載のせん断壁。
【請求項3】
前記中央パネルが、集成材、交差積層木材、積層ベニヤ材、積層ストランド材、およびパラレルストランド材のうちの少なくとも1つから形成されている、請求項1または2に記載のせん断壁。
【請求項4】
前記サイドプレートが鋼で形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載のせん断壁。
【請求項5】
前記第1および第2の表面の前記第2の凹部は、前記第1の凹部よりも深い、請求項
1に記載のせん断壁。
【請求項6】
前記第1および第2の表面の前記第2の凹部は、前記ヒューズを画定している、請求項
5に記載のせん断壁。
【請求項7】
前記第2プレートは、前記ヒューズにおける前記中央パネルの座屈を抑制するように構成されている、請求項
6に記載のせん断壁。
【請求項8】
建築物に使用するためのせん断壁であって、
第1および第2の表面を備える中央パネルと、
前記第1および第2の表面の下隅で前記中央パネルに連結されるように構成されている複数のサイドプレートであって、前記せん断壁が取り付けられた支持面に結合されるようにさらに構成されている前記複数のサイドプレートと、
を備え、
前記中央パネルはヒューズを備えており、
前記ヒューズは、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記中央パネルの減少面積セクションであり、
前記せん断壁は、前記ヒューズで降伏するように構成されており、
前記サイドプレートは、前記ヒューズに対応する前記中央パネルの前記減少面積セクション内に嵌合するように構成された拘束プレートを含む、せん断壁。
【請求項9】
前記拘束プレートは、前記ヒューズにおける前記中央パネルの座屈を抑制するように構成されている、請求項
8に記載のせん断壁。
【請求項10】
前記サイドプレートは、アンカーロッドによって前記支持面に結合されており、
前記アンカーロッドは第1の端部で前記支持面内に延在しているとともに、前記第1の端部と反対側の第2の端部で前記サイドプレートに結合されている、請求項1~
9の何れか1項に記載のせん断壁。
【請求項11】
複数の前記サイドプレートは、前記せん断壁内のたるみを除去するために、ナットを締め付けることによって係合される、請求項
10に記載のせん断壁。
【請求項12】
前記アンカーロッドを前記せん断壁に固定するための第1および第2のナットを、前記アンカーロッド上にさらに備えており、
前記複数のサイドプレートは、前記第1および第2のナットのうちの少なくとも1つを締めることによって係合される、請求項
11に記載のせん断壁。
【請求項13】
建築物に使用するためのせん断壁であって、
第1および第2の表面を備える中央パネルと、
前記第1および第2の表面の下隅で前記中央パネルに連結されるように構成されている複数のサイドプレートであって、前記せん断壁が取り付けられた支持面に結合されるようにさらに構成されている前記複数のサイドプレートと、
を備え、
前記中央パネルはヒューズを備えており、
前記ヒューズは、前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記中央パネルの減少面積セクションであり、
前記せん断壁は、前記ヒューズで降伏するように構成されており、
複数の前記サイドプレートの第1および第2のサイドプレートは、前記中央パネルの前記第1および第2の表面の角部で互いに位置合わせされており、
前記第1のサイドプレートは、第1の開口を含んでおり、
前記第2のサイドプレートは、第2の開口を含んでおり、
前記ヒューズは、前記第1および第2の表面の間に延びている第3の開口を含んでおり、
前記第1、第2および第3の開口は、互いに位置合わせされている、せん断壁。
【請求項14】
第1の端部で前記支持面内に延在しているとともに、前記第1の端部の反対側の第2の端部で前記第3の開口内に延在しているアンカーロッドをさらに備える、請求項
13に記載のせん断壁。
【請求項15】
前記第1および第2のサイドプレートの前記第1および第2の開口のエッジに支持されているベアリングワッシャプレートをさらに備え、
前記アンカーロッドは、前記ベアリングワッシャプレートの孔を通って延在しているとともに、ナットによって前記ベアリングワッシャプレートに固定されている、請求項
14に記載のせん断壁。
【請求項16】
前記ナットは、複数の前記サイドプレートに係合するため、および、前記せん断壁内のたるみを除去するために締め付けられている、請求項
15に記載のせん断壁。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
軽量骨組構造物の構造健全性に及ぼす地震活動、高風、洪水および積雪荷重のような自然現象の潜在的に破壊的な影響を打ち消すために、せん断壁が開発された。せん断壁および横構システムに先立って、これらの自然現象の間に発生する横力は、しばしば、壁の頂部を壁の底部に対して横方向に移動させる。この移動は、壁の構造破壊をもたらし、場合によっては、建物の崩壊をもたらし得る。
【0002】
軽量フレーム構造の壁セクション内のせん断壁は、横方向の安定性を提供するとともに、壁セクション内の横方向の力が、壁の上部分と建物の床ダイアフラムまたは基礎との間のせん断壁を通って伝達されることを可能にする。壁または建物に構造的な影響を及ぼすことなく、壁セクション内の横方向の力が散逸される。種々のせん断壁設計が知られているが、強度、剛性、延性およびエネルギー散逸に関連して、より大きな構造性能を提供する改善されたせん断壁に対する一定の要求がある。
【発明の概要】
【0003】
本技術は、横方向せん断力を伝達し、構造上のエネルギーを散逸させるために、軽量または他の構造物に使用するためのせん断壁に関する。実施例では、せん断壁は、木で形成された中央パネルと、鋼で形成されたサイドプレートと、を含む。サイドプレートは、中央パネルの第1及び第2の対向面の下隅に取り付けられていてもよい。各サイドプレートは、サイドプレートを中央パネルに固定するための締結プレートと、第1の面と第2の面との間の中央パネルの減少面積セクション内に収まる拘束プレートと、を含んでいてもよい。減少面積セクションは、せん断壁の降伏の予測可能かつ制御可能な位置を提供する。拘束プレートは、減少面積セクションでの初期降伏後の中央パネルを支えることにより、初期破壊後のせん断壁に延性を付加する。
【0004】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明される概念の選択を、簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、クレームに記載された対象の重要な特徴または本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、クレームに記載された対象の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。クレームに記載された対象は、背景技術で言及される任意のまたはすべての欠点を解決する実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本技術の実施形態によるせん断壁の斜視図である。
【0006】
【
図2】本技術の実施形態に係るせん断壁の正面図である。
【0007】
【
図3】本技術の実施形態によるせん断壁の後面図である。
【0008】
【
図4】本技術の実施形態によるせん断壁の側面図である。
【0009】
【
図5】サイドプレートアセンブリを中央パネルから分離した、本技術の実施形態によるせん断壁の分解斜視図である。
【0010】
【
図6】本技術の実施形態による中央パネルの下隅の拡大斜視図である。
【0011】
【
図7】本技術の実施形態による中央パネルの下隅の更なる拡大斜視図である。
【0012】
【
図8】本技術の実施形態による第1のサイドプレートアセンブリの正面図である。
【0013】
【
図9】本技術の実施形態による第1のサイドプレートアセンブリの背面図である。
【0014】
【
図10】本技術の実施形態による第1のサイドプレートアセンブリの側面図である。
【0015】
【
図11】本技術の実施形態に係る締結プレートに固定されている拘束プレートを示す、第1のサイドプレートアセンブリの分解斜視図である。
【0016】
【
図12】本技術の実施形態による第1の拘束プレートの正面図である。
【0017】
【
図13】本技術の実施形態による第2のサイドプレートアセンブリの正面図である。
【0018】
【
図14】本技術の実施形態による第2のサイドプレートアセンブリの背面図である。
【0019】
【
図15】本技術の実施形態による第2のサイドプレートアセンブリの側面図である。
【0020】
【
図16】本技術の実施形態による締結プレートに固定されている拘束プレートを示す、第2のサイドプレートアセンブリの分解斜視図である。
【0021】
【
図17】本技術の実施形態による第2の拘束プレートの正面図である。
【0022】
【
図18】本技術の実施形態による構造用ヒューズを含む、せん断壁の下隅を示す斜視図である。
【0023】
【
図19】本技術の実施形態による構造用ヒューズを含む、せん断壁の下隅を示す側面図である。
【0024】
【
図20】せん断壁100の角部を基礎に固定するためのアンカーボルトおよびベアリングワッシャープレートを示す、分解斜視図である。
【0025】
【
図21】本技術の実施形態によるベアリングワッシャープレートの正面図である。
【0026】
【
図22】せん断壁100のコーナを基礎に固定するアンカーボルトおよびベアリングワッシャープレートの正面図である。
【0027】
【
図23】本技術の実施形態による、せん断壁の底部に取り付けられた底部プレートの斜視図である。
【0028】
【
図24】本技術の実施形態によるせん断壁の底部に取り付けられた底部プレートの正面図である。
【0029】
【
図25】本技術の実施形態によるせん断壁の底部に取り付けられた底部プレートの上面図である。
【0030】
【
図26】閾値レベルを超える圧縮荷重または引張荷重下で座屈または破断しているせん断壁の底部コーナの側面図である。
【0031】
【
図27】せん断壁の凹面上に拘束プレートが設けられたせん断壁の底部コーナの側面図である。
【0032】
【
図28】本技術の実施形態による、せん断壁の上部を上部支持面に固定するためのトッププレートの分解斜視図である。
【
図29】本技術の実施形態による、せん断壁の上部を上部支持面に固定するためのトッププレートの正面図である。
【
図30】本技術の実施形態による、せん断壁の上部を上部支持面に固定するためのトッププレートの側面図である。
【0033】
【
図31】本技術の代替的な実施形態によるせん断壁の正面斜視図である。
【
図32】本技術の代替的な実施形態によるせん断壁の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
大まかに説明すると、本技術は、軽量フレームまたは他の構造内で横方向の力を伝達し、エネルギーを散逸させるための高度の剛性、強度、および延性を有するせん断壁に関する。せん断壁は、中央パネルと、中央パネルの前面および後面の下隅のサイドプレートと、を含む。サイドプレートは、釘、スクリュー、および/または構造的結合によって中央パネルに固定することができる。サイドプレートは、構造のための基礎または他の支持面に中央パネルを固定するために使用される。特に、一対のアンカーボルトをせん断壁の底面を通して上方に設け、一対のサイドプレートの各々に形成された開口の内部に設けることができる。次いで、アンカーボルトの上にサイドプレートに支持されて、ベアリングプレートワッシャを開口に設けてもよい。次いで、六角ナットを使用して、アンカーボルトをベアリングプレートワッシャに固定してもよい。六角ナットを締め付けることにより、複数のサイドプレートを係合させて、以下に説明するようにせん断壁からたるみを除去してもよい。
【0035】
サイドプレートはそれぞれ、締結プレートと、拘束プレートと、を含んでいてもよい。拘束プレートは、締結プレート上に溶接されるか、構造的に結合されるか、さもなければ締結プレート上に形成される。サイドプレートは、中央パネルの前面及び後面の下隅で、中央パネルに形成された凹部セクションに取り付けることができる。各凹部セクションは、締結プレートを受け入れるための第1の凹部と、拘束プレートを受け入れるためのより深い第2の凹部と、を含んでいてもよい。中央パネルの前面及び後面に形成されたより深い凹部は、一緒になって、中央パネルのエッジまで延びる、より狭い幅を有する中央パネルのセクションを画定する。中央パネルのエッジにおけるこの狭幅セクションは、以下に説明するように、せん断壁内の構造ヒューズエレメントを規定する。
【0036】
中央パネルおよびサイドプレートは、せん断壁に高い剛性と強度を与え、せん断壁の横方向せん断力を基礎の中に伝達する。せん断壁に伝達される横方向の力が、ヒューズエレメントの圧縮座屈または引張破壊能力を超える内部応力をもたらすと、構造ヒューズは、規定された制御可能な位置で破損することになる。ヒューズ要素におけるこのような座屈または破損の際に、一対の拘束プレートは、ヒューズ要素の位置におけるせん断壁の構造的完全性を維持するように働くとともに、中央パネルのショルダーで受け止めることで、最初の破損後に、せん断壁に高度の延性およびエネルギー散逸を加えるように働く。
【0037】
本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではないことが理解されよう。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完全であり、本発明を当業者に完全に伝えるように提供される。実際、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および本発明の精神内に含まれる、これらの実施形態の代替物、変形物、および均等物を包含することが意図される。さらに、本発明の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本発明がそのような特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0038】
本明細書で使用する「上部(top)」および「下部(bottom)」、「上側(upper)」および「下側(lower)」、ならびに「垂直(vertical)」および「水平(horizontal)」という用語は、一例および実例の目的のみを意味し、参照される項目が位置および方向で交換され得るので、本発明の説明を限定することを意味するものではない。また、本明細書で使用する場合、「実質的に」および/または「約」という用語は、指定された寸法またはパラメータが、特定のアプリケーションについて許容される製造公差内で変更され得ることを意味する。一実施形態では、許容可能な製造公差は、規定寸法の±2.5%である。
【0039】
図1~
図4に、本技術の実施形態によるせん断壁100の斜視図、前面図、後面図、および側面図をそれぞれ示す。せん断壁100は、中央パネル102と、4つのサイドプレートアセンブリ104、106、108および110と、ボトムプレート112と、を含む。中央パネル102は、例えば、天然木材及び/又はエンジニアードウッドのような、高い強度及び剛性を有する材料で形成されてもよい。パネル102に使用することができるエンジニアードウッドの例には、交差積層木材、積層ベニヤ木材、積層ストランド材、およびパラレルストランド材などの集成材または構造用複合材が含まれるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、中央パネル102は、例えば、様々な金属、プラスチック、複合材料、および/またはポリマーを含む他の材料で形成されてもよい。
【0040】
中央パネル102は、一般に、第1の(または前面の)前面表面116と、前面116に対向する第2の(または後面の)平面表面118と、を含む平坦な部材であってもよい。エッジ120、122は、前面116と後面118との間で、せん断壁100の長さだけ延びていてもよい。中央パネル102は、ボトムエッジ124及びトップエッジ126を更に含んでいてもよい。中央パネル102の長さ、幅および厚さは、それが使用される構造に応じて変化してもよい。一実施形態では、中央パネル102は、長さ93インチ、幅24インチおよび厚さ3-7/16インチであってもよい。これらの寸法は、互いに対して比例的に又は不均衡に変化してもよい。
【0041】
例えば、
図1及び
図2に示すように、中央パネル102は、ワイヤ、ケーブル等を受け入れるための溝128と、電気的又は構造的な部品やボックス等を受け入れるための開口130と、を含むことができる。溝128は、前面表面116に示されているが、さらなる実施形態では、溝128は、追加的または代替的に、後面表面118に設けられてもよい。さらに、溝128および開口130の位置決めは、単なる例として示されており、さらなる実施形態では、中央パネル102内の他の位置にあってもよい。
【0042】
図5は、サイドプレートアセンブリ104、106、108、110が、中央パネル102の前面表面116および後面表面118に形成されたそれぞれの凹部セクション134、136、138、140内に収まることを示す、せん断壁100の分解斜視図である。凹部セクション134、136、138、140は、せん断壁100の底部付近で、エッジ120および122に隣接して、前面表面116および後面表面118の両端に、ルーティング(routing)によって形成されてもよい。凹部セクション134および136は、エッジ120に隣接する前面表面116および後面表面118において、互いに整列されてもよい。凹部セクション138および140は、エッジ122に隣接する前面表面116および後面表面118において、互いに整列されてもよい。
【0043】
図6に、前面表面116および後面表面118の下部コーナにおける、凹部セクション138および140のさらなる詳細を示す。凹部セクション138は、表面116への第1の深さに形成された第1の凹部138aと、表面116へのより深い第2の深さに形成された第2の凹部138bと、を含む。実施形態では、第1の凹部138aは、概して長方形であり、エッジ122まで延在しており、7-1/4インチの幅を有していてもよい。第1の凹部138aは、29-1/4インチの長さを有していてもよく、中央パネル102のボトムから1インチで始まっていてもよい。実施形態では、第1の凹部は、1インチの7/32の深さを有していてもよい。凹部セクション140の凹部140aは、同じ位置および寸法を有していてもよい。これらの寸法のそれぞれは、一例として記載されており、さらなる実施形態では、それぞれは、互いに対して比例して、または不均衡に変化してもよいことが理解されよう。
【0044】
図7に、前面表面116の下隅にある第2の凹部138bのさらなる詳細を示す。実施形態では、第2の凹部138bは、概して長方形であり、エッジ122まで延在しており、4-7/8インチの幅を有していてもよい。第2の凹部138bは、7-3/8インチの長さを有していてもよく、中央パネル102の底部から肩部137の高さまで3-1/8インチ離間していてもよい。実施形態では、第2の凹部138bは、第1の凹部138aに対して1/2インチ(または表面116から23/32インチ)の深さを有していてもよい。凹部セクション140の凹部140bは、同じ位置および寸法を有していてもよい。これらの寸法のそれぞれは、一例として記載されており、さらなる実施形態では、それぞれは、互いに対して比例して、または不均衡に変化してもよいことが理解されよう。
【0045】
凹部138bおよび140bは、肩部137を含む第1の高さと、肩部137に隣接する移動止め135を含む下側の第2の高さとによって画定される、ボトムエッジを有していてもよい。戻り止めは、例えば、肩部137よりも1/4~1/2インチ下方に延びていてもよい。凹部セクション140の凹部140bは、同じ肩部および戻り止めを有していてもよい。以下に説明するように、中央パネル102が変形すると、拘束プレート152の一部の下側エッジが肩部137に当接することができ、拘束プレート152を締結プレート150に固定する溶接部が、移動止め135内に嵌合することができる。
【0046】
ここではアンカーボルト開口144と呼ばれる開口が、第2の凹部138bおよび140bの中央部分内に形成されていてもよい。アンカーボルト開口144は、中央パネル102を、すなわち第2の凹部138bから第2の凹部140bまで、完全に貫通して延びていてもよい。実施形態において、アンカーボルト開口144は、一般的に、長さが4-3/8インチ、幅が3-1/8インチの長方形であってもよい。アンカーボルト開口144は、エッジ122から11/16インチ、中央パネル102の底部から4-1/4インチ離間していてもよい。これらの寸法は、一例として記載されており、さらなる実施形態では、互いに比例して、または不均衡に変化してもよい。
【0047】
ここではアンカーボルトボア146と呼ばれるボアが、中央パネル102のボトムエッジ124からアンカーボルト開口144内に上方に延びていてもよい。アンカーボルトボア146は、1.125インチの直径を有してもよいが、この直径は、さらなる実施形態において変化してもよい。
【0048】
図6および
図7は、エッジ122に隣接するパネル102の第1の側部における凹部セクション138、140、アンカーボルト開口144、アンカーボルトボア146の詳細を示す。凹部セクション134および136は、同様に、それぞれ、エッジ120および中央パネル102のボトムエッジ124に対して同様の対応する寸法および位置を有する第1および第2の凹部を含んでいてもよいことが理解されよう。第2のアンカーボルト開口144および第2のアンカーボルトボア146も、
図6および
図7に関して上述したように、エッジ120に隣接して設けられてもよい。
【0049】
サイドプレートアセンブリ104、106、108および110は、中央パネル102の前面表面116および後面表面118に形成されたそれぞれの凹部セクション134、136、138および140内に適合する。
図8~
図11に、前面表面116の凹部138に取り付けられたサイドプレートアセンブリ108の、前面図、背面図、側面図および分解斜視図をそれぞれ示す。サイドプレートアセンブリ108は、
図9~
図11に示すように、締結プレート150と、締結プレート150の後面に取り付けられるかまたは他の方法で形成される拘束プレート152と、を含んでいてもよい。サイドプレートアセンブリは、本明細書では、単にサイドプレートと呼ばれてもよい。締結プレート150は、例えばスクリューおよび/または釘のような締結具158(
図11)を受け入れるための、多数の締結孔156を含んでいる。締結プレート150の孔156内の締結具158を使用して、サイドプレートアセンブリ108が凹部セクション138内の中央パネル102に固定されてもよい。締結孔156のパターン及び数は、異なる実施形態では変えることができるが、一般に、せん断壁100が受ける荷重の下でサイドプレート108が中央パネル102から分離することを防止するのに十分である。プレート104、106、108及び/又は110は、締結具158及び締結孔156以外の方法によって、中央パネル102の前面及び後面に接合することができることが理解されよう。
【0050】
締結プレート150は、一般に、長方形であってもよく、第1の凹部138aの長さおよび幅と同程度の長さおよび幅を有していてもよい。締結プレート150は、長方形以外の形状を有していてもよく、さらなる実施形態では、第1の凹部138aの長さまたは幅よりも小さい長さおよび/または幅を有していてもよい。締結プレート150は、第1の凹部138aの厚さに等しい厚さを有していてもよく、その結果、中央パネル102に一旦固定されると、サイドプレートアセンブリ108は、前面表面116と同一平面とされてもよい。さらなる実施形態では、締結プレート150は、第1の凹部138aよりも薄くても厚くてもよい。さらなる実施形態は、プレート150を固定するための凹部を有していなくてもよい。締結プレート150は、例えば10ゲージ鋼のような金属で形成されていてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、拘束プレート152は、溶接または接着などによって、締結プレート150の背面に取り付けられていてもよい。さらなる実施形態では、拘束プレート152は、例えば、サイドプレートアセンブリ108がモールドから鋳造される場合のように、締結プレート150と一体的に形成されていてもよい。拘束プレート152は、締結プレート150が凹部138a内に固定されるとき、拘束プレート152が第2のより深い凹部138b内に嵌合するように、固定プレート150の背面上に配置される。実施形態では、拘束プレート152の長さおよび幅は、第2の凹部138bの長さおよび幅よりも小さく、拘束プレート152の厚さは、第2の凹部138bの深さよりも小さい。これにより、第2の凹部138bに位置する場合には、拘束プレート152は、第2の凹部138bの側部または底部に接触しない。一実施形態では、拘束プレート152は、6-1/2インチの長さ、4-1/2インチの幅、および1/2インチの深さを有していてもよい。これらの寸法は、さらなる実施形態において変化してもよい。拘束プレート152が締結プレート150上に溶接される場合、溶接部161は、例えば
図9に示されるように、エッジ122から離間して配置されてもよい。中央パネル102が以下に説明されるように変形するとき、溶接部161は移動止め135(
図7)内に嵌りこんでもよく、拘束プレート152のエッジと第2の凹部138b内の中央パネル102の肩部137との間の良好な接触(平行な表面)を可能にすることができる。
【0052】
上述のように、サイドプレートアセンブリ108は、締結プレート150を貫通するとともに拘束プレート152を貫通する開口を含んでいてもよい。例えば
図12に見られるように、開口160は、1つの角に面取り部162を有する略矩形であってもよい。実施形態では、開口160は、4インチの長さおよび3 1/8インチの幅を有していてもよい。実施形態では、面取り部162は、一辺の長さが3-1/4インチであるように、開口160の一辺の長さを3/4インチ短くしてもよいし、一辺の幅が2-5/8インチであるように、開口160の一辺の幅を1/2インチ短くしてもよい。開口160および面取り部162のサイズは、さらなる実施形態において変化してもよい。面取り部162は、以下に説明するように、ベアリングプレートワッシャを支持するための、開口160の内側の下面164を画定する。
【0053】
図8~
図12は、前面表面116の一方の側(すなわち、
図2の正面図の右側)に設けられたサイドプレートアセンブリ108の一例を示す。サイドプレートアセンブリ106は、後面表面118の対向する側(すなわち、
図3の背面図の右側)において、サイドプレートアセンブリ108と同一であってもよい。サイドプレートアセンブリ104および110は、サイドプレートアセンブリ108および106の鏡像であってもよい。
図13~
図17は、前面表面116の他方の側面(すなわち、
図2の正面図の左側)に設けられたサイドプレートアセンブリ104の一例を示す。サイドプレートアセンブリ110は、後面表面118の側面(すなわち、
図3の背面図の左側)において、サイドプレートアセンブリ104と同一であってもよい。
【0054】
図18および
図19は、それぞれ、中央パネル102の対向面116、118に取り付けられた一対のサイドプレートアセンブリ(例えば、アセンブリ108および110)の斜視図および側面図である。図示のように、締結プレート150は、第1の凹部138a内で中央パネル102に接触している。拘束プレート152は、中央パネル102との接触から離間して、第2の凹部138b内に収まっている。
図18はまた、ベアリングプレートワッシャ168を示している。ベアリングプレートワッシャ168は、サイドプレートアセンブリ108および110の開口160を通って延びているとともに、中央パネル102のアンカーボルト開口144を通って延びている。
【0055】
図20は、ベアリングプレートワッシャ168がアンカーボルト170と協働してせん断壁100を基礎175に固定する方法の、さらなる詳細を示す分解斜視図である。上述したように、(中央パネル102の両側の)ベアリングプレートワッシャ168は、一対のサイドプレートアセンブリの開口160を貫通して延在するとともに、中央パネル102のアンカーボルト開口144を貫通して延在する。ベアリングプレートワッシャ168は、対応する一対の開口160の底面164上に置かれている。ベアリングプレートワッシャ168は鋼で形成されており、
図21に示すように、長さ、幅、および厚さがそれぞれ3-1/2インチ、2-1/2インチ、1インチの長方形であってもよい。これらの寸法の各々は、さらなる実施形態において変化してもよい。ベアリングプレートワッシャ168の各々は、1.125インチの直径を有するアンカーボルトボアをさらに含んでいてもよいが、このボアは、さらなる実施形態におけるボアよりも大きくても小さくてもよい。
【0056】
アンカーボルト170は、中央パネル102の底面にある2つのアンカーボルトボア146の各々を貫通して嵌め込まれる。アンカーボルト170は、アンカーボルト開口144内に上方に延びており、ベアリングプレートワッシャ168を貫通している。アンカーボルト170は、例えば
図22の斜視図に示すように、一対のナット172によってベアリングプレートワッシャ168に固定されてもよい。
【0057】
アンカーボルト170は、せん断壁100のボトムエッジを越えて下方に延び、そこで、コンクリート基礎または他の支持面に固定されてもよい。アンカーボルト開口144内にアンカーボルトの高さを固定するために、アンカーボルト170上に一対の第2のナット174(
図22)を設けてもよい。本技術の特徴は、せん断壁100内のたるみを除去するために、一般的には、複数のサイドプレートおよびせん断壁を、アンカーボルト開口144内でナット172を締め付けて係合させることができることである。特に、ナット172を締め付けることによって、ベアリングプレートワッシャ168は、サイドプレートアセンブリ104、106および108、110のそれぞれのペアを引き下げる。それにより次は、アンカーボルト170上のナット174の第2のセットに対して、中央パネル102を引っ張る。ナット172をそのように締め付けないと、種々の位置で、また種々の製造公差のために、せん断壁100にたるみが存在することがある。例えば、締結孔156内の締結具158のたるみ(すなわち、ゆるい嵌合又は不整合)が存在することがある。ナット172を締め付けることにより、このようなたるみはすべて取り除かれ、複数のサイドプレートとせん断壁とが係合する。
【0058】
ナット172を締め付け、せん断壁100内のたるみを除去することは、せん断壁の初期剛性を高め、せん断壁が所与の横方向変位閾値で伝達し得る横方向の力の大きさを増加させることが分かっている。本技術の実施形態は、手できつく締めた状態にプラス1/2回転として定義されるレベルまで、ナット172を締め付けることを必要としてもよい。この締め付けのレベルは、さらなる実施形態において変化してもよい。
【0059】
図1に関して注目されるように、ボトムプレート112は、中央パネル102のボトムエッジ124上に設けられていてもよい。ボトムプレート112の更なる詳細は、
図23の分解斜視図、
図24の側面図、
図25の上面図に示されている。ボトムプレート112は、例えば、10ゲージ鋼で形成されていてもよく、ボトムエッジ124の全長および全幅にわたって延在していてもよい。ボトムプレート112は、ボトムプレート112の前エッジおよび後エッジに、1対の締結タブ178を含んでいてもよい。1対の締結タブ178は、ボトムプレート112を中央パネル102に固定するためのスクリューおよび/または釘などの締結具(図示せず)を受け入れるための、締結孔181を含んでいてもよい。
図23および
図25に示されるように、プレートは、アンカーボルト170が通って延びる開口184を含んでいてもよい。上述したように、ナット174は、ボトムプレート112の下面と接触するアンカーボルトの上に設けられてもよい。ボトムプレート112は、中央パネル102の底部コーナに加えられた転倒圧縮力に抵抗するとともに、中央パネル102とせん断壁100が取り付けられた基礎支持面との間に遮水性防湿バリアを提供するために有効であり得る。
【0060】
上述のようなせん断壁100は、力を伝達するための高度の初期剛性および強度を提供するとともに、地震活動、高風、洪水および積雪荷重などの自然現象の間に発生し得る構築物上のエネルギーを散逸するための延性を提供する。
【0061】
加えて、閾値レベルを超えるせん断荷重に対して、せん断壁がどのようにどこで降伏するかを予測可能に制御することが、本技術の特徴である。特に、例えば
図7に関して上述したように、中央パネル102の対向する下隅にある第2のより深い凹部(例えば、138bおよび140b)の各ペアは、一緒になって、狭幅セクションおよびエッジ120、122まで延びるパネル102を画定する。せん断壁100の対向する下部コーナにおけるこれらの2つの狭幅セクションは、本明細書では、構造ヒューズエレメント180と呼ばれ、例えば
図7、
図18および
図19の一面に示されている。本技術の態様によれば、ヒューズエレメント180の各々(本明細書では単にヒューズ180とも呼ばれる)は、せん断力がある閾値を超える場合にせん断壁100を降伏させるための制御された位置を、パネル102の対向面に提供する。印加された横方向のせん断力が閾値レベルを超えてせん断壁に応力を及ぼすと、せん断壁の一方の側部は、ヒューズ180において、圧縮または引張で、降伏または座屈または破壊する。特に、ヒューズ180は、エッジ120及び122に沿ったせん断壁の他の部分と同程度の大きさの軸方向荷重には耐えられず、したがって、せん断壁100の長さに沿った他の位置とは異なるヒューズ180で、降伏が起こる。このように、ヒューズ180は、せん断壁100の各々のサイドに予測可能かつ制御可能な降伏方法を提供する。
【0062】
図26および
図27は、ヒューズ180におけるエッジ120、122のうちの1つに沿って降伏または座屈または破断している、せん断壁100の側面図を示す。初期降伏後にせん断壁100に高度の延性を提供することは、本技術のさらなる特徴である。特に、降伏すると、中央パネルは、
図26に示すように(185で)破壊する。破壊は、パネル102の表面116、118の間でほぼ水平であるように示されるが、破壊は、さらなる実施形態では、より垂直であってもよい。上述のように、また、
図26に示すように、拘束プレート152の下端と中央パネル102の肩部137との間には、空間が最初に存在し得る。
【0063】
しかしながら、中央パネル102の座屈及び/又は破砕が続くと、
図27に示すように、サイドプレート104、106のペア及び108、110のペアの少なくとも1つの拘束プレート152は、1つ以上の凹部138b、140bの肩部137と接触するように移動する。この時点で、中央パネル102の肩部137に圧縮荷重が印加され、初期降伏後にせん断壁100に残留強度が与えられ、せん断壁100による横力抵抗能力の限界減少のみが、変位レベルが増加するにつれて観察される。これは、破壊された中央パネル102に対する拘束プレート152の直接支持(direct bearing)に関連する固有の延性に起因する。
【0064】
図26および
図27は、パネル102のエッジ122における肩部137、および、エッジ122まで延びていない溶接部161を示している。例えば
図9を参照されたい。平坦な肩部137は、拘束プレート152の平坦な底部エッジのための、良好な支え面(bearing surface)を提供する。したがって、肩部137と拘束プレート152の平坦な底部エッジとの間の荷重は、主として垂直である。拘束プレートの底部エッジと肩部137との間に非水平接触角がある場合、これは、拘束プレートを外側に押し込んで肩部137から滑り落とすことができる水平力を生じさせることがある。上述のように、溶接部161は移動止め135(
図7)内に収まっており、溶接部161からのこのような水平力を防止する。
【0065】
せん断壁100のもう一つの特徴は、最小限の溶接部品で構築することができ、これが高荷重下での降伏および破壊の原因となってもよいことである。拘束プレート152を締結プレート150に固着する溶接部以外に、せん断壁100は溶接せずに製作されてもよい。上述したように、サイドプレートが鋳造又は構造的に結合される実施形態では、拘束プレート152の締結プレート150への溶接も省略されてもよい。
【0066】
図28は、せん断壁100のアッパーエッジ126を構造フレーム186、188またはせん断壁100の上の他の支持面に接続するための、トッププレート182の分解斜視図を示す。トッププレートは、ルーティングされた凹部187内で、せん断壁100の外面に取り付けることができる。トッププレート182は、例えばスクリューおよび/または釘のような締結具192を受け入れるための、多数の締結孔190を含んでいてもよい。締結孔190および締結具192は、せん断壁100をトッププレート182に固定するために、および、トッププレート182を構造フレーム186、188に固定するために使用されてもよい。
図28~
図30に示されるように、トッププレート182は、構造フレームおよびせん断壁の表面に平行なほぼ平面の部分182aおよび182cと、平面部分182aおよび182cの間でそれらを連結する角度付き部分182bと、を含んでいる。
図28~
図29に示されるように、さらなる実施形態である必要はないが、平面部分182aは、角度付き部分182bおよび平面部分182cよりもわずかに長くてもよい。角度付き部分182bは、構造フレーム186、188の表面に対して斜めの角度で設けられる。
図28に見られるように、いくつかの締結具192は、平面部分182a及び182cに対して垂直に、構造フレーム及び中央パネル102のトップ部に挿入されてもよい。他の締結具192は、角度付き部分182bに対して垂直に、そして構造フレーム186、188に斜めに上向きに挿入されてもよい。斜めのこれらの締結具192は、構造フレーム186、188に対してせん断壁100のための付加的な支持を提供する。
【0067】
上述の実施形態では、サイドプレートアセンブリ104、106、108、110は実質的に長方形であり、中央パネル102の前面表面116および後面表面118に形成された実質的に長方形の凹部セクション134、136、138、140に嵌合する。さらなる実施形態では、サイドプレートアセンブリおよび凹部セクションは、他の形状を有してもよいことが理解されよう。そのようなさらなる実施形態の1つを
図31~
図32に示す。
図31~
図32は、せん断壁100の前面表面116および後面表面118それぞれの斜視図を示す。この実施形態では、プレートアセンブリ104、106、108、110の各々は、プレートアセンブリ104、106、108、110の内側コーナ(すなわち、エッジ120、122から離間したコーナ)に、1つまたは複数の丸みを帯びたエッジを有することができる。丸みを帯びたエッジの曲率半径は、例えば、4インチであってもよいが、半径は、さらなる実施形態における半径よりも大きくても小さくてもよい。
【0068】
図31~
図32にさらに見られるように、中央パネル102の前面表面116および後面表面118に形成された凹部セクション134、136、138、140はまた、プレートアセンブリ104、106、108、110を受け入れるために、対応する丸みを帯びたエッジを有していてもよい。
図31に示すようにコーナを丸めると、大径切削工具で凹部プレート位置の各々に単一パスで複数の凹部が形成されることが可能になるのでパネル102をなぞる(routing)ことで凹部セクション134、136、138、140を形成するための所要時間が短縮される。また、この特徴は、パネル102の底面付近で切りくずの発生を緩和することができる。
【0069】
まとめると、一例では、本技術は、建築物に使用するためのせん断壁に関する。せん断壁は、第1および第2の表面を備える中央パネルを備える。第1および第2の表面の下隅で中央パネルに接続されるように構成されている複数のサイドプレートを備える。サイドプレートは、せん断壁が取り付けられた支持面に結合されるようにさらに構成されている。中央パネルはヒューズを備えている。ヒューズは、第1および第2の表面の間の中央パネルの減少面積セクションである。せん断壁は、ヒューズで降伏するように構成されている。
【0070】
別の例では、本技術は、建築物に使用するためのせん断壁に関する。せん断壁は、第1および第2の表面と、第1および第2の表面の間の減少された面積を有するセクションと、を含む中央パネルを備える。第1および第2の表面の下隅で中央パネルに接続されるように構成されている複数のサイドプレートを備える。サイドプレートは、せん断壁が取り付けられた支持面に結合されるようにさらに構成されている。複数のサイドプレートは、拘束プレートを備えている。拘束プレートは、減少した面積を有する中央パネルのセクション内に位置している。拘束プレートは、中央パネルの初期座屈後の、中央パネルの座屈または破壊を抑止するように構成されている。
【0071】
さらなる例では、本技術は、建築物に使用するためのせん断壁に関する。せん断壁は、第1および第2の表面と、第1および第2の表面の間の厚さが減少したセクションと、を備えた中央パネルを備える。複数のサイドプレートは、サイドプレートを中央パネルに固定するための締結プレートと、締結プレート上の拘束プレートと、を備える。第1および第2のサイドプレートの拘束プレートは、減少した面積を有する中央パネルのセクション内に嵌合する。減少した面積の中央パネル内のセクションは、せん断壁の降伏の予測可能な場所を提供する。拘束プレートは、せん断壁の初期降伏後の中央パネルの対向する降伏(opposing yielding)によって、せん断壁の初期降伏後の延性を提供する。
【0072】
本発明の前述の詳細な説明は、例示および説明の目的で提示されている。本発明を包括的または開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。上記説明の観点から多くの変形およびバリエーションが可能である。記載された実施形態は、本発明の原理およびその実用的な適用を最もよく説明するために選択され、それによって、他の当業者が、様々な実施形態において、および意図される特定の使用に適した様々な修正を伴って、本発明を最もよく利用することを可能にした。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることが意図される。