(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240125BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/044 120
(21)【出願番号】P 2021573006
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2020046817
(87)【国際公開番号】W WO2021149409
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2020006898
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松田 厚志
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0164931(US,A1)
【文献】特開2010-282501(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195451(WO,A1)
【文献】特開2016-001408(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0008494(KR,U)
【文献】特開2015-132867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接する操作体により操作を受ける操作面と、
前記操作面に沿って配置され、第1の方向に互いに平行に延在する複数の第1検出電極と
を備え、
前記複数の第1検出電極の各々は、
前記第1の方向に並べて設けられた複数の第1検出面と、前記第1の方向に直線状に延在し、前記複数の第1検出面を接続する第1電流経路部とを有し、
前記複数の第1検出面の各々は、
1または複数の第2電流経路部と、
前記1または複数の第2電流経路部と前記第1電流経路部とを並列に接続
し、前記第1の方向に直交する第2の方向に延在し、互いに平行である一対の第1接続部と
を有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記複数の第1検出電極の各々は、前記複数の第1検出面の各々が全体として第1所定抵抗値を有するように、前記一対の第1接続部の間隔が調整されている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記複数の第1検出面の各々は、多角形の形状を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記複数の第1検出面の各々は、菱形形状を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記操作面に沿って配置され、前記第1の方向とは異なる第2の方向に互いに平行に延在する複数の第2検出電極をさらに備え、
前記複数の第2検出電極の各々は、
前記第2の方向に並べて設けられた複数の第2検出面と、前記第2の方向に直線状に延在し、前記複数の第2検出面を接続する第3電流経路部とを有し、
前記複数の第2検出面の各々は、
1または複数の第4電流経路部と、
前記1または複数の第4電流経路部と前記第3電流経路部とを並列に接続する一対の第2接続部と
を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記複数の第2検出電極の各々は、前記複数の第2検出面の各々が全体として第2所定抵抗値を有するように、前記一対の第2接続部の間隔が調整されている
ことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記複数の第2検出面の各々は、多角形の形状を有する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記複数の第2検出面の各々は、菱形形状を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
前記一対の第1接続部の間隔と前記一対の第2接続部の間隔とは、前記操作面の縦横比に基づいて調整されている
ことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の検出電極の各々の静電容量値に基づいて、操作面に対する操作体の近接検知を行う入力装置において、互いに直交する複数の検出電極の各々について、当該電極の一端側の検出部で検出される静電容量値と、当該電極の他端側の検出部で検出される静電容量値との比率に基づいて、当該電極における操作体の近接位置を検出する技術が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の入力装置は、各検出電極の長さが短い場合、各検出電極において十分な電流経路の長さを確保することができないため、各検出電極の抵抗値を十分に高めることができない。この場合、従来の入力装置は、操作面に対する操作体が近接した場合であっても、各検出電極における静電容量値の変化が殆ど生じないため、高精度な近接検知を行うことができない。
【0005】
このため、例えば、従来の入力装置は、各検出電極の電流経路が短い場合、各検出電極の十分な抵抗値を得ることができず、高精度な近接検知を行うことができない。また、例えば、従来の入力装置は、各検出電極に対し、低抵抗且つ安価な電極フィルムを用いた場合、各検出電極の十分な抵抗値を得ることができず、高精度な近接検知を行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の入力装置は、近接する操作体により操作を受ける操作面と、操作面に沿って配置され、第1の方向に互いに平行に延在する複数の第1検出電極とを備え、複数の第1検出電極の各々は、第1の方向に並べて設けられた複数の検出面と、第1の方向に直線状に延在し、複数の第1検出面を接続する第1電流経路部とを有し、複数の検出面の各々は、1または複数の第2電流経路部と、1または複数の第2電流経路部と第1電流経路部とを並列に接続する一対の第1接続部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、複数の検出電極における静電容量値に基づいて、操作面に対する操作体の近接検知を行う入力装置において、検出電極における抵抗値を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】一実施形態に係る入力装置の電気的接続構成を示す図
【
図3】一実施形態に係る第1検出電極が備える第1検出面の構成を示す図
【
図4】一実施形態に係る第2検出電極が備える第2検出面の構成を示す図
【
図5】一実施形態に係る第1検出電極が備える第1検出面における一対の接続部の間隔と抵抗値との関係を示す図
【
図6】一実施形態に係る第1検出電極が備える第1検出面の第1変形例を示す図
【
図7】一実施形態に係る第1検出電極が備える第1検出面の第2変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0010】
(入力装置100の構成)
図1は、一実施形態に係る入力装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、入力装置100は、例えば自己容量方式の静電容量検出を利用したタッチパネル等であり、操作面102と、複数(
図1に示す例では、2つ)の第1検出電極110(第1検出電極110a~110b)と、複数(
図1に示す例では、8つ)の第2検出電極120(第2検出電極120a~120h)とを備える。ただし、
図1に示す例は1例であり、第1検出電極110の数と第2検出電極120の数とは、それぞれいくつでもよい。
【0011】
なお、
図1以降では、第1検出電極110と第2検出電極120との区別を容易にするために、便宜上、第1検出電極110はハッチングが付されており、第2検出電極120はハッチングが付されていない。
【0012】
操作面102は、上方(Z軸正方向)からの平面視において横長の長方形状を有する、水平面(XY平面に対して平行な平面)である。操作面102は、操作体(例えば、操作者の手の指)により操作を受ける面である。操作面102は、例えば、薄板状の部材(例えば、樹脂板、ガラス板等)によって形成される。
【0013】
第1検出電極110a~110bは、操作面102に沿って配置されている。第1検出電極110a~110bは、いずれも横方向(X軸方向、「第1の方向」の一例)に延在する検出電極である。複数の第1検出電極110a~110bは、一定の間隔を有して、互いに平行に縦方向(Y軸方向、「第2の方向」の一例)に並べて配置されている。また、第1検出電極110a~110bは、いずれも、第2検出電極120a~120hの各々と直交して配置されている。
【0014】
第1検出電極110a~110bは、いずれも、複数(
図1に示す例では、9つ)の第1検出面112が、横方向(X軸方向)に直線状に並べて配置されている。本実施例において、複数の第1検出面112の各々は、菱形形状を有するが、必ずしも菱形形状である必要はなく、菱形以外の多角形の形状を有していてもよい。複数の第1検出面112は、横方向(X軸方向)に直線状に延在する第1電流経路部114によって、互いに連結されている。言い換えると、複数の第1検出電極110a~110bの各々は、X軸方向(第1の方向)に並べて設けられた複数の第1検出面112と、X軸方向(第1の方向)に直線状に延在し、複数の第1検出面112を接続する第1電流経路部114とを有する。
【0015】
すなわち、
図1に示す例では、入力装置100には、第1検出電極110a~110bにより、18個の菱形の第1検出面112が、2行×9列のマトリクス状に配置されている。第1検出電極110a~110bは、いずれも、左端部に静電容量値を検出するための検出部D1を有し、右端部に静電容量値を検出するための検出部D2を有する。
【0016】
第2検出電極120a~120hは、操作面102に沿って配置されている。複数の第2検出電極120a~120hは、第1の方向(X軸方向)とは異なる第2の方向(Y軸方向)に互いに平行に延在する。すなわち、第2検出電極120a~120hは、いずれも縦方向(Y軸方向)に延在する検出電極である。また、複数の第2検出電極120a~120hは、一定の間隔を有して、互いに平行に横方向(X軸方向)に並べて配置されている。また、第2検出電極120a~120hは、いずれも、第1検出電極110a~110bの各々と直交して配置されている。
【0017】
第2検出電極120a~120hは、いずれも、複数(
図1に示す例では、3つ)の第2検出面122が、縦方向(Y軸方向)に直線状に並べて配置されている。本実施例において、複数の第2検出面122の各々は、菱形形状を有するが、必ずしも菱形形状である必要はなく、菱形以外の多角形の形状を有していてもよい。複数の第2検出面122は、縦方向(Y軸方向)に直線状に延在する第3電流経路部124によって、互いに連結されている。言い換えると、複数の第2検出電極120a~120hの各々は、Y軸方向(第2の方向)に並べて設けられた複数の第2検出面122と、Y軸方向(第2の方向)に直線状に延在し、複数の第2検出面122を接続する第3電流経路部124とを有する。
【0018】
すなわち、
図1に示す例では、入力装置100には、8本の第2検出電極120a~120hにより、24個の第2検出面122が、3行×8列のマトリクス状に配置されている。第2検出電極120a~120hは、いずれも、上端部に静電容量値を検出するための検出部D3を有し、下端部に静電容量値を検出するための検出部D4を有する。
【0019】
なお、第2検出電極120a~120hが備える複数の第2検出面122は、いずれも、第1検出電極110a~110bが備える複数の第1検出面112と重ならないように、複数の第1検出面112の隙間に配置される。
【0020】
また、第1検出電極110の第1電流経路部114と、第2検出電極120の第3電流経路部124との各交差点は、第1電流経路部114と第3電流経路部124とが互いに導通しないように、第1電流経路部114と第3電流経路部124とが互いに絶縁されている。
【0021】
また、第1検出電極110a~110bおよび第2検出電極120a~120hは、いずれも、導電性を有する薄膜状の安価な素材が用いられて形成される。
【0022】
(入力装置100の電気的接続構成)
図2は、一実施形態に係る入力装置100の電気的接続構成を示す図である。
図2に示すように、入力装置100は、
図1で説明した第1検出電極110a~110bおよび第2検出電極120a~120hに加えて、検出回路130を備える。
【0023】
検出回路130は、第1検出電極110a~110bの各々の、検出部D1および検出部D2に接続されている。また、検出回路130は、第2検出電極120a~120hの各々の、検出部D3および検出部D4に接続されている。
【0024】
入力装置100においては、操作面102に対する操作体の近接状態に応じて、第1検出電極110a~110bおよび第2検出電極120a~120hの各々の静電容量値が変化する。
【0025】
検出回路130は、第1検出電極110a~110bの各々を、交流電圧を供給することによって駆動する。そして、検出回路130は、第1検出電極110a~110bの各々について、左端部の検出部D1における静電容量値、および、右端部の検出部D2における静電容量値を検出することができる。さらに、検出回路130は、第1検出電極110a~110bの各々について、検出部D1における静電容量値と、検出部D2における静電容量値とに基づいて、操作体の近接位置を特定することができる。このような表面型の検出方式においては、操作体の近接位置から検出部D1およびD2までの抵抗値の比率によって検出値が決まるため、第1検出電極110a~110bの各々は、ある程度の抵抗値を有する必要がある。
【0026】
例えば、第1検出電極110の中央に操作体が近接した場合、検出部D1における静電容量値と、検出部D2における静電容量値とは、略等しくなる。
【0027】
また、例えば、第1検出電極110における中央よりも検出部D1側の位置に操作体が近接した場合、検出部D1における静電容量値は、検出部D2における静電容量値よりも大きくなる。特に、操作体の近接位置が検出部D1により近くなるにつれ、近接位置から検出部D1までの抵抗値がより小さくなり、且つ、近接位置から検出部D2までの抵抗値がより大きくなるため、検出部D1における静電容量値がより大きくなり、検出部D2における静電容量値がより小さくなる。
【0028】
また、例えば、第1検出電極110における中央よりも検出部D2側の位置に操作体が近接した場合、検出部D2における静電容量値は、検出部D1における静電容量値よりも大きくなる。特に、操作体の近接位置が検出部D2により近くなるにつれ、近接位置から検出部D2までの抵抗値がより小さくなり、且つ、近接位置から検出部D1までの抵抗値がより大きくなるため、検出部D2における静電容量値がより大きくなり、検出部D1における静電容量値がより小さくなる。
【0029】
そこで、検出回路130は、第1検出電極110a~110bの各々について、検出部D1における静電容量値と、検出部D2における静電容量値とに基づいて、操作体の近接位置を特定することができる。
【0030】
同様に、検出回路130は、第2検出電極120a~120hの各々を、交流電圧を供給することによって駆動する。そして、検出回路130は、第2検出電極120a~120hの各々について、上端部の検出部D3における静電容量値、および、下端部の検出部D4における静電容量値を検出することができる。さらに、検出回路130は、第2検出電極120a~120hの各々について、検出部D3における静電容量値と、検出部D4における静電容量値とに基づいて、操作体の近接位置を特定することができる。
【0031】
(第1検出面112の構成)
図3は、一実施形態に係る第1検出電極110が備える複数の第1検出面112の各々の構成を示す図である。
図3に示すように、第1検出面112は、複数の第2電流経路部301,302と、一対の第1接続部311,312とを備えて構成されている。
【0032】
複数の第2電流経路部301,302は、第1電流経路部114を間に挟んで、縦方向(Y軸方向)に対向配置されている。複数の第2電流経路部301,302は、第1電流経路部114に対して線対称な形状を有する。
【0033】
具体的には、第2電流経路部301は、第1電流経路部114の前側(Y軸正側)に、第1電流経路部114から僅かに離間して配置されている。第2電流経路部301は、その底辺が第1電流経路部114に対して平行な二等辺三角形状を有する。
【0034】
一方、第2電流経路部302は、第1電流経路部114の後側(Y軸負側)に、第1電流経路部114から僅かに離間して配置されている。第2電流経路部302は、その底辺が第1電流経路部114に対して平行な二等辺三角形状を有する。
【0035】
一対の第1接続部311,312は、第2電流経路部301と第2電流経路部302とを接続する。具体的には、一対の第1接続部311,312は、第2電流経路部301の底辺部分と、第2電流経路部302の底辺部分との間において、横方向(X軸方向)に並べて配置されている。一対の第1接続部311,312は、いずれも縦方向(Y軸方向)に直線状に延在し、互いに平行である。
【0036】
一対の第1接続部311,312の各々は、上端部分が第2電流経路部301の底辺部分に接続されており、下端部分が第2電流経路部302の底辺部分に接続されている。また、一対の第1接続部311,312の各々は、第1電流経路部114と直交している。また、一対の第1接続部311,312の各々は、第1電流経路部114および複数の第2電流経路部301,302と一体的に形成されている。
【0037】
第1検出面112は、一対の第1接続部311,312を有することにより、一対の第1接続部311,312間において、第1電流経路部114を通る第1電流経路と、複数の第2電流経路部301,302を通る第2電流経路を有するものとなっている。なお、本実施例において、第1検出面112は、複数の第2電流経路部301, 302を備えているが、必ずしも複数である必要はなく、1つの第2電流経路部301(あるいは302)のみを備えた構成でもよい。言い換えると、複数の第1検出面112の各々は、1または複数の第2電流経路部301, 302と、1または複数の第2電流経路部301, 302と第1電流経路部114とを並列に接続する一対の第1接続部311,312とを有する。
【0038】
ここで、
図3に示すように、第1検出電極110が備える第1検出面112において、一対の第1接続部311,312は、横方向(X軸方向)の間隔L1を有する。第1検出面112は、間隔L1を調整することにより、当該第1検出面112の全体としての抵抗値(すなわち、当該第1検出面112を貫く第1電流経路部114の両端間の抵抗値)を調整することが可能となっている。具体的には、
図5を用いて後述するように、第1検出面112は、間隔L1がより大きくなるにつれて、当該第1検出面112の全体としての抵抗値が小さくなる。このため、本実施形態の第1検出面112は、一対の第1接続部311,312の間隔L1を調整することにより、第2電流経路部301,302の面積を変えることなく、当該第1検出面112の全体としての抵抗値を、所望の抵抗値にすることが可能となっている。上述したように、表面型の検出方式においては、第1検出電極110a~110bの各々は、ある程度の抵抗値を有する必要がある。したがって、複数の第1検出電極110a~110bの各々は、複数の第1検出面112の各々が全体として第1所定抵抗値を有するように、一対の第1接続部311,312の間隔L1が調整されている。ここで、第1所定抵抗値は、表面型の検出方式による静電容量検出を可能とする抵抗値であり、設計者が間隔L1を調整することにより決まる値である。
【0039】
(第2検出面122の構成)
図4は、一実施形態に係る第2検出電極120が備える第2検出面122の構成を示す図である。
図4に示すように、第2検出面122は、複数の第4電流経路部401,402と、一対の第2接続部411,412とを備えて構成されている。
【0040】
複数の第4電流経路部401,402は、第3電流経路部124を間に挟んで、横方向(X軸方向)に対向配置されている。複数の第4電流経路部401,402は、第3電流経路部124に対して線対称な形状を有する。
【0041】
具体的には、第4電流経路部401は、第3電流経路部124の左側(X軸負側)に、第3電流経路部124から僅かに離間して配置されている。第4電流経路部401は、その底辺が第3電流経路部124に対して平行な二等辺三角形状を有する。
【0042】
一方、第4電流経路部402は、第3電流経路部124の右側(X軸正側)に、第3電流経路部124から僅かに離間して配置されている。第4電流経路部402は、その底辺が第3電流経路部124に対して平行な二等辺三角形状を有する。
【0043】
一対の第2接続部411,412は、第4電流経路部401と第4電流経路部402とを接続する。具体的には、一対の第2接続部411,412は、第4電流経路部401の底辺部分と、第4電流経路部402の底辺部分との間において、縦方向(Y軸方向)に並べて配置されている。一対の第2接続部411,412は、いずれも横方向(X軸方向)に直線状に延在し、互いに平行である。
【0044】
一対の第2接続部411,412の各々は、左端部分が第4電流経路部401の底辺部分に接続されており、右端部分が第4電流経路部402の底辺部分に接続されている。また、一対の第2接続部411,412の各々は、第3電流経路部124と直交している。また、一対の第2接続部411,412の各々は、第3電流経路部124および複数の第4電流経路部401,402と一体的に形成されている。
【0045】
第2検出面122は、一対の第2接続部411,412を有することにより、一対の第2接続部411,412間において、第3電流経路部124を通る第3電流経路と複数の第4電流経路部401,402を通る第4電流経路を有するものとなっている。なお、本実施例において、第2検出面122は、複数の第4電流経路部401, 402を備えているが、必ずしも複数である必要はなく、1つの第4電流経路部401(あるいは402)のみを備えた構成でもよい。言い換えると、複数の第2検出面122の各々は、1または複数の第4電流経路部401, 402と、1または複数の第4電流経路部401, 402と第3電流経路部124とを並列に接続する一対の第2接続部411,412とを有する。
【0046】
ここで、第2検出電極120が備える第2検出面122において、一対の第2接続部411,412は、縦方向(X軸方向)の間隔L2を有する。第2検出面122は、間隔L2を調整することにより、当該第2検出面122の全体としての抵抗値(すなわち、当該第2検出面122を貫く第3電流経路部124の両端間の抵抗値)を調整することが可能となっている。具体的には、第2検出面122は、第1検出面112と同様に、間隔L2が大きくなるにつれて、当該第2検出面122の全体としての抵抗値が小さくなる。このため、本実施形態の第2検出面122は、一対の第2接続部411,412の間隔L2を調整することにより、当該第2検出面122の全体としての抵抗値を、所望の抵抗値にすることが可能となっている。
【0047】
上述したように、表面型の検出方式においては、第2検出電極120a~120hの各々は、ある程度の抵抗値を有する必要がある。したがって、複数の第2検出電極120a~120hの各々は、複数の第2検出面122の各々が全体として第2所定抵抗値を有するように、一対の第2接続部411,412の間隔L2が調整されている。ここで、第2所定抵抗値は、表面型の検出方式による静電容量検出を可能とする抵抗値であり、設計者が間隔L2を調整することにより決まる値である。
【0048】
なお、
図1および
図3に示すように、各第1検出電極110が備える各第1検出面112は、一対の第1接続部311,312の間隔L1が比較的大きくなっている。これにより、各第1検出電極110が備える各第1検出面112は、当該第1検出面112の全体としての抵抗値が、操作面102の縦横比に応じて予め定められた比較的小さな第1所定抵抗値となっている。
【0049】
図1に示すように、操作面102は、横長の長方形状を有する。これに伴い、各第1検出電極110の横方向(X軸方向)の長さは、操作面102の横方向の長さに応じて比較的長くなっており、各第1検出電極110における第1検出面112の数も、比較的多い数(
図1に示す例では、9つ)となっている。このため、各第1検出電極110は、各第1検出面112の抵抗値が比較的小さくとも、第1検出電極110全体として比較的大きな抵抗値が得られる。これにより、各第1検出電極110は、静電容量値の変化を検出し易くなっている。
【0050】
これに対し、
図1および
図4に示すように、各第2検出電極120が備える各第2検出面122は、一対の第2接続部411,412の間隔L2が比較的小さくなっている。これにより、各第2検出電極120が備える各第2検出面122は、当該第2検出面122の全体としての抵抗値が、操作面102の縦横比に応じて予め定められた比較的大きな第2所定抵抗値となっている。
【0051】
図1に示すように、各第2検出電極120の縦方向(Y軸方向)の長さは、操作面102の縦方向の長さに応じて比較的短くなっており、各第2検出電極120における第2検出面122の数も、比較的少ない数(
図1に示す例では、3つ)となっている。このため、各第2検出電極120は、一対の第2接続部411,412の間隔L2を最小化して、各第2検出面122の抵抗値を最大化することで、第2検出電極120全体として比較的大きな抵抗値が得られるようになっている。これにより、各第2検出電極120は、静電容量値の変化を検出し易くなっている。
【0052】
(間隔L1と抵抗値との関係)
図5は、一実施形態に係る第1検出電極110が備える第1検出面112における一対の第1接続部311,312の間隔L1と抵抗値との関係を示す図である。
図5に示すグラフにおいて、縦軸は、第1検出面112の全体としての抵抗値を表し、横軸は、第1検出面112における一対の第1接続部311,312の間隔L1を表す。
【0053】
図5に示すように、本実施形態の第1検出面112は、一対の第1接続部311,312の間隔L1が大きくなるにつれて、第1検出面112の全体としての抵抗値が小さくなる。これは、一対の第1接続部311,312間において、第1電流経路部114と並列に接続された第2電流経路部301,302の電流経路が長くなり、すなわち、一対の第1接続部311,312間における第1電流経路部114と第2電流経路部301,302との合成抵抗値が低くなるからであると考えられる。
【0054】
このため、本実施形態の第1検出面112は、一対の第1接続部311,312の間隔L1を調整することにより、第1検出面112の面積を変えることなく、当該第1検出面112の全体としての抵抗値を、所望の抵抗値にすることができる。
【0055】
なお、第2検出電極120が備える第2検出面122は、第1検出電極110が備える第1検出面112と同様の構成を有するものであるため、第1検出面112と同様に、一対の接続部411,412の間隔L2がより大きくなるにつれて、第2検出面122の全体としての抵抗値がより小さくなる。このため、本実施形態の第2検出面122は、一対の接続部411,412の間隔L2を調整することにより、第2検出面122の面積を変えることなく、当該第2検出面122の全体としての抵抗値を、所望の抵抗値にすることができる。
【0056】
(第1検出面112の第1変形例)
図6は、一実施形態に係る第1検出電極110が備える第1検出面112の第1変形例を示す図である。
図6に示す第1検出面112Aは、一対の第1接続部311,312の横方向における位置が、
図3に示す第1検出面112から変更されている。
【0057】
具体的には、
図6に示す第1検出面112Aでは、第1接続部311が、第2電流経路部301の左端部と、第2電流経路部302の左端部とを接続する位置に変更されている。また、第1接続部312が、第2電流経路部301の右端部と、第2電流経路部302の右端部とを接続する位置に変更されている。
【0058】
これにより、第1検出面112Aは、一対の第1接続部311,312の間隔L1が最大化されたものとなっている。すなわち、第1検出面112Aは、当該第1検出面112の全体としての抵抗値(すなわち、当該第1検出面112を貫く第1電流経路部114の両端間の抵抗値)が最小化されたものとなっている。
【0059】
(第1検出面112の第2変形例)
図7は、一実施形態に係る第1検出電極110が備える第1検出面112の第2変形例を示す図である。
図7に示す第1検出面112Bは、第1検出面112(
図3参照)および第1検出面112A(
図6参照)と電極形状が異なる。
【0060】
具体的には、第1検出面112Bが備える第2電流経路部301は、横方向(X軸方向に)に互いに平行に延在する、3本の電流経路部301a,301b,301cを有する。また、第2電流経路部301において、互いに隣接する2本の電流経路部は、縦方向(Y軸方向)に互いに平行に延在する、一対の接続部313によって接続されている。これにより、第2電流経路部301は、3本の電流経路部301a,301b,301cによる3本の電流経路を有するものとなっている。
【0061】
また、第1検出面112Bが備える第2電流経路部302は、横方向(X軸方向に)に互いに平行に延在する、3本の電流経路部302a,302b,302cを有する。また、第2電流経路部302において、互いに隣接する2本の電流経路部は、縦方向(Y軸方向)に互いに平行に延在する、一対の接続部314によって接続されている。これにより、第2電流経路部302は、3本の電流経路部302a,302b,302cによる3本の電流経路を有するものとなっている。
【0062】
また、第2電流経路部301および第2電流経路部302は、縦方向(Y軸方向)に互いに平行に延在する、一対の第1接続部311,312によって、互いに接続されているとともに、第1電流経路部114にも接続されている。
【0063】
図7に示すように、各第1検出電極110が備える各第1検出面112は、如何なる形状であってもよく、すなわち、菱形形状でなくてもよく、多角形状でなくてもよい。
【0064】
また、第1検出面112は、第2電流経路部301および第2電流経路部302の各々が、複数の電流経路を有することにより、第2電流経路部301および第2電流経路部302の各々が抵抗値を調整可能であり、したがって、第1検出面112の全体の抵抗値のより細かな調整が可能となる。
【0065】
以上説明したように、一実施形態に係る入力装置100は、近接する操作体により操作を受ける操作面102と、操作面102に沿って配置され、横方向に互いに平行に延在する第1検出電極110a~110bとを備え、第1検出電極110a~110bの各々は、横方向に並べて設けられた複数の第1検出面112と、横方向に直線状に延在し、複数の第1検出面を接続する第1電流経路部114とを有し、複数の第1検出面112の各々は、複数の第2電流経路部301,302と、複数の第2電流経路部301,302と第1電流経路部114とを並列に接続する一対の第1接続部311,312とを有する。
【0066】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、第1検出面112の面積を変えることなく、第1検出面112の抵抗値を容易に調整することができる。そして、一実施形態に係る入力装置100は、各第1検出電極110の各第1検出面112の抵抗値を調整することにより、各第1検出電極110の抵抗値を容易に引き上げることができる。このため、一実施形態に係る入力装置100は、表面型の原理を用いた静電容量検出を行う場合において、各第1検出電極110の電流経路が比較的短い場合であっても、各第1検出電極110の抵抗値を容易に引き上げることにより、高精度な近接検知を実現することができる。また、一実施形態に係る入力装置100は、各第1検出電極110に対し、低抵抗且つ安価な電極フィルムを用いた場合であっても、各第1検出電極110の抵抗値を容易に引き上げることができるため、各第1検出電極110に係るコストを削減することができる。すなわち、表面型の原理を用いた静電容量検出は、上述したようにある程度の抵抗値を有する素材を検出電極に使用することが求められるが、本発明は抵抗値の調整を行うことができるため、ITO(Indium Tin Oxide)等の比較的抵抗値が高くコストの高い素材を用いずとも、抵抗値の高低にかかわらず安価な素材を用いて静電容量検出による操作体の近接検知を行うことができる。また、一実施形態に係る入力装置100は、第1検出面112の第2電流経路部301,302の面積を変えることなく、第1検出面112の抵抗値を調整できるため、第1検出面112の検出感度に影響を及ぼすことなく、第1検出面112の抵抗値を調整できる。
【0067】
また、一実施形態に係る入力装置100において、第1検出電極110a~110bの各々は、複数の第1検出面112の各々が全体として第1所定抵抗値を有するように、一対の第1接続部311,312の間隔L1が調整されている。
【0068】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、一対の第1接続部311,312の間隔L1を調整することにより、第1検出面112の抵抗値を容易に調整することができる。
【0069】
また、一実施形態に係る入力装置100において、複数の第1検出面112の各々は、菱形形状を有する。
【0070】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、複数の第1検出面112によって、操作面102の広範囲をカバーすることができる。
【0071】
また、一実施形態に係る入力装置100は、操作面102に沿って配置され、縦方向に互いに平行に延在する第2検出電極120a~120hをさらに備え、第2検出電極120a~120hの各々は、縦方向に並べて設けられた複数の第2検出面122と、縦方向に直線状に延在し、複数の第2検出面122を接続する第3電流経路部124とを有し、複数の第2検出面122の各々は、複数の第4電流経路部401,402と複数の第4電流経路部401,402と第3電流経路部124とを並列に接続する一対の第2接続部411,412とを有する。
【0072】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、横方向に延在する複数の第1検出電極110の各々の抵抗値と、縦方向に延在する複数の第2検出電極120の各々の抵抗値とを、個別且つ容易に調整できるため、操作面102の縦横比が様々である入力装置に適用可能である。
【0073】
また、一実施形態に係る入力装置100において、第2検出電極120a~120hの各々は、複数の第2検出面122の各々が全体として第2所定抵抗値を有するように、一対の第2接続部411,412の間隔L2が調整されている。
【0074】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、一対の第2接続部411,412の間隔L2を調整することにより、第2検出面122の面積を変えることなく、第2検出面122の抵抗値を容易に調整することができる。
【0075】
また、一実施形態に係る入力装置100において、複数の第2検出面122の各々は、菱形形状を有する。
【0076】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、複数の第2検出面122によって、操作面102の広範囲をカバーすることができる。
【0077】
また、一実施形態に係る入力装置100において、一対の第1接続部311,312の間隔L1と一対の第2接続部411,412の間隔L2とは、操作面の縦横比に基づいて調整されている。すなわち、第1所定抵抗値および第2所定抵抗値は、操作面102の縦横比に基づいて予め定められた値である。
【0078】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、操作面102の縦横比に応じて、第1所定抵抗値および第2所定抵抗値を適切に調整することで、操作面102の縦方向および横方向の各々について、適切な近接検知を行うこと可能となる。
【0079】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0080】
例えば、一実施形態に係る入力装置100において、操作面102は、上方からの平面視において必ずしも横長の長方形状である必要はなく、様々な形状に対して本発明を適用することが可能である。さらには、一実施形態に係る入力装置100において、複数の第1検出面112の各々は、菱形形状以外の多角形の形状を有するものであってもよい。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、複数の第1検出面112によって、操作面102の広範囲をカバーすることができる。
【0081】
また、例えば、一実施形態に係る入力装置100において、複数の第1検出面112の各々は、1または3以上の第2電流経路部を有するものであってもよい。
【0082】
また、一実施形態に係る入力装置100において、複数の第2検出面122の各々は、菱形形状以外の多角形の形状を有するものであってもよい。これにより、一実施形態に係る入力装置100は、複数の第2検出面122によって、操作面102の広範囲をカバーすることができる。
【0083】
また、例えば、一実施形態に係る入力装置100において、複数の第2検出面122の各々は、1または3以上の第4電流経路部を有するものであってもよい。
【0084】
本国際出願は、2020年1月20日に出願した日本国特許出願第2020-006898号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0085】
100 入力装置
102 操作面
110,110a~110b 第1検出電極
112 第1検出面
114 第1電流経路部
120,120a~120h 第2検出電極
122 第2検出面
124 第3電流経路部
130 検出回路
301,302 第2電流経路部
311,312 第1接続部
401,402 第4電流経路部
411 第2接続部
D1,D2,D3,D4 検出部