(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】放送用音声送出装置、放送用音声送出方法、放送用音声送出プログラム、音声送出端末、および、受信端末
(51)【国際特許分類】
G10L 13/10 20130101AFI20240125BHJP
G10L 13/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G10L13/10 110
G10L13/10 112A
G10L13/00 100K
(21)【出願番号】P 2022207787
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2022054380の分割
【原出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】395011562
【氏名又は名称】三菱電機ITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂上 紀子
(72)【発明者】
【氏名】西畑 光
(72)【発明者】
【氏名】村地 隆志
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-193792(JP,A)
【文献】特開2012-27679(JP,A)
【文献】特開平11-52986(JP,A)
【文献】特開2004-317803(JP,A)
【文献】特開平10-253381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 13/00-25/93
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する放送用音声送出装置において、
前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを転送する音声用データ生成部
を具備する受信端末と、
前記地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶する記憶部と、
前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成する音声用文章作成部と、
前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する音声送出部と
を具備する音声送出端末と、
を備える放送用音声送出装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記放送データの種別を表すデータ種別ごとに前記名称変換テーブルを記憶し、
前記音声用データ生成部は、
前記特定の放送地域の放送データに含まれるデータ種別を取得し、前記データ種別に応じた音声の構成を表す前記音声用データを生成し、
前記音声用文章作成部は、
前記データ種別に応じた前記名称変換テーブルを用いて、前記音声用文章を生成する請求項1に記載の放送用音声送出装置。
【請求項3】
前記音声変換テーブルは、
前記文節と前記文節の音声が格納された音声ファイルとが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には、前記付加データに応じたイントネーションの音声が格納された音声ファイルが対応付けられており、
前記音声送出部は、
前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節の順に応じて前記音声ファイルの順序を決定し、決定した順序で前記音声ファイルを再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する請求項1または請求項2に記載の放送用音声送出装置。
【請求項4】
前記音声用文章作成部は、
前記音声用文章の再生時間が規定の長さ以内か否かを判定し、前記規定の長さ以内でなければ、前記音声用文章に含まれる情報のうち時間が最も遅い情報から削除するという予め定められたルールにしたがって前記音声用文章を調整する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放送用音声送出装置。
【請求項5】
前記放送用音声送出装置は、
前記放送用コメントとして、前記特定の放送地域の気象の放送に用いられる気象用コメントの音声を送出する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放送用音声送出装置。
【請求項6】
特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末と、前記受信端末と通信し、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末と、を備える放送用音声送出装置に用いられる放送用音声送出方法において、
前記受信端末が、前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを転送し、
前記音声送出端末が、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶し、
前記音声送出端末が、前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成し、
前記音声送出端末が、前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する放送用音声送出方法。
【請求項7】
特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末と、前記受信端末と通信し、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末と、を備える放送用音声送出装置に用いられる放送用音声送出プログラムにおいて、
前記受信端末が、前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを転送する音声用データ生成処理と、
前記音声送出端末が、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶する記憶処理と、
前記音声送出端末が、前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成する音声用文章作成処理と、
前記音声送出端末が、前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する音声送出処理と
をコンピュータに実行させる放送用音声送出プログラム。
【請求項8】
特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末と通信する音声送出端末であって、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末において、
前記受信端末は、
前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを送信端末に転送し、
前記音声送出端末は、
前記地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶する記憶部と、
前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成する音声用文章作成部と、
前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する音声送出部と
を備える音声送出端末。
【請求項9】
特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末であって、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末と通信する受信端末において、
前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成する音声用データ生成部であって、
前記音声用データを、前記地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶部に記憶する前記音声送出端末であって、前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成し、前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する前記音声送出端末に転送する音声用データ生成部を備える受信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放送用音声送出装置、放送用音声送出方法、放送用音声送出プログラム、音声送出端末、および、受信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局から放送される気象用コメントを音声に変換して送出する技術がある。放送局から放送される気象用コメントは、音声に変換する際、地方局に応じたイントネーション(方言)にするよう求められる。それは、気象用コメントが放送される地方の視聴者にとって、聴き慣れていないイントネーションがあると違和感が大きく聴きにくい放送となるからである。
【0003】
通常、気象用コメントの音声への変換は以下のように行われている。
まず、気象用コメントの文章をテキストデータとして用意する。そして、テキストデータを音声に変換するツールを使って、その気象用コメントの文章を標準語に合わせたイントネーションの音声に変換する。最後に、調整作業者が、標準語に合わせたイントネーションの音声を聴きながら、アクセント位置を変えて手動で調整し、地方局に応じたイントネーション(方言)の気象用コメントの音声を生成する。
【0004】
このとき、調整作業者の主観が入ってしまい誤ったイントネーションとなる可能性がある。また、調整作業者が、地方のイントネーションがわからない場合、放送局のアナウンサーに音声のサンプルをもらい、それを聴きながらアクセント位置を調整するといった手間がかかる。
【0005】
特許文献1には、気象用コメントの文章の中の地名を抽出し、地名部分のアクセントを合成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
地名には、全国に多数存在する地名のように、同じ読みでも地方によりイントネーションが異なる地名がある。また、地名には、南部、中部、西、上方、下方、あるいは南東といった、地域、方向、あるいは方角を示す単語と同一の地名があり、やはり、同じ読みでも地方によりイントネーションが異なる場合がある。
特許文献1の技術では、気象用コメントの文章の中の地名を単純に変換するだけである。よって、全国に多数存在する地名、および、地域、方向、あるいは方角を示す単語と同一の地名を、気象用コメントを放送する地方に応じた適切なイントネーションに修正することはできないという課題がある。
【0008】
本開示では、気象用コメントの音声の送出において、放送する地方に応じた適切なイントネーションに気象用コメントの音声を自動変換することで、視聴者の違和感が小さい聴きやすい音声を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る放送用音声送出装置は、特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する放送用音声送出装置において、
前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを転送する音声用データ生成部
を具備する受信端末と、
前記地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶する記憶部と、
前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成する音声用文章作成部と、
前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する音声送出部と
を具備する音声送出端末と、
を備える。
【0010】
前記記憶部は、
前記放送データの種別を表すデータ種別ごとに前記名称変換テーブルを記憶し、
前記音声用データ生成部は、
前記特定の放送地域の放送データに含まれるデータ種別を取得し、前記データ種別に応じた音声の構成を表す前記音声用データを生成し、
前記音声用文章作成部は、
前記データ種別に応じた前記名称変換テーブルを用いて、前記音声用文章を生成する。
【0011】
前記音声変換テーブルは、
前記文節と前記文節の音声が格納された音声ファイルとが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には、前記付加データに応じたイントネーションの音声が格納された音声ファイルが対応付けられており、
前記音声送出部は、
前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節の順に応じて前記音声ファイルの順序を決定し、決定した順序で前記音声ファイルを再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する。
【0012】
前記音声用文章作成部は、
前記音声用文章の再生時間が規定の長さ以内か否かを判定し、前記規定の長さ以内でなければ、前記音声用文章に含まれる情報のうち時間が最も遅い情報から削除するという予め定められたルールにしたがって前記音声用文章を調整する。
【0013】
前記放送用音声送出装置は、
前記放送用コメントとして、前記特定の放送地域の気象の放送に用いられる気象用コメントの音声を送出する。
【0014】
本開示に係る放送用音声送出方法は、特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末と、前記受信端末と通信し、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末と、を備える放送用音声送出装置に用いられる放送用音声送出方法において、
前記受信端末が、前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを転送し、
前記音声送出端末が、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶し、
前記音声送出端末が、前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成し、
前記音声送出端末が、前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する。
【0015】
本開示に係る放送用音声送出プログラムは、特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末と、前記受信端末と通信し、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末と、を備える放送用音声送出装置に用いられる放送用音声送出プログラムにおいて、
前記受信端末が、前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを転送する音声用データ生成処理と、
前記音声送出端末が、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶する記憶処理と、
前記音声送出端末が、前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成する音声用文章作成処理と、
前記音声送出端末が、前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する音声送出処理と
をコンピュータに実行させる。
【0016】
本開示に係る音声送出端末は、特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末と通信する音声送出端末であって、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末において、
前記受信端末は、
前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成し、前記音声用データを送信端末に転送し、
前記音声送出端末は、
前記地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶する記憶部と、
前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成する音声用文章作成部と、
前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する音声送出部と
を備える。
【0017】
本開示に係る受信端末は、特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを受信する受信端末であって、前記特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する音声送出端末と通信する受信端末において、
前記特定の放送地域に含まれるエリア情報における放送データを用いて、前記放送用コメントの音声の構成を表す音声用データであって、地域あるいは方向を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含む音声用データを生成する音声用データ生成部であって、
前記音声用データを、前記地域名称を特定するコードと、前記地域名称に対し地域あるいは方向を表す付加データを付与した変換後名称とを対応付けた名称変換テーブルと、前記放送用コメントに用いられる文節と前記文節の音声とが対応付けられており、前記文節である前記変換後名称には前記付加データに応じたイントネーションの音声が対応付けられている音声変換テーブルとを記憶部に記憶する前記音声送出端末であって、前記名称変換テーブルを用いて前記音声用データに含まれる前記コードに対応する前記地域名称を前記変換後名称に変換し、前記変換後名称を含む前記放送用コメントの候補となる音声用文章を作成し、前記音声変換テーブルを用いて、前記音声用文章に含まれる文節を再生することにより前記放送用コメントの音声を送出する前記音声送出端末に転送する音声用データ生成部を備える。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る放送用音声送出装置では、放送用コメントを、放送する地方に応じた適切なイントネーションの音声に自動変換することで、聞き手の違和感が小さい聞きやすい放送用コメントの音声を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1に係る放送用音声送出装置の構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る放送用音声送出装置の動作例を示すフロー図。
【
図3】実施の形態1に係る気象データの構成例を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る音声用データの構成例を示す図。
【
図5】実施の形態1に係る放送用音声送出装置の動作例において
図2の続きの動作例を示すフロー図。
【
図6】実施の形態1に係る名称変換テーブルの構成例を示す図。
【
図7】実施の形態1に係る音声用文章の例を示す図。
【
図8】実施の形態1に係る音声変換テーブルの構成例を示す図。
【
図9】実施の形態1に係る音声ファイルの構成例を示す図。
【
図10】実施の形態1に係る音声送出部により決定された音声ファイルの順序の例を示す図。
【
図11】実施の形態1の変形例に係る放送用音声送出装置の機能構成例を示す図。
【
図12】実施の形態1の変形例に係る放送用音声送出装置の構成例を示す図。
【
図13】実施の形態1に係る定義ファイルの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施の形態について、図を用いて説明する。各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一または相当する部分については、説明を適宜省略または簡略化する。図中の矢印はデータの流れまたは処理の流れを主に示している。また、以下の図では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、実施の形態の説明において、上、下、左、右、前、後、表、裏といった向きあるいは位置が示されている場合がある。これらの表記は、説明の便宜上の記載であり、装置、器具、あるいは部品等の配置、方向および向きを限定するものではない。
【0021】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る放送用音声送出装置100の構成例を示す図である。
放送用音声送出装置100は、特定の放送地域で放送される放送用コメントの音声を送出する。
具体的には、特定の放送地域における気象について放送する気象用コメントの音声68を送出する。気象用コメントは気象会社等から取得する気象データを元データとして生成される。気象用コメントは、特定の放送地域で放送される放送用コメントの例である。また、気象データは放送用コメントの元データとなる放送データの例である。
放送用音声送出装置100は、例えば、放送局に設けられるコンピュータである。
気象会社等とは、気象に関する実績データや予報データを気象データとして提供する会社等を示す。
【0022】
放送用音声送出装置100は、コンピュータである。放送用音声送出装置100は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0023】
放送用音声送出装置100は、機能要素として、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150と記憶部160とを備える。記憶部160には、気象データ61と気象データベース62と音声用データ63と名称変換テーブル64と音声用文章65と音声変換テーブル66と音声ファイル67と定義ファイル70が記憶される。
【0024】
データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との機能は、ソフトウェアにより実現される。記憶部160は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部160は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0025】
プロセッサ910は、放送用音声送出プログラムを実行する装置である。放送用音声送出プログラムは、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うICである。プロセッサ910の具体例は、CPU、DSP、GPUである。ICは、Integrated Circuit乗る悪後である。CPUは、Central Processing Unitの略語である。DSPは、Digital Signal Processorの略語である。GPUは、Graphics Processing Unitの略語である。
【0026】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM、あるいはDRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略語である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略語である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0027】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB端子である。なお、入力インタフェース930は、LANと接続されるポートであってもよい。USBは、Universal Serial Busの略語である。LANは、Local Area Networkの略語である。
【0028】
出力インタフェース940は、ディスプレイといった出力機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCDである。出力インタフェース940は、表示器インタフェースともいう。HDMI(登録商標)は、High Definition Multimedia Interfaceの略語である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略語である。
【0029】
通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNICである。NICは、Network Interface Cardの略語である。
【0030】
放送用音声送出プログラムは、放送用音声送出装置100において実行される。放送用音声送出プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、放送用音声送出プログラムだけでなく、OSも記憶されている。OSは、Operating Systemの略語である。プロセッサ910は、OSを実行しながら、放送用音声送出プログラムを実行する。放送用音声送出プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている放送用音声送出プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、放送用音声送出プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0031】
放送用音声送出装置100は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、放送用音声送出プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、放送用音声送出プログラムを実行する装置である。
【0032】
放送用音声送出プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0033】
データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との各部の「部」を「回路」、「工程」、「手順」、「処理」、あるいは「サーキットリー」に読み替えてもよい。放送用音声送出プログラムは、データ受信処理とデータ登録処理と音声用データ生成処理と音声用文章作成処理と音声送出処理とを、コンピュータに実行させる。データ受信処理とデータ登録処理と音声用データ生成処理と音声用文章作成処理と音声送出処理との「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」、「プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体」、または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」に読み替えてもよい。また、放送用音声送出方法は、放送用音声送出装置100が放送用音声送出プログラムを実行することにより行われる方法である。
放送用音声送出プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、放送用音声送出プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0034】
図13は、本実施の形態に係る定義ファイル70の構成例を示す図である。
図13に示すように、定義ファイル70は、音声用文章テンプレート70a、天気変換テーブル70b、降水確率変換テーブル(W1変換用)70cおよび降水確率変換テーブル(W2変換用)70dから構成される。後述するように音声用文章テンプレート70aは、音声用データ生成部130が音声用データ63を生成するときに参照される。また、音声用文章テンプレート70a、天気変換テーブル70b、降水確率変換テーブル(W1変換用)70cおよび降水確率変換テーブル(W2変換用)70dは、音声用文章作成部140が音声用データ63から音声用文章65を生成するときに参照される。
図13では、天気変換テーブル70bおよび降水確率変換テーブル(W1変換用)70cおよび降水確率変換テーブル(W2変換用)70dの3つの変換テーブルを例示した。定義ファイル70内には、音声用文章テンプレート70a内の変数(W1、W2・・・と定義される)との対応付けにより任意の数の変換テーブルが設定される。
【0035】
***動作の説明***
次に、本実施の形態に係る放送用音声送出装置100の動作について説明する。放送用音声送出装置100の動作手順は、放送用音声送出方法に相当する。また、放送用音声送出装置100の動作を実現するプログラムは、放送用音声送出プログラムに相当する。
【0036】
図2は、本実施の形態に係る放送用音声送出装置100の動作例を示すフロー図である。
本実施の形態では、放送用音声送出装置100は、特定の放送地域における気象について放送する気象用コメントの音声68を送出する。
【0037】
<データ受信処理>
ステップS101において、データ受信部110は、気象データ61の生データを気象会社等から受信する。具体的には、データ受信部110は、XML形式の気象データ61を気象会社等から受信する。XMLは、Extensible Markup Languageの略語である。
なお、気象データ61は、特定の放送地域で放送される放送用コメントの元データとなる放送データの例である。
【0038】
図3は、本実施の形態に係る気象データ61の構成例を示す図である。
気象データ61は、気象会社等から都道府県別のデータとして送信される。気象データ61は都道府県別のデータとして送信されるため、データ受信部110は、気象用コメントを放送する特定の放送地域を含む気象データ61を認識して受信することができる。
【0039】
気象データ61は、データ種別ごとに気象会社等から送信される。データ種別は、気象データ61の種別を表す。気象データ61の種別には、例えば、府県予報とアメダス情報とがある。
【0040】
<データ登録処理>
ステップS102において、データ登録部120は、気象データ61から、特定の放送地域に含まれるエリア情報における気象データを抽出し、データ種別ごとに気象データベース62に登録する。
具体的には、データ登録部120は、気象データ61のタグに基づいて、気象データ61からエリア情報を抽出する。エリア情報は、地域あるいは方向(方角も含む)を表す地域名称である。また、エリア情報には、放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称も含まれる。地域名称の具体例については後述する。
【0041】
図3の例では、エリア情報は、タグ<Area>内の情報であり、コードが「420010」の「南部」である。以下において、エリア情報を単にエリアと呼称する場合がある。
また、データ登録部120は、気象データ61のデータ種別をタグ情報から判定する。
図3の例では、タグ<Title>内の情報が「府県天気予報」であるため、データ種別は「府県予報」と判定される。タグ<Title>内の情報とデータ種別との対応付けは任意に設定可能である。
データ登録部120は、エリア情報における気象データを気象データ61から抽出し、データ種別とともに気象データベース62に登録する。
【0042】
<音声用データ生成処理>
ステップS103において、音声用データ生成部130は、特定の放送地域に含まれるエリア情報における気象データを用いて、気象用コメントの音声の構成を表す音声用データ63を生成する。音声用データ生成部130は、特定の放送地域の気象データに含まれるデータ種別を取得し、データ種別に応じた音声の構成を表す音声用データ63を生成する。音声用データ生成部130は、音声用データ63を生成するとき音声用文章テンプレート70aを参照して生成する。
なお、本実施の形態では、音声用データ63には、地域あるいは方向(方角)を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称をエリア情報として含むものとする。具体的には、本実施の形態では、音声用データ63には、地域あるいは方向(方角)を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称を特定するコードを含むものとする。
【0043】
図4は、本実施の形態に係る音声用データ63の構成例を示す図である。
図4には、データ種別が「府県予報」の音声用データ63と、データ種別が「アメダス情報」の音声用データ63とが示されている。
図3に示す気象データ61と、
図13に示す音声用文章テンプレート70aと、
図4に示すデータ種別が「府県予報」の音声用データ63とを用いて、具体的に説明する。
【0044】
図4に示すデータ種別が「府県予報」の音声用データ63では、「府県予報」を放送する際の気象用コメントの音声の構成を表している。[Sound_FIX]は音声用データ63として確定していることを示すタグであり、[Sound01]は音声用文章テンプレート70aの[Sound01]タグに登録された「Comment=」の右側部分を音声用文書の一部として入れ込むことを示すタグである。「Comment=」の右側部分の文章は、
図13に示すように「県内の今日の天気です」となる。音声用データ生成部130は、[Sound_FIX]と[Sound01]を定型的に入れるように動作する。
[Sound02]は天気予報、[Sound03]は降水確率を示すタグであり、音声用データ生成部130は、気象データ61から該当のデータを抽出する。例えば、気象データ61の<WeatherCodePart>が[Sound02]に該当し、refID=“1”が「南部(コードが420010)」に該当することが予め設定されている場合、音声用データ生成部130は、[Sound02]に、「南部(コードが420010)」に続く文字列「=:201::」を登録する。
また気象データ61の<ProbabilityofPrecipitationPart>が[Sound03]に該当し、refID=“1”が「南部(コードが420010)」に該当することが予め設定されている場合、音声用データ生成部130は、[Sound03]に、「南部(コードが420010)」に続く文字列「=::10:30」を登録する。
なお
図3は、気象データ61の一部を例示し、音声用データ63を生成する全ての元データは表示されていないが、音声用データ生成部130は、このように動作することで気象データ61から音声用データ63を生成する。
【0045】
「南部」は、地域、方向、あるいは方角を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称201であるものとする。
例えば、「府県予報」の気象用コメントでは、「長崎県の南部では」と言えば長崎県の南の地域を意味する。「府県予報」の気象用コメントにおける「南部」はコードが420010である。
一方、南部という固有名称が山梨県に存在し、イントネーションが標準語の南部とは異なると仮定する。このとき、「アメダス情報」の気象用コメントでは、「山梨県の南部(町)では」と言えば具体的な「南部(町)」を意味する。「アメダス情報」の気象用コメントにおける「南部」はコードが49316である。
例えば、「長崎県の南部では」の「南部」を、山梨県特有のイントネーションで放送してしまうと、長崎減の視聴者にとって違和感が大きくなり、聴き難い放送となってしまう。
【0046】
地域、方向、あるいは方角を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称201には、南部、中部、北部、上方、下方、上部、下部といった方向を表す名称に加え、西、南北、東西といった方角を表す名称も含まれる。また、地域、方向、あるいは方角を表すとともに放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称201には、福岡、富士見、広島、五条、王子(王寺)といった、全国に多数ある地名も含まれる。以下においては方向には方角も含むものとする。
【0047】
図5は、本実施の形態に係る放送用音声送出装置100の動作例において
図2の続きの動作例を示すフロー図である。
【0048】
<音声用文章生成処理>
ステップS104において、音声用文章作成部140は、音声用データ63に含まれるタグや文字列を文章に変換するために、音声用文章テンプレート70a、天気変換テーブル70b、降水確率変換テーブル(W1変換用)70cおよび降水確率変換テーブル(W2変換用)70dを用いる。音声用文章作成部140は、音声用文章テンプレート70aを参照して、音声用データ63の定義情報を順番に文章に変換する。まずは[Sound01]は音声用文章テンプレート70aを参照して、「県内の今日の天気です」に変換される。
次に、[Sound02]を変換するが、その際、音声用文章作成部140は、名称変換テーブル64を用いて、音声用データ63に含まれる地域名称201を変換後名称202に変換する。そして、音声用文章作成部140は、変換後名称202を含む気象用コメントの候補となる音声用文章65を作成する。このとき、音声用文章作成部140は、データ種別に応じた名称変換テーブル64を用いて、音声用文章65を生成する。
【0049】
図6は、本実施の形態に係る名称変換テーブル64の構成例を示す図である。
名称変換テーブル64は、地域あるいは方向を表すとともに、放送地域ごとに異なるイントネーションを有する地域名称201を特定するコードと、地域名称201に対し地域あるいは方向を表す付加データ301を付与した変換後名称202とを対応付けるためのテーブルである。
名称変換テーブル64は、気象データの種別を表すデータ種別ごとに記憶されている。
【0050】
名称変換テーブル64は、データ種別641とエリアを示すコード642と変換後名称テキストデータ643が設定されている。
データ種別641には、気象データの種別を表すデータ種別が設定される。データ種別には、例えば、府県予報とアメダス情報がある。名称変換テーブル64は、
図6の例のように、データ種別641の項目を有し、データ種別ごとに名称変換テーブルの設定項目を分けてもよい。あるいは、データ種別ごとに物理的に分離された名称変換テーブルでもよい。その場合はデータ種別641の項目を有していなくてよい。
コード642には、データ種別641に対応したエリアを示すコードが設定される。
図6では、「420010(南部)」のようにコードの後にカッコ書きで地域名称201であるエリアが記載されている。しかし、これはデータ種別および変換後名称との対応をわかり易くするために記載したものであり、実際は設定されていない。
【0051】
データ種別641とコード642との組み合わせで、例えばデータ種別641が府県予報で、コード642が420010のとき、変換後名称テキストデータ643には、変換後名称202のテキストデータが設定される。
図6の例では、府県予報の地域名称201である「南部」に対して、「南部<府県>」が変換後名称202として設定される。また、例えばデータ種別641がアメダス情報で、コード642が49316のとき、地域名称201である「南部」に対しては、「南部<山梨>」が変換後名称202として設定される。
「南部<府県>」における「<府県>」、および、「南部<山梨>」における「<山梨>」は、地域あるいは方向を表す付加データ301である。
【0052】
そして、文字列「=:201::」の部分は、天気変換テーブル70bを参照して「曇り時々晴れでしょう」となり、音声用文章テンプレート70aの定義により、[Sound02]は「南部<府県>は、曇り時々晴れでしょう」に変換される。
続いて、[Sound03]を変換するが、音声用文章テンプレート70aと降水確率変換テーブル(W1変換用)70cおよび降水確率変換テーブル(W2変換用)70dを参照することにより、[Sound03]は「降水確率は、正午まで10%、午後6時まで30%となっています」に変換される。このとき、降水確率変換テーブル(W1変換用)70cを参照して、W1が10であることから「正午まで10%」が特定され、降水確率変換テーブル(W2変換用)70dを参照して、W2が30であることから「午後6時まで30%」が特定される。
【0053】
図7は、本実施の形態に係る音声用文章65の例を示す図である。
図7の上段と下段の音声用文章65は、上段が再生時間の長さの調整前の音声用文章65の例であり、下段が再生時間の長さの調整後の音声用文章65の例を表す。音声用文章65における再生時間の長さの調整については後述する。
【0054】
例えば、音声用文章作成部140は、
図6に示すデータ種別「府県予報」の名称変換テーブル64を用いて、
図4に示すデータ種別「府県予報」の音声用データ63から、
図7に示す上段の音声用文章65を作成する。
図7に示す上段の音声用文章65では、音声用データ63に含まれる地域名称201「南部」が、変換後名称202「南部<府県>」に変換されている。また、カッコ「<>」内は発話されない情報と予め定めておく。
【0055】
ステップS105において、音声用文章作成部140は、作成した音声用文章65の再生時間が規定の長さ以内か否かを判定する。
具体的には、音声用文章作成部140は、音声用文章65に用いられるすべての文節の各々の音声ファイルの再生時間を合計し、再生時間の合計値が規定の長さ以内かを判定することで、音声用文章65の再生時間が規定の長さ以内か否かを判定する。
ここで、文節とは、音声ファイルの単位を示すものとする。よって文節には単語も含まれる。
音声用文章65の再生時間が規定の長さ以内でなければ、ステップS106に進む。
音声用文章65の再生時間が規定の長さ以内であれば、ステップS107に進む。
【0056】
音声用文章65の再生時間が規定の長さ以内でなければ、ステップS106において、音声用文章作成部140は、予め定められたルールにしたがって音声用文章65を調整する。
図7の例では、上段の音声用文章65を下段の音声用文章65に調整した例を示している。上段の音声用文章65における「降水確率は、正午まで10%、午後6時まで30%となっています」を、下段の音声用文章65では「降水確率は、正午まで10%となっています」に調整して、音声用文章65の再生時間を短縮している。
予め定められたルールとは、例えば「一番時間が遅い予報情報から削除する」(
図7の例示だとW2の部分)であり、規定の長さ以内になるようにステップS105の判定とステップS106の処理とは繰り返される。
【0057】
ステップS107において、音声用文章作成部140は、再生時間が規定の長さ以内である音声用文章65を出力する。
【0058】
<音声送出処理>
音声用文章65が完成すると、音声送出部150は、音声変換テーブル66を用いて、音声用文章65に含まれる文節を再生することにより気象用コメントの音声68を送出する。
具体的には、以下の通りである。
【0059】
まず、ステップS108において、音声送出部150は、音声変換テーブル66を用いて、音声用文章65に含まれる文節の順に応じて音声ファイル67の順序を決定する。
【0060】
図8は、本実施の形態に係る音声変換テーブル66の構成例を示す図である。
図9は、本実施の形態に係る音声ファイル67の構成例を示す図である。
音声変換テーブル66は、気象用コメントに用いられる文節と、文節の音声とが対応付けられている。具体的には、音声変換テーブル66は、気象用コメントに用いられる文節のテキストデータと、文節の音声を格納した音声ファイルを識別する音声ファイル識別情報とが対応付けられている。
【0061】
音声変換テーブル66には、文節テキストデータ661と、文節テキストデータ661に設定された文節の音声を格納した音声ファイルの音声ファイル識別情報662とが設定される。
文節テキストデータ661の1~3行目の例示は、
図13に示した音声用文章テンプレート70a[Sound02]タグの「%Pは」に対応する。「%P」はエリア情報に対応し、その後「は」という助詞が付くため、例示では「北部は」、「南部<府県>は」、「南部<山梨>は」となる。音声用文章テンプレート70aのタグの指定により、エリア情報の後に任意の助詞を付与した、音声ファイル67を構成する。
図9に示すように、音声ファイル67の各々は、音声ファイル識別情報662で検索可能な構成となっている。
【0062】
音声変換テーブル66では、気象用コメントに用いられる文節が文節テキストデータ661として設定される。
文節が放送地域によって異なるイントネーションを有する地域名称201の場合、文節テキストデータ661には、変換後名称202が設定される。よって、
図8に示すように、文節テキストデータ661には、地域名称201「南部」に対応する変換後名称202として、「南部<府県>」と「南部<山梨>」が設定されている。
そして、各変換後名称202には付加データに応じたイントネーションの音声が格納された音声ファイルが対応付けられている。
【0063】
このように、音声変換テーブル66では、文節と文節の音声が格納された音声ファイルとが対応付けられており、文節である変換後名称202には、付加データに応じたイントネーションの音声が格納された音声ファイルが対応付けられている。
例えば、変換後名称202の音声には、予め地方のアナウンサーから入手した音声を格納することで適切なイントネーションの音声を格納しておく。
【0064】
ステップS109において、音声送出部150は、決定した順序で音声ファイル67を再生することにより気象用コメントの音声68を送出する。
【0065】
図10は、本実施の形態に係る音声送出部150により決定された音声ファイル67の順序の例を示す図である。
図10に示すように、決定された音声ファイル67の順序で音声ファイル67を再生することにより、気象用コメントの音声68が送出される。
【0066】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、特定の放送地域における気象について放送する放送用コメント(気象用コメント)の音声を送出する放送用音声送出装置100について説明した。しかし、放送用音声送出装置は、気象以外の情報を放送する放送用コメントを送出する際にも適用可能である。
【0067】
<変形例2>
本実施の形態では、放送用音声送出装置100は、放送局に設けられるコンピュータであると説明した。より詳しくは、放送用音声送出装置100は、受信端末10と送信端末20とから構成されていてもよい。
【0068】
図11は、本実施の形態の変形例に係る放送用音声送出装置100の機能構成例を示す図である。
図11に示すように、放送用音声送出装置100の機能が、受信端末10と送信端末20に分散されていてもよい。
受信端末10では、気象会社から気象データ61を取得し、音声用データ生成部130が、上述した音声用データ生成処理により音声用データ63を生成する。
音声用データ63は、受信端末10から送信端末20に転送される。
送信端末20では、受信端末10から転送された音声用データ63と名称変換テーブル64とを用いて、音声用文章作成部140が、上述した音声用文章作成処理により音声用文章65を作成する。以降の処理についても上述した処理と同様である。
【0069】
<変形例3>
本実施の形態では、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との機能がソフトウェアで実現される。変形例として、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との機能がハードウェアで実現されてもよい。
具体的には、放送用音声送出装置100は、プロセッサ910に替えて電子回路909を備える。
【0070】
図12は、本実施の形態の変形例に係る放送用音声送出装置100の構成例を示す図である。
電子回路909は、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0071】
データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
【0072】
別の変形例として、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。また、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との一部またはすべての機能がファームウェアで実現されてもよい。
【0073】
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、データ受信部110とデータ登録部120と音声用データ生成部130と音声用文章作成部140と音声送出部150との機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0074】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る放送用音声送出装置では、例えば、天気番組放送システムの音声送出にて、気象データより気象用コメントを作成し、気象用コメントを音声ファイルに変換する際、同じ読みの単語であっても地方に応じたイントネーションの音声ファイルを選択することができる。よって、同じ読みの単語におけるイントネーションの誤りを防ぐことができる。
また放送の場合、放送時間の制限等から気象用コメントの音声68の再生時間に関して、規定の長さ以内に収める必要がある。ステップS105で気象用コメントの音声68の再生時間に関する判定を行うとき、付加データに応じたイントネーションの音声ファイルにて再生時間を算出しているので、判定結果と実際の再生時間の差異が出ることはなく、判定結果の精度が高いと言える。
したがって、本実施の形態に係る放送用音声送出装置によれば、気象用コメントの音声の送出において、放送する地方に応じた適切なイントネーションに気象用コメントの音声を自動変換でき、聴き手の違和感が小さい聴きやすい音声を提供することができる。
【0075】
以上の実施の形態1では、放送用音声送出装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、放送用音声送出装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。放送用音声送出装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、放送用音声送出装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、この実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、この実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0076】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、フロー図あるいはシーケンス図を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 受信端末、20 送信端末、61 気象データ、62 気象データベース、63 音声用データ、64 名称変換テーブル、65 音声用文章、66 音声変換テーブル、67 音声ファイル、68 気象用コメントの音声、70 定義ファイル、70a 音声用文章テンプレート、70b 天気変換テーブル、70c 降水確率変換テーブル(W1変換用)、70d 降水確率変換テーブル(W2変換用)、100 放送用音声送出装置、110 データ受信部、120 データ登録部、130 音声用データ生成部、140 音声用文章作成部、150 音声送出部、160 記憶部、201 地域名称、202 変換後名称、301 付加データ、641 データ種別、642 コード、643 変換後名称テキストデータ、661 文節テキストデータ、662 音声ファイル識別情報、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、950 通信装置。