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特許7426469アラート通知システム及びアラート通知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】アラート通知システム及びアラート通知方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/12 20060101AFI20240125BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240125BHJP
   F24F 11/33 20180101ALI20240125BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240125BHJP
   G01N 27/12 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G08B21/12
F24F7/007 B
F24F11/33
F24F11/64
G01N27/12 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022501652
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2020046605
(87)【国際公開番号】W WO2021166393
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2020026196
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英数
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1912624(KR,B1)
【文献】特開平10-302177(JP,A)
【文献】特開2006-122644(JP,A)
【文献】特開2000-117044(JP,A)
【文献】特開2011-014156(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0037558(KR,A)
【文献】実開平07-037731(JP,U)
【文献】特表2008-533419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/12
F24F 7/007
F24F 11/33
F24F 11/64
G01N 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切られた第1空間に存在する検知対象ガスに含まれる臭気成分の量と、前記第1空間とは異なる第2空間に存在する検知対象ガスに含まれる臭気成分の量とを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記第1空間の第1空気質を算出すると共に前記第2空間の第2空気質を算出し、前記第1空気質の前記第2空気質に対する比が所定の値以上である場合にアラートを通知し、前記第1空気質の前記第2空気質に対する比が前記所定の値を下回る場合にはアラートを通知しない制御装置と、
前記第1空間に存在する検知対象ガス又は前記第2空間に存在する検知対象ガスを前記検出部に供給する状態に切換える切換え部と、
を備え
前記検出部は、前記第1空間に存在する検知対象ガスと前記第2空間に存在する検知対象ガスとを異なるタイミングでそれぞれ検出するアラート通知システム。
【請求項2】
前記検出部は、
前記第1空間に存在する臭気成分を検出する第1検出部と、
前記第2空間に存在する臭気成分を検出する第2検出部と、
を備えた請求項1記載のアラート通知システム。
【請求項3】
仕切られた第1空間に存在する検知対象ガスに含まれる臭気成分と、前記第1空間とは異なる第2空間に存在する検知対象ガスに含まれる臭気成分とを検出部で検出する検出工程と、
前記第1空間に存在する検知対象ガス又は前記第2空間に存在する検知対象ガスを前記検出部に供給する状態に切換える切換え工程と、
前記検出工程における前記検出部の検出結果に基づいて前記第1空間の第1空気質を算出すると共に前記第2空間の第2空気質を算出し、前記第1空気質の前記第2空気質に対する比を算出する算出工程と、
前記第1空気質の前記第2空気質に対する比が所定の値以上である場合にアラートを通知し、前記第1空気質の前記第2空気質に対する比が前記所定の値を下回る場合にはアラートを通知しないアラート通知工程と、
を含み、
前記検出工程は、前記第1空間に存在する検知対象ガスと前記第2空間に存在する検知対象ガスとを異なるタイミングでそれぞれ検出するアラート通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラート通知システム及びアラート通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内や車内等の閉じられた空間における空気質(air quality)は、匂い成分(臭気成分)の濃度(匂いの強さ)、粉塵の量、温度、湿度等を指標として判断されている。空気質の大きさや変化割合等は空間内における人の快適性に影響を与え易く、人に不快感等の心理的な印象を与える場合がある。そのため、室内における空気質を把握するため、種々の空気質を検知する装置が提案されている。
【0003】
このような空気質を検知する装置として、例えば、空気に含まれる匂いの原因物質の量を検出する、少なくとも1つの検出素子を含むセンサ装置と、それぞれの検出素子の検出値に基づいて空気の匂いの強さを判定する判定部と、空気の匂いの強さが予め定められた閾値より大きい場合にアラームを出力するアラーム出力部とを有するセンシングシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2019-113420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のセンシングシステムのように、匂いの原因物質の量を閾値に基づいて判定しても、人が不快と感じる感覚とは合わない場合があるという問題があった。すなわち、空間に臭いの原因物質が多く存在している場合、特許文献1のセンシングシステムはアラートを出力するが、人がその空間(例えば車室内)に入る前の空間(例えば車室外)にその臭いの原因物質が多く存在していると、人はその匂いの原因物質に鈍感になっていて、不快とは感じない場合がある。また、空間に臭いの原因物質が少ししか存在しない場合、特許文献1のセンシングシステムはアラートを出力しないが、人がその空間(例えば車室内)に入る前の空間(例えば車室外)にその臭いの原因物質が全く存在していないと、人はその匂いの原因物質に敏感になっていて、不快と感じる場合がある。
【0006】
本発明の一態様は、人の感覚とのズレが少ないアラートを通知することができるアラート通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアラート通知システムの一態様は、仕切られた第1空間に存在する検知対象ガスに含まれる臭気成分の量と、前記第1空間とは異なる第2空間に存在する検知対象ガスに含まれる臭気成分の量とを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて前記第1空間の第1空気質を算出すると共に前記第2空間の第2空気質を算出し、前記第1空気質の前記第2空気質に対する比が所定の値以上である場合にアラートを通知し、前記第1空気質の前記第2空気質に対する比が前記所定の値を下回る場合にはアラートを通知しない制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアラート通知システムの一態様は、人間の感覚とのズレが少ないアラートを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る臭気アラートシステムアラート通知システムの構成を示すシステム構成図である。
図2】制御装置の機能を示すブロック図である。
図3】制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るアラート通知方法を説明するフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態に係るアラート通知システムの構成を示すシステム構成図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るアラート通知方法を説明するフローチャートである。
図7】アラート通知システムの他の構成の一例を示すシステム構成図である。
図8】本発明の第3の本実施形態に係るアラート通知システムの構成を示すシステム構成図である。
図9】本発明の第3の本実施形態に係るアラート通知方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書において数値範囲を示すチルダ「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0011】
[第1の実施形態]
<アラート通知システム>
本発明の第1の実施形態に係るアラート通知システムについて説明する。本実施形態に係るアラート通知システムは、仕切られた第1空間内に存在する検知対象ガスである空気に含まれる臭気成分を検出して、第1空間の空気質の変化を検出するものである。本実施形態では、第1空間が、例えば、家、オフィスビル、ホテル等の建物の部屋、居室、寝室、客室、更衣室、風呂場、トイレ等の室内空間である場合について説明する。
【0012】
空気質とは、空間内に存在する検知対象ガス(空気)に含まれる、匂いの原因物質である匂い成分(臭気成分)の濃度、粉塵の量、空気の温度や湿度等をいう。臭気成分とは、匂いを構成する化学物質をいい、臭気成分としては、揮発性有機化合物(VOC)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、アンモニア(NH3)、アルコール、ホルムアルデヒド(HCHO)、アセトアルデヒド(CH3CHO)、硫化水素(H2S)、酢酸(CH3COOH)、低級脂肪酸、イソ吉草酸、フェノール、クレゾール、ノネナール、メチルメルカプタン、インドール、ピリジン、トリメチルアミン等が挙げられる。
【0013】
図1は、本実施形態に係るアラート通知システムの構成を示すシステム構成図である。図1に示すように、アラート通知システム1Aは、アラート通知装置(以下、単に、制御装置という。)10と、検出装置20Aと、通信装置30とを備える。アラート通知システム1Aでは、検出装置20Aの検出値が通信装置30から通信ネットワーク40を介して制御装置10に送信される。
【0014】
制御装置10は、仕切られた第1空間である建物の部屋(室内)の空気(内気)の第1空気質S1の算出値と、第1空間とは異なる第2空間である建物の外側(室外)の空気(外気)の第2空気質S2の算出値とを取得し、得られた第1空気質S1及び第2空気質S2の算出値に基づいて、第1空気質S1の第2空気質S2に対する比(S1/S2)を算出する。制御装置10は、算出した、第1空気質S1の第2空気質S2に対する比(S1/S2)の算出値に基づいて、アラートの発生の有無の信号を送信する。制御装置10のハードウェア構成については後述する。
【0015】
制御装置10は、検出装置20Aで、内気と外気とを異なるタイミングでそれぞれ検出することができる。
【0016】
制御装置10の構成について説明する。図2は、制御装置10の機能を示すブロック図である。図2に示すように、制御装置10は、取得部11、切換え部12、記憶部13、算出部14、判定部15及び出力部16を備える。
【0017】
取得部11は、通信装置30を介して送られる、検出素子211・・・21Nの、空気に含まれる臭気成分の量(臭気成分の濃度)を示す検出値を取得する。取得部11は、取得した検出素子211・・・21Nの検出値(検出結果)を入力情報として算出部14に入力する。
【0018】
切換え部12は、検出装置20Aが備える三方弁23の通路を切り替える信号を出力する。
【0019】
記憶部13は、第1空気質S1の第2空気質S2に対する比(S1/S2)の所定の値(閾値)に関する情報を記憶する。閾値は、人が不快に感じる値であればよく、例えば、第1空気質S1と第2空気質S2との差、検出素子211・・・21Nの数や感度、検出する臭気成分の種類等に応じて適宜設定可能である。
【0020】
算出部14は、取得部11で検出した、検出素子211・・・21Nの検出値(検出結果)に基づいて、第1空気質S1及び第2空気質S2を算出する。そして、算出部14は、室内の空気の第1空気質S1の算出値の、室外の空気の第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)を算出する。
【0021】
算出部14は、検出素子211・・・21Nの検出値を総合的に評価して、第1空気質S1及び第2空気質S2を算出する。例えば、検出された検出素子211・・・21Nのそれぞれの室内の検出値の平均値に基づいて第1空気質S1の大きさを決定し、検出素子211~21Nのそれぞれの室外の検出値の平均値に基づいて第2空気質S2の大きさを決定することができる。また、検出素子211~21Nのそれぞれの室内及び室外の検出値の最大値又は最小値を用いて、第1空気質S1及び第2空気質S2の大きさを決定してもよい。さらに、検出された検出素子211・・・21Nのそれぞれの室内の検出値ごとに算出した空気質の大きさの平均値を第1空気質S1の大きさと決定し、検出された検出素子211・・・21Nのそれぞれの室外の検出値ごとに算出した空気質の大きさの平均値を第2空気質S2の大きさと決定してもよい。
【0022】
判定部15は、算出部14で算出したS1/S2の算出値に基づいて、所定の閾値以上であるか否か判断して、アラートの通知の有無を判定する。判定部15は、S1/S2の算出値が所定の閾値以上である場合には、アラートを通知する判定をし、出力部16にアラートを通知させる信号を出力する。S1/S2の算出値が所定の閾値を下回る場合には、判定部15は、アラートを通知しない判定をし、アラートを通知させない信号を出力する。
【0023】
出力部16は、算出部14で出力された出力結果を示す情報を出力する。すなわち、出力部16は、S1/S2が所定の値以上であることを示すアラートを通知させる。例えば、出力部16は、アラートを表示又は音声により出力することができる。
【0024】
検出装置20Aは、第1空間である建物の室内又は室外に存在する空気に含まれる臭気成分を検出するものである。図1に示すように、検出装置20Aは、検出部であるセンサ部21と、センサ部21を収容する本体22と、切換え部である三方弁23と、第1通路24Aと、第2通路24Bと、合流流路25と、ファン26とを有する。
【0025】
センサ部21は、複数の検出素子211・・・21N(Nは、2以上の整数である)を備えるセンサユニットである。なお、センサ部21は、1つの検出素子211のみを備えてもよい。
【0026】
検出素子211・・・21Nは、異なる種類の素子である。検出素子211・・・21Nは、本体22内に供給される、第1空間である室内又は第2空間である室外の空気中に含まれる、異なる種類の臭気成分の濃度を検出する。検出素子211・・・21Nは、同一種類の臭気成分の量を異なる感度で検出してもよい。検出素子211・・・21Nは、第1空間内に供給される、第1空間内に存在する空気の臭気成分の濃度と、第1空間とは異なる第2空間である室外に存在する空気の臭気成分の濃度を検出する。
【0027】
検出素子211・・・21Nは、半導体素子を備える半導体式センサ等を用いることができる。半導体式センサでは、半導体素子の表面で表面に吸着している酸素が匂いの原因である臭気成分と反応(表面反応)して離脱することによって、半導体素子の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化から、空間内に存在する空気中の臭気成分の濃度が測定される。そして、測定された臭気成分の濃度を電気量に変換し、臭気成分の濃度に対応する電気信号を臭気強度として出力する。
【0028】
検出素子211・・・21Nは、VOC、CO、CO2、NH3、アルコール、アセトアルデヒド等のそれぞれの臭気成分に対応したガスセンサを用いることができる。検出素子211・・・21Nとしては、例えば、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)検出用ガスセンサ、CO検出用ガスセンサ、CO2検出用ガスセンサ、アンモニア検出用ガスセンサ、アルコール検出用ガスセンサ、アルデヒド検出用ガスセンサ、炭化水素検出用ガスセンサ、アミン系化合物検出用ガスセンサ等が用いられる。また、検出素子211・・・21Nは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプのセンサでもよい。
【0029】
検出素子211・・・21Nは、複数の臭気成分に対して反応するものでもよいし、一つの臭気成分のみに対して反応するものでもよい。
【0030】
検出装置20Aは、臭気成分を検出する検出素子211・・・21Nの他に、煤塵の量を測定する不図示のセンサや、温度を測定する不図示の温度センサや、湿度を測定する不図示の湿度センサを備えてもよい。
【0031】
本体22は、建物の室内に設けることができる。なお、本体22は、建物の壁面内に設けてもよい。
【0032】
三方弁23は、第1通路24A又は第2通路24Bと合流流路25とを連通させることができる。三方弁23は、第1通路24Aと合流流路25とを連通させることで、第1空間である室内の空気をセンサ部21に供給することができる。三方弁23は、第2通路24Bと合流流路25とを連通させることで、第2空間である室外の空気をセンサ部21に供給することができる。よって、三方弁23は、第1空間である室内の空気をセンサ部21に供給する状態と、第2空間である室外の空気をセンサ部21に供給する状態とを切り替えることができる。
【0033】
第1通路24Aは、一端が三方弁23に連結され、他端が室内に開放されている。そのため、第1通路24Aは、室内の空気を三方弁23に送る通路として機能することができる。
【0034】
第2通路24Bは、一端が三方弁23に連結され、他端が室外に開放されている。そのため、第2通路24Bは、室外の空気を三方弁23に送る通路として機能することができる。
【0035】
合流流路25は、一端が本体22に連結され、他端が三方弁23に連結されている。そのため、合流流路25は、本体22と三方弁23とを接続する通路として機能することができる。
【0036】
ファン26は、本体22の流出口に設けられている。ファン26は、室内又は室外から空気を本体22内に取り込み、取り込んだ空気を本体22内からセンサ部21に供給する。本体22内に取り込まれた空気は、本体22の流出口に設けたファン26の隙間から外部に排出させることができる。ファン26の風量は、本体22の大きさ等に応じて適宜設定可能である。
【0037】
検出装置20Aは、センサ部21、三方弁23及びファン26の動作を制御及び管理する、不図示の制御部を備えてもよい。また、検出装置20Aは、センサ部21、三方弁23及びファン26の動作電力を、建物に備えられている電力源から取得する不図示の電力取得部を備えてもよい。なお、検出装置20Aは、センサ部21、三方弁23及びファン26に動作電力を供給する不図示の電池を不図示の電力取得部に代えて備えてもよいし、不図示の電力取得部と共に備えてもよい。
【0038】
通信装置30は、センサ部21で検出された信号を通信ネットワーク40に送信する。すなわち、通信装置30は、センサ部21で検出された臭気成分の量を示す検出値を表す信号を通信ネットワーク40に送信する。
【0039】
(制御装置10のハードウェア構成)
次に、制御装置10のハードウェア構成の一例について説明する。図3は、制御装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置10は、情報処理装置(コンピュータ)で構成され、物理的には、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit:プロセッサ)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、入力デバイスである入力装置104、出力装置105、通信モジュール106並びにハードディスク等の補助記憶装置107等を含むコンピュータシステムとして構成することができる。これらは、バス108で相互に接続されている。なお、出力装置105及び補助記憶装置107は、外部に設けられていてもよい。
【0040】
CPU101は、アラート通知システム1Aの全体の動作を制御し、各種の情報処理を行う。CPU101は、ROM103又は補助記憶装置107に格納されたアラート通知プログラムを実行して、測定収録画面と解析画面の表示動作を制御する。
【0041】
RAM102は、CPU101のワークエリアとして用いられ、主要な制御パラメータや情報を記憶する不揮発RAMを含んでもよい。
【0042】
ROM103は、基本入出力プログラム等を記憶する。アラート通知プログラムはROM103に保存されてもよい。
【0043】
入力装置104は、キーボード、マウス、操作ボタン、タッチパネル等の入力デバイスであり、使用者に入力された情報を指示信号として受け付け、その指示信号をCPU101に出力する。
【0044】
出力装置105は、モニタディスプレイ、スピーカー等である。出力装置105では、判定結果等が表示されたり、通知される。出力装置105は、入力装置104や通信モジュール106を介した入出力操作に応じて画面や通知内容が更新される。
【0045】
通信モジュール106は、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスであり、外部のデータ収録サーバ等からの情報を取り込み、他の電子機器に解析情報を出力する通信インタフェースとして機能する。
【0046】
補助記憶装置107は、SSD(Solid State Drive)、及びHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置であり、例えば、アラート通知プログラムやアラート通知システム1Aの動作に必要な各種のデータ、ファイル等を格納する。
【0047】
図2に示す制御装置10の各機能は、CPU101、RAM102等の主記憶装置又は補助記憶装置107に所定のコンピュータソフトウェア(アラート通知プログラムを含む)を読み込ませ、RAM102、ROM103又は補助記憶装置107に格納されたアラート通知プログラム等をCPU101により実行する。入力装置104、出力装置105及び通信モジュール106を動作させると共に、RAM102、ROM103及び補助記憶装置107等におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで、制御装置10の各機能は、実現される。すなわち、アラート通知プログラムをコンピュータ上で実行させることで、制御装置10は、図2の、取得部11、切換え部12、記憶部13、算出部14、判定部15及び出力部16として機能する。
【0048】
アラート通知プログラムは、例えばコンピュータが備える記憶装置内に格納される。なお、アラート通知プログラムは、その一部又は全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、コンピュータが備える通信モジュール106等により受信されて記録(インストールを含む)される構成としてもよい。また、アラート通知プログラムは、その一部又は全部が、CD-ROM、DVD-ROM、フラッシュメモリ等の持ち運び可能な記憶媒体に格納された状態から、コンピュータ内に記録(インストールを含む)される構成としてもよい。
【0049】
アラート通知システム1Aは、制御装置10と検出装置20Aとを備え、制御装置10は、算出部14で、センサ部21の検出値(検出結果)に基づいて、第1空気質S1と第2空気質S2とを算出してS1/S2を算出し、S1/S2が所定の値以上である場合にアラートを通知し、S1/S2が所定の値を下回る場合にはアラートを通知しないようにしている。制御装置10が、S1/S2を用いることで、室内の第1空気質S1の変化量を適格に把握することができる。そのため、室内に匂いの原因である臭気成分が多く存在して空気質が高く、所定時間の経過後に室内の空気質がそれほど上がらない場合には、アラートを通知しないようにすることができる。この場合、人はその空気質に慣れて不快とは感じないことが多いため、アラートの通知は不要な状態であるといえる。また、室内が極めて清浄な環境であり空気質が低いが、所定時間の経過後に空間内の匂いの原因物質の濃度が少し上がる程度である場合には、アラートを通知するようにすることができる。この場合、人は不快と感じる場合がある状態と言えるため、アラートの通知が必要な状態であるといえる。よって、アラート通知システム1Aは、制御装置10がS1/S2を用いることで、室内の第1空気質S1の変化量を適格に把握することができるので、人の感覚とのズレが小さいアラートを通知させることができる。
【0050】
したがって、アラート通知システム1Aは、新たに次の使用者に不快等の心理的な印象を与えることを低減することができる。よって、アラート通知システム1Aを用いれば、次の使用者が部屋を利用等する前に、予め室内の空気の排気、脱臭、メンテナンス、部屋の清掃等が必要であるか否かを適格に判断することができる。
【0051】
アラート通知システム1Aは、三方弁23を備えることで、第1通路24Aと合流流路25とを連通させて室内の空気をセンサ部21に供給する状態と、第2通路24Bと合流流路25とを連通させて室外の空気をセンサ部21に供給する状態とに切り替えることができる。これにより、アラート通知システム1Aは、室内の空気と室外の空気とをセンサ部21で異なるタイミングでそれぞれ検出することができる。そのため、アラート通知システム1Aは、一つのセンサ部21で室内の空気と室外の空気とを検出することができるため、検出装置20Aをコンパクトにすることができる。また、アラート通知システム1Aは、三方弁23に連結される第1通路24A及び第2通路24Bを備えることで、室内及び室外の空気の供給位置を任意の場所に容易に設けることができる。
【0052】
アラート通知システム1Aは、上述の通り、室内の臭気強度の変化を人の感覚とのズレを少なくしてアラートを通知させることができることから、建物の室内空間以外に、自動車、バス、電車等の車内、飛行機や船舶等の機内等のように閉ざされた空間の空気質の変化を検知してアラートを通知させるアラート発生システムとして好適に用いることができる。
【0053】
<アラート通知方法>
次に、本実施形態に係るアラート通知システム1Aを用いて、本実施形態に係るアラート通知方法について説明する。本実施形態に係るアラート通知方法は、図1に示すような構成を有するアラート通知システム1Aにおいて、仕切られた空間内に存在する空気に含まれる臭気成分を検出して、空間の空気質の変化を検出する。
【0054】
図4は、本実施形態に係るアラート通知方法を説明するフローチャートである。図4に示すように、本実施形態に係るアラート通知方法は、以下の工程を含む。
センサ部21で室内の臭気成分を検出する第1検出工程(ステップS11):
室内の臭気成分を検出した時のセンサ部21の検出値を取得して入力する第1入力工程(ステップS12):
三方弁23の連結する通路を切換える切換え工程(ステップS13):
センサ部21で室外の臭気成分を検出する第2測定工程(ステップS14):
室外の臭気成分を検出した時のセンサ部21の検出値を入力する第2入力工程(ステップS15):
室内の臭気成分の濃度に基づいて算出した第1空気質S1の算出値の、室外の臭気成分の濃度に基づいて算出した第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)を算出するS1/S2の算出工程(ステップS16):
S1/S2が所定の閾値以上であるか否かの判定工程(ステップS17):
S1/S2が所定の閾値以上である場合にアラートを通知するアラート通知工程(ステップS18):
【0055】
切換え部12は、三方弁23により第1通路24Aと合流流路25とを連通させる。そして、取得部11は、センサ部21が備える複数の検出素子211・・・21Nで、室内の空気中に含まれる臭気成分を測定した時の検出値を取得する(第1測定工程:ステップS11)。
【0056】
次に、取得部11は、検出素子211・・・21Nで取得した室内の臭気成分の検出値に関する情報を取得して入力する(第1入力工程:ステップS12)。
【0057】
次に、切換え部12は、三方弁23の連結する通路を切換え、第1通路24Aと合流流路25との連通させている状態を、第2通路24Bと合流流路25とを連通させる状態に切り替える(切換え工程:ステップS13)。
【0058】
次に、取得部11は、センサ部21が備える複数の検出素子211・・・21Nで、室外の空気中に含まれる臭気成分を測定した時の検出値を取得する(第2測定工程:ステップS14)。
【0059】
次に、取得部11は、検出素子211・・・21Nで取得した室外の臭気成分の検出値に関する情報を入力する(第2入力工程:ステップS15)。
【0060】
次に、算出部14は、室内の臭気成分の濃度に基づいて算出した第1空気質S1の算出値の、室外の臭気成分の濃度に基づいて算出した第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)に関する情報を算出する(算出工程:ステップS16)。
【0061】
算出部14は、ステップS12にて入力された検出素子211・・・21Nの室内の臭気成分の濃度を検出した時の検出値に基づいて第1空気質S1を算出する。同様に、算出部14は、ステップS15にて入力された検出素子211・・・21Nの室外の臭気成分の濃度を検出した時の検出値に基づいて第2空気質S2を算出する。算出部14は、第1空気質S1に関する情報と第2空気質S2に関する情報とを用いて、第1空気質S1の算出値の、第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)に関する情報を算出する。
【0062】
次に、判定部15は、室内の空気の第1空気質S1の算出値の、室外の空気の第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)が、所定の閾値以上であるか判定する(判定工程:ステップS17)。
【0063】
判定部15は、S1/S2が所定の閾値以上である場合(ステップS17:Yes)には、出力部16により、アラートを通知させる(ステップS18)。
【0064】
一方、判定部15は、S1/S2が所定の閾値を下回る場合(ステップS17:No)には、アラートを通知させず(ステップS18)、第1測定工程(ステップS11)に移行する。
【0065】
制御装置10は、アラートの通知(ステップS18)後、終了する。制御装置10は、以上の処理を、所定時間経過毎に、繰り返して実行してもよい。
【0066】
なお、本実施形態では、制御装置10は、室外の臭気成分を検出した後、三方弁23の連結する通路を切換え、室内の臭気成分を検出してもよい。すなわち、制御装置10は、第2測定工程(ステップS14)及び第2入力工程(ステップS15)を行った後、切換え工程(ステップS13)、第1測定工程(ステップS11)及び第1入力工程(ステップS12)の順に行ってもよい。
【0067】
本実施形態に係るアラート通知方法は、第1測定工程(ステップS11)、第2測定工程(ステップS14)、S1/S2の算出工程(ステップS16)、判定工程(ステップS17)及びアラート通知工程(ステップS18)を含んでいる。本実施形態に係るアラート通知方法は、算出工程(ステップS16)においてS1/S2を算出し、判定工程(ステップS17)でアラート通知の有無を判定している。本実施形態に係るアラート通知方法は、S1/S2を用いることで、室内の第1空気質S1の変化量を適格に把握することができる。よって、本実施形態に係るアラート通知方法を用いれば、人の感覚とのズレが小さいアラートを通知させることができる。
【0068】
したがって、本実施形態に係るアラート通知方法を用いれば、新たに次の使用者に不快等の心理的な印象を与えることを低減することができる。
【0069】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るアラート通知システムについて説明する。本実施形態に係るアラート通知システムは、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aにおいて、検出装置20Aの本体22の内部に室内の空気と室外の空気とがそれぞれ供給されるための取込空間を設け、切換え部として三方弁23に代えてスライド板を用いたものである。
【0070】
図5は、本実施形態に係るアラート通知システムの構成を示すシステム構成図である。図5に示すように、アラート通知システム1Bは、制御装置10と、検出装置20Bと、通信装置30とを備えている。本実施形態では、検出装置20Bの構成以外は、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aと同様であるため、検出装置20Bについてのみ説明する。
【0071】
検出装置20Bは、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aの検出装置20Aにおいて、センサ部21、本体22及びファン26の他に、本体22内に室内及び室外の空気が取り込まれる二つ領域を形成する仕切り板27と、切換え部であるスライド板28とを有している。なお、本実施形態では、本体22は、壁面に取り付けられた状態で設置されている。
【0072】
仕切り板27は、本体22内に、室内の空気が供給される第1取込空間29Aと、室外の空気が供給される第2取込空間29Bを形成している。仕切り板27は、第1取込空間29Aとセンサ部21の配置されている空間とを連通する連通孔27aと、第2取込空間29Bとセンサ部21の配置されている空間とを連通する連通孔27bとを有している。
【0073】
スライド板28は、仕切り板27にスライド可能に設けられ、連通孔27a又は連通孔27bを塞ぐように配置されている。なお、スライド板28は、例えば、不図示の可動機構により、仕切り板27にスライド可能に設置することができる。
【0074】
本体22は、第1取込空間27Aが形成される位置に、室内の空気が通過可能な吸気口22aを有し、第2取込空間27Bが形成される位置に、建物の壁面51に設けた貫通孔51aと連結する吸気口22bを有している。
【0075】
検出装置20Bでは、スライド板28を仕切り板27に沿ってスライドさせることで、連通孔27a又は連通孔27bの何れかを閉じることができるので、第1取込空間27A又は第2取込空間27B内に供給された空気をセンサ部21に向けて供給することができる。
【0076】
アラート通知システム1Bは、制御装置10と検出装置20Bとを備え、制御装置10においてS1/S2を算出し、S1/S2が所定の値以上であるか否か判定することで、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aと同様、室内の第1空気質S1の変化量を適格に把握することができるので、人の感覚とのズレの小さいアラートを通知させることができる。
【0077】
また、アラート通知システム1Bは、検出装置20Bに仕切り板27及びスライド板28を設けている。スライド板28を仕切り板27でスライドさせて、連通孔27a又は連通孔27bを開放することで、第1取込空間27A内に供給された室内の空気をセンサ部21に供給する状態と、第2取込空間27B内に供給された室外の空気をセンサ部21に供給する状態とに切り替えることができる。よって、アラート通知システム1Bにおいても、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aと同様、室内の空気と室外の空気とをセンサ部21で異なるタイミングでそれぞれ検出することができる。
【0078】
<アラート通知方法>
次に、本実施形態に係るアラート通知システム1Bを用いて、本実施形態に係るアラート通知方法について説明する。本実施形態に係るアラート通知方法は、図5に示すような構成を有するアラート通知システム1Bにおいて、仕切られた第1空間である室内に存在する空気に含まれる臭気成分を検出して、空間内の空気質の変化を検出する。
【0079】
図6は、本実施形態に係るアラート通知方法を説明するフローチャートである。図6に示すように、本実施形態に係るアラート通知方法は、以下の工程を含む。
センサ部21で室内の臭気成分を検出する第1測定工程(ステップS21):
室内の臭気成分を検出した時のセンサ部21の検出値を取得して入力する第1入力工程(ステップS22):
スライド板28をスライドさせて連通孔27a又は連通孔27bを開放する切換え工程(ステップS23):
センサ部21で室外の臭気成分を検出する第2測定工程(ステップS24):
室外の臭気成分を検出した時のセンサ部21の検出値を入力する第2入力工程(ステップS25):
室内の臭気成分の濃度に基づいて算出した第1空気質S1の算出値の、室外の臭気成分の濃度に基づいて算出した第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)を算出するS1/S2の算出工程(ステップS26):
S1/S2が所定の閾値以上であるか否かの判定工程(ステップS27):
S1/S2が所定の閾値以上である場合にアラートを通知するアラート通知工程(ステップS28):
【0080】
本実施形態に係るアラート通知方法は、図4に示す第1の実施形態に係るアラート通知方法において切換え工程(ステップS13)において、三方弁23に代えて、スライド板28を用いてセンサ部21に供給する空気を切り換えること以外は同様である。
【0081】
切換え工程(ステップS23)では、切換え部12は、スライド板28をスライドさせて、第1取込空間27Aとセンサ部21側の空間との連通させている状態を、第2取込空間27Bとセンサ部21側の空間とを連通させる状態に切り換える。
【0082】
その他、第1検出工程(ステップS21)、第1入力工程(ステップS22)、第2測定工程(ステップS24)、第2入力工程(ステップS25)、S1/S2の算出工程(ステップS26)、判定工程(ステップS27)及びアラート通知工程(ステップS28)は、いずれも、図4に示す第1の実施形態に係るアラート通知方法において対応する各工程と同様であるため、これらの各工程の説明は省略する。
【0083】
本実施形態に係るアラート通知方法には、第1測定工程(ステップS21)、第2測定工程(ステップS24)、S1/S2の算出工程(ステップS26)、判定工程(ステップS27)及びアラート通知工程(ステップS28)を含んでいる。本実施形態に係るアラート通知方法は、第1測定工程(ステップS21)においてセンサ部21で室内の空気に含まれる臭気成分を測定し、第2測定工程(ステップS24)においてセンサ部21で室外の空気に含まれる臭気成分を測定し、S1/S2の算出工程(ステップS26)において室内の空気の第1空気質S1の算出値の、室外の空気の第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)を算出し、判定工程(ステップS27)でアラート通知の有無を判定している。
【0084】
よって、本実施形態に係るアラート通知方法によれば、上記の第1の実施形態に係るアラート通知方法と同様、室内の第1空気質S1の室外の第2空気質S2に対する比(S1/S2)を用いることで、室内の第1空気質S1の変化量を適格に把握することができるので、人の感覚とのズレの小さいアラートを通知させることができる。
【0085】
なお、本実施形態では、図7に示すように、切換え部として、スライド板28に代えて、連通孔27aに本体22内に室内の空気を取り込むファン26Aを設け、連通孔27bに本体22内に室外の空気を取り込むファン26Bを設けてもよい。ファン26Aは、仕切り板27の連通孔27aに本体22内に取り込まれた空気が通過可能に設置されている。ファン26Bは、仕切り板27の連通孔27bに本体22内に取り込まれた空気が通過可能に設置されている。ファン26A及び26Bの運転を制御して、第1取込空間27A内に供給された室内の空気をセンサ部21に供給する状態と、第2取込空間27B内に供給された室外の空気をセンサ部21に供給する状態とに切り換えることができる。
【0086】
この場合、本体22にはセンサ部21を通過した空気を排出する排気口22cを設けることが好ましい。吸気口22aから取り込まれた室内の空気、及び吸気口22bから取り込まれた室外の空気は、いずれもセンサ部21を通過した後、排気口22cから室内に排出させることができる。
【0087】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るアラート通知システムについて説明する。本実施形態に係るアラート通知システム1Cは、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aの検出装置20Aが2つの本体を備え、それぞれの本体内にセンサ部を備えたものである。
【0088】
図8は、本実施形態に係るアラート通知システムの構成を示すシステム構成図である。図8に示すように、アラート通知システム1Cは、制御装置10と、検出装置20Cと、通信装置30とを備える。本実施形態では、検出装置20Cの構成以外は、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aと同様であるため、検出装置20Cについてのみ説明する。
【0089】
検出装置20Cは、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aの検出装置20Aにおいて、本体22を2つ備え、一方の本体22には室内の空気のみ供給し、他方の本体22には室外の空気のみ供給するように構成したものである。すなわち、検出装置20Cは、第1検出部である第1センサ部21A、第2検出部である第2センサ部21Bと、第1センサ部21Aを収容する本体22Aと、第2センサ部21Bを収容する本体22Bと、本体22A内に室内の空気を取り込むファン26Aと、本体22B内に室外の空気を取り込むファン26Bとを有している。なお、本実施形態では、本体22A及び22Bは、壁面に取り付けられた状態で設置されている。
【0090】
第1センサ部21Aは、室内の空気に含まれる第1臭気成分を検出する。
【0091】
第2センサ部21Bは、室外の空気に含まれる第2臭気成分を検出する。
【0092】
本体22Aは、室内の空気が通過可能な吸気口22aを有している。
【0093】
本体22Bは、建物の壁面51に設けた貫通孔51aと連結する吸気口22bを有している。
【0094】
ファン26Aは、本体22Aの第1センサ部21Aを通過した空気を排出する排気口22cに本体22A内に取り込まれた空気が通過可能に設置されている。ファン26Bは、本体22Bの第2センサ部21Bを通過した空気を排出する排気口22cに本体22B内に取り込まれた空気が通過可能に設置されている。
【0095】
検出装置20Cでは、室内の空気がファン26Aにより吸気口22aから本体22A内に取り込まれ、第1センサ部21Aを通過した後、排気口22cから排出される。一方、室外の空気がファン26Bにより吸気口22bから本体22B内に取り込まれ、第2センサ部21Bを通過した後、排気口22cから排出される。
【0096】
検出装置20Cでは、ファン26A及び26Bを同時に運転することにより、室内の空気を本体22A内に取り込んで第1センサ部21Aを通過させると共に、室外の空気を本体22B内に取り込んで第2センサ部21Bを通過させることができる。また、ファン26A及び26Bの一方を運転させた後、他方を運転させることで、室内の空気及び室外の空気を異なるタイミングでそれぞれ検出することもできる。
【0097】
アラート通知システム1Cは、制御装置10と検出装置20Cとを備え、制御装置10において、S1/S2を算出し、S1/S2が所定の値以上であるか否か判定することで、上記の第1の実施形態に係るアラート通知システム1Aと同様、室内の第1空気質S1の変化量を適格に把握することができるので、人の感覚とのズレが小さいアラートを通知させることができる。
【0098】
また、アラート通知システム1Cは、第1センサ部21A、第2センサ部21B、本体22A及び本体22Bを備え、第1センサ部21Aを本体22A内に設け、第2センサ部21Bを本体22B内に設けている。これにより、第1センサ部21Aで室内の空気を本体22A内に取り込んだ空気中の臭気成分を検知すると共に、第2センサ部21Bで室外の空気を本体22B内に取り込んだ空気中の臭気成分を検知することができる。よって、アラート通知システム1Cは、室内の空気中に含まれる臭気成分と、室外の空気中に含まれる臭気成分とを同時に検出することができる。したがって、アラート通知システム1Cは、室内の第1空気質S1の変化量をより早く把握することができるので、人の感覚とのズレの小さいアラートをより短時間で通知させることができる。
【0099】
<アラート通知方法>
次に、本実施形態に係るアラート通知システム1Cを用いて、本実施形態に係るアラート通知方法について説明する。本実施形態に係るアラート通知方法は、図8に示すような構成を有するアラート通知システム1Cにおいて、仕切られた空間である室内に存在する空気に含まれる臭気成分を検出して、空間内の空気質の変化を検出する。
【0100】
図9は、本実施形態に係るアラート通知方法を説明するフローチャートである。図9に示すように、本実施形態に係るアラート通知方法は、以下の工程を含む。
ファン26A及びファン26Bを運転させて、第1センサ部21Aで室内の臭気成分を検出すると共に、第2センサ部21Bで室外の臭気成分を検出する測定工程(ステップS31):
第1センサ部21A及び第2センサ部21Bの検出値を取得して入力する入力工程(ステップS32):
室内の臭気成分の濃度に基づいて算出した第1空気質S1の算出値の、室外の臭気成分の濃度に基づいて算出した第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)を算出するS1/S2の算出工程(ステップS33):
S1/S2が所定の閾値以上であるか否かの判定工程(ステップS34):
S1/S2が所定の閾値以上である場合にアラートを通知するアラート通知工程(ステップS35):
【0101】
本実施形態に係るアラート通知方法は、図4に示す第1の実施形態に係るアラート通知方法において、第1検出工程(ステップS11)及び第2測定工程(ステップS14)を同時に行うと共に、第1入力工程(ステップS12)及び第2入力工程(ステップS15)を同時に行い、切換え工程(ステップS13)を行わないこと以外は、同様である。
【0102】
取得部11は、第1センサ部21A及び第2センサ部21Bが備える複数の検出素子211・・・21Nで、室内の空気中に含まれる臭気成分を測定した時の検出値を取得すると共に、室外の空気中に含まれる臭気成分を測定した時の検出値を取得する(測定工程:ステップS31)。
【0103】
次に、取得部11は、第1センサ部21Aの検出素子211・・・21Nで取得した室内の臭気成分の検出値に関する情報を入力すると共に、第2センサ部21Bの検出素子211・・・21Nで取得した室外の臭気成分の検出値に関する情報を取得して入力する(入力工程:ステップS32)。
【0104】
S1/S2の算出工程(ステップS33)、判定工程(ステップS34)及びアラート通知工程(ステップS35)は、いずれも、図4に示す第1の実施形態に係るアラート通知方法において対応する各工程と同様であるため、これらの各工程の説明は省略する。
【0105】
本実施形態に係るアラート通知方法には、測定工程(ステップS31)、S1/S2の算出工程(ステップS33)、判定工程(ステップS34)及びアラート通知工程(ステップS35)を含んでいる。本実施形態に係るアラート通知方法は、測定工程(ステップS31)で第1センサ部21A及び第2センサ部21Bで室内及び室外の空気に含まれる臭気成分を測定し、S1/S2の算出工程(ステップS33)で室内の空気の第1空気質S1の算出値の、室外の空気の第2空気質S2の算出値に対する比(S1/S2)を算出し、判定工程(ステップS34)でアラート通知の有無を判定している。
【0106】
よって、本実施形態に係るアラート通知方法によれば、上記の第1の実施形態に係るアラート通知方法と同様、室内の第1空気質S1の室外の第2空気質S2に対する比(S1/S2)を用いることで、室内の第1空気質S1の変化量を適格に把握することができるので、人の感覚とのズレの小さいアラートを通知させることができる。
【0107】
また、本実施形態に係るアラート通知方法によれば、測定工程(ステップS31)で、第1センサ部21A及び第2センサ部21Bが備える複数の検出素子211・・・21Nで、室内の空気中に含まれる臭気成分と、室外の空気中に含まれる臭気成分とを同時に検出することができる。よって、本実施形態に係るアラート通知方法によれば、室内の第1空気質S1の変化量をより早く把握することができるので、人の感覚とのズレの小さいアラートをより短時間で通知させることができる。
【0108】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0109】
本出願は、2020年2月19日に日本国特許庁に出願した特願2020-026196号に基づく優先権を主張するものであり、特願2020-026196号の全内容を本出願に援用する。
【符号の説明】
【0110】
1A、1B、1C アラート通知システム
10 アラート通知装置(制御装置)
11 取得部
12 切換え部
13 記憶部
14 算出部
15 判定部
16 出力部
20A、20B、20C 検出装置
21 センサ部(検出部)
21A 第1センサ部(第1検出部)
21B 第2センサ部(第2検出部)
211、212、213、214・・・21N 検出素子
30 通信装置
40 通信ネットワーク
S1/S2 第1空気質の第2空気質に対する比
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9