(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体およびこれを利用した濾過方法
(51)【国際特許分類】
B01D 65/08 20060101AFI20240125BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240125BHJP
B01D 63/10 20060101ALI20240125BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B01D65/08
C02F1/44 A
C02F1/44 C
C02F1/44 D
B01D63/10
B01D63/00 500
(21)【出願番号】P 2022517169
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 KR2020011523
(87)【国際公開番号】W WO2021054642
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0114204
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500254664
【氏名又は名称】トーレ アドバンスト マテリアルズ コリア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー ヒー キョン
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1541654(KR,B1)
【文献】特開2004-202409(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0083048(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0109387(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側端が開口されたハウジングと、少なくとも一つの流入孔を貫通形成した通水管の外部面に少なくとも一つの濾過シートが巻き取られて前記ハウジングの内部に配置される分離膜モジュールを含んで、前記分離膜モジュールの内部を通過する原水を浄水と濃縮水に濾過処理するフィルタ構造体において、
第1開閉バルブによって選択的に開閉される第1出入口と、第2開閉バルブによって選択的に開閉される第2出入口を備えて前記ハウジングの一端を密封する第1密封部;
前記通水管の一側開口端と連通連結される排出口を備え、第3開閉バルブによって選択的に開閉される第3出入口と、第4開閉バルブによって選択的に開閉される第4出入口を備えて前記ハウジングの他端を密封する第2密封部および
前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御し、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御し、前記第1密封部から第2密封部側への正方向の流体の流れを形成するか前記第2密封部から第1密封部側への逆方向の流体の流れを形成するように、前記第1、2出入口のうちいずれか一つの出入口を通じての原水の供給を制御するか前記第3、4出入口のうちいずれか一つの出入口を通じての原水の供給を制御する制御部;を含み、
前記排出口は、前記第1密封部と対応する一端が密閉された通水管の開放された他端と連通連結され、
前記排出口を通じて外部に排出される浄水の排出量をリアルタイムで測定する流量計と電気的に連結されて、前記流量計で測定される浄水排出量の変化値を根拠とする作動信号によって前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御して前記第1、2出入口のうち一つの出入口を選択的に開放させ、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御して前記第3、4出入口のうち一つの出入口を選択的に開放することによって、前記制御部は、
正方向濾過モードと逆方向濾過
モードとの間の交差濾過運転を制御し、
前記分離膜モジュールを通過するように供給される原水と前記分離膜モジュールから排出される濃縮水が互いに混合されないように分離するシーリング部を含み、
前記シーリング部は前記第1密封部と対応する分離膜モジュールの一側端外部面に備えられて前記ハウジングの内部面と外側端が接することになる第1遮断シールと、前記第2密封部と対応する分離膜モジュールの他側端外部面に備えられて前記ハウジングの内部面に外側端が接することになる第2遮断シールを含む、選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水が前記第1密封部から第2密封部側に正方向の流体の流れを形成しながら濾過され、濃縮水は前記第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される正方向濾過モードと、
前記第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水が前記第2密封部から第1密封部側に逆方向の流体の流れを形成しながら濾過され、濃縮水は前記第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される逆方向濾過モードを、一定の時間を置いて少なくとも一回以上繰り返して制御することを特徴とする、請求項1に記載の選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体。
【請求項3】
前記制御部は、事前に設定された時間に合わせて作動信号を発生させるタイマーと電気的に連結されて、前記タイマーの作動信号によって前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御して前記第1、2出入口のうち一つの出入口を選択的に開放させ、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御して前記第3、4出入口のうち一つの出入口を選択的に開放することを特徴とする、請求項1に記載の選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体。
【請求項4】
前記制御部は4時間~12時間の間隔をおいて前記正方向濾過モードと逆方向濾過モード間の交差濾過運転を制御することを特徴とする、請求項2に記載の選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体。
【請求項5】
両側端が開口されたハウジングと、少なくとも一つの流入孔を貫通形成した通水管の外部面に少なくとも一つの濾過シートが巻き取られて前記ハウジングの内部に配置される分離膜モジュールを含むフィルタ構造体を備えて前記分離膜モジュールの内部を通過する原水を浄水と濃縮水に濾過処理する方法において、
第1開閉バルブによって選択的に開閉される第1出入口と、第2開閉バルブによって選択的に開閉される第2出入口を備えて前記ハウジングの一端を密封する第1密封部;
前記通水管の一側開口端と連通連結される排出口を備え、第3開閉バルブによって選択的に開閉される第3出入口と、第4開閉バルブによって選択的に開閉される第4出入口を備えて前記ハウジングの他端を密封する第2密封部および
前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御し、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御する制御部;を含み、
前記制御部によって第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水は前記第1密封部から第2密封部側に正方向の流体の流れを形成しながら前記分離膜モジュールを通過して濾過され、濃縮水は前記制御部によって第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される正方向濾過モード段階;
前記制御部によって第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水は前記第2密封部から第1密封部側に逆方向の流体の流れを形成しながら前記分離膜モジュールを通過して濾過され、濃縮水は前記制御部によって第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される逆方向濾過モード段階;を含み、
前記制御部によって前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階は、一定の時間を置いて少なくとも一回以上繰り返して遂行され、
前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階間の交差濾過運転は、前記第1密封部と対応する一端が密閉された通水管の一側開口端と連通連結される排出口を通じて外部に排出される浄水の排出量をリアルタイムで測定する流量計で測定される浄水排出量の変化値を根拠とする作動信号によってなされ、
前記分離膜モジュールを通過するように供給される原水と前記分離膜モジュールから排出される濃縮水が互いに混合されないように分離するシーリング部を含み、
前記シーリング部は前記第1密封部と対応する分離膜モジュールの一側端外部面に備えられて前記ハウジングの内部面と外側端が接することになる第1遮断シールと、前記第2密封部と対応する分離膜モジュールの他側端外部面に備えられて前記ハウジングの内部面に外側端が接することになる第2遮断シールを含む、選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を利用した濾過方法。
【請求項6】
前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階間の交差濾過運転は、事前に設定された時間に合わせて作動信号を発生させるタイマーの作動信号によってなされることを特徴とする、請求項5に記載の選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を利用した濾過方法。
【請求項7】
前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階間の交差濾過運転は、前記排出口を通じて外部に排出される浄水の排出量をリアルタイムで測定する流量計で測定される浄水排出量の変化値を根拠とする作動信号によってなされることを特徴とする、請求項5に記載の選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を利用した濾過方法。
【請求項8】
前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階間の交差運転時間は4時間~12時間の間隔をおいてなされることを特徴とする、請求項5に記載の選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を利用した濾過方法。
【請求項9】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載されたフィルタ構造体を含む、浄水器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体およびこれを利用した濾過方法に関し、さらに詳細には、浄水器システムに適用されるフィルタ構造体の簡単な流体の流れの選択的な変更によって使用時間対比汚染度が増加する分離膜モジュールの濾過面積を全体的に均一に使うようにして分離膜の汚染を遅延させることができ、フィルタの使用寿命を延長できるフィルタ構造体およびこれを利用した濾過方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に浄水器は水道水などの引き込み原水から有害な物質を除去して飲用が可能な浄水された水を供給する装置であり、有害な物質を除去するコア部品としてフィルタ構造体が使われる。
【0003】
このようなフィルタ構造体の濾過方式は、浄水および汚水と廃水に対する水処理技術の発達につれて、従来の砂濾過方式から分離膜を利用した膜濾過方式に処理技術の方向が変化している。
【0004】
分離膜技術は、膜の気孔の大きさ、気孔の分布および膜表面の電荷によって処理水の中に存在する処理対象物質をほぼ完ぺきに分離除去するための高度な分離濾過水処理技術である。
【0005】
コア部品である分離膜は気孔の大きさにより分かれ、精密濾過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノ分離膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)に分類されており、水処理分野においては良質の飲用水および工業用水の生産、下水/廃水処理および再利用、無放流システム開発に関連した清浄生産工程など、その応用範囲が拡大している。
【0006】
このような分離膜技術は、水質の汚染が深刻化する趨勢に合わせて最近注目を浴びるコア技術の一つとして位置づけられて普遍化しており、実際に一般の人たちが浄水処理して供給する水道水を再び浄水器を通じて再処理して飲用水として使うことによって、これに対して技術開発がますます要求されているのが実情である。
【0007】
一方、浄水器システムは分離膜モジュール、前処理および後処理フィルタ、ポンプ、配管、タンクおよびその他の補助装置で構成されており、このようなシステムを構成する要素のうち最も重要なのが分離膜モジュールであるフィルタ構造体である。
【0008】
このようなフィルタ構造体の種類としては平板型、中空糸型、管状型、スパイラル型などが商業化されており、単位面積当たり分離膜挿入密度が高く、水の中のイオンを除去できるスパイラル型分離膜モジュールフィルタ構造体に対する研究が主に進行されている。
【0009】
一般的なフィルタ構造体1は
図1に図示した通り、中空円筒形のハウジング10と、胴体中央に通水管21を有する分離膜モジュール20を含み、ハウジング10にはブラインシール13の外側端が内部面に接するように分離膜モジュール20を内部収容する。
【0010】
上記ハウジング10の一側には原水が流入する原水流入口31を具備し、上記ハウジングの他側には生産水である浄水が排出される浄水排出口35と、濃縮水が排出される濃縮水排出口34を具備する。
【0011】
これに伴い、上記フィルタ構造体を利用して原水を浄水する濾過工程は、上記原水流入口を通じて圧力を加えて原水が一方向に流入すると、ハウジングに内蔵された分離膜モジュールを通じて原水に含まれた異物を濾過する浄水が行われ、分離膜モジュールを通過して濾過された水である浄水は通水管で集水されて排出口を通じて外部に出水され、浄水されて残った濃縮水は上記濃縮水排出口を通じて外部に出水される。
【0012】
すなわち、上記フィルタ構造体は、図面上左側の原水流入口を通じて一方向に原水が流入する形態で原水が分離膜モジュールを一方向に通過しながら濃縮となる現象によって、上記ハウジングに内蔵された分離膜モジュールは上記濃縮水排出口と隣接して近い部位から膜汚染が始まり、濾過時間対比膜汚染が始まった部位を中心として汚染が加速化するのである。
【0013】
その結果、分離膜モジュールの濾過性能が低下することになり、一定水準以上濾過性能が低下する場合、フィルタ構造体を新しいものに取り換えることになる。
【0014】
特に、産業用浄水システムの場合、高い運転圧力を利用して原水の流入を反対方向に変更することによって分離膜の表面に付着した汚染物質を物理的に逆洗させて除去するか、酸ないし塩基性化合物を利用する化学的洗浄によって分離膜モジュールに残存する汚染物質を化学的に除去して洗浄することによって、分離膜モジュールの使用寿命を延長させる技術が開示されている。
【0015】
しかし、高い運転圧力を必要とする物理的な逆洗浄および薬品処理を必要とする化学的洗浄は構造的に複雑であるため困難であり、人体に有害であるため家庭用浄水器システムに適用することが困難であるため、家庭用浄水器システム用フィルタ構造体の分離膜モジュールに対する汚染を低減させる技術開発が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明は前述したような問題点を解決するためのもので、その目的は分離膜モジュールを中心として原水が流入し、浄水と濃縮水が出水される方向を一方向ではなく両方向に選択的に交差して使うように構造を変更することによって、濃縮水方向で集中して始まる分離膜モジュールの汚染現象を両側方向に均一に分散させ、分離膜モジュールの濾過面積を全体的に均一に使用できる、選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体およびこれを利用した濾過方法を提供しようとする。
【0017】
本発明で達成しようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するための具体的な手段として本発明の好ましい実施例は、少なくとも一側端が開口されたハウジングと、少なくとも一つの流入孔を貫通形成した通水管の外部面に少なくとも一つの濾過シートが巻き取られて前記ハウジングの内部に配置される分離膜モジュールを含んで、前記分離膜モジュールの内部を通過する原水を浄水と濃縮水に濾過処理するフィルタ構造体において、第1開閉バルブによって選択的に開閉される第1出入口と、第2開閉バルブによって選択的に開閉される第2出入口を備えて前記ハウジングの一端を密封する第1密封部;前記通水管の一側開口端と連通連結される排出口を備え、第3開閉バルブによって選択的に開閉される第3出入口と、第4開閉バルブによって選択的に開閉される第4出入口を備えて前記ハウジングの他端を密封する第2密封部および前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御し、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御し、前記第1密封部から第2密封部側への正方向の流体の流れを形成するか前記第2密封部から第1密封部側への逆方向の流体の流れを形成するように、前記第1、2出入口のうちいずれか一つの出入口を通じての原水の供給を制御するか前記第3、4出入口のうちいずれか一つの出入口を通じての原水の供給を制御する制御部;を含む、選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を提供する。
【0019】
好ましくは、前記制御部は、前記第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水が前記第1密封部から第2密封部側に正方向の流体の流れを形成しながら濾過され、濃縮水は前記第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される正方向濾過モードと、前記第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水が前記第2密封部から第1密封部側に逆方向の流体の流れを形成しながら濾過され、濃縮水は前記第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される逆方向濾過モードを、一定の時間を置いて少なくとも一回以上繰り返して制御することができる。
【0020】
好ましくは、前記制御部は、事前に設定された時間に合わせて作動信号を発生させるタイマーと電気的に連結されて、前記タイマーの作動信号によって前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御して前記第1、2出入口のうち一つの出入口を選択的に開放させ、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御して前記第3、4出入口のうち一つの出入口を選択的に開放することができる。
【0021】
好ましくは、前記制御部は、前記排出口を通じて外部に排出される浄水の排出量をリアルタイムで測定する流量計と電気的に連結されて、前記流量計で測定される浄水排出量の変化値を根拠とする作動信号によって前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御して前記第1、2出入口のうち一つの出入口を選択的に開放させ、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御して前記第3、4出入口のうち一つの出入口を選択的に開放することができる。
【0022】
好ましくは、前記制御部は4時間~12時間の間隔をおいて前記正方向濾過モードと逆方向濾過モード間の交差濾過運転を制御することができる。
【0023】
好ましくは、前記分離膜モジュールを通過するように供給される原水と前記分離膜モジュールから排出される濃縮水が互いに混合されないように分離するシーリング部を含み、前記シーリング部は前記第1密封部と対応する分離膜モジュールの一側端外部面に備えられて前記ハウジングの内部面と外側端が接することになる第1遮断シールと、前記第2密封部と対応する分離膜モジュールの他側端外部面に備えられて前記ハウジングの内部面に外側端が接することになる第2遮断シールを含むことができる。
【0024】
また、本発明の好ましい実施例は、少なくとも一側端が開口されたハウジングと、少なくとも一つの流入孔を貫通形成した通水管の外部面に少なくとも一つの濾過シートが巻き取られて前記ハウジングの内部に配置される分離膜モジュールを含むフィルタ構造体を備えて前記分離膜モジュールの内部を通過する原水を浄水と濃縮水に濾過処理する方法において、第1開閉バルブによって選択的に開閉される第1出入口と、第2開閉バルブによって選択的に開閉される第2出入口を備えて前記ハウジングの一端を密封する第1密封部;前記通水管の一側開口端と連通連結される排出口を備え、第3開閉バルブによって選択的に開閉される第3出入口と、第4開閉バルブによって選択的に開閉される第4出入口を備えて前記ハウジングの他端を密封する第2密封部および前記第1、2開閉バルブの開閉作動を制御し、前記第3、4開閉バルブの開閉作動を制御する制御部;を含み、前記制御部によって第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水は前記第1密封部から第2密封部側に正方向の流体の流れを形成しながら前記分離膜モジュールを通過して濾過され、濃縮水は前記制御部によって第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される正方向濾過モード段階;前記制御部によって第2密封部の第3、4出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて流入する原水は前記第2密封部から第1密封部側に逆方向の流体の流れを形成しながら前記分離膜モジュールを通過して濾過され、濃縮水は前記制御部によって第1密封部の第1、2出入口のうち選択的に開放された出入口を通じて外部に排出され、浄水は前記排出口を通じて外部に排出される逆方向濾過モード段階;を含み、前記制御部によって前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階は一定の時間を置いて少なくとも一回以上繰り返して遂行される、選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を利用した濾過方法を提供する。
【0025】
好ましくは、前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階間の交差濾過運転は、事前に設定された時間に合わせて作動信号を発生させるタイマーの作動信号によってなされ得る。
【0026】
好ましくは、前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階間の交差濾過運転は、前記排出口を通じて外部に排出される浄水の排出量をリアルタイムで測定する流量計で測定される浄水排出量の変化値を根拠とする作動信号によってなされ得る。
【0027】
好ましくは、前記正方向濾過モード段階と逆方向濾過モード段階間の交差運転時間は4時間~12時間の間隔をおいてなされ得る。
【発明の効果】
【0028】
上記のような本発明の好ましい実施例によると次のような効果がある。
【0029】
フィルタ構造体に備えられる分離膜モジュールを通過しながら濾過処理される原水の流入の流れを、制御部の正方向濾過モードおよび逆方向濾過モード間の交差制御によって一方向ではなく両方向に周期的に交差して遂行することによって、濃縮水の排出方向で集中して始まる分離膜モジュールの汚染現象を両側方向に分散させることができるため、分離膜モジュールの濾過面積を全体的に均一に使用でき、分離膜モジュールの汚染が発生した後加速される汚染現象を遅延させることができるため、フィルタ構造体の使用寿命を延長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一般的なフィルタ構造体を図示した断面図である。
【0031】
【
図2】本発明の実施例に係る選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を図示した断面斜視図である。
【0032】
【
図3】本発明の実施例に係る選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体を図示した分解斜視図である。
【0033】
【
図4】本発明の実施例に係る選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体において、原水の正方向流入時の濾過処理工程を図示した断面図である。
【0034】
【
図5】本発明の実施例に係る選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体において、原水の逆方向流入時の濾過処理工程を図示した断面図である。
【0035】
【
図6】生産水の流量と濾過運転時間の間の相関関係を図示したグラフである。
【0036】
【
図7】濾過運転後に分離解体された分離膜モジュールの汚染状態を図示したものであって、
【0037】
(a)は比較例の分離膜モジュール、
【0038】
(b)は実施例4の分離膜モジュールである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付された図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる好ましい実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好ましい実施例に対する構造原理を詳細に説明するにおいて、関連した公知の機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0040】
また、図面の全体に亘って類似する機能および作用をする部分に対しては同一の図面符号を使う。
【0041】
これに加え、明細書全体で、ある部分が他の部分と「連結」されているとする時、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0042】
本発明の実施例に係る選択型両端集水機能を有するフィルタ構造体100は
図2と
図3に図示した通り、ハウジング110、分離膜モジュール120、第1、2密封部130a、130bおよび制御部140を含む。
【0043】
ハウジング110は少なくとも一端が開口されて分離膜モジュール120の内部空間に配置される中空円筒形部材である。
【0044】
このようなハウジング110は、第1密封部130aと対応する一端が開口された中空円筒形部材からなるものとして図示し説明したが、これに限定されるものではなく、第2密封部と対応する他端が開口されたり、第1、2密封部と対応する両端が開口された中空円筒形部材からなってもよい。
【0045】
分離膜モジュール120は、少なくとも一つの流入孔122を外部面に貫通形成した一定長さの通水管121を胴体の内部中央に具備するように、通水管の外部面に一端が固定される少なくとも一つの濾過シートが巻き物の形態で巻き取られてハウジング110の内部に配置される。
【0046】
通水管121は両端のうちいずれか一つの端部または両端が開口され、長さの中間に生産水である浄水が流入する少なくとも一つの流入孔122が貫通形成される一定長さの中空型パイプ部材からなり得る。
【0047】
通水管に巻き物の形態で巻き取られて分離膜モジュールを形成する濾過シートはメンブレンシートと透過水流路シートからなり得る。
【0048】
ここで、上記メンブレンシートはポリアミド系分離膜、ポリイミド系分離膜、ポリスルホン系分離膜およびポリエーテルスルホン系分離膜の中から選択された1種以上であり得、好ましくはポリアミド系分離膜であり得る。
【0049】
上記透過水流路シートは繊維糸がフェルト、ペーパー、不織布などの形態で結合されるか繊維糸が横糸と経糸で互いに製織されてなるトリコット紙であり得る。
【0050】
上記メンブレンシートと透過水流路シートからなる濾過シートは、上記通水管と対応する一側が開放されるように塗布される接合ラインを媒介として積層接合されて、多層で積層された状態で上記通水管の外部面に巻き物の形態で巻き取られる。
【0051】
第1密封部130aは第1開閉バルブ131aによって選択的に開閉される第1出入口131と、第2開閉バルブ132aによって選択的に開閉される第2出入口132を含んでハウジング110の開放された一側端を密封する。
【0052】
第1、2出入口131、132はハウジングの開放された一端に対応挿入される密封キャップ112の端部面に外側に一定長さ延びる中空管部材で備えられるものとして図示し説明したが、これに限定されるものではなく、ハウジング110の一端に密閉された端部面に外側に一定長さ延びる中空管部材で備えられてもよい。
【0053】
そして、第1、2出入口131、132の内部通路を選択的に開閉する第1、2開閉バルブは手動で開閉作動する手動式バルブ部材であるか、後述する制御部140の電気信号によって開閉作動する電子式バルブ部材で備えられ得る。
【0054】
第2密封部130bは第1密封部と同様に、第3開閉バルブ133aによって選択的に開閉される第3出入口133と、第4開閉バルブ134aによって選択的に流路が開閉される第4出入口134を含んでハウジング110の開放された他側端を遮断する。
【0055】
第3、4出入口133、134はハウジング110の開放された他端の密閉された端部面に外側に一定長さ延びる中空管部材で備えられるものとして図示し説明したが、これに限定されるものではなくハウジングの開放された他端に対応挿入される密封キャップの端部面に外側に一定長さ延びる中空管部材で備えられてもよい。
【0056】
そして、第3、4出入口133、134の内部通路を選択的に開閉する第3、4開閉バルブは第1密封部と同様に手動で開閉作動する手動式バルブ部材であるか、後述する制御部140の電気信号によって開閉作動する電子式バルブ部材で備えられ得る。
【0057】
第2密封部130bは通水管121の一側開口端と連通連結されて、分離膜モジュール120を通過する原水のうち濾過処理される生産水である浄水が外部に排出される排出口135を含むことができる。
【0058】
制御部140は第1密封部130aに備えられる第1、2開閉バルブ131a、132aの開閉作動を制御し、第2密封部130bに備えられる第3、4開閉バルブ133a、134aの開閉作動を制御することによって、原水が第1密封部130aから第2密封部130b側に進行する正方向の流体の流れを形成する正方向濾過モードと、原水が第2密封部130bから第1密封部130a側に進行する逆方向の流体の流れを形成する逆方向濾過モードを、一定の時間を置いて少なくとも一回以上繰り返して遂行されるように濾過工程を運転制御するのである。
【0059】
このような制御部140は事前に設定された時間に合わせて作動信号を発生させるタイマーと電気的に連結されて、タイマーの作動信号によって第1密封部130aに備えられる第1、2開閉バルブ131a、132aの開閉作動を制御することによって、第1、2出入口のうちいずれか一つの出入口を選択的に開放させ、第2密封部130bに備えられる第3、4開閉バルブ133a、134aの開閉作動を制御して第3、4出入口133、134のうちいずれか一つの出入口を選択的に開放することができる。
【0060】
また、制御部140は排出口135を通じて外部に排出される浄水の排出量をリアルタイムで測定する流量計と電気的に連結されて、流量計で測定される浄水排出量の変化値を根拠とする作動信号によって第1密封部130aに備えられる第1、2開閉バルブ131a、132aの開閉作動を制御して第1、2出入口131、132のうちいずれか一つの出入口を選択的に開放させ、第2密封部に備えられる第3、4開閉バルブ133a、134aの開閉作動を制御して第3、4出入口133、134のうちいずれか一つの出入口を選択的に開放することができる。
【0061】
一方、ハウジング110と分離膜モジュール120との間には、分離膜モジュールを通過するように供給される原水と分離膜モジュール120から排出される濃縮水が互いに混合されないように分離するシーリング部を含むことができる。
【0062】
シーリング部は、第1密封部130aと対応する分離膜モジュールの一側端外部面に備えられてハウジングの内部面と外側端が接することになる第1遮断シール123と、第2密封部130bと対応する分離膜モジュール120の他側端外部面に備えられてハウジング110の内部面に外側端が接することになる第2遮断シール124を含むことができる。
【0063】
ハウジングの内部に設置される分離膜モジュール120は、両端集水のために分離膜モジュールの両端の外部に備えられる第1、2遮断シール123、124によって一方向ではなく両方向のシーリングが可能となることによって、原水がいずれの方向に流入しても原水が濃縮水側に流入しないようにすることが好ましい。
【0064】
すなわち、もし原水が濃縮水側に流入する場合、運転圧力の損失による透過水量の減少および塩の排除率が低下する問題が発生し得るため、第1、2遮断シールを分離膜モジュールの両側端にそれぞれ付着するか、クヮドリングのように一つのシールを分離膜モジュールに具備して両方向シーリングが可能なようにシーリング部を具備することができる。
【0065】
制御部140によってなされる正方向濾過モードは、
図4に図示した通り、第1密封部130aの第1、2開閉バルブのうち第1開閉バルブ131aは開放される反面、第2開閉バルブ132aは閉鎖され、第2密封部130bの第3、4開閉バルブのうち第3開閉バルブ133aは閉鎖される反面、第4開閉バルブ134aは開放された状態でなされる。
【0066】
このような状態で、第1開閉バルブが開放された第1出入口131を通じて原水が供給されて強制流入すると、原水は第1密封部と対応する分離膜モジュール120の一端から第2密封部と対応する分離膜モジュール120の他端に流れる正方向の流体の流れを形成しながら濾過処理されるため、分離膜モジュール120の濾過シートを正方向に通過しながら濾過処理される原水のうち濃縮水は第4開閉バルブによって開放された第4出入口134を通じて外部に排出され、生産水である浄水は通水管121の流入孔122に流入して通水管と連通連結された排出口135を通じて外部に排出される。
【0067】
ここで、このような原水の正方向の流体の流れを形成する正方向濾過モードの運転によって一定時間の間生産水である浄水を生産することになると、分離膜モジュールの汚染度が一側である濃縮水排出側に偏ることになるため、事前に設定されたタイマーの設定時間や排出口を通じて排出される浄水の排出量を測定する流量計の測定値を根拠として、分離膜モジュールの内部に流入する原水の流入方向を逆方向に変更させる逆方向濾過モード運転を少なくとも1回以上繰り返して遂行する。
【0068】
制御部140によってなされる逆方向濾過モードは、
図5に図示した通り、制御部の制御信号によって第1密封部130aの第1、2開閉バルブのうち開放された第1開閉バルブ131aは閉鎖状態に切り換えられる反面、閉鎖された第2開閉バルブ132aは開放状態に切り換えられ、第2密封部の第3、4開閉バルブのうち閉鎖された第3開閉バルブ133aは開放状態に切り換えられる反面、開放された第4開閉バルブ134aは閉鎖状態に切り換えられた状態でなされる。
【0069】
このような状態で、第3開閉バルブによって開放された第3出入口133を通じて原水が供給されて流入すると、原水は第2密封部130bと対応する分離膜モジュール120の他端から第1密封部130aと対応する分離膜モジュールの一端に流れる逆方向の流体の流れを形成しながら濾過処理されるため、分離膜モジュールを逆方向に通過しながら濾過処理される原水のうち濃縮水は第2開閉バルブが開放された第2出入口を通じて外部に排出され、生産水である浄水は通水管の流入孔に流入して通水管と連通連結された排出口を通じて外部に排出される。
【0070】
これに伴い、フィルタ構造体に備えられるコア部品である分離膜モジュールを通過しながら濾過処理される原水の流入の流れを、制御部の正方向濾過モードおよび逆方向濾過モード間の交差制御によって一方向ではなく両方向に交差して使うことによって、濃縮水の排出方向で集中して始まる分離膜モジュールの汚染現象を両側方向に分散させて分離膜モジュールの濾過面積を全体的に均一に使用でき、分離膜モジュールの汚染が発生した後加速される汚染現象を遅延させる効果を付与できるため、フィルタ構造体の使用寿命を延長させることができる。
【0071】
一方、フィルタ構造体の分離膜モジュールを利用した原水濾過処理は、浄水器使用時間である実際的な濾過運転時間または通水量、分離膜モジュール自らの透過性能によって変わり得るが、4時間~12時間の間隔をおいて原水を流入する方向が変更されるように濾過運転することによって分離膜モジュールの汚染を遅延させるため、フィルタ構造体の使用寿命を延長するのに好ましい。
【0072】
この時、運転時間の間隔が4時間より短かったり12時間より長くなる場合、原水を両方向に交差運転する効果が落ちて分離膜モジュールの汚染を遅延させる効果が低下し得る。
【0073】
すなわち、本発明の好ましい実施例によるフィルタ構造体100は、原水流入方向を一方向ではなく両側の両方向に交差して使うように構造を変更して制御することによって分離膜モジュールで発生する汚染現象を遅延させるため、フィルタ構造体の使用寿命を延長する効果が卓越である。この時、フィルタ構造体の使用寿命は運転時間によって汚染による水透過度低下の程度で相対的な比較が可能であり、実際に使った分離膜モジュールをハウジングから分離して解体した後、表面の汚染程度を肉眼で確認して比較することができる。
【0074】
<実施例1>
1812サイズの家庭用分離膜モジュール120の外部面に第1、2遮断シール123、124を両側にそれぞれ付着した後、評価器ベッセルに装着し、分離膜モジュールでの濾過処理時に汚染がよく発生し得るように、異物であるスケール成分として250ppmカルシウムクロリド、160ppmソディウムハイドロジェンカーボネート、90ppmソディウムクロライド造水を原水として、80psi、25℃、60~65%回収率で運転した。この時、原水を正方向に流入する正方向濾過モードと、原水を逆方向に流入する逆方向濾過モードを1時間の間隔をおいて変更したし、運転時間による透過水量を測定したし、その結果は表1の通りである。
【0075】
<実施例2>
正方向濾過モードと逆方向濾過モードを2時間の間隔をおいて変更したことを除いては実施例1と同じ方法で評価を実施した。
【0076】
<実施例3>
原水を流入する正方向濾過モードと逆方向濾過モードを4時間の間隔をおいて変更したことを除いては実施例1と同じ方法で評価を実施した。
【0077】
<実施例4>
原水を流入する正方向濾過モードと逆方向濾過モードを8時間の間隔をおいて変更したことを除いては実施例1と同じ方法で評価を実施した。
【0078】
<実施例5>
原水を流入する正方向濾過モードと逆方向濾過モードを12時間の間隔をおいて変更したことを除いては実施例1と同じ方法で評価を実施した。
【0079】
<実施例6>
原水を流入する正方向濾過モードと逆方向濾過モードを14時間の間隔をおいて変更したことを除いては実施例1と同じ方法で評価を実施した。
【0080】
<比較例1>
原水が流入する方向を変更せず、正方向濾過モードにして一般的な浄水器システムと同一に一方向に運転したことを除いて、実施例1と同じ方法で評価を実施した。
【0081】
【0082】
表1および
図6でのように、原水を一方向である正方向濾過モードだけで流入した比較例1に比べて実施例1~実施例6の場合、約3000分程度濾過運転後の流量が相対的に少なく減少することが分かる。
【0083】
特に、原水の流入方向を正方向濾過モードと逆方向濾過モードに交差する時間により効果が変わり、4時間以上交差して運転する場合、流量減少率がさらに低いものと確認することができる。
【0084】
これは、原水の流入方向が正方向から逆方向に変更されることによって濃縮水が分離膜モジュールの一方の部位にのみ偏って濃縮水の排出側部分から発生する膜汚染現象が緩和された結果であり、流量減少率が低いだけ分離膜フィルタ構造体の使用寿命が延長され得るため、フィルタ構造体の取り換え時期を遅らせる効果を得ることができる。
【0085】
比較例1では約3000分濾過運転後の生産水の流量が約36%減少した反面、実施例4の場合、同一時間の運転条件で生産水の流量が約25%減少して流量減少率が10%の差があることが分かる。
【0086】
また、14時間単位で交差濾過運転した実施例6の場合、比較例と対比してみると、相対的に効果は優秀であるものの、実施例5に比べて効果が少々低く、分離膜モジュール自体の性能、運転条件によって適切な交差運転時間が重要であることが分かる。
【0087】
また、
図7の(a)と
図7の(b)に図示した通り、性能評価後にハウジングから分離膜モジュールを解体して相対的な分離膜である濾過シートの表面の汚染程度を比較した。
【0088】
比較例1である
図7の(a)でのように、濃縮水の方向を中心に汚染物質が積層されていることが確認される反面、流量減少率が最も低い実施例4である
図7の(b)では表面に汚染物質が積層されたのが肉眼では確認されない水準と示された。
【0089】
これは汚染の程度による流量減少率の差と同じ傾向であり、正方向濾過モードと逆方向濾過モード間の交差運転による分離膜モジュールの汚染が低減される効果を証明する結果である。
【0090】
実施例では、はやい時間内に交差運転による効果を確認するために、分離膜モジュールの汚染を加速させることができるようにスケール成分を多量混合した原水条件で評価を実施した結果であり、一般的な浄水器システム使用条件である水道水を原水にし、前処理フィルタを使う場合、分離膜モジュールの汚染の低減による寿命延長効果を最大化することができる。
【0091】
本発明のフィルタ構造体を適用した浄水器システムで、原水を流入する方向を一定時間の周期で交互に変更しながら使うことになると、コア部品である分離膜モジュールの汚染が低減されてフィルタ構造体の使用寿命を延長させることができ、浄水器システム用フィルタ構造体として便利に使うことができる。
【0092】
以上で説明した本発明は、前述した実施例および添付された図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形および変更可能であることは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明白であろう。