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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20240125BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B60R21/00 330
B60R21/00 310N
B60R16/02 630L
B60R16/02 650A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022560656
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2021032780
(87)【国際公開番号】W WO2022097362
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2020186765
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】菅原 健人
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-285148(JP,A)
【文献】特開2015-193280(JP,A)
【文献】特開2013-222299(JP,A)
【文献】特開2009-161146(JP,A)
【文献】特開2002-070417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02,21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照光部を有し、車両に備えられた装置のうちの少なくとも車両の窓又はドアロックを含む第1装置の操作を行うための操作入力が可能な第1入力モードと、前記車両に備えられた装置のうちの前記第1装置以外の第2装置の操作を行うための操作入力が可能な第2入力モードとのいずれか一方の入力モードで操作入力を受け付ける操作部と、
前記車両の緊急事態を検出可能な緊急事態検出部と、
前記操作部の入力モードを前記第1入力モードと前記第2入力モードとのいずれか一方に設定するとともに、前記照光部の照光状態を前記照光部の照光を強調する第1照光状態と前記照光部の照光を強調しない第2照光状態とのいずれか一方に設定する制御部と、
を含み、
前記制御部は、前記緊急事態検出部によって前記車両の緊急事態が検出されると、前記操作部を前記第1入力モードに設定するとともに、前記照光部を第1照光状態に設定する、入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記緊急事態検出部によって前記車両の緊急事態が検出されていないときは、前記操作部へのモード選択操作に応じて前記操作部を前記第1入力モード又は前記第2入力モードに設定するとともに、前記照光部を前記第2照光状態に設定する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記操作部は、複数のタッチスイッチ又はタッチパッドを有し、
前記第1照光状態は、前記照光部のうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部の照光を強調する照光状態である、請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1照光状態は、前記照光部のうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部以外の照光部の照光を減光又は消灯する、または、前記照光部のうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部以外の照光部の照光を変更せずに前記照光部のうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部の照光を増光する照光状態である、請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第1照光状態は、前記照光部のうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部を前記第2照光状態における色とは異なる色で照光する照光状態である、請求項3又は4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記第1照光状態は、前記照光部のうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部を前記第2照光状態における輝度よりも高い輝度で照光する照光状態である、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記第1照光状態は、前記照光部のうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部を点滅させる照光状態である、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記制御部によって制御され、前記操作部を模したインターフェイスを表示するディスプレイをさらに含み、
前記制御部は、前記緊急事態検出部によって前記車両の緊急事態が検出されると、前記ディスプレイに前記操作部を模したインターフェイスを強調して表示する、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記操作部を模したインターフェイスのうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部についての部位を強調して表示する際に、前記部位を点滅させる、請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記操作部を模したインターフェイスを強調して表示する際に、前記操作部を模したインターフェイスのうちの前記車両の窓又は前記ドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチ又は前記タッチパッドの一部についての部位を強調して表示する際に、前記部位のサイズを変化させる、請求項8に記載の入力装置。
【請求項11】
前記車両の緊急事態は、前記車両の水没である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項12】
前記車両の緊急事態は、前記車両の衝突である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項13】
前記車両の電源と、前記車両の窓又は前記ドアロックの駆動部とを前記操作部を介して接続する電源ラインと、
前記電源ラインに直列に挿入され、前記車両の水没時に導通状態に切り替わる切替回路と
をさらに含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項14】
照光部を有し、車両に備えられた装置のうちの少なくとも車両の窓又はドアロックを含む第1装置の操作を行うための操作入力が可能な第1入力モードと、前記車両に備えられた装置のうちの前記第1装置以外の第2装置の操作を行うための操作入力が可能な第2入力モードとのいずれか一方の入力モードで操作入力を受け付ける操作部と、
前記操作部の入力モードを前記第1入力モードと前記第2入力モードとのいずれか一方に設定するとともに、前記照光部の照光状態を前記照光部の照光を強調する第1照光状態と前記照光部の照光を強調しない第2照光状態とのいずれか一方に設定する制御部と、
を含み、
前記制御部は、緊急事態検出部から発信された緊急事態検出信号を受信した時、前記操作部を前記第1入力モードに設定するとともに、前記照光部を第1照光状態に設定する、入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両と、該車両が水没したときに該車両の水没を検出する水没検出機構と、該水没検出機構が該車両の水没を検出したときに警報を発する警報器と含む車両水没警報装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-318445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車両水没警報装置は、水没を報知する警報を発するが、水没時に操作部上の車両の窓又はドアロックの操作位置を知らせるものではない。また、水没時に限らず、車両の衝突時等の緊急事態発生時に操作部における車両の窓又はドアロックの操作位置を知らせるものではない。水没や衝突等の緊急事態が発生すると、車両の乗客は冷静に判断することが難しい状態になる虞があるため、正確な判断、及び、正確な操作を素早く行うことは困難になる。このため、緊急事態発生時に車両からの脱出口を確保するために車両の窓又はドアロックを操作する際に、スイッチ等の操作部の位置(操作位置)が分かり難いと、誤判断や誤操作を引き起こす可能性があり、正確な判断や正確な操作を行うまでに時間が係る虞がある。このような緊急事態発生時には、一刻も早く車両の窓又はドアロックを見つけて操作できるようにすることが大切である。
【0005】
そこで、車両の緊急事態発生時に操作部における車両の窓又はドアロックの操作位置を知らせることができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の入力装置は、照光部を有し、車両に備えられた装置のうちの少なくとも車両の窓又はドアロックを含む第1装置の操作を行うための操作入力が可能な第1入力モードと、前記車両に備えられた装置のうちの前記第1装置以外の第2装置の操作を行うための操作入力が可能な第2入力モードとのいずれか一方の入力モードで操作入力を受け付ける操作部と、前記車両の緊急事態を検出可能な緊急事態検出部と、前記操作部の入力モードを前記第1入力モードと前記第2入力モードとのいずれか一方に設定するとともに、前記照光部の照光状態を前記照光部の照光を強調する第1照光状態と前記照光部の照光を強調しない第2照光状態とのいずれか一方に設定する制御部と、を含み、前記制御部は、前記緊急事態検出部によって前記車両の緊急事態が検出されると、前記操作部を前記第1入力モードに設定するとともに、前記照光部を第1照光状態に設定する。
【発明の効果】
【0007】
車両の緊急事態発生時に車両の窓又はドアロックの操作位置を知らせることができる入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の入力装置を搭載した車両10の室内を示す図である。
図2】実施形態の入力装置100を含む車載機器を示す図である。
図3】通常時、及び、緊急事態発生時の操作部110を示す図である。
図4】HUD140Bに表示される模擬画像を示す図である。
図5】HUD140Bの表示を示す図である。
図6】HUD140Bの表示を示す図である。
図7】第1入力モード及び第2入力モードにおけるHUD140Bの表示を示す。
図8】制御部120が操作部110の入力モードを設定するために実行する処理を示すフローチャートである。
図9】緊急事態発生時に制御部120が入力モード及び表示の切り替えを行う処理を示すフローチャートである。
図10】制御部120がHUD140Bの表示に関して実行する処理を示すフローチャートである。
図11】実施形態の変形例の操作部を示す図である。
図12図11(B)に示す操作部110M2の領域111MBの部分を示す図である。
図13】実施形態の変形例の操作部110M3を示す図である。
図14】HUD140Bの画像の一例を示す図である。
図15】実施形態の変形例の入力装置100Aを示す図である。
図16】車両10の衝突時における操作部110の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の入力装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の入力装置を搭載した車両10の室内を示す図である。図1にはダッシュボード11、センターコンソール12、ウィンドシールド(フロントウィンドウ)13、ドアパネル14等を示す。センターコンソール12とドアパネル14には操作部110が設けられており、車両10の室内の天井には2台のカメラ140Aが配置されている。また、ウィンドシールド13にはHUD(Head Up Display)140Bが設けられ、ダッシュボード11にはディスプレイ140Cが設けられている。ディスプレイ140Cは、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)やOLED(Organic Light Emitting Diode)等を用いた表示装置である。HUD140B及びディスプレイ140Cには、車両10の走行状態に関するデータの他、パワーウィンドウスイッチ、ドアロックスイッチ、ナビゲーションシステム、エアコンディショナ、及びオーディオ等の種々の車載機器に関するデータを表示可能である。
【0011】
2台のカメラ140Aは、それぞれ2つの操作部110の周辺における動画像及び静止画像を上方から撮影可能である。操作部110は、パワーウィンドウ、及び/又は、ドアロックの操作が可能であるとともに、エアコンディショナ(空調装置)やオーディオ等のパワーウィンドウ及びドアロック以外の車載機器の操作が可能である。なお、パワーウィンドウとして操作可能な窓は、一例として車両10のFR(右前)、FL(左前)、RR(右後)、RL(左後)に配置される4枚のサイドウィンドウである。
【0012】
図2は、実施形態の入力装置100を含む車載機器を示す図である。以下では、利用者が入力装置100を操作するものとして説明する。利用者とは、車両10の利用者であり、典型的には乗員である。図2には、車両10の車載機器のうち入力装置100に関連する一部の車載機器を示す。
【0013】
入力装置100は、操作部110、制御部120、水没センサ130、及びリレー装置135を含む。操作部110は、タッチパッド111、LED(Light Emitting Diode)112、押しボタンスイッチ113を有する。操作部110は、車両10の利用者が車載機器を操作するために操作入力を行う入力装置であり、利用者の操作入力を受け付ける。操作部110への操作入力に従って制御部120が車載機器の制御を行う。
【0014】
入力装置100に関連する一部の車載機器は、カメラ140A、HUD140B、ディスプレイ140C、オーディオコントローラ150A、空調コントローラ150B、コントローラ150Cを含む。また、入力装置100に関連する一部の車載機器は、パワーウィンドウモータ160A、ドアロックアクチュエータ160B、及びバッテリ170をさらに含む。なお、ここでは、操作部110及びカメラ140Aを1つずつ示すが、実際には2つずつある。また、本実施形態では、操作部110とカメラ140Aとを1つずつ含む組みを2組備える構成について説明するが、広角レンズ等を用いて、2つ以上の操作部110を1台のカメラ140Aで撮影する構成であってもよい。また、操作部110とカメラ140Aとを1つずつ含む組みを3組以上備える構成であってもよい。
【0015】
オーディオコントローラ150A及び空調コントローラ150Bは、車両10のオーディオ及びエアコンディショナをそれぞれ制御する制御装置である。オーディオコントローラ150Aと制御部120とは車内LAN(Local Area Network)にて接続されている。空調コントローラ150Bと制御部120とは車内LANにて接続されている。コントローラ150Cは、オーディオ及びエアコンディショナ以外の種々の車載機器を制御する制御装置である。コントローラ150Cと制御部120とは車内LANにて接続されている。パワーウィンドウモータ160Aは、サイドウィンドウの開閉を行うモータであり、ドアロックアクチュエータ160Bは、ドアロック機構の施錠及び解錠を行う駆動部である。利用者が操作部110に対して窓を操作する入力を行ったときに、コントローラ150Cとパワーウィンドウモータ160Aとは連携して動作し、窓を駆動する。利用者が操作部110に対してドアロックを操作する入力を行ったときに、コントローラ150Cとドアロックアクチュエータ160Bとは連携して動作し、ドアロックを駆動する。バッテリ170は、車両10に搭載される車載機器に電力を供給する電源である。
【0016】
次に、入力装置100に含まれる操作部110、制御部120、水没センサ130、及びリレー装置135について説明する。
【0017】
操作部110は、複数のタッチスイッチ又はタッチパッドを備える。本実施形態では、一例として、静電容量の大きな物体が接近した時に容量結合して検出信号を生成するタッチパッド111を操作部110が備える構成について説明する。また、操作部110は照光部を有する。照光部は照光機能を備えるパネル部材の一部として設けられる。なお、以下の説明では、パネル部材は透光性の樹脂と非透明樹脂とを用いた二色成形体であることを前提とした説明を行う。ここではパネル部材と照光部については簡単に説明し、詳細な構成については図3を用いて後述する。
【0018】
照光部は、パネル部材の表面に設けられ、LED112から出力される光を特定のマークや文字等のシンボルの形状を表す光、又は、シンボルの形状以外の形状を表す光として透過する。このように光が照光部を透過することにより、照光部はシンボルの形状、又は、シンボルの形状以外の形状で点灯する。シンボルとは、例えば所定の意味を持つ文字、数字、記号、線図、マーク等であり、ここでは操作部110で操作を行う操作対象(パワーウィンドウ、エアコンディショナ、オーディオ等)が有する機能に関連付けられた文字、数字、記号、線図、マーク等である。シンボルの形状以外の形状とは、シンボルのように所定の意味を持たない形状であり、例えば、LED112の光をそのまま透光する円形、四角形等の形状や、シンボルを囲む円環状や矩形環状のような額状の形状である。照光部の形状は、このようなシンボルを表す形状やシンボルの形状以外の形状であればよく、照光部を透過した光はシンボルの形状又はシンボルの形状以外の形状を表す光になる。このようにして照光部を有するパネル部材はシンボルの形状又はシンボルの形状以外の形状で点灯する。
【0019】
タッチパッド111は、操作の行われた領域を特定可能、または、その領域内における位置を特定可能な検出信号を生成する検出電極を有する。本実施形態にて説明するタッチパッド111は静電容量結合方式の検出電極を有する。利用者がタッチパッド111に指を近づけたときに、または、利用者がタッチパッド111に指を接触させたときに、タッチパッド111は検出信号を生成し、該検出信号を制御部120に送信する。なお、本実施形態では、タッチパッド111は静電容量結合方式の検出電極を有するものとして説明するが、検出電極は操作の行われた位置を判定可能な検出信号を生成する検出電極を有していればよく、検出方式は静電容量結合方式に限られるものではない。例えば、検出電極は、抵抗検出方式の検出電極であってもよい。また、例えば、タッチパッド111は、外周部に複数の荷重センサを配置して、該荷重センサからの検出信号を元に操作の行われた位置を判定可能な構成であってもよい。
【0020】
タッチパッド111は、操作部110の入力部であり、図2に示す様に、制御部120を介して、パワーウィンドウモータ160Aとドアロックアクチュエータ160Bとに接続されている。また、タッチパッド111は、制御部120及び車内LANを介して、オーディオコントローラ150Aと空調コントローラ150Bとコントローラ150Cとに接続されている。タッチパッド111は、制御部120によって、詳しくは後述する複数の入力モードが切り替えられる。
【0021】
操作部110の入力モードは、少なくとも第1入力モード及び第2入力モードを含んでいればよく、第1入力モード及び第2入力モード以外の入力モードを含んでいてもよいが、ここでは第1入力モード及び第2入力モードについて説明する。第1入力モードと第2入力モードでは、操作可能な車載機器が異なる。
【0022】
第1入力モードは、少なくともパワーウィンドウモータ160Aとドアロックアクチュエータ160Bとの操作を行うための入力が可能になる入力モードであり、タッチパッド111への操作入力によって、パワーウィンドウ、及び/又は、ドアロックの操作が可能になる入力モードである。第1入力モードで操作が可能な少なくともパワーウィンドウモータ160Aとドアロックアクチュエータ160Bを含む車載機器は、第1装置の一例である。なお、以下では第1入力モードにおいて、パワーウィンドウモータ160Aとドアロックアクチュエータ160Bの操作を行う形態について説明する。
【0023】
第2入力モードは、オーディオコントローラ150A、空調コントローラ150B、又はコントローラ150Cの操作を行うための入力が可能になる入力モードであり、オーディオ、エアコンディショナ(空調装置)、又はその他の車載機器の操作が可能な入力モードである。第2入力モードには車載機器に応じた複数種類の入力モードがある。第2入力モードで操作が可能なオーディオ、エアコンディショナ(空調装置)、又はその他の車載機器は、第1装置以外の第2装置の一例である。
【0024】
操作部110の入力モードは、利用者の操作部110への操作入力に基づいて、第1入力モード又は第2入力モードに切り替えられる。制御部120によって操作部110の入力モードが切り替えられると、操作部110では複数の入力モードにおける種々の車載機器の操作が可能である。
【0025】
また、車両10が水没等の緊急事態を検出したときに、操作部110の入力モードは強制的に第1入力モードに設定される。パワーウィンドウ、及び/又は、ドアロックの操作が可能な状態にするためであり、これらを操作することによって利用者の車外への脱出を可能にするためである。この詳細については図8及び図9を用いて後述する。また、車両10の緊急事態とは、車両10の利用者の救出等が必要な状態であり、ここでは緊急事態の一例である車両10の水没時における入力装置100の制御について説明する。また、以下では、通常時とは車両10の緊急事態が発生していないときをいう。なお、入力装置100は水没以外の緊急事態に対応することも可能であり、その詳細については図15及び図16を用いて後述する。
【0026】
また、車両10の水没が発生し、操作部110の入力モードが強制的に第1入力モードに切り替えられたときに、操作部110の照光部は強調して点灯される。操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を目立たせるためである。こうすることによって、利用者が冷静な判断を行うことが難しい状態であったとしても、脱出口を確保するための操作を迅速かつ適切に行える可能性が高めることができる。
【0027】
LED112は、操作部110の照光部を点灯させるための光を出力する光源の一例であり、操作部110に含まれる複数の照光部の裏側に設けられている。LED112が照光する照光部の形状は、文字や記号等のシンボルの形状に限らず、シンボルの形状以外の形状を有していてもよい。例えば、LED112が照光する対象は、インジケータランプや、詳しくは後述するタッチパッド111に割り当てられる領域111A~111Eの縁部や、該縁部に沿って設けられた枠形状の導光体であってもよい。これらの詳細については図3を用いて後述する。
【0028】
また、入力装置100は、車両10の水没が発生すると、操作部110に設けられる複数の照光部のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部を強調して点灯する。このような照光部の強調は、入力装置100が複数のLED112のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部に対応するLED112のみを点灯することによって実現される。この詳細については、図4を用いて後述する。
【0029】
押しボタンスイッチ113は、タッチパッド111と操作部110の基部との間に設けられている。操作部110の基部は、操作部110をドアパネル14やセンターコンソール12等に取り付ける土台の部分である。押しボタンスイッチ113は、タッチパッド111の表面を押圧する操作が行われてタッチパッド111が操作を検出し、タッチパッド111の出力が操作を検出したことを表す状態に遷移すると、非導通状態から導通状態に変化する。押しボタンスイッチ113は、タッチパッド111の押圧が解除されてタッチパッド111が復帰すると、押される前の元の位置に復帰し非導通状態に戻る。押しボタンスイッチ113は、例えばタッチパッド111で行った操作内容を確定させるための操作を利用者が行うために設けられている。なお、押しボタンスイッチ113は、押圧力が加えられたときのタッチパッド111の出力の遷移を検出する機能性を備えていればよく、例えばタクトスイッチやラバードームスイッチ等の押圧時に操作感触を生成する接点が用いられる。また、押しボタンスイッチ113は、押圧力が加えられたときにタッチパッド111の出力が遷移する距離の変化を検出可能な赤外線センサ等を含み、該変化に基づいて接点の非導通状態と導通状態とを切り替える検出機構であってもよい。なお、入力装置100は、押しボタンスイッチ113を含まない構成であってもよい。その場合には、例えば、タッチパッド111が押圧されたときにタッチパッド111に接触する指先等の面積の増大に基づいて、確定操作が行われたことを検出するように構成すればよい。
【0030】
操作部110への入力操作が行われると、操作部110は検出信号を生成し、検出信号は制御部120へ送信される。検出信号を受信した制御部120は制御信号を生成し、制御信号は車両10に備えられた装置へ送信される。この結果、入力装置100の操作対象である車両機器が操作部110への入力操作に応じて動作する。
【0031】
また、制御部120にはリレー装置135が接続されており、車両10が水没して制御部120が動作不能の状態になると、リレー装置135を介してバッテリ170から特定のLED112のみに電力が供給されて点灯する。特定のLED112とは、操作部110に設けられる複数の照光部のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部に対応するLED112である。水没時にパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を強調して昇降するためである。
【0032】
また、車両10が水没して制御部120が動作不能の状態になったときには、制御部120を介さずに、操作部110への操作入力でパワーウィンドウモータ160A、及び/又は、ドアロックアクチュエータ160Bを直接的に操作可能な状態になる。この詳細については後述する。
【0033】
制御部120は、主制御部121、操作検出部122、モード切替部123、LED制御部124、駆動制御部125、AR(Augmented Reality)制御部126、及びメモリ127を有する。制御部120は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力インターフェイス、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0034】
主制御部121、操作検出部122、モード切替部123、LED制御部124、駆動制御部125、AR制御部126は、制御部120が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ127は、制御部120のメモリを機能的に表したものである。
【0035】
主制御部121は、制御部120の制御処理を統括する処理部であり、操作検出部122、モード切替部123、LED制御部124、駆動制御部125、及びAR制御部126が実行する処理以外の処理を実行する。
【0036】
操作検出部122は、タッチパッド111の出力に基づいてタッチパッド111への物体の接近を検出するとともに、タッチパッド111に対して操作入力が行われた座標等に基づいて操作内容を検出する。操作検出部122によって検出される物体の接近や操作内容を表すデータは、モード切替部123、LED制御部124、駆動制御部125、又はAR制御部126に伝送される。
【0037】
モード切替部123は、操作検出部122から入力モードの切り替え操作を表すデータが伝送されると、操作部110の入力モードを第1入力モードと、第2入力モードのうちの複数の入力モードとのうちのいずれかに切り替える。また、モード切替部123は、水没センサ130によって車両10の水没が検出されると、入力モードを強制的に第1入力モードに切り替える。
【0038】
LED制御部124は、第1入力モード又は第2入力モードに応じて複数のLED112の点灯制御を行う。ここでは、一例として、第1入力モードにおいて水没センサ130によって車両10の水没が検出されていないときと、第2入力モードに設定されているときとには、LED制御部124は、操作部110のすべての照光部を通常時用の輝度で点灯させる。第1入力モードにおいて水没センサ130によって車両10の水没が検出されていないときと、第2入力モードに設定されているときは、車両10に緊急事態が発生していない通常時である。
【0039】
また、LED制御部124は、水没センサ130によって車両10の水没が検出された場合は、操作部110のすべての照光部のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を照光する照光部を点灯させるとともに、操作部110のすべての照光部のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を照光する照光部以外の照光部を消灯する。これにより、車両10の水没には、操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分のみが照光され、第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分が強調されることになる。なお、強調とは、強調したい部分を他の部分よりも目立つように表示することである。
【0040】
また、LED制御部124は、車両10の水没が検出された場合に、LED112を通常時とは異なる色で点灯させてもよい。より具体的には発光色の異なる別のLED112を設けておき、水没が検出された場合に点灯させればよい。
【0041】
また、LED制御部124は、水没が検出された場合に、LED112を点滅させてもよい。また、LED制御部124は、LED112を通常時よりも強い輝度で点灯させてもよい。また、このときにLED制御部124は、操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分以外のLED112を消灯してもよい。これらはすべて、第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を強調して表示するために行われる制御である。
【0042】
駆動制御部125は、操作検出部122からパワーウィンドウの開閉操作又はドアロックを施錠又は解錠する操作を表すデータが伝送されると、パワーウィンドウモータ160A又はドアロックアクチュエータ160Bを駆動する。この結果、タッチパッド111の操作量に応じて車両10のサイドウィンドウの開閉が行われるか、又は、ドアロックの施錠又は解錠が行われる。
【0043】
AR制御部126は、HUD140B又はディスプレイ140Cに表示する模擬画像の制御を行う。AR制御部126は、操作検出部122から伝送される操作内容を表すデータに応じて、所定の場合に、操作部110及びその周辺の構成要素を表す模擬画像に、そのときの入力モードにおいてタッチパッド111に割り当てられるスイッチの種類を表す文字、記号、又はマーク等のシンボルを表す模擬画像を重畳してHUD140B又はディスプレイ140Cに表示する。また、AR制御部126は、カメラ140Aによって撮像される画像に含まれる操作部110の位置と手の位置との関係に基づいて、HUD140B又はディスプレイ140Cに表示する操作部110及びその周辺の構成要素を表す模擬画像に、手を表す模擬画像を重ねて表示する。AR制御部126の制御によるHUD140B又はディスプレイ140Cへの表示内容については後述する。
【0044】
メモリ127は、操作検出部122、モード切替部123、LED制御部124、駆動制御部125、AR制御部126が制御処理を実行するために必要なプログラム及びデータや、制御処理によって生じるデータ等を格納する。また、メモリ127には、利用者によって設定されたHUD140B又はディスプレイ140Cの表示設定の内容や、利用者によって設定されたタッチパッド111への機能の割り当ての内容を格納することができる。
【0045】
水没センサ130は、車両10が所定の深さまで水没したことを検出するセンサであり、検出結果を表すデータは制御部120に伝送される。水没センサ130は、車両10の緊急事態を検出可能な緊急事態検出部の一例である。水没センサ130は離間している2つの電極パッドを有する。水没して2つの電極パッドが水を介して導通すると、2つの電極パッドに接続される水没検出回路が車両10の水没を検出する。
【0046】
水没センサ130は、車両10の中で制御部120よりも低い位置、又は、車両10が水没したときに制御部120よりも先に水没する位置に設けられている。水没センサ130によって車両10の水没が検出されると、制御部120は水没状態に応じた制御を行う。このような制御については後述する。ただし、水没の度合が大きくなると、制御部120は動作不能な状態になる。例えば、水没センサ130によって車両10の水没が検出された後にさらに水深が深くなり、制御部120が水没した場合には制御部120は動作不能になる。
【0047】
リレー装置135は、切替回路の一例であり、バッテリ170とパワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bとの間をタッチパッド111を介して直接的に接続する電源ライン180に直列に挿入されている。電源ラインは、電力ケーブルで実現される。リレー装置135は、バッテリ170とタッチパッド111との間に設けられている。リレー装置135の上流側における電源ライン180に示す記号+Bは、バッテリ170のプラス端子からの電力供給を示す。
【0048】
リレー装置135は、制御部120の所定部分の電位を検出しており、制御部120が動作可能な状態では、所定部分の電位が閾値よりも高いため、非導通状態になる。リレー装置135が非導通状態のときは、バッテリ170とタッチパッド111との間の電源ライン180は非導通状態である。この状態では、タッチパッド111への操作入力によって制御部120を介して車載機器を操作することができ、タッチパッド111を操作しても電源ライン180を介してパワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bに電力が供給されることはない。
【0049】
リレー装置135は、制御部120が動作不能状態になって制御部120の所定部分の電位が閾値以下になると導通状態に切り替わり、バッテリ170とタッチパッド111との間を導通させる。制御部120が動作不能になると、制御部120がパワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bを駆動することはできない。しかしながら、リレー装置135が導通状態に切り替わるため、タッチパッド111を操作すれば、電源ライン180を介してパワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bに電力が供給される。
【0050】
また、リレー装置135は、電源ライン180AによってLED112に接続されており、リレー装置135が導通状態に切り替わると、バッテリ170からLED112に電力を供給する。
【0051】
このため、車両10が水没して制御部120が動作不能になっても、制御部120を介さずに、LED112を点灯させて操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を点灯させることができるとともに、タッチパッド111で直接的にパワーウィンドウモータ160A、及び/又は、ドアロックアクチュエータ160Bを操作することができる。
【0052】
車両10が水没して制御部120が動作不能になるとLED112が点灯するので、車両10の利用者に操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を視覚で認識させることができる。このため、車両10が水没して制御部120が動作不能になっても、利用者は操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を視覚で認識して操作することによって、サイドウィンドウを開けることができ、ドアロックを解錠することができる。
【0053】
図3は、通常時、及び、緊急事態発生時の操作部110を示す図である。図3(A)には、通常時の操作部110を示す。操作部110は、筐体110Aとタッチパッド111を有する。筐体110Aは、一例として樹脂製であり、二色成形によって作製されている。タッチパッド111は、筐体110Aの内部に収容されている。操作部110の表面には、平面視でタッチパッド111に割り当てられる領域111A~111Eが設けられる。領域111A~111Eは、タッチパッド111によって操作入力が独立的に検出可能な領域である。また、図3では図示を省略するが、筐体110Aの内部で領域111A~111Eの裏側にはLED112と押しボタンスイッチ113が設けられている。
【0054】
また、領域111A~111Eの縁部には、成形技術によって筐体110Aに形成された凹凸形状が設けられている。このことによって、筐体110Aは、領域111A~111Eの各々が視覚又は触覚によって隣接する他の領域との境界を判別可能に構成されている。
【0055】
領域111A及び111Bの内部には、サイドウィンドウを閉じることを示す上向きの矢印を表すシンボルの形状を有する照光部111Abと、サイドウィンドウを開けることを示す下向きの矢印を表すシンボルの形状を有する照光部111Bbとがそれぞれ設けられている。領域111Cにはドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替える文字を表すシンボルの形状を有する照光部111Cbが設けられ、領域111Dには操作部110の入力モードを切り替えることを表す文字(Mode)を表すシンボルの形状を有する照光部111Dbが設けられている。照光部111Bb、111Cbは、第1照光状態において照光されるタッチパッドの一部の一例である。また、照光部111Bb、111Cbは、車両のサイドウィンドウ(窓)又はドアロックを操作するためのタッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部の一例である。
【0056】
また、領域111Eには、4つのサイドウィンドウを表す文字FR(右前)、FL(左前)、RR(右後)、RL(左後)をそれぞれ表すシンボルの形状を有する4つの照光部111Ebが設けられている。各照光部111Ab~111Ebは、二色成形によって筐体110Aとともに一体的に成形されており、一例として各照光部111Ab~111Ebの部分は透明な樹脂で成形されており、各照光部111Ab~111Eb以外の部分は不透明で光を透過しない樹脂で成形されている。
【0057】
各照光部111Ab~111Ebの裏側には、LED112が1つずつ設けられている。このため、各LED112を点灯すると、照光部111Ab~111Ebの各々を透過する光は、各シンボルの形状を表す光になる。これにより、照光部111Ab~111Ebは、それぞれシンボルの形状通りに点灯される。このときの照光部111Ab~111Ebの輝度はすべて一定であり、いずれかの照光部が強調されている状態ではない。この照光状態は、照光部の照光を強調しない第2照光状態の一例である。
【0058】
操作部110が第1入力モードのときに、領域111A~111Eに設けられる照光部111Ab~111Ebに触れることでサイドウィンドウの上下移動、施錠(Lock)/解錠(UnLock)の切替、入力モード(Mode)の切り替え、及びFR(右前)、FL(左前)、RR(右後)、RL(左後)のサイドウィンドウの選択を行うことができるようになっている。なお、操作部110は、LED112が点灯していない状態では、領域111A~111Eの輪郭が見えるだけであり、照光部111Ab~111Ebのシンボルの形状は見えない。また、第1入力モードで入力を行う際には、第1入力モードにおいてタッチパッド111に割り当てられるスイッチの種類を表す文字、記号、又はマーク等のシンボルを表す模擬画像がHUD140に表示される。利用者は、HUD140に表示される操作部110を表す模擬画像を用いて操作を行うことも可能となっている。
【0059】
また、操作部110が第2入力モードのときは、領域111A~111Eには照光部111Ab~111Ebのシンボルが表す機能とは異なる機能が割り当てられる。具体的には、第2入力モードはオーディオコントローラ150A、空調コントローラ150B、又はコントローラ150Cの操作を行うための操作入力が可能になる入力モードであるため、領域111A~111Eに触れることで、オーディオコントローラ150A、空調コントローラ150B、コントローラ150Cの操作を行うことができる。第2入力モードで入力を行う際には、HUD140に表示される操作部110を表す模擬画像を用いて操作を行う。
【0060】
なお、照光部111Ab~111Ebは、シンボルのみでなく、シンボルを囲む輪郭の部分(領域111A~111Dの輪郭と、FR、FL、RR、RLのシンボルを囲む4つの輪郭)も光を透過可能に構成されていて、かつ、照光部111Ab~111Ebの各々において、シンボルと輪郭を別々のLED112で照光してもよい。この場合に、操作部110が第2入力モードのときには、シンボルに対応するLED112を点灯させずに、輪郭に対応するLED112のみを点灯させてもよい。このようにすれば、第2入力モードにおいて、サイドウィンドウの上下移動の矢印、施錠(Lock)/解錠(UnLock)、入力モード(Mode)、及びFR、FL、RR、RLのシンボルを非表示にすることができる。なお、このようなシンボルを囲む輪郭の部分に設けられる照光部は、シンボルの形状以外の形状で点灯する照光部の一例である。
【0061】
図3(B)は、水没センサ130によって車両10の水没が検出されたときの操作部110の照光状態を示す図である。車両10が水没したときには、操作部110の入力モードはモード切替部123によって第1入力モードに強制的に切り替えられる。そして、LED制御部124は、図3(B)に示す様に、サイドウィンドウを下降させる矢印形状のシンボルを表す照光部111Bbと、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)のシンボルを表す照光部111Cbとを点灯させ、その他の照光部111Ab、111Db、111Ebを消灯した状態にする。この照光状態は、照光部の照光を強調する第1照光状態の一例である。第1照光状態では、照光部111Bbと照光部111Cbとを点灯させ、その他の照光部111Ab、111Db、111Ebを消灯することにより、照光部111Bbと照光部111Cbの照光を強調させる。水没時に車両10から脱出する脱出口を確保するために操作が必要な部分のみを表示することで、利用者が素早く解錠操作とサイドウィンドウを開ける操作とを行えるようにするためである。なお、照光部111Bbと照光部111Cbとを点灯させ、その他の照光部111Ab、111Db、111Ebを消灯する代わりに、照光部111Bbと照光部111Cbとをそのままの輝度で点灯させ、その他の照光部111Ab、111Db、111Ebの輝度を低下させて減光することによって、照光部111Bbと照光部111Cbとを強調してもよい。強調して表示したい照光部111Bbと照光部111Cbとが、それ以外の照光部111Ab、111Db、111Ebと比較して、相対的に高い輝度で点灯されていれば良い。
【0062】
このように照光部111Bbと照光部111Cbとを点灯させ、その他の照光部111Ab、111Db、111Ebを点灯しない第1照光状態は、LED制御部124が照光部111Bbと照光部111Cbに対応するLED112のみを点灯させて、照光部111Ab、111Db、111Ebに対応するLED112を点灯しない状態にすることによって実現される。照光部111Bbと照光部111Cbは、第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部である。
【0063】
また、水没センサ130によって車両10の水没が検出されると、操作部110はモード切替部123によって強制的に第1入力モードにされるため、照光部111Bbと照光部111Cbの照光を強調させた状態で、ドアロックの解錠とサイドウィンドウを開ける操作とを行うことができるようになる。緊急事態が発生したときに、パワーウィンドウスイッチ及びドアロックスイッチとして機能する部分を目立たせて、素早く操作可能な状態にするためである。このことによって、利用者が冷静な判断を行うことが難しい状態であったとしても、脱出口を開けるための操作を迅速かつ適切に操作できる可能性が向上する。
【0064】
また、水没時に強制的に第1入力モードになったときには、操作部110の照光部111Bbの部分を押圧することによって、FR(右前)、FL(左前)、RR(右後)、RL(左後)の4つのすべてのサイドウィンドウが開くようにすればよい。この場合に、例えば照光部111Bbの部分を押圧することによって運転席側のサイドウィンドウだけが開くようにしてもよいが、運転席以外の座席に乗員がいる可能性があるため、脱出口を確保するためにすべてのサイドウィンドウを開けることが好ましい。
【0065】
車両10が水没したときに図3(B)に示すように照光部111Bb、111Cbを点灯することによって、水没のような非常事態において車両10の利用者にサイドウィンドウを開けるためのスイッチ(照光部111Bb)と、ドアロックを解錠するためのスイッチ(照光部111Cb)を目立たせることができる。これにより、緊急事態が発生した時に、操作すべきスイッチのみが照光されて目立つため、誤って他の部分を操作することを抑制することが可能となる。
【0066】
また、図3(B)に示す表示は、制御部120が動作可能な状態では、LED制御部124が照光部111Bb、111Cbに対応するLED112を点灯させるように制御することで行われるが、制御部120が動作不能になっても照光部111Bb、111Cbに対応するLED112が点灯される状態が保持される。
【0067】
制御部120が動作不能になると、リレー装置135が作動することによって制御部120を介さずに照光部111Bb、111Cbに対応するLED112のみが点灯されるとともに、タッチパッド111で直接的にパワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bを駆動できる状態になる。このため、水没時に水深が深くなって制御部120が動作不能な状態になっても、図3(B)に示す操作部110の表示を維持できるとともに、サイドウィンドウを開閉可能でドアロックを解錠可能な状態を維持できる。制御部120が動作不能になっても、サイドウィンドウを開けるためのスイッチ(照光部111Bb)と、ドアロックを解錠するためのスイッチ(照光部111Cb)を目立たせるとともに、パワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bが駆動可能な状態を確保することにより、制御部120が動作不能になるほど水没が進んだ状態においても、車両10の利用者が脱出口を確保できるようにするためである。
【0068】
なお、入力装置100は、ここで説明する複数のLED112とは別に、第2入力モードにおいてのみ点灯されるLEDを含んでいてもよい。このようなLEDは、入力装置100の中でLED112が設けられる位置とは異なる位置に設けられていて、照光部111Ab~111Eb以外の照光部に向けて光を出力するものであればよい。
【0069】
また、本実施形態では、照光部111Ab~111Ebを有する筐体110Aが二色成形体で構成される形態について説明するが、照光部111Ab~111Ebの構成は上記の構成に限られない。操作部110は、任意の照光部を強調して点灯可能な構成を含んでいればよく、例えば、印刷フィルムと、LED112の代わりに利用可能な光源とを含む構成であってもよい。また、操作部110は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等を含む表示機構であってもよい。これらの場合には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイが照光部になる。
【0070】
また、本実施形態では、照光部111Bb、111Cbが車両のサイドウィンドウ(窓)又はドアロックを操作するためのタッチパッドの一部と平面視で重なる位置に配置される照光部の一例である形態について説明する。しかしながら、操作部110がタッチパッド111の代わりに複数のタッチスイッチを有する場合には、照光部111Bb、111Cbは、車両のサイドウィンドウ(窓)又はドアロックを操作するための少なくとも一つのタッチスイッチと平面視で重なる位置に配置される照光部の一例である。
【0071】
図4は、HUD140Bに表示される模擬画像を示す図である。以下では、一例としてHUD140Bの表示について説明するが、ディスプレイ140Cの表示についても同様である。図4(A)には、通常時で操作部110が第1入力モードに設定されており、かつ、手Hが操作部110に接近したときのHUD140Bの表示例を示す。操作部110が第1入力モードに設定されているときには、HUD140Bには、模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaが表示される。模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaは、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)によって構成される。なお、通常時で操作部110が第1入力モードに設定されており、かつ、手Hが操作部110に接近していない状態では、模擬画像111Aaa~111Eaaは表示されない。
【0072】
模擬画像111aは、操作部110(図3(A)参照)を表す模擬画像である。模擬画像111Aa~111Eaは、領域111A~111E(図3(A)参照)を表す模擬画像である。模擬画像111Aaa~111Eaaは、第1入力モードにおいて操作部110の領域111A~111Eに割り当てられる機能を示す模擬画像である。このため、模擬画像111Aaa~111Daaは、それぞれ、サイドウィンドウを閉じることを示す上向きの矢印、サイドウィンドウを開けることを示す下向きの矢印、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替える文字、操作部110の入力モードを切り替えることを表す文字(Mode)を表す。また、模擬画像111Eaaは、4つのサイドウィンドウを表す文字FR、FL、RR、RLと、文字FR、FL、RR、RLを囲む四角形の輪郭とを表す。模擬画像111Aaa~111Daaは、模擬画像111Aa~111Eaに重ねて表示される。
【0073】
また、第1入力モードは、サイドウィンドウの開閉とドアロックの切り替えとを操作する入力モードであるため、模擬画像111aの上側には、Door LockとPower Windowとの文字が表示されている。
【0074】
また、図4(A)では、手Hを表す模擬画像HaがHUD140Bに表示されている。図4(A)では、模擬画像Haは、模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaとは重なっていない。実際の手Hの位置が操作部110に到達していないためである。操作部110の模擬画像111aと、領域111A~111Eの模擬画像111Aa~111Eaと、シンボルの模擬画像111Aaa~111Eaaを表示位置はHUD140Bが表示する画像の中で固定されているが、利用者の手Hの模擬画像Haの位置は、カメラ140Aによって撮像された手Hの位置に基づいてリアルタイムに更新される。
【0075】
このため、利用者は、HUD140Bの表示を見ながら、自分の手Hと操作部110との相対的な位置関係を把握することができる。これにより、車両を運転中の利用者は、HUD140Bの表示内容を見るだけで、自分の手Hと操作部110の相対的な位置関係を判断することができる。利用者は操作部110まで視線を下す必要が無くなるので、利用者による入力操作の正確さと運転の安全性とを共に向上させることができる。
【0076】
なお、模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaa、Haを用いるのは、AR制御部126の演算負荷を小さくするためである。しかしながら、AR制御部126の処理速度が十分に速い場合には、カメラ140Aで撮像した実際の操作部110と手Hの画像をHUD140Bに表示してもよい。また、実際の操作部110と手Hの画像に模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaを重ねて表示してもよい。
【0077】
制御部120は、タッチパッド111の出力に基づいて手Hのタッチパッド111への接近を検出する。また、制御部120は、カメラ140Aによって撮像された画像を用いて手Hの操作部110への接近を検出する。一例として、手Hの画像がカメラ140Aの視野に入らない場合には、制御部120は、タッチパッド111の出力に基づいて手Hのタッチパッド111への接近を検出すればよい。また、制御部120は、カメラ140Aによって撮像された画像に手Hの画像が含まれる場合には、画像処理を行って手Hと操作部110の相対位置を検出すればよい。画像処理で手Hと操作部110の相対位置を検出する際にも、タッチパッド111の出力も用いて手Hと操作部110の位置関係を検出してもよい。このような制御は、操作検出部122が行えばよい。
【0078】
操作検出部122が手Hの操作部110への接近を検出すると、AR制御部126がHUD140Bを制御して、操作部110及びその周辺の画像の模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaと、手Hを表す模擬画像Haとを表示する。
【0079】
また、AR制御部126は、手Hと操作部110との位置が重なっている場合には、手Hの模擬画像Haを透過表示に変更する。そして、AR制御部126は、領域111A~111Eの模擬画像111Aa~111Eaと、領域111A~111Eに各々に割り当てられた機能を表す文字、記号、又はマーク等の模擬画像111Aaa~111Eaaとを模擬画像Haと重畳して表示する。この構成により、利用者は容易に操作すべき位置を把握することが可能になる。
【0080】
ここで、領域111A~111Eの模擬画像111Aa~111Ea、サイドウィンドウを閉じることを表す記号(上向きの矢印)を表す模擬画像111Aaa、サイドウィンドウを開けることを表す記号(下向きの矢印)を表す模擬画像111Baa、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表す文字を表す模擬画像111Caa、操作部110の入力モードを切り替えることを表す文字を表す模擬画像111Daa、サイドウィンドウを表す文字FR、FL、RR、RLの文字を表す模擬画像111Eaaは、操作部110を模したインターフェイスの一例である。
【0081】
また、図4(B)は、車両10が水没したときのHUD140Bの表示を示す。車両10が水没すると、操作部110の入力モードは強制的に第1入力モードになり、照光部111Bb、111Cbのみが照光される第1照光状態になる(図3(B)参照)。これに伴い、HUD140Bの表示は、図4(B)に示すように、第1入力モードに対応したサイドウィンドウの開閉とドアロックの切り替えとに関する模擬画像111Aa~111Ea及び111Aaa~111Eaaを表示するとともに、模擬画像111Baaの下向きの矢印と、模擬画像111CaaのLock UnLockの文字とを太く表示した状態に切り替えられる。このように模擬画像111Baaの下向きの矢印と、模擬画像111CaaのLock UnLockの文字とを太く表示することは、HUD140Bにおける強調表示の一例である。なお、HUB140Bの表示においても、強調とは、強調したい部分を他の部分よりも目立つように表示することである。
【0082】
サイドウィンドウを開けるための操作と、ドアロックを解錠するための操作とを行う位置をHUD140Bで強調して表示することにより、車両10が水没しても制御部120が動作可能な状態である間は、利用者がHUD140Bの表示を見ながら、サイドウィンドウを開けるための操作、及び/又は、ドアロックを解錠するための操作を行うことができる。利用者がHUD140Bの表示を見ながらサイドウィンドウ又はドアロックを操作できるため、水没のような緊急事態が発生したときに、操作部110まで視線を下すことなく、脱出のための準備を行うことができる。特に、何らかの理由で視線を下ろすことができないような場合に有効である。
【0083】
なお、図3では、操作部110が、水没時にのみサイドウィンドウを開けることを表すシンボル(下向きの矢印)の形状の照光部111Bbと、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表すシンボルの形状の照光部111Cbとを強調する形態について説明した。しかし、操作部110は、水没時だけでなく通常時においても、照光部111Bb及び照光部111Cbのみを強調して点灯する構成であってもよい。そして、この場合に、HUD140Bには、模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaのすべてを表示してよい。この構成によれば、タッチパッド111の点灯状態とHUD140Bの表示内容との共通点を認識しやすくなり、操作部110のうちのどこに緊急事態発生時に重要な部分が配置されているのかを日常的に把握できるようになる。そのため、利用者は、通常時に操作部110を繰り返し使用するうちに、サイドウィンドウを開ける矢印が強調表示された領域111Bと、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表す文字が強調表示された領域111Cとの操作位置を記憶し易くなる。車両10から脱出するために操作する必要のある位置を記憶していれば、車両10が水没して冷静な判断が難しいような状態においても、利用者がドアロックを解錠する操作又はサイドウィンドウを開ける操作を行える可能性が高くなる。この結果、利用者が車両10から脱出しやすい状況を提供することができる。
【0084】
図5及び図6は、HUD140Bの表示を示す図である。AR制御部126は、カメラ140によって撮像された画像に含まれる操作部110と手Hの位置関係を、HUD140Bの表示における模擬画像111a、Haの位置関係に反映させる。すなわち、HUD140Bは、実際の手Hの位置の変化に応じて、模擬画像Haの位置をリアルタイムで移動させる。
【0085】
図5(A)には、通常時で手Hがタッチパッド111に接近していない状態において、平面視でタッチパッド111に割り当てられる領域111A~111Eを模した模擬画像111Aa~111Eaを示す。手Hがタッチパッド111に接近していない状態では、模擬画像111Aa~111Eaには、領域111A~111Eに割り当てられる機能を表す矢印等の模擬画像111Aaa~111Eaa(図4(A)参照)は表示されない。なお、本実施形態において、HUD140Bに表示される模擬画像111Aa~111Eaは、操作部110の領域111A~111Eの全体を表すが、HUD140Bの表示は操作部110の領域111A~111Eと矛盾していなければよく、例えば拡大することによって領域111A~111Eの一部の表示が欠けていてもよい。
【0086】
図5(B)には、通常時で操作部110が第1入力モードに設定されているときにおける模擬画像111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaと、手Hを模した模擬画像Haとを示す。手Hが操作部110に接近すると、制御部120は、図5(B)に示すように、模擬画像111Aa~111Eaに、サイドウィンドウを閉じることを表す記号(上向きの矢印)、サイドウィンドウを開けることを表す記号(下向きの矢印)、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表す文字、操作部110の入力モードを切り替えることを表す文字(Mode)、サイドウィンドウを表す文字FR、FL、RR、RLの模擬画像111Aaa~111Eaaを重ねて表示する。図5(B)に示すHUD140Bの表示内容は、図4(A)に示すHUD140Bの表示と同一である。
【0087】
手Hが操作部110にさらに接近して操作部110の上に手Hが重なると、制御部120は、図5(C)に示すように、模擬画像Haの指先に位置する模擬画像111Aaaと模擬画像111Caaを強調する。即ち、制御部120は、模擬画像111Aaと重ねて表示されたサイドウィンドウを閉じることを表す模擬画像111Aaa(上向きの矢印)と、模擬画像111Caと重ねて表示された施錠(Lock)/解錠(UnLock)の文字を表す模擬画像111Caaとを強調して表示する。模擬画像111Aaaの上向きの矢印と、模擬画像111Caaの文字とは、太く表示することによって強調されている。
【0088】
また、図5(C)には、運転席のサイドウィンドウである右前(FR)のサイドウィンドウが選択されて、模擬画像111Faが表示されている状態を示す。一例として、車両10が右ハンドル車である場合に、右前(FR)のサイドウィンドウが選択されると、模擬画像111Aa、111Baの間に運転席のサイドウィンドウを示すマークの模擬画像111Faが表示される。模擬画像111FaにはDriverの文字が表示される。
【0089】
また、図5(C)では、サイドウィンドウの選択が済んでいるため、模擬画像111Eaには文字FR、FL、RR、RLを表す模擬画像111Eaa(図5(B)参照)は表示されていない。サイドウィンドウの選択が済んだことにより、文字FR、FL、RR、RLを表す模擬画像111Eaaは非表示になっている。なお、運転席以外のサイドウィンドウが選択された場合には、模擬画像111FaとしてDriverの文字の代わりに、例えば、FL、RR、RLの文字を含む模擬画像を表示すればよい。
【0090】
また、図5(C)では、手Hの模擬画像Haは半透明化されており、手Hの模擬画像Haと重なる模擬画像111Aa~111Ea、111Aaa~111Daa、111Faが薄く見えるように表示される。手Hの模擬画像Haと重なる模擬画像111Aa~111Ea、111Aaa~111Daa、111Faを確認できるようにするためである。図5(C)では、模擬画像111Aa~111Eaが薄く表示される部分の輪郭を破線で示す。
【0091】
なお、ここでは、模擬画像111Aaaの上向きの矢印と、模擬画像111Caaの文字とを図5(B)よりも太くすることによって強調する形態を示すが、文字を点滅させてもよいし、文字のサイズを図5(B)に示す文字よりも大きくしてもよい。また、図5(B)に示す文字の色とは異なる色に変化させてもよいし、輝度を向上させてもよい。また、図5(B)に示す文字の太さが脈動するように変化させてもよいし、強調する部位の周囲を枠で囲う囲み文字で表示してもよい。このような様々な手法によって強調表示を行うことができる。また、このような様々な手法による模擬画像の強調表示は、図4(B)に示すように車両10が水没したときの模擬画像111Baa、111Caaに対して行ってもよい。
【0092】
手Hの指先が領域111Cの上に位置する場合には、制御部120は、図6(A)に示すように、HUD140B上に表示される模擬画像111Caと重ねて表示されるドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表す文字の模擬画像111Caaを強調して表示する。また、手Hの指先が領域111Aの上に位置する場合には、御装置120は、図6(B)に示すように、模擬画像Haの指先に位置する模擬画像111Aaに重ねて表示されるサイドウィンドウを閉じることを表す記号(上向きの矢印)の模擬画像111Aaaを強調して表示する。なお、太く示すのではなく、色を変化させる、又は、輝度を向上させる、又は、文字を構成する線の太さを脈動するように変化させる、又は、強調する部位の周囲を枠表示する等によって表示を強調してもよい。
【0093】
なお、図6(A)、(B)では、図5(C)と同様に、運転席のサイドウィンドウである右前(FR)のサイドウィンドウが選択されて模擬画像111Faが表示されているため、模擬画像111Eaには文字FR、FL、RR、RLを表す模擬画像111Eaa(図5(B)参照)は表示されていない。
【0094】
図7は、第1入力モード及び第2入力モードにおけるHUD140Bの表示を示す。図7(A)は、パワーウィンドウとドアロックを操作可能な第1入力モードが選択されたときのHUD140Bの表示を示す。HUD140Bには操作部110(図3(A)参照)を表す模擬画像111aが表示されている。模擬画像111aのうちの上側の部分にはDoor LockとPower Windowとの文字が表示される。また、Door LockとPower Windowとの文字の下方には領域111A~111Eを模した模擬画像111Aa~111Eaが表示される。また、模擬画像111Aa~111Eaには、領域111A~111Eに割り当てられる機能を表す文字等の模擬画像111Aaa~111Eaaが重ねて表示されている。即ち、模擬画像111Aaにはサイドウィンドウを閉じることを表す記号(上向きの矢印)の模擬画像111Aaaが表示され、模擬画像111Baにはサイドウィンドウを開くことを表す記号(下向きの矢印)の模擬画像111Baaが表示される。また、模擬画像111Caには施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表す文字の模擬画像111Caaが表示され、模擬画像111Daにはモード選択(Mode)を示す文字の模擬画像111Daaが表示されている。模擬画像111Ea内には、車両内の座席の位置示す文字(FR,FL,RR,RL)を表す模擬画像111Eaaが表示されている。このようなHUB140Bの表示は、図4(B)に示す表示から手Hの模擬画像Haを除去した表示に等しい。
【0095】
図7(B)は、第2入力モードのうちの空調入力モードにおけるHUD140Bの表示を示す。HUB140Bには操作部110(図3(A)参照)を表す模擬画像111aが表示されている。模擬画像111aのうちの上側の部分にはAir Conditionerの文字が表示され、Air Conditionerの文字の下方には領域(111A~111E)を模した模擬画像(111Aa~111Ea)が表示される。また、模擬画像111Aaには設定温度を上げることを表す記号(上向きの矢印)の模擬画像111Aabが表示され、模擬画像111Baには設定温度を下げることを表す記号(下向きの矢印)の模擬画像111Babが表示される。また、模擬画像111Caには自動モード(Auto)を示す文字の模擬画像111Cabが表示され、模擬画像111Daにはモード(Mode)の選択を表す模擬画像111Dabが表示されている。また、模擬画像111Ea内には、4つの模擬画像111Eabが表示されている。4つの模擬画像111Eabは、右上に示す風向き及びデフロスタを設定するモード選択用の模擬画像、右下に示すファンの風量を設定するモード選択用の模擬画像、左上に示す温度を設定するモード選択用の模擬画像、及び、左下に示す内気循環を設定するモード選択用の模擬画像である。
【0096】
図7(C)は、第2入力モードのうちのオーディオ入力モードにおけるHUD140Bの表示を示す。HUB140Bには操作部110(図3(A)参照)を表す模擬画像111aが表示されている。模擬画像111aのうちの上側の部分にはAudioの文字が表示されるとともに、Audioの文字の下方には模擬画像111Aa~111Eaが表示される。模擬画像111Aaにはラジオの選局(Tune)を示す文字の模擬画像111Aacが表示され、模擬画像111Baにはミュートを表す記号の模擬画像111Bacが表示されている。また、模擬画像111Caにはオーディオデータの入力元選択(Source)を表す模擬文字111Cacが表示され、模擬画像111Daにモード選択(Mode)を示す文字の模擬画像111Dacが表示されている。また、模擬画像111Eaには、4つの模擬画像111Eacが表示される。4つの模擬画像111Eacは、右上側の再生開始のマークの模擬画像、右下の早送りの模擬画像、左上の停止の模擬画像、左下の巻き戻しの模擬画像である。
【0097】
なお、本実施形態で説明したオーディオ入力モードにおけるHUD140Bの表示内容は一例にすぎず、種々の変更を加えることができる。例えば、模擬画像111Aa~111Eaに表示する上述の模擬画像111Aac~111Eacの代わりに、利用者の意向に応じて、自由に調整可能に構成してもよい。この場合に、操作部110の領域111A~111Eに割り当てるオーディオの機能も同様に変更すればよい。
【0098】
図7(A)~図7(C)に示したように、HUD140Bの表示内容は、操作部110への操作入力によって選択された入力モードに応じて切り替えられる。また、図7(A)~図7(C)では手Hの模擬画像Haを省略したが、図5(B)、図5(C)、図6(A)、図6(C)と同様に、カメラ140によって撮像される実際の操作部110に対する手Hの位置に応じて、HUD140Bに表示される手Hの模擬画像Haの位置がリアルタイムで変更される。このようなHUD140Bの表示内容は、AR制御部126によって制御される。
【0099】
図8は、制御部120が操作部110の入力モードを設定するために実行する処理を示すフローチャートである。図9は、緊急事態発生時に制御部120が入力モード及び表示の切り替えを行う処理を示すフローチャートである。操作部110の入力モードの切り替えはモード切替部123が行い、操作部110の照光状態の切り替えはLED制御部124が行い、HUB140Bの表示の切り替えは、AR制御部126が行う。
【0100】
図8において処理がスタートすると制御部120は以下の処理を行う。
【0101】
モード切替部123は、緊急事態検出信号を受信したかどうかを判定する(ステップS0)。水没センサ130は、車両10が水没したことを検知すると緊急事態検出信号を生成して制御部120に送信するため、モード切替部123は、緊急事態検出信号を受信したかどうかを監視している。
【0102】
モード切替部123は、緊急事態検出信号を受信した(S0:YES)と判定すると、図9に示す緊急事態における処理を開始する。
【0103】
モード切替部123は、図9に示す緊急事態における処理を開始すると、操作部110の入力モードを強制的に第1入力モードに切り替える(ステップS11)。これにより、車両10が水没したときに、利用者が第1入力モードを選択する操作を行わなくても、サイドウィンドウを開く操作とドアロックを解錠(UnLock)する操作とを操作部110で行うことができる状態になる。入力モードを選択する操作は、モード選択操作の一例である。
【0104】
LED制御部124は、サイドウィンドウを開けることを示す下向きの矢印を表す照光部111Bbと、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替える文字を表す照光部111Cbとに対応するLED112を点灯し、照光部111Ab、111Db、111Ebに対応するLED112を消灯する(ステップS12)。ステップS12では、照光部111Bb、111Cbが既に点灯されている場合には、LED制御部124は照光部111Bb、111Cbを点灯状態に保持する。これにより、操作部110は図3(B)に示す状態になり、緊急時における脱出口となるサイドウィンドウ、及び、ドアを開く操作を行う位置が強調された状態で照光され、利用者に対して明確に示される。
【0105】
AR制御部126は、図4(B)に示すように、第1入力モードに対応したサイドウィンドウの開閉とドアロックの切り替えとに関する模擬画像111Aa~111Ea及び111Aaa~111Eaaを表示するとともに、模擬画像111Baaの下向きの矢印と、模擬画像111CaaのLock UnLockの文字とを強調して表示する表示内容に、HUD140Bの表示内容を変更する(ステップS13)。これにより、緊急時における脱出口となるサイドウィンドウ、及び、ドアを開く操作に関わる操作位置が、HUD140Bの表示においても分かり易く示される。
【0106】
AR制御部126は、カメラ140Aによって撮像される画像に基づいて操作部110に対する手Hの位置を求め、HUD140Bに手Hの模擬画像Haを表示する(ステップS14)。
【0107】
制御部120は、ステップS14の処理を終えると、上位装置から指令を受け取ったかどうかを判定する(ステップS15)。ここで、一例として、上位装置は車両10のいずれかの機器の制御を行うECU(Electronic Control Unit)等である。このECUは、一例として水没センサ130が水没を検知しなくなった場合は、その他の場合に、制御部120の制御処理を緊急事態発生時の処理から通常時の処理に復帰させるために制御部120に指令を送る。
【0108】
制御部120は、上位装置から指令を受け取っていない(S15:NO)と判定すると、AR制御部126にステップS14の処理を繰り返し行わせる。手Hの動きに応じてHUD140Bの表示を更新するためである。
【0109】
一方、制御部120は、上位装置から指令を受け取った(S15:YES)と判定すると、フローを図8に示すステップS1に進行させる。通常時の処理に復帰させるためである。
【0110】
AR制御部126がステップS14の処理を繰り返す場合は、制御部120が動作可能な限り、手Hの動きに応じてHUD140Bの表示が更新される。また、制御部120が水没して動作不能になると、リレー装置135を介してバッテリ170から照光部111Bb、111Cbのみに対応したLED112に電力が供給され、照光部111Bb、111Cbが点灯される。また、このときには、操作部110への操作入力でパワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bを直接的に操作可能な状態になる。制御部120が動作不能になっても、操作部110の照光部111Bb、111Cbを強調して点灯した状態に保持するとともに、パワーウィンドウモータ160A及びドアロックアクチュエータ160Bを操作可能な状態を確保することで、利用者が脱出口を確保できるようにするためである。
【0111】
また、図8に示すステップS0において、モード切替部123が緊急事態検出信号を受信していない(S0:NO)と判定した場合と、図9に示すステップS15で上位装置から指令を受け取った(S15:YES)と判定した場合とには、制御部120は、ステップS1以下の通常時の処理を開始する。
【0112】
モード切替部123は、操作検出部122によって検出される操作内容に基づいて、操作部110の入力モードについて第1入力モードが指定されたかどうかを判定する(ステップS1)。
【0113】
モード切替部123は、第1入力モードが指定された(S1:YES)と判定すると、操作部110の入力モードを第1入力モードに設定する(ステップS2)。これにより、操作部110を介してパワーウィンドウとドアロックの操作が可能になる。なお、モード切替部123が第1入力モードが指定された(S1:YES)と判定するのは、操作部110の入力モードが設定されていない状態から第1入力モードに設定するために第1入力モードが指定された場合と、第2入力モードに設定されている状態から第1入力モードに切り替えるために第1入力モードが指定された場合である。なお、ステップS2の最中に、操作部110の領域111Dが操作された場合は、次のステップS36で判定されることになる。
【0114】
モード切替部123は、操作検出部122によって検出される操作内容に基づいて、入力モードが切り替えられたかどうかを判定する(ステップS3)。
【0115】
モード切替部123は、入力モードが切り替えられていない(S3:NO)と判定すると、フローをステップS2にリターンさせて操作部110の入力モードを第1入力モードに設定する(ステップS2)。これは、既に第1入力モードに設定されていて、モード切り替えが行われていない場合である。これにより、タッチパッド111によってパワーウィンドウとドアロックの操作が可能な状態に保持される。
【0116】
モード切替部123は、入力モードが切り替えられた(S3:YES)と判定すると、フローをステップS1にリターンさせる。第1入力モードに切り替えられたかどうかを判定するためである。
【0117】
モード切替部123は、ステップS1において、第1入力モードが指定されていない(S1:NO)と判定すると、第2入力モードに含まれる複数の入力モードのうちの空調入力モードが指定されたどうかを判定する(ステップS4)。
【0118】
モード切替部123は、空調入力モードが指定された(S4:YES)と判定すると、操作部110の入力モードを空調入力モードに設定する(ステップS5)。これにより、操作部110を介してエアコンディショナの操作が可能になる。なお、ステップS5の最中に、操作部110の領域111Dが操作された場合は、次のステップS6で判定されることになる。
【0119】
モード切替部123は、操作検出部122によって検出される操作内容に基づいて、入力モードの切り替えが生じたかどうかを判定する(ステップS6)。
【0120】
モード切替部123は、入力モードが切り替えられていない(S6:NO)と判定すると、フローをステップS5にリターンさせて操作部110の入力モードを空調入力モードに設定する(ステップS2)。これにより、操作部110によってエアコンディショナの操作が可能な状態に保持される。
【0121】
モード切替部123は、入力モードが切り替えられた(S6:YES)と判定すると、フローをステップS1にリターンさせる。
【0122】
モード切替部123は、ステップS4において、空調入力モードが指定されていない(S4:No)と判定すると、第2入力モードに含まれる複数の入力モードのうちのオーディオ入力モードが指定されたどうかを判定する(ステップS7)。
【0123】
モード切替部123は、オーディオ入力モードが指定された(S7:YES)と判定すると、操作部110の入力モードをオーディオ入力モードに設定する(ステップS8)。これにより、操作部110を介してオーディオの操作が可能になる。なお、ステップS8の最中に、操作部110の領域111Dが操作された場合は、次のステップS9で判定されることになる。
【0124】
モード切替部123は、操作検出部122によって検出される操作内容に基づいて、入力モードが切り替えられたかどうかを判定する(ステップS9)。
【0125】
モード切替部123は、入力モードが切り替えられていない(S8:NO)と判定すると、フローをステップS8にリターンさせて操作部110の入力モードをオーディオ入力モードに設定する(ステップS8)。これにより、操作部110を介してオーディオの操作が可能な状態に保持される。
【0126】
モード切替部123は、ステップS7において、オーディオ入力モードが指定されていない(S7:NO)と判定すると、第2入力モードに含まれる空調入力モード又はオーディオ入力モード以外の入力モードに設定されたかどうかを判定し、ステップS5~S9と同様の処理を行えばよい。このため、ここではステップS7でNOと判定した以降の処理は省略する。また、入力装置100の電源がオフにされたときには、図8に示す一連の処理を終了すればよい。
【0127】
図10は、制御部120がHUD140Bの表示に関して実行する処理を示すフローチャートである。この処理がスタートすると、制御部120は以下の処理を行う。なお、ここでは、操作部110の入力モードが第1入力モードである場合の処理について説明する。
【0128】
操作検出部122は、タッチパッド111の出力に基づいて、操作部110に物体が接近しているかどうかを判定する(ステップS21)。操作検出部122は、操作部110の筐体110Aの内部に設けられるタッチパッド111に物体が近づくことによる静電容量の変化を検出することにより、操作部110に物体が接近しているかどうかを検出する。
【0129】
操作検出部122によって操作部110に物体が接近している(S21:YES)と判定されると、AR制御部126は、HUD140Bをオンにして模擬画像111a、111Aa~111Eaを表示する(ステップS22)。すなわちHUB140Bは図5(A)に示す画像を表示する。
【0130】
操作検出部122は、物体が手Hであるかどうかを判定する(ステップS23)。操作検出部122は、カメラ140Aで撮像される画像に基づいて手Hであるかどうかを判定する。
【0131】
操作検出部122によって手Hである(S23:YES)と判定されると、AR制御部126は、操作部110への操作入力によって選択された入力モードに対応する機能を表す模擬画像111Aaa~111Eaaと手Hの模擬画像HaをHUD140Bに表示する(ステップS24)。このときに、AR制御部126は、操作部110の入力モードが第1入力モードに選択されている場合には、操作部110への操作入力の状況に応じて図4(A)、図5(B)、又は図7(A)に示すような画像をHUD140Bに表示する。また、操作部110の入力モードが第2入力モードに設定されている場合には、AR制御部126は、操作部110への操作入力の状況に応じてHUD140Bに図7(B)、図7(C)に示す画像に手Hの模擬画像Haを追加した画像を表示する。AR制御部126は、カメラ140Aによって撮像される画像について画像処理を行って操作部110と手Hとの位置関係を求め、手Hの模擬画像Haの位置に反映させる。
【0132】
操作検出部122は、物体が操作部110から離れたかどうかを判定する(ステップS25)。操作検出部122は、静電容量の変化を検出することにより、物体が操作部110から離れたかどうかを判定する。
【0133】
操作検出部122は、物体が操作部110から離れていない(S25:NO)と判定すると、フローはステップS23にリターンされる。この結果、ステップS23、S24の処理が行われて、HUD140Bの表示内容が更新される。
【0134】
なお、ステップS25において操作検出部122によって物体が操作部110から離れた(S25:YES)と判定されると、AR制御部126はHUD140Bの表示をオフにする(ステップS26)。制御部120は、以上のような一連の処理を繰り返し実行する。
【0135】
以上のように、車両10が水没したときに図3(B)に示すように照光部111Bb、111Cbに対応するLED112を点灯することによって、操作部110においてサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチを強調して表示することができる。このようなLED112の点灯は、制御部120が動作可能な状態ではLED制御部124によって行われ、制御部120が動作不能になると、リレー装置135が作動してLED112が点灯されることによって実現される。また、ここではサイドウィンドウの開閉について説明したが、車両10のサイドウィンドウ以外の窓であってもよい。
【0136】
したがって、車両10の水没時に車両10の窓又はドアロックの操作位置を知らせることができる入力装置100を提供することができる。サイドウィンドウを開けるために操作を行う位置と、ドアロックを解錠するための操作を行う位置とが照光されるため、利用者が直感的に操作できるようにすることができる。このため、水没のような緊急時において利用者が車両10から脱出できる可能性を向上させることができる。
【0137】
また、制御部120が水没していなければ、HUD140Bの模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaのうちの模擬画像111Baa、111Caaが強調された状態で表示されるため、HUD140Bの表示によっても、水没のような緊急時において利用者が車両10から脱出できる可能性を向上させることができる。
【0138】
また、車両10が水没した場合に、操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及び/又はドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部111Bb、111Cbに対応するLED112を制御部120が通常時とは異なる色で点灯させれば、通常時とは異なる色での点灯という強調方法で照光部111Bb、111Cbを目立たせることができる。このため、水没という緊急時に利用者がサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとを見つけやすい状態にすることができる。
【0139】
また、車両10が水没した場合に、操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及び/又はドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部111Bb、111Cbに対応するLED112を制御部120が点滅させれば、照光部111Bb、111Cbを点滅という強調方法で目立たせることができる。このため、水没という緊急時に利用者がサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとを見つけやすい状態にすることができる。
【0140】
また、車両10が水没した場合に、操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及び/又はドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部111Bb、111Cbに対応するLED112を制御部120が通常時よりも高い輝度で点灯させれば、照光部111Bb、111Cbを高い輝度での点灯という強調方法で目立たせることができる。水没という緊急時に利用者がサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとを見つけやすい状態にすることができる。
【0141】
また、通常時においても操作部110のうちの第1入力モードにおいてパワーウィンドウスイッチ及び/又はドアロックスイッチとして機能する部分に設けられる照光部111Bb、111Cbに対応するLED112を点灯し、それ以外のLED112を消灯させれば、通常時においても照光部111Bb、111Cbのみを点灯させるという強調方法で目立たせることができる。このため、利用者が通常時からサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとの位置を覚えやすい状況にすることができ、水没が発生したときに、サイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとを見つけやすくすることができる。
【0142】
また、車両10が水没したときに、HUD140Bの表示におけるサイドウィンドウを開けることを表す記号(下向きの矢印)を表す模擬画像111Baa、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表す文字を表す模擬画像111Caaを制御部120が点滅させれば、点滅という強調方法で模擬画像111Baa、111Caaを目立たせることができる。このため、水没という緊急時にHUD140Bに表示される模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaのうちで、車両10からの脱出口を確保するために操作が必要な位置を利用者に伝達でき、利用者がサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとを見つけやすい状態にすることができる。
【0143】
また、車両10が水没したときに、HUD140Bの表示における模擬画像111Baa、111Caaのサイズを制御部120が大きくすれば、拡大表示という強調方法で模擬画像111Baa、111Caaを目立たせることができる。このため、水没という緊急時にHUD140Bに表示される模擬画像111a、111Aa~111Ea、111Aaa~111Eaaのうちで、車両10からの脱出口を確保するために操作が必要な位置を利用者に伝達でき、利用者がサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとを見つけやすい状態にすることができる。
【0144】
また、通常時と比べて模擬画像111Baa、111Caaの色を変化させること、輝度を向上させること、模擬画像111Baa、111Caaの線の太さが脈動するように経時的に変化させること、模擬画像111Baa、111Caaを囲む枠を表示することによっても、模擬画像111Baa、111Caaを強調することができる。これらの強調方法によっても、車両10からの脱出口を確保するために操作が必要な位置を利用者に伝達でき、利用者がサイドウィンドウを開けるためのスイッチと、ドアロックを解錠するためのスイッチとを見つけやすい状態にすることができる。なお、上述のHUD140Bの表示について説明した内容は、ディスプレイ140Cの表示についても適用可能である。
【0145】
なお、以上では、図3(A)、図3(B)に示すように操作部110が領域111A~111Eを有する形態について説明したが、図11に示すような構成であってもよい。図11は、実施形態の変形例の操作部を示す図である。
【0146】
図11(A)に示す操作部110M1のように、1つの領域111MAを有する構成であってもよい。二色成形で領域111MAの一部分(一例として全体の約1/4の部分)にサイドウィンドウを開けることを表す記号(下向きの矢印)を点灯可能な透光部111MA1を有する構成にしておけばよい。簡易な構成であるため、より低いコストで製造可能であり、車両価格の低い車両や内装を簡素化した車両に適した構成である。
【0147】
また、図11(B)に示す操作部110M2のように、領域111MA、111MB、111MCを有し、領域111MBは3次元的な構成を有していてもよい。図11(C)にはオーディオ入力モードにおいてHUD140Bに表示される模擬画像110a、111MAa、111MBa、111MCaを示す。模擬画像110aは、操作部110M2の筐体を表す模擬画像であり、模擬画像111MAa、111MBa、111MCaは、それぞれ、領域111MA、111MB、111MCを表す模擬画像である。模擬画像111MBaに重ねられた手Hの模擬画像Haの指先には、上下方向の矢印を表す模擬画像111MBaaが重ねて表示されている。
【0148】
図12は、図11(B)に示す操作部110M2の領域111MBの部分を示す図である。図12(A)には、操作部110M2の領域111MBの部分を抜き出して示す。ここでは、操作部110M2の領域111MBの部分をタッチパッド部50と称す。
【0149】
図12(B)に示すように、タッチパッド部50は、下段部51、上段部52、及び接続部53を有する基板50Aの表面に設けられている。タッチパッド部50は、湾曲可能なフレキシブルなタッチパッドであり、図12(B)に示すように、上段部52の下面、側面、及び上面にわたって折り曲げられて取り付けられている。
【0150】
このようなタッチパッド部50は、上段部52の上面に手が触れた状態で押し下げられると、押しボタンスイッチ113(図2参照)によって入力が受け付けられて、押している間だけサイドウィンドウを下げることができる。
【0151】
また、矢印Aで示すようにタッチパッド部50に触れた手を上段部52の左側(根元側)から右側(先端側)に移動させると、オートモードでサイドウィンドウを完全に下げた状態まで開けることができる。
【0152】
また、矢印Bで示すようにタッチパッド部50に触れた手を上段部52の下側から側面にかけて上向きに移動させると、手がタッチパッド部50に触れている間だけサイドウィンドウを上げる(閉じる)ことができる。
【0153】
また、上段部52の上面に手が触れた状態で1秒以内に2回連続でクリックするように押し下げられると、押しボタンスイッチ113(図2参照)によって入力が受け付けられて、オートモードでサイドウィンドウを完全に開いた状態にすることができる。
【0154】
図13は、実施形態の変形例の操作部110M3を示す図である。操作部110M3は、平面視において、操作部110(図3(A)参照)と同様の領域111A~111Eを有する。図13(B)は図13(A)のA-A矢視断面を示し、図13(C)は図13(A)のB-B矢視断面を示す。操作部110M3は、図3(B)に示すタッチパッド111と同様に領域111A~111Eを有するが、図13(B)に示すように、領域111Eの表面の中央に凸部111Gが設けられ、図13(C)に示すように、凸部111Gと領域111Eの四隅との間に4つの凹部111Hが設けられている。凸部111Gと凹部111Hとを設けることによって、各領域の配置を触覚によっても判断可能になるため、利用者が入力操作を行う際の入力の正確さと運転の安全性とを更に高めることができる。
【0155】
図14は、HUD140Bの画像の一例を示す図である。図14(A)では空調入力モードにおいて、操作部110M3(図13(A)参照)を表す模擬画像が表示されており、図13(A)に示す領域111A~111E、凸部111G、凹部111Hの模擬画像111Aa~111Ea、111Ga、111Haが表示されている。模擬画像111Gaの内部には、風量調整用のダイアルのマークを表す模擬画像111Iaが重ねて表示されている。模擬画像Iaのダイアルを回転させるように操作部110M3(図13(A)参照)に操作入力を行うと、凸部111Gの周りの4つの凹部111Hに触れることになるため、立体的な食感を付与することができる。
【0156】
図14(B)では、空調入力モードにおいて、右上の模擬画像111Haの内部に、風向き及びデフロスタを設定するモード選択用の画像を表す模擬画像111Jaが表示されている。図14(B)に示すHUD140Bの表示を見ながら手Hの模擬画像Haを模擬画像111Jaに近づけようとして、操作部110の上で手Hを動かすと、手Hが凹部111Hに触れることになるため、凹部111Hの位置に応じて模擬画像111Jaの位置を認識することができる。
【0157】
図15は、実施形態の変形例の入力装置100Aを示す図である。入力装置100Aは、図2に示す入力装置100Aに衝突センサ190を追加した構成を有する。衝突センサ190は、車両10が他の物体等に衝突したことを車両10に発生する加速度等に基づいて検出するセンサであり、衝突を検出すると水没を検出した水没センサ130と同様に緊急事態検出信号を生成して制御部120に出力する。
【0158】
入力装置100Aは、図8図9図10に示されるフローに従った処理が行われることによって動作する。これらのうち、水没センサ130で水没を検出した場合には、図8に示すステップS0から図9に示す処理に移行し、ステップS11~S15の処理を実行する。
【0159】
入力装置100Aは、衝突センサ190によって衝突が検出されると、水没センサ130によって水没が検出された場合と同様に、操作部110の入力モードを第1入力モードに強制的に切り替える。入力装置100Aは、衝突センサ190によって衝突が検出されておらず、かつ、水没センサ130によって水没が検出されていないときには、操作部110への操作入力によって選択される入力モード(第1入力モード及び第2入力モードのいずれか一方)に設定する。
【0160】
また、衝突センサ190は、車両が衝突したことを検出すると緊急事態検出信号を生成し、制御部120に送信する。制御部120は、水没時と同様に図8に示す様に、緊急事態検出信号が受信したかどうかの判定(ステップS0)を行い、緊急事態検出信号を受信した(S0:YES)と判定すると、図9に示す緊急事態における処理を実行する。衝突センサ190によって衝突が検出された場合に入力装置100Aが実行する処理は、図9に示すステップS11~S15の処理と同様であり、車両10からの脱出口を確保するために、照光部111Bb、111Cbに対応するLED112のみを点灯するとともに、模擬画像111Baa、111Caaを強調して表示する。これにより、衝突センサ190によって衝突が検出された場合においても、車両10の窓又はドアロックの操作位置を知らせることができる入力装置100Aを提供することができる。
【0161】
図16は、車両10の衝突時における操作部110の状態を示す図である。図16では、制御部120によってLED112が点灯されることによって、タッチパッド111の領域111B、111Cのサイドウィンドウを開けることを示す下向きの矢印を表すシンボルの形状を有する照光部111Bbと、ドアロックの施錠(Lock)/解錠(UnLock)を切り替えることを表す照光部111Cbとが透過光によって点灯されている。その他の照光部が消灯されている。このため、車両10の衝突時にサイドウィンドウを開けるためのスイッチとして機能する部分と、ドアロックの解錠操作を行うためのスイッチとして機能する部分とを強調させて表示することができ、利用者は視覚で認識して操作することによって、サイドウィンドウを開くことができるとともに、ドアロックを解錠して車外に脱出可能になる。
【0162】
また、このときには、HUD140Bには、図4(B)に示すように、模擬画像111Baa、111Caaが強調された表示が行われる。なお、衝突時には、ドアロックの解除のための照光部111Cbの点灯と、模擬画像111Caaの強調とを行えば、サイドウィンドウを開ける操作に関する照光部111Bbの点灯と、模擬画像111Baaの強調とを行わなくてもよいが、サイドウィンドウを開けることができれば、ドアを開けることが困難な場合等に、脱出口を確保することができる。
【0163】
なお、本実施形態において、主にHUD140Bを用いて利用者に画像情報を提供する構成を説明したが、ディスプレイ140Cを主に用いて画像情報を提供する構成であってもよい。また、HUD140Bとディスプレイ140Cとを両方用いて利用者に画像情報を提供する構成であってもよい。
【0164】
したがって、車両10の水没時、又は、衝突時に車両10のドアロックの操作位置を知らせることができる入力装置100を提供することができる。また、水没と衝突の両方が生じた場合には、水没センサ130が作動することにより、水没時と同様の処理が行われることになる。また、水没と衝突以外の緊急事態を検出可能なセンサをさらに設けて、水没と衝突以外の緊急事態に対応可能にしてもよい。
【0165】
以上、本発明の例示的な実施形態の入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0166】
なお、本国際出願は、2020年11月9日に出願した日本国特許出願2020-186765に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0167】
10 車両
100 入力装置
110 操作部
111 タッチパッド
111A、111B、111C、111D、111E、111MA、111MB、111MC 領域
111a、111Aa、111Ba、111Ca、111Da、111Ea、111Fa、111Ga、111Ha、111Ia、111Ja、Ha 模擬画像
111Ab、111Bb、111Cb、111Db、111Eb 照光部
112 LED
120 制御部
122 操作検出部
123 モード切替部
124 LED制御部
125 駆動制御部
126 AR制御部
130 水没センサ
135 リレー装置
140A カメラ
140B HUD
140C ディスプレイ
150A オーディオコントローラ
150B 空調コントローラ
150C コントローラ
160A パワーウィンドウモータ
160B ドアロックアクチュエータ
170 バッテリ
180、180A 電源ライン
190 衝突センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16