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特許7426512振動伝達関数を取得する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】振動伝達関数を取得する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20240125BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20240125BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20240125BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240125BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H04R3/04 101
H04R25/00 F
G10K15/00 L
H04R1/00 317
G01H17/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022572408
(86)(22)【出願日】2020-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2020112327
(87)【国際公開番号】W WO2022041167
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 冰岩
(72)【発明者】
【氏名】唐 惠芳
(72)【発明者】
【氏名】李 伯▲誠▼
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/080557(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/112206(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/190219(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0171679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/04
H04R 25/00
G10K 15/00
H04R 1/00
G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発音ユニットから他の位置に至る振動伝達関数を取得する方法であって、
測定信号生成ユニットにより、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成するステップと、
前記発音ユニットにより、前記第1の測定音声信号と前記第2の測定音声信号に基づいて、それぞれ第1の音声と第2の音声を生成するステップと、
少なくとも1つの検出器により、それぞれ、第1の位置で前記第1の音声を受信した後に、前記発音ユニットから振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して前記第1の位置に伝達された信号を含む第1のフィードバック信号を出力し、第2の位置で前記第2の音声を受信した後に、発音ユニットから空気伝導伝達経路を介して前記第2の位置に伝達された信号を含む第2のフィードバック信号を出力するステップと、
フィードバック経路計算ユニットにより前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、前記第1のフィードバック信号、及び前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1の測定音声信号又は前記第2の測定音声信号は、ホワイトノイズ信号、純音信号、パルス信号、狭帯域ノイズ、狭帯域ワーブルトーン、変調音又はスイープ音声信号のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの検出器は空気伝導マイクロフォンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記発音ユニットは、装置に固定され、前記少なくとも1つの検出器は、前記第1の位置で前記装置に剛性的又は弾性的に接続され、前記発音ユニットは、前記装置内に収容される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの検出器は前記第2の位置では装置と接触せず、前記第2の位置は前記第1の位置に近接している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの検出器は第1のマイクロフォンと第2のマイクロフォンを含み、前記第1のマイクロフォンと前記第2のマイクロフォンは、それぞれ前記第1の位置と前記第2の位置に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、前記第1のフィードバック信号、及び前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップは、
前記第1の測定音声信号と前記第1のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
前記第2の測定音声信号と前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第2の位置に至る第2のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、
前記第1のフィードバック経路伝達関数と前記第2のフィードバック経路伝達関数に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップと、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の測定音声信号と前記第1のフィードバック信号に基づいて、第1のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、
前記第1の測定音声信号と前記第1のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号と第1のフィードバック変換信号を取得するステップと、
前記第1の測定音声変換信号と前記第1のフィードバック変換信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の測定音声信号と前記第2のフィードバック信号に基づいて、第2のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、
前記第2の測定音声信号と前記第2のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第2の測定音声変換信号と第2のフィードバック変換信号を取得するステップと、
前記第2の測定音声変換信号と前記第2のフィードバック変換信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第2の位置に至る第2のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、前記第1のフィードバック信号、及び前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップは、
前記第1のフィードバック信号と前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動フィードバック信号を決定するステップと、
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、及び前記振動フィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップと、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、及び前記振動フィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップは、
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、及び前記振動フィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号、第2の測定音声変換信号、及び振動フィードバック変換信号を取得するステップと、
前記第1の測定音声変換信号、前記第2の測定音声変換信号、及び前記振動フィードバック変換信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
発音ユニットから他の位置に至る振動伝達関数を取得するシステムであって、
第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成するように構成される測定信号生成ユニットと、
それぞれ、前記発音ユニットが受信した前記第1の測定音声信号に基づいて生成した第1の音声を、第1の位置で受信した後に、前記発音ユニットから振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して前記第1の位置に伝達された信号を含む第1のフィードバック信号を出力し、前記発音ユニットが受信した前記第2の測定音声信号に基づいて生成した第2の音声を、第2の位置で受信した後に、発音ユニットから空気伝導伝達経路を介して前記第2の位置に伝達された信号を含む第2のフィードバック信号を出力するように構成される少なくとも1つの検出器と、
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、前記第1のフィードバック信号、及び前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するように構成されるフィードバック経路計算ユニットと、を含むシステム。
【請求項13】
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、前記第1のフィードバック信号、及び前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することは、
前記第1の測定音声信号と前記第1のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定することと、
前記第2の測定音声信号と前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第2の位置に至る第2のフィードバック経路伝達関数を決定することと、
前記第1のフィードバック経路伝達関数と前記第2のフィードバック経路伝達関数に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することと、を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、前記第1のフィードバック信号、及び前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することは、
前記第1のフィードバック信号と前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動フィードバック信号を決定することと、
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、及び前記振動フィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することと、を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
コンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータが、前記記憶媒体における前記コンピュータ命令を読み取ると、
第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成することと、
前記第1の測定音声信号、前記第2の測定音声信号、発音ユニットから振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して第1の位置に伝達された信号を含む第1のフィードバック信号、及び、発音ユニットから空気伝導伝達経路を介して第2の位置に伝達された信号を含む第2のフィードバック信号に基づいて、前記発音ユニットから前記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することと、を実行し、
前記第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号は、それぞれ、少なくとも1つの検出器により第1の位置で第1の音声を受信した後に出力されたもの、第2の位置で第2の音声を受信した後に出力されたものであり、前記第1の音声と前記第2の音声は、前記発音ユニットによりそれぞれ前記第1の測定音声信号と前記第2の測定音声信号に基づいて生成されたものである、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、聴覚装置の技術分野に関し、特に聴覚装置におけるスピーカーから他の位置に至る振動伝達関数を取得する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
聴覚装置(例えば、補聴器)は、一般的にマイクロフォンとスピーカーを同時に備える。スピーカーから発した音声の一部がマイクロフォンに受信される可能性があるため、ハウリングが発生するか、又はユーザ(例えば、装着者)が該装置を使用する過程でエコーを聞くことを引き起こす。エコー又はハウリングを抑制するために、スピーカーがマイクロフォンに与える影響をできるだけ小さくする(例えば、マイクロフォンが受信した信号からスピーカーが発した音声を除去する)必要がある。一般的に、スピーカーがマイクロフォンに与える影響は、スピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数で表すことができる。骨伝導聴覚装置(例えば、骨伝導補聴器)において、骨伝導スピーカーが生成した音声は、同時に振動及び空気伝導の方式でマイクロフォンに影響を与える。したがって、骨伝導スピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路は、空気伝導伝達経路だけでなく、振動伝達経路をも含む。これら2種の伝達経路は、骨伝導スピーカーからマイクロフォンに至る異なる伝達関数に対応する。いくつかのシナリオでは、骨伝導スピーカーが異なる伝達経路、特に振動伝達経路を介して、マイクロフォンに与える影響をよりよく評価するために、骨伝導スピーカーからマイクロフォンに至る振動伝達関数を簡単かつ効果的に取得する方法及びシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本願の実施例の1つは、発音ユニットから他の位置に至る振動伝達関数を取得する方法を提供する。上記方法は、測定信号生成ユニットにより、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成するステップと、上記発音ユニットにより、上記第1の測定音声信号と上記第2の測定音声信号に基づいて、それぞれ第1の音声と第2の音声を生成するステップと、少なくとも1つの検出器により、それぞれ、第1の位置で上記第1の音声を受信した後に、上記発音ユニットから振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して上記第1の位置に伝達された信号を含む第1のフィードバック信号を出力し、第2の位置で上記第2の音声を受信した後に、発音ユニットから空気伝導伝達経路を介して上記第2の位置に伝達された信号を含む第2のフィードバック信号を出力するステップと、フィードバック経路計算ユニットにより上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記第1のフィードバック信号、及び上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップと、を含む。
【0004】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号又は上記第2の測定音声信号は、ホワイトノイズ信号、純音信号、パルス信号、狭帯域ノイズ、狭帯域ワーブルトーン、変調音又はスイープ音声信号を含む。
【0005】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの検出器は空気伝導マイクロフォンを含む。
【0006】
いくつかの実施例において、上記発音ユニットは、装置に固定され、上記少なくとも1つの検出器は、上記第1の位置で上記装置に剛性的又は弾性的に接続され、上記発音ユニットは、上記装置内に収容される。
【0007】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの検出器は上記第2の位置では上記装置と接触せず、上記第2の位置は上記第1の位置に近接している。
【0008】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの検出器は第1のマイクロフォンと第2のマイクロフォンを含み、上記第1のマイクロフォンと上記第2のマイクロフォンは、それぞれ上記第1の位置と上記第2の位置に位置する。
【0009】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記第1のフィードバック信号、及び上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップは、上記第1の測定音声信号と上記第1のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、上記第2の測定音声信号と上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第2の位置に至る第2のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、上記第1のフィードバック経路伝達関数と上記第2のフィードバック経路伝達関数に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップと、を含む。
【0010】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号と上記第1のフィードバック信号に基づいて、第1のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、上記第1の測定音声信号と上記第1のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号と第1のフィードバック変換信号を取得するステップと、上記第1の測定音声変換信号と上記第1のフィードバック変換信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、を含む。
【0011】
いくつかの実施例において、上記第2の測定音声信号と上記第2のフィードバック信号に基づいて、第2のフィードバック経路伝達関数を決定するステップは、上記第2の測定音声信号と上記第2のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第2の測定音声変換信号と第2のフィードバック変換信号を取得するステップと、上記第2の測定音声変換信号と上記第2のフィードバック変換信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第2の位置に至る第2のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記第1のフィードバック信号、及び上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップは、上記第1のフィードバック信号と上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動フィードバック信号を決定するステップと、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、及び上記振動フィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップと、を含む。
【0013】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、及び上記振動フィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するステップは、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、及び上記振動フィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号、第2の測定音声変換信号、及び振動フィードバック変換信号を取得するステップと、上記第1の測定音声変換信号、上記第2の測定音声変換信号、及び上記振動フィードバック変換信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定するステップと、を含む。
【0014】
本願の実施例の1つは、発音ユニットから他の位置に至る振動伝達関数を取得するシステムを提供する。上記システムは、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成するように構成される測定信号生成ユニットと、それぞれ、上記発音ユニットが受信した上記第1の測定音声信号に基づいて生成した第1の音声を、第1の位置で受信した後に、上記発音ユニットから振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して上記第1の位置に伝達された信号を含む第1のフィードバック信号を出力し、上記発音ユニットが受信した上記第2の測定音声信号に基づいて生成した第2の音声を、第2の位置で受信した後に、発音ユニットから空気伝導伝達経路を介して上記第2の位置に伝達された信号を含む第2のフィードバック信号を出力するように構成される少なくとも1つの検出器と、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記第1のフィードバック信号、及び上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定するように構成されるフィードバック経路計算ユニットと、を含む。いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号又は上記第2の測定音声信号は、ホワイトノイズ信号、純音信号、パルス信号、狭帯域ノイズ、狭帯域ワーブルトーン、変調音又はスイープ音声信号を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの検出器は空気伝導マイクロフォンである。
【0016】
いくつかの実施例において、上記発音ユニットは、装置に固定され、上記少なくとも1つの検出器は、上記第1の位置で上記装置に剛性的又は弾性的に接続され、上記発音ユニットは、上記装置内に収容される。
【0017】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの検出器は上記第2の位置では上記装置と接触せず、上記第2の位置は上記第1の位置に近接している。
【0018】
いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの検出器は第1のマイクロフォンと第2のマイクロフォンを含み、上記第1のマイクロフォンと上記第2のマイクロフォンは、それぞれ上記第1の位置と上記第2の位置に位置する。
【0019】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記第1のフィードバック信号、及び上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することは、上記第1の測定音声信号と上記第1のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定することと、上記第2の測定音声信号と上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第2の位置に至る第2のフィードバック経路伝達関数を決定することと、上記第1のフィードバック経路伝達関数と上記第2のフィードバック経路伝達関数に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することと、を含む。
【0020】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号と上記第1のフィードバック信号に基づいて、第1のフィードバック経路伝達関数を決定することは、上記第1の測定音声信号と上記第1のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号と第1のフィードバック変換信号を取得することと、上記第1の測定音声変換信号と上記第1のフィードバック変換信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定することと、を含む。
【0021】
いくつかの実施例において、上記第2の測定音声信号と上記第2のフィードバック信号に基づいて、第2のフィードバック経路伝達関数を決定することは、上記第2の測定音声信号と上記第2のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第2の測定音声変換信号と第2のフィードバック変換信号を取得することと、上記第2の測定音声変換信号と上記第2のフィードバック変換信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第2の位置に至る第2のフィードバック経路伝達関数を決定することと、を含む。
【0022】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記第1のフィードバック信号、及び上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することは、上記第1のフィードバック信号と上記第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動フィードバック信号を決定することと、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、及び上記振動フィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することと、を含む。
【0023】
いくつかの実施例において、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、及び上記振動フィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することは、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、及び上記振動フィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号、第2の測定音声変換信号、及び振動フィードバック変換信号を取得することと、上記第1の測定音声変換信号、上記第2の測定音声変換信号、及び上記振動フィードバック変換信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定することと、を含む。
【0024】
本願の実施例の1つは、発音ユニットから他の位置に至る振動伝達関数を取得するシステムをさらに提供する。上記システムは、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成する測定音声生成モジュールと、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記発音ユニットから振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して上記第1の位置に伝達された信号を含む第1のフィードバック信号、及び、発音ユニットから空気伝導伝達経路を介して上記第2の位置に伝達された信号を含む第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定する処理モジュールと、を含み、上記第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号は、それぞれ、少なくとも1つの検出器により第1の位置で上記第1の音声を受信した後に出力されたもの、第2の位置で上記第2の音声を受信した後に出力されたものであり、上記第1の音声と上記第2の音声は、上記発音ユニットによりそれぞれ上記第1の測定音声信号と上記第2の測定音声信号に基づいて生成されたものである。
【0025】
本願の実施例の1つは、コンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、コンピュータが、上記記憶媒体における上記コンピュータ命令を読み取ると、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成することと、上記第1の測定音声信号、上記第2の測定音声信号、上記発音ユニットから振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して上記第1の位置に伝達された信号を含む第1のフィードバック信号、及び、発音ユニットから空気伝導伝達経路を介して上記第2の位置に伝達された信号を含む第2のフィードバック信号に基づいて、上記発音ユニットから上記第1の位置に至る振動伝達関数を決定することと、を実行し、上記第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号は、それぞれ、少なくとも1つの検出器により第1の位置で上記第1の音声を受信した後に出力されたもの、第2の位置で上記第2の音声を受信した後に出力されたものであり、上記第1の音声と上記第2の音声は、上記発音ユニットによりそれぞれ上記第1の測定音声信号と上記第2の測定音声信号に基づいて生成されたものである。
【0026】
本願は、例示的な実施例の方式でさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ符号は同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願のいくつかの実施例に係る伝達関数測定システムの適用シナリオの概略図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得方法の例示的なフローチャートである。
図3】本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得システムの例示的なブロック図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る検出器が第1の位置に位置する場合の伝達関数測定システムの概略図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係る検出器が第2の位置に位置する場合の伝達関数測定システムの概略図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る第1のフィードバック経路伝達関数のグラフである。
図7】本願のいくつかの実施例に係る第2のフィードバック経路伝達関数のグラフである。
図8】本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数のグラフである。
図9】本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置状態検出方法の例示的なフローチャートである。
図10】本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置状態検出システムの例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本願のいくつかの例示又は実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似のシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記されていない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0029】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なコンポーネント、素子、部材、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0030】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的に、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は装置は、また他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0031】
本願では、フローチャートを使用して本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に応じて正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0032】
説明の便宜上、以下、骨伝導スピーカー又はスピーカーを例として発音ユニットの使用及び応用過程を説明する。なお、以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではない。
【0033】
以下、一般性を失うことなく、本発明における骨伝導の関連技術を説明する場合、「骨導聴覚装置」、「骨伝導聴覚装置」、「骨伝導スピーカー」、「スピーカー装置」又は「骨伝導イヤホン」という文言を用いる。このような文言は、単に骨伝導の応用の一形態にすぎず、当業者であれば、「スピーカー」又は「イヤホン」は、「プレーヤ」、「補聴器」などの他の同様の文言で置き換えてもよい。実際に、本発明における様々な実施形態は、スピーカー以外の聴覚装置に容易に適用することができる。例えば、当業者は、骨伝導スピーカーの基本原理を理解すれば、この原理から逸脱することなく、骨伝導スピーカーを実施する具体的な方法及びステップに対する形式及び詳細に様々な修正及び変更を行うことができ、特に、環境音声のピックアップ及び処理機能を骨伝導スピーカーに追加することにより、該スピーカーが補聴器の機能を実現することができる。例えば、マイクロフォンなどの音響伝達装置は、使用者/装着者の周囲環境の音声をピックアップし、特定のアルゴリズムで処理された音声(又は生成された電気信号)を骨伝導スピーカーに伝送することができる。すなわち、環境音声のピックアップ機能を追加するように骨伝導スピーカーを変更し、特定の信号処理を行った後に骨伝導スピーカー部分により音声を使用者/装着者に伝達することで、骨伝導補聴器の機能を実現することができる。例として、ここで言及されるアルゴリズムは、ノイズ除去、自動利得制御、音響フィードバック抑制、ワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的環境認識、能動的騒音防止、指向処理、耳鳴防止処理、マルチチャネルワイドダイナミックレンジ圧縮、能動的ハウリング抑制、音量制御などの1つ又は複数の組み合わせを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施例において、聴覚装置(例えば、補聴器)は、一般的にマイクロフォンとスピーカーを同時に備える。スピーカーから発した音声の一部がマイクロフォンに受信される可能性があるため、ハウリングが発生するか、又はユーザ(例えば、装着者)が該装置を使用する過程でエコーを聞くことを引き起こす。エコー又はハウリングを抑制するために、スピーカーがマイクロフォンに与える影響をできるだけ小さくする(例えば、マイクロフォンが受信した信号からスピーカーが発した音声を除去する)必要がある。一般的に、スピーカーがマイクロフォンに与える影響は、スピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数で表すことができる。いくつかの実施例において、骨伝導聴覚装置(例えば、骨伝導補聴器)において、骨伝導スピーカーが生成した音声は、同時に振動及び空気伝導の方式でマイクロフォンに影響を与える。したがって、骨伝導スピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路は、空気伝導伝達経路だけでなく、振動伝達経路をも含む。これら2種の伝達経路は、骨伝導スピーカーからマイクロフォンに至る異なる伝達関数に対応する。いくつかのシナリオでは、骨伝導スピーカーが異なる伝達経路、特に振動伝達経路を介して、マイクロフォンに与える影響をよりよく評価する必要がある。振動伝達関数の測定については、一般的に加速度センサなどの追加部品を使用する必要があり、測定が複雑である。
【0035】
したがって、本願のいくつかの実施例は、骨伝導スピーカーから他の位置(例えば、ハウジングにより骨伝導スピーカーに接続されるマイクロフォンが位置する位置)に至る振動伝達関数の取得方法を提供し、検出器を用いて、それぞれ、空気伝導伝達経路と振動伝達経路を介して伝達された第1の音声を第1の位置で受信し、空気伝導伝達経路のみを介して伝達された第2の音声を第2の位置で受信して、振動伝達関数を計算する。該測定方法は、効率がより高く、操作しやすい。
【0036】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る伝達関数測定システムの適用シナリオの概略図である。説明を容易にするために、伝達関数測定システム100は、システム100と略称されてもよい。システム100は、検出器110、聴覚装置120、データベース130、及びプロセッサ140を含んでもよい。該システム100における各コンポーネントの間は、無線接続、有線接続、又はデータ送信及び/又は受信を可能にする任意の他の通信及び/又は接続、及び/又はこれらの接続を含む任意の組み合わせにより、接続を実現することができる。いくつかの実施例において、システム100に基づいて骨導聴覚装置の振動伝達関数の取得と骨導聴覚装置の状態の検出の目的を達成することができる。
【0037】
いくつかの実施例において、有線接続は、金属ケーブル、光ケーブル、又は金属光学ハイブリッドケーブルによる接続を含むが、これらに限定されず、例えば、同軸ケーブル、通信ケーブル、フレキシブルケーブル、スパイラルケーブル、非金属シースケーブル、金属シースケーブル、多芯ケーブル、ツイストペアケーブル、リボンケーブル、シールドケーブル、電気通信ケーブル、対ケーブル、二芯平行配線、及びツイストペアを用いる。
【0038】
上述した例は、説明を容易にするためのものに過ぎず、有線接続の媒体は、他のタイプの媒体、例えば、他の電気信号又は光信号などの伝送キャリアであってもよい。無線接続は、ラジオ通信、自由空間光通信、音声通信、及び電磁誘導などを含むが、これらに限定されない。無線通信は、IEEE302.11標準規格、IEEE302.15標準規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)技術及びジグビー技術)、第1世代移動通信技術、第2世代移動通信技術(例えば、FDMA、TDMA、SDMA、CDMA、及びSSMA)、汎用パケット無線サービス技術、第3世代移動通信技術(例えば、CDMA2000、WCDMA(登録商標)、TD-SCDMA、及びWiMAX)、第4世代移動通信技術(例えば、TD-LTE及びFDD-LTE)、衛星通信(例えば、GPS技術)、近距離無線通信(NFC)及びISMバンド(例えば、2.4GHz)で実行する他の技術を含んでもよい。自由空間光通信は、可視光信号、赤外線信号などを含むが、これらに限定されない。音声通信は、音波信号、超音波信号などを含むが、これらに限定されない。電磁誘導は、近距離無線通信技術などを含むが、これに限定されない。上述した例は、説明を容易にするためのものに過ぎず、無線接続の媒体は、他のタイプのもの、例えば、Z-wave技術、他の有料民用無線周波数帯又は軍用無線周波数帯であってもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、聴覚装置120は、一般的には空気伝導スピーカーと骨伝導スピーカーを含んでもよい。いくつかの実施例において、聴覚装置120は、骨伝導スピーカー(例えば、図4及び図5に示す骨伝導スピーカー122)とハウジング121を含んでもよい。骨伝導スピーカー122及び他の部材(例えば、マイクロフォン)は、ハウジング121内に収容されてもよい。骨伝導スピーカー122がマイクロフォンに与える影響を抑制するために、骨伝導スピーカー122から装置の関心のある位置(例えば、図1及び図4における123に示すとおりである)に至る振動伝達関数を計算する必要がある。関心のある位置は、あるマイクロフォン(例えば、聴覚装置120に実際に取り付けられたマイクロフォン)の配置位置であってもよく、聴覚装置120の内部又は外部の任意の位置(例えば、聴覚装置120の、骨伝導スピーカー122に剛性的又は弾性的に接続された任意の部位)であってもよいことが理解されよう。
【0040】
いくつかの実施例において、検出器110は、骨伝導スピーカー122から発した音声を受信して、該音声に基づいてフィードバック信号を生成してもよい。上記フィードバック信号は、骨伝導スピーカー122が検出器110(が位置した位置)に与える影響を反映することができる。例えば、該フィードバック信号は、プロセッサ140に送信され、さらにプロセッサ140により該フィードバック信号に基づいて骨伝導スピーカー122から検出器110に至るフィードバック経路伝達関数を計算してもよい。いくつかの実施例において、検出器110は、環境の音声を受信し、該音声に基づいて音声信号を生成してもよい。環境の音声は、例えば、人の声、車の音、周囲環境のノイズを含んでもよい。いくつかの実施例において、検出器110は、該音声信号を骨伝導スピーカー122及びプロセッサ140に送信し、骨伝導スピーカー122は、該音声信号に基づいて音声を生成してもよい。いくつかの実施例において、検出器110は、該音声信号をプロセッサ140に送信し、さらにプロセッサ140は、骨伝導スピーカー122に送信し、骨伝導スピーカー122は、該音声信号に基づいて音声を生成してもよい。いくつかの実施例において、検出器110は、音響電気変換器、例えば、マイクロフォンを含んでもよい。例示的には、マイクロフォンは、リボンマイクロフォン、微小電気機械システム(MEMS)マイクロフォン、動的マイクロフォン、圧電マイクロフォン、コンデンサマイクロフォン、カーボンマイクロフォン、アナログマイクロフォン、デジタルマイクロフォンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。さらに例えば、マイクロフォンは、全指向性マイクロフォン、単一指向性マイクロフォン、双指向性マイクロフォン、カージオイドマイクロフォン、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、検出器110は、空気伝導マイクロフォンと骨伝導マイクロフォンをさらに含んでもよい。説明を容易にするために、本願では、マイクロフォンを検出器110として説明する。
【0041】
プロセッサ140は、検出器110、骨伝導スピーカー122、データベース130又はシステム100の他のコンポーネントから取得されたデータ及び/又は情報を処理することができる。例えば、プロセッサ140は、骨伝導スピーカー122が発した音声をマイクロフォンによりピックアップした後に生成された電気信号を処理し、これに基づいて骨伝導スピーカー122からマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数を計算することができる。いくつかの実施例において、プロセッサ140は、単一のサーバ又はサーバ群であってもよい。サーバ群は、集中型又は分散型サーバ群であってもよい。いくつかの実施例において、プロセッサ140は、ローカル又はリモートであってもよい。例えば、プロセッサ140は、検出器110、骨伝導スピーカー122及び/又はデータベース130から情報及び/又はデータにアクセスしてもよい。さらに例えば、プロセッサ140は、検出器110、骨伝導スピーカー122及び/又はデータベース130に直接接続されて情報及び/又はデータにアクセスしてもよい。
【0042】
いくつかの実施例において、プロセッサ140は、(図4及び図5に示す)測定信号生成ユニット141及びフィードバック経路計算ユニット142を含んでもよい。測定信号生成ユニット141は、骨伝導スピーカー122及びフィードバック経路計算ユニット142に測定音声信号(例えば、第1の測定音声信号)を送信することができる。骨伝導スピーカー122は、測定音声信号に基づいて音声(例えば、第1の音声)を生成することができる。検出器110は、骨伝導スピーカー122が発した音声を受信した後に該音声に基づいてフィードバック信号(例えば、第1のフィードバック信号)を生成して、該フィードバック信号をフィードバック経路計算ユニット142に送信することができる。フィードバック経路計算ユニット142は、測定音声信号及び検出器110から出力されたフィードバック信号に基づいてフィードバック経路伝達関数を計算することができる。いくつかの実施例において、空気伝導伝達経路及び振動伝達経路を含むフィードバック信号とそれに対応する測定音声信号に基づいて、フィードバック経路計算ユニット142は、対応するフィードバック経路伝達関数(すなわち、第1のフィードバック経路伝達関数)を決定し、空気伝導伝達経路のみを含むフィードバック信号とそれに対応する測定音声信号に基づいて、対応するフィードバック経路伝達関数(すなわち、第2のフィードバック経路伝達関数)を決定してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、前述の決定された2つのフィードバック経路伝達関数に基づいて、振動伝達関数を決定してもよい。
【0043】
いくつかの実施例において、プロセッサ140は、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットをさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、プロセッサ140は、検出器110のフィードバック信号に基づいて、骨導聴覚装置の骨伝導スピーカー122から検出器110に至るフィードバック経路伝達関数をリアルタイムに決定してもよい。プロセッサ140は、リアルタイムに決定されるフィードバック経路伝達関数と所定の他のフィードバック経路伝達関数を比較することで、骨導聴覚装置のリアルタイムな状態を決定してもよい。
【0044】
データベース130に、データ、命令及び/又は任意の他の情報、例えば、上記第1のフィードバック経路伝達関数を記憶してもよい。いくつかの実施例において、データベース130に、検出器110、骨伝導スピーカー122及び/又はプロセッサ140から取得されたデータが記憶されてもよい。いくつかの実施例において、データベース130に、本願において説明された例示的な方法を実施するためにプロセッサ140が使用又は実行するデータ及び/又は命令が記憶されてもよい。いくつかの実施例において、データベース130は、大容量メモリ、リムーバブルメモリ、揮発性読み書きメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)など又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、データベース130は、クラウドプラットフォームで実現されてもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、データベース130は、システム100における少なくとも1つの他のコンポーネント(例えば、プロセッサ140)と通信してもよい。システム100における少なくとも1つのコンポーネントは、データベース130に記憶されたデータ(例えば、第1のフィードバック経路伝達関数)にアクセスしてもよい。いくつかの実施例において、データベース130は、プロセッサ140の一部であってもよい。
【0046】
図2、本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得方法の例示的なフローチャートである。具体的には、方法200は、システム100(例えば、プロセッサ140)により実行されてもよい。例えば、方法200は、プログラム又は命令の形態で記憶装置(例えば、データベース130)に記憶されてもよく、システム100(例えば、プロセッサ140)が該プログラム又は命令を実行する場合、方法200を実現することができる。
【0047】
ステップ210では、測定信号生成ユニット141により、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成する。いくつかの実施例において、ステップ210は、測定音声生成モジュール310により実行されてもよい。
【0048】
いくつかの実施例において、測定信号生成ユニット141は、所定の特徴を有する電気信号を生成して出力できる信号源であってもよい。例えば、第1の測定音声信号又は第2の測定音声信号は、ホワイトノイズ信号、純音信号、パルス信号、狭帯域ノイズ、狭帯域ワーブルトーン、変調音及び/又はスイープ音声信号を含む。発音装置(例えば、骨伝導スピーカー122)は、ホワイトノイズ信号を受信した場合、全ての周波数で同じエネルギー密度を有するノイズ、すなわち、ホワイトノイズを生成してもよい。発音装置は、純音信号を受信した場合、単一トーンの音声、すなわち、純音を生成してもよい。発音装置は、スイープ音声信号を受信した場合、同一の周波数帯域内で周波数が高から低へ(又は低から高へ)連続的に変化する音声、すなわちスイープ音声を生成してもよい。
【0049】
いくつかの実施例において、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、測定信号生成ユニット141により、異なるタイミングで順に生成され、それぞれ測定対象となる装置に対する測定に用いられる信号である。いくつかの実施例において、前後2回の測定条件の一致性を維持するために、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、完全に同じであってもよく、すなわち第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、タイプも周波数も同じてあってもよい。例えば、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、完全に同じスイープ信号であってもよい。いくつかの実施例において、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、タイプが異なってもよい。例えば、第1の測定音声信号は、ホワイトノイズであって、第2の測定音声信号は、純音であってもよい。
【0050】
いくつかの代替的な実施例において、測定対象の装置に対する第1の測定音声信号による測定と、第2の測定音声信号による測定と、を一括して完了するように変更してもよい。この場合、測定信号生成ユニット141は、例えば、第1の測定音声信号又は第2の測定音声信号の1種のテスト音声信号のみを生成しても、同様に測定を達成することができ、具体的な内容は、ステップ210の関連説明を参照する。
【0051】
ステップ220では、骨伝導スピーカー122により、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号に基づいて、それぞれ第1の音声と第2の音声を生成する。
【0052】
第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、電気信号の形態で骨伝導スピーカー122に伝達されてもよく、骨伝導スピーカー122は、上記電気信号をそれぞれ第1の音声と第2の音声に変換することができる。いくつかの実施例において、骨伝導スピーカー122は、振動板とトランスデューサを含んでもよい。トランスデューサは、振動を発生させ、例えば、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号に対応する電気信号を機械的振動に変換することにより振動を発生させるように構成されてもよい。トランスデューサは、振動するように振動板を駆動することができる。単に例示として、振動板は、トランスデューサに機械的に接続され、トランスデューサと共に振動することができる。実際の使用時(例えば、ユーザが聴覚装置120を装着する場合)、振動板は、ユーザの皮膚に接触し、人体組織及び骨格を介して振動を聴覚神経に伝達ことができ、それによりユーザに音声を聞かせる。
【0053】
いくつかの実施例において、骨伝導スピーカー122は、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号に基づいて、順に第1の音声と第2の音声を生成してもよい。例えば、先に第1の音声を生成し、マイクロフォンが第1の音声を受信し、第1のフィードバック信号を出力した後、第2の音声を生成してもよい。又は、先に第2の音声を生成し、マイクロフォンが第2の音声を受信し、第2のフィードバック信号を出力した後、第1の音声を生成してもよい。
【0054】
いくつかの実施例において、第1の音声と第2の音声は、同一の骨伝導スピーカー122により、同一の聴覚装置120の同一の位置で順に生成されたものであってもよい。この場合、マイクロフォンの位置を変更すれば、該骨伝導スピーカー122が発した音声の異なる位置に対する影響を取得し、それにより異なる音響経路に対応する伝達関数を取得することができる。他のいくつかの実施例において、骨伝導スピーカー122は、構造及び材質が同じである2つの骨伝導スピーカー122を含んでもよく、2つの骨伝導スピーカー122は、それぞれ第1の測定音声信号と第2の測定音声信号に基づいて順に第1の音声と第2の音声を生成する。
【0055】
ステップ230では、少なくとも1つの検出器により、それぞれ、第1の位置で第1の音声を受信した後に第1のフィードバック信号を出力し、第2の位置で第2の音声を受信した後に第2のフィードバック信号を出力する。
【0056】
少なくとも1つの検出器は、それぞれ、第1の音声と第2の音声を受信し、第1の音声と第2の音声に基づいて第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号を生成し、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号をフィードバック経路測定装置(例えば、フィードバック経路計算ユニット142)に送信することができる。
【0057】
説明を容易にするために、以下、少なくとも1つの検出器が空気伝導マイクロフォン(例えば、図4及び図5に示すマイクロフォン)を含む場合を例として説明する。マイクロフォンは、上記第1の位置で、骨伝導スピーカー122が第1種の方式で伝達した第1の音声を受信することができる。例えば、骨伝導スピーカー122は、聴覚装置120に固定されてもよく(すなわち、骨伝導スピーカー122は、聴覚装置120に剛性的又は弾性的に接続される)、上記第1の位置は、聴覚装置120(例えば、図1又は図4におけるハウジング121)に当接する他の位置であってもよい。マイクロフォンが上記第1の位置に位置する場合、マイクロフォンは、聴覚装置120に剛性的又は弾性的に接続される。骨伝導スピーカー122の発音原理から分かるように、骨伝導スピーカー122が第1の音声を生成する場合、振動するように聴覚装置120(のハウジング)を駆動し、聴覚装置120の振動は、聴覚装置120に当接するマイクロフォンに伝達される。例えば、図4に示すように、第1の位置は、聴覚装置120のハウジング121に当接する位置であってもよい。ハウジング121の振動方向がマイクロフォンの振動膜の振動方向と平行であると仮定すると、ハウジング121が振動すると同時にマイクロフォンの振動膜を振動させる。同時に、骨伝導スピーカー122が第1の音声を生成する時に周囲の空気を振動させ、空気の振動は、空気伝導の方式でマイクロフォンに伝達される。したがって、第1の音声は、同時に振動伝導と空気伝導の方式でマイクロフォンに伝達される。つまり、上記第1種の方式は、振動伝導と空気伝導を含む。
【0058】
いくつかの実施例において、マイクロフォンは、上記2種の伝達経路を介して伝達された第1の音声に基づいて第1のフィードバック信号を生成し、さらに第1のフィードバック信号をフィードバック経路計算ユニット142に送信するか、及び/又は記憶装置(例えば、データベース130)に記憶してもよい。
【0059】
同様に、マイクロフォンは、上記第2の位置で、骨伝導スピーカー122が第2種の方式で伝達した第2の音声を受信することができる。例えば、第2の位置は、聴覚装置120(のハウジング121)に接触しないが、上記第1の位置に近接していてもよい。マイクロフォンが上記第2の位置に位置する場合、マイクロフォンが聴覚装置120から離れて設置されていると考えてもよい。好ましくは、上記第2の位置は、マイクロフォンが該位置で聴覚装置120に剛性的又は弾性的に接続されていない限り、聴覚装置120(のハウジング)の内部又は外部に位置してもよい。例えば、図5において、マイクロフォンが第2の位置に位置する場合にハウジング121と接触していないため、マイクロフォンの振動膜は、空気により伝達された音声のみを受信し、ハウジング121の振動による影響を受けることはない。したがって、第2の音声は、空気伝導の方式のみでマイクロフォンに伝達される。つまり、上記第2種の方式は、空気伝導のみを含む。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、空気伝導伝達経路を介して伝達された第2の音声に基づいて第2のフィードバック信号を生成し、さらに第2のフィードバック信号をフィードバック経路計算ユニット142に送信するか、及び/又は記憶装置(例えば、データベース130)に記憶してもよい。なお、第2の位置と第1の位置との間の距離が小さい(例えば、1mm未満、5mm未満、1cm未満、5cm未満である)場合、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る空気伝導経路と骨伝導スピーカー122から第2の位置に至る空気伝導経路が実質的に同じであると考えられることが理解されよう。
【0060】
いくつかの代替的な実施例において、マイクロフォンが第1の位置に位置し、ハウジング121の振動方向がマイクロフォンの振動膜の振動方向に垂直である場合、ハウジング121の振動は、マイクロフォンの振動部材(例えば、振動膜)を振動させることがない。この場合、マイクロフォンが第1の位置では、依然として空気により伝達された音声のみを受信すると考えることができる。したがって、上記マイクロフォンがハウジング121から離れた第2の位置で第2の音声を受信する過程を、マイクロフォンが第1の位置に位置する場合に振動膜の振動方向がハウジング121の振動方向に垂直であるように、マイクロフォンの向きを調整することに変更してもよい。振動膜がハウジング121の振動による影響を受けないため、マイクロフォンがハウジング121に近接していても、それが受信する第2の音声は、空気伝導のみにより伝達される。したがって、マイクロフォンの振動膜の振動方向がハウジング121の振動方向に垂直である場合、フィードバック経路伝達関数を計算する場合に、空気伝導フィードバック経路伝達関数のみを考慮すればよい。骨伝導スピーカー122がそれぞれ第1の音声と第2の音声を生成する場合、第1の位置でマイクロフォンの振動膜の振動方向がそれぞれ、ハウジング121の振動方向に平行又は垂直であるように設置するだけでも、マイクロフォンが、受信した第1の音声と第2の音声に基づいて、それぞれ第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号を出力することもできることが理解されたい。
【0061】
いくつかの実施例において、少なくとも1つの検出器(例えば、空気伝導マイクロフォン又はマイクロフォン)は、構造及び材質が同じである第1の検出器(例えば、第1の空気伝導マイクロフォン)と第2の検出器(例えば、第2の空気伝導マイクロフォン)を含んでもよい。いくつかの実施例において、少なくとも1つの検出器(例えば、空気伝導マイクロフォン又はマイクロフォン)は、構造及び材質が異なる第1の検出器(例えば、シリコンマイクロホン)と第2の検出器(例えば、エレクトレットマイクロフォン)を含んでもよい。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、空気伝導マイクロフォン又は骨導マイクロフォンであってもよい。理解を容易にするために、本願では、マイクロフォンは、空気伝導マイクロフォンであってもよい。それぞれ上記第1の音声と第2の音声を受信する場合、第1の検出器と第2の検出器は、それぞれ第1の位置と第2の位置に位置し、第1の音声と第2の音声を受信してもよい。前述した実施例と同様に、第1の検出器は、第1の音声を受信した後に第1のフィードバック信号を出力することができ、第2の検出器は、第2の音声を受信した後に第2のフィードバック信号を出力することができる。
【0062】
他のいくつかの実施例において、第1の検出器と第2の検出器が同時にそれぞれ第1の位置と第2の位置に配置され、同一の音声を受信してもよい。例えば、骨伝導スピーカー122は、1つの測定音声信号(例えば、第1の測定音声信号)のみに基づいて第1の音声を生成し、第1の検出器と第2の検出器は、それぞれ第1の位置と第2の位置に位置し、第1の音声を同時に受信する。本実施例において、第1の検出器と第2の検出器が同一の音声を受信するが、第1の検出器が受信した第1の音声の伝達経路が空気伝導伝達経路と振動伝達経路を含み、第2の検出器が受信した第1の音声が空気伝導伝達経路のみを含むため、第1の検出器と第2の検出器が出力したフィードバック信号が異なる。便宜上、第1の検出器が出力したフィードバック信号は、第1のフィードバック信号と称されてもよく、第2の検出器が出力したフィードバック信号は、第2のフィードバック信号と称されてもよい。これは、前述の実施例において、同一の検出器がそれぞれ第1の位置と第2の位置に位置して出力した第1のフィードバック信号及び第2のフィードバック信号との差異が小さく、実質的に同じであると考えてもよい。
【0063】
ステップ240では、フィードバック経路計算ユニット142により、第1の測定音声信号、第2の測定音声信号、第1のフィードバック信号、及び第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定する。いくつかの実施例において、ステップ240は、処理モジュール320により実行されてもよい。
【0064】
いくつかの実施例において、マイクロフォンが出力した第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号を受信した後、フィードバック経路計算ユニット142は、フィードバック経路伝達関数の測定原理により、第1の測定音声信号、第2の測定音声信号、第1のフィードバック信号、及び第2のフィードバック信号に基づいて、フィードバック経路伝達関数を計算してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、測定信号生成ユニット141から第1の測定音声信号を取得してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定音声信号と第1のフィードバック信号を受信した後、第1の測定音声信号と第1のフィードバック信号に基づいて、第1の音声が骨伝導スピーカー122から第1の位置に伝達される第1のフィードバック経路伝達関数を計算してもよい。例えば、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定音声信号と第1のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号と第1のフィードバック変換信号を取得してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、Z変換を用いて第1の測定音声信号と第1のフィードバック変換信号に対して変換処理を行ってもよい。例えば、骨伝導スピーカー122が入力した第1の測定音声信号に対してZ変換を行って第1の測定音声変換信号を取得し、空気伝導マイクロフォンが出力した第1のフィードバック信号に対してZ変換を行って第1のフィードバック変換信号を取得する。他のいくつかの実施例において、アルゴリズム変換は、フーリエ変換、ラプラス変換又は線形予測エンコーダなどの音声モデル求解法などをさらに含んでもよい。
【0065】
いくつかの実施例において、伝達関数の測定方法は、相互相関法、適応推定法などを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、伝達関数の測定方法は、音声信号及び電気信号に対してアルゴリズム変換を行って変換後の信号を取得し、さらに変換後の信号に基づいて、伝達関数を計算することであってもよい。具体的な内容は、式(1)~式(5)の計算方法を参照する。
【0066】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定変換信号及び第1のフィードバック変換信号に基づいて、式(1)に従って第1のフィードバック経路伝達関数を取得してもよい。
【0067】
【数1】
【0068】
式中、Y(z)は、第1の測定音声変換信号であり、X(z)は、第1のフィードバック変換信号であり、F(z)は、第1のフィードバック経路伝達関数である。前記のように、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)は、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る空気伝導伝達経路と振動伝達経路の影響を含む。
【0069】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、測定信号生成ユニット141から第2の測定音声信号を取得してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第2の測定音声信号と第2のフィードバック信号を受信した後、第2の測定音声信号と第2のフィードバック信号に基づいて、第2の音声が骨伝導スピーカー122から第2の位置に伝達される第2のフィードバック経路伝達関数を計算してもよい。例えば、フィードバック経路計算ユニット142は、第2の測定音声信号と第2のフィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第2の測定音声変換信号と第2のフィードバック変換信号を取得してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、Z変換を用いて第2の測定音声信号と第2のフィードバック信号に対して変換処理を行ってもよい。例えば、骨伝導スピーカー122が入力した第2の測定音声信号に対してZ変換を行って第2の測定音声変換信号を取得し、マイクロフォンが出力した第2のフィードバック信号に対してZ変換を行って第2のフィードバック変換信号を取得する。
【0070】
同様に、説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第2の測定音声変換信号及び第2のフィードバック変換信号に基づいて、式(2)に従って第2のフィードバック経路伝達関数を取得してもよい。
【0071】
【数2】
【0072】
式中、Y(z)は、第2の測定音声変換信号であり、X(z)は、第2のフィードバック変換信号であり、F(z)は、第2のフィードバック経路伝達関数である。前記のように、第2のフィードバック経路伝達関数F(z)は、骨伝導スピーカー122から第2の位置(又は第1の位置)に至る空気伝導伝達経路の影響のみを含む。
【0073】
上記式(1)と式(2)の計算により、フィードバック経路計算ユニット142は、空気伝導伝達経路と振動伝達経路を介して伝達された第1の音声に対応する第1のフィードバック経路伝達関数と、空気伝導伝達経路を介して伝達された第2の音声に対応する第2のフィードバック経路伝達関数とを決定し、さらに後続の計算により、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定することができる。
【0074】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)と第2のフィードバック経路伝達関数F(z)に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定してもよい。
【0075】
具体的には、マイクロフォンが第1の位置で受信した第1の音声の第1の伝達経路は、空気伝導伝達経路と振動伝達経路を含み、マイクロフォンが第2の位置で受信した第2の音声の第2の伝達経路は、空気伝導伝達経路のみを有するため、空気伝導マイクロフォンの2回の出力信号(すなわち、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号)は異なる。
【0076】
説明の目的のために、空気伝導経路と振動伝達経路を含む第1のフィードバック経路伝達関数は、以下のように示されてもよい。
【0077】
【数3】
【0078】
式中、A(z)は、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る空気伝導フィードバック経路伝達関数であり、B(z)は、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数である。
【0079】
図6は、式(3)に従って決定された第1のフィードバック経路伝達関数F(z)のグラフを示す。
【0080】
いくつかの実施例において、第2の位置と第1の位置との間の距離が小さいことを考慮すると、骨伝導スピーカー122から第2の位置に至る空気伝導経路は、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る空気伝導経路に実質的に同じとしてもよい。したがって、空気伝導経路のみを含む第2のフィードバック経路伝達関数は、以下のように示されてもよい。
【0081】
【数4】
【0082】
式中、A(z)は、骨伝導スピーカー122から第2の位置に至る空気伝導フィードバック経路伝達関数であり、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る空気伝導フィードバック経路伝達関数A(z)と同じであるか又は実質的に同じである。図7は、式(2)により決定された第2のフィードバック経路関数F(z)のグラフを示す。前記のように、第2のフィードバック経路伝達関数F(z)は、骨伝導スピーカー122から第2の位置(又は第1の位置)に至る空気伝導伝達経路の影響のみを含む。
【0083】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)と第2のフィードバック経路伝達関数F(z)に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定してもよい。具体的には、第2のフィードバック経路伝達関数F(z)が空気伝導フィードバック経路伝達関数A(z)のみを含み、第1のフィードバック経路伝達関数F(z)が空気伝導フィードバック経路伝達関数A(z)と振動伝達関数B(z)を含むため、フィードバック経路計算ユニット142は、式(3)から式(4)を減算して、振動伝達関数B(z)を計算してもよい。
【0084】
【数5】
【0085】
図6は、空気伝導経路と振動伝達経路を含む第1のフィードバック経路伝達関数のグラフである。図6におけるグラフは、対応する周波数で、第1の位置で受信された第1の音声が同時に空気伝導フィードバック経路と振動伝達経路を有する状況を示す。図から分かるように、1000Hz付近の範囲内(例えば、600~1000Hz)で、骨伝導スピーカーが同時に空気伝導フィードバック経路と振動伝達経路を介して第1の位置に与える影響は、他の周波数範囲に対してディップが現れ(すなわち、ここでの影響が小さいと理解することができる)、300~400Hz及び2000~3000Hzの範囲内で、骨伝導スピーカーが同時に空気伝導フィードバック経路と振動伝達経路を介して第1の位置に与える影響は、他の周波数範囲に対してピークが現れている(すなわち、ここでの影響が大きいと理解することができる)。
【0086】
図7は、空気伝導経路のみを含む第2のフィードバック経路伝達関数のグラフである。図7におけるグラフは、対応する周波数で、第2の位置で受信された第2の音声が空気伝導フィードバック経路のみを有する状況を示す。周波数が0~1000Hzの範囲内にある場合、骨伝導スピーカーが空気伝導フィードバック経路を介して第2の位置に与える影響は小さく、周波数が1000~3000Hzの範囲内にある場合、骨伝導スピーカーが空気伝導フィードバック経路を介して第2の位置に与える影響は大きい。いくつかの実施例において、図6における第1のフィードバック経路伝達関数から図7における第2のフィードバック経路伝達関数を減算すると、図8に示すグラフを取得することができる。図8から分かるように、振動伝達経路は、周波数が0~1000Hzの部分に対する影響が大きく、周波数が1000Hz以上の部分に対する影響が小さい。図6図7及び図8を参照して分かるように、骨伝導スピーカーが振動伝達経路を介して第1の位置に与える影響は、主に低い(例えば、1000Hz未満)周波数範囲に集中する。一方、骨伝導スピーカーが空気伝導伝達経路を介して第1の位置(又は、第2の位置)に与える影響は、主に高い(例えば、1000Hzより高い)周波数範囲に集中する。
【0087】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動フィードバック信号を決定してもよい。
【0088】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号に基づいて、式(6)に従って振動フィードバック信号を取得してもよい。
【0089】
【数6】
【0090】
式中、Xは、第1のフィードバック信号であり、Xは、第2のフィードバック信号であり、Xは、振動フィードバック信号である。
【0091】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定音声信号、第2の測定音声信号、及び振動フィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定してもよい。
【0092】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定音声信号、第2の測定音声信号、及び振動フィードバック信号に対してそれぞれアルゴリズム変換を行って、第1の測定音声変換信号、第2の測定音声変換信号、及び振動フィードバック変換信号を取得してもよい。例えば、第1の測定音声信号Yに対してZアルゴリズム変換を行って第1の測定音声変換信号Y(z)を取得し、第2の測定音声信号Yに対してZアルゴリズム変換を行って第2の測定音声変換信号Y(z)を取得し、第2の測定音声信号Xに対してZアルゴリズム変換を行って第2の測定音声変換信号X(z)を取得する。
【0093】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定音声変換信号、第2の測定音声変換信号、及び振動フィードバック変換信号に基づいて、発音ユニットから上記第1の位置に至る第1のフィードバック経路伝達関数を決定してもよい。具体的には、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定音声変換信号と第2の測定音声変換信号の平均値又は加重平均値を求めて、測定音声平均値変換信号を取得してもよい。
【0094】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の測定音声変換信号と第2の測定音声変換信号に基づいて、式(7)に従って測定音声平均値変換信号を取得してもよい。
【0095】
【数7】
【0096】
式中、Y(z)は、第1の測定音声変換信号であり、Y(z)は、第2の測定音声変換信号であり、Y(z)は、測定音声平均値変換信号である。
【0097】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、測定音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を取得してもよい。
【0098】
説明の目的のために、フィードバック経路計算ユニット142は、測定音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号に基づいて、式(8)に従って骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を取得してもよい。
【0099】
【数8】
【0100】
式中、Y(z)は、測定音声平均値変換信号であり、X(z)は、振動フィードバック変換信号であり、B(z)は、振動伝達関数である。
【0101】
いくつかの実施例において、フィードバック経路計算ユニット142は、さらに第1の測定音声信号と第2の測定音声信号の平均値、及び加重平均値を求めて、測定音声平均値信号を取得してもよい。測定音声平均値信号と振動フィードバック信号に対してアルゴリズム変換を行って、測定音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号を取得する。次に、測定音声平均値変換信号と振動フィードバック変換信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を取得する。
【0102】
なお、以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本願の内容の指導の下で、様々な変更及び修正を行うことができる。本願に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、他の例示的な実施例及び/又は代替的な実施例を取得することができる。例えば、フィードバック経路計算ユニット142は、第1の計算ユニットと第2の計算ユニットを含んでもよい。第1の計算ユニットは、第1のフィードバック経路の第1のフィードバック経路伝達関数を計算し、第2の計算ユニットは、第2のフィードバック経路伝達関数を計算してもよい。しかしながら、これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱しない。
【0103】
図3は、本願のいくつかの実施例に係る振動伝達関数取得システムの例示的なブロック図である。振動伝達関数取得システム300は、システム300と略称されてもよい。図3に示すように、該システム300は、測定音声生成モジュール310と処理モジュール320を含んでもよい。いくつかの実施例において、該システム300は、図1に示すシステム100(例えば、プロセッサ140)により実現されてもよい。
【0104】
測定音声生成モジュール310は、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号を生成してもよい。いくつかの実施例において、第1の測定音声信号又は第2の測定音声信号は、ホワイトノイズ信号、純音信号、パルス信号、狭帯域ノイズ、狭帯域ワーブルトーン、変調音及び/又はスイープ音声信号のうちの少なくとも1種を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、タイプ及び周波数が同じであり、例えば、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、同一の周波数の純音信号であってもよい。いくつかの実施例において、第1の測定音声信号と第2の測定音声信号は、タイプが異なってもよい。例えば、第1の測定音声信号は、ホワイトノイズであって、第2の測定音声信号は、純音であってもよい。いくつかの実施例において、測定音声生成モジュール310は、例えば、第1の測定音声信号又は第2の測定音声信号の1種の測定音声信号のみを生成しても、同様に振動伝達関数を取得するという目的を達成することができる。具体的な内容は、ステップ210の関連説明を参照する。
【0105】
処理モジュール320は、第1の測定音声信号、第2の測定音声信号、第1のフィードバック信号、及び第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定してもよい。第1のフィードバック信号は、骨伝導スピーカー122から振動伝達経路と空気伝導伝達経路を介して第1の位置に伝達された信号を反映し、第2のフィードバック信号は、骨伝導スピーカー122から空気伝導伝達経路を介して第2の位置に伝達された信号を反映する。第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号は、それぞれ、少なくとも1つのマイクロフォンにより第1の位置で第1の音声を受信した後に出力されたもの、第2の位置で第2の音声を受信した後に出力されたものであってもよい。第1の音声と第2の音声は、骨伝導スピーカー122により、それぞれ第1の測定音声信号と第2の測定音声信号に基づいて生成されたものであってもよい。第1の測定音声信号と第2の測定音声信号に基づいて第1の音声と第2の音声を生成することに関するより多くの内容については、ステップ220の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0106】
いくつかの実施例において、処理モジュール320は、第1の測定音声信号を受信した後、第1の測定音声信号と第1のフィードバック信号に基づいて、第1の音声が骨導スピーカー122から第1の位置に伝達された第1のフィードバック経路伝達関数を計算してもよい。第1のフィードバック経路伝達関数の計算に関するより多くの内容については、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0107】
いくつかの実施例において、処理モジュール320は、さらに第2の測定音声信号と第2のフィードバック信号に基づいて、第2の音声が骨導スピーカー122から第2の位置に伝達された第2のフィードバック経路伝達関数を計算してもよい。第2のフィードバック経路伝達関数の計算に関するより多くの内容については、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0108】
いくつかの実施例において、処理モジュール320は、第1のフィードバック経路伝達関数と第2のフィードバック経路伝達関数に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定してもよい。骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定することに関するより多くの内容については、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0109】
いくつかの実施例において、処理モジュール320は、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動フィードバック信号を決定してもよい。いくつかの実施例において、処理モジュール320は、さらに第1の測定音声信号、第2の測定音声信号、及び振動フィードバック信号に基づいて、骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定してもよい。骨伝導スピーカー122から第1の位置に至る振動伝達関数を決定することに関するより多くの内容については、図2におけるステップ240の詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0110】
なお、以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本願の内容の指導の下で、様々な変更及び修正を行うことができる。本願に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、他の例示的な実施例及び/又は代替的な実施例を取得することができる。例えば、処理モジュール320は、第1の処理モジュールと第2の処理モジュールを含んでもよい。第1の処理モジュールは、第1のフィードバック経路の第1のフィードバック経路伝達関数を計算し、第2の処理モジュールは、第2のフィードバック経路伝達関数を計算してもよい。しかしながら、これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱しない。
【0111】
本願の他のいくつかの実施例において、少なくとも1つのプロセッサ140と少なくとも1つのデータベース130を含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、少なくとも1つのデータベース130は、コンピュータ命令を記憶し、少なくとも1つのプロセッサ140は、コンピュータ命令のうちの少なくとも一部の命令を実行して以上のような方法200を実現する。
【0112】
本願の他のいくつかの実施例において、骨導聴覚装置状態検出方法をさらに提供する。図9は、本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置状態検出方法の例示的なフローチャートである。上記骨導聴覚装置は、少なくともマイクロフォン、スピーカー、フィードバック分析ユニット、及び信号処理ユニットを含んでもよい。いくつかの実施例において、本実施例に係るマイクロフォンは、骨導マイクロフォン、空気伝導マイクロフォンなどを含んでもよい。上記マイクロフォンは、いずれも本願の他の実施例において開示された検出器に属し、例えば、図4及び図5に示すマイクロフォンであってもよい。本実施例に係るスピーカーは、骨伝導スピーカーであり、前述した実施例における骨伝導スピーカー122と同じであってもよく、異なってもよいが、いずれも電気信号を振動信号に変換することができる。上記マイクロフォンと骨伝導スピーカーは、それぞれ骨導聴覚装置の異なる位置に取り付けられる。例えば、上記マイクロフォンとスピーカーは、それぞれ骨導聴覚装置のハウジングの異なる位置に固定される。いくつかの実施例において、フィードバック分析ユニットと信号処理ユニットは、2つの独立した装置であってもよく、1つの装置において2種の異なる機能を実現する部材であってもよい。例えば、フィードバック分析ユニット及び信号処理ユニットは、組み合わせて状態検出装置となってもよい。状態検出装置は、上記マイクロフォン、スピーカーと組み合わせて一体装置を形成してもよく、上記マイクロフォン、スピーカーから独立して設置された装置であってもよいことが理解されたい。上記2種の設置方式を区別するために、以下に、2つの適用シナリオで説明する。例えば、状態検出装置が上記マイクロフォン、スピーカーと組み合わせて一体装置を形成する場合、該骨導聴覚装置は、使用前又は使用中に、状態自己検出を実現し、構造正常状態、構造異常状態、又は異物侵入状態にあるか否かを検出することができる。さらに例えば、状態検出装置が上記マイクロフォン、スピーカーから独立して設置される場合、該骨導聴覚装置は、使用前又は使用中に、検出装置と通信及び/又は接続して該骨導聴覚装置の状態を検出し、該骨導聴覚装置が構造正常状態、構造異常状態、又は異物侵入状態にあるか否かを検出することができる。
【0113】
骨導聴覚装置状態検出方法は、ステップ910~ステップ960を含んでもよい。
【0114】
ステップ910では、スピーカーにより、第1の信号に基づいて第3の音声を生成する。いくつかの実施例において、上記第1の信号は、上記第1の測定音声信号又は第2の測定音声信号と同様であってもよく、ここでは説明を省略する。いくつかの実施例において、ステップ910は、音声生成モジュール1010により実行されてもよい。
【0115】
いくつかの実施例において、信号処理ユニットにより第1の信号(すなわち、第1の測定音声信号)を生成してもよい。該第1の信号は、スピーカーに伝達されてもよく、スピーカーは、第1の信号を第3の音声に変換してもよい。いくつかの選択可能な実施例において、第1の信号は、マイクロフォンが第4の音声をピックアップした後に出力した信号であってもよい。第4の音声は、マイクロフォンによりピックアップされた環境音声、ノイズ、人の声などの音声であってもよい。第1の信号は、第4の音声から変換された電気信号であってもよい。マイクロフォンは、第4の音声をピックアップした後に第1の信号を出力してもよい。該第1の信号は、スピーカーに伝達されてもよく、スピーカーは、第1の信号を第3の音声に変換してもよい。
【0116】
ステップ920では、マイクロフォンにより、第3の音声を受信してフィードバック信号を生成する。いくつかの実施例において、ステップ920は、フィードバック信号生成モジュール1020により実行されてもよい。
【0117】
スピーカーが生成した音声がマイクロフォンにより受信され、対応するフィードバック情報が生成される。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、第3の音声を受信した後、第3の音声に基づいてフィードバック信号を生成し、フィードバック信号をフィードバック分析ユニットに送信してもよい。いくつかの実施例において、マイクロフォンは、前述した実施例に係る第1のフィードバック信号の生成方式に類似するか又は同じ方式でフィードバック信号を生成してもよい。
【0118】
ステップ930では、フィードバック分析ユニットにより、マイクロフォンのフィードバック信号と第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数を決定する。ステップ930は、フィードバック分析モジュール1030により実行されてもよい。
【0119】
いくつかの実施例において、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数を決定する方法は、図2における第1のフィードバック経路伝達関数F(z)及び/又は第2のフィードバック経路伝達関数F(z)を決定する方法と同じであってもよい。説明の目的のために、式(9)に従って骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数F(z)を決定してもよい。
【0120】
【数9】
【0121】
式中、Y(z)は、骨導聴覚装置が入力した第1の信号に対してZ変換を行って取得された第1の変換信号を表し、X(z)は、マイクロフォンが出力したフィードバック信号に対してZ変換を行って取得されたフィードバック変換信号を表す。
【0122】
第1の信号とフィードバック信号に対してZ変換を行うことで、対応する第1の変換信号Y(z)とフィードバック変換信号X(z)を取得することができる。したがって、式(9)に従って、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数を決定することができる。
【0123】
ステップ940では、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得する。ステップ940は、フィードバック分析モジュール1030により実行されてもよい。
【0124】
所定のフィードバック経路伝達関数は、予め設定されたフィードバック経路伝達関数であるか、又は記憶装置(例えば、データベース130)に予め記憶されたフィードバック経路伝達関数であると理解されてもよい。いくつかの実施例において、所定のフィードバック経路伝達関数は、本願の他の実施例(例えば、ステップ240)において開示された方法に基づいて決定されたフィードバック経路伝達関数、例えば、第1のフィードバック経路伝達関数を含んでもよい。いくつかの実施例において、所定のフィードバック経路伝達関数は、操作者が経験に基づいて手動で設定したフィードバック経路伝達関数であってもよい。いくつかの実施例において、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、標準フィードバック経路伝達関数又は異常フィードバック経路伝達関数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。標準フィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が正常状態にある場合に対応するフィードバック経路伝達関数であってもよい。例えば、標準フィードバック経路伝達関数は、該骨導聴覚装置が広範囲の人々に装着される場合のフィードバック経路特徴関数を反映してもよく、ある特定のユーザが正常に装着し、正常に使用する場合の個別化フィードバック経路特徴関数であってもよい。異常フィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が異常状態にある場合に対応するフィードバック経路伝達関数であってもよい。いくつかの実施例において、異常フィードバック経路は、発生可能な様々な異常フィードバック状況を含んでもよい。いくつかの実施例において、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が異なる状態にある場合のスピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数を含んでもよい。上記骨導聴覚装置の異なる装着状態は、ユーザに装着される場合の状態(この場合、骨導聴覚装置のスピーカー又はハウジングは、ユーザの顔に密着している)と、ユーザに装着されない状態(この場合、骨導聴覚装置のスピーカー又はハウジングは、ユーザの顔に密着していない)とを含んでもよい。それに応じて、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置がユーザに装着される場合のフィードバック経路伝達関数(「第1の所定のフィードバック経路伝達関数」と称されてもよい)と、ユーザに装着されない場合のフィードバック経路伝達関数(「第2の所定のフィードバック経路伝達関数」と称されてもよい)とを含んでもよい。
【0125】
ステップ950では、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較する。ステップ950は、フィードバック分析モジュール1030により実行されてもよい。
【0126】
いくつかの実施例において、ステップ930に決定されたフィードバック経路伝達関数と所定のフィードバック経路伝達関数を比較することで、骨導聴覚装置の状態を決定してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの標準フィードバック関数との差が所定の閾値範囲内にあるか否かを決定し、所定の閾値範囲内であれば、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定し、所定の閾値範囲内でなければ、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定してもよい。他のいくつかの実施例において、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの標準フィードバック関数との比が所定の閾値範囲内にあるか否かをさらに決定し、所定の閾値範囲内であれば、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定し、所定の閾値範囲内でなければ、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定してもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの異常フィードバック関数との差が所定の閾値範囲内にあるか否かを決定し、所定の閾値範囲内であれば、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定し、所定の閾値範囲内でなければ、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定してもよい。他のいくつかの実施例において、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数のうちの異常フィードバック関数との比が所定の閾値範囲内にあるか否かをさらに決定し、所定の閾値範囲内であれば、フィードバック経路伝達関数が異常であると決定し、所定の閾値範囲内でなければ、フィードバック経路伝達関数が正常であると決定してもよい。いくつかの実施例において、上記所定の閾値範囲は、人為的に設定されて、状況に応じて調整されてもよく、本願は、これについて限定しない。
【0127】
いくつかの実施例において、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、少なくとも2つを含む場合、フィードバック経路伝達関数との差が最も小さい所定のフィードバック経路伝達関数を所定のフィードバック経路伝達関数として決定する。例えば、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数は、第1の所定のフィードバック経路伝達関数と第2の所定のフィードバック経路伝達関数を含み、第1の所定のフィードバック経路伝達関数とフィードバック経路伝達関数との差が第2の所定のフィードバック経路伝達関数とフィードバック経路伝達関数との差より大きい場合、第2の所定のフィードバック経路伝達関数を所定のフィードバック経路伝達関数として決定する。
【0128】
ステップ960では、信号処理ユニットにより、比較結果に基づいて、骨導聴覚装置の状態を決定する。ステップ960は、信号処理モジュール1040により実行されてもよい。
【0129】
いくつかの実施例において、比較結果は、フィードバック経路伝達関数が正常であること又は異常であることを含んでもよい。いくつかの実施例において、フィードバック経路伝達関数が正常である場合、骨導聴覚装置の状態が正常であると決定し、フィードバック経路伝達関数が異常である場合、骨導聴覚装置の状態が異常であると決定する。いくつかの実施例において、骨導聴覚装置の状態は、構造正常状態、構造異常状態、異物侵入状態を含んでもよい。装着状態とは、骨導聴覚装置が装着者の身体に装着されていると理解されてもよく、非装着状態とは、骨導聴覚装置が装着者の身体に装着されていないと理解されてもよく、構造正常状態とは、骨導聴覚装置の構造及び/又はコンポーネントが正常な動作状態にあり、骨導聴覚装置を正常に使用することができることを指し、構造異常状態とは、構造正常状態と逆であり、骨導聴覚装置の構造及び/又はコンポーネントが正常な動作状態にないこと(例えば、衝突による骨導聴覚装置におけるコンポーネントの位置ずれ、移動、破損)を指し、異物侵入状態とは、骨導聴覚装置の構造及び/又はコンポーネント以外の物体が骨導聴覚装置の内部に入ることを指してもよい。いくつかの実施例において、構造正常状態を正常状態に分類し、構造異常状態、異物侵入状態を異常状態に分類してもよい。他のいくつかの実施例において、比較結果は、骨導聴音装置の装着状態、例えば、装着状態、非装着状態を反映してもよい。
【0130】
いくつかの実施例において、図2における方法で正常状態(例えば、構造正常状態)と異常状態(例えば、異物侵入状態)における骨導聴覚装置のフィードバック経路伝達関数をそれぞれ決定し、それらを所定のフィードバック経路伝達関数としてデータベース130に記憶してもよい。いくつかの実施例において、所定のフィードバック経路伝達関数のうち、異常状態(異物侵入状態)における骨導聴覚装置に対応するフィードバック経路伝達関数を異常フィードバック経路伝達関数とし、正常状態(例えば、構造正常状態)における骨導聴覚装置のフィードバック経路伝達関数を標準フィードバック経路伝達関数としてもよい。いくつかの実施例において、データベース130に、いずれも骨導聴覚装置の1つの状態(正常状態、異常状態)に対応する複数の所定のフィードバック経路伝達関数が記憶されてもよい。ステップ950とステップ960によれば、骨導聴覚装置の現在のフィードバック経路伝達関数とデータベース130における所定のフィードバック経路伝達関数を比較することにより、データベース130から、骨導聴覚装置の現在のフィードバック経路伝達関数に最も近い所定のフィードバック経路伝達関数がマッチングされるが、上記マッチングされる所定のフィードバック経路伝達関数に対応する骨導聴覚装置の状態が、該骨導聴覚装置の現在の状態である。したがって、以上に説明された過程により、骨導聴覚装置の現在の状態をリアルタイムに決定することができる。
【0131】
いくつかの実施例において、比較結果は、所定のフィードバック経路伝達関数の異なる分類を識別することを含んでもよく、さらに骨導聴覚装置の異なる状態を決定することができる。いくつかの実施例において、所定のフィードバック経路伝達関数のタイプは、密着していること、密着していないこと、頭部のある部位に装着されていること、に対応するフィードバック経路伝達関数を含んでもよい。フィードバック経路伝達関数との差が所定の閾値範囲内にある所定のフィードバック経路伝達関数のタイプに基づいて、上記フィードバック経路伝達関数のタイプを決定し、さらに骨導聴覚装置の異なる状態を決定することができる。例えば、取得された所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが、密着している(すなわち、骨導聴覚装置がユーザに密着している)ことに対応すると決定すれば、フィードバック経路伝達関数のタイプも、密着していることに対応し、それに応じて、骨導聴覚装置がユーザに密着していることを反映することができる。さらに例えば、取得された所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが、密着していないことに対応すると決定すれば、フィードバック経路伝達関数のタイプも密着していないことに対応し、それに応じて、骨導聴覚装置がユーザに密着していないことを反映することができる。さらに例えば、異なる所定のフィードバック経路伝達関数は、骨導聴覚装置が装着されている頭部の異なる部位に対応する。取得された所定のフィードバック経路伝達関数のタイプが、頭部のある部位(例えば、乳様突起、側頭骨部又は前額部)に装着されていることに対応すると決定すれば、フィードバック経路伝達関数のタイプも、該頭部の部位に対応し、それに応じて、ユーザが骨導聴覚装置を装着した頭部の位置(例えば、乳様突起、側頭骨部又は前額部)を反映することができる。
【0132】
いくつかの実施例において、骨導聴覚装置の状態を決定した後、信号処理モジュール1040は、さらに上記状態について、ユーザに注意喚起情報を送信してもよい。いくつかの実施例において、骨導聴覚装置の状態が異常であれば、骨導聴覚装置の状態を調整するようにユーザの注意を喚起する。いくつかの実施例において、ユーザの注意を喚起する方式は、音声提示、提示ランプ提示、振動提示、テキスト提示、リモートメッセージなどを含むが、これらに限定されない。具体的には、音声提示は、骨導聴覚装置が発した音声情報、例えば、「イヤホンに異物が侵入しました」という音声情報であってもよい。提示ランプ提示とは、骨導聴覚装置に提示ランプが設置され、骨導聴覚装置の状態が正常である場合、青ランプが点灯し、骨導聴覚装置の状態が異常である場合、赤ランプが点灯し、それにより装着者の注意を喚起する、ということを指してもよい。振動提示とは、骨導聴覚装置の状態が異常である場合、骨導聴覚装置が振動し、例えば、3回振動すれば、構造異常を表し、振動し続ければ、異物が侵入したことを表す、ということを指してもよい。テキスト提示とは、骨導聴覚装置又は骨導聴覚装置と通信及び/又は接続された端末に、ユーザの注意を喚起するための文字情報、例えば、「イヤホンに異物が侵入しました」、「イヤホンの構造が異常です」という文字情報が表示される、ということを指してもよい。
【0133】
なお、以上の説明は、単に説明の目的のために提供され、本願の範囲を限定するものではない。当業者であれば、本願の内容の指導の下で、様々な変更及び修正を行うことができる。本願に記載の例示的な実施例の特徴、構造、方法及び他の特徴を様々な方式で組み合わせて、他の例示的な実施例及び/又は代替的な実施例を取得することができる。例えば、骨導聴覚装置の状態が複数を含むが、どの状態が正常状態に属するか、どの状態が異常状態に属するかは、操作者により経験に基づいて設定されてもよく、ユーザにより自ら設定されてもよく、信号処理モジュール1040により設定されてもよい。しかしながら、これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱しない。
【0134】
図10は、本願のいくつかの実施例に係る骨導聴覚装置状態検出システムの例示的なブロック図である。骨導聴覚装置状態検出システム1000は、システム1000と略称されてもよい。図10に示すように、いくつかの実施例において、システム1000は、音声生成モジュール1010、フィードバック信号生成モジュール1020、フィードバック分析モジュール1030、及び信号処理モジュール1040を含む。
【0135】
音声生成モジュール1010は、信号処理ユニットにより生成された第1の信号に基づいて第3の音声を生成することができる。いくつかの実施例において、音声生成モジュール1010は、骨伝導スピーカーであってもよく、骨伝導スピーカーの一部であってもよい。第1の信号に基づいて第3の音声を生成することに関するより多くの内容については、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0136】
フィードバック信号生成モジュール1020は、第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成することができる。いくつかの実施例において、フィードバック信号生成モジュール1020は、マイクロフォンであってもよく、マイクロフォンの一部であってもよい。フィードバック信号を生成することに関するより多くの内容については、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0137】
フィードバック分析モジュール1030は、フィードバック信号と第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置の、スピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数を決定してもよい。フィードバック分析モジュールは、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得してもよい。また、フィードバック分析モジュールは、フィードバック経路伝達関数と少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較してもよい。フィードバック経路伝達関数の決定、フィードバック経路伝達関数と少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数との比較に関するより多くの内容については、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0138】
信号処理モジュール1040は、比較結果に基づいて、骨導聴覚装置の状態を決定してもよい。骨導聴覚装置の状態の決定に関するより多くの内容については、図9における詳細な説明を参照し、ここでは説明を省略する。
【0139】
本願の他のいくつかの実施例は、コンピュータ命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、コンピュータが、記憶媒体におけるコンピュータ命令を読み取ると、コンピュータが生成した測定信号である第1の信号に基づいて第3の音声を生成することと、第3の音声を受信し、フィードバック信号を生成することと、フィードバック信号と第1の信号に基づいて、骨導聴覚装置のスピーカーからマイクロフォンに至るフィードバック経路伝達関数を決定することと、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を取得することと、フィードバック経路伝達関数と、少なくとも1つの所定のフィードバック経路伝達関数を比較することと、比較結果に基づいて、骨導聴覚装置の状態を決定することと、を実行する。
【0140】
なお、システム及びその装置/モジュールに対する以上の説明は、説明を容易にするためのものに過ぎず、本願を列挙された実施例の範囲内に限定することができない。当業者であれば、該システムの原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、様々な装置/モジュールを任意に組み合わせたり、サブシステムを形成して他の装置/モジュールに接続したりできることが理解されよう。例えば、図10において開示されたフィードバック分析モジュール1030と信号処理モジュール1040は、1つの装置(例えば、プロセッサ140)における異なるモジュールであってもよく、上記2つ以上のモジュールの機能を実現する1つのモジュールであってもよい。例えば、フィードバック分析モジュール1030と信号処理モジュール1040は、2つのモジュールであってもよく、信号分析及び信号処理の機能を同時に有する1つのモジュールであってもよい。さらに例えば、各モジュールは、それぞれ各自の記憶モジュールを有してもよい。さらに例えば、各モジュールは、1つの記憶モジュールを共用してもよい。これらのような変形は、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0141】
本願の実施例の可能な有益な効果は、(1)~(2)を含むが、これらに限定されない。(1)加速度計などの外部装置を使用せずに、骨導スピーカーの振動伝達関数を測定することができ、測定過程がより簡単で、便利であり、(2)フィードバック経路伝達関数に基づいて現在の骨導聴覚装置の状態を検出し、骨導聴覚装置の状態に基づいて対応する注意喚起をユーザに行って、ユーザに骨導聴覚装置の状態を知らせるか又は調整させ、それによりユーザ体験を向上させることができる。なお、実施例によって、達成可能な作用効果が異なるが、異なる実施例において、達成可能な作用効果は、以上のいずれかの1種又は複数の組み合わせであってもよく、他の任意の達成可能な作用効果であってもよい。
【0142】
以上、基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の趣旨及び範囲内にある。
【0143】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本願の様々な部分で2つ以上言及されている「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0144】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素及びシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、反対に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることが理解されよう。例えば、上述したシステムコンポーネントは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又は移動装置に説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0145】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。むしろ、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴より少ない場合がある。
【0146】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0147】
100 伝達関数測定システム(システム)
110 検出器
120 聴覚装置
121 ハウジング
122 骨伝導スピーカー
130 データベース
140 プロセッサ
141 測定信号生成ユニット
142 フィードバック経路計算ユニット
300 振動伝達関数取得システム(システム)
310 測定音声生成モジュール
320 処理モジュール
1000 骨導聴覚装置状態検出システム(システム)
1010 音声生成モジュール
1020 フィードバック信号生成モジュール
1030 フィードバック分析モジュール
1040 信号処理モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10