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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/28 20060101AFI20240125BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20240125BHJP
   B60T 13/20 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F16D65/28
B60T13/138 A
B60T13/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023156234
(22)【出願日】2023-09-21
【審査請求日】2023-09-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518159348
【氏名又は名称】松下 富士登
(74)【代理人】
【識別番号】100129573
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博正
(72)【発明者】
【氏名】松下 富士登
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-224460(JP,A)
【文献】特開2001-012402(JP,A)
【文献】特開2003-314598(JP,A)
【文献】特開2005-233308(JP,A)
【文献】特開2016-43788(JP,A)
【文献】特開2023-054633(JP,A)
【文献】特許第6513867(JP,B1)
【文献】米国特許第05015040(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0096418(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109185366(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110513410(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0053925(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第01195538(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02767727(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/14 -65/76
B60T 13/138-13/20
F16D 55/02 -55/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクブレーキ用の1つのブレーキキャリパーであって、充填されているブレーキフルードによりブレーキパッドをブレーキディスクに押圧するブレーキキャリパーと、前記ブレーキフルードに圧力を加えて、前記ブレーキフルードを前記ブレーキキャリパーに送り込むか、または前記ブレーキキャリパーから前記ブレーキフルードを吸い込む1つの駆動装置と、前記ブレーキフルードの圧力を伝達するように前記ブレーキフルードを通して前記ブレーキキャリパーおよび前記駆動装置を接続する1つまたは複数のホースとを含むブレーキシステムにおいて、
前記駆動装置には、
前記ブレーキフルードが充填されている所定の内容積の空洞状の格納部が形成されている容器と、
前記格納部に出入りして、前記格納部の内容積を変化させる第1の内容積変化手段と、
前記格納部に出入りするように前記第1の内容積変化手段を電動により駆動する第1の駆動手段と
前記格納部に出入りして、前記格納部の内容積を変化させる第2の内容積変化手段と、
前記格納部に出入りするように前記第2の内容積変化手段を電動により駆動する第2の駆動手段と
が設けられ、
前記第2の内容積変化手段の断面積であって、前記格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積は、前記第1の内容積変化手段の断面の断面積であって、前記第1の内容積変化手段が前記格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされていて、
前記ブレーキフルードは、前記駆動装置、前記ブレーキキャリパーおよび前記ホースで封止され、外部と隔絶されている
ブレーキシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキシステムにおいて、
前記第1の内容積変化手段および前記第1の駆動手段は、前記ブレーキパッドと前記ブレーキディスクとの隙間の調整に用いられる
ブレーキシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のブレーキシステムにおいて、
前記第2の内容積変化手段および前記第2の駆動手段は、制動に用いられる
ブレーキシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のブレーキシステムにおいて、
前記第1の内容積変化手段は、前記第2の内容積変化手段および第2の駆動手段を内蔵している
ブレーキシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のブレーキシステムにおいて、
前記駆動装置には、
前記格納部に出入りして、前記格納部の内容積を変化させる第3の内容積変化手段と、
前記格納部に出入りするように前記第3の内容積変化手段を電動により駆動する第3の駆動手段と
がさらに設けられ、
前記第3の内容積変化手段の断面積であって、前記格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積は、前記第2の内容積変化手段の断面の断面積であって、前記第2の内容積変化手段が前記格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている
ブレーキシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のブレーキシステムにおいて、
前記第3の内容積変化手段および前記第3の駆動手段は、アンチロックブレーキシステム、電子制御ブレーキシステム、トラクションコントロールシステムまたは横滑り防止装置における制動力の制御に用いられる
ブレーキシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のブレーキシステムにおいて、
前記駆動装置に、前記ホースの端部のうち、前記駆動装置側の端部に、前記格納部から前記ホースへの前記ブレーキフルードの流入を止める第1の弁および前記ホースから前記格納部への前記ブレーキフルードの流出を止める第2の弁がさらに設けられているブレーキシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のブレーキシステムにおいて、
前記駆動装置の前記格納部に、前記第1の弁から前記格納部に流出する前記ブレーキフルードと前記格納部から前記第2の弁に流入する前記ブレーキフルードとを仕切る仕切りがさらに設けられているブレーキシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のブレーキシステムにおいて、
前記ホースが2本であり、
前記駆動装置に、
2本の前記ホースのうちの一方の前記ホースの端部のうち、前記駆動装置側の端部に、前記格納部から一方の前記ホースへの前記ブレーキフルードの流入を止める第1の弁がさらに設けられていて、
2本の前記ホースのうちの他方の前記ホースの端部のうち、前記駆動装置側の端部に、他方の前記ホースから前記格納部への前記ブレーキフルードの流出を止める第2の弁がさらに設けられている
ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキシステムに関し、特に、ディスクブレーキ用のブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車などの車両用のブレーキとして、ディスクブレーキが広く採用されている。
【0003】
急制動時や滑り易い路面での制動時に車輪のスリップ状況を感知してブレーキ液(以下、ブレーキフルードとも称する。)の圧力を制御し、車輪のロックにより発生するスリップを防止して移動時における方向安定性及び操縦性の担保と制動性の向上とを図るブレーキシステムが車両に採用されている。すなわち、車輪速センサの信号により車輪速(回転速度)が検出され、車輪の回転状況が検知し、車輪のスリップ状況が計測または予測され、車輪がロックされないように油圧系統が制御される。油圧系統制御装置として、ブレーキフルードの圧力の制御を電動モータによりピストンを駆動して行なうモータ直動式制御装置がある。
【0004】
例えば、車輪減速度、車輪滑り、滑りの積分値及び車両減速度の関数である信号を加算し、その和が不安定限界値に達した時圧力低下パルスを発生するものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
車輪減速度を測定し1つの車輪のみが現速度しきい値を下回った時、これに喚起されての制動開始を阻止する為に、車輪の制動開始閾値を上昇させ、これにより走行路による外乱要因を選別する。
【0006】
車輪が回転している状態からブレーキをかけて車輪が完全にロックし、車両が停止するまでに車輪と路面の間で起こるスリップ率は変化する。また、路面と車輪との(タイヤとの)摩擦係数が一定の(理想の)数値となるようブレーキ液圧を制御する。すなわちスリップ率が理想スリップ率に到達するまでブレーキ液圧を増圧し、理想スリップ率を超えるとブレーキ液圧を減圧させ摩擦係数の最大値を保持して制動距離の短縮を促すとともに横滑りの摩擦係数の高い範囲で車両の安定性、操縦性を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第3841977号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、自動車の制御、すなわち減速、タイヤの空転、横滑りなどの車両の挙動を制御、実行する方法は近代の自動車においては一般的に装備されているが、通常車輪のブレーキキャリパー内のブレーキフルードをABS(Anti-lock Brake System)アクチュエータ内のポンプがマスターシリンダー内に汲み戻し、液圧の制御を行いこれらの制御を行なっている。前後輪連動の2チャンネルタイプや、G(加速度)センサの無い装置においては、最もグリップ力(摩擦力)の下がった車輪に他の車輪のグリップ力を合わせるため、車両全体の制動力が下がり十分な制動が出来ない。また、部品精度、経年劣化により制動力に差異が発生する。さらに、前後、左右の車輪を個別に制動可能な全輪を独立して制御できるシステムにおいても上述の通りABSアクチュエータ内のシリンダが前後左右の各制動装置のキャリパーに対しブレーキフルードを媒体として、油圧ダクト、及び油圧チューブを介し圧力を伝達する為、油圧ダクト、チューブの膨張、その他の要因により作動の遅延、遅滞を招き敏速な制御が困難である。
【0009】
近代の車両の制動装置においては単に車両を減速、停止させるだけでなく、当該制動装置を使い車両の安定制御、横滑り防止、制動分配制御、トラクションコントロールなどの制御を行う。さらに、車両の衝突時、衝突後の制御を行なう衝突安全装置も動作させているが、それらの制御には前後制動力配分制御装置、左右制動力配分装置、増圧ポンプ、増圧制御弁、アキュムレータなどを設置、制御し、油圧ダクト、及び油圧チューブを介し圧力を伝達する。そのため、油圧ダクト、チューブの膨張、その他の要因により作動の遅延、遅滞を招き敏速な制御が困難であり、その制御も煩雑である。また制御機器の増加は生産コストの増加だけでなく、車両重量の増加、保守点検の煩雑さも余儀なくされている。
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成で、より確実に制御でき、より簡単に保守できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面のブレーキシステムは、ディスクブレーキ用の1つのブレーキキャリパーであって、充填されているブレーキフルードによりブレーキパッドをブレーキディスクに押圧するブレーキキャリパーと、ブレーキフルードに圧力を加えて、ブレーキフルードをブレーキキャリパーに送り込むか、またはブレーキキャリパーからブレーキフルードを吸い込む1つの駆動装置と、ブレーキフルードの圧力を伝達するようにブレーキフルードを通してブレーキキャリパーおよび駆動装置を接続する1つまたは複数のホースとを含むブレーキシステムであって、駆動装置には、ブレーキフルードが充填されている所定の内容積の空洞状の格納部が形成されている容器と、格納部に出入りして、格納部の内容積を変化させる第1の内容積変化手段と、格納部に出入りするように第1の内容積変化手段を電動により駆動する第1の駆動手段と、格納部に出入りして、格納部の内容積を変化させる第2の内容積変化手段と、格納部に出入りするように第2の内容積変化手段を電動により駆動する第2の駆動手段とが設けられ、第2の内容積変化手段の断面積であって、格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積は、第1の内容積変化手段の断面の断面積であって、第1の内容積変化手段が格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされていて、ブレーキフルードは、駆動装置、ブレーキキャリパーおよびホースで封止され、外部と隔絶されている。
【0014】
第1の内容積変化手段および第1の駆動手段を、ブレーキパッドとブレーキディスクとの隙間の調整に用いることができる。
【0015】
第2の内容積変化手段および第2の駆動手段を、制動に用いることができる。
【0016】
第1の内容積変化手段は、第2の内容積変化手段および第2の駆動手段を内蔵することができる。
【0017】
駆動装置には、格納部に出入りして、格納部の内容積を変化させる第3の内容積変化手段と、格納部に出入りするように第3の内容積変化手段を電動により駆動する第3の駆動手段とをさらに設けることができ、第3の内容積変化手段の断面積であって、格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積は、第2の内容積変化手段の断面の断面積であって、第2の内容積変化手段が格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている。
【0018】
第3の内容積変化手段および第3の駆動手段を、アンチロックブレーキシステム、電子制御ブレーキシステム、トラクションコントロールシステムまたは横滑り防止装置における制動力の制御に用いることができる。
【0019】
駆動装置に、ホースの端部のうち、駆動装置側の端部に、格納部からホースへのブレーキフルードの流入を止める第1の弁およびホースから格納部へのブレーキフルードの流出を止める第2の弁をさらに設けることができる。
【0020】
駆動装置の格納部に、第1の弁から格納部に流出するブレーキフルードと格納部から第2の弁に流入するブレーキフルードとを仕切る仕切りをさらに設けることができる。
【0021】
ホースを2本とし、駆動装置に、2本のホースのうちの一方のホースの端部のうち、駆動装置側の端部に、格納部から一方のホースへのブレーキフルードの流入を止める第1の弁をさらに設けて、2本のホースのうちの他方のホースの端部のうち、駆動装置側の端部に、他方のホースから格納部へのブレーキフルードの流出を止める第2の弁をさらに設けることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、より簡単な構成で、より確実に制御でき、より簡単に保守できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】車両用ブレーキシステム11の構成の例を示すブロック図である。
図2】ブレーキシステム21の構成の詳細を示す断面図である。
図3】ECU22のハードウェアの構成を説明するブロック図である。
図4】ECU22がプログラムを実行することにより実現される機能の構成を示すブロック図である。
図5】ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理を説明するフローチャートである。
図6】ブレーキシステム221の構成の詳細を示す断面図である。
図7】ブレーキシステム301の構成の詳細を示す断面図である。
図8】ブレーキフルード82の入れ替えの処理を説明するフローチャートである。
図9】ブレーキシステム401の構成の詳細を示す断面図である。
図10】ブレーキシステム501の構成の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0029】
本発明の一側面のブレーキシステム(例えば、図2のブレーキシステム21)は、ディスクブレーキ用の1つのブレーキキャリパーであって、充填されているブレーキフルードによりブレーキパッドをブレーキディスクに押圧するブレーキキャリパー(例えば、図2のブレーキキャリパー42)と、ブレーキフルードに圧力を加えて、ブレーキフルードをブレーキキャリパーに送り込むか、またはブレーキキャリパーからブレーキフルードを吸い込む1つの駆動装置(例えば、図2の駆動装置41)と、ブレーキフルードの圧力を伝達するようにブレーキフルードを通してブレーキキャリパーおよび駆動装置を接続する1つまたは複数のホース(例えば、図2のホース43)とを含むブレーキシステムであって、駆動装置には、ブレーキフルードが充填されている所定の内容積の空洞状の格納部(例えば、図2の格納部81)が形成されている容器(例えば、図2の密閉収容器61)と、格納部に出入りして、格納部の内容積を変化させる第1の内容積変化手段(例えば、図2のピストン91)と、格納部に出入りするように第1の内容積変化手段を電動により駆動する第1の駆動手段(例えば、図2のアクチュエータ92)と、格納部に出入りして、格納部の内容積を変化させる第2の内容積変化手段(例えば、図2のピストン101)と、格納部に出入りするように第2の内容積変化手段を電動により駆動する第2の駆動手段(例えば、図2のアクチュエータ102)とが設けられ、第2の内容積変化手段の断面積であって、格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積は、第1の内容積変化手段の断面の断面積であって、第1の内容積変化手段が格納部に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされていて、ブレーキフルードは、駆動装置、ブレーキキャリパーおよびホースで封止され、外部と隔絶されている。
【0030】
以下、図1乃至図10を参照して、本発明の実施の形態のブレーキシステムについて説明する。
【0031】
図1は、車両用ブレーキシステム11の構成の例を示すブロック図である。図1に示す車両用ブレーキシステム11の例は、4輪の車両のそれぞれの車輪に対して設けられているブレーキディスクに制動力を発生させる。車両用ブレーキシステム11は、ブレーキシステム21-1乃至21-4、ECU(Electronic Control Unit)22、ブレーキペダルセンサ23およびセンサ24を含み構成されている。
【0032】
ブレーキシステム21-1乃至21-4は、それぞれ、車両の車輪のそれぞれに対して設けられているブレーキディスクに制動力を発生させる。ECU22は、いわゆるプロセッサ(コンピュータ)を含み構成され、ブレーキペダルセンサ23およびセンサ24並びにブレーキシステム21-1乃至21-4のそれぞれからの信号を参照して、ブレーキシステム21-1乃至21-4のそれぞれを制御および駆動する。
【0033】
ブレーキペダルセンサ23は、車両の運転者が車両用ブレーキシステム11に制動力を発生させるためにブレーキペダルを踏み込むときのブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキペダルの変位量)、ブレーキペダルを踏み込む力、踏み込まれるブレーキペダルの加速度などを検出して、検出したブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキペダルの変位量)、ブレーキペダルを踏み込む力、踏み込まれるブレーキペダルの加速度などを示す信号をECU22に供給する。
【0034】
センサ24は、1つまたは複数のセンサであり、専用のセンサ、カメラ、レーダーまたはLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)などからなり、車両の各所に設けられている。センサ24は、車両の速度、車両の外気温、大気圧、降雨の有無などの天候、車両の傾斜、車両の位置する道路の勾配、操舵角度、路面状況、車両の加速度(6軸の加速度)、それぞれの車輪の回転数などの車両の状態または路面の状態などを検出して、検出された状態を示す信号をECU22に供給する。なお、車両を制御する複数のントローラ(プロセッサ)のうち、ECU22以外のコントローラ(プロセッサ)が、ECU22に車両の状態または路面の状態などを示す信号を供給するようにしてもよい。
【0035】
ブレーキシステム21-1は、駆動装置41-1、ブレーキキャリパー42-1およびホース43-1を含み構成されている。ブレーキシステム21-1は、車両の所定の1つの車輪に対して設けられている。駆動装置41-1は、ECU22の制御および駆動により、ブレーキキャリパー42-1を駆動する。駆動装置41-1は、ブレーキフルードに圧力を加えて、ブレーキフルードをブレーキキャリパー42-1に送り込むか、またはブレーキキャリパー42-1からブレーキフルードを吸い込む。ブレーキキャリパー42-1は、駆動装置41-1により圧力を加えられたブレーキフルードによって、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付けて、制動力を発生させる。すなわち、ブレーキキャリパー42-1は、ディスクブレーキ用のブレーキキャリパーであって、充填されているブレーキフルードによりブレーキパッドをブレーキディスクに押圧する。ホース43-1は、管であり、ブレーキフルードを通す。ホース43-1は、いわゆる、ブレーキホースであり、駆動装置41-1とブレーキキャリパー42-1とを繋ぐ。すなわち、ホース43-1は、ブレーキフルードの圧力を伝達するようにブレーキフルードを通してブレーキキャリパー42-1および駆動装置41-1を接続する。
【0036】
ECU22は、ECU22と駆動装置41-1とを接続する電線であるケーブル31-1を介して、駆動装置41-1を制御し、駆動する。ブレーキキャリパー42-1は、ECU22とブレーキキャリパー42-1とを接続する電線であるケーブル32-1を介して、ブレーキキャリパー42-1に内蔵されているセンサ(後述する)からの、ブレーキキャリパー42-1の状態を示す信号をECU22に供給する。
【0037】
同様に、ブレーキシステム21-2乃至21-4は、それぞれ、駆動装置41-2乃至41-4のそれぞれ、ブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれ、およびホース43-2乃至ホース43-4のそれぞれを含み構成されている。ブレーキシステム乃至21-4は、それぞれ、車両の所定の1つの車輪のそれぞれに対して設けられている。
【0038】
駆動装置41-2乃至41-4は、それぞれ、ECU22の制御および駆動により、ブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれを駆動する。駆動装置41-2乃至41-4は、ブレーキフルードに圧力を加えて、ブレーキフルードをブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれに送り込むか、またはブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれからブレーキフルードを吸い込む。ブレーキキャリパー42-2乃至42-4は、それぞれ、駆動装置41-2乃至41-4のそれぞれにより圧力を加えられたブレーキフルードによって、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付けて、制動力を発生させる。すなわち、ブレーキキャリパー42-2乃至42-4は、それぞれ、ディスクブレーキ用のブレーキキャリパーであって、充填されているブレーキフルードによりブレーキパッドをブレーキディスクに押圧する。ホース43-2乃至ホース43-4は、それぞれ、管であり、ブレーキフルードを通す。ホース43-2乃至ホース43-4は、それぞれ、いわゆる、ブレーキホースであり、駆動装置41-2乃至41-4のそれぞれとブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれとを繋ぐ。すなわち、ホース43-2乃至ホース43-4は、それぞれ、ブレーキフルードの圧力を伝達するようにブレーキフルードを通してブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれおよび駆動装置41-2乃至41-4のそれぞれを接続する。
【0039】
ECU22は、ECU22と駆動装置41-2乃至41-4のそれぞれとを接続する電線であるケーブル31-2乃至31-4のそれぞれを介して、駆動装置41-2乃至41-4のそれぞれを制御し、駆動する。ブレーキキャリパー42-2乃至42-4は、それぞれ、ECU22とブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれとを接続する電線であるケーブル32-2乃至32-4のそれぞれを介して、ブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれに内蔵されているセンサ(後述する)からの、ブレーキキャリパー42-2乃至42-4のそれぞれの状態を示す信号をECU22に供給する。
【0040】
以下、ブレーキシステム21-1乃至21-4を個々に区別する必要がない場合、単に、ブレーキシステム21と称する。また、以下、駆動装置41-1乃至41-4を個々に区別する必要がない場合、単に、駆動装置41と称する。以下、ブレーキキャリパー42-1乃至42-4を個々に区別する必要がない場合、単に、ブレーキキャリパー42と称する。さらに、以下、ホース43-1乃至ホース43-4を個々に区別する必要がない場合、単に、ホース43と称する。また、以下、ケーブル31-1乃至31-4を個々に区別する必要がない場合、単に、ケーブル31と称する。以下、ケーブル32-1乃至32-4を個々に区別する必要がない場合、単に、ケーブル32と称する。
【0041】
図2は、ブレーキシステムの一実施の形態の例であるブレーキシステム21の構成の詳細を示す断面図である。ブレーキシステム21は、駆動装置41、ブレーキキャリパー42およびホース43含み構成されている。駆動装置41は、密閉収容器61、隙間調整器62および制動圧発生器63を含み構成されている。密閉収容器61は、接続されているホース43を除いて、ブレーキフルード82を密閉して収容する。すなわち、密閉収容器61に収容されているブレーキフルード82は、ホース43からのみ密閉収容器61内に出入りする。密閉収容器61は、高い圧力に耐えられる金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。密閉収容器61には、ブレーキフルード82が充填されている所定の内容積の空洞状の格納部81が形成されている。密閉収容器61の格納部81の容積は、ブレーキキャリパー42のシリンダ141(後述する)の容積より大きくされている。密閉収容器61の外形または格納部81の形状は、所望の形状とすることができる。
【0042】
ブレーキフルード82は、ブレーキオイルなどとも称される、格納部42、ホース43およびブレーキキャリパー42のシリンダ141(後述する)に充填される液体である。例えば、ブレーキフルード82は、ポリエチレングリコールモノエーテルが主成分であるグリコール系の液体またはジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーン系の液体などである。
【0043】
隙間調整器62は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、隙間調整器62の自身の容積が大きくなったり、小さくなったりすることで、密閉収容器61の格納部81の実質的な容積を変化させることで、密閉収容器61の格納部81に収納されているブレーキフルード82に圧力を加えて、ホース43を通じて、ブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはブレーキキャリパー42からブレーキフルード82を吸い込む。
【0044】
ブレーキシステム21では、ブレーキパッド133をブレーキキャリパー42に設置されたピストン132をブレーキディスク124に押圧する事で、その摩擦により制動力を発生させる。その結果、ブレーキパッド133には一定の摩耗が発生する。ブレーキパッド133の摩耗すると、ブレーキディスク124を押圧するには、ピストン132は、ブレーキパッド133をブレーキディスク124により近い側に移動させる必要が生じる。ピストン132の位置移動に伴い、ブレーキキャリパー42のシリンダ141内のブレーキフルード82の体積は増加する。従って、ブレーキフルード82の増加分を補正するために、ブレーキキャリパー42のシリンダ141内のブレーキフルード82を補填させる必要がある。
【0045】
ブレーキシステム21においては、図2に示されるように、ブレーキフルード82は、駆動装置41、ブレーキキャリパー42およびホース43で封止され、外部と隔絶されている。従って、外部と隔絶され、封止されているブレーキシステム21内に保留されている、ブレーキフルード82の容量は一定である。上述の通り、ブレーキパッド133の摩耗に伴う、ブレーキキャリパー42のシリンダ141内のブレーキフルード82の体積の増加を補うために、駆動装置41に隙間調整器62が設けられている。
【0046】
隙間調整器62は、ピストン91、アクチュエータ92およびフレーム93を含み構成されている。ピストン91は、密閉収容器61の格納部81に出入りする。ピストン91は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。例えば、ピストン91は、鋼材により円筒状に形成されている。例えば、ピストン91は、鋼材により、格納部81側が半球状の筒状に形成されている。なお、ピストン91の形状は、角柱状、錘状、球状、半球状または長球状など所望の形状とすることができる。
【0047】
アクチュエータ92は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、ピストン91を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、電動により駆動する。言い換えれば、アクチュエータ92は、ピストン91を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、変位させる。例えば、アクチュエータ92は、直線動アクチュエータである。すなわち、アクチュエータ92は、ピストン91を直線的に変位させて格納部81に出入りさせる。例えば、アクチュエータ92は、電動機(モーター)およびボールねじからなり、ピストン91を駆動する。また、例えば、アクチュエータ92は、電動機(モーター)およびラックアンドピニオンからなり、ピストン91を駆動する。
【0048】
フレーム93は、ピストン91およびアクチュエータ92を支える。フレーム93は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。
【0049】
制動圧発生器63は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、制動圧発生器63の自身の容積が大きくなったり、小さくなったりすることで、密閉収容器61の格納部81の実質的な容積を変化させることで、密閉収容器61の格納部81に収納されているブレーキフルード82に圧力を加えて、ホース43を通じて、ブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはブレーキキャリパー42からブレーキフルード82を吸い込む。
【0050】
制動圧発生器63は、ピストン101、アクチュエータ102およびフレーム103を含み構成されている。ピストン101は、密閉収容器61の格納部81に出入りする。ピストン101は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。例えば、ピストン101は、鋼材により円筒状に形成されている。例えば、ピストン101は、鋼材により、格納部81側が半球状の筒状に形成されている。なお、ピストン101の形状は、角柱状、錘状、球状、半球状または長球状など所望の形状とすることができる。
【0051】
ピストン101の容積は、ピストン91の容積に比較して小さい容積とされている。また、ピストン101の断面積であって、格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積が、ピストン91の断面の断面積であって、ピストン91が格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている。この場合、例えば、断面積とは、最大の断面積を言う。また、例えば、断面積とは、ピストン91またはピストン101のそれぞれが、所定の長さ(例えば、それぞれの動作の基準位置)だけフレーム93またはフレーム103から突出した位置における断面積を言う。
【0052】
このようにすることで、ピストン91が変位することで、駆動装置41から、より多くのブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはブレーキキャリパー42からより多くのブレーキフルード82を駆動装置41に吸い込むことができる。また、ピストン101が変位することで、ブレーキキャリパー42のピストン132により高い圧力を加えることができる。
【0053】
アクチュエータ102は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、ピストン101を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、電動により駆動する。言い換えれば、アクチュエータ102は、ピストン101を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、変位させる。例えば、アクチュエータ102は、直線動アクチュエータである。すなわち、アクチュエータ102は、ピストン101を直線的に変位させて格納部81に出入りさせる。例えば、アクチュエータ102は、電動機(モーター)およびボールねじからなり、ピストン101を駆動する。また、例えば、アクチュエータ102は、電動機(モーター)およびラックアンドピニオンからなり、ピストン101を駆動する。
【0054】
フレーム103は、ピストン101およびアクチュエータ102を支える。フレーム103は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。
【0055】
なお、制動圧発生器63は、隙間調整器62と干渉しないように、密閉収容器61の格納部81内に配置されている。すなわち、隙間調整器62および制動圧発生器63は、それぞれ独立して、ピストン91およびピストン101のそれぞれを密閉収容器61の格納部81内に出し入れさせる。
【0056】
ブレーキキャリパー42は、車両の制動装置として、車輪のそれぞれに設けられるディスクブレーキ用のブレーキキャリパーである。ブレーキキャリパー42は、マウンティングブラケット122によって、車両の車体側に固定される。より詳細には、ブレーキキャリパー42は、マウンティングブラケット122のスライドピン123により、スライドピン123の長手方向に変位可能にマウンティングブラケット122に支持されている、いわゆるフローティングタイプ(浮動型/片押し型)ディスクブレーキのキャリパーである。
【0057】
ブレーキキャリパー42は、ブレーキディスク(ローター)124を挟み込み、摩擦力を発生させて、ブレーキディスク124の回転に対して抵抗を発生させる。ブレーキディスク124は、ハブ125により、車両に対して回転自在に軸支される。ハブ125には、タイヤ(図示せず)が装着されているホイール126が固定されている。すなわち、ブレーキディスク124は、回転方向について、ホイール126に対して固定されている。ブレーキディスク124の回転に対して発生させられた抵抗は、ホイール126およびタイヤに伝達され、これにより、車両に制動力が発生することになる。
【0058】
ブレーキキャリパー42は、シリンダボディ131、ピストン132、ブレーキパッド133およびセンサ134を含み構成される。なお、ピストンシールまたはピストンブーツ、ピンブーツ、パッドクリップ、シムなどについては説明を省略する。
【0059】
シリンダボディ131は、ピストン132、ブレーキパッド133およびセンサ134を支える。シリンダボディ131は、ピストン132、ブレーキパッド133、ブレーキフルード82およびセンサ134に圧力または力が加わった状態でも、より変形が少なくなるよう、機械的に高い剛性を有するように形成されている。例えば、シリンダボディ131は、アルミニウム合金や鉄などの金属材料により形成されている。
【0060】
シリンダボディ131は、ピストン132を変位可能に格納する。また、シリンダボディ131は、ピストン132が変位した場合、ピストン132に合わせてブレーキパッド133も変位するように、ブレーキパッド133を変位可能に支える。
【0061】
シリンダボディ131には、シリンダ141が形成されている。シリンダ141は、ピストン132の外径に対応した内径の円筒状に形成されている。シリンダ141の内径とピストン132の外径とが対応しているので、ブレーキフルード82に圧力が加えられた場合でもブレーキフルード82は漏れない。
【0062】
ピストン132は、いわゆるキャリパーピストンであり、円柱状の外形に形成されている。例えば、ピストン132は、内部に底面方向に閉じる節が設けられている中空の円柱状に形成されている。
【0063】
ブレーキパッド133は、摩擦部材であり、ピストン132の押圧によりブレーキディスク124の両面を挟み込み、摩擦力を発生させる。
【0064】
センサ134は、シリンダボディ131に設けられている。例えば、センサ134は、シリンダボディ131のシリンダ141に接するように設けられている。センサ134は、圧電式センサなどからなり、ブレーキフルード82の圧力を検出する。センサ134は、ケーブル32を介してブレーキフルード82の圧力を示す信号をECU22に供給する。
【0065】
なお、センサ134は、磁気センサなどよりなり、ピストン132の位置を検出するようにしてもよい。この場合、センサ134は、ケーブル32を介してピストン36の位置を示す信号をECU22に供給する。また、センサ134は、サーミスタなどからなり、ブレーキフルード82の温度を検出するようにしてもよい。この場合、センサ134は、ケーブル32を介してブレーキフルード82の温度を示す信号をECU22に供給する。
【0066】
また、センサ134として、ピストン132の位置を検出するセンサ、ブレーキフルード82の圧力を検出するセンサおよびブレーキフルード82の温度を検出するセンサをシリンダボディ131にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0067】
より詳細には、ホース43は、駆動装置41の格納部81およびシリンダボディ131のシリンダ141を繋ぐ。
【0068】
次に、ECU22のハードウェアの構成を説明する。図3は、ECU22のハードウェアの構成を説明するブロック図である。ECU22は、いわゆるコンピュータである。
【0069】
ECU22において、CPU(Central Processing Unit)181,ROM(Read Only Memory)182,RAM(Random Access Memory)183は、バス184により相互に接続されている。
【0070】
バス184には、さらに、入出力インタフェース185が接続されている。入出力インタフェース185には、ブレーキペダルセンサ23、センサ24、ブレーキキャリパー42-1乃至42-4からの信号を入力するための入力部186、駆動装置41-1乃至41-4を駆動する駆動部187、不揮発性のメモリなどよりなる記憶部188、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部189が接続されている。
【0071】
以上のように構成されるECU22(コンピュータ)では、CPU181が、例えば、記憶部188に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース185及びバス184を介して、RAM183にロードして実行することにより、後述する一連の処理が行われる。
【0072】
ECU22(CPU181)が実行するプログラムは、例えば、半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディアに記憶して、または、通信部189を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体から提供される。
【0073】
また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部189で受信し、記憶部188に記録することで、コンピュータにインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM182や記憶部188にあらかじめ記憶しておくことで、コンピュータにあらかじめインストールしておくことができる。
【0074】
すなわち、ECU22(コンピュータ)では、インストールされたプログラムを実行することにより、後述する機能が実現される。
【0075】
次に、プログラムを実行するECU22の機能について説明する。図4は、コンピュータであるECU22がプログラムを実行することにより実現される機能の構成を示すブロック図である。ECU22がプログラムを実行することにより、隙間調整制御部201、制動力発生制御部202、制御力発生制御部203およびフルード入れ替え制御部204が実現される。隙間調整制御部201は、駆動装置41を駆動することで、ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間が適切になるように、ピストン132の位置を調整する。制動力発生制御部202は、駆動装置41を駆動することで、車両の停止または減速のためにブレーキキャリパー42に制動力を発生させる。より詳細には、制動力発生制御部202は、駆動部187に、駆動装置41の制動圧発生器63のアクチュエータ92を駆動させて、車両の停止または減速のためにブレーキキャリパー42に制動力を発生させる。制御力発生制御部203は、駆動装置41を駆動することで、車両の姿勢の制御のため、車両の発進または加速するときの車輪の空転を防止するため、または制動時に車輪のロックを防止するために、ブレーキキャリパー42に制動力を発生させる。フルード入れ替え制御部204は、駆動装置41を駆動することで、ブレーキキャリパー42に充填されているブレーキフルード82を入れ替える。または、駆動装置41を駆動することで、駆動装置41、ブレーキキャリパー42およびホース43に充填されているブレーキフルード82を循環させる。
【0076】
次に、ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理を説明する。ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理は、車両の始動時または車両の運転の終了時などに実行される。図5は、ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理を説明するフローチャートである。ステップS21において、隙間調整制御部201は、駆動部187に、駆動装置41の制動圧発生器63のアクチュエータ102を駆動させて、制動圧発生器63のピストン101を基準位置に変位させる。ここで、ピストン101を基準位置は、変位させられるピストン101の初期位置である。例えば、ピストン101を基準位置は、ピストン101の変位できる最大幅の中間の位置とされる。例えば、ピストン101を基準位置は、ピストン101がアクチュエータ102側に最も引き込まれた位置とされる。
【0077】
ステップS22において、隙間調整制御部201は、駆動部187に、駆動装置41の制動圧発生器63のアクチュエータ92を駆動させて、格納部81側への隙間調整器62のピストン91の突出量を増やすように隙間調整器62のピストン91の変位を続けさせる。すなわち、ステップS22において、隙間調整制御部201は、ピストン91を格納部81に入らせるように変位させる。言い換えれば、ステップS22において、ピストン91は、格納部81側に徐々に突出する。
【0078】
ステップS23において、隙間調整制御部201は、ブレーキキャリパー42のセンサ134であって、ブレーキフルード82の圧力を検出するセンサ134からの信号を入力部186から取得して、ブレーキフルード82の圧力を検出する。
【0079】
ステップS24において、隙間調整制御部201は、ステップS23で検出されたブレーキフルード82の圧力を参照して、所定の閾値を超える圧力がブレーキフルード82に発生したか否かを判定する。ステップS24において、所定の閾値を超える圧力がブレーキフルード82に発生していないと判定された場合、手続きはステップS23に戻り、上述した手続きが繰り返される。ステップS24において、所定の閾値を超える圧力がブレーキフルード82に発生したと判定された場合、ブレーキパッド133がブレーキディスク124に接触した状態で押圧されているので、手続きはステップS25に進み、隙間調整制御部201は、駆動部187に、駆動装置41のアクチュエータ92を駆動させて、隙間調整器62のピストン91の変位を停止させる。
【0080】
ステップS26において、隙間調整制御部201は、駆動部187に、駆動装置41の制動圧発生器63のアクチュエータ92を駆動させて、格納部81側への隙間調整器62のピストン91の突出量を減らすように隙間調整器62のピストン91の変位を続けさせる。すなわち、ステップS26において、隙間調整制御部201は、ピストン91を格納部81から出るように変位させる。言い換えれば、ステップS26において、ピストン91は、格納部81から徐々に引っ込む。
【0081】
ステップS27において、隙間調整制御部201は、ブレーキキャリパー42のセンサ134であって、ブレーキフルード82の圧力を検出するセンサ134からの信号を入力部186から取得して、ブレーキフルード82の圧力を検出する。
【0082】
ステップS28において、隙間調整制御部201は、ステップS23で検出されたブレーキフルード82の圧力を参照して、ブレーキフルード82の圧力がゼロになったか否かを判定する。ステップS28において、ブレーキフルード82の圧力がゼロになっていないと判定された場合、手続きはステップS27に戻り、上述した手続きが繰り返される。ステップS28において、ブレーキフルード82の圧力がゼロになったと判定された場合、ブレーキパッド133がブレーキディスク124を押圧する力がゼロになったので、手続きはステップS29に進み、隙間調整制御部201は、駆動部187に、駆動装置41の制動圧発生器63のアクチュエータ92を駆動させて、隙間調整器62のピストン91の変位を停止させる。
【0083】
ステップS30において、隙間調整制御部201は、駆動部187に、駆動装置41の制動圧発生器63のアクチュエータ92を駆動させて、格納部81側への隙間調整器62のピストン91の突出量の容積を所定の容積だけ減らすように、隙間調整器62のピストン91を変位させ、ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理は終了する。
【0084】
ステップS30において、隙間調整制御部201は、駆動部187に、駆動装置41の制動圧発生器63のアクチュエータ92を駆動させて、格納部81側への隙間調整器62のピストン91の突出量の容積を所定の容積だけ減らすように、隙間調整器62のピストン91を変位させ、ブレーキキャリパー42において、ブレーキパッド133とブレーキディスク124との引きずりを回避できる位置まで所定の距離だけピストン132をシリンダ141側に変位させる。
【0085】
なお、ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理は、前回の隙間の調整の処理の実行から所定の時間が経過した場合、または所定の距離を走行した場合、所定の回数制動を行った場合、または車両の運転者からの手動での実行指令に応じて実行する事が可能である。
【0086】
また、ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理は、制動圧発生器63がブレーキキャリパー42に制動力を発生させている場合、ピストン132の位置を検出するセンサ134にピストン132の位置を検出させて、ピストン101の位置およびピストン132の位置から、隙間調整器62にブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整をさせるようにしてもよい。
【0087】
さらに、ブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理の後、隙間調整制御部201は、駆動部187から、制動圧発生器63のアクチュエータ92を通して、隙間調整器62のピストン91の位置を検出することで、ブレーキパッド133の摩耗の程度(ブレーキパッド133のブレーキライニングの厚さ)をより高い精度で検知することができる。これにより、ブレーキパッド133の交換を促す表示などを行うことができる。
【0088】
次に、図6は、ブレーキシステムの一実施の形態の他の例であるブレーキシステム221の構成の詳細を示す断面図である。ブレーキシステム221は、駆動装置231、ブレーキキャリパー42およびホース43含み構成されている。駆動装置231は、密閉収容器61、隙間調整器62、制動圧発生器63および制御圧発生器241を含み構成されている。ブレーキシステム221を構成する要素のうち、ブレーキシステム21を構成する要素と同様の要素には、同一の符号を付してありその説明は省略する。
【0089】
制御圧発生器241は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、制御圧発生器241の自身の容積が大きくなったり、小さくなったりすることで、密閉収容器61の格納部81の実質的な容積を変化させることで、密閉収容器61の格納部81に収納されているブレーキフルード82に圧力を加えて、ホース43を通じて、ブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはブレーキキャリパー42からブレーキフルード82を吸い込む。
【0090】
制御圧発生器241は、アンチロックブレーキシステム、電子制御ブレーキシステム、トラクションコントロールシステムまたは横滑り防止装置における制動力の制御に用いられる。ブレーキシステム221においては、収納されているブレーキフルード82の量をより少なくして、ブレーキフルード82が収納されている部分の剛性をより高くすることができるので、アンチロックブレーキシステム、電子制御ブレーキシステム、トラクションコントロールシステムまたは横滑り防止装置における制動力の制御の応答性をより高くして、制動力の制御の幅をより広くすることができる。また、ブレーキシステム221においては、他の車輪の制動力の変動に影響を受けることなく、車輪毎に制動力を制御できる。例えば、ブレーキシステム221においては、制御圧発生器241により、制動時に、ブレーキフルード82に能動的に脈動を発生させて、車両の姿勢や制動力の発生の状態を検出して、より強い制動力をより安全に発生させて、より短い距離で減速または停止させることができる。
【0091】
この場合、ブレーキペダルセンサ23からブレーキペダルの踏み込み量、ブレーキペダルを踏み込む力、踏み込まれるブレーキペダルの加速度などを取得し、センサ24から車両の速度、車両の外気温、大気圧、降雨の有無などの天候、車両の傾斜、車両の位置する道路の勾配、操舵角度、路面状況、車両の加速度(6軸の加速度)、それぞれの車輪の回転数を取得して、これらの情報を参照して、ECU22が制御圧発生器241に制動力の制御をさせる。さらに、ECU22は、車両を運転している運転者の特性や癖(例えば、停止時のブレーキペダルの踏み込み方や操舵しながらのブレーキペダルの踏み込み方など)などを取得して記憶し、これらを参照して制御圧発生器241に制動力の制御をさせる。すなわち、制御力発生制御部203は、駆動部187に、駆動装置231の制御圧発生器241のアクチュエータ262(後述する)を駆動させて、車両の姿勢の制御のため、車両の発進または加速するときの車輪の空転を防止するため、または制動時に車輪のロックを防止するために、ブレーキキャリパー42に制動力を発生させる。
【0092】
制御圧発生器241は、ピストン261、アクチュエータ262およびフレーム263を含み構成されている。ピストン261は、密閉収容器61の格納部81に出入りする。ピストン261は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。例えば、ピストン261は、鋼材により円筒状に形成されている。例えば、ピストン261は、鋼材により、格納部81側が半球状の筒状に形成されている。なお、ピストン261の形状は、角柱状、錘状、球状、半球状または長球状など所望の形状とすることができる。
【0093】
ピストン261の容積は、ピストン101の容積に比較して小さい容積とされている。また、ピストン261の断面積であって、格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積が、ピストン101の断面の断面積であって、ピストン101が格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている。この場合、例えば、断面積とは、最大の断面積を言う。また、例えば、断面積とは、ピストン261またはピストン101のそれぞれが、所定の長さ(例えば、それぞれの動作の基準位置)だけフレーム103またはフレーム263から突出した位置における断面積を言う。
【0094】
このようにすることで、ピストン261の重量をより小さくできるので、制御の応答性がより高くなり、ブレーキフルード82に加える圧力をより高速に変化させることができる。
【0095】
アクチュエータ262は、ピストン261を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、電動により駆動する。言い換えれば、アクチュエータ262は、ピストン261を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、変位させる。例えば、アクチュエータ262は、直線動アクチュエータである。すなわち、アクチュエータ262は、ピストン261を直線的に変位させて格納部81に出入りさせる。例えば、アクチュエータ262は、電動機(モーター)およびボールねじからなり、ピストン261を駆動する。また、例えば、アクチュエータ262は、電動機(モーター)およびラックアンドピニオンからなり、ピストン261を駆動する。
【0096】
フレーム263は、ピストン261およびアクチュエータ262を支える。フレーム263は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。
【0097】
なお、制御圧発生器241は、隙間調整器62および制動圧発生器63の両方と干渉しないように、密閉収容器61の格納部81内に配置されている。すなわち、隙間調整器62、制動圧発生器63および制御圧発生器241は、それぞれ独立して、ピストン91、ピストン101およびピストン261のそれぞれを密閉収容器61の格納部81内に出し入れさせる。
【0098】
また、アクチュエータ262は、電動機(モーター)およびボールねじまたは電動機(モーター)およびラックアンドピニオンからからなると説明したが、これに限らず、ソレノイド、カム機構またはヨーク機構などの電気機械動作を行う機構を採用することができる。
【0099】
図7は、ブレーキシステムの一実施の形態のさらに他の例であるブレーキシステム301の構成の詳細を示す断面図である。ブレーキシステム301は、駆動装置311、ブレーキキャリパー312、ホース322およびホース323含み構成されている。ブレーキシステム301を構成する要素のうち、ブレーキシステム21を構成する要素と同様の要素には、同一の符号を付してありその説明は省略する。
【0100】
駆動装置311は、密閉収容器61、隙間調整器62および制動圧発生器321を含み構成されている。密閉収容器61は、接続されているホース322およびホース323を除いて、ブレーキフルード82を密閉して収容する。すなわち、密閉収容器61に収容されているブレーキフルード82は、ホース322またはホース323からのみ密閉収容器61内に出入りする。
【0101】
ホース322およびホース323は、それぞれ、ブレーキフルード82の圧力を伝達するようにブレーキフルード82を通してブレーキキャリパー312および駆動装置311を接続する。
【0102】
ホース322の一方の端部は、駆動装置311の密閉収容器61に接続され、ホース322の他方の端部は、シリンダボディ131に形成されているシリンダ371に接続されている。例えば、ホース322の一方の端部は、制動圧発生器321のピストン341(後述する)の近傍に接続されている。ホース322の一方の端部には、弁361が設けられている。弁361は、いわゆる逆止弁(逆流防止弁)である。弁361は、ホース322からの密閉収容器61の格納部81内へのブレーキフルード82の流出を止める。ブレーキフルード82は、弁361を通じて、密閉収容器61の格納部81内からホース322に流れることができる。
【0103】
ホース323の一方の端部は、駆動装置311の密閉収容器61に接続され、ホース323の他方の端部は、シリンダボディ131に形成されているシリンダ371に接続されている。例えば、ホース323の一方の端部は、隙間調整器62のピストン91の近傍に接続されている。ホース323の一方の端部には、弁362が設けられている。弁362は、いわゆる逆止弁である。弁362は、密閉収容器61の格納部81内からホース323へのブレーキフルード82の流入を止める。ブレーキフルード82は、弁362を通じて、ホース323から密閉収容器61の格納部81内に流れることができる。
【0104】
制動圧発生器321は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、制動圧発生器321の自身の容積が大きくなったり、小さくなったりすることで、密閉収容器61の格納部81の実質的な容積を変化させることで、密閉収容器61の格納部81に収納されているブレーキフルード82に圧力を加えて、ホース322を通じて、格納部81からブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはホース323を通じて、ブレーキキャリパー42からブレーキフルード82を格納部81に吸い込む。
【0105】
制動圧発生器321は、ピストン341、アクチュエータ342およびフレーム343を含み構成されている。ピストン341は、密閉収容器61の格納部81に出入りする。ピストン341は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。例えば、ピストン341は、鋼材により円筒状に形成されている。例えば、ピストン341は、鋼材により、格納部81側が半球状の筒状に形成されている。なお、ピストン341の形状は、角柱状、錘状、球状、半球状または長球状など所望の形状とすることができる。
【0106】
ピストン341の容積は、ピストン91の容積に比較して小さい容積とされている。また、ピストン341の断面積であって、格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積が、ピストン91の断面の断面積であって、ピストン91が格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている。
【0107】
アクチュエータ342は、ピストン341を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、電動により駆動する。言い換えれば、アクチュエータ342は、ピストン341を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、変位させる。例えば、アクチュエータ342は、直線動アクチュエータである。すなわち、アクチュエータ342は、ピストン341を直線的に変位させて格納部81に出入りさせる。例えば、アクチュエータ342は、電動機(モーター)およびボールねじからなり、ピストン341を駆動する。また、例えば、アクチュエータ342は、電動機(モーター)およびラックアンドピニオンからなり、ピストン341を駆動する。
【0108】
フレーム343は、ピストン341およびアクチュエータ342を支える。フレーム343は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。
【0109】
また、フレーム343には、仕切り351が接続されるように設けられている。仕切り351は、弁362から格納部81に流出するブレーキフルード82と格納部81から弁361に流入するブレーキフルード82とを仕切る。仕切り351は、弁362から格納部81に流出するブレーキフルード82と格納部81から弁361に流入するブレーキフルード82とが格納部81内を循環するように格納部81内を仕切る。
【0110】
なお、制動圧発生器321は、隙間調整器62と干渉しないように、密閉収容器61の格納部81内に配置されている。すなわち、隙間調整器62および制動圧発生器321は、それぞれ独立して、ピストン91およびピストン341のそれぞれを密閉収容器61の格納部81内に出し入れさせる。
【0111】
シリンダボディ131には、シリンダ371が形成されている。シリンダ371は、ピストン132の外径に対応した内径の円筒状に形成されている。シリンダ371の内径とピストン132の外径とが対応しているので、ブレーキフルード82に圧力が加えられた場合でもブレーキフルード82は漏れない。
【0112】
シリンダ371内には、仕切り372が設けられている。仕切り371は、ホース322からシリンダ371に流入するブレーキフルード82とシリンダ371からホース323に流出するブレーキフルード82とを仕切る。仕切り371は、ホース322からシリンダ371に流入するブレーキフルード82とシリンダ371からホース323に流出するブレーキフルード82とがシリンダ371内を循環するようにシリンダ371内を仕切る。
【0113】
次に、ブレーキシステム301における、シリンダ371内のブレーキフルード82の入れ替えの処理を説明する。シリンダ371内のブレーキフルード82の入れ替えの処理は、車両の始動時または車両の運転の終了時などに実行される。図8は、ブレーキフルード82の入れ替えの処理を説明するフローチャートである。ステップS41において、フルード入れ替え制御部204は、駆動部187に、駆動装置311の制動圧発生器321のアクチュエータ342を駆動させて、制動圧発生器321のピストン341を最大限引き込ませる。これにより、ピストン341は、フレーム343側に引き込まれて、格納部81の容積がより大きくなる。
【0114】
ステップS42において、フルード入れ替え制御部204は、駆動装置311のアクチュエータ92を駆動する駆動部187から、ピストン91の位置を示すデータを取得して、隙間調整器62のピストン91の位置を記憶部188に記憶させる。
【0115】
ステップS43において、フルード入れ替え制御部204は、駆動部187に、駆動装置311の隙間調整器62のアクチュエータ92を駆動させて、格納部81の内容積を所定の容積だけ増加させるように、隙間調整器62のピストン91をフレーム93側に引き込ませる。これにより、ピストン91は、フレーム93側に引き込まれて、格納部81の容積がより大きくなるので、シリンダ371からホース323を通じてブレーキフルード82が格納部81に吸い込まれる。この場合、ホース322の一方の端部には、弁361が設けられていて、弁361は、ホース322からの密閉収容器61の格納部81内へのブレーキフルード82の流出を止め、また、ホース323の一方の端部には、弁362が設けられているが、ブレーキフルード82は、弁362を通じて、ホース323から密閉収容器61の格納部81内に流れることができるので、シリンダ371からホース323だけを通じてブレーキフルード82が格納部81に吸い込まれる。
【0116】
ステップS44において、フルード入れ替え制御部204は、駆動部187に、駆動装置311の隙間調整器62のアクチュエータ92を駆動させて、格納部81の内容積を所定の容積だけ現象させるように、隙間調整器62のピストン91を格納部81側に突き出させる。これにより、ピストン91は、フレーム93から突出して、格納部81の容積がより小さくなるので、格納部81からホース322を通じてブレーキフルード82がシリンダ371に送り込まれる。この場合、ホース323の一方の端部には、弁362が設けられていて、弁362は、密閉収容器61の格納部81内からホース323へのブレーキフルード82の流入を止め、また、ホース322の一方の端部には、弁361が設けられているが、ブレーキフルード82は、弁361を通じて、密閉収容器61の格納部81内からホース322に流れることができるので、格納部81からホース322だけを通じてブレーキフルード82がシリンダ371に送り込まれる。
【0117】
フレーム343には、仕切り351が接続されるように設けられていて、仕切り351が、弁362から格納部81に流出するブレーキフルード82と格納部81から弁361に流入するブレーキフルード82とを仕切るので、ブレーキフルード82が格納部81内を所定の方向に循環する。
【0118】
また、シリンダ371内には、仕切り372が設けられていて、仕切り371が、ホース322からシリンダ371に流入するブレーキフルード82とシリンダ371からホース323に流出するブレーキフルード82とを仕切るので、ブレーキフルード82がシリンダ371内を所定の方向に循環する。
【0119】
これにより、シリンダ371内のブレーキフルード82が入れ替えられることになる。
【0120】
ステップS45において、フルード入れ替え制御部204は、ステップS43およびステップS44による隙間調整器62のピストン91の変位を所定の回数繰り返したか否かを判定する。ステップS45において、隙間調整器62のピストン91の変位が所定の回数繰り返されていないと判定された場合、手続きはステップS43に戻り隙間調整器62のピストン91の変位が繰り返される。
【0121】
ステップS45において、隙間調整器62のピストン91の変位が所定の回数繰り返されたと判定された場合、手続きはステップS46に進み、フルード入れ替え制御部204は、記憶部188から隙間調整器62のピストン91の位置を読みだして、駆動部187に、駆動装置311の隙間調整器62のアクチュエータ92を駆動させて、隙間調整器62のピストン91を記憶した位置に戻す。
【0122】
ステップS47において、フルード入れ替え制御部204は、駆動部187に、駆動装置311の制動圧発生器321のアクチュエータ342を駆動させて、制動圧発生器321のピストン341を基準位置に変位させて、ブレーキフルード82の入れ替えの処理は、終了する。
【0123】
従来のディスクブレーキのブレーキフルードはブレーキパッドの消耗に伴い、ブレーキキャリパー内のブレーキフルード量の増加を補うために、リザーバより補填される。しかしながら、ブレーキキャリパー内のブレーキフルードは入れ替えまたは循環されることが無く、定期保守要領などで規定されている定期的な交換が実行されるまで、ブレーキキャリパー内に留まる。この間ブレーキフルードは、相対値で300℃を上回る、サーマルストレスにより劣化し、さらに、空気中の酸素および水分により物理的または化学的に劣化が促進される。
【0124】
ブレーキシステム21、ブレーキシステム221またはブレーキシステム301では、ブレーキフルード82は完全に外部と遮断されており、外気の混入も無いため、酸化などの化学反応による劣化は阻止されている。一方、サーマルストレスによる劣化は、近時のブレーキフルードの技術的進化に伴い、(例えばDOT6等の耐熱特性の改善等)交換期間は多少なり長期化されているが、メンテナンスフリーと言えるほどでは無い。
【0125】
そこで、ブレーキシステム301では、シリンダ371内のブレーキフルード82の入れ替えを行って、サーマルストレスによる劣化をブレーキシステム301内のブレーキフルード82の全体に分散させて、局所的な劣化を防止する。これにより、ブレーキフルード82の機能を維持したまま、寿命をより長くすることができる。ブレーキフルード82の閉鎖されたブレーキシステム301内で環流させる事で、ほぼ永久的(通常の車両の耐用年度より20年、20万km等)に保守不要とし、メンテナンスフリーを実現させるもので有る。
【0126】
なお、シリンダ371内のブレーキフルード82の入れ替えの処理は、前回の入れ替えの処理の実行から所定の時間が経過した場合、または所定の距離を走行した場合、所定の回数制動を行った場合、または車両の運転者からの手動での実行指令に応じて実行する事が可能である。
【0127】
図9は、ブレーキシステムの一実施の形態のさらに他の例であるブレーキシステム401の構成の詳細を示す断面図である。ブレーキシステム401は、駆動装置421、ブレーキキャリパー42およびホース422含み構成されている。ブレーキシステム401を構成する要素のうち、ブレーキシステム221を構成する要素と同様の要素には、同一の符号を付してありその説明は省略する。
【0128】
駆動装置421は、密閉収容器61、隙間調整器62、制動圧発生器63および制御圧発生器241を含み構成されている。密閉収容器61は、接続されているホース422を除いて、ブレーキフルード82を密閉して収容する。すなわち、密閉収容器61に収容されているブレーキフルード82は、ホース422からのみ密閉収容器61内に出入りする。
【0129】
ホースホース422は、ブレーキフルード82の圧力を伝達するようにブレーキフルード82を通してブレーキキャリパー312および駆動装置421を接続する。
【0130】
ホース422の一方の端部は、駆動装置421の密閉収容器61に接続され、ホース422の他方の端部は、シリンダボディ131に形成されているシリンダ141に接続されている。ホース422の一方の端部には、弁431および弁432が設けられている。弁431および弁432は、それぞれ、いわゆる逆止弁である。弁431および弁432は、仕切り441に接して、対向するように配置されている。
【0131】
弁431は、ホース422からの密閉収容器61の格納部81内へのブレーキフルード82の流出を止める。ブレーキフルード82は、弁431を通じて、密閉収容器61の格納部81内からホース422に流れることができる。
【0132】
弁432は、密閉収容器61の格納部81内からホース422へのブレーキフルード82の流入を止める。ブレーキフルード82は、弁432を通じて、ホース422から密閉収容器61の格納部81内に流れることができる。
【0133】
仕切り441は、弁432から格納部81に流出するブレーキフルード82と格納部81から弁431に流入するブレーキフルード82とを仕切る。仕切り441は、弁432から格納部81に流出するブレーキフルード82と格納部81から弁431に流入するブレーキフルード82とが格納部81内を循環するように格納部81内を仕切る。
【0134】
ブレーキシステム401における、シリンダ141内のブレーキフルード82の入れ替えの処理は、図8のフローチャートを参照して説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0135】
図10は、ブレーキシステムの一実施の形態のさらに他の例であるブレーキシステム501の構成の詳細を示す断面図である。ブレーキシステム501は、駆動装置511、ブレーキキャリパー42およびホース422含み構成されている。ブレーキシステム501を構成する要素のうち、ブレーキシステム401を構成する要素と同様の要素には、同一の符号を付してありその説明は省略する。
【0136】
駆動装置511は、ECU22の制御および駆動により、ブレーキキャリパー42を駆動する。駆動装置511は、ブレーキフルード82に圧力を加えて、ブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはブレーキキャリパー42からブレーキフルード82を吸い込む。
【0137】
駆動装置511は、密閉収容器61および隙間調整制動圧発生器522を含み構成されている。隙間調整制動圧発生器522は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、隙間調整制動圧発生器522の自身の容積が大きくなったり、小さくなったりすることで、密閉収容器61の格納部81の実質的な容積を変化させることで、密閉収容器61の格納部81に収納されているブレーキフルード82に圧力を加えて、ホース422を通じて、ブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはブレーキキャリパー42からブレーキフルード82を吸い込む。
【0138】
隙間調整制動圧発生器522は、ピストン531、アクチュエータ532、ピストン533、アクチュエータ534およびフレーム535を含み構成されている。ピストン531は、密閉収容器61の格納部81に出入りする。ピストン531は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。例えば、ピストン531は、鋼材により円筒状に形成されている。
【0139】
また、ピストン531は、ピストン533およびアクチュエータ534を内蔵している。ピストン533およびアクチュエータ534は、ピストン531の部分のうち、格納部81側の部分に形成されている穴の部分に格納されている。ピストン531は、ピストン533を変位可能に格納する。ピストン531は、ピストン533およびアクチュエータ534を支える。
【0140】
なお、例えば、ピストン531は、鋼材により、格納部81側が半球状の筒状に形成するようにしてもよい。また、ピストン531の形状は、角柱状、錘状、球状、半球状または長球状など所望の形状とすることができる。
【0141】
アクチュエータ532は、ECU22からケーブル31を介して供給される電力または電気信号により、ピストン531を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、電動により駆動する。言い換えれば、アクチュエータ532は、ピストン531を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、変位させる。例えば、アクチュエータ532は、直線動アクチュエータである。すなわち、アクチュエータ532は、ピストン531を直線的に変位させて格納部81に出入りさせる。例えば、アクチュエータ532は、電動機(モーター)およびボールねじからなり、ピストン531を駆動する。また、例えば、アクチュエータ532は、電動機(モーター)およびラックアンドピニオンからなり、ピストン531を駆動する。
【0142】
ピストン533は、密閉収容器61の格納部81に出入りする。ピストン533は、ピストン531に形成されている穴から格納部81に出入りする。ピストン533は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。例えば、ピストン533は、鋼材により円筒状に形成されている。例えば、ピストン533は、鋼材により、格納部81側が半球状の筒状に形成されている。なお、ピストン533の形状は、角柱状、錘状、球状、半球状または長球状など所望の形状とすることができる。
【0143】
ピストン533の容積は、ピストン531の容積に比較して小さい容積とされている。また、ピストン533の断面積であって、格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積が、ピストン531の断面の断面積であって、ピストン531が格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている。
【0144】
例えば、ピストン531およびピストン533が、それぞれ、円筒状に形成されている場合、円形とされているピストン533の底面の半径は、円形とされているピストン531の底面の半径の半分以下とされている。
【0145】
アクチュエータ534は、ピストン531に形成されている穴に固定されている。アクチュエータ534は、ピストン533を、密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、電動により駆動する。言い換えれば、アクチュエータ534は、ピストン533を、ピストン531に形成されている穴から密閉収容器61の格納部81に出入りさせるように、変位させる。例えば、アクチュエータ534は、直線動アクチュエータである。すなわち、アクチュエータ534は、ピストン533を直線的に変位させて格納部81に出入りさせる。例えば、アクチュエータ534は、電動機(モーター)およびボールねじからなり、ピストン533を駆動する。また、例えば、アクチュエータ534は、電動機(モーター)およびラックアンドピニオンからなり、ピストン533を駆動する。
【0146】
フレーム535は、ピストン531およびアクチュエータ532を支える。フレーム535は、金属、樹脂または複合材料など剛性および強度の高い材質により形成されている。
【0147】
なお、ピストン91、ピストン101、ピストン261、ピストン341、ピストン531またはピストン533に代えて、底面が扇形の柱状に形成されているローターまたは偏芯している軸を有する円柱状のカムを、アクチュエータ92、アクチュエータ102、アクチュエータ262、アクチュエータ342、アクチュエータ532またはアクチュエータ534が電動で回動させることで、ローターまたはカムが格納部81に出入りして、格納部81の内容積を変化させるようにしてもよい。また、ピストン91、ピストン101、ピストン261、ピストン341、ピストン531またはピストン533に代えて、プランジャーを設けるようにしてもよい。
【0148】
また、弁361、弁362、弁431および弁432は、それぞれ、逆止弁であると説明したが、これに限らず、電磁式開閉弁とすることもできる。この場合、弁361、弁362、弁431および弁432は、それぞれ、ECU22の制御により、制動力を発生させるときまたは制動力の発生を終わらせるときなどの動作状態またはタイミングに合わせて、適宜開閉させられる。
【0149】
なお、駆動装置41、駆動装置231、駆動装置311、駆動装置421または駆動装置511に、ピストン91、ピストン101、ピストン261、ピストン341、ピストン531またはピストン533の位置を検出するセンサ、ブレーキフルード82の圧力を検出するセンサまたはブレーキフルード82の温度を検出するセンサを設けるようにしてもよい。この場合、駆動装置41、駆動装置231、駆動装置311、駆動装置421または駆動装置511に設けられたセンサからの信号は、ケーブル31を介してECU22に供給される。
【0150】
ブレーキシステム21、ブレーキシステム221、ブレーキシステム301、ブレーキシステム401またはブレーキシステム501によれば、ブレーキパッド133が摩耗した場合、ブレーキパッド133の交換を、簡便かつ短時間に、確実に行うことができる。
【0151】
ECU22が保守点検プログラムを実行することにより、駆動部187に、隙間調整器62または隙間調整制動圧発生器522を駆動させて、格納部81の内容積を最大の容積に増加させるように、ピストン91をフレーム93側に引き込ませるかまたはピストン531をフレーム535側に引き込ませる。これにより、シリンダ141またはシリンダ371からホース323を通じてブレーキフルード82が格納部81に吸い込まれるので、ピストン132がシリンダ141またはシリンダ371に引き込まれる。そうすると、ブレーキパッド133とピストン132との間に間隙を発生させることができ、ブレーキキャリパー42またはブレーキキャリパー312から、簡単にブレーキパッド133の取り外し、また、ブレーキキャリパー42またはブレーキキャリパー312への、新たなブレーキパッド133または清掃したブレーキパッド133の挿入が可能となる。
【0152】
ブレーキキャリパー42またはブレーキキャリパー312に新たなブレーキパッド133または清掃したブレーキパッド133を挿入したのち、図5のフローチャートを参照して説明したブレーキディスク124とブレーキパッド133との隙間の調整の処理を実行することで、ブレーキパッド133の交換または清掃が完了する。
【0153】
このように、ブレーキシステム21は、1つの駆動装置41、1つのブレーキキャリパー42および1つのホース43を含み構成されている。または、ブレーキシステム301は、1つの駆動装置311、1つのブレーキキャリパー312並びにホース322およびホース323を含み構成されている。
【0154】
ブレーキシステム21における、ブレーキキャリパー42は、ディスクブレーキ124用のブレーキキャリパー42であって、充填されているブレーキフルード82によりブレーキパッド133をブレーキディスク124に押圧する。駆動装置41は、ブレーキフルード82に圧力を加えて、ブレーキフルード82をブレーキキャリパー42に送り込むか、またはブレーキキャリパー42からブレーキフルード82を吸い込む。ホース43は、ブレーキフルード82の圧力を伝達するようにブレーキフルード82を通してブレーキキャリパー42および駆動装置41を接続する。ホース322およびホース323は、ブレーキフルード82の圧力を伝達するようにブレーキフルード82を通してブレーキキャリパー312および駆動装置311を接続する。
【0155】
駆動装置41には、ブレーキフルード82が充填されている所定の内容積の空洞状の格納部81が形成されている密閉収容器61と、格納部81に出入りして、格納部81の内容積を変化させるピストン91と、格納部81に出入りするようにピストン91を電動により駆動するアクチュエータ92とが設けられている。ブレーキフルード82は、駆動装置41、ブレーキキャリパー42およびホース43で封止され、外部と隔絶されている。
【0156】
駆動装置41には、格納部81に出入りして、格納部81の内容積を変化させるピストン101と、格納部81に出入りするようにピストン101を電動により駆動するアクチュエータ102とをさらに設けることができる。ピストン101の断面積であって、格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積は、ピストン91の断面の断面積であって、ピストン91が格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている。
【0157】
ピストン91およびアクチュエータ92を、ブレーキパッド133とブレーキディスク124との隙間の調整に用いることができる。
【0158】
ピストン101およびアクチュエータ102を、制動に用いることができる。
【0159】
ピストン531は、ピストン533およびアクチュエータ534を内蔵することができる。
【0160】
駆動装置41には、格納部81に出入りして、格納部81の内容積を変化させるピストン261と、格納部81に出入りするようにピストン261を電動により駆動するアクチュエータ262とをさらに設けることができ、ピストン261の断面積であって、格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積は、ピストン101の断面の断面積であって、ピストン101が格納部81に出入りするときの変位の方向に直交する断面の断面積に比較して、小さくされている。
【0161】
ピストン261およびアクチュエータ262を、アンチロックブレーキシステム、電子制御ブレーキシステム、トラクションコントロールシステムまたは横滑り防止装置における制動力の制御に用いることができる。
【0162】
駆動装置41に、ホース422の端部のうち、駆動装置421側の端部に、格納部81からホース422へのブレーキフルード82の流入を止める弁432およびホース422から格納部81へのブレーキフルード82の流出を止める弁431をさらに設けることができる。
【0163】
駆動装置41の格納部81に、弁432から格納部81に流出するブレーキフルード82と格納部81から弁431に流入するブレーキフルード82とを仕切る仕切り441をさらに設けることができる。
【0164】
駆動装置311に、ホース323の端部のうち、駆動装置311側の端部に、格納部81からホース323へのブレーキフルード82の流入を止める弁362をさらに設けて、ホース322の端部のうち、駆動装置311側の端部に、ホース322から格納部81へのブレーキフルード82の流出を止める弁361をさらに設けることができる。
【0165】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0166】
11 車両用ブレーキシステム, 21および21-1乃至21-4,221,301,401並びに501 ブレーキシステム, 22 ECU, 23 ブレーキペダルセンサ, 24 センサ, 31および31-1乃至31-4並びに32および32-1乃至32-4 ケーブル, 41および41-1乃至41-4,231,311,421並びに511 駆動装置, 42および42-1乃至42-4並びに312 ブレーキキャリパー, 43および43-1乃至43-4,322および323並びに422 ホース, 61 密閉収容器, 62 隙間調整器, 63および321 制動圧発生器, 81 格納部, 82 ブレーキフルード, 91,101,261,341,531および533 ピストン, 92,102,262,342,532および534 アクチュエータ, 93,103,263,343,535 フレーム, 122 マウンティングブラケット, 123 スライドピン, 124 ブレーキディスク, 125 ハブ, 126 ホイール, 131 シリンダボディ, 132 ピストン, 133 ブレーキパッド, センサ, 141および371 シリンダ, 181 CPU, 182 ROM, 183 RAM, 184 バス, 185 入出力インタフェース, 186 入力部, 187 駆動部, 188 記憶部, 189 通信部, 201 隙間調整制御部, 202 制動力発生制御部, 203 制御力発生制御部, 204 フルード入れ替え制御部, 241 制御圧発生器, 351,372および441 仕切り, 361,362,431および432 弁, 522 隙間調整制動圧発生器

【要約】
【課題】より簡単な構成で、より確実に制御でき、より簡単に保守できるようにする。
【解決手段】ブレーキシステムは、1つのブレーキキャリパーと、1つの駆動装置と、1つまたは複数のホースとを含む。駆動装置には、ブレーキフルードが充填されている所定の内容積の空洞状の格納部が形成されている容器と、格納部に出入りして、格納部の内容積を変化させる内容積変化手段と、格納部に出入りするように第1の内容積変化手段を電動により駆動する駆動手段とが設けられている。ブレーキフルードは、駆動装置、ブレーキキャリパーおよびホースで封止され、外部と隔絶されている。
【選択図】図2
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