(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-24
(45)【発行日】2024-02-01
(54)【発明の名称】収集機
(51)【国際特許分類】
A63B 47/02 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A63B47/02 B
(21)【出願番号】P 2023525199
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2021020759
(87)【国際公開番号】W WO2022254558
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 賢二
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0137348(US,A1)
【文献】中国実用新案第206167802(CN,U)
【文献】中国実用新案第210186376(CN,U)
【文献】特開2020-174955(JP,A)
【文献】特開平08-276037(JP,A)
【文献】登録実用新案第3014060(JP,U)
【文献】中国実用新案第207000216(CN,U)
【文献】中国実用新案第206934647(CN,U)
【文献】中国実用新案第208877850(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の車輪を有する走行装置と、
前記走行装置を駆動させる電動式の駆動装置と、
前記駆動装置に電力を供給するバッテリと、
グラウンドの上面の収集対象物を拾い上げる収集装置と、
前記収集対象物を収容する収集容器と、を有する装置本体を備え、
前記バッテリおよび前記収集容器の少なくとも一部は、前後の前記車輪の車軸の間に配置されるとともに、
前記バッテリおよび前記収集容器の重心位置が、前側の前記車輪の上部と後側の前記車輪の上部との第一接線と、前側の前記車輪の下部と後側の前記車輪の下部との第二接線と、の間の領域に配置し
ており、
前記バッテリは、前記収集容器の内部の上部に収容され、前記バッテリおよび前記収集容器が上下方向に重なるように配置されていることを特徴とする収集機。
【請求項2】
請求項
1に記載の収集機であって、
前記収集容器の底面は、前後方向の一方側よりも他方側が下がるように傾斜し、
前記バッテリの少なくとも一部は、前記収集容器の前記底面の前記一方側の領域の上方または下方に配置されていることを特徴とする収集機。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の収集機であって、
前後一方の前記車輪の外径よりも、前後他方の前記車輪の外径が大きく形成され、
前記バッテリの少なくとも一部は、前記装置本体の側面視において、前後の前記車輪の車軸の間の中間位置よりも前後一方側に配置されていることを特徴とする収集機。
【請求項4】
請求項1
または請求項2に記載の収集機であって、
前記バッテリの少なくとも一部は、前記装置本体の側面視において、前記装置本体の最大高さの半分以下の領域に配置されていることを特徴とする収集機。
【請求項5】
請求項1から
請求項4のいずれか一項に記載の収集機であって、
前記バッテリおよび前記収集容器の少なくとも一部は、前記装置本体の平面視において、前記走行装置の左右方向の両端部よりも内側に配置されていることを特徴とする収集機。
【請求項6】
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の収集機であって、
前記収集装置の少なくとも一部は、前記走行装置の側面視において、前後の前記車輪の車軸の間に配置されていることを特徴とする収集機。
【請求項7】
請求項6に記載の収集機であって、
前記バッテリの少なくとも一部は、前記走行装置の側面視において、前記収集装置と後側の前記車輪の車軸との間に配置されていることを特徴とする収集機。
【請求項8】
請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載の収集機であって、
前記収集対象物は、ゴルフ用のボールであり、
前記収集装置は、前記ボールを拾い上げるように構成されていることを特徴とする収集機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収集機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ練習場のグラウンド上に散乱したボール(収集対象物)を回収する収集機としては、車輪を駆動させるためのモータに電力を供給するバッテリと、ボールをグラウンドから拾い上げる収集装置と、収集したボールを収容して運搬するための収集容器と、が装置本体に分散して配置されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の収集機では、収集機を構成するバッテリ、収集装置、収集容器のそれぞれが大きい重量であり、グラウンドの傾斜状態やボールの収集量によって収集機全体の重心位置が変動し易いため、走行時に安定し難いという問題がある。
また、前記した従来の収集機では、重量が大きい構成部品のひとつであるバッテリが走行方向の後方側の高い位置に配置されるため、収集機の上下方向の安定性が低いという問題もある。特に、水平に対して傾斜したグラウンドの上面で収集機を走行させたときに、収集機の姿勢が後部よりも前部が上方になると、前部がグラウンドの上面から浮き上がる可能性がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、重量バランスを良くすることができ、グラウンドの状態や収集対象物の収集量に関わらず、常に走行時の安定性を高めることができる収集機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、収集機であって、前後の車輪を有する走行装置と、前記走行装置を駆動させる電動式の駆動装置と、前記駆動装置に電力を供給するバッテリと、グラウンドの上面の収集対象物を拾い上げる収集装置と、前記収集対象物を収容する収集容器と、を有する装置本体を備えている。前記バッテリおよび前記収集容器の少なくとも一部が前後の前記車輪の車軸の間に配置されている。前記バッテリおよび前記収集容器の重心位置が、前側の前記車輪の上部と後側の前記車輪の上部との第一接線と、前側の前記車輪の下部と後側の前記車輪の下部との第二接線と、の間の領域に配置されている。前記バッテリは、前記収集容器の内部の上部に収容され、前記バッテリおよび前記収集容器が上下方向に重なるように配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の収集機では、バッテリおよび収集容器を前後の車輪の車軸の間に配置することで、前後方向の重量バランスを良くすることができる。また、本発明の収集機では、重量が大きいバッテリおよび収集容器の重心位置を装置本体の中央部に寄せることで、収集対象物の収容量の増減による重心位置の変動を抑えるとともに、装置本体を前後方向にコンパクトに構成することができる。このように、本発明の収集機では、重量バランスが良くなるため、グラウンドの状態や収集対象物の収集量の増減に関わらず、走行時の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る収集機を示した側面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る収集機を示した平面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る収集機の
参考例を示した図で、複数のバッテリを設けた構成の平面図である。
【
図4】本発明の
参考例に係る収集機を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一例である実施形態および参考例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、実施形態および参考例の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の実施形態および参考例では、本発明の収集機をゴルフ用の練習場(球技場)に適用した構成を一例として説明する。
【0010】
[第一実施形態]
第一実施形態の収集機1Aは、
図1に示すように、グラウンド2の上面を移動しながら、グラウンド2上に散乱した複数の収集対象物であるボール3を拾い上げて収容可能な車両である。
収集機1Aは、車体10と、走行装置20と、駆動装置30と、バッテリ40と、収集装置50と、収集容器60と、を有する装置本体100を備えている。
【0011】
走行装置20は、車体10の前部に設けられた前輪21(前側の車輪)と、車体10の後部に設けられた後輪22(後側の車輪)と、を備えている。第一実施形態の収集機1Aでは、前輪21の外径よりも後輪22の外径が大きく形成されている。
第一実施形態では、
図2に示すように、二つの前輪21,21が左右方向(車幅方向)に間隔を空けて配置されている。また、二つの後輪22,22が左右方向(車幅方向)に間隔を空けて配置されている。
第一実施形態では、装置本体100の平面視において、前輪21の内端H1よりも後輪22の内端H2が内側に配置されているが、前輪21の内端H1と後輪22の内端H2が同一線上に配置されていてもよく、前輪21の内端H1よりも後輪22の内端H2が外側に配置されていてもよい。
【0012】
駆動装置30は、収集機1Aの各機構を動作させるための電動式の駆動源である。第一実施形態の駆動装置30は、電動モータによって構成されている。駆動装置30は、バッテリ40から供給される電力によって駆動する。
第一実施形態の駆動装置30は、車体10の後部において左右の後輪22,22の間に配置されている。
【0013】
第一実施形態の駆動装置30は、両後輪22,22を駆動させている。駆動装置30の出力部には、両後輪22,22の車軸22aが取り付けられている。
収集機1Aは、駆動装置30によって両後輪22,22を駆動させることで、グラウンド2の上面を走行可能である。
【0014】
第一実施形態の収集機1Aは、GPS等の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)やミリ波レーダ等の位置情報に基づいて、装置本体100に搭載した制御部や、送信機による遠隔操作によって、走行装置20および駆動装置30を駆動させることで、グラウンド2の上面を移動するように構成されている。
【0015】
収集装置50は、
図1に示すように、装置本体100の側面視において、前輪21の車軸21aと後輪22の車軸22aとの間に配置されている。
なお、第一実施形態では、装置本体100の側面視において、収集装置50全体が前後の車軸21a,22aの間に配置されているが、収集装置50の一部のみを前後の車軸21a,22aの間に配置してもよい。
【0016】
収集装置50は、左右方向(車幅方向)の軸回りに回転するドラム51を備えており、ドラム51の外周部に形成された溝部によって、グラウンド2上のボール3をすくい上げるように構成されている。
【0017】
このように、収集装置50は、グラウンド2の上面を転動可能なボール3をグラウンド2の上面から拾い上げることが可能である。また、収集装置50は、水平に対して傾斜したグラウンド2の上面でもボール3を拾い上げることができる。
【0018】
収集装置50は、ボール3の収集効率を上げるために、ドラム51の直径を大型化することが一般的であり、装置本体100を構成する部品の中でも占有容積の大きい部品のひとつである。また、収集装置50では、ドラム51の複数の収集部位の全てにボール3が保持されている状態や、各収集部位の全てにボール3が保持されていない状態がある。したがって、収集装置50の重量は、ボール3を最大に保持している最大重量から、ボール3を保持していない最小重量までの間で変化する。つまり、収集装置50単体の重量の変化量は、収集装置50が収集可能なボール3の総重量に相当する。
【0019】
また、収集機1Aでは、後記する収集容器60内に最大量のボール3が収容されると、収集装置50がボール3の収集を停止するように構成されている。具体的には、収集装置50のドラム51を上昇させてグラウンド2の上面から離間させて、ドラム51がボール3に接触しないように走行させることで、収集装置50がボール3を収集しないように構成することができる。そして、収集装置50が上下方向に移動すると、装置本体100の重量バランスが変化する虞がある。
【0020】
前記したように、収集装置50には、収集したボール3の数による重量変化や、収集装置50の上下方向への移動による重心変化が生じる。このような収集装置50による装置本体100の重量バランスの変動を低減するため、収集装置50の少なくとも一部を、前後の車軸21a,22aの間に配置することが望ましい。この構成では、グラウンド2が傾斜している場合や、ボール3の収集量の増減または収集装置50の移動が生じても、収集機1Aを走行時に安定させることができる。
【0021】
収集容器60は、装置本体100の側面視において、前輪21の車軸21aと後輪22の車軸22aとの間に配置されている。
また、収集容器60は、装置本体100の側面視において、収集装置50と後輪22との間に配置されている。
【0022】
なお、第一実施形態では、装置本体100の側面視において、収集容器60全体が前後の車軸21a,22aの間に配置されているが、収集容器60の一部のみを前後の車軸21a,22aの間に配置してもよい。
【0023】
収集容器60は、複数のボール3を収容可能なタンクである。収集装置50に取り込まれたボール3は、収集装置50から収集容器60内に送り込まれる。収集容器60にはボール3を装置本体100の外部に排出する排出機構が設けられている。
【0024】
収集容器60は、内部に収容されたボール3の数によって重量が変動する。一般的な自走式の収集装置においては、できるだけ多くのボール3を収集することが望ましい。収集容器60の重量は、ボール3が収容されていない状態から、最大量のボール3が収容された状態までの範囲内で大きく変動する。このように収集容器60の重量が変化すると、収集機1Aの走行時の安定性が低下する可能性がある。
【0025】
そこで、第一実施形態の収集機1Aでは、収集容器60の少なくとも一部を、前後の車軸21a,22aの間に配置している。この構成では、収集容器60の重量が変化したとしても、装置本体100全体の重心が前後の車軸21a,22aの間に位置するため、収集機1Aが走行したときの安定性を高めることができる。
【0026】
また、収集機1Aの走行中に、前述した収集容器60の重量変化に加えて、ボール3が収集容器60内で転動することによる収集容器60の重心変化も生じる。特に、グラウンド2が傾斜している場合には、装置本体100の傾きに伴って、ボール3が収集容器60内で移動したり、複数のボール3が収集容器60の一部に偏って溜まったりすることで、装置本体100の安定性に影響を与える虞がある。
【0027】
そこで、第一実施形態の収集機1Aでは、収集容器60の底面61を、前側よりも後側が下がるように傾斜させている。このようにすると、収集容器60の底面61の傾斜によってボール3が底面61の地面に近い領域(低い領域)に集まる。そして、収集容器60内に溜まったボール3が、収集機1Aの走行中に移動するのを防止することができるため、収集容器60の重心が変化し難い。なお、収集容器60の底面61の傾斜角度は、収集機1Aの走行中に収集容器60内のボール3が移動しないように、収集機1Aの走行可能な最大傾斜角度や使用条件に応じて適宜に設定される。
【0028】
バッテリ40は、装置本体100の側面視において、前輪21の車軸21aと後輪22の車軸22aとの間に配置されている。さらに、バッテリ40は、装置本体100の側面視において、前後の車軸21a,22aの間の中間位置Pよりも後側に配置されている。
また、バッテリ40は、装置本体100の側面視において、収集装置50と後輪22の車軸22aとの間に配置されている。
【0029】
バッテリ40は、収集機1Aの作業前後で重量が変化しない。第一実施形態の収集機1Aでは、重量が大きいバッテリ40を前後の車軸21a,22aの間に配置し、かつ収集容器60などの重量が大きい部品に隣接させている。これにより、バッテリ40の重心位置が前後の車軸21a,22aの間に配置され、装置本体100が安定する。これにより、グラウンド2が傾斜している場合や、収集装置50が収集したボール3の数、収集容器60に収容されたボール3の数が変化しても、収集機1Aの走行時の安定性を高めることができる。
【0030】
なお、第一実施形態では、装置本体100の側面視において、バッテリ40全体が前後の車軸21a,22aの間に配置されているが、バッテリ40の一部のみを前後の車軸21a,22aの間に配置してもよい。
また、第一実施形態では、装置本体100の側面視において、バッテリ40全体が前後の車軸21a,22aの間の中間位置Pよりも後側に配置されているが、バッテリ40の一部のみを前後の車軸21a,22aの間の中間位置Pよりも後側に配置してもよい。
また、バッテリ40の少なくとも一部を、装置本体100の側面視において、両車軸21a,22aの間の中間位置Pよりも前側に配置してもよい。
また、第一実施形態では、装置本体100の側面視において、バッテリ40全体が収集装置50と車軸22aとの間に配置されているが、バッテリ40の一部のみを収集装置50と車軸22aとの間に配置してもよい。
【0031】
バッテリ40は、収集容器60の内部の上部に収容されており、バッテリ40と収集容器60とが上下方向に重なっている。このようにバッテリ40を配置すると、収集機1Aの車体高さを低く構成でき、車高の影響により収集機1Aの姿勢が不安定になることを抑制できる。
【0032】
また、バッテリ40は、収集容器60の底面61の前部の上方に配置されている。つまり、バッテリ40は、前側よりも後側が下がるように傾斜している底面61の前部の上方に配置されている。このようにバッテリ40を配置すると、重量および重心位置が変化しないバッテリ40が、重量変化を生じ易い収集容器60に対してバランサーの役目を果たすことになるため、収集機1A全体の重心位置の変動を低減できる。
【0033】
なお、第一実施形態では、バッテリ40が収集容器60の内部の上部に収容されているが、本発明の参考例としては、バッテリ40を収集容器60の外部に配置してもよい。
また、第一実施形態では、バッテリ40全体が収集容器60と上下方向に重なっているが、バッテリ40の一部のみが収集容器60と上下方向に重なるように構成してもよい。このように、重量変化が大きい収集容器60と、重量変化がなく重心位置が安定しているバッテリ40の少なくとも一部とを上下方向に重ねて配置することで、収集機1A全体の重心変動を抑制でき、収集機1Aの姿勢の安定性を向上させることができる。
【0034】
第一実施形態の収集機1Aでは、装置本体100の側面視において、バッテリ40および収集容器60の重心位置が、前輪21の上部と後輪22の上部との第一接線L1と、前輪21の下部と後輪22の下部との第二接線L2と、の間の領域S1に配置されている。このようにすると、グラウンド2が傾斜している場合でも、収集機1Aの走行時の安定性を高めることができるとともに、装置本体100をコンパクトに構成できる。
【0035】
なお、第一実施形態では、装置本体100の側面視において、バッテリ40および収集容器60の一部が領域S1に配置されているが、バッテリ40および収集容器60全体を領域S1に配置してもよい。このようにすると、グラウンド2に想定以上の傾斜や窪みがある場合など、仮に収集機1Aが横転した場合でも、バッテリ40および収集容器60がグラウンド2の上面に当たらないため、バッテリ40および収集容器60への衝撃を緩和して、バッテリ40および収集容器60の損傷を防止できる。
【0036】
第一実施形態の収集機1Aでは、
図2に示すように、バッテリ40および収集容器60の少なくとも一部を、装置本体100の平面視において、両前輪21,21の内端H1,H1および両後輪22,22の内端H2,H2の両方よりも内側に配置されている。この構成では、重量の大きいバッテリ40および収集容器60を、収集機1Aの進行方向に直交する幅方向の中央部に近づけて配置することができるため、収集機1Aの走行時の安定性を高めることができる。
【0037】
なお、第一実施形態では、装置本体100の平面視において、バッテリ40および収集容器60全体が両前輪21,21の内端H1,H1および両後輪22,22の内端H2,H2よりも内側に配置されているが、バッテリ40および収集容器60の一部のみを両前輪21,21の内端H1,H1および両後輪22,22の内端H2,H2よりも内側に配置してもよい。
【0038】
以上のような収集機1Aでは、
図1に示すように、バッテリ40、収集容器60および収集装置50を前後の車軸21a,22aの間に配置するとともに、バッテリ40を収集装置50と後側の車軸22aとの間に配置している。
また、第一実施形態の収集機1Aでは、バッテリ40および収集容器60の重心位置を、前輪21の上部と後輪22の上部との第一接線L1と、前輪21の下部と後輪22の下部との第二接線L2と、の間の領域S1に配置している。
このように、重量が大きいバッテリ40および収集容器60を、装置本体100の前後方向および上下方向の中央部に配置することで、装置本体100の前後方向の重量バランスを良くしている。
【0039】
第一実施形態の収集機1Aでは、バッテリ40および収集容器60を上下方向に重ねることで、収集容器60内のボール3の増減による重心位置の変動を抑えるとともに、装置本体100を前後方向にコンパクトに構成することができる。
第一実施形態の収集機1Aでは、バッテリ40および収集容器60が装置本体100の前後方向および上下方向の中央部に配置されているため、バッテリ40と収集容器60とを上下方向に重ねても、装置本体100を安定させることができる。
【0040】
第一実施形態の収集機1Aでは、
図2に示すように、バッテリ40および収集容器60を両前輪21,21の内端H1,H1および両後輪22,22の内端H2,H2の両方よりも内側に配置することで、装置本体100の左右方向の重量バランスを平衡に近づけている。
【0041】
第一実施形態の収集機1Aでは、
図1に示すように、ボール3が収集容器60の後部に多く貯留されるため、収集容器60の底面61の前側の上方にバッテリ40を配置することで、ボール3の回収作業中の収集機1Aの重量バランスを良くすることができる。
【0042】
第一実施形態の収集機1Aでは、外径の大きい後輪22にバッテリ40を近づけることで、装置本体100の安定性を高めることができる。
【0043】
このような第一実施形態の収集機1Aでは、重量バランスが良くなり、走行時の安定性が高いため、グラウンド2の上面が水平に対して傾斜している場合でも、スムーズに走行してボール3を回収できる。また、前輪21や後輪22がボール3や障害物に乗り上げた場合でも、収集機1Aが横転し難い。
【0044】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態の収集機1Aでは、
図1に示すように、前輪21の外径よりも後輪22の外径が大きく形成されているが、前輪21の外径が後輪22の外径よりも大きくてもよい。この場合には、装置本体100の側面視において、バッテリ40の少なくとも一部を両車軸21a,22aの間の中間位置Pよりも前側に配置することが好ましい。また、前輪21の外径と後輪22の外径とが同じ大きさでもよい。
【0045】
第一実施形態の収集機1Aでは、一つのバッテリ40が設けられているが、複数のバッテリ40を設けてもよい。
本発明の参考例としては、例えば、
図3に示すように、二つのバッテリ40,40をそれぞれ車体10の左右の側部に設けてもよい。この場合には、各バッテリ40,40の少なくとも一部を、装置本体100の平面視において、両前輪21,21の内端H1,H1および両後輪22,22の内端H2,H2よりも内側に配置することが好ましい。
【0046】
第一実施形態の収集機1Aでは、
図1に示すように、収集容器60の底面61が前側よりも後側が下がるように傾斜しているが、収集容器60の底面61が後側よりも前側が下がるように傾斜させてもよい。この場合には、収集容器60の底面61の後側の上方にバッテリ40を配置することが好ましい。
【0047】
第一実施形態の走行装置20は、
図2に示すように、左右の前輪21,21および左右の後輪22,22を有しているが、その構成は限定されるものではなく、例えば、無限軌道式の走行装置を用いてもよい。また、第一実施形態の走行装置20は、後輪22が駆動輪で前輪21が操舵輪であるが、後輪22が操舵輪で前輪21が駆動輪でもよい。更には、前輪21および後輪22の両方を駆動させてもよい。
【0048】
第一実施形態の収集機1Aは、
図1に示すように、ゴルフ場のグラウンド2上に散乱したボール3を収集するものであるが、本発明の収集機の収集対象物は限定されるものではなく、例えば、農地や山の斜面等のグラウンド上から果物や木の実等を拾い上げることもできる。
【0049】
[
参考例]
次に、本発明の
参考例の収集機1Bについて説明する。
参考例の収集機1Bは、
図4に示すように、第一実施形態の収集機1A(
図1参照)と略同様の構成であり、バッテリ40の上下方向の位置が異なる。
【0050】
参考例の収集機1Bでは、バッテリ40の少なくとも一部が、装置本体100の最大高さtの半分以下の領域S2に配置されている。
この構成では、重量が大きいバッテリ40が装置本体100の低い位置に配置され、装置本体100の重心が低くなるため、収集機1Bの安定性を高めることができる。
【0051】
以上、本発明の参考例について説明したが、本発明は前記参考例に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1A 収集機(第一実施形態)
1B 収集機(参考例)
2 グラウンド
3 ボール
10 車体
20 走行装置
21 前輪
21a 車軸
22 後輪
22a 車軸
30 駆動装置
40 バッテリ
50 収集装置
51 ドラム
60 収集容器
61 底面
100 装置本体
L1 第一接線
L2 第二接線