(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ドクターチャンバーコーター及びそれを用いた塗工物製造方法
(51)【国際特許分類】
B05C 1/08 20060101AFI20240126BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240126BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20240126BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B05C1/08
B05C11/10
B05D1/28
B05D3/00 D
(21)【出願番号】P 2020022745
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩茂
(72)【発明者】
【氏名】田村 紀智
(72)【発明者】
【氏名】樋口 均
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-526477(JP,A)
【文献】特開2015-020390(JP,A)
【文献】特開2013-013433(JP,A)
【文献】特開2006-051664(JP,A)
【文献】特開2005-254229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0209587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-3/20
7/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工液を被塗工物に塗工するドクターチャンバーコーターであって、
内部に塗工液が溜められたドクターチャンバーと、
外周面に前記ドクターチャンバー内の前記塗工液が付着するように配置された第1ロール体と、
前記第1ロール体の外周面に付着した前記塗工液が転写される第2ロール体と、
前記第2ロール体との間に前記被塗工物を挟み込む第3ロール体と
を備え、
前記ドクターチャンバーコーターの動作モードには、
前記第2ロール体と前記第3ロール体との間に前記被塗工物を挟み込み、前記塗工液を前記被塗工物に転写する塗工モードと、
前記第2ロール体と前記第3ロール体とを互いに離間させ、前記ドクターチャンバー、前記第1ロール体及び前記第2ロール体間で前記塗工液を循環させる待機モードと
が含まれており、
前記動作モードが前記塗工モードから前記待機モードに切り替えられるとき、前記第1及び第2ロール体間のニップ圧が下げられる、
ドクターチャンバーコーター。
【請求項2】
前記待機モード中の前記第1及び第2ロール体間のニップ圧が前記塗工モード中のニップ圧の1/2以下である、
請求項1記載のドクターチャンバーコーター。
【請求項3】
前記塗工液の#4フォードカップ粘度が15秒以下である、
請求項1又は請求項2に記載のドクターチャンバーコーター。
【請求項4】
前記第1及び第2ロール体の回転軸
のいずれか一方が他方よりも高い位置に配置されている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のドクターチャンバーコーター。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のドクターチャンバーコーターを用いて前記被塗工物に塗工を施す工程を含む、
塗工物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工液を被塗工物に塗工するドクターチャンバーコーター及びそれを用いた塗工物製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種のドクターチャンバーコーターとしては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来構成は、開口部を有するドクターチャンバーと、外周面に前記ドクターチャンバー内の塗工液が付着するように配置された第1ロール体と、第1ロール体の外周面に付着した塗工液が転写される第2ロール体と、第2ロール体との間に被塗工物を挟み込む第3ロール体とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-155311号公報
【文献】特開2018-051482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなドクターチャンバーコーターの動作モードには、塗工モードと待機モードとが含まれる。塗工モードは、第2ロール体と第3ロール体との間に被塗工物を挟み込み、塗工液を被塗工物に転写する動作モードである。待機モードは、第2ロール体と第3ロール体とを互いに離間させ、ドクターチャンバー、第1ロール体及び第2ロール体間で塗工液を循環させる動作モードである。
【0005】
比較的粘度が低い塗工液を使用したところ、待機モード中に第2ロール体から塗工液が垂れ落ちるということが生じた。例えば特許文献2等に示されるように塗料パンを用いたコータであれば、第2ロール体(アプリケータロール)から垂れ落ちた塗工液が塗料パンに戻るだけであり、大きな問題とならない。しかしながら、ドクターチャンバーを用いたコータの場合、第2ロール体から多くの塗工液が垂れ落ちると、塗料パンに相当する受皿を追加するか又は定期的な清掃作業が必要となり、塗工物の生産コストを増大させる要因となる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、待機モード中に第2ロール体から塗工液が垂れ落ちる量を抑制できるドクターチャンバーコーター及びそれを用いた塗工物製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドクターチャンバーコーターは、塗工液を被塗工物に塗工するドクターチャンバーコーターであって、内部に塗工液が溜められたドクターチャンバーと、外周面にドクターチャンバー内の塗工液が付着するように配置された第1ロール体と、第1ロール体の外周面に付着した塗工液が転写される第2ロール体と、第2ロール体との間に被塗工物を挟み込む第3ロール体とを備え、ドクターチャンバーコーターの動作モードには、第2ロール体と第3ロール体との間に被塗工物を挟み込み、塗工液を被塗工物に転写する塗工モードと、第2ロール体と第3ロール体とを互いに離間させ、ドクターチャンバー、第1ロール体及び第2ロール体間で塗工液を循環させる待機モードとが含まれており、動作モードが塗工モードから待機モードに切り替えられるとき、第1及び第2ロール体間のニップ圧が下げられる。
【0008】
また、本発明に係る塗工物製造方法は、上述のドクターチャンバーコーターを用いて被塗工物に塗工を施す工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明のドクターチャンバーコーター及びそれを用いた塗工物製造方法によれば、動作モードが塗工モードから待機モードに切り替えられるとき、第1及び第2ロール体間のニップ圧が下げられるので、待機モード中に第2ロール体から塗工液が垂れ落ちる量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1によるドクターチャンバーコーターを示す平面図である。
【
図3】
図1のドクターチャンバーを示す正面図である。
【
図4】
図2の開口部を拡げるように第1及び第2分割体が回動された状態を示す説明図である。
【
図5】
図4の第1及び第2分割体が回動された状態を示す説明図である。
【
図6】
図2のドクターチャンバー及び第1ロール体が第2ロール体の回転軸を中心に回動された状態を示す説明図である。
【
図7】
図6の被塗工対象の搬送方向が水平方向に変更された変形例を示す説明図である。
【
図8】
図2のドクターチャンバーコーターの動作モードが待機モードとされている状態を示す説明図である。
【
図9】第1及び第2ロール体のニップ圧制御機構を示す説明図である。
【
図10】本発明の実施の形態2によるドクターチャンバーコーターを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0012】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるドクターチャンバーコーター1を示す平面図であり、
図2は
図1の線II-IIに沿う断面図であり、
図3は
図1のドクターチャンバー4を示す正面図である。
【0013】
図1に示すドクターチャンバーコーター1は、塗工液2を被塗工物3に塗工するための設備である。塗工液2としては、例えばインク、塗料及び化成処理液等を挙げることができる。塗工液2は、不溶物を含むことができる。不溶物とは、例えば顔料又は骨材等、水又は溶剤に溶けずに分散されているものである。被塗工物3としては、例えば紙、プラスチック又は金属等の素材からなる帯状部材を挙げることができる。金属製の帯状部材には、冷延鋼板、各種めっき鋼板、アルミ合金板、チタン板及びステンレス鋼板が含まれる。
【0014】
図1~
図3に示すように、ドクターチャンバーコーター1には、ドクターチャンバー4、第1ロール体5、第2ロール体6及び第3ロール体7が含まれている。
【0015】
ドクターチャンバー4は、塗工液2を溜めるための液溜空間4a(
図2参照)を内部に有する容器体である。ドクターチャンバー4の前部には、液溜空間4aの内外を連通する開口部4bが設けられている。
【0016】
第1ロール体5は、回転自在に設けられた円柱状部材である。第1ロール体5は、図示しない駆動装置の駆動力により回転駆動され得る。第1ロール体5は、外周面にドクターチャンバー4内の塗工液2が付着するように配置されている。本実施の形態の第1ロール体5は、外周面が開口部4bを通してドクターチャンバー4の外部に臨むように、液溜空間4a(ドクターチャンバー4)の内側に配置されている。すなわち、第1ロール体5の周方向に関して、第1ロール体5の外周面の大部分がドクターチャンバー4内に配置されている。換言すると、第1ロール体5の外周面の大部分がドクターチャンバー4に囲われている。
【0017】
第2ロール体6は、回転自在に設けられた円柱状部材である。第2ロール体6は、図示しない駆動装置の駆動力により回転駆動され得る。第2ロール体6は、外周面が第1ロール体5の外周面に接するように、液溜空間4a(ドクターチャンバー4)の外側に配置されている。
【0018】
第3ロール体7は、回転自在に設けられた円柱状部材であり、被塗工物3を第2ロール体6との間に挟み込むように配置されている。本実施の形態のドクターチャンバーコーター1では、水平方向に係る第2ロール体6の側方に第3ロール体7が配置され、鉛直方向に係る下方から上方に向けて被塗工物3が搬送される。被塗工物3の搬送方向に対応して、
図2において第2ロール体6は反時計回りに回転され、第3ロール体7は時計回りに回転される。
【0019】
ドクターチャンバー4内の液溜空間4aに塗工液2が溜められているとき、第1ロール体5が回転されることで第1ロール体5の外周面に塗工液2が順次付着する。第1ロール体5の外周面に付着した塗工液2は、第2ロール体6の外周面に転写された上で被塗工物3に転写される。第3ロール体7は、第2ロール体6から被塗工物3に塗工液2が転写される際に被塗工物3を支える。第1ロール体5をグラビアロールと呼び、第2ロール体6をアプリケーターロールと呼び、第3ロール体7をバックアップロールと呼ぶこともある。
【0020】
塗工方式には、リバース塗工とナチュラル塗工とが含まれる。リバース塗工は、被塗工物3の搬送方向に逆らうように第2ロール体6を回転させながら塗工を行う方式である。リバース塗工においては、
図2において、第1ロール体5が反時計周り、第2ロール体6が時計周り、第3ロール体7が時計周りにそれぞれ回転される。ナチュラル塗工は、被塗工物3の搬送方向に順ずるように第2ロール体6を回転させながら塗工を行う方式である。ナチュラル塗工においては、
図2において、第1ロール体5が時計周り、第2ロール体6が反時計周り、第3ロール体7が時計周りにそれぞれ回転される。
【0021】
なお、被塗工物3が例えば鋼板等の金属材のとき、板中央の中伸び、板エッジ部の耳伸び、及び/又はそれらの間のクォーター伸び等の変形が被塗工物3に生じていることがある。板形状が悪い(大きな変形が生じている)板(コイル)に塗工を行うとき、第3ロール体7で強制的にニップ圧制御することで、第2ロール体6から被塗工物3へ塗工液2を均一に転写することが可能となる。一方、板形状が良い板の場合、第3ロール体7はニップせず、張力が付された被塗工物3を第2ロール体6に押し付けて塗工(ノーバッキング塗工)してもよい。
【0022】
ここで、仮に第1ロール体5が液溜空間4aの外側に配置されているとすると、第1ロール体5の外周面で水又は溶剤が気化することにより、塗工液2の濃化が生じ、塗工液2の組成変動が生じる虞がある。本実施の形態のドクターチャンバーコーター1では、液溜空間4aの内側に第1ロール体5が配置されているので、第1ロール体5の外周面上での塗工液2の濃化を抑えることができ、塗工液2の組成変動を低減できる。また、ほこり等の異物が第1ロール体5に付着して塗工液2に混入する虞も低減できる。
【0023】
以下、上述の
図1~
図3に加えて、
図4~
図7を参照しながら、ドクターチャンバーコーター1の各構成についてより詳細に説明する。
図4は
図2の開口部4bを拡げるように第1及び第2分割体411,412が回動された状態を示す説明図であり、
図5は
図4の第1及び第2分割体411,412が回動された状態を示す説明図であり、
図6は
図2のドクターチャンバー4及び第1ロール体5が第2ロール体6の回転軸を中心に回動された状態を示す説明図であり、
図7は
図6の被塗工物3の搬送方向が水平方向に変更された変形例を示す説明図である。
【0024】
図2に特に表れているように、ドクターチャンバー4は、液溜空間4aを区画する内壁40を有している。内壁40の形状は任意であるが、本実施の形態の内壁40には、下部曲面40a、下部接続壁40b、奥壁40c、上部曲面40d及び上部接続壁40eが含まれている。
【0025】
下部曲面40a及び下部接続壁40bは、液溜空間4aの下部に配置されている。下部曲面40aは、ドクターチャンバー4の前端からドクターチャンバー4の奥行方向4dに係る奥に向かって延在されている。下部接続壁40bは、下部曲面40aの後端と奥壁40cとの間を接続している。これら下部曲面40a及び下部接続壁40bは、後述の第1分割体411の上面によって構成されている。
【0026】
上部曲面40d及び上部接続壁40eは、液溜空間4aの上部に配置されている。上部曲面40dは、ドクターチャンバー4の前端からドクターチャンバー4の奥行方向4dに係る奥に向かって延在されている。上部接続壁40eは、上部曲面40dの後端と奥壁40cとの間を接続している。これら上部曲面40d及び上部接続壁40eは、後述の第2分割体412の下面によって構成されている。
【0027】
奥壁40cは、ドクターチャンバー4の奥行方向4dに係る奥に位置する内壁であり、下部接続壁40bと上部接続壁40eとの間に配置されている。奥壁40cは、ドクターチャンバー4の高さ方向4hに延在されている。本実施の形態の奥壁40cは、後述の軸部410の外面によって構成されている。
【0028】
本実施の形態では、下部曲面40a及び上部曲面40dは、第1ロール体5の外周面に沿った形状を有する曲面によって構成されている。下部曲面40a及び上部曲面40dは、第1ロール体5よりも大径な円の一部を構成する円弧面によって構成されている。本実施の形態では、下部曲面40a及び上部曲面40dと第1ロール体5の外周面との間の間隔が第1ロール体5の周方向に一定とされている。
【0029】
上述のように、塗工液2は不溶物を含む場合がある。不溶物は、例えば第1ロール体5の回転速度が遅いとき等、液溜空間4a内での塗工液2の流動が小さいときに液溜空間4a内に沈降する場合がある。液溜空間4a内で不溶物の沈降が生じると、被塗工物の塗工面に意図しない模様が発生する虞が生じる。本実施の形態のドクターチャンバー4では、第1ロール体5が液溜空間4a(ドクターチャンバー4)の内側に配置されている。このため、第1ロール体5が液溜空間4aの外側に配置される態様と比較して、第1ロール体5の回転によってより大きな塗工液2の流動を生じさせることができ、第1ロール体5の回転によってより確実に塗工液2を攪拌できる。すなわち、第1ロール体5が液溜空間4aの内側に配置されていることにより、不溶物の沈降を抑制できる。
【0030】
下部曲面40aが第1ロール体5の外周面に沿った形状を有することで、より均一に塗工液2を攪拌でき、不溶物の沈降をより確実に抑制できる。また、下部曲面40aと第1ロール体5の外周面との間の間隔が第1ロール体5の周方向に一定とされていることで、さらに均一に塗工液2を攪拌でき、不溶物の沈降をさらに確実に抑制できる。下部曲面40aと第1ロール体5の外周面との間の間隔は、10mm以下であることが好ましい。下部曲面40a及び上部曲面40dと第1ロール体5の外周面との間で不溶物の沈降をより確実に抑制できるようにするためである。また、上部曲面40dが上述の下部曲面40aと同様に構成されていることで、例えば
図2の態様とはドクターチャンバー4の向きを反転して使用する場合にも対応可能である。
【0031】
図1及び
図3に特に表れているように、本実施の形態のドクターチャンバー4は、チャンバー本体41、一対のシール部材42、一対の側壁体43、上部ドクターブレード44、下部ドクターブレード45及びブレード調整部46(
図2参照)を有している。
【0032】
チャンバー本体41は、ドクターチャンバー4の幅方向4w(各ロール体5~7の軸方向)に係るドクターチャンバー4の中央部に配置された部分である。チャンバー本体41は、断面略C字状の外形を有している。チャンバー本体41は、液溜空間4aの上部及び下部を区画している。チャンバー本体41を単体で見たとき、チャンバー本体41の側部は開放されている。
【0033】
各シール部材42は、ドクターチャンバー4の幅方向4wに係るチャンバー本体41の側方(両側)に配置されており、液溜空間4aの側部を区画している。各シール部材42の表面は、液溜空間4aの側部を区画する側面を構成する。第1ロール体5は、シール部材42に設けられた孔部を通して液溜空間4aの外方に延出され得る。
【0034】
各側壁体43は、ドクターチャンバー4の幅方向4wに係るシール部材42の側方(両側)に配置されており、チャンバー本体41との間にシール部材42を挟み込んでいる。側壁体43とチャンバー本体41との間にシール部材42を挟み込んだ状態で、例えばボルト等の締結部材(図示せず)により側壁体43及びチャンバー本体41が互いに締結されることで、チャンバー本体41、シール部材42及び側壁体43が互いに一体化される。第1ロール体5は、側壁体43に設けられた孔部を通してドクターチャンバー4の外方に延出されるか又は側壁体43に軸支され得る。
【0035】
チャンバー本体41(特に後述の第1及び第2分割体411,412)及び側壁体43としては、例えばアルミ合金体等の金属部材を使用することができる。シール部材42としては、例えばポリエチレン等の発泡体を使用することができる。
【0036】
本実施の形態のチャンバー本体41には、シール部材42が収められる凹部が設けられている。凹部にシール部材42が収められることで、チャンバー本体41と側壁体43との間でシール部材42が過剰に圧縮されることを防止できる。凹部は、側壁体43に設けられていてもよい。
【0037】
上部ドクターブレード44は、先端が第1ロール体5の周面に突き当てられるようにチャンバー本体41の上部から延出された長手状部材である。同様に、下部ドクターブレード45は、先端が第1ロール体5の周面に突き当てられるようにチャンバー本体41の下部から延出された長手状部材である。ドクターチャンバー4の開口部4bは、上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45の先端間の空隙によって定義できる。
【0038】
図2において第1ロール体5が反時計回りに回転されるとき、すなわち第1ロール体5が第2ロール体6と同じ方向に回転されるとき、下部ドクターブレード45は、第1ロール体5の回転方向に係る開口部4bの下流側に位置する下流側ブレードを構成する。これとは逆に、
図2において第1ロール体5が時計回りに回転されるとき、すなわち第1ロール体5が第2ロール体6と逆方向に回転されるとき、上部ドクターブレード44が下流側ブレードを構成する。図示しないが、第1ロール体5の周面には凹部が形成されている。下流側ブレード(下部ドクターブレード45又は上部ドクターブレード44)は、凹部内の塗工液2を残すように、第1ロール体5の周面に付着した塗工液2を掻きとる。これにより、一定量の塗工液2が第1ロール体5の周面に残るようにされている。
【0039】
本実施の形態の上部ドクターブレード44は、第1ロール体5側の先端がチャンバー本体41側の基端よりも上方に位置するように前下がりに配置されている。また、上部ドクターブレード44の延在方向と第1ロール体5の接線との間のドクターチャンバー4内における角度θは90°未満とされている。この角度θを90°未満とすることで、上部ドクターブレード44の先端が第1ロール体5の周面に押し付けられる力(ドクター圧)が大きくなり、上部ドクターブレード44による塗工液2の掻きとりをより確実に行うことができる。上部ドクターブレード44の延在方向と第1ロール体5の接線との間のドクターチャンバー4内における角度θを40°以上かつ60°以下とすることが好ましく、50°以上かつ60°以下とすることがより好ましい。
【0040】
同様に、本実施の形態の下部ドクターブレード45は、第1ロール体5側の先端がチャンバー本体41側の基端よりも上方に位置するように前上がりに配置されている。また、下部ドクターブレード45の延在方向と第1ロール体5の接線との間のドクターチャンバー4内における角度θは90°未満とされている。この角度θを90°未満とすることで、下部ドクターブレード45の先端が第1ロール体5の周面に押し付けられる力(ドクター圧)が大きくなり、下部ドクターブレード45による塗工液2の掻きとりをより確実に行うことができる。下部ドクターブレード45の延在方向と第1ロール体5の接線との間のドクターチャンバー4内における角度θを40°以上かつ60°以下とすることが好ましく、50°以上かつ60°以下とすることがより好ましい。
【0041】
ブレード調整部46は、上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45の延在方向と第1ロール体5の接線との間の角度θを調整するための構成である。本実施の形態のブレード調整部46は、上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45の後端部とチャンバー本体41との間の離間距離を調整することにより、角度θを調整できるように構成されている。より具体的には、本実施の形態のブレード調整部46は、チャンバー本体41と上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45との間に配置された非真円形断面の部材とされており、ブレード調整部46を構成する部材が回転されることで角度θが調整される。しかしながら、ブレード調整部46の構成は任意であり、例えば上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45の後端部とチャンバー本体41とに挿通されたボルト、又は上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45の後端部とチャンバー本体41との間に挿入されたシム等の他の部材によってブレード調整部46が構成されていてもよい。なお、上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45を図示しないホルダーによって保持し、そのホルダーによって又はそのホルダーとともに角度θが調整されてもよい。
【0042】
本実施の形態のドクターチャンバー4では、各側壁体43の下部に管体47が接続されている。各側壁体43の内部には、管体47と液溜空間4aとの間を繋ぐ流路43aが設けられている。シール部材42には、側壁体43の流路43a及び液溜空間4aに連通されるとともに、液溜空間4aの下部に位置する開口42aが設けられている。すなわち、本実施の形態では、液溜空間4aの側面に開口42aが設けられている。本実施の形態のドクターチャンバー4では、幅方向4wに係る一端側下部の開口42aを通して液溜空間4aに塗工液2が供給されるとともに、幅方向4wに係る他端側下部の開口42aを通して液溜空間4aから塗工液2が排出される。一端側下部の開口42aは供給口を構成し、他端側下部の開口42aは排出口を構成する。塗工液2の向きは
図1~
図3に示す向きとは逆であってもよい。
【0043】
液溜空間4aへの塗工液2の供給及び液溜空間4aからの塗工液2の排出は、図示しない供給装置により行われる。供給装置は、各側壁体43の下部の管体47を介して各開口42aに接続されている。限定はされないが、供給装置は、タンク及びポンプにより構成することができる。タンクには、塗工液2が貯められる。ポンプは、タンク内の塗工液2を液溜空間4a(ドクターチャンバー4)に供給する。液溜空間4aに供給された塗工液2は、液溜空間4aからタンクに戻される。すなわち、塗工液2は、タンクと液溜空間4aとの間で循環されることができる。
【0044】
上述のように、幅方向4wに係る一端側下部の開口42a(供給口)から液溜空間4aに塗工液2が供給されるとともに、幅方向4wに係る他端側下部の開口42a(排出口)から液溜空間4a内の塗工液2が排出されることで、液溜空間4aの底部において塗工液2の流れを形成でき、不溶物の沈降を抑えることができる。液溜空間4aの底部におけるドクターチャンバー4の幅方向4w(各ロール体5~7の軸方向)に沿う塗工液2の流速が0.1m/s以上となるように供給装置が塗工液2の供給を行うことが好ましい。より確実に不溶物の沈降を抑えるためである。
【0045】
なお、液溜空間4aの底部とは、例えば下部曲面40aの上面の近傍等と理解することができる。液溜空間4aの底部におけるドクターチャンバー4の幅方向4wに沿う塗工液2の流速は、以下の方法により求めることができる。すなわち、開口42aから液溜空間4aの底部に流入する塗工液2の流量をA(L/s)として、開口42aの面積をS(cm2)としたとき、開口42aにおける塗工液2の流速は、A/S×0.01(m/s)である。例えば、開口42a面積Sが5cm2の場合、開口42aから流量1L/sの塗工液2が液溜空間4aの底部に流入するとき、開口42aにおける塗工液2の流速は、2m/sである。
【0046】
開口42aは、内壁40から離れた位置に配置されていてもよいが、開口42aの下縁が内壁40と同じ高さ位置となるように開口42aを設けることもできる。
図2では開口42aが矩形状であるように示しているが、内壁40に沿った形状としてもよい。より具体的には、開口42aは、第1ロール体5の外周面と下部曲面40aとの間の隙間形状に対応する地紙形状(扇の地紙部分の形状、又は内径側が欠落した扇形)としてもよい。例えば開口42aの形状を直径と平行な直線により円を切断した形状とするなど、少なくとも開口42aの下縁を円弧状としてもよい。
【0047】
図2に特に表れているように、チャンバー本体41は、軸部410、第1分割体411、第2分割体412及び複数の洗浄ノズル413を有している。
【0048】
軸部410は、ドクターチャンバー4の高さ方向4hに係る中央部に配置されている。また、軸部410は、ドクターチャンバー4の奥行方向4dに係る後部(開口部4bとは逆側)に配置されている。
【0049】
第1分割体411は、ドクターチャンバー4の高さ方向4hに係る下部に配置されている。第2分割体412は、ドクターチャンバー4の高さ方向4hに係る上部に配置されている。本実施の形態の第1及び第2分割体411,412は、互いに上下対称な形状を有している。
【0050】
第1及び第2分割体411,412は、軸部410を介して互いに一体に設けられている。また、第1及び第2分割体411,412は、軸部410を中心に回動可能に設けられている。第1及び第2分割体411,412は、互いに逆方向及び同じ方向に回動可能に設けられている。
【0051】
軸部410を中心に第1及び第2分割体411,412を互いに逆方向に回動させることにより、開口部4bを狭めることができる。開口部4bを狭めることにより、上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45が摩耗した場合でも上部ドクターブレード44及び下部ドクターブレード45の先端を第1ロール体5の外周面に当接させることができる。
【0052】
図4に示すように、軸部410を中心に第1及び第2分割体411,412を互いに逆方向に回動させることにより、開口部4bを拡げることができる。ドクターチャンバー4及び第1ロール体5は、奥行方向4dに沿って相対的に互いに近づく方向及び離れる方向に変位可能に設けられている。
図4に示すように、開口部4bが拡げられることで、開口部4bを通して第1ロール体5の出し入れを行うことができる。このような構成により、ドクターチャンバー4及び第1ロール体5のメンテナンスをより容易に行うことができる。
【0053】
図5に示すように、開口部4bを拡げた状態で第1及び第2分割体411,412を同じ方向に回動させることもできる。
図5に示す態様は、開口部4bを上方に向けた態様である。開口部4bを上方に向けることで、ドクターチャンバー4の内部のメンテナンスをより容易に行うことができる。
【0054】
図2に戻り、洗浄ノズル413は、ドクターチャンバー4の内壁40及び第1ロール体5に洗浄液を吹き付けるためのノズルである。洗浄ノズル413は、ドクターチャンバー4の幅方向4wに間隔を置いて配置され得る。液溜空間4aから塗工液2が排出された後に、洗浄ノズル413からの洗浄液を吹き付けることで、内壁40及び第1ロール体5の洗浄を行うことができる。例えば管体47等の塗工液2の流路に洗浄ノズル413からの洗浄液を通すことにより、塗工液2の流路の洗浄も行うことができる。このような洗浄は塗工液2の交換時に行われ得る。
【0055】
本実施の形態では、第1及び第2分割体411,412のそれぞれに洗浄ノズル413が取り付けられており、上方及び下方の両方から内壁40及び第1ロール体5に洗浄液を吹き付けることが可能とされている。しかしながら、洗浄ノズル413の配置は任意であり、上方及び下方の洗浄ノズル413の少なくとも一方が省略されていてもよい。
【0056】
第1ロール体5は、第2ロール体6よりも小径とされている。第1ロール体5を小径とすることにより、第1ロール体5の直径が第2ロール体6の直径以上である場合と比較して、ドクターチャンバー4を小形化できる。また、第1ロール体5の周長を短くでき、第1ロール体5での塗工液2の濃化をより確実に抑えることができる。
【0057】
第1及び第2ロール体5,6の外周面が接触した箇所の上方には塗工液2の液溜2aが形成される。本実施の形態の第1及び第2ロール体5,6の回転軸5a,6aは、鉛直方向に互いにオフセットされている。すなわち、第1及び第2ロール体5,6の回転軸5a,6aのいずれか一方が他方よりも高い位置に配置されている。本実施の形態では、第2ロール体6の回転軸6aが第1ロール体5の回転軸5aよりも高い位置に配置されている。回転軸5a,6aが鉛直方向にオフセットされることにより、液溜2aの下部において第1及び第2ロール体5,6の外周面が単に線接触状態となることを回避でき、液溜2aからの液だれを抑えることができる。なお、本実施の形態の第2及び第3ロール体6,7の回転軸は同じ高さ位置に配置されている。
【0058】
ドクターチャンバー4及び第1ロール体5は、個々に水平方向に移動可能に設けられている。また、ドクターチャンバー4及び第1ロール体5は、第2ロール体6の回転軸6aを中心に回動可能に設けられていてもよい。
図6に示すように、ドクターチャンバー4及び第1ロール体5は、第1ロール体5が斜め下方から第2ロール体6に押し当てられるように配置されてもよい。第1ロール体5が斜め下方から第2ロール体6に押し当てられる態様は、
図7に示すように被塗工物3を水平方向に搬送する場合に有用である。すなわち、水平方向に搬送される被塗工物3とドクターチャンバー4との干渉を避けることができる。
【0059】
次に、
図2及び
図8を参照しながら、ドクターチャンバーコーター1の動作モードについて説明する。
図8は、
図2のドクターチャンバーコーター1の動作モードが待機モードとされている状態を示す説明図である。
【0060】
本実施の形態のドクターチャンバーコーター1の動作モードには、塗工モードと待機モードとが含まれている。
【0061】
塗工モードは、
図2に示すように第2及び第3ロール体6,7により被塗工物3を挟み込み、液溜空間4aで第1ロール体5の外周面に付着した塗工液2を、第2ロール体6を介して被塗工物3に転写するモードである。
【0062】
待機モードは、
図8に示すように第2ロール体6と第3ロール体7とを互いに離間させ、液溜空間4a、第1ロール体5及び第2ロール体6間で塗工液2を循環させるモードである。液溜空間4a、第1ロール体5及び第2ロール体6間で塗工液2を循環させることで、次材(次に塗工を施す被塗工物3)が導入された際に、すぐさま塗工を開始することができる。
【0063】
ここで、第1ロール体5から第2ロール体6に転写される塗工液2の量は、第1及び第2ロール体5,6間のニップ圧(押付圧)が高いほど多くなる。待機モード中に多くの塗工液2が第2ロール体6に転写されると、第2ロール体6の下端から塗工液2が垂れ落ちることがある。塗工液2の垂れ落ちは、例えば#4フォードカップ粘度が15秒程度等の粘度が低い塗工液2ほど発生しやすい。
【0064】
本実施の形態のドクターチャンバーコーター1は、動作モードが塗工モードから待機モードに切り替えられるとき、第1及び第2ロール体5,6間のニップ圧が下げられる。すなわち、待機モード中のニップ圧は、塗工モード中のニップ圧よりも低い。このようにニップ圧が下げられることで、待機モード中に第2ロール体6から塗工液2が垂れ落ちる量を抑制できる。待機モード中のニップ圧は、塗工モード中のニップ圧の1/2以下とすることができる。塗工液2の垂れ落ちをより確実に抑制できる。
【0065】
ここで、
図9は、第1及び第2ロール体5,6のニップ圧制御機構を示す説明図である。第1ロール体5の回転軸の両端部には、第1-1及び第1-2接続体51,52を介して第1-1及び第1-2アクチュエータ53,54が接続されている。第1-1及び第1-2接続体51,52は、第1ロール体5の回転軸を支える架台であり得る。第1-1及び第1-2アクチュエータ53,54の駆動力により第1ロール体5が第2ロール体6に対して近づく方向及び離れる方向に変位可能に構成されている。各アクチュエータ53,54と各接続体51,52との間には、第1-1及び第1-2ロードセル55,56が介在されており、各アクチュエータ53,54から第1ロール体5に付加される荷重が各ロードセル55,56によって測定され得る。
【0066】
同様に、第2ロール体6の回転軸の両端部には、第2-1及び第2-2接続体61,62を介して第2-1及び第2-2アクチュエータ63,64が接続されている。第2-1及び第2-2接続体61,62は、第2ロール体6の回転軸を支える架台であり得る。第2-1及び第2-2アクチュエータ63,64の駆動力により第2ロール体6が第1ロール体5及び/又は第3ロール体7に対して近づく方向及び離れる方向に変位可能に構成されている。各アクチュエータ63,64と各接続体61,62との間には、第2-1及び第2-2ロードセル65,66が介在されており、各アクチュエータ63,64から第2ロール体6に付加される荷重が各ロードセル65,66によって測定され得る。
【0067】
第1及び第2ロール体5,6間のニップ圧は、第1-1及び第1-2ロードセル55,56の測定値との間に相関を有する。第1-1ロードセル55の測定値と第1-2ロードセル56の測定値との平均値を第1平均荷重と呼ぶ。例えば塗工モード中の第1平均荷重が200kgfであるとき、待機モード中の第1平均荷重を100kgf以下とすることが好ましい。上述のように、塗工液2の垂れ落ちをより確実に抑制するためである。また、待機モード中の第1平均荷重は、10kgf以上であることがさらに好ましい。第1平均荷重が10kgf未満であると、第1及び第2ロール体5,6間のニップ圧が不安定となる虞がある。
【0068】
本実施の形態の塗工物製造方法は、上述のドクターチャンバーコーター1を用いて被塗工物3に塗工を施す工程を含む。
【0069】
このようなドクターチャンバーコーター1及びそれを用いた塗工物製造方法によれば、動作モードが塗工モードから待機モードに切り替えられるとき、第1及び第2ロール体5,6間のニップ圧が下げられるので、待機モード中に第2ロール体6から塗工液2が垂れ落ちる量を抑制できる。これにより、塗料パンに相当する受皿の追加及び定期的な清掃作業の必要を低減できる。この構成は、#4フォードカップ粘度が15秒以下の低粘度の塗工液2を使用する場合に特に有用である。
【0070】
また、待機モード中の第1及び第2ロール体5,6間のニップ圧が塗工モード中のニップ圧の1/2以下であるので、第1及び第2ロール体5,6表面およびそのロール間での塗工液の垂れ落ちる量を抑制できる。
【0071】
また、第1及び第2ロール体5,6の回転軸が鉛直方向に互いにオフセットされているので、第1及び第2ロール体5,6の外周面が接触した箇所の上方に形成された液溜2aからの塗工液の垂れ落ちを抑えることができる。
【0072】
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2によるドクターチャンバーコーター1を示す説明図である。実施の形態1では第1ロール体5が液溜空間4a(ドクターチャンバー4)の内側に配置されているように説明した。しかしながら、
図10に示すように、第1ロール体5は、液溜空間4a(ドクターチャンバー4)の外側に配置されていてもよい。本実施の形態2の第1ロール体5は、開口部4bを通してドクターチャンバー4の内部(液溜空間4a)に臨むように配置されている。
【0073】
また、実施の形態1ではチャンバー本体41が軸部410、第1分割体411及び第2分割体412を有するように説明したが、
図10に示すようにチャンバー本体41が全体として1つのブロックによって構成されていてもよい。そのほかの構成は、実施の形態1と同様である。
【0074】
このように第1ロール体5が液溜空間4aの外側に配置されていている態様でも、動作モードが塗工モードから待機モードに切り替えられるとき、第1及び第2ロール体5,6間のニップ圧が下げられることで、待機モード中に第2ロール体6から塗工液2が垂れ落ちる量を抑制できる。
【符号の説明】
【0075】
1 ドクターチャンバーコーター
2 塗工液
3 被塗工物
4 ドクターチャンバー
5 第1ロール体
6 第2ロール体
7 第3ロール体