(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】部品実装装置および実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2019196075
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】東 直樹
(72)【発明者】
【氏名】桜井 浩二
(72)【発明者】
【氏名】池田 政典
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119134(JP,A)
【文献】特開2016-100378(JP,A)
【文献】特開2012-094727(JP,A)
【文献】特開2010-212409(JP,A)
【文献】特開2019-140160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部を備える電子部品を基板に実装する部品実装装置であって、
前記電子部品を供給する部品供給手段と、
ノズルで前記電子部品を保持して前記基板に実装する部品実装手段と、
前記電子部品に対する相対的な前記機能部の位置を認識する第1の認識手段と、
前記ノズルに保持された前記電子部品の前記ノズルに対する相対的な位置を認識する第2の認識手段と、
前記第1の認識手段の認識結果と、前記第2の認識手段の認識結果とから前記機能部の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部と、を備え、
所定個数の複数の前記電子部品の前記位置ずれ量から算出された位置ずれ量の範囲が所定の値よりも小さい場合、
前記位置ずれ量算出部は、前記複数の前記位置ずれ量に基づいて代表位置ずれ量を算出し、
前記部品実装手段は、前記代表位置ずれ量と前記第2の認識手段の認識結果とに基づき前記電子部品を前記基板に実装する、部品実装装置。
【請求項2】
供給している前記電子部品のロットが切り替わると、前記ロットに対応した前記代表位置ずれ量を算出する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記位置ずれ量の範囲が所定の値よりも大きい場合、
前記部品実装手段は、前記第1の認識手段の認識結果と前記第2の認識手段の認識結果とに基づき前記電子部品を実装する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記第1の認識手段は、前記部品実装手段とともに移動可能であり、
前記第1の認識手段は、前記電子部品の第1の面に形成された前記機能部を認識する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記第2の認識手段は、前記部品実装手段に保持された前記電子部品の前記第1の面とは反対に位置する第2の面を認識する、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記電子部品は発光素子であり、前記機能部は発光部である、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記部品実装手段は、前記発光部が前記基板の所定の位置に位置するように前記電子部品を前記基板に実装する、請求項6に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記電子部品
の位置は、前記電子部品に形成された電極の位置または前記電子部品の外形位置であ
る、請求項7に記載の部品実装装置。
【請求項9】
機能部を備える電子部品を部品実装手段により保持して基板に実装する部品実装装置を用いた実装基板の製造方法であって、
前記電子部品に対する相対的な前記機能部の位置を認識し、
ノズルに保持された前記電子部品の前記ノズルに対する相対的な位置を認識し、
前記機能部の位置と前記電子部品の位置から前記機能部の位置ずれ量を算出し、
認識された前記機能部の位置と前記電子部品の位置とに基づき前記電子部品を前記基板に実装し、
所定個数の複数の前記電子部品の前記位置ずれ量から算出された位置ずれ量の範囲が所定の値よりも小さい場合、
前記複数の前記位置ずれ量に基づいて代表位置ずれ量を算出し、
以降は前記機能部の位置を認識せずに、前記代表位置ずれ量と認識された前記電子部品の位置とに基づき前記電子部品を前記基板に実装する、実装基板の製造方法。
【請求項10】
供給されている前記電子部品のロットが切り替わると、前記ロットに対応した前記代表位置ずれ量を算出する、請求項9に記載の実装基板の製造方法。
【請求項11】
前記位置ずれ量の範囲が所定の値よりも大きい場合、
引き続き認識された前記機能部の位置と前記電子部品の位置に基づいて前記電子部品を実装する、請求項9に記載の実装基板の製造方法。
【請求項12】
前記機能部の位置は、前記部品実装手段とともに移動可能な第1の認識手段により認識し、
前記第1の認識手段は、前記電子部品の第1の面に形成された前記機能部を認識する、請求項9に記載の実装基板の製造方法。
【請求項13】
前記電子部品の位置は、前記部品実装手段に保持された前記電子部品の前記第1の面とは反対に位置する第2の面を認識する第2の認識手段により認識する、請求項12に記載の実装基板の製造方法。
【請求項14】
前記電子部品は発光素子であり、前記機能部は発光部である、請求項9に記載の実装基板の製造方法。
【請求項15】
前記発光部の位置に基づいて、前記発光部が前記基板の所定の位置に位置するように前記電子部品を実装する、請求項14に記載の実装基板の製造方法。
【請求項16】
前記電子部品
の位置は、前記電子部品に形成された電極の位置または前記
電子部品の外形位置であ
る、請求項15に記載の実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能部を備える電子部品を基板に実装する部品実装装置および実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表面実装用のチップLEDなどの発光素子を基板に実装した照明基板が広く用いられるようになっている。照明基板は、発光素子を部品実装装置によって基板上に実装し、はんだ接合により基板に接合する方法により製造される。発光素子は、発光素子の上面に形成された機能部である発光部の位置を、基板上の所定の実装位置に高い精度で位置合わせして実装することが求められる。そのため、発光素子を供給する部品供給位置において各発光素子に対して毎回上方から発光部の位置を認識し、その認識結果に基づいて実装する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、1つの発光素子を実装する毎に、上方からの認識作業が必要となり、1つの発光素子を実装するのに必要な時間が長くなってしまうという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、基板に対する機能部の位置合わせ精度を維持しつつ、効率良く電子部品を基板に実装することができる部品実装装置および実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、機能部を備える電子部品を基板に実装する部品実装装置であって、前記電子部品を供給する部品供給手段と、ノズルで前記電子部品を保持して前記基板に実装する部品実装手段と、前記電子部品に対する相対的な前記機能部の位置を認識する第1の認識手段と、前記ノズルに保持された前記電子部品の前記ノズルに対する相対的な位置を認識する第2の認識手段と、前記第1の認識手段の認識結果と、前記第2の認識手段の認識結果とから前記機能部の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出部と、を備え、所定個数の複数の前記電子部品の前記位置ずれ量から算出された位置ずれ量の範囲が所定の値よりも小さい場合、前記位置ずれ量算出部は、前記複数の前記位置ずれ量に基づいて代表位置ずれ量を算出し、前記部品実装手段は、前記代表位置ずれ量と前記第2の認識手段の認識結果とに基づき前記電子部品を前記基板に実装する。
【0007】
本発明の実装基板の製造方法は、機能部を備える電子部品を部品実装手段により保持して基板に実装する部品実装装置を用いた実装基板の製造方法であって、前記電子部品に対する相対的な前記機能部の位置を認識し、ノズルに保持された前記電子部品の前記ノズルに対する相対的な位置を認識し、前記機能部の位置と前記電子部品の位置から前記機能部の位置ずれ量を算出し、認識された前記機能部の位置と前記電子部品の位置とに基づき前記電子部品を前記基板に実装し、所定個数の複数の前記電子部品の前記位置ずれ量から算出された位置ずれ量の範囲が所定の値よりも小さい場合、前記複数の前記位置ずれ量に基づいて代表位置ずれ量を算出し、以降は前記機能部の位置を認識せずに、前記代表位置ずれ量と認識された前記電子部品の位置とに基づき前記電子部品を前記基板に実装する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板に対する機能部の位置合わせ精度を維持しつつ、効率良く電子部品を基板に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分断面図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置によって基板に実装される発光素子の(a)平面図(b)底面図(c)側面図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備えるテープフィーダの部品供給位置にピッチ送りされた(a)ポケットを基板認識カメラによって撮像する説明図(b)キャリヤテープの構造説明図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備えるテープフィーダが供給する発光素子の発光部がポケット撮像画像の中心から(a)位置ずれしていない例を示す図(b)位置ずれしている例を示す図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置における(a)部品認識の説明図(b)部品認識画像の例を示す図
【
図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置によって算出された(a)発光部位置ずれ量の例を示す図(b)電極位置の例を示す図(c)発光部の位置ずれ量の例を示す図
【
図9】本発明の一実施の形態の部品実装装置によって基板に実装される発光素子の発光部の位置ずれの説明図
【
図10】本発明の一実施の形態の部品実装装置による実装基板の製造方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図1における上下方向)が示される。
図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(
図2における上下方向)が示される。
図6では、Z方向の軸(Z軸)を回転軸とする回転の方向であるθ方向が示される。
【0011】
まず
図1、
図2を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。なお
図2は、
図1におけるA-A断面を部分的に示している。部品実装装置1は、部品供給部から供給された電子部品を基板に実装する部品実装作業を実行する機能を有する。基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に配設されている。基板搬送機構2は、上流側から搬送された基板3を、実装作業位置に搬入して位置決め保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。
【0012】
基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5が並列に装着されている。テープフィーダ5は、電子部品を収納するポケットが形成されたキャリヤテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドによって電子部品が取り出される部品供給位置5a(
図2参照)に電子部品を供給する。すなわち、テープフィーダ5は、電子部品を供給する部品供給手段となる。
【0013】
基台1a上面においてX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム6がY方向に沿って配設されている。Y軸ビーム6には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム7が、Y方向に移動自在に結合されている。X軸ビーム7はX方向に沿って配設されている。2基のX軸ビーム7には、それぞれ実装ヘッド8がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド8は、電子部品を吸着保持して昇降可能な複数の吸着ユニット8aを備える。吸着ユニット8aのそれぞれの下端部には、電子部品を吸着保持する吸着ノズル8b(
図2参照)が装着されている。
【0014】
図1において、Y軸ビーム6、X軸ビーム7を駆動することにより、実装ヘッド8はX方向、Y方向に移動する。これにより2つの実装ヘッド8は、それぞれ対応した部品供給部4に配置されたテープフィーダ5の部品供給位置5aから電子部品を吸着ノズル8bによって吸着して取り出して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装点に装着する。すなわち、Y軸ビーム6、X軸ビーム7および実装ヘッド8は、吸着ノズル8bによってテープフィーダ5(部品供給手段)の部品供給位置5aから電子部品を吸着して基板3に実装する部品実装手段9を構成する。
【0015】
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ10が配設されている。部品供給部4から電子部品を取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ10の上方を移動する際に、部品認識カメラ10は実装ヘッド8に保持された状態の電子部品を撮像して電子部品の保持姿勢を認識する。実装ヘッド8が取り付けられたプレート7aには基板認識カメラ11が取り付けられている。基板認識カメラ11は、実装ヘッド8と一体的に移動する。すなわち、基板認識カメラ11(第1の認識手段)は、部品実装手段9とともに移動可能である。
【0016】
実装ヘッド8が移動することにより、基板認識カメラ11は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板3の位置を認識する。また、基板認識カメラ11はテープフィーダ5の部品供給位置5aの上方に移動し、部品供給位置5a付近のキャリヤテープの状態を認識する。実装ヘッド8による基板3への部品実装動作においては、部品認識カメラ10による電子部品の認識結果と、基板認識カメラ11による電子部品の認識結果、基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0017】
図2に示すように、部品供給部4にはフィーダベース12aに予め複数のテープフィーダ5が装着された状態の台車12がセットされる。台車12には、電子部品を保持したキャリヤテープ13を巻回状態で収納するテープリール14が保持されている。テープリール14から引き出されたキャリヤテープ13は、テープフィーダ5によって部品供給位置5aまでピッチ送りされる。
【0018】
次に
図3を参照して、基板3に実装される電子部品である表面実装用のチップLEDなどの発光素子Dの構造について説明する。
図3(a)、
図3(c)において、発光素子Dの本体部Dmの上面Duの一部には、発光部Sが形成されている。
図3(b)、
図3(c)において、発光素子Dの本体部Dmの裏面Ddには、電極E1、電極E2が形成されている。発光部Sは、電極E1と電極E2の間に電圧を加えると光を発する機能部である。発光素子Dを製造する際は、発光部SのLEDチップと電極E1、電極E2を導線で接続した後、型に樹脂を流し込んで本体部Dmを形成する。そのため、発光部Sと電極E1,E2の相対位置の製造ばらつきは、本体部Dmにおける発光部Sの相対位置の製造ばらつきよりも小さい(
図9参照)。
【0019】
このように、発光素子Dは上面Du(第1の面)に形成された機能部と、裏面Dd(第1の面とは反対に位置する第2の面)に形成された電極E1,E2を備える電子部品となる。以下、テープフィーダ5(部品供給手段)によって供給され、部品実装手段9による部品実装動作によって基板3に実装される電子部品の例として、発光素子Dを用いて説明する。
【0020】
次に
図4(a)、
図4(b)を参照して、基板認識カメラ11による部品供給位置5aに供給された発光素子Dの認識動作について説明する。
図4(a)において、テープフィーダ5の上部には、キャリヤテープ13を上方からガイドする押え部材15が配設されている。押え部材15には、部品供給位置5aに位置して開口部15aが設けられている。
【0021】
図4(b)は、部品供給位置5a付近のキャリヤテープ13を上方から見た状態を示しており、押え部材15は図示省略している。キャリヤテープ13のベーステープ13aには、発光素子Dを収納する凹形状のポケット13bと、キャリヤテープ13をピッチ送りするスプロケット(図示省略)が係合する送り穴13cが等間隔に形成されている。発光素子Dを収納したポケット13bの上面には、カバーテープ13dが貼着されている。
【0022】
図4(a)において、カバーテープ13dは開口部15aの縁部15bで剥離されて折り返される。これによって、部品供給位置5aを含む下流側(
図4(a)の右側)のポケット13bの上方が開放される。以下、部品供給位置5aにピッチ送りされたポケット13bを「対象ポケット13b*」と称する。基板認識カメラ11は、Y軸ビーム6、X軸ビーム7を駆動することによって部品供給位置5aの上方に移動して(矢印a)、開口部15aを通して部品供給位置5aの対象ポケット13b*を撮像する。
【0023】
次に、
図5を参照して、基板認識カメラ11によって撮像された対象ポケット13b*のポケット認識画像11aの一例を説明する。基板認識カメラ11は、発光素子Dの発光部Sを選択的に認識できるように対象ポケット13b*を撮像する。
図5(a)には、対象ポケット13b*、発光素子D、発光部S、基板認識カメラ11に相対的な位置ずれがない例が示されている。ポケット認識画像11aでは、対象ポケット13b*と発光素子Dの本体部Dmは認識されないが、便宜上、図中に対象ポケット13b*と発光素子Dの本体部Dmの位置を点線で示している。
【0024】
図5(a)において、部品供給位置5aの上方に移動した基板認識カメラ11の撮像視野11b(
図4(b)も参照)の中心11cは、点線で示す対象ポケット13b*のポケット中心Cp、点線で示す発光素子Dの部品中心Cdと一致している。ポケット認識画像11aには、X方向の中心線11xとY方向の中心線11yが重ねて表示されている。また、ポケット認識画像11aより認識された発光部Sの発光中心Csが機能部の位置であり、黒丸で表示されている。この発光部Sの発光中心Csを、発光部Sの目標発光中心Cs0と定義する。
【0025】
図5(b)には、発光部Sの発光中心Csが目標発光中心Cs0から位置ずれしているポケット認識画像11aの例が示されている。発光部Sの発光中心Csが目標発光中心Cs0から位置ずれする原因は、発光素子Dが対象ポケット13b*の中で移動する他、本体部Dmにおける発光部Sの位置の製造ばらつきもある(
図9参照)。ポケット認識画像11aを認識処理部31(
図7参照)によって認識処理することにより、発光部Sの発光中心Csの目標発光中心Cs0からのX方向、Y方向の位置ずれ量を示す発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsが算出される。このように、基板認識カメラ11と認識処理部31は、発光部Sの発光中心Cs(機能部の位置)を認識する第1の認識手段となる。
【0026】
次に、
図6を参照して、部品認識カメラ10による部品認識について説明する。実装ヘッド8による部品実装動作では、
図6(a)に示すように、吸着ノズル8bによって発光素子Dを吸着保持した実装ヘッド8が部品認識カメラ10の上方を所定方向に移動する際に、発光素子Dの画像が取得される。部品認識カメラ10は、発光素子Dの裏面Ddに形成された電極E1,E2および本体部Dmを撮像する。
【0027】
図6(b)に、吸着ノズル8bのノズル中心Cnが、部品認識画像10aの中心10cと一致するように実装ヘッド8を移動させて撮像した部品認識画像10aの一例を示す。発光素子Dは、ノズル中心Cnが発光部Sの発光中心Csと一致するように吸着ノズル8bによって吸着保持されている。部品認識画像10aには、X方向の中心線10xとY方向の中心線10yが重ねて表示されており、X方向の中心線10xとY方向の中心線10yの交点が部品認識画像10aの中心10cとなる。
【0028】
部品認識画像10aを認識処理部31によって認識処理することにより、発光素子Dの電極E1,E2または本体部Dmの位置が認識される。この例では、認識処理部31は、電極E1と電極E2の中間の位置(電極E1と電極E2の対向する側辺の中間の位置)である電極中心Ceを電極の位置として抽出する。また、認識処理部31は、本体部Dmの外形形状の中心である外形中心Cfを電子部品の外形位置として抽出する。このように、部品認識カメラ10と認識処理部31は、部品実装手段9に保持された電子部品の位置(発光素子Dの電極中心Ceまたは外形中心Cf)を認識する第2の認識手段である。
【0029】
さらに認識処理部31は、部品認識画像10aの中心10cからの電極中心CeのX方向、Y方向、θ方向の位置を示す電極中心位置Xe,Ye,θeを算出する。また、認識処理部31は、部品認識画像10aの中心10cからの外形中心CfのX方向、Y方向、θ方向の位置を示す外形中心位置Xf,Yf,θf(図示省略)を算出する。
【0030】
電極中心Ceは、吸着ノズル8b、発光素子D、発光部S、電極E1,E2、部品認識カメラ10に相対的な位置ずれがない場合の目標電極中心Ce0(図示省略)から、次の原因によってずれることがある。すなわち、電極中心Ceの位置ずれの原因として、対象ポケット13b*内の発光素子Dの位置や姿勢のばらつき、吸着ノズル8bが発光素子Dを吸着する際の吸着位置のばらつきの他、発光部Sと電極E1,E2(または本体部Dm)の相対位置の製造ばらつきもある(
図9参照)。
【0031】
次に
図7を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御部30、基板搬送機構2、テープフィーダ5、部品実装手段9、部品認識カメラ10、基板認識カメラ11、入力部36、表示部37を備えている。制御部30は、認識処理部31、補正部32、位置ずれ量算出部33、実装動作処理部34、実装記憶部35を備えている。実装記憶部35は記憶装置であり、実装データ記憶部40、認識結果記憶部41、補正値記憶部42、位置ずれ量記憶部43、代表位置ずれ量記憶部44を備えている。入力部36は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時に用いられる。表示部37は液晶パネルなどの表示装置であり、各種データの他、部品認識画像10a、ポケット認識画像11aなどを表示する。
【0032】
実装データ記憶部40は、基板3に実装される発光素子Dの発光部S(機能部)の実装位置などのデータを生産対象の基板3の種類ごとに記憶する。認識処理部31は、基板認識カメラ11が撮像したポケット認識画像11aを認識処理して、発光部Sの位置ずれ量である発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsを算出する。発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsは、発光素子D毎に算出されて認識結果記憶部41に記憶される。
図8(a)に、10個の発光素子Dにおいて算出されたX方向の発光部位置ずれ量ΔXsの例を示す。
【0033】
また、認識処理部31は、部品認識カメラ10が撮像した部品認識画像10aを認識処理して、電極中心Ceまたは外形中心Cfを抽出し、電極中心位置Xe,Ye,θeまたは外形中心位置Xf,Yf,θfを算出する。電極中心位置Xe,Ye,θeと外形中心位置Xf,Yf,θfは、発光素子D毎に算出されて認識結果記憶部41に記憶される。
図8(b)に、15個の発光素子Dにおいて算出されたX方向の電極中心位置Xeの例を示す。なお、認識処理部31は、発光素子D毎に電極中心位置Xe,Ye,θeと外形中心位置Xf,Yf,θfの両方を算出してもよいし、いずれか一方のみを算出してもよい。
【0034】
図7において、補正部32は、実装データ記憶部40に記憶されている発光部Sの実装位置と認識結果記憶部41に記憶されている発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsに基づいて、発光素子D(電子部品)を吸着する際の第1の補正値を算出して補正値記憶部42に記憶させる。すなわち、補正部32は、基板認識カメラ11と認識処理部31(第1の認識手段)の認識結果に基づいて、発光素子D(電子部品)を吸着する際の第1の補正値を算出する。実装動作処理部34は、補正値記憶部42に記憶されている第1の補正値に基づいて部品実装手段9を制御して、吸着位置を補正して吸着ノズル8bによって発光素子Dを吸着する。
【0035】
図7において、位置ずれ量算出部33は、認識結果記憶部41に記憶されている発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsと電極中心位置Xe,Ye,θe(または、外形中心位置Xf,Yf,θf)に基づいて、電極中心位置Xe,Ye,θe(または、外形中心位置Xf,Yf,θf)を基点とする発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseを算出して、位置ずれ量記憶部43に記憶させる。すなわち、位置ずれ量算出部33は、第1の認識手段(基板認識カメラ11と認識処理部31)の認識結果と、第2の認識手段(部品認識カメラ10と認識処理部31)の認識結果とから発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYse(機能部の位置ずれ量)を算出する。
図8(c)に、10個の発光素子Dにおいて算出されたX方向の発光部Sの相対位置ずれ量ΔXseの例を示す。
【0036】
ここで
図9を参照して、発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseについて説明する。
図9には、発光部S側(上面Du側)から見た発光素子Dに、裏面Ddの電極E1と電極E2の位置を点線で示している。また
図9には、電極中心Ceに対して位置ずれがない基準の発光部S*と発光中心Cs*を二点鎖線で示している。この基準の発光部S*の発光中心Cs*からの実際の発光部Sの発光中心Csまでの距離が発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseとなる。
【0037】
位置ずれ量算出部33は、発光素子Dを吸着ノズル8bで吸着する際に発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsに基づいて第1の補正値で吸着位置を補正する場合、電極中心位置Xe,Ye,θe(または外形中心位置Xf,Yf,θf)に基づいてθ方向を補正して発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseを算出する。位置ずれ量算出部33は、吸着位置を補正せずに対象ポケット13b*の中心などの所定の位置を吸着する場合(第1の補正値で吸着位置を補正しない場合)、発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsと電極中心位置Xe,Ye,θe(または外形中心位置Xf,Yf,θf)に基づいて発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseを算出する。
【0038】
このように、位置ずれ量算出部33は、発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYs(第1の認識手段の認識結果)と電極中心位置Xe,Ye,θeまたは外形中心位置Xf,Yf,θf(第2の認識手段の認識結果)とから相対位置ずれ量ΔXse,ΔYse(機能部の位置ずれ量)を算出する。位置ずれ量算出部33は、10個の発光素子DのX方向の発光部Sの相対位置ずれ量ΔXseからX方向の位置ずれ量の範囲Rxを算出する。また同様に、位置ずれ量算出部33は、10個の発光素子DのY方向の発光部Sの相対位置ずれ量ΔYseからY方向の位置ずれ量の範囲Ryを算出する。以下、X方向の位置ずれ量の範囲RxとY方向の位置ずれ量の範囲Ryを合わせて、位置ずれ量の範囲Rx,Ryと称す。
【0039】
なお
図8(c)には、位置ずれ量の範囲Rx,Ryとして、10個の発光素子Dの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseの最大値と最小値の差(レンジ)を表示してあるがこれに限定されることはない。位置ずれ量の範囲Rx,Ryは、最大値と最小値を除いた2番目に大きな値と2番目に小さな値の差であってもよい。位置ずれ量の範囲Rx,Ryの算出方法は、適宜選択される。
【0040】
位置ずれ量算出部33は、算出した位置ずれ量の範囲Rx,Ryが所定の判定範囲R0x,R0yより小さい場合、10個の発光素子DのX方向の発光部Sの相対位置ずれ量ΔXseよりX方向の代表位置ずれ量Xseを、Y方向の発光部Sの相対位置ずれ量ΔYseよりY方向の代表位置ずれ量Yseをそれぞれ算出する。以下、X方向の代表位置ずれ量XseとY方向の代表位置ずれ量Yseを合わせて、代表位置ずれ量Xse,Yseと称す。算出された代表位置ずれ量Xse,Yseは、代表位置ずれ量記憶部44に記憶される。
【0041】
このように、位置ずれ量算出部33は、所定個数の複数の発光素子D(電子部品)の発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYse(機能部の位置ずれ量)から算出された位置ずれ量の範囲Rx,Ryが判定範囲R0x,R0y(所定の値)よりも小さい場合、複数の相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseに基づいて代表位置ずれ量Xse,Yseを算出する。なお、
図8(c)では位置ずれ量の範囲Rx,Ryを判定する発光素子Dの所定個数として10個の例を示しているが、所定個数は発光素子Dの種類に応じて適宜設定される。
【0042】
また、位置ずれ量算出部33が算出する代表位置ずれ量Xse,Yseは、複数の発光素子Dの発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseの平均値でも、中央値でもよい。代表位置ずれ量Xse,Yseは、発光素子Dの製造に起因する発光部Sと電極E1,E2(または、発光素子Dの本体部Dm)との位置ずれ量の代表値となる。代表位置ずれ量Xse,Yseが算出された後は、発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsは算出されない。すなわち、第1の認識手段による発光部Sの撮像と補正部32による第1の補正値の算出は省略され、実装動作処理部34は代表位置ずれ量Xse,Yseに基づいて部品実装手段9を制御して、部品供給位置5aにある発光素子Dを吸着させる。
【0043】
代表位置ずれ量Xse,Yseが得られると、電極中心位置Xe,Ye,θe(または、外形中心位置Xf,Yf,θf)に基づいて発光部Sの発光中心Csの予想位置を算出して、実装位置を補正して発光素子Dを基板3に実装する。具体的には、補正部32は、代表位置ずれ量Xse,Yseと第2の認識手段(部品認識カメラ10と認識処理部31)の認識結果とから第2の補正値を算出する。算出された第2の補正値は、補正値記憶部42に記憶される。
【0044】
そして、実装動作処理部34は、補正値記憶部42に記憶されている第2の補正値に基づいて部品実装手段9を制御して、実装位置を補正して発光素子Dを基板3に実装させる。すなわち、部品実装手段9は、第2の補正値(代表位置ずれ量Xse,Yseと第2の認識手段の認識結果)に基づき、発光部Sが基板3の所定の位置に位置するように発光素子D(電子部品)を基板3に実装する。これによって、基板認識カメラ11による対象ポケット13b*の撮像工程を省略することができ、基板3に対する発光部Sの位置合わせ精度を維持しつつ、効率良く発光素子Dを基板3に実装することができる。
【0045】
発光部Sの位置ずれ量の範囲Rx,Ryが判定範囲R0x,R0y(所定の値)よりも大きい場合、第1の認識手段による発光部Sの撮像、認識処理部31による発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsの算出、補正部32による第1の補正値の算出は継続され、実装動作処理部34は第1の補正値に基づいて部品実装手段9を制御して、部品供給位置5aにある発光素子Dを吸着させる。
【0046】
そして、実装動作処理部34は発光部位置ずれ量ΔXs,ΔYsと第2の認識手段の認識結果に基づいて部品実装手段9を制御して、発光部Sが基板3の所定の位置に位置するように発光素子D(電子部品)を基板3に実装させる。すなわち、部品実装手段9は、第1の認識手段(基板認識カメラ11と認識処理部31)の認識結果と第2の認識手段(部品認識カメラ10と認識処理部31)の認識結果とに基づき電子部品(発光素子D)を実装する。
【0047】
次に、
図10のフローに沿って、
図8を参照しながら部品実装装置1を用いた実装基板の製造方法について説明する。以下、発光素子Dを部品実装手段9により保持して基板3に実装する工程について主に説明する。基板搬送機構2により基板3を実装作業位置に搬入する工程、基板3を位置決め保持する工程、発光素子Dが実装された基板3を下流側に搬出する工程については説明を省略する。これらの工程は、基板3に所定の発光素子Dが実装されると順次実行される。すなわち、以下に説明する実装基板の製造方法では、発光素子Dの実装作業の途中で実装対象の基板3が交換されることがあるが、基板3の交換についての説明は省略する。
【0048】
まず、基板認識カメラ11と認識処理部31(第1の認識手段)は、テープフィーダ5の部品供給位置5aに供給された発光素子D(電子部品)の上面Du(第1の面)に形成された発光部Sの発光中心Cs(機能部の位置)を認識する(ST1:発光部認識工程)。次いで認識処理部31が発光位置ずれ量ΔXs,ΔYsを算出し、補正部32が第1の補正値を算出する。次いで実装動作処理部34は算出された第1の補正値(認識された機能部の位置)に基づいて部品実装手段9を制御して、部品供給位置5aにある発光素子Dを吸着する(ST2)。
【0049】
次いで部品認識カメラ10と認識処理部31(第2の認識手段)は、部品実装手段9に保持された電子部品の位置(電極中心Ceまたは外形中心Cf)を認識する(ST3:第1の電子部品認識工程)。次いで第2の認識手段は、電極中心位置Xe,Ye,θeまたは発光素子Dの外形中心位置Xf,Yf,θfを算出する。
【0050】
図10において、次いで位置ずれ量算出部33は、認識された機能部の位置(発光中心Cs)と電子部品の位置(電極中心Ceまたは外形中心Cf)から発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseを算出する(ST4)。すなわち、位置ずれ量算出部33は、発光位置ずれ量ΔXs,ΔYsと電極中心位置Xe,Ye,θe(または外形中心位置Xf,Yf,θf)から相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseを算出する。算出された相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseは、位置ずれ量記憶部43に記憶される。
【0051】
次いで実装動作処理部34は部品実装手段9を制御して、第1の認識手段の認識結果と第2の認識手段の認識結果に基づき発光素子Dを基板3に実装する(ST5)。このように、部品実装手段9は、認識された機能部の位置(発光部Sの発光中心Cs)と電子部品の位置(電極中心Ceまたは外形中心Cf)とに基づき電子部品(発光素子D)を基板3に実装する(ST1~ST5)。
【0052】
図10において、次いで位置ずれ量算出部33は、所定個数の発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseが取得されたか否かを判断する(ST6)。所定個数が取得できていない場合(ST6においてNo)、発光部認識工程(ST1)に戻って、次に実装される発光素子Dの発光部Sの位置を認識する。所定個数が取得された場合(ST6においてYes)(
図8(c)において10個目)、位置ずれ量算出部33は、記憶されている(取得された)位置ずれ量の範囲Rx,Ryが判定範囲R0x,R0y(所定の値)よりも小さいか否かを判断する(ST7)。
【0053】
所定個数の複数の発光素子D(電子部品)の相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseから算出された位置ずれ量の範囲Rx,Ryが判定範囲R0x,R0y(所定の値)より大きい(小さくない)場合(ST7においてNo)は、発光部認識工程(ST1)に戻る。そして、実装動作処理部34は部品実装手段9を制御して、引き続き認識された機能部の位置(発光部Sの発光中心Cs)と電子部品の位置(電極中心Ceまたは外形中心Cf)とに基づいて電子部品(発光素子D)を実装する(ST1~ST5)。
【0054】
図10において、位置ずれ量の範囲Rx,Ryが判定範囲R0x,R0yよりも小さい場合(ST7においてYes)、位置ずれ量算出部33は、複数の相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseに基づいて代表位置ずれ量Xse,Yseを算出する。次いで実装動作処理部34は代表位置ずれ量Xse,Yseに基づいて部品実装手段9を制御して、部品供給位置5aにある発光素子Dを吸着する(ST9)。次いで第1の電子部品認識工程(ST3)と同様に、部品認識カメラ10と認識処理部31(第2の認識手段)は、部品実装手段9に保持された発光素子Dの電子部品の位置(電極中心Ceまたは外形中心Cf)を認識する(ST10:第2の電子部品認識工程)。
【0055】
次いで補正部32は、算出された代表位置ずれ量Xse,Yseと認識された電子部品の位置に基づいて第2の補正値を算出する。次いで実装動作処理部34は第2の補正値に基づき部品実装手段9を制御して、発光素子Dを基板3に実装する(ST11)。次いで(ST9)に戻って、次に基板3に実装する発光素子Dを吸着する。
【0056】
このように、代表位置ずれ量Xse,Yseが算出されると(ST8)、以降は機能部の位置(発光中心Cs)を認識せずに、代表位置ずれ量Xse,Yseと認識された電子部品の位置(電極中心Ceまたは外形中心Cf)とに基づき電子部品(発光素子D)が基板3に実装される(ST11)。これによって、基板3に対する発光部Sの位置合わせ精度を維持しつつ、発光部認識工程(ST1)を省略して効率良く発光素子Dを基板3に実装することができる。
【0057】
なお、発光素子Dの基板3への実装が継続して実行されている時にテープフィーダ5から供給されている発光素子Dのロットが切り替わると、新しいロットに対応した代表位置ずれ量Xse,Yseが算出される。すなわち、発光部認識工程(ST1)に戻って、新しいロットの発光素子Dの発光部Sの位置が認識され、所定個数の発光部Sの相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseを取得し、新しいロットに対応する代表位置ずれ量Xse,Yseが算出される。これによって、ロットが替わっても基板3に対する発光部Sの位置合わせ精度を維持することができる。また、発光素子Dの実装作業が一定時間以上停止した場合も、発光素子Dのロットが切り替わった場合と同様に、作業再開後に代表位置ずれ量Xse,Yseを再度取得するようにしてもよい。
【0058】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、電子部品(発光素子D)を供給する部品供給手段(テープフィーダ5)と、機能部(発光部S)の位置(発光中心Cs)を認識する第1の認識手段(基板認識カメラ11と認識処理部31)と、電子部品の位置(電極中心Ceまたは外形中心Cf)を認識する第2の認識手段(部品認識カメラ10と認識処理部31)と、第1の認識手段の認識結果と、第2の認識手段の認識結果とから機能部の位置ずれ量(発光部の相対位置ずれ量ΔXse,ΔYse)を算出する位置ずれ量算出部33と、第1の認識手段の認識結果と第2の認識手段の認識結果との少なくとも一方に基づき電子部品を基板3に実装する部品実装手段9と、を備えている。
【0059】
そして、所定個数の複数の電子部品の相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseから算出された位置ずれ量の範囲Rx,Ryが所定の値(判定範囲R0x,R0y)よりも小さい場合、位置ずれ量算出部33は、複数の相対位置ずれ量ΔXse,ΔYseに基づいて代表位置ずれ量Xse,Yseを算出し、部品実装手段9は、代表位置ずれ量Xse,Yseと第2の認識手段の認識結果に基づき電子部品を基板3に実装する。これによって、基板3に対する機能部(発光部S)の位置合わせ精度を維持しつつ、効率良く電子部品(発光素子D)を基板3に実装することができる。
【0060】
なお、上記は機能部を備える電子部品として、発光部Sを備える発光素子Dを例に説明したが、電子部品は発光素子Dに限定されることはない。例えば、電子部品は、上面に画像撮像用のセンサ領域(機能部)を備えるイメージセンサ(電子部品)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の部品実装装置および実装基板の製造方法は、基板に対する機能部の位置合わせ精度を維持しつつ、効率良く電子部品を基板に実装することができるという効果を有し、電子部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 部品実装装置
3 基板
5 テープフィーダ(部品供給手段)
9 部品実装手段
10 部品認識カメラ(第2の認識手段)
11 基板認識カメラ(第1の認識手段)
Cs 発光中心(機能部の位置)
Ce 電極中心(電子部品の位置)
Cf 外形中心(電子部品の位置)
D 発光素子(電子部品)
Du 上面(第1の面)
Dd 裏面(第2の面)
E1,E2 電極
R0x 判定範囲(所定の値)
Rx 位置ずれ量の範囲
S 発光部(機能部)
Xse 代表位置ずれ量
ΔXse 相対位置ずれ量(機能部の位置ずれ量)