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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】コンデンサおよびコンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/32 20060101AFI20240126BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20240126BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20240126BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H01G4/32 531
H01G4/32 550
H01G4/38 A
H01G2/02 101E
H01G4/228 J
H01G4/228 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020536431
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(86)【国際出願番号】 JP2019028733
(87)【国際公開番号】W WO2020031676
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2018149807
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】丁 柏林
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-252935(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012187(WO,A1)
【文献】特開2018-068096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/32
H01G 4/38
H01G 2/02
H01G 4/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の電極に接続される端子部材と、を備え、
前記端子部材は、前記端子部材の端部に設けられ、外部端子に接続可能な接続端子部と前記接続端子部以外の部分である本体部とを含み、
前記接続端子部は、前記端子部材の前記端部から延び出す第1端子部と当該第1端子部に重ね合される第2端子部とを含み、
前記接続端子部は前記本体部より厚みが大きい、
コンデンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンデンサにおいて、
前記接続端子部は、前記外部端子との接続に用いられる貫通孔または切欠部を有する、
コンデンサ。
【請求項3】
請求項1に記載のコンデンサにおいて、
前記接続端子部は、前記外部端子との接続に用いられる貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記第1端子部に形成された第1孔と前記第2端子部に形成された第2孔により構成され、
前記第1孔の直径と前記第2孔の直径が同じである、
コンデンサ。
【請求項4】
請求項1に記載のコンデンサにおいて、
前記接続端子部は、前記外部端子との接続に用いられる切欠部を有し、
前記切欠部は、前記第1端子部に形成された第1切欠部と前記第2端子部に形成された第2切欠部により構成され、
前記第1切欠部の大きさと前記第2切欠部の大きさが同じである、
コンデンサ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記第2端子部は、前記第1端子部の一端に繋がっており、前記第1端子部の前記一端か
ら折り返されて前記第1端子部に重ね合されている、
コンデンサ。
【請求項6】
請求項1~4の何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記第2端子部は、前記第1端子部と別体に設けられて前記第1端子部に重ね合されている、
コンデンサ。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記第1端子部の前記第2端子部と重なり合う部分の厚みは、前記第2端子部の前記第1端子部と重なり合う部分の厚みと同じである、
コンデンサ。
【請求項8】
請求項6に記載のコンデンサにおいて、
前記第2端子部の前記第1端子部と重なり合う部分の厚みは、前記第1端子部の前記第2端子部と重なり合う部分の厚みよりも大きい、
コンデンサ。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記第1端子部と前記第2端子部が接合されている、
コンデンサ。
【請求項10】
請求項9に記載のコンデンサにおいて、
前記第1端子部と前記第2端子部がリベットにより接合されている、
コンデンサ。
【請求項11】
請求項9に記載のコンデンサにおいて、
前記第1端子部と前記第2端子部が圧着により接合されている、
コンデンサ。
【請求項12】
請求項9に記載のコンデンサにおいて、
前記第1端子部と前記第2端子部が半田付けまたは溶接により接合されている、
コンデンサ。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記接続端子部は屈曲部を有し、
前記第1端子部と前記第2端子部とが重なり合う部分に前記屈曲部が含まれる、
コンデンサ。
【請求項14】
請求項5に記載のコンデンサにおいて、
前記接続端子部は屈曲部を有し、
前記第1端子部と前記第2端子部とが重なり合う部分に前記屈曲部が含まれ、
前記接続端子部において、前記屈曲部に対して前記第1端子部の前記一端とは反対側の部分で、前記第1端子部と前記第2端子部が接合されている、
コンデンサ。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記端子部材が接続された前記コンデンサ素子が収容されるケースと、
前記ケース内に充填される充填樹脂と、をさらに備え、
前記接続端子部は、前記第1端子部と前記第2端子部とが重なり合う部分における前記接
続端子部の先端とは反対側の端部が前記充填樹脂に埋没する、
コンデンサ。
【請求項16】
コンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の電極に接続される端子部材と、を備え、
前記端子部材は、前記端子部材の端部に設けられ、外部端子に接続可能な接続端子部を含み、
前記接続端子部は、前記端子部材の前記端部から延び出す第1端子部と当該第1端子部に重ね合される第2端子部とを含み、
前記接続端子部は屈曲部を有し、
前記第1端子部と前記第2端子部とが重なり合う部分に前記屈曲部が含まれる、
コンデンサ。
【請求項17】
端子部材を製造する工程と、
前記端子部材をコンデンサ素子の電極に接続する工程と、を含むコンデンサの製造方法であって、
前記端子部材は、前記端子部材の端部に設けられ、外部端子に接続可能な接続端子部と前記接続端子部以外の部分である本体部とを含み、
前記接続端子部は、前記端部から延び出す第1端子部と当該第1端子部に重ね合される第2端子部とを含み、
前記端子部材を製造する工程が、
展開状態の前記第1端子部と前記第2端子部とを、前記第1端子部と前記第2端子部の間の境界で折り曲げて重ね合せる工程と、
重ね合された前記第1端子部と前記第2端子部とを、前記第1端子部および前記第2端子部の厚み方向にプレスする工程と、を含み、
前記接続端子部は前記本体部より厚みが大きい、
コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンサおよびコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスバーの一端が接続されたコンデンサ素子をケース内に収納し、バスバーの他端に設けられた外部接続用の端子をケースの開口から外部へ引き出すようにしたコンデンサが知られている(たとえば、特許文献1参照)。外部接続用の端子は、バスバーの端部から延び出すように設けられ、当該端子に外部装置に設けられた外部端子が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-252935号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子の電極に接続される端子部材と、を備える。ここで、前記端子部材は、前記端子部材の端部に設けられ、外部端子に接続可能な接続端子部を含む。前記接続端子部は、前記端子部材の前記端部から延び出す第1端子部と当該第1端子部に重ね合される第2端子部とを含む。
【0005】
本開示の第2の態様に係るコンデンサの製造方法は、端子部材を製造する工程と、前記端子部材をコンデンサ素子の電極に接続する工程と、を含む。前記端子部材は、前記端子部材の端部に設けられ、外部端子に接続可能な接続端子部を含む。前記接続端子部は、前記端部から延び出す第1端子部と当該第1端子部に重ね合される第2端子部とを含む。前記端子部材を製造する工程は、展開状態の前記第1端子部と前記第2端子部とを、前記第1端子部と前記第2端子部の間の境界で折り曲げて重ね合せる工程と、重ね合された前記第1端子部と前記第2端子部とを、前記第1端子部および前記第2端子部の厚み方向にプレスする工程と、を含む。
【0006】
本開示によれば、コンデンサ素子の熱損傷が生じにくいコンデンサを提供できる。
【0007】
本開示の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本開示を実施化する際の一つの例示であって、本開示は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る、フィルムコンデンサの斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る、コンデンサ素子ユニットがケース内に収容される前のコンデンサ素子ユニットおよびケースの斜視図である。
図3A図3Aは、実施の形態に係る、第1バスバーの斜視図である。
図3B図3Bは、実施の形態に係る、第2バスバーの斜視図である。
図4A図4Aは、実施の形態に係る、第1後接続端子部の周辺が示された第1バスバーの要部の斜視図である。
図4B図4Bは、実施の形態に係る、第2後接続端子部の周辺が示された第2バスバーの要部の斜視図である。
図5A図5Aは、実施の形態に係る、第1バスバーの第1後接続端子部の周辺を示すフィルムコンデンサの要部の断面図である。
図5B図5Bは、実施の形態に係る、第2バスバーの第2後接続端子部の周辺を示すフィルムコンデンサの要部の断面図である。
図6図6は、実施の形態に係る、バスバー製造工程の流れを示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る、接続端子部折り曲げ工程について説明するための図である。
図8A図8Aは、実施の形態に係る、接続端子部プレス工程について説明するための図である。
図8B図8Bは、実施の形態に係る、接続端子部仕上げ工程について説明するための図である。
図9A図9Aは、変更例に係る、第1後接続端子部および第2後接続端子部について説明するための図である。
図9B図9Bは、変更例に係る、第1後接続端子部および第2後接続端子部について説明するための図である。
図10A図10Aは、変更例に係る、第1後接続端子部および第2後接続端子部について説明するための図である。
図10B図10Bは、変更例に係る、第1後接続端子部および第2後接続端子部について説明するための図である。
図10C図10Cは、変更例に係る、第1後接続端子部および第2後接続端子部について説明するための図である。
図11A図11Aは、変更例に係る、第1後接続端子部および第2後接続端子部について説明するための図である。
図11B図11Bは、変更例に係る、第1後接続端子部および第2後接続端子部について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の説明に先立ち、従来の技術における問題点について簡単に説明する。外部接続用の端子は、バスバーにおけるコンデンサ素子側の本体部分に比べて電流の流れに直交する方向の幅が小さくなりやすく、本体部分と厚みは同じでもその幅方向の断面積が小さくなりやすいので、電気抵抗が大きくなりやすい。このため、外部装置からコンデンサに流れる電流が大きくなった場合に、外部接続用の端子が発熱して高温になりやすい。外部接続用の端子が高温となった場合、その熱がバスバーを介してコンデンサ素子に伝播すると、コンデンサ素子が熱損傷を受けてしまうことが懸念される。
【0010】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車へのコンデンサの使用が始められている。たとえば、電気モータ等を駆動するためのインバータユニットにコンデンサが搭載され得る。インバータユニットには電源装置から電力が供給され、このとき、電源装置に繋がる外部端子がコンデンサの外部接続用の端子に接続される。このような場合、特に、電源装置からコンデンサに大きな電流が流れやすく、大電流が流れることにより外部接続用の端子に発熱が生じやすくなる。これにより、コンデンサ素子の熱損傷が生じやすくなる。
【0011】
かかる課題に鑑み、本開示は、コンデンサ素子の熱損傷が生じにくいコンデンサを提供する。
【0012】
以下、本開示のコンデンサの一実施形態であるフィルムコンデンサ1について図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、前後、左右および上下の方向が付記されている。なお、図示の方向は、あくまでフィルムコンデンサ1の相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。
【0013】
本実施の形態において、フィルムコンデンサ1が、請求の範囲に記載の「コンデンサ」に対応する。また、第1端面電極410および第2端面電極420が、請求の範囲に記載の「電極」に対応する。さらに、第1バスバー500および第2バスバー600が、請求の範囲に記載の「端子部材」に対応する。さらに、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630が、請求の範囲に記載の「接続端子部」に対応する。
【0014】
ただし、上記記載は、あくまで、請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって請求の範囲に記載の開示が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0015】
図1は、フィルムコンデンサ1の斜視図である。
【0016】
図1を参照し、フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子ユニット100と、ケース200と、充填樹脂300とを備える。コンデンサ素子ユニット100がケース200内に収容され、ケース200内に充填樹脂300が充填される。充填樹脂300は、熱硬化性樹脂、たとえば、エポキシ樹脂である。コンデンサ素子ユニット100の充填樹脂300に埋没した大部分が、ケース200および充填樹脂300によって湿気や衝撃から保護される。
【0017】
図2は、コンデンサ素子ユニット100がケース200内に収容される前のコンデンサ素子ユニット100およびケース200の斜視図である。図3Aは、第1バスバー500の斜視図であり、図3Bは、第2バスバー600の斜視図である。
【0018】
図2図3Aおよび図3Bを参照し、コンデンサ素子ユニット100は、6つのコンデンサ素子400と、第1バスバー500と、第2バスバー600と、第1絶縁シート700と、第2絶縁シート800とを含む。
【0019】
コンデンサ素子400は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層し、扁平状に押圧することにより形成される。コンデンサ素子400には、一方の端面に、亜鉛等の金属の吹付けにより第1端面電極410が形成され、他方の端面に、同じく亜鉛等の金属の吹付けにより第2端面電極420が形成される。6つのコンデンサ素子400は、両端面が上下方向を向く状態で、前後2列であって各列に3つずつ配置され、この状態で、これらコンデンサ素子400の第1端面電極410および第2端面電極420に第1バスバー500および第2バスバー600がそれぞれ接続される。
【0020】
なお、本実施の形態のコンデンサ素子400は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されたが、これ以外にも、亜鉛、マグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。あるいは、コンデンサ素子400は、これらの金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよいし、これらの金属どうしの合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。
【0021】
第1バスバー500は、導電性材料、たとえば、銅板を適宜切り抜き、折り曲げることによって形成され、第1本体部510と、3つの第1前接続端子部520と、第1後接続端子部530とが一体となった構成を有する。
【0022】
第1本体部510は、端子面部510aと、前面部510bとを含む。端子面部510aは、後端部の右端近傍部分がやや後方に張り出した、ほぼ長方形の形状を有し、6つのコンデンサ素子400の第1端面電極410を上方から覆う。端子面部510aには、左右方向に並ぶ6つの開口部511の前縁に第1電極端子512が形成される。また、端子面部510aには、後端部に4つの第1電極端子512が形成され、右端部に3つの第1電極端子512が形成される。各コンデンサ素子400の第1端面電極410に対して2つの第1電極端子512が接触し、これら第1電極端子512が、第1端面電極410に半田付け等の接合方法で接合される。これにより、第1バスバー500が6つのコンデンサ素子400の第1端面電極410に電気的に接続される。前面部510bは、細長いほぼ長方形の形状を有し、端子面部510aの前縁部から立ち上がる。前面部510bの上端部は、前方へ張出すように屈曲する。
【0023】
第1本体部510には、端子面部510aに2つの円形の流通孔513が形成される。2つの流通孔513の下には、コンデンサ素子400が存在しない。また、第1本体部510には、端子面部510aと前面部510bとに跨るようにして、長円形の流通孔514が形成される。3つの第1前接続端子部520は、等間隔で左右方向に並ぶように前面部510bの上端部に設けられる。第1前接続端子部520は、上方に延びた後に屈曲し前方へと延びる鉤形状を有する。第1前接続端子部520には、屈曲部521よりも先端部側に円形の貫通孔522が形成される。
【0024】
第1後接続端子部530は、第1バスバー500の後側の端部である端子面部510aの後端部に設けられる。第1後接続端子部530は、上方に延びた後に屈曲し後方へと延びる鉤形状を有する。第1後接続端子部530には、屈曲部531よりも先端部側に円形の貫通孔532が形成される。第1後接続端子部530の詳細な構成については後述する。
【0025】
第2バスバー600は、導電性材料、たとえば、銅板を適宜切り抜き、折り曲げることによって形成され、第2本体部610と、3つの第2前接続端子部620と、第2後接続端子部630とが一体となった構成を有する。
【0026】
第2本体部610は、端子面部610aと、前面部610bと、後面部610cを含む。端子面部610aは、ほぼ長方形の形状を有し、6つのコンデンサ素子400の第2端面電極420を下方から覆う。端子面部610aには、前後2つ、左右方向6つの合計12個の開口部611が形成され、各開口部611の前縁に第2電極端子612が形成される。各コンデンサ素子400の第2端面電極420に対して2つの第2電極端子612が接触し、これら第2電極端子612が、第2端面電極420に半田付け等の接合方法で接合される。これにより、第2バスバー600が6つのコンデンサ素子400の第2端面電極420に電気的に接続される。前面部610bは、左側部分が高さの高い長方形の形状を有するとともに右側部分が高さの低い長方形の形状を有し、端子面部610aの前縁部から立ち上がる。前面部610bの左側部分の上端部は、前方へ張出すように屈曲する。後面部610cは、長方形の形状を有し、端子面部610aの後縁部から立ち上がる。
【0027】
第2本体部610には、端子面部610aに2つの円形の流通孔613が形成される。2つの流通孔613の上には、コンデンサ素子400が存在しない。また、第2本体部610には、端子面部610aと前面部610bとに跨るようにして、2つの長円形の流通孔614が形成される。
【0028】
なお、図3Bでは、前側の6つの開口部611および第2電極端子612と左側の流通孔613が前面部610bに隠れている。
【0029】
3つの第2前接続端子部620は、等間隔で左右方向に並ぶように前面部610bの左側部分の上端部に設けられる。第2前接続端子部620は、上方に延びた後に屈曲し前方へと延びる鉤形状を有する。第2前接続端子部620には、屈曲部621よりも先端部側に円形の貫通孔622が形成される。
【0030】
第2後接続端子部630は、第2バスバー600の後側の端部である後面部610cの上端部に設けられる。第2後接続端子部630は、上方に延びた後に屈曲し後方へと延びる鉤形状を有する。第2後接続端子部630には、屈曲部631よりも先端部側に円形の貫通孔632が形成される。第2後接続端子部630の詳細な構成については後述する。
【0031】
コンデンサ素子ユニット100の前側において、3つの第1前接続端子部520と3つの第2前接続端子部620とが左右方向に交互に並ぶ。また、コンデンサ素子ユニット100の後側において、第1後接続端子部530と第2後接続端子部630とが左右方向に並ぶ。
【0032】
第1バスバー500の前面部510bと第2バスバー600の前面部610bとの間に第1絶縁シート700が配置される。また、第2バスバー600の第2後接続端子部630とコンデンサ素子400との間に第2絶縁シート800が配置される。第1絶縁シート700および第2絶縁シート800は、絶縁紙や、アクリル、シリコン等の電気的な絶縁性を有する樹脂材料により形成される。第1絶縁シート700により第1バスバー500と第2バスバー600との間の絶縁距離が確保され、第2絶縁シート800により第2バスバー600の第2後接続端子部630とコンデンサ素子400の第1端面電極410との間の絶縁距離が確保される。
【0033】
ケース200は、樹脂製であり、たとえば、熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS)により形成される。ケース200は、ほぼ直方体の箱状に形成され、底壁201と、底壁201から立ち上がる前側壁202、後側壁203、左側壁204および右側壁205とを有し、上面が開口する。
【0034】
左側壁204および右側壁205には、上部に、取付タブ210が設けられる。取付タブ210は、左側壁204および右側壁205と同じ幅を有する。前側壁202および後側壁203は、左右の取付タブ210の先端まで延びる。取付タブ210には、挿通孔211が形成される。挿通孔211には、孔の強度を上げるために金属製のカラー212が嵌め込まれる。左右の取付タブ210の中央部の裏側には、下方に延びる取付ボス220が形成される。取付ボス220には、ナット(図示せず)が埋め込まれる。なお、図2では、右側の取付ボス220のみが描かれている。
【0035】
前側壁202には、右端近傍の上部に、取付タブ230が形成される。各取付タブ230には、挿通孔231が形成される。挿通孔231には、孔の強度を上げるために金属製のカラー232が嵌め込まれる。また、前側壁202には、下部に、左右方向に並ぶように4つの取付ボス240が形成される。取付ボス240には、ナット241が埋め込まれる。
【0036】
これら取付タブ210、230および取付ボス220、240は、フィルムコンデンサ1がインバータユニット等の外部装置の設置部に固定される際に用いられる。
【0037】
コンデンサ素子ユニット100がケース200内に収容され、ケース200内に溶融状態の充填樹脂300が注入される。このとき、充填樹脂300が、第1バスバー500の流通孔513、514および第2バスバー600の流通孔613、614を通ることにより、6つのコンデンサ素子400の間に充填樹脂300が行き渡りやすくなる。充填樹脂300が開口200aの近傍までケース200内に満たされ、充填樹脂300の注入が完了すると、ケース200が加熱される。これにより、ケース200内の充填樹脂300が硬化する。
【0038】
こうして、図1のように、フィルムコンデンサ1が完成する。3つの第1前接続端子部520、3つの第2前接続端子部620、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630が、ケース200内に充填された充填樹脂300から露出する。
【0039】
次に、第1バスバー500の第1後接続端子部530および第2バスバー600の第2後接続端子部630の詳細な構造について説明する。
【0040】
図4Aは、第1後接続端子部530の周辺が示された第1バスバー500の要部の斜視図であり、図4Bは、第2後接続端子部630の周辺が示された第2バスバー600の要部の斜視図である。図5Aは、第1バスバー500の第1後接続端子部530の周辺を示すフィルムコンデンサ1の要部の断面図であり、図5Bは、第2バスバー600の第2後接続端子部630の周辺を示すフィルムコンデンサ1の要部の断面図である。
【0041】
第1後接続端子部530は、第1本体部510の後端部から延び出す鉤状の第1端子部530aと、第1端子部530aの先端から折り返されて第1端子部530aに重ね合される鉤状の第2端子部530bとを含む。同様に、第2後接続端子部630は、第2本体部610の後面部610cの上端部から延び出す鉤状の第1端子部630aと、第1端子部630aの先端から折り返されて第1端子部630aに重ね合される鉤状の第2端子部630bとを含む。
【0042】
第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bは、同じ材料(銅板)で形成されており、互いに重なり合う部分の厚み、即ち、第2端子部530b、630bの厚みと第1端子部530a、630aにおける第2端子部530b、630bが重なる部分の厚みが同じとなる。後述のバスバー製造工程で第1バスバー500および第2バスバー600が製造される際、第2端子部530b、630bと第1端子部530a、630aにおける第2端子部530b、630bが重なる部分は、プレスにより押し潰される。そのため、第1端子部530a、630aにおける第2端子部530b、630bが重なる部分の厚みは、第1端子部530a、630aにおける第2端子部530b、630bが重ならない部分の厚みよりも小さくなる。
【0043】
このように、第1後接続端子部530は、第1端子部530aと、第1端子部530aに重ね合される第2端子部530bとにより構成されるため、その厚みが第1本体部510の厚みに比べて大きいもの(ほぼ2倍)となる。同様に、第2後接続端子部630は、第1端子部630aと、第1端子部630aに重ね合される第2端子部630bとにより構成されるため、その厚みが第2本体部610の厚みに比べて大きいもの(ほぼ2倍)となる。
【0044】
第1後接続端子部530は、その屈曲部531が第1端子部530aと第2端子部530bとが重なり合う部分に含まれる。そして、屈曲部531よりも第2端子部530bの折り返し部分(第1後接続端子部530の先端部)とは反対側の部分において、第1端子部530aと第2端子部530bとがリベット533により接合される。第1端子部530aと第2端子部530bには、リベット533が通される孔534a、534bが形成される。同様に、第2後接続端子部630は、その屈曲部631が第1端子部630aと第2端子部630bとが重なり合う部分に含まれる。そして、屈曲部631よりも第2端子部630bの折り返し部分(第2後接続端子部630の先端部)とは反対側の部分において、第1端子部630aと第2端子部630bとがリベット633により接合される。第1端子部630aと第2端子部630bには、リベット633が通される孔634a、634bが形成される。
【0045】
第1後接続端子部530の貫通孔532は、第1端子部530aに形成された第1孔532aと第2端子部530bに形成され、第1孔532aと整合する第2孔532bとにより構成される。第1孔532aの径は第2孔532bの径と同じとされる。同様に、第2後接続端子部630の貫通孔632は、第1端子部630aに形成された第1孔632aと第2端子部630bに形成され、第1孔632aと整合する第2孔632bとにより構成される。第1孔632aの径は第2孔632bの径と同じとされる。
【0046】
第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の先端部の左右の角535、635は、R加工が施されて丸められる。なお、左右の角に、R加工に替えて、面取り(C面カット)加工が施されてもよい。
【0047】
図5Aに示すように、第1後接続端子部530は、第1端子部530aと第2端子部530bとが重なり合う部分における第1後接続端子部530の先端側とは反対側の端部が充填樹脂300に埋没する。同様に、図5Bに示すように、第2後接続端子部630は、第1端子部630aと第2端子部630bとが重なり合う部分における第2後接続端子部630の先端側とは反対側の端部が充填樹脂300に埋没する。
【0048】
次に、第1バスバー500および第2バスバー600の製造方法について説明する。
【0049】
図6は、バスバー製造工程の流れを示す図である。図7は、接続端子部折り曲げ工程について説明するための図である。図8Aは、接続端子部プレス工程について説明するための図であり、図8Bは、接続端子部仕上げ工程について説明するための図である。
【0050】
図6に示すように、第1バスバー500および第2バスバー600の製造するためのバスバー製造工程は、型抜き工程と、接続端子部折り曲げ工程と、接続端子部プレス工程と、接続端子部仕上げ工程と、全体折り曲げ工程とを含む。
【0051】
以下、第1バスバー500を例にとり、バスバー製造工程の各工程ついて説明するが、第2バスバー600についても同様である。
【0052】
まず、型抜き工程が行われる(S1)。型抜き工程では、第1バスバー500の形状を有する抜き型を用いて板材(銅板)が繰り抜かれ、展開状態の第1バスバー500が切り出される。
【0053】
次に、接続端子部折り曲げ工程が行われる(S2)。図7に示すように、接続端子部折り曲げ工程では、展開状態の第1バスバー500において、第2端子部530bが第1端子部530aとの境界で折り曲げられ、第1端子部530aに重ね合される。
【0054】
次に、接続端子部プレス工程が行われる(S3)。図8Aに示すように、接続端子部プレス工程では、重ね合された第1端子部530aおよび第2端子部530bが、それらの厚み方向にプレスされて押し潰される。これにより、第1端子部530aと第2端子部530bの互いに対向する面が強固に密着する。
【0055】
次に、接続端子部仕上げ工程が行われる(S4)。図8Bに示すように、接続端子部仕上げ工程では、まず、第1端子部530aに第1孔532aが開けられ、第2端子部530bに第2孔532bが開けられることにより、第1後接続端子部530に貫通孔532が形成される。また、第1端子部530aおよび第2端子部530bにリベット533が通る孔534a、534bが開けられる。次に、プレスにより押し潰されることで第1端子部530aの基端部よりも左右にはみ出した部分が削り落とされるとともに、第1後接続端子部530の先端部の左右の角535にR加工が施される。
【0056】
最後に、全体折り曲げ工程が行われる(S5)。全体折り曲げ工程では、第1後接続端子部530が最終の形状となるように折り曲げられるとともに、第1本体部510および第1前接続端子部520が最終の形状となるように折り曲げられる。さらに、第1後接続端子部530の第1端子部530aと第2端子部530bとがリベット533で接合される。
【0057】
こうして、図3Aのような第1バスバー500が出来上がる。
【0058】
フィルムコンデンサ1は、たとえば、電気自動車において電気モータを駆動するためのインバータユニットに搭載され得る。インバータユニットには電源装置(バッテリー)から電力が供給される。この場合、電源装置に繋がる外部端子(図示せず)が、第1バスバー500の第1後接続端子部530および第2バスバー600の第2後接続端子部630に、貫通孔532、632を用いたネジ止めにより接続される。また、インバータ回路に繋がる外部端子(図示せず)が、第1バスバー500の第1前接続端子部520および第2バスバー600の第2前接続端子部620に、貫通孔522、622を用いたネジ止めにより接続される。
【0059】
電気モータの駆動時、即ち、フィルムコンデンサ1への通電時、電源装置に繋がる第1後接続端子部530および第2後接続端子部630には、電源装置からの大きな電流が流れ得る。
【0060】
本実施の形態では、第1後接続端子部530は、第1バスバー500の第1本体部510に比べて電流の流れに直交する方向(左右方向)の幅が小さい反面、第1端子部530aと第2端子部530bとが重なり合う構造により第1本体部510よりも厚みが大きくされている。これにより、第1後接続端子部530は、電流の流れに直交する方向(左右方向)の断面積が大きくなるため、電気抵抗が小さくなる。よって、大きな電流が流れたときの第1後接続端子部530での発熱が低減される。同様に、第2後接続端子部630も、第2バスバー600の第2本体部610に比べて電流の流れに直交する方向(左右方向)の幅が小さい反面、第1端子部630aと第2端子部630bとが重なり合う構造により第2本体部610よりも厚みが大きくされている。よって、大きな電流が流れたときの第2後接続端子部630での発熱が低減される。
【0061】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
【0062】
第1バスバー500および第2バスバー600の端部には、外部端子に接続可能な第1後接続端子部530および第2後接続端子部630が設けられ、これら接続端子部530、630は、第1バスバー500および第2バスバー600の端部から延び出す第1端子部530a、630aと当該第1端子部530a、630aに重ね合される第2端子部530b、630bとを含む。
【0063】
この構成によれば、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の厚みが大きくなるため、電流の流れに直交する方向(左右方向)の断面積が大きくなり、電気抵抗が小さくなる。これにより、電流が流れたときの第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の発熱を低減できるので、これらの熱がコンデンサ素子400に伝播することによるコンデンサ素子400の熱損傷を防止できる。
【0064】
また、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630は、貫通孔532、632を有し、貫通孔532、632は、第1端子部530a、630aに形成された第1孔532a、632aと第2端子部530b、630bに形成された第2孔532b、632bにより構成され、第1孔532a、632aと第2孔532b、632bは径が同じとされる。
【0065】
第1孔532a、632aの径と第2孔532b、632bの径が異なる場合、一方の孔の径が外部端子の接続に必要な大きさとされ、他方の孔の径がそれよりも大きくされることになる。この場合、一方の孔が大きい分、貫通孔532、632の部分で第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の断面積が小さくなってしまい、電気抵抗が大きくなってしまう。これに対し、本実施の形態では、第1孔532a、632aと第2孔532b、632bは径が同じとされるので、第1孔532a、632aと第2孔532b、632bの径を外部端子の接続に必要な大きさに揃えることができる。このため、貫通孔532、632の部分で第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の断面積が小さくならず、電気抵抗が大きくならない。
【0066】
さらに、第2端子部530b、630bは、第1端子部530a、630aの先端から折り返されて第1端子部530a、630aに重ね合される。
【0067】
この構成によれば、第2端子部530b、630bを、第1端子部530a、630aを含む第1バスバー500および第2バスバー600と別に作成しなくてよいため、第1バスバー500および第2バスバー600を容易に製造することが可能となる。
【0068】
さらに、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630は屈曲部531、631を有し、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが重なり合う部分に屈曲部531、631が含まれる。
【0069】
この構成によれば、屈曲部531、631の厚みが大きくなることにより屈曲部531、631の剛性が高まるので、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の屈曲部531、631よりも先端側が変形しにくくなる。
【0070】
さらに、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630における屈曲部531、631よりも第2端子部530b、630bの折り返し部分とは反対側の部分において、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bがリベット533、633により接合される。
【0071】
この構成によれば、第2端子部530b、630bの折り返し部分から離れているために第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bの間が開きやすく、屈曲部531、631が形成されることでさらに間が開きやすい部分がリベット533、633により接合されるので、この部分での第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとの密着性を高めることができる。これにより、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bに隙間が生じる(密着性が悪くなる)ことで、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の電気抵抗が大きくなってしまうことを防止できる。
【0072】
さらに、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630は、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが重なり合う部分における第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の先端側とは反対側の端部がケース200内に充填された充填樹脂300に埋没する。
【0073】
この構成によれば、厚みが大きくなることにより重くなった第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の根元部分を、充填樹脂300によりしっかりと支えることができるので、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630が変形しにくくなり、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の位置を高い精度に維持できる。
【0074】
さらに、第1バスバー500および第2バスバー600が、展開状態の第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとを、それらの境界で折り曲げて重ね合せる工程と、重ね合された第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとを、それらの厚み方向にプレスする工程と、を含むバスバー製造工程により製造される。
【0075】
この構成によれば、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが折り曲げられることにより重ね合せられるので、第2端子部530b、630bを、第1端子部530a、630aを含む第1バスバー500および第2バスバー600と別に作成しなくてよく、第1バスバー500および第2バスバー600を容易に製造することが可能となる。
【0076】
しかも、重ね合された第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとがプレスにより押し潰されるので、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとの密着性が高められる。これにより、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bに隙間が生じる(密着性が悪くなる)ことで、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の電気抵抗が大きくなってしまうことを防止できる。さらには、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bの間に充填樹脂300が入り込むことで第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の電気抵抗が大きくなってしまうことを防止できる。
【0077】
<変更例>
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本開示の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
【0078】
たとえば、上記実施の形態では、第1バスバー500において、第1後接続端子部530の第1端子部530aと第2端子部530bとがリベット533により接合された。同様に、第2バスバー600において、第2後接続端子部630の第1端子部630aと第2端子部630bとがリベット633により接合された。しかしながら、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが、他の接合方法により接合されてもよい。たとえば、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが圧着により接合されてもよい。この場合、図9Aのように、第2端子部530b、630bに突起537、637が形成され、この突起537、637が第1端子部530a、630aに形成された孔538、638に通されて潰される(カシメられる)ような圧着構造を採ることができる。なお、第1端子部530a、630aに突起537、637が形成されてもよく、第2端子部530b、630bに孔538、638が形成されてもよい。また、たとえば、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが半田付けにより接合されてもよい。この場合、図9Bのように、半田シートSが第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとの間に挟まれる。そして、半田シートSが加熱されて溶解した後に再び固まることで、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが結合される。さらに、たとえば、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとがスポット溶接等の溶接により接合されてもよい。第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが半田付けまたは溶接により接合される場合に、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bの重なり合った部分全体的に半田付けまたは溶接が施されてもよい。
【0079】
さらに、上記実施の形態では、第2端子部530b、630bは、第1端子部530a、630aと同じ材料で形成され、第1端子部530a、630aの先端部で折り返されて第1端子部530a、630aに重ね合された。しかしながら、図10Aおよび図10Bに示すように、第2端子部530b、630bが、第1端子部530a、630aと別体に形成され、第1端子部530a、630aに重ね合されて接合されるような構成が採られてもよい。この場合、図10Aのように、重なり合った部分の第1端子部530a、630aの厚みと第2端子部530b、630bの厚みが同じであってもよい。あるいは、重なり合った部分の第1端子部530a、630aの厚みと第2端子部530b、630bの厚みが異なってもよい。厚みが異なる場合、図10Bのように、第2端子部530b、630bの厚みが第1端子部530a、630aの厚みよりも大きくされるとよい。このようにされれば、第1端子部530a、630aと一体である第1本体部510および第2本体部610の厚みが大きくならないため、第1バスバー500および第2バスバー600の重量増加、コスト増加などを招きにくい。また、このように第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが別体とされる場合、図10Aおよび図10Bに示すように、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bの重なり合った部分全体的に半田シートSによる半田付けが行われるとよい。また、半田付けに替えて、溶接が行われてもよい。さらに、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとを接合するために、屈曲部531、631を挟んで先端部側と基端部側にリベット止めや圧着が行われてもよい。
【0080】
さらに、上記実施の形態では、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630に、外部端子との接続に用いられる貫通孔532、632が形成された。しかしながら、図10Cに示すように、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630に、外部端子との接続に用いられる切欠部539、639が形成されてもよい。切欠部539、639の形状は、接続される外部端子に対応し、たとえば、U字形状とされる。切欠部539、639は、第1端子部530a、630aに形成された第1切欠部539a、639aと第2端子部530b、630bに形成された第2切欠部539b、639bにより構成される。このとき、第1切欠部539a、639aと第2切欠部539b、639bは大きさ(切欠部の幅、切欠部の奥行等)が同じとされる。このようにされると、第1孔532a、632aと第2孔532b、632bとが径が同じとされる場合と同様、切欠部539、639の部分で第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の断面積が小さくならず、電気抵抗が大きくならないようにできる。なお、切欠部539、639は、貫通孔532、632と同様、バスバー製造工程の接続端子部仕上げ工程で形成することができる。
【0081】
さらに、上記実施の形態では、第1端子部530a、630aの左右の幅と第2端子部530b、630bの左右の幅とが同じであり、両端部が揃っている。しかしながら、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bのうち一方の幅が他方の幅より大きくされるなど、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bの両端部が揃ってなくてもよい。また、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが別体である場合には、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bの先端部が揃ってなくてもよい。
【0082】
さらに、上記実施の形態では、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の先端部において、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが重ね合された後に、左右の角535、635にR加工が施された。しかしながら、図11Aに示すように、第1端子部530a(630a)と第2端子部530b(630b)の境界部分に、これらが重ね合されたときに左右の角535(635)にRが形成されるような切欠部535a(635a)が形成される構成が採られてもよい。なお、切欠部535a(635a)は、第1端子部530a(630a)と第2端子部530b(630b)が重ね合されたときにCカット形状を形成するものであってもよい。
【0083】
さらに、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630の端部において、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bとが重ね合された後に、第1孔532a、632aおよび第2孔532b、632bと、リベット533、633が通る孔534a、634a、534b、634bとが開けられた。しかしながら、図11Bに示すように、第1端子部530a(630a)と第2端子部530b(630b)に、これらが重ね合される前に第1孔532a(632a)および第2孔532b(632b)と、リベット533(633)が通る孔534a(634a)、534b(634b)が開けられてもよい。なお、第2端子部530b(630b)を折り返したときの位置ずれを考慮して、第1孔532a(632a)および第2孔532b(632b)のうち一方を他方よりも大きくしてもよい。同様に、第1端子部530a(630a)の孔534a(634a)および第2端子部530b(630b)の孔534b(634b)のうち一方を他方よりも大きくしてもよい。
【0084】
第1孔532a、632aおよび第2孔532b、632bと同様に、図10Cの第1切欠部539a、639aと第2切欠部539b、639bも、第1端子部530a、630aと第2端子部530b、630bが重ね合される前に開けられてもよい。この場合に、第1切欠部539a、639aおよび第2切欠部539b、639bのうち一方を他方よりも大きくしてもよい。
【0085】
さらに、上記実施の形態では、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630は、第2端子部530b、630bが第1端子部530a、630aの先端から折り返されて第1端子部530a、630aに重ね合される構成とされた。しかしながら、第1後接続端子部530および第2後接続端子部630は、第2端子部530b、630bが第1端子部530a、630aの左端または右端から折り返されて第1端子部530a、630aに重ね合される構成とされてもよい。
【0086】
さらに、上記実施の形態において、第1バスバー500の第1前接続端子部520および第2バスバー600の第2前接続端子部620も、第1端子部と第2端子部が重ね合された構成とされることで、その厚み(断面積)が大きくなるようにされてもよい。
【0087】
さらに、上記実施の形態では、コンデンサ素子ユニット100に6個のコンデンサ素子400が含まれる。しかしながら、コンデンサ素子400の個数は、1個である場合も含めて、適宜、変更することができる。
【0088】
さらに、上記実施の形態では、コンデンサ素子400は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層することで形成されたものであるが、これ以外にも、誘電体フィルムの両面にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムと絶縁フィルムとを重ね、これを巻回または積層することにより、これらコンデンサ素子400が形成されてもよい。
【0089】
さらに、上記実施の形態では、本開示のコンデンサの一例として、フィルムコンデンサ1が挙げられた。しかしながら、本開示は、フィルムコンデンサ1以外のコンデンサに適用することもできる。
【0090】
この他、本開示の実施の形態は、請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0091】
なお、上記実施の形態の説明において「上方」「下方」等の方向を示す用語は、構成部材の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示すものであり、鉛直方向、水平方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示は、各種電子機器、電気機器、産業機器、車両の電装等に使用されるコンデンサに有用である。
【符号の説明】
【0093】
1 フィルムコンデンサ(コンデンサ)
200 ケース
300 充填樹脂
400 コンデンサ素子
410 第1端面電極(電極)
420 第2端面電極(電極)
500 第1バスバー(端子部材)
520 第1前接続端子部
521 屈曲部
522 貫通孔
530 第1後接続端子部(接続端子部)
530a 第1端子部
530b 第2端子部
531 屈曲部
532 貫通孔
532a 第1孔
532b 第2孔
533 リベット
535a 切欠部
539 切欠部
539a 第1切欠部
539b 第2切欠部
600 第2バスバー(端子部材)
620 第2前接続端子部
621 屈曲部
622 貫通孔
630 第2後接続端子部(接続端子部)
630a 第1端子部
630b 第2端子部
631 屈曲部
632 貫通孔
632a 第1孔
632b 第2孔
633 リベット
639 切欠部
639a 第1切欠部
639b 第2切欠部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B