(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/12 20060101AFI20240126BHJP
F25D 11/02 20060101ALI20240126BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240126BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240126BHJP
H05B 6/54 20060101ALI20240126BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
F25D23/12 S
F25D11/02 L
F25D23/02 304Z
F25D23/00 301H
H05B6/54
F25D23/06 N
(21)【出願番号】P 2022110136
(22)【出願日】2022-07-08
(62)【分割の表示】P 2020514047の分割
【原出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018079500
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】森 貴代志
(72)【発明者】
【氏名】南部 桂
(72)【発明者】
【氏名】平井 剛樹
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-106994(JP,A)
【文献】実開昭53-153558(JP,U)
【文献】国際公開第2011/135865(WO,A1)
【文献】特開平06-323721(JP,A)
【文献】特開2011-182690(JP,A)
【文献】特開昭56-087724(JP,A)
【文献】特開昭57-210279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0160467(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/02
F25D 23/00
F25D 23/12
H05B 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの収納室を備え、電磁波を用いて前記収納室の内部の保存物を加熱する冷蔵庫であって、
前記収納室の上方に設けられている第1の電極と、
前記収納室の下方に設けられている第2の電極と、
を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に置かれた収納ケース内の保存物が、電磁波によって加熱され、
引出し可能な前記収納ケースの前面部に設けられている、第1の電磁波シールドと、
前記前面部が閉じた状態において前記前面部に近接する前記冷蔵庫の前記収納室の開口部分に設けられている、第2の電磁波シールドと、を備え、
前記前面部が閉じた状態において、前記第1の電磁波シールドと前記第2の電磁波シールドとの距離が電磁波の波長の1/4よりも短く、
前記収納ケースの底面と前記第2の電極との間に空間部を形成し、前記空間部の距離は10mm以下とし
、
前記第1の電極の上方に設けられ冷気が流れる風路と
前記収納室の上方に位置する他の収納室と、前記風路との間に、第3の電磁波シールドとが設けられている、冷蔵庫。
【請求項2】
少なくとも一つの収納室を備え、電磁波を用いて前記収納室の内部の保存物を加熱する冷蔵庫であって、
前記収納室の上方に設けられている第1の電極と、
前記収納室の下方に設けられている第2の電極と、
を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に置かれた収納ケース内の保存物が、電磁波によって加熱され、
引出し可能な前記収納ケースの前面部に設けられている、第1の電磁波シールドと、
前記前面部が閉じた状態において前記前面部に接する前記冷蔵庫の前記収納室の開口部分に設けられている、第2の電磁波シールドと、を備え、
前記前面部が閉じた状態において、前記第1の電磁波シールドと前記第2の電磁波シー
ルドとの距離が30mm以下であり、
前記収納ケースの底面と前記第2の電極との間に空間部を形成し、前記空間部の距離は10mm以下とし
、
前記第1の電極の上方に設けられ冷気が流れる風路と
前記収納室の上方に位置する他の収納室と、前記風路との間に、第3の電磁波シールドとが設けられている、冷蔵庫。
【請求項3】
前記第2の電磁波シールドは接地されていて、前記第1の電磁波シールドは接地されていない、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1の電磁波シールドは前記前面部の内部に埋設されている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記他の収納室は冷蔵室である、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第3の電磁波シールドは
、櫛状部を有するメッシュ状である、
請求項
1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第3の電磁波シールドは、導電性材料で作られた薄板であり、接地されている、
請求項
1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記第3の電磁波シールドは、金属、又は、導電性樹脂で作られた薄板である、
請求項
7に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記冷蔵庫の最上部に冷蔵室が設けられ、
前記冷蔵室の下方に前記収納室が設けられている、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記収納ケースの前面部が閉じられていることを条件にして、前記冷蔵庫が前記保存物の加熱を開始する、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記保存物の加熱を開始する実行指示を前記冷蔵庫がユーザから受け付けた場合に、前記冷蔵庫は、前記収納ケースの前面部が閉じられているか否かを判定し、
前記前面部が閉じられていると判定された場合に、前記冷蔵庫は、前記保存物の加熱を開始し、
前記前面部が閉じられていないと判定された場合に、前記冷蔵庫は、前記保存物の加熱を開始することなく前記ユーザに所定の通知を行う、
請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記所定の通知は、前記前面部を閉じることをユーザに促す通知である、
請求項
11に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記保存物の加熱を開始した後に前記前面部が開けられた場合に、前記冷蔵庫は前記保存物の加熱を中断する、
請求項
10から12のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を用いて保存物を加熱する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の冷蔵庫では、冷凍保存した食材や冷凍食品等の保存物を短時間で解凍したいというニーズが高まっている。特許文献1には、マイクロ波を用いて保存物を加熱する加熱室を備える冷蔵庫が開示されている。
【0003】
また特許文献2には、マイクロ波ではなくHF~VHF帯の高周波を用いて保存物を解凍する高周波加熱装置が開示されている。HF~VHF帯の高周波は、マイクロ波と異なり直進性が高く、2枚の電極の間で電界を形成して保存物を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-147919号公報
【文献】特開2017-182885号公報
【発明の概要】
【0005】
電磁波を用いて保存物を加熱する場合、電磁波が外部に漏洩しないように対策することが必要である。電磁波が外部に漏洩することを防止するためには、電磁波シールドを設けて当該電磁波シールドを接地させることが一般的である。しかしながら、冷蔵庫の扉のように前後方向に動く扉では、扉に設けられた電磁波シールドを接地させることは困難である。なぜなら、冷蔵庫の扉に設けられた電磁波シールドと接地部との間に通した配線が、扉の開閉によって撓みと伸長を繰り返すことで断線する恐れがあるためである。
【0006】
そこで本発明では、接地部への配線が困難な冷蔵庫の扉であっても、電磁波シールドとしての機能を発揮できる構造を提供することを目的とする。
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明が提供する冷蔵庫は、少なくとも一つの収納室を備え、電磁波を用いて前記収納室の内部の保存物を加熱する冷蔵庫であって、前記収納室の扉に第1の電磁波シールドが設けられ、前記扉が閉じられた状態において前記扉に接する前記冷蔵庫の筐体部分に、第2の電磁波シールドが設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、接地部への配線が困難な冷蔵庫の扉であっても、電磁波シールドとしての機能を発揮できる構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】解凍室105を冷蔵庫100の正面から見たときの断面を示す図である。
【
図5A】電磁波シールド210と電極穴301との位置関係を示す図である。
【
図5B】電磁波シールド210と電極穴301との位置関係を示す図である。
【
図6】冷蔵庫100のハードウェア構成を示す図である。
【
図7】冷蔵庫100が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図8】冷蔵庫100が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図9】保存物を加熱したときの保存物の温度の変化を示すグラフである。
【
図10】切りやすさとドリップ量の評価結果を示す図である。
【
図12】冷蔵庫100が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図13】冷蔵庫100が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図19】電磁波シールドの設置位置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
(実施形態1)
図1は、冷蔵庫100の縦断面を示す図である。
図1の左側は冷蔵庫100の正面側であり、
図1の右側は冷蔵庫の背面側である。冷蔵庫100は、主に鋼板を用いた外箱101と、ABSなどの樹脂で成型された内箱102と、外箱101と内箱102との間の空間に充填発泡される断熱材(例えば硬質発泡ウレタン)とで形成される。
【0012】
冷蔵庫100は複数の貯蔵室を備える。冷蔵庫100の最上部には、冷蔵室103が設けられている。冷蔵室103の下部には、製氷室104と解凍室105とが設けられている。更に、製氷室104と解凍室105の下部には冷凍室106が設けられている。冷蔵庫100の最下部には野菜室107が設けられている。
【0013】
冷蔵室103は、冷蔵保存のために凍らない温度、具体的には1℃~5℃の温度帯で維持される。野菜室107は、冷蔵室103と同等もしくは若干高い温度帯の2℃~7℃に維持される。冷凍室106は、冷凍保存のために冷凍温度帯、具体的には-22℃~-15℃に設定される。解凍室105は、通常は冷凍室106と同じ冷凍温度帯に維持され、ユーザの加熱指示に応じて保存物を解凍するための加熱処理を行う。解凍室105の構成、及び、加熱処理の具体的な内容については後ほど詳しく説明する。
【0014】
冷蔵庫100の上部には、機械室108が設けられている。機械室108には、圧縮機109や水分除去を行うドライヤ等の冷凍サイクルを構成する部品が収容されている。なお、機械室108は冷蔵庫100の下部に設けても良い。
【0015】
冷凍室106と野菜室107の背面には、冷却室110が設けられている。冷却室110には、冷気を生成する冷却器111と、冷却器111が生成した冷気を各貯蔵室に送風する冷却ファン112とが収容されている。冷却室110の下部には、冷却器111やその周辺に付着する霜や氷を除霜するための除霜ヒータ113が設けられている。除霜ヒータ113の下部には、ドレンパン114、ドレンチューブ115、および、蒸発皿116が設けられている。
【0016】
次に
図2を用いて、解凍室105の構成を説明する。解凍室105は、通常は冷凍室106と同じ冷凍温度帯に維持され、食品を冷凍保存する。冷却器111が生成した冷気は、解凍室105の背面及び天面に設けられた風路201を流れ、解凍室105の天面に設けられた通風口202を通って解凍室105に導入される。風路201にはダンパー203が設けられている。また、解凍室105の底面にも通風口204が設けられていて、通風口204を介して冷気が冷凍室106から解凍室105に導入される。解凍室105を冷却した冷気は、吸入口205を通って冷却室110に戻る。
【0017】
次に、解凍室105に冷凍保存されている保存物を加熱して解凍する仕組みについて説明する。冷蔵庫100は、発振部206、整合部207、発振電極208、および、対向電極209を備える。発振部206は、冷蔵庫100の背面側の断熱材に埋設されている。整合部207は、発振電極208と対向電極209と保存物によって形成される負荷インピーダンスを、発振部206の出力インピーダンスに近くなるように調節する。整合部207は、風路201に設けられていて、断熱材に覆われている。発振電極208は、解凍室105の天面を構成する断熱隔壁に埋設されている。対向電極209は、解凍室105の底面を構成する断熱隔壁に埋設されている。整合部207は発振電極208に接続している。発振部206は整合部207に接続している。発振部206、整合部207、発振電極208を接続する配線の長さは極力短くすることが望ましいため、これらは解凍室105の近傍に集約されている。発振部206は、VHF帯の高周波(本実施形態では40MHz)を出力する。すると、発振電極208と対向電極209との間で電界が形成される。これにより、発振電極208と対向電極209との間に置かれた保存物が加熱される。
【0018】
冷蔵庫100には、電磁波が外部に漏洩することを防止するための電磁波シールドが設けられている。風路201の上部(言い換えれば解凍室105と冷蔵室103を仕切る仕切り壁)には、電磁波シールド210が埋設されている。解凍室105を開閉する扉212の内部に、電磁波シールド213が埋設されている。電磁波シールド213は、断熱材に覆われている。扉212が閉じられた状態において扉212に接する冷蔵庫100の筐体部分に、電磁波シールド211と電磁波シールド214が埋設されている。また、発振部206を収容する空間の壁面に、電磁波シールド215が設けられている。また、解凍室105の背面側の壁面に、電磁波シールド216が設けられている。なお、冷蔵庫100の筐体の外装材として鋼板を用いる場合は、この鋼板自体が電磁波シールドの役割を有することになる。
【0019】
扉212の内部に設けた電磁波シールド213を更に詳しく説明する。扉212はユーザが開閉するものであるため、電磁波シールド213と冷蔵庫100の接地部との間に配線を通すと、扉212の開閉によって配線が撓みと伸長を繰り返し金属疲労が蓄積する。これは配線が断線する要因となるため、電磁波シールド213を配線で接地することは好ましくない。そこで本実施形態では、扉212を閉じた際の電磁波シールド213と電磁波シールド211との距離、及び、扉212を閉じた際の電磁波シールド213と電磁波シールド214との距離を、それぞれ電磁波の波長の1/4よりも短くする。例えば、扉212を閉じた際の電磁波シールド213と電磁波シールド211との距離、及び、扉212を閉じた際の電磁波シールド213と電磁波シールド214との距離を、30mm以内とする。電磁波シールド211と電磁波シールド214は接地されているため、扉212が閉じられた状態において電磁波シールド213を電磁波シールド211と電磁波シールド214に近接させることで、配線による接地と同等の効果を得られる。また、電磁波シールド213の端部を冷蔵庫100の庫内側に曲がる形状とすることで、電磁波シールド213を電磁波シールド211と電磁波シールド214に近接させやすくなる。また、解凍室105の背面側の壁面には、電磁波シールド216が設けられている。これは、発振電極208と対向電極209との間に発生する電界や、整合部207から発生した高周波ノイズが冷却ファン112やダンパー203等の電装部品に影響を与えることを防止するためである。
【0020】
電磁波シールド210は、解凍室105の上部に位置する冷蔵室103の内部に設けても良い。冷蔵室103にはパーシャル室やチルド室が設けられていることが多く、このパーシャル室やチルド室の天面を電磁波シールドとして利用しても良い。
【0021】
風路201は略直角に曲がる形状である。この曲がる箇所に対応するエリアAと整合部207との間の距離、及び、風路201の幅を電磁波の波長の1/4よりも短くすることで、整合部207から発生する高周波ノイズがエリアAで曲がることができなくなる。例えば、エリアAと整合部207との間の距離を、30mm以内とする。
【0022】
扉212をユーザが開閉すると、冷凍温度帯の解凍室105に高湿度の空気が流入し、解凍室105の内部は結露が発生しやすい状態になる。もし発振電極208と対向電極209が解凍室105の内部に露出していると、発振電極208と対向電極209の表面に結露が発生して電界の形成が不安定になる。これにより、加熱作用が十分に得られない、又は、加熱作用がまったく得られないケースが発生し得る。これに対して本実施形態では、発振電極208と対向電極209の両方が解凍室105を構成する隔壁に埋設されているため、発振電極208と対向電極209の表面に結露が発生することを防止できる。
【0023】
また、発振部206と整合部207も解凍室105の内部に設置されていないため、発振部206と整合部207に結露が発生することも防止できる。特に、本実施形態では整合部207が風路201に設置されている。風路201は低湿度の冷気が流れるため、整合部207に結露が発生することを防止できる。また、発振部206は冷蔵庫100の背面側の断熱材に埋設されていて解凍室105から独立しているため、発振部206に結露が発生することを防止できる。なお、発振部206と整合部207を両方とも風路201に設置しても良いし、発振部206と整合部207を両方とも冷蔵庫100の背面側の断熱材に埋設しても良い。
【0024】
次に
図3Aを用いて、発振電極208と通風口202の位置関係を説明する。
図3Aは解凍室105の天面の見取り図である。発振電極208には電極穴301が複数設けられていて、電極穴301の内側に通風口202が設けられている。複数の電極穴301は等間隔(距離B)に並んでいる。もし発振電極208に複数の電極穴301を設けなければ、発振電極208の外周のみに電場が強く形成され、保存物を均一に加熱できない。発振電極208に複数の電極穴301を設けることで、発振電極208の外周だけではなく発振電極208の全体に沿面が形成されることになる。これにより、電界が強く形成される箇所が均一化され、保存物の加熱・解凍を良好に行うことができる。また、電極穴301の内側に通風口202を設けているため、電極穴301と通風口202を別々の位置に設ける場合に比べて、電極の面積を大きくすることができる。また、電極穴301の穴径Cを距離Bよりも大きくすることが望ましい。もし穴径Cを距離Bよりも小さくすると、発振電極208の電位が均一ではなくなり、保存物を均一に加熱しにくくなる。
【0025】
図3Bは、解凍室105の底面の見取り図である。対向電極209には電極穴302が複数設けられていて、電極穴301の内側に通風口204が設けられている。電極穴302と通風口204は、それぞれ電極穴301と通風口202に対向する位置に設けられている。
【0026】
次に
図4を用いて、解凍室105を冷蔵庫100の正面から見たときの断面図を説明する。解凍室105には解凍室ケース401が設けられている。解凍室105の底面には、レール部402とレール部403とが設けられている。ユーザに引き出されることで、扉212と解凍室ケース401とが前後方向に動く構造になっている。電磁波が効率よく保存物に吸収されるように、解凍室ケース401の底面と対向電極209との間の距離Dを10mm以下とすることが望ましい。
【0027】
次に
図5Aおよび
図5Bを用いて、電磁波シールド210、及び、電磁波シールド210と電極穴301との位置関係を説明する。
図5Aは、電磁波シールド210を上方から見たときの見取図である。電磁波シールド210は金属、又は、導電性樹脂など導電性材料で作られた薄板であり、接地されている。電磁波シールド210は、電極穴301と重なる位置に櫛状部501を有するメッシュ状の構造である。隣り合う櫛状部501に挟まれたシールド穴502の幅寸法Eは、電磁波の波長の1/4よりも小さくすることが望ましい。幅寸法Eを電磁波の波長の1/4よりも小さくすることで、電磁波がシールド穴502を通って外部に漏洩しにくくなる。本実施形態では、幅寸法Eを例えば30mm以内とする。
【0028】
図5Bは、冷蔵庫100を正面からみたときの電磁波シールド210と発振電極208の位置関係を示す図である。櫛状部501の幅寸法Fは、電極穴301の穴径Cよりも小さいことが望ましい。もし櫛状部501の幅寸法Fを電極穴301の穴径Cよりも大きくすると、発振電極208と電磁波シールド210が対向する面積が顕著に増加することになる。冷蔵庫100のように、発振電極208と電磁波シールド210との間の距離(
図2の距離G)が、発振電極208と対向電極209との間の距離(
図2の距離H)よりも小さいケースでは、発振電極208と電磁波シールド210との間にも電界が発生する。発振電極208と電磁波シールド210との間に発生する電界は保存物の加熱に寄与しないものであり、保存物の加熱という観点ではエネルギーの損失が発生することになる。このエネルギーの損失の度合いは、発振電極208と電磁波シールド210が対向する面積が大きくなれば大きくなるほど増加する。従って、例えば櫛状部501の幅寸法Fを電極穴301の穴径Cよりも小さくすることで、発振電極208と電磁波シールド210が対向する面積を小さくし、上述したエネルギーの損失の度合いを小さくする。
【0029】
また、電磁波シールド210を穴のない平板状の構造にすると、電磁波シールド210をメッシュ状の構造にする場合に比べて、発振電極208と電磁波シールド210が対向する面積が大きくなる。これにより、上述したエネルギーの損失の度合いが増加する。従って、電磁波シールド210をメッシュ状の構造にすることは、上述したエネルギーの損失の度合いを小さくすることに繋がる。
【0030】
また、電極穴301と電極穴302の形状は円に限らず、長方形や楕円であっても良い。この場合、通風口202や通風口204の形状も、電極穴301と電極穴302の形状に合わる必要がある。
【0031】
次に、冷蔵庫100のハードウェア構成の概略図を
図6に示す。制御部601はCPU、ROM、RAM等で構成される制御基板であり、冷蔵庫100の天面や背面に配置される。CPUは、ROMが記憶している制御プログラムを読み出して、冷蔵庫100の動作を制御するための様々な処理を実行する。ROMは制御プログラムを記憶している。RAMは一時記憶領域として用いられる。制御部601は、圧縮機109、冷却ファン112、ダンパー203、発振部206、整合部207、開扉検知スイッチ217、温度センサ218等の冷蔵庫100の各ユニットの動作を制御する。
【0032】
開扉検知スイッチ217は、扉212が開いているか閉じているかを検知するためのスイッチである。開扉検知スイッチ217は押し込みスイッチであり、開扉検知スイッチ217が押し込まれていれば、開扉検知スイッチ217は、扉212が閉じていると制御部601に出力する。一方、開扉検知スイッチ217が押し込まれていなければ、開扉検知スイッチ217は、扉212が開いていると制御部601に出力する。温度センサ218は解凍室105の温度を検知する。開扉検知スイッチ217と温度センサ218は、
図2に示す位置に設けられている。
【0033】
次に、加熱処理の実行指示をユーザから冷蔵庫100が受け付けた際に冷蔵庫100が実行する処理を、
図7のフローチャートを用いて説明する。
図7のフローチャートに示す各ステップは、制御部601のCPUがROM等のメモリに格納された制御プログラムを実行することによって実現される。
【0034】
まずステップ701において、制御部601は、加熱処理の実行指示をユーザから受け付ける。実行指示は以下の3つのパターンのいずれかで冷蔵庫100に入力される。
【0035】
(パターン1)冷蔵庫100が操作部(不図示)を備えている。ユーザがこの操作部を操作して実行指示を冷蔵庫100に入力する。
【0036】
(パターン2)冷蔵庫100が無線通信部(不図示)を備えていて、この無線通信部が無線LANネットワークに接続している。ユーザがスマートフォン等の外部端末に加熱指示を入力すると、無線LANネットワークを介して無線通信部が実行指示を受信し、実行指示が冷蔵庫100に入力される。
【0037】
(パターン3)冷蔵庫100が音声認識部(不図示)を備えていて、ユーザが音声によって実行指示を冷蔵庫100に入力する。
【0038】
次にステップ702において、制御部601は、扉212が閉じているか否かを判定する。制御部601は、開扉検知スイッチ217の出力結果に基づいて、扉212が閉じているか否かを判定する。扉212が閉じていれば、処理はステップ703に進む。一方、扉が開いていれば、処理はステップ704に進む。
【0039】
次にステップ703について説明する。ステップ703において、制御部601は、解凍室105の保存物を加熱するため、電磁波の出力を開始する。制御部601の制御によって発振部206が電磁波を出力することで、発振電極208と対向電極209との間で電界が形成され、保存部の加熱が開始される。
【0040】
次にステップ704について説明する。ステップ704において、制御部601は、電磁波の出力を開始することなく、エラーを通知する。扉212が開いているということは、電磁波が冷蔵庫100の庫外に漏洩する恐れがある。そこでステップ704では、電磁波の出力を開始しないことで、電磁波が冷蔵庫100の庫外に漏洩することを防止する。なお、制御部601が実行するエラーの通知とは、冷蔵庫100の表示部(不図示)に「扉が開いています。扉を閉じてから再度実行して下さい。」のようなメッセージを表示したり、同様のメッセージを音声出力することである。このようなエラーの通知によって、制御部601は扉212を閉じるようにユーザに促す。
【0041】
次に、電磁波の出力を開始した後に冷蔵庫100が実行する処理を、
図8のフローチャートを用いて説明する。
図8のフローチャートに示す各ステップは、制御部601のCPUがROM等のメモリに格納された制御プログラムを実行することによって実現される。
【0042】
まずステップ801において、制御部601は、加熱対象の保存物が存在するか否かを判定する。制御部601は整合部207を作動させて、電磁波の反射波を最小化するための整合処理を行う。出力する電磁波に対する反射波の割合(以降はこの割合を反射率と呼ぶ)が、整合処理が完了した直後に閾値R1を超える場合に、解凍室ケース401に加熱対象の保存物が存在しないと制御部601が判定し、処理はステップ802に進む。一方、整合処理が完了した直後の反射率が所定値R1を超えない場合に、解凍室ケース401に加熱対象の保存物が存在すると制御部601が判定し、処理はステップ803に進む。
【0043】
次にステップ802について説明する。ステップ802において、制御部601は、電磁波の出力を終了する。このとき、制御部601は、冷蔵庫100の表示部(不図示)に「解凍室に食品が収納されていないため解凍を終了します。」のようなメッセージを表示したり、同様のメッセージを音声出力しても良い。
【0044】
次にステップ803について説明する。ステップ803において、制御部601は、扉212が開いたか否かを判定する。扉212が開いていない、つまり扉212が閉じたままであれば、処理はステップ804に進む。一方、扉212が開いていれば、処理はステップ806に進む。
【0045】
次にステップ806について説明する。ステップ806において、制御部601は、電磁波の出力を中断する。扉212が開いた状態で電磁波の出力を継続すると、電磁波が冷蔵庫100の庫外に漏洩する恐れがある。そこでステップ806では、電磁波の出力を中断することで、電磁波が冷蔵庫100の庫外に漏洩することを防止する。このとき、制御部601は、冷蔵庫100の表示部(不図示)に「解凍を中断しました。解凍を再開するためには扉を閉じて下さい。」のようなメッセージを表示したり、同様のメッセージを音声出力しても良い。
【0046】
次にステップ807において、制御部601は、扉212が閉じたか否かを判定する。扉212が閉じていれば、処理はステップ808に進む。一方、扉212が閉じていない、つまり扉212が開いたままであれば、制御部601は扉212が閉じるまで待機する。
【0047】
次にステップ808において、制御部601は、電磁波の出力を再開する。電磁波の出力が再開されると、処理はステップ801に戻る。
【0048】
次にステップ804について説明する。ステップ804において、制御部601は、保存物の解凍が完了したか否かを判定する。保存物の解凍が完了すれば、処理はステップ805に進む。一方、保存物の解凍が完了していなければ、処理はステップ803に戻る。保存物の解凍が完了したと判定する条件については、後ほど詳しく説明する。
【0049】
次にステップ805において、制御部601は、電磁波の出力を終了する。このとき、制御部601は、冷蔵庫100の表示部(不図示)に「解凍が完了しました。」のようなメッセージを表示したり、同様のメッセージを音声出力しても良い。
【0050】
なお、電磁波の出力を開始してから終了するまでの間、保存物の温度が上昇する。保存物の温度の上昇は解凍室105の温度の上昇に繋がるため、発振部206が電磁波を出力している間、ダンパー203の開閉動作を制御することで解凍室105の温度を冷凍温度帯に維持することが望ましい。また、保存物の解凍が完了したとしても、ユーザがすぐに保存物を取り出すとは限らない。発振部206が電磁波を出力している間も解凍室105の温度を冷凍温度帯に維持することで、ユーザがすぐに保存物を取り出さないケースにすぐに保存物が冷凍され、保存物の鮮度を維持できる。
【0051】
次に、保存物の解凍が完了したと判定する条件について、
図9、
図10、
図11を用いて説明する。
図9は、冷凍保存されている保存物を加熱したときの保存物の温度の変化を示すグラフである。グラフの縦軸は保存物の温度を示し、グラフの横軸は時間の経過を示す。温度T1は、冷凍保存されている保存物の温度を示す。加熱処理が進むことで、保存物の温度がT2まで上昇し、保存物の融解が開始する。このときのタイミングを時間S1とする。引き続き保存物の加熱を行うと、時間S2で保存物の解凍が完了する。このときの保存物の温度をT3とする。
【0052】
上記説明の通り、保存物の融解は時間S1で開始し、時間S2で完了する。時間S1における融解率を0%、時間S2における融解率を100%として、融解率20%、40%、60%、80%、100%の5段階それぞれで、包丁で切断する際の切りやすさとドリップ量を評価した。この評価の結果を
図10に示す。評価の結果、融解率60%であれば女性が片手で切ることができ、かつ、ドリップ量がごく少量である。従って、融解率60%が最も良好な融解状態であり、融解率が60%に達したタイミングを解凍が完了したタイミングとして判定することが望ましい。ところが
図9のグラフからも明らかなように、保存物の融解が進んでいる期間(
図9の期間I)の温度変化が小さいため、保存物の温度変化に基づいて融解率が60%に達したタイミングを特定することは困難である。そこで本実施形態では、整合部207による整合処理が完了した直後の反射率を用いて、保存物の融解率が60%に達したタイミングを特定する。
【0053】
図11は、反射率の変化を示すグラフである。グラフの縦軸は反射率の大きさを示し、グラフの横軸は時間の経過を示す。保存物の融解が進むと、保存物中の融解した水分子が増加する。そして、保存物中の融解した水分子が増加するに連れてインピーダンスの整合状態がずれていき、反射率が増加する。反射率が閾値R2に達すると、整合部207が再度インピーダンスを整合し、反射率が低下する。このタイミングは、
図11のグラフでは時間S3、S4、S5、S6、S7に対応する。そして本実施形態では、整合部207による整合処理が完了した直後の反射率が閾値R3を超えるタイミングを、保存物の融解率が60%に達したタイミングとして特定する。このタイミングは、
図11のグラフではS7に対応する。即ち、本実施形態では、整合部207による整合処理が完了した直後の反射率が閾値R3を超えるタイミングが、
図8のステップ804において保存物の解凍が完了したと制御部601が判定するタイミングである。なお、融解率60%に対応する閾値R3は、実験によって予め求める値である。出力する電磁波に対する反射波の割合に注目することで、温度変化が小さい期間であっても、保存物の融解が所望の状態(本実施形態では融解率60%)に到達したことを特定できる。なお、本実施形態では融解率が60%に達したタイミングを解凍が完了したタイミングとして判定すると説明したが、目標とする融解率として他の値を採用しても良い。
【0054】
以上の説明の通り、本実施形態によれば、接地部への配線が困難な扉212の電磁波シールド213について、電磁波シールドとしての機能を十分に発揮させることができる。また、冷蔵庫100は、扉212が開いている状態で電磁波の出力を行わないため、扉212が開いていることが原因で電磁波が冷蔵庫100の庫外に漏洩することを防止できる。
【0055】
(実施形態2)
扉212が開くと、高湿度の空気が冷蔵庫100の庫外から解凍室105の内部に流入する。そして、扉212が閉じられた直後に加熱処理を開始すると、保存物の解凍が進むに連れて保存物から水蒸気が発生し、解凍室105の内部で結露が発生しやすくなってしまう。そこで本実施形態では、扉212が閉じられた直後に加熱処理を開始しないことで、解凍室105の内部で結露が発生する可能性を低減することを目的とする。
【0056】
図12は、加熱処理の実行指示をユーザから冷蔵庫100が受け付けた際に冷蔵庫100が実行する処理を示すフローチャートである。
図12のフローチャートのステップのうち
図7のフローチャートと同じ番号のステップは、
図7のフローチャートと同じ処理であるため、説明を省略する。
【0057】
ステップ702において扉212が閉じていると制御部601が判定すると、処理はステップ1201に進む。そしてステップ1201において、制御部601は、扉212が閉じてから所定時間(例えば1分)経過したか否かを判定する。冷蔵庫100はRTC(リアルタイムクロック)等の計時機能を有していて、扉212が閉じてからの経過時間を計時する。扉212が閉じてから所定時間経過していなければ、制御部601は所定時間経過するまで待機する。
【0058】
図13は、電磁波の出力を開始した後に冷蔵庫100が実行する処理を示すフローチャートである。
図13のフローチャートのステップのうち
図8のフローチャートと同じ番号のステップは、
図8のフローチャートと同じ処理であるため、説明を省略する。
【0059】
ステップ807において扉212が閉じたと制御部601が判定すると、処理はステップ1301に進む。次にステップ1301において、制御部601は、所定時間(例えば1分)経過するまで待機し、電磁波の出力を再開する。
【0060】
即ち、本実施形態の冷蔵庫100は、扉212が閉じてから所定時間経過するまでの間は加熱処理を開始しないことを特徴とする。風路201を流れる冷気は低湿度であるため、冷蔵庫100は、所定時間待機することで解凍室105の湿度を低下させ、解凍室105の湿度を低下させたうえで加熱処理を開始することができる。これにより、解凍室105の内部で結露が発生する可能性を低減することができる。
【0061】
(実施形態3)
除霜ヒータ113による除霜が行われると、多量の水蒸気が冷却室110から解凍室105に流入してしまう。この状態で加熱処理を開始すると、保存物の解凍が進むに連れて保存物から水蒸気が発生し、解凍室105の内部で結露が発生しやすくなってしまう。そこで本実施形態では、除霜ヒータ113による除霜が行われている間に、ダンパー203を閉じることを特徴とする。即ち、本実施形態では、除霜によって発生する水蒸気が解凍室105に流入することを防止することで、解凍室105の内部で結露が発生する可能性を低減することができる。
【0062】
(実施形態4)
本実施形態では、解凍室105の変形例を説明する。上述した各実施形態では、解凍室105の天面全体に発振電極208を、解凍室105の底面全体に対向電極209を埋設する例を説明したが、発振電極208と対向電極209を埋設する範囲は適宜変更可能である。例えば
図14のように、冷蔵庫100の正面から見て手前側に発振電極208と対向電極209を埋設し、奥側を発振電極208と対向電極209が存在しない領域にしても良い。このとき、保存物が加熱されるのは、冷蔵庫100の正面から見て手前側の限られた領域である。この領域をユーザが認識できるように、解凍室105の底面の手前側に加熱位置を示す図柄等のガイダンスを設けることが望ましい。なお、冷蔵庫100の正面から見て奥側に発振電極208と対向電極209を埋設し、手前側を発振電極208と対向電極209が存在しない領域にしても良い。
【0063】
解凍室105の変形例を更に説明する。例えば
図15のように、冷蔵庫100の正面から見て左側に発振電極208と対向電極209を埋設し、右側を発振電極208と対向電極209が存在しない領域にしても良い。このとき、保存物が加熱されるのは、冷蔵庫100の正面から見て左側の限られた領域である。この領域をユーザが認識できるように、解凍室105の底面の左側に加熱位置を示す図柄等のガイダンスを設けることが望ましい。なお、冷蔵庫100の正面から見て右側に発振電極208と対向電極209を埋設し、左側を発振電極208と対向電極209が存在しない領域にしても良い。
【0064】
(実施形態5)
本実施形態では、解凍室105の変形例を説明する。上述した各実施形態では、1組の発振電極と対向電極を解凍室105に設ける例を説明したが、複数組の発振電極と対向電極を解凍室105に設けても良い。例えば
図16のように、冷蔵庫100の正面から見て手前側に発振電極208と対向電極209を埋設し、奥側に発振電極1601と対向電極1602を埋設しても良い。このとき、保存物が加熱されるのは、冷蔵庫100の正面から見て手前側と奥側の2つの領域である。この2つの領域をユーザが区別できるように、解凍室105の底面の手前側と奥側のそれぞれに、加熱位置を示す図柄等のガイダンスを設けることが望ましい。ユーザは、冷蔵庫100の正面から見て手前側と奥側の2つの領域のうち、どちらの領域を使って保存物を解凍するのかを、実行指示を入力する際に選択する必要がある。
【0065】
解凍室105の変形例を更に説明する。例えば
図17のように、冷蔵庫100の正面から見て左側に発振電極208と対向電極209を埋設し、右側に発振電極1701と対向電極1702を埋設しても良い。このとき、保存物が加熱されるのは、冷蔵庫100の正面から見て左側と右側の2つの領域である。この2つの領域をユーザが区別できるように、解凍室105の底面の左側と右側のそれぞれに、加熱位置を示す図柄等のガイダンスを設けることが望ましい。ユーザは、冷蔵庫100の正面から見て左側と右側の2つの領域のうち、どちらの領域を使って保存物を解凍するのかを、実行指示を入力する際に選択する必要がある。
【0066】
(実施形態6)
本実施形態では、解凍室105の変形例を説明する。例えば
図18のように、解凍室105を上段解凍室1801と下段解凍室1802に分割しても良い。本実施形態では、上段解凍室1801と下段解凍室1802の間の隔壁に、発振電極208が埋設され、上段解凍室1801の天面に、第1の対向電極1803が埋設され、下段解凍室1802の底面に、第2の対向電極1804が埋設される。発振電極208と第1の対向電極1803との間で形成される電界によって、上段解凍室1801に設置されている保存物が加熱される。また、発振電極208と第2の対向電極1804との間で形成される電界によって、下段解凍室1802に設置されている保存物が加熱される。ユーザは、上段解凍室1801と下段解凍室1802のどちらを使って保存物を解凍するのかを、実行指示を入力する際に選択する必要がある。
【0067】
本実施形態の構成によれば、第1の対向電極1803と第2の対向電極1804がそれぞれ電磁波シールドとしても利用できる。従って、
図2の電磁波シールド210のように、風路201の上部に電磁波シールドを別途設ける必要がなくなる。
【0068】
(実施形態7)
本実施形態では、発振部206と整合部207を解凍室105とは異なる貯蔵室に設置する例を説明する。発振部206と整合部207を、例えば解凍室105の上方に位置する冷蔵室103の内部に設置しても良い。特に、冷蔵室103が備える製氷用の給水タンクや、この給水タンクから製氷機に水を供給する給水パイプの近傍に発振部206と整合部207を設置することが望ましい。このような配置にすると、発振部206と整合部207から生じる熱が給水パイプに伝導し、給水パイプが凍結することを防止できる。
【0069】
(実施形態8)
本実施形態では、扉212に設けられる電磁波シールドについて、当該電磁波シールドの設置位置の変形例を説明する。
図19は、扉212を示す図である。扉212には冷蔵庫100の庫内側に凹み部が設けられていて、この凹み部に電磁波シールド1901が設けられている。そしてこの凹み部は樹脂板1902で覆われている。本実施形態によれば、扉212の断熱材の内部に電磁波シールドを設ける場合に比べて、電磁波シールドを扉212に組み込みやすくなる。
【0070】
本発明は、家庭用の冷蔵庫や冷凍庫、業務用の冷蔵庫や冷凍庫に適用できる。
【符号の説明】
【0071】
100 冷蔵庫
103 冷蔵室
105 解凍室
208,1601,1701 発振電極
209,1602,1702,1803,1804 対向電極
210 電磁波シールド
211 電磁波シールド
212 扉
213 電磁波シールド
214 電磁波シールド
215 電磁波シールド
216 電磁波シールド
1901 電磁波シールド
217 開扉検知スイッチ
601 制御部