(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/10 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
D06F33/10
(21)【出願番号】P 2022528502
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2021017829
(87)【国際公開番号】W WO2021246115
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2020095210
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】米田 智亮
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宣彦
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151187(JP,A)
【文献】特開2007-111396(JP,A)
【文献】登録実用新案第3011141(JP,U)
【文献】特表2015-506203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブと、
前記タブ内に設けられた収容槽と、
前記タブ
内に設けられ、スチームを生成させるスチーム生成部と、
前記タブの空気を吸気する吸気口、及び送風部により供給される空気を前記タブ内に送風する送風口を有する送風経路と、
前記タブ内のスチームを前記吸気口から吸気し、前記送風口を介して前記収容槽内にスチームを送風する前記送風部と、
を備
え、
前記スチーム生成部は、前記タブ内の下部に設けられ、
前記吸気口は、前記スチーム生成部より高い位置で前記タブの上部に設けられている、
洗濯機。
【請求項2】
タブと、
前記タブ内に設けられた収容槽と、
前記タブに水を供給する給水部と、
前記タブに風を供給する風供給ユニットと、
前記タブ内に設けられ、スチームを生成するスチーム生成部と、
制御部と、を備え、
前記スチーム生成部は、前記タブ内の下部に設けられ、
前記風供給ユニットは、前記スチーム生成部より高い位置で前記タブの上部に設けられ前記タブの空気を吸気する吸気口、及び前記タブ内に送風する送風口を有し、
前記制御部は、
前記給水部を駆動して前記タブ内に給水させ、
前記スチーム生成部を駆動
して、前記タブ内の水からスチームを生成させ、
前記風供給ユニットを駆動
して、前記タブ内のスチームを前記吸気口から吸気させ、前記送風口を介して前記収容槽内にスチームを送風させる、
洗濯機。
【請求項3】
前記スチーム生成部は、
前記タブ内に溜められた水を加熱するヒータを含み、
前記ヒータは、前記洗濯機の設置状態において、前記収容槽の下方に配設されている、
請求項
1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記
スチーム生成部は、前記送風経路の中に設けられておらず、前記収容槽の内底面より下方に設けられており、
前記吸気口は、前記送風口より上方に設けられている、
請求項
1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記
スチーム生成部は、前記風供給ユニット
に設けられておらず、前記収容槽の内底面より下方に設けられており、
前記吸気口は、前記送風口より上方に設けられている、
請求項
2に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記洗濯機は、更に前記タブ内の水位を検知する水位検知部を備え、
前記スチーム生成部は、前記収容槽の下方に配設されており、
前記制御部は、
前記風供給ユニットの駆動が停止した状態で、前記給水部を駆動して前記タブ内に給水させ、
前記スチーム生成部を駆動させて給水させた水によりスチームを生成させ、
前記風供給ユニットを駆動させて前記収容槽内にスチームを送風させる、
請求項2~5のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記洗濯機は、更に前記タブ内の水温を検知する水温検知部を備え、
前記制御部は、
スチームを生成するスチーム工程において、
前記タブ内の水が所定の水温に到達すると、前記風供給ユニットによる送風を開始させる、
請求項2~6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御部は、
スチームを生成するスチーム工程において、
所定のタイミングで、前記風供給ユニットによる送風を一時停止させる、
請求項2~6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記風供給ユニットは、
供給する風を加熱する空気加熱部を含む、
請求項
2に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記風供給ユニットは、
前記空気加熱部の下流側において、前記タブと
送風経路とを接続し、前記収容槽内にスチームを送風するための送気口と、
前記送気口近傍のスチームの温度を検知する吹出温度検知部と、を含み、
制御部は、前記吹出温度検知部により検知されるスチームの温度が70℃以上の場合、前記空気加熱部による加熱を停止させる、
請求項9に記載の洗濯機。
【請求項11】
前記制御部は、
前記タブ内にスチームを送風するスチーム工程と、
前記タブ内に収容された被処理物を乾燥させる乾燥工程と、を実行する、
請求項2~10いずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項12】
前記制御部は、
前記タブ内にスチームを送風するスチーム工程が終了すると、前記スチーム生成部の駆動を停止させた後に前記風供給ユニットの駆動を開始させ、前記タブ内の水が所定の水温に到達すると、前記タブ内の水を排水させる、
請求項2~11のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項13】
前記洗濯機は、更に前記タブ内に溜められた水を排水する排水部と、
排水された水と合流するように給水する第2の給水部と、を備え、
前記制御部は、
前記タブ内にスチームを送風するスチーム工程が終了すると前記スチーム生成部の駆動を停止させ、前記排水部による排水及び前記第2の給水部による給水を実行させる、
請求項2~11のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項14】
前記スチーム生成部は、
前記タブ内に溜められた水を加熱するヒータを含み、
前記ヒータは、
前記洗濯機の設置状態において、前記収容槽の下方に、水平となるように配設されている、
請求項1又は2に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドラム内へスチームを供給するドラム式洗濯機を開示する。
【0003】
特許文献1に係るドラム式洗濯機は、洗濯水をドラム底面より低い水位でタブ内に給水し、タブ内に設けられた洗濯用ヒータにより、洗濯水を加熱してスチームを生成させるとともにドラムを回転させ、ドラム側壁の小孔からドラム内にスチームを供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示は、スチームを効率的に収容槽内へ供給できる洗濯機を提供する。
【0006】
本開示に係る洗濯機は、タブと、前記タブ内に設けられた収容槽と、前記タブ内に設けられ、スチームを生成させるスチーム生成部と、前記タブの空気を吸気する吸気口、及び送風部により供給される空気を前記タブ内に送風する送風口を有する送風経路と、前記タブ内のスチームを前記吸気口から吸気し、前記送風口を介して前記収容槽内にスチームを送風する前記送風部と、を備え、前記スチーム生成部は、前記タブ内の下部に設けられ、前記吸気口は、前記スチーム生成部より高い位置で前記タブの上部に設けられている。
【0007】
また、本開示に係る洗濯機は、タブと、前記タブ内に設けられた収容槽と、前記タブに水を供給する給水部と、前記タブに風を供給する風供給ユニットと、前記タブ内に設けられ、スチームを生成するスチーム生成部と、制御部と、を備え、前記スチーム生成部は、前記タブ内の下部に設けられ、前記風供給ユニットは、前記スチーム生成部より高い位置で前記タブの上部に設けられ前記タブの空気を吸気する吸気口、及び前記タブ内に送風する送風口を有し、前記制御部は、前記給水部を駆動して前記タブ内に給水させ、前記スチーム生成部を駆動して、前記タブ内の水からスチームを生成させ、前記風供給ユニットを駆動して、前記タブ内のスチームを前記吸気口から吸気させ、前記送風口を介して前記収容槽内にスチームを送風させる。
【0008】
本開示に係る洗濯機は、スチームを効率的に収容槽内へ供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る洗濯機の構成を示す概略的な縦断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る洗濯機の構成を示す概略的な正面断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る洗濯機のスチーム供給制御を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、従来の洗濯機のスチーム工程におけるスチームの流れを示す、正面から見た模式図である。
【
図5】
図5は、従来の洗濯機のスチーム工程におけるスチームの流れを示す、横から見た模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る洗濯機のスチーム工程におけるスチームの流れを示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る洗濯機のスチーム工程におけるスチームの流れを示す、横から見た模式図である。
【
図8】
図8は、実施の形態4に係る洗濯機の構成を示す概略的な正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。なお、添付図面及び以下の説明によって本開示が限定されるものではない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1~7を用いて、本開示の実施の形態1に係る洗濯機100を説明する。
【0012】
[洗濯機の構成]
図1は、実施の形態1に係る洗濯機100の構成を示す概略的な縦断面図、
図2は、実施の形態1に係る洗濯機100の構成を示す概略的な正面断面図である。まずは、
図1及び
図2を用いて、洗濯機100の構成が説明される。なお、以下では、
図1に示すように洗濯機100が設置された状態(本開示に係る設置状態に相当)での鉛直方向を上下方向として記載する場合がある。このことは他の実施の形態に係る洗濯機においても同様である。
【0013】
図1に示すように、洗濯機100は、ドラム式洗濯機であり、筐体110と、筐体110内で被処理物を収容する槽ユニット200と、を備える。槽ユニット200は、回転軸RXを取り囲む略円筒形状の周壁211を有する、本開示に係る収容槽の一例であるドラム210と、ドラム210を収容するタブ220と、を含む。ドラム210は、被処理物を収容可能に構成されており、タブ220は、水(以下、「洗濯水」ともいう)を溜められるように構成されている。すなわち、洗濯機100は、タブ220と、タブ220内に設けられたドラム210とを備える。被処理物とは、例えば、衣類、帽子、靴、玩具、等である。周壁211には、ドラム210の内外を連通させる孔214が複数形成されており、複数の孔214は、タブ220に溜められた水をドラム210の内部に通過させる。ドラム210の内部には、所定の間隔となるように三つのバッフル(図示せず)が設けられており、バッフルは、ドラム210の回転に伴って、被処理物を持ち上げて下方へ落下させる。
【0014】
また、本実施の形態に係る洗濯機100は、タブ220に設けられ、スチームを生成させるスチーム生成部160を備える。スチーム生成部160は、本開示に係るヒータの一例である、タブ220内に溜められた洗濯水を加熱する温水ヒータ163を含む。温水ヒータ163には、後述する温度ヒューズ(図示せず)が設けられている。本実施の形態に係るスチーム生成部160は、ドラム210底面より低い位置にあることが望ましい。スチームにより上昇気流が生じるため、タブ220内で発生したスチームをドラム210内へ効率的に供給できるからである。本実施の形態に係る温水ヒータ163は、タブ220の下部に配設される。すなわち、スチーム生成部160及び温水ヒータ163は、洗濯機100の設置状態において、ドラム210の下方に配設されている。
【0015】
また、温水ヒータ163は、長手方向が、洗濯機100の設置状態における水平面と略平行となるように配設されている。すなわち、温水ヒータ163は、洗濯機100の設置状態において、ドラム210の下方に水平となるように配置されている。これにより、温水ヒータ163の長手方向が、ドラム210の底面に略平行となるように設けられた場合と比較すると、洗濯機100は、少ない洗濯水で温水ヒータ163を水没させることができる。洗濯機100は、スチームに要する洗濯水を少量にする構成により、熱効率を向上させ、短時間でスチームを発生させることができる。また、洗濯機100は、ドラム210の内部最下端と、スチームに要する設定水位との距離を拡げ、水位の誤検知によりドラム210内に収容された被処理物が浸水することを抑制できる。なお、温水ヒータ163は、長手方向が下方傾斜するように設けられてもよい。この場合、温水ヒータ163の発熱部分は、温度ヒューズよりも下方であることが望ましい。これにより、温水ヒータ163が水没せずに加熱されたとしても、所定の温度以上となると温度ヒューズにより電力が遮断されて加熱が停止される。そのため、スチームに要する設定水位を温水ヒータ163の近傍に設けたとしても、安全性が担保される。
【0016】
温水ヒータ163には、温度ヒューズが内蔵されている。温水ヒータ163は、所定の温度以上になると温度ヒューズにより自動で加熱を停止するため、水位センサ321が水位を誤検知した場合でも、温水ヒータ163が水没しない状態で空焚きすることを抑制する。なお、温度ヒューズは、温水ヒータ163に内蔵される代わりに、タブ220の外壁に設けられてもよい。更には、水温検知センサ161により検知された水温Tが、上限温調温度より高い所定の異常温度を超えた場合、温水ヒータ163を停止させるとともに操作部123にエラー表示を出してもよい。
【0017】
筐体110は、槽ユニット200へ被処理物を投入するための投入口119が形成された前壁111と、前壁111とは反対側に位置する後壁112と、を含む。また、筐体110は、前壁111と後壁112との間で略水平に延びる筐体天壁113と、筐体天壁113とは反対側に位置する筐体底壁114と、を含む。ドラム210及びタブ220には、前壁111に形成された投入口119と連通する開口部213がそれぞれ形成される。
【0018】
洗濯機100は、前壁111に取り付けられた扉体120を更に備える。扉体120は、前壁111に形成された投入口119を閉塞する閉位置と投入口119を開放する開位置との間で回動する。使用者は、扉体120を開位置に回動させ、前壁111の投入口119を通じて、被処理物をドラム210へ投入することができる。その後、使用者は、扉体120を閉位置に移動させ、洗濯機100に被処理物を洗濯させることができる。なお、
図1に示される扉体120は、閉位置に存する。
【0019】
ドラム210は、前壁111と後壁112との間で延びる回転軸RX周りに回転する。ドラム210に投入された被処理物は、ドラム210の回転に伴ってドラム210内を移動し、洗い、すすぎ及び脱水のうち、ユーザが選択したコースに応じた処理を受ける。
【0020】
ドラム210は、周壁211と、閉位置にある扉体120に対向する底壁212と、を含む。タブ220は、ドラム210の底壁212及び周壁211の一部を取り囲む底部221と、底部221と扉体120との間で、ドラム210の周壁211の他の部分を取り囲む前部222と、を備える。
【0021】
槽ユニット200は、ドラム210の底壁212に取り付けられた回転シャフト230を含む。回転シャフト230は、回転軸RXに沿って、後壁112に向けて延びる。回転シャフト230は、タブ220の底部221を貫通し、タブ220と後壁112との間に現れる。
【0022】
洗濯機100は、タブ220の下方に据え付けられたモータ231と、タブ220の外に露出した回転シャフト230に取り付けられたプーリ232と、モータ231の動力をプーリ232に伝達するためのベルト233と、を更に備える。モータ231が作動すると、モータ231の動力は、ベルト233、プーリ232及び回転シャフト230に伝達される。この結果、ドラム210は、タブ220内で回転する。
【0023】
洗濯機100は、タブ220の前部222と扉体120との間に配設されたパッキン構造116を更に備える。閉位置に回動された扉体120は、パッキン構造116を圧縮する。この結果、パッキン構造116は、扉体120と前部222との間で水密シール構造を形成する。
【0024】
洗濯機100は、被処理物の量を測定する布量センシングを実施する。布量センシングは、例えば、ドラム210を規定の回転数まで加速させ、そのときのモータ231の電流値から測定する。
【0025】
洗濯機100は、本開示に係る風供給ユニットの一例である乾燥ユニット700を更に備える。乾燥ユニット700は、タブ220に風を供給するものである。乾燥ユニット700は、エアフィルタ711と、乾燥ダクト710と、本開示に係る空気加熱部の一例である熱交換部712と、本開示に係る送風部の一例である送風ファン730と、吸気管750及び送気管760と、を含む。吸気管750及び送気管760は、送風ファン730が設けられ、タブ220と接続される、本開示に係る風路の一例としての風路の一部を構成する。
【0026】
ここで、エアフィルタ711は、ドラム210から送り出された空気からリントを除去する。熱交換部712は、ヒートポンプ又は乾燥用ヒータにより構成され、エアフィルタ711を通過した空気と熱を交換することで、供給する風を加熱する。乾燥ダクト710は、エアフィルタ711及び熱交換部712を収容する。送風ファン730は、乾燥ダクト710に接合され、風を生成する。すなわち、送風ファン730は、スチーム生成部160により生成されたスチームをドラム210内へ供給することになる。吸気管750は、槽ユニット200から送風ファン730に至る空気の流動経路を規定する。送気管760は、送風ファン730から槽ユニット200へ送り出される空気の流れを規定する。
【0027】
乾燥ユニット700は、吸気管750から槽ユニット200の空気を取り入れ、送気管760を通じて槽ユニット200に空気を送り込むことにより、槽ユニット200を含めた循環風路を構成している。
【0028】
送風ファン730が回転すると、吸気管750内において負圧環境が作り出される一方で、送気管760内において正圧環境が作り出され、ドラム210内へ風が供給される。従って、洗濯機100は、乾燥ユニット700と槽ユニット200とにより構成された循環風路を備える、循環式の洗濯乾燥機である。
【0029】
吸気管750と槽ユニット200との接合面には、吸気口751が設けられており、送気管760と槽ユニット200との接合面には、送気口761が設けられている。乾燥ユニット700は、吸気口751と、送気口761と、を含む。吸気口751は、送風ファン730の上流側において、洗濯機100の設置状態におけるスチーム生成部160の上方位置でタブ220と吸気管750とを接続し、タブ220内の空気を吸気するための開口部である。送気口761は、熱交換部712及び送風ファン730の下流側において、タブ220と送気管760とを接続し、ドラム210内に空気(スチーム)を送風するための開口部である。吸気口751は、スチームにより上昇気流が生じることから、本実施の形態に係るスチーム生成部160が含む温水ヒータ163より高い位置に設けられることが望ましい。吸気口751は、特にスチームを含む温められた空気が溜まりやすいタブ220上部に設けることが望ましい。更には、吸気口751は送気口761より高い位置に設けられることが望ましい。
【0030】
乾燥ユニット700には、乾燥ユニット700内の空気の温度を検出する乾燥用温度センサが設けられている。なお、本実施の形態のように、乾燥用温度センサとして、吸気口751から吸い込まれた空気の温度を検知する吸込温度センサ162aと、熱交換部712により加熱された空気の温度を検知する吹出温度センサ162bと、がそれぞれ設けられてもよい。すなわち、吹出温度センサ162bは、本開示に係る吹出温度検知部の一例であり、送気口761近傍のスチームの温度を検知する。
【0031】
図2に示すように、洗濯機100は、本開示に係る給水部の一例として、タブ220に水を供給する給水ユニット139を備える。給水ユニット139は、蛇口(図示せず)に接続される給水口140と、給水弁141と、洗剤を収容する洗剤収容部150と、洗剤収容部150と槽ユニット200を接続する給水管151と、を含む。
【0032】
給水される洗濯水は、ドラム210に収容される被処理物に当らないようにタブ220内部へ給水されることが好ましい。従って、給水管151はタブ220の後側上部に配置されており、給水管151により構成される流路は、タブ220の後面に沿って形成されていてもよい。また、ドラム210内部に水がかからないように、給水弁141を間欠的に開放して給水される水量を減少させ、給水された水がタブ220の内側の面に沿って流下するようにしてもよい。なお、ドラム210に収容される被処理物に洗濯水が当るように給水する第1の給水流路と、ドラム210に収容される被処理物に洗濯水が当らないように給水する第2の給水流路を備え、用途に応じて第1の給水流路と第2の給水流路を使い分けてもよい。
【0033】
また、
図1に示すように、洗濯機100は、上流循環管640と、下流循環管650と、排水管660と、排水弁690と、糸くずフィルタ152と、を備える。ここで、上流循環管640は、タブ220から循環ポンプ610へ流れる水の経路を規定する。下流循環管650は、循環ポンプ610からタブ220へ戻る水の経路を規定する。排水管660は、筐体110外への排水経路を規定する。糸くずフィルタ152は、糸くずなどの異物を回収する。排水弁690は、排水管660に取り付けられる。タブ220に溜められた水を排水する本実施の形態に係る排水部は、排水弁690を含み、ドラム210から排水管660へ至る流路で規定される。上流循環管640は、タブ220との接続部付近で分岐してエアトラップ630を形成しており、エアトラップ630上部において空気管631と接続されている。空気管631の上部には、本開示に係る水位検知部の一例であり、タブ220内の水位を検知する水位センサ321が設けられている。
【0034】
洗濯機100は、本開示に係る水位検知部の一例である水位センサ321を備える。水位センサ321は、MEMS式圧力センサにより構成されている。水位センサ321は、MEMS式圧力センサを採用することで精度よく水位を検知できるため、ドラム210内への浸水、又は温水ヒータ163の露出を抑制できる。そのため、水位の誤検知に対応するためにドラム210の下端から温水ヒータ163までの距離を長めにとる必要が無くなるので、設計の自由度が向上する。
【0035】
なお、本開示に係る水位検知部の一例として、MEMS式圧力センサにより構成された水位センサ321の代わりに、電極間の電位変化を読み取って水位を検知する電極検知を行うセンサや、フロートセンサによる水位検知を行うセンサが用いられてもよい。これらの水位検知部は、水位の低下を鋭敏に反映するため、温水ヒータ163が水没しない状態で空焚きすることを効果的に抑制できる。
【0036】
糸くずフィルタ152は、洗濯水が高温になった場合には着脱がロックされる構成にしてもよい。これにより、後述されるスチーム供給制御中において、糸くずフィルタ152が外されて高温の洗濯水が外部に流出することを抑制できる。
【0037】
洗濯機100は、本開示に係る水温検知部の一例である水温検知センサ161を備える。水温検知センサ161は、タブ220の外側壁面に取り付けられ、タブ220内の洗濯水の温度を検知する。なお、水温検知センサ161の取付箇所は、タブ220の外側壁面に限定されず、タブ220内の水温Tを検知できればよく、例えば、タブ220の内側であってもよい。
【0038】
また、洗濯機100は、操作部123を備える。操作部123は、使用者の操作を受け付けるボタンと表示部とを含む。使用者は、操作部123のボタンにより様々なコースを選択することができ、選択したコースに関する情報が表示部に表示される。なお、操作部123は、タッチパネルにより構成されてもよい。様々なコースは、洗濯コース、乾燥コース、洗濯から乾燥まで一環としておこなう洗濯乾燥コース、被処理物を洗濯せずにスチームのみで処理するリフレッシュコース、被処理物を入れずに洗濯槽を処理するタブ洗浄コース、等を含む。これらのコースの一部として、後述されるスチーム供給制御が行われる。なお、様々なコースは、スチーム供給制御のみで構成されるコースを含んでもよい。
【0039】
また、洗濯機100は、制御部170を備える。制御部170は、洗濯機100全体を制御する他、特にスチーム供給制御を実行する。詳細は後述するが、制御部170は、給水ユニット139を駆動してタブ220内に給水させ、スチーム生成部160を駆動させて給水させた水によりスチームを生成させ、乾燥ユニット700を駆動させてドラム210内にスチームを送風させる。なお、
図1に示す制御部170の位置は、一例であり、他の位置に配置されてもよい。また、制御部170は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部170として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0040】
[スチーム供給制御]
スチーム供給制御は、スチームを被処理物に作用させることにより、衣類の皺取り、除菌、消臭、アレルゲンの除去又は非活性化、等の効果を発揮する。スチーム供給制御は、例えば、スチーム生成部160に給水する給水工程と、スチームを生成するスチーム工程と、湿った被処理物を乾燥させる乾燥工程と、タブ220内の洗濯水を冷却する冷却工程と、を含む。スチーム供給制御に関わる工程時間、及びドラム210の回転時限等は、被処理物の量又は洗濯水の温度に基づいて決定される。
【0041】
以下、スチーム供給制御の一例として、スチーム工程及び乾燥工程を含むリフレッシュコースについて説明する。以下、
図2に示すように、ドラム210の内底面より高い水位をA水位、ドラム210底面より低い水位であってスチーム工程の設定水位である水位をB水位、B水位より低い水位であって温水ヒータ163が露出する虞がある水位をC水位、とする。
【0042】
図3は、実施の形態1に係る洗濯機100のスチーム供給制御(リフレッシュコース)を示すフローチャートである。
【0043】
図3に示すように、リフレッシュコースが開始すると(ステップS101)、制御部170は、給水工程を実行する(ステップS102)。具体的には、制御部170は、給水弁141を開動させて洗剤収容部150へ水を供給し、供給された水は、ドラム210に収容される被処理物に当らないようにタブ220内部へ給水される(ステップS102)。制御部170は、水位センサ321により検知された水位がB水位以上であるか否かを判定する(ステップS103)。B水位に到達するまで(ステップS103、No)、制御部170は、給水を継続する(ステップS102)。B水位に到達したことを水位センサ321により検知すると(ステップS103、Yes)、制御部170は、給水弁141を閉じさせてスチーム工程へ進む。すなわち、制御部170は、タブ220内にスチームを送風するスチーム工程を実行する。
【0044】
スチーム工程が開始すると、制御部170は、温水ヒータ163の通電を開始させる(ステップS104)。このように、給水が完了した状態でスチーム工程を開始することにより、温水ヒータ163が完全に洗濯水に浸かっている状態で温水ヒータ163を加熱することができる。そのため、温水ヒータ163が、空焚きすることを抑制できる。なお、温水ヒータ163が完全に洗濯水に浸かった状態であれば、給水工程中に温水ヒータ163の通電を開始してもよい。
【0045】
制御部170は、水温検知センサ161により検知された洗濯水の温度が、所定の温度である上限温調温度に到達するまで、温水ヒータ163に洗濯水を加熱させる。上限温調温度は、例えば60℃に設定される。スチーム生成部160に溜められた洗濯水は、温水ヒータ163の近傍でサブクール沸騰し、スチームを生成する。なお、スチーム生成部160に溜められた洗濯水は、通常の沸騰によりスチームを生成してもよい。
【0046】
洗濯水が上限温調温度まで到達すると、制御部170は、温水ヒータ163を停止させる。洗濯水が上限温調温度より低い温度である下限温調温度まで低下すると、制御部170は、再び温水ヒータ163の通電を開始させる。下限温調温度は、例えば55℃に設定される。
【0047】
本実施の形態では、温水ヒータ163の通電を開始させて2分間が経過すると、制御部170は、送風ファン730を駆動させる(ステップS105)。すなわち、制御部170は、スチームを生成するスチーム工程において、タブ220内の水が所定の水温に到達すると、乾燥ユニット700による送風を開始させることになる。
【0048】
また、制御部170は、乾燥ユニット700の駆動が停止した状態で、給水ユニット139を駆動してタブ220内に給水させ、スチーム生成部160を駆動させて給水させた水によりスチームを生成させる。そして、制御部170は、乾燥ユニット700を駆動させてドラム210内にスチームを送風させることになる。このように、B水位以上となるように給水が完了した状態でスチーム工程を開始することにより、送風ファン730の駆動による風圧の変化によって、水位センサ321が水位を誤検知することを抑制できる。なお、スチーム工程における送風ファン730の駆動は、間欠的に動作させてもよい。送風ファン730が停止した時に水位センサ321により水位を検知することで、風圧の変化による誤検知を抑制できる。
【0049】
スチーム工程では、制御部170は、ドラム210を回転させるモータ231を連続的又は間欠的に動作させる。ドラム210の回転数は、例えば、ドラム210に収容された被処理物がタンブルする約50~60r/minに設定される。ドラム210が約50~60r/minで回転している場合、ドラム210内の被処理物は、バッフルによりドラム210内の上方に持ち上げられ、上方から落とされる。本実施の形態では、ドラム210の背面に送気口761が設けられているため、被処理物は、上方から落下する際に、送気口761の前を通過してスチームを吹き付けられる。これにより、被処理物は、スチームの効果を効率よく得ることができる。また、被処理物が衣類である場合、上方から落下する際に吹き付けられた風により衣類が広がるため、衣類の皺を効率よく伸ばすことができる。
【0050】
制御部170は、水位センサ321により検知された水位がC水位未満であるか否かを判定する(ステップS106)。水位がC水位以上である場合には(ステップS106、No)、制御部170は、ステップS108の処理に進む。水位がC水位未満となった場合には(ステップS106、Yes)、制御部170は、温水ヒータ163の通電を停止させてステップS108の処理に進む(ステップS107)。制御部170は、温水ヒータ163の通電を開始してからスチーム工程時間tsが経過したか否かを判定する(ステップS108)。スチーム工程時間tsが経過するまで(ステップS108、No)、制御部170は、ステップS104からの処理を繰り返し行う。スチーム工程時間tsが経過すると(ステップS108、Yes)、制御部170は、スチーム工程を終了して乾燥工程に移行する(ステップS109)。スチーム工程時間tsは、例えば、5分程度に設定される。
【0051】
スチーム工程後の被処理物は、スチームにより湿っており、直ちに使用又は着用ができない状態である。そのため、一般的な洗濯機の乾燥工程と同じく、ドラム210を回転させながら、送風ファン730のみ、又は熱交換部712と送風ファン730とを同時に駆動させて、湿った被処理物を乾燥させる必要がある。すなわち、制御部170は、タブ220内に収容された被処理物を乾燥させる乾燥工程を実行する。
【0052】
本実施の形態では、乾燥工程が開始すると、制御部170は、温水ヒータ163を停止させ、乾燥機能の駆動、すなわち送風ファン730及び熱交換部712の駆動を開始させる(ステップS109)。なお、制御部170は、被処理物の乾き具合を、吸込温度センサ162aにより検知された吸込温度と、吹出温度センサ162bにより検知された吹出温度との差分から判定している。被処理物が乾燥するに従って被処理物の水分を蒸発させるために使われる熱量が小さくなるため、制御部170は、吸込温度と吹出温度との差分が小さくなると乾燥の度合いが高くなったと判定する。
【0053】
次に、タブ220内の洗濯水を冷却する冷却工程を説明する。冷却工程の目的は、洗濯水を所定の温度以下まで冷やして排水することで使用者が火傷することを抑制することである。なお、スチーム工程後の洗濯水の水温Tが所定温度以下であれば冷却工程を実行しなくてもよい。本実施の形態では、洗濯水が乾燥空気から得る熱量より放熱量が大きいため、乾燥工程の一部が冷却工程を兼ねているが、冷却工程と乾燥工程とを別々に実行してもよい。
【0054】
本実施の形態では、水温検知センサ161により検知された洗濯水の温度が所定の温度を下回るまで、洗濯水を放冷する。制御部170は、水温検知センサ161により検知された水温Tが50℃未満であるか否かを判定する(ステップS110)。水温検知センサ161により検知された水温Tが50℃以上だった場合(ステップS110、No)、制御部170は、駆動させた状態の送風ファン730より洗濯水を冷却させる。なお、前述の通り、洗濯水が乾燥空気から得る熱量より放熱される熱量の方が大きいため、熱交換部712を駆動した状態でも洗濯水は冷却されている。
【0055】
また、制御部170は、冷却を行った時間である放冷時間t′を、後述するt2に加える(ステップS111)。水温Tの判定は、所定時間である放冷時間t′が経過する度に行われる。
【0056】
排水動作は、冷却工程後又は冷却工程時に所定の水温以下へ洗濯水が冷却された場合に実行される。本実施の形態では、水温Tが50℃を下回ると(ステップS110、Yes)、制御部170は、排水動作を実行する(ステップS112)。制御部170は、排水弁690を開かせると、タブ220内の洗濯水は排水管660を経由して洗濯機100の外へ排出される。排水により生じる水流は、スチーム工程時に温水ヒータ163表面に析出したスケールを洗い流す。これにより、スケールの堆積が抑制されるので、不純物の堆積によって温水ヒータ163のスチーム生成能力が低下することを抑制できる。このように、制御部170は、タブ220内にスチームを送風するスチーム工程が終了すると、スチーム生成部160の駆動を停止させた後に乾燥ユニット700(送風ファン730)の駆動を開始させる。そして、制御部170は、タブ220内の水が所定の水温(この例では50℃)に到達すると、タブ220内の水を排水させる。
【0057】
制御部170は、排水動作の完了後、乾燥工程時間tdが経過したか否かを判定する(ステップS113)。制御部170は、乾燥工程時間tdが経過するまで(ステップS113、No)、熱交換部712の駆動を維持し続ける。乾燥工程時間tdは、所定時間であるt2と放冷時間t′との和として設定される。例えば、t2は、約5分間に設定される。なお、放冷が複数回行われた場合には、複数回分の放冷時間t′をt2に加算してもよい。乾燥工程時間tdが経過すると(ステップS113、Yes)、乾燥工程が完了し、リフレッシュコースが完了する(ステップS114)。
【0058】
[スチーム工程の作用]
図4は、従来の洗濯機1000のスチーム工程におけるスチームの流れを示す、正面から見た模式図、
図5は、同洗濯機1000のスチーム工程におけるスチームの流れを示す、横から見た模式図である。
【0059】
図4及び
図5に示すように、従来の洗濯機1000は、給水ユニット1139と、スチーム生成部1160と、ドラム1210と、タブ1220と、モータ1231と、循環ポンプ1610と、乾燥ユニット1700と、を備える。給水ユニット1139は、給水口1140と、給水弁1141と、洗剤収容部1150と、給水管1151と、を含む。スチーム生成部1160は、温水ヒータ1163を含む。ドラム1210及びタブ1220には、開口部1213がそれぞれ形成される。ドラム1210には、ドラム1210の内外を連通させる孔1214が複数形成されている。乾燥ユニット1700は、吸気管1750と、送風ファン1730と、送気管1760と、を含む。従来の洗濯機1000は、スチーム生成部1160に貯められた洗濯水を加熱してスチームを生成するとともに、ドラム1210を回転させてドラム1210側壁の孔1214からドラム1210内にスチームを供給する。このように、従来の洗濯機1000は、スチームをドラム1210内へ供給する手段として、ドラム1210の回転により発生する自然対流を用いていた。そのため、従来の洗濯機1000は、ドラム1210内の被処理物に供給されるスチーム量が少なく、スチームの効果を充分に発揮できないという課題がある。
【0060】
図6は、実施の形態1に係る洗濯機100のスチーム工程におけるスチームの流れを示す模式図、
図7は、同洗濯機100のスチーム工程におけるスチームの流れを示す、横から見た模式図である。
【0061】
図6及び
図7に示すように、本実施の形態のスチーム工程においては、スチーム生成部160に溜まった水を温水ヒータ163により加熱するとともに、送風ファン730が駆動される。
図6及び
図7に示すように、スチーム生成部160において発生したスチームは、(a)槽ユニット200の上部に上昇し、(b)吸気口751から送気管760を介して乾燥ユニット700に導入される。そして、スチームは、(c)乾燥ユニット700から吸気管750を介して送気口761からドラム210内の被処理物に供給される。これにより、ドラム210内の被処理物に多量のスチームを供給でき、被処理物の含水率を高めることができる。
【0062】
スチーム工程において、本開示に係る空気加熱部の一例である熱交換部712を駆動させるよう、洗濯機100は変形されてもよい。この変形例1に係る洗濯機は、スチーム工程において熱交換部712を動作させることで、高温のスチームをドラム210に送り込むことができるので、被処理物皺取り性能や、除菌・消臭性能等が向上する。更に、スチームを高温に保つことにより、変形例1に係る洗濯機は、スチームが凝結してタブ220内に送風されるスチーム量が減少することを抑制できる。
【0063】
また、スチーム工程において、モータ231を駆動させてドラム210を回転させるよう、洗濯機100は変形されてもよい。この変形例2に係る洗濯機は、ドラム210を回転させて被処理物を攪拌させることにより、スチームを被処理物にむらなく作用させることができる。
【0064】
また、被処理物が衣類である場合、ドラム210を回転させることで衣類がほぐれるため、変形例2に係る洗濯機では、スチームが効果的に作用する。また、変形例2に係る洗濯機では、送風ファン730を動作させることで、循環風により引っ張る力が衣類に働くため、衣類の皺を取る能力が向上する。なお、被処理物が靴、又はぬいぐるみ等の場合は、ドラム210を静止した状態でスチームを吹きかけるとよい。
【0065】
なお、洗濯機100のようなドラム式洗濯機の場合では、スチームの温度は70℃以下に設定されることが望ましい。すなわち、制御部170は、吹出温度センサ162bにより検知されるスチームの温度が70℃以上の場合、熱交換部712による加熱を停止させることが望ましい。特に被処理物がポリエステル繊維である場合、ポリエステルが塑性変形しやすい70℃以上において、折り畳まった状態の衣類は、二次皺が付く虞があるからである。一方で、被処理物を上方から吊り下げるリフレッシャータイプの衣類処理装置に本開示を適用した場合であれば、スチームの温度は70℃以上に設定されることが望ましい。特に被処理物がポリエステル繊維である場合、吊り下げられた状態の衣類は、70℃以上のスチームで処理することで効率よく皺が伸ばされるからである。また、高温で処理することで除菌効果も期待できる。
【0066】
[効果等]
本実施の形態に係る洗濯機100は、タブ220と、タブ220内に設けられたドラム210と、温水ヒータ163と、送風ファン730と、を備える。温水ヒータ163は、タブ220に設けられ、スチームを生成させるスチーム生成部160の一部である。送風ファン730は、温水ヒータ163により生成されたスチームをドラム210へ供給する。
【0067】
これにより、タブ220内で生成されたスチームは、送風ファン730によってドラム210へ供給される。そのため、洗濯機100は、従来の洗濯機と比較して、ドラム210内へ供給されるスチーム量を増大させることができる。すなわち、洗濯機100は、スチームを効率的にドラム内へ供給することができる。
【0068】
本実施の形態に係る洗濯機100は、タブ220と、タブ220内に設けられたドラム210と、給水ユニット139と、乾燥ユニット700と、温水ヒータ163と、制御部170と、を備える。給水ユニット139は、タブ220に水を供給する。乾燥ユニット700は、タブ220に風を供給する。温水ヒータ163は、タブ220内に設けられ、スチームを生成するスチーム生成部の一部である。制御部170は、給水ユニット139を駆動してタブ220内に給水させ、温水ヒータ163を駆動させて給水させた水によりスチームを生成させ、送風ファン730を駆動させてドラム210内にスチームを送風させる。
【0069】
これにより、タブ220内で生成されたスチームは、送風ファン730によってドラム210へ供給される。そのため、洗濯機100は、従来の洗濯機と比較して、ドラム210内へ供給されるスチーム量を増大させることができる。すなわち、洗濯機100は、スチームを効率的にドラム内へ供給することができる。
【0070】
本実施の形態に係る洗濯機100のスチーム生成部160は、タブ220内に溜められた水を加熱する温水ヒータ163を含み、温水ヒータ163は、洗濯機100の設置状態において、ドラム210の下方に配設されていてもよい。
【0071】
これにより、洗濯機100は、ドラム210内に収容された衣類等の被処理物が濡れないようにタブ220内に水を溜め、タブ220の下部においてスチームを生成させることができる。また、温められたスチームは上昇するため、洗濯機100は、ドラム210内にスチームを効率よく供給できる。
【0072】
本実施の形態に係る洗濯機100の乾燥ユニット700は、送風ファン730と、吸気管750及び送気管760と、吸気口751と、を含んでもよい。送風ファン730は、風を生成させる。吸気管750及び送気管760は、送風ファン730が設けられ、タブ220と接続される風路の一部を構成する。吸気口751は、送風ファン730の上流側において、洗濯機100の設置状態における温水ヒータ163の上方位置でタブ220と吸気管750とを接続し、タブ220内の空気を吸気するためのものである。
【0073】
これにより、空気より軽いスチームは、発生すると、タブ220の上部へと上昇し、吸気口751から吸気される。
【0074】
そのため、洗濯機100は、発生したスチームを効率よく吸気し、ドラム210へ供給することができる。
【0075】
本実施の形態に係る洗濯機100の乾燥ユニット700は、送風ファン730の下流側において、タブ220と送気管760とを接続し、ドラム210内に空気を送風するための送気口761と、を含んでもよい。
【0076】
これにより、吸気したスチームは、正圧環境である送風ファン730の下流側において、ドラム210内へ送風される。
【0077】
そのため、洗濯機100は、ドラム210内へ効率よくスチームを送り込むことができる。
【0078】
本実施の形態に係る洗濯機100は、更にタブ220内の水位を検知する水位センサ321を備え、温水ヒータ163は、ドラム210の下方に配設されてもよい。また、本実施の形態に係る洗濯機100の制御部170は、乾燥ユニット700の駆動が停止した状態で、給水ユニット139を駆動してタブ220内に給水させ、温水ヒータ163を駆動させて給水させた水によりスチームを生成させてもよい。そして、本実施の形態に係る洗濯機100の制御部170は、乾燥ユニット700を駆動させてドラム210内にスチームを送風させてもよい。
【0079】
これにより、洗濯機100は、乾燥ユニット700による送風が停止した状態で給水工程を実行できるため、風圧によって水位センサ321が水位を誤検知することを抑制できる。
【0080】
そのため、洗濯機100は、スチーム生成に利用するタブ220の下部に溜められた水の水位が、C水位を下回ることを抑制できる。
【0081】
本実施の形態に係る洗濯機100は、更にタブ220内の水温Tを検知する水温検知センサ161を備え、制御部170は、スチーム工程において、タブ220内の水が所定の水温に到達すると、乾燥ユニット700による送風を開始させてもよい。
【0082】
これにより、洗濯機100は、スチームが生成される水温に到達した後に送風を開始することで、効率よくスチームを供給できる。
【0083】
本実施の形態に係る洗濯機100の制御部170は、スチーム工程において、所定のタイミングで、乾燥ユニット700による送風を一時停止させてもよい。
【0084】
これにより、洗濯機100は、スチーム工程における水位の変動を検出する際に、風圧により水位を誤検知することを抑制できる。
【0085】
本実施の形態に係る洗濯機100の乾燥ユニット700は、供給する風を加熱する熱交換部712を含んでもよい。
【0086】
これにより、洗濯機100は、高温のスチームをドラム210に送り込むことができるので、被処理物のシワ取り性能や、除菌・消臭性能等を向上させることができる。また、洗濯機100は、乾燥ユニット700により送風されるスチームを加熱することにより、スチームの温度が低下して凝結することを抑制できる。
【0087】
本実施の形態に係る洗濯機100の乾燥ユニット700は、送気口761と、吹出温度センサ162bと、を含んでもよい。送気口761は、熱交換部712の下流側において、タブ220と送気管760とを接続し、ドラム210内にスチームを送風するためのものである。吹出温度センサ162bは、送気口761近傍のスチームの温度を検知する。また、制御部170は、吹出温度センサ162bにより検知されるスチームの温度が70℃以上の場合、熱交換部712による加熱を停止させてもよい。
【0088】
これにより、洗濯機100では、高温のスチームが吹き付けられることで、被処理物である衣類に二次皺が付くことを抑制できる。
【0089】
本実施の形態に係る洗濯機100の制御部170は、タブ220内にスチームを送風するスチーム工程と、タブ220内に収容された被処理物を乾燥させる乾燥工程と、を実行してもよい。
【0090】
これにより、洗濯機100は、大量のスチームで被処理物を処理した後、濡れた状態の被処理物を乾燥させることで、運転終了後、使用者は、処理された被処理物を直ちに使用又は着用できる。
【0091】
本実施の形態に係る洗濯機100の制御部170は、スチーム工程が終了すると、温水ヒータ163の駆動を停止させた後に乾燥ユニット700の駆動を開始させ、タブ220内の水が所定の水温に到達すると、タブ220内の水を排水させてもよい。
【0092】
これにより、洗濯機100は、送風によりタブ220内の水を放冷させることで、タブ220内に追加の給水を行うことなく、タブ220内の水温Tを低下させることができる。
【0093】
本実施の形態に係る洗濯機100のスチーム生成部160は、タブ220内に溜められた水を加熱する温水ヒータ163を含み、温水ヒータ163は、洗濯機100の設置状態において、ドラム210の下方に、水平となるように配設されていてもよい。
【0094】
これにより、ドラム210を傾斜して設けた洗濯機100のようなドラム式洗濯機において、水面と温水ヒータ163が略平行となるので、最低限の水量で温水ヒータ163を完全に浸水させることができる。
【0095】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る洗濯機は、洗濯コースにおいてスチーム供給制御を実施する点で、実施の形態1と異なる。すなわち、実施の形態2に係る洗濯機の制御部は、実施の形態1に係る洗濯機100の制御部170と、その制御内容が異なる。実施の形態2に係る洗濯機の他の構成は、実施の形態1に係る洗濯機100と同様であるため、ここでは、実施の形態2に係る洗濯機の制御部を中心に説明する。
【0096】
洗濯コースは、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程を含む。洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程の少なくとも一つの工程内において、スチーム工程が実施される。以下では、洗い工程でスチーム工程が実施される場合(以下、「適用例1」ともいう)、すすぎ工程でスチーム工程が実施される場合(以下、「適用例2」ともいう)、脱水工程でスチーム工程が実施される場合(以下、「適用例3」ともいう)について、順に説明する。なお、以下では、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程のうちの1つの工程内でスチーム工程を実施するものとして、適用例1~3を説明するが、洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程のうちの複数の工程内でスチーム工程が実施されてもよい。
【0097】
[適用例1:洗い工程におけるスチーム工程]
以下、適用例1に係る制御部が、洗い工程終盤にスチーム工程を実施する場合について説明する。
【0098】
運転開始直後、適用例1に係る制御部は、ドラム210の内底面より高いA水位まで洗濯水を給水させる。給水時に、洗剤収容部150に収容された洗剤が、洗濯水とともにタブ220内へ供給され、洗い工程が開始される。
【0099】
洗い工程では、適用例1に係る制御部は、ドラム210を回転させるモータ231を動作させて、たたき洗い、押し洗い、もみ洗い等、を組み合わせた洗い動作が実行され、被処理物に付着した汚れが除去される。ここで、たたき洗いは、被処理物をドラム210へたたきつける洗い方である。押し洗いは、ドラム210を高速回転させて被処理物をドラム210へ張り付けた状態で洗う洗い方である。もみ洗いは、ドラム210の回転方向を短い時間で反転させる洗い方である。また、同時に、循環ポンプ610の駆動により被処理物に洗濯水がかかり、被処理物の洗浄効果を一層高める。
【0100】
洗い工程終盤になると、適用例1に係る制御部は、B水位まで排水させて、スチーム工程を実施する。これは、衣類等の被処理物が洗濯水に浸かった状態で温水ヒータ163により洗濯水を加熱することで被処理物が傷むことを防ぐためである。もちろん、A水位のままスチーム工程が実施されても良い。
【0101】
適用例1に係る制御部は、スチーム工程後にタブ220内の洗濯水を冷却する冷却工程を実施する。適用例1に係る制御部は、タブ220内に給水させることで洗濯水の温度を所定温度まで下げてから洗濯水を排水させ、すすぎ工程へ移行する。すすぎ工程、脱水工程が終了すると、洗濯コースが完了する。
【0102】
このように、洗い工程中にスチーム工程を実施することにより、被処理物に対し、除菌、消臭、アレルゲンの除去又は非活性化、絡まった被処理物のほぐし効果、等の効果が得られる。
【0103】
なお、ここでは、洗い工程の後半にスチーム工程を実行する場合を説明したが、スチーム工程は洗い工程の序盤で実行するよう変形してもよい。洗い工程の序盤にスチーム工程を実施する場合は、適用例1の変形に係る制御部は、まずB水位まで洗濯水を給水させ、スチーム工程を実行する。スチーム工程後、適用例1の変形に係る制御部は、更にA水位まで洗濯水を給水させて、洗い動作を実行する。なお、更なる変形として、適用例1の更なる変形に係る制御部は、初めからA水位まで給水してからスチーム工程を実施してもよい。
【0104】
[適用例2:すすぎ工程におけるスチーム工程]
以下、適用例2に係る制御部が、すすぎ工程中にスチーム工程を実施する場合について説明する。
【0105】
すすぎ工程では、1回もしくは、複数回のすすぎ工程が設けられており、適用例2では、脱水工程直前の最終すすぎ工程にスチーム工程が設けられている場合を例に説明する。
【0106】
スチームによって、絡まった被処理物をほぐす効果を得るためには、最終すすぎ工程の終盤にスチーム工程を実施することが好ましい。すすぎ工程の序盤では、適用例2に係る制御部は、一般的な洗濯機と同様にA水位以上ですすぎを実行し、すすぎ工程終盤にB水位まで排水させてスチーム工程を実施する。
【0107】
適用例2に係る制御部は、スチーム工程後には冷却工程を実施する。冷却工程では、適用例2に係る制御部は、タブ220内に給水させることで洗濯水の温度を所定温度まで下げてから洗濯水を排水させ、脱水工程へ移行する。なお、冷却手段としては、水温Tが所定の温度まで自然に冷えるまでの冷却時間を設ける方法でもよい。
【0108】
このように、適用例2では、すすぎ工程でスチーム工程を実施することにより、除菌、消臭、アレルゲンの不活性化、絡まった被処理物のほぐし効果、等の効果が得られる。
【0109】
[適用例3:脱水工程におけるスチーム工程]
以下、適用例3に係る制御部が、脱水工程中にスチーム工程を実施する場合について説明する。
【0110】
脱水工程中におけるスチーム工程は、脱水工程序盤にB水位まで給水し、ドラム210を高速回転させながらスチーム工程を実行する方法と、ドラム210の高速回転が終了した後にB水位まで給水してスチーム工程を実行する方法のどちらでもよい。スチーム工程実行後は、冷却工程へ移行し、適用例3に係る制御部は、洗濯水を冷却させた後、洗濯機100の外へ排水させる。
【0111】
このように、脱水工程でスチーム工程を実施することにより、除菌、消臭、アレルゲンの除去又は非活性化、絡まった被処理物がほぐされることによる皺の軽減、等の効果が得られる。
【0112】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る洗濯機は、洗濯~乾燥の一連の動作を実施した後にスチーム供給制御を実施する点で、実施の形態1と異なる。すなわち、実施の形態3に係る洗濯機の制御部は、実施の形態1に係る洗濯機100の制御部170と、その制御内容が異なる。実施の形態3に係る洗濯機の他の構成は、実施の形態1に係る洗濯機100と同様であるため、ここでは、実施の形態3に係る洗濯機の制御部を中心に説明する。
【0113】
[一回目の乾燥工程後のスチーム供給制御]
以下、乾燥工程後にスチーム工程を実施する場合について説明する。
【0114】
洗い工程、すすぎ工程及び脱水工程の一連の動作が完了すると、一回目の乾燥工程が実施される。乾燥工程では、実施の形態3に係る制御部は、ドラム210を回転させながら送風ファン730と熱交換部712を駆動させ、洗濯によって濡れた被処理物を乾燥させる。このとき、実施の形態3に係る制御部は、排水弁690を連続的或いは間欠的に開いた状態となるように駆動する。被処理物が乾いてくると、被処理物に含まれた水を蒸発させるためにエネルギーが使われなくなるため、ドラム210を循環する風の温度が徐々に高くなる。
【0115】
実施の形態3に係る制御部は、乾燥用温度センサ(吸込温度センサ162a及び吹出温度センサ162b)により空気が所定の温度に到達したことを検知すると、排水弁690を閉じた状態にして、給水弁141を開動し、洗濯水をB水位まで給水する。ドラム210内の被処理物に水飛びすることを抑止するため、給水時には送風ファン730及び熱交換部712が停止されてもよい。また、所定の温度とは温風温度が温度平衡に近づく減率乾燥期間後半の温度を指す。この段階では、被処理物は使用又は着用できる程度に乾いた状態となっている。
【0116】
給水が完了すると、スチーム工程が実施される。スチーム工程が完了すると、スチーム工程後に湿った被処理物を乾燥させる第2乾燥工程、冷却工程、排水動作の順で乾燥コースが進行する。
【0117】
本実施の形態における乾燥コースは、一回目の乾燥工程後にスチーム工程を実施するため、槽ユニット200が温められた状態でスチーム工程を開始できるため、スチームによる効果が得られやすい。
【0118】
本実施の形態のように、乾燥工程後にスチーム工程を実行することにより、被処理物除菌・消臭や被処理物へ付着したアレル物質の不活性化、スチームによる被処理物の乾燥皺の軽減、等の効果が得られる。
【0119】
(実施の形態4)
[第2給水管を備える洗濯機の構成]
実施の形態4における洗濯機100aは、本開示に係る第2の給水部の一例として、給水弁141と上流循環管640とを接続する第2給水管153、を備える点で、実施の形態1に係る洗濯機100と異なる。また、実施の形態4に係る洗濯機100aの制御部170aは、実施の形態1に係る洗濯機100の制御部170と、その制御内容が異なる。実施の形態4に係る洗濯機100aの他の構成は、実施の形態1に係る洗濯機100と同様であるため、ここでは、相違点を中心に説明する。
【0120】
図8は、本開示の実施の形態4に係る洗濯機100aの構成を示す概略的な正面断面図である。
【0121】
なお、
図8に示す制御部170aの位置は、一例であり、他の位置に配置されてもよい。また、制御部170aは、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部170aとして機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0122】
以下、
図8を用いて、実施の形態1と異なる排水動作について説明する。
【0123】
スチーム工程完了後、タブ220内の温度が所定の水温以上の場合、制御部170aは、給水弁141と排水弁690を同時に開かせる。給水弁141から供給された水は、第2給水管153を通って上流循環管640へ直接供給され、タブ220内から排水された洗濯水と合流する。これにより、洗濯水は、洗濯機100から排水されるまでに、上流循環管640において冷却される。そのため、冷却工程の時間を別途設ける必要がないため、実施の形態4に係る洗濯機100aは、実施の形態1に係る洗濯機100よりも短時間でスチーム供給制御を完了できる。
【0124】
[作用等]
本実施の形態に係る洗濯機100aは、更にタブ220内に溜められた水を排水する排水部の一部を構成する排水弁690と、排水された水と合流するように給水する第2給水管153と、を備えてもよい。制御部170aは、タブ220内にスチームを送風するスチーム工程が終了すると温水ヒータ163の駆動を停止させ、排水弁690による排水及び第2給水管153による給水を実行させてもよい。
【0125】
これにより、排水する洗濯水の温度を急速に冷却できるので、洗濯機100aは、短時間でスチーム供給制御を完了できる。
【0126】
(他の実施の形態)
実施の形態1~4では、本開示に係る洗濯機の一例として、ドラム式洗濯機を説明した。本開示に係る洗濯機は、ドラム式洗濯機に限定されず、縦型洗濯機やリフレッシャーであってもよい。
【0127】
実施の形態1~4では、本開示に係るスチーム生成部の一例として、タブ220と一体に形成されたスチーム生成部160を説明した。本開示に係るスチーム生成部は、本開示に係るタブと連通して設けられていればよいので、本開示に係るタブの下部に設けられた別部品のスチーム用水槽であってもよい。
【0128】
実施の形態1~4では、本開示に係る給水部による給水の一例として、送風を停止した状態で、給水ユニット139が給水を実行する構成を説明した。給水は、風圧の影響を排除して水位を検知可能であれば実行できるため、送風を停止した状態で給水を実行する構成に限定されない。例えば、給水は、送風ファン730を一定回転数で駆動させた状態で行われてもよい。送風ファン730を一定回転数で回転させた場合に生じる風圧は、略一定である。従って、給水前後の差圧が水圧の変化に相当するため、水位センサ321が水位を誤検知することを抑制できる。また、本開示に係る洗濯機は、本開示に係る風供給ユニット内に風圧検知部を設け、本開示に係る水位検知部により検知された圧力から風圧の差を取ることにより、水位を算出する構成を用いてもよい。本変形に係る洗濯機は、送風しながら給水を実行することができる。
【0129】
実施の形態1~4では、本開示に係るスチーム生成部及び本開示に係る風供給ユニットの駆動を開始するタイミングの一例として、温水ヒータ163による加熱の後に送風ファン730の駆動が開始される構成を説明した。本開示に係るスチーム生成部及び本開示に係る風供給ユニットの駆動を開始するタイミングは、これに限定されない。スチーム工程において、温水ヒータ163と送風ファン730とは、同時に駆動開始されてもよいし、送風ファン730が先に駆動開始されてもよい。また、送風ファン730の駆動は、水温検知センサ161により検知された洗濯水の温度が所定の温度に到達すると、開始するように構成してもよい。これにより、本変形に係る洗濯機は、空気の循環により洗濯水が放熱されることを抑制し、効率よく水温Tを上昇させることができる。
【0130】
実施の形態1~4では、スチーム工程において、ヒータが露出する虞のある水位とならないように水位を制御する構成の一例として、2つの構成を説明した。即ち、C水位未満となった場合に温水ヒータ163を停止させる構成、及び送風ファン730を間欠的に動作させるとともに送風ファン730が停止した時に水位を検知する構成、を説明した。ヒータが露出する虞のある水位とならないように水位を制御する構成は、これらに限定されない。例えば、スチーム工程において、タブ220内の水位が予め設定された再給水水位(図示せず)より低くなると、給水弁141を開き、所定の水位まで再給水されるようにしてもよい。再給水水位は、C水位より高く設定することで、温水ヒータ163の一部が水面より上方となることを抑制できる。また、スチーム工程において、水位センサ321が急激な圧力の降下を検知した場合には、温水ヒータ163を停止させる構成としてもよい。急激な圧力の降下は、送風ファン730による送風の影響ではなく、水漏れによる水位変化の影響である可能性が高いからである。
【0131】
実施の形態1~3では、排水前に洗濯水を冷却する構成の一例として、水温Tが50℃以上の場合は放冷する冷却工程を説明した。冷却工程は、排水前に洗濯水を冷却できればよいので、これに限定されない。例えば、排水弁690は閉じた状態で、送風ファン730を駆動させてタブ220内に空気を循環させることにより、洗濯水の放熱を促進させてもよい。また、B水位とドラム210内部の最下端との距離が十分にある場合は、冷却工程において更に給水して洗濯水の温度を下げてもよい。
【0132】
実施の形態1では、タブ220内の洗濯水を冷却する手段として、時間をかけて放冷する方法を説明した。タブ220内の洗濯水を冷却する手段は、例えば、タブ220内へ更に洗濯水を給水してタブ220内の水温Tを下げる方法、給水しながら排水を実施して排水温度を下げる方法であってもよい。例えば、A水位でスチーム供給制御を実行するコースでは、洗濯水を速やかに冷却するために更に洗濯水を給水して洗濯水の温度が下げられてもよい。一方、B水位でスチーム供給制御を実行するコースでは、B水位とドラム210底面との距離が十分にある場合のみ、更に洗濯水を給水して洗濯水の温度が下げられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本開示は、スチームを収容槽内に供給する洗濯機に適用可能である。具体的には、縦型洗濯機、ドラム式洗濯機、二槽式洗濯機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0134】
100 洗濯機
100a 洗濯機
110 筐体
111 前壁
112 後壁
113 筐体天壁
114 筐体底壁
116 パッキン構造
119 投入口
120 扉体
123 操作部
139 給水ユニット(給水部)
140 給水口
141 給水弁
150 洗剤収容部
151 給水管
152 糸くずフィルタ
153 第2給水管(第2の給水部)
160 スチーム生成部
161 水温検知センサ(水温検知部)
162a 吸込温度センサ
162b 吹出温度センサ(吹出温度検知部)
163 温水ヒータ(ヒータ)
170 制御部
170a 制御部
200 槽ユニット
210 ドラム(収容槽)
211 周壁
212 底壁
213 開口部
214 孔
220 タブ
221 底部
222 前部
230 回転シャフト
231 モータ
232 プーリ
233 ベルト
321 水位センサ(水位検知部)
610 循環ポンプ
630 エアトラップ
631 空気管
640 上流循環管
650 下流循環管
660 排水管
690 排水弁
700 乾燥ユニット(風供給ユニット)
710 乾燥ダクト
711 エアフィルタ
712 熱交換部(空気加熱部)
730 送風ファン(送風部)
750 吸気管
751 吸気口
760 送気管
761 送気口
1000 洗濯機
1139 給水ユニット
1140 給水口
1141 給水弁
1150 洗剤収容部
1151 給水管
1160 スチーム生成部
1163 温水ヒータ
1210 ドラム
1213 開口部
1214 孔
1220 タブ
1231 モータ
1610 循環ポンプ
1700 乾燥ユニット
1730 送風ファン
1750 吸気管
1760 送気管
RX 回転軸
T 水温
td 乾燥工程時間
ts スチーム工程時間
t′ 放冷時間