(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】光源装置、照明点灯装置、及び照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20220101AFI20240126BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240126BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20240126BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240126BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20240126BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20240126BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240126BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240126BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240126BHJP
【FI】
H05B45/50
F21V8/00 200
F21V9/32
F21V23/00 111
F21V23/00 114
F21V23/00 140
H05B45/12
H05B45/345
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019098885
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 洋史
(72)【発明者】
【氏名】北野 博史
(72)【発明者】
【氏名】川端 恵理香
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/140691(WO,A1)
【文献】特開2014-239188(JP,A)
【文献】特開2017-152355(JP,A)
【文献】特開2017-107651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/20
F21V 8/00
F21V 9/32
F21V 23/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端と第2端との間で導光する導光部材、及び前記第1端に入射して前記第2端から出射した第1光を、前記第1光とは波長が異なる第2光に変換する波長変換部材、と共に用いられる光源装置であって、
駆動電流を供給されることによって、前記第1端に入射される前記第1光を放射する複数の発光素子と、
前記第2光のうち、前記第2端に入射して前記第1端へ伝達された信号光を検出する光センサと、
前記複数の発光素子へ前記駆動電流を供給し、前記信号光の検出結果を用いて前記駆動電流を制御する駆動装置と、
前記信号光の光量の低下率に基づいて、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する異常検出部と、を備え、
前記異常検出部は、
前記低下率を第1閾値及び第2閾値と比較することで、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出し、
前記第1閾値及び前記第2閾値は100%未満であり、
前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい値であり、
前記低下率が前記第1閾値以上、前記第2閾値以下であれば、前記複数の発光素子の一部の異常を検出し、
前記低下率が前記第2閾値を上回れば、前記波長変換部材及び前記導光部材の少なくとも一方の異常を検出する
光源装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記信号光の光量が所定値になるように、前記駆動電流を制御する
請求項1の光源装置。
【請求項3】
前記異常検出部が前記複数の発光素子の一部の異常を検出した場合に、前記複数の発光素子から異常な発光素子を特定する異常素子特定部を更に備え、
前記異常素子特定部は、前記異常な発光素子を消灯させる
請求項1又は2の光源装置。
【請求項4】
前記異常素子特定部は、
前記複数の発光素子と一対一に対応し、対応する発光素子に並列に接続されている複数のスイッチと、
前記複数のスイッチを1つずつ順番にオン状態にしたときに、前記信号光が変化しなければ、前記複数の発光素子のうち、前記オン状態にしたスイッチに対応する発光素子は前記異常な発光素子であると判定する処理部と、を有する、
請求項3の光源装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記異常検出部が前記波長変換部材及び前記導光部材の少なくとも一方の異常を検出した場合に、前記複数の発光素子の全てを消灯させるように、前記駆動電流を制御する
請求項1乃至4のいずれか1つの光源装置。
【請求項6】
第1端と第2端との間で導光する導光部材、前記第1端に入射して前記第2端から出射した第1光を、前記第1光とは波長が異なる第2光に変換する波長変換部材、及び駆動電流を供給されることによって前記第1光を放射する複数の発光素子と共に用いられる
照明点灯装置であって、
前記第2端に入射して前記第1端へ伝達された前記第2光を信号光として検出する光センサと、
前記発光素子へ前記駆動電流を供給し、前記信号光の検出結果を用いて前記駆動電流を制御する駆動装置と、
前記信号光の光量の低下率に基づいて、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する異常検出部
と、を備え、
前記異常検出部は、
前記低下率を第1閾値及び第2閾値と比較することで、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出し、
前記第1閾値及び前記第2閾値は100%未満であり、
前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい値であり、
前記低下率が前記第1閾値以上、前記第2閾値以下であれば、前記複数の発光素子の一部の異常を検出し、
前記低下率が前記第2閾値を上回れば、前記波長変換部材及び前記導光部材の少なくとも一方の異常を検出する
照明点灯装置。
【請求項7】
第1端と第2端との間で導光する導光部材と、
前記第1端に入射して前記第2端から出射した第1光を、前記第1光とは波長が異なる第2光に変換する波長変換部材と、
駆動電流を供給されることによって前記第1光を放射する複数の発光素子と、
前記第2光のうち、前記第2端に入射して前記第1端へ伝達された信号光を検出する光センサと、
前記発光素子へ前記駆動電流を供給し、前記信号光の検出結果を用いて前記駆動電流を制御する駆動装置と、
前記信号光の光量の低下率に基づいて、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する異常検出部
と、を備え、
前記異常検出部は、
前記低下率を第1閾値及び第2閾値と比較することで、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出し、
前記第1閾値及び前記第2閾値は100%未満であり、
前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい値であり、
前記低下率が前記第1閾値以上、前記第2閾値以下であれば、前記複数の発光素子の一部の異常を検出し、
前記低下率が前記第2閾値を上回れば、前記波長変換部材及び前記導光部材の少なくとも一方の異常を検出する
照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に光源装置、照明点灯装置、及び照明システムに関する。より詳細には、本開示は、導光部材を介して光が伝達される光源装置、照明点灯装置、及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の照明装置(従来の照明装置)は、半導体レーザを用いた照明装置である。
【0003】
従来の照明装置では、半導体レーザから出射されたレーザ光は、導光部によって結像レンズへと導光され、結像レンズによって波長変換部へと集光される。レーザ光は、波長変換部を励起すると共に、波長変換部の表面によって散乱される。そして、波長変換部が発光した黄色の光と、波長変換部の表面によって散乱された青色の光とが混色した白色の光は、凸レンズを透過することで、照明装置の外部へ出射される。
【0004】
上述の導光部は、一方の端部から他方の端部へかけて延伸しており、導光部の一方の端部には、半導体レーザが配置され、導光部の他方の端部には、結像レンズを介して波長変換部及び光検出部が配置されている。
【0005】
光検出部は、波長変換部が発光する黄色の光を含め、当該黄色の光と青色のレーザ光との混色光である白色の光を受光し、当該受光した光の受光量に応じた電気信号である検出信号を駆動回路へ出力する。駆動回路は、検出信号に基づいて、レーザ光を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来の照明装置では、導光部材(導光部)の第1端(一方の端部)に発光素子(半導体レーザ)が配置され、導光部材の第2端(他方の端部)に光センサ(光検出部)が配置されている。すなわち、発光素子と光センサとは、導光部材を挟んで互いに離れており、構成が複雑になる要因となっていた。
【0008】
本開示は、上記の点に鑑みてなされており、本開示の目的は、光センサを備えて、かつ、構成の簡易化を図ることができる光源装置、照明点灯装置、及び照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る光源装置は、第1端と第2端との間で導光する導光部材、及び前記第1端に入射して前記第2端から出射した第1光を、前記第1光とは波長が異なる第2光に変換する波長変換部材、と共に用いられる。前記光源装置は、複数の発光素子と、光センサと、駆動装置と、異常検出部と、を備える。前記複数の発光素子は、駆動電流を供給されることによって、前記第1端に入射される前記第1光を放射する。前記光センサは、前記第2光のうち、前記第2端に入射して前記第1端へ伝達された信号光を検出する。前記駆動装置は、前記複数の発光素子へ前記駆動電流を供給し、前記信号光の検出結果を用いて前記駆動電流を制御する。前記異常検出部は、前記信号光の光量の低下率に基づいて、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する。前記異常検出部は、前記低下率を第1閾値及び第2閾値と比較することで、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する。前記第1閾値及び前記第2閾値は100%未満であり、前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい値である。前記異常検出部は、前記低下率が前記第1閾値以上、前記第2閾値以下であれば、前記複数の発光素子の一部の異常を検出し、前記低下率が前記第2閾値を上回れば、前記波長変換部材及び前記導光部材の少なくとも一方の異常を検出する。
【0010】
本開示の一態様に係る照明点灯装置は、導光部材、波長変換部材、及び複数の発光素子と共に用いられる。前記導光部材は、第1端と第2端との間で導光する。前記波長変換部材は、前記第1端に入射して前記第2端から出射した第1光を、前記第1光とは波長が異なる第2光に変換する。前記複数の発光素子は、駆動電流を供給されることによって前記第1光を放射する。前記照明点灯装置は、光センサと、駆動装置と、異常検出部と、を備える。前記光センサは、前記第2端に入射して前記第1端へ伝達された前記第2光を信号光として検出する。前記駆動装置は、前記発光素子へ前記駆動電流を供給し、前記信号光の検出結果を用いて前記駆動電流を制御する。前記異常検出部は、前記信号光の光量の低下率に基づいて、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する。前記異常検出部は、前記低下率を第1閾値及び第2閾値と比較することで、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する。前記第1閾値及び前記第2閾値は100%未満であり、前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい値である。前記異常検出部は、前記低下率が前記第1閾値以上、前記第2閾値以下であれば、前記複数の発光素子の一部の異常を検出し、前記低下率が前記第2閾値を上回れば、前記波長変換部材及び前記導光部材の少なくとも一方の異常を検出する。
【0011】
本開示の一態様に係る照明システムは、導光部材と、波長変換部材と、複数の発光素子と、光センサと、駆動装置と、異常検出部と、を備える。前記導光部材は、第1端と第2端との間で導光する。前記波長変換部材は、前記第1端に入射して前記第2端から出射した第1光を、前記第1光とは波長が異なる第2光に変換する。前記複数の発光素子は、駆動電流を供給されることによって前記第1光を放射する。前記光センサは、前記第2光のうち、前記第2端に入射して前記第1端へ伝達された信号光を検出する。前記駆動装置は、前記発光素子へ前記駆動電流を供給し、前記信号光の検出結果を用いて前記駆動電流を制御する。前記異常検出部は、前記信号光の光量の低下率に基づいて、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する。前記異常検出部は、前記低下率を第1閾値及び第2閾値と比較することで、前記波長変換部材、前記導光部材、及び前記複数の発光素子の各異常を検出する。前記第1閾値及び前記第2閾値は100%未満であり、前記第1閾値は、前記第2閾値より小さい値である。前記異常検出部は、前記低下率が前記第1閾値以上、前記第2閾値以下であれば、前記複数の発光素子の一部の異常を検出し、前記低下率が前記第2閾値を上回れば、前記波長変換部材及び前記導光部材の少なくとも一方の異常を検出する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の光源装置、照明点灯装置、及び照明システムによれば、光センサを備えて、かつ、構成の簡易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光源装置を備える照明システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の照明システムの外観図である。
【
図3】
図3は、同上の照明システムの光検出装置のブロック図である。
【
図4】
図4Aは、同上の照明システムの動作を説明する波形図である。
図4Bは、同上の照明システムの動作を説明する別の波形図である。
【
図5】
図5は、第1変形例に係る光源装置のブロック図である。
【
図6】
図6は、同上の異常素子特定部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る光源装置、照明点灯装置、及び照明システムについて、図面を参照して説明する。下記の実施形態等において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
(実施形態)
(1)照明システムの全体構成
実施形態に係る照明システムの全体構成について、図面を参照して説明する。
【0016】
照明システム1は、
図1に示すように、光源装置2と、導光部材3と、灯具4とを備える。光源装置2は、レーザ光L1(第1光)を放射する。レーザ光L1は、導光部材3の第1端31に入射し、導光部材3の内部を通って、導光部材3の第2端32から出射する。第2端32から出射したレーザ光L1は、灯具4の波長変換部材4aで波長変換光(第2光)に変換され、波長変換光の殆どは、照明光L2として灯具4から照明空間に照射される。波長変換光の一部は、信号光L3として導光部材3の第2端32に入射し、信号光L3は、導光部材3の内部を通って、導光部材3の第1端31から出射する。
【0017】
光源装置2は、照明点灯装置5と、光源6と、光学部材7と、を備える。照明点灯装置5は、光源6に直流の駆動電流I1を供給することで、光源6を点灯させる。光源6は、駆動電流I1を供給されるとレーザ光L1を放射する。光源6から放射されたレーザ光L1は、光学部材7を介して導光部材3の第1端31に入射する。光源装置2は、
図2に示すように、筐体2aを備える。筐体2aは、照明点灯装置5と、光源6と、光学部材7とを収容する。光源装置2は、導光部材3、及び灯具4と共に用いられる。
【0018】
照明点灯装置5は、駆動装置5aと、光検出装置5bとを備える。駆動装置5aは、交流電源P1から交流電圧を入力され、光源6へ駆動電流I1を供給する。光検出装置5bは、導光部材3の第1端31から出射した信号光L3を検出する。信号光L3は、導光部材3の第2端32に入射され、導光部材3の内部を通って、導光部材3の第1端31から出射する。
【0019】
照明システム1は、例えば、水中から光を放射する水中照明器具に用いられたり、自動車の前照灯に用いられたりする。
【0020】
(2)光源
光源6は、複数の発光素子6aを備える。複数の発光素子6aはそれぞれ、レーザダイオード(レーザ素子)である。駆動装置5aから駆動電流I1を供給された複数の発光素子6aは、例えば青色のレーザ光L1を放射する。複数の発光素子6aの電気的な接続関係は直列接続であるが、この接続関係に限らない。複数の発光素子6aの電気的な接続関係は、並列接続であってもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせた接続関係であってもよい。また、光源6は、1つの発光素子6aを備えていてもよい。なお、光源6が有する複数の発光素子6aの各々は、レーザダイオードに限らず、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)等の他の固体発光素子(半導体発光素子)であってもよい。
【0021】
(3)光学部材
光学部材7は、
図1に示すように、ハーフミラー7aを備える。ハーフミラー7aは、光源6から放射されたレーザ光L1を、導光部材3の第1端31に向けて反射させる。そして、光学部材7は、レーザ光L1を集光して、導光部材3の第1端31に入射させる。なお、光学部材7は、ハーフミラー7a以外に、ミラー及びレンズ等の他の光学部品を備えていてもよい。また、導光部材3の第1端31から出射した信号光L3は、光学部材7のハーフミラー7aを透過し、光検出装置5bに到達する。
【0022】
ハーフミラー7aは、レーザ光L1と信号光L3の光路を、空間的に分離する機能を有する。具体例として、ハーフミラー7aは、波長帯域によって透過と反射を切り替えるダイクロイックミラーによって構成することができる。なお、本実施形態では、ハーフミラー7aは、レーザ光L1を反射し、信号光L3を透過する構成としたが、レーザ光L1を透過し、信号光L3を反射する構成としてもよい。
【0023】
(4)駆動装置
駆動装置5aは、交流電源P1から交流電圧を入力され、光源6へ駆動電流I1を供給する。具体的に、駆動装置5aは、交流電圧を直流電圧に変換して、駆動電流I1を出力する電源回路51、及び電源回路51を制御する出力制御回路52を有する。なお、交流電源P1は、例えば公称電圧100V又は200V、周波数50Hz又は60Hzの商用電源である。
【0024】
電源回路51は、力率改善機能を有するスイッチング電源回路であることが好ましい。例えば、スイッチング電源回路は、AC/DC変換回路及びDC/DC変換回路を有する。AC/DC変換回路は、力率改善機能を有する昇圧チョッパ回路又は昇降圧チョッパ回路であることが好ましい。特に、AC/DC変換回路は、絶縁型のフライバック方式のコンバータ回路であることが好ましい。DC/DC変換回路は、定電流制御されるチョッパ回路であることが好ましい。なお、DC/DC変換回路は、光源6の電圧がAC/DC変換回路の出力電圧より低い場合、降圧チョッパ回路等の降圧型の回路を用いる。一方、光源6の電圧がAC/DC変換回路の出力電圧より高い場合、昇圧チョッパ回路等の昇圧型の回路を用いる。また、光源6の電圧がAC/DC変換回路の出力電圧より高いときと低いときとがある場合、昇降圧チョッパ回路等の昇降圧型の回路を用いる。
【0025】
また、スイッチング電源回路は、シングルステージコンバータ(SSコンバータ)で構成されてもよい。SSコンバータは、力率改善回路の機能とAC/DCコンバータの機能とを備えた、1コンバータ方式(電圧変換が1回)のコンバータである。
【0026】
出力制御回路52は、電源回路51を制御することで、駆動電流I1を調整する。すなわち、駆動装置5aは、駆動電流I1を可変とすることで、レーザ光L1の光量を調整する調光機能を有する。
【0027】
(5)導光部材
導光部材3は例えば光ファイバであり、光源装置2と灯具4とを光学的に接続する。導光部材3のコア径は、例えば400μmである。なお、導光部材3のコア径は、5mm以下であればよい。そして、導光部材3の第1端31には、光源6から放射されて光学部材7によって集光されたレーザ光L1が入射する。レーザ光L1は、導光部材3の第1端31から、導光部材3の内部を伝達されて、導光部材3の第2端32から出射する。
【0028】
(6)灯具
導光部材3の第2端32から出射されたレーザ光L1は、灯具4に入射する。灯具4は、両端を開口した筒状の灯具本体4bの内部に波長変換部材4aを収納している。
【0029】
波長変換部材4aは、透光性材料に蛍光体が混合されている部材である。蛍光体は、例えば黄色蛍光体である。黄色蛍光体は、例えば、Ceで付活されたY3Al5O12、又はEuで付活されたBa2SiO4である。蛍光体は、青色のレーザ光L1の一部により励起されて、黄色光を放射する。波長変換部材4aは、残りの青色のレーザ光L1と黄色光との混色光である白色光を波長変換光として生成する。灯具4は、少なくとも1つの光学部品を更に備えており、波長変換部材4aで生成された白色光を配光制御し、白色光の殆どは、照明光L2として灯具4から照明空間に照射される。
【0030】
さらに、白色光の一部は、信号光L3として導光部材3の第2端32に入射する。第2端32に入射した信号光L3は、導光部材3の内部を伝達されて、導光部材3の第1端31から出射する。
【0031】
(7)光検出装置
光検出装置5bは、光センサ53と、異常検出部54とを備える。
【0032】
導光部材3の第1端31から出射した信号光L3は、光学部材7のハーフミラー7aを透過し、光センサ53に到達する。光センサ53は、受光した信号光L3の光量に応じた電気信号Y1を出力する。すなわち、光センサ53は、光源6から放射されたレーザ光L1が導光部材3を通って灯具4で反射した光を信号光L3として検出する。
【0033】
光センサ53は、
図3に示すように、光電変換素子531、及び電流電圧変換部(以降、IV変換部と称す)532を備える。光電変換素子531は、例えばフォトダイオード等の光検出素子であり、受光した信号光L3の光量に応じた検出電流を出力する。IV変換部532は、電流アンプ及び抵抗等を有しており、検出電流を増幅し、増幅した検出電流を電圧に変換し、変換した電圧を電気信号Y1として出力する。すなわち、電気信号Y1は電圧信号であり、信号光L3の光量が大きいほど、検出電流の値は大きくなり、電気信号Y1の電圧値は高くなる。光センサ53は、異常検出部54に電気的に接続されており、電気信号Y1は異常検出部54に出力される。
【0034】
光センサ53の受光経路には、白色光を透過させ、白色光以外の光を減衰させる光フィルタが設けられている。したがって、光センサ53は、白色の信号光L3以外の光は殆ど受光せずに、白色の信号光L3を受光できる。
【0035】
異常検出部54は、電気信号Y1を受け取り、照明システム1の異常を検出する。照明システム1の異常には、導光部材3の異常、光源6(発光素子6a)の異常、及び波長変換部材4aの異常が含まれる。出力制御回路52は、異常の検出結果に基づいて電源回路51を制御する。
【0036】
(8)コントローラ
出力制御回路52及び異常検出部54は、コントローラ5cで構成される。コントローラ5cは、少なくとも1つの制御用IC(Integrated Circuit)、及びコンピュータシステムのいずれであってもよい。
【0037】
コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって出力制御回路52及び異常検出部54の各機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration) と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、非一時的記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して非一時的記録媒体に供給されてもよい。
【0038】
コンピュータシステムでは、プロセッサがプログラムを実行することによって、本開示における出力制御回路52及び異常検出部54の各機能が実現される。
【0039】
(9)フィードバック制御
以下、照明システム1の動作について説明する。
【0040】
まず、交流電源P1の交流電力が照明システム1に投入されると、出力制御回路52は、電源回路51を制御して、駆動電流I1を光源6へ供給する。光源6の複数の発光素子6aは、駆動電流I1によって青色のレーザ光L1を放射する。レーザ光L1は、光学部材7及び導光部材3を通って、灯具4の波長変換部材4aに到達する。波長変換部材4aは、青色のレーザ光L1から白色光(波長変換光)を生成する。灯具4は、白色光の殆どを、照明光L2として照明空間に照射する。白色光の一部は、信号光L3として導光部材3及び光学部材7を通って、光検出装置5bの光センサ53に到達する。
【0041】
信号光L3は、実際に照明空間に照射される照明光L2と同じ白色光であり、照明光L2の光量に関する情報を含んでいる。すなわち、照明光L2の光量が大きいほど、信号光L3の光量も大きくなる。したがって、照明光L2の光量が大きいほど、電気信号Y1の電圧値は高くなり、照明光L2の光量が小さいほど、電気信号Y1の電圧値は低くなる。すなわち、照明光L2の光量の情報は、信号光L3として照明点灯装置5にフィードバックされる。
【0042】
出力制御回路52は、電気信号Y1の電圧値に基づいて、光源6が発する照明光L2の光量を監視する。そして、出力制御回路52は、電気信号Y1の電圧値が目標電圧値に一致するように電源回路51を制御することで、駆動電流I1を目標電流に一致させるフィードバック制御を行う。目標電圧値は、予め決められた固定値、又は外部から受け取った調光信号に対応する可変値であってもよい。出力制御回路52は、目標電圧値を可変とすることで、調光制御を行うことができる。
【0043】
本実施形態では、光センサ53は、導光部材3に対して、第1端31の側に位置する。一方、波長変換部材4aは、導光部材3に対して、第2端32の側に位置する。すなわち、光センサ53と波長変換部材4aとは、導光部材3を挟んでそれぞれ位置する。そして、レーザ光L1は、第1端31から導光部材3の内部を通って第2端32から出射する。信号光L3は、第2端32から導光部材3の内部を通って第1端31から出射する。したがって、光センサ53は、光センサ53から導光部材3を挟んで離れて生成される照明光L3(白色光)の状態を、灯具4の近傍ではなく、駆動装置5aの近傍で検出できる。したがって、導光部材3の全長が長くなったとしても、光センサ53を駆動装置5aの近傍に配置でき、さらには電気信号Y1を伝送する信号線をより短くできる。この結果、本実施形態の照明システム1、光源装置2、及び照明点灯装置5は、光センサ53を備えて、かつ、構成の簡易化を図ることができる。
【0044】
(10)異常検出
異常検出部54は、電気信号Y1に基づいて照明システム1の異常を検出する。照明システム1の異常には、導光部材3の異常、波長変換部材4aの異常、及び光源6(発光素子6a)の異常が含まれる。出力制御回路52は、異常の検出結果に基づいて電源回路51を制御する。
【0045】
異常検出部54は、電源投入時を含む光源6の点灯初期、及び、光源6を点灯させている定常時において、異常検出処理を行う。異常検出部54は、電気信号Y1の電圧値を監視する。
【0046】
導光部材3の異常とは、例えば導光部材3が断線したり、導光部材3が光源装置2から外れたり、導光部材3が灯具4から外れたりすることをいう。このような導光部材3の異常時には信号光L3が導光部材3の断線箇所から外に漏れたり、信号光L3が光源装置2に伝達されなかったりする。したがって、導光部材3の異常時に光センサ53に到達する信号光L3の光量は、正常時に比べて大きく低下する。この結果、導光部材3の異常時における電気信号Y1の電圧値は、導光部材3の正常時における電気信号Y1の電圧値よりも大きく低下する。
【0047】
波長変換部材4aの異常とは、例えば波長変換部材4aの破損、欠損、剥がれ、又は脱落等である。波長変換部材4aの異常時には、導光部材3の第2端32に入射する信号光L3の光量は、正常時に比べて大きく低下する。すなわち、波長変換部材4aの異常時における電気信号Y1の電圧値は、波長変換部材4aの正常時における電気信号Y1の電圧値よりも大きく低下する。
【0048】
光源6の異常とは、発光素子6aに駆動電流I1が流れないために発光素子6aがレーザ光L1を放射しないという不良だけでなく、発光素子6aに駆動電流I1が流れているが、発光素子6aの発振動作に問題が生じて発光素子6aがレーザ光L1を放射しないという発振不良も含む。また、発光素子6aが光を放射しない状態とは、発光素子6aがレーザ光L1を全く放射しない状態だけでなく、発光素子6aが想定のレーザ光L1以外の光を放射する状態を含む。光源6の異常は、複数の発光素子6aのうち少なくとも1つの発光素子6aの異常によって生じる。光源6の異常時には、導光部材3の第1端31から出射する信号光L3の光量は、正常時に比べて低下する。しかしながら、光源6の異常時には、複数の発光素子6aの全てが異常になる可能性は低く、複数の発光素子6aのうち一部が異常となる可能性が高い。例えば、光源6が4つの発光素子6aを備えている場合、4つの発光素子6aのうち1つ又は2つの発光素子6aが異常となる可能性が比較的高い。
【0049】
したがって、導光部材3、波長変換部材4a、又は光源6の異常時における電気信号Y1の電圧値は、正常時における電気信号Y1の電圧値より低くなる。しかしながら、上述のように、導光部材3、又は波長変換部材4aの異常時における電気信号Y1の電圧値は、光源6の異常時における電気信号Y1の電圧値よりも低くなる。すなわち、正常時の電気信号Y1の電圧値(正常値)に対する電圧値の低下量の割合を低下率とすると、光源6の異常時における低下率は、導光部材3又は波長変換部材4aの異常時における低下率に比べて小さくなる。
【0050】
具体的に、
図4Aは、導光部材3又は波長変換部材4aの異常発生前後における電気信号Y1の電圧波形を示す。導光部材3又は波長変換部材4aの異常が発生する時間t1以前は、電気信号Y1の電圧値は正常値Vaである。時間t1で導光部材3又は波長変換部材4aの異常が発生すると、電気信号Y1の電圧値は正常値Vaから低下量ΔV1だけ低下して異常値V1になる。このとき、電圧値の低下率R1は、ΔV1/Vaになる。一方、
図4Bは、光源6の異常発生前後における電気信号Y1の電圧波形を示す。光源6の異常が発生する時間t2以前は、電気信号Y1の電圧値は正常値Vaである。時間t2で光源6の異常が発生すると、電気信号Y1の電圧値は正常値Vaから低下量ΔV2だけ低下して異常値V2になる。このとき、電圧値の低下率R2は、ΔV2/Vaになる。低下量ΔV2は低下量ΔV1より小さく、低下率R2は低下率R1に比べて小さくなる。本実施形態では、低下率R1が50%を上回り、低下率R2が50%以下になることを想定している。例えば、光源6が4つの発光素子6aを備えている場合、1つの発光素子6aが異常となれば、低下率R2は25%になり、2つの発光素子6aが異常となれば、低下率R2は50%になる。
【0051】
異常検出部54は、電気信号Y1の電圧値の低下率を周期的に求める。異常検出部54は、外部から受け取った調光信号に基づいて光源6の調光レベルを把握でき、調光レベルに対応する正常値Vaのデータを、メモリ等に予め記憶しているデータテーブル等から読み出す。調光レベルが高いほど、正常値Vaは大きくなる。異常検出部54は、電気信号Y1の電圧値、及び正常値Vaから低下率を求める。
【0052】
そして、異常検出部54は、異常の有無を判別するために用いる低下率の第1閾値、及び導光部材3又は波長変換部材4aの異常と光源6の異常とを判別するために用いる低下率の第2閾値の各データをメモリ等に予め記憶している。第1閾値は、第2閾値より小さい値である。異常検出部54は、低下率が第1閾値以上になれば、異常が発生していると判定して、次に低下率を第2閾値と比較する。異常検出部54は、低下率が第2閾値以下であれば、光源6の異常を検出する。異常検出部54は、低下率が第2閾値を上回れば、導光部材3又は波長変換部材4aの異常を検出する。例えば、第1閾値は数%~10%程度、第2閾値は50%程度に設定される。
【0053】
このように、異常検出部54は、電気信号Y1の電圧値に基づいて、導光部材3の異常、波長変換部材4aの異常、及び光源6(発光素子6a)の異常を検出することができる。そして、異常検出部54は、異常の検出結果を出力制御回路52へ引き渡す。
【0054】
出力制御回路52は、異常の検出結果に基づいて、電源回路51を制御して、異常の発生時には駆動電流I1を低減させる。出力制御回路52は、例えば、導光部材3又は波長変換部材4aの異常が検出されていれば、駆動電流I1をゼロにして、光源6によるレーザ光L1の出射を停止させる。出力制御回路52は、例えば、光源6(発光素子6a)の異常が検出されていれば、駆動電流I1を低減して、光源6から出射されるレーザ光L1の光量を低減させる。また、出力制御回路52は、導光部材3又は波長変換部材4a、及び光源6のいずれかの異常が検出されていれば、駆動電流I1をゼロにして、光源6によるレーザ光L1の出射を停止させてもよい。
【0055】
また、出力制御回路52は、導光部材3又は波長変換部材4a、及び光源6のいずれかの異常が検出されていれば、駆動電流I1を間欠的に出力して、レーザ光L1を点滅させてもよい。このとき、出力制御回路52は、検出された異常の内容毎に点滅パターンを異ならせれば、導光部材3又は波長変換部材4aの異常、及び光源6の異常のいずれが発生したかを周囲に報知できる。
【0056】
このように、光源装置2は、異常検知時に、レーザ光L1の光量を低減、点滅又はレーザ光L1の出力を停止させることができる。また、レーザ光L1の光量が低減、点滅又はレーザ光L1の出力が停止することで、照明光L2が低減、点滅又は停止するので、異常の発生を周囲に報知できる。
【0057】
(第1変形例)
図5は、本変形例の光源装置2の構成を示す。本変形例の光源装置2の照明点灯装置5は、異常素子特定部8を更に備えており、この点が上述の実施形態と異なる。なお、本変形例では、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0058】
異常素子特定部8は、
図5に示すように、電源回路51と光源6との間に設けられている。異常素子特定部8は、
図6に示すように、処理部81と、複数(図示例では4つ)のスイッチ82とを備える。異常素子特定部8は、複数の発光素子6aから異常な発光素子6aを特定する。
【0059】
(11-1)スイッチ
複数のスイッチ82は、複数の発光素子6aに並列にそれぞれ接続されている。各スイッチ82は、例えば半導体リレー(ソリッド・ステート・リレー)であり、発光素子としての発光ダイオード82aと、受光素子としてのフォトトランジスタ82bとを有する。複数のスイッチ82のフォトトランジスタ82bは、電源回路51の出力端間において、互いに直列に接続されている。さらに、各スイッチ82において、発光ダイオード82aが処理部81に接続されており、フォトトランジスタ82bが発光素子6aと並列に接続されている。発光ダイオード82aのアノードが処理部81に接続されており、発光ダイオード82aのカソードが電源回路51の低電圧側の出力端に電気的に接続されている。各スイッチ82は、発光ダイオード82aへの処理部81の制御により、フォトトランジスタ82bをオンオフする。以降、フォトトランジスタ82bのオン、オフを、スイッチ82のオン、オフということがある。
【0060】
複数のスイッチ82は、複数の発光素子6aと一対一に対応し、対応する発光素子6aに並列に接続されている。
図6の例では、複数の発光素子6aは、第1発光素子61と、第2発光素子62と、第3発光素子63と、第4発光素子64とで構成されている。複数のスイッチ82は、第1スイッチ821と、第2スイッチ822と、第3スイッチ823と、第4スイッチ824とで構成されている。第1スイッチ821は第1発光素子61に対応し、第2スイッチ822は第2発光素子62に対応する。第3スイッチ823は第3発光素子63に対応し、第4スイッチ824は第4発光素子64に対応する。
【0061】
各スイッチ82において、フォトトランジスタ82bがオフ状態である場合、対応する発光素子6aに駆動電流I1が流れる。一方、フォトトランジスタ82bがオン状態である場合、対応する発光素子6aの両端が短絡するため、対応する発光素子6aに駆動電流I1は流れない。例えば、第1スイッチ821のフォトトランジスタ82bがオフ状態である場合、第1発光素子61に駆動電流I1が流れる。一方、第1スイッチ821のフォトトランジスタ82bがオン状態である場合、第1発光素子61に駆動電流I1は流れない。第2スイッチ822と第2発光素子62、第3スイッチ823と第3発光素子63、及び第4スイッチ824と第4発光素子64との各関係についても、上述の第1スイッチ821と第1発光素子61との関係と同じである。
【0062】
(11-2)処理部
処理部81は、例えばマイクロコントローラであり、複数のスイッチ82を制御する。より詳細には、処理部81は、複数のスイッチ82のオンオフを個別に制御して、複数の発光素子6aの各々への電流供給を制御する。
【0063】
処理部81は、異常検出部54が光源6の異常を検出すると、複数のスイッチ82を1つずつ順番に、オフ状態から一定時間だけオン状態にする。処理部81は、電気信号Y1に基づいて、光センサ53で受光した信号光L3の光量の変化を監視する。そして、処理部81は、スイッチ82をオン状態にしたときに、信号光L3の光量が変化しなければ(電気信号Y1の電圧値が低下しなければ)、オン状態にしたスイッチ82に対応する発光素子6aが異常であると判定する。以下、詳細について説明する。
【0064】
処理部81は、異常検出部54が光源6の異常を検出すると、複数のスイッチ82を1つずつ順番に一定時間だけオン状態にし、電気信号Y1の電圧値を監視する。オン状態のスイッチ82に対応する発光素子6aが正常である場合、当該発光素子6aはレーザ光を放射しなくなる。このため、光源6が放射するレーザ光L1の光量が減少し、信号光L3の光量も減少し、電気信号Y1の電圧値が低下する。一方、異常な発光素子6aは、対応するスイッチ82のオン、オフに関わらず、レーザ光を放射しない。このため、異常な発光素子6aに対応するスイッチ82がオン状態になる前後において、レーザ光L1の光量は変化しない。この結果、信号光L3の光量も変化せず、電気信号Y1の電圧値は変化しない。そこで、処理部81は、スイッチ82がオン状態になる前後において電気信号Y1の電圧値が変化しない発光素子6aを、異常な発光素子6aとして特定する。
【0065】
このように、複数の発光素子6aに対応する複数のスイッチ82を1つずつ順番にオン状態にし、電気信号Y1の電圧値を監視することによって、複数の発光素子6aの中から異常な発光素子6aを特定することができる。
【0066】
本変形例では、処理部81は、スイッチ82がオン状態になる前後において、電気信号Y1の電圧値の変化量が第3閾値以内である場合に、発光不良を検出する。第3閾値のデータは、メモリ等に予め記憶されている。
【0067】
さらに、処理部81は、いずれかの発光素子6aの異常を検出した場合、異常な発光素子6aに対応するスイッチ82をオン状態にして、異常な発光素子6aの両端を短絡する。例えば、処理部81は、第2発光素子62の発光不良を検出すると、第2発光素子62に対応する第2スイッチ822をオン状態にして、第2発光素子62の両端を短絡する。駆動電流I1は、第1発光素子61、第2スイッチ822のフォトトランジスタ82b、第3発光素子63、第4発光素子64に流れる。つまり、第2発光素子62には駆動電流I1が流れない。
【0068】
これにより、複数の発光素子6aの中で異常な発光素子6aは消灯し、複数の発光素子6aから異常な発光素子6aを電気的に除いた状態で使用を継続することができる。また、複数の発光素子6aの中で異常な発光素子6aはどれかを周囲に通知できる。また、異常な発光素子6aに駆動電流I1が流れなくなるので、異常な発光素子6aの発熱を低減させることができる。
【0069】
(第2変形例)
光センサ53は、フォトダイオード以外の光検出素子であってもよい。光センサ53は、例えばフォトトランジスタ、太陽電池又はCdSセル等であってもよい。
【0070】
発光素子6aは、青色以外の色のレーザ光L1を放射してもよく、波長変換部材4aは、レーザ光L1によって黄色以外の色の光を放射してもよい。また、波長変換光は白色光以外でもよい。また、発光素子6aが発する光は、レーザ光に限定されない。
【0071】
電源回路51は、直流の駆動電流I1を出力可能であれば、その回路構成は特定の回路構成に限定されない。
【0072】
上記の各変形例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0073】
以上説明した実施形態及び変形例は、本開示の様々な実施形態及び変形例の一部に過ぎない。また、実施形態及び変形例は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0074】
(態様)
以上説明した実施形態及び変形例より以下の態様が開示されている。
【0075】
第1の態様に係る光源装置(2)は、第1端(31)と第2端(32)との間で導光する導光部材(3)、及び波長変換部材(4a)、と共に用いられる。波長変換部材(4a)は、第1端(31)に入射して第2端(32)から出射した第1光(L1)を、第1光(L1)とは波長が異なる第2光(波長変換光)に変換する。光源装置(2)は、1つ以上の発光素子(6a)と、光センサ(53)と、駆動装置(5a)と、を備える。1つ以上の発光素子(6a)は、駆動電流(I1)を供給されることによって、第1端(31)に入射される第1光(L1)を放射する。光センサ(53)は、第2光のうち、第2端(32)に入射して第1端(31)へ伝達された信号光(L3)を検出する。駆動装置(5a)は、1つ以上の発光素子(6a)へ駆動電流(I1)を供給し、信号光(L3)の検出結果を用いて駆動電流(I1)を制御する。
【0076】
上述の光源装置(2)は、光センサ(53)を備えて、かつ、構成の簡易化を図ることができる。
【0077】
第2の態様に係る光源装置(2)では、第1の態様において、駆動装置(5a)は、信号光(L3)の光量が所定値になるように、駆動電流(I1)を制御することが好ましい。
【0078】
上述の光源装置(2)では、駆動電流(I1)のフィードバック制御が可能になる。
【0079】
第3の態様に係る光源装置(2)では、第1又は第2の態様において、1つ以上の発光素子(6a)は、複数の発光素子(6a)であることが好ましい。
【0080】
上述の光源装置(2)は、複数の発光素子(6a)、及び光センサ(53)を備えて、かつ、構成の簡易化を図ることができる。
【0081】
第4の態様に係る光源装置(2)は、第3の態様において、信号光(L3)の光量の低下率に基づいて、波長変換部材(4a)、導光部材(3)、及び複数の発光素子(6a)の各異常を検出する異常検出部(54)を更に備えることが好ましい。
【0082】
上述の光源装置(2)は、2つ以上の異常を簡易な構成で検出できる。
【0083】
第5の態様に係る光源装置(2)では、第4の態様において、異常検出部(54)は、低下率が閾値(第2閾値)を上回れば、波長変換部材(4a)及び導光部材(3)の少なくとも一方の異常を検出することが好ましい。また、異常検出部(54)は、低下率が閾値以下であれば、複数の発光素子(6a)の一部の異常を検出することが好ましい。
【0084】
上述の光源装置(2)は、波長変換部材(4a)及び導光部材(3)の少なくとも一方の異常と、複数の発光素子(6a)の一部の異常とを区別できる。
【0085】
第6の態様に係る光源装置(2)は、第5の態様において、異常検出部(54)が複数の発光素子(6a)の一部の異常を検出した場合に、複数の発光素子(6a)から異常な発光素子(6a)を特定する異常素子特定部(8)を更に備えることが好ましい。異常素子特定部(8)は、異常な発光素子(6a)を消灯させる。
【0086】
上述の光源装置(2)は、複数の発光素子(6a)の中で異常な発光素子(6a)を周囲に通知できる。また、異常な発光素子(6a)の発熱を低減させることができる。
【0087】
第7の態様に係る光源装置(2)では、第6の態様において、異常素子特定部(8)は、複数のスイッチ(82)と、処理部(81)と、を有する。複数のスイッチ(82)は、複数の発光素子(6a)と一対一に対応し、対応する発光素子(6a)に並列に接続されている。処理部(81)は、複数のスイッチ(82)を1つずつ順番にオン状態にしたときに、信号光(L3)が変化しなければ、複数の発光素子(6a)のうち、オン状態にしたスイッチ(82)に対応する発光素子(6a)は異常な発光素子であると判定する。
【0088】
上述の光源装置(2)は、複数の発光素子(6a)の中で異常な発光素子(6a)を検出できる。
【0089】
第8の態様に係る光源装置(2)では、第5の態様において、駆動装置(5a)は、異常検出部(54)が波長変換部材(4a)及び導光部材(3)の少なくとも一方の異常を検出した場合に、複数の発光素子(6a)の全てを消灯させるように、駆動電流(I1)を制御することが好ましい。
【0090】
上述の光源装置(2)は、異常を周囲に通知できる。また、異常な発光素子(6a)の発熱を低減させることができる。
【0091】
第9の態様に係る照明点灯装置(5)は、導光部材(3)、波長変換部材(4a)、及び1つ以上の発光素子(6a)と共に用いられる。導光部材(3)は、第1端(31)と第2端(32)との間で導光する。波長変換部材(4a)は、第1端(31)に入射して第2端(32)から出射した第1光(L1)を、第1光(L1)とは波長が異なる第2光(波長変換光)に変換する。1つ以上の発光素子(6a)は、駆動電流(I1)を供給されることによって第1光(L1)を放射する。照明点灯装置(5)は、光センサ(53)と、駆動装置(5a)と、を備える。光センサ(53)は、第2端(32)に入射して第1端(31)へ伝達された第2光を信号光(L3)として検出する。駆動装置(5a)は、発光素子(6a)へ駆動電流(I1)を供給し、信号光(L3)の検出結果を用いて駆動電流(I1)を制御する。
【0092】
上述の照明点灯装置(5)は、光センサ(53)を備えて、かつ、構成の簡易化を図ることができる。
【0093】
第10の態様に係る照明システム(1)は、導光部材(3)と、波長変換部材(4a)と、1つ以上の発光素子(6a)と、光センサ(53)と、駆動装置(5a)と、を備える。導光部材(3)は、第1端(31)と第2端(32)との間で導光する。波長変換部材(4a)は、第1端(31)に入射して第2端(32)から出射した第1光(L1)を、第1光(L1)とは波長が異なる第2光(波長変換光)に変換する。1つ以上の発光素子(6a)は、駆動電流(I1)を供給されることによって第1光(L1)を放射する。光センサ(53)は、第2光のうち、第2端(32)に入射して第1端(31)へ伝達された信号光(L3)を検出する。駆動装置(5a)は、発光素子(6a)へ駆動電流(I1)を供給し、信号光(L3)の検出結果を用いて駆動電流(I1)を制御する。
【0094】
上述の照明システム(1)は、光センサ(53)を備えて、かつ、構成の簡易化を図ることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 照明システム
2 光源装置
3 導光部材
31 第1端
32 第2端
4a 波長変換部材
5 照明点灯装置
5a 駆動装置
53 光センサ
54 異常検出部
6a 発光素子
8 異常素子特定部
81 処理部
82 スイッチ
L1 レーザ光(第1光)
I1 駆動電流
L3 信号光