(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】保守システム、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240126BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2019196735
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高岡 浩一
(72)【発明者】
【氏名】前田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】神吉 大
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-342005(JP,A)
【文献】特開昭62-276470(JP,A)
【文献】特開2019-148440(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077679(WO,A1)
【文献】特開2007-025878(JP,A)
【文献】特開2009-277028(JP,A)
【文献】特開2006-285652(JP,A)
【文献】特開2013-077054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の施設に関する保守システムであって、
複数の設備の保守時期に関する基準情報を受け付ける第1受付部と、
前記施設に導入された前記複数の設備の動作状態に関する動作情報を受け付ける第2受付部と、
少なくとも前記基準情報及び前記動作情報に基づいて、前記複数の設備の寿命に関する判断を行う判断部と、
を備
え、
前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む、
保守システム。
【請求項2】
前記基準情報は、設備台帳にて、前記施設に導入された前記複数の設備を識別可能な識別情報と対応付けされている、
請求項1に記載の保守システム。
【請求項3】
前記設備台帳を用いて、前記複数の設備の交換候補となる設備を選定して提案する提案部を更に備える、
請求項2に記載の保守システム。
【請求項4】
前記判断部の判断結果と、前記保守時期とを比較して、その比較結果を通知する通知部を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項5】
前記比較結果の通知先の側から、前記比較結果に対するフィードバック情報を受け付ける第3受付部と、
前記フィードバック情報を用いて、前記複数の設備を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部と、を更に備
え、
前記フィードバック情報が、前記寿命を前記保守時期まで延命させる方向性を示す第1依頼情報を含む場合、前記制御出力部は、前記第1依頼情報に基づき、前記方向性となる前記複数の設備の運転スケジュールを前記制御情報として生成して出力する、
請求項4に記載の保守システム。
【請求項6】
前記比較結果の通知先の側から、前記比較結果に対するフィードバック情報を受け付ける第3受付部を更に備え、
前記フィードバック情報が、シミュレーションの実行依頼を示す第2依頼情報を含む場合、前記判断部は、前記第2依頼情報に基づき、省エネ化が段階的に増すような複数の仮想運転スケジュールを生成し、各仮想運転スケジュールに従って設備制御を行った場合におけるシミュレーションを行い、前記シミュレーションの結果に基づき、前記複数の設備の仮想寿命の推定を行い、前記通知部から推定結果を通知する、
請求項
4に記載の保守システム。
【請求項7】
前記基準情報を遵守するように前記複数の設備を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部を更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項8】
前記判断部は、前記基準情報及び前記動作情報に加えて、前記施設における前記複数の設備の各々が設置されている監視領域に関する環境情報を更に用いて前記寿命に関する判断を行う、
請求項1~7のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項9】
前記動作情報は、前記複数の設備における、エネルギーの使用状況、動作時間、動作回数、及び動作タイミングの少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項10】
前記寿命を判断するためのアルゴリズムの入力を受け付ける入力部を更に備え、
前記判断部は、前記基準情報及び前記動作情報に加えて、前記アルゴリズムを用いて、前記寿命に関する判断を行う、
請求項1~9のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項11】
前記動作情報は、前記施設にけるエネルギーの使用状況に関する伝票データを含む、
請求項1~10のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項12】
前記判断部の判断結果と、前記保守時期とを比較して、その比較結果を通知する通知部を更に備え、
前記判断部は、前記比較結果の通知後に、前記複数の設備に関する制御情報を変更したと仮定した場合におけるシミュレーションを行い、前記シミュレーションの結果を踏まえて前記寿命の推定を行い、
前記通知部は、前記寿命の推定結果を通知する、
請求項
1~11のいずれか1項に記載の保守システム。
【請求項13】
前記シミュレーションに用いた前記制御情報に基づく制御を、実際に前記複数の設備に対して実施する、
請求項12に記載の保守システム。
【請求項14】
1又は複数の施設に関する保守システムの処理方法であって、
複数の設備の保守時期に関する基準情報を受け付ける第1受付ステップと、
前記施設に導入された前記複数の設備の動作状態に関する動作情報を受け付ける第2受付ステップと、
少なくとも前記基準情報及び前記動作情報に基づいて、前記複数の設備の寿命に関する判断を行う判断ステップと、
を含み、
前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む、
処理方法。
【請求項15】
1又は複数の施設に関する保守システムであって、
前記施設に導入された複数の設備の保守時期に関する基準情報を遵守するように前記複数の設備を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部を備え、
前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む、
保守システム。
【請求項16】
1又は複数の施設に関する保守システムの処理方法であって、
前記施設に導入された複数の設備の保守時期に関する基準情報を遵守するように前記複数の設備を制御するための制御情報を生成して出力する出力ステップを含み、
前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む、
処理方法。
【請求項17】
1以上のプロセッサに請求項14又は請求項16に記載の処理方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、保守システム、処理方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、1又は複数の施設に関する保守システム、保守システムの処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の建物の管理に用いられるビル管理システムが記載されている。ビル管理システムは、管理対象の建物又はその設備に関する情報を蓄積する建物管理装置と、建物管理装置に蓄積された情報を収集し一元管理する情報管理装置と、建物管理装置と情報管理装置との間でデータを通信するための通信ネットワークとを備えている。情報管理装置は、建物管理装置から受信した情報から予め形成したデータベースを参照して予知される事象を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物(施設)に導入される設備には寿命が存在し、更新(取替)/修繕(改修)の目安となる更新周期及び修繕周期等が予算計画で定められるため、これらを考慮した施設の保守サービスの向上が望まれる。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、施設の保守サービスの向上を図ることができる、保守システム、処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の保守システムは、1又は複数の施設に関する保守システムである。前記保守システムは、第1受付部と、第2受付部と、判断部と、を備える。前記第1受付部は、複数の設備の保守時期に関する基準情報を受け付ける。前記第2受付部は、前記施設に導入された前記複数の設備の動作状態に関する動作情報を受け付ける。前記判断部は、少なくとも前記基準情報及び前記動作情報に基づいて、前記複数の設備の寿命に関する判断を行う。前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む。
【0007】
本開示の一態様の処理方法は、1又は複数の施設に関する保守システムの処理方法である。前記処理方法は、第1受付ステップと、第2受付ステップと、判断ステップと、を含む。前記第1受付ステップにて、複数の設備の保守時期に関する基準情報を受け付ける。前記第2受付ステップにて、前記施設に導入された前記複数の設備の動作状態に関する動作情報を受け付ける。前記判断ステップにて、少なくとも前記基準情報及び前記動作情報に基づいて、前記複数の設備の寿命に関する判断を行う。前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む。
【0008】
本開示の一態様の保守システムは、1又は複数の施設に関する保守システムである。前記保守システムは、前記施設に導入された複数の設備の保守時期に関する基準情報を遵守するように前記複数の設備を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部を備える。前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む。
【0009】
本開示の一態様の処理方法は、1又は複数の施設に関する保守システムの処理方法であ
る。前記処理方法は、前記施設に導入された複数の設備の保守時期に関する基準情報を遵守するように前記複数の設備を制御するための制御情報を生成して出力する出力ステップを含む。前記保守時期は、予算計画の中で前記複数の設備の各々に設定された、次回の更新又は改修日までの時期を含む。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに上記処理方法のいずれか一方を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、施設の保守サービスの向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る保守システムを備える管理システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上の保守システムにおける処理部のブロック構成図である。
【
図3】
図3は、同上の管理システムにおける中央監視システムの概念図である。
【
図4】
図4は、同上の保守システムの基本動作を説明するためのフローチャート図である。
【
図5】
図5は、同上の保守システムのフィードバック動作を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
本実施形態の一の形態に係る保守システム1は、1又は複数の施設3に関する保守システムである。以下では、
図1に示すように、主に、ある施設3を保守対象として着目するが、保守対象の数(施設3の数)を限定する趣旨ではない。
【0015】
ここでは施設3は、一例として、オフィスビルを想定して説明する。しかし、本開示の「施設」は、オフィスビル以外に、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、及び空港等の非住宅でもよいし、あるいは住宅でもよい。施設は、住宅として集合住宅(マンション)であってもよいし、戸建て住宅でもよいし、低層階が店舗で高層階が住戸というように、住宅施設と非住宅施設とが混在する態様の施設でもよい。
【0016】
保守システム1は、第1受付部101と、第2受付部102と、判断部103と、を備えている(
図2参照)。ここでは一例として、保守システム1の機能が全て、保守サーバ2に組み込まれているものとする。また保守サーバ2は、1台のサーバ装置から構成されることを想定するが、複数台のサーバ装置から構成されてもよいし、そのようなサーバ装置が、例えばクラウド(クラウドコンピューティング)を構築してもよい。
【0017】
第1受付部101は、複数の設備5(
図1参照)の保守時期に関する基準情報を受け付ける。ここでいう複数の「設備5」は、一例として、
図1に示すように、換気扇51及びエアコンディショナ52等の複数(
図1ではそれぞれ1つ)の空調設備5A、並びに、照明機器53等の複数(
図1では1つ)の照明設備5B等を想定する。つまり、設備5は、電気設備、つまり電気によるエネルギーを消費する設備を想定する。これらは、設備5の単なる一例である。複数の設備5は、例えば、給水ポンプ等の給水設備、冷蔵庫等の厨房設備、分電盤及び制御盤等の盤設備、電話機及び館内放送機器等の通信設備、エレベータ等の搬送設備、並びに、防災防犯設備も含み得る。また設備5には、換気扇51に接続される配管材、及び照明機器53に接続される配線材の資材も含み得る。
【0018】
第2受付部102は、施設3に導入された複数の設備5の動作状態に関する動作情報を受け付ける。動作情報は、施設3に導入済みの複数の設備5を対象とする動作の実績情報である。
【0019】
そして、判断部103は、少なくとも基準情報及び動作情報に基づいて、複数の設備5の寿命に関する判断を行う。
【0020】
この構成によれば、実際の設備5の動作状態によって変動し得る複数の設備5の寿命をより正確に判断できる可能性が高くなる。したがって、施設3の保守サービスの向上を図ることができる。
【0021】
本実施形態の別の形態に係る保守システム1は、施設3に導入された複数の設備5の保守時期に関する基準情報を遵守するように複数の設備5を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部100を備えている。この構成によれば、制御出力部100が生成した制御情報に基づいて複数の設備5が制御されることで、基準情報を遵守できる可能性が高くなる。したがって、施設3の保守サービスの向上を図ることができる。
【0022】
なお、以下では、保守システム1が、上述した第1受付部101、第2受付部102、判断部103、及び制御出力部100を全て備えているものとする。
【0023】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る保守システム1、及び保守システム1を備える管理システムA1について、
図1~
図5を参照しながら詳しく説明する。
【0024】
(2.1)管理システムの全体構成
管理システムA1は、
図1に示すように、保守システム1(保守サーバ2)と、複数の設備5と、設備管理システム30と、1又は複数の第1ユーザ端末U1と、1又は複数の第2ユーザ端末U2と、入力端末6とを備えている。
【0025】
保守システム1は、上述の通り、一例としてその機能の全てが保守サーバ2に組み込まれている。保守サーバ2は、例えば、ビルオーナー又はファシリティマネージャー等と契約を交わして施設3の保守管理を行う者(企業、団体又は個人でもよい)が運用するサーバである。保守サーバ2は、複数の施設3とは別の建物に設置され得るが、複数の施設3のいずれか1つに設置されてもよい。保守サーバ2は、
図1に示すように、インターネット等のネットワークNT1を介して、第1ユーザ端末U1、第2ユーザ端末U2、及び設備管理システム30の各々と、双方向に通信可能に接続されている。なお、
図1における矢印B1~B6は、それぞれ通信のルートを示す。
【0026】
以下では、保守システム1を用いて施設3の保守管理を行う者を単に「保守者」と呼ぶこともある。保守システム1の具体的な構成は、次の欄で説明する。
【0027】
複数の設備5は、保守対象となる施設3に導入済みの設備であり、施設3に未導入又は導入予定の設備については、符号「5」を付さずに単に設備と呼ぶこともある。複数の設備5は、換気扇51及びエアコンディショナ52等の空調設備5A、並びに照明機器53等の照明設備5Bを含む。
【0028】
各設備5は、設備管理システム30と電気的に接続されている。設備管理システム30は、施設3に設置されている。設備管理システム30は、中央監視システム31と、コントローラ32と、計測ユニット33とを有している。中央監視システム31は、例えば、施設3を監視する監視者(又は管理人)が監視業務を行うための場所として、施設3内の監視室又は防災センター室等に設置されている。
【0029】
中央監視システム31は、
図3に示すように、制御ユニット310と、電力系統及び各設備5の間の電気経路にそれぞれ電気的に接続されている複数のリレー装置311とを有している。
【0030】
複数のリレー装置311は、施設3の各フロアにおける監視領域R1内の設備5ごとに設置されている。リレー装置311は、例えばリモコンリレー装置である。リレー装置311は、オンからオフに切り替わることで、電力系統から、対応する設備5への電力供給が遮断されて当該設備5の稼働が停止する。
【0031】
制御ユニット310は、各リレー装置311と通信可能に接続されている。制御ユニット310は、各リレー装置311を通じて、対応する設備5の動作状態(稼働状態)を監視している。また制御ユニット310は、例えば、所定の制御情報(運転スケジュール)に従って、リレー装置311に制御信号を送信して、設備5の動作を制御することも可能である。
【0032】
また制御ユニット310は、施設3の複数の設備5の動作状態に関する動作情報を、施設3のゲートウェイ、及びネットワークNT1を介して、(例えば定期的に)保守サーバ2に送信する(ルートB6)。以下、制御ユニット310から送信される動作情報を「第1動作情報」と呼ぶことがある。制御ユニット310は、リレー装置311が、オフからオンへ又はオンからオフへ切り替わるタイミング、及び、リレー装置311のオン時間又はオフ時間に基づき、その接続先にある設備5の動作状態に関する第1動作情報を生成する。
【0033】
第1動作情報は、各設備5における、動作時間、動作回数、及び動作タイミングを含む。動作時間は、例えば設備5の稼働時間とするが、停止(非稼働)時間でもよい。動作回数は、設備5における停止から稼働への切替動作、及び稼働から停止への切替動作それぞれで1回とするが、両方の切替動作で1回でもよい。また動作回数は、設備5の内蔵バッテリ等を充電する充電回数でもよい。動作タイミングは、設備5における停止から稼働へ切り替わったタイミング、及び稼働から停止へ切り替わったタイミングそれぞれを区別するが、区別していなくてもよい。
【0034】
ところで、制御ユニット310自体は、あるリレー装置311の接点(例えば「接点A」)に接続されている設備5が、換気扇51、エアコンディショナ52、及び照明機器53等のいずれであるかを特定していない可能性がある。制御ユニット310は、「接点A」と「第1動作情報」とを対応付けして保守サーバ2に送信する。
【0035】
計測ユニット33は、例えば施設3の分電盤内(外でもよい)に収容されている。計測ユニット33は、分電盤内において主幹回路及び複数の分岐回路を流れる電流をそれぞれ検知する複数の検知部を通じて、各回路における電力量を計測する。検知部は、カレントトランス(CT)方式又はロゴスキーコイル方式等の適宜の方式により、対応する回路を流れる電流の値を検知する。計測ユニット33は、各検知部で検知された電流の値から電力値(瞬時電力値)に変換する機能を有している。また計測ユニット33は、収集した瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量のデータを演算する機能を有している。
【0036】
要するに、計測ユニット33は、各分岐回路の先に接続されている設備5で消費された電力量、すなわち使用されたエネルギーを計測する。計測ユニット33は、計測した結果(エネルギーの計測情報)をコントローラ32に出力する。ここでいう「計測情報」も動作情報の1つである。
【0037】
コントローラ32は、計測ユニット33と通信可能に接続されている。コントローラ32は、施設3内の監視室に設置されている。コントローラ32は、例えば施設3内におけるエネルギー管理を行うBEMS(Building and Energy Management System)のコントローラに相当してもよい。コントローラ32は、計測ユニット33から動作情報を取得すると、施設3のゲートウェイ、及びネットワークNT1を介して、動作情報を(例えば定期的に)保守サーバ2に送信する(ルートB6)。つまり、コントローラ32は、計測ユニット33を介して、各設備5におけるエネルギーの使用状況を監視している。以下、コントローラ32から送信される動作情報を「第2動作情報」と呼ぶことがある。第2動作情報は、各設備5における、エネルギーの使用状況に関する情報(計測情報:電力量、瞬時電力値、及び電力の消費期間等の情報)を含む。
【0038】
ところで、コントローラ32自体は、制御ユニット310と同様に、ある分岐回路(例えば「回路番号B」)に接続されている設備5が、換気扇51、エアコンディショナ52、及び照明機器53等のいずれであるかを特定していない可能性がある。コントローラ32は、「回路番号B」と「第2動作情報」とを対応付けして保守サーバ2に送信する。
【0039】
このように本開示の「動作情報(第1及び第2動作情報)」は、複数の設備5における、エネルギーの使用状況、動作時間、動作回数、及び動作タイミングの少なくとも1つ(ここでは全部)に関する情報を含む。動作時間、動作回数、及び動作タイミングは、エネルギーの使用状況からもある程度推定できるため、保守システム1が、第2動作情報に基づき、動作時間、動作回数、及び動作タイミングを決定してもよい。
【0040】
なお、ここでは中央監視システム31の制御ユニット310とコントローラ32とを区別して説明したが、コントローラ32は、中央監視システム31の構成の一部でもよい。例えば、制御ユニット310は、コントローラ32の機能を全て有していてもよく、その場合、計測ユニット33と通信可能に接続されてもよい。
【0041】
第1ユーザ端末U1は、例えばオフィスビル(施設3)のオーナー、又は、複数の施設3を含む環境を総合的に企画、管理、及び運営するファシリティマネージャーが所有する端末である。第1ユーザ端末U1は、ビルオーナー又はファシリティマネージャー(以下、「第1ユーザ」と呼ぶこともある)の所在する建物内に設置されたパーソナルコンピュータでもよいし、第1ユーザが携帯する携帯端末でもよい。携帯端末は、スマートフォン、若しくはタブレット端末等である。携帯端末は、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LAN(Local Area Network)等を介して、ネットワークNT1に接続されてもよい。なお、第1ユーザ端末U1には、保守システム1と通信するための専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0042】
第2ユーザ端末U2は、保守対象である施設3の施工会社、又は設備5のメーカー等の設備会社(以下、「第2ユーザ」と呼ぶこともある)が所有する端末である。第2ユーザ端末U2は、第2ユーザの建物内に設置されたパーソナルコンピュータでもよいし、第2ユーザが携帯する携帯端末(スマートフォン、若しくはタブレット端末等)でもよい。第2ユーザ端末U2は、第1ユーザ端末U1と共に、ユーザ群G1を構成する。なお、第2ユーザ端末U2には、保守システム1と通信するための専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0043】
入力端末6は、伝票データP1(
図1参照)等を入力する端末である。入力端末6の所在、及び所有者は特に限定されず、ここでは、保守システム1の保守者が所有するものとする。入力端末6は、第1ユーザ端末U1及び第2ユーザ端末U2と同様に、パーソナルコンピュータでもよいし、携帯端末でもよい。入力端末6は、保守サーバ2と通信可能に接続されている。
【0044】
入力端末6は、第1ユーザが所有してもよく、その場合、第1ユーザ端末U1が、入力端末6の機能を有してもよい。あるいは入力端末6は、一般送配電事業者、小売電気事業者、再生可能エネルギー発電事業者、又は電力アグリゲータ(以下、「第3ユーザ」と呼ぶこともある)が所有する端末でもよい。なお、入力端末6には、保守システム1と通信するための専用のアプリケーションソフトがインストールされている。
【0045】
(2.2)保守システム
保守システム1(保守サーバ2)は、上述の通り、1又は複数の施設3に関する保守システムである。保守システム1は、
図1に示すように、処理部10と、通信インタフェース11と、記憶部12とを備えている。
【0046】
通信インタフェース11は、保守システム1が、第1ユーザ端末U1、第2ユーザ端末U2、設備管理システム30及び入力端末6とそれぞれ通信するための通信インタフェースである。
【0047】
記憶部12は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部12は、例えばフラッシュメモリである。記憶部12は、処理部10の外部に設けられているが、処理部10の内部に設けられていてもよい。すなわち、記憶部12は、処理部10の内蔵メモリであってもよい。記憶部12は、後述する保守に関する種々のデータを記憶する。
【0048】
処理部10は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。処理部10では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、処理部10の各部の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0049】
処理部10は、
図2に示すように、制御出力部100、第1受付部101、第2受付部102、判断部103、通知部105、及び入力部107を有している。
【0050】
第1受付部101は、複数の設備5の保守時期に関する基準情報を受け付けるように構成される。以下、「保守時期」について説明する。
【0051】
例えば施設3を新しく建てたり、施設3の設備5の一部又は全部を入れ替えたりする場合に、設備5の寿命から、おおよその次回の設備5の更新/改修日(年月単位でもよい)を予測して、年度ごとの設備5の予算計画(改修計画も含む)が立てられる。予算計画は、ユーザ群G1の側の手(第1ユーザ)により立てられる。予算計画は、設備5の数、更新/改修に掛かる費用、及び寿命等に大きく影響し得る。ここでいう「更新」とは、設備5を新しい設備へ取り替えることであり、「改修(修繕)」とは、設備5の部品交換である(定期点検も含む)。保守時期は、このような予算計画の中で各設備5に設定された、次回の更新/改修日までの時期を含む(次回だけでなく、次々回以降の更新/改修日までの時期も含んでよい)。
【0052】
そして、一般的には、設備5の修繕周期を約10年に、更新周期を約10年又は約20年に設定して、予算計画を立てる場合が多い。例えば、照明機器53の寿命は、累積点灯時間に大きく依存する。照明機器53は、累積点灯時間の増加に伴い、少しずつ光束が低下していく。照明機器53がLED(Light Emitting Diode)照明器具であれば、その寿命は、約40000時間点灯と考えられていて、1日10時間点灯とすれば、予算計画の保守時期は、10年に設定され得る。また例えば、エアコンディショナ52の寿命も、使用時間に大きく依存し、その消費電力量は、毎年4~5%の割合で増加し得る。使用時間が10年以上を超えると、その消費電力量は、導入初期の消費電力量に比べて1.5倍以上に増加する可能性があるため、予算計画の保守時期は、10年に設定され得る。要するに、保守時期は、予算計画における寿命である。
【0053】
したがって、予算計画で定められた、各設備5の保守時期(例えば10年)に関する基準情報が、第1受付部101を通じて受け付けられる。基準情報は、例えば、第1ユーザ端末U1から送信されてくるものとするが、特に限定されず、入力端末6から入力されてもよい。第1受付部101は、基準情報を、記憶部12に記憶する。基準情報は、導入した設備5の識別情報と、予算計画の保守時期(起算日も含む)とが互いに対応付けされている。ここでいう「識別情報」は、例えば、設備5の種類(空調設備及び照明設備等の別)、設備5を製造したメーカー名、及び品番や型番等を含み得る。
【0054】
制御出力部100は、基準情報を遵守するように複数の設備5を制御するための制御情報を生成して出力するように構成される。具体的には、制御出力部100は、コントローラ32から受信する第2動作情報から、その施設3における使用エネルギーに関する分析を行う。そして制御出力部100は、各設備5の寿命が保守時期よりも過度に短くならないように、制御情報として運転スケジュールを生成し、通信インタフェース11及びネットワークNT1を介して、施設3の中央監視システム31に送信する(ルートB5)。運転スケジュールは、例えば省エネ化を目指す方向のスケジュールである。中央監視システム31は、保守システム1から受信した運転スケジュールに従って、複数のリレー装置311のオン/オフを制御する。中央監視システム31は、例えば特定の時間になれば、特定のリレー装置311をオンからオフに強制的に切り替えるといった制御を行い、無駄に消費されている可能性が高い電力の供給を停止する。
【0055】
第2受付部102は、施設3に導入された複数の設備5の動作状態に関する動作情報を受け付けるように構成される。保守システム1は、通信インタフェース11を介して、動作情報を設備管理システム30から受信する。保守システム1は、動作情報のうち第1動作情報を、制御ユニット310から受信し、第2動作情報をコントローラ32から受信する。
【0056】
ところで、実際には、設備5の種類、また同種の設備5であってもメーカーや品番、型番の別によって、寿命は異なり得る。一方で、設備5の品番ごとのより正確な寿命に関する情報(例えばメーカーが設定した設計標準使用期間)は、第2ユーザが、カタログ情報として把握している場合がある。
【0057】
しかし、第1ユーザが、各メーカーからカタログ情報を取得して、カタログ情報を参考に施設3内の全ての設備5の寿命を1つ1つ確認して予算計画を立てることは容易ではない。したがって、上述の通り、例えば照明機器53は、メーカー及び品番を問わず、予算計画では、その保守時期(更新周期や修繕周期)は、一括りに10年と設定され得る。
【0058】
更に施設3に導入後の設備5の稼働状況に応じて、その寿命は変動し得る。予算計画では、照明機器53の保守時期が、10年と設定されていても、照明機器53が1日に10時間以上使用されていれば、10年よりも短くなる可能性がある。例えば、照明機器53を2019年1月に導入し、当初の予算計画では、次回の照明機器53の更新日が2029年1月に設定されているとする。しかし、導入後7年が経過した2026年1月の時点で、残りの寿命が2年早まって、来年の2027年1月には寿命に達する可能性がある。
【0059】
そこで判断部103は、少なくとも基準情報及び動作情報に基づいて、複数の設備5の寿命に関する判断を行うように構成される(寿命判断処理の実行)。ここでは、判断部103は、基準情報及び動作情報に加えて、環境情報を更に用いて寿命に関する判断を行うように構成される。環境情報は、施設3における複数の設備5の各々が設置されている監視領域R1(
図1参照)に関する情報である。監視領域R1は、例えば、施設3の各フロア単位に相当してもよいし、各フロアを分割した複数の領域の各々(例えば会議室等の1室)に相当してもよい。
【0060】
まず保守システム1は、様々な設備5(設備5の部品も含む)のカタログ情報を、外部(複数のメーカー及び施工会社)から予め収集する。カタログ情報は、各品番とその寿命(設計標準使用期間)の情報とが対応付けされている情報を含む。保守システム1は、カタログ情報を取得して記憶部12に記憶する。保守システム1は、カタログ情報を複数のメーカー及び施工会社等が運用するサーバ(第2ユーザ端末U2でもよい)から、ネットワークNT1を介してダウンロードしてもよい。あるいは、カタログ情報は、メモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。保守システム1は、記憶部12のカタログ情報を(例えば定期的に)更新する。いうまでもなく、カタログ情報は、保守対象の施設3に導入済みの設備5だけでなく、施設3に未導入の設備に関する情報を含んでもよい。
【0061】
さらに本実施形態の保守システム1では、基準情報は、設備台帳D1(
図1参照)にて、施設3に導入された複数の設備5を識別可能な識別情報と対応付けされている。処理部10は、例えば、第1受付部101で基準情報を受け付けると、それをトリガーに設備台帳(データ)D1を生成する。具体的には、処理部10は、基準情報に含まれる識別情報に合致する設備5の寿命情報(例えば設計標準使用期間)をカタログ情報から抽出して、設備台帳D1に記録する。要するに、設備台帳D1は、施設3に導入された各設備5の基準情報と対応する寿命情報とを含む。また処理部10は、動作情報及び環境情報も、設備台帳D1に記録する。そして、判断部103は、設備台帳D1に基づいて、寿命判断処理を実行する。
【0062】
設備台帳D1では、複数のリレー装置311の複数の接点、及び複数の分岐回路に接続されている設備5の品番、及び名称等も管理されている。設備台帳D1は、施設3ごとに生成されて記憶部12に記憶される。入力端末6は、専用のアプリケーションソフトを起動することで、設備台帳D1にアクセス可能でもよく、保守者は、入力端末6を通じて、設備台帳D1のメンテナンスを行えてもよい。
【0063】
動作情報(第1及び第2動作情報)は、上述の通り、各設備5のエネルギーの使用状況(電力量、瞬時電力値、及び電力の消費期間等の情報)、動作時間、動作回数、及び動作タイミングに関する情報を含んでいる。保守システム1は、動作情報を受信する度に、履歴情報として、設備台帳D1に記録する。動作時間及び動作回数は、累積動作時間及び累積動作回数として設備台帳D1に記録される。保守システム1は、上述の通り、各設備5のエネルギーの使用状況から、各設備5の動作時間、動作回数、及び動作タイミングを決定してもよい。
【0064】
環境情報は、例えば、監視領域R1内(設備5及びその近傍でもよい)の温度、湿度、照度、及び空気質に関する情報を含んでいる。制御ユニット310は、監視領域R1に設置されている温湿度センサ(設備5が内蔵するセンサでもよい)から温湿度情報を収集する。また制御ユニット310は、監視領域R1に設置されている照度センサ(設備5が内蔵するセンサでもよい)から照度情報を収集する。また制御ユニット310は、監視領域R1に設置されている空気清浄機(設備5)から空気質、すなわち空気中に含まれる物質の種類及び濃度に応じた検知量に関する情報を収集する。空気中に含まれる物質の例としては、物理的物質(塵埃、黄砂、微粒子状物質(PM10、PM2.5等)、化学的物質(一酸化炭素、二酸化炭素、アルデヒド類等)、及び生物学的物質(カビ、ウィルス、花粉等)を含み得る。制御ユニット310は、収集した環境情報を(例えば定期的に)保守システム1に送信する(ルートB6)。保守システム1は、環境情報を受信する度に、履歴情報として設備台帳D1に記録する。なお、環境情報は、温度、湿度、照度、及び空気質に限定されず、その他にも、季節、天候、監視領域R1における音、振動、設備5の位置情報、人の存否、人数等の情報を含んでもよい。
【0065】
判断部103は、これらの動作情報及び環境情報の少なくとも1つをパラメータとして用いて、寿命を判断する。どのパラメータを用いるかについて、設備5ごとに設備台帳D1にて設定されている。
【0066】
照明機器53の寿命判断に用いるパラメータとして、例えば、電力量、及び累積動作時間(すなわち累積点灯時間)が設定されてもよい。照明機器53の寿命には、累積点灯時間だけでなく、動作回数(オン/オフの切替回数)が大きく影響し得る。頻繁なオン/オフの切替は、寿命減につながる。したがって、照明機器53のパラメータとして、累積動作回数が更に設定されてもよい。また照明機器53のパラメータとして、照度が更に設定されてもよい。すなわち、照明機器53の光束は、経年劣化によって初期導入時に比べて低下するため、照明機器53の寿命を判断するために大きく寄与し得る。
【0067】
また換気扇51のパラメータとして、電力量、及び累積動作時間(すなわち累積稼働時間)が設定されてもよい。換気扇51のパラメータとして、動作回数、及び空気質が更に設定されてもよい。またエアコンディショナ52のパラメータとして、電力量、及び累積動作時間(すなわち累積稼働時間)が設定されてもよい。エアコンディショナ52のパラメータとして、電力量、動作回数、温度、及び湿度のパラメータが更に設定されてもよい。
【0068】
ところで、各設備5に対して、どのパラメータを用いることが最適か、具体的には寿命を判断するための最適なアルゴリズムを第2ユーザが把握している場合がある。そこで入力部107は、寿命を判断するためのアルゴリズムの入力を受け付けるように構成されている。処理部10は、入力部107で受け付けたアルゴリズムを、設備5と対応付けて、設備台帳D1に記録する。判断部103は、基準情報及び動作情報に加えて(ここでは環境情報も加えて)、アルゴリズムを用いて、寿命に関する判断を行ってもよい。
【0069】
保守システム1は、様々な設備5(設備5の部品も含む)に対するアルゴリズムの情報を、外部(第2ユーザ)から予め収集する。保守システム1は、アルゴリズムの情報を複数の第2ユーザが運用するサーバ(第2ユーザ端末U2でもよい)から、ネットワークNT1を介してダウンロードしてもよい。あるいは、アルゴリズムの情報は、メモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。保守システム1は、設備台帳D1のアルゴリズムの情報を(例えば定期的に)更新する。
【0070】
判断部103は、寿命判断処理において、その実行時点における、各設備5の起算日(初期導入日又は最新の更新/改修日)からの寿命(年月)を演算(推定)する。なお、寿命判断処理を実行するタイミングは、特に限定されず、保守者と、第1ユーザとの間で適宜に取り決められてよい。寿命判断処理は、例えば、1日単位、1週間単位、1ヵ月単位、又は1年単位で実行されてもよい。
【0071】
ここで本実施形態では、通知部105が、判断部103の判断結果(推定寿命)と、保守時期とを比較して、その比較結果を通知するように構成される。通知部105は、通信インタフェース11及びネットワークNT1を介して、このような比較結果を、第1ユーザ端末U1に送信する(ルートB1)。記憶部12は、保守対象の複数の施設3(設備管理システム30)の識別情報と、複数の第1ユーザ端末U1のアドレス情報とを対応付けして記憶している。通知部105は、寿命判断処理の対象となった設備管理システム30の識別情報に対応するアドレス情報の第1ユーザ端末U1を、通知先に指定する。比較結果は、第1ユーザ端末U1だけでなく、第2ユーザ端末U2にも送信されてもよく、情報の共有化を図ってもよい。
【0072】
具体的には、通知部105は、例えば、起算日からの推定寿命が8年で、保守時期が10年であれば、設備5の寿命が当初の予定よりも2年短くなったことを、比較結果として通知する。また通知部105は、寿命判断処理の実行時点で起算日から7年が経過していれば、次回の更新/改修時期まで残り1年であることを、比較結果として通知してもよい。
【0073】
通知部105は、推定寿命が保守時期より短くなった設備5が存在する場合だけ比較結果を通知してもよいが、特に限定されない。通知部105は、推定寿命が、保守時期と略同じ、又は保守時期よりも長い場合であっても、比較結果を通知してもよい。要するに、施設3に導入されている全ての設備5について、比較結果を問わずに通知を行ってもよいし、推定寿命が保守時期より短いといった「特定の条件」に当てはまる比較結果の設備5についてだけ通知を行ってもよい。
【0074】
比較結果は、第1ユーザ端末U1に対して、電子メールにより通知されてもよいし、あるいはプッシュ通知により実行されてもよい。第1ユーザは、電子メール等のメール本文に記載されているURL(Uniform Resource Locator)から、保守者が運用するWebサイトにアクセスすることで、比較結果を閲覧できてもよい。
【0075】
第1ユーザは、第1ユーザ端末U1を通じて、比較結果を知ることができ、例えば推定寿命が保守時期と違う結果であれば、予算計画を立て直すことができる。
【0076】
[基本動作]
以下、保守システム1の基本動作について
図4を参照しながら簡単に説明する。ただし、以下の動作の順序は、単なる一例であり特に限定されない。
【0077】
保守システム1は、例えば入力端末6から、予算計画の保守時期に関する基準情報を受け付けて(ステップS1)、設備台帳D1を生成する。
【0078】
保守システム1は、施設3の設備管理システム30から、複数の設備5の動作情報(第1及び第2動作情報)を収集して(ステップS2)、設備台帳D1に記録する。
【0079】
また保守システム1は、第2ユーザ端末U2から、カタログ情報を収集して(ステップS3)、設備台帳D1に記録する。
【0080】
保守システム1は、例えば所定のタイミングで、設備台帳D1に基づき、寿命判断処理を実行する(ステップS4)。保守システム1は、寿命判断処理で得られた推定寿命と保守時期とを比較して(ステップS5)、その比較結果を、第1ユーザ端末U1に通知する(ステップS6)。
【0081】
本実施形態によれば、実際の設備5の動作状態によって変動し得る複数の設備5の寿命をより正確に判断できる可能性が高くなる。第1ユーザの予算計画の組み直しの手助けとなる。また例えば、設備5(又はその部品)の故障等を未然に防ぐ可能性を高めることができる。したがって、施設3の保守サービスの向上を図ることができる。
【0082】
また保守システム1は、(最新の)設備台帳D1に基づく寿命判断処理が実行されるため、保守サービスに関する信頼性が更に向上される。特に上述した通り、施設3の制御ユニット310自体は、あるリレー装置311の接点(例えば「接点A」)に接続されている設備5が何であるかを特定できていない可能性がある。同様に、コントローラ32自体は、ある分岐回路(例えば「回路番号B」)に接続されている設備5が何であるかを特定できていない可能性がある。しかし、保守システム1は、設備台帳D1を通じて、例えば「接点A」の先に、照明機器53が接続されていることを特定している。また保守システム1は、設備台帳D1を通じて、例えば「回路番号B」の先に、換気扇51が接続されていることを特定している。そのため、保守システム1は、第1ユーザ及び第2ユーザに対して、より良いサービス提供を実現できる。
【0083】
(2.3)フィードバック制御
ところで、例えば推定寿命が保守時期と比較的大きく違う(例えば1年以上の隔たり)結果になると、特に推定寿命が保守時期よりも短くなってしまうと、第1ユーザは、予算計画を立て直しにくい場合もある。
【0084】
そこで本実施形態の処理部10は、
図2に示すように、第3受付部106を更に備えている。第3受付部106は、通知部105による比較結果の通知先の側から、比較結果に対するフィードバック情報を受け付けるように構成される。また、制御出力部100は、フィードバック情報を用いて、複数の設備5を制御するための制御情報を生成して出力するように構成される。
【0085】
フィードバック情報は、例えば、推定寿命を保守時期まで延命させる方向性を示す「第1依頼情報」を含み得る。第1ユーザ端末U1は、専用のアプリケーションソフトを起動することで、第1依頼情報に関する入力を受け付ける。第1ユーザ端末U1は、第1依頼情報を含むフィードバック情報を、保守システム1に送信する(ルートB2)。第1依頼情報は、第1ユーザ端末U1から入力されることに限定されない。例えば、保守者が、第1ユーザから口頭で第1依頼情報を受け付けて、例えば入力端末6を用いて保守システム1にフィードバック情報を入力してもよい。
【0086】
制御出力部100は、フィードバック情報の第1依頼情報に基づき、推定寿命を保守時期まで延命させる方向性となるように、例えば更に省エネ化が増す方向性となるように、運転スケジュールを改定する。例えば、各監視領域R1の照度センサから収集される照度情報に基づき、日中の時間帯で照度が比較的高ければ、照明設備5Bを消灯させて(又は調光率を100%未満に下げてもよい)更に省エネ化を図るといった運転スケジュールに改定される。制御出力部100は、通信インタフェース11及びネットワークNT1を介して、改定された運転スケジュールを、施設3の中央監視システム31に送信する(ルートB5)。
【0087】
したがって、通知先(第1ユーザ)からの要望が複数の設備5の制御に反映される可能性が高くなり、保守サービスが向上される。なお、第1ユーザからの要望が無ければ、保守システム1は、施設3に対して、従前の運転スケジュールに従った設備5の制御を実施させる。
【0088】
ところで、通知を受けた第1ユーザは、仮に要望が設備制御に反映されることで、具体的にどの程度まで推定寿命が延命されるのかについて、すぐに知りたい可能性がある。
【0089】
そこで本実施形態の判断部103は、比較結果の通知後に、複数の設備5に関する制御情報を変更したと仮定した場合におけるシミュレーションを行い、シミュレーションの結果を踏まえて寿命(以下、「仮想寿命」と呼ぶ)の推定を行うように構成される。
【0090】
フィードバック情報は、例えば、シミュレーションの実行依頼を示す「第2依頼情報」を含み得る。第1ユーザ端末U1は、専用のアプリケーションソフトを起動することで、第2依頼情報に関する入力を受け付ける。第1ユーザ端末U1は、第2依頼情報を含むフィードバック情報を、保守システム1に送信する(ルートB2)。第2依頼情報は、第1ユーザ端末U1から入力されることに限定されない。例えば、保守者が、第1ユーザから口頭で第2依頼情報を受け付けて、例えば入力端末6を用いて保守システム1にフィードバック情報を入力してもよい。
【0091】
判断部103は、フィードバック情報の第2依頼情報に基づき、例えば、省エネ化が段階的に増すような複数の仮想運転スケジュールを生成する。さらに判断部103は、過去に設備管理システム30から受信した動作情報の実績等を用いて、各仮想運転スケジュールに従って設備制御を行った場合におけるシミュレーションを行い、将来の施設3の設備5の動作情報を求める。そして、判断部103は、シミュレーションの結果(将来の動作情報)を踏まえて、仮想寿命の推定を行う。判断部103は、複数の仮想運転スケジュールの数だけ、仮想寿命の推定を行う。通知部105は、仮想寿命の推定結果を通知する。推定結果は、第1ユーザ端末U1に対して、電子メール又はプッシュ通知等によって通知される。
【0092】
したがって、通知先(第1ユーザ)では寿命の推定結果を知ることができ、保守サービスが更に向上される。
【0093】
また本実施形態の保守システム1は、シミュレーションに用いた制御情報(仮想運転スケジュール)に基づく制御を、実際に複数の設備5に対して実施するように構成されてもよい。推定結果の通知を受けた第1ユーザが、第1ユーザ端末U1を通じて、複数の仮想運転スケジュールの中から1つを選択し、その仮想運転スケジュールに基づく制御の実施を保守システム1に対して要求できてもよい。制御出力部100は、第1ユーザ端末U1からそのような要求を受信すると、選択された仮想運転スケジュールに沿うようにスケジュールを改定し、施設3の中央監視システム31に送信する(ルートB5)。その結果、保守サービスが更に向上される。
【0094】
[フィードバック動作]
以下、保守システム1のフィードバック動作について
図5を参照しながら簡単に説明する。ただし、以下の動作の順序は、単なる一例であり特に限定されない。
【0095】
保守システム1は、例えば第1ユーザ端末U1から、フィードバック情報を受信する(ステップS11)。
【0096】
保守システム1は、フィードバック情報が第1依頼情報を含めば(ステップS12:Yes)、運転スケジュールを改定し(ステップS13)、改定された運転スケジュールを、施設3の中央監視システム31に送信する(ステップS14)。
【0097】
保守システム1は、フィードバック情報が第1依頼情報を含んでおらず(ステップS12:No)、第2依頼情報を含んでいれば(ステップS15:Yes)、仮想運転スケジュールを生成してシミュレーションを実行する(ステップS16)。そして、保守システム1は、仮想寿命の推定結果を通知する(ステップS17)。なお、フィードバック情報が第2依頼情報を含んでいなければ(ステップS15:No)、処理を終了する。
【0098】
保守システム1は、第1ユーザ端末U1から仮想運転スケジュールに基づく制御要求が有れば(ステップS18:Yes)、運転スケジュールを改定し(ステップS13)、改定された運転スケジュールを中央監視システム31に送信する(ステップS14)。なお、仮想寿命の通知後、所定の期間内に制御要求が無ければ、又は制御要求を否定する回答を受信すれば(ステップS18:No)、処理を終了する。
【0099】
(2.4)設備の交換
また本実施形態の保守システム1は、設備5の交換候補を第1ユーザに提案するサービスを実現可能である。処理部10は、
図2に示すように、提案部104を更に備えている。提案部104は、複数の設備5の交換候補となる設備を選定して提案するように構成される。
【0100】
具体的には、提案部104は、設備台帳D1を参照して保守期限(推定寿命でもよい)までの残り年数が所定の年数以下(例えば1年以下)の設備5が存在すれば、カタログ情報を参照してその設備5の交換候補(設備又はその部品)を選定する(選定処理)。提案部104は、例えばカタログ情報の中から、対象の設備5と同一メーカーで同一品番の設備を基本的に選定するが、同一品番だけでなく、オプション的に、対象の設備5と類似する設備(例えば新商品)を選定してもよい。また提案部104は、他社メーカーで対象の設備5と類似する設備をオプション的に選定してもよい。
【0101】
提案部104は、交換候補を選定すると、通信インタフェース11及びネットワークNT1を介して、その選定結果を、第1ユーザ端末U1に送信する(ルートB1)。提案部104は、選定処理の対象となった設備管理システム30の識別情報に対応するアドレス情報の第1ユーザ端末U1を、通知先に指定する。
【0102】
選定結果は、第1ユーザ端末U1に対して、電子メール又はプッシュ通知等によって通知される。ただし、選定結果は、第1ユーザ端末U1に対してだけでなく、第2ユーザ端末U2にも送信されてもよく、情報の共有化を図ってもよい。例えば、選定結果を受けた第2ユーザ(例えば交換候補に挙がった設備メーカーの営業スタッフ)が、第1ユーザに対して直接交換候補の提案を行ってもよい。また一度に通知される交換候補の数は複数でもよく、提案部104は、推奨度の高低を付けて通知してもよい。
【0103】
選定処理を実行するタイミングは、特に限定されず、保守者と、第1ユーザとの間で適宜に取り決められてよい。選定処理は、例えば、1日単位、1週間単位、1ヵ月単位、又は1年単位で実行されてもよい。また選定処理は、寿命判断処理と併せて実行されてもよく、この場合、比較結果の通知と併せて通知されてもよい。
【0104】
このように保守システム1が提案部104を備えていることで、交換候補を人(例えば第1ユーザ)がカタログから選定する場合に比べて、その手間が省け、また選定の信頼性も向上される。
【0105】
ところで、選定結果の通知を受けた第1ユーザは、自身で直接第2ユーザに連絡して交換候補として挙げられた設備の発注を行うかもしれない。しかし、第1ユーザにとってはそのような発注作業は手間となり得る。
【0106】
そこで、本実施形態の保守システム1は、その発注の仲介を実現するように構成される。具体的には、選定結果の通知を受けた第1ユーザが、第1ユーザ端末U1を通じて、交換候補の中から1つを決定し、発注要請を行うことで、第1ユーザ端末U1は、保守システム1に対して要請情報を送信する(ルートB2)。
【0107】
保守システム1は、要請情報を受信すると、カタログ情報を参照して、該当する設備のメーカーの連絡先(メールアドレス情報又は電話番号等)を抽出し、第2ユーザ端末U2に対して、その設備に関する見積りを要求する(ルートB3)。
【0108】
第2ユーザは、第2ユーザ端末U2を通じて見積りの要求を受け付けると、その要求に基づき設備の見積に関する見積情報(見積書)を作成し、第2ユーザ端末U2を通じて、保守システム1に送信する(ルートB4)。保守システム1は、見積情報を第1ユーザ端末U1に転送する(ルートB1)。保守システム1は、第1ユーザ端末U1を通じて第1ユーザ側から了承が得られれば(ルートB2)、設備の正式な発注情報(発注書)を作成して、第2ユーザ端末U2に送信する(ルートB3)。以降、第2ユーザは、第1ユーザの施設3への設備の導入作業に取り掛かる。
【0109】
なお、保守システム1は、例えば入力端末6を通じて、設備5が更新又は修繕された旨の情報を受け付けると、設備台帳D1における該当する設備5に関する情報を更新する。保守システム1は、例えば累積していた動作時間又は動作回数をリセットする。
【0110】
このように保守システム1は、発注の仲介を行う構成を有しているため、保守サービスが更に向上される。
【0111】
(2.5)伝票データ
動作情報は、例えば施設3におけるエネルギーの使用状況に関する伝票データP1(
図1参照)を含んでもよい。
【0112】
伝票データP1は、例えば、上述した一般送配電事業者等の第3ユーザによって生成されるデータである。施設3へ電力を供給する又はそれを支援する第3ユーザは、その対価として電気料金を第1ユーザに請求するために、施設3の全ての設備5で使用(消費)された合計電力量等の電力情報を把握しており、請求伝票(伝票データP1)を作成する。
【0113】
保守システム1は、動作情報として伝票データP1を、例えば入力端末6へのデータ入力によって受け付ける。
【0114】
伝票データP1上の電力情報は、施設3に対する合計電力量の情報のみである可能性が高い。そこで、本実施形態の処理部10は、その合計電力量を、設備台帳D1(特に第1動作情報)に基づいて、各設備5単位の電力量を推定して、第2動作情報を作成するように構成される。つまり保守システム1は、伝票データP1の入力があれば、第2動作情報をコントローラ32から受信しなくてもよい。したがって、例えば施設3から取得する動作情報のデータ量の削減を図ることができる(通信トラフィックの軽減)。
【0115】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る保守システム1と同様の機能は、この処理方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。具体的には、一の態様に係る保守システム1の処理方法は、第1受付ステップと、第2受付ステップと、判断ステップと、を含む。第1受付ステップにて、複数の設備5の保守時期に関する基準情報を受け付ける。第2受付ステップにて、施設3に導入された複数の設備5の動作状態に関する動作情報を受け付ける。判断ステップにて、少なくとも基準情報及び動作情報に基づいて、複数の設備5の寿命に関する判断を行う。
【0116】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0117】
本開示における保守システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における保守システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0118】
また、保守システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。保守システム1の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、基本例のように保守システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、保守システム1の少なくとも一部の機能、例えば、保守システム1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0119】
基本例では、保守システム1は、複数の設備5の寿命に関する判断を行う判断部103を備え、更に基準情報を遵守するように複数の設備5を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部100を備えている。しかし、保守システム1は、寿命に関する判断を行う機能を有していなくても、制御出力部100を備えていることで、施設の保守サービスの向上を図ることができる。要するに、制御出力部100を備える保守システム1にとって、判断部103は必須の構成要素ではない。制御出力部100を備える保守システム1と同様の機能は、この処理方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。具体的には、一の態様に係る保守システム1の処理方法は、施設3に導入された複数の設備5の保守時期に関する基準情報を遵守するように複数の設備5を制御するための制御情報を生成して出力する出力ステップを含む。
【0120】
基本例では、設備台帳D1及びカタログ情報の所在は、保守サーバ2の記憶部12であるが、特に限定されず、第1ユーザ端末U1又は第2ユーザ端末U2の記憶部であってもよい。保守システム1は、各種の処理を実行する際にその都度、第1ユーザ端末U1又は第2ユーザ端末U2にアクセスして、設備台帳D1及びカタログ情報を取得又は更新してもよい。
【0121】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る保守システム(1)は、1又は複数の施設(3)に関する保守システムである。保守システム(1)は、第1受付部(101)と、第2受付部(102)と、判断部(103)と、を備える。第1受付部(101)は、複数の設備(5)の保守時期に関する基準情報を受け付ける。第2受付部(102)は、施設(3)に導入された複数の設備(5)の動作状態に関する動作情報を受け付ける。判断部(103)は、少なくとも基準情報及び動作情報に基づいて、(施設3に導入された)複数の設備(5)の寿命に関する判断を行う。第1の態様によれば、施設(3)の保守サービスの向上を図ることができる。
【0122】
第2の態様に係る保守システム(1)に関して、第1の態様において、基準情報は、設備台帳(D1)にて、施設(3)に導入された複数の設備(5)を識別可能な識別情報と対応付けされている。第2の態様によれば、保守サービスに関する信頼性が更に向上される。
【0123】
第3の態様に係る保守システム(1)は、第2の態様において、設備台帳(D1)を用いて、複数の設備(5)の交換候補となる設備(5)を選定して提案する提案部(104)を更に備える。第3の態様によれば、交換候補を人が選定する場合に比べて、その手間が省け、また選定の信頼性も向上される。
【0124】
第4の態様に係る保守システム(1)は、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおいて、判断部(103)の判断結果と、保守時期とを比較して、その比較結果を通知する通知部(105)を更に備える。第4の態様によれば、通知先では比較結果を知ることができ、保守サービスが更に向上される。
【0125】
第5の態様に係る保守システム(1)は、第4の態様において、第3受付部(106)と、制御出力部(100)と、を更に備える。第3受付部(106)は、比較結果の通知先の側から、比較結果に対するフィードバック情報を受け付ける。制御出力部(100)は、フィードバック情報を用いて、複数の設備(5)を制御するための制御情報を生成して出力する。第5の態様によれば、通知先からの要望が複数の設備(5)の制御に反映される可能性が高くなり、保守サービスが更に向上される。
【0126】
第6の態様に係る保守システム(1)は、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおいて、基準情報を遵守するように複数の設備(5)を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部(100)を更に備える。第6の態様によれば、保守サービスが更に向上される。
【0127】
第7の態様に係る保守システム(1)に関して、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおいて、判断部(103)は、基準情報及び動作情報に加えて、環境情報を更に用いて寿命に関する判断を行う。環境情報は、施設(3)における複数の設備(5)の各々が設置されている監視領域(R1)に関する情報である。第7の態様によれば、設備(5)の寿命判断に関する信頼性が更に向上される。
【0128】
第8の態様に係る保守システム(1)に関して、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおいて、動作情報は、複数の設備(5)における、エネルギーの使用状況、動作時間、動作回数、及び動作タイミングの少なくとも1つに関する情報を含む。第8の態様によれば、設備(5)の寿命判断に関する信頼性が更に向上される。
【0129】
第9の態様に係る保守システム(1)は、第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおいて、寿命を判断するためのアルゴリズムの入力を受け付ける入力部(107)を更に備える。判断部(103)は、基準情報及び動作情報に加えて、アルゴリズムを用いて、寿命に関する判断を行う。第9の態様によれば、設備(5)の寿命判断に関する信頼性が更に向上される。
【0130】
第10の態様に係る保守システム(1)に関して、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおいて、動作情報は、施設(3)にけるエネルギーの使用状況に関する伝票データ(P1)を含む。第10の態様によれば、例えば施設(3)から取得する動作情報の情報量の削減を図ることができる。
【0131】
第11の態様に係る保守システム(1)は、第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおいて、判断部(103)の判断結果と、保守時期とを比較して、その比較結果を通知する通知部(105)を更に備える。判断部(103)は、比較結果の通知後に、複数の設備(5)に関する制御情報を変更したと仮定した場合におけるシミュレーションを行い、シミュレーションの結果を踏まえて寿命の推定を行う。通知部(105)は、寿命の推定結果を通知する。第11の態様によれば、通知先では寿命の推定結果を知ることができ、保守サービスが更に向上される。
【0132】
第12の態様に係る保守システム(1)に関して、第11の態様において、シミュレーションに用いた制御情報に基づく制御を、実際に複数の設備(5)に対して実施する。第12の態様によれば、保守サービスが更に向上される。
【0133】
第13の態様に係る処理方法は、1又は複数の施設(3)に関する保守システム(1)の処理方法である。処理方法は、第1受付ステップと、第2受付ステップと、判断ステップと、を含む。第1受付ステップにて、複数の設備(5)の保守時期に関する基準情報を受け付ける。第2受付ステップにて、施設(3)に導入された複数の設備(5)の動作状態に関する動作情報を受け付ける。判断ステップにて、少なくとも基準情報及び動作情報に基づいて、複数の設備(5)の寿命に関する判断を行う。第13の態様によれば、施設(3)の保守サービスの向上を図るが可能な処理方法を提供できる。
【0134】
第14の態様に係る保守システム(1)は、1又は複数の施設(3)に関する保守システムである。保守システム(1)は、施設(3)に導入された複数の設備(5)の保守時期に関する基準情報を遵守するように複数の設備(5)を制御するための制御情報を生成して出力する制御出力部(100)を備える。第14の態様によれば、施設(3)の保守サービスの向上を図ることができる。
【0135】
第15の態様に係る処理方法は、1又は複数の施設(3)に関する保守システム(1)の処理方法である。処理方法は、施設(3)に導入された複数の設備(5)の保守時期に関する基準情報を遵守するように複数の設備(5)を制御するための制御情報を生成して出力する出力ステップを含む。第15の態様によれば、施設(3)の保守サービスの向上を図るが可能な処理方法を提供できる。
【0136】
第16の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第13の態様又は第15の態様における処理方法を実行させるためのプログラムである。第16の態様によれば、施設(3)の保守サービスの向上を図ることが可能な機能を提供できる。
【0137】
第2~第12の態様に係る構成については、保守システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 保守システム
100 制御出力部
101 第1受付部
102 第2受付部
103 判断部
104 提案部
105 通知部
106 第3受付部
107 入力部
3 施設
5 設備
D1 設備台帳
P1 伝票データ
R1 監視領域