(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ、及び照明付きスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/02 20060101AFI20240126BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H01H13/02 A
H01H13/52 B
(21)【出願番号】P 2021513504
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2020006118
(87)【国際公開番号】W WO2020208940
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2019075148
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道路 国雄
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-058380(JP,A)
【文献】国際公開第2016/075907(WO,A1)
【文献】特開2009-123183(JP,A)
【文献】特開2007-053063(JP,A)
【文献】特開平07-282677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部が設けられている第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有するケースと、
前記凹部に配置された固定接点と、前記ケースの外側に配置された端子と、を有する固定接点部材と、
前記凹部に配置され、押圧操作により前記固定接点に接触する可動接点を有する可動接点部材と、
前記凹部を覆う保護シートと、を備え、
前記ケースは、光透過性を有して光が入射する光入射面と、前記光入射面から入射した光の少なくとも一部を出射する光出射面と、
前記光出射面に設けられて、前記押圧操作の方向に対して平行な方向に光を反射させる光反射構造と、を有し、
前記光反射構造は、前記押圧操作の方向に対して傾斜するテーパ面を含む、
プッシュスイッチ。
【請求項2】
前記光入射面は、前記ケースの外側面に位置する、
請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記ケースの前記外側面は、前記ケースの前記第1面と、前記第2面と、を繋ぐ面である、
請求項2に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記ケースの前記外側面は、前記端子が存在する端子形成面と、前記端子が存在しない端子非形成面と、を有し、
前記光入射面は、前記端子非形成面に存在する、
請求項2又は3に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
前記光入射面は、前記ケースの前記凹部の内側面に位置する、
請求項1~4のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記ケースは、前記光入射面に設けられて、前記押圧操作の方向に対して垂直な面内に光を拡散させる光拡散構造を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記保護シートは、光透過性を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項8】
前記ケースの前記第2面に配置され、光を拡散させるとともに反射させる拡散反射層を更に備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項9】
前記光出射面は、前記ケースの前記第1面に形成されている、
請求項1~8のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項10】
前記可動接点部材と、前記固定接点部材と、のうちの少なくとも一部が光反射性を有する、
請求項1~9のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のプッシュスイッチと、前記プッシュスイッチの前記光入射面に向けて光を出射する光源と、を備える、
照明付きスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にプッシュスイッチ、及び照明付きスイッチ装置に関し、より詳細には押圧操作の有無によりオン又はオフするプッシュスイッチ、及び照明付きスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プッシュスイッチが開示されている。このプッシュスイッチは、スイッチ接点部が配設されたケース上が保護シートで覆われて構成されている。保護シートは、レーザ照射によりケースに溶着固定されている。そして、溶着固定箇所は、保護シートの粘着代にあたる範囲内において部分的な線状で設定されて溶着固定されている。
【0003】
プッシュスイッチは、車載用及びパソコンのキーボード用などに広く用いられている。特に昨今では、暗所でも操作できるようにキートップ周辺が照光するプッシュスイッチが増加している。
【0004】
しかしながら、従来のプッシュスイッチでは、照光ムラが生じやすく、照光性があまり良くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、照光性を向上させることができるプッシュスイッチ、及び照明付きスイッチ装置を提供することにある。
【0007】
本開示の一態様に係るプッシュスイッチは、ケースと、固定接点部材と、可動接点部材と、保護シートと、を備える。前記ケースは、凹部が設けられている第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する。前記固定接点部材は、前記凹部に配置された固定接点と、前記ケースの外側に配置された端子と、を有する。前記可動接点部材は、前記凹部に配置され、押圧操作により前記固定接点に接触する可動接点を有する。前記保護シートは、前記凹部を覆う。前記ケースは、光透過性を有する。前記ケースは、光入射面と、光出射面と、を有する。前記光入射面は、光が入射する。前記光出射面は、前記光入射面から入射した光の少なくとも一部を出射する。
【0008】
本開示の一態様に係る照明付きスイッチ装置は、前記プッシュスイッチと、光源と、を備える。前記光源は、前記プッシュスイッチの前記光入射面に向けて光を出射する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るプッシュスイッチの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のプッシュスイッチの斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のプッシュスイッチの平面図である。
【
図4】
図4は、同上のプッシュスイッチの保護シート、押圧体、可動部材、及び可動接点部材を外した状態の平面図である。
【
図5】
図5は、同上のプッシュスイッチの保護シート、押圧体、及び可動部材を外した状態の平面図である。
【
図6】
図6は、同上のプッシュスイッチの要部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のプッシュスイッチの非操作時の概略断面図である。
【
図8】
図8は、同上のプッシュスイッチの操作時の概略断面図である。
【
図9】
図9Aは、第1実施形態に係る照明付きスイッチ装置の概略側面図である。
図9Bは、第2実施形態に係る照明付きスイッチ装置の概略側面図である。
【
図10】
図10Aは、第1実施形態に係るプッシュスイッチにおける入射光、及び拡散光の様子を説明するための概略平面図である。
図10Bは、同上のプッシュスイッチにおける入射光、拡散光、反射光、及び出射光の様子を説明するための概略断面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るプッシュスイッチにおける入射光、及び拡散光の様子を説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1実施形態
(1.1)概要
まず第1実施形態に係るプッシュスイッチ1について図面を参照して説明する。本実施形態に係るプッシュスイッチ1は、いわゆる照光対応スイッチである。プッシュスイッチ1は、例えば携帯情報端末、車載機器及び家電機器等の各種の機器の操作部に用いられる。プッシュスイッチ1は、例えばプリント基板に実装された状態で機器の筐体内に内蔵される。この場合、筐体においてプッシュスイッチ1に対応する位置には例えば操作釦が配置される。これにより、使用者が操作釦を押すことによって、プッシュスイッチ1が操作釦を介して間接的に操作される。
【0011】
図1に示すように、プッシュスイッチ1は、ケース2と、固定接点部材3と、可動接点部材4と、保護シート6と、を備える。
【0012】
ケース2は、光透過性を有する。ケース2は、光入射面21と、光出射面22と、を有する。光入射面21は、光が入射する面である。光出射面22は、光入射面21から入射した光の少なくとも一部を出射する面である。ケース2は、第1面201と、第2面202と、を有する。第1面201には、凹部20が設けられている。このように、ケース2は、凹部20を有する。第2面202は、第1面201の反対側の面である。
【0013】
固定接点部材3は、固定接点30と、端子300と、を有する。固定接点30は、凹部20に配置されている。端子300は、ケース2の外側に配置されている。
【0014】
可動接点部材4は、可動接点40を有する。可動接点40は、凹部20に配置され、押圧操作により固定接点30に接触する。
【0015】
保護シート6は、凹部20を覆っている(
図2参照)。
【0016】
本実施形態に係るプッシュスイッチ1によれば、ケース2が導光部材として機能することで、プッシュスイッチ1の照光性を向上させることができる。
【0017】
(1.2)詳細
(1.2.1)プッシュスイッチ
以下、特に断りがない限り、基材部27の第1面201に直交する方向を「上下方向」とし、基材部27における上下方向の第1面201側を「上方」、第1面201の反対側である第2面202側を「下方」として説明する。「押圧操作の方向」は「上下方向」である。端子300がケース2から突出する方向を「左右方向」とし、上下方向及び左右方向の両方に直交する方向を「前後方向」として説明する。
図1等において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の矢印で示す通りに上、下、左、右、前、後の各方向を規定する。ただし、これらの方向はプッシュスイッチ1の使用方向を規定する趣旨ではない。図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0018】
図1に示すように、プッシュスイッチ1は、ケース2と、固定接点部材3(本実施形態では第1固定接点部材31及び第2固定接点部材32)と、可動接点部材4と、可動部材5と、保護シート6と、拡散反射層7と、押圧体8と、を備える。以下、特に断りがない限り、プッシュスイッチ1の非操作時の状態(プッシュスイッチ1が押圧操作されていない状態)について説明する。
【0019】
<ケース>
ケース2は、光透過性を有する。すなわち、ケース2は、可視光線を透過させる性質を有する。ケース2の透明度は、特に限定されない。ケース2は、透明又は半透明であれば、無色でも有色でもよい。さらにケース2は、電気絶縁性を有する。ケース2は、樹脂製又はセラミック製である。
【0020】
ケース2は、上下方向に扁平な直方体状である。ケース2は、基材部27と、周壁28と、を有する。
【0021】
基材部27は、板状である。基材部27は、上面視において矩形状に形成されている。
【0022】
周壁28は、基材部27の第1面201の外周部から上方に突出している。周壁28は、上面視において矩形枠状に形成されている。
図3に示すように、周壁28は、2つの壁部281と、2つの壁部282とで構成されている。2つの壁部281は、前後方向において対向している。2つの壁部282は、左右方向において対向している。
【0023】
ケース2は、凹部20を有する。凹部20は、上方に開口している。凹部20の開口形状は、略正方形状である。凹部20は、第1面201に設けられている。具体的には、凹部20は、基材部27の第1面201と、周壁28の内側面24とで囲まれた空間である。基材部27の第1面201は、凹部20の底面である。周壁28の内側面24は、凹部20の内側面である。
【0024】
凹部20は、上面視において四辺の中央部が外側に向かって張り出すように、凹部20の内側面24が湾曲した形状に構成されている。凹部20は、上面視において四隅が外側に向かって張り出すように、内側面24が湾曲した形状に構成されている。
【0025】
図4に示すように、基材部27は、支持台271を有する。支持台271は、凹部20の底面(第1面201)の前端部に位置する。支持台271は、第1面201から上方に突出している。
図5に示すように、支持台271は、可動接点部材4の接触片41の支持部43を支持する部分である。
【0026】
ケース2は、光入射面21と、光出射面22と、を有する。光入射面21は、光が入射する面である。光出射面22は、光入射面21から入射した光の少なくとも一部を出射する面である。ケース2の表面のうち、一部の面が光入射面21となり、残りの少なくとも一部の面(残りの全ての面でもよい)が光出射面22となる。光は、光入射面21からケース2内に入射し、ケース2内で全反射を繰り返すなどして伝播した後、光出射面22からケース2外に出射する。このように、ケース2は、導光部材として機能する。
【0027】
本実施形態では、光入射面21は、ケース2の外側面23に位置する。ケース2の外側面23は、ケース2の第1面201と、第2面202と、を繋ぐ面である。具体的には、
図3に示すように、前後方向に対向する2つの壁部281のうち、前方の壁部281の外側面23に、光入射面21が位置している。これにより、第1面201と第2面202との間に光を入射させることができる。
【0028】
ケースは、光拡散構造25を有する。光拡散構造25は、光入射面21に設けられている。光拡散構造25は、押圧操作の方向(上下方向)に対して垂直な面内に光を拡散させる。
図3に示すように、光拡散構造25は、レンズ群250(レンズアレイ)で形成されている。レンズ群250は、複数の単位レンズ251を含む。複数の単位レンズ251は、左右方向に並べて配置されている。単位レンズ251は、例えば、プリズムレンズ、シリンドリカルレンズ、及びフレネルレンズなどである。
【0029】
ケース2は、光出射面22に、光反射構造26を有する。光反射構造26は、押圧操作の方向(上下方向)に対して平行な方向(上下方向)に光を反射させる。本実施形態では、光反射構造26を有する光出射面22は、ケース2の内側面24に位置する。光反射構造26は、テーパ面260を含む。テーパ面260は、前方の壁部281の上面と接続されている。テーパ面260は、前方の壁部281の上面から凹部20の底面(第1面201)に向かって下り傾斜している。このように、テーパ面260は、押圧操作の方向(上下方向)に対して傾斜している。
【0030】
本実施形態では、ケース2の表面のうち、矩形枠状の周壁28の上面が、光出射面22に含まれる。このように、光出射面22は、ケース2の凹部20が存在する側の面(第1面201)に形成されている。なお、ケース2の凹部20が存在する側の面は、周壁28の内側面24、及び周壁28の上面のみならず、凹部20の底面(第1面201)なども含まれる。
【0031】
<固定接点部材>
固定接点部材3は、ケース2の基材部27に保持されている。固定接点部材3は、導電性を有する。例えば、固定接点部材3は、金属板で形成されている。固定接点部材3は、例えばインサート成形により、ケース2と一体化されている。
【0032】
固定接点部材3は、固定接点30及び端子300を有する。固定接点30は、ケース2の凹部20内に配置される。端子300は、ケース2の外側に配置される。
【0033】
本実施形態では、固定接点部材3は、第1固定接点部材31と、第2固定接点部材32と、を含む。第1固定接点部材31と第2固定接点部材32とは、前後方向に並べて配置されている。第1固定接点部材31が第2固定接点部材32の後方に配置されている。第1固定接点部材31と第2固定接点部材32とは、互いに電気的に絶縁されている。固定接点部材3の少なくとも一部は、光反射性を有する。固定接点部材3のうち、ケース2に埋め込まれていない部分が光反射性を有する。メッキなどにより固定接点部材3に光反射性を付与することができる。
【0034】
図4に示すように、第1固定接点部材31は、第1固定接点301(本実施形態では2つ)と、第1端子311(本実施形態では2つ)と、第1本体部310と、を有する。
【0035】
第1固定接点301は、第2固定接点302とは別に設けられている。第1固定接点301は、第2固定接点302とは電気的に絶縁されている。
【0036】
第1本体部310は、2つの第1端子311間を連結する。第1本体部310は、2つの第1端子311間において左右方向に延びた長尺状の部位と、長尺状の部位の両端部から前方に突出した部位とで、上面視において略U字状に形成されている。第1本体部310のうち前方に突出した部位の根元部(後端部)の上面の一部がそれぞれ隆起している。この隆起した部分が第1固定接点301を構成している。このように、第1固定接点301は、第1固定接点部材31に2つ設けられている。2つの第1固定接点301と、2つの第1端子311と、第1本体部310とは、1枚の金属板にて一体に構成されており、互いに電気的に接続されている。
【0037】
第1固定接点部材31は、第1本体部310の少なくとも一部がケース2に埋め込まれることにより、ケース2(基材部27)に保持されている。第1本体部310は、周壁28に沿って、その大部分が凹部20の底面(第1面201)から露出している。第1本体部310のうち第1面201から露出する部位の上面は、第1面201と面一である。そのため、第1本体部310の後端部の上面の一部がそれぞれ隆起して形成された2つの第1固定接点301は、基材部27の第1面201から上方に突出することになる。
【0038】
2つの第1端子311は、第1固定接点部材31の左右方向の両端部に位置する。2つの第1端子311は、ケース2の左右方向の両面から突出している。具体的には、ケース2の左側面からは、一方の第1端子311が左方に向かって突出している。ケース2の右側面からは、他方の第1端子311が右方に向かって突出している。
【0039】
第1端子311は、例えばプリント基板等の基板100上の導電部材に対してはんだ付けにより機械的に結合及び電気的に接続される(
図9参照)。
【0040】
図4に示すように、第2固定接点部材32は、第2固定接点302と、第2端子322(本実施形態では2つ)と、第2本体部320と、を有する。
【0041】
第2固定接点302は、第2固定接点部材32の左右方向の中央部に位置している。
【0042】
第2本体部320は、2つの第2端子322間を連結する。第2本体部320は、2つの第2端子322間において左右方向に延びた長尺状の部位と、長尺状の部位の中央部から後方に突出した部位とで、上面視において略T字状に形成されている。第2本体部320のうち後方に突出した部位の先端部(後端部)の上面の一部が隆起している。この隆起した部分が第2固定接点302を構成している。このように、第2固定接点302と、2つの第2端子322と、第2本体部320とは、1枚の金属板にて一体に構成されており、互いに電気的に接続されている。
【0043】
第2固定接点部材32は、第2本体部320の少なくとも一部がケース2に埋め込まれることにより、ケース2(基材部27)に保持されている。第2本体部320の後端部の上面の一部が隆起して形成された第2固定接点302は、基材部27の第1面201から上方に突出している(
図7及び
図8参照)。
【0044】
2つの第2端子322は、第2固定接点部材32の左右方向の両端部に位置する。2つの第2端子322は、ケース2の左右方向の両面から突出している。具体的には、ケース2の左側面からは、一方の第2端子322が左方に向かって突出している。ケース2の右側面からは、他方の第2端子322が右方に向かって突出している。
【0045】
第2端子322は、例えばプリント基板等の基板100上の導電部材に対してはんだ付けにより機械的に結合及び電気的に接続される(
図9参照)。
【0046】
ケース2の左側面及び右側面には、端子300(2つの第1端子311及び2つの第2端子322)が存在するので、ケース2の左側面及び右側面は、端子形成面231となる。一方、ケース2の前面及び後面には、端子300が存在しないので、ケース2の前面及び後面は、端子非形成面230となる。このように、ケース2の外側面23は、端子形成面231と、端子非形成面230と、を有する。本実施形態では、光入射面21は、端子非形成面230に存在する。
【0047】
<可動接点部材>
可動接点部材4は、ケース2の凹部20内に配置される。可動接点部材4は、導電性及び弾性を有する。例えば、可動接点部材4は、ステンレス(SUS)等の金属板で形成されている。可動接点部材4の少なくとも一部が光反射性を有する。メッキなどにより可動接点部材4に光反射性を付与することができる。
【0048】
図1に示すように、可動接点部材4は、接触片41と、支持枠42と、を有する。
【0049】
接触片41は、支持部43と、可動接点40と、連結部44と、を有する。支持部43は、基材部27の支持台271に支持される(
図5参照)。可動接点40は、第2固定接点302に接する位置と、第2固定接点302から離れる位置との間を移動する(
図7及び
図8参照)。連結部44は、支持部43と可動接点40とを連結する。
【0050】
支持枠42は、開口部45を有する矩形枠状に形成されている。支持枠42の開口部45は、前後方向に長い長方形状に形成されている。支持枠42の下面は、支持台271の上面、及び2つの第1固定接点301の上面に接触する。つまり、支持枠42は、支持台271、及び2つの第1固定接点301によって、基材部27の第1面201上に、第1面201と略平行に支持される。これにより、支持枠42は、2つの第1固定接点301に対して常に接触する。
【0051】
接触片41は、可動接点40が上下方向において第2固定接点302に対向するように、支持枠42の一部から基材部27の第1面201に沿って突出している。接触片41は、片持ち梁状である。接触片41は、支持枠42の開口部45の前端縁の左右方向の中央部から後方に向けて突出している。接触片41は、支持枠42の前後方向に対向する二辺のうち、前側の辺の中央部から後側の辺に向かって突出している。支持枠42と、接触片41(支持部43、可動接点40、及び連結部44)とは、1枚の金属板にて一体に構成されている。
【0052】
接触片41のうち支持枠42に連続する前端部、つまり片持ち梁の固定端に相当する根元部分が支持部43を構成する。接触片41のうち接触片41の後端部、つまり片持ち梁の自由端に相当する先端部分が可動接点40を構成する。接触片41のうち上下方向において支持台271と対向する部分が支持部43となり、上下方向において第2固定接点302と対向する部分が可動接点40となる。接触片41のうち支持部43及び可動接点40以外の部分は、全て連結部44となる。接触片41のうち連結部44及び可動接点40は、支持部43から後斜め上方に延びている。接触片41のうち支持部43以外の部分は、先端側(後側)ほど凹部20の底面(第1面201)から離れるように、第1面201に対して傾斜している。したがって、接触片41は、連結部44が撓むことによって、第2固定接点302に接する位置と、第2固定接点302から離れる位置との間で、可動接点40を移動させることができる(
図7及び
図8参照)。
【0053】
連結部44は、上下方向において基材部27の第1面201とは反対側(上方)に突出する突起部441を有する。突起部441は、基材部27の第1面201の中央部に位置する。突起部441は、上面視において円形状に形成されている。連結部44は、突起部441付近において、他の部位よりも左右方向の寸法(幅寸法)が大きくなっている。
【0054】
支持枠42の4つの角部は、上方から見て、支持枠42の外周縁から四方に突出するように形成されている。可動接点部材4は、支持枠42の4つの角部が凹部20の四隅の張り出した部分に収まるように、凹部20内に収納される。そのため、支持枠42の4つの角部が凹部20の内側面24の一部に接触することにより、基材部27の第1面201に沿う面内での可動接点部材4の移動が規制される。
【0055】
可動接点部材4は、支持枠42の下面が2つの第1固定接点301と常に接触することにより、2つの第1固定接点301と常に電気的に接続される。
【0056】
<可動部材>
可動部材5は、ケース2の凹部20内に配置される。可動部材5は、可動接点部材4上に重ねて配置される。可動部材5は、弾性を有する。可動部材5は、例えば、ステンレス(SUS)等の金属板にて構成されている。
【0057】
可動部材5は、本体部50と、4つの脚部53と、を有する。
【0058】
本体部50は、中央部が上方に凸となるように湾曲したドーム状に形成されている。本体部50は、受圧部51と、貫通孔52(本実施形態では4つ)と、を有する。4つの貫通孔52は、同一形状である。4つの貫通孔52は、受圧部51の周囲において、受圧部51の周方向に等間隔に配置されている。4つの貫通孔52は、上下方向に可動部材5を貫通している。4つの貫通孔52は、受圧部51の前方、後方、左方、及び右方に配置されている。4つの貫通孔52は、可動部材5の前後方向及び左右方向の中心線を対称軸として線対称となっている。
【0059】
受圧部51は、本体部50の中央部に位置する。受圧部51は、プッシュスイッチ1の操作時において、プッシュスイッチ1の外部からプッシュスイッチ1に加わる力(以下「操作力」という場合がある)を受ける。
【0060】
4つの脚部53は、本体部50の外周縁から斜め下向きに突出している。4つの脚部53は、上方から見て、本体部50の外周縁から四方に突出するように本体部50の周方向において等間隔で配置されている。本体部50と4つの脚部53とは連続している。可動部材5は、4つの脚部53が凹部20の四隅の張り出した部分に収まるように、凹部20内に収納される。そのため、4つの脚部53が凹部20の内側面24の一部に接触することにより、基材部27の第1面201に沿う面内での可動部材5の移動が規制される。
【0061】
可動部材5が可動接点部材4と共に凹部20内に収納された状態では、可動部材5は、4つの脚部53の先端部でのみ可動接点部材4に接触し、4つの脚部53の先端部以外の部分は可動接点部材4から離間している。
【0062】
可動部材5の少なくとも一部は光反射性を有する。メッキなどにより可動部材5に光反射性を付与することができる。
【0063】
ここで、
図3に示すように、可動部材5の4つの貫通孔52のうち後方の貫通孔52は、上下方向において可動接点40と対向する位置に配置されている。
【0064】
<保護シート>
保護シート6は、光透過性を有する。すなわち、保護シート6は、可視光線を透過させる性質を有する。保護シート6の透明度は、特に限定されない。保護シート6は、透明又は半透明であれば、無色でも有色でもよい。さらに保護シート6は、可撓性、耐熱性、及び電気絶縁性を有する。保護シート6は、例えば樹脂製である。
【0065】
保護シート6は、凹部20の全体を覆うように、ケース2の上面(凹部20の開口面)に配置されている。保護シート6は、ケース2における凹部20の周囲、つまりケース2の周壁28の上面に接合されることにより、凹部20を覆う。これにより、保護シート6は、例えば塵埃等が凹部20内へ侵入することを抑制し、凹部20内に収納された各部材を保護する。保護シート6の外周形状は、ケース2の周壁28の外周形状と略同一形状である。
【0066】
保護シート6は、接合部61と、押圧部62と、中間部63と、を有する。保護シート6は、接合部61にてケース2の周壁28に接合され、押圧部62及び中間部63にて凹部20を覆っている。
【0067】
接合部61は、周壁28の上面に接合される。接合部61は、保護シート6のうち外周部となる矩形枠状の部分であって、基材部27の第1面201に対して平行な平坦部に設けられている。接合部61は、レーザ溶着又は超音波溶着によりケース2における凹部20の周囲に接合されている。接合には、粘着剤及び接着剤は使用しないことが好ましい。これらを使用すると、照光性にばらつきが生じるおそれがあり、また熱履歴による黄変のおそれもある。
【0068】
押圧部62は、可動部材5の受圧部51に対向する部分である。保護シート6のうち中央部となる円形状の部分が押圧部62を構成する。押圧部62は、基材部27の第1面201に対して平行な平坦部である。
【0069】
中間部63は、接合部61と押圧部62との間にある。保護シート6のうち接合部61及び押圧部62を除いた部分が中間部63を構成する。つまり、保護シート6において、接合部61に囲まれた部分のうち押圧部62以外の部分は、全て中間部63となる。中間部63の少なくとも一部は可動部材5から離間している。中間部63は、内周側(押圧部62側)ほど、基材部27の第1面201から離れるように、基材部27の第1面201に対して傾斜している(
図7及び
図8参照)。
【0070】
<拡散反射層>
拡散反射層7は、光を拡散させるとともに反射させる層である。拡散反射層7は、例えば白色、及び乳白色の層である。拡散反射層7は、ケース2の下面(第2面202)に配置される。すなわち、拡散反射層7は、ケース2の凹部20が存在する側と反対側の面(第2面202)に配置される。上下方向において、光反射構造26のテーパ面260と、拡散反射層7とは、重なり合っている。拡散反射層7は、上面視においてケース2の外形と略等しい形状及び大きさを有する層である。拡散反射層7は、フィルムの溶着、シルク印刷、及び2色成形などにより形成される。拡散反射層7は、光透過性に乏しいので、上方から拡散反射層7を見ても、拡散反射層7の下側は見えにくい。拡散反射層7の形成にも、粘着剤及び接着剤は使用しないことが好ましい。
【0071】
<押圧体>
押圧体8は、保護シート6の押圧部62と、可動部材5の受圧部51との間に配置されている。押圧体8は、電気絶縁性を有する。押圧体8は、例えば樹脂製である。押圧体8は、上下方向に扁平な円盤状である。押圧体8は、その下面を受圧部51の上面に接触させた状態で、可動部材5の上方に配置されている。押圧体8の上面は、例えばレーザ溶着又は超音波溶着によって押圧部62の下面に接合されている。
【0072】
押圧体8は、保護シート6の押圧部62に加わる操作力を可動部材5の受圧部51に伝達する。つまり、押圧部62に上方から操作力が作用すると、この操作力は押圧体8を介して受圧部51に伝達され、受圧部51に上方から作用する。これにより、押圧部62が押されることによって、押圧体8を介して受圧部51が間接的に操作される。
【0073】
<照光作用>
次に、プッシュスイッチ1の照光作用について説明する。
【0074】
図6及び
図10Aに示すように、プッシュスイッチ1の外部側方から、入射光IL1が、プッシュスイッチ1の外側面23にある光入射面21に入射する。入射光IL1は、光入射面21の光拡散構造25によって拡散される。そして、プッシュスイッチ1の内側面24にある光出射面22から拡散光DLが出射される。拡散光DLは、上下方向に対して垂直な面内に拡がって進む。つまり、拡散光DLは、ケース2全体に拡がる。拡散光DLは、保護シート6を透して視認可能である。このように、光が平面的に拡散されることで、ケース2全体が光り、照光ムラを低減することができる。しかも本実施形態では、保護シート6は、光透過性を有するので、保護シート6が光透過性を有しない場合に比べて、照光面積を増加させることができる。なお、
図10Aでは、説明を理解しやすくするため、一部の構成要素の図示を省略している。
【0075】
また光入射面21から入射した入射光IL1は、ケース2内で全反射を繰り返すなどして伝播した後、周壁28の上面にある光出射面22から、出射光ELとしてケース2外に出射する(
図6及び
図10B参照)。このように、ケース2は、導光部材として機能する。ケース2が導光部材として機能することで、プッシュスイッチ1の照光性を向上させることができる。しかも本実施形態では、押圧操作の方向(上下方向)の上方に出射光ELが出射される。したがって、プッシュスイッチ1の照光状態を使用者が視認しやすくなる。なお、
図10Bでは、説明を理解しやすくするため、一部の構成要素の図示を省略している。
【0076】
一方、
図6に示すように、プッシュスイッチ1の外部側方から、入射光IL2が、プッシュスイッチ1の外側面23にある光入射面21に入射する。入射光IL2は、光出射面22の光反射構造26によって反射される。具体的には、
図10Bに示すように、光反射構造26のテーパ面260によって、下方に反射され、反射光RL1となる。そして、反射光RL1は、ケース2の下面(第2面202)にある拡散反射層7(
図6では図示省略)によって、上方に反射され、反射光RL2となる。反射光RL2は、保護シート6(
図10Bでは図示省略)を透して視認可能である。このように、テーパ面260によって、入射方向と異なる方向に光を反射させることができる。さらに反対側の面(第2面202)から出射した光を拡散反射層7で拡散し、反射させることで、照光性を更に向上させることができる。しかも拡散反射層7が存在することで、プッシュスイッチ1を上方から見た場合、拡散反射層7の下方に存在し得る基板100などを見えないようにすることも可能である。
【0077】
さらにケース2内に収納される可動接点部材4及び固定接点部材3が光反射性を有するので、照光性を更に向上させることができる。
【0078】
ここで、照光ムラについて説明を補足する。
図3に示すプッシュスイッチ1において、本実施形態のような光入射面21が存在しない場合には、入射光IL1は、中央領域CAでは鮮明に視認することが可能であるが、左側領域LA、及び右側領域RAでは不鮮明となる。このようにして、照光ムラが生じる。これに対して、本実施形態では、ケース2が導光部材として機能することで、
図10Aに示すように、拡散光DLが上下方向に対して垂直な面内に拡がって進むことにより、中央領域CAのみならず、左側領域LA、及び右側領域RAも鮮明となるので、プッシュスイッチ1の照光性を向上させることができる。
【0079】
<動作>
次に、プッシュスイッチ1の動作について
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0080】
プッシュスイッチ1は、常開型のスイッチであって、操作時には、保護シート6の押圧部62が押圧操作されることによって、押圧部62を介して押圧体8に下向きの操作力が作用する。
【0081】
まず、押圧体8を介して上方から受圧部51に操作力が作用すると、
図7及び
図8に示すように、受圧部51が凹部20の底面(第1面201)に近づく向き(下方)に押されて、可動部材5が徐々に変形する。そして、受圧部51に作用する操作力の大きさが所定値を超えると、可動部材5は、座屈により大きく変形する。このとき、受圧部51に作用する本体部50の弾性力が急激に変化するため、可動部材5のいわゆる反転動作によって、本体部50は、中央部(受圧部51)が下方に凸となるように湾曲したドーム状に、勢いよく変形する。したがって、プッシュスイッチ1を押圧操作する使用者には、可動部材5の変形に伴って節度感(クリック感)が与えられる。
【0082】
可動部材5の変形に伴って、受圧部51の下面が接触片41の連結部44の突起部441に接触し、連結部44が可動部材5に押されることにより、連結部44を撓ませながら可動接点40が下方に変位する。
図8に示すように、可動接点40が第2固定接点302に接触する位置まで変位すると、プッシュスイッチ1がオンになる。
図8に示す状態では、接触片41は基材部27の第1面201に対して平行となる。この状態では、第2固定接点部材32及び第1固定接点部材31との間が導通する。
【0083】
一方、本体部50が下方に凸となるドーム状に変形した状態で、受圧部51に作用する操作力が無くなると、可動部材5は、可動部材5の復元力によって中央部(受圧部51)が上方に凸となるように湾曲したドーム状に復元(変形)する。このとき、受圧部51に作用する本体部50の弾性力が急激に変化するため、本体部50は、元の形状(中央部が上方に凸となるドーム状)に、勢いよく復元(変形)する。したがって、プッシュスイッチ1を押圧操作する使用者には、押圧操作の解除時、可動部材5の変形に伴って節度感(クリック感)が与えられる。そして、本体部50が上向きに凸となるドーム状になると、
図7に示すように、接触片41の先端部である可動接点40が第2固定接点302から離れて、プッシュスイッチ1がオフになる。この状態では、第2固定接点部材32及び第1固定接点部材31との間が非導通となる。
【0084】
(1.2.2)照明付きスイッチ装置
次に、本実施形態に係る照明付きスイッチ装置10について説明する。
図9に示すように、照明付きスイッチ装置10は、基板100と、プッシュスイッチ1と、光源9と、を備える。
【0085】
基板100は、電気絶縁性を有する。基板100は、プリント基板、及びフレキシブルプリント基板などである。基板100は、主面101を有する。主面101には、プッシュスイッチ1、及び光源9を実装するための導電部材(不図示)が形成されている。
【0086】
プッシュスイッチ1は、基板100の主面101に実装されている。具体的には、プッシュスイッチ1の端子300が主面101上の導電部材に対してはんだ付けにより機械的に結合及び電気的に接続されている。
【0087】
光源9は、プッシュスイッチ1から離れて、基板100の主面101に実装されている。このように、光源9は、ケース2の外部に配置可能である。
【0088】
光源9は、プッシュスイッチ1の側方に位置している。光源9は、プッシュスイッチ1の光入射面21に向けて光を出射する。光源9は、発光素子(いわゆる側面発光LED)などである。
【0089】
プッシュスイッチ1の光入射面21と、光源9とは対向している。光入射面21は、プッシュスイッチ1の端子非形成面230に存在するので、プッシュスイッチ1と光源9とを並べて実装する場合に、端子300が邪魔になることを抑制できる。すなわち、光入射面21に対して光源9を配置しやすくなる。
【0090】
照明付きスイッチ装置10においても、上述の照光作用と同様に、光源9からの入射光IL1が、プッシュスイッチ1の光入射面21からケース2内に入り、光出射面22から出射光ELとして出射される。このように、ケース2が導光部材として機能することで、照明付きスイッチ装置10としての照光性を向上させることができる。
【0091】
(2)第2実施形態
次に第2実施形態に係るプッシュスイッチ1について図面を参照して説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0092】
図11に示すように、第2実施形態に係るプッシュスイッチ1は、光入射面21が、ケース2の外側面23及び内側面24の両方に存在している点で、第1実施形態に係るプッシュスイッチ1と相違する。また第2実施形態では、外側面23及び内側面24の両方の光入射面21に光拡散構造25が設けられている。なお、
図11では、説明を理解しやすくするため、一部の構成要素の図示を省略している。
【0093】
さらに
図11に示すように、第2実施形態に係る照明付きスイッチ装置10は、プッシュスイッチ1の内部に光源9を備えている点で、第1実施形態に係る照明付きスイッチ装置10と相違する。そして、光源9は、ケース2の内側面24に位置する光入射面21に向けて、入射光IL3を出射する。入射光IL3は、光入射面21の光拡散構造25によって拡散される。そして、内側面24にある光出射面22から拡散光DLが出射される。このように、光入射面21は、光出射面22にもなり得る。拡散光DLは、上下方向に対して垂直な面内に拡がって進む。つまり、拡散光DLは、ケース2全体に拡がる。拡散光DLは、保護シート6を透して視認可能である。このように、光が平面的に拡散されることで、ケース2全体が光り、照光ムラを低減することができる。
【0094】
さらに第2実施形態に係る照明付きスイッチ装置10においても、光入射面21から入射した入射光IL3は、ケース2内で全反射を繰り返すなどして伝播した後、周壁28の上面にある光出射面22から、出射光ELとしてケース2外に出射する(
図9B参照)。このように、ケース2は、導光部材として機能する。ケース2が導光部材として機能することで、プッシュスイッチ1の照光性を向上させることができる。しかも本実施形態でも、押圧操作の方向(上下方向)の上方に出射光ELが出射される。したがって、プッシュスイッチ1の照光状態を使用者が視認しやすくなる。なお、光源9の大きさ及び配置箇所は、例えば、プッシュスイッチ1の押圧操作に支障を来さないという条件により定められる。
【0095】
(3)変形例
第1及び第2実施形態に係るプッシュスイッチでは、ケース2全体を光らせるようにしているが、ケース2の縁(具体的には周壁28の上面)だけを光らせるようにしてもよい。
【0096】
第2実施形態に係るプッシュスイッチ1では、光入射面21が、ケース2の外側面23及び内側面24の両方に存在しているが、光入射面21は、内側面24のみに存在し、外側面23に存在しなくてもよい。
【0097】
第2実施形態では、外側面23及び内側面24の両方の光入射面21に光拡散構造25が設けられているが、光拡散構造25は、内側面24のみに設けられ、外側面23に設けられていなくてもよい。逆に、外側面23のみに設けられ、内側面24に設けられていなくてもよい。
【0098】
第2実施形態に係るプッシュスイッチ1では、外側面23に位置する光拡散構造25と、内側面24に位置する光拡散構造25とが前後方向において表裏をなしているが(
図11参照)、2つの光拡散構造25は表裏をなさなくてもよい。すなわち、光拡散構造25が位置する外側面23の反対側(後ろ側)である内側面24に、もう1つ別の光拡散構造25が存在しなくてもよい。同様に、光拡散構造25が位置する内側面24の反対側(前側)である外側面23に、もう1つ別の光拡散構造25が存在しなくてもよい。
【0099】
第1及び第2実施形態に係る照明付きスイッチ装置10では、プッシュスイッチ1の基材部27と基板100とは別体であるが、プッシュスイッチ1の基材部27自体を基板100で形成してもよい。
【0100】
第2実施形態に係る照明付きスイッチ装置10では、プッシュスイッチ1の内部に光源9が配置されているが、プッシュスイッチ1の外部に別の光源9が追加で配置されていてもよい。
【0101】
(4)まとめ
第1及び第2実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。なお、以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0102】
第1の態様に係るプッシュスイッチ(1)は、ケース(2)と、固定接点部材(3)と、可動接点部材(4)と、保護シート(6)と、を備える。前記ケース(2)は、凹部(20)が設けられている第1面(201)と、前記第1面(201)の反対側の第2面(202)と、を有する。前記固定接点部材(3)は、前記凹部(20)に配置された固定接点(30)と、前記ケース(2)の外側に配置された端子(300)と、を有する。前記可動接点部材(4)は、前記凹部(20)に配置され、押圧操作により前記固定接点(30)に接触する可動接点(40)を有する。前記保護シート(6)は、前記凹部(20)を覆う。前記ケース(2)は、光透過性を有する。前記ケース(2)は、光入射面(21)と、光出射面(22)と、を有する。前記光入射面(21)は、光が入射する。前記光出射面(22)は、前記光入射面(21)から入射した光の少なくとも一部を出射する。
【0103】
この態様によれば、ケース(2)が導光部材として機能することで、プッシュスイッチ(1)の照光性を向上させることができる。
【0104】
第2の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第1の態様において、前記光入射面(21)は、前記ケース(2)の外側面(23)に位置する。
【0105】
この態様によれば、ケース(2)の外部に光源(9)を配置できる。
【0106】
第3の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第2の態様において、前記ケース(2)の前記外側面(23)は、前記ケース(2)の前記第1面(201)と、前記第2面(202)と、を繋ぐ面である。
【0107】
この態様によれば、第1面(201)と第2面(202)との間に光を入射させることができる。
【0108】
第4の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第2又は3の態様において、前記ケース(2)の前記外側面(23)は、端子形成面(231)と、端子非形成面(230)と、を有する。前記端子形成面(231)は、前記端子(300)が存在する。前記端子非形成面(230)は、前記端子(300)が存在しない。前記光入射面(21)は、前記端子非形成面(230)に存在する。
【0109】
この態様によれば、光入射面(21)に対して光源(9)を配置しやすくなる。
【0110】
第5の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第1~4のいずれかの態様において、前記光入射面(21)は、前記ケース(2)の前記凹部(20)の内側面(24)に位置する。
【0111】
この態様によれば、ケース(2)の内部に光源(9)を配置できる。
【0112】
第6の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第1~5のいずれかの態様において、前記ケースは、前記光入射面(21)に設けられて、光拡散構造(25)を有する。前記光拡散構造(25)は、前記押圧操作の方向に対して垂直な面内に光を拡散させる。
【0113】
この態様によれば、光が平面的に拡散されることで、ケース(2)全体が光り、照光ムラを低減することができる。
【0114】
第7の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第1~6のいずれかの態様において、前記ケース(2)は、前記光出射面(22)に設けられて、光反射構造(26)を有する。前記光反射構造(26)は、前記押圧操作の方向に対して平行な方向に光を反射させる。
【0115】
この態様によれば、照光性を更に向上させることができる。
【0116】
第8の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第7の態様において、前記光反射構造(26)は、テーパ面(260)を含む。前記テーパ面(260)は、前記押圧操作の方向に対して傾斜する。
【0117】
この態様によれば、テーパ面(260)によって、入射方向と異なる方向に光を反射させることができる。
【0118】
第9の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第1~8のいずれかの態様において、前記保護シート(6)は、光透過性を有する。
【0119】
この態様によれば、保護シート(6)が光透過性を有しない場合に比べて、照光面積を増加させることができる。
【0120】
第10の態様に係るプッシュスイッチ(1)は、第1~9のいずれかの態様において、拡散反射層(7)を更に備える。前記拡散反射層(7)は、前記ケース(2)の前記第2面(202)に配置される。前記拡散反射層(7)は、光を拡散させるとともに反射させる。
【0121】
この態様によれば、反対側の面(202)から出射した光を拡散反射層(7)で拡散し、反射させることで、照光性を更に向上させることができる。
【0122】
第11の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第1~10のいずれかの態様において、前記光出射面(22)は、前記ケース(2)の前記第1面(201)に形成されている。
【0123】
この態様によれば、プッシュスイッチ(1)の照光状態を使用者が視認しやすくなる。
【0124】
第12の態様に係るプッシュスイッチ(1)では、第1~11のいずれかの態様において、前記可動接点部材(4)と、前記固定接点部材(3)と、のうちの少なくとも一部が光反射性を有する。
【0125】
この態様によれば、光が反射されることで、照光性を更に向上させることができる。
【0126】
第13の態様に係る照明付きスイッチ装置(10)は、第1~12のいずれかの態様に係るプッシュスイッチ(1)と、光源(9)と、を備える。前記光源(9)は、前記プッシュスイッチ(1)の前記光入射面(21)に向けて光を出射する。
【0127】
この態様によれば、ケース(2)が導光部材として機能することで、プッシュスイッチ(1)の照光性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0128】
1 プッシュスイッチ
10 照明付きスイッチ装置
2 ケース
20 凹部
21 光入射面
22 光出射面
23 外側面
24 内側面
25 光拡散構造
26 光反射構造
260 テーパ面
201 第1面
202 第2面
230 端子非形成面
231 端子形成面
3 固定接点部材
30 固定接点
300 端子
4 可動接点部材
40 可動接点
6 保護シート
7 拡散反射層
9 光源