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特許7426594入力装置、入力システム、操作検出方法、プログラム及び非一時的記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】入力装置、入力システム、操作検出方法、プログラム及び非一時的記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0362 20130101AFI20240126BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20240126BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240126BHJP
   H01H 25/00 20060101ALI20240126BHJP
   H01H 89/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G06F3/0362 461
G06F3/03 400F
G06F3/044 Z
H01H25/00 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021524666
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006602
(87)【国際公開番号】W WO2020246076
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2019104706
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 聡
(72)【発明者】
【氏名】澤田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】全 素希
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/174092(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0129347(US,A1)
【文献】国際公開第2016/075907(WO,A1)
【文献】特開2013-041320(JP,A)
【文献】特開2012-035782(JP,A)
【文献】国際公開第2019/087608(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0362
G06F 3/03
G06F 3/044
H01H 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと共に用いられる入力装置であって、
導電性を有する操作体と、
前記操作体に電気的に接続される第1電極と、
前記第1電極とは別の1つ以上の第2電極と、
前記1つ以上の第2電極と前記操作体との導通/非導通を切り替える切替部と、
を備え、
前記第1電極及び前記1つ以上の第2電極は前記タッチパネルに対向するように配置可能であり、
前記操作体は、
前記操作体を回転させて、前記タッチパネル上の軌道上での前記第1電極の回転移動を伴う第1操作と、
前記操作体を押して、前記切替部の導通/非導通の切り替えを伴う第2操作と、
を受け付け
前記操作体に前記第1操作が行われたときは、前記タッチパネルのタッチ位置検出機能によって、前記タッチパネルでの前記第1電極の位置の電気的変化が検出されることで、前記第1操作が検出され、
前記操作体に前記第2操作が行われたときは、前記タッチパネルのタッチ位置検出機能によって、前記タッチパネルでの前記第1電極及び前記1つ以上の第2電極の各々の位置の電気的変化が検出されることで、前記第2操作が検出され、
前記1つ以上の第2電極は、前記軌道上に配置されている、
入力装置。
【請求項2】
前記1つ以上の第2電極は複数の第2電極を含む、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記タッチパネルと前記第1電極と前記1つ以上の第2電極との距離を一定に維持する位置決め部を更に備える、
請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記第1電極と前記1つ以上の第2電極とを前記タッチパネルに押し付ける向きの弾性力を有する弾性部を含む、
請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記タッチパネルに対向配置され、前記第1電極及び前記1つ以上の第2電極を保持する保持部材を更に備え、
前記保持部材は前記軌道を含む円環形を有する、
請求項1~4の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記切替部の導通/非導通の切り替えに同期してクリック感触を発生するクリック部を更に備える、
請求項1~5の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の入力装置と、
前記タッチパネルと、を備える入力システム。
【請求項8】
請求項1~6の何れか1項に記載の入力装置と前記タッチパネルとを準備し、
前記タッチパネル上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の位置によって前記第1操作を検出し、
前記タッチパネル上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の数又は大きさによって前記第2操作を検出する、ことを含む操作検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の操作検出方法を1つ以上のプロセッサに実行させるプログラム。
【請求項10】
請求項8に記載の操作検出方法を前記1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムを記録した非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力装置、入力システム、操作検出方法、プログラム及び非一時的記録媒体に関する。より詳細には、本開示は、第1電極の移動を伴う第1操作と、第2電極と操作体との導通/非導通を切り替える第2操作とが入力可能な入力装置、入力システム、操作検出方法、プログラム及び非一時的記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、タッチ機能付きの表示パネル上に取付可能な操作つまみ(入力装置)を開示する。この操作つまみは、ダイヤル式操作部(操作体)、釦(操作体)、伝達部(第1電極)及び追加伝達部(第2電極)を備えている。伝達部は、ダイヤル式操作部の回転操作に伴って、上記表示パネルの表面に垂直な軸周りに回転する。また、追加伝達部は、釦の押下操作(すなわちオンオフ操作)に伴って上記表示パネルに接近する。上記表示パネルは、上記表示パネルと追加伝達部との間の距離が一定距離以下になると、釦の押下操作(すなわち釦がオンに操作されたこと)を検出する。
【0003】
しかしながら、特許文献1では、表示パネルによって、釦の押下操作(すなわちオン操作)を正確に検出することが難しくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2015/174092
【発明の概要】
【0005】
本開示は、操作体に対するオンオフ操作の入力を検出する検出精度の向上を図ることができる入力装置、入力システム、操作検出方法、プログラム及び非一時的記憶媒体を提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る入力装置は、タッチパネルと共に用いられるように構成された入力装置である。前記入力装置は、操作体と、第1電極と、1つ以上の第2電極と、切替部と、を備えている。前記操作体は、導電性を有する。前記第1電極は、前記操作体に電気的に接続される。前記1つ以上の第2電極は、前記第1電極とは別の電極である。前記切替部は、前記1つ以上の第2電極と前記操作体との導通/非導通を切り替える。前記第1電極及び前記1つ以上の第2電極は、前記タッチパネルに対向するように配置可能である。前記操作体は、第1操作と、第2操作とを受け付ける。前記第1操作は、前記操作体を回転させて、前記タッチパネル上の軌道上での前記第1電極の回転移動を伴う。前記第2操作は、前記操作体を押して、前記切替部の導通/非導通の切り替えを伴う。前記操作体に前記第1操作が行われたときは、前記タッチパネルのタッチ位置検出機能によって、前記タッチパネルでの前記第1電極の位置の電気的変化が検出されることで、前記第1操作が検出される。前記操作体に前記第2操作が行われたときは、前記タッチパネルのタッチ位置検出機能によって、前記タッチパネルでの前記第1電極及び前記1つ以上の第2電極の各々の位置の電気的変化が検出されることで、前記第2操作が検出される。前記1つ以上の第2電極は、前記軌道上に配置されている。
【0007】
本開示の一態様に係る入力システムは、前記入力装置と、前記タッチパネルと、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る操作検出方法では、前記入力装置と前記タッチパネルとを準備する。前記操作検出方法は、前記タッチパネル上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の位置によって前記第1操作を検出する。前記操作検出方法は、前記タッチパネル上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の数又は大きさによって前記第2操作を検出する。
【0009】
本開示の一態様のプログラムは、前記操作検出方法を1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムである。
【0010】
本開示の一態様の非一時的記憶媒体は、前記操作検出方法を前記1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムを記録した非一時的記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る入力システムを示す斜視図である。
図2図2Aは、同上の入力システムに含まれる入力装置を斜め上から見た斜視図である。図2Bは、同上の入力装置を斜め下から見た斜視図である。
図3】同上の入力装置を示す分解斜視図である。
図4図4は、図2の入力装置のA1-A1線断面図である。
図5図5は、同上の入力装置を斜め下から見た一部分解斜視図である。
図6図6は、図2の入力装置のA2-A2線断面図である。
図7図7は、操作体連結ばね、端子連結ばね、プッシュスイッチ及び支点ゴムを示す斜視図である。
図8図8Aは、操作体に対する回転操作を検出する場合の動作を説明する説明図である。図8Bは、操作体に対するプッシュ操作を検出する場合の動作を説明する説明図である。
図9図9Aは、図4の部分拡大図である。図9Bは、図9AのA3-A3線断面図である。
図10図10Aは、同上の入力装置のプッシュ機構を説明する説明図である。図10Bは、操作体の背面を示す斜視図である。
図11図11は、実施形態2に係る入力システムを示す斜視図である。
図12図12Aは、同上の入力システムに含まれる入力装置を斜め上から見た斜視図である。図12Bは、同上の入力装置を斜め下から見た斜視図である。
図13図13Aは、移動部を斜め上から見た斜視図である。図13Bは、移動部を斜め下から見た斜視図である。
図14図14は、固定部の一部を示す斜視図である。
図15図15は、移動部を示す分解斜視図である。
図16図16Aは、操作体が傾倒中立位置にある場合の操作体と端子との電気的接続関係を説明する説明図である。図16Bは、操作体が一側の傾倒位置にある場合の操作体と端子との電気的接続関係を説明する説明図である。図16Cは、操作体が他側の傾倒位置にある場合の操作体と端子との電気的接続関係を説明する説明図である。
図17図17Aは、操作体のスライド操作を検出する場合の動作を説明する説明図である。図17Bは、操作体に対する一側への傾倒操作を検出する場合の動作を説明する説明図である。図17Cは、操作体に対する他側への傾倒操作を検出する場合の動作を説明する説明図である。
図18図18Aは、移動部の内部構成の組付状態を示す斜視図である。図18Bは、図18AのA4-A4線断面図である。図18Cは、図18AのA5-A5線断面図である。
図19図19は、同上の入力装置のラッチ機構を説明する説明図である。
図20図20は、実施形態2の変形例に係る入力装置の操作体を示す分解斜視図である。
図21図21は、同上の入力装置の移動部の内部構成の組付状態を示す斜視図である。
図22図22は、同上の入力装置のラッチ溝を示す斜視図である。
図23図23は、同上の入力装置のラッチ機構を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る入力システムについて、図面を参照して詳細に説明する。以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(実施形態1)
図1図10を参照して、本実施形態に係る入力システム1について説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、入力システム1は、入力装置2と、タッチパネル3と、表示装置4とを有する。
【0015】
入力装置2は、タッチパネルと共に用いられるように構成された入力装置である。入力装置2は、回転操作型の入力装置である。入力装置2は、操作者からの操作として、回転操作S1(第1操作)及びプッシュ操作S2(第2操作)を受け付けることができる。入力装置2は、接着剤又は接合テープなどで、タッチパネル3の前面3aに固定され得る。ただし、入力装置2をタッチパネル3の前面3aに固定する手法は、接着剤や接合テープに限らず、入力装置2をタッチパネル3の前面3aに固定可能な手法であればどのような手法でもよい。
【0016】
表示装置4は、例えば薄型(例えば液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ)の表示装置であって、各種情報を表示可能な表示装置である。表示装置4は、一般的な周知の表示装置を用いることができる。表示装置4は、タッチパネル3の背面に配置されている。
【0017】
タッチパネル3は、表示装置4の表示画面4aに配置され、操作者による表示画面4aへのタッチ位置を検出する装置である。タッチ位置とは、操作者の指などが表示装置4の表示画面4aに接触したときの表示画面4a上の位置である。タッチパネル3は、フィルムセンサ31、カバーパネル32、フレキシブルプリント基板33、駆動回路34、及び検出回路35を備えている。フィルムセンサ31は、操作者による表示画面4aへのタッチ位置を検出する部分である。フィルムセンサ31は、表示装置4の表示画面4aの全体を覆うように表示画面4aに設けられている。カバーパネル32は、フィルムセンサ31の前面を覆う部材であり、透明性部材(例えば樹脂又はガラス)によってシート状に形成されている。駆動回路34は、フィルムセンサ31を駆動するための回路である。検出回路35は、フィルムセンサ31から出力される電気信号に基づいて、表示画面4aに対する操作者の指などのタッチ位置を検出する回路である。フレキシブルプリント基板33は、フィルムセンサ31と駆動回路34及び検出回路35とを電気的に接続するための配線である。
【0018】
なお、本実施形態では、タッチパネル3は、透明性を有する透明タイプであり、表示装置4の表示画面4aに配置され、タッチパネル3を透かして表示画面4aが視認可能であるが、タッチパネル3は、透明性を有さない非透明タイプでもよい。この場合、表示装置4はなくてもよい。
【0019】
この入力システム1では、入力装置2は、タッチパネル3の前面3aの任意の位置に固定される。この固定状態で、入力装置2に回転操作又はプッシュ操作が入力されると、その入力操作が、タッチパネル3のタッチ位置検出機能によって検出される。
【0020】
以下、入力装置2について詳細に説明する。まず、図2A及び図2Bを参照して入力装置2の概要について説明する。
【0021】
入力装置2は、上述の通り、タッチパネル3上に固定されて、回転操作とプッシュ操作をタッチパネル3に検出させる入力装置である。回転操作は、後述の端子T1を入力装置2の中心軸W1周りに回転移動させる操作である。プッシュ操作は、後述のプッシュスイッチの導通/非導通の切り替えを伴う操作である。プッシュ操作は、後述の操作体23を押す操作である。
【0022】
入力装置2は、固定部21と、回転部22とを備えている。固定部21は、タッチパネル3上に固定され、軸となる部分である。回転部22は、固定部21の周りを回転する部材である。回転部22は、操作体23と回転体24とを備えている。
【0023】
回転体24は、回転部22の下半部を構成する。回転体24は、タッチパネル3に対向して配置される。回転体24には、2つ以上(本実施形態では2つ)の端子T1,T2と、プッシュスイッチPS1とが設けられている。なお、本実施形態では、端子T1,T2は1つずつ備えられるが、複数個ずつ備えられてもよい。
【0024】
プッシュスイッチPS1は、回転部22の内部に設けられている。
【0025】
2つの端子T1,T2は、回転体24の底面(すなわちタッチパネル3との対向面)に設けられている。2つの端子T1,T2は、入力装置2がタッチパネル3の前面3aに固定されたとき、タッチパネル3の前面3aに対向する。2つの端子T1,T2は、1つの回転検出用の端子T1と、1つのプッシュ検出用の端子T2で構成されている。回転検出用の端子T1(第1電極)は、操作体23と常時、電気的に接続されている。プッシュ検出用の端子T2(第2電極)は、プッシュスイッチPS1(切替部)を介して操作体23と電気的に接続されている。これにより、プッシュ検出用の端子T2は、操作体23の押し込み時(プッシュ操作時)のみ、プッシュスイッチPS1を介して操作体23に電気的に接続される。なお、本実施形態では、プッシュ検出用の端子T2(第2電極)は、1つであるが、1つ以上であればよい。
【0026】
操作体23は、回転部22の上半部を構成する。操作体23は、操作者からの操作(回転操作及びプッシュ操作)を受け付ける部分である。操作者は、操作体23を摘むことで、操作体23を操作可能である。操作体23の表面は、導体で形成されている。これにより、操作者が操作体23と接触することで、操作者の体を介して操作体23がグランド電位になる。また、操作体23は、操作者の操作によって、操作体23の軸方向に押し込み可能(すなわちプッシュ操作可能)である。これにより、操作体23は、その押し込み時に、回転体24に設けられたプッシュスイッチPS1を押下する。これにより、プッシュスイッチPS1が非導通から導通に切り替えられる。プッシュ操作が解除されてプッシュスイッチPS1が元の状態に復帰すると、プッシュスイッチPS1は導通から非導通に切り替わる。
【0027】
この入力装置2では、回転検出用の端子T1は、操作時(すなわち操作体23の回転操作時及びプッシュ操作時)は常に、操作体23及び操作者の体を介してグランド電位になる。プッシュ検出用の端子T2は、プッシュ操作時のみ、プッシュスイッチPS1、操作体23及び操作者の体を介してグランド電位になる。
【0028】
この入力装置2では、操作体23の回転操作時は、回転検出用の端子T1のみが上記のようにグランド電位となるため、タッチパネル3において、回転検出用の端子T1の位置のみが電気的に変化する。この電気的な変化は、例えば電位の変化である。タッチパネル3は、その電気的変化をタッチ位置検出機能で検出する。この場合、端子軌道領域内で電気的変化が発生する発生箇所は、回転検出用の端子T1の位置の1つである。なお、端子軌道領域とは、操作体23に対する回転操作によって端子T1が移動可能な軌道が占める領域である。このように、端子軌道領域内で電気的変化が発生する発生箇所が1つの場合は、タッチパネル3は、入力装置2に回転操作が入力されたと判定して、上記の電気的変化の発生箇所の位置(回転検出用の端子T1の位置)に基づいて回転操作を検出する。なお、上記の発生箇所は、1つ以上であればよい。
【0029】
操作体23のプッシュ操作時は、プッシュ操作用の端子T2と回転検出用の端子T1の両方が上記のようにグランド電位となるため、両方の端子T1,T2の位置の各々で電気的変化が発生する。タッチパネル3は、それら各電気的変化をタッチ位置検出機能で検出する。この場合、端子軌道領域内の電気的変化の発生箇所は、両方の端子T1,T2の各々の位置の2つである。このように、端子軌道領域内の電気的変化の発生箇所が2つの場合は、タッチパネル3は、入力装置2にプッシュ操作が入力されたと判定し、この判定によってプッシュ操作を検出する。
【0030】
次に図3図7を参照して入力装置2の構成を説明する。
【0031】
入力装置2は、上述の通り、固定部21と回転部22とを備えている。
【0032】
図3に示すように、固定部21は、固定カバー40、ラバーリング41、ボールホルダ42、ボール43、及び固定軸44を備えている。回転部22は、上述した回転体24、操作体23、プッシュスイッチPS1、及び端子T1,T2の他に、プッシュプレート25、操作体連結ばね26、支点ゴム27、端子連結ばね28、及び基板K1,K2を備えている。
【0033】
固定カバー40は、例えば樹脂で形成されている。固定カバー40は、回転部22及びボールホルダ42を固定軸44に保持させる部材である。固定カバー40は、円筒部401、フランジ部50及び外周リブ51を有する。
【0034】
円筒部401は、円筒状である。円筒部401の外周側面には、固定軸44の後述の雌ねじ441sと噛み合う雄ねじ401sが形成されている。このように、固定カバー40は、ねじ構造により固定軸44に固定される。このため、メンテナンス時において、固定軸44から固定カバー40の取り外しが可能である。
【0035】
フランジ部50は、円筒部401の上部から径方向に円環状に突出している。フランジ部50の外周面には、外周リブ51が設けられている。外周リブ51は、フランジ部50の外周側に突出すると共にフランジ部50の周方向全体に形成されている。フランジ部50は、ラバーリング41とボールホルダ42とを固定軸44の後述の外周フランジ部442との間で挟み込んで固定する。外周リブ51は、操作体23の上方向の動きを規制する。外周リブ51は、ブッシュ操作時の操作体23の操作支点となる。
【0036】
操作体23は、例えば樹脂で形成されている。操作体23の表面は、金属メッキが施されている。すなわち、操作体23は導電性を有する。これにより、操作者が操作体23に触れることで、操作体23は、操作者の体を介してグランド電位になる。このようにグランド電位になることで、操作体23は、端子T1,T2を通じてタッチパネル3に、操作体23の操作時の操作体23の電気的変化を伝達する。
【0037】
操作体23は、操作体本体231、内周リブ232(図10B参照)、複数(本実施形態では2つ)の背面リブ233、引掛凹部234(図10B参照)を有する。
【0038】
操作体本体231は、開口部231aを有する平面視円環形を有する。操作体本体231の上面は、操作体23の径方向に沿って上に凸の円弧状である。内周リブ232は、操作体本体231の内周縁に設けられている。内周リブ232は、操作体本体231の内周側に突出すると共に操作体本体231の周方向全体に亘って形成されている。内周リブ232は、固定カバー40の外周リブ51の下面に接触することで、内周リブ232の上方向の動きが規制される。また、内周リブ232は、押し込み時(プッシュ操作時)の傾倒支点となる。2つの背面リブ233は、プッシュプレート25の押点となる。2つの背面リブ233は、操作体本体231の背面から下方に突出する。2つの背面リブ233は、操作体本体231の背面において開口部231aを挟んだ両側に配置されている。引掛凹部234は、操作体本体231の内周面に設けられている(図10B参照)。引掛凹部234は、例えば4つ設けられている。4つの引掛凹部234は、操作体本体231の周方向に並んで配置されている。操作体23は、固定カバー40の円筒部401の外周側に配置される。
【0039】
プッシュプレート25は、例えば金属又は樹脂で形成された円環形の剛体である。プッシュプレート25は、固定カバー40の外周側に配置されると共に操作体23の下側に配置される。プッシュプレート25は、プッシュスイッチPS1及び支点ゴム27と操作体23の背面リブ233との間に揺動可能に保持される。このように保持されることで、プッシュプレート25は、操作体23のどこが押されてもプッシュスイッチPS1を押下することができる。
【0040】
ボールホルダ42は、ボール43を保持する。ボールホルダ42は、例えば樹脂で形成されている。ボールホルダ42は、短尺な円筒状である。ボールホルダ42は、円筒部42cと、2つの貫通孔42aと、突出部42bとを有する。円筒部42cの内周面の下部は、略上部よりも内周側に突出している。2つの貫通孔42aは、円筒部42cの内周面と外周面とを貫通する。2つの貫通孔42aは、円筒部42cの中央孔を挟んだ両側に配置されている。2つの貫通孔42aにはそれぞれ、ボール43が配置されている。突出部42bは、円筒部42cの下面から下方に突出している。突出部42bは、例えば2つ設けられており、円筒部42cの中央孔の両側に配置されている。ボールホルダ42は、後述の回転体24の内周側に配置される。
【0041】
ラバーリング41は、円環形であり、例えばシリコンゴムで形成されている。ラバーリング41は、ボールホルダ42の内周側に配置される。ラバーリング41は、ボールホルダ42の貫通孔42a内のボール43を、ボールホルダ42の内周側から外周側に向かって付勢する。これにより、ラバーリング41は、ボール43に回転クリック感触用の付勢を与える。なお、ラバーリング41は非導体であるため、タッチパネル3への影響は抑制される。
【0042】
ボール43は、例えば樹脂で形成されている。ボール43は、回転体24の後述のクリックカム24gに嵌り、操作体23の回転操作に対して回転クリック感触を発生させる。ボール43は、例えば2つ備えらえており、それぞれボールホルダ42の2つの貫通孔42a内に配置されている。なお、ボール43は非導体であるため、タッチパネル3への影響は抑制される。
【0043】
操作体連結ばね26は、例えば金属で形成されている。操作体連結ばね26は、操作体23と電気的に接触すると共に操作体23を上方(後述の回転体24から離れる方向)に付勢する。この付勢により、操作体23に対するブッシュ操作を安定させることができる。操作体連結ばね26は、4つ備えられている。4つの操作体連結ばね26のうち、2つの操作体連結ばね26Lは、基板K1に実装され、基板K1の両端から後述の回転体24の周方向に延びて上方に立ち上がっている。2つの操作体連結ばね26Rは、別の基板K2に実装され、基板K2の両端から後述の回転体24の周方向に延びて上方に立ち上がっている(図7参照)。各操作体連結ばね26の先端部26aは、常時、操作体23の背面に電気的に接触する。操作体連結ばね26L,26R及び基板K1,K2は、後述の回転体24の凹溝部24b内に収容される。4つの操作体連結ばね26の先端部26aは、回転体24の周方向において等間隔に並んでいることが望ましい。
【0044】
支点ゴム27は、例えば硬質ゴムで形成されている。支点ゴム27は、基板K2の上面に配置されている(図7参照)。支点ゴム27は、回転体24の周方向において、2つの操作体連結ばね26Rの中間位置に配置されている。支点ゴム27は、プッシュプレート25を支持し、プッシュ操作時にプッシュプレート25の揺動支点となる。また、支点ゴム27は、プッシュプレート25に作用する過荷重を逃がす働きをする。
【0045】
プッシュスイッチPS1は、導通/非導通を切り替える切替部である。プッシュスイッチPS1は、クリックばね(クリック部)を有する。クリックばねは、プッシュスイッチPS1の導通/非導通の切替時に同期してその切り替え感触を発生させる。プッシュスイッチPS1は、基板K1の上面に実装されている。プッシュスイッチPS1は、回転体24の周方向において、2つの操作体連結ばね26Lの中間位置に配置されている。プッシュスイッチPS1は、プッシュ操作時は、導通して、操作体連結ばね26Rとプッシュ検出用の端子T2とを電気的に接続し、プッシュ操作解除時は、非導通となって、操作体連結ばね26Rとプッシュ検出用の端子T2とを電気的に絶縁する。プッシュスイッチPS1は、プッシュプレート25を支持し、プッシュ操作時にプッシュプレート25の揺動支点となる。
【0046】
回転体24は、例えば樹脂で形成されている。回転体24は、端子T1,T2、操作体23、プッシュ機構(すなわちプッシュプレート25、操作体連結ばね26、支点ゴム27、基板K1,K2及びプッシュスイッチPS1)が設けられる基材である。回転体24は、平面視円環形である。回転体24は、タッチパネル3に対向配置され、端子T1、T2を保持する保持部材として機能する。なお、後述の通り、回転体24の下面には端子T1,T2が設けられ、端子T1,T2は、回転体24の回転に伴って円軌道上を移動する。このため、回転体24は、端子T1,T2の軌道を含む円環形である。
【0047】
回転体24は、円筒部24i、凹溝部24b、クリックカム24g、凹部24e,24f(図4図5参照)、爪部24hを有する。円筒部24iの内周面の下部は、回転体24の内周側に突出している。円筒部24iの外周面の略下半部は、略上半部よりも外側に突出している。凹溝部24bは、円筒部24iの上面において、円筒部24iの周方向全体に亘って設けられている。凹溝部24bには、上記のプッシュ機構が収容される。クリックカム24gは、円筒部24iの内周面に設けられている。クリックカム24gは、複数のカム溝24d及び複数のカム山24cで構成されている。カム溝24d及びカム山24cは円筒部24iの周方向に交互に並んでいる。カム溝24d及びカム山24cは、円筒部24iの内周面の上端から下端に伸びている。凹部24e,24fは、端子T1,T2を一対一に対応して収容する。凹部24e,24fは、円筒部24iの下面に設けられている。凹部24e,24fは、円筒部24iの底面において、円筒部24iの中央孔を挟む両側に配置されている。爪部24hは、円筒部24iの上端部から円筒部24iの外周側に突出している。爪部24hは、例えば4つ設けられている。4つの爪部24hは、円筒部24iの周方向に並んで配置されている。4つの爪部24hは、操作体23の4つの引掛凹部234に一対一に対応して引っ掛かる。これにより、回転体24を操作体23と一体的に回転させ、かつ操作体23を回転体24に接近及び離反させることができる。
【0048】
端子T1,T2は、例えば金属で形成されている。端子T1,T2は、平面視略矩形である。端子T1は、回転検出用の端子であり、端子T2は、プッシュ検出用の端子である。端子T1,T2は、回転体24の底面の凹部24e,24f内に一対一に対応して収容される。
【0049】
端子T1,T2は、端子本体291と支持片292とを有する。端子本体291は、平面視矩形の板状である。支持片292は、端子本体291の両側の縁部から上方(操作体23側)に突出している。端子T1,T2の支持片292は、端子T1,T2の対応する回転体24の凹部24e,24fの側面の溝24jにおいて、回転体24の回転軸方向に移動可能に挿入される(図5参照)。これにより、端子T1,T2は、凹部24e,24fの底面に対して接近又は離反可能に回転体24に設けられる。端子本体291には、端子連結ばね28の一端が電気的且つ機械的に接続されている(図7参照)。端子本体291は、端子連結ばね28によって、下方(凹部24e,24fの底面から離れる方向)に付勢されている。
【0050】
端子連結ばね28(位置決め部、弾性部)は、例えば金属で形成されている。端子連結ばね28は、端子T1,T2に一対一に対応するように2つ備えられている。端子連結ばね28は、対応する端子T1,T1と電気的に接続されている。以下、2つの端子連結ばね28を区別するときは、端子連結ばね28L,28Rと記載する。
【0051】
端子連結ばね28L,28Rは、渦状である(図7参照)。端子連結ばね28L,28Rの一端は、対応する端子T1,T2に電気的且つ機械的に接続されている。端子連結ばね28L,28Rの他端は、対応する基板K1,K2に電気的且つ機械的に接続されている。端子連結ばね28L,28Rの渦状をなす弾性部は、対応する端子T1,T2と凹部24e,24fの底部との間に配置されている(図4参照)。端子連結ばね28L,28Rの他端は、対応する凹部24e,24fの底部を貫通して、凹溝部24b内の対応する基板K1,K2に接続される。
【0052】
端子連結ばね28L,28Rは、対応する端子T1,T1を回転体24の下面に対向する方向に付勢する。これにより、回転体24がタッチパネル3上に固定されたとき、端子T1,T2がタッチパネル3に押し付けられてタッチパネル3に密着する。この結果、端子T1,T2とタッチパネル3との距離が一定に保たれる。
【0053】
端子T1は、端子連結ばね28R、基板K2上の配線及び操作体連結ばね26Rを介して、操作体23と常時、電気的に接続される。端子T2は、端子連結ばね28L、基板K1上の配線、プッシュスイッチPS1、基板K1上の別の配線及び操作体連結ばね26Lを介して、操作体23と接続される。すなわち、端子T2は、プッシュスイッチPS1の導通時は、操作体23と電気的に接続し、プッシュスイッチPS1の非導通時は、操作体23と絶縁される。
【0054】
固定軸44は、例えば樹脂で形成されている。固定軸44は、タッチパネル3のカバーパネル32に固定され、回転部22の軸となる。固定軸44は、円筒状の円筒部441、外周フランジ部442及び凹部443とを有する。円筒部441の内周面には、雌ねじ441sが形成されている。雌ねじ441sには、固定カバー40の雄ねじ401sがねじ込まれる。雄ねじ401sが雌ねじ441sにねじ込まれることで、固定軸44の円筒部441が固定カバー40の円筒部401の外周に固定される(図4及び図6参照)。外周フランジ部442は、円筒部441の外周面の下端において、円筒部441の外周側に突出すると共に円筒部441の周方向全体に亘って設けられている。凹部443は、外周フランジ部442の上面に設けられている。凹部443は、例えば2つ設けられている。2つの凹部443は、円筒部441の中央孔を挟んだ両側に設けられている。凹部443は、ボールホルダ42の突出部42bが嵌る部分である。突出部42bが凹部443に嵌ることで、ボールホルダ42は、固定軸44の周方向に関して固定軸44に固定される。すなわち、ボールホルダ42は、固定軸44に対して相対的に回転不可能である。
【0055】
次に図4図6図9A及び図9Bを参照して、入力装置2の組立状態について説明する。
【0056】
図4に示すように、入力装置2の組立状態では、固定カバー40の雄ねじ401sが固定軸44の雌ねじ441sにねじ込まれることで、固定カバー40が固定軸44に固定されている。固定軸44の外周には、ボールホルダ42が配置されている。ボールホルダ42の突出部42bが固定軸44の凹部443に嵌ることで、ボールホルダ42が固定軸44に回転不能に取り付けられている。
【0057】
図6に示すように、回転体24がボールホルダ42の周りに回転可能に配置されている。また、操作体23が回転体24の上側において固定カバー40の周りに回転可能に配置されている。回転体24の爪部24hが操作体23の引掛凹部234に引っ掛かることで、操作体23は、回転体24と一体的に回転可能で且つ回転体24の軸方向において回転体24に接近及び離反可能に、回転体24に取り付けられている。操作体23の内周リブ232が固定カバー40の内周リブ232とボールホルダ42との間に配置されることで、操作体23における入力装置2の中心軸W1方向の可動範囲が制限されている。
【0058】
図9A及び図9Bに示すように、回転体24の内周面は、ボールホルダ42の外周面と対向する。ボールホルダ42の貫通孔42a内のボール43は、ボールホルダ42の径方向に摺動可能に収容されている。ボールホルダ42と固定軸44との間には、ラバーリング41が配置されている。ボール43は、ラバーリング41のゴム弾性によって回転体24側に付勢され、回転体24の内周面のクリックカム24gに押し当てられている。これにより、回転体24が回転するときに、ボール43がクリックカム24gのカム山24cを乗り越えるときに発生するトルクがクリック感触を発生させる(図9B参照)。
【0059】
図9Bに示すように、回転体24の内周面(すなわちクリックカム24g)の下部は、ボール43の表面に沿って、回転体24の内周側に傾斜している。このため、ラバーリング41の付勢によってボール43から回転体24の内周面に作用する押圧力は、回転体24を斜め下方向に付勢する成分F1を有する。この付勢によって、回転体24がタッチパネル3の前面3aから浮き上がることが抑制され、また、回転体24の底面がタッチパネル3の前面3aに押し当てられ、埃や異物が端子T1、T2が収納される凹部24e,24fに侵入することを防ぐ。
【0060】
図4及び図6に示すように、回転体24の凹溝部24bの内部には、基板K1,K2を介して、4つの操作体連結ばね26、支点ゴム27及びプッシュスイッチPS1が固定されている。操作体23の背面リブ233と支点ゴム27及びプッシュスイッチPS1との間には、プッシュプレート25が配置されている。換言すれば、背面リブ233は、プッシュプレート25を介して支点ゴム27及びプッシュスイッチPS1に揺動可能に接触している。また、操作体23は、4つの操作体連結ばね26によって上方に付勢されている(図6参照)。これにより、操作体23に対するプッシュ操作を安定して行うことができる。
【0061】
図4図5に示すように、回転体24の底面の2つの凹部24e,24fには、2つの端子T1,T2が一対一に対応して収容されている。端子T1,T2の支持片292は、回転体24の凹部24e,24fの側面の溝24jにおいて、回転体24の回転軸方向に移動可能に挿入される。これにより、回転体24に対して、端子T1,T2の回転軸方向の位置と垂直面(回転体24の底面)上の位置が位置決めされるとともに、凹部24e,24fの底面に対して端子T1,T2を接近又は離反可能に移動させることができる。また、端子T1,T2の移動を可能とするための支持片292と溝24jとの間には、僅かな隙間が確保されており、この隙間は、端子T1,T2を小さく傾けることも可能にしている。端子T1,T2と凹部24e,24fの底面との間には、端子連結ばね28の渦状の弾性部が配置されており、端子T1,T2は、端子連結ばね28によって、下方(凹部24e,24fの底面から離れる方向)に付勢されている。これにより、入力装置2がタッチパネル3の前面3aに固定された状態で、端子T1,T2のフィルムセンサ31に対向する面がタッチパネル3(カバーパネル32)の前面3aに追従して密着するように押し付けられて、端子T1,T2とタッチパネル3のフィルムセンサ31との距離は、介在するカバーパネル32の一様な厚みと略同値となり、一定に保たれる。フィルムセンサ31により安定した検出値を得るためには、本実施形態の端子T1,T2のようにフィルムセンサ31に対向する面は、センサピッチ(駆動電極X1と受信電極Y1の交点の間隔)同等以上の大きさが望ましい。回転検出用の端子T1の位置は、端子T1近傍の複数の検出点(駆動電極X1と受信電極Y1の交点)での検出値から求める。検出値は、端子T1とフィルムセンサ31との間隔に大きく影響を受けるため、端子T1のフィルムセンサ31に対向する面の全面で、フィルムセンサ31との距離を一定とすることは、端子T1の位置検出にかかわる複数の検出点で端子T1とフィルムセンサ31との距離の違いによる検出値の影響を受けることを抑え、これにより、タッチパネル3のタッチ位置の検出精度が向上できる。本実施形態では、端子連結ばね28、端子T1,T2の支持片292、凹部24e,24fの側面溝24jによって、端子T1,T2とタッチパネル3の距離を一定に維持する位置決め部46を構成されている。また、端子連結ばね28によってT1,T2をタッチパネル3に押し付ける向きの弾性力を有する弾性部が構成されている。なお、仮に、端子連結ばね28による弾性付勢がなく端子T1,T2が回転体24の底面と同一面に固定されている場合には、ラバーリング41、ボール43、及び回転体24における傾斜した内周面によって、端子T1,T2とタッチパネル3との間隔を一定に維持する位置決め部が構成される。また、ラバーリング41によって、端子T1,T2をタッチパネル3に押し付ける向きの弾性力を有する弾性部を構成することとなる。
【0062】
この入力装置2では、操作体23に回転操作が入力されると(操作体23が中心軸W1周りに回転操作されると)、回転体24が操作体23と一体的に回転して、端子T1,T2が中心軸W1周りに回転する。また、操作体23を押下すると、プッシュプレート25を介してプッシュスイッチPS1が押下されて導通する。
【0063】
次に図10A及び図10Bを参照して、入力装置2のプッシュ機構を説明する。入力装置2のプッシュ機構は、操作体23、固定カバー40、プッシュプレート25、支点ゴム27、及びプッシュスイッチPS1を含む。このプッシュ機構では、操作体23の内周リブ232が固定カバー40の外周リブ51に接触することで、操作体23の上方向の動きが規制されている(図10A参照)。また、操作体23の2つの背面リブ233がプッシュプレート25と接触することで、操作体23はプッシュプレート25によって支持されている(図10A及び図10B参照)。なお、入力装置2の平面視で、2つの背面リブ233が並ぶ方向は、支点ゴム27及びプッシュスイッチPS1が並ぶ方向と直交している。
【0064】
この状態で、操作体23上の点P1を押圧すると、操作体23は、接触点P2を支点として傾倒して、プッシュプレート25を押し下げる。接触点P2は、押圧点P1と対称方向における内周リブ232と外周リブとの接点である。プッシュプレート25は、プッシュスイッチPS1及び支点ゴム27の2点P5,P6で支持されている。この2点P5,P6の並び方向は、上述の通り、プッシュプレート25における2つの背面リブ233による押点P3,P4の並び方向と直交している。背面リブ233からの押圧によりプッシュプレート25が支点ゴム27を支点として傾倒する。これにより、プッシュスイッチPS1が押下されて非導通から導通に切り替える。
【0065】
このプッシュ機構では、操作体23における周方向のどの位置を押圧しても、プッシュスイッチPS1の押圧感触(押し荷重とストローク)をそのままプッシュスイッチPS1に伝達可能である。ただし、押し荷重は、操作体連結ばね26の操作体23への付勢荷重と、支点ゴム27のがたつき防止用のプリロードとを含む。ストロークは、プッシュプレート25及び操作体23の撓みを含む。
【0066】
次に図8A及び図8Bを参照して、タッチパネル3による操作体23に対する操作の検出方法を説明する。図8A及び図8Bの符号R1は、操作体23に対する回転操作に伴って端子T1が移動する軌道が占める領域(端子軌道領域)である。
【0067】
図8Aに示すように、タッチパネル3のフィルムセンサ31は、複数の受信電極Y1と複数の駆動電極X1とを有する。複数の受信電極Y1及び複数の駆動電極X1は、タッチパネル3の前面3aに直交する方向から見て互いに直交している。タッチパネル3は、駆動回路34によって、複数の駆動電極X1に順番に駆動電流を流し、検出回路35によって、複数の受信電極Y1から出力される電気信号の変化(電気的変化)の有無を検出する。
【0068】
タッチパネル3の前面3aに入力装置2が配置されている。この状態で、入力装置2の端子T1,T2はタッチパネル3の前面3aと対向している。入力装置2の操作体23の表面は、導体で形成されている。このため、操作者が操作体23を摘んで回転操作を行うと、操作体23は、操作者の体を介してグランド電位となる。回転検出用の端子T1は、操作体23と電気的に接続されている。このため、操作体23がグランド電位になると、駆動電極X1における端子T1との対向部分に電気的変化が発生し、その対向部分で交差する受信電極Y1から出力される電気信号に電気的変化が発生する。電流を流した駆動電極X1の位置と、電気的変化が発生した受信電極Y1の位置とから、端子T1の回転位置が検出される。
【0069】
より詳細には、検出回路35は、タッチパネル3の前面3aの端子軌道領域R1内において電気的変化が発生した箇所が1つだけの場合は、操作体23に回転操作が入力されたと判定して、端子T1の回転位置を検出する。なお、本実施形態では、端子T1,T2は、操作体23の回転に伴って円軌道上を移動するため、端子軌道領域R1は、円環形の領域である。
【0070】
図8Bに示すように、操作者が操作体23を押し込んでプッシュ操作すると、回転体24に組み込まれたプッシュスイッチPS1が作動して導通する。これにより、回転検出用の端子T1の他に、プッシュ検出用の端子T2も操作体23に接続されてグランド電位となる。この場合は、端子軌道領域R1内では、回転検出用の端子T1と、プッシュ検出用の端子T2との2カ所で電気的変化が発生する。端子軌道領域R1内における電気的変化の発生箇所の数が複数(この例では2カ所)である場合は、検出回路35は、操作体23にプッシュ操作が入力されたと判定し、この判定によりプッシュ操作の入力を検出する。
【0071】
以上、本実施形態によれば、操作体23に対するプッシュ操作S2(オンオフ操作)の入力に伴って導通/非導通を切り替えるプッシュスイッチPS1を有する。このため、入力装置2をタッチパネル3上に固定させたときに、プッシュスイッチPS1の導通/非導通によって、タッチパネル3に対して、操作体23にプッシュ操作S2が入力されたか否かを検出させることで、タッチパネル3と端子T2との距離に対するフィルムセンサ31の感度ばらつきが、プッシュ操作の入力検出のタイミングに影響することをなくすることができる。この結果、操作体23に対するプッシュ操作(オンオフ操作)の入力を検出する検出精度を向上させることができる。さらに、プッシュスイッチPS1のクリック感触と同期して、タッチパネル3がプッシュ操作の入力を検出することで、利用者はクリック感触でプッシュ操作が入力されたことを確認できる。この結果、利用者は感覚的な操作を行い易くなる。
【0072】
特許文献1に記載された入力装置では、釦がオンに操作されたときに表示パネルにより検出される表示パネルと追加伝達部との間の距離は、センサ感度のばらつきにより変化する。このため、釦を押下操作したときにオンに操作されたことが検出されるタイミングは、ばらつきが大きく、不安定になる場合がある。この結果、表示パネルによって、釦の押下操作(すなわちオン操作)を正確に検出することが難しくなる可能性がある。
【0073】
対して、本実施形態による入力装置2は、前述のように、操作体23に対するプッシュ操作(オンオフ操作)の入力を検出する検出精度を向上させることができる。
【0074】
(実施形態2)
図11図19を参照して、本実施形態に係る入力システム1Bについて説明する。図11図13Bを参照して、入力システム1Bの概要について説明する。図11に示すように、入力システム1Bは、入力装置2B、タッチパネル3及び表示装置4を備えている。
【0075】
入力装置2Bは、スライド操作(図11の矢印S4)及び傾倒操作(図11の矢印S5)を受け付けることが可能な入力装置である。タッチパネル3及び表示装置4は、実施形態1の構成と同じである。この入力システム1Bでは、入力装置2Bは、タッチパネル3の前面3aの任意の位置に固定される。この状態で、入力装置2Bにスライド操作(第1操作)が入力されると、そのスライド操作が、タッチパネル3のタッチ位置検出機能によって検出される。また、入力装置2Bに傾倒操作(第2操作)が入力されると、その傾倒操作が、タッチパネル3のタッチ位置検出機能によって検出される。
【0076】
図12A及ぶ図12Bに示すように、入力装置2Bは、移動部60と、固定部61とを備えている。移動部60は、操作者の操作(スライド操作及び傾倒操作)を受け付ける部材であって、タッチパネル3の前面3aにスライド移動可能に配置される。固定部61は、タッチパネル3の前面3aに固定され、移動部60をスライド移動(直線移動)可能に保持する部材である。
【0077】
図13A及び図13Bに示すように、移動部60は、操作体62と、移動体63とを備えている。
【0078】
操作体62は、操作者からの操作を受け付ける部分であり、操作者が摘む部分である。本実施形態では、操作体62は、傾倒操作及びスライド操作を受け付けることが可能である。スライド操作とは、操作体62を直線的に移動させる操作である。傾倒操作とは、操作体62を、スライド操作方向に平行な軸周りに傾倒させる操作である。傾倒方向は、軸の周りの時計回りと反時計回りの2つ以上の方向を含む。すなわち、傾倒操作は、操作体62を操作する操作方向が2つ以上の方向から選択される操作である。
【0079】
操作体62の表面は、導体で形成されている。すなわち、操作体62は、導電性を有する。操作者が操作体62を摘むことで、操作体62は、操作者の体を介してグランド電位となる。操作体62は、操作体62に対する傾倒操作によって回転軸周りに傾倒可能に移動体63に支持されている。上記の回転軸は、移動体63のスライド移動方向に平行な軸である。なお、上記の傾倒は、上記の回転軸周りの一方側への傾倒とその反対側への傾倒の両方を含む。
【0080】
移動体63は、タッチパネル3の前面3aにスライド移動可能に配置される部材である。移動体63は、上述の通り、操作体62を回転軸周りに傾倒可能に支持する。移動体63は、その裏面に端子T3~T5を有する。端子T3~T5は、入力装置2Bがタッチパネル3の前面3aに配置されたときにタッチパネル3に対向する。
【0081】
端子T3~T5は、スライド検出用の端子T3と、傾倒検出用の端子T4,T5とを含む。スライド検出用の端子T3は、操作体62と常時、電気的に接続されている。傾倒検出用の端子T4,T5は、操作体62が傾倒されたときのみ操作体62に電気的に接続される。より詳細には、本実施形態では、操作体62が一方側に傾倒されたときは、端子T4,T5のうちの端子T5のみが操作体62に電気的に接続される。操作体62が反対側に傾倒されたときは、端子T4,T5の両方が操作体62に電気的に接続される。
【0082】
この入力装置2Bでは、操作体62がスライド操作されると、移動部60が固定部61に案内されてスライド移動する。この移動に伴って、端子T3~T5がタッチパネルの前面3a上をスライド移動する。端子T3は、操作体62の操作中は常時、操作者の体を介してグランド電位になる。また、操作体62が傾倒操作されると、操作体62が移動体63に対して傾倒する。この傾倒状態では、操作体62の傾倒方向に応じて、端子T4,T5の両方又は一方が操作体62及び操作者の体を介してグランド電位になる。
【0083】
この入力システム1Bでは、入力装置2がタッチパネル3の前面3aの任意の位置に固定される(図11参照)。この固定状態で、入力装置2にスライド操作又は傾倒操作が入力されると、その入力操作がタッチパネル3のタッチ位置検出機能によって検出される。
【0084】
より詳細には、操作体62のスライド操作時は、3つの端子T3~T5のうちスライド検出用の端子T3のみが上記のようにグランド電位となる。この場合は、端子T3の位置の電気的変化がタッチパネル3のタッチ位置検出機能で検出されることで、操作体62に対するスライド操作が検出される。
【0085】
また、操作体62の傾倒操作時は、スライド検出用の端子T3の他に、傾倒検出用の端子T4,T5の少なくとも一方がグランド電位になる。この場合は、電気的変化の発生箇所の面積の大きさが端子複数分となり、その事がタッチパネル3のタッチ位置検出機能で検出される。このように、電気的変化の発生箇所の面積が端子複数分である場合は、タッチパネル3は、入力装置2Bに傾倒操作が入力されたと判定し、電気的変化の発生箇所の面積の大きさに応じて、操作体62に、どちら側への傾倒操作が入力されたかを検出する。
【0086】
次に図12A図12B及び図14を参照して、固定部61について説明する。
【0087】
図12A及び図12Bに示すように、固定部61は、固定部本体67、スライドガイド64、開口部65、及びラッチ溝66を備えている。
【0088】
固定部本体67は、例えば断面略D字形で一方向(例えば移動部60のスライド移動方向)に長いブロック体である。固定部本体67は、例えば樹脂で形成されている。
【0089】
スライドガイド64は、移動部60のスライド移動を案内するガイドとなる凹溝部である。スライドガイド64は、固定部本体67の底面67aに凹状に形成されている。スライドガイド64は、例えば、固定部本体67の底面67aの中央において、固定部本体67の長手方向に沿って長くなるように設けられている。スライドガイド64の断面(スライドガイド64の長手方向に直交する断面)は、略U字形である。
【0090】
開口部65は、移動部60の操作体62が突出するための開口部である。開口部65は、固定部本体67の上面67b(底面67aと反対側の面)に設けられている。開口部65は、例えば、上面67bにおける長手方向の中央に設けられている。開口部65は、スライドガイド64の内部空間と繋がっている。
【0091】
ラッチ溝66は、移動部60の後述のラッチばね76が押し当てられる部分である。ラッチばね76がラッチ溝66に押し当てられることで、移動部60がスライドガイド64内の定位置に止められて、移動部60がその定位置に保持される。
【0092】
次に図15を参照して、移動部60について詳しく説明する。
【0093】
移動部60は、操作体62と、移動体63とを備えている。
【0094】
操作体62は、操作者が摘む部分であって、後述の端子T3~T5の刷子79と接触して、操作体62の操作時の操作体62の電気的変化をタッチパネル3に伝達するための部材である。操作体62は、例えば樹脂で形成されている。操作体62の表面は、金属メッキが施されている。すなわち、操作体62は、導電性を有する。これにより、操作者が操作体62に触れることで、操作体62は、操作者の体を介してグランド電位となる。
【0095】
操作体62は、基部621、操作体本体622及び一対の回転軸部623a,623bを有する。
【0096】
基部621は、例えば断面略円形の柱体である。操作体本体622は、平板状であり、基部621の上端から上方向に突出している。一対の回転軸部623a,623bは、操作体62を傾倒させるときの回転軸部であり、基部621の両端面621a,621bから基部621の回転軸方向に沿って突出している。回転軸部623a,623bは、移動部60のスライド移動方向に平行である。以下、2つの回転軸部623a,623bを区別しない場合は、回転軸部623と記載する。
【0097】
基部621の一方の端面621aには、2つのリブr1,r2が設けられている(図16A参照)。2つのリブr1,r2は、一方の端面621aにおいて回転軸部623aの径方向に沿って端面621aの中心から縁に向かって延びている。2つのリブr1,r2は、一方の端面621aにおいて、一方の端面621aの左右両側の半領域のうちの一方の半領域に互いに間隔を空けて設けられている。基部621の他方の端面621bにも、2つのリブr3,r4が回転軸部623bの径方向に沿って端面621bの中心から縁に向かって延びている。2つのリブr3,r4は、一方の端面621bの左右両側の半領域に1つずつ設けられている。
【0098】
移動体63は、移動体カバー70、樹脂キャップ71,72、復帰ばね73、移動体ベース74、傾倒ばね75、ラッチばね76、及び端子T3~T5を備えている。移動体ベース74は、タッチパネル3に対向配置され、端子T3~T5を保持する保持部材である。
【0099】
移動体カバー70は、移動部60の構成要素(操作体62,樹脂キャップ71,72、復帰ばね73、移動体ベース74、傾倒ばね75、ラッチばね76、及び端子T3~T5)を収容する外郭である。移動体カバー70は、例えば樹脂で形成されている。移動体カバー70は、例えば断面略D字形で一方向に長い箱状であり、下面が開放している。移動体カバー70の両側の側面70s及び上面70tは、移動部60のスライド移動時にスライドガイド64の両側の内側面64s及び天井面64tに接する摺動面となる。
【0100】
移動体カバー70は、開口部70a及び切欠部70cを有する。
【0101】
開口部70aは、操作体62を外部に突出させるための開口部である。開口部70aは、例えば矩形状である。開口部70aは、移動体カバー70の上面70tにおける長手方向の中央に設けられている。開口部70aは、移動体カバー70の内部空間と繋がっている。切欠部70cは、ラッチばね76を外部に突出させるための切欠部である。切欠部70cは、移動体カバー70の両側の側面70sのうちの一方の側面に設けられている。切欠部70cは、移動体カバー70の内部空間と繋がっている。
【0102】
樹脂キャップ72は、操作体62の回転軸部623bに装着されて、端子T4の後述の刷子79との接触部に不導通箇所を作るための部材である。また、樹脂キャップ72は、復帰ばね73の両腕部73aと引っ掛かることで、復帰ばね73の動きを規制する部材である。樹脂キャップ72は、筒部721、第1壁部722及び第2壁部723を有する。筒部721は、回転軸部623bが貫通する中心孔721aを有する。第2壁部723は、筒部721の一方の周端面の周縁において、周方向の一定範囲に設けられると共に筒部721の中心軸方向に沿って突出している。第2壁部723の両側の端面723aは、復帰ばね73の腕部73aが引っ掛かる引掛部として機能する。以後、端面723aを引掛部723aとも記載する。第1壁部722は、筒部721の他方の周端面の周縁において、周方向の一定範囲に設けられると共に筒部721の中心軸方向に沿って突出している。
【0103】
樹脂キャップ72が回転軸部623bに装着された状態では、樹脂キャップ72の第1壁部722の先端面が操作体62の端面621bに接触する。また、第1壁部722が2つのリブr3,r4の間に配置される。回転軸部623bの先端部が樹脂キャップ72から突出する。
【0104】
樹脂キャップ71は、操作体62の回転軸部623aに装着されて、端子T5の後述の刷子79との接触部に不導通箇所を作るための部材である。樹脂キャップ71は、筒状である。樹脂キャップ71は、中心孔71a、2つの溝部71b,71c、及びクリック溝71e(図18B参照)を有する。中心孔71aは、回転軸部623aが貫通する孔である。2つの溝部71b,71cは、操作体62の2つのリブr1,r2が嵌る溝部である。2つの溝部71b,71cは、樹脂キャップ71の端面71dの周縁に設けられており、樹脂キャップ71の径方向に延びている。クリック溝71eは、傾倒ばね75が押し当てられることで、操作体62の傾倒時のクリック感触を発生させる。クリック溝71eは、樹脂キャップ71の表面において周方向に沿って複数設けられている(図18B参照)。
【0105】
樹脂キャップ71が回転軸部623aに装着された状態では、樹脂キャップ71の端面71dが操作体62の端面621aに接触する。溝部71b,71cにリブr1,r2が一対一に対応して嵌る。回転軸部623aの先端部が樹脂キャップ71から突出する。
【0106】
復帰ばね73は、操作体62を傾倒位置から傾倒中央位置に復帰させる。傾倒位置とは、操作体62が回転軸部623周りに傾倒した位置であり、傾倒中央位置とは、操作体62が回転軸部623周りに傾倒していない位置である。復帰ばね73は、回転軸部623bに樹脂キャップ72が装着された状態で、回転軸部623bの先端部の外周に取り付けられる。この状態で、復帰ばね73の両腕部73aは、樹脂キャップ72の両側の引掛部723aに引っ掛かる。
【0107】
移動体ベース74は、移動体63、樹脂キャップ71,72、復帰ばね73、傾倒ばね75、ラッチばね76、端子T3~T5を保持する基材であり、例えば樹脂で形成されている。
【0108】
移動体べース74は、基部741、一対の支持部742、一対の引掛部743及び複数(例えば5つ)の爪部745を有する。
【0109】
基部741は、例えば略矩形の平板状である。一対の支持部742は、操作体62の一対の回転軸部623を回転可能に支持する。一対の支持部742は、基部741の上面から立ち上がるように設けられている。一対の支持部742は、基部741の長手方向に沿って並んでいる。すなわち、一対の支持部742は、一対の回転軸部623が移動部60のスライド移動方向に沿うように、一対の回転軸部623を支持する。一対の引掛部743は、復帰ばね73の両腕部73aが引っ掛かる部分である。両腕部73aが一対の引掛部743に一対一に引っ掛かることで、復帰ばね73の回転軸部623b周りの回転を規制する。一対の引掛部743は、基部741の上面において、一方の支持部742の付近に設けられている。複数の爪部745は、移動体カバー70に引っ掛かる部分である。複数の爪部745は、基部741の上面の周縁において、基部741の上面から立ち上がるように設けられている。
【0110】
傾倒ばね75(クリック部)は、樹脂キャップ71のクリック溝71e(図18B参照)に押し当てられる部分である。傾倒ばね75は、突部75aを有する板ばねである。突部75aがクリック溝71eに押し当てられる。操作体62の傾倒操作時に突部75aがクリック溝71e間を跨ぐことで、操作体62の傾倒操作時に同期してクリック感触が発生する。傾倒ばね75は、基部741の貫通孔741a内に配置されている。貫通孔741aは、基部741の厚さ方向に貫通している。傾倒ばね75は、貫通孔741aの内周面から貫通孔741a内に突出するように、基部741に設けられている。傾倒ばね76は、例えば基部741にインサート成型で設けられる。
【0111】
ラッチばね76は、固定部61のラッチ溝66に押し当てられる部分である。ラッチばね76は、突部76aを有する板ばねである。突部76aが固定部61のラッチ溝66に押し当てられる。ラッチばね76は、基部741の上面において、突部76aが基部741の外周側に向くように固定されている(図18A参照)。
【0112】
端子T3~T5は、操作体62の操作時に電気的変化を発生することで、操作体62が操作されたことをタッチパネル3に伝達するための部材である。端子T3(第1電極)は、スライド操作検出用の端子であり、常時、操作体62と電気的に接続される。端子T4,T5(第2電極)は、傾倒操作検出用の端子であり、操作体62の傾倒状態によって操作体62との導通/非導通が切り替わる。
【0113】
端子T3~T5は、端子本体78と刷子79とを有する。端子本体78は、略矩形の平板状である。刷子79は、操作体62に電気的に接触する部分であり、端子本体78の縁から端子本体78の上方向に立ち上がっている。
【0114】
端子T3~T5は、図16Aに示すように、移動体ベース74の下面において、例えばインサート成型によって設けられている。端子T3~T5の端子本体78の下面は、移動体ベース74の下面から露出している。端子T3~T5の刷子79は、移動体ベース74の側面に沿って移動体ベース74の上面から上方に突出している。刷子79の先端部は、操作体62に接触可能である。
【0115】
端子T3~T5は、端子T4、端子T3及び端子T5の順で、移動体ベース74の長手方向に沿って並んでいる。端子T3の刷子79の先端部は、操作体62の傾倒によらず常に、操作体62に電気的に接触している。端子T4の刷子79の先端部は、操作体62の傾倒に応じて、操作体62のリブr3及び樹脂キャップ72に選択的に電気的に接触する。端子T5の刷子79の先端部は、操作体62の傾倒に応じて、操作体62のリブr1、リブr2及び樹脂キャップ71に選択的に電気的に接触する。
【0116】
図18A図18C図13A及び図13Bを参照して、移動体63の構成要素(操作体62、樹脂キャップ71,72、復帰ばね73、移動体ベース74、傾倒ばね75、ラッチばね76)の組付状態を説明する。
【0117】
図18Aに示すように、移動体ベース74には、操作体62、樹脂キャップ71,72、復帰ばね73、傾倒ばね75、ラッチばね76が設けられている。より詳細には、2つの樹脂キャップ71,72は、操作体62の一対の回転軸部622a,623bに一対一で装着されている。この状態で、操作体62の一対の回転軸部623a,623bの先端部は、移動体ベース74の一対の支持部742に回転可能に支持されている。ラッチばね76は、その突部76aが移動体ベース74の外周側に向くように、移動体ベース74の上面に設けられている。
【0118】
図18Bに示すように、傾倒ばね75は、移動体ベース74の貫通孔74aの側面から貫通孔74aの内部に突出している。傾倒ばね75の突部75aは、樹脂キャップ71のクリック溝71eに押し当てられている。これにより、操作体62が回転軸部623a周りに(すなわち矢印S5方向に)傾倒されたときに、突部75aがクリック溝71e間の山を乗り越えることで、操作体62の傾倒操作時にクリック感触が発生する。
【0119】
図18Cに示すように、復帰ばね73は、回転軸部623bの外周に装着されている。復帰ばね73の両腕部73aは、樹脂キャップ71の両側の引掛部723aに一対一で引っ掛かると共に移動体ベース74の一対の引掛部743に一対一で引っ掛かっている。これにより、傾倒操作によって操作体62が回転軸部623b周りに(すなわち矢印S5方向に)傾倒中立位置から傾倒位置まで傾倒されたとき、この傾倒に伴って樹脂キャップ72の第2壁部723が回転軸部623b周りに回転する。この回転によって、復帰ばね73がその弾性圧縮方向に巻き上げられる。そして、傾倒操作が解除されると、復帰ばね73の弾性反発力によって、第2壁部723が元の位置も戻される。これにより、操作体62が傾倒位置から傾倒中立位置に戻される。
【0120】
図13Bに示すように、上記のように各構成要素が設けられた移動体ベース74は、移動体カバー70の開口下面から移動体カバー70の内部に収容される。この状態で、移動体ベース74の複数の爪部745(図18A参照)が移動体カバー70の内面に引っ掛かることで、移動体ベース74が移動体カバー70の内部に組み付けられる。この状態では、操作体62が移動体カバー70の開口部70aから外部に突出する(図13A参照)。また、ラッチばね76が移動体カバー70の切欠部70cから外部に突出する(図13A参照)。また、移動体ベース74の下面が外部に露出することで、端子T3~T5が外部に露出する(図13B)。
【0121】
図19を参照して、入力装置2Bのラッチ機構について説明する。この入力装置2Bでは、操作体62のスライド操作時、上記のラッチ機構によって、操作体62が固定部61の開口部65内において操作体62のスライド移動方向の3つの定位置SP1~SP3(図12参照)で保持され得る。上記のラッチ機構は、移動部60のラッチばね76と固定部61の3つのラッチ溝66とで構成されている。3つのラッチ溝66を区別するときは、ラッチ溝66A,66B,66Cと記載する。移動部60は、固定部61のスライドガイド64内に収容されている。移動部60は、操作体62のスライド操作によって、スライドガイド64に沿って移動する。操作体62が固定部61の開口部65の中央位置SP2(図12参照)に位置するときは、移動部60のラッチばね76の突部76aが固定部61の3つのラッチ溝66A~66Cのうちのまん中のラッチ溝66Bに嵌る。これにより、操作体62が開口部65の中央位置SP2に保持される。また、操作体62が開口部65の一端位置SP1まで移動されると、移動部60のラッチばね76の突部76aがラッチ溝66Aに嵌る。これにより、操作体62が開口部65の一端位置SP1に保持される。また、操作体62が開口部65の他端位置SP3まで移動されると、移動部60のラッチばね76の突部76aがラッチ溝66Cに嵌る。これにより、操作体62が開口部65の他端位置SP3に保持される。
【0122】
次に図16A図16Cを参照して、端子T3~T5と移動体63との電気的接触について詳しく説明する。なお、図16A図16Cにおいて、端子T3~T5の刷子79のうち、操作体62と電気的に接触している刷子の先端部は、一点鎖線の丸で囲まれている。
【0123】
図16Aに示すように、操作体62が傾倒中立位置にある場合は、端子T3の刷子79は操作体62と電気的に接触(すなわと導通)し、端子T5の刷子79は樹脂キャップ71に接触して操作体62と絶縁し(すなわち非導通となり)、端子T4の刷子79は樹脂キャップ72に接触して操作体62と絶縁する(すなわち非導通となる)。すなわち、端子T3~T5のうち、端子T3のみが操作体62と電気的に接触(すなわち導通)する。
【0124】
図16Bの矢印Q1に示すように、操作体62が傾倒中立位置から一側の傾倒位置に傾倒された場合は、端子T3の刷子79は操作体62と電気的に接触し、端子T5の刷子79はリブr2と接触することで操作体62と電気的に接触し、端子T4の刷子79は樹脂キャップ72に接触して操作体62と絶縁する。すなわち、端子T3~T5のうち、端子T3,T5が操作体62と電気的に接触する。
【0125】
図16Cの矢印Q2に示すように、操作体62が傾倒中立位置から他側の傾倒位置に傾倒された場合は、端子T3の刷子79は操作体62と電気的に接触し、端子T5の刷子79はリブr1と接触することで操作体62と電気的に接触し、端子T4の刷子79はリブr3と接触することで操作体62と電気的に接触する。すなわち、端子T3~T5の全てが操作体62と電気的に接触する。
【0126】
本実施形態では、端子T4の刷子79、操作体62のリブr3及び樹脂キャップ72は、操作体62と端子T4との導通/非導通を切り替える切替部90を構成している。また、端子T5の刷子79、操作体62のリブr1,r2及び樹脂キャップ71は、操作体62と端子T4との導通/非導通を切り替える切替部91を構成している。
【0127】
次に図17A図17Cを参照して、タッチパネル3による操作体62に対する操作の検出方法を説明する。なお、図17A図17Cでは、3つの端子T3~T4のうち、グランド電位になっている端子は、一点鎖線の四角で囲まれている。図17A図17Cの符号R1は、操作体62のスライド操作に伴って端子T3が移動する軌道を占める領域(端子軌道領域)である。端子T3以外の端子T4,T5は、端子T3の端子移動軌跡領域上に配置するように、移動体ベース74に設けられている。
【0128】
図17Aに示すように、タッチパネル3のフィルムセンサ31は、複数の受信電極Y1と複数の駆動電極X1とを有する。複数の受信電極Y1及び複数の駆動電極X1は、タッチパネル3の前面3aに直交する方向から見て互いに直交している。タッチパネル3の前面3aに入力装置2Bが配置されている。この状態で、入力装置2Bの端子T3~T5はタッチパネル3の前面3aと対向している。
【0129】
操作体62が傾倒中立位置にある場合は、3つの端子T3~T5のうち端子T3の刷子79のみが操作体62に電気的に接触している(図16A参照)。このため、この場合は、図17Aに示すように、操作者が操作体62を摘むことで、端子T3のみがグランド電位になる。これにより、駆動電極X1における端子T3との対向部分に電気的変化が発生し、その対向部分で交差する受信電極Y1から出力される電気信号に電気的変化が発生する。電流を流した駆動電極X1の位置と、電気的変化が発生した受信電極Y1の位置とから、電気的変化が発生した端子T3の位置が検出される。この場合、端子軌道領域R1内で電気的変化する領域は、端子T1の1つであるため、タッチパネル3の検出回路35は、操作体62にスライド操作が入力されたと判定し、その端子T1の位置から、操作体62のスライド操作を検出する。
【0130】
操作体62が一側(図16Bの矢印Q1側)に傾倒された場合は、3つの端子T3~T5のうち端子T3,T5の刷子79が、操作体62に電気的に接触する(図16B参照)。このため、この場合は、図17Bに示すように、操作者が操作体62を摘むことで、端子T3,T5がグランド電位になる。これにより、駆動電極X1における端子T3,T5との対向部分に電気的変化が発生し、その対向部分で交差する受信電極Y1から出力される電気信号に電気的変化が発生する。電流を流した駆動電極X1の位置と、電気的変化が発生した受信電極Y1の位置とから、電気的変化が発生した端子T3,T5の位置が検出される。すなわち、端子軌道領域R1内で発生した電気的変化が発生した領域の大きさは、端子2個分である。この場合、タッチパネル3の検出回路35は、操作体62に矢印Q1側への傾倒操作が入力されたと判定する。
【0131】
操作体62が他側(図16Cの矢印Q2側)に傾倒された場合は、3つの端子T3~T5全ての刷子79が、操作体62に電気的に接触する(図16C参照)。このため、この場合は、図17Cに示すように、操作者が操作体62を摘むことで、端子T3~T5全てがグランド電位になる。これにより、駆動電極X1における端子T3~T5との対向部分に電気的変化が発生し、その対向部分で交差する受信電極Y1から出力される電気信号に電気的変化が発生する。電流を流した駆動電極X1の位置と、電気的変化が発生した受信電極Y1の位置とから、電気的変化が発生した端子T3~T5の位置が検出される。すなわち、端子軌道領域R1内で発生した電気的変化が発生した領域の大きさは、端子3個分である。この場合、タッチパネル3の検出回路35は、操作体62に矢印Q2側への傾倒操作が入力されたと判定する。
【0132】
以上、本実施形態によれば、操作体62に対する傾倒操作S5(オンオフ操作)の入力に伴って導通/非導通を切り替える切替部90,91を有する。このため、入力装置2Bをタッチパネル3上に固定させたときに、切替部90,91の導通/非導通によって、タッチパネル3に対して、操作体62に傾倒操作S5が入力されたか否かを検出させることで、タッチパネル3と端子T4,T6との距離に対するフィルムセンサ31の感度ばらつきが、傾倒操作の入力の検出のタイミングに影響することをなくすことができる。この結果、操作体62に対する傾倒操作(オンオフ操作)の入力を検出する検出精度を向上させることができる。さらに、傾倒ばね75(クリック部)と、樹脂キャップ71のクリック溝71eによるクリック感触と同期して、タッチパネル3がプッシュ操作の入力を検出することで、利用者はクリック感触で傾倒操作が入力されたことを確認できる。この結果、利用者は感覚的な操作を行い易くなる。
【0133】
(変形例)
実施形態2の変形例として、操作体62の操作者が摘まむ操作体本体622が導電性を有しない例を図20図23を参照して説明する。なお、実施形態2に係る入力システム1Bと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。意匠上の理由で、操作体本体622が金属メッキを施さない場合、図20に示すように、基部621の孔624に別体の操作体本体622を嵌合し接着して操作体62を構成する。基部621と回転軸部623a,623bは、表面に金属メッキを施された樹脂で構成されており、導電性を有しているが、操作体本体622は、金属メッキが施されていない樹脂(絶縁体)で構成されており、導電性を有していない。操作者が操作体本体622を触れても、操作体本体622は絶縁体であるため、基部621が操作者の体と操作体本体622とを通じてグランド電位となることはない。
【0134】
さらに、本変形例では、図21に示すように、ラッチバネ76は、端部に操作体62の基部621と接触する接触点76bを有する。接触点76bが常に弾性付勢をもって基部621に接触することで、金属製板バネのラッチばね76は、常に操作体62の基部621と電気導通している。
【0135】
また、図22に示すように、本変形例によるラッチ溝66は、板金部品であるラッチ溝板68に曲げ加工で3つの溝部66A、66B、66Cを形成することで構成されている。ラッチ溝板68には、リード線69が電気接続されている。図23に示すように、ラッチ溝板68は、固定部61のスライドガイド64における長手方向に平行な側面に沿ってねじ止め固定されている。移動部60のラッチバネ76の突部76aがラッチ溝66A~66Cに嵌ることで、移動部60がスライド移動における定位置に保持されるとともに、ラッチバネ76の弾性付勢力によって、ラッチバネ76とラッチ溝板68は、常時、電気接続している。リード線69は、制御回路を介してフレームグランドと接続している。制御回路は、例えば外部の制御回路(例えばタッチパネル3を制御する制御回路)であってもよい。フレームグランドのフレームは、タッチパネル3が金属の枠又はケースを有する場合はその金属の枠又はケースであってもよい。制御回路は、リード線69とフレームグランド間の導通/非導通を選択的に行う。リード線69とフレームグランド間を導通させると、リード線69、ラッチ溝板68及びラッチバネ76を介して操作体62の基部621はグランド電位となる。
【0136】
上記のような構成を採用する実施形態2の変形例に係る入力システム1Bにおいても、操作者が操作体本体622に触れることで操作体62をグランド電位にする代わりに、ラッチバネ76、ラッチ溝板68、リード線69及び制御回路を介してフレームグランドに接続し、制御回路がリード線69とフレームグランドを導通させることで、操作体62をグランド電位とする点を除き、原理上、実施形態2に係る入力システムと同様に動作する。
【0137】
実施形態1,2は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記変更例以外にも実施形態1,2は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。さらに、実施形態1,2に係る態様は、単体の入力システム1,1Bで具現化されることに限らない。例えば、操作検出方法、コンピュータプログラム(プログラム)、又はプログラムを記憶した非一時的記憶媒体等で、実施形態1,2に係る態様が具現化されてもよい。実施形態1,2は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0138】
上記の操作検出方法は、実施形態1,2に記載の入力装置とタッチパネルとを準備する。前記操作検出方法は、前記タッチパネル上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の位置によって前記第1操作を検出する。前記操作検出方法は、前記タッチパネル上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の数又は大きさによって前記第2操作を検出する。
【0139】
上記のコンピュータプログラム(プログラム)は、1つ以上のプロセッサに、上記の操作検出方法を実行させるためのプログラムである。
【0140】
上記の非一時的記憶媒体は、上記の操作検出方法を上記の1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムを記録した非一時的記録媒体である。
【0141】
(まとめ)
第1の態様の入力装置(2;2B)は、タッチパネル(3)と共に用いられる入力装置である。入力装置(2;2B)は、操作体(23;62)と、第1電極(T1;T3)と、第2電極(T2;T4,T5)と、切替部(PS1;90,91)と、を備えている。操作体(23;62)は、導電性を有する。第1電極(T1;T3)は、操作体(23;62)に電気的に接続される。第2電極(T2;T4,T5)は、第1電極(T1;T3)とは別の1つ以上の電極である。切替部(PS1;90,91)は、第2電極(T2;T4,T5)と操作体(23;62)との導通/非導通を切り替える。第1電極(T1;T3)及び1つ以上の第2電極(T2;T4,T5)は、タッチパネル(3)に対向するように配置可能である。操作体(23;62)は、第1操作(S1;S4)と、第2操作(S2;S5)とを受け付ける。第1操作(S1;S4)は、タッチパネル(3)上の軌道上での第1電極(T1;T3)の移動を伴う。第2操作(S2;S5)は、切替部(PS1;90,91)の導通/非導通の切り替えを伴う。
【0142】
この構成によれば、操作体(23;62)に対する第2操作(S2;S5)の入力に伴って導通/非導通を切り替える切替部(PS1;90,91)を有する。このため、タッチパネル(3)と第2電極(T2;T4,T5)の距離に対するフィルムセンサ(31)の感度ばらつきが、第2操作(S2;S5)の入力検出のタイミングに影響することをなくすことができる。これにより、タッチパネル(3)に対して、操作体(23;62)に第2操作(S2;S5)が入力されたか否かを正確に検出させることができる。この結果、操作体(23;62)に対する第2操作(オンオフ操作)の入力を検出する検出精度を向上させることができる。
【0143】
第2の態様の入力装置(2;2B)では、第1の態様において、1つ以上の第2電極(T2;T4,T5)は、前記軌道上に配置されている。
【0144】
この構成によれば、第2電極(T2;T4,T5)が第1電極(T1;T3)の軌道上に配置されるため、タッチパネル(3)への入力装置(2;2B)の投影面積をより小さくできる。この結果、タッチパネル(3)の画面において入力装置(2;2B)が遮る領域を低減できる。
【0145】
第3の態様の入力装置(2B)では、第1又は第2の態様において、1つ以上の第2電極(T4,T5)は、複数の第2電極を含む。
【0146】
この構成によれば、第2電極(T4,T5)の数に応じて、操作体(62)で受付可能な操作の種類の数を増やすことができる。
【0147】
第4の態様の入力装置(2)は、第1~第3の態様の何れか1つの態様において、タッチパネル(3)と第1電極(T1)と1つ以上の第2電極(T2)との距離を一定に維持する位置決め部(46)を更に備える。
【0148】
この構成によれば、タッチパネル(3)と第1電極(T1)及び第2電極(T2)との間の静電容量を安定させることができる。この結果、タッチパネル(3)のタッチ位置検出精度を向上できる。
【0149】
第5の態様の入力装置(2)では、第4の態様において、位置決め部(46)は、第1電極(T1)と1つ以上の第2電極(T2)とをタッチパネル(3)に押し付ける向きの弾性力を有する弾性部(28)を含む。
【0150】
この構成によれば、簡単な構成で、タッチパネル(3)と第1電極(T1;T3)及び第2電極(T2;T4,T5)との距離を一定に維持できる。
【0151】
第6の態様の入力装置(2)では、第1~第5の態様の何れか1つの態様において、第1操作(S1)は、第1電極(T1)の回転移動を伴う操作である。
【0152】
この構成によれば、操作体(23)で回転操作を受け付けることができる。
【0153】
第7の態様の入力装置(2;2B)は、第6の態様において、保持部材(24;74)を更に備える。保持部材(24;74)は、タッチパネル(3)に対向配置され、第1電極(T1;T3)及び第2電極(T2;T4,T5)を保持する。保持部材(24;74)は、前記軌道を含む円環形を有する。
【0154】
この構成によれば、タッチパネル(3)に対する入力装置(2;2B)の投影面積をより小さくできる。
【0155】
第8の態様の入力装置(2B)では、第1~第5の態様の何れか1つの態様において、第1操作(S4)は、第1電極(T3)の直進移動を伴う操作である。
【0156】
この構成によれば、操作体(62)によって、直進移動を伴う操作(S4)を受け付けることができる。
【0157】
第9の態様の入力装置(2)では、第1~第8の態様の何れか1つの態様において、第2操作(S2)は、操作体(23)を押す操作である。
【0158】
この構成によれば、操作体(23)でプッシュ操作を受け付けることができる。
【0159】
第10の態様の入力装置(2B)では、第1~第8の態様の何れか1つの態様において、第2操作(S5)は、操作体(62)を操作する操作方向が2つ以上の方向から選択される操作である。
【0160】
この構成によれば、操作体(62)によって、操作体(62)を操作する操作方向が2つ以上の方向から選択される操作を受け付けることができる。
【0161】
第11の態様の入力装置(2;2B)は、第1~第10の態様の何れか1つの態様において、クリック部(PS1;75)を更に備える。クリック部(PS1;75)は、切替部(PS1;90,91)の導通/非導通の切り替えに同期してクリック感触を発生する。
【0162】
この構成によれば、利用者はクリック感触で切替部(PS1;90,91)の導通/非導通の切り替わりを確認できる。この結果、利用者は感覚的な操作を行う易くなる。
【0163】
第12の態様の入力システム(1;1B)は、第1~第11の態様の何れか1つの態様の入力装置(2;2B)と、タッチパネル(3)と、を備える。
【0164】
この構成によれば、入力装置(2;2B)の上記の効果を奏する入力システム(1;1B)を提供できる。
【0165】
第13の態様の操作検出方法は、第1~第11の態様の何れか1つの態様の入力装置(2;2B)とタッチパネル(3)とを準備することを含む。操作検出方法は、タッチパネル(3)上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の位置によって第1操作(S1;S4)を検出することを含む。操作検出方法は、タッチパネル(3)上で電気的変化が発生する1つ以上の発生箇所の数又は大きさによって第2操作(S2;S5)を検出することを含む。
【0166】
この構成によれば、入力装置(2;2B)の上記の効果を奏する操作検出方法を提供できる。
【0167】
第14の態様のプログラムは、第13の態様の操作検出方法を1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムである。
【0168】
この構成によれば、上記の操作検出方法をプロセッサに実行させるためのプログラムを提供できる。
【0169】
第15の態様の非一時的記録媒体は、第13の態様の操作検出方法を前記1つ以上のプロセッサに実行させるプログラムを記録した非一時的記録媒体である。
【符号の説明】
【0170】
1,1B 入力システム
2,2B 入力装置
3 タッチパネル
23,62 操作体
28 端子連結ばね(位置決め部)
41 ラバーリング
46 位置決め部
75 傾倒ばね(クリック部)
90,91 切替部
PS1 プッシュスイッチ(切替部、クリック部)
S1 回転操作(第1操作)
S2 プッシュ操作(第2操作)
S4 スライド操作(第1操作)
S5 傾倒操作(第2操作)
T1,T3 端子(第1電極)
T2,T4,T5 端子(第2電極)
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