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特許7426595状態可視化システム、空間制御システム、状態可視化方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】状態可視化システム、空間制御システム、状態可視化方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20240126BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A61B5/16 100
A61B5/02 310F
A61B5/02 310P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021574630
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2021001328
(87)【国際公開番号】W WO2021153281
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2020015863
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇 有紀
(72)【発明者】
【氏名】芳村 啓太
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-169362(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074224(WO,A1)
【文献】特開2012-014650(JP,A)
【文献】特開2017-169974(JP,A)
【文献】特開2000-237146(JP,A)
【文献】国際公開第2019/022242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する第1取得部と、
前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する推定部と、
前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する処理部と、
前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する出力部と、
前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する第2取得部と、
前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する補正情報生成部と、を備え、
前記推定部は、心身の状態を表す第1種別の状態に対する第1種推定値と、心身の状態を表す第2種別の状態に対する第2種推定値と、をそれぞれ前記推定値として推定し、
前記処理部は、前記第1種推定値に基づいて前記心身状態情報として第1心身状態情報を、前記第2種推定値に基づいて前記心身状態情報として第2心身状態情報を、それぞれ生成し、
前記出力部は、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを前記表示部に出力し、
前記第2取得部は、前記表示部が前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを表示している場合に、前記2次元マトリックス上で指定された座標を取得し、前記座標で表される2つの値のうち前記第1種別に対応する値を前記第1種推定値に対応する前記主観値として、前記2つの値のうち前記第2種別に対応する値を前記第2種推定値に対応する前記主観値として、それぞれ取得し、
前記処理部は、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する
状態可視化システム。
【請求項2】
ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する第1取得部と、
前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する推定部と、
前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する処理部と、
前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する出力部と、
前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する第2取得部と、
前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する補正情報生成部と、を備え、
前記補正情報生成部は、前記複数の組データのうち、推定値が同一である所定数以上の組データを用いて、前記所定数以上の組データに含まれる複数の主観値の平均値を算出することで、算出した前記平均値を前記推定値に対する前記補正情報として生成し、
前記処理部は、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する
状態可視化システム。
【請求項3】
推定部は、心身の状態を表す第1種別の状態に対する第1種推定値と、心身の状態を表す第2種別の状態に対する第2種推定値と、をそれぞれ前記推定値として推定し、
前記処理部は、前記第1種推定値に基づいて前記心身状態情報として第1心身状態情報を、前記第2種推定値に基づいて前記心身状態情報として第2心身状態情報を、それぞれ生成し、
前記出力部は、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを前記表示部に出力する、
請求項2に記載の状態可視化システム。
【請求項4】
前記第2取得部は、前記表示部が前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを表示している場合に、前記2次元マトリックス上で指定された座標を取得し、前記座標で表される2つの値のうち前記第1種別に対応する値を前記第1種推定値に対応する前記主観値として、前記2つの値のうち前記第2種別に対応する値を前記第2種推定値に対応する前記主観値として、それぞれ取得する、
請求項3に記載の状態可視化システム。
【請求項5】
前記補正情報生成部は、前記推定値を含む前記組データが所定数未満である場合には、前記推定値を含む複数の前記組データに含まれる主観値と、前記推定値と連続する値である別の推定値を含む複数の別の組データに含まれる主観値とを用いて、前記平均値を算出することで、前記推定値に対する前記補正情報として生成する、
請求項2~4のいずれか一項に記載の状態可視化システム。
【請求項6】
前記補正情報は、対応する推定値の補正後の値としての補正推定値を含み、
複数の前記推定値と、前記複数の前記推定値にそれぞれ対応する複数の前記補正推定値とが対応付けられており、
前記複数の前記推定値のうち値が連続する第1推定値と第2推定値とにおいて、前記第1推定値が前記第2推定値より小さく、かつ前記複数の前記補正推定値のうち前記第1推定値に対する第1補正推定値が前記複数の前記補正推定値のうち前記第2推定値に対する第2補正推定値よりも大きい場合には、
前記補正情報生成部は、
前記第2推定値と連続し、前記第2推定値よりも大きい第3推定値に対する補正推定値である第3補正推定値に対応する複数の主観値と、前記第1推定値に対応する複数の主観値と、前記第2推定値に対応する複数の主観値との平均値を算出して、前記平均値を前記第2推定値に対する前記補正推定値として含む前記補正情報を生成する、
請求項2~5のいずれか一項に記載の状態可視化システム。
【請求項7】
前記補正情報生成部は、前記推定値が同一である複数の前記組データのうち前記推定値と前記主観値との差分が所定値以上である場合には、当該主観値を除いて前記平均値を算出する、
請求項2~6のいずれか一項に記載の状態可視化システム。
【請求項8】
前記第2取得部は、前記主観値を取得すると、前記主観値と、前記心身状態情報に応じた値であって前記推定部が推定した前記推定値と、を対応付けて記憶部に記憶し、
前記補正情報生成部は、前記補正情報を更新するための更新条件が成立すると、前記補正情報を更新する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の状態可視化システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の状態可視化システムが生成した前記心身状態情報に基づいて、空間制御を行う空間制御装置を、備える、
空間制御システム。
【請求項10】
第1取得部と推定部と処理部と出力部と第2取得部と補正情報生成部とを備える状態可視化システムで用いられる状態可視化方法であって、
前記第1取得部が、ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する第1取得ステップと、
前記推定部が、前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する推定ステップと、
前記処理部が、前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する処理ステップと、
前記出力部が、前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する出力ステップと、
前記第2取得部が、前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する第2取得ステップと、
前記補正情報生成部が、前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する補正情報生成ステップと、を含み、
前記推定ステップでは、前記推定部が、心身の状態を表す第1種別の状態に対する第1種推定値と、心身の状態を表す第2種別の状態に対する第2種推定値と、をそれぞれ前記推定値として推定し、
前記処理ステップでは、前記処理部が、前記第1種推定値に基づいて前記心身状態情報として第1心身状態情報を、前記第2種推定値に基づいて前記心身状態情報として第2心身状態情報を、それぞれ生成し、
前記出力ステップでは、前記出力部が、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを前記表示部に出力し、
前記第2取得ステップでは、前記第2取得部が、前記表示部が前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを表示している場合に、前記2次元マトリックス上で指定された座標を取得し、前記座標で表される2つの値のうち前記第1種別に対応する値を前記第1種推定値に対応する前記主観値として、前記2つの値のうち前記第2種別に対応する値を前記第2種推定値に対応する前記主観値として、それぞれ取得し、
前記処理ステップでは、前記処理部が、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する、
状態可視化方法。
【請求項11】
第1取得部と推定部と処理部と出力部と第2取得部と補正情報生成部とを備える状態可視化システムで用いられる状態可視化方法であって、
前記第1取得部が、ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する第1取得ステップと、
前記推定部が、前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する推定ステップと、
前記処理部が、前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する処理ステップと、
前記出力部が、前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する出力ステップと、
前記第2取得部が、前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する第2取得ステップと、
前記補正情報生成部が、前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する補正情報生成ステップと、を含み、
前記補正情報生成ステップでは、前記補正情報生成部が、前記複数の組データのうち、推定値が同一である所定数以上の組データを用いて、前記所定数以上の組データに含まれる複数の主観値の平均値を算出することで、算出した前記平均値を前記推定値に対する前記補正情報として生成し、
前記処理ステップでは、前記処理部が、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する、
状態可視化方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項10又は11に記載の状態可視化方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に状態可視化システム、空間制御システム、状態可視化方法及びプログラムに関し、より詳細にはユーザの心身状態を可視化する状態可視化システム、空間制御システム、状態可視化方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの心身の状態を推定するシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、性別及び年代別に事前に収集された自律神経活動指標(心身状態)の分布を予め記憶している。特許文献1では、ユーザの性別及び年代に応じた自律神経活動指標の分布を用いて、ユーザの自律神経活動指標を推定する。
【0004】
これにより、性別及び年代別に区分していない分布を用いる場合と比較して、推定の精度がより高くなる。
【0005】
ところで、ユーザと同じ性別及び同じ年代の自律神経活動指標の分布を用いても、同じ性別及び同じ年代の他者との個人差がある。そのため、推定結果が必ずしも適切であるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-140587号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、ユーザに対してより精度の高い心身状態の推定結果を通知することができる状態可視化システム、空間制御システム、状態可視化方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
本開示の一態様に係る状態可視化システムは、第1取得部と、推定部と、処理部と、出力部と、第2取得部と、補正情報生成部と、を備える。前記第1取得部は、ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する。前記推定部は、前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する。前記処理部は、前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する。前記出力部は、前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する。前記第2取得部は、前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する。前記補正情報生成部は、前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。前記推定部は、心身の状態を表す第1種別の状態に対する第1種推定値と、心身の状態を表す第2種別の状態に対する第2種推定値と、をそれぞれ前記推定値として推定する。前記処理部は、前記第1種推定値に基づいて前記心身状態情報として第1心身状態情報を、前記第2種推定値に基づいて前記心身状態情報として第2心身状態情報を、それぞれ生成する。前記出力部は、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを前記表示部に出力する。前記第2取得部は、前記表示部が前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを表示している場合に、前記2次元マトリックス上で指定された座標を取得し、前記座標で表される2つの値のうち前記第1種別に対応する値を前記第1種推定値に対応する前記主観値として、前記2つの値のうち前記第2種別に対応する値を前記第2種推定値に対応する前記主観値として、それぞれ取得する。前記処理部は、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する。
本開示の一態様に係る状態可視化システムは、第1取得部と、推定部と、処理部と、出力部と、第2取得部と、補正情報生成部と、を備える。前記第1取得部は、ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する。前記推定部は、前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する。前記処理部は、前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する。前記出力部は、前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する。前記第2取得部は、前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する。前記補正情報生成部は、前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。前記補正情報生成部は、前記複数の組データのうち、推定値が同一である所定数以上の組データを用いて、前記所定数以上の組データに含まれる複数の主観値の平均値を算出することで、算出した前記平均値を前記推定値に対する前記補正情報として生成する。前記処理部は、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する。
【0009】
本開示の一態様に係る空間制御システムは、前記状態可視化システムが生成した心身状態情報に基づいて、空間制御を行う空間制御装置を、備える。
【0010】
本開示の一態様に係る状態可視化方法は、第1取得部と推定部と処理部と出力部と第2取得部と補正情報生成部とを備える状態可視化システムで用いられる。前記状態可視化方法は、第1取得ステップと、推定ステップと、処理ステップと、出力ステップと、第2取得ステップと、補正情報生成ステップと、を含む。前記第1取得ステップでは、前記第1取得部が、ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する。前記推定ステップでは、前記推定部が、前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する。前記処理ステップでは、前記処理部が、前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する。前記出力ステップでは、前記出力部が、前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する。前記第2取得ステップでは、前記第2取得部が、前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する。前記補正情報生成ステップでは、前記補正情報生成部が、前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。前記推定ステップでは、前記推定部が、心身の状態を表す第1種別の状態に対する第1種推定値と、心身の状態を表す第2種別の状態に対する第2種推定値と、をそれぞれ前記推定値として推定する。前記処理ステップでは、前記処理部が、前記第1種推定値に基づいて前記心身状態情報として第1心身状態情報を、前記第2種推定値に基づいて前記心身状態情報として第2心身状態情報を、それぞれ生成する。前記出力ステップでは、前記出力部が、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを前記表示部に出力する。前記第2取得ステップでは、前記第2取得部が、前記表示部が前記第1心身状態情報と前記第2心身状態情報とを表示している場合に、前記2次元マトリックス上で指定された座標を取得し、前記座標で表される2つの値のうち前記第1種別に対応する値を前記第1種推定値に対応する前記主観値として、前記2つの値のうち前記第2種別に対応する値を前記第2種推定値に対応する前記主観値として、それぞれ取得する。前記処理ステップでは、前記処理部が、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する。
本開示の一態様に係る状態可視化方法は、第1取得部と推定部と処理部と出力部と第2取得部と補正情報生成部とを備える状態可視化システムで用いられる。前記状態可視化方法は、第1取得ステップと、推定ステップと、処理ステップと、出力ステップと、第2取得ステップと、補正情報生成ステップと、を含む。前記第1取得ステップでは、前記第1取得部が、ユーザの生体情報を計測する計測部から前記生体情報を取得する。前記推定ステップでは、前記推定部が、前記生体情報を用いて前記ユーザの心身の状態を表す推定値を推定する。前記処理ステップでは、前記処理部が、前記推定値に基づいて、前記ユーザの心身の状態に係る心身状態情報を生成する。前記出力ステップでは、前記出力部が、前記心身状態情報に基づく表示を行う表示部に、前記心身状態情報を出力する。前記第2取得ステップでは、前記第2取得部が、前記推定値が推定された際の前記ユーザの心身の状態に対して、前記ユーザの主観に応じた主観値を取得する。前記補正情報生成ステップでは、前記補正情報生成部が、前記推定値と前記主観値とを含む複数の組データを用いて、前記心身状態情報を生成する際の前記推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。前記補正情報生成ステップでは、前記補正情報生成部が、前記複数の組データのうち、推定値が同一である所定数以上の組データを用いて、前記所定数以上の組データに含まれる複数の主観値の平均値を算出することで、算出した前記平均値を前記推定値に対する前記補正情報として生成する。前記処理ステップでは、前記処理部が、前記補正情報に基づいて前記推定値に対して補正を行い、前記心身状態情報を生成する。
【0011】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、前記状態可視化方法を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る状態可視化システムとしての状態可視化装置の構成を説明する図である。
図2図2は、同上の状態可視化装置を用いた使用形態の一例を説明する図である。
図3図3は、補正推定値の更新における同上の状態可視化装置の動作を説明する図である。
図4図4は、心身状態情報の生成時における同上の状態可視化装置及び一実施形態に係る空間制御装置の動作を説明する図である。
図5図5Aは、心身状態の推定結果を表示する場合に画面の一例を説明する図である。図5Bは、主観値の入力を受け付けた場合の画面の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。以下の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る状態可視化システム1、空間制御システム2及び状態可視化方法について、図1図5Bを用いて説明する。
【0015】
(1)概要
本実施形態における状態可視化システム1としての状態可視化装置10は、計測装置20(計測部)と通信可能に構成されている。また、本実施形態の空間制御システム2は、状態可視化装置10と、空間制御装置30と、を備える(図1図2参照)。
【0016】
計測装置20は、空間5(図2参照)に存在するユーザu1(図2参照)の生体データに係る情報(生体情報)を計測する装置である。計測装置20は、例えばウェアラブル端末である。ここで、生体情報とは、例えば、心電図、血圧、血管径、呼吸、瞳孔径、血糖値、表情、脳波、血流、発汗等である。本実施形態では、計測装置20は、生体情報としてユーザu1の脈波を所定のタイミングにおいて所定期間(例えば、1分間)で測定してもよい。なお、生体情報の計測は、定期的に、つまり所定の時間間隔(例えば、1分間隔)で測定してもよい。
【0017】
状態可視化装置10は、計測装置20の計測結果(生体情報)を取得し、取得した計測結果を用いて、ユーザu1の心身状態を推定する。状態可視化装置10は、推定結果に基づいた情報(心身状態情報)を生成し、表示を行う表示部(例えば、表示部13)に出力する。さらに、状態可視化装置10は、ユーザu1から心身状態に対する主観に応じた主観値を取得する。状態可視化装置10は、推定結果と主観値とを含む複数の組データを用いて、心身状態情報を生成する際の推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。
【0018】
状態可視化装置10は、補正情報が生成されている場合には、推定結果に対して補正情報を用いて補正を行い、心身状態情報を生成する。
【0019】
本実施形態では、状態可視化装置10は、心身状態として覚醒度及び快適度の双方を推定する。推定される覚醒度及び快適度は、-5~5の範囲で表される。
【0020】
状態可視化装置10は、空間制御を行う空間制御装置30と通信可能に構成されている。空間制御とは、空間5に設けられた複数の機器40のうち少なくとも1つの機器40に対する制御を行うことで、空間の環境を制御することをいう。本実施形態では、図2に示すように、空間5には、複数の機器40として空調機器41及び照明機器42が設けられている。
【0021】
空間制御装置30は、状態可視化装置10が生成した心身状態情報に基づいて、空間5に設けられた複数の機器40(空調機器41、照明機器42)のうち少なくとも1つの機器40を制御する。
【0022】
例えば、ユーザu1が空間5で仮眠をとる場合、状態可視化装置10は、仮眠前のユーザu1の心身状態情報を生成する。空間制御装置30は、生成した心身状態情報に基づいて、ユーザu1が最適な仮眠が行えるように複数の機器40(空調機器41、照明機器42)のうち少なくとも1つの機器を制御する。さらに、状態可視化装置10は、仮眠後のユーザu1の心身状態情報を作成して、記憶する。
【0023】
(2)構成
(2.1)計測装置
ここでは、計測装置20の構成について、説明する。
【0024】
計測装置20は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが計測装置20としての機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0025】
計測装置20は、ユーザu1の生体データとして当該ユーザu1の脈波を所定のタイミングで所定時間計測する。例えば、計測装置20は、リストバンド型の脈波計で構成されており、ユーザu1の手首に装着されることにより、ユーザu1の脈波を測定する。
【0026】
計測装置20は、計測したユーザu1の脈波(計測結果)を生体情報として、状態可視化装置10に出力する。計測装置20は、無線通信により状態可視化装置10に生体情報を出力してもよいし、有線通信により状態可視化装置10に生体情報を出力してもよい。
【0027】
なお、計測装置20は、マイクロ波ドップラーセンサを用いて、体表面の振動を計測するように構成されてもよい。
【0028】
また、計測装置20は、脈波以外の生体情報を測定するように構成されていてもよい。計測装置20は、例えば、ヘッドマウント式の脳波計で構成され、ユーザu1の頭部に装着されることにより、ユーザu1の脳波を計測するように構成されてもよい。または、計測装置20は、カメラ装置で構成され、ユーザu1の瞳孔径、表情などを測定するように構成されていてもよい。また、計測装置20は、マイク装置で構成され、ユーザu1の音声、呼吸音などを測定するように構成されていてもよい。また、空間制御システム2は、複数の計測装置20を備え、ユーザu1の複数の生体情報を測定するように構成されていてもよい。
【0029】
(2.2)状態可視化装置
ここでは、状態可視化装置10の構成について、図1を用いて説明する。
【0030】
状態可視化装置10は、図1に示すように、記憶部11、入力部12、表示部13、通信部14及び制御部15を備える。
【0031】
状態可視化装置10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部15として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0032】
記憶部11は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部11は、例えば、フラッシュメモリである。記憶部11は、ユーザu1ごとに、生体情報から算出され、ユーザu1の心身状態を表す値(推定値)と、ユーザu1から取得した主観値とを対応付けて記憶する。さらに、記憶部11は、ユーザu1ごとに、推定値と、補正後の推定値(補正推定値)とを対応付けて記憶する。具体的には、記憶部11は、表1に示す推定テーブルを記憶している。本実施形態では、記憶部11は、ユーザu1ごとに、覚醒度に対する推定テーブル及び快適度に対する推定テーブルを記憶している。
【0033】
【表1】
【0034】
入力部12は、キーボード、マウス、タッチパネル等を含む。入力部12は、心身状態に対する主観に応じた主観値の入力を受け付ける。本実施形態では、入力部12は、覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値の入力を受け付ける。
【0035】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(electro luminescence)ディスプレイのような薄型のディスプレイ装置である。表示部13は、心身状態情報に係る画面を表示する。表示部13は、覚醒度に対する心身状態情報(第1心身状態情報)及び快適度に対する心身状態情報(第2心身状態情報)を表示する。例えば、表示部13は、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示する。
【0036】
さらに、表示部13は、入力部12によって入力された覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値を表示する。例えば、表示部13は、覚醒度に対する主観値と快適度に対する主観値との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示する。
【0037】
通信部14は、空間制御装置30と通信を行うための通信インタフェースを有している。通信インタフェースは、例えば空間制御装置30と無線又は有線による通信を行うための通信インタフェースである。
【0038】
制御部15は、図1に示すように、第1取得部151、推定部152、第2取得部153、補正情報生成部154、処理部155及び出力部156を有する。
【0039】
第1取得部151は、ユーザu1の生体情報を計測装置20から取得する。
【0040】
推定部152は、生体情報を用いてユーザu1の心身の状態を表す推定値を推定する。推定部152は、心身の状態を表す第1種別の状態に対する第1種推定値と、心身の状態を表す第2種別の状態に対する第2種推定値と、をそれぞれ推定値として推定する。本実施形態では、第1種別は覚醒度に、第2種別は快適度に、それぞれ相当する。
【0041】
推定部152は、脈波を用いて第1種推定値を算出する。例えば、推定部152は、人の脈波として通常とり得る範囲を複数の範囲に分割して、分割した各範囲を、-5~5のいずれかの値に対応付けている。推定部152は、第1取得部151が取得した生体情報に対応付けられた値を第1種推定値として算出する。
【0042】
推定部152は、脈波を用いて第2種推定値を算出する。例えば、推定部152は、脈拍変動の周波数領域のパワースペクトルのHF(Hi Frequency)とLF(Low Frequency)とから値“LF/HF”を算出する。推定部152は、値“LF/HF”を自然対数に変換し、変換後の値を用いて第2種推定値として算出する。なお、推定部152は、第2種推定値を算出する際の指標として、値“LF/HF”とは異なる指標を用いてもよい。例えば、推定部152は、第2種推定値を算出の指標として、副交感神経系の活性の指標であるRMSSD(root mean square of successive difference)、心拍変動係数(CVRR)等を用いてもよい。
【0043】
第2取得部153は、推定値が推定された際のユーザu1の心身状態として、ユーザu1の主観に応じた主観値を取得する。本実施形態では、第2取得部153は、入力部12が受け付けた主観値を取得する。
【0044】
第2取得部153は、表示部13が第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示している場合に、2次元マトリックス上で指定された座標を取得する。第2取得部153は、取得した座標で表される2つの値のうち第1種別(覚醒度)に対応する値を第1種推定値に対応する主観値として、上記2つの値のうち第2種別(快適度)に対応する値を第2種推定値に対応する主観値として、それぞれ取得する。
【0045】
第2取得部153は、主観値を取得すると、主観値と、心身状態情報に応じた値であって推定部152が推定した推定値と、を対応付けて記憶部11に記憶する。具体的には、第2取得部153は、覚醒度に対応する主観値と、第1種推定値とを対応付けて、記憶部11の覚醒度に対する推定テーブルに記憶する。第2取得部153は、快適度に対応する主観値と、第2種推定値とを対応付けて、記憶部11の快適度に対する推定テーブルに記憶する。
【0046】
補正情報生成部154は、推定値と主観値とを含む複数の組データを用いて、心身状態情報を生成する際の推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。ここで、補正情報は、上述した補正推定値を含む。
【0047】
本実施形態では、補正情報生成部154は、補正情報を更新するための更新条件が成立すると、補正情報を生成(更新)する。ここでは、更新条件は、日時があらかじめ決められた日時となることである。例えば、毎月1日の午前9:00になると、補正情報生成部154は、補正情報を生成(更新)する。これにより、補正情報の補正推定値は、定期的に生成(更新)される。
【0048】
補正情報生成部154は、複数の組データのうち、推定値が同一である所定数(例えば、3つ)以上の組データを用いて、所定数以上の組データに含まれる複数の主観値の平均値を補正推定値として算出する。補正情報生成部154は、算出した補正推定値を推定値に対する補正情報として生成する。ここで、補正情報生成部154は、推定値が同一である複数の組データのうち推定値と主観値との差分が所定値(例えば、値“1”)以上である場合には、当該主観値(除外対象主観値)を除いて平均値を算出する。このとき、補正情報生成部154は、除外された主観値を含む組データを除いた残りの組データの数が所定値以上である場合に、上記算出を行う。例えば、表1に示すように、推定値“2.0”に対する主観値“0.5”と推定値“2.0”との差分(値“1.5”)は、所定値(値“1”)以上である。そのため、補正情報生成部154は、主観値“0.5”を除外して、推定値“2.0”に対する補正推定値を算出する。なお、除外された主観値を含む組データを除いた残りの組データの数が所定値以上である場合には、補正情報生成部154は、後述する処理により平均値を算出する。
【0049】
補正情報生成部154は、ある推定値を含む組データが所定数未満である場合には、当該推定値を含む組データすべてに含まれる主観値と、推定値と連続する値である別の推定値を含む別の組データすべてに含まれる主観値とを用いて、平均値を補正推定値として算出する。補正情報生成部154は、算出した補正推定値を推定値に対する補正情報として生成する。この場合においても、推定値が同一である複数の組データのうち推定値と主観値との差分が所定値(例えば、値“1”)以上である場合には、平均値の算出には当該主観値を除外する。例えば、表1に示すように、推定値“2.1”に対する主観値の数は所定数未満である。そこで、補正情報生成部154は、推定値“2.1”と連続する値であって別の推定値として2つの推定値“2.0”,“2.2”を補正情報の生成に用いる。具体的には、補正情報生成部154は、推定値“2.1”に対応するすべての主観値と、推定値“2.0”に対応するすべての主観値と、推定値“2.2”に対応するすべての主観値と、を用いて主観値の平均値(ここでは、値“2.2”)を算出する。
【0050】
なお、本実施形態では、補正情報生成部154は、主観値の平均値を、補正推定値として算出する構成としたが、この構成に限定されない。補正情報生成部154は、主観値の中央値を補正推定値として算出してもよい。
【0051】
また、補正情報生成部154は、ある推定値を含む組データが所定数未満である場合には、推定値に連続する前後の値の双方のすべての組データを用いて補正推定値を算出する構成としたが、この構成に限定されない。補正情報生成部154は、ある推定値を含む組データが所定数未満である場合には、推定値を含むすべての組データと、推定値に連続する前後の値のうち一方の値を含むすべての組データを用いて補正推定値を算出してもよい。すなわち、補正情報生成部154は、ある推定値を含む組データが所定数未満である場合には、すべての推定値を含む組データと、推定値に連続する前後の値のうち少なくとも一方の値を含むすべての組データとを用いて補正推定値を算出する。
【0052】
処理部155は、推定値に基づいて、ユーザu1の心身の状態に係る心身状態情報を生成する。処理部155は、補正情報に基づいて推定値に対して補正を行い、心身状態情報を生成する。より詳細には、処理部155は、推定値に対応する補正推定値が存在する場合には、推定値に対して補正推定値を用いて補正を行い、心身状態情報を生成する。
【0053】
処理部155は、第1種推定値に基づいて心身状態情報として第1心身状態情報を、第2種推定値に基づいて心身状態情報として第2心身状態情報を、それぞれ生成する。処理部155は、推定部152が算出した推定値(第1種推定値)に対応する補正推定値が存在する場合には、当該補正推定値を含む第1心身状態情報を生成する。処理部155は、推定部152が算出した推定値(第2種推定値)に対応する補正推定値が存在する場合には、当該補正推定値を含む第2心身状態情報を生成する。
【0054】
処理部155は、推定部152が算出した推定値(第1種推定値)に対応する補正推定値が存在しない場合には、当該第1種推定値を含む第1心身状態情報を生成する。処理部155は、推定部152が算出した推定値(第2種推定値)に対応する補正推定値が存在しない場合には、当該第2種推定値を含む第2心身状態情報を生成する。
【0055】
出力部156は、心身状態情報に基づく表示を行う表示部13に、心身状態情報を出力する。具体的には、出力部156は、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示部13に出力する。
【0056】
(2.3)空間制御装置
空間制御装置30は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが空間制御装置30としての機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0057】
空間制御装置30は、状態可視化装置10と通信を行うための通信インタフェースを有している。空間制御装置30は、複数の機器40と通信を行うための通信インタフェースをも有している。なお、状態可視化装置10と通信を行うための通信インタフェースと、複数の機器40と通信を行うための通信インタフェースとは、同一の通信インタフェースであってもよい。
【0058】
空間制御装置30は、状態可視化装置10が生成した心身状態情報に基づいて、空間制御を行う。具体的には、空間制御装置30は、状態可視化装置10が生成した第1心身状態情報及び第2心身状態情報に基づいて、空間5の複数の機器40のうち少なくとも1つの機器40の動作の制御を行う。
【0059】
空間制御装置30は、生成した第1心身状態情報及び第2心身状態情報に基づいて、ユーザu1が最適な仮眠が行えるように複数の機器40(空調機器41、照明機器42)のうち少なくとも1つの機器を制御する。例えば、空間制御装置30は、ユーザu1が最適な仮眠が行えるように、空調機器41の風量、風向き、設定温度、及び設定湿度のうち少なくとも1つを制御する。また、空間制御装置30は、ユーザu1が最適な仮眠が行えるように、照明機器42の照度、色温度、明滅パターンのうち少なくとも1つを制御する。
【0060】
なお、空間制御装置30は、空調機器41及び照明機器42の制御に限らず、音、香等の制御を行ってもよい。
【0061】
(3)動作
(3.1)補正情報の更新時の動作
ここでは、補正情報の更新を行う場合における状態可視化装置10の動作について、図3を用いて説明する。
【0062】
補正情報生成部154は、補正情報を更新するための更新条件が成立したか否かを判断する(ステップS1)。ここでは、補正情報生成部154は、現在日時があらかじめ決められた日時となったか否かを判断する。
【0063】
更新条件が成立していないと判断する場合(ステップS1における「No」)、処理は、更新条件の成立待ちとなる。
【0064】
更新条件が成立したと判断する場合(ステップS1における「Yes」)、補正情報生成部154は、推定値ごとに以下の処理を実行する。
【0065】
補正情報生成部154は、同一の推定値を含む複数の組データにおいて、除外対象の推定値を含む組データを除いた残りの組データの数が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0066】
上記残りの組データの数が所定数以上であると判断する場合(ステップS2における「Yes」)、補正情報生成部154は、上記残りの組データすべてを用いて、第1算出処理を行う(ステップS3)。具体的には、補正情報生成部154は、上記残りの組データのそれぞれに含まれる主観値の平均値を補正推定値として算出する。
【0067】
上記残りの組データの数が所定数以上でない、つまり所定数未満であると判断する場合(ステップS2における「No」)、補正情報生成部154は、第2算出処理を行う(ステップS4)。具体的には、補正情報生成部154は、上記残りの組データに含まれる主観値と、上記残りの組データに含まれる推定値と連続する値である別の推定値を含む別の組データすべてに含まれる主観値とを用いて、平均値を補正推定値として算出する。
【0068】
(3.2)心身状態情報の生成時の動作
ここでは、状態可視化装置10が心身状態情報を生成し、空間制御装置30が機器40を制御する場合の、状態可視化装置10及び空間制御装置30の動作について、図4を用いて説明する。
【0069】
状態可視化装置10の第1取得部151は、ユーザu1が仮眠する前において、ユーザu1の生体情報(脈波)を計測装置20から取得する(ステップS11)。
【0070】
状態可視化装置10の推定部152は、推定処理を行う(ステップS12)。推定部152は、生体情報を用いてユーザu1の心身の状態を表す推定値を推定する。具体的には、推定部152は、ステップS1で取得したユーザu1の脈波を用いて、第1種推定値及び第2種推定値をそれぞれ推定値として推定する。
【0071】
状態可視化装置10の処理部155は、心身状態情報の生成処理を行う(ステップS13)。処理部155は、補正情報生成部154が補正情報を生成した場合には、推定値に対して補正情報を用いて補正を行い、心身状態情報を生成する。具体的には、処理部155は、ステップS12で算出した推定値(第1種推定値)に対応する補正推定値を含む第1心身状態情報を生成する。処理部155は、ステップS12で算出した推定値(第2種推定値)に対応する補正推定値を含む第2心身状態情報を生成する。なお、処理部155は、ステップS12で算出した推定値(第1種推定値)に対応する補正推定値が存在しない場合には、当該第1種推定値を含む第1心身状態情報を生成する。処理部155は、ステップS12で算出した推定値(第2種推定値)に対応する補正推定値が存在しない場合には、当該第2種推定値を含む第2心身状態情報を生成する。
【0072】
状態可視化装置10の出力部156は、出力処理を行う(ステップS14)。出力部156は、心身状態情報に基づく表示を行う表示部13に、心身状態情報を出力する。具体的には、出力部156は、ステップS13で生成した第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示部13に出力する。
【0073】
状態可視化装置10の第2取得部153は、推定値が推定された際のユーザu1の主観に応じた主観値を取得する(ステップS15)。具体的には、第2取得部153は、ステップS14により表示部13が第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示している場合に、2次元マトリックス上で指定された座標を取得する。第2取得部153は、取得した座標で表される2つの値のうち第1種別(覚醒度)に対応する値を第1種推定値に対応する主観値として、上記2つの値のうち第2種別(快適度)に対応する値を第2種推定値に対応する主観値として、それぞれ取得する。
【0074】
第2取得部153は、格納処理を行う(ステップS16)。第2取得部153は、ステップS15で取得した主観値と、ステップS12で推定部152が推定した推定値と、を対応付けて記憶部11に記憶する。具体的には、第2取得部153は、ステップS15で取得した覚醒度に対応する主観値と、ステップS12で推定された第1種推定値とを対応付けて、記憶部11の覚醒度に対する推定テーブルに記憶する。第2取得部153は、ステップS15で取得した快適度に対応する主観値と、ステップS12で推定された第2種推定値とを対応付けて、記憶部11の快適度に対する推定テーブルに記憶する。
【0075】
空間制御装置30は、ユーザu1の仮眠中に空間制御処理を行う(ステップS17)。具体的には、空間制御装置30は、状態可視化装置10が生成した第1心身状態情報及び第2心身状態情報に基づいて、空間5の複数の機器40のうち少なくとも1つの機器40の動作の制御を行う。
【0076】
状態可視化装置10の第1取得部151は、ユーザu1の仮眠後において、ユーザu1の生体情報(脈波)を計測装置20から取得する(ステップS18)。
【0077】
状態可視化装置10の推定部152は、推定処理を行う(ステップS19)。具体的には、推定部152は、ステップS18で取得したユーザu1の脈波を用いて、第1種推定値及び第2種推定値をそれぞれ推定値として推定する。
【0078】
状態可視化装置10の処理部155は、心身状態情報の生成処理を行う(ステップS20)。具体的には、処理部155は、補正情報生成部154が補正情報を生成した場合には、ステップS19で算出した第1種推定値に対応する補正推定値を含む第1心身状態情報を、ステップS19で算出した第2種推定値に対応する補正推定値を含む第2心身状態情報を、それぞれ生成する。なお、処理部155は、ステップS19で算出した第1種推定値に対応する補正推定値が存在しない場合には、当該第1種推定値を含む第1心身状態情報を生成する。処理部155は、ステップS19で算出した第2種推定値に対応する補正推定値が存在しない場合には、当該第2種推定値を含む第2心身状態情報を生成する。
【0079】
状態可視化装置10の出力部156は、出力処理を行う(ステップS21)。出力部156は、心身状態情報に基づく表示を行う表示部13に、心身状態情報を出力する。具体的には、出力部156は、ステップS20で生成した第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示部13に出力する。
【0080】
状態可視化装置10の第2取得部153は、推定値が推定された際のユーザu1の主観に応じた主観値を取得する(ステップS22)。具体的には、第2取得部153は、ステップS21により表示部13が第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示している場合に、2次元マトリックス上で指定された座標を取得する。第2取得部153は、取得した座標で表される2つの値のうち第1種別(覚醒度)に対応する値を第1種推定値に対応する主観値として、上記2つの値のうち第2種別(快適度)に対応する値を第2種推定値に対応する主観値として、それぞれ取得する。
【0081】
第2取得部153は、格納処理を行う(ステップS23)。第2取得部153は、ステップS22で取得した主観値と、ステップS19で推定部152が推定した推定値と、を対応付けて記憶部11に記憶する。具体的には、第2取得部153は、ステップS22で取得した覚醒度に対応する主観値と、ステップS19で推定された第1種推定値とを対応付けて、記憶部11の覚醒度に対する推定テーブルに記憶する。第2取得部153は、ステップS22で取得した快適度に対応する主観値と、ステップS19で推定された第2種推定値とを対応付けて、記憶部11の快適度に対する推定テーブルに記憶する。
【0082】
(4)表示例
ここでは、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示部13が表示するための画面G10について、説明する。
【0083】
画面G10では、図5Aに示すように、第1方向D1を覚醒度の軸方向とし、第1方向D1に直交する第2方向D2を快適度の軸方向としている。表示部13は、出力部156から受け取った第1心身状態情報に基づいて、覚醒度の軸方向における第1心身状態情報の座標点(第1の値)を決定する。表示部13は、出力部156から受け取った第2心身状態情報に基づいて、快適度の軸方向における第2心身状態情報の座標点(第2の値)を決定する。表示部13は、決定した第1の値と第2の値との組を座標とする点P10を決定し、表示する(図5A参照)。
【0084】
入力部12は、表示部13が、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを画面G10で表示しているときに、覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値の組み合わせに対応する座標をユーザからの入力を受け付ける。例えば、ユーザは、画面G10上でマウスを操作して、覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値の組み合わせに対応する位置をクリックする。表示部13は、クリックされた位置をユーザに通知するために、クリックされた位置で点P11を表示する(図5B参照)。
【0085】
さらに、入力部12は、ユーザによりクリックされた位置の座標を決定する。第2取得部153は、入力部12が決定した座標(点P11の座標)を取得する。第2取得部153は、取得した座標に基づいて、第1種推定値に対応する主観値、及び第2種推定値に対応する主観値として、それぞれ取得する。
【0086】
ここで、本実施形態では、ユーザu1の心身の状態を表すモデルとして、快適度及び覚醒度を指標とした2次元心理モデル(例えばラッセルの円環モデル)を用いている(図5A図5B参照)。図5A図5Bに示す2次元心理モデルでは、第2方向D2に沿った軸(X軸)が快適度を示し、第1方向D1に沿った軸(Y軸)が覚醒度を示している。快適度は、X軸の正領域が[快」であり、X軸の負領域が「不快」である。快適度は、X軸の正領域でのレベル(絶対値)が大きくなるほど快適度が増加し、X軸の負領域でのレベル(絶対値)が大きくなるほど不快度が増加(快適度が減少)する。Y軸の覚醒度は、Y軸の正領域が「覚醒」であり、Y軸の負領域が「鎮静」である。覚醒度は、Y軸の正領域でのレベル(絶対値)が大きくなるほど覚醒度が増加し、Y軸の負領域でのレベル(絶対値)が大きくなるほど鎮静度が増加(覚醒度が減少)する。対象者の感情(心理状態)は、2次元モデルの象限によって種類が区分けされる。表示される点P10が第1象限Z1に存在する場合には、ユーザu1の心身の状態がすっきりした状態であることを示す。表示される点P10が第2象限Z2に存在する場合には、ユーザu1の心身の状態がいらいらした状態であることを示す。表示される点P10が第3象限Z3に存在する場合には、ユーザu1の心身の状態が疲労を感じている状態であることを示す。表示される点P10が第4象限Z4に存在する場合には、ユーザu1の心身の状態がリラックスした状態であることを示す。
【0087】
(5)利点
以上説明したように、本実施形態の状態可視化システム1(状態可視化装置10)は、第1取得部151と、推定部152と、処理部155と、出力部156と、第2取得部153と、補正情報生成部154と、を備える。第1取得部151は、ユーザu1の生体情報を計測する計測部(例えば、計測装置20)から生体情報を取得する。推定部152は、生体情報を用いてユーザu1の心身の状態を表す推定値を推定する。処理部155は、推定値に基づいて、ユーザu1の心身の状態に係る心身状態情報を生成する。出力部156は、心身状態情報に基づく表示を行う表示部(例えば、表示部13)に、心身状態情報を出力する。第2取得部153は、推定値が推定された際のユーザu1の心身の状態に対して、ユーザu1の主観に応じた主観値を取得する。補正情報生成部154は、推定値と主観値とを含む複数の組データを用いて、心身状態情報を生成する際の推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。処理部155は、補正情報生成部154が補正情報を生成した場合には、推定値に対して補正情報を用いて補正を行い、心身状態情報を生成する。
【0088】
この構成によると、推定値を、主観値を用いて生成された補正情報で補正するので、推定値をユーザu1の主観に応じた値に近づけることができる。したがって、ユーザに対してより精度の高い心身状態の推定結果を通知することができる。
【0089】
また、本実施形態では、表1に示すように、推定値としての各値は、刻み幅“0.1”の値である。一方、補正推定値は、推定値に対応する主観値の平均値である。そのため、推定値の刻み幅が一定であるのに対して、補正推定値の刻み幅は可変とすることができる。
【0090】
補正推定値は、推定値に対応する主観値の平均値とする代わりに、刻み幅を異ならせてもよい。例えば、推定値がとり得る値の範囲(ここでは、-5~5)において中央値に近い推定値に対応する補正推定値の刻み幅を、推定値がとり得る値の範囲の最大値又は最小値に近い推定値に対応する補正推定値の刻み幅よりも小さくしてもよい。
【0091】
(6)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0092】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0093】
(6.1)変形例1
上記実施形態では、補正情報生成部154は、推定値に対応する所定数以上の主観値を用いて主観値の平均値を、補正推定値として算出している。そのため、複数の推定値のうち値が連続する2つの推定値(第1推定値、第2推定値)において、第1推定値が第2推定値より小さく、かつ第1推定値に対する補正推定値(第1補正推定値)が第2推定値に対する補正推定値(第2補正推定値)よりも大きくなるケースが存在する。
【0094】
そこで、補正情報生成部154は、上記ケースが存在する場合には、第2推定値と連続し、第2推定値よりも大きい第3推定値に対する複数の主観値と、第1推定値に対する複数の主観値と、第2推定値に対する複数の主観値との平均値を算出して、当該平均値を第2推定値に対する補正推定値として含む前記補正情報を生成してもよい。
【0095】
例えば以下の表2において、推定値“2”に対する3つの主観値の平均値は値“2.2”となる。また、推定値“2.1”に対する3つの主観値の平均値は値“2.0”となる。そのため、推定値“2”を第1推定値、推定値“2.1”を第2推定値とすると、第1推定値と第2推定値との関係は、上記ケースに該当する。そこで、補正情報生成部154は、第2推定値(ここでは、値“2.1”)と連続し、第2推定値よりも大きい第3推定値(値“2.2”)に対する複数の主観値と、第1推定値に対する複数の主観値と、第2推定値に対する複数の主観値との平均値を算出する。
【0096】
具体的には、補正情報生成部154は、第3推定値に対する複数の主観値(値“2.3”,“2.4”,“2.5”)と、第1推定値に対する複数の主観値(値“2.2”,“2.4”,“2.0”)と、第2推定値に対する複数の主観値(値“2.2”,“1.8”,“2.0”)との平均値“2.2”を算出する(表2参照)。
【0097】
【表2】
【0098】
(6.2)変形例2
上記実施形態では、推定値と主観値との対応付け、及び推定値と補正推定値との対応付けを、1つの推定テーブルで管理する構成としたが、この構成に限定されない。
【0099】
推定値と主観値との対応付けと、推定値と補正推定値との対応付けと、を個別のテーブルで管理してもよい。
【0100】
(6.3)変形例3
上記実施形態では、現在日時があらかじめ決められた日時となることを更新条件とした。しかしながら、更新条件は、これに限定されない。
【0101】
更新条件は、補正推定値と当該補正推定値に対応する主観値との差分値が予め定められた値(既定値)以上であることとしてもよい。補正情報生成部154は、補正推定値と当該補正推定値に対応する主観値との差分値が既定値以上となった場合に、補正推定値を更新する。より詳細には、補正情報生成部154は、補正推定値と当該補正推定値に対応する複数の主観値の平均値との差分値が既定値以上となった場合に、補正推定値を更新する。または、補正情報生成部154は、補正推定値と当該補正推定値に対応する複数の主観値のうち最大の主観値との差分値が既定値以上となった場合に、補正推定値を更新する。
【0102】
または、更新条件は、推定値との差分が所定値未満である主観値の数が所定値以上となることであってもよい。補正情報生成部154は、推定値との差分が所定値未満である主観値の数が所定値以上となった場合に、補正推定値を更新する。この場合、補正情報生成部154は、推定値との差分が所定値未満である主観値の数が所定値以上となるまでは、当該推定値に対する補正推定値は算出されない。
【0103】
(6.4)変形例4
上記実施形態では、記憶部11は、推定値と補正推定値とを対応付けて記憶する構成としたが、この構成に限定されない。
【0104】
記憶部11は、推定値と当該推定値に対応する補正推定値との差分値を、推定値に対応付けて記憶してもよい。この場合、処理部155は、推定値に、当該推定値に対応付けられた差分値を加算して、補正推定値を算出する。処理部155は、算出した補正推定値を含む心身状態情報を生成する。
【0105】
(6.5)変形例5
上記実施形態では、状態可視化装置10は、ユーザu1の仮眠の前後に、生体情報を取得する構成としたが、この構成に限定されない。
【0106】
状態可視化装置10は、ユーザu1の仮眠中、言い換えると空間制御装置30が空間の制御を行っている間に、生体情報を取得してもよい。
【0107】
これにより、状態可視化装置10は、ユーザu1の仮眠中には、主観値を取得できないが、推定値を取得することができる。そのため、ユーザu1の仮眠中における心身状態野変化を推定することができる。
【0108】
(6.6)変形例6
上記実施形態において、主観値の入力範囲を制限してもよい。例えば、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせの座標(図5A図5Bの点P10)を基準として、第1方向D1の-1~1の範囲、及び第2方向D2の-1~1の範囲で表される領域を、主観値の入力範囲とする。入力部12は、主観値の入力範囲で、主観値の入力を受け付ける。
【0109】
これにより、ユーザの入力の誤りを防ぐことができる。
【0110】
(6.7)変形例7
上記実施形態では、第2取得部153は、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせの座標が表示されるたびに、主観値を取得する構成としたが、この構成に限定されない。
【0111】
第2取得部153は、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせの座標が表示された場合、必ずしも主観値を取得しなくてもよい。
【0112】
例えば、ユーザu1は、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせの座標が、覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値との組み合わせと一致すると判断する場合には、覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値との組み合わせを入力する必要はない。この場合、第2取得部153は、所定時間内に覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値との組み合わせを取得しない場合には、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせの座標が、覚醒度に対する主観値及び快適度に対する主観値との組み合わせと一致すると判断する。第2取得部153は、第1心身状態情報に含まれる補正推定値(又は、推定値)を覚醒度に対する主観値として、覚醒度に対する推定値に対応付けて記憶する。第2取得部153は、第2心身状態情報に含まれる補正推定値(又は、推定値)を快適度に対する主観値として、快適度に対する推定値に対応付けて記憶する。
【0113】
(6.8)変形例8
上記実施形態では、状態可視化装置10は、2つの種別(覚醒度、快適度)に対する心身状態を表示する構成としたが、この構成に限定されない。状態可視化装置10は、2つの種別(覚醒度、快適度)のうち一方の種別に対する心身状態を表示してもよい。
【0114】
(6.9)変形例9
上記実施形態において、状態可視化装置10は、表示部13を備える構成としたが、これに限定されない。
【0115】
状態可視化装置10は、表示部13を備えていなくてもよい。この場合、出力部156は、画面G10を状態可視化装置10とは異なる端末の表示部に表示させる。例えば、出力部156は、画面G10をユーザu1が保持する情報端末の表示部に表示させる。より詳細には、出力部156は、無線等の通信を用いて、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを、情報端末に送信する。ここで、情報端末は、タブレット端末、スマートフォン等である。
【0116】
なお、状態可視化装置10が表示部13を備える場合であっても、出力部156は、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを、情報端末に送信してもよい。この場合、表示部13及び情報端末の双方に画面G10が表示される。要するに、状態可視化装置10は、表示部13及び情報端末のうち少なくとも一方で画面G10を表示させるように構成される。
【0117】
(6.10)変形例10
上記実施形態では、状態可視化装置10は、仮眠前では仮眠前に推定した第1心身状態情報及び第2心身状態情報を表示し、仮眠後では仮眠後に推定した第1心身状態情報及び第2心身状態情報を表示する構成とした。しかしながら、この構成に限定されない。
【0118】
例えば、状態可視化装置10は、仮眠後において、仮眠後に推定した第1心身状態情報及び第2心身状態情報の表示に加えて、仮眠前に推定した第1心身状態情報及び第2心身状態情報の表示を表示してもよい。
【0119】
さらに、状態可視化装置10は、仮眠後において、仮眠後に推定した第1心身状態情報及び第2心身状態情報の表示に加えて、仮眠中に推定した第1心身状態情報及び第2心身状態情報の表示を表示してもよい。この場合、第1心身状態情報及び第2心身状態情報の変化の軌跡を表す線をも表示してもよい。
【0120】
(6.11)変形例11
上記実施形態では、状態可視化装置10をユーザu1の仮眠に適用したが、状態可視化装置10の適用はこれに限定されない。
【0121】
状態可視化装置10は、ユーザu1が行う行動の前後に生体情報を取得する場合に適用してもよい。例えば、状態可視化装置10は、ユーザu1がデスクワークを行う前後に計測された生体情報を取得してもよい。このとき、空間制御装置30は、デスクワークを行う前に取得した生体情報から得られる心身状態情報を基に、複数の機器40(空調機器41、照明機器42)のうち少なくとも1つの機器を制御する。
【0122】
(その他の変形例)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、状態可視化システム1と同様の機能は、状態可視化方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る状態可視化システム1の状態可視化方法は、第1取得ステップと、推定ステップと、処理ステップと、出力ステップと、第2取得ステップと、補正情報生成ステップと、を含む。第1取得ステップは、ユーザu1の生体情報を計測する計測部(計測装置20)から生体情報を取得する。推定ステップは、生体情報を用いてユーザu1の心身の状態を表す推定値を推定する。処理ステップは、推定値に基づいて、ユーザu1の心身の状態に係る心身状態情報を生成する。出力ステップは、心身状態情報に基づく表示を行う表示部(例えば、表示部13)に、心身状態情報を出力する。第2取得ステップは、推定値が推定された際のユーザu1の心身の状態に対して、ユーザu1の主観に応じた主観値を取得する。補正情報生成ステップは、推定値と主観値とを含む複数の組データを用いて、心身状態情報を生成する際の推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。処理ステップは、補正情報に基づいて推定値に対して補正を行い、心身状態情報を生成する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した状態可視化システム1又は状態可視化システム1の状態可視化方法として機能させるためのプログラムである。
【0123】
本開示における状態可視化システム1又は状態可視化システム1の状態可視化方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における状態可視化システム1又は状態可視化システム1の状態可視化方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0124】
また、状態可視化システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは状態可視化システム1に必須の構成ではなく、状態可視化システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、状態可視化システム1の少なくとも一部の機能、例えば、状態可視化装置10の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0125】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の状態可視化システム(1)は、第1取得部(151)と、推定部(152)と、処理部(155)と、出力部(156)と、第2取得部(153)と、補正情報生成部(154)と、を備える。第1取得部(151)は、ユーザ(u1)の生体情報を計測する計測部(例えば、計測装置20)から生体情報を取得する。推定部(152)は、生体情報を用いてユーザ(u1)の心身の状態を表す推定値を推定する。処理部(155)は、推定値に基づいて、ユーザ(u1)の心身の状態に係る心身状態情報を生成する。出力部(156)は、心身状態情報に基づく表示を行う表示部(例えば、表示部13)に、心身状態情報を出力する。第2取得部(153)は、推定値が推定された際のユーザ(u1)の心身の状態に対して、ユーザ(u1)の主観に応じた主観値を取得する。補正情報生成部(154)は、推定値と主観値とを含む複数の組データを用いて、心身状態情報を生成する際の推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。処理部(155)は、補正情報に基づいて推定値に対して補正を行い、心身状態情報を生成する。
【0126】
この構成によると、推定値を、主観値を用いて生成された補正情報で補正するので、推定値をユーザ(u1)の主観に応じた値に近づけることができる。したがって、ユーザ(u1)に対してより精度の高い心身状態の推定結果を通知することができる。
【0127】
第2の態様の状態可視化システム(1)では、第1の態様において、推定部(152)は、心身の状態を表す第1種別の状態に対する第1種推定値と、心身の状態を表す第2種別の状態に対する第2種推定値と、をそれぞれ推定値として推定する。処理部(155)は、第1種推定値に基づいて前記心身状態情報として第1心身状態情報を、第2種推定値に基づいて前記心身状態情報として第2心身状態情報を、それぞれ生成する。出力部(156)は、第1心身状態情報と第2心身状態情報との組み合わせを座標として2次元マトリックスで表示するように、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示部に出力する。
【0128】
この構成によると、第1心身状態情報と第2心身状態情報とで表される心身状態を簡易に表示することができる。
【0129】
第3の態様の状態可視化システム(1)では、第2の態様において、第2取得部(153)は、表示部が第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示している場合に、2次元マトリックス上で指定された座標を取得する。第2取得部(153)は、座標で表される2つの値のうち第1種別に対応する値を第1種推定値に対応する主観値として、2つの値のうち第2種別に対応する値を第2種推定値に対応する主観値として、それぞれ取得する。
【0130】
この構成によると、第1種別に対する主観値と、第2種別に対応する主観値と、第1心身状態情報と第2心身状態情報とを表示中に取得することができる。すなわち、ユーザは、第1心身状態情報と第2心身状態情報とが表示されていときに、表示内容を参考に第1種別に対する主観値と、第2種別に対応する主観値とを入力することができる。
【0131】
第4の態様の状態可視化システム(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、補正情報生成部(154)は、複数の組データのうち、推定値が同一である所定数以上の組データを用いて、所定数以上の組データに含まれる複数の主観値の平均値を算出する。補正情報生成部(154)は、算出した平均値を推定値に対する補正情報として生成する。
【0132】
この構成によると、複数の主観値の平均値を補正情報として生成することができる。
【0133】
第5の態様の状態可視化システム(1)では、第4の態様において、補正情報生成部(154)は、推定値を含む組データが所定数未満である場合には、推定値を含む複数の組データに含まれる主観値と、推定値と連続する値である別の推定値を含む複数の別の組データに含まれる主観値とを用いて、平均値を算出することで、推定値に対する補正情報として生成する。
【0134】
この構成によると、組データが所定数未満であっても、補正情報を生成することができる。
【0135】
第6の態様の状態可視化システム(1)では、第4又は第5の態様において、補正情報は、対応する推定値の補正後の値としての補正推定値を含む。複数の推定値と、複数の推定値にそれぞれ対応する複数の補正推定値とが対応付けられている。複数の推定値のうち値が連続する第1推定値と第2推定値とにおいて、第1推定値が第2推定値より小さく、かつ複数の補正推定値のうち第1推定値に対する第1補正推定値が複数の補正推定値のうち第2推定値に対する第2補正推定値よりも大きい場合には、補正情報生成部(154)は、以下により補正情報を生成する。補正情報生成部(154)は、第3補正推定値に対応する複数の主観値と、第1推定値に対応する複数の主観値と、第2推定値に対応する複数の主観値との平均値を算出する。補正情報生成部(154)は、平均値を第2推定値に対する補正推定値として含む補正情報を生成する。ここで、第3補正推定値は、第2推定値と連続し、第2推定値よりも大きい第3推定値に対する補正推定値である。
【0136】
この構成によると、第1推定値と第2推定値との大小関係と、第1推定値に対する第1補正推定値と第2推定値に対する第2補正推定値との大小関係とが逆転することを防ぐことができる。
【0137】
第7の態様の状態可視化システム(1)では、第4~第6のいずれかの態様において、補正情報生成部(154)は、推定値が同一である複数の組データのうち推定値と主観値との差分が所定値以上である場合には、当該主観値を除いて平均値を算出する。
【0138】
この構成によると、主観値としてより信頼性の高い値を用いるので、より信頼性の高い補正推定値を算出することができる。
【0139】
第8の態様の状態可視化システム(1)では、第1~第7のいずれかの態様において、第2取得部(153)は、主観値を取得すると、当該主観値と、心身状態情報に応じた値であって推定部(152)が推定した推定値と、を対応付けて記憶部(11)に記憶する。補正情報生成部(154)は、補正情報を更新するための更新条件が成立すると、補正情報を更新する。
【0140】
この構成によると、補正情報を更新するので、より信頼性の高い心身状態情報を生成することができる。
【0141】
第9の態様の空間制御システム(2)は、第1~第8のいずれかの態様の状態可視化システム(1)が生成した心身状態情報に基づいて、空間制御を行う空間制御装置(30)を、備える。
【0142】
この構成によると、ユーザ(u1)の心身状態に対して適切に空間制御を行うことができる。
【0143】
第10の態様の状態可視化方法は、第1取得ステップと、推定ステップと、処理ステップと、出力ステップと、第2取得ステップと、補正情報生成ステップと、を含む。第1取得ステップは、ユーザ(u1)の生体情報を計測する計測部(例えば、計測装置20)から生体情報を取得する。推定ステップは、生体情報を用いてユーザ(u1)の心身の状態を表す推定値を推定する。処理ステップは、推定値に基づいて、ユーザ(u1)の心身の状態に係る心身状態情報を生成する。出力ステップは、心身状態情報に基づく表示を行う表示部(例えば、表示部13)に、心身状態情報を出力する。第2取得ステップは、推定値が推定された際のユーザ(u1)の心身の状態に対して、ユーザ(u1)の主観に応じた主観値を取得する。補正情報生成ステップは、推定値と主観値とを含む複数の組データを用いて、心身状態情報を生成する際の推定値に対する補正に係る補正情報を生成する。処理ステップは、補正情報に基づいて推定値に対して補正を行い、心身状態情報を生成する。
【0144】
この状態可視化方法によると、推定値を、主観値を用いて生成された補正情報で補正するので、推定値をユーザ(u1)の主観に応じた値に近づけることができる。したがって、ユーザ(u1)に対してより精度の高い心身状態の推定結果を通知することができる。
【0145】
第11の態様のプログラムは、コンピュータに、第10の態様の状態可視化方法を実行させるためのプログラムである。
【0146】
このプログラムによると、推定値を、主観値を用いて生成された補正情報で補正するので、推定値をユーザ(u1)の主観に応じた値に近づけることができる。したがって、ユーザ(u1)に対してより精度の高い心身状態の推定結果を通知することができる。
【符号の説明】
【0147】
1 状態可視化システム
2 空間制御システム
10 状態可視化装置
11 記憶部
13 表示部
20 計測装置
30 空間制御装置
151 第1取得部
152 推定部
153 第2取得部
154 補正情報生成部
155 処理部
156 出力部
u1 ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5