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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】警報器、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240126BHJP
   G08B 17/107 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B17/107 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022092721
(22)【出願日】2022-06-08
(62)【分割の表示】P 2018066187の分割
【原出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2022116336
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】向山 文祥
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3148429(JP,U)
【文献】特開2010-146391(JP,A)
【文献】特開2010-146393(JP,A)
【文献】特開2006-039818(JP,A)
【文献】特開2012-234385(JP,A)
【文献】特開2011-203807(JP,A)
【文献】特開2012-242880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に設置される警報器であって、
火災を検知する検知部と、
前記火災に関する情報を受けて前記火災が発生したか否かを判定する制御部と、
前記制御部にて前記火災が発生したと判定したときに、前記火災の発生を報知するように音を出力する第1出力部と、
前記情報に応じて、周囲の領域を照らす照明光を出力する第2出力部と、
前記制御部と、前記第1出力部と、前記第2出力部と、前記検知部と、を内部に収容する筐体と、
を備え、
前記筐体は、前記検知部に煙を導入可能な孔を備える周壁を含み、
前記第2出力部は、前記照明光を出力する出力期間として、明るさが段階的に変化する前記照明光を出力する連続点灯期間、を含み、
前記第2出力部は、前記連続点灯期間において、
前記連続点灯期間の開始から所定の期間までは、前記明るさが第1レベルに設定された前記照明光を出力し、
前記所定の期間を超えると、前記明るさが前記第1レベルよりも低い第2レベルに設定された前記照明光を出力する、
警報器。
【請求項2】
前記連続点灯期間は、前記制御部にて前記火災が発生したと判定すると開始される、
求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記出力期間は、点滅した前記照明光を出力する点滅期間を更に含む、
請求項1又は2に記載の警報器。
【請求項4】
前記連続点灯期間における前記照明光の前記明るさは、前記情報に含まれる事象レベルに応じて変わる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の警報器。
【請求項5】
前記第1出力部は、前記音の大きさが変化する前記音を出力する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の警報器。
【請求項6】
前記連続点灯期間における前記照明光の前記明るさは、前記音の大きさに応じて変わる、
請求項5に記載の警報器。
【請求項7】
前記筐体は、
前記第1出力部が出力した前記音を前記筐体の外部に導出する音響孔と、
前記第2出力部が出力した前記照明光を前記筐体の外部に導出する窓孔と、を備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の警報器。
【請求項8】
構造体に取り付けられる警報器の制御方法であって、
火災を検知する、検知ステップと、
前記火災に関する情報を受けて前記火災が発生したか否かを判定する、判定ステップと、
前記火災が発生したと判定したときに、第1出力部に、前記火災の発生を報知するように音を出力させる、第1出力ステップと、
前記情報に応じて、第2出力部に、周囲の領域を照らす照明光を出力させる、第2出力ステップと、
を有し、
前記警報器は、煙を導入可能な孔を備える周壁を含む筐体を備え、
前記検知ステップでは、前記煙を用いて前記火災を検知し、
前記第2出力ステップにおいて、前記第2出力部に前記照明光を出力させる出力期間は、明るさが段階的に変化する前記照明光を出力させる連続点灯期間、を含み、
前記第2出力ステップでは、前記連続点灯期間において、前記第2出力部に、
前記連続点灯期間の開始から所定の期間までは、前記明るさが第1レベルに設定された前記照明光を出力させ、
前記所定の期間を超えると、前記明るさが前記第1レベルよりも低い第2レベルに設定された前記照明光を出力させる、
制御方法。
【請求項9】
コンピュータシステムに請求項8に記載の制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、警報器、制御方法、及びプログラムに関し、より詳細には、特定事象が発生したことを報知する警報器、当該警報器の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1に記載の住警器を例示する。この住警器は、そのカバーの中央に、煙流入口を開口した検煙部を配置し、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出する。また住警器は、カバーにおける検煙部の左下側に音響孔を有し、その背後にスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力する。住警器は、住宅の居間や寝室等の例えば壁面に設置され、万一、火災が発生した場合には、火災を検出して警報を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-49604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、住人の避難時間をより短縮できる住警器(音響装置)が望まれる。例えば警報音に加えて別の報知機能を付加し、特定事象の発生時に警報音の出力とその報知機能の実行の両方を行うことが考えられる。しかし、警報音の出力のみの場合に比べて、消費電力が増加する可能性がある。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みてなされ、避難時間の短縮を図りつつ、消費電力の増加の抑制を図ることができる警報器、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る警報器は、構造体に設置される。前記警報器は、報知部と、制御部と、第1出力部と、第2出力部と、筐体と、を備える。前記検知部は、火災を報知する。前記制御部は、前記火災に関する情報を受けて前記火災が発生したか否かを判定する。前記第1出力部は、前記制御部にて前記火災が発生したと判定したときに、前記火災の発生を報知するように音を出力する。前記第2出力部は、前記情報に応じて、周囲の領域を照らす照明光を出力する。前記筐体は、前記制御部と、前記第1出力部と、前記第2出力部と、前記検知部と、を内部に収容する。前記筐体は、前記検知部に煙を導入可能な孔を備える周壁を含む。前記第2出力部は、前記照明光を出力する出力期間として、明るさが段階的に変化する前記照明光を出力する連続点灯期間、を含む。前記第2出力部は、前記連続点灯期間において、前記連続点灯期間の開始から所定の期間までは、前記明るさが第1レベルに設定された前記照明光を出力する。前記第2出力部は、前記連続点灯期間において、前記所定の期間を超えると、前記明るさが前記第1レベルよりも低い第2レベルに設定された前記照明光を出力する。
【0007】
本発明の一態様に係る制御方法は、構造体に設置される警報器の制御方法である。前記制御方法は、検知ステップと、判定ステップと、第1出力ステップと、第2出力ステップと、を有する。前記検知ステップでは、火災を検知する。前記判定ステップでは、火災に関する情報を受けて前記火災が発生したか否かを判定する。前記第1出力ステップでは、前記火災が発生したと判定したときに、第1出力部に、前記火災の発生を報知するように音を出力させる。前記第2出力ステップでは、前記情報に応じて、第2出力部に、周囲の領域を照らす照明光を出力させる。前記警報器は、煙を導入可能な孔を備える周壁を含む筐体を備える。前記検知ステップでは、前記煙を用いて前記火災を検知する。前記第2出力ステップにおいて、前記第2出力部に前記照明光を出力させる出力期間は、明るさが段階的に変化する前記照明光を出力させる連続点灯期間、を含む。前記第2出力ステップでは、前記連続点灯期間において、前記第2出力部に、前記連続点灯期間の開始から所定の期間までは、前記明るさが第1レベルに設定された前記照明光を出力させる。前記第2出力ステップでは、前記連続点灯期間において、前記第2出力部に、前記所定の期間を超えると、前記明るさが前記第1レベルよりも低い第2レベルに設定された前記照明光を出力させる。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに上記制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、避難時間の短縮を図りつつ、消費電力の増加の抑制を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る音響装置の外観図である。
図2図2は、同上の音響装置のブロック構成図である。
図3図3は、同上の音響装置の動作を説明するシーケンス図である。
図4図4は、同上の音響装置が設置されている寝室の様子を示す図である。
図5図5A及び図5Bは、同上の音響装置の変形例2の説明図である。
図6図6A及び図6Bは、同上の音響装置の変形例5の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)概要
以下の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。以下の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
本実施形態の音響装置1は、図4に示すように、構造体C1(天井や壁等の造営材)に設置される。音響装置1は、図2に示すように、制御部10と、第1出力部11と、第2出力部12と、を備える。制御部10は、特定事象に関する情報を受けて特定事象が発生したか否かを判定する。
【0013】
ここでは「特定事象」とは、一例として火災であることを想定する。したがって、音響装置1は、一例として、火災の発生時に警報音等の音を出力する火災警報器である。しかし、特定事象は、警報音の発報対象であれば、火災に限定されず、ガス漏れ、津波、地震、不審者の侵入等であってもよい。
【0014】
本実施形態の音響装置1は、図2に示すように、その内部に煙を検知する光電式のセンサ(検知部2)を、更に備えているが、検知部2は、熱を検知する定温式のセンサでもよい。また、検知部2は、音響装置1と別体であってもよい。音響装置1の制御部10は、検知部2を備えた別の音響装置(火災警報器)との通信により、火災に関する情報を受けてもよい。
【0015】
音響装置1は、住宅内の居室、寝室、階段、廊下等の構造体C1の一面(天井面又は壁面)に設置される。住宅は、戸建住宅、又は集合住宅(マンション)でもよい。更に、音響装置1は、住宅だけでなく非住宅の構造体C1(天井面又は壁面等)に設置されてもよい。非住宅の例としては、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等を含む。
【0016】
第1出力部11は、制御部10にて特定事象である火災が発生したと判定したときに、火災の発生を報知するように警報音を出力する。第2出力部12は、火災に関する情報に応じて、周囲の領域R1(図4参照)を照らす光を出力する。なお、第2出力部12の光を「照明光」と呼ぶこともあるが、第2出力部12の光は、一般的な照明器具が出力する照明光に比べて明るさの弱い、避難経路を照らす程度の光である。ここで言う「周囲の領域R1」は、音響装置1が天井面に設置される場合、天井面と対向する領域(例えば床面)であるが、音響装置1が壁面に設置される場合、当該壁面と対向する領域(例えば壁面
)である。
【0017】
そして本実施形態では、第2出力部12は、上記照明光として、点滅した第1照明光、及び明るさが段階的に変化する第2照明光のうち、少なくとも一方を出力する。
【0018】
この構成によれば、音の出力だけでなく照明光の出力も行う。そのため、避難時間の短縮を図ることができる。更に、第2出力部12が、第1照明光及び第2照明光のうち少なくとも一方を出力する。そのため、例えば照明光が一定の明るさレベルで連続点灯し続ける場合に比べて、消費電力の増加の抑制を図ることができる。
【0019】
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態の音響装置1の全体構成について詳しく説明する。ここでは、音響装置1は、一例として電池式の火災警報器である。ただし、音響装置1は、外部電源(例えば商用の電力系統)に電気的に接続され、外部電源から供給される交流電力(例えば実効値100V)を直流電流に変換して駆動する火災警報器であってもよい。
【0020】
以下では、図4に示すように、音響装置1が、一例として、住人100の住宅における寝室の天井面(構造体C1の一面)に設置されることを想定する。これにより、音響装置1の上下、左右の方向を、図1に図示されている上下、左右の矢印を用いて規定して説明する。これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。またこれらの方向は、音響装置1の使用方向を限定する趣旨ではない。
【0021】
音響装置1は、図2に示すように、制御部10、第1出力部(音出力部)11、第2出力部(照明光出力部)12、及び検知部2の他に、例えば、バッテリー13と、操作部3と、筐体4と、透光部5(図1参照)と、作動灯15と、を更に備えている。ここでは、音響装置1は、一例として、単独型の火災警報器であり、他の火災警報器と通信する通信機能を有していないものと想定する。
【0022】
(2.2)筐体
筐体4は、制御部10、第1出力部11、第2出力部12、バッテリー13、検知部2、作動灯15、及び、制御部10や各種の回路を構成する回路部品が実装される回路基板(不図示)等を内部に収容する。図示は省略するが、ここで言う各種の回路とは、例えば後述する音響回路、第1点灯回路、第2点灯回路、及び電源回路等である。
【0023】
筐体4は、合成樹脂製であり、例えば難燃性ABS樹脂製である。筐体4は、全体としてへん平な円筒状に形成されている。筐体4は、その上面に取付部を有しており、当該取付部によって構造体C1の一面(設置面)に取り付けられる。
【0024】
筐体4は、図1に示すように、その周壁400に、筐体4内に設けられているラビリンスに煙を導入可能な孔401を有している。筐体4は、その内部空間を上下2つに仕切る仕切壁を有している。ラビリンス及び検知部2は、上側の第1空間にあり、制御部10、第1出力部11、第2出力部12、作動灯15、及び回路基板等は、下側の第2空間にある。
【0025】
また筐体4は、その下壁(カバー)402に、一方向(図1では左右方向)に長尺のスリット状の窓孔403を有している。窓孔403は、筐体4内に収容されている第1出力部11と対向して配置されている。窓孔403は、第1出力部11から出力された音を筐体4の外部に導出する。
【0026】
また筐体4は、その下壁402において、透光部5の下面が筐体4の外部に露出するように、透光部5を支持している。透光部5は、透光性を有した円板状の部材である。透光部5は、アクリル樹脂やガラス等の材料により形成されている。透光部5は、筐体4内に収容されている第2出力部12と対向して配置されている。透光部5は、第2出力部12から出射された光(照明光)を、筐体4の外部に導出する。透光部5は、第2出力部12からの光を、周囲の領域R1に向けて配光するために、その外表面が凸状に形成されたレンズ部を有していてもよい。また、透光部5と第2出力部12との間には、第2出力部12からの光を、透光部5に効率良くガイドする、導光部材が設けられてもよい。
【0027】
更に筐体4は、その下壁402において、操作部3の下面が筐体4の外部に露出するように、操作部3を支持している。操作部3は、外部からの操作入力を受け付ける。操作部3は、ユーザの指等による押し操作により上方へ押し込み可能となっている。操作部3は、透光性を有した円板状の部材である。操作部3は、筐体4内に収容されている作動灯15と対向して配置されている。また、操作部3は、押し操作により、筐体4内に収容されている押し釦スイッチ(不図示)を押すように構成されている。
【0028】
本実施形態では、窓孔403及び操作部3は、一例として、下壁402の下面を下方から見たときに、窓孔403と操作部3とで下壁402の下面中央を間に挟むように、一方向(図1では左右方向)に並んでいる。また、透光部5は、下壁402の下面を下方から見たときに、下壁402の下面中央より前に配置されている。
【0029】
(2.3)第1出力部
第1出力部11は、音(音波)を出力する。第1出力部11は、制御部10にて火災が発生したと判定したときに、火災の発生を報知するように警報音を出力する。
【0030】
第1出力部11は、電気信号を音に変換するスピーカにより構成される。スピーカは、振動板を有し、電気信号に従って振動板を機械的に振動させることにより警報音を発する。スピーカは、正面視円形状に形成されており、円板状である。第1出力部11は、制御部10による制御下で、警報音(例えば「ピー」音)を出力する。第1出力部11は、警報音として報知性能を向上させるために、警報音の大きさ(音圧レベル)が変化する警報音を出力することが好ましい。警報音は、例えば、低音から高音にスイープさせたスイープ音を含んでもよい。警報音は、例えば「火事です。火事です。」といった音声メッセージを含んでもよい。ここでは、警報音は、スイープ音と、スイープ音に連続する音声メッセージとから構成されることを想定する。
【0031】
上記の回路基板には、例えば音響回路を構成する回路部品が実装されている。音響回路は、ローパスフィルタ、及び増幅器等を有する。音響回路は、火災発生時に制御部10にて生成された警報音に対応するPWM(Pulse Width Modulation)信号を受け取ると、ローパスフィルタで正弦波形の音声信号に変換し増幅器で増幅して、警報音として第1出力部11から出力させる。
【0032】
第1出力部11は、動作点検時においても、試験的に警報音を出力する。第1出力部11は、音響装置1の状態に応じて「正常です。」又は「異常です。」等といった音声メッセージを出力する。動作点検は、操作部3が操作されるか、又は筐体4から導出されている引き紐(不図示)が引っ張られることで実行可能となっている。第1出力部11は、バッテリー13の交換時期が近づいてきたときに、その旨を報知する音声メッセージを出力してもよい。バッテリー13は、例えばリチウム電池である。
【0033】
(2.4)第2出力部(照明光出力部)
第2出力部12は、照明光を出力する。第2出力部12は、制御部10の制御の下、火災に関する情報に応じて、周囲の領域R1を照らす照明光を出力する。本実施形態の第2出力部12は、照明光として、明るさが段階的に変化する照明光(第2照明光)を出力する。
【0034】
第2出力部12は、光源として上記の回路基板に実装された1又は複数の照明用白色LED(Light Emitting Diode)12Aを有している(図2参照)。第2出力部12は、通常時(火災の監視時)には消灯しており、制御部10にて火災が発生したと判定したときに点灯(照明光の出力)を開始する。
【0035】
LED12Aは、平板状の実装基板の実装面の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装された、パッケージ型のLEDとして構成される。LEDチップは、例えば、発光面から青色光を放射する青色発光ダイオードであることが好ましい。また、LEDチップを含む基板の実装面は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂で被われている。LED12Aは、そのアノード電極とカソード電極との間に直流電圧が印加されることにより、白色の照明光を発光面から放射するように構成されている。照明光の色は、白色に限定されず、他の光色でもよい。ただし、作動灯15の光色と被らないことが望ましい。
【0036】
上記の回路基板には、第2出力部12のLED12Aを点灯させるための第1点灯回路を構成する回路部品が実装されている。第1点灯回路は、制御部10による制御下で、バッテリー13から放電される直流電力を用いて、LED12Aを点灯させる。音響装置1が、商用の電力系統に電気的に接続されている場合には、第1点灯回路は、電力系統から供給される交流電力を直流電流に変換して、LED12Aを点灯させる。
【0037】
ここで、本実施形態の第2出力部12は、照明光(第2照明光)の出力の開始から所定の期間P0(図3参照)までは、調光レベル(明るさ)が第1調光レベル(第1レベル)に設定された照明光を出力する。また、第2出力部12は、所定の期間P0を超えると、調光レベルが第1調光レベルよりも低い第2調光レベル(第2レベル)に設定された照明光を出力する。第1調光レベルは、一例として100%である。第2調光レベルは、一例として50%である。
【0038】
第2出力部12から出射された光(照明光)は、透光部5を介して筐体4の外部に導出されて、周囲の領域R1(ここでは、寝室の床面及びベッド等)が照らされる。第2出力部12は、動作点検時においても試験的に点灯する。第2出力部12の動作点検は、第1出力部11と同様に、操作部3が操作されるか、又は引き紐が引っ張られることで実行可能となっている。第2出力部12は、動作点検時において、点検作業者が明るさの段階的変化を確認できるように、例えば数秒間第1調光レベルの照明光を出力し、その数秒後に第2調光レベルの照明光を出力することが好ましい。また、第1調光レベル及び第2調光レベルを、それぞれ適宜に調節できるように、調節用の摘み等が音響装置1に設けられてもよい。
【0039】
(2.5)作動灯
作動灯15は、光源として上記の回路基板に実装された赤色LED15Aを有している。作動灯15は、通常時(火災の監視時)には消灯しており、制御部10にて火災が発生したと判定したときに点滅(又は点灯)を開始する。
【0040】
上記の回路基板には、作動灯15のLED15Aを点滅させるための第2点灯回路を構成する回路部品が実装されている。第2点灯回路は、制御部10による制御下で、バッテリー13から放電される直流電力を用いて、LED15Aを点滅させる。音響装置1が、商用の電力系統に電気的に接続されている場合には、第2点灯回路は、電力系統から供給される交流電力を直流電流に変換して、LED15Aを点滅させる。
【0041】
作動灯15から出射された光は、透光性を有した操作部3を介して、筐体4の外部に導出される。住人100は、赤色に点滅する操作部3を視認することで、音響装置1が作動中(火災を検知中)であることを知ることができる。作動灯15は、動作点検時においても点滅する。作動灯15の動作点検は、第1出力部11と同様に、操作部3が操作されるか、又は引き紐が引っ張られることで実行可能となっている。また、作動灯15は、バッテリー13の交換時期が近づいてきたり、故障が発生したりしたときにも点滅する。点滅中に操作部3が操作されると、第1出力部11は、交換時期が近づいてきた旨又は故障が発生した旨を伝える音声メッセージを出力する。
【0042】
(2.6)検知部
検知部2は、特定事象である火災を検知する。ここでは、検知部2は、一例として、煙を検知する光電式のセンサである。検知部2は、図2に示すように、例えば、LED等の発光部21と、フォトダイオード等の受光部22とを備えている。発光部21及び受光部22は、筐体4のラビリンス内において、受光部22の受光面が、発光部21の照射光の光軸上から外れるように配置されている。火災の発生時には、煙が筐体4の周壁400にある孔401を通じて、ラビリンス内に導入され得る。
【0043】
筐体4のラビリンス内に煙が存在しない場合、発光部21の照射光は、受光部22の受光面にほとんど到達しない。一方、筐体4のラビリンス内に煙が存在する場合、発光部21の照射光が煙によって散乱し、散乱した光の一部が受光部22の受光面に到達する。つまり、検知部2は、煙によって散乱された発光部21の照射光を受光部22で受光する。
【0044】
検知部2は、制御部10と電気的に接続されている。検知部2は、受光部22で受光された光量に応じた電圧レベルを示す電気信号(検知信号)を制御部10に送信する。制御部10は、検知部2から受け取った検知信号の光量を煙濃度(事象レベル)に換算して火災の判定を行う。なお、検知部2は、受光部22で受光された光量を煙濃度に換算してから煙濃度に応じた電圧レベルを示す検知信号を制御部10に送信してもよい。あるいは、検知部2は、受光部22で受光された光量から火災(煙)の発生を判定し、火災が発生したという情報を含む検知信号を制御部10に送信してもよい。
【0045】
(2.7)制御部
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。言い換えれば、制御部10は、CPU及びメモリを有するコンピュータにて実現されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御部10として機能する。プログラムは、ここではメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0046】
制御部10は、第1出力部11、音響回路、第2出力部12、作動灯15、第1点灯回路、第2点灯回路、及び検知部2等を制御する。また、制御部10は、バッテリー13の直流電力から各種の回路の動作電力を生成する電源回路を制御する。
【0047】
制御部10は、特定事象である火災に関する情報を受けて、火災が発生したか否かを判定するように構成されている。具体的には、制御部10は、検知部2から受信する検知信号(情報)を監視し、検知信号に含まれている事象レベルが閾値を超えたか否かを判定する。事象レベルは、上述の通り、一例として変換後の煙濃度である。ただし、事象レベルは、光量でもよい。
【0048】
制御部10は、自身のメモリ内に閾値を記憶している。制御部10は、例えば、所定の時間間隔で、周期的に煙濃度が閾値を超えたか否かを判定し、一度でも煙濃度が閾値を超えれば、火災が発生したと決定してもよい。所定の時間間隔は、例えば5秒間隔である。あるいは、制御部10は、煙濃度が連続して閾値を超えた回数をカウントし、その回数が規定回数に到達したときに、火災が発生したと決定してもよい。もちろん、制御部10は、検知部2から火災が発生したという情報を含む検知信号を受信すれば、直接的に火災が発生したと決定してもよい。
【0049】
制御部10は、煙濃度に基づいて火災が発生したと判定すると、第1出力部11から警報音の出力を開始させる。具体的には、制御部10は、時間の経過に伴って周波数が直線的に変化するスイープ音に対応したPWM信号を生成し、音響回路に出力する。上記PWM信号は、音響回路にて音声信号に変換されて、スイープ音(警報音)が第1出力部11から出力される。また、制御部10は、自身のメモリ内に記憶されているメッセージデータに基づいて、音声メッセージに対応したPWM信号を生成し、音響回路に出力する。上記PWM信号は、音響回路にて音声信号に変換されて、音声メッセージ(警報音)が第1出力部11から出力される。
【0050】
また制御部10は、煙濃度に基づいて火災が発生したと判定すると、第2出力部12から照明光出力を開始させる。具体的には、制御部10は、火災が発生したと判定すると、第1調光レベルに対応したデューティ比の第1調光信号(PWM信号)を生成し、第1調光信号を第1点灯回路へ出力する。なお、デューティ比が0~5%のとき、調光レベル(出力レベル)は100%となり、デューティ比が98%以上(ただし100%を除く)のとき、調光レベルは5%(下限値)となる。そして、デューティ比が5%より大きく98%未満のとき、調光レベルは、デューティ比の増加に対して一定の割合で減少する。
【0051】
第1点灯回路は、制御部10から第1調光信号を受けると、第1調光信号に基づいて、第2出力部12が第1調光レベルで点灯するように、LED12Aに出力する出力電流を調整する(調光制御)。
【0052】
制御部10は、タイマを用いて照明光出力を開始した時点から経過した時間の計時を開始する。そして、制御部10は、所定の期間P0が経過すると、第2調光レベルに対応したデューティ比の第2調光信号(PWM信号)を生成し、第2調光信号を第1点灯回路へ出力する。
【0053】
第1点灯回路は、制御部10から第2調光信号を受けると、第2調光信号に基づいて、第2出力部12が第2調光レベルで点灯するように、LED12Aに出力する出力電流を調整する(ここでは、出力電流を減らす)。
【0054】
更に制御部10は、煙濃度に基づいて火災が発生したと判定すると、作動灯15から光出力を開始させる。具体的には、制御部10は、作動灯15を点滅させるための制御信号を、第2点灯回路に送信する。第2点灯回路は、制御部10から制御信号を受信すると、作動灯15を点滅させる。
【0055】
制御部10は、警報中(警報音を発報中)も煙濃度の判定を行なっている。制御部10は、もし警報中に煙濃度が、基準値以下になれば、PWM信号の生成を止めて第1出力部11による警報音の出力を停止し、また停止信号を第1点灯回路及び第2点灯回路にそれぞれ送信して、第2出力部12及び作動灯15からの光出力も停止する。つまり、制御部10は、火災(煙)が無くなったと判断すると、自動的に警報音の出力、照明光の出力、及び作動灯15の点滅を停止する。
【0056】
また制御部10は、警報中に、操作部3への押し操作により筐体4内の押し釦スイッチがオンされると、警報音の出力を停止する。もし住人100が、音響装置1の警報が誤報であると判断すれば、操作部3を押すことで、警報音の発報を停止することができる。警報音の発報の停止は、引き紐の引っ張りでも可能である。
【0057】
一方、制御部10は、非警報中に、操作部3への押し操作により筐体4内の押し釦スイッチがオンされると、動作点検用の所定の動作試験を実行する。動作試験は、第1出力部11の音出力試験、第2出力部12の照明光出力試験、作動灯15の点滅試験等を含む。動作試験は、引き紐の引っ張りでも可能である。
【0058】
(2.8)動作説明
以下、火災が発生したときの音響装置1の動作について、図3のシーケンス図と図4の寝室の様子を参照しながら説明する。なお、図4では、住人100は、深夜の時間帯に、寝室のベッドで就寝中であることを想定する。
【0059】
音響装置1の制御部10は、例えば5秒間隔で、煙濃度が閾値を超えたか否かの判定処理を繰り返し行う(図3のステップS1:監視)。制御部10は、火災が発生したと判定すると(図3のステップS2:火災確定)、その判定後直ちに音響回路にPWM信号を出力する。第1出力部11は、音響回路にてPWM信号から変換された音声信号を受け取り、警報音を出力する(図3のステップS3:音開始)。その結果、図4に示すように、警報音が寝室内に発報される。
【0060】
また制御部10は、火災確定後直ちに第1点灯回路に第1調光信号を出力する。したがって、第2出力部12は、第1点灯回路により調光制御され、第1調光レベル(一例として100%)で点灯する(図3のステップS4:照明(第1レベル))。その結果、図4に示すように、暗闇に近い状態にあった寝室は、第2出力部12の照明光により明るくなる。また制御部10は、タイマを用いて、照明光の出力を開始してから経過した時間の計時を開始する(図3のステップS5:計時)。
【0061】
更に制御部10は、火災確定後直ちに第2点灯回路に制御信号を出力する。したがって、作動灯15が点滅し始める(図3のステップS6:点滅開始)。
【0062】
制御部10は、第1調光レベルでの照明光の出力を開始してから所定の期間P0が経過すると、第1点灯回路に第2調光信号を出力する。したがって、第1調光レベルで点灯していた第2出力部12は、目標値となる第2調光レベル(一例として50%)に向かって徐々に暗くなる(図3のステップS7:照明(第2レベル))。その結果、寝室内の明るさが少し低下する。
【0063】
その後、制御部10は、煙濃度が基準値以下になったと判定すれば(図3のステップS8:煙消失)、第1出力部11の出力を停止させ(図3のステップS9:音停止)、更に第2出力部12の出力を停止させる(図3のステップS10:照明停止)。また制御部10は、作動灯15の点滅を停止させる(図3のステップS11:点滅停止)。
【0064】
ここで、例えば、深夜の時間帯に住宅で火災が発生した場合、住宅の寝室で就寝中の住人100は、警報音を聞いた後、暗闇に近い状態でベッドから起きて、ベッドから廊下に繋がるドアまでの経路や方向を、瞬間的に把握しにくい可能性がある。また住人100は、例えば、暗闇の中手探りで壁スイッチまで行き、寝室の照明を点けようとする可能性があり、壁スイッチをオンするまでの行動が、避難の遅れに繋がり得る。また、住人100が、例えば聴覚障害者であれば、警報音(音)だけでは、火災の発生に気づかない可能性もある。これに対して、音響装置1は、警報音だけでなく、第2出力部12の照明光を出
力するため、住人100は、ベッドから廊下に繋がるドアまでの経路(避難経路)を、瞬間的に把握することができ、寝室の照明を点けようとする時間が省かれる可能性が高くなる。また、住人100が聴覚障害者であっても、第2出力部12の照明光により、火災の発生に気づく可能性が高くなる。要するに、音響装置1は、警報音の出力だけでなく照明光の出力も行うため、避難時間の短縮を図ることができる。
【0065】
更に、音響装置1の第2出力部12は、警報中に、明るさが段階的に変化する照明光(第2照明光)を出力するため、例えば照明光が一定の明るさレベルで出力される場合に比べて、消費電力の増加の抑制を図ることができる。
【0066】
また、第2出力部12は、所定の期間P0が経過するまでは、第1調光レベルに設定された照明光(第2照明光)を出力し、所定の期間P0が経過すると第1調光レベルより低い第2調光レベルに設定された照明光(第2照明光)を出力する。したがって、所定の期間P0が経過した後の第2出力部12で消費される電力が抑制される。
【0067】
ところで、所定の期間P0は、火災の発生後、この期間内に住人100が避難を終えている必要があると考えられる期間である。所定の期間P0は、一例として5分である。この所定の期間P0が経過すると、住宅内で起こり得るフラッシュオーバー等により音響装置1自体が機能しなくなる可能性が高くなる。言い換えると、第2出力部12がこの最初の所定の期間P0内に多くの電力を消費してしまってもよいと考えられる。特に、本実施形態の音響装置1は、バッテリー13からの電力により動作するため、使用可能な電力には限りがある。したがって、使用可能な電力の一部を、照明光の出力において消費される電力に割くにあたって、主に最初の所定の期間P0で消費されることに重点を置くために、所定の期間P0の経過前と経過後とで、明るさを変えている。
【0068】
(3)変形例
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。以下に説明する変形例の各々は、上述した基本例や他の変形例と適宜組み合わせて適用可能である。
【0069】
(3.1)変形例1
基本例では、第1調光レベルが一例として100%で、第2調光レベルが一例として50%である。すなわち、基本例では、制御部10にて火災が発生したと判定した後(火災確定後)、時間の経過に伴い、第2出力部12は、明るさが段階的に弱くなる照明光を出力する。しかし、時間の経過に伴い、第2出力部12は、明るさが段階的強くなってもよい。
【0070】
例えば、深夜等の時間帯で住人100が就寝中に、警報音の発報が開始されて目を覚ましたときに、唐突に明るさの強い照明光が第2出力部12から出力されていると、住人100に眩しさ(グレア)による不快感を与える可能性がある。したがって、第2出力部12は、点灯開始時から数秒間においてやや弱い明るさの照明光を出力してもよい。
【0071】
(3.2)変形例2
基本例では、第2出力部12は、照明光として、明るさが段階的に変化する照明光(第2照明光)を出力する。しかし、第2出力部12は、照明光として、点滅した照明光(第1照明光)を出力してもよい。この構成においても、制御部10にて火災確定後、例えば第2出力部12が連続点灯のみを行う場合に比べて、避難時間の短縮を図りつつ、消費電力の増加の抑制を図ることができる。
【0072】
ところで、制御部10にて火災確定後、第2出力部12が、照明光を出力する期間(時間t0~t2)を出力期間P1とする(図5A及び図5B参照)。出力期間P1は、基本例の所定の期間P0に相当してもよいし、基本例の所定の期間P0より長い期間に相当してもよい。出力期間P1は、例えば、バッテリー13の電力を用いて100%の調光レベルで点灯可能な限界の期間でもよい。
【0073】
そして、出力期間P1は、図5A及び図5Bの各々に示すように、点滅した照明光(第1照明光)を出力する点滅期間P11と、連続点灯で照明光を出力する連続点灯期間P12とを含んでもよい。なお、連続点灯期間P12は、必須ではなく、出力期間P1の全期間が点滅期間P11であってもよい。
【0074】
点滅期間P11があることで、例えば出力期間P1内に点滅期間P11が含まれない場合に比べて、消費電力の増加の抑制を図ることができる。また、点滅期間P11があることで、住人100の注意を引きやすくすることができ、報知性能が更に向上される。
【0075】
点滅期間P11は、図5Aに示すように、例えば出力期間P1の開始時間t0と同時に始まってもよい。点滅期間P11(図5Aの時間t0~t1)は、一例として数秒~数十秒である。そして、時間t1で、点滅期間P11から連続点灯期間P12に移行する。このように、点滅期間P11が火災確定後直ちに始まることで、点滅する照明光によって就寝中の住人100が目を覚ます可能性を高めることができる。
【0076】
あるいは、点滅期間P11は、図5Bに示すように、連続点灯期間P12が経過した後(時間t3)に開始してもよい。この場合、連続点灯期間P12が、基本例の所定の期間P0に相当してもよい。要するに、第2出力部12は、制御部10にて火災確定後、例えば5分間は調光レベル100%で連続点灯し、5分が経過すると点滅してもよい。
【0077】
また連続点灯期間P12の中でも、基本例のように、明るさが段階的に変化してもよい。例えば、第2出力部12は、火災確定後1分間は点滅し、その後4分間は調光レベル100%で連続点灯し、5分経過後は調光レベル50%で連続点灯してもよい。更にあるいは、点滅期間P11が2つ以上設定されてもよい。出力期間P1内において、点滅期間P11、連続点灯期間P12及び点滅期間P11の順で設定されてもよい。
【0078】
更にあるいは、点滅した照明光の出力は、時間(期間)で区切って終了する以外にも、例えば、点滅する回数で区切って終了してもよい。第2出力部12は、例えば開始時間t0から3回点滅すると、点滅を終えて、連続点灯を開始してもよい。また、点滅期間P11内において、点滅する周期が時間の経過に伴い変化してもよい。
【0079】
(3.3)変形例3
基本例では、第2出力部12は、経過した時間に応じて明るさが段階的に変化する照明光(第2照明光)を出力する。しかし、照明光(第2照明光)の明るさの変化は、時間依存に限定されない。
【0080】
第2照明光の明るさは、例えば、特定事象に関する情報に含まれる事象レベルに応じて段階的に変わってもよい。基本例のように特定事象が火災であれば、第2照明光の明るさは、検知部2で検知される煙濃度又は光量に応じて変わってもよい。例えば、煙濃度の増加に伴って、第2照明光の明るさも増加してもよいし、逆に第2照明光の明るさは減少してもよい。特定事象がガス漏れであれば、第2照明光の明るさは、検知されるガス濃度に応じて変わってもよい。
【0081】
この場合、制御部10は、自身のメモリ内に複数の事象レベルと複数の調光レベルとが対応付けされたデータを予め記憶していることが好ましい。制御部10は、メモリ内の当該データを参照して、実際に検知された事象レベルに対応する調光レベルを決定し、当該調光レベルに対応したデューティ比の調光信号を生成してもよい。第1点灯回路は、その調光信号に基づいて、照明光を第2出力部12に出力させる。
【0082】
また基本例では、第2照明光の明るさは、第1調光レベルと第2調光レベルの2段階のみで変化していたが、3段階以上で変化してもよい。第2照明光の明るさは、検知される事象レベルに応じて漸増的又は漸減的に変化してもよい。
【0083】
このように第2照明光の明るさが事象レベルに応じて変わることで、住人100が照明光の明るさをもとに、発生している特定事象の事象レベルを認識できる。また、住人100の注意を引きやすくすることができる。
【0084】
更に、第2照明光の明るさは、例えば、第1出力部11の警報音の大きさ(音圧レベル)に応じて変わってもよい。この場合、警報音と照明光とに関連性を持たせることができる。第1出力部11の警報音は、例えば、スイープ音であってもよい。警報音の増加に伴って、第2照明光の明るさも増加してもよいし、逆に第2照明光の明るさは減少してもよい。
【0085】
この場合、制御部10は、例えば、音響回路へ出力されるPWM信号の周波数の増加に伴い、第1点灯回路に出力される調光信号のデューティ比を変化させることが好ましい。この構成において、例えば、警報音の増加に伴って第2照明光の明るさを減少させることで、警報音の出力に関する消費電力は増加する一方で、第2照明光の出力に関する消費電力を抑えることができる。
【0086】
(3.4)変形例4
基本例の音響装置1は、単独型の火災警報器であった。すなわち、基本例の音響装置1は、他の火災警報器と通信する通信機能を有していない。しかし、音響装置1は、他の火災警報器と通信する通信機能を有した、連動型の火災警報器であってもよい。通信は、無線で行われてもよいし、有線で行われてもよい。
【0087】
また、音響装置1は、火災警報器以外の機器と通信可能に構成されてもよい。火災警報器以外の機器とは、例えば、住人100が携帯する携帯端末(例えばスマートフォン)、及び住宅内に設置されているセキュリティ監視機器等である。
【0088】
(3.5)変形例5
ところで、音響装置1は、図6A及び6Bに示すような構造を有してもよい(変形例5)。本変形例の音響装置1は、筐体4の一面40(図6Aでは下面)において、上方に凹んだ、円環状のスリット9を有している、スリット9は、筐体4を下方から見たときに、筐体4の円形の外周に沿うように形成されている。円環状のスリット9の中心は、筐体4の円形の外周の中心と略一致する。スリット9は、その内面(例えば内底面)に、警報音を筐体4の外部に導出する音響孔H1と、照明光を筐体4の外部に導出する窓孔H2と、を有している。第1出力部11(スピーカ)は、音響孔H1と対向するように筐体4内に収容されている。第2出力部12は、窓孔H2と対向するように筐体4内に収容されている。
【0089】
本変形例によれば、音響孔H1と窓孔H2とがスリット9の内面に設けられているため、これらの孔が目立ち難い構造となっている。したがって、外観上の見栄えが損なわれることを抑制しつつ、避難時間の短縮を図ることができる。
【0090】
(3.6)その他の変形例
基本例における音響装置1(主に制御部10)と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。ここで、音響装置1又は制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、音響装置1又は制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0091】
特に基本例では、制御部10が、火災の判定だけでなく、音響回路へ出力するPWM信号の生成、及び第1点灯回路へ出力する調光信号の生成等も行なっているが、これらの機能は、例えば2つ以上のプロセッサで分散して実行されてもよい。また、第1点灯回路及び第2点灯回路は、例えば1つの点灯回路として構成されてもよい。
【0092】
また、基本例の音響装置1は、1つの装置で実現されているが、この構成に限定されない。例えば、音響装置1の制御部10、第1出力部11、第2出力部12、検知部2、操作部3、作動灯15、第1点灯回路、第2点灯回路、音響回路、及び電源回路等の機能のうちの少なくとも1つの機能が、2つ以上の装置に分散して設けられてもよい。また、音響装置1における少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0093】
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る音響装置(1)は、構造体(C1)に設置される。音響装置(1)は、制御部(10)と、第1出力部(11)と、第2出力部(12)と、を備える。制御部(10)は、特定事象に関する情報を受けて特定事象が発生したか否かを判定する。第1出力部(11)は、制御部(10)にて特定事象が発生したと判定したときに、特定事象の発生を報知するように音を出力する。第2出力部(12)は、上記情報に応じて、周囲の領域(R1)を照らす照明光を出力する。第2出力部(12)は、上記照明光として、点滅した第1照明光、及び明るさが段階的に変化する第2照明光のうち、少なくとも一方を出力する。第1の態様によれば、避難時間の短縮を図りつつ、消費電力の増加の抑制を図ることができる。
【0094】
第2の態様に係る音響装置(1)に関して、第1の態様において、第2出力部(12)は、制御部(10)にて特定事象が発生したと判定すると第2照明光の出力を開始することが好ましい。第2出力部(12)は、第2照明光の出力の開始から所定の期間(P0)までは、明るさが第1レベルに設定された第2照明光を出力することが好ましい。また、第2出力部(12)は、所定の期間(P0)を超えると、明るさが第1レベルよりも低い第2レベルに設定された第2照明光を出力することが好ましい。第2の態様によれば、例えば照明光の明るさが所定の期間(P0)を超えた後も第1レベルのままで一定の場合に比べて、消費電力の増加の抑制を図ることができる。
【0095】
第3の態様に係る音響装置(1)に関して、第1又は第2の態様において、第2出力部(12)は、照明光を出力する出力期間(P1)として第1照明光を出力する点滅期間(P11)と連続点灯で照明光を出力する連続点灯期間(P12)とを含むことが好ましい。第3の態様によれば、例えば出力期間(P1)内に点滅期間(P11)が含まれない場
合に比べて、消費電力の増加の抑制を図ることができる。また、点滅期間(P11)があることで、ユーザ(例えば住人)の注意を引きやすくすることができ、報知性能が更に向上される。
【0096】
第4の態様に係る音響装置(1)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、第2照明光の明るさは、上記情報に含まれる事象レベルに応じて変わることが好ましい。第4の態様によれば、ユーザが照明光の明るさをもとに、発生している特定事象の事象レベルを認識できる。また、ユーザの注意を引きやすくすることができる。
【0097】
第5の態様に係る音響装置(1)に関して、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、第1出力部(11)は、音の大きさが変化する音を出力することが好ましい。第5の態様によれば、警報音として報知性能が更に向上される。
【0098】
第6の態様に係る音響装置(1)に関して、第5の態様において、第2照明光の明るさは、音の大きさに応じて変わることが好ましい。第6の態様によれば、音と照明光とに関連性を持たせることができる。
【0099】
第7の態様に係る音響装置(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、特定事象とは、火災であることが好ましい。音響装置(1)は、火災を検知する検知部(2)を、更に備えることが好ましい。制御部(10)は、検知部(2)からの検知結果を上記情報として受けて火災が発生したか否かを判定することが好ましい。第7の態様によれば、火災の発生に対する避難時間の短縮を図りつつ、消費電力の増加の抑制を図ることができる、検知部(2)付きの音響装置(1)を提供できる。
【0100】
第8の態様に係る制御方法は、構造体(C1)に設置される音響装置(1)の制御方法である。制御方法は、判定ステップと、第1出力ステップと、第2出力ステップと、を有する。判定ステップでは、特定事象に関する情報を受けて特定事象が発生したか否かを判定する。第1出力ステップでは、特定事象が発生したと判定したときに、第1出力部(11)に、特定事象の発生を報知するように音を出力させる。第2出力ステップでは、上記情報に応じて、第2出力部(12)に、周囲の領域(R1)を照らす照明光を出力させる。第2出力ステップにおいて、上記照明光として、点滅した第1照明光、及び明るさが段階的に変化する第2照明光のうち、少なくとも一方を、第2出力部に、出力させる。第8の態様によれば、避難時間の短縮を図りつつ、消費電力の増加の抑制を図ることが可能な制御方法を提供できる。
【0101】
第9の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに第8の態様における制御方法を実行させる。第9の態様によれば、避難時間の短縮を図りつつ、消費電力の増加の抑制を図ることが可能な機能を提供できる。
【符号の説明】
【0102】
1 音響装置
10 制御部
11 第1出力部
12 第2出力部
2 検知部
C1 構造体
R1 周囲の領域
P0 所定の期間
P1 出力期間
P11 点滅期間
P12 連続点灯期間

図1
図2
図3
図4
図5
図6