(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240126BHJP
G02B 13/16 20060101ALI20240126BHJP
G02B 17/02 20060101ALI20240126BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240126BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B13/16
G02B17/02
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2020185448
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020023267
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】羽田 崇人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 智明
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189901(JP,A)
【文献】特開平9-49979(JP,A)
【文献】国際公開第2019/008684(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109597208(CN,A)
【文献】国際公開第2016/038767(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚像が投影される表示媒体と、
画像を表示する表示部と、
前記表示部によって表示される画像を前記表示媒体に導くことによって、前記表示媒体に対して観察者と反対側に虚像を形成する投射光学系とを備え、
前記投射光学系は、前記表示部より上方に配置され、前記画像の表示光を反射する第1ミラーを有し、
前記第1ミラーの中心と前記表示部の中心とを結ぶ線分が前記第1ミラーの中心における第1法線となす角をθ、前記第1ミラーの中心と前記表示部の中心とを結ぶ線分が前記表示部の中心における第2法線となす角をα、前記第1ミラーにおける前記表示部側の端縁の前記第1ミラーの中心に対する傾斜角をφとすると、以下の式1を満たす
3<α-(θ+φ)/2<11.7 ・・・(式1)
ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記αは、さらに以下の式2を満たす
3<α-2(θ+φ)/3<5.7 ・・・(式2)
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
さらに、前記第1ミラーからの前記表示光を前記表示媒体に向けて反射する第2ミラーを備え、
前記表示部の中心と前記第1ミラーの中心とを結ぶ線分の長さをL1、前記第1ミラーの中心と前記第2ミラーの中心とを結ぶ線分の長さをL2とすると、以下の式3を満たす
0.3<L1/L2<0.6 ・・・(式3)
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記第2ミラーの中心近傍の反射面は、凹面である
請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記φは、以下の式4を満たす
φ<3(deg) ・・・(式4)
請求項1~4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記第1ミラーの上下方向の長さをD、アイボックスの中心と前記虚像の表示中心とを結んだ線分の長さをVIDとすると、以下の式5を満たす
D/VID<0.04 ・・・(式5)
請求項1~5のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記第1ミラーの周縁の反射面の少なくとも一部は、凹面である
請求項1~6のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両などに搭載されるヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両などに搭載されるヘッドアップディスプレイが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、2枚のミラーを用いたヘッドアップディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヘッドアップディスプレイは、ダッシュボード内に配置されることが多いが、他の機器類との配置スペースの関係上、小型化されることが望まれる。しかしながら、上記特許文献1のヘッドアップディスプレイでは、小型化すると、ヘッドアップディスプレイに入射した太陽光が内部で反射して観察者(例えば、運転車)の眼に到達する可能性があるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、小型化しても太陽光が内部で反射して観察者の眼に到達することを抑制することができるヘッドアップディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るヘッドアップディスプレイは、虚像が投影される表示媒体と、画像を表示する表示部と、前記表示部によって表示される画像を前記表示媒体に導くことによって、前記表示媒体に対して観察者と反対側に虚像を形成する投射光学系とを備え、前記投射光学系は、前記表示部より上方に配置され、前記画像の表示光を反射する第1ミラーを有し、前記第1ミラーの中心と前記表示部の中心とを結ぶ線分が前記第1ミラーの中心における第1法線となす角をθ、前記第1ミラーの中心と前記表示部の中心とを結ぶ線分が前記表示部の中心における第2法線となす角をα、前記第1ミラーにおける前記表示部側の端縁の前記第1ミラーの中心に対する傾斜角をφとすると、以下の式を満たす。
【0007】
3<α-(θ+φ)/2<11.7
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係るヘッドアップディスプレイによれば、小型化しても太陽光が内部で反射して観察者の眼に到達することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイを車室から見た場合の模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイの内部構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイにおける太陽光の反射を抑制するための条件を説明するための図である。
【
図4】
図4は、太陽光の反射を抑制するための条件を満たさない場合を説明するための第1図である。
【
図5】
図5は、太陽光の反射を抑制するための条件を満たさない場合を説明するための第2図である。
【
図6】
図6は、太陽光の反射を抑制するための条件を満たさない場合を説明するための第3図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における第1ミラーと表示部との第1距離、及び、第1ミラーと第2ミラーとの第2距離を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイにおける表示部の座標系を示す概略図である。
【
図9】
図9は、比較例に係るヘッドアップディスプレイを説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、比較例に係るヘッドアップディスプレイにおいて太陽光が入射したときの様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
ヘッドアップディスプレイ等の車両に搭載される表示装置は、車両に関するあらゆる情報を、画像(例えば、数字、文字及び矢印などの図形を含む視覚情報)として当該車両を操作する運転者等のユーザに対して視認させる装置である。特に、ヘッドアップディスプレイは、例えば、車両のコックピットの前方に設置されるウインドシールド(フロントガラス)やコンバイナを表示媒体として、当該ウインドシールド等に画像を投影して反射させることによって、画像を虚像としてユーザに視認させる。この際、ウインドシールドやコンバイナが透光性を有することにより、車両の外側から入射する光は、ウインドシールド越しに見える景色として虚像とともにユーザに視認される。
【0011】
図9は、比較例に係るヘッドアップディスプレイ200を説明するための模式図である。具体的には、
図9は、虚像を形成しているときの様子を示す模式図である。比較例に係るヘッドアップディスプレイ200は、小型化されたヘッドアップディスプレイであり、例えば、「背景技術」の欄において記載した特許文献1のヘッドアップディスプレイが小型化されたヘッドアップディスプレイであってもよい。なお、ここでの小型化とは、例えば、後述する表示部222と第1ミラー223との距離を短縮することを意味する。
【0012】
また、
図9では、比較例に係るヘッドアップディスプレイ200を、表示媒体210を通り、かつ、運転者の眼300から見た上下方向に沿う断面で切断した図を示している。
図9は、車両を側方から見たときの、表示媒体210と運転者の眼300とを結んだ直線を通り、かつ、運転者の眼300から見た上下方向に沿う断面で切断した断面図であるとも言える。ここで、
図9では、表示媒体210はウインドシールドである例を示している。また、
図9には、便宜上、ユーザに視認される虚像、及び当該虚像を形成するために投影部220から投影される光線を実体として図示している。なお、断面のハッチングは、便宜上、省略している。
【0013】
図9に示すように、ヘッドアップディスプレイ200は、表示媒体210と、投影部220とを有する。投影部220は、筐体221と、表示部222と、第1ミラー223と、第2ミラー224とを有する。筐体221には、表示部222と、第1ミラー223と、第2ミラー224とが収納され、第2ミラー224から表示媒体210に向かう光が通過する開口(図示しない)が形成されている。
【0014】
比較例に係るヘッドアップディスプレイ200では、投影部220が表示媒体210に投影して反射させた画像によって、ユーザが視認可能な虚像を形成する。ヘッドアップディスプレイ200は、投影部220の表示部222から表示光が複数のミラー(例えば、第1ミラー223及び第2ミラー224)によって反射された反射光が表示媒体210により運転者の眼300に入射するように設計される。
【0015】
このようなヘッドアップディスプレイ200において、太陽光などの外光が入射した場合について説明する。
図10は、比較例に係るヘッドアップディスプレイ200において太陽光が入射したときの光路を示す模式図である。なお、
図10では、ヘッドアップディスプレイ200に入射した太陽光のうち代表的な光のみを図示している。
【0016】
図10に示すように、表示媒体210に入射した光は、第2ミラー224、第1ミラー223及び表示部222の順に反射する。ここで、小型化されていないヘッドアップディスプレイであれば、表示部222で反射された光は、第1ミラー223の外部に向けて出射される。一方、小型化されたヘッドアップディスプレイ200では表示部222と第1ミラー223との距離が近いので、表示部222で反射された光は、第1ミラー223、第2ミラー224及び表示媒体210の順に反射し、運転者の眼300に到達する(
図10中の破線を参照)。この光は、運転者の走行上及び健康上の危険を及ぼす。
【0017】
上記のように、比較例に係るヘッドアップディスプレイ200を小型化すると、太陽光がヘッドアップディスプレイ200の内部で反射して運転者の眼300に到達してしまう。そのため、比較例に係るヘッドアップディスプレイ200は、小型化に限界がある。
【0018】
そこで、本願発明者らは、小型化しても太陽光が内部で反射して運転者の眼に到達することを抑制することができるヘッドアップディスプレイについて鋭意検討を行い、以下に説明するヘッドアップディスプレイを創案した。
【0019】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0020】
なお、以下で説明する実施の形態及び変形例は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0021】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0022】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、凹面形状などの要素の形状を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0023】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方(鉛直上方)及び下方(鉛直下方)を指すものではなく、表示媒体及び投影部の相対的な位置関係により規定される用語として用いる。「上方」は、表示媒体及び投影部のうち表示媒体側を意味し、「下方」は、表示媒体及び投影部のうち投影部側を意味する。また、鉛直下方などの表現は、実質的に鉛直下方であることを含む。
【0024】
(実施の形態)
[1.ヘッドアップディスプレイの構成]
まず、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイの概要について説明する。
図1は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100を車室から見た場合の模式図である。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100は、車両30に搭載されて虚像を形成する。この虚像は、例えば車両30の前方外側に存在するように、車両30の運転者に視認される。ヘッドアップディスプレイ100は、車両30のダッシュボード31に埋設されるようにして搭載される。なお、
図1中では、ヘッドアップディスプレイ100が埋設されたダッシュボード31内に投影部20が配置されている。また、運転者は、ヘッドアップディスプレイ100の虚像を視認する観察者の一例である。
【0026】
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ100は、表示媒体10と、投影部20とを有する。
【0027】
表示媒体10は、表示媒体10越しに視認される景色に重畳して投影された画像の虚像を運転者に視認させる。表示媒体10は、透光性を有する部材であり、例えばウインドシールドやコンバイナにより実現される。表示媒体10には、虚像が投影される。本実施の形態では、表示媒体10はウインドシールドである例について説明する。また、表示媒体10は、投影部20より上方に配置される。
【0028】
投影部20は、表示媒体10に投影して反射させた画像によって、運転者が視認可能な虚像を形成する。投影部20から投影された画像は、表示媒体10において反射されて運転者の眼300に入射する。これにより、投影部20は、表示媒体10が透光性を有するため、車両30の表示媒体10越しに視認される景色に重畳して投影された画像の虚像を運転者に視認させる。
【0029】
図2は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100の内部構成を示す図である。具体的には、
図2は、投影部20の構成を示す断面図である。
図2は、
図9と同様の断面でヘッドアップディスプレイ100を切断したときの断面図である。
【0030】
図2に示すように、投影部20は、筐体21と、表示部22と、第1ミラー23と、第2ミラー24とを有する。
【0031】
筐体21は、表示部22、第1ミラー23及び第2ミラー24を収納する。筐体21は、例えば樹脂成型品であって、車両30のダッシュボード31の内部に配置される。また、筐体21には、第2ミラー24から表示媒体10に向かう光が通過する開口(図示しない)が形成されている。
【0032】
表示部22は、運転者に虚像として視認される画像を表示する。表示部22は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。なお、表示部22は、LCD以外のデバイス、例えば有機発光ダイオード(エレクトロルミネッセンス)、蛍光表示装置(セブンセグメント)などであってもよい。また、表示部22は、プロジェクタ又は走査型レーザであってもよい。このような表示部22は、筐体21の底面側に収納されて、車両30の後方上側に向けて画像を表示する。
【0033】
第1ミラー23及び第2ミラー24は、投射光学系の一例である。投射光学系は、表示部22によって表示される画像を表示媒体10に導くことによって、表示媒体10に対して運転者と反対側に虚像を形成する。
【0034】
第1ミラー23は、表示部22によって表示される画像の表示光を受けると、その表示光を第2ミラー24に向けて反射する。例えば、第1ミラー23は、車両30の前方側に表示光を反射する。第1ミラー23は、表示部22から表示媒体10へ向かう光路において、表示部22に最も近い側に配置されたミラーである。また、第1ミラー23は、表示部22より上方に配置される。
【0035】
第1ミラー23の反射面は、例えば凹面形状である。第1ミラー23の周縁の反射面の少なくとも一部は、凹面であってもよい。言い換えると、第1ミラー23の周縁は反射面であり、当該反射面の少なくとも一部が凹面であってもよい。
【0036】
第2ミラー24は、表示部22からの表示光を、第1ミラー23を介して、表示媒体10に導く。第2ミラー24は、第1ミラー23から表示光を受けると、その表示光を表示媒体10に向けて反射する。例えば、第2ミラー24は、車両30の後方上側に光を反射する。その結果、表示媒体10は、第2ミラー24から表示光を受けると、その表示光を運転者の視点に向けて反射する。これにより、運転者は、表示媒体10を介して、車両30の前方外側にある道路、歩行者又は構造物などのオブジェクトと共に、そのオブジェクトに重畳される虚像を視認することができる。
【0037】
第2ミラー24は、表示部22から表示媒体10へ向かう光路において、第1ミラー23より表示媒体10に近い側に配置されたミラーである。また、第2ミラー24は、表示部22より上方に配置される。第2ミラー24は、例えば、当該光路において、表示媒体10に最も近い側に配置されたミラーであってもよい。この場合、第2ミラー24は、表示媒体10の鉛直下方に配置される。
【0038】
第2ミラー24の反射面は、例えば凹面形状である。第2ミラー24の中心近傍の反射面は、凹面であってもよい。なお、中心近傍は、例えば、第2ミラー24の中心を含み、かつ、第2ミラー24の面積の10%程度の領域を示す。第2ミラー24の中心は、例えば、第2ミラー24の図心(例えば、重心位置)である。また、面積は、投影面積であってもよいし、反射面の表面積であってもよい。
【0039】
ここで、投影部20を構成する各構成要素における各種角度について
図2を参照しながら説明する。なお、以下で説明する角度θ、α、φは、
図2に示す断面における角度である。本実施の形態では、角度θ、α、φは、紙面上における左側が車両30の前方(例えば、運転者が見ている方向)であり、紙面上における右側が車両30の後方としたときに、車両30を左側から見たときの角度である。
【0040】
角度θは、第1ミラー23の中心と、表示部22の中心とを結ぶ線分sが、第1ミラー23の中心における法線n1となす角度である。なお、第1ミラー23の中心は、例えば第1ミラー23の図心であり、表示部22の中心は、虚像を形成するための表示を行っている領域(例えば、後述する
図8に示す表示画像400)の中心である。表示部22の中心は、当該表示部22が表示光を通過する開口が形成された部材(例えば、板状の部材)で覆われている場合、当該開口の中心であってもよい。また、角度θは、法線n1を基準に、当該法線n1より下方に向かう方向、
図2の例では反時計回りの方向(後述する
図3における角度θの方向を示す矢印参照)を正とする。
図2では、角度θが正である場合を示している。法線n1は、第1法線の一例である。
【0041】
角度αは、線分sが表示部22の中心の法線n2となす角度である。角度αは、法線n2を基準に、当該法線n2より上方に向かう方向、
図2の例では反時計回りの方向を正とする。
図2では、角度αが正である場合を示している。法線n2は、第2法線の一例である。
【0042】
角度φは、第1ミラー23における表示部22側の端縁(例えば、下方側の端縁)の第1ミラー23の中心に対する傾斜角である。具体的には、角度φは、表示部22側の端縁における接線t2が第1ミラー23の中心における接線t1となす角度である。角度φは、接線t1を基準に、
図2の例では時計回りの方向を正とする。
図2では、角度φが正である場合を示しており、
図2に示すように、第1ミラー23の反射面が凹面になるときのφを正とする。なお、第1ミラー23における表示部22側の端縁は、例えば、第1ミラー23の最下部であってもよい。
【0043】
角度φは、例えば、以下の式1を満たすとよい。
【0044】
φ<3deg (式1)
【0045】
次に、太陽光がヘッドアップディスプレイ100の内部で反射して運転者の眼300に到達することを抑制することができる条件について説明する。
図3は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100における太陽光の反射を抑制するための条件を説明するための図である。
図3は、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100が備える表示部22と第1ミラー23とを示している。なお、
図3に示す実線は、第1ミラー23の中心に角度θで入射する太陽光の光路LPを示している。光路LPは、太陽光の代表的な光路を示しており、この光路LPを通る太陽光がヘッドアップディスプレイ100内部で反射して逆戻りした場合、運転者の眼300に向かう太陽光の代表的な光路となる。また、入射角と反射角とは、等しい(正反射する)ものとする。
【0046】
図3に示すように、太陽光は、第1ミラー23の位置P1に入射すると、角度θの反射角で反射される。位置P1は、例えば、第1ミラー23の中心である。そして、第1ミラー23で反射された太陽光は、表示部22の位置P2に入射する。位置P2は、例えば、表示部22の中心である。このときの太陽光の入射角度は、角度αである。太陽光は、表示部22の位置P2に入射すると、第1ミラー23に向けて角度αの反射角で反射される。なお、位置P1~位置P2までの光路LPは、
図2に示す線分s上を通過する光路である。
【0047】
そして、表示部22で反射された太陽光は、第1ミラー23の位置P3に入射する。位置P3は、位置P1とは異なる位置であり、かつ、位置P1より下方側の位置である。太陽光は、第1ミラー23の位置P3に入射すると、表示部22に向けて反射される。
【0048】
ここで、位置P3で反射された太陽光の反射角は、位置P3における法線n3を基準に、以下の式2で算出される。
【0049】
反射角=2α-θ-φ (式2)
【0050】
ここで、反射角は、法線n3を基準に、反時計回り(
図3における反射角2α-θ-φの方向を示す矢印参照)を正とする。
図3では、反射角が正である場合を示している。なお、法線n3は、例えば、法線n1と平行ではない。
【0051】
そして、第1ミラー23により式2で算出される反射角で反射された太陽光は、表示部22の位置P4に入射する。位置P4は、位置P2とは異なる位置であり、かつ、位置P2より下方側の位置である。太陽光は、表示部22の位置P4に入射すると、表示部22に向けて反射される。
【0052】
ここで、位置P4に入射した太陽光の反射角は、位置P4における法線n4を基準に、以下の式3で算出される。
【0053】
反射角=3α-2θ-2φ (式3)
【0054】
ここで、反射角は、法線n4を基準に、時計回り(
図3における反射角3α-2θ-2φの方向を示す矢印参照)を正とする。
図3では、反射角が正である場合を示している。なお、法線n4は、例えば、法線n2と平行である。
【0055】
また、位置P4において反射された太陽光が、第1ミラー23の最下部に入射しないように第1ミラー23の形状、並びに、第1ミラー23及び表示部22の姿勢、位置が設定されるとよい。これにより、位置P4において反射された太陽光が、第1ミラー23で表示部22側に再び反射されることを抑制することができる。
【0056】
位置P1で太陽光が逆戻りしない条件、つまり太陽光が運転者の眼300に到達しない条件を、以下の式4に示す。
【0057】
θ>0 (式4)
【0058】
式4を満たすことで、位置P1における反射光は、下方側(例えば、表示部22側)に反射される。
【0059】
また、位置P2で太陽光が逆戻りしない条件を、以下の式5に示す。
【0060】
α>0 (式5)
【0061】
式5を満たすことで、位置P2における反射光は、下方側(例えば、第1ミラー23の最下部側)に反射される。
【0062】
また、位置P3で太陽光が逆戻りしない条件を、以下の式6に示す。
【0063】
2α-θ-φ>0 (式6)
【0064】
式6を満たすことで、位置P3における反射光は、下方側(例えば、表示部22の最下部側)に反射される。なお、式6に基づいて角度αが満たす条件を、以下の式7で示す。
【0065】
0<α-(θ+φ)/2 (式7)
【0066】
角度αが式7を満たすことで、光路LPを通る太陽光が位置P3で反射して運転者に向かって逆戻りすることを抑制することができる。
【0067】
また、位置P4で太陽光が逆戻りしない条件を、以下の式8に示す。
【0068】
3α-2θ-2φ>0 (式8)
【0069】
式8を満たすことで、位置P4における反射光は、下方側(例えば、第1ミラー23の最下部側)に反射される。なお、式8に基づいて角度αが満たす条件を、以下の式9で示す。
【0070】
0<α-2(θ+φ)/3 (式9)
【0071】
角度αが式9を満たすことで、光路LPを通る太陽光が位置P4で反射して運転者に向かって逆戻りすることを抑制することができる。
【0072】
次に、上記の条件を満たさない場合について、
図4~
図6を参照しながら説明する。なお、以下では、上記の式5、7及び9を満たさない場合について説明する。式4は、太陽光が表示部22側から第1ミラー23に入射する条件であり、現実的に起こりにくいので説明を省略する。また、
図4~
図6において、入射した太陽光を実線で示し、逆戻りした太陽光を破線で示す。
【0073】
図4は、太陽光の反射を抑制するための条件を満たさない場合を説明するための第1図である。具体的には、
図4は、式5を満たさない場合を説明するための図である。
【0074】
図4に示すように、角度αが負である場合、つまり、表示部22aの位置P2における法線n2より位置P1と位置P2とを結んだ線分sが下向きとなる場合、位置P2での反射光は、逆戻りする。これにより、太陽光が運転者の眼300に到達してしまう。
【0075】
図5は、太陽光の反射を抑制するための条件を満たさない場合を説明するための第2図である。具体的には、
図5は、式7を満たさない場合を説明するための図である。
【0076】
図5に示すように、式7を満たさない場合、つまり、第1ミラー23aの位置P3における法線n3より位置P3での反射光の方向が上向きとなる場合、位置P3での反射光は、逆戻りする。これにより、太陽光が運転者の眼300に到達してしまう。
【0077】
図6は、太陽光の反射を抑制するための条件を満たさない場合を説明するための第3図である。具体的には、
図6は、式9を満たさない場合を説明するための図である。
【0078】
図6に示すように、式9を満たさない場合、つまり、表示部22aの位置P4における法線n4より位置P4での反射光の方向が上向きとなる場合、位置P4での反射光は、逆戻りする。これにより、太陽光が運転者の眼300に到達してしまう。しかしながら、反射光の強度を人体への影響がないレベルまで低下させることができれば、式9を満たさなくてもよい。式9を満たさない場合であっても、複数回の反射により反射光の反射強度は低下している。さらに、ヘッドアップディスプレイ100が反射光を減光するための減光フィルタなどを有している場合、上記式9を満たしていなくてもよい。なお、太陽光が運転者の眼300に到達することをより抑制する、及び、減光フィルタなどの部品点数を削減する観点から、ヘッドアップディスプレイ100は、式9を満たしていることが望ましい。
【0079】
次に、上記のようなヘッドアップディスプレイ100における、表示部22、第1ミラー23及び第2ミラー24の距離について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、実施の形態における第1ミラー23と表示部22との第1距離L1、及び、第1ミラー23と第2ミラー24との第2距離L2を示す図である。
【0080】
図7に示すように、第1距離L1は、表示部22の中心と第1ミラー23の中心とを結ぶ線分の長さであり、第2距離L2は、第1ミラー23の中心と第2ミラー24の中心とを結ぶ線分の長さである。この場合、第1距離L1及び第2距離L2を用いると、ヘッドアップディスプレイ100は、以下の式10を満たすことが望ましい。
【0081】
0.3<L1/L2<0.6 (式10)
【0082】
L1/L2が0.3以下となると、表示部22と第1ミラー23との距離が短くなりすぎてしまい、表示部22と光線との干渉が発生してしまう。また、L1/L2が0.6以上となると、表示部22と第1ミラー23との距離が長くなるため、装置が大型化してしまう。すなわち、L1/L2が式10を満たすことで、ヘッドアップディスプレイ100を、表示部22と光線との干渉が発生することを抑制しつつ小型化することができる。
【0083】
また、ヘッドアップディスプレイ100は、第1ミラー23の長さをD(
図7参照)、アイボックスの中心と虚像の中心とを結んだ線分の長さである虚像距離をVID(
図9参照)とすると、以下の式11を満たすことが望ましい。
【0084】
D/VID<0.04 (式11)
【0085】
なお、アイボックスは、画像の虚像が視認可能となる視認領域である。また、長さDは、例えば、第1ミラー23の最上部及び最下部から第1ミラー23の中心における法線n1と平行に伸びた2本の線の間隔である。
【0086】
なお、上記の説明では、光路LPを通る太陽光がヘッドアップディスプレイ100内部で反射して運転者の眼300に到達することを抑制することができる条件について述べたが、太陽光の光路としては実際には光路LP以外にも、第1ミラー23又は表示部22の中心を通らない光路も存在する。このような光路を通る太陽光がヘッドアップディスプレイ100内部で反射して運転者の眼300に到達することを抑制するためには、式7及び式9に示される条件より厳しい条件が設定されてもよい。
【0087】
光路LP以外の光路を通る太陽光も考慮すると、第1ミラー23で反射された後に表示部22で反射され、再度第1ミラー23に入射した太陽光が逆戻りすることを抑制するためには、以下の式12を満たす必要がある。
【0088】
3<α-(θ+φ)/2<11.7 (式12)
【0089】
α-(θ+φ)/2が3以下となると、光路LP以外の光路を通る太陽光が第1ミラー23で反射して逆戻りする可能性がある。また、α-(θ+φ)/2が11.7以上となると、αが大きくなるため、諸収差、特に像面湾曲及び歪曲収差が大きくなり、運転者から虚像が鮮明に見えず、また歪んで見えたりなどして、ヘッドアップディスプレイ100の表示品位が悪くなってしまう。
【0090】
また、光路LP以外の光路を通る太陽光も考慮すると、再度第1ミラー23で反射されて再度表示部22に入射した太陽光が逆戻りすることを抑制するためには、以下の式13を満たす必要がある。
【0091】
3<α-2(θ+φ)/3<5.7 (式13)
【0092】
α-2(θ+φ)/3が3以下となると、光路LP以外の光路を通る太陽光が表示部22で反射して逆戻りする可能性がある。また、α-2(θ+φ)/3が5.7以上となると、αが大きくなるため、諸収差、特に像面湾曲及び歪曲収差が大きくなり、運転者から虚像が鮮明に見えず、また歪んで見えたりなどして、ヘッドアップディスプレイ100の表示品位が悪くなってしまう。
【0093】
[2.効果など]
以上説明したように、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100は、虚像が投影される表示媒体10と、画像を表示する表示部22と、表示部22によって表示される画像を表示媒体10に導くことによって、表示媒体10に対して運転者と反対側に虚像を形成する投射光学系とを備える。投射光学系は、表示部22より上方に配置され、画像の表示光を反射する第1ミラー23を有する。そして、第1ミラー23の中心と表示部22の中心とを結ぶ線分sが第1ミラー23の中心における法線n1となす角をθ、第1ミラー23の中心と表示部22の中心とを結ぶ線分sが表示部22の中心における法線n2となす角をα、第1ミラー23における表示部22側の端縁の第1ミラー23の中心に対する傾斜角をφとすると、0<α-(θ+φ)/2を満たす。
【0094】
ただし、
図2の場合、角度θは、法線n1に対して反時計回りを正とし、角度φは、第1ミラー23の中心における接線t1に対して、時計周りを正とする。
【0095】
なお、運転者は、観察者の一例であり、法線n1は、第1法線の一例であり、法線n2は第2法線の一例である。
【0096】
これにより、光路LPを通り第1ミラー23で2回反射された太陽光(位置P3で反射された太陽光)が、逆戻りすることを抑制することができる。よって、ヘッドアップディスプレイ100は、小型化しても太陽光が内部で反射して運転者の眼300に到達することを抑制することができる。
【0097】
また、反射光の光路上に減光フィルタなどを設けることで、太陽光が内部で反射して運転者の眼300に到達することを効果的に抑制することができる。なお、ここでの太陽光が内部で反射して運転者の眼300に到達するとは、人体に影響がある強度の反射光が運転者に到達することを意味する。
【0098】
さらに、ヘッドアップディスプレイ100は、3<α-(θ+φ)/2<11.7を満たすことが望ましい。
【0099】
これにより、光路LP以外の光路を通り第1ミラー23で2回反射された太陽光が逆戻りすることを抑制することができる。よって、ヘッドアップディスプレイ100は、小型化しても太陽光が内部で反射して運転者の眼300に到達することをさらに抑制することができる。
【0100】
また、ヘッドアップディスプレイ100は、さらに0<α-2(θ+φ)/3を満たすことが望ましい。
【0101】
これにより、光路LPを通り表示部22で2回反射された太陽光(位置P4で反射された太陽光)が、逆戻りすることを抑制することができる。よって、ヘッドアップディスプレイ100は、小型化しても太陽光が内部で反射して運転者の眼300に到達することをより抑制することができる。
【0102】
さらに、ヘッドアップディスプレイ100は、3<α-2(θ+φ)/3<5.7を満たすことが望ましい。
【0103】
これにより、光路LP以外の光路を通り表示部22で2回反射された太陽光が逆戻りすることを抑制することができる。よって、ヘッドアップディスプレイ100は、小型化しても太陽光が内部で反射して運転者の眼300に到達することをさらに抑制することができる。
【0104】
また、さらに、第1ミラー23からの表示光を表示媒体10に向けて反射する第2ミラー24を備える。そして、表示部22の中心と第1ミラー23の中心とを結ぶ線分sの長さをL1、第1ミラー23の中心と第2ミラー24の中心とを結ぶ線分の長さをL2とすると、0.3<L1/L2<0.6を満たすことが望ましい。
【0105】
これにより、表示部22が第1ミラー23からの表示光に干渉することを抑制し、かつ、ヘッドアップディスプレイ100を小型化することができる。
【0106】
また、第2ミラー24の中心近傍の反射面は、凹面であることが望ましい。
【0107】
これにより、光学系の主点の位置が光路に沿って表示部22とは反対側へ移動するため、表示部22を第1ミラー23に近づけることができ、ヘッドアップディスプレイ100をより小型化することができる。
【0108】
また、角度φは、φ<3(deg)を満たすことが望ましい。
【0109】
これにより、式7又は式9において、右辺の値が小さくなるので、角度θ及びαの自由度が増す。
【0110】
また、第1ミラー23の上下方向の長さをD、アイボックスの中心と虚像の表示中心とを結んだ線分の長さをVIDとすると、D/VID<0.04を満たすことが望ましい。
【0111】
これにより、第1ミラー23のサイズが小さくなるので、ヘッドアップディスプレイ100をより小型化することができる。また、表示部22で反射された太陽光を第1ミラー23の外部に向けて出射しやすくなり、運転者の眼300にこの反射光が到達することをより抑制できる。
【0112】
また、第1ミラー23の周縁の反射面の少なくとも一部は、凹面であることが望ましい。
【0113】
これにより、光学系の主点の位置が光路に沿って表示部22側へ移動するため、表示媒体10(例えば、ウインドシールド)の形状、ヘッドアップディスプレイ100の搭載位置などにより表示部22と第1ミラー23とが接近する場合にも、第1ミラー23と表示部22との距離(例えば、第1距離L1)を大きくすることができ、表示部22が第1ミラー23で反射された表示光に干渉することを抑制できる。
【0114】
(数値実施例)
以下、本開示に係るヘッドアップディスプレイ100について、具体的な数値実施例を説明する。なお、以下で説明する数値実施例において、表中の長さの単位は(mm)であり、角度の単位は(度)である。また、自由曲面は、次の数式で定義されるものである。
【0115】
【0116】
【0117】
ここで、zは面を定義する軸から(x、y)の位置におけるサグ量であり、rは、
【数3】
で算出される数値であり、cは面を定義する軸の原点における曲率であり、kはコーニック定数であり、m及びnは、式15を満たす整数であり、Cjは多項式x
my
nの係数である。
【0118】
また、各数値実施例において、基準となる座標原点は表示部22の表示面の中心(例えば、表示画像400の中心)であり、
図8で示すようにX軸、Y軸、Z軸を定義している。
図8は、実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100における表示部22の座標系を示す概略図である。なお、表示部22は、
図8に示すZ軸のマイナス方向に向けて表示光を出射する。
【0119】
さらに、数値実施例中の偏心データ(以下の表1を参照)において、ADEとはX軸を中心にZ軸方向からY軸方向に回転した量、BDEとはY軸を中心にX軸方向からZ軸方向に回転した量、CDEとはZ軸を中心にX軸方向からY軸方向に回転した量を意味する。例えば、ADE、BDE、及び、CDEは、オイラー角を示す。
【0120】
数値実施例の投射光学系は、投影光学系の一例である。数値実施例の投射光学系の構成データを表1に、多項式自由曲面の係数を表2に示す。なお、表2に示すcは、曲率を示している。
【0121】
【0122】
【0123】
表3は、画像の表示サイズ、虚像サイズ、観察者の視認領域中央(例えば、アイボックスの中心)から虚像中央までの距離である虚像距離VID、アイボックスサイズの一例を示す。
【0124】
【0125】
なお、一例として、角度α=31.2028°であり、角度θ=38.0078°であり、角度φ=2.099°である。また、一例として、第1距離L1=65mmであり、第2距離L2=133mmである。また、一例として、長さD=72.6908mmであり、虚像距離VID=2200mmである。
【0126】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係るヘッドアップディスプレイについて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0127】
例えば、上記実施の形態では、表示媒体10は、ウインドシールドである例について説明したが、コンバイナであってもよい。
【0128】
また、上記実施の形態では、ヘッドアップディスプレイ100の投射光学系は、2つのミラー(第1ミラー23及び第2ミラー24)を有する例について説明したが、ミラーの数はこれに限定されない。投射光学系は、ミラーを1つのみ有していてもよいし、ミラーを3つ以上有していてもよい。また、投射光学系は、レンズを含んでいてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、第1ミラー23及び第2ミラー24の反射面は凹面形状である例について説明したが、これに限定されない。第1ミラー23及び第2ミラー24の反射面の少なくとも一方は、凸面形状であってもよい。また、第1ミラー23及び第2ミラー24の反射面の少なくとも一方は、自由曲面形状であってもよいし、平面状であってもよい。
【0130】
また、上記実施の形態では、ヘッドアップディスプレイ100は、車両30に搭載される例について説明したが、車両30以外の移動体に搭載されてもよい。ヘッドアップディスプレイ100は、例えば、電車、飛行機などに搭載されてもよい。また、ヘッドアップディスプレイ100は、移動体以外に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示は、例えば車両などに搭載されるヘッドアップディスプレイに利用可能である。
【符号の説明】
【0132】
10、210 表示媒体
20、220 投影部
21、221 筐体
22、22a、222 表示部
23、23a、223 第1ミラー(投射光学系)
24、224 第2ミラー(投射光学系)
30 車両
31 ダッシュボード
100、200 ヘッドアップディスプレイ
300 運転者の眼
400 表示画像
D 長さ
LP 光路
L1 第1距離
L2 第2距離
n1~n4 法線
P1~P4 位置
s 線分
t1、t2 接線
VID 虚像距離
α、θ、φ 角度