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特許7426635電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/04 20210101AFI20240126BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240126BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240126BHJP
【FI】
G03B11/04 B
G03B17/02
H04N23/50
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022501933
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021005917
(87)【国際公開番号】W WO2021166955
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020024449
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】森 猛
(72)【発明者】
【氏名】原戸 克征
(72)【発明者】
【氏名】森川 良太
(72)【発明者】
【氏名】米澤 亮
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】台湾実用新案公告第M583955(TW,U)
【文献】登録実用新案第3170619(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0246014(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0182029(US,A1)
【文献】特開2019-028157(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0369462(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059510(US,A1)
【文献】中国実用新案第206962947(CN,U)
【文献】特開平08-317266(JP,A)
【文献】特開2007-140088(JP,A)
【文献】特開2004-055630(JP,A)
【文献】特開2005-197504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0004068(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0269202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0034605(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0077554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/04
G03B 17/02
G06F 1/16
H04M 1/02
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体における主面に設けられた表示部と、
前記主面の外縁と前記表示部の外縁との間において前記筐体内に配置されたカメラと、
前記主面の前記外縁と前記表示部の前記外縁との間において前記筐体内に配置された、前記カメラのためのプライバシー保護シャッタと、を備え、
前記プライバシー保護シャッタは、回動の中心となる回動軸部と、前記カメラによる撮像を禁止するため前記カメラのレンズを覆う遮蔽部と、当該プライバシー保護シャッタを回動させるための操作部と、を有し、
前記プライバシー保護シャッタが、前記表示部の前記外縁に沿う方向を長手方向とし、前記表示部の前記外縁から前記主面の前記外縁に向かう方向を幅方向とし、前記長手方向が前記幅方向よりも長い細長い形状を有する板状部材であり、
前記回動軸部が前記プライバシー保護シャッタの長手方向の一方の端部に設けられ、前記プライバシー保護シャッタの長手方向の他方に前記遮蔽部が設けられ、前記操作部が、前記回動軸部と前記遮蔽部との間に設けられ
前記カメラによる撮像を禁止するように前記遮蔽部が前記レンズを覆う第1の位置と、前記カメラによる撮像を可能とするように前記遮蔽部が前記レンズの前方から退避した第2の位置との間で、前記プライバシー保護シャッタは回動可能であり、前記第2の位置は前記第1の位置よりも前記主面の前記外縁に近い位置である、電子機器。
【請求項2】
前記筐体の前記主面において、前記カメラのための窓と、前記カメラのための窓とは離間して配置され、前記筐体外から前記操作部にアクセスするための操作窓と、が設けられている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記主面の前記外縁と前記表示部の前記外縁との間において前記カメラを含む複数のデバイスが並設されており、前記第1の位置において前記遮蔽部が前記複数のデバイスを同時に覆うよう構成された、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記操作部が、前記操作窓から突設する操作突起で構成され、前記第1の位置において前記操作窓に遮蔽状態を表示するよう構成された、請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記プライバシー保護シャッタは、前記第1の位置において前記カメラのレンズを覆う遮蔽状態を維持するように前記筐体に保持される嵌入部を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記プライバシー保護シャッタは、剛性を高めるリブおよび肉厚部を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記プライバシー保護シャッタの前記遮蔽部における前記表示部の前記外縁側の端部は、前記第1の位置において、前記表示部の前記外縁と平行に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、特に、ノート型パーソナルコンピュータ(ノート型パソコン)およびタブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型パソコン)などにおいては、カメラが内蔵された構成を有するものがある。このようなカメラを内蔵した電子機器においては、アナログ回線、デジタル回線、インターネット回線などを通じて、所謂、テレビ電話やウェブミーティングなどにおいて相手の顔を見ながら行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-274777号公報
【文献】特開2003-125051号公報
【文献】特表2009-537855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のようなカメラを内蔵した電子機器においては、個人のプライバシー保護の観点から、カメラレンズに対して遮蔽可能な機構を設けて、カメラレンズが遮蔽されているときには当該電子機器のカメラは撮影できない遮蔽状態であることを表示する機構が求められている。
【0005】
電子機器において、カメラレンズに対して遮蔽可能な機構を設け、カメラレンズが遮蔽されていることを表示する機構を設けることは、小型化および薄型化が求められている電子機器の分野において、その配設空間を確保することは重要な課題である。
【0006】
本開示は、カメラを内蔵した電子機器において、小さな配設空間で、容易に、且つ確実にカメラを遮蔽状態とすることが可能であり、遮蔽状態をユーザが確実に認識することが可能となるカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一態様のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、
電子機器の表示部の外縁部分に設けられたカメラのためのプライバシー保護シャッタの遮蔽機構であって、
前記プライバシー保護シャッタは、回動の中心となる回動軸部と、前記カメラによる撮像を禁止するため前記カメラのレンズを覆う遮蔽部と、当該プライバシー保護シャッタを回動させるための操作部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、カメラを内蔵した電子機器において、小さな配設空間で、容易に、且つ確実にカメラを遮蔽状態とすることが可能であり、遮蔽状態をユーザが確実に認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る実施の形態1の電子機器の外観を示す斜視図
図2】実施の形態1の電子機器の平面図
図3】実施の形態1の電子機器におけるカメラ関連部の近傍を示す拡大図
図4図3に示した実施の形態1の電子機器の一部を拡大した図
図5図4に示した遮蔽状態から撮像可能な開放状態を示した図
図6】実施の形態1におけるプライバシー保護シャッタを示す平面図
図7】実施の形態1におけるプライバシー保護シャッタを示す裏面図
図8】実施の形態1におけるプライバシー保護シャッタの表面側を主に示す斜視図
図9】実施の形態1におけるプライバシー保護シャッタの裏面側を主に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、実施の形態の説明において、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細な説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
本開示の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構の具体的な実施の形態としてタブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型パソコン)におけるカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構について添付の図面を参照しながら説明する。本開示のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構としては、以下の実施の形態に記載したタブレット型パソコンにおけるカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構の構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的特徴を有する技術的思想と同等の技術に基づく電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構の構成を含むものである。
【0012】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
以下の実施の形態において示す数値、形状、構成、ステップ(工程、モード)、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、発明を本開示の内容に限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、実施の形態においては、同様の機能を有する要素には同じ符号を付して、説明を省略する場合がある。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
【0014】
先ず始めに、本開示の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構における各種態様を例示する。
本開示に係る第1の態様の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、電子機器の表示部の外縁部分に設けられたカメラのためのプライバシー保護シャッタの遮蔽機構であって、
前記プライバシー保護シャッタは、回動の中心となる回動軸部と、前記カメラによる撮像を禁止するため前記カメラのレンズを覆う遮蔽部と、当該プライバシー保護シャッタを回動させるための操作部と、を有する。
【0015】
本開示に係る第2の態様の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、前記の第1の態様における前記プライバシー保護シャッタが、前記表示部の外縁部分に設けられた細長い形状を有し、
前記回動軸部が、前記プライバシー保護シャッタの長手方向の一方の端部に設けられ、前記プライバシー保護シャッタの長手方向の他方に前記遮蔽部が設けられ、
前記操作部が、前記回動軸部と前記遮蔽部との間に設けられる構成としてもよい。
【0016】
本開示に係る第3の態様の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、前記の第1または第2の態様における電子機器の前記表示部の外縁部分に前記カメラを含む複数のデバイスが並設された構成において、前記遮蔽部が前記複数のデバイスを同時に覆うよう構成されてもよい。
【0017】
本開示に係る第4の態様の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、前記の第1から第3の態様におけるいずれかの態様において、
前記操作部が、電子機器の前記表示部の外縁部分に形成された操作窓から突設する操作突起で構成され、遮蔽状態において前記操作窓に遮蔽状態を表示するよう構成されてもよい。
【0018】
本開示に係る第5の態様の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、前記の第1から第4の態様におけるいずれかの態様において、
前記プライバシー保護シャッタは、前記カメラのレンズを覆う遮蔽状態を維持するように前記電子機器の本体に保持される嵌入部を有する構成としてもよい。
【0019】
本開示に係る第6の態様の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、前記の第1から第5の態様におけるいずれかの態様において、
前記プライバシー保護シャッタが、剛性を高めるリブおよび肉厚部を有する構成としてもよい。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本開示に係る実施の形態1の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
[全体構成]
図1は実施の形態1の電子機器としてのタブレット型のパーソナルコンピュータ(パソコン)1の外観を示す斜視図である。図2は実施の形態1のタブレット型のパソコン1の平面図(上面図)である。図1および図2においては、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を示しており、実施の形態1のタブレット型のパソコン1における長手方向(X方向)、幅方向(Y方向)、厚さ方向(Z方向)をX軸、Y軸、Z軸を用いて説明する。また、パソコン1におけるZ方向側を表面側(上側)とし、Y方向側を背面側とし、X方向側を右側として説明する。
【0022】
実施の形態1のタブレット型のパソコン1は、タブレット型のパーソナルコンピュータとしての主機能を提供する構成を持つ。また、パソコン1には拡張機能を提供する種々の拡張機器が着脱可能に設けられる。
【0023】
実施の形態1のパソコン1は、表面となる一方の主面に表示部2が設けられている。表示部2は、例えば、液晶ディスプレイにより構成され、タッチされた位置を示す信号を出力するポインティングデバイスとしての機能を有する。また、パソコン1には、その内部に、制御部、記憶部、および各種の入出力インターフェース部品などを備えている。制御部は、例えば、CPU、MPUなどにより構成される。制御部は、記憶部から読み出したプログラムに基づいて種々のデータなどを利用して演算処理を行い、パソコン1における各種の機能を実現している。記憶部は、例えば、RAM、ROM、HDD、SSDなどにより構成される。記憶部には、プログラム(OS、各種アプリケーションプログラムを含む)および各種のデータが格納される。入出力インターフェース部品は、拡張機器との間での各種信号を送受信するためのインターフェースである。
【0024】
実施の形態1のパソコン1は、屋外の現場や工場などの電子機器にとって過酷な環境においても使用できる構成を有している。例えば、パソコン1の側面外周部分に筐体の一部としての外郭部3が形成されている。外郭部3は、衝撃吸収、防塵、および防滴などの機能を持つように構成されている。
【0025】
実施の形態1のパソコン1の側面外周部分となる外郭部3には、外部機器へ接続するための各種接続端子が設けられている。接続端子としては、拡張バスコネクター、外部ディスプレイコネクター、USBコネクター、LANコネクター、メモリカードスロット、オーディオ出力端子などの電気信号の入出力端子などが含まれる。
【0026】
また、実施の形態1のパソコン1においては、主面にある表示部2を取り囲む外郭部3の表面側の背面側には顔認証カメラ4、赤外線(IR)ランプ5、フロントカメラ6、マイク7などが設けられている。また、外郭部3の表面側の正面側(図2の紙面においては下側)には電源ボタン、表示操作ボタンなどの操作設定部9が設けられている。
【0027】
なお、実施の形態1のパソコン1は、その裏面側にバッテリーパックが装着される構成であり、リアカメラ、スピーカなどが設けられている。
【0028】
上記のように構成された実施の形態1のパソコン1は、顔認証カメラ4、赤外線(IR)ランプ5およびフロントカメラ6などにより構成されるカメラ関連部8に対してプライバシー保護の観点でプライバシー保護シャッタ10が設けられている。プライバシー保護シャッタ10は、顔認証カメラ4およびフロントカメラ6が撮像できないようにカメラレンズを遮蔽すると共に、顔認証カメラ4およびフロントカメラ6が撮像していない遮蔽状態であることを表示する機能を有する。プライバシー保護シャッタ10の遮蔽機構は、表示部2の外側の領域となる外縁部分に設けられている。
【0029】
図3は、実施の形態1のパソコン1は、外郭部3の表面側における背面側に形成されたカメラ関連部8の近傍を示す拡大図である。図3の拡大図に示すように、外郭部3には、プライバシー保護シャッタ10を操作するための操作窓3a、顔認証カメラ4のための第1窓3b、フロントカメラ6のための第2窓、および、その他のマイク、LEDインジケータ、照度センサーのための複数の窓が設けられている。図3に示すカメラ関連部8は、プライバシー保護シャッタ10により顔認証カメラ4、IRランプ5およびフロントカメラ6が覆われた遮蔽状態である。図3に示すように、遮蔽状態においては、操作窓3aには背面側(図3の紙面においては上側)を指す矢印(▲)が表示され、プライバシー保護シャッタ10の操作部である操作突起10aが突設されている。このとき、操作部である操作突起10aは、操作窓3aにおける正面側(図3の紙面においては下側)に配置されている。即ち、操作窓3aに矢印(▲)が表示され、操作窓3aの正面側に配置されているとき、遮蔽状態を示している。なお、本実施の形態においては、矢印(▲)で表示しているが、本開示としては矢印(▲)に限定されるものではなく、パソコン1の前面において被写体となり得る人に確実に認識できるものであればよく、色つきのマーク、文字、記号などにより表示する構成としてもよい。
【0030】
図4は、図3に示した実施の形態1のパソコン1の拡大図において、外郭部3を取り除いて、プライバシー保護シャッタ10により顔認証カメラ4、IRランプ5およびフロントカメラ6を遮蔽した状態(遮蔽状態)を示している。図5は、図4に示した遮蔽状態からプライバシー保護シャッタ10を回動させて、顔認証カメラ4、IRランプ5およびフロントカメラ6により撮像可能な開放状態を示している。
【0031】
図4の遮蔽状態および図5の開放状態に示すように、プライバシー保護シャッタ10は、回動軸部10cを回動の中心として回動する構成である。ユーザは、操作窓3aの操作突起10aを背面側に移動(図4の矢印A方向)させることにより、プライバシー保護シャッタ10が回動して、顔認証カメラ4、IRランプ5およびフロントカメラ6が各窓から表出して撮像可能となる構成である。
【0032】
図6および図7は、プライバシー保護シャッタ10のみを示す平面図(表面側)と裏面図(裏面側)である。プライバシー保護シャッタ10は、細長い形状を有しており、長手方向の一方の端部に回動軸部10cが配設され、長手方向の他方に遮蔽部10bの遮蔽領域が形成されている。図6の平面図に示すように、プライバシー保護シャッタ10の表面側には、操作突起10aと、その操作突起10aの背面側(図6の紙面においては上側)に矢印(▲)が表示されている。プライバシー保護シャッタ10における左端部には、回動中心となる回動軸部10cが形成されている。即ち、回動軸部10cは、パソコン1の本体に対して回転可能に軸止されている。プライバシー保護シャッタ10においては、回動軸部10cの反対側の右端側には、顔認証カメラ4、IRランプ5およびフロントカメラ6を遮蔽可能な領域である遮蔽部10bが形成されている。操作突起10aは、プライバシー保護シャッタ10における回動軸部10cと遮蔽部10bとの間であって、回動軸部10cに近い位置に設けられている。本実施の形態においては、操作突起10aは、プライバシー保護シャッタ10の長手方向の長さにおいて、全体の30~40%の範囲内となる回動軸部10c側に寄った位置に形成されている。従って、プライバシー保護シャッタ10において、回動軸部10cに近い操作突起10aを背面側(上側)または正面側(下側)に移動させることにより、回動軸部10cの反対側の右端側の遮蔽部10bが大きく移動する構成となる。
【0033】
プライバシー保護シャッタ10は、板状の部材であるが、その剛性を確保するため複数のリブ10eが形成されている。また、図6に示すように、プライバシー保護シャッタ10には、操作突起10aの正面側(図6における紙面の下側)に嵌入部10dが形成されている。嵌入部10dは、先端(下端)が薄く形成され、徐々に厚くなる形状を有している。嵌入部10dは、遮蔽状態においてパソコン1の本体に形成された凹部(図示省略)に嵌入して保持され、プライバシー保護シャッタ10が確実に遮蔽状態を維持できる構成となる。
【0034】
図7に示すように、プライバシー保護シャッタ10の裏面には、クリック突起10fが形成されている。クリック突起10fは、パソコン1の本体の対向する位置近傍に設けられた突起(図示省略)と接触する構成であり、この突起を乗り越えるとき、クリック音を発生させる。従って、ユーザは、プライバシー保護シャッタ10の操作突起10aを操作して、遮蔽状態から開放状態へ、または開放状態から遮蔽状態へ移動操作するとき、クリック音を聞くと共に、指に小さな衝撃を感じて、操作状態を確認することが可能な構成となる。
【0035】
図8および図9は、プライバシー保護シャッタ10のみの斜視図であり、図8が表面側を主に示し、図9が裏面側を主に示している。図8および図9に示すように、プライバシー保護シャッタ10には、複数のリブ10eが形成されており、且つ厚みが異なる構成を有している。特に、操作突起10aが形成された裏面側は厚みが厚く形成されており、肉厚部10gが形成されている。このように、複数のリブ10eおよび肉厚部10gなどを形成することにより、プライバシー保護シャッタ10の剛性を高めている。また、本実施の形態におけるプライバシー保護シャッタ10においては、パソコン1における配設空間に設けられた各種デバイス(例えば、マイクなど)の配設位置などが考慮されて、形状(厚みを含む)が特定されている。例えば、遮蔽状態においてはマイク7を塞ぐことがないように、切欠け形状を有している。
【0036】
[効果等]
上記のように構成された実施の形態1の電子機器のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構は、小さな配設空間で、容易に、且つ確実にカメラを遮蔽状態とすることが可能であり、遮蔽状態をユーザが確実に認識することができる構成となる。実施の形態1のカメラ用プライバシー保護シャッタの遮蔽機構においては、並設された複数のカメラ(4、6)のレンズを同時に遮蔽するために、並設方向に回動軸部(10c)を有するカメラ用プライバシー保護シャッタ(10)を設けて、カメラ用プライバシー保護シャッタ(10)の回動軸部(10c)とは反対側に設けた遮蔽部(10b)により、並設された複数のカメラ(4、6)を同時に遮蔽する構成である。カメラ用プライバシー保護シャッタ(10)を回動させるための操作部(操作突起:10a)は、回動軸部(10c)と遮蔽部(10b)との間に設けられている。特に、操作部(操作突起:10a)としては、回動軸部(10c)と遮蔽部(10b)との中間位置より、回動軸部(10c)の位置側に寄って設けられている。これにより、操作部(操作突起:10a)の小さな移動が、遮蔽部(10b)においては大きな移動となり、並設された複数のカメラ(4、6)のレンズを同時に遮蔽することが可能となる。従って、本開示によれば、電子機器の表示部の外縁部分という狭い空間に設けられたカメラ関連部およびプライバシー保護シャッタの遮蔽機構において、簡単な構成のプライバシー保護シャッタによる1つの回動動作により、複数の要素を同時に遮蔽状態とすることが可能な構成となる。
【0037】
本開示をある程度の詳細さをもって実施の形態において説明したが、この構成は例示であり、実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものである。本開示においては、実施の形態における各要素の置換、組合せ、および順序の変更は請求された本開示の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0038】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明および添付の図面を開示した。よって、詳細な説明および添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が、詳細な説明および添付の図面に記載されているからといって、直ちに、それらの必須ではない構成要素に対して必須であると認定されるべきではない。
【0039】
上記の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置換、付加、省略などを行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示は、簡単な構成で確実に電子機器に備えられたカメラを遮蔽状態とすることができ、その遮蔽状態をユーザが確実に認識することができるため、カメラを備えた各種電子機器において有用のものとなる。
【符号の説明】
【0041】
1 パーソナルコンピュータ(パソコン)
2 表示部
3 外郭部
3a 操作窓
3b 第1窓
3c 第2窓
4 顔認証カメラ
5 IR(赤外線)ランプ
6 フロントカメラ
7 マイク
8 カメラ関連部
9 操作設定部
10 プライバシー保護シャッタ
10a 操作突起
10b 遮蔽部
10c 回動軸部
10d 嵌入部
10e リブ
10f クリック突起
10g 肉厚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9