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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】テープ巻き付けユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
H02G1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020040886
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021145403
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221409
【氏名又は名称】東神電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】久保 仁志
(72)【発明者】
【氏名】高崎 弘司
(72)【発明者】
【氏名】田中 楓紀
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-275324(JP,A)
【文献】特開2002-178694(JP,A)
【文献】特開2005-320088(JP,A)
【文献】特開2019-154169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00-1/10
H02G 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接活線工具に取り付けられ、剥離紙付きテープから剥離紙を剥がしながらテープを被覆対象物の外周に巻き付けるテープ巻き付けユニットであって、
前記剥離紙付きテープからテープが前記被覆対象物に向けて引き出されるテープ装着部と、前記テープ装着部の剥離紙付きテープから剥がされた剥離紙を迂回させる剥離紙ガイド部と、前記剥離紙ガイド部で案内された剥離紙を巻き取る剥離紙回収部と、前記テープ装着部に対して前記剥離紙回収部を連動させる回転伝達部と、前記間接活線工具に取り付けるためのアタッチメント部とを備え、
前記テープ装着部、剥離紙ガイド部、剥離紙回収部、回転伝達部およびアタッチメント部をベースに配設し、前記ベースを間接活線工具の先端部にアタッチメント部で回転自在に取り付け可能とし
前記剥離紙ガイド部は、前記ベースの外周に立設された複数のピンで構成され、
前記複数のピンは、前記テープ装着部に装着される前記剥離紙付きテープの外周側に位置するように配列され、
前記剥離紙付きテープから剥がされた前記剥離紙は、前記テープが引き出される際の前記剥離紙付きテープの回転に対して、最も回転方向後方側の前記ピンから迂回を開始し、最も回転方向後方側の前記ピンの外側、および、当該ピンよりも回転方向前方側の前記ピンの外側に沿って案内され、前記剥離紙付きテープの外周側を迂回して前記剥離紙回収部に巻き取られることを特徴とするテープ巻き付けユニット。
【請求項2】
前記テープ装着部に、被覆対象物に向けて引き出されるテープのテンションを設定するためのテンション調整機構を設けると共に、前記剥離紙回収部に、前記剥離紙ガイド部を迂回する剥離紙のテンションを設定するためのテンション調整機構を設けた請求項1に記載のテープ巻き付けユニット。
【請求項3】
前記回転伝達部は、前記テープ装着部の回転中心に配設した主動ギヤと、前記剥離紙回収部の回転中心に配設した従動ギヤと、前記主動ギヤと前記従動ギヤとの間に配設して主動ギヤおよび従動ギヤと噛合する中間ギヤとで構成されている請求項1又は2に記載のテープ巻き付けユニット。
【請求項4】
前記間接活線工具は、前記ベースのアタッチメント部が着脱自在に取り付けられる回転部を操作棒の先端部に有すると共に、前記回転部を回転させるハンドル部を前記操作棒の基端部に有する請求項1~3のいずれか一項に記載のテープ巻き付けユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接活線工具の先端部に取り付けられ、電線などの被覆対象物の外周に絶縁テープを巻き付けるために使用されるテープ巻き付けユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
架空電線などの絶縁被覆電線(以下、単に電線と称す)の被覆が劣化あるいは破損した箇所を補修するため、電線の劣化または損傷箇所に、例えば粘着性ポリエチレンテープなどの絶縁テープ(以下、単にテープと称す)を巻き付けるようにしている。
【0003】
従来、電線へのテープの巻き付けは間接活線工法により行われる。間接活線工法は、配電線高圧活線作業で長尺な絶縁操作棒(間接活線工具)を用いることにより作業員が活線に直接的に触れることなく、所定の作業を実行することができる工法である。
【0004】
間接活線工法を用いることにより、充電部などへの防護が不要となるため、作業時間の短縮化が図れる。また、活線状態の電線から離れて作業ができるため、感電事故の発生がない安全な作業環境を確保できる。さらに、保護具や防具の不要により作業員の疲労を軽減することができる。
【0005】
テープを電線の補修箇所に巻き付ける作業では、電線の補修箇所の外周にテープを巻き付けるためのテープ巻き付け工具を間接活線工具の先端部に取り付けて行うようにしている。補修作業で使用するテープ巻き付け工具には、例えば特許文献1,2に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-154168号公報
【文献】特開2019-154169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1,2で開示されたテープ巻き付け工具では、ロール状に巻回された粘着性のテープを引き出しながら電線の周りで周回させることにより、テープを電線の補修箇所の外周に巻き付けるようにしている。
【0008】
しかしながら、テープの粘着性が強いと、テープ巻き付け工具によりロール状のテープを引き出すことが困難となる。その結果、テープを電線の補修箇所の外周にスムーズに巻き付けることが難しくなる。
【0009】
この問題を解消するため、粘着性のテープを直接的にロール状に巻回したものを使用する代わりに、剥離紙付きテープをロール状に巻回したものを使用することが考えられる。剥離紙付きテープの場合、ロール状に巻回されたテープの上下層間に剥離紙が介在することから、粘着性の強弱に関わらず、テープをスムーズに引き出すことができる。
【0010】
しかしながら、剥離紙付きテープを使用する場合、テープを電線の補修箇所の外周に巻き付けるに際して、剥離紙を剥がしながらテープを引き出さなければならない。このような工程を必要とすることから、剥離紙付きテープを特許文献1,2のテープ巻き付け工具で使用することは非常に困難である。
【0011】
そのため、剥離紙付きテープを使用する場合、作業員が手で剥離紙を剥がしながらテープを電線の補修箇所の外周に巻き付ける直接活線工法を採用せざるを得ないというのが現状であった。
【0012】
この場合、作業員は、絶縁手袋や絶縁上着などの保護具を着用した上で、電線に防護を取り付ける必要があることから、作業員の体力的負担を軽減することが困難であり、作業時間の短縮化も困難となる。また、作業員は、活線状態の電線に近づいて作業するため、感電事故が発生するおそれがあり、安全な作業環境の確保が困難となる。
【0013】
また、作業中に剥離紙付きテープから剥がした剥離紙が落下して飛散することがある。さらに、人手によるテープの巻き付け作業では、品質にバラツキが発生し易く、品質が低いと、電線の補修箇所の耐用年数も低下することになる。
【0014】
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、間接活線工法を採用しつつ、剥離紙付きテープが使用可能なテープ巻き付けユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るテープ巻き付けユニットは、間接活線工具に取り付けられ、剥離紙付きテープから剥離紙を剥がしながらテープを被覆対象物の外周に巻き付けるものである。
【0016】
本発明のテープ巻き付けユニットは、剥離紙付きテープからテープが被覆対象物に向けて引き出されるテープ装着部と、そのテープ装着部の剥離紙付きテープから剥がされた剥離紙を迂回させる剥離紙ガイド部と、その剥離紙ガイド部で案内された剥離紙を巻き取る剥離紙回収部と、テープ装着部に対して剥離紙回収部を連動させる回転伝達部と、間接活線工具に取り付けるためのアタッチメント部とを備えていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のテープ巻き付けユニットは、テープ装着部、剥離紙ガイド部、剥離紙回収部、回転伝達部およびアタッチメント部をベースに配設し、そのベースを間接活線工具の先端部にアタッチメント部で回転自在に取り付け可能としたことを特徴とする。
【0018】
本発明では、テープ巻き付けユニットを間接活線工具の先端部にアタッチメント部で取り付けることができる。これにより、間接活線工法を採用しつつ、テープ巻き付けユニットを利用してテープを被覆対象物の外周に巻き付けることができる。
【0019】
テープ巻き付けユニットでは、テープ装着部の剥離紙付きテープからテープを被覆対象物に向けて引き出し、そのテープの端部を被覆対象物に貼着する。また、テープ装着部の剥離紙付きテープから剥がされた剥離紙を剥離紙ガイド部で迂回させ、その剥離紙の端部を剥離紙回収部に取り付ける。
【0020】
この状態で、間接活線工具を操作することにより、テープ巻き付けユニットのベースを被覆対象物の周りで周回させる。これにより、剥離紙付きテープから引き出されたテープを被覆対象物の外周に巻き付けることができる。
【0021】
この時、回転伝達部により、テープ装着部に対して剥離紙回収部が連動して回転することで、テープ装着部で剥離紙付きテープからテープが引き出されると共に、剥離紙付きテープから剥がされた剥離紙が剥離紙回収部で巻き取れられる。
【0022】
以上のようにして、間接活線工法を採用しつつ、剥離紙付きテープから引き出されたテープを被覆対象物の外周に巻き付けると共に、剥離紙付きテープから剥がされた剥離紙を巻き取ることで、剥離紙付きテープの使用が可能となる。
【0023】
本発明において、テープ装着部に、被覆対象物に向けて引き出されるテープのテンションを設定するためのテンション調整機構を設けると共に、剥離紙回収部に、剥離紙ガイド部を迂回する剥離紙のテンションを設定するためのテンション調整機構を設けた構造が望ましい。
【0024】
このような構造を採用すれば、テープ装着部においてテープの巻き始めと巻き終わりでテープをスムーズに引き出すことができ、また、剥離紙回収部において剥離紙の巻き始めと巻き終わりで剥離紙をスムーズに巻き取ることができる。
【0025】
本発明における回転伝達部は、テープ装着部の回転中心に配設した主動ギヤと、剥離紙回収部の回転中心に配設した従動ギヤと、主動ギヤと従動ギヤとの間に配設して主動ギヤと従動ギヤと噛合する中間ギヤとで構成されていることが望ましい。
【0026】
このような構造を採用すれば、簡便な手段により、テープ装着部の主動ギヤに対して剥離紙回収部の従動ギヤを中間ギヤを介して連動させて同一方向に回転させることができる。これにより、テープ装着部での剥離紙付きテープの引き出しと剥離紙回収部での剥離紙の巻き取りが同時に行える。
【0027】
本発明における間接活線工具は、ベースのアタッチメント部が着脱自在に取り付けられる回転部を操作棒の先端部に有すると共に、回転部を回転させるハンドル部を操作棒の基端部に有する構造が望ましい。
【0028】
このような構造を採用すれば、テープ巻き付けユニットを間接活線工具の先端部に取り付けた状態で、操作棒の基端部にあるハンドル部により操作棒の先端部にある回転部でもって、テープ巻き付けユニットを被覆対象物の周りで周回させることが容易となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、テープ巻き付けユニットをアタッチメント部でもって間接活線工具の先端部に取り付けることにより、間接活線工法を採用することができる。
【0030】
また、テープ巻き付けユニットでは、テープ装着部の剥離紙付きテープから引き出されたテープを被覆対象物の外周に巻き付けると同時に、テープ装着部の剥離紙付きテープから剥がされた剥離紙を巻き取ることで、剥離紙付きテープの使用が可能となる。
【0031】
以上のようにして、間接活線工法を採用しつつ、剥離紙付きテープが使用可能なテープ巻き付けユニットを容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態で、テープ巻き付けユニットの全体構成を示す正面図である。
図2図1の左側面図である。
図3】剥離紙付きテープを示す正面図である。
図4図1のテープ巻き付けユニットを下方から見た時のテープ装着部および剥離紙回収部を示す断面図である。
図5】間接活線工具を示す正面図である。
図6図1のテープ巻き付けユニットを間接活線工具に取り付けた状態を示す正面図である。
図7図6の左側面図である。
図8図6のテープ巻き付けユニットに剥離紙付きテープをセッティングした状態を示す正面図である。
図9図8の左側面図である。
図10図8のテープ巻き付けユニットを電線の周りで周回させる状態を示す正面図である。
図11図10の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に係るテープ巻き付けユニットの実施形態を図面に基づいて以下に詳述する。
【0034】
以下の実施形態では、高圧電線などの電線の被覆が劣化あるいは破損した箇所を補修するため、電線の劣化または損傷箇所に、例えば粘着性ポリエチレンテープなどのテープを巻き付ける場合を例示する。
【0035】
電線へのテープの巻き付けは、高所作業車を利用した間接活線工法により行われる。間接活線工法は、配電線高圧活線作業で絶縁性を有する長尺な操作棒(間接活線工具)を用いることにより作業員が活線に直接的に触れることなく、所定の作業を実行することができる工法である。
【0036】
間接活線工法を用いることにより、絶縁手袋や絶縁上着などの保護具の着用、および電線への防護の取り付けが不要となるため、作業員の体力的負担の軽減および作業時間の短縮化が図れる。また、作業員は、活線状態の電線から離れて作業ができるため、感電事故の発生がない安全な作業環境を確保できる。
【0037】
テープを電線の補修箇所に巻き付ける作業では、電線の補修箇所の外周にテープを巻き付けるためのテープ巻き付けユニットを間接活線工具の先端部に取り付けて行う。この補修作業で使用するテープ巻き付けユニットを以下に詳述する。
【0038】
この実施形態のテープ巻き付けユニット11は、図1および図2に示すように、間接活線工具34(図5参照)に取り付けられ、剥離紙付きテープ12(図3参照)から剥離紙13を剥がしながらテープ14を被覆対象物である電線15(図10および図11参照)の外周に巻き付けるものである。
【0039】
ここで、剥離紙付きテープ12は、図3に示すように、例えば粘着性ポリエチレンテープなどのテープ14の接着面に剥離紙13を着脱自在に貼り付けた状態でロール状に巻回した高圧電線専用のものであり、その中央部分に取付孔16を有する。
【0040】
テープ巻き付けユニット11は、テープ装着部17と、剥離紙ガイド部18と、剥離紙回収部19と、回転伝達部20と、アタッチメント部21とをベース22に配設し、そのベース22を間接活線工具34の先端部にアタッチメント部21で回転自在に取り付け可能とした構造を具備する。
【0041】
テープ装着部17は、ベース22に回転自在に設けられた突状体23と、その突状体23の先端に着脱自在に取り付けられるテープ押え24とで構成されている。テープ装着部17では、剥離紙付きテープ12の取付孔16を突状体23に嵌合させ、その状態でテープ押え24を突状体23に固定する。
【0042】
これにより、テープ装着部17に剥離紙付きテープ12がセッティングされ、剥離紙付きテープ12からテープ14が電線15に向けて引き出し可能となり、剥離紙付きテープ12から剥離紙13が剥がし可能となる。
【0043】
なお、テープ14が巻き付けられる電線15の線種によって外径が異なることや、テープ14の巻き始めと巻き終わりで剥離紙付きテープ12の外径が異なることから、テープ装着部17には、電線15に向けて引き出されるテープ14のテンションを適正値に設定するためのテンション調整機構39が設けられている。
【0044】
テープ装着部17のテンション調整機構39は、図4に示すように、調整用ノブ41を締め付けることにより、調整用ノブ41と突状体23の押えカラー42との間に配されたばね43を圧縮させて押えカラー42を押圧する。これにより、突状体23および主動ギヤ27が下部カラー44との間に挟まれ摩擦により回転力が増加することでテープ14にテンションが付与される。
【0045】
剥離紙ガイド部18は、ベース22の外周に立設した複数(例えば、この実施形態では5本)のピン25で構成されている。剥離紙ガイド部18では、テープ装着部17の剥離紙付きテープ12から剥がされた剥離紙13をピン25の外側に当接させるようにして迂回させる。
【0046】
このように、剥離紙ガイド部18では、テープ装着部17から剥がされた剥離紙13を大きく迂回させることにより、剥離紙13に加わるテンションを緩和するようにしている。テンションの緩和により、剥離紙13が千切れることを防止すると共に、剥離紙13がテープ14に追随して巻き込まれることを防止している。
【0047】
剥離紙回収部19は、ベース22に回転自在に設けた柱状体26で構成されている。柱状体26の外周には、剥離紙13の巻き始め端を固定するための押え金具49が設けられている。剥離紙回収部19では、剥離紙ガイド部18のピン25で案内された剥離紙13の巻き始め端部を押え金具49で固定した上で剥離紙13を柱状体26に巻き取る。
【0048】
図2および図4に示すように、押え金具49は帯板状をなし、従動ギヤ28側に位置する一端部が柱状体26の基端側でねじ止めにより固定され、調整用ノブ45側に位置する他端部が柱状体26の先端側で固定されていない。
【0049】
剥離紙13の巻き始め端は、柱状体26と押え金具49との間に挟み込むようにして固定する。また、剥離紙13の巻き取り後は、押え金具49を調整用ノブ45側で固定していないことから、巻き取られた剥離紙13を調整ノブ45側から引き抜くことで容易に取り外すことができる。
【0050】
なお、剥離紙13の巻き始めと巻き終わりで剥離紙13の外径が異なることから、剥離紙回収部19には、剥離紙ガイド部18を迂回する剥離紙13のテンションを適正値に設定するためのテンション調整機構40が設けられている。
【0051】
剥離紙回収部19のテンション調整機構40は、図4に示すように、調整用ノブ45を締め付け調整することにより、調整用ノブ45と柱状体26との間に配されたばね47を伸縮させ押えカラー46を介して柱状体26と従動ギヤ28との圧力を変化させる。これにより、柱状体26と従動ギヤ28との間の摩擦を増減させることで剥離紙13にかかるテンションを調整することができる。
【0052】
回転伝達部20は、テープ装着部17の回転中心に配設した主動ギヤ27と、剥離紙回収部19の回転中心に配設した従動ギヤ28と、主動ギヤ27と従動ギヤ28との間に配設して主動ギヤ27と従動ギヤ28と噛合する中間ギヤ29とで構成されている。
【0053】
主動ギヤ27は、テープ装着部17の突状体23の下部に同軸的に設けられ、突状体23と一体的に回転する。従動ギヤ28は、剥離紙回収部19の柱状体26の下部に同軸的に設けられ、柱状体26と一体的に回転する。中間ギヤ29は、ベース22に回転自在に設けられ、主動ギヤ27および従動ギヤ28と連動する。
【0054】
アタッチメント部21は、ベース22の端部から延びるように一体的に設けられ、電線15が挿入可能な開口部30を有する筒状体31で構成されている。アタッチメント部21は、間接活線工具34に取り付けるためのもので、その取り付け時にベース22が間接活線工具34と干渉しないように筒状体31としている(図7参照)。
【0055】
ベース22は、略多角形状の薄板部32と、略L字形状の厚板部33とで構成されている。薄板部32の外周に剥離紙ガイド部18のピン25が配設されている。薄板部32および厚板部33の略中央にテープ装着部17および主動ギヤ27が配設されている。厚板部33の一端に剥離紙回収部19、従動ギヤ28および中間ギヤ29が配設されている。また、厚板部33の他端にアタッチメント部21が配設されている。
【0056】
ここで、テープ巻き付けユニット11が取り付けられる間接活線工具34は、図5に示すように、ベース22のアタッチメント部21が着脱自在に取り付けられる回転部35を操作棒36の先端部に有すると共に、回転部35を回転させるハンドル部37を操作棒36の基端部に有する。
【0057】
なお、間接活線工具34には、中間皮剥ぎ工具と称する既存の間接活線工具34を使用することができる。このように、既存の間接活線工具34を使用することにより、コスト低減が図れる。
【0058】
間接活線工具34の回転部35は、電線15が挿入可能な開口部38を有し、内周部分が回転可能となっている。間接活線工具34では、作業員がハンドル部37を操作することにより、ハンドル部37の操作と連動して回転部35が回転する構造となっている。
【0059】
以上の構成からなるテープ巻き付けユニット11の動作例、つまり、テープ巻き付けユニット11を間接活線工具34に取り付けてテープ14を電線15の補修箇所に巻き付ける使用例を以下に詳述する。
【0060】
まず、テープ14を電線15の補修箇所に巻き付ける作業に先立って、図6および図7に示すように、テープ巻き付けユニット11を間接活線工具34に取り付ける。つまり、テープ巻き付けユニット11におけるアタッチメント部21の筒状体31を、間接活線工具34における回転部35の内周部分にねじ止め等の適宜の手段により固定する。
【0061】
次に、図8および図9に示すように、テープ巻き付けユニット11のテープ装着部17に剥離紙付きテープ12をセッティングする。つまり、テープ装着部17の突状体23に剥離紙付きテープ12の取付孔16を嵌合させた上で、突状体23にテープ押え24を取り付けることにより、剥離紙付きテープ12の装着を完了する。
【0062】
この時、剥離紙付きテープ12から剥がされた剥離紙13を剥離紙ガイド部18のピン25の外側に沿わせながら迂回させる。剥離紙ガイド部18のピン25で案内された剥離紙13の端部は、剥離紙回収部19の柱状体26の係止部に取り付けられる。
【0063】
テープ14を電線15の補修箇所に巻き付ける作業を開始するに際しては、作業員が高所作業車に搭乗した上で、テープ装着部17の剥離紙付きテープ12から引き出されたテープ14の端部を電線15の補修箇所の開始端に巻き付ける。
【0064】
この時、図示しないが、ヤットコが先端に設けられた間接活線工具(テープ巻き付けユニット11が取り付けられた間接活線工具34とは別物)を利用することにより、ヤットコでテープ14の巻き始め端部を電線15の補修箇所の開始端に押え付けて貼着する。
【0065】
テープ14を電線15の補修箇所に巻き付ける作業では、テープ巻き付けユニット11が取り付けられた間接活線工具34の基端部にあるハンドル部37を操作することにより、間接活線工具34の先端部にある回転部35を回転させる。
【0066】
この間接活線工具34の回転部35の回転により、図10および図11に示すように、テープ巻き付けユニット11の全体が電線15の周りを周回する(図中の二点鎖線および白抜き矢印参照)。
【0067】
この時、テープ巻き付けユニット11では、電線15の補修箇所の開始端に貼着されたテープ14が剥離紙付きテープ12から引き出される。これにより、テープ装着部17の突状体23が回転し、回転伝達部20の主動ギヤ27も突状体23と共に回転することにより、中間ギヤ29を介して従動ギヤ28が回転する。
【0068】
剥離紙回収部19の柱状体26も従動ギヤ28と共に回転することにより、剥離紙付きテープ12から剥がされた剥離紙13が剥離紙ガイド部18のピン25を迂回して剥離紙回収部19の柱状体26に巻き取られる。これにより、作業中に剥離紙付きテープ12から剥がされた剥離紙13が落下して飛散することなく、確実に回収できる。
【0069】
このようにして、テープ巻き付けユニット11が電線15の周りを周回することにより、テープ装着部17の剥離紙付きテープ12から剥離紙13が剥がされながら、剥離紙付きテープ12から引き出されたテープ14が電線15の補修箇所に巻き付けられる。
【0070】
この時、作業員が間接活線工具34の回転部35をハンドル部37で操作しながら、間接活線工具34を電線15の架設方向に沿って移動させることにより、電線15の補修箇所の開始端から終了端までテープ14が螺旋状に巻き付けられる。これにより、補修箇所の品質にバラツキが発生し難くなって品質の安定化が図れ、その結果、補修箇所の耐用年数も向上する。
【0071】
その後、図示しないが、ナイフが先端に設けられた間接活線工具(テープ巻き付けユニット11が取り付けられた間接活線工具34とは別物)を利用することにより、ナイフでテープ14を電線15の補修箇所の終了端にて切断する。
【0072】
最後に、テープ14の巻き始めと同様に、ヤットコが先端に設けられた間接活線工具(テープ巻き付けユニット11が取り付けられた間接活線工具34とは別物)を再度利用することにより、ヤットコでテープ14の巻き終わり端部を電線15の補修箇所の終了端に押え付けて貼着する。これにより、テープ14の巻き付け作業を完了する。
【0073】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0074】
11 テープ巻き付けユニット
12 剥離紙付きテープ
13 剥離紙
14 テープ
15 被覆対象物(電線)
17 テープ装着部
18 剥離紙ガイド部
19 剥離紙回収部
20 回転伝達部
21 アタッチメント部
22 ベース
27 主動ギヤ
28 従動ギヤ
29 中間ギヤ
34 間接活線工具
35 回転部
36 操作棒
37 ハンドル部
39,40 テンション調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11