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特許7426659粒度分布の測定方法、粒度分布の測定装置、及び演算装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】粒度分布の測定方法、粒度分布の測定装置、及び演算装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/0227 20240101AFI20240126BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20240126BHJP
【FI】
G01N15/02 B
G01N23/046
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020092533
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021188968
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】507151858
【氏名又は名称】独立行政法人国立文化財機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村田 泰輔
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-338011(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105806765(CN,A)
【文献】米国特許第5430291(US,A)
【文献】CARNIBELLA R.P. et al.,Determining particle size distributions from a single projection image,OPTICS EXPRESS,2012年06月28日,Vol.20,No.14,pp.15962-15968
【文献】天明 敏行 他,X線CT法による骨材の粒度分布の評価方法,土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月),2009年,917-918頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/02
G01N 23/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒度分布未知の粒体の粒度分布を測定する粒度分布の測定方法であって、
粒体により構成される対象試料の第1CT画像を取得する画像取得ステップと、
取得した前記第1CT画像を所定のグリッドに分割することで関心領域を指定し、CT値についての前記グリッド毎のグリッド統計値及び前記第1CT画像全体の全体統計値を含む第1統計値を算出する統計値算出ステップと、
粒度既知の粒体により構成される標準試料の第2CT画像において、前記第1統計値に含まれる前記グリッド統計値及び前記全体統計値と同種のグリッド統計値及び全体統計値を含む第2統計値と、前記第1統計値とに基づき、前記対象試料中の前記粒体の粒度分布を測定する粒度分布測定ステップを含む測定ステップと、を有する
粒度分布の測定方法。
【請求項2】
前記粒度分布測定ステップは、前記第1統計値と、前記第2統計値と粒度との相関と、の比較により、前記粒度分布を測定する
請求項1に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項3】
前記グリッド統計値は、CT値の最大値、最小値、平均値又は分散の少なくとも1つを含み、
前記全体統計値は、前記第1CT画像全体での前記分散の偏差、又は、前記第1CT画像全体での前記分散の平均の少なくとも1つを含み、
前記相関は、前記CT値の平均値と粒度との第1相関、前記CT値の最大値と粒度との第2相関、前記CT値の前記分散の偏差と粒度との第3相関、前記分散の平均と粒度との第4相関、のうちの少なくともいずれか1つを含む
請求項2に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項4】
前記第2CT画像を得るためのX線CT時のX線の第2エネルギよりも低い第1エネルギでのX線によるX線CTによって前記第1CT画像を得る撮影ステップを含み
前記粒度分布測定ステップは、前記第1エネルギのX線によって得られた前記第1CT画像における前記第1統計値と、前記第2エネルギのX線によって得られた前記第2CT画像における前記第2統計値とに基づき、前記粒度分布を測定する
請求項1~3の何れか1項に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項5】
前記粒度分布測定ステップは、前記第1統計値と、前記標準試料についての前記第1エネルギのX線によって得られた第3CT画像での第3統計値とに基づき前記粒度分布を一次測定し、一次測定された前記粒度分布について、更に、前記第2CT画像での前記第2統計値に基づいて、前記粒度分布の二次測定を行う
請求項4に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項6】
前記統計値算出ステップは、前記グリッドを異なる大きさになるように複数回行われ、
前記異なる大きさのグリッドに基づき取得された複数の前記第1統計値に基づき、前記グリッドの大きさ以上の粒度を有する介在物を除外する除外ステップを含む
請求項1~3の何れか1項に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項7】
前記統計値算出ステップは、前記第1CT画像において前記対象試料中の前記粒体を指定し、指定した部分への領域成長法の適用によって前記第1CT画像での関心領域を指定する
請求項1~3の何れか1項に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項8】
前記粒体は土壌を含む
請求項1~3の何れか1項に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項9】
前記測定ステップは、前記粒体の含水率を測定する含水率測定ステップを含む
請求項8に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項10】
前記含水率測定ステップは、前記第1統計値と、前記第2統計値と含水率との相関と、の比較により、前記含水率を測定する
請求項9に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項11】
前記グリッド統計値は、CT値の最大値、最小値、平均値又は分散の少なくとも1つを含み、
前記全体統計値は、前記第1CT画像全体での前記分散の偏差、又は、前記第1CT画像全体での前記分散の平均の少なくとも1つを含み、
前記相関は、前記CT値の分散の偏差と含水率との第5相関、前記CT値の平均値と含水率との第6相関、又は、前記CT値の最小値と粒度との第7相関、のうちの少なくともいずれか1つを含む
請求項10に記載の粒度分布の測定方法。
【請求項12】
粒度分布未知の粒体の粒度分布を測定する粒度分布の測定装置であって、
粒体により構成される対象試料の第1CT画像を取得する画像取得部と、取得した前記第1CT画像を所定のグリッドに分割することで関心領域を指定し、CT値についての前記グリッド毎のグリッド統計値及び前記第1CT画像全体の全体統計値を含む第1統計値を算出する統計値算出部と、粒度既知の粒体により構成される標準試料の第2CT画像において、前記第1統計値に含まれる前記グリッド統計値及び前記全体統計値と同種のグリッド統計値及び全体統計値を含む第2統計値と、前記第1統計値とに基づき、前記対象試料中の前記粒体の粒度分布を測定する粒度分布測定部を含む測定部とを具備する演算装置と、
X線CT装置と、を備える
粒度分布の測定装置。
【請求項13】
粒度分布未知の粒体の粒度分布を解析する演算装置であって、
粒体により構成される対象試料の第1CT画像を取得する画像取得部と、
取得した前記第1CT画像を所定のグリッドに分割することで関心領域を指定し、CT値についての前記グリッド毎のグリッド統計値及び前記第1CT画像全体の全体統計値を含む第1統計値を算出する統計値算出部と、
粒度既知の粒体により構成される標準試料の第2CT画像において、前記第1統計値に含まれる前記グリッド統計値及び前記全体統計値と同種のグリッド統計値及び全体統計値を含む第2統計値と、前記第1統計値とに基づき、前記対象試料中の前記粒体の粒度分布を測定する粒度分布測定部を含む測定部とを具備する
演算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒度分布の測定方法、粒度分布の測定装置、及び演算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線を用いた粒体の粒度分布の測定技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、媒液中に被測定粉粒体を分散させてなる懸濁液を試料セル内で沈降させ、その沈降過程における懸濁液濃度の経時的変化を検出して、ストークスの抵抗則に基づいて被測定粉粒体の粒度分布を求める装置において、X線源と、そのX線源からのX線の上記試料セル透過線量を検出するためのX線検出器と、可視光源と、その可視光源からの光の上記試料セル透過光表を検出するための光検出器と、上記X線源と可視光源のいずれかを選択駆動するための選択手段と、その選択手段による選択動作と連動し、上記X線検出器及び光検出器の出力信号のうちの対応する信号を上記懸濁液濃度の検出信号として採用するための信号切替スイッチを備えた粒度分布測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-55934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、懸濁液に分散された粒体について粒度分布が測定される。このため、評価サンプル中の一部分のみに対する抜き取り評価となることから、評価結果がサンプルの属性を十分に評価できているか信頼性に課題が生じる場面が生じうる。従って、従来手法では不可逆的な破壊検査となること、及び、1検体に対する測定時間が長いことが課題である。即ち、非破壊で高速に粒体の粒度分布を測定する技術が望まれる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、非破壊で粒度分布を高速に測定可能な粒度分布の測定方法、粒度分布の測定装置、及び演算装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、粒度分布未知の粒体の粒度分布を測定する粒度分布の測定方法であって、粒体により構成される対象試料の第1CT画像を取得する画像取得ステップと、取得した前記第1CT画像を所定のグリッドに分割することで関心領域を指定し、CT値についての前記グリッド毎のグリッド統計値及び前記第1CT画像全体の全体統計値を含む第1統計値を算出する統計値算出ステップと、前記第1統計値と、粒度既知の粒体により構成される標準試料の第2CT画像において、前記第1統計値に含まれる前記グリッド統計値及び前記全体統計値と同種のグリッド統計値及び全体統計値を含む第2統計値とに基づき、前記対象試料中の前記粒体の粒度分布を測定する粒度分布測定ステップを含む測定ステップと、を有する粒度分布の測定方法に関する。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非破壊で粒度分布を高速に測定可能な粒度分布の測定方法、粒度分布の測定装置、及び演算装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の粒度分布の測定方法を示すフローチャートである。
図2】第1実施形態の粒度分布の測定装置及びそれに備えられる演算装置のブロック図である。
図3】第1実施形態の粒度分布の測定方法を説明する概略図である。
図4】礫と砂との境界でCT値の平均値変化を説明する図である。
図5】対象試料の第1統計値と標準試料の第2統計値とを比較する図である。
図6】地層深さに対するCT値の最大値変化を示すグラフである。
図7】地層深さに対するCT値の標準偏差の平均の変化を示すグラフである。
図8】地層深さに対するCT値の分散変化を示すグラフである。
図9】地層深さに対するCT値の平均値変化を示すグラフである。
図10】地層深さに対するCT値の最小値変化を示すグラフである。
図11】第2実施形態の粒度分布の測定方法を示すフローチャートである。
図12】対象試料の第1統計値と標準試料の第2統計値とを比較する図であって、複数のグリッドを含む場合の図である。
図13】1MeVでのX線CTによる第1統計値と9MeVでのX線CTによる第1統計値との差異を説明するグラフである。
図14】対象試料の第1統計値と標準試料の第3統計値及び第2統計値とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(第1実施形態)を説明する。ただし、本発明は以下の内容及び図示の内容になんら限定されず、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形して実施できる。本発明は、異なる実施形態同士を組み合わせて実施できる。以下の記載において、異なる実施形態において同じ部材については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。また、同じ機能のものについては同じ名称を使用し、重複する説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の粒度分布の測定方法(以下、単に「第1実施形態の測定方法」という)を示すフローチャートである。また、図2は、第1実施形態の粒度分布の測定装置1000及びそれに備えられる演算装置50のブロック図である。第1実施形態の測定方法は、例えば、図2に示す測定装置1000によって実行できる。そこで、図2を適宜参照しながら、図1の説明を行う。
【0011】
なお、演算装置50は、いずれも図示はしないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/F(インターフェイス)等を備えて構成される。そして、演算装置50は、ROMに格納されている所定の制御プログラムがCPUによって実行されることにより具現化される。
【0012】
第1実施形態の測定方法は、粒度分布未知の粒体の粒度分布を測定するものである。粒体は、様々な粒度(粒子の大きさ)を有する粒子の混合物である。粒体は、例えば、塊状の土壌、容器に収容された金属の粉粒体等である。例えば土壌は、様々な粒度の土の粒子を含む。また、例えば金属は、様々な粒度の金属粒子を含む。金属は、例えば、3Dプリンタに使用可能な粒体である。以下では、対象試料を構成する粒体は、一例として土壌を含む。土壌を含むことで、土壌に含まれる土の粒子の粒度分布を測定できる。
【0013】
第1実施形態の測定方法は、撮影ステップS1と、画像取得ステップS2と、統計値算出ステップS3と、測定ステップS4とを含む。測定ステップS4は、粒度分布測定ステップS41と、含水率測定ステップS42とを含む。第1実施形態では、一例として、粒度分布に加えて含水率も測定される。
【0014】
撮影ステップS1は、第2CT画像11(図3参照。後記する)取得のための第2エネルギと同じエネルギの第1エネルギでのX線CT(コンピュータ断層撮影)によって、対象試料の内部断面を撮影するものである。対象試料の撮影により、粒体の断面を含む第1CT画像10(図3参照)が得られる。撮影は、いずれも図2に示すように、演算装置50に備えられる撮影部51がX線CT装置100を制御することで行うことができる。
【0015】
画像取得ステップS2は、X線CT装置100によって撮影された第1CT画像10(図3参照)を演算装置50が取得するものである。画像取得ステップS2は、演算装置50に備えられる画像取得部52によって実行できる。取得した第1CT画像10に基づき、内部断面における粒体の粒度分布が測定される。
【0016】
統計値算出ステップS3は、取得した第1CT画像10(図3参照)を所定のグリッドに分割することで関心領域を指定し、CT値についてのグリッド毎のグリッド統計値及び第1CT画像10全体の全体統計値を含む第1統計値を算出するものである。統計値算出ステップS3は、演算装置50に備えられる統計値算出部53によって実行できる。統計値算出ステップS3について、図3を参照しながら説明する。
【0017】
図3は、第1実施形態の粒度分布の測定方法を説明する概略図である。図3では、第2CT画像11,12は実際のCT画像ではなく模式的に図示されたものである。統計値算出部53(図2参照)は、図示の例では、画素サイズ0.2mmで再構成した第1CT画像10を、2.0mm×2.0mmのグリッド状の関心領域20に分割する。このとき、1グリッド内には100画素ずつが配置される。CT値は、画素毎に決定される。
【0018】
統計値算出部53は、第1統計値を算出する。第1統計値は、上記のように、CT値についてのグリッド毎のグリッド統計値と、第1CT画像10全体の全体統計値とを含む。グリッド統計値は、例えば、各グリッドにおける100画素についての最大値、最小値、平均値又は分散の少なくとも1つを含む。第1CT画像10全体の全体統計値は、例えば、1グリッド内の分散の1断面分の偏差(第1CT画像10全体での分散の偏差)、1グリッド内の分散の1断面分の平均(第1CT画像10全体での分散の平均)の少なくとも1つを含む。以下、説明の簡略化のために、「1グリッド内の分散の1断面分の偏差」を単に「分散の偏差」といい、「1グリッド内の分散の1断面分の平均」を単に「分散の平均」という。
【0019】
第1統計値について、例えばCT値の平均値は有限領域内の平均密度値をよく表す。そして、平均密度値は粒度の大小と正の相関を持つ傾向がある。例えば、2mmより大きな粒度を持つ土は平均密度値が大きな礫(砂利)、2mm以下の粒度を持つものは平均密度値が小さな砂に区分される。従って、2mmのグリッドを用いた場合、礫と砂との境界でCT値の平均値が変化する。
【0020】
図4は、礫と砂との境界でCT値の平均値変化を説明する図である。第1CT画像10には、中粒の礫45及び細粒の礫46が含まれる。関心領域20において、閾値32より平均値(即ち大きな密度)を持つグリッドには、グリッドサイズ以上即ち粒度2mm以上の礫45,46が含まれていると判断できる。密度がそれほど大きくなく、閾値32を上回るグリッドが1グリッドのみで、そのグリッドの分散(バーの長さ)が拡大しているグリッドである領域31には、細粒の礫46が存在すると判断できる。さらに、閾値32を上回るグリッドが2グリッドである領域30には、中粒の礫45が存在すると判断できる。
【0021】
図3に戻って、以上の点は、粒度既知の粒体により構成される標準試料の第2CT画像11において、第1統計値に含まれるグリッド統計値及び全体統計値と同種のグリッド統計値及び全体統計値を含む、粒度に関する第2統計値に対しても同様である。即ち、粒度を意図的に変化させた標準試料について、第2CT画像11に基づき、第1統計値の算出と同様に第2統計値が算出される。算出された第2統計値は標準試料DB55(図1参照)に記録される。そして、第2統計値と、粒度未知の第1統計値との比較により、対象試料の粒度を測定できる。
【0022】
また、第1実施形態では、含水率既知の粒体により構成される標準試料の第2CT画像12においても、同様に含水率に関する第2統計値が算出される。含水率を意図的に変化させた標準試料について第1統計値の算出と同様に第2統計値が算出される。算出された第2統計値は標準試料DB55(図1参照)に記録される。そして、第2統計値と含水率未知の第1統計値との比較により、対象試料の含水率を測定できる。
【0023】
第1CT画像10では、大規模な空隙及び大粒の礫等の土質以外の介在物が含まれることがある。このため、土質の粒度等の評価時には介在物の密度レンジが大きくことなり、土質の評価結果に対して介在物はノイズ成分となりうる。土壌中の貝殻等その存在自体が当該土質の歴史的評価結果に意味をもたらす場合もあるが、土質自体の評価分析を効率的に行うためには、所定の密度レンジから外れたこれらの領域の除外が好ましい。
【0024】
そこで、第1実施形態では、統計値算出部53は、第1CT画像10において対象試料中の粒体を指定し、指定した部分への領域成長法の適用によって第1CT画像10での関心領域20を指定する。このようにすることで、空隙及び大粒の礫等の介在物が除外された関心領域20において粒度分布を測定でき、多段数撮影による大量のCT画像から土質のみを効率的に評価分析できる。
【0025】
図1に戻って、測定ステップS4は、第1統計値と第2統計値とに基づき、対象試料中の粒体の粒度分布を測定する粒度分布測定ステップS41と、粒体の含水率を測定する含水率測定ステップS42とを含む。粒度分布測定ステップS41は、演算装置50の測定部54のうち粒度分布測定部54aによって実行できる。含水率測定ステップS42は、演算装置50の測定部54のうち含水率測定部54bによって実行できる。粒度分布測定ステップS41により、CT断面における粒子の粒度分布を測定できる。即ち、グリッド毎に粒度を測定することで、CT断面での粒度分布を測定できる。また、含水率測定ステップS42により、CT断面における含水率を測定できる。
【0026】
第1実施形態では、粒度分布測定ステップS41は、第1統計値と、予め定められた第2統計値と粒度との相関との比較により、対象試料の粒度分布を測定する。また、含水率測定ステップS42は、第1統計値と、予め定められた第2統計値と粒度との相関と、の比較により、含水率を測定する。この点について図5を参照して説明する。
【0027】
図5は、対象試料の第1統計値と標準試料の第2統計値とを比較する図である。第1統計値は、上記のように、CT値の平均値、最大値、最小値、分散、分散の偏差及び分散の平均のうちの少なくとも1つを含む。そして、対象試料について、図示の例では、平均値と分散の偏差との関係、最大値と分散の平均との関係、平均値と分散の偏差との関係、及び、最小値と分散の偏差との関係が決定される。これらを含む第1統計値は、第1CT画像10(図3参照)に基づいて決定される。
【0028】
標準試料に関する第2統計値も、上記のように、平均値、最大値、最小値、分散、分散の偏差及び分散の平均のうちの少なくとも1つを含む。そして、標準試料について、第1統計値に対応する関係、即ち、平均値と分散の偏差と粒度との関係、最大値と分散の平均と粒度の関係、平均値と分散の偏差と含水率との関係、及び、最小値と分散の偏差と含水率との関係が標準試料DB55(図2参照)に記録されている。これらを含む第2統計値は、第2CT画像11,12(図3参照)により決定できる。
【0029】
即ち、標準試料DB55には、CT値の平均値と粒度との第1相関(関係の一形態。以下同じ)、CT値の最大値と粒度との第2相関、CT値の分散の偏差と粒度との第3相関、分散の平均と粒度との第4相関、のうちの少なくともいずれか1つを含む相関が記録される。最小値を含む相関が記録されてもよい。第1相関、第2相関、第3相関又は第4相関により、CT値の平均値、最大値、最小値、分散の偏差、又は分散の平均に基づいて、粒度分布を測定できる。
【0030】
また、標準試料DB55には、CT値の分散の偏差と含水率との第5相関、前記CT値の平均値と含水率との第6相関、又は、前記CT値の最小値と粒度との第7相関、のうちの少なくともいずれか1つを含む相関が記録される。最大値を含む相関が記録されてもよい。第5相関、第6相関又は第7相関により、含水率を測定できる。
【0031】
標準試料DB55に記録された相関の具体的な決定方法について説明する。
【0032】
標準試料として、粒度が大中小の3群、含水率が高中低の3群に対し、それぞれ9検体ずつ、人工的なもの及び自然界に実在しているものを併せて81検体程の適当数が用意される。即ち、粒度が大で含水率が高の検体、粒度が大で含水率が中の検体、粒度が大で含水率が低の検体、粒度が中で含水率が高の検体、粒度が中で含水率が中の検体、粒度が中で含水率が低の検体、粒度が小で含水率が高の検体、粒度が小で含水率が中の検体、粒度が小で含水率が低の検体の9検体である。そして、それぞれについて、第2統計値、粒度及び含水率が必要に応じて破壊的な従来手法により測定される。測定された第2統計値、粒度及び含水率がに基づき上記相関が決定され、標準試料DB55に記録される。
【0033】
粒度分布測定ステップS41(図1参照)では、対象試料について決定された第1統計値のプロットが、標準試料DB55に記録された相関と比較される。比較により、プロットが位置する粒度及び含水率が決定でき、対象試料の粒度及び含水率がプロットが位置する粒度及び含水率と判断できる。
【0034】
なお、第1実施形態では、X線CT装置100(図2参照)により撮影された断面ごとの評価が行われる。また、断面内を例えば10分割程度の領域に区切ることで、同一断面内における粒度及び含水率の差異を評価できる。
【0035】
図6は、地層深さに対するCT値の最大値変化を示すグラフである。対象試料が地層のボーリングコアのような断面単位で長期間の履歴が記録される場合、各地層に対してCT撮影を行うことで、図6の白抜きプロットで示すように、1断面毎にCT値の最大値(即ちCT断面での密度値)が算出される。最大値の算出により、粒度が大きい砂が含まれる堆積領域と、そうでない領域とを判別できる。
【0036】
図6の例では、同一のボーリングコアに対して地層深さ毎にX線CTが行われ、算出されたCT値の最大値が地層深さ毎にプロットされる。グラフに示すように、地層深さ700mm以上の領域で1断面内のCT値の最大値(密度値)が有意に上昇している。ここで、グリッドの大きさは第1実施形態では2mmである。従って、700mm以上の領域では、粒度が大きい2mm以上の砂(即ち礫)が含まれる領域と判断できる。一方で、地層深さ700mm未満の領域では、粒度が大きい2mm以上の砂を含まない領域と判断できる。このように、2mmのグリッドを適用することで、粒度2mmより大きい砂(即ち礫)の存在を際立たせて評価できる。
【0037】
図7は、地層深さに対するCT値の標準偏差の平均の変化を示すグラフである。図7に示すグラフは、上記の図6のグラフの作成時に取得した第1CT画像10(図3参照)に基づき作成したものである。グリッド内の有限領域よりも小さい範囲で、ある程度粒度が大きな粒体を含む対象試料において、含水率が低い場合、対象試料は比重0の空隙を多く含むためCT値の分散と粒度とは正の相関を持つ傾向が強い。即ち、粒度が大きいほど粒度間に空隙が存在し易くなって空隙が増えるため、分散、即ち標準偏差の平均が大きくなる傾向がある。このようにCT画像中のCT値に対する複数の統計値を計算し、それらの相関を用いることで、CT装置の空間分解能の制限及び密度分解能の限界によりCT画像中の輝度値及び形状に基づくのみでは評価が困難であった、試料中の粒度及び含水率を評価できる。
【0038】
図7に示すように、地層深さ700mm以上の領域で大きくなるように標準偏差の平均、即ち分散が変化する。このため、地層深さ700mm以上の領域で粒度が大きい2mm以上の砂を多く含むと判断できる。この結果は、図6に示したように、最大値に基づく判断と同じ結果を示している。従って、例えば、最大値に基づく判断および標準偏差の平均に基づく判断を行うことで、判断制度を向上できる。
【0039】
一方で、含水率が高い場合、比重1の水が比重0の空隙間に浸入する。このため、密度1以上の土成分との乖離幅が小さくなり、CT値の分散と含水率とは負の相関を持つ。同様に、比重0の空気が比重1の水に置換されるため、グリッド内のCT値の平均値は含水率に対して正の相関を持つ。更には、含水率が高くなるにつれて、最小密度の比重0の空気が比重1の水に置換され、1断面内のCT値の最小値が増加する傾向が生じる。これらの点を見極めるため、分散(標準偏差の平均)、平均値及び最小値のそれぞれに基づいて評価するのが好適である。含水率が場合について、図8図10を参照して説明する。
【0040】
図8は、地層深さに対するCT値の分散変化を示すグラフである。地層深さ700mm未満の領域では分散が小さく、地層深さ700mm以上の領域では分散が大きい。従って、図8の結果に基づけば、分散が小さな地層深さ700mm未満で含水率が高いと判断できる。
【0041】
図9は、地層深さに対するCT値の平均値変化を示すグラフである。図9に示すグラフは、上記の図8のグラフの作成時に取得した第1CT画像10(図3参照)に基づき作成したものである。平均値は、地層深さ300mm未満で大きく、地層深さ300mm以上では小さい。従って、図9の結果に基づけば、平均値が大きなる地層深さ300mm未満で含水率が高いと判断できる。
【0042】
図9において、地層深さ700mm~800mmにおいて平均値が高い。しかし、上記の図8では、地層深さ700mm~800mmにおいて分散に大きな変化がない。このため、地層深さ700mm~800mmにおいて含水率に大きな変化はなく、この領域での平均値の変化は、粒度が大きな砂に起因するものと考えられる。
【0043】
図10は、地層深さに対するCT値の最小値変化を示すグラフである。図10に示すグラフは、上記の図8のグラフの作成時に取得した第1CT画像10(図3参照)に基づき作成したものである。最小値は、地層深さ300mm未満である程度大きく、地層深さ300mm以上ではある程度小さい。従って、図10の結果に基づけば、最小値が大きな地層深さ300mm未満で含水率が高いと判断できる。
【0044】
そして、図8図10の結果を総合すると、地層深さ300mm未満で含水率が高く、地層深さ300mm以上で含水率が低いと判断できる。
【0045】
以上のように、第1実施形態では、予め標準試料(粒度及び含水量既知)のX線CTにより第2CT画像11,12(図3参照)を取得し、第2CT画像11,12において有限の関心領域20(図3参照)に区切ることで、第2統計値が算出される。一方で、対象試料(粒度及び含水量未知)のX線CTにより第1CT画像10(図3参照)を取得し、第1CT画像10において第2CT画像11,12と同様に関心領域20に区切ることで、第1統計値が算出される。そして、第1統計値と第2統計値とを比較することで、粒度既知の標準試料に基づく第2統計値により、対象試料の粒度及び含水量を非破壊で定量的に高速で測定できる。これにより、第1CT画像10における粒体の粒度分布を測定できるとともに、含水率を測定できる。非破壊の測定により、大量のボーリングコア及び工業用金属粉末を自動的かつ大量に処理できる。
【0046】
また、例えばボーリングコアに対する粒度分布及び含水率(空隙率)は、土壌堆積物の土性を反映する。土性は例えば土性三角図により表現され、土壌は例えば礫、泥、砂、粘度、及びシルトに区分できる。また、エントレインメント挙動評価に際して、エントレインメント挙動は土性によっても変化する。そして、ニュートン、ストークス等による物質の移動に関わる研究成果のもと、地質学、土木工学的な実験の蓄積によって求められた粒子の流動又は沈降及び堆積のエントレイメント曲線への土性の応用により、対象試料の撮影断面が形成されたときの河床の流速を予測できる。即ち、ボーリングコアのような堆積システムを堆積深さの単位により粒度を評価することで、定量的に年代ごとの河床の流速を予測できる。
【0047】
そして、一定の地域内における多数の対象試料について河床の流速予測により、当該地域での災害履歴を推定するための重要な定量的データを取得できる。これにより、地域の防災計画の策定に好適な重要な指針となる定量的なデータを得ることができる。
【0048】
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態の粒度分布の測定方法を示すフローチャートである。上記の第1実施形態の統計値算出ステップS3(図1参照)では、第1CT画像10及び第2CT画像11,12について2mm×2mmの大きさのグリッドに分割した。しかし、第2実施形態では、統計値算出ステップS3は、グリッドを異なる大きさになるように複数回行われる。具体的には、第1CT画像10及び第2CT画像11,12について2mm×2mmに加え、1mm×1mm及び4mm×4mmに更に分割し、各大きさのグリッド(3種類)を用いて同じ処理が3回繰り返される。
【0049】
そして、第2実施形態の測定方法は、異なる大きさのグリッドに基づき取得された複数の第1統計値に基づき、グリッドの大きさ以上の粒度を有する介在物を除外する除外ステップS5を含む。具体的な方法は、上記図3及び図4に参照しながら説明した方法と同様である。このようにすることで、例えば1mm×1mmのグリッドであれば粒度1mmの砂、例えば4mm×4mmのグリッドであれば粒度4mmの砂の存在を際立たせて評価できる。そして、際立たせて評価した砂等の介在物に基づき介在物を除外でき、粒体の粒度分布の測定精度を向上できる。
【0050】
図12は、対象試料の第1統計値と標準試料の第2統計値とを比較する図であって、複数のグリッドを含む場合の図である。第2実施形態では、第1CT画像10の各グリッドに対して同じ処理が3回繰り返されるため、得られる第1統計値のプロットが3つになる。具体的には、図12において、プロットAはグリッド1mm×1mmにおけるもの、プロットBはグリッド2mm×2mmにおけるもの、プロットCはグリッド4mm×4mmにおけるものである。一方で、領域Dはグリッド1mm×1mmにおけるもの、領域Eはグリッド2mm×2mmにおけるもの、領域Fはグリッド4mm×4mmにおけるものである。そして、プロットA,B,Cが、粒度及び含水率のそれぞれについて第2統計値の領域D,E,Fと比較される。
【0051】
比較の結果、各領域D,E,Fにおいて標準試料の第2統計値との間で必要に応じて内挿又は外挿を行うことで、対象試料の粒度及び含水率を測定できる。これにより、粒度分布及び含水率の測定精度を向上できる。
【0052】
<第3実施形態>
第1実施形態では、第1CT画像10を取得するためのX線CTに使用するX線の第1エネルギと、第2CT画像11,12を取得するためのX線CTに使用するX線の第2エネルギとは同じ(いずれも例えば9MeV)であった。しかし、第3実施形態では、撮影ステップS1(図1参照)は、第2エネルギよりも低い第1エネルギでのX線によるX線CTによって第1CT画像10を得る。そして、粒度分布測定ステップS41(図1参照)は、第1エネルギのX線によって得られた第1CT画像10における第1統計値と、第2エネルギのX線によって得られた第2CT画像11,12における第2統計値とに基づき、対象試料中の粒体の粒度分布を測定する。このようにすることで、簡便に撮影可能な低エネルギの第1エネルギのX線CTによって、粒度分布を簡便に測定できる。
【0053】
ここでいう第2エネルギよりも低い第1エネルギは、比較的エネルギが低いが設置場所の多いX線CT装置100(図2参照)のエネルギである例えば1MeVである。また、ここでいう第2エネルギは、例えば、統計精度が高いが設置場所が限られるX線CT装置100(図2参照)のエネルギである例えば9MeVである。従って、1MeVという比較的低エネルギのX線CTにより得られた第1CT画像10では、撮影が簡単であるが、X線量が9MeVと比べて2桁以上低いため、統計誤差が大きくなる。
【0054】
図13は、1MeVでのX線CTによる第1統計値と9MeVでのX線CTによる第1統計値との差異を説明するグラフである。図13のグラフは、X線CTに使用したX線のエネルギが異なること以外は同じ条件で撮影して得られたものである。実線は9MeVのCT画像に基づき得られた分散、点線は1MeVのCT画像に基づき得られた分散を示すグラフである。地層深さ700mm及び950mm前後では、実線のグラフと点線のグラフとの分散の差が大きくなっている。従って、特にこれらの地層深さでは、精度の高い実線のグラフに対し統計誤差が大きくなっている。この結果、測定精度が低下する。そこで、第3実施形態の測定方法では、第1統計値と第2統計値との比較が2回行われる。
【0055】
即ち、第3実施形態では、粒度分布測定ステップS41(図1参照)は、第1CT画像10に基づく第1統計値と、標準試料についての第1エネルギ(例えば1MeV)のX線によって得られた第3CT画像(図示しない)での第3統計値とに基づき粒度分布を一次測定する。次いで、粒度分布測定ステップS41(図1参照)は、一次測定された粒度分布について、更に、第2エネルギ(例えば9MeV)でのX線CTにより得られた第2CT画像11,12での第2統計値に基づいて、粒度分布の二次測定を行う。このようにすることで、一次測定によって大体の粒度分布を測定した後、測定した粒度分布について二次測定によって更に測定を行うことで、精度が低い第1エネルギでの第1CT画像10に基づいた場合であっても測定精度を向上できる。
【0056】
図14は、対象試料の第1統計値と標準試料の第3統計値及び第2統計値とを比較する図である。図14では、簡略化のため、縦軸の項目の一部の図示を省略する。第3実施形態では、X線CTで使用するX線のエネルギが異なること以外は第2統計値の取得と同様にして第3統計値が取得される。例えば1MeVのX線を用いて取得する対象試料の第1統計値及び標準試料の第3統計値には、X線CT時のX線の第1エネルギの低さに起因して、標準試料の第2統計値と比べ統計誤差が多く含まれる。このため、まず、同じ統計誤差となる同じ第1エネルギのX線を用いた統計値同士、即ち対象試料の第1統計値と標準試料の第3統計値との比較により、一次測定が行われる。
【0057】
比較により、第1統計値及び第3統計値の取得時におけるX線のエネルギの低さに起因する統計誤差の大きさにより、第3統計値に基づいて決定される粒度及び含水率が複数該当する可能性がある。即ち、一次測定のみでは、大きな統計誤差によって粒度及び含水率を絞り込めない可能性がある。そこで、更に二次測定が行われる。二次測定では、該当した複数の粒度及び含水率の適切性が、高い第2エネルギに起因して高精度となる第2統計値に基づき判断される。判断に際して、必要に応じ、第2統計値への内挿又は外挿が行われる。これにより、第3統計値との比較によって該当した粒度及び含水率の適切性が判断され、粒度分布及び含水率の測定精度を向上できる。
【0058】
一次測定及び二次測定を経ることで、一次評価として即時性が求められる大量のボーリングコアの評価を、広く使用されるX線CT装置100(図2参照)によって自動的に行うことができる。また、複数の製造現場で同時期に工業用金属粉末の評価を行うこともできる。
【符号の説明】
【0059】
10 第1CT画像
100 X線CT装置
1000 測定装置
11 第2CT画像
12 第2CT画像
20 関心領域
50 演算装置
51 撮影部
52 画像取得部
53 統計値算出部
54 測定部
54a 粒度分布測定部
54b 含水率測定部
55 標準試料DB
S1 撮影ステップ
S2 画像取得ステップ
S3 統計値算出ステップ
S4 測定ステップ
S41 粒度分布測定ステップ
S42 含水率測定ステップ
S5 除外ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14