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  • 特許-荷重計及びグラウンドアンカー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】荷重計及びグラウンドアンカー
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/80 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
E02D5/80 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021115654
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2023012169
(43)【公開日】2023-01-25
【審査請求日】2023-03-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391005950
【氏名又は名称】株式会社東横エルメス
(73)【特許権者】
【識別番号】390029012
【氏名又は名称】株式会社エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 卓光
(72)【発明者】
【氏名】樋川 健次
(72)【発明者】
【氏名】海鋒 賢希
(72)【発明者】
【氏名】竹家 宏冶
(72)【発明者】
【氏名】早川 道洋
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3128065(JP,U)
【文献】特開2002-048659(JP,A)
【文献】特開平06-073732(JP,A)
【文献】特開2017-106188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22-5/80
17/18
17/20
E21D 20/00
21/00
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状であり、
上面内周側に平面視円形状のアンカーナット接合部を有し、
下面外周側に平面視円形状のアンカープレート接合部を有し、
前記アンカーナット接合部の外周に、前記アンカーナット接合部より一段下げて、平面視円形状の蓋係合部を有し、
前記蓋係合部は、前記アンカーナット接合部と前記アンカープレート接合部との間に周方向に等間隔に複数のセンサ穴を有し、
前記蓋係合部に係合して前記センサを封止する、外径が前記アンカープレート接合部と略同径の円板状の蓋を有する、
荷重計。
【請求項2】
前記アンカープレート接合部にOリングを収容するためのOリング溝部を有することを特徴とする、
請求項1に記載の荷重計。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の荷重計を用いたグラウンドアンカーであって、
前記荷重計にアンカーを挿通し、
前記アンカーに螺合した、前記アンカーナット接合部の外径より小径のアンカーナットを前記荷重計の上部に設け、
前記アンカーに挿通したアンカープレートを前記荷重計の下部に設け、
前記複数のセンサ穴のいずれかにセンサを設け、
前記蓋係合部に前記蓋を係合して、前記センサ穴を封止することを特徴とする、
グラウンドアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドアンカーに作用する引張力を計測する荷重計及びグラウンドアンカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラウンドアンカーとは、地中に造成する定着部と地表付近に設ける法枠や擁壁等の構造物を高強度の引張材で連結し、引張材に作用させた引張力を利用して、構造物を安定させるシステムである。
従来知られているグラウンドアンカーは、地盤101中に造成した定着部102と構造物103を、引張材104を介して連結する。そして、引張材104の頭部に設けたアンカーナット105と2枚のアンカープレート106、107を介して、構造物103に形成した台座108から構造物103に引張力を作用させる(図4)。
【0003】
グラウンドアンカーに作用する引張力は、設置した地盤の変形や引張材等の劣化により変動する。このため、引張力を計測することにより、地盤の変形やグラウンドアンカーの健全性の指標とすることができる。
引張力の計測は、2枚のアンカープレート106、107の間に設ける荷重計109にかかる荷重を、荷重計109の内部に設けたひずみゲージにより計測することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平3-26338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なひずみゲージは時間経過により劣化して、正しい計測値が得られなくなる。また、落雷や浸水等により破損した場合にも計測値が得られなくなる。
正しい計測値が得られなくなると引張力が測定できなくなり、地盤の変形やグラウンドアンカーの健全性の確認もできなくなってしまう。
荷重計109により引張力が測定できなくなった場合、従来は荷重計109全体の交換、荷重計109の内部のひずみゲージの交換、又は新たに荷重計を追加する必要があった。
荷重計109やひずみゲージを交換する場合、アンカーナット105やアンカープレート106を取り外す必要がある。このとき、引張材に作用する引張力がゼロとなるため、グラウンドアンカーにより安定させている地盤101や構造物103が一時的に不安定となってしまい、破損、崩壊のリスクが生じてしまう。
また、新たに荷重計を追加する場合には、新たな荷重計の他、アンカープレートの追加コストが必要となる。
【0006】
本発明は、引張材に作用する引張力を維持した状態で、安価にひずみゲージの交換を行うことができる荷重計及びそれを用いたグラウンドアンカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本願の荷重計は、略円筒状であり、上面内周側に平面視円形状のアンカーナット接合部を有し、下面外周側に平面視円形状のアンカープレート接合部を有し、前記アンカーナット接合部の外周に、前記アンカーナット接合部より一段下げて、平面視円形状の蓋係合部を有し、前記蓋係合部は、前記アンカーナット接合部と前記アンカープレート接合部との間に周方向に等間隔に複数のセンサ穴を有し、前記蓋係合部に係合して前記センサを封止する、外径が前記アンカープレート接合部と略同径の円板状の蓋を有する。
前記アンカープレート接合部にOリングを収容するためのOリング溝部を有してもよい。
また、本願のグラウンドアンカーは、前記荷重計にアンカーを挿通し、前記アンカーに螺合した、前記アンカーナット接合部の外径より小径のアンカーナットを前記荷重計の上部に設け、前記アンカーに挿通したアンカープレートを前記荷重計の下部に設け、前記複数のセンサ穴のいずれかにセンサを設け、前記蓋係合部に前記蓋を係合して、前記センサ穴を封止する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)アンカーナットを取り外すことなくひずみゲージの交換を行うことができるため、引張材に作用する引張力を維持したままでの交換が可能である。
(2)引張力の除荷による構造物や地盤の破損、崩壊のリスクがない。
(3)アンカープレートが1枚のみであり、安価である。
(4)アンカープレートと接するアンカープレート接合部にOリングを設けるため、防水構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の荷重計の断面図
図2】本発明の荷重計の平面図
図3図2の荷重計のA-B-C断面図を用いたグラウンドアンカーの説明図
図4】従来のグラウンドアンカーの説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明のアンカー荷重計及びグラウンドアンカーを詳細に説明する。
【0011】
(1)荷重計
本発明の荷重計1は略円筒状の部材であり、上面にアンカーナット接合部2、下面にアンカープレート接合部3をそれぞれ突出して設ける(図1、2)。
アンカーナット接合部2は荷重計1の内周側、アンカープレート接合部3を外周側にそれぞれ平面視円形状に設ける。
荷重計1の上面外周側は、アンカーナット接合部2より一段下げて蓋係合部4とする。そして蓋係合部4には、アンカーナット接合部2とアンカープレート接合部3との間に周方向に等間隔にセンサ孔5を設け、センサ孔5内部にはセンサ(ひずみゲージ)Sを設ける。
センサSによりアンカーナット接合部2とアンカープレート接合部3間の梁のせん断力を計測し、アンカー荷重を求める。
蓋係合部4には上Oリング溝部6、アンカープレート接合部3には下Oリング溝部7をそれぞれ設ける。蓋係合部4とアンカープレート接合部3はせん断力の計測に直接作用しないため、Oリングを設けることができる。
また、蓋係合部4にはネジ穴8を設ける。
【0012】
(2)グラウンドアンカー
本発明の荷重計1を用いたグラウンドアンカーは、荷重計1にアンカー9を挿通し、上部をアンカー9に螺合したアンカーナット10、下部を、アンカー9を挿通したアンカープレート11により挟持する。アンカーナット10はアンカーナット接合部2の外周よりも小さな径とする。
そして、アンカーナット10からの軸力をアンカーナット接合部2で受け、アンカープレート11からの反力をアンカープレート接合部3により受けることで、発生するせん断力をセンサSにより計測する。
従来のグラウンドアンカーと比べて、アンカープレート11が1枚のみであり、安価である。
【0013】
(3)蓋
蓋12は、荷重計1の蓋係合部4に係合する円板であり、固定ネジ13をネジ穴8に螺合して固定する。
蓋12はアンカーナット10と干渉せず、固定ネジ13を外すことで取り外しができる。そして、蓋12を取り外すことでセンサ穴5内部のセンサSを交換することができる。
アンカーナット10を取り外すことなくセンサSの交換を行うことができるため、アンカー9に作用する引張力を維持したままでの交換が可能であり、引張力の除荷による構造物や地盤の破損、崩壊のリスクがない。
【0014】
(4)防水構造
センサ穴5は蓋12によって上部を封止される。そして、蓋12の内周面には蓋Oリング、蓋係合部4の上Oリング溝部6には上Oリング15を設けることで、センサ穴5へ水が入りこむことがない。
また、アンカープレート接合部3の下Oリング溝部7に下Oリング16を設けることで、グラウンドアンカー内部へ水が入りこむことがない。特に、従来の荷重計は起歪体の上下にそれぞれアンカープレートが接しているため防水が困難であったが、本発明のグラウンドアンカーは下側のアンカープレート11だけであり、さらにアンカープレート接合部3に下Oリング16を設けるため、防水構造とすることができる。
【符号の説明】
【0015】
1 荷重計
2 アンカーナット接合部
3 アンカープレート接合部
4 蓋係合部
5 センサ穴
6 上Oリング溝部
7 下Oリング溝部
8 ネジ穴
9 アンカー
10 アンカーナット
11 アンカープレート
12 蓋
13 固定ネジ
14 蓋Oリング
15 上Oリング
16 下Oリング
図1
図2
図3
図4