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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20240126BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240126BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022018028
(22)【出願日】2022-02-08
(65)【公開番号】P2023115673
(43)【公開日】2023-08-21
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田中 和人
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-210448(JP,A)
【文献】特開2021-025855(JP,A)
【文献】特開2011-254562(JP,A)
【文献】実開平6-041154(JP,U)
【文献】特開平04-351969(JP,A)
【文献】特開昭63-080774(JP,A)
【文献】特開平08-167703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサコア及びマイコンを含む複数の集積回路を一つのチップ上に集約したSoC(System on chip)を含む、複数の半導体チップと、
前記複数の半導体チップの電源管理を行うためのパワーマネジメントICと、
前記パワーマネジメントICと前記複数の半導体チップとを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に実装される複数のシャント抵抗と、
2つの出力端子と、
前記複数のシャント抵抗のうち、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、前記2つの出力端子を介して外部に出力する1つのセレクタと、を備え、
前記パワーマネジメントIC、前記複数の半導体チップ、前記複数のシャント抵抗、及び前記セレクタは、1つのパッケージ内に実装される、
半導体パッケージ。
【請求項2】
前記セレクタは、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差と、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、選択された前記シャント抵抗が実装される電源線に供給された前記パワーマネジメントICの電圧である前記パワーマネジメントIC側の電圧とを、前記2つの出力端子を介して外部に出力する、
請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記セレクタと、前記2つの出力端子のうち前記電圧差が出力される第1の出力端子との間に実装される減算回路を備え、
前記セレクタは、
前記パワーマネジメントIC側の電圧を、前記2つの出力端子のうち前記第1の出力端子と異なる第2の出力端子に出力し、
選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、前記半導体チップ側の電圧を、前記減算回路に出力することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を前記第1の出力端子に出力し、
前記減算回路は、前記パワーマネジメントIC側の電圧から、前記半導体チップ側の電圧を減算することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を算出する、
請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記セレクタは、
選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧と、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、選択された前記シャント抵抗が実装される電源線に供給された前記パワーマネジメントICの電圧である前記パワーマネジメントIC側の電圧とを、前記2つの出力端子を介して外部に出力する、
請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記セレクタと、前記2つの出力端子のうち前記電圧差を増幅した電圧が出力される第1の出力端子との間に実装される減算回路及び増幅回路を備え、
前記セレクタは、
前記パワーマネジメントIC側の電圧を、前記2つの出力端子のうち前記第1の出力端子と異なる第2の出力端子に出力し、
選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、前記半導体チップ側の電圧を、前記減算回路に出力することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧を前記第1の出力端子に出力し、
前記減算回路は、前記パワーマネジメントIC側の電圧から、前記半導体チップ側の電圧を減算することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を算出し、
前記増幅回路は、前記減算回路により算出された前記電圧差を増幅して、前記第1の出力端子に出力する、
請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記複数の半導体チップは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセッサコア及びマイコンなど異なる機能を持つ集積回路を1つのチップ上に集約したSoC(System on chip)が知られており、自動車等の車両にも搭載されつつある。
【0003】
このような車載用SoCでは、車両内での動作を実現するために熱設計が必要となるため、動作時の電力測定がなされる。
【0004】
近年、車載用SoCは、例えば集積回路の接続チャンネルが増加したり、各種インターフェースのチャンネル数が増加したり、などと高性能化しており、物理的なIO(Input/Output)の数が増加している。そして、IOの数を増やすためには、SoCを内蔵すなわち集積回路が集約された1つのチップを内蔵するパッケージ(SoCパッケージと称する)を大きくするか、SoCパッケージのボールピッチを狭くする必要がある。
【0005】
しかしながら、SoCパッケージを大きくすることはコスト面などから現実的でない。また、SoCパッケージのボールピッチを狭くすることは、基板実装を困難にするだけでなく、基板実装後の電子部品としての品質及び寿命を悪化させる。
【0006】
そこで、1つのパッケージに複数チップを組み入れる技術がありこの技術が採用される傾向にある。このような技術で形成された半導体パッケージは、SiP(System in Package)と称される。
【0007】
複数の半導体チップを1つのパッケージ内に組み入れるSiPでは、複数の半導体チップをSiP内に実装して、半導体チップ間の配線をSiP内部の基板で実現することができる。
【0008】
ここで、SoCと、パワーマネジメントICと、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などをSiP内に実装して、電源線及び信号配線をSiP内部の基板で実現することで、SiP自体のIOの数を減らすことができる。また、SiPでは、SoCとDRAMとの間の距離を限界まで短くすることで、4Gbpsクラスの高速信号を短く配線でき、高速信号用の出力バッファの駆動能力を下げることができる。
【0009】
例えば、特許文献1では、パワー素子、ドライブ回路及び保護回路を一つのパッケージに内蔵したモジュール(IPM)に、さらに、IPMの出力ラインに直列に挿入された1つのシャント抵抗を内蔵する技術が開示されている。これにより、省スペース化を実現しつつも、モータMに流れる出力電流を監視することができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2000-174202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、SoCとパワーマネジメントICとの間の電源線は数十本あるので、SoCの動作時の電力測定を行うためには、各電源線に電流検出用のシャント抵抗を直列に実装し、各シャント抵抗で電流を算出して各電源線の消費電力の合計を算出する必要がある。
【0012】
さらに、SiP化により、SoCとパワーマネジメントICとの間の電源線は、SiP内部に閉じてしまうので、SiP外部に引き出されている各電源線に電流検出用のシャント抵抗を直列に実装するだけでは、SoCの動作時の電力測定をすることができない。
【0013】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる半導体パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る半導体パッケージは、プロセッサコア及びマイコンを含む複数の集積回路を一つのチップ上に集約したSoC(System on chip)を含む、複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップの電源管理を行うためのパワーマネジメントICと、前記パワーマネジメントICと前記複数の半導体チップとを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に実装される複数のシャント抵抗と、2つの出力端子と、前記複数のシャント抵抗のうち、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、前記2つの出力端子を介して外部に出力する1つのセレクタと、を備え、前記パワーマネジメントIC、前記複数の半導体チップ、前記複数のシャント抵抗、及び前記セレクタは、1つのパッケージ内に実装される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる半導体パッケージを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施の形態に係る半導体パッケージの構成の一例を示す図である。
図2図2は、比較例に係る基板実装の構成の一例を示す図である。
図3図3は、変形例1に係る半導体パッケージ1Aの構成の一例を示す図である。
図4図4は、変形例2に係る半導体パッケージ1Bの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の一態様に係る半導体パッケージは、プロセッサコア及びマイコンを含む複数の集積回路を一つのチップ上に集約したSoC(System on chip)を含む、複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップの電源管理を行うためのパワーマネジメントICと、前記パワーマネジメントICと前記複数の半導体チップとを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に実装される複数のシャント抵抗と、2つの出力端子と、前記複数のシャント抵抗のうち、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、前記2つの出力端子を介して外部に出力する1つのセレクタと、を備え、前記パワーマネジメントIC、前記複数の半導体チップ、前記複数のシャント抵抗、及び前記セレクタは、1つのパッケージ内に実装される。
【0018】
このように、セレクタと、電力測定用の回路自体の消費電力が少ないシャント抵抗と、を備えることで、シャント抵抗の両端の電圧をシーケンシャルに選択して出力できる。
【0019】
これにより、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる。
【0020】
また、例えば、前記セレクタは、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差と、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、選択された前記シャント抵抗が実装される電源線に供給された前記パワーマネジメントICの電圧である前記パワーマネジメントIC側の電圧とを、前記2つの出力端子を介して外部に出力してもよい。
【0021】
より具体的には、例えば、前記セレクタと、前記2つの出力端子のうち前記電圧差が出力される第1の出力端子との間に実装される減算回路を備え、前記セレクタは、前記パワーマネジメントIC側の電圧を、前記2つの出力端子のうち前記第1の出力端子と異なる第2の出力端子に出力し、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、前記半導体チップ側の電圧を、前記減算回路に出力することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を前記第1の出力端子に出力し、前記減算回路は、前記パワーマネジメントIC側の電圧から、前記半導体チップ側の電圧を減算することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を算出する。
【0022】
これにより、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる。また、シャント抵抗の両端の電圧を出力する場合と比較して、低電圧での出力によるノイズ対策となるので、より精度よくSoCの消費電力を測定することができる。
【0023】
また、例えば、前記セレクタは、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧と、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、選択された前記シャント抵抗が実装される電源線に供給された前記パワーマネジメントICの電圧である前記パワーマネジメントIC側の電圧とを、前記2つの出力端子を介して外部に出力してもよい。
【0024】
より具体的には、例えば、前記セレクタと、前記2つの出力端子のうち前記電圧差を増幅した電圧が出力される第1の出力端子との間に実装される減算回路及び増幅回路を備え、前記セレクタは、前記パワーマネジメントIC側の電圧を、前記2つの出力端子のうち前記第1の出力端子と異なる第2の出力端子に出力し、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧のうち、前記半導体チップ側の電圧を、前記減算回路に出力することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧を前記第1の出力端子に出力し、前記減算回路は、前記パワーマネジメントIC側の電圧から、前記半導体チップ側の電圧を減算することで、選択された前記シャント抵抗の両端の電圧差を算出し、前記増幅回路は、前記減算回路により算出された前記電圧差を増幅して、前記第1の出力端子に出力してもよい。
【0025】
これらにより、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる。また、シャント抵抗の両端の電圧を出力する場合と比較して、ノイズ対策となるだけでなく、ノイズ対策として差分を取られた結果得た小さい値を増幅して出力するので、より精度よくSoCの消費電力を測定することができる。
【0026】
また、例えば、前記複数の半導体チップは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)を含むとしてもよい。
【0027】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0028】
(実施の形態)
以下では、図面を参照しながら、実施の形態に係る半導体パッケージについて説明する。
【0029】
[構成]
図1は、実施の形態に係る半導体パッケージ1の構成の一例を示す図である。
【0030】
半導体パッケージ1は、例えばSiPまたはSiPモジュールとも称されるが、SiPという名称に限らず、複数の半導体チップを1つのパッケージ内に組み入れることができればよい。本実施の形態に係る半導体パッケージ1は、典型的には車載用途として作製されている。
【0031】
本実施の形態に係る半導体パッケージ1は、図1に示すように、SoC10と、PMIC11と、DRAM12と、DRAM13と、シャント抵抗14a~16bと、セレクタ17と、2つの出力端子18、19とを備える。SoC10と、PMIC11と、DRAM12と、DRAM13と、シャント抵抗14a~16bと、セレクタ17とは1つのパッケージ内の基板に実装され、封止されることで半導体パッケージ1となる。
【0032】
SoC10は、プロセッサコア及びマイコンを含む複数の集積回路を1つのチップ上に集約したSoC(System on chip)であり、複数の半導体チップの一つに対応する。SoCは、1つの半導体チップ上に、目的とするシステムの動作に必要な機能としてプロセッサ、マイコン及びその他の各種機能を有する集積回路を実装され、かつ、単体でシステムとして機能する。本実施の形態では、SoC10は、ダイ状態で半導体パッケージ1に内蔵されている。
【0033】
PMIC11は、複数の半導体チップの電源管理を行うためのパワーマネジメントICである。PMICは、Power Management Integrated Circuitの略であり、複数の電源レールと電源管理(電源制御)の機能をシングルチップに内蔵した集積回路である。本実施の形態では、図1に示すように、PMIC11は、数十本の電源線と複数の信号配線とでSoC10と接続され、複数の電源線でDRAM12、13と接続されている。PMIC11は、図1に示すように、アースされている。また、本実施の形態では、PMIC11は、ダイ状態で半導体パッケージ1に内蔵されている。
【0034】
DRAM12及びDRAM13は、複数の半導体チップの一つに対応する。本実施の形態では、DRAM12及びDRAM13は、SoC10と例えば4Gbpsクラス以上の高速信号配線で接続される。DRAM12及びDRAM13は、SoC10の近傍に配される。なお、DRAM12及びDRAM13とSoC10との距離を限界まで短くすることで、高速信号用の出力バッファの駆動の能力を下げることができ、信号品質を高めることができる。
【0035】
複数のシャント抵抗14a、14bは、PMIC11とDRAM12とを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に挿入(実装)される電流検出用の抵抗である。また、複数のシャント抵抗15a、15b~15m、15nは、SoC10とPMIC11とを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に実装される電流検出用の抵抗である。複数のシャント抵抗16a、16bは、PMIC11とDRAM13とを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に挿入(実装)される電流検出用の抵抗である。
【0036】
このように、複数のシャント抵抗14a~15nは、パワーマネジメントICと複数の半導体チップとを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に実装される。なお、電流検出用の抵抗としてシャント抵抗を用いるのは、電力測定用に半導体パッケージ1に設ける回路自体の消費電力を最小に抑えるためである。
【0037】
セレクタ17は、複数のシャント抵抗14a~15nのうち、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、2つの出力端子18、19を介して外部に出力する。セレクタ17は、例えばマルチプレクサである。
【0038】
本実施の形態では、セレクタ17は、複数のシャント抵抗15a、15b~15m、15nのそれぞれの両端から引き出された配線と選択可能に接続されている。
【0039】
セレクタ17は、複数のシャント抵抗15a、15b~15m、15nのうち、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、2つの出力端子18、19に出力する。より具体的には、セレクタ17は、SoC10により制御されて、または、半導体パッケージ1の外部からの通信により制御されて、複数のシャント抵抗15a、15b~15m、15nを、1つずつシーケンシャルに選択する。セレクタ17は、選択したシャント抵抗の両端の電圧の一方を、2つの出力端子18、19のうちの一方の出力端子18に出力し、当該両端の電圧の他方を、2つの出力端子18、19のうちの他方の出力端子19に出力する。
【0040】
なお、セレクタ17は、次のシャント抵抗を選択し、2つの出力端子18、19に選択したシャント抵抗の両端の電圧を出力することすなわち電圧選択の切り替えには、msオーダを要する。しかし、熱設計に必要な電力は、msオーダより大きな時間間隔で測定された電力で十分であり、算出に問題はない。
【0041】
2つの出力端子18、19は、セレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧値を、半導体パッケージ1の外部に出力するための端子である。2つの出力端子18、19は、それぞれ2つの半田ボールで構成される。
【0042】
これにより、セレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧値を半導体パッケージ1の外部に2つの半田ボールを経由して出力することができるので、半導体パッケージ1の外部で、予め分かっている選択されたシャント抵抗の抵抗値と選択されたシャント抵抗の両端の電圧値から、所望の電力系統の消費電力を算出することができる。
【0043】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る半導体パッケージ1によれば、SoCの電源線に直列に挿入されたシャント抵抗の両端の電圧値が、セレクタ17により選択されて2つの半田ボールを経由して、半導体パッケージ1の外部に出力することができる。
【0044】
ここで、比較例について説明する。
【0045】
図2は、比較例に係る基板実装の構成の一例を示す図である。
【0046】
図2には、比較例として、プリント基板などの基板8に、例えばSoC80などの半導体チップが実装されている構成が示されている。より具体的には、SoC80と、PMIC81と、DRAM82と、DRAM83と、複数のシャント抵抗とが実装された基板8が示されている。PMIC81と、DRAM82と、DRAM83と、シャント抵抗との配置位置については、図1に示した場合と同様のものとしている。なお、PMIC81と、DRAM82と、DRAM83と、シャント抵抗は、上述したSoC10、PMIC11、DRAM12、DRAM13、及び、シャント抵抗14a~16bと同様のため説明を省略する。比較例では、PMIC81と、DRAM82と、DRAM83と、シャント抵抗とが基板8に実装されている。
【0047】
このため、SoC80の電力測定を行う際には、基板8の外部に、電圧測定器9を準備し、SoC80とPMIC81との間の複数の電源線に直列に挿入されているシャント抵抗の両端とを接続する。このようにして、電圧測定器9に、各シャント抵抗での電圧降下値を測定させることで、各シャント抵抗での電流を算出させることができる。これにより、SoC80とPMIC81との間の複数の電源線それぞれにおける消費電力を算出できるので、合計することで、SoC80の電力測定を行うことができる。なお、電圧測定器9は、図示しないが、マルチプレクサとA/D変換器とを内蔵している。
【0048】
しかしながら、PMIC81と、DRAM82と、DRAM83と、シャント抵抗とをSiP化すると、PMIC81とSoC80間の電源線が封止されてSiP内部に閉じてしまう。このため、SiP内部のSoC80の電力を測定する手段がなくSiP内部のSoC80の電力を測定できない。
【0049】
そこで、図1に示すように、本実施の形態では、SiP内部にセレクタ17を備えることで、シャント抵抗の両端の電圧をシーケンシャルに選択して出力できる。
【0050】
より具体的には、本実施の形態に係る半導体パッケージ1は、プロセッサコア及びマイコンを含む複数の集積回路を一つのチップ上に集約したSoC10を含む、複数の半導体チップと、複数の半導体チップの電源管理を行うためのPMIC11と、PMIC11及び複数の半導体チップを結ぶ複数の電源線それぞれにおいて直列に実装される複数のシャント抵抗と、2つの出力端子18、19と、複数のシャント抵抗のうち、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、2つの出力端子18、19を介して外部に出力する1つのセレクタとを備え、PMIC11、複数の半導体チップ、複数のシャント抵抗、及びセレクタ17は、1つのパッケージ内に実装される。
【0051】
このように、本実施の形態の半導体パッケージ1によれば、セレクタ17と電力測定用の回路自体の消費電力が少ないシャント抵抗とを備えることで、シャント抵抗の両端の電圧をシーケンシャルに選択して出力できる。
【0052】
これにより、出力端子となる半田ボールのピッチを狭くせずに、高性能化したSoCのIO数の増加に対応することができるだけでなく、当該半導体パッケージ1の外部で所望の電力系統の消費電力を測定することができる。
【0053】
よって、本実施の形態の半導体パッケージ1によれば、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる。
【0054】
なお、SiPである半導体パッケージ1の消費電力では、内部のSoC10の消費電力が支配的である。このため、上記の実施の形態では、半導体パッケージ1を備えるシステムの熱設計を行うために、複数のシャント抵抗15a、15b~15m、15nの両端の電圧をセレクタ17に出力させ、SoC10の消費電力を測定できる構成として説明したがこれに限らない。さらに、複数のシャント抵抗14a、14b、16a、16bの両端の電圧をセレクタ17に出力させることで、DRAM12、13の消費電力も測定できるようにしてもよい。これにより、PMIC11から供給される全ての電源線の消費電力を測定できる。なお、半導体パッケージ1全体の消費電力は、半導体パッケージ1に供給される電源線の消費電力を測定することにより測定可能である。PMIC11から供給される全ての電源線の消費電力と半導体パッケージ1全体の消費電力の差分がPMIC11の消費電力となる。
【0055】
(変形例1)
上記の実施の形態では、セレクタ17は、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、2つの出力端子18、19に出力することで、出力端子18、19から半導体パッケージ1の外部にシャント抵抗の両端の電圧が出力されていたが、これに限らない。
【0056】
例えば、出力端子18、19から半導体パッケージ1の外部に、シャント抵抗の両端の電圧のうちPMIC11側の電圧値と、当該両端の電圧差とが出力されていてもよい。以下、この場合を変形例1として説明する。なお、以下では、上述した実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0057】
図3は、変形例1に係る半導体パッケージ1Aの構成の一例を示す図である。図1と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0058】
図3に示す半導体パッケージ1Aは、上記の実施の形態に係る半導体パッケージ1に対して、さらに、減算回路21を備える点で構成が異なる。
【0059】
減算回路21は、セレクタ17と、2つの出力端子18、19のうちセレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧差が出力される第1の出力端子との間に実装される減算回路である。減算回路21は、セレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧のうちのPMIC11側の電圧から、SoC10側の電圧を減算することで、選択されたシャント抵抗の両端の電圧差を算出する。
【0060】
本変形例では、減算回路21は、例えば図3に示すように、セレクタ17と、出力端子19との間に実装される。出力端子19は、第1の出力端子に対応する。減算回路21は、セレクタ17から出力端子18に出力されたPMIC11側の電圧から、セレクタ17から取得したSoC10側の電圧を減算することで、セレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧差を算出する。減算回路21は、算出した電圧差を、出力端子19に出力する。
【0061】
なお、減算回路は、2つの入力電圧の電圧差を取って出力する回路であり、例えば、反転増幅と非反転増幅とを同時に行い、2つの入力電圧を減算して出力する回路を用いることができる。また、PMIC11側の電圧は、セレクタ17により選択されたシャント抵抗が実装される電源線に供給されたPMIC11の電圧である。SoC10側の電圧は、セレクタ17により選択されたシャント抵抗が実装される電源線に供給されたPMIC11の電圧が当該シャント抵抗により電圧降下した後の電圧である。
【0062】
セレクタ17は、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちPMIC11側の電圧を、2つの出力端子のうち第1の出力端子と異なる第2の出力端子に出力し、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちSoC10側の電圧を、減算回路21に出力する。本変形例では、セレクタ17は、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちPMIC11側の電圧を、出力端子18に出力し、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちSoC10側の電圧を、減算回路21に出力する。
【0063】
このようにして、セレクタ17は、選択したシャント抵抗の両端の電圧差と、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうち、PMIC側の電圧とを、2つの出力端子18、19を介して外部に出力することができる。
【0064】
以上のように、本変形例に係る半導体パッケージ1Aによれば、シーケンシャルに選択されたシャント抵抗の両端のPMIC11側の電圧と当該シャント抵抗の両端の電圧差とを出力できる。
【0065】
よって、本変形例に係る半導体パッケージ1Aによれば、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる。さらにシャント抵抗の両端の電圧を出力する場合と比較して、電圧差分の低電圧での出力によるノイズ対策となるので、より精度よくSoCの消費電力を測定することができる。
【0066】
(変形例2)
上記の実施の形態では、セレクタ17は、選択されたシャント抵抗の両端の電圧を、2つの出力端子18、19に出力することで、出力端子18、19から半導体パッケージ1の外部にシャント抵抗の両端の電圧が出力されていたが、これに限らない。
【0067】
例えば、出力端子18、19から半導体パッケージ1の外部に、シャント抵抗の両端の電圧のうちPMIC11側の電圧値と、当該両端の電圧差を増幅した電圧とが出力されていてもよい。以下、この場合を変形例2として説明する。なお、以下では、上述した実施の形態、変形例1と異なる点を中心に説明する。
【0068】
図4は、変形例2に係る半導体パッケージ1Bの構成の一例を示す図である。図1と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0069】
図4に示す半導体パッケージ1Bは、上記の実施の形態に係る半導体パッケージ1に対して、さらに、減算回路21と、増幅回路22とを備える点で構成が異なる。
【0070】
減算回路21は、セレクタ17と、2つの出力端子18、19のうちセレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧が出力される第1の出力端子との間に実装される。減算回路21は、セレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧のうちのPMIC11側の電圧から、SoC10側の電圧を減算することで、選択されたシャント抵抗の両端の電圧差を算出する。
【0071】
本変形例では、減算回路21は、例えば図4に示すように、セレクタ17と、出力端子19との間、かつ、セレクタ17と増幅回路22との間に実装される。出力端子19は、第1の出力端子に対応する。減算回路21は、セレクタ17から出力端子18に出力されたPMIC11側の電圧から、セレクタ17から取得したSoC10側の電圧を減算することで、セレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧差を算出する。減算回路21は、算出した電圧差を、増幅回路22に出力する。
【0072】
増幅回路22は、セレクタ17と、2つの出力端子18、19のうちセレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧が出力される第1の出力端子との間に実装される。増幅回路22は、減算回路21により算出された電圧差を増幅して、第1の出力端子に出力する。
【0073】
本変形例では、増幅回路22は、例えば図4に示すように、セレクタ17と、出力端子19との間で、かつ、減算回路21と出力端子19との間に実装される。増幅回路22は、減算回路21で算出されて出力された、セレクタ17により選択されたシャント抵抗の両端の電圧差を増幅する。増幅回路22は、増幅した電圧差を、出力端子19に出力する。
【0074】
セレクタ17は、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちPMIC11側の電圧を、2つの出力端子のうち第1の出力端子と異なる第2の出力端子に出力し、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちSoC10側の電圧を、減算回路21に出力する。本変形例では、セレクタ17は、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちPMIC11側の電圧を、出力端子18に出力し、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうちSoC10側の電圧を、減算回路21に出力する。
【0075】
このようにして、セレクタ17は、選択したシャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧と、選択したシャント抵抗の両端の電圧のうち、PMIC側の電圧とを、2つの出力端子18、19を介して外部に出力することができる。
【0076】
以上のように、本変形例に係る半導体パッケージ1Bによれば、シーケンシャルに選択されたシャント抵抗の両端のPMIC11側の電圧と当該シャント抵抗の両端の電圧差を増幅した電圧とを出力できる。
【0077】
よって、本変形例に係る半導体パッケージ1Bによれば、電力測定用の回路自体の消費電力を最小に抑えつつ、SoCの消費電力を測定することができる。さらにシャント抵抗の両端の電圧を出力する場合と比較して、ノイズ対策となるだけでなく、ノイズ対策として差分を取られた結果得た小さい値を増幅して出力するので、より精度よくSoCの消費電力を測定することができる。
【0078】
なお、本開示では、SiP内の特定デバイスであるSoCの電力を測定するために、SiP内において、電流検出抵抗であるシャント抵抗とセレクタとを備えるとして説明したが、これに限らない。SoCの電力を測定するための電力測定可能なSiPには、本開示の構成を適用し、量産品のように電力測定が不要なSiPには、セレクタを実装せず、0Ωのシャントを備えさせるとしてもよい。このように電力測定可能なSiPとレイアウト構成を同じくすることで、電力測定可能なSiPによりSoCの電力挙動が予測できる量産用のSiPを形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本開示は、車両に搭載されるSiPなどの半導体パッケージに利用でき、特に、カーナビ、ドライブレコーダ、車載端末等に用いられる半導体パッケージに利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1、1A、1B 半導体パッケージ
10 SoC
11 PMIC
12、13 DRAM
14a、14b、15a、15b、15m、15n、16a、16b シャント抵抗
17 セレクタ
18、19 出力端子
21 減算回路
22 増幅回路
図1
図2
図3
図4