(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
A01K85/16
(21)【出願番号】P 2019236110
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505120087
【氏名又は名称】田渕 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】田渕 秀明
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-103409(JP,A)
【文献】実開昭58-135265(JP,U)
【文献】特開2007-89526(JP,A)
【文献】特開2008-182996(JP,A)
【文献】特表2016-514478(JP,A)
【文献】特開2016-2011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0172538(US,A1)
【文献】米国特許第4134224(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0318856(US,A1)
【文献】特表2003-506057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚形状を有する本体部と、前記本体部の後部に弾性により揺動可能に設けられた尾びれ部とを備えるルアーであって、
前記本体部は、前部から側方に突出するように設けられて先端側に第1の挿通部を有する第1のガイド部材を備え、
前記尾びれ部は、前記第1のガイド部材と同じ側に突出するように設けられて先端側に取付部を有する固定部材を備えており、
ラインを前記挿通部に挿通して前記取付部に取付可能なルアー。
【請求項2】
前記本体部は、前記第1のガイド部材よりも後方から前記第1のガイド部材と同じ側に突出するように設けられて先端側に第2の挿通部を有する第2のガイド部材を更に備え、
ラインを前記第1の挿通部および第2の挿通部に挿通して前記取付部に取付可能な請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用のルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のルアーとして、例えば特許文献1に開示された構成が知られている。このルアーは、前部ボディと後部ボディとが左右方向に屈曲自在に連結されたジョイント式ルアーであり、前部ボディの前部に設けられたラインアイに接続したラインを巻き取ることによりルアーがリトリーブされ、前部ボディに対して後部ボディが屈曲アクションを起こすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のルアーは、リトリーブの際の尾びれの動きを実際の魚の動きに近づけるように、尾びれ形状の工夫が図られている。ところが、この尾びれの動きは、推進力を生じさせるための能動的な動きではなく水圧による受動的な動きのため、実際の魚の動きとは異なる動きになり易く、これによってターゲットとなる魚の食いつきが悪くなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ターゲットの食いつきが良好なルアーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、魚形状を有する本体部と、前記本体部の後部に弾性により揺動可能に設けられた尾びれ部とを備えるルアーであって、前記本体部は、前部から側方に突出するように設けられて先端側に第1の挿通部を有する第1のガイド部材を備え、前記尾びれ部は、前記第1のガイド部材と同じ側に突出するように設けられて先端側に取付部を有する固定部材を備えており、ラインを前記挿通部に挿通して前記取付部に取付可能なルアーにより達成される。
【0007】
このルアーにおいて、前記本体部は、前記第1のガイド部材よりも後方から前記第1のガイド部材と同じ側に突出するように設けられて先端側に第2の挿通部を有する第2のガイド部材を更に備えることが可能であり、ラインを前記第1の挿通部および第2の挿通部に挿通して前記取付部に取付可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ターゲットの食いつきが良好なルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るルアーの平面図である。
【
図3】
図1に示すルアーの使用状態を示す平面図である。
【
図4】
図1に示すルアーの他の使用状態を示す平面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係るルアーの平面図である。
【
図7】
図6に示すルアーの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るルアーの平面図であり、
図2は、
図1に示すルアーの側面図である。
図1および
図2に示すように、ルアー1は、魚形状を有する本体部10と、本体部10の後部に設けられた尾びれ部20とを備えている。
【0011】
本体部10は、変形し難い硬質材料(例えば、木、硬質プラスチック、硬質発泡ウレタン等)により形成されることが好ましい。一方、尾びれ部20は、シリコンゴムやエラストマー等の弾性変形可能な軟質材料により形成されることが好ましい。尾びれ部20は、基端側が本体部10の後部に形成された差込口に挿入されることで、本体部10に対して弾性により揺動可能に固定されている。
【0012】
但し、本体部10および尾びれ部20の材料は上記のものに限定されず、例えば、本体部10および尾びれ部20を軟質材料により一体成形してもよい。あるいは、本体部10および尾びれ部20をいずれも硬質材料により形成し、本体部10に対して回動軸により揺動自在に取り付けてもよい。この場合、回転軸にねじりばねを取り付ける等して、尾びれ部20を弾性により揺動可能とすることができる。
【0013】
本体部10の下部には、前後に2つのフックアイ11,12が設けられており、各フックアイ11,12にフック13,14がそれぞれ取り付けられている。
【0014】
本体部10の前部には、側方に突出するように第1のガイド部材30が設けられている。第1のガイド部材30は、棒状の支持部材31と、支持部材31の先端側に設けられたリング状の第1の挿通部32とを備えている。また、本体部10の後部には、長手方向に延びる中心線に対して、第1のガイド部材30と同じ側の側方に突出するように第2のガイド部材40が設けられている。第2のガイド部材40は、第1のガイド部材30と同様に、棒状の支持部材41と、支持部材41の先端側に設けられたリング状の第2の挿通部42とを備えている。第1のガイド部材30および第2のガイド部材40は、例えば金属材料により形成することができる。本体部10は、内蔵された複数のシンカー(錘)15によってバランス調整が行われており、水面、中層、ボトム(水底)などあらゆる層において、ターゲットを誘うことができる。
【0015】
尾びれ部20には、第1のガイド部材30と同じ側の側方に突出するように固定部材50が設けられている。固定部材50は、尾びれ部20と一体成形された支持部材51と、支持部材51の先端側に設けられたリング状の取付部52とを備えている。固定部材50の支持部材51は、第1のガイド部材30の支持部材31と同様に、金属材料等により棒状に形成することもできる。
【0016】
上記の構成を備えるルアー1は、
図3に示すように、ライン100を第1の挿通部32および第2の挿通部42に順次挿通して、先端に取付用フック101を取り付けた後、この取付用フック101を取付部52に取り付けて使用することができる。取付部52に対するライン100の取り付けは、取付用フック101を使用せずに、ライン100を取付部52に直接結びつけてもよい。
【0017】
ルアー1が水中にある状態で、ライン100を巻き取る等して
図3の矢示A方向に引くと、尾びれ部20に曲げモーメントが作用して、尾びれ部20が破線の状態から実線の状態に弾性変形する。一方、ライン100を引く力を緩めると、尾びれ部20は、弾性力によって破線で示すもとの状態に戻る。このような動作を繰り返すことにより尾びれ部20が揺動し、これによって本体部10に前方への推力が生じるため、ルアー1を実際の魚のように泳がせることができる。ルアー1の進行方向は、第1のガイド部材30の配置や向きにより適宜調整することができる。
【0018】
このように、本実施形態のルアー1は、ライン100の進退操作により尾びれ部20を揺動させて、実際の魚の泳ぎに近い動きを実現することができるため、例えば、小魚を捕食する魚、縄張り意識の強い魚、弱った動きをする魚に興味を持つ魚など様々な魚種をターゲットにして、食いつきを良くすることができる。
【0019】
第1のガイド部材30および第2のガイド部材40は、ライン100が本体部10に接触しないように、突出長さ、配置、向き等を定めることが好ましく、これによって、ライン100をスムーズに進退させることができる。
【0020】
ルアー1にターゲットが掛かると、
図4に示すように尾びれ部20が大きく湾曲するが、取付用フック101が第2のガイド部材40に係止されることにより、尾びれ部20が破断するおそれがある過度の湾曲が抑制されて、ルアー1の損傷を回避することができる。
【0021】
但し、第2のガイド部材40は、本発明において必須のものではなく、
図5に示すルアー1’ように、第2のガイド部材40を備えない構成であってもよい。
図5に示すルアー1’は、第1のガイド部材30に挿通したライン100の先端を固定部材50に取り付けて使用することができ、例えばルアー1’が小さい場合には、第2のガイド部材40を設けなくても、ライン100が本体部と接触しない構成を容易に実現することができる。なお、
図5に示すルアー1’は、本体部10および尾びれ部20が、軟質材料により一体的に成形されている。
【0022】
図5に示すルアー1’において、固定部材50に対するライン100の取り付けを取付用フック101により行う場合には、取付用フック101の湾曲を緩やかにしたり取付部52の内径を大きくする等して、ターゲットが掛かって尾びれ部20が大きく湾曲したときに、取付用フック101が固定部材50から外れ易い構成にすることが好ましい。これにより、第2のガイド部材40を設けなくても、尾びれ部20の過度の湾曲を抑制することができる。
【0023】
図5に示す軟質材料からなるルアー1’は、
図6に側面図で示すように、ネイルシンカー16を本体部10に直接差し込んで、沈み具合を調整することができる。あるいは、
図7に示すように、第1のガイド部材30の基端側を、第1の挿通部32とは反対側の側方に突出させて下方に屈曲させた先端に係合リング33を設け、係合リング33にシンカー17を取り付けることもできる。係合リング33に対するシンカー17の取り付けは、
図7に示すように直接取り付ける代わりに、ラインを介して行ってもよく、これによって水底からルアー1’を少し浮かした状態でターゲットを誘うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 ルアー
10 本体部
20 尾びれ部
30 第1のガイド部材
32 第1の挿通部
40 第2のガイド部材
42 第2の挿通部
50 固定部材
52 取付部