(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置
(51)【国際特許分類】
B23G 1/38 20060101AFI20240126BHJP
B24B 19/02 20060101ALI20240126BHJP
B24B 47/10 20060101ALI20240126BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240126BHJP
【FI】
B23G1/38
B24B19/02
B24B47/10
B24B41/06 Z
(21)【出願番号】P 2022140234
(22)【出願日】2022-09-02
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】596066024
【氏名又は名称】西部自動機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】越智 研二
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-241983(JP,A)
【文献】特開2002-326124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23G 1/36-1/40;
B24B 1/00-1/04,9/00-19/28,
41/00-51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動する駆動軸を有する揺動装置と、
前記駆動軸を駆動源とする揺動軸回りに揺動可能に前記揺動装置に一体化された連結装置と、
前記連結装置を介して前記揺動装置に連結され、前記駆動軸による揺動を砥石に伝達するための揺動伝達装置と、
前記砥石をボールねじ用ナットのねじ溝に押圧するための押圧装置と、
前記ボールねじ用ナットを保持して前記ボールねじ用ナットの中心線の回りにこれを正逆回転させるワーク保持装置と、
一体化または連結された前記揺動装置、連結装置および前記揺動伝達装置と、前記ワーク保持装置と、のいずれか一方を前記中心線方向に往復移動させる横移動装置と、
前記ワーク保持装置による前記正逆回転および前記横移動装置による前記往復移動を制御する制御装置と、を有し、
前記連結装置は、
前記駆動軸に一体化された支持部と、
前記支持部に対して前記揺動軸に略直交する方向に往復移動可能に前記支持部に連結されまたは前記揺動軸に略直交するもしくは略平行な回動軸回りに回動可能に前記支持部に連結されて、前記揺動伝達装置に一体化された被支持部と、を有し、
前記揺動伝達装置は、超仕上時において、
前記ボールねじ用ナットの外部に位置するアーム部と、
前記砥石を保持して前記ボールねじ用ナットの内部に挿入される挿入部と、
を備え、
前記押圧装置は、前記アーム部を押圧することにより前記砥石をボールねじ用ナットのねじ溝に押圧するように構成され、
前記挿入部は、前記揺動軸上に前記砥石が位置するように構成された
ことを特徴とするボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【請求項2】
前記被支持部が、前記支持部に対して前記揺動軸に略直交する方向に往復移動可能に前記支持部に連結された
請求項1に記載のねじ溝超仕上装置。
【請求項3】
前記被支持部が、前記揺動軸に略直交するまたは略平行な回動軸回りに回動可能に前記支持部に連結された
請求項1に記載のねじ溝超仕上装置。
【請求項4】
前記揺動軸が略鉛直方向に延びる
請求項1に記載のボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【請求項5】
前記アーム部は、前記被支持部の移動方向に略直行して延びた後に、前記中心線に向けて略直角に曲がって延び、
前記挿入部は、前記アーム部が略直角に曲がって延びた先で前記アーム部に連続する
請求項2または請求項4に記載のボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【請求項6】
前記アーム部は、前記回動軸近傍から前記中心線に略平行に前記回動軸から遠ざかるように延びた後に、前記中心線に向けて略直角に曲がって延び、
前記挿入部は、前記アーム部が略直角に曲がって延びた先で前記アーム部に連続する
請求項3または請求項4に記載のボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【請求項7】
前記押圧装置は、砥石が前記ボールねじ用ナットのねじ溝を押圧する方向から見たとき
に前記揺動軸に重なる位置で前記アーム部を押圧する
請求項1または請求項4に記載のボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【請求項8】
前記回動軸が前記揺動軸に略直交する、
請求項3または請求項4に記載のボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【請求項9】
前記押圧装置はエアシリンダであり、
前記エアシリンダのシリンダが支持部に固定され、
前記エアシリンダのロッドが前記アーム部に固着でなく「遊び」を有して一体化された
請求項1または請求項4に記載のボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【請求項10】
前記押圧装置はエアシリンダであり、
前記アーム部を前記押圧装置による押圧方向の反対側に付勢するばねを有する
請求項1または請求項4に記載のボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじに使用されるナットのねじ溝を超仕上する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転運動を直線運動に変換するボールねじは、サーボモータまたはステッピングモータと組み合わされ、物の搬送、工作機械における可動部の移動、位置決め等に用いられ、また産業用ロボット等を動作させるためにも用いられる。
【0003】
ボールねじを構成するねじ軸およびナットはいずれもねじ溝(ボール溝)を有する。これらのねじ溝は、その表面の粗度が低いほどボールねじの動作が円滑になり、位置決め精度が高まり、および動作音が減少し、且つより長期の使用が可能になる。
【0004】
ところで、金属表面の粗度を低下させ鏡面仕上げを行うことができる研磨方法として超仕上技術が知られている。ボールねじのねじ軸におけるねじ溝(ゴシックアーチ溝)の超仕上については、例えば特許文献1に、溝の左右のフランクを同時に超仕上げ加工する技術が提案されている。
【0005】
特許文献1は、超仕上時におけるねじ軸のねじ溝に対する砥石の当て方、砥石の揺動軸の方向とねじ溝が延びた方向との関係を主に規定する。しかし特許文献1は、ねじ軸のねじ溝を超仕上する装置の具体的な構成およびその動作等を開示せず、ボールねじ用のナットのねじ溝の超仕上装置について言及されていない。
【0006】
ボールねじ用のナットのねじ溝の研磨については、ポリエステルフィルム等の基材に酸化アルミニウム等の所定粒度の固定砥粒がコーティング等された研磨テープをねじ溝に押し当てて行う技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-159641号公報
【文献】特開2018-58145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示されたボールねじ用ナットのねじ溝研磨装置は、外部に設けられたテープ移送機構に実巻リールおよび空リールを配し、実巻リールから研磨テープをボールねじ用のナットの内部に差し入れられたテープ折返研磨機構に送る。テープ折返研磨機構は、その先端の圧接ロールの前後で研磨テープの移動方向を逆転させ、逆転の途中で圧接ロールが研磨テープをねじ軸のねじ溝に押圧させる。
【0009】
ねじ軸のねじ溝の研磨は、研磨テープが圧接ロールの周面を移動するときねじ溝に対しても移動することにより行われ、使用済み研磨テープは空リールに巻き取られる。
【0010】
研磨の間、ナットはこれを保持する保持機構により回転し、テープ折返研磨機構はテープ移送機構とともに、ナットの回転に同期してナットのねじ溝の一方の端と他方の端との間を往復移動する。
【0011】
特許文献2に開示されたボールねじ用ナット研磨装置は、例えばねじ溝の曲率中心付近を軸としてテープ折返研磨機構を(超仕上のように)高速揺動させた場合、圧接ロールの前後の研磨テープの一方が弛み他方が強く引っ張られる現象が発生する虞および圧接ロールから研磨テープが脱落する虞がある。また、テープ折返研磨機構の先端に圧接ロールおよび研磨テープ反転機構等を配する必要性からこの部分の小型化が困難であり、研磨できるナットの内径の大きさが制限される。
【0012】
また、特許文献2に開示されたボールねじ用ナット研磨装置は、研磨テープの実巻リールおよび空リールをそれぞれ駆動する巻解用モータおよび巻取用モータを有してテープ折返研磨機構が一体化されたテープ移送機構を、研磨時にナットの軸線方向に移動させる。この研磨装置を超仕上に転用しようとするとテープ移送機構およびこれを軸線方向に移動させる移動台ごと揺動させなければならず、超仕上装置への転用は現実的ではない。
【0013】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、ボールねじ用ナットのねじ溝の超仕上を可能としかつナットの内径の大きさの制約が少ないボールねじ用ナットのねじ溝超仕上
装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置は、揺動装置、連結装置、揺動伝達装置、押圧装置、ワーク保持装置、横移動装置および制御装置を有する。
【0015】
揺動装置は、揺動する駆動軸を有する。連結装置は、駆動軸を駆動源とする揺動軸回りに揺動可能に揺動装置に一体化されている。揺動伝達装置は、連結装置を介して揺動装置に連結され、駆動軸による揺動を砥石に伝達する。
【0016】
押圧装置は、砥石をボールねじ用ナットのねじ溝に押圧するためのものである。ワーク保持装置は、ボールねじ用ナットを保持してボールねじ用ナットの中心線の回りにこれを正逆回転させる。横移動装置は、一体化または連結された揺動装置および揺動伝達装置と、ワーク保持装置と、のいずれか一方を中心線方向に往復移動させる。制御装置は、ワーク保持装置による正逆回転および横移動装置による往復移動を制御する。
【0017】
連結装置は、駆動軸に一体化された支持部と、支持部に対して揺動軸に略直交する方向に往復移動可能に支持部に連結されまたは揺動軸に略直交するもしくは略平行な回動軸回りに回動可能に支持部に連結されて揺動伝達装置に一体化された被支持部と、を有する。
【0018】
揺動伝達装置は、超仕上時において、ボールねじ用ナットの外部に位置するアーム部と、砥石を保持してボールねじ用ナットの内部に挿入される挿入部と、を備える。
【0019】
押圧装置は、アーム部を押圧することにより砥石をボールねじ用ナットのねじ溝に押圧するように構成されている。挿入部は、揺動軸に砥石が位置するように構成されている。
【0020】
ここで「(ボールねじ用ナットの)中心線方向」とは、この中心線に一致する(重なる)位置での方向を言うのではなく、中心線を含む仮想平面での中心線が延びる方向、つまり中心線に平行な線が延びる方向をも含む意である。
【0021】
ボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置は、揺動軸が略鉛直方向に延びるように配置すると、ボールねじ用ナットのねじ溝における砥石が超仕上されている部分への切削油、砥石屑および金属粉の蓄積が防止できる。
【0022】
ボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置において、アーム部を、回動軸近傍から中心線に略平行にかつ回動軸から遠ざかるように延びた後に、中心線に向けて略直角に曲がって延びる形態とし、挿入部を、アーム部が略直角に曲がって延びた先でアーム部に連続する形態とする。
【0023】
上記において「略直交」、「略平行」、「略鉛直方向」および「略直角」のように「略」を付したのは、外観上「直交」、「平行」、「鉛直」、「平行」および「直角」に見えれば足り、厳密な「直交」および「平行」等をいうものではない意である。
【0024】
押圧装置は、砥石がボールねじ用ナットのねじ溝を押圧する方向と同じ方向にかつその押圧方向から見たときに揺動軸に重なる位置で、アーム部を押圧する。
【0025】
支持部と被支持部とが回動軸により連結された連結装置では、回動軸が揺動軸に略直交するように構成される。
【0026】
押圧装置としてエアシリンダが用いられ、エアシリンダのシリンダが支持部に固定される。被支持部が支持部に対して揺動軸に略直交する方向に往復移動可能に支持部に連結された連結装置を有するボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置は、エアシリンダのロッドがアーム部に固着でなく「遊び」を有して一体化される。
【0027】
ここで「遊びを有して」とは、ロッドとアーム部との一体化において、ロッドの動作がアームの移動に影響しない、一体化部分に設けられた隙間、緩み(遊間)を有する意である。
【0028】
押圧装置は、アーム部をエアシリンダによる砥石の押圧方向の反対側に付勢するばねを有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、ボールねじ用ナットのねじ溝の超仕上を可能としかつナットの内径の大きさの制約が少ないボールねじ用ナットのねじ溝超仕上装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1はねじ溝超仕上装置の正面部分断面図である。
【
図2】
図2は溝超仕上装置の左側面部分断面図である。
【
図4】
図4は貫通孔における固定板と超仕上砥石との関係を示す図である。
【
図5】
図5は
図1のA-A矢視方向から見た超仕上時のねじ溝超仕上装置の動作を示す図である。
【
図6】
図6は他のねじ溝超仕上装置の正面図である。
【
図7】
図7は他のねじ溝超仕上装置の正面部分断面図である。
【
図8】
図8は他のねじ溝超仕上装置の側面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1はねじ溝超仕上装置1の正面部分断面図、
図2は溝超仕上装置1の左側面部分断面図、
図3は
図1のA-A矢視図、
図4は貫通孔33における固定板35と超仕上砥石11との関係を示す図、
図5は
図1のA-A矢視方向から見た超仕上時のねじ溝超仕上装置1の動作を示す図である。
図4において、(a)は超仕上砥石11が固定される様子を示す平面断面図、(b)は固定板35の平面図、(c)は固定板35の右側面図である。
【0032】
ねじ溝超仕上装置1は、揺動装置2、連結装置3、揺動伝達装置4、押圧装置5、横移動装置、ワーク保持装置6および制御装置等からなる。
【0033】
揺動装置2は、揺動伝達装置4が保持する超仕上砥石11(以下「砥石11」という)を高速で揺動(オシレーション)させるための装置である。揺動装置2にはサーボモータが用いられる。揺動装置2は、その駆動軸(以下「駆動軸」という)が鉛直になるように配される。
【0034】
揺動装置2は、それ自体は揺動しないが、その駆動軸により連結装置3、揺動伝達装置4および押圧装置5を一体として揺動させる。
【0035】
揺動装置2は、砥石11の位置が、ボールねじ用ナットW(以下「ナットW」という)の内径に応じて(より大きい内径のナットWに対しては例えば
図3の下方に)変更可能に構成される。(揺動装置2は、後述するように連結装置3、揺動伝達装置4および押圧装置5と一体化されており、揺動装置2の水平方向の位置を変えることにより揺動伝達装置4が保持する砥石11の位置が変わる。)
連結装置3は、支持部12、被支持部13および回動軸14からなる。支持部12は、サーボモータの駆動軸と一体化され駆動軸の揺動とともに揺動する。被支持部13は揺動伝達装置4に一体化されている。回動軸14は、被支持部13を回動可能に支持部12に連結する。回動軸14は、サーボモータの駆動軸に直交し水平方向に延びている。
【0036】
揺動伝達装置4は、砥石11にナットWのねじ溝Gの超仕上をさせるために、揺動装置2の高速揺動を砥石11に伝達する。
【0037】
揺動伝達装置4は、アーム部21および挿入部22等で構成される。
【0038】
アーム部21は、正面視(
図1)において「L」字状を呈し、その一方の端側が連結装置3の被支持部13に一体化されている。アーム部21は、被支持部13に一体化された側から回動軸14の軸心方向の一方に向け略水平に延び(この部分を「回避部23」という)、途中で略90度(略直角に)曲がり下方に略鉛直に延びる(この部分を「延長部24」という)。つまり、アーム部21は、回避部23がワーク保持装置6に保持されるナットWの周面をその中心線方向に迂回し、延長部24がナットWの開口に至る。
【0039】
アーム部21は、ナットWの回転を妨げずに被支持部13との連結部分からナットWの開口に延びていれば、上述の形状に制限されない。
【0040】
アーム部21は、その延長部24の延びた先で挿入部22と一体化されている。
【0041】
挿入部22は、正面視(
図1)において回動軸14(の軸心)に対してナットのねじ溝Gのリード角分だけ傾斜して、かつ平面視(
図3)において回動軸14と平行に、アーム部21と連続する端から揺動軸SCに向け延びる。
【0042】
ここで「揺動軸」とは、揺動装置2の駆動軸により連結装置3、揺動伝達装置4等および砥石11が揺動するときの揺動の中心軸をいい、ねじ溝超仕上装置1において実体のない(部分として指し示せない)軸(線)である。
【0043】
挿入部22は、砥石保持部31および砥石固定装置32を有する。
【0044】
砥石保持部31は、挿入部22におけるその延びた端部に設けられ、断面形状が矩形の鉛直方向に貫通する孔38を有する。砥石保持部31は、その矩形の孔38の長辺が揺動軸SCに平行であり、正面視において揺動軸SCが砥石保持部31の孔38の内部を通過する。砥石保持部31は、その孔38内に砥石11を保持する。
【0045】
砥石固定装置32は、挿入部22の内部で挿入部22が延びる方向に貫通し断面が円形の貫通孔33、貫通孔33に嵌め入れられた係止棒34、および砥石保持部31の孔38内に配される板状の固定板35からなる。
【0046】
貫通孔33は、その中心線が挿入部22の延びる方向に一致する。貫通孔33は、砥石保持部31とは反対側の開口近傍に雌ねじ36が設けられている。
【0047】
係止棒34は、外径が貫通孔33の雌ねじ36を除く部分の内径よりやや小さな丸棒であり、一方の端近傍に雄ねじ37を有する。係止棒34は、その雄ねじ37が雌ねじ36に螺合され、貫通孔33に嵌め入れられている。
【0048】
固定板35は砥石保持部31の孔38内に配される。固定板35は、孔38の矩形断面における長辺をその幅(
図4(b)の上下方向の寸法)とし、孔38の長さより少し大きい長さを有する。固定板35は、その長さ方向の一方の端からその幅方向の両側に突出する一対の係止部39,39を備える。
【0049】
固定板35は、貫通孔33における砥石保持部31の矩形の孔38への開口から露出する係止棒34の端面に当接可能なようにして、孔38の側面近くに配されている。
【0050】
砥石11は、矩形の孔38内で、固定板35と他方の長辺の内面との間に保持される。砥石11は正面視において矩形の孔38の長辺の長さと略同じ幅を有する。固定板35は、係止棒34に押されて矩形の孔38内に砥石11を固定する。固定板35は、砥石11の側面(
図1では左側の面)全体を押圧するように形成され、押圧力が分散されることにより比較的脆い砥石11の破損を防いでいる。
【0051】
固定板35の一対の係止部39,39は、固定板35が孔38内に過剰に押し込まれることを防止する。
【0052】
揺動伝達装置4は、揺動装置2の駆動軸が砥石11の揺動軸SCと一致するように、アーム部21および挿入部22が構成される。
【0053】
押圧装置5は、ナットWのねじ溝Gの超仕上時において砥石11をねじ溝Gに押しつけ、超仕上終了後には挿入部22(揺動伝達装置4)をナットW内から取り出し易い姿勢にする働きをする。
【0054】
押圧装置5は連結装置3の支持部12に一体化されており、エアシリンダ41および解除装置42等からなる。
【0055】
エアシリンダ41は、そのピストン43の一部が通常の単動式エアシリンダにおけるロッド側に露出しており、その露出する端面が球面に形成されている。エアシリンダ41は、正面視において揺動軸SCと重なる位置でアーム部21における回避部23の側面を略水平方向に押圧するように配置されている。この押圧方向は、砥石11がナットWのねじ溝Gを押圧する方向である。
【0056】
解除装置42は、連結装置3の支持部12から揺動軸SCに略平行に延びる板状のばね保持部45(
図2参照)、および圧縮コイルばね46からなる。
【0057】
ばね保持部45は、回避部23の側方に位置して回避部23と間隔を有しており、断面が円形のばね装着部が回避部23に向けて突出する。円柱状のばね装着部の軸心は、エアシリンダ41のピストン43の軸心(の延長)に略一致する。
【0058】
圧縮コイルばね46は、その一方の端がばね装着部に被せられ、他方の端が回避部23の側面に当接する。
【0059】
押圧装置5は、エアシリンダ41のシリンダ室に加圧エアが導入されることで砥石11をナットWのねじ溝Gに押圧させ、シリンダ室の加圧を解除することで圧縮コイルばね46が砥石11をねじ溝Gから開放する。シリンダ室の加圧を解除したときのピストン43の待避位置は、ヘッドカバーを貫通するスタッドボルトにより調整される。
【0060】
横移動装置は、揺動装置2、連結装置3、揺動伝達装置4および押圧装置5を一体として往復移動させるものである。横移動装置は、駆動源のサーボモータ、リニアガイドおよ
びボールねじ等で構成される。横移動装置が揺動装置2等を移動させる方向は、正面視において超仕上対象であるナットWのねじ溝Gのリード角分だけ回動軸14に対して傾斜する方向であり、ワーク保持装置6に保持されたナットWの中心線CLに平行な方向でもある(
図1両方向矢印参照)。
【0061】
横移動装置は、ねじ溝Gの一方の端から他方の端までの全長に渡り超仕上をするために、砥石11をナットWに対してその中心線CL方向に相対移動させる働きをする。したがって、横移動装置を、上述したような揺動装置2、連結装置3、揺動伝達装置4および押圧装置5を一体として移動させるものではなく、ワーク保持装置6を中心線CL方向に移動させるものとしても良い。
【0062】
ワーク保持装置6は、ナットWの超仕上時にこれを保持し回転させる装置である。ワーク保持装置6は、その回転軸がナットWのねじ溝Gのリード角分だけ、連結装置3における回動軸14に対して傾斜する。ワーク保持装置6は、超仕上対象のナットWのねじ溝断面におけるゴシックアーチ面の曲率中心と砥石11の揺動軸SCの水平方向における位置とを略一致させてワークを保持する。ゴシックアーチ面の曲率中心の位置と砥石11の揺動軸SCの位置との略一致は、揺動装置2の略水平方向における位置を調整して行われる。ワーク保持装置6の略水平方向における位置を調節してこれらの高さを一致させることもできる。
【0063】
制御装置は、ねじ溝超仕上装置1の全体の動作を制御するためのものである。制御装置は、例えば、超仕上時に常に砥石11が溝内に収まるように、横移動装置およびワーク保持装置6を制御する。具体的には、揺動装置2の往路移動時において揺動装置2が隣り合うねじ溝間(1リード)を移動する間にナットWが正方向に1回転するように、揺動装置2の復路移動時にはねじ溝間(1リード)を移動する間にナットWが逆方向に1回転するように、横移動装置およびワーク保持装置6の動作を制御する。
【0064】
図5を参照して、ねじ溝超仕上装置1は、サーボモータ(揺動装置2)が、連結装置3、揺動伝達装置4および押圧装置5を一体として揺動軸SC回りに揺動させる。ねじ溝超仕上装置1は、ナットWのねじ溝G内で砥石11を高速揺動させることにより、ナットWのねじ溝Gの超仕上を行う。
【0065】
砥石11の揺動軸SCを略鉛直とし、砥石11の研磨面がナットWのねじ溝を尺水平方向に押圧するように構成したのは、切削油、超仕上時に生ずる砥石屑および金属粉が、砥石11が現に超仕上を行っているその部分に滞留するのを防ぐためである。
【0066】
揺動装置2、連結装置3、揺動伝達装置4、押圧装置5および横移動装置の一体化物とワーク保持装置6との位置関係は、
図1におけるものの上下を逆にしても、
図1の配置と同じように砥石屑および金属粉等の超仕上が行われている部分への滞留が防止できる。
【0067】
砥石屑および金属粉等の超仕上が行われている部分への滞留を防止ずるのが望ましいものの、
図1が平面図となるように揺動装置2、連結装置3、揺動伝達装置4、押圧装置5および横移動装置の一体化物とワーク保持装置6とを配置しても、ナットWのねじ溝の超仕上が可能である。
【0068】
ねじ溝超仕上装置1は、ナットW内に挿入される挿入部22の構造を簡素で小型とすることができ、より内径が小さなナットWの超仕上が可能となる。
【0069】
図6は他のねじ溝超仕上装置1Bの正面図である。
図6においてねじ溝超仕上装置1におけるものと同じ部分についてはねじ溝超仕上装置1と同じ符合を付しその説明を省略する。
【0070】
ねじ溝超仕上装置1Bは、揺動装置2、連結装置3B、揺動伝達装置4B、押圧装置5B、横移動装置、ワーク保持装置6および制御装置等からなる。
【0071】
連結装置3Bは、支持部12B、被支持部13Bおよび回動軸14Bからなる。支持部12Bは、サーボモータの駆動軸と一体化され駆動軸の揺動とともに揺動する。被支持部13Bは揺動伝達装置4Bに一体化されている。回動軸14Bは、被支持部13Bを回動可能に支持部12Bに連結する。回動軸14Bは、サーボモータの駆動軸から離れた位置でこれと平行に且つ鉛直方向に延びている。回動軸14Bにおけるサーボモータの駆動軸との平行および鉛直方向について、厳格にこれらを要求するものではない。
【0072】
揺動伝達装置4Bは、アーム部21Bおよび挿入部22等で構成される。
【0073】
アーム部21Bは、正面視(
図6)において「L」字状を呈し、回動軸14Bに支持された側が回避部23B、他方が延長部24である。また、回避部23Bは、回動軸14Bに支持されているので、連結装置3Bの被支持部13Bでもある。つまり、ねじ溝超仕上装置1Bにおいては、被支持部13Bはアーム部21Bの一部であり、サーボモータの駆動軸との連結に寄与する連結装置3Bの構成要素でもある。
【0074】
回避部23Bは、支持部12Bに連結された部分(被支持部13B)の端から略水平に延び、途中で略90度(略直角に)曲がり下方に略鉛直に延びる。アーム部21Bは、回避部23Bがワーク保持装置6に保持されるナットWの周面をその中心線方向に迂回し、延長部24がナットWの開口に至る。
【0075】
押圧装置5Bは、連結装置3Bの支持部12Bに一体化されており、エアシリンダ41および解除装置等からなる。
【0076】
押圧装置5Bは、ねじ溝超仕上装置1の押圧装置5と同じ単動式エアシリンダであり、その露出するピストンの一部が被支持部13Bを略水平方向に押圧するように配置されている。ピストンによるアーム部21B(揺動伝達装置4B)への押圧は、回動軸14Bと揺動軸SCとの間で行われ、この押圧方向は、砥石11がナットWのねじ溝Gを押圧する方向である。
【0077】
解除装置は、連結装置3の支持部12Bと被支持部13Bとの間に配された圧縮コイルばねである。
【0078】
ねじ溝超仕上装置1Bは、押圧装置5Bが揺動伝達装置4Bを押圧する位置が、ねじ溝超仕上装置1における押圧装置5が揺動伝達装置4を押圧する位置と大きく異なる。しかし、ねじ溝超仕上装置1Bはねじ溝超仕上装置1と同様に、ナットW内に挿入される挿入部22の構造を簡素で小型とすることができ、より内径が小さなナットWの超仕上が可能となる。
【0079】
図7は他のねじ溝超仕上装置1Cの正面部分断面図、
図8は他のねじ溝超仕上装置1Cの側面部分断面図である。
図7および
図8において、ねじ溝超仕上装置1におけるものと同じ部分についてはねじ溝超仕上装置1と同じ符合を付しその説明を省略することがある。
【0080】
ねじ溝超仕上装置1Cは、揺動装置2、連結装置3C、揺動伝達装置4C、押圧装置5C、横移動装置、ワーク保持装置6および制御装置等からなる。
【0081】
揺動装置2は、溝超仕上装置1における揺動装置2と全く同じ構成と機能を有する。揺動装置2は、その駆動軸(以下「駆動軸」という)の揺動による砥石11の揺動軸SCが鉛直になるように配するのが適切である。
【0082】
揺動装置2は、その駆動軸により連結装置3C、揺動伝達装置4Cおよび押圧装置5Cを一体として揺動させる。
【0083】
連結装置3Cは、支持部12C、被支持部13Cおよび一対のリニアガイド15C,15Cからなる。支持部12Cは、揺動装置2(サーボモータ)の駆動軸と一体化され、駆動軸の揺動とともに揺動する。支持部12Cは、平面視矩形の厚板状である。被支持部13Cは一対のリニアガイド15C,15Cを介して支持部に一体化されている。
【0084】
リニアガイド15C,15Cは、それぞれのレール16C,16Cが(駆動軸による)揺動の軸(揺動軸SC)に直交させてこれらが並行に支持部12Cに固定されている。リニアガイド15C,15Cのブロック17C,17Cは、それぞれが一緒にレール16C,16Cを移動可能に、支持部12Cの下方の被支持部13Cに固定されている。リニアガイド15C,15Cは、正面視(
図7)において揺動軸SCに対して対称となるように配されている。
【0085】
被支持部13Cは揺動伝達装置4Cに一体化されている。つまり支持部12Cと被支持部13Cとは一対のリニアガイド15C,15Cで連結され、揺動伝達装置4Cは支持部12Cに対して略水平移動可能である。
【0086】
なお、レール16C,16Cを、被支持部13Cを支持する支持部12Cの一部、およびブロック17C,17Cを被支持部13Cまたは被支持部13Cの一部ともみなせる。
【0087】
揺動伝達装置4Cは揺動伝達装置4と同様に、砥石11にナットWのねじ溝Gの超仕上をさせるために、揺動装置2による高速揺動を砥石11に伝達する。
【0088】
揺動伝達装置4Cは、アーム部21Cおよび挿入部22等で構成される。
【0089】
アーム部21Cは、正面視(
図7)において「L」字状を呈し、その一方の側が連結装置3Cの被支持部13Cに一体化されている。アーム部21Cは、被支持部13Cに一体化された側から揺動軸SCおよびレール16Cのいずれにも略直交して略水平に延び(この部分を「回避部23C」という)、途中で下方に延びる(この部分を「延長部24C」という)。アーム部21Cは、回避部23Cがワーク保持装置6に保持されるナットWの周面をその中心線方向に迂回し、延長部24CがナットWの開口に至る。
【0090】
ねじ溝超仕上装置1Cでは、回避部23Cがブロック17C,17Cを介して支持部12Cに支持されるので、回避部23Cはアーム部21Cの一部でありかつ被支持部13Cの一部とみなすことができる。
【0091】
アーム部21Cは、ナットWの回転を妨げずに支持部12Cとの連結部分からナットWの開口に延びていれば、上述の形状に制限されない。アーム部21Cは、その延長部24Cの延びた先で挿入部22と一体化されている。
【0092】
挿入部22は、正面視(
図7)において揺動軸SCに直交する(仮想)平面に対してナットのねじ溝Gのリード角分だけ傾斜して、かつ平面視においてレール16Cに直交してアーム部21Cと連続する端から揺動軸SCに向け延びる。挿入部22は、その構成および機能が、ねじ溝超仕上装置1における挿入部22と同一である。したがって、挿入部22は、砥石保持部31および砥石固定装置32を有するが、これらもねじ溝超仕上装置1における砥石保持部31および砥石固定装置32とその構成および機能は同一である。
【0093】
押圧装置5Cは、超仕上時において砥石11をナットWのねじ溝Gに押しつけ、超仕上終了後には砥石11をねじ溝Gから遠ざける働きをする。押圧装置5Cは、複動型エアシリンダ41Cおよびアーム連結部47Cからなる。
【0094】
エアシリンダ41Cは複動型エアシリンダである。エアシリンダ41Cは、そのシリンダがブラケット48Cにより連結装置3Cの支持部12Cに一体化され、そのロッド49Cがアーム連結部47Cに非固定的に連結されている。エアシリンダ41Cのロッド49Cには、その先端面に開口し中心線PLにを中心とする雌ねじが設けられている。エアシリンダ41Cは、その(シリンダの)中心線PLが、揺動軸SCに直交し且つ(リニアガイドの)レール16Cと並行になるように配される。エアシリンダ41Cは、正面視(
図7)においてアーム部21Cの回避部23Cに重なる。
【0095】
アーム連結部47Cは、アーム部21C(の回避部23C)に設けられた挿通孔51C、ボルト52C、2つの肉厚座金(平ワッシャー)53C,53Cおよび安定化圧縮コイルばね54C等からなる。
【0096】
挿通孔51Cは、その中心線がエアシリンダ41Cの中心線PLに一致する、回避部23Cを貫通する断面が円形の孔である。挿通孔51Cは、ボルト52Cの外径より十分に大きく、内部で段が形成されてエアシリンダ41Cの反対側の開口までさらに外径が大きくなっている(外径が大きな部分を「径大部」という)。
【0097】
挿通孔51Cには、この孔の長さより数ミリメートル長い円筒状のカラー55Cが嵌め入れられている。カラー55Cの外径は径大部を除く挿通孔51Cの内径よりわずかに小さい。
【0098】
ボルト52Cは、挿通孔51Cの両開口部分にそれぞれ肉厚座金53C,53Cが配され、径大部とカラー55Cとの間に安定化圧縮コイルばね54Cが収容された状態で、カラー55Cを貫通し、ロッド49Cの雌ねじに螺合されている。カラー55Cの内径はボルト52Cの径よりわずかに大きい。ボルト52Cは、アーム部21Cとロッド49Cとを連結する。ボルト52Cの(ロッド49Cの)雌ねじへの螺合の程度は、アーム部21Cとロッド49Cとを緊結するものではなく、挿通孔51C内をボルト52Cが数ミリメートル移動できるように、つまり肉厚座金53Cとアーム部21C(回避部23C)とに数ミリメートルの(遊び)間隔Dを生じさせるものである。
【0099】
安定化圧縮コイルばね54Cは、揺動伝達装置4Cおよび押圧装置5C等が高速で揺動
するとき、揺動時の遠心力、振動等で回避部23Cが前述した「遊び」つまり間隔Dを自由に移動するのを妨げる働きをする。
【0100】
押圧装置5Cは、エアシリンダ41Cの一方のシリンダ室に加圧エアが導入されることで砥石11をナットWのねじ溝Gに押圧させ、他方のシリンダ室に加圧エアが導入されることで砥石11をねじ溝Gから開放する。砥石11をねじ溝Gから開放したときのピストン43Cの待避位置は、ヘッドカバーを貫通するスタッドボルトにより調整される。
【0101】
押圧装置5Cに単動型エアシリンダを用い、砥石11をねじ溝Gから遠ざける動作を、ねじ溝超仕上装置1における解除装置42のように構成することができる。例えば、
図8において支持部12Cの下面に(ねじ溝超仕上装置1における)ばね保持部45類似物を一体化し、回避部23Cとの間に圧縮コイルばねを配してもよい。
【0102】
横移動装置は、揺動装置2、連結装置3C、揺動伝達装置4Cおよび押圧装置5Cを一体として往復移動させるものである。横移動装置は、駆動源のサーボモータ、リニアガイドおよびボールねじ等で構成される。横移動装置が揺動装置2等を移動させる方向は、正面視において超仕上対象であるナットWのねじ溝Gのリード角分だけ回動軸14に対して傾斜する方向であり、ワーク保持装置6に保持されたナットWの中心線CLに平行な方向でもある(
図7両方向矢印参照)。
【0103】
横移動装置は、ねじ溝Gの一方の端から他方の端までの全長に渡り超仕上をするために、砥石11をナットWに対してその中心線CL方向に相対移動させる。横移動装置を、上述したような揺動装置2、連結装置3C、揺動伝達装置4Cおよび押圧装置5Cを一体として移動させるものではなく、ワーク保持装置6を中心線CL方向に移動させるものとしても良い。
【0104】
ワーク保持装置6は、ねじ溝超仕上装置1におけるワーク保持装置6と同じである。
【0105】
制御装置は、ねじ溝超仕上装置1Cの全体の動作を制御するためのものである。制御装置は、複動型エアシリンダ41Cの弁制御がねじ溝超仕上装置1における単動型エアシリンダ41の弁制御と異なる点を除き、ねじ溝超仕上装置1におけるワーク保持装置6と同じである。
【0106】
ねじ溝超仕上装置1B,1Cは、砥石11の揺動軸SCを略鉛直とし、砥石11の研磨面がナットWのねじ溝を尺水平方向に押圧するように構成するのが好ましい。超仕上に使用する切削油、超仕上時に生ずる砥石屑および金属粉が、砥石11が現に超仕上を行っているその部分に滞留するのが防止されるためである。
【0107】
揺動装置2、連結装置3B,3C、揺動伝達装置4B,4C、押圧装置5B,5Cおよび横移動装置の一体化物とワーク保持装置6との位置関係は、例えば
図7における形態の上下を逆にしても、
図1の配置と同じように砥石屑および金属粉等の超仕上が行われている部分への滞留が防止できる。
【0108】
砥石屑および金属粉等の超仕上が行われている部分への滞留を防止ずるのが望ましいものの、揺動軸SCが水平となるように揺動装置2、連結装置3B,3C、揺動伝達装置4B,4C、押圧装置5B,5Cおよび横移動装置の一体化物とワーク保持装置6とを配置しても、ナットWのねじ溝の超仕上が可能である。
【0109】
ねじ溝超仕上装置1は、ナットW内に挿入される挿入部22の構造を簡素で小型とすることができ、より内径が小さなナットWの超仕上が可能となる。
【0110】
上述の実施形態において、挿入部22における砥石保持部31を除く、ナットW内に挿入される部分の貫通孔33に直交する断面形状を円形とすることができる。断面形状に円形を採用することにより、ナットW内に挿入される部分が揺動時にナットWの内面に当たり難くなり、さらに小さな内径のナットWのねじ溝Gの超仕上が可能となる。
【0111】
その他、ねじ溝超仕上装置1,1B,1C、およびねじ溝超仕上装置1,1B,1Cの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、ボールねじに使用されるナットのねじ溝を超仕上する装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1,1B,1C ねじ溝超仕上装置
2 揺動装置
3,3B,3C 連結装置
4,4B,4C 揺動伝達装置
5,5B,5C 押圧装置
6 ワーク保持装置
11 超仕上げ砥石(砥石)
12,12B,12C 支持部
13,13B,13C 被支持部
14,14B 回動軸
21,21B,21C アーム部
22 挿入部
41,41C エアシリンダ
46 圧縮コイルばね(ばね)
49C (エアシリンダの)ロッド
CL (ボールねじ用ナットの)中心線G (ナットの)ねじ溝
SC 揺動軸
W ホールねじ用ナット(ナット)
【要約】
【課題】ボールねじ用ナットのねじ溝の超仕上を可能としナットの内径の大きさの制約が少ないねじ溝超仕上装置を提供する。
【解決手段】ねじ溝超仕上装置1は、揺動する駆動軸を有する揺動装置2、駆動軸に直交する回動軸で揺動装置に連結され揺動可能な揺動伝達装置4、揺動伝達装置と一体化された押圧装置5、ナットWをその中心線CL回りに正逆回転させるワーク保持装置6、揺動装置及び揺動伝達装置とワーク保持装置とのいずれか一方を中心線方向に往復移動させる横移動装置、及びワーク保持装置の正逆回転および横移動装置の往復移動を制御する制御装置を有する。揺動伝達装置は、ナットの外部のアーム部21と砥石11を保持しナット内に挿入される挿入部22とを備える。押圧装置はアーム部を押圧して砥石をナットのねじ溝Gに押圧し、挿入部は駆動軸に砥石を位置させる。
【選択図】
図1