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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 3/04 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
E05B3/04 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022169157
(22)【出願日】2022-10-21
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000152572
【氏名又は名称】株式会社日中製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭祐
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特許第2706055(JP,B2)
【文献】特開2021-161811(JP,A)
【文献】特開2001-254538(JP,A)
【文献】特開2003-253924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 3/00-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア(D)に埋設したドア錠(2)を貫通する芯棒(3)の一端に第1ハンドル(A1)を固定し、芯棒(3)の他端に着脱機構(4)を介して第2ハンドル(A2)を着脱可能に固定しており、前記着脱機構(4)は、前記芯棒(3)の周面に長手方向複数形成された係止溝(3a)と、芯棒(3)に嵌合しかつ傾倒することにより係止溝(3a)と係合可能な係止歯(5a)を有する係止板(5)と、この係止板(5)を当接することにより傾倒姿勢にする傾倒受け材(6)と、係止板(5)を傾倒受け材(6)に当接させる付勢部材(7)とを有しており、前記第2ハンドル(A2)には係止板(5)の傾倒先端(5b)に対向する貫通孔(8)を形成しているドアハンドル装置であって、
前記係止板(5)の傾倒先端(5b)と傾倒受け材(6)との間に、傾倒先端(5b)を傾倒受け材(6)から離れる方向に押動して係止板(5)を起立させる動作部材(9)が設けられており、この動作部材(9)は動作することにより係止板(5)の傾倒先端(5b)を傾倒受け材(6)から離れる方向に押動する押動部(9a)と、前記貫通孔(8)内に支持されかつ貫通孔(8)を塞ぐ支持部(9b)と、この支持部(9b)の端部であって貫通孔(8)から露出するとともに操作具(S)と係合可能な操作係合部(9c)とが形成されており、
前記動作部材(9)は、操作係合部(9c)が押動操作する操作具(S)と係合可能な凹み形状であり、支持部(9b)は貫通孔(8)に内外方向移動可能に支持され、押動部(9a)は傾倒先端(5b)と傾倒受け材(6)との間に侵入しかつ侵入を深めることにより傾倒先端(5b)を傾倒受け材(6)から離れる方向に押動する楔形状に形成されており、
前記支持部(9b)が貫通孔(8)を塞ぐ位置から内方向に移動することにより、押動部(9a)は傾倒先端(5b)と傾倒受け材(6)との間への侵入が深められることを特徴とするドアハンドル装置。
【請求項2】
前記芯棒(3)は断面角形であって係止溝(3a)を形成している面と略平行でかつ係止溝(3a)と重合する位置にすり割り溝(16)が形成されており、芯棒(3)の一端は第1ハンドル(A1)に固着されており、芯棒(3)の他端は前記係止溝(3a)が形成されかつすり割り溝(16)を拡大するように第2ハンドル(A2)内に設けられた割り部(18)に嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項3】
ドア(D)に埋設したドア錠(2)を貫通する芯棒(3)の一端に第1ハンドル(A1)を固定し、芯棒(3)の他端に着脱機構(4)を介して第2ハンドル(A2)を着脱可能に固定しており、前記着脱機構(4)は、前記芯棒(3)の周面に長手方向複数形成された係止溝(3a)と、芯棒(3)に嵌合しかつ傾倒することにより係止溝(3a)と係合可能な係止歯(5a)を有する係止板(5)と、この係止板(5)を当接することにより傾倒姿勢にする傾倒受け材(6)と、係止板(5)を傾倒受け材(6)に当接させる付勢部材(7)とを有しており、前記第2ハンドル(A2)には係止板(5)の傾倒先端(5b)に対向する貫通孔(8)を形成しているドアハンドル装置であって、
前記係止板(5)の傾倒先端(5b)と傾倒受け材(6)との間に、傾倒先端(5b)を傾倒受け材(6)から離れる方向に押動して係止板(5)を起立させる動作部材(9)が設けられており、この動作部材(9)は動作することにより係止板(5)の傾倒先端(5b)を傾倒受け材(6)から離れる方向に押動する押動部(9a)と、前記貫通孔(8)内に支持されかつ貫通孔(8)を塞ぐ支持部(9b)と、この支持部(9b)の端部であって貫通孔(8)から露出するとともに操作具(S)と係合可能な操作係合部(9c)とが形成されており、
前記芯棒(3)は断面角形であって係止溝(3a)を形成している面と略平行でかつ係止溝(3a)と重合する位置にすり割り溝(16)が形成されており、芯棒(3)の一端は第1ハンドル(A1)に固着されており、芯棒(3)の他端は前記係止溝(3a)が形成されかつすり割り溝(16)を拡大するように第2ハンドル(A2)内に設けられた割り部(18)に嵌合されていることを特徴とするドアハンドル装置。
【請求項4】
前記第1ハンドル(A1)にはドア(D)に当接する第1座盤(11)が配置され。前記第2ハンドル(A2)にはドア(D)に当接してドア(D)を挟んで第1座盤(11)と連結される第2座盤(12)が配置され、この第2座盤(12)に回動可能に支持されかつ芯棒(3)に嵌合する棒嵌合体(14)が設けられており、この棒嵌合体(14)は第2ハンドル(A2)に一体回動可能に嵌合されており、前記棒嵌合体(14)には前記傾倒受け材(6)の傾倒受け面(α)と動作部材(9)の押動部(9a)の配置空間(β)とが形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの両側に配置するレバー式のドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドア錠のラッチボルトを進退するためにドアの両側にレバー式のドアハンドル装置が配置されている。このドアハンドル装置の従来技術として特許文献1に開示されたドア用レバーハンドルの連結構造がある。
【0003】
この従来技術は、ドアの両側に配置する一対のレバーハンドルを設け、一方のレバーハンドルに心棒を設け、他方のレバーハンドルに前記心棒を挿入可能な係合口を設け、前記心棒の周面に複数の係止溝を設け、該心棒を他方のレバーハンドルに連結するドア用レバーハンドルの連結構造において、前記係合口に連通する前記他方のレバーハンドルの内部に係止板を収容し、該係止板に前記心棒を挿入可能な透孔を設け、該透孔の開口縁部を前記係止溝に係脱可能に設け、常時は係止板をドア側に付勢して傾倒し、前記透孔の開口縁部と前記係止溝とを係合可能にしている(請求項1)。
【0004】
また、前記他方のレバーハンドルの軸部に、操作具を挿入可能な操作窓を形成し、該操作具を介して係止板を起立させ、前記透孔の開口縁部と係止溝との係合を解除可能にしている(請求項3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2706055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術は、他方のレバーハンドルの軸部に、操作具を挿入可能な操作窓を形成し、該操作具を介して係止板を起立させ、前記透孔の開口縁部と係止溝との係合を解除可能にしたから、一対のレバーハンドルの連結を容易に解除し取外すことができる。
【0007】
しかしながら、操作具は操作窓から挿入して見えない係止板に当てて押動操作しなくてはならなく、解除操作が困難であり、しかも操作窓はハンドル取り付け後も開放したままであり、操作窓から塵埃が侵入したり水が浸入したりすることがある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたドアハンドル装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、係止板を起立させる動作部材を設け、この動作部材に支持部と操作係合部とを形成することにより係止板の起立が容易にでき貫通孔を塞ぐこともできるようにしたドアハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における課題解決のための具体的手段は、ドアDに埋設したドア錠2を貫通する芯棒3の一端に第1ハンドルA1を固定し、芯棒3の他端に着脱機構4を介して第2ハンドルA2を着脱可能に固定しており、前記着脱機構4は、前記芯棒3の周面に長手方向複数形成された係止溝3aと、芯棒3に嵌合しかつ傾倒することにより係止溝3aと係合可能な係止歯5aを有する係止板5と、この係止板5を当接することにより傾倒姿勢にする傾倒受け材6と、係止板5を傾倒受け材6に当接させる付勢部材7とを有しており、前記第2ハンドルA2には係止板5の傾倒先端5bに対向する貫通孔8を形成しているドアハンドル装置であって、
前記係止板5の傾倒先端5bと傾倒受け材6との間に、傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動して係止板5を起立させる動作部材9が設けられており、この動作部材9は動作することにより係止板5の傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動する押動部9aと、前記貫通孔8内に支持されかつ貫通孔8を塞ぐ支持部9bと、この支持部9bの端部であって貫通孔8から露出するとともに操作具Sと係合可能な操作係合部9cとが形成されており、
前記動作部材9は、操作係合部9cが押動操作する操作具Sと係合可能な凹み形状であり、支持部9bは貫通孔8に内外方向移動可能に支持され、押動部9aは傾倒先端5bと傾倒受け材6との間に侵入しかつ侵入を深めることにより傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動する楔形状に形成されており、
前記支持部9bが貫通孔8を塞ぐ位置から内方向に移動することにより、押動部9aは傾倒先端5bと傾倒受け材6との間への侵入が深められている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、係止板の起立が容易にでき貫通孔を塞ぐことができる。
【0012】
即ち、本発明は、動作部材9の操作係合部9cは貫通孔8から露出しているので操作具Sを容易に係合でき、押動部9aを動作するだけで係止板5を起立させて芯棒3との係止を解除でき、支持部9bで貫通孔8を塞いでおくことができる。しかも、操作具Sにより動作部材9を押動操作すると、支持部9bが貫通孔8に案内されて楔形状の押動部9aが直線的に移動して係止板5を起立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態のドアハンドル装置を示す断面正面図である。
図2】着脱機構を示す底面図である。
図3】着脱機構を示す斜視図である。
図4】ドアハンドル装置の斜視図である。
図5】ドアハンドル装置の断面平面図である。
図6】本発明の第2実施形態のドアハンドル装置を示す断面正面図である。
図7】着脱機構を示す底面図である。
図8】着脱機構を示す斜視図である。
図9】ドアハンドル装置の底面図である。
図10】ドアハンドル装置の断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1~5は、本発明の第1実施形態のドアハンドル装置1Aを示している。
【0016】
ドアDにはラッチボルト2aを有するドア錠2が埋設され、ラッチボルト2aを出退させる芯棒3がドア錠2を貫通しており、この芯棒3を回動させるハンドルAがドアDの両側面に配置されており、第1ハンドルA1は芯棒3の一端に固定され、室外側に配置されるアウトハンドルであり、第2ハンドルA2は芯棒3の他端に着脱機構4を介して着脱可能に固定され、室内側に配置されるインハンドルとなっている。
【0017】
前記芯棒3は、図1に示すように、断面長方形の板材を2枚重合して、断面略正方形でかつ中央にすり割り溝16が形成された角芯軸となっており、その一端は第1ハンドルA1のボス部22に挿入されて止めピン17を介して止められている。芯棒3の他端側の周面には、すり割り溝16を形成する面と平行な表裏面(上下面)に係止溝3aが長手方向複数形成されている。
【0018】
ドアDの第1ハンドルA1側には、ドアDに対して固定される第1座盤11と、この第1座盤11を覆う座盤カバー24とが配置され、第1座盤11の中央に第1ハンドルA1のボス部22が回動可能に支持されている。
【0019】
第1座盤11には2本の連結ネジ25を挿通する挿通孔26と、この挿通孔26を延長させるべくドアD内まで突出したガイド筒27とが形成されている。
【0020】
ドアDの第2ハンドルA2側には、ドアDに対して固定される第2座盤12と、この第2座盤12を覆う座盤カバー34とが配置され、第2座盤12の中央に棒嵌合体14のボス部14aが回動可能に支持されている。
【0021】
第2座盤12には2本の連結ネジ25と螺合するべくドアD内まで突出した雌ネジ筒28が形成されている。第1座盤11と第2座盤12とはドアDを挟んで対向配置し、2本の連結ネジ25を第1座盤11の挿通孔26及びガイド筒27に挿通し、第2座盤12の雌ネジ筒28に螺合することにより挟持固定される。
【0022】
前記第1座盤11及び第2座盤12は、2本の連結ネジ25の間隔を広くとるために、側面視において左右方向に長い小判形状であり、その上下面には山形状の弾圧部29が形成されている。この弾圧部29の2つの裾部は、座盤がドアD面に固定されるときに弾力的に当接し、連結ネジ25の緩み止めをする。
【0023】
第2ハンドルA2は内部が略空胴であって、その空胴のドアD側を閉鎖するように棒嵌合体14が配置され、この棒嵌合体14と第2ハンドルA2の奥との間に着脱機構4が配置されている。
【0024】
棒嵌合体14はボス部14aに続いて、円形の取付部14bと台形体形状の傾倒受け材6とが一体成形されており、図5に示すように、第2ハンドルA2は開口端が取付部14bに嵌合し、取付部14bを貫通するビス31を螺合することにより固着されている。
【0025】
前記着脱機構4は、棒嵌合体14の一部である傾倒受け材6と、芯棒3の周面(上下面)の係止溝3aと、芯棒3に嵌合した係止板5と、芯棒3の外方に配置された付勢部材7と、第2ハンドルA2に形成された貫通孔8と、係止板5を起立させる動作部材9等によって構成されている。
【0026】
係止板5は矩形の板材に角穴を形成しており、角穴は角形状の芯棒3を自由に挿通できる大きさであるが、角穴の穴縁に厚板が傾斜することによる角穴の上下エッジである係止歯5aが形成されている。
【0027】
係止板5は芯棒3の軸心と直交する起立姿勢(図1~3に仮想線で示す。)とのき、芯棒3と相対移動自在であるが、一端(傾倒先端5b)が他端よりドアDに近づく傾倒姿勢になると、角穴が傾斜することにより係止歯5aが係止溝3aと係合し、係止板5と芯棒3の相対移動を規制することになる。
【0028】
係止板5は付勢部材7(コイルバネ)によって傾倒受け材6に当接させるように付勢されており、傾倒受け材6には当接される係止板5を傾倒させる傾倒受け面αが形成されている。
【0029】
係止板5は、傾倒姿勢のときに他端よりもドアDに近づく一端が傾倒先端5bとなっており、この傾倒先端5bをドアDから遠のく方向に押動することにより起立姿勢に変更できる。この傾倒先端5bを押動するために動作部材9が設けられている。
【0030】
即ち、前記動作部材9は、係止板5の傾倒先端5bと傾倒受け材6との間で、傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動して係止板5を起立させるために設けられている。
【0031】
動作部材9は動作することにより係止板5の傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動する押動部9aと、貫通孔8内に支持されかつ貫通孔8を塞ぐ支持部9bと、この支持部9bの端部であって貫通孔8から露出するとともに操作具Sと係合可能な操作係合部9cとが形成されている。
【0032】
前記貫通孔8は係止板5の傾倒先端5bに対向する位置で第2ハンドルA2の内外を貫通するように形成されており、従来技術では、この貫通孔8からドライバ等の操作具を挿入して、傾倒先端5bを押動するようにしていたが、本発明では動作部材9の支持部9bによって塞いでいる。
【0033】
なお、この貫通孔8は、一般的にレバーハンドル使用時にハンドル表面に見えないように、ハンドルの下面側に形成されている。そして操作係合部9cが貫通孔8から露出するとは、支持部9bの端部が貫通孔8から物理的に突出している必要はなく、第2ハンドルA2の外方から操作係合部9cを容易に目視確認できる位置にあればよい。
【0034】
前記動作部材9において、押動部9aは外周の一部が回動中心から突出したカム形状に形成されていて、回動動作形状となっており、操作係合部9cは回動操作する操作具S(例えばプラスドライバ)と係合可能な凹み形状であり、支持部9bは貫通孔8に回動可能に支持されている。
【0035】
動作部材9は支持部9bを支点にして押動部9aの出っ張りにより傾倒先端5bを押動することになるが、棒嵌合体14との干渉を回避するために、傾倒先端5bと円形の取付部14bとの間で傾倒受け材6の一面を凹まして、動作部材9の押動部9aの配置空間βを形成している。
【0036】
したがって、操作係合部9cは貫通孔8から露出しているので、第2ハンドルA2の外側から操作係合部9cに操作具Sを容易に係合させることができ、係合した操作具Sを回動すると動作部材9全体が貫通孔8を中心にして回動し、カム形状の押動部9aが傾倒先端5bを押動して、係止板5を起立させて係止歯5aと係止溝3aの係止を解除し、第2ハンドルA2が芯棒3から離脱するのが許容される状態にできる。
【0037】
前記第2ハンドルA2の奥には、奥面から付勢部材7と重合する位置まで薄板形状の割り部18が一体成形されている。この割り部18は芯棒3のすり割り溝16が端部から嵌合している。
【0038】
この割り部18に芯棒3のすり割り溝16が嵌合することは、第2ハンドルA2と芯棒3の端部とを固定するだけでなく、すり割り溝16が拡大されて芯棒3の端部の上下面が
離隔することになり、芯棒3の端部の上下面の係止溝3aと係止板5の係止歯5aの係止をより確実にすることになる。
【0039】
ドアハンドル装置1AのドアDへの組み付けは、ドアDの内外両面に対して第1座盤11と第2座盤12とをドアDを挟むように対向配置し、2本の連結ネジ25で連結固定する。そして座盤カバー24及び座盤カバー34を第1座盤11及び第2座盤12に嵌装しておく。
【0040】
第1ハンドルA1は芯棒3の一端を挿入固定しておいて、ボス部22を第1座盤11に挿入しながら、芯棒3をドアDに埋設されたドア錠2に貫通しながらドアDの外側面に配置する。
【0041】
ドアDの内側面から第2ハンドルA2を近づけて、棒嵌合体14及び着脱機構4を芯棒3に嵌合しながら、棒嵌合体14のボス部14aを第2座盤12に挿入していく。着脱機構4を芯棒3に嵌合していくとき、係止板5の係止歯5aが係止溝3aと接触するが、その接触抵抗は係止板5を起立させる方向に作用するので、芯棒3の移動は阻止されることはない。
【0042】
第2ハンドルA2の芯棒3への嵌合により、内部奥の割り部18が芯棒3のすり割り溝16に割り込み、芯棒3の端部の上下面の係止溝3aを僅かに離隔し、係止板5の係止歯5aとの係止状態を確保する。
【0043】
ドアハンドル装置1AのドアDからの取り外しは、第2ハンドルA2の外面に貫通孔8から露出している操作係合部9cに操作具Sを係合させて回動し、動作部材9のカム形状の押動部9aを回動させる。
【0044】
押動部9aの回動で傾倒先端5bを傾倒受け材6の傾倒受け面αから離れる方向に押動して、係止板5を起立させて係止歯5aと係止溝3aの係止を解除する。この状態で第2ハンドルA2をドアDから離れる方向に移動することにより、第2ハンドルA2は芯棒3から離脱される。
【0045】
図6~10は、本発明の第2実施形態のドアハンドル装置1Bを示しており、ドアハンドル装置1Aとは主に、第1ハンドルA1及び第2ハンドルA2には座盤カバー24、34が一体成形されており、第2ハンドルA2内の着脱機構42の動作部材9が押込み式になっている点で異なっている。
【0046】
棒嵌合体14はボス部14aと、取付部14bと、台形体形状の傾倒受け材6とが一体成形されており、取付部14bは円形でなく側面視略小判形状であり、第2ハンドルA2は開口端が取付部14bに嵌合し、取付部14bを貫通するビス31を螺合することにより固着されている。
【0047】
前記着脱機構4は、棒嵌合体14の一部である傾倒受け材6と、芯棒3の周面(上下面)の係止溝3aと、芯棒3に嵌合した係止板5と、芯棒3の外方に配置された付勢部材7と、第2ハンドルA2に形成された貫通孔8と、係止板5を起立させる動作部材9等によって構成されている。
【0048】
係止板5は矩形の板材に角穴を形成し、角穴の穴縁に厚板が傾斜することによる角穴の上下エッジである係止歯5aが形成されている。係止板5の下部はくの字状に屈曲されて傾倒先端5bとなっている。
【0049】
係止板5は付勢部材7によって傾倒受け材6に当接させるように付勢されており、傾倒受け材6には当接される係止板5を傾倒させる傾倒受け面αが形成されている。この傾倒受け面αはくの字屈曲された傾倒先端5bとともに下末広がりの逆V字状開口を形成することになる。この逆V字状開口に対応して、傾倒先端5bを押動するために動作部材9が設けられている。
【0050】
動作部材9は動作することにより係止板5の傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動する押動部9aと、貫通孔8内に支持されかつ貫通孔8を塞ぐ支持部9bと、この支持部9bの端部であって貫通孔8から露出するとともに操作具Sと係合可能な操作係合部9cとが形成されている。
【0051】
第2実施形態の前記動作部材9において、押動部9aは傾倒先端5bと傾倒受け材6との間の逆V字状開口に侵入しかつ侵入を深めることにより傾倒先端5bを傾倒受け材6か
ら離れる方向に押動する楔形状に形成されている。
【0052】
操作係合部9cが押し込め操作する操作具S(例えば、ピン、ドライバ等)と係合可能な凹み形状であり、支持部9bは貫通孔8に孔軸心方向に移動可能に支持されている。
【0053】
動作部材9は支持部9bを支軸にして押動部9aの楔突っ込みにより傾倒先端5bを押動することになるが、棒嵌合体14との干渉を回避するために、傾倒受け材6の一面を凹まして、動作部材9の押動部9aの配置空間βを形成している。
【0054】
したがって、操作係合部9cは貫通孔8から露出しているので、第2ハンドルA2の外側から操作係合部9cに操作具Sを容易に係合させることができ、係合した操作具Sを押し込むと動作部材9全体が貫通孔8を孔心方向に移動し、楔形状の押動部9aが傾倒先端5bを押動して、係止板5を起立させて係止歯5aと係止溝3aの係止を解除し、第2ハンドルA2が芯棒3から離脱するのが許容される状態にできる。
【0055】
前記第2ハンドルA2の奥には、奥面から付勢部材7と重合する位置まで薄板形状の割り部18が一体成形されている。この割り部18は芯棒3のすり割り溝16が端部から嵌合している。
【0056】
なお、すり割り溝16には予め溝拡張板36が挟持されており、割り部18とすり割り溝16との嵌合を容易にしており、すり割り溝16を拡大して芯棒3の端部の上下面を離隔し、芯棒3の端部の上下面の係止溝3aと係止板5の係止歯5aの係止をより確実にしている。
【0057】
前述した実施形態においては、ドアDに埋設したドア錠2を貫通する芯棒3の一端に第1ハンドルA1を固定し、芯棒3の他端に着脱機構4を介して第2ハンドルA2を着脱可能に固定しており、前記着脱機構4は、前記芯棒3の周面に長手方向複数形成された係止溝3aと、芯棒3に嵌合しかつ傾倒することにより係止溝3aと係合可能な係止歯5aを有する係止板5と、この係止板5を当接することにより傾倒姿勢にする傾倒受け材6と、係止板5を傾倒受け材6に当接させる付勢部材7とを有しており、前記第2ハンドルA2には係止板5の傾倒先端5bに対向する貫通孔8を形成しているドアハンドル装置であって、前記係止板5の傾倒先端5bと傾倒受け材6との間に、傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動して係止板5を起立させる動作部材9が設けられており、この動作部材9は動作することにより係止板5の傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動する押動部9aと、前記貫通孔8内に支持されかつ貫通孔8を塞ぐ支持部9bと、この支持部9bの端部であって貫通孔8から露出するとともに操作具Sと係合可能な操作係合部9cとが形成されている。
【0058】
この構成によって、動作部材9の操作係合部9cは貫通孔8から露出しているので操作具Sを容易に係合でき、押動部9aを動作するだけで係止板5を起立させて芯棒3との係止を解除でき、支持部9bで貫通孔8を塞いでおくことができる。
【0059】
また、前記実施形態においては、動作部材9は、操作係合部9cが回動操作する操作具Sと係合可能な凹み形状であり、支持部9bは貫通孔8に回動可能に支持され、押動部9aは外周の一部が回動中心から突出したカム形状に形成されている。
【0060】
この構成によって、操作具Sにより動作部材9を回動操作すると、カム形状の押動部9aが係止板5を起立させることができる。
【0061】
さらに、前記実施形態においては、動作部材9は、操作係合部9cが押動操作する操作具Sと係合可能な凹み形状であり、支持部9bは貫通孔8に内外方向移動可能に支持され、押動部9aは傾倒先端5bと傾倒受け材6との間に侵入しかつ侵入を深めることにより傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動する楔形状に形成されている。
【0062】
この構成によって、操作具Sにより動作部材9を押動操作すると、楔形状の押動部9aが係止板5を起立させることができる。
【0063】
さらにまた、前記実施形態においては、第1ハンドルA1にはドアDに当接する第1座盤11が配置され。前記第2ハンドルA2にはドアDに当接してドアDを挟んで第1座盤11と連結される第2座盤12が配置され、この第2座盤12に回動可能に支持されかつ芯棒3に嵌合する棒嵌合体14が設けられており、この棒嵌合体14は第2ハンドルA2に一体回動可能に嵌合されており、前記棒嵌合体14には前記傾倒受け材6の傾倒受け面
αと動作部材9の押動部9aの配置空間βとが形成されている。
【0064】
この構成によって、棒嵌合体14の表面に傾倒受け面αと配置空間βとを形成しておくことができる。
【0065】
さらにまた、前記実施形態においては、芯棒3は断面角形であって係止溝3aを形成している面と略平行なすり割り溝16が形成されており、芯棒3の一端は第1ハンドルA1に固着されており、芯棒3の他端はすり割り溝16が第2ハンドルA2内に設けられた割り部18に嵌合されている。
【0066】
この構成によって、第2ハンドルA2内に設けられた割り部18に芯棒3のすり割り溝16を嵌合することにより、芯棒3の端部の固定をすることができる。
【0067】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0068】
例えば、すり割り溝16及び割り部18を割愛し、芯棒3を断面略正方形の1本棒で形成してもよい。
【0069】
付勢部材7はコイルバネの代わりに板バネを用いてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1A、1B ドアハンドル装置
2 ドア錠
2a ラッチボルト
3 芯棒
3a 係止溝
4 着脱機構
5 係止板
5a 係止歯
5b 傾倒先端
6 傾倒受け材
7 付勢部材
8 貫通孔
9 動作部材
9a 押動部
9b 支持部
9c 操作係合部
11 第1座盤
12 第2座盤
14 棒嵌合体
14a ボス部
14b 取付部
16 すり割り溝
17 止めネジ
18 割り部
22 ボス部
24 座盤カバー
25 連結ネジ
26 挿通孔
27 ガイド筒
28 雌ネジ筒
29 弾圧部
31 ビス
34 座盤カバー
36 溝拡張板
42 着脱機構
α 傾倒受け面
β 配置空間
A1,A2 ハンドル
D ドア
S 操作具
【要約】
【課題】 係止板の起立が容易にでき貫通孔を塞ぐことができるようにする。
【解決手段】 芯棒3に第2ハンドルA2を着脱可能に固定する着脱機構4は、芯棒3の周面の係止溝3aと、芯棒3に嵌合しかつ傾倒することにより係止溝3aと係合可能な係止歯5aを有する係止板5と、係止板5を当接することにより傾倒姿勢にする傾倒受け材6と、係止板5を傾倒受け材6に当接させる付勢部材7とを有する。第2ハンドルA2には係止板5の傾倒先端5bに対向する貫通孔8を形成している。係止板5の傾倒先端5bと傾倒受け材6との間に、傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動して係止板5を起立させる動作部材9を設ける。動作部材9は動作することにより係止板5の傾倒先端5bを傾倒受け材6から離れる方向に押動する押動部9aと、貫通孔8内に支持されかつ貫通孔8を塞ぐ支持部9bと、操作具Sと係合可能な操作係合部9cとを形成する。
【選択図】図1
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図2
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図10