IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スーチョウ レイモン ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ナフチルウレア化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/416 20060101AFI20240126BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A61K31/416
A61P27/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022536628
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2019125567
(87)【国際公開番号】W WO2021119902
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】522234312
【氏名又は名称】スーチョウ レイモン ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、セン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イェンホン
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 27/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬の調製における物質Aの使用であって、
物質Aは、式で表されるナフチルウレア化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、その結晶形又はその互変異性体であり、前記医薬は角膜血管新生疾患を治療するための医薬である、ことを特徴とする医薬の調製における物質Aの使用
【化1】
【請求項2】
前記医薬の剤形は点眼剤である、請求項1に記載の医薬の調製における物質Aの使用。
【請求項3】
前記点眼剤において、前記物質Aの質量濃度は10~30mg/mLである、請求項2に記載の医薬の調製における物質Aの使用。
【請求項4】
前記点眼剤において、前記物質Aの質量濃度は20mg/mLである、請求項2に記載の医薬の調製における物質Aの使用。
【請求項5】
請求項1に記載の物質A及び眼科用医薬補助剤を含む、角膜血管新生疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物の剤形は点眼剤であ、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記点眼剤において、前記物質Aの質量濃度は10~30mg/mLである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記点眼剤において、前記物質Aの質量濃度は20mg/mLである、請求項6に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナフチルウレア化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
角膜は眼の屈折間質の重要な部分であり、透明で、無血管である。透明な角膜は、目の視覚機能の維持に非常に重要である。角膜の無血管状態は、低レベルの血管新生因子と高レベルの抗血管新生因子に基づいている。病理学的条件において、角膜血管新生因子と抗血管新生因子のバランスが崩れ、病理学的角膜血管新生(corneal neovascularization、CNV)が生じる。
【0003】
医薬研究の分野において、同じ作用機序は同じ原理を有するが、必ずしもその原理に関連するすべての疾患に効果を出すとは限らなく、異なる投与方法、吸収、代謝、濃度及び環境などの違いにより、異なる部分に対する医薬の効果は異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明によって解決されるべき技術的問題は、角膜血管新生関連眼科疾患を治療するための既存の医薬の単純な構造を有することであり、従って、本発明はナフチルウレア化合物の使用を提供し、当該化合物は、点眼の投与経路によって角膜血管新生に関連する眼疾患を治療することができ、この分野のギャップを埋め、社会的及び経済的に大きな利益をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、医薬の調製における物質Aの使用を提供し、前記物質Aは、式Iで表されるナフチルウレア化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、その結晶形又はその互変異性体であり、前記医薬は眼角膜血管新生疾患を治療するために用いられる医薬である;
【0006】
【化1】
【0007】
ここで、R、R、R、R及びRは独立してH、ハロゲン又はC~Cアルキルから選択され;
Xは、CH又はNであり;
は、H又は-O-(CH-Yであり;
Yは、5~6員ヘテロシクロアルキルであり、前記5~6員ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子はNであり、前記ヘテロ原子の数は1~2つであり;
nは、2、3、4又は5である。
【0008】
、R、R、R又はRにおいて、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり得、例えば、フッ素である。
【0009】
、R、R、R又はRにおいて、前記C~Cアルキルは、C~Cアルキルであり得、例えば、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。
【0010】
Yにおいて、前記5~6員ヘテロシクロアルキルは、1つのNを含む5~6員ヘテロシクロアルキルであり得、別の例では、
【0011】
【化2】

である。
【0012】
において、好ましくは、nは、2又は3(例えば、3)である。
【0013】
本発明において、好ましくは、R、R、R、R及びRにおいて、1~2つは独立してC~Cアルキル(例えば、メチル)であり,残りは独立してハロゲン又はHである。
【0014】
本発明において、好ましくは、R、R、R、R及びRにおいて、3~4つは独立してHであり,残りは独立してハロゲン(例えば、フッ素)又はC~Cアルキル(例えば、メチル)である。
【0015】
幾つかの実施の態様において、式Iで表されるナフチルウレア化合物の特定の基は以下のように定義され、未定義の基は前記方案のいずれか一つに記載された通りである;
Xは、CHであり、Rは、-O-(CH-Yである。
【0016】
幾つかの実施の態様において、式Iで表されるナフチルウレア化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、その結晶形又はその互変異性体において、特定の基は以下のように定義され、未定義の基は上記の方案のいずれか一つに記載された通りである;
Xは、Nであり、Rは、Hである。
【0017】
幾つかの実施の態様において、式Iで表されるナフチルウレア化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、その結晶形又はその互変異性体において、特定の基は以下のように定義され、未定義の基は前記方案のいずれか一つに記載された通りである:
【0018】
【化3】
【0019】
幾つかの実施の態様において、式Iで表されるナフチルウレア化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その薬学的に許容される塩の溶媒和物、その結晶形又はその互変異性体において、特定の基は以下のように定義され、未定義の基は前記方案のいずれか一つに記載された通りである;
XがNであり、RがHである場合、R、R、R、R及びRにおいて、3~4つは独立してHであり、残りは独立してハロゲン(例えば、フッ素)又はC~Cアルキル(例えば、メチル)であり;
XがCHであり、Rが-O-(CH-Yである場合、R、R、R、R及びRにおいて、1つはハロゲン(例えば、フッ素)であり、R、R、R、R及びRの中で1つはC~Cアルキル(例えば、メチル)であり、残りはHである。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記式Iで表されるナフチルウレア化合物は、以下の構造のいずれか1つから選択される:
【0021】
【化4】
【0022】
前記使用において、前記医薬の剤形は点眼剤であり得る。
【0023】
前記点眼剤において、好ましくは、前記物質Aの質量濃度は10~30mg/mL(例えば、20mg/mL)である。
【0024】
前記点眼剤は、医薬及び適切な眼科用医薬賦形剤から調製された無菌液体製剤を指す。前記点眼剤は、水溶液点眼剤、油性点眼剤、懸濁点眼剤又はエマルジョン点眼剤であり得る。
【0025】
本発明はまた、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は上記物質A及び眼科用医薬補助剤を含む。
【0026】
本発明において、好ましくは、前記医薬組成物は、眼角膜血管新生疾患を治療するために用いられる医薬組成物である。
【0027】
前記医薬組成物の剤形は点眼剤であり得る。
【0028】
前記点眼剤において、好ましくは、前記物質Aの質量濃度は10~30mg/mL(例えば、20mg/mL)である。
【0029】
本発明はまた、眼角膜血管新生疾患を治療するために用いられる、前述の物質Aを提供する。
【0030】
本発明は、治療有効量の上記物質A又は上記医薬組成物を必要とする患者に投与することを含む、必要とする患者の眼角膜血管新生疾患を治療するための方法を提供する。
【0031】
前記方法において、前記「投与」は点眼剤の形態で投与することであり得る。
【0032】
前記方法において、前記患者は哺乳動物であり得、例えば、ウサギ又はヒトである。
【0033】
前記方法において、前記物質A又は前記医薬組成物は通常の投与量で投与することができ、前記物質Aに基づき、非制限的な実施例の範囲は、1mg/眼~3mg/眼(1回投与量)であり得、例えば、1mg/眼である。
【0034】
前記方法において、前記物質A又は前記医薬組成物の投与の頻度は、1日4回であり得る。
【0035】
特に明記しない限り、本発明で使用される用語は、以下の意味を有する:
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物及び比較的非毒性で、薬学的に許容される酸又は塩基から製造された塩を指す。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の薬学的に許容される塩基でこれらの化合物の中性の形態と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、ビスマス塩、アンモニウム塩、およびジエタノールアミン塩が含まれるが、これらに限定されない。本発明で化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の薬学的に許容される酸でこれらの化合物の中性の形態と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、リン酸、亜リン酸、硫酸などが含まれるが、これらに限定されない無機酸が含まれる。前記薬学的に許容される酸には有機酸が含まれるが、前記有機酸には、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、トランスブテン二酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、イソニコチン酸、酸性クエン酸、オレイン酸、タンニン酸、パントテン酸、酒石酸水素、アスコルビン酸、ゲンチシン酸、フマル酸、グルコン酸、糖酸、ギ酸、エタンスルホン酸、パモ酸(すなわち、4,4’-メチレン-ビス(3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸))、アミノ酸(例えば、グルタミン酸及びアルギニン)などが含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物が比較的酸性及び比較的塩基性の官能基を含む場合、塩基付加塩又は酸付加塩に変換することができる。詳細については、Berge et al.、“Pharmaceutical Salts”、Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19(1977)、又は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection、and Use(P.Heinrich Stahl and Camille G.Wermuth,ed.、Wiley-VCH、2002)を参照することができる。
【0036】
「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物を化学量論的又は非化学量論的量の溶媒と組み合わせることによって形成される物質を指す。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的又は非規則的配置で存在することができる。前記溶媒は、水、メタノール、エタノールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
「薬学的に許容される塩の溶媒和物」という用語において、「薬学的に許容される塩」及び「溶媒和物」は前述の通りであり、本発明の化合物と1、比較的非毒性で薬学的に許容される酸又は塩基から製造された物質2、化学量論的又は非化学量論的量の溶媒との結合によって形成される物質を指す。前記「薬学的に許容される塩の溶媒和物」には、本発明の化合物の塩酸一水和物が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
「互変異性体」という用語は、分子内の特定の原子が2つの位置での急速な移動から生じる官能基異性体を指す。例えば、アセトンと1-プロペン-2-オールは、酸素とα炭素の間で水素原子が急速に移動することによって相互に変換できる。
【0039】
「結晶形」という用語は、特定の方法での三次元空間における化合物中のイオン又は分子の厳密に周期的な配置を指し、特定の距離で周期的な繰り返しの規則性を有し;上記の周期的な配置の違いにより、複数の結晶形、すなわち多形が存在する可能性がある。
【0040】
「アルキル」という用語は、特定の数の炭素原子数を含む直鎖又は分岐アルキルを指す。アルキルの実施例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-アミル、n-ヘキシル及び類似したアルキルが含まれる。
【0041】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、ヘテロ原子を含む飽和単環式基を指す。
【0042】
「眼科用医薬品補助剤」という用語は、医薬品の製造及び処方の調整に使用される賦形剤及び付加剤を指し、有効成分を除く、薬物製剤に含まれるすべての物質を指す。詳細については、中華人民共和国薬局方2015 I-IV、又は、Handbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C Rowe, 2009 Sixth Edition)を参照することができる。
【0043】
「治療」という用語は、治療療法を指す。特定の疾患に関して、治療とは、(1)疾患又は症状の1つ又は複数の生物学的表現を緩和すること、(2)(a)疾患につながる又は疾患を引き起こす生物学的カスケードの1つ又は複数のポイント又は(b)疾患の1つ又は複数の生物学的表現を干渉すること、(3)疾患に関連する1つ又は複数の症状、影響又は副作用、又は疾患又はその治療に関連する1つ又は複数の症状、影響又は副作用の改善、又は(4)疾患又は疾患の1つ又は複数の生物学的表現を減少することを指す。
【0044】
「治療有効量」という用語は、必要としている患者に投与されたときに、本願に記載の疾患又は症状を効果的に治療するために十分な化合物の量を指す。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重症度、ならびに治療される患者の年齢に応じて変更されるが、当業者は必要に応じて調整することができる。
【0045】
「患者」という用語は、本発明の実施例に従って、当該化合物又は組成物を投与する予定であるか、既に投与された任意の動物、好ましくは、哺乳動物であり、最も好ましくは、ヒトである。「哺乳動物」という用語は、任意の哺乳動物を含む。哺乳動物には、牛、馬、羊、豚、猫、犬、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなどが含まれますが、これらに限定されない。
【0046】
「眼角膜血管新生疾患」という用語は、角膜血管新生によって引き起こされる眼科疾患を指す。
【0047】
前記好ましい条件は、当分野の通常の知識を違反しない限り、任意に組み合わせて、本発明の各々の好ましい実施例を得ることができる。
【0048】
本発明で使用される試薬及び原料は市販品として入手できる。
【0049】
本発明の正の進歩的な効果は、本発明のナフチルウレア化合物が、点眼投与によって眼角膜血管新生疾患を治療することができ、この分野のギャップを埋め、重要な社会的及び経済的利益を有することにある。
【実施例
【0050】
以下、実施例の形態によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を前記実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法及び条件、或いは商品の説明書に従って選ばれた。
【0051】
下記の実施例で使用される化合物の構造は以下で示された通りである:
【0052】
【化5】
【0053】
効果実施例1 ウサギの角膜血管新生に対する阻害試験
1試験材料
1.1実験システム
1.1.1実験動物
種と等級:日本の白ウサギ、通常飼育動物;
数量と性別:24匹のオスのウサギを購入し、そのうち20匹をモデリング用に選択した;
年齢と体重:生後4~6か月、モデリング時の体重は2.305~3.280kgである;
由来:四川省実験動物特別委員会農場、生産許可番号SCXK(川)2018-14。品質証明書の発行、印刷機関:四川省科学技術庁。
入室後の環境適応期間:主な検査内容は、動物の一般的な状態、体重測定、眼科検査及び角膜蛍光染色を含む。最終的に公式試験に含まれたすべての動物は健康であり、異常な眼表面のない動物であった。
動物福祉:本試験のIACUC番号は、IACUC-B2019030-P001-01であった。本動物実験で使用した方法は、多量の文献を参考にした上で決定された高い評価を得ている操作方法を選択した。試験において、動物は短時間の軽度の痛み又は不快感を経験し、症状を緩和するために局所麻酔薬を適切に投与した。
【0054】
1.1.2飼育場所及び条件
Chengdu WestChina-Frontier Pharma Technology Co., Ltd.通常飼育動物屋中小領域(Building 1)(実験動物使用許可番号:SYXK(川)2013-123)。
飼育ケージのタイプ:ステンレス鋼ウサギケージ(L×W×H:550mm×550mm×400mm);
飼育密度:1匹/ケージ。
飼育環境条件基準:中華人民共和国国家基準GB14925-2010;
温度:室温22.62~24.97℃(日較差0.57~1.56℃);
湿度:相対湿度45.44~72.40%;
光照射:12/12時間の明暗を交互に人工照明した。
飼料の種類:ウサギの成長及び繁殖用飼料;Beijing Keao Xieli Feed Co.、Ltd。飼料生産許可証:京飼症(2014)06054;
給餌方法:自由摂取。
給水方法:実験動物の飲用水;飲用ボトルに盛って、自由に摂取させた。
【0055】
1.1.3動物の識別方法
環境適応期間:耳タグ番号及びケージカードを利用して動物識別ラベルとした。
グループ分け後:耳タグ番号及びケージカードを利用して動物識別ラベルとした。
【0056】
1.2試験試料
1.2.1基本情報
試験試料1
名称又はコード:A01点眼薬;
由来:Suzhou Ruiming New Drug Research and Development Co.,Ltd.;
【0057】
主な成分は表1に示された通りである:
【表1】
【0058】
外観:肌色の懸濁液;
仕様:20mg/mL;ロット番号:201906001;pH:7.4;浸透圧:不明;
有効期限:2019年12月3日;
保管条件及び注意事項:室温で、密封して保管した;
保管場所:本機関の試験試料管理部門;
保護措置:通常的である(マスク、手袋、作業服)。
【0059】
試験試料2
名称又はコード:A02点眼薬;
由来:Suzhou Ruiming New Drug Research and Development Co.,Ltd.;
【0060】
主な成分は表2に示された通りである:
【表2】
【0061】
外観:肌色の懸濁液;
仕様:20mg/mL;ロット番号:201906001;pH:7.4;浸透圧:不明;
有効期限:2019年12月3日;
保管条件及び注意事項:室温で、密封して保管した;
保管場所:本機関の試験試料管理部門;
保護措置:通常的である(マスク、手袋、作業服)。
【0062】
試験試料3
名称又はコード:A03点眼薬;
由来:Suzhou Ruiming New Drug Research and Development Co.,Ltd.;
【0063】
主な成分は表3に示された通りである:
【表3】
【0064】
外観:淡紅色の懸濁液;
仕様:20mg/mL;ロット番号:201906001;pH:7.4;浸透圧:不明;
有効期限:2019年12月3日;
保管条件及び注意事項:室温で、密封して保管した;
保管場所:本機関の試験試料管理部門;
保護措置:通常的である(マスク、手袋、作業服)。
【0065】
試験試料4
名称又はコード:B01点眼薬;
由来:Suzhou Ruiming New Drug Research and Development Co.,Ltd.;
【0066】
主な成分は表4に示された通りである:
【表4】
【0067】
外観:オフホワイトの懸濁液;
仕様:20mg/mL;ロット番号:201906001;pH:7.4;浸透圧:不明;
有効期限:2019年12月3日;
保管条件及び注意事項:室温で、密封して保管した;
保管場所:本機関の試験試料管理部門;
保護措置:通常的である(マスク、手袋、作業服)。
【0068】
1.2.2投与製剤の調製
調製方法:生物学的安全キャビネットにおいて、A01、A02、A03及びB01点眼薬を十分に振とうし、それぞれ1.8mLの各試験試料を分注し、分注後すぐに分配した;
調製頻度:1日1回;
調製後の標識方法:分配されたA01、A02、A03及びB01製剤は、それぞれ、緑、青、赤、黄色のタグで標識され、試験番号、試験物質名、保管条件、有効期限、責任者、完成製剤番号及び分配日付を記載した。
調製及び分注後の一時的な貯蔵条件及び有効期限:室温で、密封して保管し、同日中に使用された。
【0069】
2.試験方法と観察指標
2.1動物の群分け
群:モデル対照群、A01群、A02群、A03群、B01群。具体的な群分け情報は表5に示された通りである。
動物の数と性別:4匹/群、オス;
群分け方法:PRISTIMAデータシステムを使用し、ウサギの体重及び性別に応じてランダムに群分けした。
残りの動物の処分:群分け後、残りの動物は実験動物管理部門に引き渡された。
【0070】
【表5】
【0071】
2.2モデリング方法
日本の白ウサギを最初にペントバルビタールナトリウム(25mg/kg、耳静脈から注射)で麻酔し、眼の周辺を0.5%のポビドンヨードで消毒し、専用の眼科手術用タオルで覆い、眼科鏡を使用して上眼瞼と下眼瞼を分離し、眼球を露出させた。塩酸ベノキシネート点眼薬を1~2滴両眼に投与して局所麻酔させ、角膜の上部1/4をベーシックバイオレットで放射状に標識し、角膜輪部に平行な約1.5mm箇所で、第1列の角膜縫合糸を角膜実質に縫合し、長さは約3.8mmであった;第2列の縫合糸は、第1の縫合糸と平行に1.5mm離れた箇所で縫合し、長さは約3mmであった;最後の縫合糸は、第2の縫合糸から1.5mm離れた三角形の頂点で縫合した。両眼をモデル化した。
術後抗生物質で、1日3回、連続して3日間眼に投与した。
【0072】
2.3投与量の設計及び投与
本試験では、A01群、A02群、A03群、B01群を設定し、それぞれA01、A02、A03、B01製剤を投与した。更に、モデル対照群を設定し、注射用0.1%の塩化ナトリウム滅菌水を投与した。モデリング後2日目から各群の動物に投与した。投与量の設計は表6に示された通りである。
【0073】
【表6】
【0074】
投与経路:両眼に点眼薬を投与する;
投与経路を選択した理由:臨床経路と一致する;
投与頻度:モデリング後2日目から投与し、1日4回、4時間以上の間隔で、連続14日間投与する;
投与量:50μL/眼;
投与方法:動物の下眼瞼を開いて結膜嚢を露出させ、試験試料又は対照品をウサギの眼の結膜嚢に直接滴下し、約8~10秒間穏やかに眼瞼を閉じる;
【0075】
2.4観測指標
2.4.1一般的な状態の観測
2.4.1.1観測時間と頻度
動物飼育員:1日1回;
試験者:投与期間中、少なくとも1日1回観測する。有毒な症状が発生する場合は、観察数を増やす;
獣医/獣医技術者:週に少なくとも1回;
【0076】
2.4.1.2観測動物及び内容
観測動物:各群の生きているウサギ;
観測内容:
動物飼育員:死亡及び食物及び水の摂取;
試験者及び獣医:観察内容には、ウサギの眼の局所反応(うっ血、浮腫、分泌物の増加などの有無)、外観の兆候、髪の毛、一般的な行動、精神状態、腺分泌物、皮膚及び粘膜の色、呼吸状態、糞便の外観、生殖器官、死亡など状況及び他の有毒な症状を含むが、それらに限定されない。
【0077】
2.4.2細隙灯検査
検査時間:モデリング後、投与前及び投与後2日目、4日目、7日目に1回検査した;
検査動物:各群のすべての生き残った動物;
検査方法:細隙灯顕微鏡を使用して、結膜、角膜、前房、虹彩、水晶体などの構造を含む前眼部の角膜の混濁や潰瘍などの眼の炎症などの異常な状態に焦点を合わせて、検査した。
【0078】
2.4.3角膜血管新生面積の測定
検査時間:投与後7日目、14日目に1回検査した;
検査動物:各群のすべての生き残った動物;
検査方法:細隙灯に接続されたデジタルカメラを使用して、角膜血管新生を写真撮影し、更に画像分析ソフトウェアを使用して写真を分析した;
検査指標:角膜血管新生の面積、角膜の面積領域における角膜血管新生の面積の割合。
【0079】
2.4.4肉眼解剖学
検査時間:投与後14日目;
解剖される動物:モデル対照群の4匹、各投与群の4匹;
麻酔及び解剖方法:体重に応じてペントバルビタールナトリウムで麻酔し(約30mg/kgの静脈内注射し、投与量は動物の健康状態に応じて調整することができる)、腹部大動脈又は大腿動脈の放血による安楽死させ、片側の眼球を取り、修正されたDavidson’sの固定液に保存した。
【0080】
3結果
3.1一般的な状況
モデリングした後、各群のウサギは良好な精神状態にあり、正常な自発的行動ができ、皮膚及び毛髪は清潔であり、摂食、糞便及び尿に異常な反応は見られなかった。ここで、A01群の番号2M004のウサギが手術中に事故に遭い、当該動物のデータが欠落していた。
【0081】
3.2モデリング条件及び細隙灯の検査
モデリング後2日目に、モデル対照群、A01群、A02群、A03群及びB01群の角膜縫合が行われ、角膜及び結膜に軽度の浮腫が発生し、モデリングが成功したことを示した。
細隙灯検査により、モデル対照群、A01群、A02群、A03群及びB01群の投与後7日目、14日目に角膜縫合が行われ、縫合部位の角膜に軽度の浮腫が発生し、角膜輪部から角膜頂点への角膜血管新生が見られ、血管新生が時間の経過とともに増加することを示した。
【0082】
3.3角膜血管新生の面積の検査

【表7】

【0083】
【表8】
【0084】
投与後7日目、14日目のモデル対照群において、角膜血管新生の面積は徐々に増加する傾向を示し、それぞれ3.5±1.6mm、7.6±2.5mmであり、角膜血管新生面積の割合は6.7±3.0%、15.2±7.1%であった。
【0085】
投与後7日目、14日目のA01群において、角膜血管新生の面積は徐々に増加し、それぞれ0.6±1.1mm、4.0±3.4mmであり、角膜血管新生面積の割合はそれぞれ1.2±2.5%、8.2±7.0%であり、ここで、投与後7日目の角膜血管新生面積及び割合はモデル対照群に比較して、統計的有意性があった(P≦0.05)。
【0086】
投与後7日目、14日目のA02群において、角膜血管新生の面積は徐々に増加し、それぞれ0.7±1.2mm、3.1±2.1mmであり、角膜血管新生面積の割合はそれぞれ1.3±2.3%、6.4±4.4%であり、ここで、投与後7日目の角膜血管新生面積及び割合はモデル対照群に比較して、統計的有意性があり(P≦0.05)、投与後14日目の角膜血管新生面積はモデル対照群に比較して、統計的有意性があった(P≦0.05)。
【0087】
投与後7日目、14日目のA03群において、角膜血管新生の面積は徐々に増加し、それぞれ0.4±0.8mm、3.4±2.4mmであり、角膜血管新生面積の割合はそれぞれ0.8±1.4%、5.9±4.2%であり、ここで、投与後7日目、14日目の角膜血管新生面積及び割合はモデル対照群に比較して、統計的有意性があった(P≦0.05)。
【0088】
投与後7日目、14日目のB01群において、角膜血管新生の面積は徐々に増加し、それぞれ1.1±1.0mm、7.8±4.5mmであり、角膜血管新生面積の割合はそれぞれ2.4±2.3%、16.2±11.4%であり、ここで、投与後7日目の角膜血管新生面積及び割合はモデル対照群に比較して、統計的有意性があった(P≦0.05)。
【0089】
4結論
前記により、本実験では、角膜縫合糸を用いて日本白ウサギの角膜血管新生を誘導し、A01、A02、A03及びB01を4mg/眼/日で点眼して治療し、投与後2日目、4日目、7日目に細隙灯検査を行い、投与後7日目、14日目に角膜血管新生の面積を記録した。
【0090】
結果では、4mg/眼/日(1mg/眼/回)で投与されたA03はウサギの角膜血管新生に対して明らかな阻害効果を有し、4mg/眼/日(1mg/眼/回)で投与されたA02はウサギの角膜血管新生に対して一定の抑制効果があり、4mg/眼/日(1mg/眼/回)で投与されたA01はウサギの角膜血管新生を阻害する傾向があり、4mg/眼/日(1mg/眼/回)の投与量に従って投与されたB01が投与後7日目に角膜血管新生に対して明らかな抑制効果を示したが、投与後14日目(末期)には角膜血管新生に対して明らかな抑制効果がなかった。すなわち、上記の各化合物は当該モデルにおいて、ウサギの角膜血管新生に対して異なる程度の阻害効果を有する。
【0091】
以上、本発明の具体的な実施形態を記述したが、当業者にとって、これらは例示の説明だけで、本発明の原理と実質に反しないという前提下、これらの実施形態に対して様々な変更や修正をすることができる。そのため、本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって限定される。