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特許7426756チオベンゾピラン系化合物及び関節リウマチの治療薬の調製におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】チオベンゾピラン系化合物及び関節リウマチの治療薬の調製におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 335/06 20060101AFI20240126BHJP
   A61K 31/382 20060101ALI20240126BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240126BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240126BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240126BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
C07D335/06 CSP
A61K31/382
A61P19/02
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P43/00 121
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022576231
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2021107802
(87)【国際公開番号】W WO2022022372
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】202010726564.9
(32)【優先日】2020-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520341681
【氏名又は名称】華創合成制薬股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】2003, Building D, Phase II, Wealth Center, Hi-tech Zone, Xi’an, Shaanxi 710075, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】楊成
(72)【発明者】
【氏名】李東興
(72)【発明者】
【氏名】戚蘇民
(72)【発明者】
【氏名】張起愿
(72)【発明者】
【氏名】趙曉丹
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-49778(JP,A)
【文献】特開平5-97840(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101597272(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101597271(CN,A)
【文献】A new anti-rheumatic drug, T-614, effectively suppresses the development of autoimmune encephalomyel,Journal of Neuroimmunology,Vol.89, No.1,2,1998年,pp.35-42,DOI:10.1016/S0165-5728(98)0056-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示されるチオベンゾピラン系化合物及びその薬学的に許容される塩。
式I
(ただし、Xは酸素原子、硫黄原子、-SO-、-SO-から選択され、
Yは硫黄原子であり、
ZはH、Na又はKである。)
【請求項2】
式Iで示されるチオベンゾピラン系化合物は以下の化合物から選択される請求項1に記載のチオベンゾピラン系化合物及びその薬学的に許容される塩。
化合物1
化合物2
化合物3
化合物4
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチオベンゾピラン系化合物又はその薬学的に許容される塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のチオベンゾピラン系化合物又はその薬学的に許容される塩の、関節リウマチの治療薬の調製におけるその使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬化学分野に関し、具体的には、抗炎症活性を有するチオベンゾピラン系化合物及び関節リウマチの治療薬の調製におけるその使用に関する。
【0002】
本願は2020年07月25日に中国特許庁に提出された、出願番号が2020107265649、発明の名称が「チオベンゾピラン系化合物及び関節リウマチの治療におけるその使用」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全内容は引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
関節リウマチ(RA:rheumatoid arthritis)はよく見られる全身性自己免疫疾患であり、慢性滑膜炎症、滑膜の異常増殖、ライニング層の肥厚、血管形成軟骨や骨組織の破壊が基本的な病変であり、最終的に関節奇形と機能喪失を招き、人間の健康と生活の質に深刻な影響をもたらし、近年、その発病率と障害率は年々上昇傾向にある。
【0004】
現在、関節リウマチに関しては、完治できる医薬品がなく、医薬品による作用はほとんど進行を遅らせることである。現在臨床で使用されている医薬品は主に非ステロイド性抗炎症薬、グルココルチコイド類、免疫抑制剤類及びインターフェロン類がある。
【0005】
リウマチ関節炎を治療する新しい非ステロイド性抗炎症薬としてのイグラチモド(Iguratimod、T-614)は、日本の富山社とエーザイ製薬会社が共同で開発したものであり、化学名はN-(3-ホルムアミド-4-オキソ-6-フェノキシ-4H-クロメン-7-イル)メタンスルホンアミドである。シクロオキシダーゼCOX-2を選択的に阻害し、T細胞を調節し、自己免疫調節作用を有し、従来の治療薬に比べて効き目が速く、その治療効果が高効率の抗リウマチ薬と同等であって毒性が低く、経口投与も可能である。
【0006】
非ステロイド性抗炎症薬の中で新規な品種の1つとしてのイグラチモドは使用量が少なく、毒性や副作用が小さいという利点がある。その反面、長期間服用すると、アミノトランスフェラーゼが有意に上昇するなど、深刻な副作用がある。そのため、継続的に新しい品種を開発することは必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に存在する問題を解決するために、本発明はイグラチモドの治療効果を保持しつつ、低い毒性や副作用を持つことができるチオベンゾピラン系化合物を提供する。
【0008】
本発明の前記チオベンゾピラン系化合物は以下の式Iで示される構造を有する。
式I
(ただし、XはO(酸素)、S(硫黄)、-SO-(スルフィニル)、-SO-(スルホニル)から選択され、
YはS(硫黄)であり、ZはH、Na又はKである。)
簡単に言えば、本発明の化合物はチオベンゾピランメタンスルホンアミドの基本的な構造を有する一連の誘導体である。
【0009】
具体的には、本発明のチオベンゾピラン系化合物は以下の化合物であってもよい。
化合物1
化合物2
化合物3
化合物4
【発明の効果】
【0010】
本発明はイグラチモドの構造的特徴を考慮して、その構造上の長所及び短所を分析する。構造における抗炎症活性を有する部分を保留し、一連の化学反応によって、本発明の化合物を形成する。予備抗炎症試験によれば、本発明のチオピラン系化合物は、高い抗炎症効果を有するとともに、イグラチモドよりも毒性や副作用が低い。イグラチモドと比べて、本発明の化合物を服用する時間が同じである場合、アミノトランスフェラーゼには明らかな上昇が認められない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の化合物1のマススペクトルである。
図2】本発明の化合物1のナトリウム塩のマススペクトルである。
図3】本発明の化合物1のカリウム塩のマススペクトルである。
図4】本発明の化合物2のマススペクトルである。
図5】本発明の化合物2のナトリウム塩のマススペクトルである。
図6】本発明の化合物2のカリウム塩のマススペクトルである。
図7】本発明の化合物3のマススペクトルである。
図8】本発明の化合物3のナトリウム塩のマススペクトルである。
図9】化合物3のカリウム塩のマススペクトルである。
図10】本発明の化合物4のマススペクトルである。
図11】本発明の化合物4のナトリウム塩のマススペクトルである。
図12】本発明の化合物4のカリウム塩のマススペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の趣旨をよりよく説明して本発明を実施するために、以下の実施例が提供される。当業者にとって明らかなように、実施例は本発明の過程を例示的に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲に影響しない。
【0013】
本発明の化合物の調製には、一般的に市販されている化工原料を用いて、一連のステップを行って、目的の化合物を得て、反応ステップの一部はイグラチモドに関するUS4411910の調製方法を参照し、反応方程式は以下に示される。
(ただし、XはO又はSである。)
【0014】
実施例1
3-ニトロ-4-フェノキシチオアニソールの合成
フェノール(32.9g)と4-クロロ-3-ニトロチオアニソール(50g)をDMF 100mlに加え、均一に撹拌した後、カリウムtert-ブトキシド(47.5g)を加え、110℃で4時間加熱した。氷水200mlに注入し、酢酸エチル300mlで3回抽出し、有機相を1M塩酸100mlで洗浄して水洗し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾固するまで濃縮させた。残留物にジクロロメタンを加えて結晶化し、3-ニトロ-4-フェノキシチオアニソールを得た。
【0015】
実施例2
3-アミノ-4-フェノキシチオアニソールの合成
3-ニトロ-4-フェノキシチオアニソール(45g)を無水エタノール500mlに溶解し、10wt%のパラジウム炭素及び0.3MPaの水素ガス圧下、室温で水素化反応を3時間行い、反応混合物をろ過し、減圧濃縮させて還元生成物を得た。還元生成物をトルエンで再結晶化し、3-アミノ-4-フェノキシチオアニソールを得た。
【0016】
実施例3
3-メタンスルホンアミド-4-フェノキシチオアニソールの合成
3-アミノ-4-フェノキシチオアニソール(30g)をピリジン150mlに溶解し、0~5℃の温度でメチルスルホニルクロリド18gを加え、添加終了後、室温で1時間撹拌した。反応物を氷水200mlに注入し、酢酸エチル300mlで3回抽出し、有機相を1M希塩酸100mlで洗浄して、水洗した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥して、濃縮させた。残留物をエタノールで再結晶化し、3-メタンスルホンアミド-4-フェノキシチオアニソールを得た。
【0017】
実施例4
α-アミノ-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノン塩酸塩の合成
塩化アルミニウム(54g)とアミノアセトニトリル塩酸塩(18.5g)を室温で撹拌中のニトロベンゼン200mlにバッチ式で加え、10℃に冷却して、3-メタンスルホンアミド-4-フェノキシチオアニソールを加え、塩化水素ガスを導入して、25~30℃で10時間撹拌した。反応物を冷却後の3M希塩酸500mlに加え、沈殿を生成し、沈殿をろ過し、酢酸エチルで洗浄して乾燥し、α-アミノ-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノン塩酸塩を得た。
【0018】
実施例5
α-ホルミル-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノンの調製
バレリルクロリド(15g)をアセトン100mlに溶解し、ギ酸ナトリウム一水和物(17g)を加え、室温で激しく4時間撹拌した後、α-アミノ-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノン塩酸塩(33g)を加え、さらに5時間撹拌し、水300mlを加えて、沈殿を析出させた。沈殿をろ過して水洗し、イソプロピルアルコールで洗浄して乾燥し、粗製品を得た。アセトニトリルで再結晶化し、精製品であるα-ホルミル-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノンを得た。
【0019】
実施例6
α-ホルミル-2-メルカプト-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノンの調製
氷水浴下で、温度を20℃よりも低く制御する条件下で、三塩化アルミニウム(23g)をアセトニトリル100mlに加えた後、ヨウ化ナトリウム12.8g、α-ホルミル-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノン(26g)を加え、20℃の温度で6時間撹拌し、反応物を1wt%の亜硫酸ナトリウム水溶液350mlに注入し、黄白色沈殿を析出させた。沈殿をろ過し、水250ml及びエタノール200mlを用いてそれぞれ洗浄し、乾燥して粗製品を得た。アセトニトリルで再結晶化し、精製品であるα-ホルミル-2-メルカプト-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノンを得た。
【0020】
実施例7
目的の製品である3-ホルミル-7-メタンスルホンアミド-6-フェノキシ-4H-I-チオベンゾピラン-4-オン(即ち化合物1)の合成
α-ホルミル-2-メルカプト-4-メタンスルホンアミド-5-フェノキシアセトフェノン(20g)を10℃でジクロロメタン100mlに溶解した後、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(20g)、トリエチルアミン10mlを加え、20℃で6時間撹拌し、その後、水150mlを加えてろ過し、ろ過ケーキをそれぞれジクロロメタン、水及びエタノールで洗浄し、乾燥して粗製品を得た。粗製品をアセトニトリルで再結晶化し、目的の化合物を得て、化合物1と命名した。目的の化合物のイオン電荷質量比[M+H]は391.18であり、目的の化合物の分子量(390.03)と一致する。
【0021】
実施例8
3-ニトロ-4-チオフェニルチオアニソールの合成
チオフェノール(32.9g)と4-クロロ-3-ニトロチオアニソール(50g)をDMF100mlに加え、均一に撹拌した後、カリウムtert-ブトキシド(47.5g)を加え、110℃で4時間加熱した。氷水200mlに注入して、酢酸エチル300mlで3回抽出し、有機相を1M塩酸100mlで洗浄して水洗した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾固するまで濃縮させた。残留物にジクロロメタンを加えて結晶化し、3-ニトロ4-チオフェニルチオアニソールを得た。
【0022】
実施例9
3-アミノ-4-チオフェニルチオアニソールの合成
3-ニトロ4-チオフェニルチオアニソール(45g)を無水エタノール500mlに溶解し、10wt%のパラジウム炭素及び0.3MPa水素ガス圧力下で、室温で水素化反応を3時間行った。反応物混合物をろ過して、減圧濃縮させ、還元生成物を得て、トルエンで再結晶化し、3-アミノ-4-フェノキシチオアニソールを得た。
【0023】
実施例10
3-メタンスルホンアミド-4-チオフェニルチオアニソールの合成
3-アミノ-4-チオフェニルチオアニソール(30g)をピリジン150mlに溶解し、0~5℃の温度でメチルスルホニルクロリド18gを加え、添加終了後、室温で1時間撹拌した。反応物を氷水200mlに注入し、用酢酸エチル300mlで3回抽出し、有機相を1M希塩酸100mlで洗浄して、水洗し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥して、濃縮させた。残留物をエタノールで再結晶化し、3-メタンスルホンアミド-4-チオフェニルチオアニソールを得た。
【0024】
実施例11
α-アミノ-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノン塩酸塩の合成
三塩化アルミニウム(54g)とアミノアセトニトリル塩酸塩(18.5g)を室温で撹拌中のニトロベンゼン200mlにバッチ式で加え、10℃に冷却して、3-メタンスルホンアミド-4-チオフェニルチオアニソールを加え、塩化水素ガスを導入して、25~30℃で10時間撹拌した。反応物を冷却後の3M希塩酸500mlに加え、沈殿を生成し、沈殿をろ過し、酢酸エチルで洗浄して乾燥し、α-アミノ-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノン塩酸塩を得た。
【0025】
実施例12
α-ホルミル-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノンの調製
バレリルクロリド(15g)をアセトン100mlに溶解し、ギ酸ナトリウム一水和物(17g)を加え、室温で激しく4時間撹拌した後、α-アミノ-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノン塩酸塩(33g)を加え、さらに5時間撹拌し、水300mlを加えて、沈殿を析出させた。沈殿をろ過して水洗し、イソプロピルアルコールで洗浄して乾燥し、粗製品を得た。アセトニトリルで再結晶化し、精製品であるα-ホルミル-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノンを得た。
【0026】
実施例13
α-ホルミル-2-メルカプト-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノンの調製
氷水浴下で、温度を20℃よりも低く制御する条件下で、三塩化アルミニウム(23g)をアセトニトリル100mlに加えた後、ヨウ化ナトリウム12.8g、α-ホルミル-2-メチルチオ-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノン(26g)を加え、20℃で6時間撹拌し、反応物を1%の亜硫酸ナトリウム水溶液350mlに注入し、黄白色沈殿を析出させ、ろ過して、水250ml及びエタノール200mlをそれぞれ洗浄し、乾燥して粗製品を得た。アセトニトリルで再結晶化し、精製品であるα-ホルミル-2-メルカプト-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニルアセトフェノンを得た。
【0027】
実施例14
目的の製品3-ホルミル-7-メタンスルホンアミド-6-チオフェニル-4H-1-チオベンゾピラン-4-オン(即ち化合物2)の合成
α-ホルミル-2-メルカプト-4-メタンスルホンアミド-5-チオフェニル アセトフェノン(20g)を10℃でジクロロメタン100mlに溶解した後、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(20g)、トリエチルアミン10mlを加え、20℃で6時間撹拌し、その後、水150mlを加えてろ過し、ろ過ケーキをそれぞれジクロロメタン、水及びエタノールで洗浄し、乾燥して粗製品を得た。アセトニトリルを再結晶化し、目的の化合物を得て、化合物2と命名した。目的の化合物のイオン電荷質量比[M+H]は407.15であり、目的の化合物の分子量(406.01)と一致する。
【0028】
実施例15
目的の製品N-(7-(メタンスルホンアミド)-4-オキソ-6-(フェニルスルフィニル)-4H-チオベンゾピラン-3-イル)ホルムアミド(即ち化合物3)の合成
化合物2(15g)と水を均一に混合し、室温で30wt%過酸化水素水(4.1g)を滴下し、滴下終了後、室温で撹拌しながら10時間反応させ、原料が完全に反応すると、ろ過して、水洗した。反応生成物をカラム分離にかけて、目的の化合物を得て、化合物3と命名した。目的の化合物のイオン電荷質量比[M+H]は423.08であり、目的の化合物分子量(422.01)と一致する。
【0029】
実施例16
目的の製品N-(7-(メタンスルホンアミド)-4-オキソ-6-(フェニルスルホニル)-4H-チオベンゾピラン-3-イル)ホルムアミド(即ち化合物4)の合成
化合物2(15g)と水を均一に混合し、室温で30wt%過酸化水素水(6.5g)を滴下し、滴下終了後、室温で撹拌しながら10時間反応させ、原料が完全に反応すると、ろ過して、水洗した。反応生成物をカラム分離にかけて、目的の化合物4を得た。目的の化合物のイオン電荷質量比[M+H]は439.18であり、目的の化合物分子量(438.00)と一致する。
【0030】
実施例17
化合物1ナトリウム塩の調製
化合物1 1gをフラスコに入れて、無水エタノール200mlを加え、加熱還流して溶解し、その後、エタノールナトリウム182mgを滴下して2時間撹拌し、活性炭0.3gを加え、さらに30分間撹拌してろ過した。ろ液から三分の二の溶媒を蒸発により除去し、冷却して結晶化し、ろ過して、固体を少量の無水エタノールでリンスして乾燥し、化合物1ナトリウム塩を得た。
同様な方法によって化合物2、化合物3及び化合物4のナトリウム塩を合成した。
【0031】
実施例18
化合物1カリウム塩の調製
化合物1 1gに無水エタノール200mlを加え、加熱還流して溶解し、その後、エタノールカリウム187mgを滴下して、2時間撹拌し、活性炭0.3gを加え、さらに30分間撹拌し、ろ過して、ろ液から三分の二の溶媒を蒸発により除去し、冷却して結晶化し、ろ過した。固体を少量の無水エタノールでリンスして乾燥し、化合物1カリウム塩を得た。
同様な方法によって化合物2、化合物3及び化合物4のカリウム塩を合成した。
【0032】
実施例19
化合物1を含むハードカプセルの調製
表1 化合物1を含むハードカプセルの処方
常法に従って以上の成分をハードカプセルに入れた。
同様な方法によって化合物1のナトリウム塩及びカリウム塩のハードカプセル、化合物2及びそのナトリウム塩とカリウム塩のハードカプセル、化合物3及びそのナトリウム塩とカリウム塩、化合物4及びそのナトリウム塩とカリウム塩のハードカプセルを調製した。
【0033】
実施例20
化合物2を含む錠剤の調製
表2 化合物2を含む錠剤の処方
常法に従って上記成分を打錠して錠剤とした。
同様な方法によって化合物1及びそのカリウム塩とナトリウム塩の錠剤、化合物2のカリウム塩及びナトリウム塩の錠剤、化合物3及びそのカリウム塩とナトリウム塩の錠剤、化合物4及びそのカリウム塩とナトリウム塩の錠剤を調製した。
【0034】
試験例1
本発明の化合物の抗関節炎活性の研究において、ラットのアジュバント性関節症(AA)を動物モデルとし、ラットAAを確立した上で、ラットを10匹ずつ14組に分け、それぞれ本発明の化合物、空白及び陽性対照物のイグラチモド50μg/回/日を5日間連続して強制胃内投与し、排水法を用いて各組のラット投与前後の足の腫脹程度を測定し、ラット投与前後の足の腫脹度(X±s(※Xの上にはバー))を計算し、医薬品が有効かどうかを確定した。
腫脹度X=(炎症誘発後の足趾の体積-炎症誘発前の足趾の体積)/炎症誘発前の足趾の体積×100%。
試験結果を表3に示す。
表3
試験の結果、本発明の化合物は全て抗炎症効果がイグラチモドよりも優れ、その中でも、化合物4及びその塩の抗炎症効果は最も優れていた。
【0035】
試験例2
アミノトランスフェラーゼの上昇はイグラチモドにおいて一般的な副作用であり、発明の化合物がアミノトランスフェラーゼに影響を与えるか否かを調べるために、本発明では、健常なラットに本発明の化合物及びイグラチモドを15日間投与した後、ラットの血清中アミノトランスフェラーゼの含有量を測定した。試験結果を以下の表4に示す。
表4
【0036】
以上の結果から分かるように、本発明の化合物を投与することによる副作用はイグラチモドよりも有意に小さく、その中でも、化合物2及びその塩類は副作用がより小さい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12