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  • 特許-端層間剥離方法及びシステム 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】端層間剥離方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/16 20060101AFI20240126BHJP
   B32B 37/30 20060101ALI20240126BHJP
   B29C 70/50 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B32B37/16
B32B37/30
B29C70/50
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019037209
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2019177693
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】62/638,055
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/016,346
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレクスラー, ジェーソン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ディクソン, ジョセフ ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン, ジェームズ ディー.
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183885(JP,A)
【文献】特開平09-019964(JP,A)
【文献】特開平01-317767(JP,A)
【文献】特開昭61-135712(JP,A)
【文献】特開2017-031342(JP,A)
【文献】米国特許第03518145(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
B29C 41/00 - 41/36
B29C 41/46 - 41/52
B29C 70/00 - 70/88
B29B 11/16
B29B 15/08 - 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップローラアセンブリ(110)で第1の層材料(120)及び第2の層材料(130)を受け取ること(402)と、
主要部分(152)及び少なくとも1つの端部分(154)を含む積層複合材料(150)であって、前記主要部分及び前記少なくとも1つの端部分がいずれも積層された積層複合材料を提供するために、前記ニップローラアセンブリによって、前記第1の層材料及び前記第2の層材料を積層すること(412)と、
記ニップローラアセンブリの後段において、前記積層複合材料を構成する前記第1の層材料と前記第2の層材料との間に挿入されるように位置決めされたデラミネータ(160)によって、前記積層複合材料を移動させながら前記積層複合材料の前記少なくとも1つの端部分を層間剥離すること(414)と
を含む、積層複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの端部分が、前記積層複合材料の第1の側の第1の端部分であり、
前記積層複合材料が、前記積層複合材料の反対の第2の側の第2の端部分を更に含み、
前記積層複合材料の前記第2の端部分を層間剥離すること(414)を更に含む、請求項1に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記ニップローラアセンブリ(110)で前記第1の層材料(120)及び前記第2の層材料(130)を受け取ること(402)に先立って、
前記ニップローラアセンブリで、前記第1の層材料のリーダー材料及び前記第2の層材料のリーダー材料を受け取ることと、
前記ニップローラアセンブリの後段において、前記第1の層材料の前記リーダー材料と前記第2の層材料の前記リーダー材料との間に、前記デラミネータを挿入して位置決めすることと
をさらに含む、請求項1又は2に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記デラミネータが、前記積層複合材料の前記少なくとも1つの端部分で、前記第1の層材料を前記第2の層材料から分離するように構成されたバイアス部材(162)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項5】
前記端部分の幅を調整するために、前記積層複合材料に対して前記バイアス部材を選択的に位置決めすること(406)を更に含む、請求項4に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項6】
前記第1の層材料がキャップ層材料(120)であり、前記第2の層材料が基板層材料(130)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記複合製品が、航空機に適用されるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項8】
前記積層すること(412)が、前記ニップローラアセンブリの1つ又は複数のニップローラ(112、114)によって、前記第1の層材料及び前記第2の層材料に熱及び圧力を加えることを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの端部分が層間剥離された後の前記積層複合材料を平らな向きに位置決めすること(418)と、
前記平らな向きである間、前記積層複合材料の上で製造工程を実行すること(420)と
を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項10】
前記製造工程に続いて、前記積層複合材料の前記端部分を積層すること(420)を更に含む、請求項9に記載の積層複合材料の製造方法。
【請求項11】
主要部分(152)及び少なくとも1つの端部分(154)を含む積層複合材料(150)であって、前記主要部分及び前記少なくとも1つの端部分がいずれも積層された積層複合材料を提供するために、第1の層材料(120)及び第2の層材料(130)を積層するように構成されたニップローラアセンブリ(110)と、
前記ニップローラアセンブリの後段において、前記積層複合材料を構成する前記第1の層材料と前記第2の層材料との間に挿入されるように位置決めされ、かつ前記積層複合材料が移動する間において前記積層複合材料の前記少なくとも1つの端部分を層間剥離するように構成されたデラミネータ(160)と
を含むシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの端部分が、前記積層複合材料の第1の側の第1の端部分であり、
前記積層複合材料が、前記積層複合材料の反対の第2の側の第2の端部分を更に含み、
前記デラミネータが、前記積層複合材料の前記第2の端部分を層間剥離するよう更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記デラミネータが、前記積層複合材料の前記端部分で、前記第1の層材料を前記第2の層材料から分離するように構成されたバイアス部材(162)を含む、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
位置決め機構(190)を動作させ、前記バイアス部材を選択的に位置決めするように構成されたコントローラ(180)
を更に含み、前記バイアス部材が、前記端部分の幅を調整するために、前記積層複合材料に対して選択的に位置決めされるように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記デラミネータが、前記バイアス部材の位置を設定するために前記バイアス部材に結合されたベース部材(164)を更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の層材料がキャップ層材料(120)であり、前記第2の層材料が基板層材料(130)である、請求項11から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記複合製品が、航空機に適用されるように構成される、請求項11から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記ニップローラアセンブリが、前記第1の層材料及び前記第2の層材料に熱及び圧力を加えるように構成された1つ又は複数のニップローラ(112、114)を含む、請求項11から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
製造工程を実行するために、前記少なくとも1つの端部分が層間剥離された後の前記積層複合材料を平らな向きで受け取るように構成された平らな面(194)を更に含む、請求項11から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記製造工程に続いて、前記積層複合材料の前記少なくとも1つの端部分を積層し、前記複合製品を製造するように構成された後処理ラミネータ(197)を更に含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、複合材料の製造に関し、より詳細には複合材料を積層するための改良された技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料の製造において、一般的に様々な積層プロセスが使用される。これに関して、熱又は圧力を2つ以上の層に加えて、それらを接着、結合、又は他の方法で互いに固定させることがある。例えば、場合によっては、層間に提供される結合剤又は他の材料は、層を互いに積層するために加えられた熱又は圧力によって活性化されることがある。
【0003】
いくつかの従来の積層プロセスでは、得られる複合材料の端は、ニップローラアセンブリを通過した後に望ましくない不均一性を示すことがある。そのような不均一性は、例えば、端のカール、しわ、うねり、端における整合性のない表面テクスチャ、及び/又は他の不整合を含むことがある。
【0004】
残念なことに、そのような端の不均一性は、下流の製造工程で問題となりうる。例えば、特定のプロセスが、好ましくは、実質的に平らな向きに配置される積層複合材料で実施されることがある。積層複合材料の端の不均一性は、そのようなプロセスの有効性を低下させることがある。
【0005】
これらの問題を解決するための1つの従来の手法には、複合材料の端の積層を回避するために、幅を狭くしたニップローラを使用することが含まれる。この場合、ニップローラは、層の主要部分に適用されてもよく、一方で層の端は影響を受けずに通過する。残念なことに、ニップローラのコスト及び実用的な実施のため、一般にそれらは固定されたサイズに維持されなければならないので、この手法の用途は、限られたもののみになりうる。
【0006】
別の手法では、例えば、積層複合材料の本体から積層複合材料の不均一な端部分を切断することによって、それらを廃棄することが可能となりうる。しかしながら、そのような手法もまた、費用がかかり、材料が無駄になる。
【0007】
したがって、積層複合材料の端の不均一性を低減するための改良されたシステム、装置、及び関連する方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
材料を積層するための改良された技術を提供する方法及びシステムが本明細書に開示される。いくつかの例では、積層複合材料は、一緒にプレスされ、続いて端で層間剥離されて、部分的に層間剥離された複合材料を形成する薄膜キャップ層及び薄膜基板層から形成される。キャップ層及び基板層は、それぞれのスプールから巻き出され、ニップローラアセンブリを通して供給される。熱及び圧力を加えることによって積層複合材料を形成するために、供給中にキャップ層が加熱され、対応する基板層がキャップ層に押し付けられる。積層複合材料は、1つ又は複数の端で選択的に層間剥離され、巻き取りローラで巻き取られる。
【0009】
1つの実施例では、方法は、ニップローラアセンブリで第1の層材料及び第2の層材料を受け取ることと、ニップローラアセンブリで第1の層材料及び第2の層材料を受け取ることと、主要部分及び少なくとも1つの端部分を含む積層複合材料を提供するために、ニップローラアセンブリによって、第1及び第2の層材料を積層することと、複合製品を製造する際に使用する部分的積層複合材料を提供するために、積層複合材料の少なくとも1つの端部分を層間剥離することとを含む。
【0010】
別の実施例では、システムは、主要部分及び少なくとも1つの端部分を含む積層複合材料を提供するために、第1の層材料及び第2の層材料を積層するように構成されたニップローラアセンブリと、ニップローラアセンブリから積層複合材料を受け取るように位置決めされ、かつ複合製品を製造する際に使用する部分的積層複合材料を提供するために、積層複合材料の少なくとも1つの端部分を層間剥離するように構成されたデラミネータ(delaminator)とを含む。
【0011】
本開示の範囲は、参照によりこのセクションに組み込まれる特許請求の範囲によって定義される。1つ又は複数の実施例に関する以下の詳細な記載を検討することによって、本開示の実施例のより完全な理解と、その更なる利点の認識が当業者に与えられるだろう。これより、まず簡潔に説明される添付の図面を参照することになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示の実施例による積層システムのブロック図を示す。
図1B】本開示の実施例に従って例示された更なる構成の詳細を伴う積層システムのブロック図を示す。
図2】本開示の実施例による、図1Bの積層システムのデラミネータを示す。
図3】本開示の実施例による図1Bの積層システムの平面図を示す。
図4】本開示の実施例による複合製品を提供するためのプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施例とそれらの利点とは、下記の詳細な説明を参照することにより最もよく理解される。図面の一又は複数に示される類似の要素を識別するために、類似の参照番号が使用されると理解すべきである。
【0014】
本開示の様々な例は、材料を積層するための改善された手法を提供する。一般的に積層される材料は、積層複合材料を製造するために薄膜基板層材料に積層された薄膜キャップ層材料を含むが、これらに限定されない。更なる処理のために積層複合材料を用意するために、本開示は、積層複合材料の1つ又は複数の端を層間剥離することを提供する。このような層間剥離方法は、うねり又はしわを取り除き、複合材料を平らにすることができ、したがって下流の処理工程の有効性を改善する。いくつかの例では、キャップ層材料及び/又は基板層材料は、厚さが約1000分の1インチから2000分の1インチの範囲の薄膜材料でありうる。
【0015】
図1Aは、本開示の実施例による積層システム100のブロック図を示す。図示されたように、積層システム100は、複合層材料供給部105と、ニップローラアセンブリ110(例えば一次積層装置)と、デラミネータアセンブリ115と、後処理サブシステム199とを含む。積層システム100は、完成複合製品を製造するために、積層工程、層間剥離工程、及び後処理工程を実行するように構成されうる。
【0016】
複合層材料供給部105は、本明細書で論じるように、積層複合材料150を形成するために使用されるキャップ層材料120及び基板層材料130などの薄膜材料を供給するように構成される。複合層材料供給部105は、キャップ層巻き戻しスプール122及び基板層巻き戻しスプール132を含む。キャップ層巻き戻しスプール122は、キャップ層材料120を含む。基板層巻き戻しスプール132は、基板層材料130を含む。
【0017】
ニップローラアセンブリ110は、キャップ層材料120及び基板層材料130などの薄膜材料を積層して、本明細書で論じるように積層複合材料150を形成するように構成される。ニップローラアセンブリ110は、加熱されたローラ112と対応するローラ114とを含む。更に、取り出しローラ140は、積層複合材料150を支持するように構成される。
【0018】
デラミネータアセンブリ115は、部分的積層複合材料151を形成するために、積層複合材料150の1つ又は複数の端を層間剥離させるように構成される。デラミネータアセンブリ115は、位置決め機構190とデラミネータ160とを含む。
【0019】
後処理サブシステム199は、部分的積層複合材料151に対して様々な製造工程を実行するように構成される。後処理サブシステム199は、平らな面194と後処理積層装置197とを含む。
【0020】
図1Bは、本開示の実施例に従って例示された更なる構成の詳細を伴う積層システム100のブロック図を示す。図1Bに示されるように、積層システム100は、キャップ層巻き戻しスプール122及び基板層巻き戻しスプール132(例えば、複合層材料供給部105の一部として)、ニップローラアセンブリ110、位置決め機構190及びデラミネータ160(例えば、デラミネータ115の一部として)、複合層巻き戻しスプール170、及び後処理サブシステム199を含む。以下で更に論じるように、積層システム100は、キャップ層材料120を基板層材料130に積層し、積層複合材料150を形成するように構成されうる。いくつかの例では、キャップ層材料120及び基板層材料130は、薄膜材料として実施される。更に、積層システム100は、1つ又は複数の端でキャップ層材料120を基板層材料130から層間剥離させ、1つ又は複数の端で部分的に層間剥離された部分的積層複合材料151を形成するよう更に構成されうる。位置決め機構190は、デラミネータ160を位置決め及び/又は移動し、層間剥離されるべき端部分の幅を選択的に調整するために使用されうる。
【0021】
いくつかの例では、キャップ層材料120は、キャップ層巻き戻しスプール122上に巻かれるか又は他の方法で配置され、ニップローラアセンブリ110に供給される。基板層材料130は、基板層巻き戻しスプール132上に巻かれるか又は他の方法で配置され、ニップローラアセンブリ110に供給される。ニップローラアセンブリ110は、キャップ層材料120及び基板層材料130をそれぞれ受け取る加熱されたローラ112及び対応するローラ114を含む。加熱されたローラ112は、キャップ層材料120に熱を加え、キャップ層材料120を基板層材料130に熱的に結合し、一方、対応するローラ114は、加熱されたローラ112と共にキャップ層材料120と基板層材料130を共に接着するために圧力を加え、積層複合材料150を形成する。積層複合材料150は、それが複合層巻き戻しスプール170に向かって移動するときに、取り出しローラ140によって支持される。
【0022】
いくつかの例では、積層複合材料150が複合層巻き戻しスプール170で受け取られる前に、積層複合材料150の1つ又は複数の端が層間剥離される端層間剥離が行われる。これに関して、積層複合材料150は、位置156でデラミネータ160に供給される。デラミネータ160は、図1Bの位置157においてキャップ層材料120と基板層材料130との間に挿入される。積層プロセスの開始前に、デラミネータ160は、位置合わせ機構190によって、キャップ層材料120のリーダー部分と基板層材料130との間に介在されうる。
【0023】
位置決め機構190は、デラミネータ160を移動させ、層間剥離すべき1つ又は複数の端部分の幅を選択的に調整しうる。いくつかの例では、図2に関して更に説明するように、デラミネータ160を動かすために、位置決め機構190を手動で動作させてもよい。他の例では、デラミネータ160は、図3に関して更に説明されるように、位置決め機構190の自動実施によって移動される。
【0024】
いくつかの例では、デラミネータ160は、積層複合材料150のキャップ層材料120と基板層材料130とを選択的に分離し、部分的に層間剥離した位置158に部分的積層複合材料151を形成する。複合層巻き戻しスプール170は、部分的に積層複合材料151を集めるために使用される。これに関して、部分的に層間剥離した部分的積層複合材料151は、完成品、例えば航空機の内装で使用される複合製品の製造における追加の製造工程に備えて、作業面上に平らに置かれる。
【0025】
後処理サブシステム199は、本明細書で説明するように、追加の層の追加、積層複合材料150のテクスチャ加工、裏地材料の追加、及び/又は以前層間剥離した端の再積層などの追加の製造工程を実行する。後処理サブシステム199は、複合層巻き戻しスプール170から部分的積層複合材料151を受け取るように構成された平らな面194を含む。
【0026】
後処理サブシステム199はまた、平らな面194から受け取った部分的積層複合材料151の1つ又は複数の端を再積層するように構成された後処理積層装置197を含む。後処理積層装置197は、1つ又は複数のローラ、オーブン、及び/又は他の適切な積層デバイスを用いて実施されうる。
【0027】
図2は、本開示の一例による、図1Bの積層システム100のデラミネータ160を示す。図2に示されるように、積層システム100は、デラミネータ160、取り出しローラ140、加熱されたローラ112、及び複合層巻き戻しスプール170を含む、図1Bで以前特定された様々な特徴を含む。図2に示す例では、位置決め機構は、手動で動作させる位置決め機構190Aによって実装される。示されるように、位置決め機構190Aは、マウント166に固定され、積層複合材料150に対して定位置にデラミネータ160を固定するために使用されるC字型クランプとして実装される。C字型クランプが示されているが、例えば、A字型クランプ、ねじれクランプ、及び/又は固定式締結デバイスといった、他の種類の保持デバイスも可能である。
【0028】
様々な実施例では、デラミネータ160は、積層複合材料150の端154で調整される。位置決め機構190Aは、端154におけるデラミネータ160の層間剥離幅及び/又は高さを選択的に制御するように調整されうる。いくつかの例では、図2のデラミネータ160はまた、(図3に示すように)積層複合材料150の反対側に設けられ、反対側のマウント166に固定された位置決め機構190Aを使用して選択的に調整されてもよい。これに関して、積層システム100は、様々なサイズの積層複合材料150に対して選択的な層間剥離幅及び/又は高さで、1つ又は複数の端154を層間剥離するためのモジュール性及び適合性の両方を提供する。
【0029】
この特定の例では、デラミネータ160は、バイアス部材162及びベース部材164を含む。バイアス部材162は、ベース部材164によって積層複合材料150の端の固定位置に固定される。バイアス部材162は、端154において積層複合材料150のキャップ層材料120と基板層材料130との間に介在する。バイアス部材162は、矢印202によって識別される方向に沿って、積層複合材料150の端154の層間剥離幅を選択するように、選択的に位置決めされうる(例えば、ベース部材164を位置決めすることによって)。これに関して、図2に示すように、位置決め機構190Aは、ベース部材164を動かし、積層複合材料150に沿ってバイアス部材162の層間剥離幅及び/又は高さを選択的に調整するように緩められるC字型クランプとして実装される。積層複合材料150が加熱されたローラ112及び対応するローラ114(図示せず)から取り出しローラ140を通過して移動すると、バイアス部材162が、積層複合材料150を端154で分離する。部分的に層間剥離した部分的積層複合材料151が複合層巻き戻しスプール170によって巻き取られる際に、積層複合材料150の主要部分152は、積層されたままである。
【0030】
図3は、本開示の実施例による、図1Bの積層システム100の平面図を示す。図3に示される例では、積層システム100は、デラミネータ160A及びデラミネータ160Bを含み、それらの各々は、図2に示されるデラミネータ160と同一又は類似の方法で実装されうる。また図3において、位置決め機構は、デラミネータ160A及び160Bの位置を選択的に調整するために使用されうる位置決め機構190Bによって実装される。図示されたように、位置決め機構190Bは、コントローラ180とアクチュエータ185A及び185Bとを含む。この特定の例では、コントローラ180は、制御信号184A及び184Bをそれぞれアクチュエータ185A及び185Bに供給して、デラミネータ160A及び160Bそれぞれの移動を制御する。
【0031】
コントローラ180は、プロセッサ181、メモリ182、及び通信インターフェース183を含む。プロセッサ181は、例えば、マイクロプロセッサ、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ロジックデバイス(例えば、処理工程を実行するように構成されたプログラマブルロジックデバイス)、デジタル信号処理(DSP)デバイス、実行可能命令(例えば、ソフトウェア、ファームウェア、又は他の命令)を保存するための1つ又は複数のメモリ、及び/又は本明細書に記載の様々な工程のいずれかを実行するための命令を実行する処理デバイス及び/又はメモリの他の任意の適切な組合せを含みうる。
【0032】
処理工程が自動化されている様々な例では、処理工程及び/又は命令は、プロセッサ181の一部としてソフトウェア及び/又はハードウェアに統合されるか、又はメモリ182に保存されるコード(例えば、ソフトウェア又は構成データ)に組み込まれると理解すべきである。本明細書に開示される処理動作及び/又は命令の例は、機械可読媒体によって非一時的な方法(例えば、メモリ、ハードドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、又はフラッシュメモリ)で記憶され、本明細書に開示された様々な方法を実行するためにコンピュータ(例えば、ロジック又はプロセッサベースのシステム)によって実行される。
【0033】
メモリ182は、データ及び情報を保存するための1つ又は複数のメモリデバイス(例えば、1つ又は複数のメモリ)を含む。1つ又は複数のメモリデバイスは、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み取り専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能読み取り専用メモリ)、フラッシュメモリなどの揮発性及び不揮発性メモリデバイス、又は他の種類のメモリを含む、様々な種類のメモリを含む。1つの実施例では、プロセッサ181は、メモリ182に保存されているソフトウェアを実行し、本明細書に記載の方法で様々な方法、プロセス、及び工程を実行するように適合される。
【0034】
コントローラ180は、通信インターフェース183を介して、アクチュエータ185A、アクチュエータ185B、及び/又は他のデバイス(例えば、ディスプレイ(図示せず)など)とインターフェースで接続し、通信するよう適合され、本明細書に記載の方法及び処理ステップを実行する。通信インターフェース183は、積層システム100内の有線又は無線通信バスを含む。通信インターフェース183は、無線通信インターフェースとして実装されてもよく、例えば、Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee、及び/又は他の電波又は光インターフェースを含んでもよい。
【0035】
1つの実施例では、コントローラ180は、デラミネータ160A及び160Bの移動を制御する。これに関して、コントローラ180は、制御信号184A及び184Bを介して、アクチュエータ185A及び185Bとそれぞれ通信し、アクチュエータ185A及び185Bを操作し、デラミネータ160A及び160Bを矢印202により特定される方向に移動させ、層間剥離幅を調整する。アクチュエータ185A及び185Bは、リニアアクチュエータ、機械的アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、電気機械的アクチュエータ、及び/又は必要に応じて他のデバイスとして実装することができる。
【0036】
上記実施例では、コントローラ180は、アクチュエータ185A及び185Bを同期的又は独立的に移動させるように操作し、位置157において、積層複合材料150の端154から最大約2インチ内側にデラミネータ160A及び/又は160Bを調整してもよい。単独で、又は上記の調整と組み合わせて、他のデラミネータ160の調整が可能である。
【0037】
図3に示すように、キャップ層材料120及び基板層材料130を含む積層複合材料150は、位置156に沿って矢印304で示される方向に移動する。積層複合材料150が位置157に達すると、キャップ層材料120及び基板層材料130は、一方の又は両方のデラミネータ160A及び160Bによって端154で分離される。層間剥離された端部分154(例えば、図3に破線で示すように)と主要部分152(例えば、積層をそのままの状態で)とを含む部分的積層複合材料151は、位置158に沿って複合層巻き戻しスプール170に進む。これに関して、積層システム100は、選択的に位置決め可能であり、かつ二次製造工程を実施するときに部分的層間剥離され、有利には作業面上に平らに位置する部分的積層複合材料151を効率的に製造するデラミネータ160を提供する。
【0038】
1つの実施例では、デラミネータ160は、積層システム100の初期設定中に、キャップ層材料120と基板層材料130との間に位置決めされる。これに関して、キャップ層材料120のリーダー材料が、キャップ層巻き戻しスプール122からスプールされ、ニップローラアセンブリ110を通って位置157に供給される。更に、基板層材料130のリーダー材料が、基板層巻き戻しスプール132からスプールされ、ニップローラアセンブリ110を通って位置157に供給される。キャップ層材料120と基板層材料130は、この時点では積層されず、デラミネータ160A及び160Bが、キャップ層材料120と基板層材料130との間に効果的に挿入される。積層プロセスの開始前に積層されていないリーダー材料間にデラミネータ160を挿入することにより、積層/部分的層間剥離工程中に、積層複合材料150を引き裂く又は剥ぎ取ることなく、端154を効率的に層間剥離させる。
【0039】
図4は、本開示の実施例による複合製品を提供するためのプロセスを示す。プロセスは、ブロック402で始まり、積層システム100を最初に設定することができる。キャップ層材料120のリーダー材料は、キャップ層巻き戻しスプール122から巻き出され、加熱されたローラ112(例えば、この時点では加熱されていない)と対応するローラ114との間のニップローラアセンブリ110を通して位置157に供給される。更に、基板層材料130のリーダー材料は、基板層巻き戻しスプール132から巻き出され、ニップローラアセンブリ110を通って位置157に供給される。
【0040】
ブロック404では、デラミネータ160が、位置157において、積層されていないキャップ層材料120のリーダー材料と基板層材料130のリーダー材料との間に挿入される。
【0041】
ブロック406では、デラミネータ160が端154に配置され、端154で積層複合材料150の層間剥離幅を制御するように選択的に調整される。キャップ層材料120のリーダー材料及び基板層材料130のリーダー材料は、複合層巻き戻しスプール170に供給され、そこで巻き取られる。
【0042】
ブロック408では、キャップ層材料120及び基板層材料130は、それぞれキャップ層巻き戻しスプール122及び基板層巻き戻しスプール132から巻き出される。
【0043】
ブロック410では、キャップ層材料120及び基板層材料130が、ニップローラアセンブリ110で受け取られる。いくつかの例では、キャップ層材料120は、加熱されたローラ112に最も近いところで受け取られ、基板層材料130は、対応するローラ114に最も近いところで受け取られる。いくつかの例では、そのような位置決めは逆転されてもよい。
【0044】
ブロック412において、キャップ層材料120は、基板層材料130に積層され、積層複合材料150が製造される。
【0045】
ブロック414では、積層複合材料150の側面の端154が、デラミネータ160によって層間剥離され、部分的積層複合材料151の端154層間剥離部分及び主要部分152が生成される。いくつかの例では、デラミネータ160は、反対側に含まれ、積層複合材料150の反対の第2の側を層間剥離するために使用される。
【0046】
ブロック416において、複合層巻き戻しスプール170は、1つ又は複数の端で層間剥離された部分的積層複合材料151を受け取る。
【0047】
ブロック418では、部分的に層間剥離された部分的積層複合材料151は、実質的に平らな表面194上に実質的に平らな向きで位置決めし、平らな向きにある間に追加の製造工程を実行することによって、更に処理される。
【0048】
ブロック420では、層間剥離した端部分154を有する部分的積層複合材料151に、追加の製造工程(例えば、端154の再積層工程又は他の工程)が実行され、製造された複合製品(例えば、航空機の内装及び/又は他の製品に貼り付けるように構成された壁紙)が提供される。追加の製造工程は、追加の層を加えること、積層複合材料をテクスチャ加工すること、裏地材料を追加すること、部分的積層複合材料151の1つ又は複数の端部分154を再積層すること、及び/又は後処理サブシステム199の後処理積層装置197を使用する他の製造工程を含みうる。
【0049】
更に、本開示は、以下の条項による実施例を含む。
条項1. ニップローラアセンブリで第1の層材料及び第2の層材料を受け取ることと、ニップローラアセンブリで第1の層材料及び第2の層材料を受け取ることと、主要部分及び少なくとも1つの端部分を含む積層複合材料を提供するために、ニップローラアセンブリによって、第1及び第2の層材料を積層することと、複合製品を製造する際に使用する部分的積層複合材料を提供するために、積層複合材料の少なくとも1つの端部分を層間剥離することとを含む方法。
条項2. 少なくとも1つの端部分が、積層複合材料の第1の側の第1の端部分であり、積層複合材料が、積層複合材料の反対の第2の側の第2の端部分を更に含み、積層複合材料の第2の端部分を層間剥離することを更に含む、条項1に記載の方法。
条項3. 層間剥離することが、ニップローラアセンブリから積層複合材料を受け取るように位置決めされたデラミネータによって実行される、条項1又は2に記載の方法。
条項4. デラミネータが、積層複合材料の少なくとも1つの端部分で、第1の層材料を第2の層材料から分離するように構成されたバイアス部材を含む、条項3に記載の方法。
条項5. 端部分の幅を調整するために、積層複合材料に対してバイアス部材を選択的に位置決めすることを更に含む、条項4に記載の方法。
条項6. 第1の層材料がキャップ層材料であり、第2の層材料が基板層材料である、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
条項7. 複合製品が、航空機に適用されるように構成される、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
条項8. 積層することが、ニップローラアセンブリの1つ又は複数のニップローラによって、第1及び第2の層材料に熱及び圧力を加えることを含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
条項9. 部分的積層複合材料を実質的に平らな向きに位置決めすることと、実質的に平らな向きである間、積層複合材料の上で製造工程を実行することとを更に含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
条項10. 製造工程に続いて、部分的積層複合材料の端部分を積層することを更に含む、条項9に記載の方法。
条項11. 主要部分及び少なくとも1つの端部分を含む積層複合材料を提供するために、第1の層材料及び第2の層材料を積層するように構成されたニップローラアセンブリと、ニップローラアセンブリから積層複合材料を受け取るように位置決めされ、かつ複合製品を製造する際に使用する部分的積層複合材料を提供するために、積層複合材料の少なくとも1つの端部分を層間剥離するように構成されたデラミネータとを含むシステム。
条項12. 少なくとも1つの端部分が、積層複合材料の第1の側の第1の端部分であり、積層複合材料が、積層複合材料の反対の第2の側の第2の端部分を更に含み、デラミネータが、積層複合材料の第2の端部分を層間剥離するよう更に構成される、条項11に記載のシステム。
条項13. デラミネータが、積層複合材料の端部分で、第1の層材料を第2の層材料から分離するように構成されたバイアス部材を含む、条項11又は12に記載のシステム。
条項14. 位置決め機構を動作させ、バイアス部材を選択的に位置決めするように構成されたコントローラを更に含み、バイアス部材が、端部分の幅を調整するために、積層複合材料に対して選択的に位置決めされるように構成される、条項13に記載のシステム。
条項15. デラミネータが、バイアス部材の位置を設定するためにバイアス部材に結合されたベース部材を更に含む、条項13又は14に記載のシステム。
条項16. 第1の層材料がキャップ層材料であり、第2の層材料が基板層材料である、条項11から15のいずれか一項に記載のシステム。
条項17. 複合製品が、航空機に適用されるように構成される、条項11から16のいずれか一項に記載のシステム。
条項18. ニップローラアセンブリが、第1及び第2の層材料に熱及び圧力を加えるように構成された1つ又は複数のニップローラを含む、条項11から17のいずれか一項に記載のシステム。
条項19. 製造工程を実行するために、部分的積層複合材料を実質的に平らな向きで受け取るように構成された実質的に平らな面を更に含む、条項11から18のいずれか一項に記載のシステム。
条項20. 製造工程に続いて、部分的積層複合材料の少なくとも1つの端部分を積層し、複合製品を製造するように構成された後処理積層板を更に含む、条項19に記載のシステム。
【0050】
本開示を考慮すると、本明細書に記載の様々な例に従って実施される積層システム100が、完成した複合製品を製造する際の下流処理ステップを改善する実質的に平らな向きの部分積層複合材料151を提供しうると理解されよう。積層システム100は、キャップ層材料120と基板層材料130とを積層し、積層複合材料150を提供するために、ニップローラアセンブリ110を組み込み、かつ取り出しローラ140から積層複合材料150を受け取り、積層複合材料150の端部分154を剥離し、部分的に剥離され、平らで、うねり、しわ、及び/又は他の不整合がない部分的に存在する部分的積層複合材料151を提供する剥離装置160を組み込み、完成した複合製品にスケジュール時間とコストを追加する不整合を排除する追加の処理ステップを必要とせずに、完全に製造と製造可能性が最適化される。
【0051】
必要に応じて、本開示によって提供される様々な例は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを使用して実装することができる。また、必要に応じて、本明細書に記載の様々なハードウェア構成要素及び/又はソフトウェア構成要素は、本開示の主旨から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はその両方を含む複合構成要素に組み合わせることができる。必要に応じて、本明細書に明記される様々なハードウェア構成要素及び/又はソフトウェア構成要素を、本開示の主旨から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、又は両方を含むサブコンポーネントに分けることができる。更に必要に応じて、ソフトウェア構成要素をハードウェア構成要素として実行すること、及びその逆も、可能であると考えられる。
【0052】
プログラムコード及び/又はデータといった、本開示によるソフトウェアは、1つ又は複数のコンピュータ可読媒体に保存することができる。本明細書で特定されるソフトウェアは、ネットワーク化された及び/又はそれ以外の、1つ又は複数の汎用若しくは特定用途のコンピュータ及び/又はコンピュータシステムを使用して、実行可能であるということも考えられる。必要に応じて、本明細書に記載された特徴を得るために、本明細書に記載された様々なステップの順序は、変更すること、複合ステップと組み合わせること、及び/又はサブステップに分割することが可能である。
【0053】
上述の例は、本開示を例示するものであって、限定するものではない。本発明の原理にしたがって多くの修正例及び変形例が可能になることも理解すべきである。したがって、本開示の範囲は下記の請求項によってのみ定義される。
図1A
図1B
図2
図3
図4