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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240126BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20240126BHJP
【FI】
G06Q50/10
G07B15/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019038446
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020144426
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦 功征
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022448(JP,A)
【文献】特開2017-183832(JP,A)
【文献】特開2013-109051(JP,A)
【文献】特開2017-111286(JP,A)
【文献】特開2004-220498(JP,A)
【文献】特開2003-271084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行人が携帯する入場券から自動改札機が読み取った情報、又は、当該通行人が携帯する端末装置から受信した情報に基づき、当該通行人の属性を特定するサーバ装置と、
予め記憶されている、同じ内容を複数の属性の各々に応じた異なる表現形態で表すデータに基づいて、当該内容を、特定した属性に応じた表現形態で、不特定の通行人に情報を表示する表示装置とを備え、
前記属性は通行人の視力を含み、前記表示装置に表示される情報の視認が困難な通行人が場内にいる場合、スピーカにより前記表示装置に表示される情報を音で通知する
情報表示システム。
【請求項2】
カメラにより撮影した画像から通行人の属性を特定するサーバ装置と、
予め記憶されている、同じ内容を複数の属性の各々に応じた異なる表現形態で表すデータに基づいて、当該内容を、特定した属性に応じた表現形態で、不特定の通行人に情報を表示する表示装置とを備え、
前記属性は通行人の視力を含み、前記表示装置に表示される情報の視認が困難な通行人が場内にいる場合、スピーカにより前記表示装置に表示される情報を音で通知する
情報表示システム。
【請求項3】
通行人が携帯する交通機関の乗車券から自動改札機が読み取った情報に基づき、当該通行人の属性を特定するサーバ装置と、
予め記憶されている、同じ内容を複数の属性の各々に応じた異なる表現形態で表すデータに基づいて、当該内容を、特定した属性に応じた表現形態で、場内の不特定の通行人に情報を表示する表示装置とを備え、
前記属性は交通機関により通行人が移動する区間を含み、前記表示装置により当該区間に応じた内容の情報を表示する
情報表示システム。
【請求項4】
複数の通行人に関し特定した属性に応じた表現形態の中から所定数以下の表現形態を順次選択し、選択した表現形態で前記表示装置により順次情報を表示する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報表示システム。
【請求項5】
通行人に関し属性を特定した後に所定時間が経過した場合、前記表示装置による当該通行人に関し特定した属性に応じた表現形態での情報の表示を停止する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報表示システム。
【請求項6】
前記属性は通行人の使用言語を含み、前記表現形態は情報の表示に用いる言語を含む
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報表示システム。
【請求項7】
前記属性は通行人の年齢を含み、前記表現形態は情報を表示する時間、表示する情報の大きさ、表示する情報の言葉遣いの1以上を含む
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行人に対し情報を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通機関の利用においてICカードが乗車券として広く用いられている。乗車券として用いられるICカードは、所持者の氏名等の情報を記憶し、記憶している情報を券売機や自動改札機等に読み取らせる。そこで、ICカードに、所持者が使用する言語等の個人情報を記憶させておき、券売機や自動改札機等においてICカードから読み取った個人情報に応じた案内を表示する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、通行人が自動改札機を通過する際に、自動改札機が乗車券として用いられるICカードから読み取った通行人の個人情報に応じた広告情報を通行人に対し表示する仕組みが記載されている。また、特許文献2には、通行人が自動改札機を通過する際に、自動改札機が乗車券として用いられるICカードから読み取った通行人の使用言語にて案内情報を通行人に対し表示する仕組みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-44885号公報
【文献】特開2008-46960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
駅構内等の公共の場所に設置された電光掲示板によって、不特定多数の通行人に対し行先案内や地域情報等の各種情報を表示することが広く行われている。日本においては、通行人の多くは日本語を理解できるが、日本語を理解できない通行人もいる。そこで、電光掲示板等の表示装置に、同じ情報を日本語と外国語の両方で同時に表示させる仕組みや、同じ情報を日本語と外国語とで交互に表示させる仕組みが普及しつつある。
【0006】
電光掲示板が情報を表示する際に用いられる外国語としては、現在のところ、英語、中国語、韓国語が選択されることが多い。日本を訪れる外国人には、これらの言語を使用する外国人が多いためである。しかしながら、日本語、英語、中国語、韓国語のいずれも理解できない外国人もいる。そのような外国人に対し、従来の仕組みでは公共の案内を行うことができない、という問題がある。
【0007】
また、電光掲示板に表示される文字の大きさや表示される時間は、必ずしも通行人の全員にとって適切とは限らない。例えば、高齢者の通行人にとっては、電光掲示板に表示される文字が小さすぎて読めない、もしくは、表示される時間が短すぎて案内を最後まで読めない、といった状況が生じる場合がある。また、低学年の児童にとっては、電光掲示板にまだ覚えていない漢字や言葉遣いで情報が表示されて、案内を理解できない、といった状況が生じる場合がある。
【0008】
上記の状況に鑑みて、本発明は、不特定の通行人に対し、それらの通行人の各々の属性に応じた表示態様で情報を表示することを可能とする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、通行人が携帯する入場券から自動改札機が読み取った情報、又は、当該通行人が携帯する端末装置から受信した情報に基づき、当該通行人の属性を特定するサーバ装置と、予め記憶されている、同じ内容を複数の属性の各々に応じた異なる表現形態で表すデータに基づいて、当該内容を、特定した属性に応じた表現形態で、不特定の通行人に情報を表示する表示装置とを備え、前記属性は通行人の視力を含み、前記表示装置に表示される情報の視認が困難な通行人が場内にいる場合、スピーカにより前記表示装置に表示される情報を音で通知する情報表示システムを第1の態様として提供する。
また、本発明は、カメラにより撮影した画像から通行人の属性を特定するサーバ装置と、予め記憶されている、同じ内容を複数の属性の各々に応じた異なる表現形態で表すデータに基づいて、当該内容を、特定した属性に応じた表現形態で、不特定の通行人に情報を表示する表示装置とを備え、前記属性は通行人の視力を含み、前記表示装置に表示される情報の視認が困難な通行人が場内にいる場合、スピーカにより前記表示装置に表示される情報を音で通知する情報表示システムを第2の態様として提供する。
【0010】
第1及び第2の態様の情報表示システムによれば、不特定の通行人に対し、それらの通行人の各々の属性に応じた表現形態で情報が表示される。
また、第1及び第2の態様の情報表示システムによれば、表示装置が表示する情報を視認することが困難な通行人に対し、表示装置が表示する情報が音で通知される。
【0011】
また、本発明は、通行人が携帯する交通機関の乗車券から自動改札機が読み取った情報に基づき、当該通行人の属性を特定するサーバ装置と、予め記憶されている、同じ内容を複数の属性の各々に応じた異なる表現形態で表すデータに基づいて、当該内容を、特定した属性に応じた表現形態で、場内の不特定の通行人に情報を表示する表示装置とを備え、前記属性は交通機関により通行人が移動する区間を含み、前記表示装置により当該区間に応じた内容の情報を表示する情報表示システムを第3の態様として提供する。
【0012】
第3の態様の情報表示システムによれば、通行人は乗車券を用いて交通機関を利用することで、自分が交通機関により移動する区間に応じた情報を見ることができる。
【0013】
第1乃至3のいずれかの態様の情報表示システムにおいて、複数の通行人に関し特定した属性に応じた表現形態の中から所定数以下の表現形態を順次選択し、選択した表現形態で前記表示装置により順次情報を表示する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0014】
の態様の情報表示システムによれば、複数の通行人のうち、可能な範囲でより多くの通行人にとって適切な表現形態で情報が表示される。
【0015】
第1乃至第のいずれかの態様の情報表示システムにおいて、通行人に関し属性を特定した後に所定時間が経過した場合、前記表示装置による当該通行人に関し特定した属性に応じた表現態様での情報の表示を停止する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0016】
の態様の情報表示システムによれば、既に表示装置の近傍を通過し表示装置が表示する情報を目にすることがない通行人に応じた表現態様で無駄な情報の表示が行われる不都合が軽減される。
【0017】
第1乃至第のいずれかの態様の情報表示システムにおいて、前記属性は通行人の使用言語を含み、前記表現形態は情報の表示に用いる言語を含む、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0018】
の態様の情報表示システムによれば、通行人に対し通行人の使用言語により情報が表示される。
【0019】
第1乃至第のいずれかの態様の情報表示システムにおいて、前記属性は通行人の年齢を含み、前記表現形態は情報を表示する時間、表示する情報の大きさ、表示する情報の言葉遣いの1以上を含む、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0020】
の態様の情報表示システムによれば、通行人に対し通行人の年齢に応じた適切な表示態様で情報が表示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態に係る情報表示システムの全体構成を示した図。
図2】一実施形態に係る案内装置の外観を示した図。
図3】一実施形態に係る案内テーブルの構成を示した図。
図4】一実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示した図。
図5】一実施形態に係る場内通行人テーブルの構成を示した図。
図6】一実施形態に係る装置前通行人テーブルの構成を示した図。
図7】一実施形態に係る通知順序テーブルの構成を示した図。
図8】一実施形態に係る通知履歴テーブルの構成を示した図。
図9】一実施形態に係る選択部が行う処理のフローを示した図。
図10】一実施形態に係る選択部が行う処理のフローを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る情報表示システム1を説明する。情報表示システム1は駅の改札内を通行する不特定の通行人に対し文字の表示と音声により行先案内を行うシステムである。
【0035】
図1は、情報表示システム1の全体構成を示した図である。情報表示システム1は、改札内のエリアPへの入場を管理する自動改札機11と、エリアPからの出場を管理する自動改札機12と、エリアP内の不特定の通行人から見える場所に設置された案内装置13-1及び13-2と、エリアPの内側から自動改札機11に向かう方向に撮影を行うように設置されたカメラ14と、サーバ装置15を備える。案内装置13-1及び13-2は同じ構成を備える装置である。以下、案内装置13-1と13-2を区別しない場合、これらを「案内装置13」と総称する。なお、図1には、列車Tが交通機関の例として示されている。
【0036】
自動改札機11及び自動改札機12は、乗車券(入場券の一例)として通行人が携帯するICカードC(通行人の携帯物の一例)から読み取った情報に基づき、例えばゲートの開閉により、エリアPに対する通行人の入出場を許可又は禁止する装置である。自動改札機11及び自動改札機12は通信インタフェースを備え、サーバ装置15と通信を行う。自動改札機11及び自動改札機12は既知の装置であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施形態において、ICカードCは、チャージされている電子マネーの残高、過去に利用した駅改札内への入退場の記録(入場駅名、入場時刻、退場駅名、退場時刻等)等の乗車券の機能に関する情報に加え、ICカードCを携帯する通行人の属性を示す属性情報を保持している。本実施形態において、ICカードCが保持する属性情報は、通行人の使用言語(1つ又は2つ)、年齢、視覚障碍の有無を含む。
【0038】
案内装置13はサーバ装置15からの指示に従い、エリアP内の通行人に対し文字の表示及び音声の発音により行先案内を行う装置である。また、案内装置13は、案内装置13の正面にいる通行人を撮影する役割も果たす。図2は、案内装置13の外観を示した図である。案内装置13はディスプレイ131(表示装置の一例)、スピーカ132、カメラ133を備える。また、案内装置13は、サーバ装置15と通信を行うための通信インタフェース(図示略)を備える。
【0039】
ディスプレイ131は、図2に例示されるように、同時に2つの異なる言語で同じ内容の行先案内を表示することができる。スピーカ132は、サーバ装置15から送信されてくる音声情報が表す音声を発音する。カメラ133は、案内装置13の正面にいる通行人を継続的に撮影する。案内装置13はカメラ133により撮影した画像を表す画像情報を順次、サーバ装置15に送信する。
【0040】
カメラ14は、自動改札機11を通過してエリアPに入場する通行人を継続的に撮影する。カメラ14は通信インタフェースを備え、撮影した画像を表す画像情報を順次、サーバ装置15に送信する。
【0041】
サーバ装置15は、プロセッサ、メモリ、通信インタフェースを備えるコンピュータである。サーバ装置15は上位システム(図示略)から、列車の運行状況に応じて刻々と変化する行先案内の内容をテキストで示す行先案内情報の集まりである案内テーブルを順次受信し、受信した案内テーブルに含まれる行先案内情報が示す行先案内を案内装置13に指示する役割を果たす。
【0042】
図3は案内テーブルの構成を示した図である。案内テーブルは、複数の行先案内情報の各々に応じたレコードの集まりである。1つの案内テーブルに含まれる複数の行先案内情報は、同じ内容を異なる言語又は通行人の年齢層に応じた表現形態で表したテキストを示す。
【0043】
案内テーブルはフィールド「言語」、「年齢層」、「テキスト」を有する。フィールド「言語」には、「日本語」、「英語」等の言語情報が格納される。フィールド「年齢層」には、「低年齢層」及び「中高年齢層」のいずれかを示す年齢層情報が格納される。例えば、「低年齢層」は10歳以下を意味し、「中高年齢層」は11歳以上を意味する。フィールド「テキスト」には、行先案内の内容を示すテキスト情報(すなわち、行先案内情報)が格納される。
【0044】
1つの案内テーブルにおいて、その案内テーブルに含まれる複数の行先案内情報は言語と年齢層の組み合わせにより識別される。以下、言語と年齢層の組み合わせを便宜的に「言語属性」という。
【0045】
例えば、言語属性「日本語/中高年齢層」に応じた行先案内情報が「急行/藤沢/11:59/相模大野で特急小田原行きに連絡します。」である場合、同じ案内テーブルに格納される言語属性「英語/中高年齢層」に応じた行先案内情報は、例えば「Express/Fujisawa/11:59/It connects to a limited express to Odawara in Sagamiono.」であり、言語属性が「日本語/低年齢層」に応じた行先案内情報は、例えば「11:59に(ふじさわ)いきの(きゅうこう)が、はっしゃします。(さがみおおの)で(おだわら)いきの(とっきゅう)に、のりかえられます。」である。
【0046】
サーバ装置15は、所定時間(例えば、15秒間)の経過毎に、最新の案内テーブルに格納されている複数の行先案内情報の中から2つ(所定数の一例)の言語属性に応じた行先案内情報を選択し、それらの行先案内情報を含む表示指示を案内装置13に送信する。
【0047】
案内装置13はサーバ装置15から送信されてくる表示指示に含まれる行先案内情報が示すテキストを表示する。すなわち、案内装置13は、同じ内容の行先案内を、同時に2つの表現形態で所定時間だけ表示した後、別の2つの表現形態で所定時間だけ表示する、という動作を繰り返す。
【0048】
サーバ装置15は、自動改札機11が通行人のICカードCから読み取った属性情報が示す、エリアP内にいる視覚障碍を持たない通行人の言語属性に応じた行先案内情報を、案内装置13に送信する表示指示に含める行先案内情報として選択する。従って、案内装置13は、エリアP内にいる視覚障碍を持たない通行人の言語属性に応じた適切な表現形態で行先案内を表示する。
【0049】
また、サーバ装置15は、最新の案内テーブルに格納されている複数の行先案内情報の中から1つ(所定数の一例)の言語属性に応じた行先案内情報を選択し、その行先案内情報が示す内容を読み上げた音声を合成し、合成した音声を表す音声情報を含む発音指示を案内装置13に送信する。サーバ装置15は、発音指示を案内装置13に送信した後、その発音指示に含めた音声情報が表す音声の再生時間が経過すると、案内テーブルから新たな行先案内情報を選択し、その行先案内情報に応じた音声情報を含む発音指示を案内装置13に送信する。
【0050】
案内装置13はサーバ装置15からから送信されてくる発音指示に含まれる音声情報が表す音声を発音する。すなわち、案内装置13は、同じ内容の行先案内を、ある表現形態で発音した後、別の表現形態で発音する、という動作を繰り返す。
【0051】
サーバ装置15は、自動改札機11が通行人のICカードCから読み取った属性情報が示す、エリアP内にいる視覚障碍を持つ通行人の言語属性に応じた行先案内情報を、案内装置13に送信する発音指示に含める音声情報の合成に用いる行先案内情報として選択する。従って、案内装置13は、エリアP内にいる視覚障碍を持つ通行人の言語属性に応じた適切な表現形態で行先案内を発音する。
【0052】
図4は、サーバ装置15の機能構成を示した図である。サーバ装置15が備えるプロセッサが、メモリに記憶しているプログラムに従い情報処理を行うと、サーバ装置15は図4に示す機能構成部を備える装置として動作する。以下に、図4に示されるサーバ装置15の機能構成部を説明する。
【0053】
通信部151は、上位システム、自動改札機11、案内装置13及びカメラ14との間で通信を行う。記憶部152は、各種情報を記憶する。記憶部152が記憶する情報には、行先案内情報の選択の処理に用いられる各種テーブル(後述)が含まれる。情報更新部153は、記憶部152に記憶されているそれらのテーブルの一部を更新する。
【0054】
画像認識部154は、カメラ14及びカメラ133から送信されてくる画像情報から通行人を認識する。画像認識部154が行う画像認識の処理は既知であるため、その説明を省略する。
【0055】
選択部155は、案内テーブル(図3)に含まれる複数の行先案内情報の中から、案内装置13に送信する表示指示及び発音指示に用いる行先案内情報を選択する。
【0056】
音声合成部156は、選択部155により選択された行先案内情報が示すテキストを読み上げた音声を合成する。音声合成部156が行う音声合成の処理は既知であるため、その説明を省略する。
【0057】
照合部157は、カメラ14から送信されてきた画像情報から画像認識部154が認識した通行人の特徴と、カメラ133から送信されてきた画像情報から画像認識部154が認識した通行人の特徴とを照合する。
【0058】
続いて、サーバ装置15が行先案内情報の選択の処理に用いる各種テーブルを説明する。記憶部152には、行先案内情報の選択の処理に用いられるテーブルとして、場内通行人テーブル、装置前通行人テーブル、通知順序テーブル、通知履歴テーブルが記憶されている。
【0059】
場内通行人テーブルは、自動改札機11を通過した後、所定時間(例えば、15分間)が経過していない通行人の属性情報を格納するテーブルである。場内通行人テーブルに属性情報が格納されている通行人は、エリアPに入場した後、まだ列車に乗車していないと推定される通行人である。
【0060】
図5は、場内通行人テーブルの構成を示した図である。場内通行人テーブルは、通行人の各々に応じたレコードの集まりである。場内通行人テーブルは、フィールド「通行人ID」、「入場時刻」、「使用言語1」、「使用言語2」、「年齢」、「視覚障碍有無」、「特徴」を有する。
【0061】
フィールド「通行人ID」には、場内通行人テーブル内で通行人を識別する識別情報が格納される。フィールド「入場時刻」には、通行人が自動改札機11を通過した時刻を示す時刻情報が格納される。フィールド「使用言語1」、「使用言語2」、「年齢」、「視覚障碍有無」には、自動改札機11が通行人のICカードCから読み取った、それらのフィールド名に応じた属性情報が格納される。
【0062】
フィールド「特徴」には、通行人が自動改札機11を通過したタイミングでカメラ14が撮影した画像から画像認識部154が認識した通行人の特徴を示す特徴情報が格納される。
【0063】
場内通行人テーブルのレコードは、入場時刻から所定時間(例えば、15分間)が経過すると、情報更新部153により削除される。
【0064】
装置前通行人テーブルは、直近の所定時間(例えば、1分間)内に案内装置13のカメラ133が撮影した画像から画像認識部154が認識した通行人の通行人IDを格納するテーブルである。従って、記憶部152には、案内装置13-1と案内装置13-2の各々に応じた装置前通行人テーブルが記憶されている。装置前通行人テーブルに通行人IDが格納されている通行人は、案内装置13の正面に現在いると推定される通行人である。
【0065】
図6は、装置前通行人テーブルの構成を示した図である。装置前通行人テーブルは、フィールド「認識時刻」、「特徴」、「通行人ID」を有する。フィールド「認識時刻」には、画像認識部154が通行人を認識した時刻を示す時刻情報が格納される。フィールド「特徴」には、画像認識部154が認識した通行人の特徴を示す特徴情報が格納される。
【0066】
フィールド「特徴」に特徴情報が格納されると、照合部157によって、その特徴情報と場内通行人テーブル(図3)に格納されている特徴情報との照合が行われる。装置前通行人テーブルのフィールド「通行人ID」には、照合部157により場内通行人テーブルからマッチする特徴情報が発見された場合に、その特徴情報に対応する通行人IDが格納される。
【0067】
装置前通行人テーブルのレコードは、認識時刻から所定時間(例えば、1分間)が経過すると、情報更新部153により削除される。
【0068】
通知順序テーブルは、選択部155によって選択された、案内装置13により通知(表示又は発音)される行先案内の言語属性を、通知の順序で格納するテーブルである。記憶部152には、案内装置13-1と案内装置13-2の各々に関し、行先案内の表示のための通知順序テーブルと、行先案内の発音のための通知順序テーブルが記憶されている。
【0069】
図7は、通知順序テーブルの構成を示した図である。通知順序テーブルは、フィールド「順序」、「言語」、「年齢層」、「高齢者フラグ」を有する。フィールド「順序」には、通知の順序を示す順序情報が格納される。フィールド「言語」と「年齢層」には、行先案内の表現形態を識別する言語情報と年齢層情報が格納される。
【0070】
フィールド「高齢者フラグ」には、同じレコードに格納される言語情報と年齢層情報が示す言語属性の通行人に高齢者(例えば、65歳以上)が含まれるか否かを示す高齢者フラグが格納される。高齢者フラグが立っている場合(値がTrueの場合)、高齢者が含まれることを意味する。表示に関する通知順序テーブルに含まれるレコードの高齢者フラグが立っている場合、そのレコードの言語属性に応じた表現形態の行先案内は通常よりも長い時間(例えば、通常の2倍の時間)、表示される。また、発音に関する通知順序テーブルに含まれるレコードの高齢者フラグが立っている場合、そのレコードの言語属性に応じた表現形態の行先案内は通常よりもゆっくりと(例えば、通常の1.5倍の時間をかけて)発音される。
【0071】
表示のための通知順序テーブルにおいて、順序が「1」及び「2」のレコードが、現在、案内装置13により表示されている行先案内の言語属性に応じたレコードであり、順序が「3」以降のレコードが、将来、案内装置13により表示される予定の行先案内の言語属性に応じたレコードである。
【0072】
また、発音のための通知順序テーブルにおいて、順序が「1」のレコードが、現在、案内装置13により発音されている行先案内の言語属性に応じたレコードであり、順序が「2」以降のレコードが、将来、案内装置13により発音される予定の行先案内の言語属性に応じたレコードである。
【0073】
ある言語属性に応じた表現形態での行先案内の通知(表示又は発音)が完了すると、通知順序テーブルから、その言語属性に応じたレコードが情報更新部153によって削除される。
【0074】
通知履歴テーブルは、ごく最近に通知(表示又は発音)した行先案内の表現形態に応じた言語属性を、通知した順序で格納するテーブルである。記憶部152には、案内装置13-1と案内装置13-2の各々に関し、最近表示した行先案内に応じた言語属性を格納する通知順序テーブルと、最近発音した行先案内に応じた言語属性を格納する通知順序テーブルが記憶されている。
【0075】
図8は、通知履歴テーブルの構成を示した図である。通知履歴テーブルに含まれるレコードの数には上限(例えば、4つ)があり、新たなレコードが追加される際、上限を超える数のレコードが、古いものから順に削除される。
【0076】
通知履歴テーブルは、フィールド「順序」、「言語」、「年齢層」を有する。フィールド「順序」には、通知された順序を示す順序情報が格納される。フィールド「言語」と「年齢層」には、行先案内の表現形態を識別する言語情報と年齢層情報が格納される。例えば、順序が「1」のレコードは、現在行われている行先案内の通知(表示又は発音)の直前に行われた通知の表現形態に応じた言語属性を格納している。
【0077】
ある言語属性に応じた表現形態での行先案内の通知(表示又は発音)が完了すると、通知履歴テーブルは、情報更新部153によって、直近に通知された所定数(例えば、4つ)の行先案内の表現形態に応じた言語属性を格納するように更新される。
【0078】
以上が、サーバ装置15が行先案内情報の選択の処理に用いる各種テーブルの説明である。
【0079】
サーバ装置15から案内装置13に送信される表示指示に含まれる行先案内情報は、表示指示の送信時における、表示に関する通知順序テーブル(図7)の順序が「1」及び「2」のレコードの言語属性に応じた、案内テーブル(図3)のレコードのフィールド「テキスト」に格納されている情報である。
【0080】
また、サーバ装置15から案内装置13に送信される発音指示に含まれる音声情報は、発音指示の送信時における、発音に関する通知順序テーブル(図7)の順序が「1」のレコードの言語属性に応じた、案内テーブル(図3)のレコードのフィールド「テキスト」に格納されているテキストを読み上げた音声を表す情報である。
【0081】
通知順序テーブルは、既述のように、通知が完了した際に情報更新部153により更新される。すなわち、完了した通知に関するレコードは、通知順序テーブルから削除される。サーバ装置15の選択部155は、情報更新部153によって通知の完了時に行われる通知順序テーブルの更新とは別に、所定時間(例えば、1分間)の経過毎に、その時点における場内通行人テーブル(図5)に格納されている情報に基づき、通知順序テーブルを更新する。以下に、その更新の手順を説明する。
【0082】
所定時間(例えば、1分間)の経過毎に、選択部155は場内通行人テーブルから、フィールド「視覚障碍有無」に「無」が格納されているレコードを抽出して、抽出したレコードの集まりである作業用のテーブル(以下、「作業用場内通行人テーブル」という)を生成する。
【0083】
続いて、選択部155は、通知順序テーブル(図7)と同じフィールドを有する空の作業用のテーブル(以下、「作業用通知順序テーブル」という)を生成する。
【0084】
続いて、選択部155は、図9に示すフローに従う処理を行う。まず、作業用場内通行人テーブルのレコードの数を、それらのレコードが格納する言語属性(言語と年齢層の組み合わせ)毎にカウントする(ステップS101)。
【0085】
作業用場内通行人テーブルは、場内通行人テーブル(図5)と同様に、フィールド「使用言語1」、「使用言語2」を有する。これらの2つのフィールドの各々に言語情報が格納されているレコードに関しては、選択部155はそのレコードを、それら2つの使用言語の各々に応じた言語属性に応じたレコードとしてカウントする。
【0086】
例えば、作業用場内通行人テーブルに、使用言語1が「日本語」、使用言語2が「英語」、年齢が「23歳」であるレコードが含まれている場合、選択部155はこのレコードに関し、言語属性「日本語/中高年齢層」のレコードとしてカウントするとともに、言語属性「英語/中高年齢層」のレコードとしてもカウントする。
【0087】
続いて、選択部155は、作業用通知順序テーブルに、ステップS101においてカウントした数が最多の言語属性を格納するレコードを追加する(ステップS102)。例えば、ステップS101において、言語属性「日本語/中高年齢層」のレコードに関しカウントした数が最多であれば、選択部155は作業用通知順序テーブルに新たなレコードを追加し、フィールド「順序」に既存レコードの最大値に1を加えた数値を格納し、フィールド「言語」に「日本語」を格納し、フィールド「年齢層」に「中高年齢層」を格納する。
【0088】
続いて、選択部155は、作業用場内通行人テーブルに含まれる最多の言語属性のレコードに、高齢者に該当する年齢(例えば、65歳以上)を示す年齢情報を格納しているものが有るか否かを判定する(ステップS103)。作業用場内通行人テーブルに含まれる最多の言語属性のレコードに、高齢者に該当する年齢を示す年齢情報を格納しているものが有ると判定した場合(ステップS103;Yes)、選択部155はステップS102において作業用通知順序テーブルに追加したレコードのフィールド「高齢者フラグ」に「True」を格納する(ステップS104)。
【0089】
作業用場内通行人テーブルに含まれる、最多の言語属性のレコードに、高齢者に該当する年齢(例えば、65歳以上)を示す年齢情報を格納しているものが無いと判定した場合(ステップS103;No)、又は、ステップS104の処理を完了した場合、選択部155は、作業用場内通行人テーブルから、最多の言語属性のレコードを削除する(ステップS105)。
【0090】
例えば、作業用場内通行人テーブルに含まれるレコードの最多の言語属性が「日本語/中高年齢層」である場合、選択部155はステップS105において、作業用場内通行人テーブルから、フィールド「使用言語1」又は「使用言語2」に「日本語」が格納され、フィールド「年齢」に11歳以上の年齢を示す年齢情報が格納されているレコードを全て削除する。
【0091】
続いて、選択部155は作業用場内通行人テーブルに1以上のレコードが含まれるか否かを判定する(ステップS106)。作業用場内通行人テーブルに1以上のレコードが含まれる場合(ステップS106;Yes)、選択部155はステップS105において一部のレコードを削除した後の作業用場内通行人テーブルを用いて、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0092】
作業用場内通行人テーブルに1つもレコードが含まれていない場合(ステップS106;No)、選択部155は、作業用通知順序テーブルを用いて、案内装置13-1及び案内装置13-2の各々に関し、表示のための通知順序テーブルを更新するための処理(以下のステップS107~S109)を行う。
【0093】
選択部155は、まず、作業用通知順序テーブルのいずれかのレコードが示し、通知順序テーブルのいずれのレコードも示さない言語属性があれば、それらの言語属性を示すレコードを通知順序テーブルの末尾に追加する(ステップS107)。なお、通知順序テーブルに追加されるレコードの順序は、作業用場内通行人テーブルにおける対応するレコードの順序に従う。
【0094】
続いて、選択部155は、通知順序テーブルのいずれかのレコード(現在、通知が行われている言語属性に応じたレコードを除く)が示し、作業用通知順序テーブルのいずれのレコードも示さない言語属性があれば、それらの言語属性を示すレコードを通知順序テーブルから削除する(ステップS108)。
【0095】
続いて、選択部155は、通知順序テーブルのレコードのフィールド「高齢者フラグ」に格納されている情報を、作業用通知順序テーブルの同じ言語属性を示すレコードのフィールド「高齢者フラグ」に格納されている情報で更新する(ステップS109)。
【0096】
図9のフローに従う処理により、エリアP内に現在いると推定される通行人の属性に応じて、通知順序テーブルが更新されることになる。
【0097】
上述した処理は、表示に関する通知順序テーブルを更新する処理である。選択部155は、同様の処理を、発音に関する通知順序テーブルに関しても行う。すなわち、選択部155は、上述した処理と並行して、所定時間(例えば、1分間)の経過毎に、場内通行人テーブルから、フィールド「視覚障碍有無」に「有」が格納されているレコードを抽出して、抽出したレコードの集まりである作業用のテーブル(作業用場内通行人テーブル)を生成する。
【0098】
続いて、選択部155は、通知順序テーブル(図7)と同じフィールドを有する空の作業用のテーブル(作業用通知順序テーブル)を生成する。
【0099】
続いて、選択部155は、上記のように生成した作業用場内通行人テーブル及び作業用通知順序テーブルを用いて、図9に示すフローに従う処理を行う。これにより、発音に関する通知順序テーブルもまた、エリアP内に現在いると推定される通行人の属性に応じて更新されることになる。
【0100】
本実施形態において、選択部155は、上記のように所定時間(例えば、1分間)の経過毎に更新する通知順序テーブルに含まれるレコードの順序を、装置前通行人テーブル(図6)に格納される情報に基づき調整する。この調整の処理は、案内装置13の正面にいる通行人の言語属性に応じた表現形態の通知の順序を上げる処理である。従って、この調整の処理は、案内装置13-1及び案内装置13-2の各々に関し行われる。以下に、その調整の手順を説明する。
【0101】
所定時間(例えば、15秒間)の経過毎に、選択部155は場内通行人テーブル(図5)から、フィールド「視覚障碍有無」に「無」が格納されているレコードを抽出して、抽出したレコードの集まりである作業用のテーブル(作業用場内通行人テーブル)を生成する。
【0102】
続いて、選択部155は、作業用場内通行人テーブルのレコードのうち、装置前通行人テーブルのいずれかのレコードに格納されている通行人IDを格納するレコードを残し、他のレコードを削除する。
【0103】
続いて、選択部155は、通知順序テーブル(図7)と同じフィールドを有する空の作業用のテーブル(作業用通知順序テーブル)を生成する。
【0104】
続いて、選択部155は、上記のように生成した作業用場内通行人テーブルと作業用通知順序テーブルを用いて、図10に示すフローに従う処理を行う。
【0105】
図10のステップS201~S206は、作業用場内通行人テーブルに含まれるレコードが異なる点を除いて、図9のステップS101~S106と同様の処理である。従って、ステップS201~S206の説明は省略する。
【0106】
続いて、選択部155は、作業用通知順序テーブルから、通知履歴テーブル(図8)のいずれかのレコードと同じ言語属性を格納しているレコードを削除する(ステップS207)。この処理は、ごく最近に行われた表現形態の通知の順序が上げられると、同じ表現形態の通知が繰り返されてしまう、という不都合を回避するための処理である。
【0107】
続いて、選択部155は、通知順序テーブルから、作業用通知順序テーブルのレコードと同じ言語属性を格納しているレコード(現在、通知が行われている言語属性に応じたレコードを除く)を検索し、検索したレコードの順序を、現在、通知が行われている言語属性に応じたレコードに続く順序となるように変更する(ステップS208)。
【0108】
表示に関する通知順序テーブルにおいては、順序「1」及び「2」のレコードが、現在、通知が行われている言語属性に応じたレコードである。従って、選択部155はステップS208において、例えば3つのレコードを通知順序テーブルから検索した場合、それらの3つのレコードの順序を「3」、「4」、「5」に変更し、他のレコードの順序を適宜繰り下げる。
【0109】
図10のフローに従う処理により、案内装置13の正面に現在いると推定される通行人の属性に応じて、通知順序テーブルのレコードの順序が調整されることになる。
【0110】
上述した処理は、表示に関する通知順序テーブルを調整する処理である。選択部155は、同様の処理を、発音に関する通知順序テーブルに関しても行う。すなわち、選択部155は、上述した処理と並行して、所定時間(例えば、15秒間)の経過毎に、場内通行人テーブルから、フィールド「視覚障碍有無」に「有」が格納されているレコードを抽出して、抽出したレコードの集まりである作業用のテーブル(作業用場内通行人テーブル)を生成する。
【0111】
続いて、選択部155は、作業用場内通行人テーブルのレコードのうち、装置前通行人テーブルのいずれかのレコードに格納されている通行人IDを格納するレコードを残し、他のレコードを削除する。
【0112】
続いて、選択部155は、通知順序テーブル(図7)と同じフィールドを有する空の作業用のテーブル(作業用通知順序テーブル)を生成する。
【0113】
続いて、選択部155は、上記のように生成した作業用場内通行人テーブル及び作業用通知順序テーブルを用いて、図10に示すフローに従う処理を行う。これにより、発音に関する通知順序テーブルもまた、案内装置13の正面に現在いると推定される通行人の属性に応じて更新されることになる。
【0114】
上述した情報表示システム1によれば、エリアPにいる通行人の属性に応じた態様で行先案内が通知(表示又は発音)される。また、情報表示システム1によれば、案内装置13の正面にいる通行人の属性に応じた態様での行先案内の通知(表示又は発音)が優先的に行われる。従って、少数派の属性の通行人(例えば、マイナーな言語しか理解できない通行人)に対しても、理解される行先案内が行われる。
【0115】
[変形例]
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0116】
(1)案内装置13が通行人に通知する情報は行先案内に限られない。例えば、通行人が自動改札機11を通過する際に、ICカードCに代えて磁気券を用い、その磁気券に目的地の駅名(交通機関により入場者が移動する区間を示す情報の一例)が記録されている場合、案内装置13がディスプレイ131により、案内装置13が設置されている駅から目的地の駅までの区間に応じた内容の情報(ショップガイド、イベントガイド等)を表示するように構成されてもよい。
【0117】
(2)情報表示システム1が取得する通行人の属性情報の出所はICカードCに限られない。上述したように、ICカードCに代えて磁気券が用いられてもよい。また、通行人がスマートフォン等の端末装置を携帯する場合、情報表示システム1が端末装置から送信される通行人の属性情報を受信し、受信した情報から通行人の属性を特定するように構成されてもよい。その場合、自動改札機11、案内装置13、サーバ装置15のいずれかが端末装置から属性情報を受信してもよいし、これらの装置のいずれでもない装置が端末装置から属性情報を受信し、受信した属性情報をサーバ装置15に送信してもよい。
【0118】
(3)情報表示システム1が、ICカードCから通行人の属性情報を取得することに代えて、もしくはそれに加えて、カメラ(例えば、カメラ14又はカメラ133)により撮影した画像から通行人の属性を特定するように構成されてもよい。例えば、画像認識部154が認識した通行人の顔の特徴から、その通行人の年齢層を特定するように構成されてもよい。また、通行人が、自分の使用言語に応じた国旗等のマークの付されたキーホルダーを見える位置に取り付けていれば、画像認識部154がそのマークを認識し、通行人の使用言語を特定するように構成されてもよい。また、画像認識部154が認識した画像から通行人が白杖を用いていることが分かった場合、その通行人が視覚障碍を持っている、と判定するように構成されてもよい。
【0119】
(4)案内装置13が通行人の属性情報に応じて変化させる通知の態様は、実施形態において例示したものに限られない。例えば、上述した実施形態において、通行人に高齢者が含まれる場合、案内装置13は行先案内の表示する時間を通常より長くする。これに代えて、もしくは加えて、通行人に高齢者が含まれる場合、通常より大きな文字で行先案内が表示されるように構成されてもよい。
【0120】
(5)案内装置13により通行人に通知が行われる空間は、改札内のエリアPのように入退場が制限される空間に限られない。通行人が自由に往来できる道路等において通行人に対し情報を通知するために情報表示システム1が用いられてもよい。
【0121】
(6)上述の実施形態の説明において用いた具体的な数値(例えば、所定時間の大きさ、案内装置13の数等)、処理の順序、テーブルの構成等は例示であって、様々に変更されてよい。
【0122】
(7)エリアP内に誰もいない場合、通知順序テーブルは空となる。その場合、案内装置13が何ら通知を行わないように構成されてもよいし、例えば「日本語/中高年齢者」等の既定の言語属性に応じた態様で案内装置13が通知を行うように構成されてもよい。
【0123】
(8)情報表示システム1が個々の通行人の位置を特定し、異なる位置に配置された複数の案内装置13のうち個々の通行人に応じた案内装置13(例えば、通行人からディスプレイ131が見える位置に配置された案内装置13)により、その通行人に関し特定した属性に応じた表示態様で情報が表示されるように構成されてもよい。
【0124】
情報表示システム1が個々の通行人の位置を特定する方法としては、例えば、上述した実施形態において採用されているように、カメラで撮影した画像から通行人を認識する方法、通行人が携帯する端末装置(GNSS等の測位装置を備えるもの)から送信される位置情報を受信し用いる方法等が挙げられるが、これらに限られない。
【0125】
(9)上述の実施形態においては、エリアPに入場した後の経過時間に基づき、エリアP内に入場した通行人がエリアP内から立ち去ったか否かの推定が行われる。エリアP内に入場した通行人がエリアP内から立ち去ったか否かの推定又は判定の方法はこれに限られない。
【0126】
例えば、エリアPから発車する列車の行き先が常に同じ場合、通行人がエリアPに入場した後、乗車口に移動するまでに通常要する時間をTとすれば、入場時刻から最後の列車の発車時刻までの時間がTを超える通行人は列車に乗車してエリアPから既に立ち去っている、と推定される。従って、サーバ装置15が上位のシステムから列車の発車時刻を示すデータを受信し、入場時刻から最後の列車の発車時刻までの時間がTを超える通行人のレコードを場内通行人テーブル(図5)から削除してもよい。
【0127】
また、通行人が自動改札機11を通過する際に磁気券を用い、その磁気券に目的地の駅名が記録されている場合、サーバ装置15が、入場時刻から、目的地に向かう最後の列車の発車時刻までの時間がTを超える通行人のレコードを、場内通行人テーブル(図5)から削除してもよい。
【0128】
また、情報表示システム1が、列車に乗車する通行人や自動改札機12を通過してエリアPから退場する通行人を撮影するカメラを備え、サーバ装置15が、それらのカメラで撮影した画像から認識した通行人のレコードを、場内通行人テーブル(図5)から削除してもよい。
【0129】
また、例えばサーバ装置15が、通行人が携帯する端末装置から継続的に位置情報を受信し、受信した位置情報が示す位置がエリアP内でない通行人のレコードを、場内通行人テーブル(図5)から削除してもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…情報表示システム、11…自動改札機、12…自動改札機、13・13-1・13-2…案内装置、14…カメラ、15…サーバ装置、131…ディスプレイ、132…スピーカ、133…カメラ、151…通信部、152…記憶部、153…情報更新部、154…画像認識部、155…選択部、156…音声合成部、157…照合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10