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特許7426790情報処理方法、情報処理システム、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240126BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019151449
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021033532
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518436733
【氏名又は名称】大野 邦久
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 邦久
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049438(JP,A)
【文献】特開2003-141260(JP,A)
【文献】国際公開第2006/098298(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/194447(WO,A1)
【文献】特開2010-273756(JP,A)
【文献】頭痛ーる,株式会社ポッケ,2019年03月30日,[検索日 2023.09.28], インターネット:<URL: https://web.archive.org/web/20190330072900/https://zutool.jp>
【文献】頭痛ーるについて,株式会社ポッケ,2019年03月31日,[検索日 2023.09.28], インターネット:<URL: https://web.archive.org/web/20190331135120/https://zutool.jp/about>
【文献】美崎 栄一郎,iPhone・iPadバカのあなたのiPhoneちょっと見せて! となりのアプリ,Mac Fan,日本,株式会社マイナビ出版,2018年04月01日,第26巻, 第4号,p.150-151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの痛みに応じた操作を受け付ける物理ボタンと、センサとを備える可搬型装置から、前記ユーザの痛みに応じた前記物理ボタンに対する操作に関する操作情報であって、前記センサを用いて検出された操作回数、操作量、操作速度又は操作時間を示す操作信号を含む操作情報時系列的に取得し、
取得した前記操作情報における操作回数、操作量、操作速度又は操作時間の時系列変化に応じてエレメントの数、エレメントの大きさ、エレメントの色、エレメントの形状及び音の2つ以上を変動させた前記ユーザの痛みの状態を表す情報を、表示装置を介して前記ユーザに表示し、
前記操作情報に基づいて、前記ユーザの痛みに応じた前記物理ボタンの操作回数、操作量、操作の強弱又は操作時間に応じたポイントを導出し、
導出した前記ポイントを前記ユーザに発行する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
ユーザの痛みに応じた可搬型装置の操作に関する操作情報を入力した場合に前記痛みの程度を出力するよう学習アルゴリズムにより学習済みの学習済みモデルに、取得した前記操作情報を入力し、
前記学習済みモデルから出力される前記痛みの程度を取得する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
複数のユーザから、前記操作情報に基づく前記痛みに関する情報を取得し、
取得した各痛みに関する情報を記憶し、
各痛みに関する情報に基づく、痛みの共有情報を出力する
請求項1又は請求項に記載の情報処理方法。
【請求項4】
複数のユーザから、位置情報をさらに取得し、
取得した各ユーザの前記位置情報と前記痛みに関する情報とを対応付けて、前記表示装置を介して地図上に視認可能に表示させる
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記操作情報に基づく前記痛みに関する情報を、医療関係者の情報処理装置へ出力する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
ユーザの痛みに応じた操作を受け付ける物理ボタンと、センサとを備える可搬型装置と、制御部と、表示装置とを備え、
前記表示装置は、前記可搬型装置から時系列的に取得され前記ユーザの痛みに応じた前記物理ボタンに対する操作に関する操作情報であって、前記センサを用いて検出された操作回数、操作量、操作速度又は操作時間を示す操作信号を含む操作情報における操作回数、操作量、操作速度又は操作時間の時系列変化に応じてエレメントの数、エレメントの大きさ、エレメントの色、エレメントの形状及び音の2つ以上を変動させた前記ユーザの痛みの状態を表す情報と、前記操作情報に基づいて、前記ユーザの痛みに応じた前記物理ボタンの操作回数、操作量、操作の強弱又は操作時間に応じて前記制御部により前記ユーザに発行されるポイントとを表示す
報処理システム。
【請求項7】
ユーザの痛みに応じた操作を受け付ける物理ボタンと、センサとを備える可搬型装置から、前記ユーザの痛みに応じた前記物理ボタンに対する操作に関する操作情報であって、前記センサを用いて検出された操作回数、操作量、操作速度又は操作時間を示す操作信号を含む操作情報時系列的に取得し、
取得した前記操作情報における操作回数、操作量、操作速度又は操作時間の時系列変化に応じてエレメントの数、エレメントの大きさ、エレメントの色、エレメントの形状及び音の2つ以上を変動させた前記ユーザの痛みの状態を表す情報と、前記操作情報から得られる操作回数、操作量、操作の強弱又は操作時間に基づき前記ユーザに発行されるポイントとを表示する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
複数のユーザの痛みに関する情報に基づき導出される痛みの共有情報を取得し、
取得した痛みの共有情報を表示する
処理をコンピュータに実行させるための請求項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
ユーザの痛みに応じた操作を受け付ける物理ボタンと、センサとを備える可搬型装置から、前記ユーザの痛みに応じた前記物理ボタンに対する操作に関する操作情報であって、前記センサを用いて検出された操作回数、操作量、操作速度又は操作時間を示す操作信号を含む操作情報時系列的に取得し、
取得した前記操作情報における操作回数、操作量、操作速度又は操作時間の時系列変化に応じてエレメントの数、エレメントの大きさ、エレメントの色、エレメントの形状及び音の2つ以上を変動させた前記ユーザの痛みの状態を表す情報を、表示装置を介して前記ユーザに表示し、
複数のユーザから、前記操作情報に基づく前記痛みに関する情報及び位置情報を取得し、
取得した各ユーザにおける前記痛みに関する情報及び位置情報に基づいて、各ユーザの位置情報に対応する地図上の位置に、各ユーザの前記痛みに関する情報を表示し、
各ユーザのうち前記可搬型装置を操作中であるユーザを認識可能に表示する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理方法、情報処理システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において、患者の治療に対する痛みへの不安感や抵抗感を緩和するために、医療関係者により様々な工夫がなされている。例えば、「心の準備」として、医療関係者から患者である子供に対して事前に治療内容の説明及び治療の重要性を分かり易く伝え、安心して治療に臨める状態に導くプレパレーションは、治療に対する不安感や抵抗感を緩和するための方法の一種である。特許文献1には、プレパレーションに有効な種々のコンテンツ及び疑似体験を提供しつつ効率的な治療等を可能とする医療用VRプレパレーションツールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-189591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の手法では、十分に患者の痛みに関する情報を活用することができないという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、簡単な方法で、痛みに関する情報を活用する情報処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における情報処理方法は、ユーザの痛みに応じた操作を受け付ける可搬型装置から、前記ユーザの痛みに応じた操作に関する操作情報を取得し、取得した前記操作情報に応じた前記ユーザの痛みの状態を表す情報を、表示装置を介して前記ユーザに表示する処理を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡単な方法で、痛みに関する情報を活用することを実現する情報処理方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1における情報処理システムの概要を示す図である。
図2】情報処理システムに含まれる可搬型装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】情報処理システムに含まれる端末装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】情報処理システムに含まれる情報処理装置の内部構成を示すブロック図である。
図5】痛み情報DBに記憶される情報の内容例を示す図である。
図6】ポイントDBに記憶される情報の内容例を示す図である。
図7】情報処理システムで実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】端末装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図9】端末装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図10】端末装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図11】端末装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図12】実施形態2における情報処理システムの概要を示す図である。
図13】情報処理システムに含まれる情報処理装置の内部構成を示すブロック図である。
図14】学習済みモデルの生成処理に関する説明図である。
図15】情報処理システムで実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16】実施形態3における情報処理システムで実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
図17】端末装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における情報処理システム100の概要を示す図である。情報処理システム100は、可搬型装置1、端末装置2、及び情報処理装置3を含む。
【0011】
端末装置2及び情報処理装置3はそれぞれ、所謂インターネット等のネットワークNを介して通信接続し、情報を送受信することが可能である。また、端末装置2は、可搬型装置1との間で有線又は無線により通信接続し、情報を送受信することが可能である。
【0012】
可搬型装置1は、痛みを抱えるユーザの操作を受け付ける操作ボタン15及びセンサ16を備える矩形の筐体である。操作ボタン15は、例えば、可搬型装置1の一部に押下可能に配設される。なお操作ボタン15は、引上可能に配設されていてもよい。センサ16は、操作ボタン15の押下圧力の変化を検知可能なセンサであり、例えば圧力センサを用いる。
【0013】
なお、本実施形態では、可搬型装置1は操作部(操作ボタン15)を備え、ユーザの操作ボタン15の押下操作を受け付ける構成である例を説明したが、可搬型装置1の形状及び構成は限定されるものではない。可搬型装置1は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作の情報を取得可能であればよい。例えば、可搬型装置1は円柱形状を有し、振動の大きさ又は周波数等を検出する振動センサ、加速度センサ等のセンサを備え、ユーザのシェイク操作の操作量の変化を取得してもよい。可搬型装置1は、圧力センサを内蔵した人形等を用いて、ユーザが人形を握る力の変化を取得してもよい。可搬型装置1は、腕輪型、又は指輪型等のウエアラブルデバイスであってもよい。なお、可搬型装置1に備えられるセンサの種類は一つに限定されない。可搬型装置1は、複数のセンサを備え、ユーザが可搬型装置1を操作する操作回数、操作時間、操作の強弱、操作速度、操作角度等を取得してよい。
【0014】
端末装置2は、表示部24(表示装置)を備え、様々の情報処理、情報の送受信が可能な汎用の情報処理装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末等である。ユーザは端末装置2を用いて情報処理装置3との間で情報を送受信し、情報処理装置3から提供される情報を表示部24を介して得ることができる。
【0015】
情報処理装置3は様々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。情報処理装置3は複数台設けられてもよいし、1台の情報処理装置内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよいし、クラウドサーバを用いて実現されてもよい。
【0016】
情報処理システム100は、例えば医療機関内において、ユーザの検査時、手術時、注射等の処置時、又は入院時等に使用される。ユーザは、痛みを感じた場合に、痛みの度合いに応じて可搬型装置1の操作ボタン15を押下操作する。ユーザは、強い痛みを感じる場合には可搬型装置1を強い力で操作する。また痛みの持続時間に応じて、可搬型装置1の操作時間が変化する。センサ16は、これらの操作ボタン15の操作信号を検出する。センサ16の検出結果を含む操作情報は端末装置2を経由して情報処理装置3へネットワークNを介して送信される。情報処理装置3における処理の結果出力される痛みに関する情報は、端末装置2に表示される。ユーザは自身の痛みに関する情報を可視化して得ることができる。
【0017】
図2は、情報処理システム100に含まれる可搬型装置1の内部構成を示すブロック図である。可搬型装置1は、制御部10、記憶部11、通信部12、及び入出力部13を備える。
【0018】
制御部10は、一又は複数のプロセッサを含むマイクロコンピュータを用いて、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用いて各構成部を制御して処理を実行する。
【0019】
記憶部11は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部11は、制御部10が参照する情報を記憶する。
【0020】
通信部12は、例えばBluetooth(登録商標)、Low Energy 等の近距離無線通信用のアンテナを含む無線通信モジュールであり、制御部10から出力される情報を端末装置2へ送信する。通信部12は、ネットワークNを介して、又は所定の移動通信規格によって情報の送受信を実現してもよい。
【0021】
入出力部13は、センサ16に接続される。入出力部13は、A/D変換機能を含んでセンサ16から得られる信号から測定値を読み取って制御部10へ出力してもよい。制御部10は、入出力部13を介してセンサ16から得られる信号を取得する。
【0022】
図3は、情報処理システム100に含まれる端末装置2の内部構成を示すブロック図である。端末装置2は上述したように、スマートフォン等の通信機能を有するコンピュータを用いる。端末装置2は、制御部20、記憶部21、第1通信部22、第2通信部23、表示部24、操作部25、位置情報取得部26、音声入力部27、及び音声出力部28を備える。
【0023】
制御部20は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用いて各構成部を制御して処理を実行する。制御部20は、プロセッサ、メモリ、記憶部21、第1通信部22、及び第2通信部23を集積した1つのハードウェア(SoC)として構成されていてもよい。制御部20は、記憶部21に記憶されているプログラム2Pに基づく情報処理を実行する。
【0024】
記憶部21は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部21は、プログラム2Pを記憶しているほか、制御部20が参照する他のプログラム及びデータを記憶する。例えば、プログラム2Pは痛みに関する情報の登録、参照のためのアプリプログラムである。プログラム2Pは、制御部20が第1通信部22を介してネットワークN経由で外部装置からダウンロードして記憶部21に記憶したものであってもよい。
【0025】
第1通信部22は、ネットワークNを介して、又は所定の移動通信規格によって情報処理装置3との間の情報の送受信を実現する無線通信モジュールである。第1通信部22は、ネットワークカードを用いて有線によりネットワークNを介した通信を行なってもよい。
【0026】
第2通信部23は、例えばBluetooth、Low Energy 等の近距離無線通信用のアンテナを含む無線通信モジュールにより、可搬型装置1との間の通信を実現する。
【0027】
表示部24は、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部25は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス等を用いる。操作部25は、音声入力部27及び音声出力部28を介して操作を受け付けてもよい。
【0028】
位置情報取得部26は、例えばGPS(Global Positioning System)に基づく信号を受信するアンテナを含んで端末装置2の位置を測定する。位置情報取得部26は、ネットワークNに含まれる複数のアクセスポイント、基地局との通信により位置を特定してもよい。位置情報取得部26は、測定した位置を示す位置情報(例えば緯度経度)を制御部20へ出力する。
【0029】
音声入力部27は、マイクロフォン等を用いて、ユーザの音声情報の入力を受け付ける。音声出力部28は、スピーカ等を用いて、制御部20の制御により音声を出力する。
【0030】
図4は、情報処理システム100に含まれる情報処理装置3の内部構成を示すブロック図である。情報処理装置3は上述したように、サーバコンピュータを用いる。情報処理装置3は、制御部30、記憶部31、及び通信部32を備える。
【0031】
制御部30は、一又は複数のCPU、GPU等を用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用いて各構成部を制御して処理を実行する。制御部30は、記憶部31に記憶されているプログラム3Pに基づく情報処理を実行する。
【0032】
通信部32は、通信に関する処理を行うための通信モジュールである。制御部30は通信部32により、ネットワークNを介した通信が可能である。
【0033】
記憶部31は、ハードディスク等の大容量記憶装置を用いる。記憶部31は、プログラム3Pを記憶するほか、制御部30が参照する他のプログラム及びデータを記憶する。プログラム3Pは、制御部30が通信部32を介してネットワークN経由で外部装置からダウンロードして記憶部31に記憶したものであってもよい。プログラム3Pは、制御部30が図示しない読み取り部を介して可搬型記憶媒体3aから読み取って記憶部31に記憶したものであってもよい。プログラム3Pは、制御部30が半導体メモリ3bから読み出したものであってもよい。記憶部31は、痛み情報DB(Data Base :データベース)311及びポイントDB312を記憶する。痛み情報DB311及びポイントDB312は、情報処理装置3に接続された外部の大容量記憶装置に記憶されていてもよい。
【0034】
図5は、痛み情報DB311に記憶される情報の内容例を示す図である。制御部30は、端末装置2から取得したユーザの可搬型装置1の操作信号を痛み情報DB311に記憶する。痛み情報DB311は、痛み情報を識別する痛み情報IDに対応付けて、日時、ユーザID、位置情報、操作信号、痛みの程度等を記憶する。日時は、痛み情報が取得された開始日時及び終了日時である。ユーザIDは、可搬型装置1の操作者であるユーザを識別する情報である。位置情報は、痛み情報が出力された位置を示す情報である。操作信号は、可搬型装置1のセンサ16の出力情報である。操作信号は例えば、操作ボタン15の押下げ操作の圧力変化、及び操作時間を示す時系列の電気信号を含んでよい。痛みの程度は、ユーザの痛みの程度を表す情報であり、例えば「強い」「中程度」「弱い」の3段階で示される。痛みの程度は、例えば1から10の数値で示されてもよい。
【0035】
図6は、ポイントDB312に記憶される情報の内容例を示す図である。ポイントDB312は、ユーザIDに対応付けて、ポイントの取得日時、操作ポイント、及び共有ポイント等を記憶する。操作ポイントとは、ユーザの可搬型装置1の操作内容に応じて発行されるポイントである。制御部10は、操作信号から得られる操作回数、操作の強弱、操作時間の長短等の操作量を検出し、検出した操作量に基づき操作ポイントを導出する。操作ポイントは、過去の操作情報の取得履歴、取得頻度等に基づき加算されてもよい。共有ポイントは、他のユーザの操作に基づき発行されるポイントである。共有ポイントについては、他の実施形態にて詳述する。制御部10は、導出した各ポイントを、ポイントDB312に記憶する。
【0036】
図7は、情報処理システム100で実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。ユーザは、可搬型装置1を起動させる。以下の処理は、端末装置2の記憶部21に記憶してあるプログラム2Pに従って制御部20によって実行されると共に、情報処理装置3の記憶部31に記憶してあるプログラム3Pに従って制御部30によって実行される。
【0037】
なお、ユーザが初めて情報処理システム100におけるサービスを用いる際には、情報処理装置3にて提供される登録用の画面上において、ユーザが端末装置2で登録操作をすることにより、ユーザ情報が収集されるとよい。初期登録時に収集されるユーザ情報は、ユーザを識別するユーザID及び属性情報を含む。属性情報は、ユーザの年齢帯、性別等を含んでよい。ユーザ情報は、初期登録時に収集されるものに限られず、例えば病歴、服薬等の内容を含み定期的に収集されてよい。制御部30は、端末装置2を介して取得したこれらの情報を、記憶部31のユーザ情報データベース(図示せず)に記憶する。
【0038】
端末装置2の制御部20は、例えば操作部25を介してプログラム2Pの実行指示を受け付け、アプリを起動させ(ステップS103)、可搬型装置1との通信接続を確立する。なおプログラム2Pは、可搬型装置1の電源ボタン(図示せず)のオン操作、又はセンサ16の測定開始等を検出すると通信接続を確立してもよい。
【0039】
ユーザは、痛みに応じて可搬型装置1を操作する。強い痛みを感じた場合には、強い力が可搬型装置1に加えられる。また痛みを感じる時間が長い場合には、長時間に亘って操作が行われる。可搬型装置1は、センサ16から出力される操作回数、操作量、操作速度、操作時間等を示す操作信号を取得し、端末装置2へ送信する。
【0040】
制御部20は、第2通信部23により、可搬型装置1からセンサ16の操作信号を取得する(ステップS105)。制御部20は、取得したセンサ16の操作信号を含む操作情報を情報処理装置3に送信する(ステップS107)。操作情報には、操作信号に加え、ユーザ情報、日時等が含まれてよい。
【0041】
情報処理装置3の制御部30は、操作情報を取得し(ステップS201)、痛み情報DB311に記憶する(ステップS202)。制御部30は、操作情報に基づきユーザの痛みの程度を導出する(ステップS203)。痛みの程度は、例えば痛みが「強い」「中程度」「弱い」の3段階に分けられる。例えば制御部30は、単位時間あたりの操作回数、操作量、操作速度、操作時間等を示す操作信号を取得し、予め設定される閾値に基づき、痛みの程度が「強い」「中程度」「弱い」のいずれの段階であるかを判定する。制御部30は、操作情報及び痛みの程度に基づき、痛みの状態を表す情報を導出する(ステップS205)。痛みの状態を表す情報とは、ユーザによる操作ボタン15の操作の強弱、操作時間の長短等の操作度合いを識別可能に示す情報である。制御部30は、操作信号に応じた表示パターン及びエレメントの表示内容を記憶するデータベース(図示せず)を参照して、操作情報に応じた痛みの状態を表す表示画面情報を作成する。表示画面情報には、ユーザの操作ボタン15の操作度合いに応じて変化する絵、色、及び音等が含まれる。制御部30は、導出した痛みの状態を表す情報を端末装置2へ出力する(ステップS207)。
【0042】
端末装置2の制御部20は、痛みの状態を表す情報を取得し(ステップS109)、表示部24を介して表示する(ステップS111)。なお、端末装置2側で痛みの状態を表す情報を生成して、表示するようにしても良い。この場合、制御部20は、痛みの複数の程度に応じて単位時間あたりの操作回数の閾値を記憶したテーブル(図示せず)を参照し、センサ16から取得した単位時間あたりの操作回数に対応する痛みの程度を特定する。なお、上述したテーブルは痛みの複数の程度に応じて、操作量(ボタンの押し込み量)の閾値、操作速度の閾値、操作時間(操作を開始してボタンを押し込み、ボタンを離すまでの時間)の閾値、または、これらの組み合わせの閾値を記憶したテーブルを参照するようにしても良い。制御部20は、痛みの程度に応じて、動画及び音楽を記憶したテーブル(図示せず)を参照し、特定した痛みの程度に応じた動画を表示部24に表示するとともに、音声出力部28から痛みの程度に応じた音楽を再生する。さらに、制御部20は操作情報に応じて動画または音楽を変化させる。制御部20は、ボタンの操作に応じて動画の再生速度を変化させる、色を変化させる、特定のキャラクタ・画像を出現させる等の画像処理を行った上で、画像処理後の画像を表示部24に表示する。また制御部20は、ボタンの操作に応じて音楽の再生速度を変化させる、トーンを変化させる、特定の効果音を重畳させる等の音声処理を行った上で、音声処理後の音声を音声出力部28から出力する。
【0043】
制御部20は、可搬型装置1のセンサ16による測定が終了したか否かを判断する(ステップS113)。可搬型装置1から終了の通知を受けておらず測定が終了したと判断されない場合(S113:NO)、制御部20は処理をステップS105へ戻し、測定値の取得を継続する。可搬型装置1から終了の通知を受け、又は所定時間が経過し測定が終了したと判断された場合(S113:YES)、制御部20は、可搬型装置1との通信を切断し、情報処理装置3へ終了を通知する(ステップS115)。
【0044】
情報処理装置3の制御部30は、センサ16による測定が終了したか否かを判断する(ステップS209)。端末装置2から終了の通知を受けておらず終了したと判断されない場合(S209:NO)、制御部30は処理をステップS201へ戻し、操作情報の取得を継続する。
【0045】
端末装置2から終了の通知を受けて終了したと判断された場合(S209:YES)、制御部30は、操作情報に応じた操作ポイントを導出する(ステップS211)。制御部10は、操作情報に含まれる操作信号から操作量を検出し、検出した操作量に基づき操作ポイントを発行し、ポイントDB312に記憶する。操作量は、例えば操作ボタン15の操作回数、押下げ量、押下げ強さ(押下げ速度)、操作時間等である。例えば、押し下げ量が所定の押し下げ量以上、または所定の押し下げ量の範囲内に属した場合に、制御部20は操作ポイントを付与する。また制御部20は、押し下げ速度が、所定の押し下げ速度の範囲に属した場合に、操作ポイントを付与する。その他、制御部20は操作時間が、所定の操作時間範囲に属した場合に、操作ポイントを付与する。制御部10は、操作情報の取得履歴を参照して、操作情報の取得頻度に基づき操作ポイントを加算してもよい。制御部10は、導出した操作ポイントを端末装置2へ送信する(ステップS213)。
【0046】
端末装置2の制御部20は、操作ポイントを取得する(ステップS117)。制御部20は、操作ポイントを表示部24を介して表示し、一連の処理を終了する。
【0047】
上記の処理においては、情報処理装置3の制御部30によって実行される処理の一部を、端末装置2の制御部20が行う構成であってよい。
【0048】
図8から図11は、端末装置2の表示部24に表示される画面の一例を示す図である。表示画面は、痛みの程度に応じて異なる、複数の表示パターンにより表示される。制御部30は、痛みの程度の判定結果に応じた表示パターンをデータベースから読み出し、表示画面情報を作成する。ユーザの痛みの様子が「強い」と判定された場合には、例えばリラックス効果の高い表示画面が表示される。なお、表示パターンは制御部30が決定するものに限定されず、ユーザの選択に応じて設定又は変更される構成であってもよい。
【0049】
制御部20は、決定した表示パターンに基づく操作情報に応じた痛みの状態を表す表示画面情報を取得し、表示部24に表示する。表示画面に表示される内容は、ユーザの操作ボタン15の操作に基づく操作信号の変化に対応して変化する。制御部30は、操作ボタン15の操作回数、操作時間、操作速度、及び操作の強弱等に関する操作信号を取得した場合、操作信号に応じた表示パターン及びエレメントの表示内容を記憶するデータベース(図示せず)を参照し、操作信号に応じたエレメントを含む痛みの状態を表す表示画面情報を作成する。
【0050】
図8の例では、表示画面には、痛みの状態を表す円で示されるエレメントが複数表示されている。各エレメントは、様々な大きさ、色を有する。例えば、エレメントは、操作ボタン15の操作回数に応じた数を含み、さらに操作の強さに応じて大小に異なる大きさで示される。ユーザが痛みを感じて操作ボタン15を押すと、表示画面には、新たなエレメントが発生する様に表示される。制御部10は、表示画面情報を表示する場合において、音声を出力してもよい。例えば操作信号に応じた音声、又はユーザをリラックスさせる音楽等が出力される。
【0051】
図9の例では、表示画面には、痛みの状態を表す花で示されるエレメントが複数表示されている。各エレメントは、様々な大きさ、開花状態で示される。制御部30は、操作ボタン15の操作回数、及び操作時間に基づく操作信号に応じて、花の開花状態を変更する。例えば、制御部30は、最初の操作信号を取得して、蕾の状態の花を表示する。ユーザの持続的な押下操作の操作信号を取得し、制御部30は持続時間に応じて開花度合いを蕾から満開へと変化させた状態の花を表示する。花の大きさは、押下操作の強弱に応じて変化する。
【0052】
図10の例では、痛みの状態は、異なる形状、及び色により示される複数のエレメントを用いて表示されている。図10では、エレメントは、円形、長円形、及び四角形を含む。制御部30は、操作ボタン15の操作回数、及び操作時間に応じて、各エレメントの色を変更する。
【0053】
図11の例では、表示画面には、痛みの状態を表す円柱形状で示されるエレメントが複数表示されている。制御部30は、操作ボタン15の操作回数、又は操作時間に応じて、各エレメントの形状を変更する。制御部30は、例えば、操作ボタン15の押下操作の回数に応じて、立体の円柱形状を変化させる。ユーザは、自身の操作に応じて、画面上のエレメントが押し潰されたかの様な感覚を得ることができる。
【0054】
このようにして、情報処理システム100では、ユーザの可搬型装置1の操作に連動した痛みの状態を表す表示画面が表示される。痛みに基づく操作の内容が可視化されることで、ユーザは、痛みを客観的に捉えることが可能となる。さらに、ユーザの操作内容に応じた操作画面の変化、操作内容に応じたポイントの発行等により、ユーザの情報処理システム100の利用へのモチベーションを高めることが可能となり、痛みに関する情報の活用度が高まる。
【0055】
本実施形態においては、情報処理システム100は、痛みを検出したが、可搬型装置1はユーザの不安時に操作されてもよい。ユーザが不安を感じる場合に可搬型装置1を操作することで、不安を示す情報が可視化され、ユーザは不安な状態を客観的に捉えることが可能となる。また、情報処理システム100の利用は、医療機関内に限定されないことは勿論である。情報処理システム100は、ユーザの自宅等で使用されてもよい。情報処理システム100は、災害、紛争等の場合においての利用も想定され得る。
【0056】
(実施形態2)
実施形態2では、情報処理装置3は、学習済みモデル3Mを用いて操作情報に基づき痛みの情報を解析し、痛みの程度を判定する。また、得られる情報は、医療関係者と共有される。図12は、実施形態2における情報処理システム200の概要を示す図である。情報処理システム200には、可搬型装置1、端末装置2、情報処理装置3に加え、医療者情報処理装置4が含まれる。実施形態2の情報処理システム200は、医療者情報処理装置4が含まれる点、情報処理装置3の記憶部31に学習済みモデル3Mが記憶されている点、情報処理システム200が実行する処理の詳細が異なる点以外は実施形態1における構成と同様であるので、共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】
医療者情報処理装置4は、様々の情報処理、情報の送受信が可能な汎用の情報端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ等である。医療者情報処理装置4は、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の態様であってもよい。医療者情報処理装置4は、情報処理装置3との間でネットワークNを介して通信接続し、情報を送受信することが可能である。
【0058】
図13は、情報処理システム200に含まれる情報処理装置3の内部構成を示すブロック図である。情報処理装置3の記憶部31には、学習済みモデル3Mが記憶されている。
【0059】
図14は、学習済みモデル3Mの生成処理に関する説明図である。制御部30は、深層学習を含む機械学習によって、痛みに応じた可搬型装置1の操作情報を入力とし、当該操作情報に対応する痛みの程度を出力とする学習済みモデル3Mを生成する。学習済みモデル3Mの学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク(Neural Network)を用いた教師ありの深層学習である。学習アルゴリズムは、時系列データを取得した場合には、リカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short Term Memory)ネットワークを用いてもよい。
【0060】
図14に示す例では、学習済みモデル3Mは、痛みに応じた可搬型装置1の操作情報を入力する入力層と、当該操作情報に対応する痛みの程度を出力する出力層とを備える。学習済みモデル3Mは、操作情報が入力された場合に、痛みの程度を出力するように訓練データによって学習済みのパラメータを有する中間層を備える。入力層に、操作情報が入力された場合、学習済みパラメータによって中間層で演算が行なわれ、出力層から、痛みの程度が出力される。
【0061】
本実施形態では、痛みの程度は痛みレベルによりに示される。痛みレベルは、例えば1から10の数値で示され、数値が大きい程痛みが強いことを示している。制御部30は、操作情報として、操作信号のデータをグラフ化して画像として入力してもよい。
【0062】
訓練データを用いて学習されたニューラルネットワーク(学習済みモデル3M)は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用が想定される。学習済みモデル3Mは、上述のごとく制御部30(CPU等)及び記憶部31を備える情報処理装置3にて用いられるものであり、このように演算処理能力を有する情報処理装置3にて実行されることにより、ニューラルネットワークシステムが構成される。すなわち、情報処理装置3の制御部30が、記憶部31に記憶された学習済みモデル3Mからの指令に従って、入力層に入力された操作情報の特徴量を抽出する演算を行い、出力層から該操作情報に対応する痛みレベルを出力するように動作する。
【0063】
制御部30は、操作情報と、各操作情報における痛みレベルとが対応付けられた訓練データを用いて、中間層における各種パラメータの学習を行う。例えば図14に示すように、訓練データは、操作情報に対し痛みレベルがラベル付けされたデータセットとして構築される。制御部30は、過去に測定された大量の操作情報及び、操作者からのヒアリング等に基づき決定された痛みレベルを収集したデータを用いて学習を行う。
【0064】
操作情報は、例えば操作量であり、操作ボタン15の押下げ量の時間変化である。操作情報は、単位時間あたりの操作回数であってもよい。操作情報は、操作速度から得られる操作の強さの時間変化であってもよい。操作情報は、これらの複数を組み合わせて入力されてもよく、操作信号の時系列データを周波数変換したデータであってよい。
【0065】
制御部30は、訓練データに含まれる操作情報を入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層から痛みレベルを取得する。制御部30は、出力層から出力された出力値を、訓練データにおいて操作情報に対しラベル付けされた痛みレベル、すなわち正解値と比較し、出力層からの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いる各種パラメータを最適化する。当該パラメータは、例えばニューロン間の重み、バイアス等である。各種パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えば制御部30は誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。制御部30は、訓練データに含まれる各操作情報について上記の処理を行い、学習済みモデル3Mを生成する。
【0066】
学習済みモデル3Mの構成は、上記の例に限定されるものではないことは勿論である。操作情報に応じて適宜入力情報に応じた出力情報を出力するように学習されるとよい。例えば、操作情報に加えてユーザの身体の動き、発声音等を入力情報に与えてもよい。例えば近接センサ、深度センサ、撮影装置等を用いて、可搬型装置1を使用時のユーザの身体の位置を取得する。マイクロフォン等を用いて、ユーザの発声音を取得する。ユーザの付近にアラーム等が設置されている場合には、そのアラート音を取得してもよい。可搬型装置1がウエアラブルデバイスである場合には、可搬型装置1に備えられる脈波センサから、ユーザの心拍数又は脈拍等を取得し、操作情報に同期して入力情報に与えてもよい。これら取得した情報に応じた痛みの程度が学習済みモデル3Mから出力される。ユーザの身体の位置、体幹、身体のバランス等に基づきユーザの痛みの程度が判定される。また、時系列データを取得しこれらの変化の度合い、変化の持続時間、不自然な変化等に基づき痛みの程度が判定されてもよい。
【0067】
学習済みモデル3Mは、出力情報として、痛みレベルに加えて痛みの変化の程度を出力してもよい。例えば、学習済みモデル3Mは、操作信号等から痛みがどれくらい変化したかを示す痛みの変化の程度を出力する。例えば、ユーザが処置又は投薬等を受けた場合において、制御部30は、学習済みモデル3Mに処置又は投薬の前後の操作信号を入力することで、痛みの変化の程度を出力とする。この場合においては、入力情報にユーザの疾患、ユーザへの処置又は投薬等の情報が含まれるとよい。ユーザの抱える痛みが、一時的な痛みか、慢性的な痛みかにより、痛みレベル又は痛みの変化の程度は変化する。従って、これらの情報を入力情報に含むことで、よりユーザの状態に応じた出力値を得ることが可能となる。
【0068】
上述の学習済みモデル3Mを用いて、情報処理装置3は、ユーザから取得した操作情報に基づく痛みレベルを導出する。図15は、情報処理システム200で実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置3で操作情報が取得されると、以下の処理が実行される。
【0069】
情報処理装置3の制御部30は、ユーザの端末装置2から取得した操作情報を学習済みモデル3Mに与え(ステップS221)、出力される痛みレベルを特定する(ステップS223)。制御部30は、特定した痛みレベルを含む、痛みに関する情報を導出し(ステップS225)、記憶部31のデータベース(図示せず)に記憶する。痛みに関する情報には、痛みレベル、痛みの変化の程度等が含まれる。制御部30は、導出した痛みに関する情報を医療者情報処理装置4に出力し(ステップS227)、一連の処理を終了する。なお、痛みレベル又は痛みの変化の程度が所定の閾値以上である場合には、制御部30は、アラート情報を含んで痛みに関する情報を出力してもよい。
【0070】
医療者情報処理装置4は、取得した痛みに関する情報に基づき対処方法を導出する。例えば、痛みレベルに応じて、ユーザへの巡回を実施、スピーカ等により音声にてユーザの状態を確認する等の対処方法が導出される。導出された対処情報は、例えば痛みレベルと共に医療者情報処理装置4に接続される表示画面に表示される。痛みに関する情報を取得した場合において、医療者情報処理装置4の表示画面には、痛みレベルが所定値以上である場合には、痛みに関する情報が強制的に表示される構成であってよい。
【0071】
本実施形態においては、操作情報に基づく痛みに関する情報の特定をコンピュータに実行させることが可能になる。特定された情報はビッグデータとして収集され、また医療関係者と共有される。従って、痛みに関する情報の活用度を高めることが可能となる。
【0072】
(実施形態3)
実施形態3では、複数ユーザから痛みに関する情報を取得し、ユーザ同士の痛みに関する情報の共有を実現する。実施形態3における情報処理システム300は、複数ユーザの使用する複数の可搬型装置1、複数の端末装置2、及び情報処理装置3を含む。
【0073】
本実施形態の情報処理装置3は、複数の端末装置2から各操作情報を取得する。図16は、実施形態3における情報処理システム300で実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理システム300は、測定値の取得が開始されると、各ユーザの痛みの状態を表す情報の導出等の処理と並行して、図16に示す処理を実行する。
【0074】
端末装置2の制御部20は、位置情報取得部26を介してユーザの位置情報を取得する。なお位置情報は、可搬型装置1に位置情報の検出手段を設けることにより可搬型装置1が取得した位置情報を、制御部20が受信することにより取得してもよい。制御部20は、取得した位置情報を情報処理装置3に出力する(ステップS151)。
【0075】
情報処理装置3の制御部30は、位置情報を取得し(ステップS251)、痛み情報DB311に記憶する。制御部30は、痛み情報DB311を読み出し、操作情報に基づき、痛みに関する情報を導出する(ステップS253)。痛みに関する情報には、ユーザの位置情報、痛みのレベル等が含まれる。この場合において、制御部30は、ユーザ情報データベースを参照し、個人情報を特定しない範囲のユーザの性別、年齢帯、及び疾患内容等のユーザ情報を取得してもよい。制御部30は、複数の端末装置2から取得した各操作情報に基づき、夫々の痛みに関する情報を導出する。
【0076】
制御部30は、取得した複数の痛みに関する情報に基づき、複数ユーザの痛みに関する情報を含む痛みの共有情報を導出する。痛みの共有情報には、各ユーザの位置情報、痛みレベル等が含まれる。制御部30は、痛みの共有情報を含む表示画面の画面情報を作成する。制御部30は、作成した痛みの共有情報を端末装置2へ出力する(ステップS255)。
【0077】
端末装置2の制御部20は、痛みの共有情報を取得する(ステップS153)。制御部20は、取得した痛みの共有情報を含む表示画面情報を表示部24を介して表示し(ステップS155)、一連の処理を終了する。
【0078】
図17は、端末装置2の表示部24に表示される画面の一例を示す図である。制御部20は、痛みの共有情報を取得し、図17に示す如く表示部24に表示する。図17の例では、痛みの共有情報の表示画面には、地図が表示され、各ユーザの位置情報に対応する地図上の位置に、当該ユーザのアイコン、及び痛みレベルが表示されている。痛みレベルは、レベルに対応する数の円等のエレメントを用いて示され、例えば痛みレベルが高い程、示されるエレメントの数が多くなる。ユーザアイコンは、例えばアバター、動物のイラスト等により作成されてよい。制御部30は、痛みの共有情報に含まれる各ユーザの位置情報、痛みレベル、ユーザ情報に記憶されるユーザアイコン等を読み出す。制御部30は、地図情報上に、各位置情報に対応させて痛みレベル及びユーザアイコンを重畳表示する。なお、制御部30は、ユーザアイコンと共に、又はユーザアイコンに代えて個人情報を特定しない範囲のユーザ情報(例えば性別、年齢帯等)を表示させてもよい。ユーザは、表示画面を通じて、他のユーザの状況を認識することが可能となる。
【0079】
また共有情報の表示画面を通じて、ユーザは他のユーザと情報の送受信を行うことが可能である。例えば、情報の送受信を行うための表示画面には、複数ユーザのアイコンが示される。可搬型装置1を操作したユーザのアイコンは、例えば点滅等により操作中であることが表示画面に示される。制御部30は、操作情報を取得した場合に、操作情報に含まれるユーザを特定し、当該ユーザに対応付けられるユーザアイコンを点滅させる情報を出力する。他のユーザは、点滅しているユーザアイコンを表示画面上で確認した場合に、当該ユーザアイコンを選択し、ユーザに対して共有ポイントを送信する。共有ポイントは、点数、所定のキャラクター、メッセージ等により表示される。共有ポイントの受信履歴はポイントDB312保存される。共有ポイントを受信したユーザのアイコンは、取得した共有ポイントの点数に応じて変化する。例えば、ポイントの点数に応じて、ユーザのアイコンのキャラクターが成長するように変化するとよい。ポイントの点数に応じて、アイコンの大きさが大小に変化してもよい。
【0080】
本実施形態によれば、ユーザは、他のユーザと痛みに関する情報を共有することが可能となるため、痛みに関する情報の活用度を高めることができる。
【0081】
なお、上述のように開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 可搬型装置
15 操作ボタン
16 センサ
2 端末装置
3 情報処理装置
4 医療者情報処理装置
2P,3P プログラム
10,20,30 制御部
11,21,31 記憶部
24 表示部(表示装置)
3M 学習済みモデル
311 痛み情報DB
312 ポイントDB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17