(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】カメラモジュール
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240126BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240126BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240126BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240126BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20240126BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240126BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/04 E
H04N23/50
H04N23/57
H04N23/68
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2019230761
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 彰人
(72)【発明者】
【氏名】関本 芳宏
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028340(JP,A)
【文献】特開2013-050668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0321503(US,A1)
【文献】特開2009-071663(JP,A)
【文献】特開2016-100573(JP,A)
【文献】特開2005-284147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0252771(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0165136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/06
G02B 7/02 - 7/16
H04N 23/50
H04N 23/57
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に変位可能に支持される撮像レンズと、
前記第1方向と異なる第2方向に変位可能に支持されるイメージセンサと、
前記撮像レンズを前記第1方向に位置決めする第1アクチュエータと、
前記イメージセンサを前記第2方向に位置決めする第2アクチュエータと、
を備え、
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの一方によってオートフォーカス動作を、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの他方によって光学手ぶれ補正動作を行い、
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの両方が電磁駆動手段を有するとともに、
前記電磁駆動手段における駆動用磁石は、オートフォーカス動作用と光学手ぶれ補正動作用とで兼用されていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記第1方向は、前記撮像レンズの光軸に垂直な方向であり、
前記第2方向は、前記撮像レンズの前記光軸方向であることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記第1方向は、前記撮像レンズの光軸方向であり、
前記第2方向は、前記撮像レンズの光軸と垂直な方向であることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの少なくとも一方が、弾性体により可動部を支持していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの両方が、弾性体により可動部を支持していることを特徴とする請求項4に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記光学手ぶれ補正を行うアクチュエータでは、可動部の変位を検出するための位置検出手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどに搭載されるカメラモジュールにおいては、撮像レンズとイメージセンサの相対位置(変位量)を検出して、この位置情報をフィードバックすることで、撮像レンズあるいはイメージセンサの位置を高精度かつ高速に制御する機能を取り入れるものが増加してきている。特に、光学手ブレ補正(OIS)としてフィードバック制御を取り入れることにより、高精度の手ブレ補正が可能となるため、暗い場所で、遠方の被写体をブレなく撮影したいという要求の高まりとともに、OISを採用したカメラは今後も増加していくであろう。
【0003】
一方、オートフォーカス(AF)機能はほとんどのカメラモジュールですでに採用されており、被写体までの距離に応じて撮像レンズとイメージセンサの相対位置を変化させることでフォーカシングが行われる。AF機能においては、フィードバック制御を取り入れているものと取り入れていないものが存在するが、フィードバック制御を取り入れることで、高速のフォーカス引き込みや焦点位置維持の高精度化を目指したカメラモジュールが増加しつつある。
【0004】
このように、OISやAF機能を働かせるためには、撮像レンズあるいはイメージセンサを駆動する必要があり、そのためのアクチュエータが搭載される。近年、カメラとしての高画素化が急激に進行しつつあり、それにともなって撮像レンズが大口径化されるため、特に撮像レンズの重量増加がアクチュエータにとって大きな負担となりつつある。
【0005】
OIS機能とAF機能の両方を有するカメラモジュールとしては、さまざまな例が開示されている。たとえば、特許文献1には、撮像レンズをAFのために駆動し、AFアクチュエータ全体をOISのために駆動する例が開示されている。また、特許文献2には、撮像レンズをOISのために駆動し、OISアクチュエータ全体をAFのために駆動する例が開示されている。また、特許文献3には、撮像レンズは固定しておき、イメージセンサをAFのために駆動する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-65140号公報
【文献】特開2012-37549号公報
【文献】特開2014-48533号公報
【文献】特開2011-232707号公報
【文献】特開2014-127766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
課題1. 特許文献1に記載のカメラモジュールでは、撮像レンズをバネで支持しながらAFのために駆動し、AFアクチュエータ全体をサスペンションワイヤーで支持しながらOISのために駆動するカメラモジュールが開示されている。高画素化にともなって撮像レンズが大口径化されると、可動部としての重量が増加するのはもちろん、AFアクチュエータも大型化するため、特にOISアクチュエータにとっては、撮像レンズの重量増とAFアクチュエータの重量増が二重に負担となり、駆動のために大きな力が必要となる。さらに、落下衝撃等によるサスペンションワイヤーの破損を防ぐため、サスペンションワイヤーの強度を高める必要があり、これによってサスペンションワイヤーのバネとしての反力も大きくなり、反力に逆らって駆動するための大きな力も必要となる。したがって、たとえ撮像レンズの重量がAF駆動は可能なレベルであったとしても、OIS駆動は非常に厳しい状況になってくる。
【0008】
特許文献2に記載のカメラモジュールでは、撮像レンズをサスペンションワイヤーで支持しながらOISのために駆動し、OISアクチュエータ全体をバネで支持しながらAFのために駆動するカメラモジュールが開示されている。高画素化にともなって撮像レンズが大口径化されると、可動部としての重量が増加するのはもちろん、OISアクチュエータも大型化するため、特にAFアクチュエータにとっては、撮像レンズの重量増とOISアクチュエータの重量増が二重の負担となり、駆動のために大きな力が必要となる。OISの動作に比べると、AFの動作の方が高速の動きが少なく、焦点深度の範囲である程度の誤差も許容できるため、特許文献2のようにOIS可動部の重量軽減を優先する方が望ましいが、それでもいずれはAFアクチュエータにとっても重量増の負担が限界に達するので、対応策が必要になってくる。
【0009】
特許文献3に記載のカメラモジュールでは、撮像レンズは固定されており、イメージセンサをAFのために駆動するカメラモジュールが開示されている。この例では、イメージセンサを駆動することによるAF動作のみが記載されており、OIS動作については触れられていない。撮像レンズは固定であり、OIS動作には寄与しない。
【0010】
課題2. イメージセンサを駆動するカメラモジュールの一例として、特許文献4には、AF用のアクチュエータとイメージセンサ全体をOISのために駆動するカメラモジュールが開示されている。また、特許文献5には、可動部分であるイメージセンサと固定部分である端子配線基板とがボンディングワイヤによって配線接続され、イメージセンサが調整のために移動される例が開示されている。
【0011】
特許文献4に記載のカメラモジュールでは、AFのためには撮像レンズが駆動されるが、OISのためにはAF用のアクチュエータとイメージセンサ全体が駆動される。イメージセンサがOISの可動部となるため、イメージセンサに通電するためには、可動部と固定部を橋渡しする通電手段が必要になり、そのための手段として、特許文献4ではフレキシブル配線基板が用いられている。しかしながら、フレキシブル配線基板は、ベースフィルム、銅箔、カバーレイなどが積層された構造をしており、ある程度のバネ性を有することが避けられない。特許文献4では、バネ性の影響を極力低減するため、フレキシブル配線基板をU字状部分やL字状部分を有するパターンとし、変形しやすい構成にしているが、複雑なパターン構造のフレキシブル配線基板を這わせるためのスペースが必要になり、カメラモジュールが大型化してしまう。また、フレキシブル配線基板は平面的な構造であるため、その厚さ方向には撓みやすいが、厚さ方向と垂直な方向にはどうしても硬くなってしまい、バネ性の影響が出やすくなるため、イメージセンサを光軸に垂直な方向に駆動する用途には適さない。余計なバネ性を有したままで用いると、変形させるのにそれだけ大きな推力が必要で、消費電力の増大につながる。また、余計なバネ性は想定外の共振を生じさせるリスクがあり、制御性能を低下させるおそれが生じる。
【0012】
特許文献5には、イメージセンサを位置調整するための機構を有したパッケージ構造が開示されており、可動部となるダイと固定部となる端子配線基板とを可撓性を有した複数本のボンディングワイヤで配線接続している。しかしながら、これらはイメージセンサのパッケージ内の構造であり、かつ、位置調整機構なので、調整後は樹脂で接着固定される。したがって、この構成を、AFやOISのためにイメージセンサが常に変位可能な状態で制御するようなカメラモジュールにそのまま適用することはできない。
【0013】
1. 本発明の一側面はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、撮像レンズが大口径化した場合でも、AF動作とOIS動作の両方が実現できるカメラモジュールの提供にある。
【0014】
2. 本発明の別の側面はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、撮像レンズが大口径化した場合などでイメージセンサを駆動する必要が生じた場合に、イメージセンサへの通電手段によるバネ性の影響を極力回避し、より小さな推力でイメージセンサを駆動して、AF動作やOIS動作が実現できるカメラモジュールの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1. 本発明のある態様は、カメラモジュールに関する。カメラモジュールは、所定の方向に変位可能に支持される撮像レンズと、前記所定の方向とは異なる別の所定の方向に変位可能に支持されるイメージセンサと、前記撮像レンズおよびイメージセンサをそれぞれ駆動するためのアクチュエータと、を備えたカメラモジュールであって、一方のアクチュエータによってオートフォーカス動作を、他方のアクチュエータによって光学手ぶれ補正動作を行うことを特徴としている。
【0016】
この態様によると、オートフォーカス用のアクチュエータと光学手ぶれ補正用のアクチュエータのうち、一方のアクチュエータ全体を他方のアクチュエータで駆動する、二重構造を避けることができる。したがって撮像レンズが大口径化した場合でも、可動部の軽量化を図ることができ、AF動作とOIS動作の両方が所定の性能で実現できるようになる。
【0017】
また、前記それぞれのアクチュエータは、前記撮像レンズを撮像レンズの光軸に垂直な方向に駆動するアクチュエータと、前記イメージセンサを撮像レンズの光軸方向に駆動するアクチュエータとからなってもよい。
【0018】
また、前記それぞれのアクチュエータは、前記撮像レンズを撮像レンズの光軸方向に駆動するアクチュエータと、前記イメージセンサを撮像レンズの光軸に垂直な方向に駆動するアクチュエータとからなってもよい。
【0019】
撮像レンズのアクチュエータと、イメージセンサのアクチュエータの、どちらをオートフォーカス用に、どちらを光学手ぶれ補正用に用いるかは、可動部重量の大小や通電のためのフレキシブルプリント基板(FPC)によるテンションの大きさなどから、総合的に判断すればよい。前述のとおり、光学手ぶれ補正の方が、より高速で精密な制御が要求されるため、可動部重量が軽量にできる方を光学手ぶれ補正用のアクチュエータとするのが有力な選択肢となる。あるいは、可動部重量が同等レベルであるならば、イメージセンサへの通電のためには多数本の通電手段を有するFPCが必要になるため、FPCによるテンションの影響を光学手ぶれ補正に与えないよう、イメージセンサのアクチュエータをAF用としてもよい。
【0020】
また、前記それぞれのアクチュエータの少なくとも一方が電磁駆動手段を有してもよい。
【0021】
また、前記それぞれのアクチュエータの両方が電磁駆動手段を有してもよい。
【0022】
アクチュエータの駆動手段としては、圧電素子を利用する方法や形状記憶合金(SMA)を利用する方法なども提案されており、これらの駆動手段は大きなパワーを生むことができるので、本願の目的に利用することも可能であるが、一方で、圧電駆動では動作音の問題が存在したり、SMAでは冷却時に変位速度が遅くなるなどの課題もある。これに対して、電磁駆動手段ではこれらの問題がなく、パワーが小さくても駆動できるように可動部の軽量化を図ることが本願の目的なので、電磁駆動手段を用いることが好適で、より大きな効果を期待できる。
【0023】
また、前記それぞれのアクチュエータの少なくとも一方が、弾性体により可動部を支持していてもよい。
【0024】
また、前記それぞれのアクチュエータの両方が、弾性体により可動部を支持していてもよい。
【0025】
アクチュエータにおける可動部の支持手段としては、ボールガイド構造や軸ガイド構造なども提案されており、落下衝撃に強いなどのメリットもあるので、本願の目的に利用することも可能であるが、一方で、接触部分の摩擦の影響で動作が非線形となり、微小な変位が困難になるなどの課題もある。これに対して、弾性体により可動部を支持した場合には、摩擦の影響を回避することができるため、より好適である。特に、電磁駆動手段を用いた場合には、摩擦に打ち勝つだけの十分なパワーを出せないことも想定されるので、摩擦のない弾性体支持を採用することが望ましい。
【0026】
また、前記光学手ぶれ補正を行うアクチュエータでは、可動部の変位を検出するための位置検出手段を備えていてもよい。
【0027】
これにより、より高精度な手ぶれ補正動作が可能となる。特に、位置検出手段として磁気を用いる場合は、位置検出と駆動で磁界発生手段を共通化できるなど、電磁駆動手段との相性がよい。
【0028】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0029】
さらに、この課題を解決するための手段の記載は、すべての欠くべからざる特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、撮像レンズが大口径化した場合でも、AF動作とOIS動作の両方が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1の実施例1-1に係るカメラモジュールの概略構成を示す中央断面図である。
【
図2】
図1のカメラモジュールの内部の平面図である。
【
図3】
図1のカメラモジュールにおいて、撮像レンズがOIS動作のために変位し、イメージセンサがAF動作のために変位している状態を示す断面図である。
【
図4】
図1のカメラモジュールにおいて、駆動用の磁石とコイルの部分を拡大した図であり、コイル部分に入射する磁束の概略方向を示す図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、
図1のカメラモジュールにおいて、位置検出用の磁石とホール素子との関係を示す図である。
【
図6】実施例1-1の第1変形例に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図7】実施例1-1の第2変形例に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図8】実施の形態1の実施例1-2に係るカメラモジュールの概略構成を示す中央断面図である。
【
図9】
図8のカメラモジュールのB-B断面図である。
【
図10】
図9のカメラモジュールのC-C要部断面図である。
【
図11】
図8のカメラモジュールにおいて、駆動用の磁石とコイルの部分の拡大図である。
【
図12】実施例1-2の第1変形例に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図13】実施例1-2の第2変形例に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図14】実施の形態2の実施例2-1に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図15】
図15(a)、(b)は、
図14の実施例2-1における磁石とコイルの配置を説明するための図である。
【
図16】
図14のA部で示されるボンディングワイヤ近傍の要部拡大図である。
【
図17】実施の形態2の実施例2-2に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図18】
図17のカメラモジュールにおける磁石とコイルとホール素子の配置を説明するための図である。
【
図19】実施の形態2の実施例2-3に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図20】
図20(a)、(b)は、
図19のカメラモジュールにおける磁石とコイルとホール素子の配置を説明する図である。
【
図21】実施の形態2の実施例2-4に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図22】実施の形態2の実施例2-5に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【
図23】実施の形態2の実施例2-6に係るカメラモジュールの中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態ごとに、図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0033】
また図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
【0034】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0035】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0036】
(実施の形態1)
<実施例1-1>
図1は、本発明の実施例1-1に係るカメラモジュール1の概略構成を示す中央断面図である。
図2は、
図1のカメラモジュール1の内部の平面図である。
図1、
図2を用いて実施例1-1について説明する。
【0037】
カメラモジュール1は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スマートフォンやタブレット端末に内蔵され、写真やビデオ撮影に利用される。カメラモジュール1は、イメージセンサおよびレンズが一体化された部品であり、したがって、レンズ交換式のカメラとは根本的に構造が異なる。カメラモジュール1は、AF機能とOIS機能を有する。
【0038】
本実施の形態では、OISには、位置検出素子が配置される構成で説明するが、位置検出素子がなくてもよい。AF用には位置検出素子が配置されない構成で説明するが、位置検出素子が配置されたものでもかまわない。位置検出素子は、カメラモジュール用途ではホール素子が広く用いられているため、ホール素子として説明するが、これに限定される訳ではなく、MR素子、GMR素子のような磁気抵抗素子であってもかまわない。
【0039】
カメラモジュール1は、撮像レンズ2を第1方向に位置決めするための第1アクチュエータ3と、イメージセンサ4を第1方向と異なる第2方向に位置決めするための第2アクチュエータ5を備える。実施例1-1において、第1方向は、撮像レンズ2の光軸と垂直方向であり、第1アクチュエータ3によって、OIS機能が提供される。また第2方向は、撮像レンズ2の光軸方向であり、第2アクチュエータ5によって、AF機能が提供される。以下、第1アクチュエータ3および第2アクチュエータ5をそれぞれ、OISアクチュエータ3、AFアクチュエータ5と称する。一般的には、OISは、縦方向と横方向のブレの両方を補正するものであるから、ここでいう第1方向は、X方向とY方向の総称であり、OISアクチュエータ3は、撮像レンズ2を、X方向とY方向に独立に位置決め可能である。なお、OISアクチュエータ3は、撮像レンズ2のみを位置決めするわけではなく、撮像レンズ2、レンズバレル6およびレンズホルダー7などを含むOIS可動部を位置決めする。
【0040】
撮像レンズ2は、レンズバレル6内に収納される。撮像レンズ2は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル6は、レンズホルダー7内に位置決めして搭載される。レンズホルダー7は、4本のサスペンションワイヤー8により、光軸に垂直な第1方向(図のX軸方向およびY軸方向)に可動に支持されている。サスペンションワイヤー8は、レンズホルダー7に直接、接続される訳ではなく、サスペンションワイヤー8の上端が衝撃吸収バネ9を介して接続される。衝撃吸収バネ9は、サスペンションワイヤー8の長手方向の衝撃を吸収するためのもので、サスペンションワイヤー8は長手方向の伸縮許容量が小さく、落下衝撃等により破損しやすいため、サスペンションワイヤー8が伸縮する代わりに衝撃吸収バネ9が撓んで、サスペンションワイヤー8の破損を防ぐ。サスペンションワイヤー8の下端は、固定部であるベース10に接続される。サスペンションワイヤー8を通電に利用する場合は、ベース10に貼り付けられたフレキシブルプリント基板(図示せず)に接続してもよい。このような場合は、サスペンションワイヤー8の上端を衝撃吸収バネ9に、下端をフレキシブルプリント基板に、それぞれ半田で固定するとよい。
【0041】
OISアクチュエータ3は、主として、OISコイル11と駆動用磁石12を備える。OISコイル11は、レンズホルダー7の下面に固定されており、図示しないアクチュエータドライバによって駆動され、駆動電流に応じた磁束を発生する。OISコイル11に対向して、ベース10には駆動用磁石12が固定されている。駆動用磁石12からの磁束がOISコイル11に作用し、OISコイル11に通電することでローレンツ力が発生し、撮像レンズ2、レンズバレル6、レンズホルダー7、OISコイル11などから構成されるOIS可動部が光軸と垂直な方向に位置決めされる。
【0042】
イメージセンサ4は、モジュール基板13に実装されるとともに、センサーカバー14によってカバーされている。センサーカバー14の中央部には開口があり、IRカットガラス15によって開口が蓋をされている。センサーカバー14の側面にはAFコイル16が巻回されている。センサーカバー14は、上下のAFバネ17a、17bにより、固定部(ベース10)に対して光軸方向(図のZ軸方向)に可動に支持されている。
【0043】
AFアクチュエータ5は、主として、AFコイル16と駆動用磁石12を備える。駆動用磁石12は、AFコイル16に対向して配置されている。AFコイル16は、図示しないアクチュエータドライバによって駆動される。駆動用磁石12はOIS駆動用のそれと兼用されている。このように、共通の磁石をOIS用とAF用で共用することにより、部品点数を削減することができる。駆動用磁石12からの磁束がAFコイル16に作用し、AFコイル16に通電することでローレンツ力が発生し、イメージセンサ4、モジュール基板13、センサーカバー14、IRカットガラス15、AFコイル16などから構成されるAF可動部が光軸方向に駆動される。なお、AF可動部にあるAFコイル16に通電するためには、上下のAFバネ17a、17bのいずれか、あるいは両方を、導体として利用するとよい。また、AF可動部にあるイメージセンサ4に通電するためには、多数本の通電手段が必要となるため、モジュール基板13から延長されたフレキシブルプリント基板(図示せず)を利用するとよい。このとき、フレキシブルプリント基板のバネ性の影響を極力低減するため、なるべく柔らかい素材のフレキシブルプリント基板を用いることが望ましい。なお、フレキシブルプリント基板は光軸に垂直な平面内に配置されるため、光軸方向には撓みやすいが、光軸に垂直な方向の変形に対してはバネ性が強くなりやすい。省スペースでフレキシブルプリント基板を配置するためには、イメージセンサのアクチュエータをAF用として用いることが望ましい。
【0044】
実施例1-1では、カメラモジュール1には、撮像レンズ2の第1方向(X方向およびY方向)に関する位置検出手段、すなわちOIS用の位置検出手段が設けられる。撮像レンズ2の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、目標位置への位置決め精度を高めたり、外乱振動を受けた場合にも所定の位置に保持したりできる。OIS用の位置検出手段は、OIS可動部(レンズホルダー7)に搭載された位置検出用磁石18と、位置検出用磁石18に対向して固定部(ベース10)に設けられたホール素子19から構成される。位置検出用磁石18がOIS駆動によって変位すると、ホール素子19に入射する磁束密度の大きさが変化し、位置検出信号として出力される。ホール素子19は、駆動用磁石12やOISコイル11からの磁束の影響を低減するため、これらから少し離れた位置に配置される(
図2参照)。ホール素子19や、サスペンションワイヤー8などを経由して接続されるOISコイル11の端子は、図示しないアクチュエータドライバに接続される。ホール素子19は、アクチュエータドライバに内蔵されてもよい。アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。なお、
図1で図示されるOIS用の位置検出手段は、X軸方向の位置検出手段であり、90度ずれた方向にY軸方向用の位置検出手段が同様に存在する(
図2参照)。
【0045】
カメラモジュール1全体はカバー20で覆われている。カバー20の中央には開口20aが設けられ、撮像レンズ2に光が入射する経路となる。カバー20は、アクチュエータとしての可動範囲をメカニカルに規制するためのストッパーの役割もあるので、金属である方が望ましい。また、可動部に磁石が搭載されるような場合には、カバー20は非磁性の材料であることが望ましい。磁性体である場合、カバー20に磁石が吸引され、可動部が変位してしまい、これを元に戻すには余分な電流が必要となる。
【0046】
次に、OISおよびAFの可動部が変位した状態について説明する。
図3は、
図1のカメラモジュールにおいて、撮像レンズがOIS動作のために変位し、イメージセンサがAF動作のために変位している状態を示す断面図である。
【0047】
図3は、撮像レンズ2を含むOIS可動部が、図の左端まで変位した状態を示しており、サスペンションワイヤー8が変形してこれを支えている。レンズホルダー7の左端がカバー20に当接し、OISの可動範囲を決めるメカストッパーの役割を果たしている。レンズホルダー7には、位置検出用磁石18が搭載されており、図からも明らかなように、レンズホルダー7がカバー20に当接した状態では、位置検出用磁石18はカバー20に非常に近接することになるので、カバーの材質は非磁性であることが望ましい。このように変位した状態では、位置検出用磁石18とホール素子19の相対位置が変化するため、変位を検出することができる。一方、
図3は、イメージセンサ4を含むAF可動部が、下方向に変位した状態を示しており、上下のAFバネ17a、17bが変形してこれを支えている。図示はしていないが、AF可動部が図の下方向に変位しても、モジュール基板13等がベース10の下面から飛び出さないように、裏蓋を設けてメカニカルストッパーとしてもよい。
【0048】
次に、駆動用磁石12とOISコイル11、AFコイル16の位置関係について、
図4を用いて説明する。
図4は、
図1のカメラモジュールにおいて、駆動用の磁石とコイルの部分を拡大した図であり、コイル部分に入射する磁束の概略方向を示す図である。
図4において、磁極の方向は一例であり、N極、S極が逆でもよい。
【0049】
駆動用磁石12のN極から出た磁束がS極に戻る間に、OISコイル11の一部を貫く。このとき、OISコイル11に通電すると、磁束の方向および電流の方向(コイルの巻き線方向)のそれぞれに垂直な方向にローレンツ力が作用する。磁束は、図に示すように、OISコイル11に対して斜めに入射する。OISコイル11を貫く磁束のうち、Z軸方向の成分はコイルの右側と左側で逆向きになり、電流も逆向きなので、ローレンツ力の向きは同じでX軸方向のOIS推力を生む。一方、OISコイル11を貫く磁束のうち、X軸方向の成分はコイルの右側と左側で同じ向きであり、電流が逆向きなので両者による力は打ち消しあう。
【0050】
また、駆動用磁石12のN極から出た磁束は、AFコイル16を貫く。このとき、AFコイル16に通電すると、磁束の方向および電流の方向(コイルの巻き線方向)のそれぞれに垂直な方向にローレンツ力が作用する。磁束の方向がX軸方向、電流の方向がY軸方向なので、AF推力はZ軸方向に作用する。
【0051】
次に、位置検出用磁石18とホール素子19の位置関係について、
図5を用いて説明する。
図5(a)、(b)は、
図1のカメラモジュールにおいて、位置検出用の磁石とホール素子との関係を示す図である。
図5(a)には、OISのための変位が生じていない状態が示され、
図5(b)には、OISのために撮像レンズ2が変位した状態を示す図である。
図5において、磁極の方向は一例であり、N極、S極が逆でもよい。
【0052】
ホール素子19は、そのチップ面に垂直な方向(図ではZ軸方向)の磁束密度とその向きを検出する。
図5(a)のように、位置検出用磁石18の分極線18aに対向する位置にホール素子19がある場合、ホール素子19の位置では磁束はX軸方向のため、ホール素子19が検出する磁束密度は0である。一方、
図5(b)のように、位置検出用磁石18がOIS方向にシフトした場合、ホール素子19に入射する磁束はZ軸方向の成分をもつようになり、変位量に応じたホール検出信号が得られる。
【0053】
<実施例1-1の第1変形例>
図1の実施例1-1では、OISアクチュエータ、AFアクチュエータともに、コイルが可動部となるムービングコイル構造で説明したが、これに限定される訳ではなく、ムービングマグネット構造を採用してもよい。ムービングマグネット構造の場合、特に位置検出を行うOISアクチュエータにおいては、駆動用磁石を位置検出用磁石にも使えるので、位置検出用磁石を別途設けることが不要となる。このように、OISアクチュエータにおいてムービングマグネット構造を採用した例を、実施例1-1の第1変形例として、
図6を用いて説明する。
図6は、実施例1-1の第1変形例に係るカメラモジュール1Aの中央断面図である。
【0054】
図6の変形例では、駆動用磁石がOIS駆動用磁石21とAF駆動用磁石22に分離してそれぞれ設けられている。OIS駆動用磁石21はレンズホルダー7に固定され、ムービングマグネット構造となっている。OIS駆動用磁石21に対向して、固定部(ベース10)にOISコイル11が設けられている。一方、AFはムービングコイル構造であり、AF可動部に設けられたAFコイル16に対向して、固定部(ベース10)にAF駆動用磁石22が固定されている。OISアクチュエータでは、磁石とコイルの配置が
図1とは逆になっただけで、駆動原理等は同じである。AFアクチュエータでは、駆動用磁石がAF専用になっただけで、駆動原理等は同じである。
【0055】
図6の変形例では、OIS駆動用磁石21がOIS位置検出用磁石の役割も兼ねており、OIS駆動用磁石21に対向して、固定部(ベース10)にホール素子19が設けられている。OISコイル11とホール素子19がともに、OIS駆動用磁石21に対向して設けられるので、OISコイル11とホール素子19とが物理的に干渉しないように、ホール素子19はOISコイル11の巻き線の中央に設けられている。このような構成では、OISコイル11に通電したときに発せられる磁界がホール素子19に入射し、ホール素子19にとってはノイズとなる。このノイズは、必要に応じて電気的に補正してもよいし、ホール素子19へのノイズの入射を低減するため、ホール素子19をOISコイル11の巻き線の外側に配置してもよい。
【0056】
OISコイル11の端子、ホール素子19は、図示しないアクチュエータドライバに接続される。この例では、OISコイル11も固定部側に配置されるので、可動部から固定部への通電手段は必要ない。なお、ホール素子19は、ホール素子を内蔵したアクチュエータドライバであってもよい。
【0057】
<実施例1-1の第2変形例>
図1の実施例1-1では、AF可動部にあるイメージセンサ4に通電するためには、多数本の通電手段が必要となるため、モジュール基板13から延長されたフレキシブルプリント基板(図示せず)を利用することで説明したが、これに限定されない。通電手段としてボンディングワイヤーを利用した例を実施例1-1の第2変形例として、
図7を用いて説明する。
図7は、実施例1-1の第2変形例に係るカメラモジュール1Bの中央断面図である。
【0058】
図7において、モジュール基板およびそこから延長されたフレキシブルプリント基板13は、固定部に配置されており、AF可動部にあるイメージセンサ4とモジュール基板13とを電気的に接続するため、ボンディングワイヤー23が用いられる。ボンディングワイヤー23は多数本となるが、一本一本のバネ性は非常に弱く、ボンディングワイヤー23のバネ性が可動部の動きに与える影響は非常に小さい。
【0059】
なお、可動部に配置したフレキシブルプリント基板を通電用として用いる場合には、イメージセンサのアクチュエータをAF用として用いることが望ましいとして説明したが、第2変形例ようにボンディングワイヤーを可動部と固定部の間の通電手段として用いる場合には、方向によるバネ性の差が小さく、イメージセンサのアクチュエータをAF用としてもOIS用としてもよい。
【0060】
<実施例1-2>
図8は、実施の形態1の実施例1-2に係るカメラモジュール31の中央断面図である。
図9は、
図8のカメラモジュール31のB-B断面図である。
図10は、
図9のカメラモジュール31のC-C要部断面図である。
図8、
図9、
図10を用いて実施例1-2について説明する。
【0061】
カメラモジュール31は、撮像レンズ32を光軸方向に位置決めする第1アクチュエータ33と、イメージセンサ34を光軸と垂直方向に位置決めする第2アクチュエータ35を備える。実施例1-2において、第1アクチュエータ33によってAF機能が提供され、第2アクチュエータ35によって、OIS機能が提供される。以下、第1アクチュエータ33をAFアクチュエータ、第2アクチュエータをOISアクチュエータと称する。
【0062】
撮像レンズ32は、レンズバレル36内に収納される。撮像レンズ32は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル36は、レンズホルダー37内に位置決めして搭載される。レンズホルダー37は、上下2枚のAFバネ38a、38bにより、ベース39に対して光軸方向(図のZ軸方向)に可動に支持されている。
【0063】
AFアクチュエータ33は、主として、AFコイル40と駆動用磁石41を備える。レンズホルダー37の側面にはAFコイル40が巻回されている。AFコイル40は、図示しないアクチュエータドライバによって駆動される。AFコイル40に対向して、駆動用磁石41が配置されている。駆動用磁石41からの磁束がAFコイル40に作用し、AFコイル40に通電することでローレンツ力が発生し、撮像レンズ32、レンズバレル36、レンズホルダー37、AFコイル40などから構成されるAF可動部が光軸方向に駆動される。なお、AF可動部にあるAFコイル40に通電するためには、上下のAFバネ38a、38bのいずれか、あるいは両方を利用するとよい。
【0064】
イメージセンサ34は、モジュール基板42に実装されるとともに、センサーカバー43によってカバーされている。センサーカバー43の中央部には開口があり、IRカットガラス44によって開口が蓋をされている。センサーカバー43は、4本のサスペンションワイヤー45により、固定部(ベース39)に対して光軸に垂直な方向(図のX軸方向およびY軸方向)に可動に支持されている。サスペンションワイヤー45は、センサーカバー43に直接、接続される訳ではなく、サスペンションワイヤー45の下端が衝撃吸収バネ46を介して接続される。衝撃吸収バネ46は、サスペンションワイヤー45の長手方向の衝撃を吸収するためのもので、サスペンションワイヤー45は長手方向の伸縮許容量が小さく、落下衝撃等により破損しやすいため、サスペンションワイヤー45が伸縮する代わりに衝撃吸収バネ46が撓んで、サスペンションワイヤー45の破損を防ぐ。サスペンションワイヤー45の上端は、固定部であるベース39に接続される。サスペンションワイヤー45を通電に利用する場合は、ベース39に貼り付けられたフレキシブルプリント基板(図示せず)に接続してもよい。このような場合は、サスペンションワイヤー45の下端を衝撃吸収バネ46に、上端をフレキシブルプリント基板に、それぞれ半田で固定するとよい。
【0065】
OISアクチュエータ35は、主としてOISコイル47および磁石41を備える。センサーカバー43の上面にはOISコイル47が固定されている。OISコイル47に対向して、ベース39には駆動用磁石41が固定されている。駆動用磁石41はOIS駆動用とAF駆動用で兼用される。このように、共通の磁石をOIS用とAF用で共用することにより、部品点数を削減することができる。駆動用磁石41からの磁束がOISコイル47に作用し、OISコイル47に通電することでローレンツ力が発生し、イメージセンサ34、モジュール基板42、センサーカバー43、IRカットガラス44、OISコイル47などから構成されるOIS可動部が光軸に垂直な方向に駆動される。OIS可動部にあるOISコイル47に通電するためには、衝撃吸収バネ46、サスペンションワイヤー45を利用するとよい。また、OIS可動部にあるイメージセンサ34に通電するためには、多数本の通電手段が必要となるため、フレキシブルプリント基板(図示せず)を利用するとよい。このとき、フレキシブルプリント基板のバネ性の影響を極力低減するため、なるべく柔らかい素材のフレキシブルプリント基板を用いることが望ましい。
【0066】
実施例1-2では、OIS用の位置検出手段を備えている。イメージセンサ34の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、目標位置への位置決め精度を高めたり、外乱振動を受けた場合にも所定の位置に保持したりできる。OIS用の位置検出手段は、OIS可動部(センサーカバー43)に搭載された位置検出用磁石48と、位置検出用磁石48に対向して固定部(ベース39)に設けられたホール素子49から構成される。位置検出用磁石48がOIS駆動によって変位すると、ホール素子49に入射する磁束密度の大きさが変化し、位置検出信号として出力される。ホール素子49は、駆動用磁石41やOISコイル47からの磁束の影響を軽減するため、これらから少し離れた位置に配置される(
図9参照)。ホール素子49や、サスペンションワイヤー45などを経由して接続されるOISコイル47の端子は、図示しないアクチュエータドライバに接続される。ホール素子49は、ホール素子を内蔵したアクチュエータドライバであってもよい。アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。なお、
図8で図示されるOIS用の位置検出手段は、X軸方向の位置検出手段であり、90度ずれた方向にY軸方向用の位置検出手段が同様に存在する(
図9参照)。
【0067】
カメラモジュール31全体はカバー50で覆われている。カバー50の中央には開口50aが設けられ、撮像レンズ32に光が入射する経路となる。カバー50は、アクチュエータとしての可動範囲をメカニカルに規制するためのストッパーの役割もあるので、金属である方が望ましい。たとえば、レンズホルダー37の上面の一部を突出させておくと、
図8の上方向にAF可動部が変位した場合に、突出部がカバー50の内面に当接してストッパーなる。駆動用磁石41は固定部に配置されるので、カバー50は磁性体であってもかまわない。ただし、磁性体の場合、位置検出用磁石48とは、ある程度の距離を離しておくことが望ましい。
【0068】
実施例1-2では、OISのメカストッパーは、センサーカバー43の側面とベース39の内壁とが当接することで形成される。
【0069】
次に、駆動用磁石41とOISコイル47、AFコイル40の位置関係について、
図11を用いて説明する。
図11は、
図8のカメラモジュール31において、駆動用の磁石とコイルの部分を拡大した図であり、コイル部分に入射する磁束の概略方向を示す図である。
図11において、磁極の方向は一例であり、N極、S極が逆でもよい。
【0070】
駆動用磁石41のN極から出た磁束がS極に戻る間に、OISコイル47の一部を貫く。このとき、OISコイル47に通電すると、磁束の方向および電流の方向(コイルの巻き線方向)のそれぞれに垂直な方向にローレンツ力が作用する。磁束は、図に示すように、OISコイル47に対して斜めに入射する。OISコイル47を貫く磁束のうち、Z軸方向の成分はコイルの右側と左側で逆向きになり、電流も逆向きなので、ローレンツ力の向きは同じでX軸方向のOIS推力を生む。一方、OISコイル47を貫く磁束のうち、X軸方向の成分はコイルの右側と左側で同じ向きであり、電流が逆向きなので両者による力は打ち消しあう。
【0071】
また、駆動用磁石41のN極から出た磁束は、AFコイル40を貫く。このとき、AFコイル40に通電すると、磁束の方向および電流の方向(コイルの巻き線方向)のそれぞれに垂直な方向にローレンツ力が作用する。磁束の方向がX軸方向、電流の方向がY軸方向なので、AF推力はZ軸方向に作用する。
【0072】
なお、位置検出用磁石48とホール素子49の位置関係については、これらの上下配置が逆になるだけで基本的に
図5と同じなので、説明は省略する。
【0073】
<実施例1-2の第1変形例>
図8の実施例1-2では、OISの位置検出用ホール素子49を固定部側(ベース39)に配置するため、駆動用磁石41とは別に位置検出用磁石48を設ける構造で説明したが、これに限定される訳ではなく、OISの位置検出用ホール素子49を可動部側(センサーカバー43)に配置すれば、駆動用磁石と位置検出用磁石を兼用できる。このように、ホール素子49を可動部側に配置した例を、実施例1-2の第1変形例として、
図12を用いて説明する。
図12は、実施例1-2の第1変形例に係るカメラモジュール31Aの中央断面図である。
【0074】
図12の第1変形例では、磁石41がAF駆動用、OIS駆動用、OIS位置検出用の3つの役割を兼ねている。磁石41にOIS位置検出用としての役割を与えるためには、ホール素子49を磁石41に対向して可動部側(センサーカバー43)に配置する必要がある。こうすることで、
図8では必要だった位置検出用磁石が不要になり、部品点数を削減できる。なお、新たにホール素子49が可動部側に配置されたため、可動部から固定部の間の通電手段を考える必要がある。OISコイル47だけなら、X軸用、Y軸用各2端子ずつ、合計4端子分の通電手段が必要なので、4本のサスペンションワイヤー45を通電に利用することができたが、これにホール素子が加わると、1つのホール素子で4端子、これが2個あるので合計8端子分の通電手段を追加する必要がある。この場合には、イメージセンサ34の通電用のフレキシブルプリント基板を利用するとよい。イメージセンサ34とホール素子49は同じOIS可動部に配置されており、イメージセンサ34の通電手段はかなりの本数が必要なので、ホール素子用に8本が追加されたとしても影響度を抑えられる。なお、前述のとおり、フレキシブルプリント基板のバネ性の影響を極力低減するため、なるべく柔らかい素材のフレキシブルプリント基板を用いることが望ましい。
【0075】
<実施例1-2の第2変形例>
図8の実施例1-2では、OIS可動部にあるイメージセンサ34に通電するためには、多数本の通電手段が必要となるため、フレキシブルプリント基板(図示せず)を利用することで説明したが、これに限定されない。通電手段としてボンディングワイヤーを利用した例を実施例1-2の第2変形例として、
図13を用いて説明する。
図13は、実施例1-2の第2変形例に係るカメラモジュール31Bの中央断面図である。
【0076】
図13において、モジュール基板およびそこから延長されたフレキシブルプリント基板42は、固定部に配置されており、OIS可動部にあるイメージセンサ34とモジュール基板42とを電気的に接続するため、ボンディングワイヤー51が用いられる。ボンディングワイヤー51は多数本となるが、一本一本のバネ性は非常に弱く、ボンディングワイヤー51のバネ性が可動部の動きに与える影響は非常に小さい。また、ボンディングワイヤーを可動部と固定部の間の通電手段として用いる場合には、方向によるバネ性の差が小さく、イメージセンサのアクチュエータをOIS用として用いる本実施例においては特に効果的である。
【0077】
なお、実施例1-1、実施例1-2では、AFおよびOISアクチュエータの駆動手段として、電磁駆動手段を例に説明したが、これに限定される訳ではなく、圧電素子を利用する方法や形状記憶合金(SMA)を利用する方法などでもかまわない。これらの駆動手段は大きなパワーを生むことができること、磁気干渉の影響を受けにくいことなど、それぞれ独自のメリットを有することも事実であるが、一方で、圧電駆動では動作音の問題が存在したり、SMAでは冷却時に変位速度が遅くなるなどの課題もある。これに対して、電磁駆動手段ではこれらの問題がなく、パワーが小さくても駆動できるように可動部の軽量化を図ったカメラモジュールでは、電磁駆動手段を用いることが好適で、より大きな効果を期待できる。
【0078】
また、実施例1-1、実施例1-2では、AFおよびOISの可動部を支持する手段として、サスペンションワイヤーを含めてバネ支持構造で説明したが、これに限定される訳ではなく、ボールガイド構造や軸ガイド構造などでもかまわない。これらの支持手段では落下衝撃に強いなどのメリットもあり、多くのカメラモジュールで利用されているが、一方で、接触部分の摩擦の影響で動作が非線形となり、微小な変位が困難になるなどの課題もある。これに対して、弾性体により可動部を支持した場合には、摩擦の影響を回避することができるため、より好適である。特に、電磁駆動手段を用いた場合には、摩擦に打ち勝つだけの十分なパワーを出せないことも想定されるので、摩擦のない弾性体支持を採用することが望ましい。
【0079】
なお、実施例1-1、実施例1-2のように、撮像レンズとイメージセンサのどちらをAF動作に、どちらをOIS動作に用いてもかまわないが、ひとつの選択方法として、可動部の軽量化が可能な方をOIS用とすることが考えられる。OISの動作に比べると、AFの動作の方が高速の動きが少なく、焦点深度の範囲である程度の誤差も許容できるため、より厳しい条件が求められるOIS可動部の方を軽量化する方がよい。ただし、イメージセンサ側をOIS可動部とした場合は、イメージセンサの通電用のフレキシブルプリント基板のバネ性も考慮する必要があり、バネ性が強いようだとOIS動作に影響するので、イメージセンサ側をOIS可動部とするのを避けた方がよいケースもあり得る。
【0080】
(実施の形態2)
<実施例2-1>
図14は、本発明の実施例2-1に係るカメラモジュール1の概略構成を示す中央断面図である。
図15は、
図14の実施例2-1における磁石とコイルの配置を説明するための図で、(a)がAF駆動用、(b)がOIS駆動用である。
図16は、
図14のA部で示されるボンディングワイヤ近傍の要部拡大図である。
図14、
図15、
図16を用いて実施例2-1について説明する。
【0081】
カメラモジュール1は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スマートフォンやタブレット端末に内蔵され、写真やビデオ撮影に利用される。本発明の実施例2-1に係るカメラモジュール1は、AF機能とOIS機能の両方を有し、OIS機能については、特許文献4と同様、一般にモジュールチルト方式と呼ばれる方式で、AFカメラモジュール全体を手ブレ量に応じてチルトさせることで手ブレを補正できるカメラモジュールである。特許文献4では、イメージセンサへの通電手段としてフレキシブル配線基板が用いられていたが、本発明ではボンディングワイヤが利用される。手ブレ量の検出には図示しないジャイロセンサが用いられ、ジャイロセンサはカメラモジュールの基板や携帯機器の基板などに実装してもいいが、OIS可動部内に配置すると(たとえば、イメージセンサの底面に配置)、カメラ全体が手ブレしたときに、可動部のジャイロセンサの出力が変化しないようにOISアクチュエータを制御することで、手ブレを補正することができる。このように、可動部にジャイロセンサを設けることで、手ブレの検出と位置検出の機能を兼ねることができるので、OIS用の位置検出素子をなくすことが可能となる。AFについては、位置検出素子が配置されない構成で説明するが、位置検出素子を配置してフィードバック制御を行ってもかまわない。
【0082】
カメラモジュール1は、撮像レンズ2を光軸方向に駆動するためのAFアクチュエータ3と、AFアクチュエータ3やイメージセンサ4を一体的にチルトさせるためのOISアクチュエータ5を含む。
【0083】
撮像レンズ2は、レンズバレル6内に収納される。撮像レンズ2は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル6は、レンズホルダー7内に位置決めして搭載される。レンズホルダー7は、上下2枚のAFバネ8a、8bにより、AFベース9に対して光軸方向(図のZ軸方向)に可動に支持されている。レンズホルダー7の外周側面にはAFコイル10が巻回されている。AFコイル10に対向して、AF磁石11がAFベース9に固定されている。AF磁石11からの磁束がAFコイル10に作用し、AFコイル10に通電することでローレンツ力が発生し、撮像レンズ2、レンズバレル6、レンズホルダー7、AFコイル10などから構成されるAF可動部が光軸方向に駆動される。なお、AF可動部にあるAFコイル10に通電するためには、上下のAFバネ8a、8bのいずれか、あるいは両方を利用するとよい。AFバネ8a、8bのAFベース9側からイメージセンサ4、後述するボンディングワイヤなどを経由して通電ラインが形成される。
【0084】
AFアクチュエータ3はAFカバー12で覆われており、センサーカバー13上に搭載されている。AFカバー12の中央には開口12aが設けられ、撮像レンズ2に光が入射する経路となる。AFカバー12は、アクチュエータとしての可動範囲をメカニカルに規制するためのストッパーの役割もあるので、金属である方が望ましい。センサーカバー13の上面側中央部には開口があり、IRカットガラス14によって開口が蓋をされている。イメージセンサ4はセンサーカバー13によってカバーされている。少なくともイメージセンサ4の受光部分は、センサーカバー13、IRカットガラス14によって囲まれた内部にあり、受光部分に異物が付着するのを防止している。以上により、AFアクチュエータ3、イメージセンサ4などからなり、AF機能を有したカメラモジュールが形成される。
【0085】
OISの機能を達成するためには、手ブレ信号に応じてAFのカメラモジュール全体をチルトさせる。AFのカメラモジュールは、OISバネ15によってモジュールベース16に対してチルト運動可能なように支持されている。OISバネ15は、部分的にねじれ変形が生じやすいヒンジ構造にするとよい。OISアクチュエータ5として機能させるため、AFカバー12の外面にOIS磁石17を配置し、これに対向してOISコイル18が設けられる。カメラモジュール1全体はモジュールカバー19で覆われている。モジュールカバー19の中央には開口19aが設けられ、撮像レンズ2に光が入射する経路となる。OISコイル18は、モジュールカバー19の内壁面に固定されている。OIS磁石17からの磁束がOISコイル18に作用し、OISコイル18に通電することでローレンツ力が発生し、AFカメラモジュールがチルト運動できる。なお、OIS磁石17とOISコイル18のペアは、対向する2辺にそれぞれ、図のように左右に設けられ、これがたとえばY軸まわりのチルト駆動手段となる。これとは90度異なる辺にも、同様に図示しないOIS磁石とOISコイルのペアが設けられており、これらがX軸まわりのチルト駆動手段となる。可動部がチルト運動するためには、図の左側のOIS磁石に上向きの力が働く場合、図の右側のOIS磁石には下向きの力が働くように、電流の方向を制御する必要がある。
【0086】
モジュールベース16の底面にはモジュール基板20が設けられており、カメラモジュール1のすべての電気的な配線は、最終的にはモジュール基板20上に集約される。イメージセンサ4が可動部に搭載されているため、可動部にあるイメージセンサ4と固定部にあるモジュール基板20とを電気的に接続するためにボンディングワイヤ21を用いる。図では、左右一本ずつのボンディングワイヤ21しか示していないが、実際には多数本のボンディングワイヤ21が接続されている。ボンディングワイヤ21は非常に細く、一本一本のバネ性も弱いため、たとえ多数本集まったとしても、フレキシブル配線基板を用いた場合と比べるとバネ性の影響を極力低減することができる。また、ボンディングワイヤ21の断面はほぼ円形であり、撓んだ際のバネ性の方向性がなく、複数の方向の動きに対してもバネ性の影響を低減することができる。
【0087】
イメージセンサ4とボンディングワイヤ21との接続部分は、センサーカバー13で囲まれた領域の外側に位置する。イメージセンサ4の信号ラインだけでなく、AFコイル10やOISコイル18の端子も、AFバネ8a、8bや図示しないフレキシブルプリント回路基板(FPC)、ボンディングワイヤ21などを経由して、最終的にはモジュール基板20に電気的に接続される。AFコイル10の通電手段としてもボンディングワイヤ21を用いるとしても、その分のボンディングワイヤの本数を追加するだけで、容易に通電が可能になる。イメージセンサへの通電に必要なボンディングワイヤの本数に比べて、コイル等への通電に必要なボンディングワイヤの本数ははるかに少なく、本数追加による影響は小さい。
【0088】
AFコイル10、OISコイル18の端子は、最終的には図示しないアクチュエータドライバに接続される。アクチュエータドライバは、モジュール基板20に実装される。アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。
【0089】
次に、AFアクチュエータ3、OISアクチュエータ5における磁石とコイルの位置関係、動作について、
図15を用いてもう少し詳しく説明する。
【0090】
図15(a)はAFコイル10とAF磁石11の位置関係を示している。AF磁石11は図の左右方向に着磁されており、N極、S極の向きを図の通りとする。AF磁石11に対向してAFコイル10が配置されており、AFコイル10に紙面奥から手前に向かって電流が流れたとすると、フレミングの左手法則にしたがって、AFコイル10は図の下向き(白抜き矢印の方向)に力を受ける。逆向きの電流を流せば、逆向きの力を受ける。以上により、AF可動部は駆動される。
【0091】
図15(b)はOIS磁石17とOISコイル18の位置関係を示している。OIS磁石17は、図の左右方向に着磁されているが、図のようにN極、S極の向きが途中で逆転する2極着磁となっている。OIS磁石17に対向してOISコイル18が配置されている。OISコイル18は扁平型のコイルであり、図の上側のコイル辺に紙面奥から手前に向かって電流が流れているとすると、下側のコイル辺には紙面手前から奥に向かって電流が流れる。このとき、フレミングの左手法則にしたがって、OISコイル18の上下辺はともに図の下向き(白抜き矢印の方向)に力を受ける。逆向きの電流を流せば、逆向きの力を受ける。前述の通り、このような磁石とコイルの組合せがカメラモジュールの対向辺にもうひと組存在しており、力の方向が逆になるように電流を制御すると、OIS可動部はチルト動作する。
【0092】
次に、イメージセンサ4に対する通電手段であるボンディングワイヤ21の構造について、
図16を用いてもう少し詳しく説明する。
【0093】
ボンディングワイヤ21は、可動部にあるイメージセンサ4と固定部にあるモジュール基板20とを電気的に接続している。ボンディングワイヤ21の材料としては、一般に金が用いられるが、アルミニウムなど他の金属でもかまわない。ボンディングワイヤ21の先端をイメージセンサ4やモジュール基板20の図示しないパッドに押し付け、超音波を印加するなどしてワイヤとパッドを接続する。ここで、ボンディングワイヤ21先端の接続部分は、接続時に荷重が加えられたり、超音波のエネルギーが与えられたりするため、ワイヤ径が変化して弱くなったり、また先端部には振動時にモーメントが集中するので、断線のリスクが高まる。通常のLSIのワイヤーボンディングであれば、その状態から変化することはないし、全体をパッケージとして樹脂で固めれば、断線リスクがそれ以上に大きくなることはない。また、特許文献5のような場合でも、調整後は動かさないので、断線リスクがそれ以上に大きくなることはない。しかしながら、本発明のようにボンディングワイヤ21の一端が可動部に設けられる場合は、常にボンディングワイヤ21に力が加わるので、断線対策をしておいた方がいい。かといって、ボンディングワイヤ21全体を樹脂で固めると、動かすことが困難になる。そこで、
図16のように、ボンディングワイヤ21の先端部分のみ、樹脂22で固めることが望ましい。ここで用いる樹脂22は、硬化してもあまり硬くならず、ゴム状の弾性を有するような樹脂材料が望ましい。樹脂で固定されるのは両端のみであるので、ボンディングワイヤ21の中央部分は自由に撓むことができる。
【0094】
<実施例2-2>
図17は、本発明の実施例2-2に係るカメラモジュールの概略構成を示す中央断面図である。
図18は、
図17の実施例2-2における磁石とコイルとホール素子の配置を説明するための図である。
図17、
図18を用いて実施例2-2について説明する。
【0095】
本発明の実施例2-2に係るカメラモジュール31は、AF機能とOIS機能の両方を有し、そのためにイメージセンサを3軸方向に駆動する。OIS機能については、特許文献4とは異なり、撮像レンズとイメージセンサを光軸に垂直な方向に相対変位させるシフト方式である。イメージセンサへの通電手段としては、実施例2-1と同様、ボンディングワイヤが利用される。手ブレ量の検出には図示しないジャイロセンサが用いられ、ジャイロセンサはカメラモジュールの基板や携帯機器の基板などに実装されている。ジャイロセンサによる手ブレに応じて、OIS可動部をフィードバック制御するため、OIS可動部の位置を検出するための位置検出手段を備えている。AFについては、位置検出を行わないことで説明するが、AFについても位置検出して、フィードバック制御してもかまわない。
【0096】
カメラモジュール31は、イメージセンサ32を光軸方向に駆動するためのAFアクチュエータ33と、AFアクチュエータ33全体を光軸と垂直な方向に駆動するためのOISアクチュエータ34を含む。
【0097】
撮像レンズ35は、レンズバレル36内に収納される。撮像レンズ35は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル36は、ベース37内に位置決めして搭載される。すなわち、撮像レンズ35は固定であり、AFやOISのために動かさない。
【0098】
イメージセンサ32はセンサーカバー38によってカバーされている。センサーカバー38の上面側中央部には開口があり、IRカットガラス39によって開口が蓋をされている。少なくともイメージセンサ32の受光部分は、センサーカバー38、IRカットガラス39によって囲まれた内部にあり、受光部分に異物が付着するのを防止している。センサーカバー38は、上下2枚のAFバネ40a、40bにより、マグネットホルダー41に対して光軸方向(図のZ軸方向)に可動に支持されている。センサーカバー38の外周側面にはAFコイル42が巻回されている。AFコイル42に対向して、磁石43がマグネットホルダー41に固定されている。磁石43からの磁束がAFコイル42に作用し、AFコイル42に通電することでローレンツ力が発生し、イメージセンサ32、センサーカバー38、IRカットガラス39、AFコイル42などから構成されるAF可動部が光軸方向に駆動される。なお、AF可動部にあるAFコイル42に通電するために、イメージセンサ32、後述するボンディングワイヤなどを経由して通電ラインが形成される。
【0099】
マグネットホルダー41は、4本のサスペンションワイヤ44により、光軸に垂直な方向(図のX軸方向およびY軸方向)に可動に支持されている。サスペンションワイヤ44は、マグネットホルダー41に直接、接続される訳ではなく、サスペンションワイヤ44の下端が衝撃吸収バネ45を介して接続される。衝撃吸収バネ45は、サスペンションワイヤ44の長手方向の衝撃を吸収するためのもので、サスペンションワイヤ44は長手方向の伸縮許容量が小さく、落下衝撃等により破損しやすいため、サスペンションワイヤ44が伸縮する代わりに衝撃吸収バネ45が撓んで、サスペンションワイヤ44の破損を防ぐ。サスペンションワイヤ44の上端は、固定部であるベース37に接続される。サスペンションワイヤ44を通電に利用する場合は、ベース37に貼り付けられたフレキシブルプリント回路基板(FPC)(図示せず)に接続してもよい。このような場合は、サスペンションワイヤ44の下端を衝撃吸収バネ45に、上端をFPCに、それぞれ半田で固定するとよい。ベース37の下面には、磁石43に対向してOISコイル46が固定されている。磁石43からの磁束がOISコイル46に作用し、OISコイル46に通電することでローレンツ力が発生し、AFアクチュエータ33、マグネットホルダー41、磁石43などから構成されるOIS可動部が光軸に垂直な方向に駆動される。磁石43はOIS駆動用とAF駆動用で併用される。このように、共通の磁石をOIS用とAF用で共用することにより、部品点数を削減することができる。
【0100】
ベース37の底面にはモジュール基板47が設けられており、カメラモジュール31のすべての電気的な配線は、最終的にはモジュール基板47上に集約される。イメージセンサ32が可動部に搭載されているため、可動部にあるイメージセンサ32と固定部にあるモジュール基板47とを電気的に接続するためにボンディングワイヤ48を用いる。図では、左右一本ずつのボンディングワイヤ48しか示していないが、実際には多数本のボンディングワイヤ48が接続されている。ボンディングワイヤ48は非常に細く、一本一本のバネ性も弱いため、たとえ多数本集まったとしても、フレキシブル配線基板を用いた場合と比べるとバネ性の影響を極力低減することができる。また、ボンディングワイヤ48の断面はほぼ円形であり、撓んだ際のバネ性の方向性がなく、複数の方向の動きに対してもバネ性の影響を低減することができ、特に実施例2-2のようにイメージセンサ32が3軸方向に駆動される場合には効果的である。なお、ボンディングワイヤ48の両端の接続部分は、実施例2-1と同様、樹脂で固定しておくことが望ましい。
【0101】
イメージセンサ32とボンディングワイヤ48との接続部分は、センサーカバー38で囲まれた領域の外側に位置する。イメージセンサ32の信号ラインだけでなく、AFコイル42もボンディングワイヤ48を経由して、最終的にはモジュール基板47に電気的に接続される。AFコイル42の通電手段としてもボンディングワイヤ48を用いるとしても、その分のボンディングワイヤの本数を追加するだけで、容易に通電が可能になる。イメージセンサへの通電に必要なボンディングワイヤの本数に比べて、コイルへの通電に必要なボンディングワイヤの本数ははるかに少なく、本数追加による影響は小さい。なお、AFコイル42の電気的な経路については、AFバネ40a、40b、衝撃吸収バネ45、サスペンションワイヤ44などを経由して、OISコイル46が実装されたFPC(図示せず)に接続し、FPCをモジュール基板47に接続してもよい。
【0102】
実施例2-2では、OIS用の位置検出手段を備えている。イメージセンサ32の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、目標位置への位置決め精度を高めたり、外乱振動を受けた場合にも所定の位置に保持したりできる。OIS用の位置検出手段は、磁石43と、磁石43に対向してベース37に設けられたホール素子49とから構成される。磁石43がOIS駆動によって変位すると、ホール素子49に入射する磁束密度の大きさが変化し、位置検出信号として出力される。ホール素子49は、OISコイル46の巻き線の内側に配置されて、省スペース化が図られているが、コイルの巻き線の内側に配置されたホール素子には、コイルへの通電によって発生する磁束が入射し、ノイズとなるため、これを避けたい場合はコイルの巻き線の外側に配置してもよい。磁石43は、AFおよびOIS用の駆動磁石としての役割だけでなく、OISの位置検出手段の一部としても活用される。ホール素子49は、OISコイル46が実装されたFPC(図示せず)に接続される。
【0103】
ホール素子49や、OISコイル46、AFコイル42などの端子は、図示しないアクチュエータドライバに接続される。アクチュエータドライバは、モジュール基板47に実装される。ホール素子49は、ホール素子を内蔵したアクチュエータドライバであってもよい。アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。なお、
図17で図示されるOISコイル46とホール素子49は、X軸方向の位置検出手段であり、90度ずれた方向にY軸方向用のOISコイルとホール素子が同様に存在する。
【0104】
カメラモジュール31全体はカバー50で覆われている。カバー50の中央には開口50aが設けられ、撮像レンズ35に光が入射する経路となる。
【0105】
次に、AFアクチュエータ33、OISアクチュエータ34における磁石とコイルとホール素子の位置関係、動作について、
図18を用いてもう少し詳しく説明する。
【0106】
磁石43のN極から出た磁束がS極に戻る間に、OISコイル46の一部を貫く。このとき、OISコイル46に通電すると、磁束の方向および電流の方向(コイルの巻き線方向)のそれぞれに垂直な方向にローレンツ力が作用する。磁束は、図に示すように、OISコイル46に対して斜めに入射する。OISコイル46を貫く磁束のうち、Z軸方向の成分はコイルの右側と左側で逆向きになり、電流も逆向きなので、ローレンツ力の向きは同じでX軸方向のOIS推力を生む。一方、OISコイル46を貫く磁束のうち、X軸方向の成分はコイルの右側と左側で同じ向きであり、電流が逆向きなので両者による力は打ち消しあう。OISコイル46は扁平型であり、図の左側の辺に紙面奥から手前の方向に電流が流れるとすると、右側の辺には紙面手前から奥の方向に電流が流れ、OISコイル46は図の右向きのローレンツ力を受ける。OISコイル46はベース37に固定されているため、ローレンツ力は反作用により磁石43を左側に動かそうとする力となる。
【0107】
また、磁石43のS極に戻る磁束は、AFコイル42を貫く。このとき、AFコイル42に通電すると、磁束の方向および電流の方向(コイルの巻き線方向)のそれぞれに垂直な方向にローレンツ力が作用する。磁束の方向がX軸方向、電流の方向がY軸方向なので、AF推力はZ軸方向に作用する。AFコイル42に、図のように紙面奥から手前の方向に電流が流れるとすると、ローレンツ力はAFコイル42を上方向に動かそうとするように作用する。
【0108】
ホール素子49は、そのチップ面に垂直な方向(図ではZ軸方向)の磁束密度とその向きを検出する。
図18のように、磁石43の分極線(破線で示す)に対向する位置にホール素子49がある場合、ホール素子49の位置では磁束はX軸方向のため、ホール素子49が検出する磁束密度は0である。しかしながら、磁石43がX軸方向にシフトした場合、ホール素子49に入射する磁束はZ軸方向の成分をもつようになり、変位量に応じたホール検出信号が得られる。
【0109】
<実施例2-3>
図19は、本発明の実施例2-3に係るカメラモジュールの概略構成を示す中央断面図である。
図20は、
図19の実施例2-3における磁石とコイルとホール素子の配置を説明するための図で、(a)がAF駆動用、(b)がOIS駆動用である。
図19、
図20を用いて実施例2-3について説明する。
【0110】
本発明の実施例2-3に係るカメラモジュール51は、AF機能とOIS機能の両方を有し、そのためにイメージセンサを3軸方向に駆動する。OIS機能については、撮像レンズとイメージセンサを光軸に垂直な方向に相対変位させるシフト方式である。イメージセンサへの通電手段としては、ボンディングワイヤが利用される。ここまでは実施例2-2と同じである。実施例2-2と異なるのは、実施例2-2では、可動部の支持手段としてバネやサスペンションワイヤを用いていたのに対し、実施例2-3では、ボールガイドを用いている点である。本発明は、支持手段としてボールを用いたイメージセンサアクチュエータに対しても適用できる。
【0111】
手ブレ量の検出には図示しないジャイロセンサが用いられ、ジャイロセンサはカメラモジュールの基板や携帯機器の基板などに実装されている。ジャイロセンサによる手ブレに応じて、OIS可動部をフィードバック制御するため、OIS可動部の位置を検出するための位置検出手段を備えている。また、AFについても、ボールガイド構造では中立位置保持が困難なため、位置検出手段を備え、フィードバック制御による位置制御を行っている。
【0112】
カメラモジュール51は、イメージセンサ52を光軸に垂直な方向に駆動するためのOISアクチュエータ53と、OISアクチュエータ53全体を光軸方向に駆動するためのAFアクチュエータ54を含む。
【0113】
撮像レンズ55は、レンズバレル56内に収納される。撮像レンズ55は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル56は、ベース57内に位置決めして搭載される。すなわち、撮像レンズ55は固定であり、AFやOISのために動かさない。
【0114】
イメージセンサ52はセンサーカバー58によってカバーされている。センサーカバー58の上面側中央部には開口があり、IRカットガラス59によって開口が蓋をされている。少なくともイメージセンサ52の受光部分は、センサーカバー58、IRカットガラス59によって囲まれた内部にあり、受光部分に異物が付着するのを防止している。センサーカバー58は、OIS用ボール60によって図のX、Y軸方向可動にOISベース61に対して支持されている。図では、OIS用ボール60は1層構造で、XとYの2軸方向に転がる構造だが、ボールを2層構造にして、1層ずつ1軸方向に転がる構造としてもかまわない。OISベース61は、AF用ボール62によって図のZ軸方向可動にベース57に対して支持されている。以上のように、可動部をボールによって支持する構造は、バネ支持の場合のような不要共振が生じるリスクが小さいメリットがある一方、摩擦の影響を受けるというデメリットもある。何を優先するかによって、支持手段を選択すればよい。
【0115】
センサーカバー58にはOIS磁石63が固定されている。OIS磁石63に対向して、OISコイル64がベース57に固定されている。OISコイル64に通電することでOISコイル64が電磁石となり、OIS磁石との間の磁気的相互作用により、イメージセンサ52、センサーカバー58、IRカットガラス59、OIS磁石63などから構成されるOIS可動部が光軸に垂直な方向に駆動される。
【0116】
一方、OISベース61にはAF磁石65が固定されている。AF磁石65に対向して、AFコイル66がベース57に固定されている。AF磁石65からの磁束がAFコイル66に作用し、AFコイル66に通電することでローレンツ力が発生し、OIS可動部、OIS用ボール60、OISベース61、AF磁石65などから構成されるAF可動部が光軸方向に駆動される。
【0117】
ベース57の底面にはモジュール基板67が設けられており、カメラモジュール51のすべての電気的な配線は、最終的にはモジュール基板67上に集約される。イメージセンサ52が可動部に搭載されているため、可動部にあるイメージセンサ52と固定部にあるモジュール基板67とを電気的に接続するためにボンディングワイヤ68を用いる。イメージセンサ52とボンディングワイヤ68との接続部分は、センサーカバー58で囲まれた領域の外側に位置する。図では、左右一本ずつのボンディングワイヤ68しか示していないが、実際には多数本のボンディングワイヤ68が接続されている。ボンディングワイヤ68は非常に細く、一本一本のバネ性も弱いため、たとえ多数本集まったとしても、バネ性の影響を極力低減することができる。また、ボンディングワイヤ68の断面はほぼ円形であり、撓んだ際のバネ性の方向性がなく、複数の方向の動きに対してもバネ性の影響を低減することができ、特にイメージセンサ52が3軸方向に駆動される場合には効果的である。なお、ボンディングワイヤ68の両端の接続部分は、実施例2-1と同様、樹脂で固定しておくことが望ましい。
【0118】
実施例2-3では、OIS用とAF用の位置検出手段を備えている。イメージセンサ52の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、目標位置への位置決め精度を高めたり、外乱振動を受けた場合にも所定の位置に保持したりできる。OIS用の位置検出手段は、OIS磁石63と、OIS磁石63に対向してベース57に設けられたホール素子69とから構成される。OIS磁石63がOIS駆動によって変位すると、ホール素子69に入射する磁束密度の大きさが変化し、位置検出信号として出力される。ホール素子69は、OISコイル64の巻き線の内側に配置されて、省スペース化が図られているが、コイルの巻き線の内側に配置されたホール素子には、コイルへの通電によって発生する磁束が入射し、ノイズとなるため、これを避けたい場合はコイルの巻き線の外側に配置してもよい。ホール素子69は、OISコイル64が実装されたFPC(図示せず)に接続される。
【0119】
一方、AF用の位置検出手段は、AF磁石65と、AF磁石65に対向してベース57に設けられたホール素子70とから構成される。AF磁石65がAF駆動によって変位すると、ホール素子70に入射する磁束密度の大きさが変化し、位置検出信号として出力される。ホール素子70は、AFコイル66の巻き線の内側に配置されて、省スペース化が図られているが、OISと同様、巻き線の外側に配置してもよい。ホール素子70は、AFコイル66が実装されたFPC(図示せず)に接続される。
【0120】
ホール素子69や70、OISコイル64、AFコイル66などの端子は、図示しないアクチュエータドライバに接続される。アクチュエータドライバは、モジュール基板67に実装される。ホール素子69や70は、ホール素子を内蔵したアクチュエータドライバであってもよい。アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。なお、
図19で図示されるOISコイル64とホール素子69は、X軸方向の位置検出手段であり、90度ずれた方向にY軸方向用のOISコイルとホール素子が同様に存在する。
【0121】
カメラモジュール51全体はカバー71で覆われている。カバー71の中央には開口71aが設けられ、撮像レンズ55に光が入射する経路となる。
【0122】
次に、OISアクチュエータ53およびAFアクチュエータ54における磁石とコイルとホール素子の位置関係、動作について、
図20を用いてもう少し詳しく説明する。
【0123】
図20(a)はAFコイル10とAF磁石11とホール素子70の位置関係を示している。AF磁石65は、図の左右方向に着磁されているが、図のようにN極、S極の向きが途中で逆転する2極着磁となっている。AF磁石65に対向してAFコイル66が配置されている。AFコイル66は扁平型のコイルであり、図の上側のコイル辺に紙面奥から手前に向かって電流が流れているとすると、下側のコイル辺には紙面手前から奥に向かって電流が流れる。このとき、フレミングの左手法則にしたがって、AFコイル66の上下辺はともに図の下向き(白抜き矢印の方向)に力を受ける。AFコイル66はベース57に固定されているので、その反作用でAF磁石が図の上向き(白抜き矢印の方向)に力を受け、変位する。逆向きの電流を流せば、逆向きの力を受ける。ホール素子70は、そのチップ面に垂直な方向(図ではX軸方向)の磁束密度とその向きを検出する。
図20のように、AF磁石65の2極着磁の反転境界線(破線で示す)に対向する位置にホール素子70がある場合、ホール素子70の位置では磁束はZ軸方向のため、ホール素子70が検出する磁束密度は0である。しかしながら、AF磁石65がZ軸方向にシフトした場合、ホール素子70に入射する磁束はX軸方向の成分をもつようになり、変位量に応じたホール検出信号が得られる。
【0124】
一方、
図20(b)はOIS磁石63とOISコイル64とホール素子69の位置関係を示している。OISコイル46は扁平型であり、図のように、OISコイル64の上側の辺に紙面奥から手前の方向に電流を流すとすると、下側の辺には紙面手前から奥の方向に電流が流れる。このとき、OISコイル64は電磁石として作用し、図の右側に向かって磁束が発生する。OIS磁石63の着磁方向が図の通りだとすると、OIS磁石63とOISコイル64とは反発し合い、OISコイル64がベース57に固定されているため、OIS磁石63は図の右側に変位する。逆向きの電流を流せば、OIS磁石63とOISコイル64は吸引し合い、OIS磁石63は図の左側に変位する。ホール素子69は、そのチップ面に垂直な方向(図ではX軸方向)の磁束密度とその向きを検出する。
図20のように、OIS磁石63の磁極面(図ではN極)に対向してホール素子69が配置されており、OIS磁石63との距離に応じてホール素子69に入射する磁束密度の大きさが変化し、変位量に応じたホール検出信号が得られる。
【0125】
<実施例2-4>
図21は、本発明の実施例2-4に係るカメラモジュールの概略構成を示す中央断面図である。
図21を用いて実施例2-4について説明する。
【0126】
本発明の実施例2-4に係るカメラモジュール81は、AF機能とOIS機能の両方を有し、そのためにイメージセンサを3軸方向に駆動する。OIS機能については、撮像レンズとイメージセンサを光軸に垂直な方向に相対変位させるシフト方式である。イメージセンサへの通電手段としては、ボンディングワイヤが利用される。また、可動部を支持する手段としてボールガイドが用いられる。AF用のボールについては図示していないが、断面からは見えない位置にガイド用のボール(シャフトでもよい)が存在する。ここまでは実施例2-3と同じである。実施例2-3と異なるのは、実施例2-3では、駆動手段として磁気的な力を利用していたのに対し、実施例2-4では、駆動手段として形状記憶合金(SMA)を用いている点である。本発明は、駆動手段としてSMAを用いたイメージセンサアクチュエータに対しても適用できる。
【0127】
手ブレ量の検出には図示しないジャイロセンサが用いられ、ジャイロセンサはカメラモジュールの基板や携帯機器の基板などに実装されている。ジャイロセンサによる手ブレに応じて、OIS可動部をフィードバック制御するため、OIS可動部の位置を検出するための位置検出手段を備えている。位置検出手段として、SMA材料の抵抗値を利用してもよい。また、AFについても位置検出手段を備えていてもよい。
【0128】
カメラモジュール81は、イメージセンサ82を光軸方向に駆動するためのAFアクチュエータ83と、AFアクチュエータ83全体を光軸と垂直な方向に駆動するためのOISアクチュエータ84を含む。
【0129】
撮像レンズ85は、レンズバレル86内に収納される。撮像レンズ85は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル86は、ベース87内に位置決めして搭載される。すなわち、撮像レンズ85は固定であり、AFやOISのために動かさない。
【0130】
イメージセンサ82はセンサーカバー88によってカバーされている。センサーカバー88の上面側中央部には開口があり、IRカットガラス89によって開口が蓋をされている。少なくともイメージセンサ82の受光部分は、センサーカバー88、IRカットガラス89によって囲まれた内部にあり、受光部分に異物が付着するのを防止している。センサーカバー88は、図示しないボールによって、図のZ軸方向可動にAFベース90に対して支持されている。センサーカバー88は、与圧バネ91によって、図の下方向に押し付けられるような与圧を受けている。センサーカバー88とAFベース90との間には、AF用SMAワイヤ92が橋渡しされており、AF用SMAワイヤ92に電流を印加すると、その抵抗加熱によりAF用SMAワイヤ92の温度が上がり、AF用SMAワイヤ92が縮むことで与圧バネの反力に打ち勝つ力が発生し、センサーカバー88は図の上方向に引張上げられる。与圧バネ91の力とAF用SMAワイヤ92の収縮力の釣り合いによって、センサーカバー88の位置が決まる。SMAワイヤに印加する電流量を減らすと、与圧バネ91の力の方が上回って、センサーカバー88は図の下方向に変位する。
【0131】
AFベース90は、OIS用ボール93によって図のX、Y軸方向可動にベース87に対して支持されている。図では、OIS用ボール93は1層構造で、XとYの2軸方向に転がる構造だが、ボールを2層構造にして、1層ずつ1軸方向に転がる構造としてもかまわない。AFベース90とベース87との間には、左右一対のOIS用SMAワイヤ94a、94bが橋渡しされている。図のOIS用SMAワイヤ94a、94bはX軸方向駆動用のSMAワイヤであるが、90度方向ずらした方向に図示しないY軸方向駆動用のSMAワイヤも存在する。左右のOIS用SMAワイヤ94a、94bにバイアス電流を流しておき、両者で引っ張り合うことで釣り合わせる。ここで、たとえば左のOIS用SMAワイヤ94aの電流をプラスし、右のOIS用SMAワイヤ94bの電流をマイナスすると、左のOIS用SMAワイヤ94aが縮み、その力で右のOIS用SMAワイヤ94bが伸びるので、AFベース90は図の左に動く。逆の電流の増減を行えば、AFベース90は図の右に動く。以上により、イメージセンサ82をX軸方向に駆動することができる。Y軸方向の駆動も同様である。
【0132】
ベース87の底面にはモジュール基板95が設けられており、カメラモジュール81のすべての電気的な配線は、最終的にはモジュール基板95上に集約される。イメージセンサ82が可動部に搭載されているため、可動部にあるイメージセンサ82と固定部にあるモジュール基板95とを電気的に接続するためにボンディングワイヤ96を用いる。イメージセンサ82とボンディングワイヤ96との接続部分は、センサーカバー88で囲まれた領域の外側に位置する。図では、左右一本ずつのボンディングワイヤ96しか示していないが、実際には多数本のボンディングワイヤ96が接続されている。ボンディングワイヤ96は非常に細く、一本一本のバネ性も弱いため、たとえ多数本集まったとしても、バネ性の影響を極力低減することができる。また、ボンディングワイヤ96の断面はほぼ円形であり、撓んだ際のバネ性の方向性がなく、複数の方向の動きに対してもバネ性の影響を低減することができ、特にイメージセンサ82が3軸方向に駆動される場合には効果的である。なお、ボンディングワイヤ96の両端の接続部分は、実施例2-1と同様、樹脂で固定しておくことが望ましい。
【0133】
カメラモジュール81全体はカバー97で覆われている。カバー97の中央には開口97aが設けられ、撮像レンズ85に光が入射する経路となる。
【0134】
<実施例2-5>
実施例2-2から実施例2-4では、撮像レンズを固定し、イメージセンサをAFとOISのために3軸方向に駆動する例で説明したが、AF用途とOIS用途で可動部を撮像レンズとイメージセンサとしてそれぞれ別々に駆動する場合にも、本発明は適用することができる。
図22は、本発明の実施例2-5に係るカメラモジュールの概略構成を示す中央断面図である。実施例2-5では、イメージセンサをAFのために光軸方向に駆動し、撮像レンズをOISのために光軸に垂直な方向に駆動する。そして、イメージセンサへの通電のためにボンディングワイヤを利用する。
【0135】
図22において、カメラモジュール101は、撮像レンズ102を光軸に垂直な方向に駆動するためのOISアクチュエータ103と、イメージセンサ104を撮像レンズの光軸方向に駆動するためのAFアクチュエータ105を含む。
【0136】
撮像レンズ102は、レンズバレル106内に収納される。撮像レンズ102は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル106は、レンズホルダー107内に位置決めして搭載される。レンズホルダー107は、4本のサスペンションワイヤ108により、光軸に垂直な方向(図のX軸方向およびY軸方向)に可動に支持されている。サスペンションワイヤ108は、レンズホルダー107に直接、接続される訳ではなく、サスペンションワイヤ108の上端が衝撃吸収バネ109を介して接続される。衝撃吸収バネ109は、サスペンションワイヤ108の長手方向の衝撃を吸収するためのもので、サスペンションワイヤ108は長手方向の伸縮許容量が小さく、落下衝撃等により破損しやすいため、サスペンションワイヤ108が伸縮する代わりに衝撃吸収バネ109が撓んで、サスペンションワイヤ108の破損を防ぐ。サスペンションワイヤ108の下端は、固定部であるベース110に接続される。サスペンションワイヤ108を通電に利用する場合は、ベース110に貼り付けられたFPC(図示せず)に接続してもよい。このような場合は、サスペンションワイヤ108の上端を衝撃吸収バネ109に、下端をFPCに、それぞれ半田で固定するとよい。レンズホルダー107の下面にはOISコイル111が固定されている。OISコイル111に対向して、ベース110には駆動用磁石112が固定されている。駆動用磁石112からの磁束がOISコイル111に作用し、OISコイル111に通電することでローレンツ力が発生し、撮像レンズ102、レンズバレル106、レンズホルダー107、OISコイル111などから構成されるOIS可動部が光軸に垂直な方向に駆動される。
【0137】
ベース110の底面にはモジュール基板113が設けられており、カメラモジュール101のすべての電気的な配線は、最終的にはモジュール基板113上に集約される。イメージセンサ104は、センサーカバー114によってカバーされている。センサーカバー114の中央部には開口があり、IRカットガラス115によって開口が蓋をされている。センサーカバー114の側面にはAFコイル116が巻回されている。センサーカバー114は、上下のAFバネ117a、117bにより、固定部(ベース110)に対して光軸方向(図のZ軸方向)に可動に支持されている。AFコイル116に対向して、駆動用磁石112が配置されている。駆動用磁石112はOIS駆動用とAF駆動用で併用される。このように、共通の磁石をOIS用とAF用で共用することにより、部品点数を削減することができる。駆動用磁石112からの磁束がAFコイル116に作用し、AFコイル116に通電することでローレンツ力が発生し、イメージセンサ104、センサーカバー114、IRカットガラス115、AFコイル116などから構成されるAF可動部が光軸方向に駆動される。なお、AF可動部にあるAFコイル116に通電するためには、上下のAFバネ117a、117bのいずれか、あるいは両方を利用するとよい。あるいは、ボンディングワイヤ118を利用してもよい。また、AF可動部にあるイメージセンサ104に通電するためには、多数本の通電手段が必要となるため、ボンディングワイヤ118を利用する。ボンディングワイヤ118は多数本となるが、一本一本のバネ性は非常に弱く、ボンディングワイヤ118のバネ性が可動部の動きに与える影響は非常に小さい。なお、ボンディングワイヤ118の両端の接続部分は、実施例2-1と同様、樹脂で固定しておくことが望ましい。
【0138】
実施例2-5では、OIS用の位置検出手段を備えている。撮像レンズ102の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、目標位置への位置決め精度を高めたり、外乱振動を受けた場合にも所定の位置に保持したりできる。OIS用の位置検出手段は、OIS可動部(レンズホルダー107)に搭載された位置検出用磁石119と、位置検出用磁石119に対向して固定部(ベース110)に設けられたホール素子120から構成される。位置検出用磁石119がOIS駆動によって変位すると、ホール素子120に入射する磁束密度の大きさが変化し、位置検出信号として出力される。ホール素子120は、駆動用磁石112やOISコイル111からの磁束の影響を低減するため、これらから少し離れた位置に配置される。ホール素子120や、サスペンションワイヤ108などを経由して接続されるOISコイル111の端子は、図示しないアクチュエータドライバに接続される。ホール素子120は、ホール素子を内蔵したアクチュエータドライバであってもよい。アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。なお、
図22で図示されるOIS用の位置検出手段は、X軸方向の位置検出手段であり、90度ずれた方向にY軸方向用の位置検出手段が同様に存在する。
【0139】
カメラモジュール101全体はカバー121で覆われている。カバー121の中央には開口121aが設けられ、撮像レンズ102に光が入射する経路となる。カバー121は、アクチュエータとしての可動範囲をメカニカルに規制するためのストッパーの役割もあるので、金属である方が望ましい。
【0140】
<実施例2-6>
実施例2-5では、撮像レンズをOISのために駆動し、イメージセンサをAFのために駆動するとともに、AF可動部になるイメージセンサへの通電にボンディングワイヤを用いる例を示したが、可動部と駆動方向の組み合わせは逆でもかまわない。
図23は、本発明の実施例2-6に係るカメラモジュールの概略構成を示す中央断面図である。実施例2-6では、撮像レンズをAFのために光軸方向に駆動し、イメージセンサをOISのために光軸に垂直な方向に駆動する。そして、イメージセンサへの通電のためにボンディングワイヤを利用する。
【0141】
図23において、カメラモジュール131は、撮像レンズ132を光軸方向に駆動するためのAFアクチュエータ133と、イメージセンサ134を撮像レンズの光軸に垂直な方向に駆動するためのOISアクチュエータ135を含む。
【0142】
撮像レンズ132は、レンズバレル136内に収納される。撮像レンズ132は、図中では3個で表示しているが、4個以上であってもかまわないし、2個以下であってもかまわない。レンズバレル136は、レンズホルダー137内に位置決めして搭載される。レンズホルダー137は、上下2枚のAFバネ138a、138bにより、ベース139に対して光軸方向(図のZ軸方向)に可動に支持されている。レンズホルダー137の側面にはAFコイル140が巻回されている。AFコイル140に対向して、駆動用磁石141が配置されている。駆動用磁石141からの磁束がAFコイル140に作用し、AFコイル140に通電することでローレンツ力が発生し、撮像レンズ132、レンズバレル136、レンズホルダー137、AFコイル140などから構成されるAF可動部が光軸方向に駆動される。なお、AF可動部にあるAFコイル140に通電するためには、上下のAFバネ138a、138bのいずれか、あるいは両方を利用するとよい。
【0143】
ベース139の底面にはモジュール基板142が設けられており、カメラモジュール131のすべての電気的な配線は、最終的にはモジュール基板142上に集約される。イメージセンサ134は、センサーカバー143によってカバーされている。センサーカバー143の中央部には開口があり、IRカットガラス144によって開口が蓋をされている。センサーカバー143は、4本のサスペンションワイヤ145により、固定部(ベース139)に対して光軸に垂直な方向(図のX軸方向およびY軸方向)に可動に支持されている。サスペンションワイヤ145は、センサーカバー143に直接、接続される訳ではなく、サスペンションワイヤ145の下端が衝撃吸収バネ146を介して接続される。衝撃吸収バネ146は、サスペンションワイヤ145の長手方向の衝撃を吸収するためのもので、サスペンションワイヤ145は長手方向の伸縮許容量が小さく、落下衝撃等により破損しやすいため、サスペンションワイヤ145が伸縮する代わりに衝撃吸収バネ146が撓んで、サスペンションワイヤ145の破損を防ぐ。サスペンションワイヤ145の上端は、固定部であるベース139に接続される。センサーカバー143の上面にはOISコイル147が固定されている。OISコイル147に対向して、ベース139には駆動用磁石141が固定されている。駆動用磁石141はOIS駆動用とAF駆動用で併用される。このように、共通の磁石をOIS用とAF用で共用することにより、部品点数を削減することができる。駆動用磁石141からの磁束がOISコイル147に作用し、OISコイル147に通電することでローレンツ力が発生し、イメージセンサ134、センサーカバー143、IRカットガラス144、OISコイル147などから構成されるOIS可動部が光軸に垂直な方向に駆動される。OIS可動部にあるOISコイル147に通電するためには、衝撃吸収バネ146、サスペンションワイヤ145を利用するとよい。また、OIS可動部にあるイメージセンサ134に通電するためには、多数本の通電手段が必要となるため、ボンディングワイヤ148を利用する。ボンディングワイヤ148は多数本となるが、一本一本のバネ性は非常に弱く、ボンディングワイヤ148のバネ性が可動部の動きに与える影響は非常に小さい。なお、ボンディングワイヤ148の両端の接続部分は、実施例2-1と同様、樹脂で固定しておくことが望ましい。
【0144】
実施例2-6では、OIS用の位置検出手段を備えている。イメージセンサ134の位置を検出して、これをフィードバックして位置制御に用いることにより、目標位置への位置決め精度を高めたり、外乱振動を受けた場合にも所定の位置に保持したりできる。OIS用の位置検出手段は、OIS可動部(センサーカバー143)に搭載された位置検出用磁石(図ではOISコイル147の奥にあって見えない)と、位置検出用磁石に対向して固定部(ベース139)に設けられたホール素子149から構成される。位置検出用磁石がOIS駆動によって変位すると、ホール素子149に入射する磁束密度の大きさが変化し、位置検出信号として出力される。ホール素子149は、駆動用磁石141やOISコイル147からの磁束の影響を軽減するため、これらから少し離れた位置に配置(上記のようにOISコイル147の奥)される。ホール素子149や、サスペンションワイヤ145などを経由して接続されるOISコイル147の端子は、図示しないアクチュエータドライバに接続される。ホール素子149は、ホール素子を内蔵したアクチュエータドライバであってもよい。アクチュエータドライバは、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。なお、
図23で図示されるOIS用の位置検出手段は、X軸方向の位置検出手段であり、90度ずれた方向にY軸方向用の位置検出手段が同様に存在する。
【0145】
カメラモジュール131全体はカバー150で覆われている。カバー150の中央には開口150aが設けられ、撮像レンズ132に光が入射する経路となる。カバー150は、アクチュエータとしての可動範囲をメカニカルに規制するためのストッパーの役割もあるので、金属である方が望ましい。たとえば、レンズホルダー137の上面の一部を突出させておくと、
図23の上方向にAF可動部が変位した場合に、突出部がカバー150の内面に当接してストッパーなる。駆動用磁石141は固定部に配置されるので、カバー150は磁性体であってもかまわない。ただし、磁性体の場合、位置検出用磁石とは、ある程度の距離を離しておくことが望ましい。
【0146】
実施例2-6では、OISのメカストッパーは、センサーカバー143の側面とベース139の内壁とが当接することで形成される。
【0147】
以上のようなカメラモジュールは、スマートフォンなどの携帯機器などに用いられる。特に、本発明のカメラモジュールの好適な応用のひとつは、光学手ぶれ補正(OIS)機能やオートフォーカス(AF)機能を備えた装置であり、特に高画素化により撮像レンズが大口径化した装置に適用することが有効である。本発明を利用することで、撮像レンズが大口径化して可動部が重くなった場合でも、高精度のレンズ位置制御を可能とし、手振れ補正の補正精度を高めることが可能なカメラモジュールを実現できる。
【符号の説明】
【0148】
1、31…カメラモジュール
2、32…撮像レンズ
3、35…OISアクチュエータ
4、34…イメージセンサ
5、33…AFアクチュエータ
6、36…レンズバレル
7、37…レンズホルダー
8、45…サスペンションワイヤー
9、46…衝撃吸収バネ
10、39…ベース
11、47…OISコイル
12、41…駆動用磁石
13、42…モジュール基板
14、43…センサーカバー
15、44…IRカットガラス
16、40…AFコイル
17a、17b、38a、38b…AFバネ
18、48…位置検出用磁石
19、49…ホール素子
20、50…カバー
21…OIS駆動用磁石
22…AF駆動用磁石
23、51…ボンディングワイヤー。