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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】記録装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20240126BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20240126BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J11/42
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019239282
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107133
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 泰之
(72)【発明者】
【氏名】米山 洋正
(72)【発明者】
【氏名】丸山 遼平
(72)【発明者】
【氏名】和田 格
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義章
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智仁
(72)【発明者】
【氏名】小幡 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 典之
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064810(JP,A)
【文献】特開2018-161772(JP,A)
【文献】特開2019-77035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/70
B41J 11/42
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを搭載して移動可能に設けられたキャリッジと、
前記キャリッジと接離可能であり、前記キャリッジの移動に追従して前記記録媒体をカットするカッターユニットと、
前記カッターユニットを前記キャリッジの移動方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材上の前記カッターユニットの待機位置を、前記記録媒体のサイズに応じて設定する設定手段と、を備え、
前記設定手段は、前記記録ヘッドによる第一記録ジョブの記録動作の開始前に前記待機位置を設定し、
前記第一記録ジョブの記録完了後に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットした後、後続の第二記録ジョブがある場合は、設定された前記待機位置にて前記キャリッジと前記カッターユニットを分離する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記記録媒体の幅方向の前記サイズを取得する取得手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記取得手段が取得した前記サイズに応じて前記待機位置を設定する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置であって、前記取得手段は、前記記録媒体の前記幅方向の端部を検知可能なセンサを含むことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の記録装置であって、前記設定手段は、前記取得手段により取得した前記サイズに応じて、前記記録媒体の前記幅方向の端部から所定距離離れた位置を前記待機位置に設定する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置であって、
前記キャリッジのホームポジションが、前記キャリッジの移動範囲における一端部に設けられ、
前記カッターユニットのホームポジションが、前記キャリッジの移動範囲における前記一端部と反対の端部に設けられ、
前記設定手段は、前記カッターユニットのホームポジションよりも前記キャリッジのホームポジションに近い位置を前記待機位置に設定する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の記録装置であって、
前記キャリッジと前記カッターユニットとの接続、及び離間を行う接続手段と、
前記カッターユニットと前記キャリッジとが接続可能な状態にあるか否かを確認する確認手段と、
前記接続手段による前記接続及び前記離間を制御する接続制御手段と、をさらに備え、
前記接続制御手段は、前記確認手段により前記キャリッジと前記カッターユニットとが接続可能な状態にあることが確認されたことに基づいて、前記接続手段により前記キャリッジと前記カッターユニットとを接続させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項6に記載の記録装置であって、
前記接続制御手段は、前記第二記録ジョブの記録動作中に前記カッターユニットが前記待機位置で待機し、前記第二記録ジョブの最終記録動作の後に前記カッターユニットが前記記録媒体をカットするように、前記キャリッジと前記カッターユニットとの接続及び離間を制御する、ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の記録装置であって、
前記カッターユニットは、前記キャリッジと接続可能な状態にある場合に前記キャリッジに対して負荷を発生させる負荷発生手段を備え、
前記確認手段は、前記キャリッジの負荷に基づいて、前記カッターユニットと前記キャリッジとが接続可能であることを確認する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の記録装置であって、前記確認手段は、前記キャリッジの移動方向における前記カッターユニットの位置を検知可能なセンサであることを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれか1項に記載の記録装置であって、
前記接続手段は、
前記キャリッジに設けられる第1部材及び第2部材と、
前記カッターユニットに設けられる第3部材及び第4部材と、を含み、
前記カッターユニットは、
前記第1部材と前記第3部材との当接により、前記待機位置から前記記録媒体へ向かう第1方向に、前記キャリッジの移動に伴って移動し、
前記第2部材と前記第4部材との当接により、前記第1方向と反対の第2方向に前記キャリッジの移動に伴って移動し、
前記カッターユニットが前記キャリッジの移動に伴って前記第2方向に移動することにより、前記キャリッジが前記第2方向から前記第1方向に反転した際に前記第1部材と前記第3部材との当接が回避される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の記録装置であって、前記設定手段は、前記記録装置に設置された記録媒体のサイズが変わると前記待機位置の設定を変更することを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項6ないし10のいずれか1項に記載の記録装置であって、前記確認手段により前記キャリッジと前記カッターユニットとが接続可能な状態でないことが確認された場合に、前記キャリッジと前記カッターユニットとが接続可能でないことを報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする記録装置。
【請求項13】
記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを搭載して移動可能に設けられたキャリッジと、
前記キャリッジと接離可能であり、前記キャリッジの移動に追従して前記記録媒体をカットするカッターユニットと、
前記カッターユニットを前記キャリッジの移動方向に移動可能に支持する支持部材と、を備える記録装置の制御方法であって、
前記支持部材上の前記カッターユニットの待機位置を、前記記録媒体のサイズに応じて設定する設定工程と、
前記設定工程の後、前記記録ヘッドによる第一記録ジョブの記録動作を行う記録工程と、
前記記録工程の後、前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットするカット工程と、
前記カット工程の後、後続の第二記録ジョブがある場合は、設定された前記待機位置にて前記キャリッジと前記カッターユニットを分離する分離工程と、を含む、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータに請求項13に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙等の長尺状の記録媒体に記録を行う記録装置では、記録後に記録媒体のカットを行うことがある。特許文献1には、キャリッジとカッターユニットとを接続し、キャリッジにカッターユニットを追従させることで記録媒体のカットを行う記録装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-161772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、記録媒体への画像の記録の終了後、キャリッジがカッターユニットのホームポジションまで移動してカッターユニットとの接続を行う。そのため、ページ毎に記録媒体をカットしながら連続して画像の記録を行うような場合には、キャリッジの移動距離が増大して記録装置のスループットが低下してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、記録装置のスループットを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを搭載して移動可能に設けられたキャリッジと、前記キャリッジと接離可能であり、前記キャリッジの移動に追従して前記記録媒体をカットするカッターユニットと、前記カッターユニットを前記キャリッジの移動方向に移動可能に支持する支持部材と、前記支持部材上の前記カッターユニットの待機位置を、前記記録媒体のサイズに応じて設定する設定手段と、を備え、前記設定手段は、前記記録ヘッドによる第一記録ジョブの記録動作の開始前に前記待機位置を設定し、前記第一記録ジョブの記録完了後に前記カッターユニットにより前記記録媒体をカットした後、後続の第二記録ジョブがある場合は、設定された前記待機位置にて前記キャリッジと前記カッターユニットを分離することを特徴とする記録装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録装置のスループットを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る記録装置の内部構造を模式的に示す側面図である。
図2図1の記録装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図3図1の記録装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図4】(a)ないし(c)はカッターユニット及び接続部のカッターユニット側の構成を示す図である。
図5】(a)ないし(c)は接続部のキャリッジ側の構成を示す図である。
図6】(a)ないし(c)は接続部材の接続動作を模式的に示す図である。
図7】(a)ないし(c)は接続部材の接続解除動作を模式的に示す図である。
図8】(a)は図6(b)の状態の平面図である。(b)は図7(b)の状態の平面図である。
図9】制御ユニットの処理例を示すフローチャートである。
図10】制御ユニットの処理例を示すフローチャートである。
図11】(a)ないし(c)は、一実施形態に係るキャリッジとカッターユニットとの接続構成を示す図である。
図12】キャリッジモータに生じる負荷を示す図である。
図13】制御ユニットの処理例を示すフローチャートである。
図14】一実施形態に係る記録装置の平面図であって先の記録媒体をカットし、後続の記録媒体の頭出しを行った状態を示す図である。
図15】制御ユニットの処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0011】
<第1実施形態>
<記録装置の概略>
図1は、一実施形態に係る記録装置1の内部構造を模式的に示す図である。また、図2は、図2の記録装置1の構成を模式的に示す斜視図である。なお、図1及び図2では、一部の構成の図示を省略している。また、記録ユニット2の移動方向を主走査方向Hとし、主走査方向Hに交差する方向を副走査方向Fとする。また、説明の便宜のために、主走査方向Hの向きの一方を+H側、他方を-H側と呼び、副走査方向Fの向きの一方を+F側、他方を-F側と呼ぶ。
【0012】
記録装置1は、インクジェット式のプリンターであり、筐体12の内部に各構成部品が設けられている。記録装置1は、記録媒体Sが巻きまわされたロール体(ロール紙)Rから記録媒体Sを引き出し、記録媒体Sに画像を記録する。ロール体Rはスプール14に回転可能に設置されている。また、記録装置1は、記録ユニット2と、カッターユニット3と、搬送ユニット4とを含む。
【0013】
記録ユニット2は記録媒体Sに画像を記録する。本実施形態では、記録ユニット2は、記録ヘッド21及びこれを搭載したキャリッジ22を有する。
【0014】
記録ヘッド21は記録媒体Sにインクを吐出して画像を記録する。記録ヘッド21が吐出するインクはインクタンク(不図示)から供給される。インクタンクは、キャリッジ22に搭載されてもよいし、筐体12内のいずれかに設けられてチューブ等の供給部材で記録ヘッド21にインクを供給してもよい。
【0015】
キャリッジ22は、ガイド部材15に案内されて、主走査方向Hに往復移動可能に設けられている。本実施形態では、キャリッジ22は、キャリッジモータ221を駆動源として往復移動する。キャリッジ22の主走査方向Hの位置は不図示のセンサにより検知される。このようなセンサは、例えば、主走査方向Hに延設されたエンコーダスケールと、キャリッジ22に搭載され、エンコーダスケールを読み取るエンコーダセンサと、から構成されてもよい。
【0016】
また、本実施形態では、キャリッジ22の移動範囲の一端部である主走査方向-H側の端部にキャリッジ22のホームポジションHP2が設けられている(図14参照)。そして、キャリッジ22がホームポジションHP2から+H方向に移動する間に記録ヘッド21が記録媒体Sにインクを吐出することで、記録媒体Sに画像が記録される。
【0017】
また、本実施形態では、記録ユニット2は、カッターユニット3の有無を検知するセンサ24、及び記録媒体Sの主走査方向Hにおける用紙端部を検知するセンサ25を備える。記録装置1は、センサ25により記録媒体Sの用紙幅を取得することができる。これらのセンサとしては、例えば光反射型の光学センサや、超音波センサ等が用いられてもよい。
【0018】
カッターユニット3は、記録ユニット2によって記録がなされた記録媒体Sをカットするものであり、副走査方向Fで記録ユニット2よりも+F側、換言すれば記録媒体Sの搬送方向の下流側、に設けられている。カッターユニット3は、キャリッジ22の移動方向に平行に、すなわち主走査方向Hに移動可能に支持部材5に支持されている。本実施形態では、キャリッジ22の移動範囲におけるキャリッジ22のホームポジションHP2がある側の端部と反対側の端部にカッターユニット3のホームポジションHP3が設けられている。つまり、キャリッジ22のホームポジションHP2とカッターユニット3のホームポジションHP3とは、記録媒体Sの通過領域を挟むように主走査方向Hに離間して設けられている。さらに言えば、記録装置1が対応する最大サイズの記録媒体Sの通過領域を挟むように主走査方向Hに離間して設けられている。
【0019】
また、カッターユニット3は、後述の接続部6によってキャリッジ22と接離可能に設けられており、キャリッジ22と接続することでキャリッジ22に追従して記録媒体Sをカットする。カッターユニット3によってカットされた記録媒体Sは、後述の搬送ローラ対44に搬送されて排出口18から排出される。
【0020】
搬送ユニット4はロール体Rから巻き解かれた記録媒体Sを搬送する。搬送ユニット4は、記録媒体Sを案内及び支持する支持部材16及びプラテン17に沿うように、記録媒体Sを筐体12内部から排出口18へと搬送する。本実施形態では、搬送ユニット4は、副走査方向Fに離間して設けられた複数の搬送ローラ対41~44を含む。複数の搬送ローラ対41~44はそれぞれ、搬送モータ(不図示)によって駆動する駆動ローラと、この駆動ローラに従動する従動ローラとを含む。なお、各駆動ローラは1つの搬送モータによって駆動してもよいし、各駆動ローラのそれぞれに対応する複数の搬送モータによって別々に駆動してもよい。
【0021】
<ハードウェア構成>
図3は、記録装置1のハードウェア構成の例を示すブロック図である。図3は記録装置1の制御ユニット7のブロック図である。制御ユニット7はCPU等の処理部71と、外部デバイスとのデータのやり取りを行うインタフェース部72と、ROMやRAM等の記憶部73と、を含む。処理部71は記憶部73に記憶されているプログラムを読み込み、実行する。処理部71が行う演算処理には、例えば、画像処理、インタフェース部72を介したホストコンピュータ100との通信処理が含まれる。また、例えば、各種センサ74の検知結果に基づいて行われる、記録ユニット2が備える記録ヘッド21の吐出制御や各種モータ76の駆動制御も含まれる。各種センサ74には、キャリッジ22の位置検知用のエンコーダセンサやカッターユニット3の位置検知用のセンサ24、記録媒体Sの用紙端部を検知するセンサ25等が含まれる。各種モータ76には、キャリッジモータ221、搬送モータ(不図示)及びスプール14を回転駆動する給紙モータ(不図示)等が含まれる。
【0022】
記憶部73には例えば記録装置1を制御するための制御プログラムや、制御プログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。また、例えばホストコンピュータ100から送信された記録データを保存するようにしてもよい。
【0023】
<カッターユニット及び接続部の構成>
図4(a)ないし図4(c)はカッターユニット3及び接続部6のカッターユニット3側の構成を示す図であり、図4(a)は正面図、図4(b)は左側面図、図4(c)は平面図である。また、図5(a)ないし(c)は接続部6のキャリッジ22側の構成を示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は右側面図、図5(c)は平面図である。なお、図4(a)及び図5(a)の正面図は、排出口18側から筐体12の内部を見たときの図である。
【0024】
カッターユニット3は、第1カッター刃31、第1カッター刃31を回転可能に保持する上部保持体33、第2カッター刃32、及び第1カッター刃32を回転可能に保持する下部保持体34を含む。上部保持体33及び下部保持体34は、記録媒体Sの通過領域を挟んで上下方向に離間して配置され、接続部材35により接続している。また、下部保持体34は、主走査方向Hに移動可能に支持部材5に支持されている。一例として、第1カッター刃31及び第2カッター刃32は、カッターユニット3の主走査方向Hへの移動に伴って回転し、回転した状態で記録媒体Sに接触することで記録媒体Sをカットする。
【0025】
接続部6は、キャリッジ22とカッターユニット3とを接続・離間するためのものである。本実施形態では、カッターユニット3を駆動する(走査させる)駆動源が設けられていない。そのため、接続部6がカッターユニット3とキャリッジ22とを接続することにより、カッターユニット3はキャリッジ22の移動に追従する。接続部6は、キャリッジ22側の構成として第1連結部材61及び第2連結部材62を含み、カッターユニット3側の構成として第1連結部材61に係合する第1係合部材63及び第2連結部材62に係合する第2係合部材64を含む。
【0026】
第1係合部材63は、カッターユニット3が主走査方向-H側に移動する際に第1連結部材61と係合する。第1係合部材63は、上下方向で第2係合部材64よりも上方に位置している。第2係合部材64は、上部保持体33から延びるレバー631を有している。レバー631は、ジョイント632を介して上部保持体33に取り付けられている。レバー631は、ジョイント632を支点として、上下方向及び副走査方向Fに揺動可能である。レバー631は、キャリッジ22と連結していない状態では、付勢部材635によって、上方及び副走査方向-F側に付勢されている。付勢部材635は、例えばバネ等の弾性部材である。
【0027】
レバー631の先端には、キャリッジ22側(副走査方向-F側)に延びる係合爪633が設けられている。係合爪633は、レバー631の先端側に主走査方向Hに交差する方向に広がる係合面634を有する。本実施形態では、係合面634は主走査方向Hに交差する面である。また、係合爪633の搬送方向上流側の端部からレバー631にかけて副走査方向+F側且つ主走査方向-H側に延びる傾斜部636が設けられている。
【0028】
第2係合部材64は、カッターユニット3が主走査方向+H側に移動する際に第2連結部材62と係合する。第2係合部材64は、上下方向で第1係合部材63よりも下方に位置している。第2係合部材64は、上部保持体33から副走査方向-F側に延びる板状部材である。
【0029】
第1連結部材61は、キャリッジ22が主走査方向-H側に移動する際に第1係合部材63と係合する。第1連結部材61は、キャリッジ22の副走査方向+F側の側面から副走査方向+F側に突出するように設けられている。第1連結部材61は、上下方向に延びる部分611と、部分611の上側の端部から主走査方向-H側且つ下方に延びる部分612と、部分611の上側の端部から主走査方向+H側且つ上方に延びる部分613とを含む。部分611は、主走査方向Hと交差する方向に広がる連結面611aを有する。本実施形態では、連結面611aは主走査方向Hに直交する方向に広がる面である。また、部分612は主走査方向-H側の端部から主走査方向+H側且つ副走査方向+F側に向かって傾斜する傾斜部612aを含む。部分613は、主走査方向-H側の端部から主走査方向+H側且つ副走査方向+F側に向かって傾斜する傾斜部613aを有する。
【0030】
第2連結部材62は、キャリッジ22が主走査方向+H側に移動する際に第2係合部材64と連結する。第2連結部材62は、上下方向で第1連結部材61よりも下方に設けられている。第2連結部材62は、キャリッジ22の副走査方向+F側の側面から+F側に延びる上下方向に長い板状の部材である。第2連結部材62は、主走査方向Hと交差する方向に延びる連結面621を有する。本実施形態では、連結面621は主走査方向Hに直交する面である。
【0031】
以下、接続部6によるキャリッジ22とカッターユニット3の接続及びその接続の解除動作について説明する。図6(a)ないし図6(c)は、接続部6の接続動作を模式的に示す図である。また、図7(a)ないし図7(c)は、接続部6の接続解除動作を模式的に示す図である。また、図8(a)は図6(b)の状態の平面図であって部分612及び部分613を省略した図、図8(b)は図7(b)の状態の平面図である。
【0032】
記録ユニット2により記録媒体Sに記録が行われている間、カッターユニット3は記録ユニット2により記録が行われる範囲よりも主走査方向+H側に位置している。カッターユニット3は、例えば、主走査方向+H側の端部のカッターユニット3のホームポジションHP3又は後述の処理により定められた支持部材上(支持部材5上)の待機位置WP(図11参照)に位置している。そして、記録ユニット2による記録媒体Sへの画像の記録が終了すると、キャリッジ22がカッターユニット3と接続するためにカッターユニット3のある位置まで主走査方向+H側に移動する(図6(a))。
【0033】
キャリッジ22が主走査方向+H側に移動していくと、キャリッジ22側の部分613とカッターユニット3側の第1係合部材63の係合爪633が当接し、部分613の下面によってレバー631が下方向に揺動する(図6(b))。また、第1係合部材63の傾斜部636が部分611に当接し(図8(a))、レバー631は副走査方向+F側にも揺動する。これにより、係合爪633が部分611を乗り越えて部分611の主走査方向-H側に位置することになる。
【0034】
係合爪633が部分611を乗り越えた後にキャリッジ22が移動方向を主走査方向-H側に切り替えると、連結面611aが係合面634と当接する。これによりキャリッジ22が主走査方向-H側に移動すると係合面634が連結面611aに押されるので、カッターユニット3はキャリッジ22の移動に追従することができる(図6(c))。
【0035】
本実施形態では、処理部71は、センサ24の検知結果に基づいてキャリッジ22とカッターユニット3とが接続可能な位置関係にあることを確認した上で、キャリッジ22の移動方向を反転させてキャリッジ22とカッターユニット3と接続する。つまり、処理部71は、センサ24の検知結果に基づいてキャリッジモータ221の回転を制御することで、キャリッジ22とカッターユニット3との接続制御を行う。
【0036】
次に、キャリッジ22とカッターユニット3の接続解除について説明する。カッターユニット3が記録媒体Sをカットした後は、記録ユニット2が後続の記録媒体Sに画像を記録するために、キャリッジ22とカッターユニット3との接続を解除する必要がある。そのためにキャリッジ22が移動方向を主走査方向-H側から主走査方向+H側に切り替えると、部分611と係合爪633とは当接しなくなり、第2連結部材62が第2係合部材64を押すことになる。これにより、カッターユニット3はキャリッジ22の移動に追従して主走査方向+H側に移動する(図7(a))。なお、このとき、レバー631は、付勢部材635によって上方向に揺動されている。
【0037】
カッターユニット3が所定の位置まで到達すると、キャリッジ22は移動方向を主走査方向-H側に反転する(図7(b))。すると、レバー631が付勢部材635により上方且つキャリッジ22側に付勢された状態で、係合爪633は部分612の傾斜部612aに沿って副走査方向+F側に揺動する。図8(b)で示すように、部分611と部分612とが接続する位置においては、部分612の方が部分611よりもキャリッジ22からの突出量が多い。よって、係合爪633は、部分611を乗り越えて部分611よりも主走査方向+H側に位置するようになる。これにより、キャリッジ22とカッターユニット3との接続が解除され、キャリッジ22がさらに-H側に移動しても係合爪633と部分611との当接が回避され、カッターユニット3は所定の位置で停止することになる(図7(c))。
【0038】
本実施形態では、処理部71は、センサ25の検知結果に基づいてキャリッジ22とカッターユニット3とが所定の位置にあることを確認した上で、キャリッジ22の移動方向を反転させてキャリッジ22とカッターユニット3との接続を解除する。換言すれば、処理部71は、センサ25の検知結果に基づいてキャリッジモータ221の回転を制御することで、キャリッジ22とカッターユニット3との接続解除を制御する。なお、カッターユニット3とキャリッジ22の接続を解除する所定の位置は、後述の処理によって定める待機位置WPや、支持部材5上の主走査方向+H側の端部であるカッターユニット3のホームポジションHP3であってもよい。
【0039】
<処理例>
図9は、制御ユニット7の処理例を示すフローチャートである。本フローチャートは、例えばホストコンピュータ100からの指示により記録ジョブが実行された場合に開始する。
【0040】
S1で、処理部71は、記録媒体Sの幅方向、換言すれば主走査方向Hのサイズを取得する。本実施形態では、処理部71は、記録媒体Sの端部を検知可能なセンサ25の検知結果に基づいて記録媒体Sの幅を取得する。しかしながら、処理部71は、ユーザが入力する用紙サイズの設定情報に基づいて記録媒体Sの幅を取得してもよい。
【0041】
S2で、処理部71は、カッターユニット3の支持部材5上の待機位置WPを、記録媒体Sのサイズに応じて設定する。例えば、処理部71は、カッターユニット3の待機位置WPを、S1で取得した記録媒体Sのサイズに基づき、記録媒体Sの主走査方向+H側の端部から所定距離離れた位置を待機位置WPに設定する。一例として、待機位置WPは、記録媒体Sの主走査方向+H側の端部から主走査方向+H側に0~50mm離れた位置である。また、一例として、待機位置WPは、記録媒体Sの主走査方向+H側の端部から主走査方向+H側に10~30mm離れた位置である。
【0042】
なお、処理部71は、設定された待機位置WPについての情報を記録媒体Sのサイズと紐づけて記憶部73に記憶しておいてもよい。そして、処理部71は、次回以降のジョブの実行において、S1で取得した記録媒体Sのサイズが記憶部73に記憶されているサイズと同じ場合には記憶されている待機位置WPを使用し、サイズが変わっている場合に待機位置WPの設定を変更してもよい。
【0043】
S3で、処理部71は、記録ユニット2による記録媒体Sへの画像の記録処理を行う。S4で、処理部71は、キャリッジ22をバックポジション側、すなわち主走査方向+H側に移動させる。
【0044】
S5で、処理部71は、キャリッジ22がカッターユニット3と接続可能であるか否かを確認する。処理部71は、接続可能な場合にはS6の処理に進み、接続可能でない場合S11の処理に進む。
【0045】
図10は、図9のS5の処理の詳細を示すフローチャートである。S501で、処理部71は、センサ24がカッターユニット3を検知したか否かを確認する。処理部71は、センサ24がカッターユニット3を検知した場合にはS502に進み、検知しない場合にはS503に進む。S502で、処理部71は、キャリッジ22とカッターユニット3とが接続可能であると判定する。一方、S503で、処理部71は、キャリッジ22とカッターユニット3とが接続不可であると判定する。
【0046】
S6で、処理部71は、キャリッジ22とカッターユニット3とを接続する。例えば、処理部71は、バックポジション側に移動しているキャリッジ22の移動方向を反転させることにより、第1連結部材61と第1係合部材63を係合させてキャリッジ22とカッターユニット3とを接続する。
【0047】
S7で、処理部71は、カッターユニット3により記録媒体Sをカットする。具体的には、処理部71は、キャリッジ22を主走査方向-H側に移動させることでカッターユニット3を追従させて記録媒体Sをカットする。
【0048】
S8で、処理部71は、次の記録ジョブがあるか否かを確認する。処理部71は、次の記録ジョブがある場合にはS9の処理に進み、次の記録ジョブが無い場合にはS10の処理に進む。
【0049】
S9で、処理部71は、カッターユニット3の待機位置WPでキャリッジ22とカッターユニット3との接続を解除してS3の処理に戻る。具体的には、処理部71は、S2で設定した待機位置WPでキャリッジ22の移動方向を反転させることにより、キャリッジ22とカッターユニット3との接続を解除する。このとき、処理部71は、カッターユニット3の待機位置WPに到達したか否かを、例えばセンサ25及びキャリッジ22の位置検出用のエンコーダセンサ等の検知結果に基づいて確認する。例えば、処理部71は、センサ25により記録媒体Sの端部を検知した後に、その端部から所定量+H側に移動したことをエンコーダセンサにより確認する。これにより、カッターユニット3のホームポジションHP3で接続を解除する場合と比べて接続解除時のキャリッジ22の移動距離が短くなるので、接続解除に要する時間を短縮することができる。また、後続の記録媒体Sに対する記録動作中にはカッターユニット3が待機位置WPで待機することになる。よって、後続の記録媒体SH2に対する最終記録動作の後にキャリッジ22とカッターユニット3が接続する際に、キャリッジ22はホームポジションHP3よりも近い位置にある待機位置WPでカッターユニット3と接続することができる。したがって、後続の記録媒体Sをカットするための接続に要する時間も短縮することができる。
【0050】
S8からS10に進んだ場合、S10で、処理部71は、カッターユニット3のホームポジションHP3でキャリッジ22とカッターユニット3との接続を解除してフローチャートを終了する。これにより、記録ジョブがすべて完了した場合にはカッターユニット3がホームポジションHP3に置かれることとなる。よって、記録ジョブの完了後にユーザが記録媒体Sを用紙幅の異なる記録媒体に交換する場合にカッターユニット3が交換の妨げになることを防ぐことができる。
【0051】
S5からS11に進んだ場合、S11で、処理部71は、カッターユニット3の異常エラーを報知してフローチャートを終了する。例えば、記録装置1が各種情報を表示可能な表示画面を備えている場合に、処理部71はカッターユニット3のエラーに関する情報を表示画面に表示する。または、ドライバを介してホストコンピュータ100の表示画面に表示してもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、カッターユニット3の待機位置を記録媒体Sのサイズに応じて設定する。よって、カッターユニット3がHP3で待機する場合と比べて、キャリッジ22がカッターユニット3と接続する際、及びその接続を解除する際のキャリッジ22の移動距離が短くなる。したがって、記録媒体Sのカットに要する時間が短縮され、記録装置1のスループットを向上することができる。
【0053】
なお、本実施形態ではカッターユニット3の有無を検知するセンサ24を設ける構成としたが、カッターユニット3の位置をキャリッジ22のエンコーダセンサにより検知する構成であってもよい。すなわち、カッターユニット3とキャリッジ22の接続・解除動作を行った主走査方向Hにおける位置をエンコーダセンサにより算出して記憶することで管理する構成も採用可能である。
【0054】
<第2実施形態>
第1実施形態では、処理部71はセンサ24によりキャリッジ22とカッターユニット3とが接続可能であることを確認していた。第2実施形態では、処理部71がキャリッジ1122の負荷に基づいてキャリッジ1122とカッターユニット113とが接続可能であることを確認する点で第1実施形態と異なる。また、第1実施形態では機械的な構成によりキャリッジ22とカッターユニット3が接続していたが、第2実施形態では並進可能なアクチュエータによってキャリッジ1122とカッターユニット3を接続する点で第1実施形態と異なる。なお、以下の説明では第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図11(a)ないし図11(c)は、一実施形態に係るキャリッジ1122とカッターユニット113との接続構成を示す図である。本実施形態では、キャリッジ1122は副走査方向Fに並進可能なアクチュエータ1123を含む。アクチュエータ1123としては一般的な構成を採用可能であるが、一例として、モータと、モータの回転を直線運動に変換するラックピニオン等の機構を有していてもよい。カッターユニット113は、アクチュエータ1123と係合する係合部1131と、主走査方向Hに見てキャリッジ1122の一部と重なるように設けられる突出部1132とを有する。本実施形態では、アクチュエータ1123と係合部1131は、突出部1132がキャリッジ22の側面1122aに当接したときに互いに係合するような位置関係で設けられている。
【0056】
キャリッジ1122が主走査方向+H側に移動すると、突出部1132がキャリッジ1122の主走査方向+H側の側面1122aに当接し、キャリッジ1122の移動に伴ってカッターユニット113が移動する(図11(b))。このとき、キャリッジ1122とカッターユニット113は、アクチュエータ1123と係合部1131とが係合可能な位置関係で移動している。このような状態でアクチュエータ1123が作動してカッターユニット113側(副走査方向+F側)に延伸することで、キャリッジ1122とカッターユニット113とが接続する(図11(c))。
【0057】
図12は、キャリッジモータ221に生じる負荷を示す図である。キャリッジ1122の移動に伴ってカッターユニット113が移動する場合にキャリッジモータ221に生じる負荷は、キャリッジ1122が単独で移動する場合にキャリッジモータ221に生じる負荷よりも高くなる。よって、キャリッジ1122がそのホームポジションHP2から主走査方向+H側に移動していくと、キャリッジ22が突出部1132と接触したところでキャリッジモータ221に生じる負荷が上昇する。つまり、突出部1132がキャリッジ22の移動時の負荷発生の役割を担っているといえる。
【0058】
そのため、処理部71は、キャリッジモータ221に生じる負荷に基づいて、キャリッジ1122に伴ってカッターユニット113が移動していることを確認することができる。また、キャリッジ1122に伴ってカッターユニット113が移動している場合には、アクチュエータ1123と係合部1131とが係合可能な位置関係にある。よって、処理部71は、アクチュエータ1123を駆動させることでアクチュエータ1123と係合部1131を係合させることができる。
【0059】
処理部71は、キャリッジモータ221の負荷に関する情報として、キャリッジモータ221の駆動電流値を取得してもよい。そして、駆動電流値が所定値以上の場合に、キャリッジモータ221の負荷が閾値以上であると判定してもよい。また、キャリッジ1122に加速度センサ(不図示)を設け、処理部71は、キャリッジモータ221の負荷に関する情報として加速度センサの検知結果を取得してもよい。そして、処理部71は、キャリッジ1122と突出部1132が接触した際の加速度の変動に基づいてキャリッジモータ221の負荷が閾値以上であるか否かを判定してもよい。
【0060】
図13は、一実施形態に係る制御ユニット7の処理例を示すフローチャートであり、図9のS5の処理の詳細例を示すフローチャートである。なお、処理部71は、図9のS5以外の処理については第1実施形態と同様の処理を行い得る。
【0061】
S511で、処理部71は、センサ値をキャリッジモータ221の負荷に関する情報として取得する。上述のように、処理部71は、センサ値として、キャリッジモータ221の駆動電流値や、キャリッジの1122の加速度等を取得する。
【0062】
S512で、処理部71は、キャリッジモータ221の負荷が閾値以上か否かを確認する。処理部71は、負荷が閾値以上の場合にはS513に進みキャリッジ1122とカッターユニット113とが接続可能であると判定し、負荷が閾値未満の場合はS514に進みキャリッジ1122とカッターユニット113とが接続不可であると判定する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、処理部71は、キャリッジモータ221の負荷に基づいて、キャリッジ1122とカッターユニット113との接続制御を実行することができる。さらに言えば、負荷に関する情報としてキャリッジモータ221の駆動電流値を取得する場合、カッターユニットの有無を検出するセンサ24が不要となる。したがって、より簡易な構成でキャリッジ1122とカッターユニット113との接続制御を実行することができる。
【0064】
なお、第1実施形態に係る構成と第2実施形態に係る構成は適宜組み合わせ可能である。例えば、接続部の構造として第1実施形態に係る機械的な接続構造を採用し、キャリッジとカッターユニットが接続可能であるか否かの判断の処理として第2実施形態に係る図13の処理を採用してよい。また、接続部の構造として第2実施形態に係るアクチュエータ1123による接続構造を採用し、キャリッジとカッターユニットが接続可能であるか否かの判断の処理として第1実施形態に係る図10の処理を採用してもよい。
【0065】
<第3実施形態>
第3実施形態は、記録媒体Sのカット後にキャリッジとカッターユニットの接続を解除するタイミングが第1及び第2実施形態と異なる。以下では第1実施形態及び第2実施形態と異なる構成を中心に説明し、同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0066】
図14は、一実施形態に係る記録装置1の平面図であって先行する記録媒体SH1をカットし、後続する記録媒体SH2の頭出しを行った状態を示す図である。第1実施形態及び第2実施形態では、先行する記録媒体SH1のカット後、後続する記録媒体SH2への記録前にカッターユニット3を待機位置WPで待機させるためにキャリッジを移動させていた。しかしながら、この場合、記録ユニット2による記録を行わないのにもかかわらずキャリッジ22を往復移動させる必要がある。
【0067】
一方で、カッターユニット3のカット位置Cと記録ヘッド21による記録領域A2との間の距離L1が、後続の記録媒体SH2の先端と記録予定領域A1までの距離L2よりも大きい場合、1走査目の記録時に記録媒体SH2の先端がカット位置Cまで到達しない。よって、カッターユニット3を接続したまま1走査目の記録を行っても、カッターユニット3で記録媒体SH2をカットすることはない。そこで、第3実施形態では、所定の条件を満たす場合に記録ユニット2による記録の一部をカッターユニット3が接続したまま行うことで、スループットを向上させている。
【0068】
図15は、処理部71の制御例を示すフローチャートである。なお、第1実施形態の図9の処理と同様の処理については説明を省略する。
【0069】
処理部71は、S8で次の記録ジョブ有りと判定した場合(S8:Yes)、S1401で、距離L1と距離L2を比較する。処理部71は、距離L1が距離L2よりも小さい(すなわちL1<L2)場合S9に進み、距離L1が距離L2よりも大きい(すなわちL1>L2)場合S1402に進む。
【0070】
S1402で、処理部71は、接続状態で一部記録を行う。言い換えれば、処理部71は、カッターユニット3とキャリッジ22が接続した状態で、後続の記録媒体SH2に対して記録ユニット2により少なくとも最初の記録を行う。その後、処理部71は、S9に進み、カッターユニット3の待機位置でカッターユニット3とキャリッジ22との接続を解除する。
【0071】
一例として、処理部71は、記録ユニット2による1走査目の記録が終了した後、キャリッジ22を2走査目の記録のためにホームポジションHP2に移動させる前に待機位置WPに移動させてカッターユニット3との接続を解除する。キャリッジ22は、1走査目の記録が終了した時点では、そのホームポジションHP2よりも主走査方向+H側に位置しているため、ホームポジションHP2よりもカッターユニット3の待機位置WPに近い位置にいることになる。したがって、1走査目の記録が終了した後そのままキャリッジ22とカッターユニット3との接続を解除させることで、1走査目の記録前にホームポジションHP2に位置しているキャリッジ22を待機位置WPまで移動させる場合よりもキャリッジ22の移動距離を短くすることができる。よって、キャリッジ22とカッターユニット3との接続解除に要する時間を短縮でき、記録装置1のスループットを向上することができる。
【0072】
なお、カッターユニット3とキャリッジ22の接続を解除するタイミングは記録ユニット2による1走査目の記録後に限られない。例えば、記録媒体SH2の先端がカット位置Cに到達するまでの間で、キャリッジ22が最も主走査方向+H側まで走査される記録走査を記録データから判別して接続解除を行ってもよい。これにより、接続解除時のキャリッジ22の移動距離をより短くすることができ、記録装置1のスループットを向上することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、記録装置1はキャリッジ22とカッターユニット3とを接続した状態で後続の記録媒体Sに対する記録の一部を行う。これにより、キャリッジ22とカッターユニット3との接続解除に要する時間を短縮でき、記録装置1のスループットを向上することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、キャリッジ22とカッターユニット3とを接続した状態で後続の記録媒体Sに対する記録の一部を行う所定の条件を距離L1と距離L2の関係で規定したが、接続状態での記録を行うか否かの判定はこれに限られない。例えば、高解像度の記録や写真モードでの記録を行う際には、記録ヘッド21の振動の影響を考慮すると、キャリッジ22とカッターユニット3とを接続した状態で記録を行わない方がいい場合がある。よって、処理部71は、距離L1と距離L2の関係に加えて、記録画像に関する情報についても所定の条件を満たすか否かを確認し、いずれも満たす場合に接続状態での記録を記録ユニット2に行わせてもよい。
【0075】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0076】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0077】
1 記録装置、2 記録ユニット、3 カッターユニット、7 制御ユニット、22 キャリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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