(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240126BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B10/00 K
G01N21/27 B
(21)【出願番号】P 2019539294
(86)(22)【出願日】2018-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2018050807
(87)【国際公開番号】W WO2018137949
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ホルスト アーエン
(72)【発明者】
【氏名】ルカッセン ゲラルドス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス ベルナルドス ヘンドリクス ウィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】シオ チャールズ フレデリク
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】松本 隆彦
【審判官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2010/131713(JP,A1)
【文献】特表2000-512624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0032880(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0287076(US,A1)
【文献】特開2013-123495(JP,A)
【文献】特開2015-64218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0111016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B10/00
G01N21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞構造物に関連する情報を決定するためのシステムであって、前記システムは、
広帯域放射線源と、
少なくとも1つの光ファイバーと、
スペクトル分解ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットとを備え、
前記少なくとも1つの光ファイバーは、前記広帯域放射線源によって生じた広帯域放射を血管構造内に伝え、
前記少なくとも1つの光ファイバーは、前記血管構造内から反射した少なくとも1つの広帯域放射を前記スペクトル分解ユニットに伝え、
前記少なくとも1つの広帯域放射は400nm~800nmのスペクトル範囲を包含する波長による光を発する白色光源によるものであり、前記少なくとも1つの広帯域放射は、血管構造内の関心領域にある血液凝固塊を含む閉塞構造物と関連する第1の広帯域放射を含み、前記第1の広帯域放射は前記血液凝固塊から反射した放射を含み、前記少なくとも1つの広帯域放射は、前記血管構造内から反射した前記閉塞構造物と関連していない第2の広帯域放射を含み、
前記スペクトル分解ユニットは、前記処理ユニットに、前記少なくとも1つの広帯域放射に基づいて少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを供給し、前記スペクトル分解ユニットは、前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを決定するための波長分解素子であり、
前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは、前記第1の広帯域放射に基づいて決定される第1のスペクトル分解されたデータセットを含み、前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは、前記第2の広帯域放射に基づいて決定される第2のスペクトル分解されたデータセットを含み、
前記処理ユニットは、前記閉塞構造物に関連する情報を決定し、前記血液凝固塊に関連する情報の決定は、前記第1のスペクトル分解されたデータセットと前記第2のスペクトル分解されたデータセットとの間の比率の利用を含み、
前記出力ユニットは、懸念される前記閉塞構造物に関連する情報を出力する、
システム。
【請求項2】
前記第2の広帯域放射は前記関心領域から反射したものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記血液凝固塊に関連する前記情報の決定は、赤血球が豊富である第1の血液凝固塊タイプとフィブリンが豊富である第2の血液凝固塊タイプとの間の区別を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の血液凝固塊タイプと前記第2の血液凝固塊タイプとの間の前記区別は、少なくとも1つの生理的パラメータの決定を含み、前記少なくとも1つの生理的パラメータは、ヘモグロビン量、ヘモグロビン酸素飽和度、散乱量、血管パッケージングパラメータ、含水量、及び、少なくとも1つのヘモグロビン誘導体の量、の1つ又は複数を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生理的パラメータの前記決定は、前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの光学モデルの適合、前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの少なくとも1つの多変量解析ツールの適用、前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットの部分最小二乗識別解析、前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへのサポートベクタマシンの適用、k最近傍解析の適用、及び、前記少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの深層学習アルゴリズムの適用、の1つ又は複数を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の血液凝固塊タイプと前記第2の血液凝固塊タイプとの間の前記区別は、ルックアップテーブルの利用を含む、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記血液凝固塊に関連する前記情報は、どの1つ又は複数の血栓摘出デバイスが前記血液凝固塊の除去に最も適しているかの評価、前記血液凝固塊の物理的硬度の査定、前記血液凝固塊の密度の査定、及び前記血液凝固塊のフィブリン含有量の査定、の1つ又は複数を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記血管構造内から反射した前記少なくとも1つの広帯域放射は、光ビームスプリッタ、サーキュレータ、及び/又はフィルタにより、前記広帯域放射線源から直接伝えられる広帯域放射から分離されて、前記スペクトル分解ユニットに伝えられる、請求項1から
7のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのデバイス、懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのシステム、懸念閉塞物に関連する情報を決定するための方法、並びに、コンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的背景は、血液凝固塊、及び血栓摘出を支援する情報の提供である。血液凝固塊の物理的除去である血栓摘出は、急性脳卒中を処置する際に血栓溶解より優れていることが示されている。これによって、血栓摘出デバイスの「ブーム」が生じている。現在、StrykerによるMerci Retriever、PenumbraによるPenumbraシリーズの血栓吸引デバイス、及び、StrykerによるTrevo Pro及びTrevo ProVue、並びにCovidienによるSolitaire FRといった次世代のステント回収デバイスを含む、少なくとも4つの異なるデバイスが幅広く利用可能である。2014年には米国だけで13500件の血栓摘出術が行われ、予想複合年間成長率は11%であった。手術の約33%において、2つ目の血栓摘出デバイスが使用されている。
【0003】
しかしながら、処置の時間窓が短いので、血栓摘出における最初の正確さは重要な意味を持つ。間違った処置デバイスを選定すると、血液凝固塊を除去するための2回目の試みが必要とされる可能性があり、それによって手術時間が長くなる。それぞれの試みは5~10分かかる可能性がある。また、間違ったデバイスを選定すると、手術中に使用される後続の異なるデバイスを必要とすることで費用が大幅に増大する(血栓摘出デバイスの平均販売価格は2014年では4660米国ドルである)。また、間違ったデバイスを選定することで、合併症率が増大する可能性がある。
【0004】
国際公開第2015/074045(A2)号パンフレットは、撮像及び治療薬送達能力を有するカテーテルなどの医療デバイスに関する。治療用カテーテルによって、外科医は、治療薬を組織に送達させる前に血栓などの生物組織を撮像し、次いで、手術の成功を判定するために手術後の組織を再撮像することが可能であることが記載されている。例えばスペクトル解析による、生物組織の詳細な特徴付けが容易にされることで、組織の組成の洞察がもたらされ、且つ適切である処置量を決定するのに役立つ。
【0005】
米国特許出願公開第2008/300493(A1)号には、血管における血液凝固塊を検出するためのデバイス及び関連方法が記載されている。光マイクロプローブは、電磁スペクトルの近赤外部分に対応する電磁放射によって血管を照射するように構成される。光マイクロプローブは、透過分光法によって血管内の成分によって生じた吸収スペクトルを得るように構成された一対の光ファイバーストランドを有する。血液凝固塊が検出可能で特有のスペクトルを生成するため、血液凝固塊の有無は、血管の吸収スペクトルを検査することによって決定される。特別に設計された保持器は、血管に対して光マイクロプローブを安定させて位置付けるように構成され、血管の長さに沿った正確な血液凝固塊検出を容易にするために使用される。
【0006】
米国特許出願公開第2004/111016(A1)号には、心臓発作及び脳卒中を防止するために脆弱な動脈硬化性プラークと関連する炎症の検出のための方法が記載されている。方法は、体における感染、癌、外傷、又は自己免疫疾患の検出にも適用可能である。方法のある特定の実施形態は、生きている患者の血管において炎症を起こした動脈硬化性プラークと関連する2つ以上のパラメータの状況を光ファイバーNIR分光測光法によって査定することによって破裂又は血栓形成に対する動脈硬化性プラークの脆弱レベルを予測する手法を提供する。これらの測定から、低pH、低酸素症、低グルコース、酸化的ストレス、又は、酸化LDLコレステロール、及びNOの酸化的代謝物などの不安定プラーク、活性が高いマクロファージ個体群、薄いプラーク被膜、並びに、滑らかな筋肉若しくは内皮細胞の老化及び/又はアポートシスが豊富な化合物といった状態は、適当にプログラミングされたマイクロプロセッサを用いて決定される。血管壁に沿った連続する部位に対するこれらの状態の一部又は全ての状況を合わせて検討することによって、破裂する又は血栓症になる危険性が大きい特定のプラークは、「通常の」血管壁と、「中間の」及び比較的安定した又は「危険性が低い」プラークと区別可能である。標識の条件をより多く有する部位は、最も早急な仲介を必要としているとみなされ、パラメータレベルのある特定の組み合わせは、比較的安定したプラークを示唆する。また、同方法において使用するための多重パラメータカテーテル及び解析処理組立体が記載されている。
【0007】
欧州特許出願公開第243098(A1)号は、血管の内壁に付着した物質の成分をより精確に解析するための構造体が設けられた血管内壁解析装置に関する。血管内壁解析装置は、照射手段、検出手段、及び解析手段を備える。照射手段は、頸動脈に挿入される光照射ファイバーの端面から被測定部位上への1957nm~2713nmの測定波長範囲における光成分を照射する。検出手段は、頸動脈内の受光用ファイバーの端面を通して被測定部位から光成分を受ける。検出される光成分は、選択された中心波長の短辺及び長辺両方において15nmずつの検出波長範囲内にある光成分であり、1つ又は複数の中心波長それぞれは、測定波長範囲においてそれぞれ固有の波長で構成された波長群から選択される。解析手段は、検出された光成分についての光度情報を使用することによって血液と異なる物質の有無について解析する。
【0008】
しかしながら、手術で使用するための正しい血栓摘出デバイスの神経インターベンション医の選定を継続的に支持する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
血液凝固塊などの懸念閉塞物に関連する情報を決定するための改善されたデバイスを有することは有利である。
【0010】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決される。ここで、さらなる実施形態は従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に説明される態様及び例は、懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのデバイス、懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのシステム、懸念閉塞物に関連する情報を決定するための方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用されることは、留意されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によると、添付の請求項1に定められるように、閉塞構造物に関連する情報を決定するためのデバイスが提供される。
【0012】
第2の態様によると、添付の請求項9に定められるように、閉塞構造物に関連する情報を決定するためのシステムが提供される。
【0013】
第3の態様によると、添付の請求項10に定められるように、閉塞構造物に関連する情報を決定するための方法が提供される。
【0014】
第1の例によると、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するためのデバイスであって、入力ユニットと、スペクトル分解ユニットと、処理ユニットとを備えるデバイスが提供される。
【0015】
入力ユニットは、スペクトル分解ユニットに少なくとも1つの広帯域放射を供給するように構成される。少なくとも1つの広帯域放射は、血管構造内の関心領域から取得される第1の広帯域放射を含む。閉塞構造物は、関心領域内に位置することが懸念され、ここで、第1の広帯域放射は懸念閉塞構造物と関連している。スペクトル分解ユニットは、処理ユニットに、少なくとも1つの広帯域放射に基づいて少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを供給するように構成され、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは、第1の広帯域放射に基づいて決定される第1のスペクトル分解されたデータセットを含む。処理ユニットは、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するように構成され、懸念閉塞構造物に関連する情報の決定は、第1のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む。
【0016】
換言すれば、光学分光学を使用して、血液凝固塊などの懸念閉塞構造物に関連する情報を提供し、且つ懸念閉塞構造物の、位置、及び/又は、組成及び/又は物理的性質についての情報を決定する。これは、血液凝固塊が確かに存在するかどうかを決定するために使用可能であり、血液凝固塊が存在する場合、種々のタイプの血液凝固塊の間を識別するために、例えば、血液凝固塊に赤血球が豊富であるかどうかを決定するために、血液凝固塊にフィブリンが豊富であるかどうかを決定するために、及び、血液凝固塊が、血栓摘出に抵抗を示し、且つ血栓溶解によって処置されなければならないタイプかどうかを決定するために、使用可能である。
【0017】
このように、血液凝固塊を除去するための正しい血栓摘出デバイスを決定することが可能であり、それによって、処置時間は減少し、費用は低減され、正しくないタイプのデバイスが最初に選定された場合の第2の血液凝固塊除去手術を行う必要性が低減されることによって患者に対する危険性は低減される。
【0018】
一例では、少なくとも1つの広帯域放射は、血管構造内から取得される第2の広帯域放射を含む。第2の広帯域放射は懸念閉塞構造物と関連していない。少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは、第2の広帯域放射に基づいて決定される第2のスペクトル分解されたデータセットを含む。そして、懸念閉塞構造物に関連する情報の決定は、第2のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む。
【0019】
換言すれば、懸念血液凝固塊などの懸念閉塞構造物の測定が比較されるベース参照として使用される、例えば血液の基準測定を行うことができる。このように、患者間の血液組成における自然発生する変動は、例えば血液凝固塊が存在するかどうかを決定する時、及び血液凝固塊が存在する場合、その血液凝固塊についての情報を提供することが考慮され得る。このように、より良い識別信号が提供される。
【0020】
一例では、第2の広帯域放射は関心領域から取得されたものである。換言すれば、基線は、懸念血液凝固塊などの懸念閉塞構造物の位置の近くから取得される。
【0021】
一例では、懸念閉塞構造物は血液凝固塊であり、血液凝固塊に関連する情報の決定は、赤血球が豊富である第1の血液凝固塊タイプとフィブリンが豊富である第2の血液凝固塊タイプとの間の区別を含む。
【0022】
このように、血液凝固塊が存在するかどうかの決定を行うことができ、その位置が決定できる。また、血液凝固塊が存在する場合、フィブリンが豊富な血液凝固塊は、赤血球が豊富である血液凝固塊と区別でき、それによって、血液凝固塊を除去するための正しいタイプの血栓摘出デバイスを決定することが可能になる。
【0023】
一例では、第1の血液凝固塊タイプと第2の血液凝固塊タイプとの間の区別は、少なくとも1つの生理的パラメータの決定を含む。少なくとも1つの生理的パラメータは、ヘモグロビン量、ヘモグロビン酸素飽和度、散乱量、血管パッケージングパラメータ、含水量、及び、少なくとも1つのヘモグロビン誘導体の量、の1つ又は複数を含む。
【0024】
換言すれば、血液凝固塊に関連する取得したスペクトルに基づいて、スペクトルの適切な解析を使用して、血液凝固塊に関連するパラメータを決定することができることで、血液凝固塊のタイプを決定可能になる。血液凝固塊のタイプから、血液凝固塊を除去するための適切な血栓摘出デバイスが決定される。
【0025】
一例では、少なくとも1つの生理的パラメータの決定は、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの光学モデルの適合、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの少なくとも1つの多変量解析ツールの適用、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットの部分最小二乗識別解析、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへのサポートベクタマシンの適用、k最近傍解析の適用、及び、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの深層学習アルゴリズムの適用、の1つ又は複数を含む。
【0026】
よって、計算効率の良い手段を使用して血液凝固塊のタイプを決定することが可能であり、このような手段は、より多くのデータが取得されるように継続的に改善され得る。
【0027】
一例では、第1の血液凝固塊タイプと第2の血液凝固塊タイプとの間の区別は、ルックアップテーブルの利用を含む。
【0028】
換言すれば、ルックアップテーブルを使用して、使用される血栓摘出デバイスについての選択アドバイスを行うことができることに基づいてパラメータを血液凝固塊にリンクさせる。
【0029】
一例では、第1の広帯域放射は、血液凝固塊から反射した放射を含む。
【0030】
よって、反射した放射から血液凝固塊のタイプを解析し且つ決定するための効率的な手段が提供され、プローブが血液凝固塊を押しのける又は血液凝固塊に入り込む必要性がなくなる。一例では、第2の広帯域放射は血管構造内から反射した放射を含む。
【0031】
一例では、少なくとも1つの広帯域放射は400nm~800nmの範囲の放射を含む。
【0032】
一例では、血液凝固塊に関連する情報は、どの1つ又は複数の血栓摘出デバイスが血液凝固塊の除去に最も適しているかの評価、血液凝固塊の物理的硬度の査定、血液凝固塊の密度の査定、及び血液凝固塊のフィブリン含有量の査定、の1つ又は複数を含む。
【0033】
第2の例によると、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するためのシステムであって、放射線源と、少なくとも1つの光ファイバーと、第1の例及び任意の関連の例による、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するためのデバイスと、出力ユニットと、を含むシステムが提供される。
【0034】
少なくとも1つの光ファイバーは、放射線源によって生じた広帯域放射を血管構造内に伝えるように構成される。少なくとも1つの光ファイバーは、血管構造内から反射した広帯域放射をデバイスに伝えるように構成され、デバイスに伝えられた放射は少なくとも1つの広帯域放射を含む。出力ユニットは、懸念閉塞構造物に関連する情報を出力するように構成される。
【0035】
第3の例によると、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するための方法であって、
a)スペクトル分解ユニットに少なくとも1つの広帯域放射を供給するステップであって、少なくとも1つの広帯域放射は血管構造内の関心領域から取得される第1の広帯域放射を含み、閉塞構造物は関心領域内に位置することが懸念され、第1の広帯域放射は懸念閉塞構造物と関連している、ステップと、
b)少なくとも1つの広帯域放射に基づいて少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを決定するステップであって、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは第1の広帯域放射に基づいて決定される第1のスペクトル分解されたデータセットを含む、ステップと、
c)処理ユニットに、少なくとも1つの広帯域放射に基づいて少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを供給するステップと、
d)処理ユニットによって、第1のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するステップと、を有する方法が提供される。
【0036】
一例では、ステップa)において、少なくとも1つの広帯域放射は血管構造内から取得される第2の広帯域放射を含み、第2の広帯域放射は懸念閉塞物と関連しておらず、ステップb)の範囲内で、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは第2の広帯域放射に基づいて決定される第2のスペクトル分解されたデータセットを含み、ステップd)の範囲内で、懸念閉塞構造物に関連する情報の決定は、第2のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む。
【0037】
別の態様によると、先述されるようなデバイス及び/又はシステムを制御するコンピュータプログラム要素であって、コンピュータプログラム要素が処理ユニットによって実行される場合、先述されるような方法のステップを行うように適応される、コンピュータプログラム要素が提供される。
【0038】
別の態様によると、先述されるようなコンピュータ要素を記憶しているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0039】
有利には、上記の態様のいずれかによってもたらされる利点は他の態様の全てに等しく適用され、逆もまた同様である。
【0040】
上記の態様及び例は、以降に説明される実施形態から明らかになり、該実施形態を参照して解明されるであろう。
【0041】
例示の実施形態について、以下の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのデバイスの一例の概略的な配置を示す図である。
【
図2】懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのシステムの一例の概略的な配置を示す図である。
【
図3】懸念閉塞物に関連する情報を決定するための方法を示す図である。
【
図4】懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのシステムの図式的な例を詳細に示す図である。
【
図5】血液凝固塊に関連する情報を決定するためのシステムによって取得される、豚の血液からの測定された拡散反射スペクトルを示す図である。
【
図6】血液凝固塊の測定されたスペクトルを適合させるために使用される典型的な吸収曲線を示す図である。
【
図7】血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と適合させたパラメータとの間の関係を示す図である。
【
図8】血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と適合させたパラメータとの間の関係を示す図である。
【
図9】血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と適合させたパラメータとの間の関係を示す図である。
【
図10】血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と適合させたパラメータとの間の関係を示す図である。
【
図11】血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と適合させたパラメータとの間の関係を示す図である。
【
図12】コレステロール及び関連の物質の吸収曲線であり、コレステロールがおよそ1180nm及び1380nmの強力な吸収特性を示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するためのデバイス10の一例を示す。デバイス10は、入力ユニット20、スペクトル分解ユニット30、及び処理ユニット40を含む。入力ユニット20は、スペクトル分解ユニット30に少なくとも1つの広帯域放射を供給するように構成される。少なくとも1つの広帯域放射は、血管構造内の関心領域から取得される第1の広帯域放射を含む。閉塞構造物は、関心領域内に位置することが懸念され、第1の広帯域放射は懸念閉塞物と関連している。スペクトル分解ユニット30は、処理ユニット40に、少なくとも1つの広帯域放射に基づいて少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを供給するように構成される。少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは、第1の広帯域放射に基づいて決定される第1のスペクトル分解されたデータセットを含む。処理ユニット40は、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するように構成される。懸念閉塞構造物に関連する情報の決定は、第1のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む。
【0044】
一例では、スペクトル分解ユニットは分光計である。
【0045】
一例では、デバイスは放射線源を含む。一例では、放射線源は波長可変レーザである。一例では、スペクトル分解ユニットは放射検出器と協働する波長可変レーザを含み、広帯域放射は波長可変レーザが波長範囲にわたって動作することを含み、スペクトル分解されたデータセットを提供するために、この広帯域放射は検出される。
【0046】
一例では、閉塞構造物は血液凝固塊である。しかしながら、閉塞構造物は、異物又は狭窄など、血液凝固塊以外である可能性がある。
【0047】
一例では、デバイスは出力ユニットである。
【0048】
一例によると、少なくとも1つの広帯域放射は、血管構造内から取得される第2の広帯域放射を含む。第2の広帯域放射は懸念閉塞構造物と関連していない。そして、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは、第2の広帯域放射に基づいて決定される第2のスペクトル分解されたデータセットを含む。そして、懸念閉塞構造物に関連する情報の決定は、第2のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む。
【0049】
一例では、懸念血液凝固塊などの懸念閉塞構造物に関連する情報の決定は、第1のスペクトル分解されたデータセットと第2のスペクトル分解されたデータセットとの間の比率の利用を含む。
【0050】
一例によると、第2の広帯域放射は関心領域から取得されたものである。
【0051】
一例によると、懸念閉塞構造物は血液凝固塊である。血液凝固塊に関連する情報の決定は、赤血球が豊富である第1の血液凝固塊タイプとフィブリンが豊富である第2の血液凝固塊タイプとの間の区別を含む。
【0052】
一例では、赤血球が豊富である第1の血液凝固塊タイプとフィブリンが豊富である第2の血液凝固塊タイプとの間の区別は、存在する赤血球の量及び/又は存在するフィブリンの量の決定を含む。換言すれば、一方で、「赤血球が豊富である凝固塊」と「フィブリンが豊富である凝固塊」との間の段階は、実際の血液凝固塊が、赤血球が豊富である凝固塊とフィブリンが豊富である凝固塊との間に存在する可能性があり、且つこれら2つの間の途中の血液凝固塊として存在し得ることを考慮に入れるように行われる。すると、血液凝固塊に関連する情報の決定は、この段階を血液凝固塊の実際の形でもたらす。
【0053】
一例によると、第1の血液凝固塊タイプと第2の血液凝固塊タイプとの間の区別は、少なくとも1つの生理的パラメータの決定を含み、少なくとも1つの生理的パラメータは、ヘモグロビン量、ヘモグロビン酸素飽和度、散乱量、血管パッケージングパラメータ、含水量、及び、少なくとも1つのヘモグロビン誘導体の量、の1つ又は複数を含む。
【0054】
一例では、少なくとも1つのヘモグロビン誘導体はメトヘモグロビンを含む。
【0055】
一例では、少なくとも1つの生理的パラメータは、拡散理論から導出された光学モデルを測定されたスペクトルに適合させることによって、少なくとも1つの広帯域放射から決定される。一例では、スペクトルを光学モデルに適合させることは、波長依存吸収係数及び波長依存の低減した散乱係数を考慮に入れることを含むことができる。一例では、二重べき乗則を使用して、低減した散乱の波長依存を表すことができ、この場合、第1べき乗則はMie散乱の寄与に対応し、第2べき乗則はRayleigh散乱の寄与に対応する。波長λの関数としてcm
-1で表現された低減した散乱μ’
Sは以下のように書き表され得る。
【数1】
ここで、λ
0は、一例では、800nmに設定可能である正規化波長であり、パラメータaは、この例示の波長における低減した散乱振幅に対応する。低減した散乱は、Mie及びRayleigh散乱の合計に対応し、ρ
MRは散乱のMie対Rayleigh比として定められる。Mie散乱の低減した散乱の傾きはbと示され、粒子サイズに関連している。
【0056】
生理的パラメータの決定に対するさらなる詳細については、以下の2つの論文、R.Nachabe、B.H.W.Hendriks、A.E.Desjardins、M.van der Voort、M.B.van der Mark、及びH.J.C.M.Sterenborgによる「Estimation of lipid and water concentrations in scattering media with diffuse optical spectroscopy from 900 to 1600 nm」、J.Biomed.Opt.15、037015(2010);及びRami Nachabe、Benno H.W.Hendriks、Marjolein van der Voort、Adrien E.Desjardins、及びHenricus J.C.M.Sterenborgによる「Estimation of biological chromophores using diffuse optical spectroscopy:benefit of extending the UV-VIS wavelength range to include 1000 to 1600 nm」、Optics Express 18(2010)p1432において見つけることができる。
【0057】
一例によると、少なくとも1つの生理的パラメータの決定は、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの光学モデルの適合、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの少なくとも1つの多変量解析ツールの適用、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットの部分最小二乗識別解析、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへのサポートベクタマシンの適用、k最近傍解析の適用、及び、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの深層学習アルゴリズムの適用、の1つ又は複数を含む。
【0058】
一例では、少なくとも1つの多変量解析ツールは主成分解析(PCA)を含む。
【0059】
一例によると、第1の血液凝固塊タイプと第2の血液凝固塊タイプとの間の区別はルックアップテーブルの利用を含む。
【0060】
一例によると、第1の広帯域放射は血液凝固塊から反射した放射を含む。
【0061】
一例によると、第2の広帯域放射は血管構造内から反射した放射を含む。
【0062】
一例によると、少なくとも1つの広帯域放射は400nm~800nmの範囲の放射を含む。
【0063】
一例では、少なくとも1つの広帯域放射は300nm~800nmの範囲の放射を含む。
【0064】
一例では、少なくとも1つの広帯域放射は200nm~800nmの範囲の放射を含む。
【0065】
一例では、少なくとも1つの広帯域放射は白色光放射を含む。
【0066】
一例では、少なくとも1つの広帯域放射はUV光放射を含む。
【0067】
一例では、広帯域放射源は、フィブリンによるUV放射の吸収によってフィブリンの検出に向けられた特殊なUV光源を含む。よって、放射線源は実際には、必要な広帯域放射をもたらす2つ以上の線源に関する可能性がある。
【0068】
一例によると、血液凝固塊に関連する情報は、どの1つ又は複数の血栓摘出デバイスが血液凝固塊の除去に最も適しているかの評価、血液凝固塊の物理的硬度の査定、血液凝固塊の密度の査定、及び血液凝固塊のフィブリン含有量の査定、の1つ又は複数を含む。
【0069】
図2は、懸念閉塞構造物に関連する情報を検出するためのシステム100の一例を示す。システムは、放射線源110と、少なくとも1つの光ファイバー120と、
図1に関して説明されるような、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するためのデバイス10とを備える。システム100は出力ユニット130も備える。少なくとも1つの光ファイバー120は、放射線源110によって生じた広帯域放射を血管構造内に伝えるように構成される。少なくとも1つの光ファイバー120は、血管構造内から反射した広帯域放射をデバイス10に伝えるように構成される。デバイス10に伝えられた放射は少なくとも1つの広帯域放射を含む。出力ユニット130は、懸念閉塞構造物に関連する情報を出力するように構成される。
【0070】
一例では、閉塞構造物は血液凝固塊である。
【0071】
一例では、1つの光ファイバーを使用して患者体内に放射を伝え、第2の光ファイバーを使用してデバイス及びスペクトル分解ユニットに放射を伝える。一例では、同じ光ファイバーを使用して患者の体内及び体外に放射を伝える。
【0072】
一例では、少なくとも1つの光ファイバーは、非外傷性先端を有する神経学的利用ワイヤ(Neurology wire)内に含まれる。
【0073】
一例では、放射線源110はデバイス10の一部を形成することができる。一例では、放射線源は、波長可変レーザであり、検出器と協働してデバイス10のスペクトル分解ユニット30を形成し、これにより、スペクトル分解されたデータセットは、ある波長範囲にわたる波長可変レーザの適切な動作によって提供可能である。よって、スペクトル分解ユニットは、例えば放射線源が波長可変レーザである場合に、放射線源の内部に又は放射線源と統合可能である。
【0074】
図3は、基本のステップにおいて懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するための方法200を示す。方法200は、
ステップa)とも呼ばれる供給するステップ210において、スペクトル分解ユニットに少なくとも1つの広帯域放射を供給するステップであって、少なくとも1つの広帯域放射は血管構造内の関心領域から取得される第1の広帯域放射を含み、閉塞構造物は関心領域内に位置することが懸念され、第1の広帯域放射は懸念閉塞構造物と関連している、ステップと、
ステップb)とも呼ばれる決定するステップ220において、少なくとも1つの広帯域放射に基づいて少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを決定するステップであって、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは第1の広帯域放射に基づいて決定される第1のスペクトル分解されたデータセットを含む、ステップと、
ステップc)とも呼ばれる供給するステップ230において、処理ユニットに、少なくとも1つの広帯域放射に基づいて少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットを供給するステップと、
ステップd)とも呼ばれる決定するステップ240において、処理ユニットによって、第1のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するステップと、を有する。
【0075】
一例では、閉塞構造物は血液凝固塊である。
【0076】
一例によると、ステップa)の範囲内で、少なくとも1つの広帯域放射は、血管構造内から取得される第2の広帯域放射を含み、第2の広帯域放射は懸念閉塞構造物と関連しておらず、ステップb)の範囲内で、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットは、第2の広帯域放射に基づいて決定される第2のスペクトル分解されたデータセットを含み、ステップd)の範囲内で、懸念閉塞構造物に関連する情報の決定は第2のスペクトル分解されたデータセットの利用を含む。
【0077】
一例では、第2の広帯域放射は関心領域から取得される。
【0078】
一例では、懸念閉塞構造物は血液凝固塊であり、血液凝固塊に関連する情報を決定することは、赤血球が豊富である第1の血液凝固塊タイプとフィブリンが豊富である第2の血液凝固塊タイプとの間を区別することを含む。
【0079】
一例では、第1の血液凝固塊タイプと第2の血液凝固塊タイプとの間を区別することは、少なくとも1つの生理的パラメータを決定することを含み、少なくとも1つの生理的パラメータは、ヘモグロビン量、ヘモグロビン酸素飽和度、散乱量、血管パッケージングパラメータ、含水量、及び、少なくとも1つのヘモグロビン誘導体の量、の1つ又は複数を含む。
【0080】
一例では、少なくとも1つの生理的パラメータを決定することは、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの光学モデルの適合、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの少なくとも1つの多変量解析ツールの適用、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットの部分最小二乗識別解析、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへのサポートベクタマシンの適用、最近傍解析の適用、及び、少なくとも1つのスペクトル分解されたデータセットへの深層学習アルゴリズムの適用、の1つ又は複数を含む。
【0081】
一例では、第1の血液凝固塊タイプと第2の血液凝固塊タイプとの間を区別することは、ルックアップテーブルの利用を含む。
【0082】
一例では、第1の広帯域放射は、血液凝固塊から反射した放射を含む。
【0083】
一例では、第2の広帯域放射は血管構造内から反射した放射を含む。
【0084】
一例では、少なくとも1つの広帯域放射は400nm~800nmの範囲の放射を含む。
【0085】
一例では、血液凝固塊に関連する情報は、どの1つ又は複数の血栓摘出デバイスが血液凝固塊の除去に最も適しているかの評価、血液凝固塊の物理的硬度の査定、血液凝固塊の密度の査定、及び血液凝固塊のフィブリン含有量の査定、の1つ又は複数を含む。
【0086】
懸念血液凝固塊など、懸念閉塞構造物に関連する情報を決定するためのデバイス、システム、及び方法について、ここで、
図4~
図12と併せてより詳細に説明する。
【0087】
図4は、懸念閉塞物に関連する情報を決定するためのシステムの詳細な例を示す。よって、
図4のシステムは、
図2に示されるシステム100の詳細な例である。続けて
図4では、システムは、ガイドワイヤ、コンソール、及びコンソールに統合される評価及び出力ユニットから成る。コンソール自体は明確にするために示されておらず、もっと正確に言えば、論述されるシステム及びコンソールの具体的な要素が示されている。評価及び出力ユニットの評価部は、
図1及び
図2のデバイス10及びシステム100との関連で論述される処理ユニット40の一例である。評価及び出力ユニットの出力ユニットは、
図2のシステム100との関連で論述される出力ユニット130の一例である。
図4において、コンソールは、400nm~800nmのスペクトル範囲を包含する波長による光を発する白色光源を有する。白色光源は、
図2のシステムを参照して説明される放射線源110の一例である。
図4のシステムに関連する論述を続けると、光源はまた、300nm~800nmの波長範囲にわたって動作可能である。さらに、フィブリンは、フィブリンによる光吸収が高い紫外線範囲内まで及ぶスペクトル特徴を示し、そのため、光源は200nmまでの波長で動作できる。光源は、最高2000nmまで、赤外領域内で動作することもできる。光源は、全波長範囲にわたる放出を可能にする種々の放出素子によって形成可能である。白色光は、狭帯域光源の取り合わせ(例えば、種々の波長のいくつかのLED)を指す可能性もある、又は、広範な波長範囲にわたって掃引される単色可変波長光源、又はこの任意の組み合わせを指す可能性がある。従って、ここでの「白色光」は、200nmから1600nmに及ぶ上述された波長範囲にわたって動作できる広帯域放射線源を指す。光源からの白色光は、光ファイバーに結合され、且つ、神経学的利用ガイドワイヤに通されてそのワイヤの先端に至る。
図4に示される単一の光ファイバーは、
図2のシステム関して論述された少なくとも1つの光ファイバー120の一例である。
図4において、ガイドワイヤは患者の血管構造に挿入可能である。ワイヤの先端から、血流及び存在する任意の凝固塊内に光が発せられる。光は、部分的に吸収され且つ散乱し、光の一部は再び先端に向かって散乱し、この光の一部は、再び光ファイバー内へと収集され、再びコンソール内へと移送される。同じ光ファイバーを使用して光を発し且つ収集することができ、又は異なるファイバーを使用することができる。再びコンソールへと移送された光は、デバイス10に提供される、
図2のシステムとの関連で論述される広帯域放射であるとみなされ得る。コンソールは、反射光を、白色光源から直接生じる光から分離するのに役立つ、光ビームスプリッタ、サーキュレータ、及び/又はフィルタを含有することができる。コンソールにおいて、反射光は、この例では、スペクトル分解されたデータセットを形成する、反射光の波長分解されたパワースペクトルを決定する分光計である波長分解素子に案内される。
図4に示される分光計は、
図1及び
図2との関連で論述されるデバイス10のスペクトル分解ユニット30の一例である。波長可変レーザが光源として使用可能であり、この場合、波長分解素子が必要とされないことは、留意されたい。スペクトル分解されたデータセットは、種々の手法で形成可能であり、パワースペクトルに関連している必要はない。
図4に示されるように、ガイドワイヤは、懸念血液凝固塊といった、懸念閉塞物に隣接して位置付けられると、懸念閉塞物(例えば、懸念血液凝固塊)に関係する広帯域放射を取得する。懸念閉塞物(例えば、血液凝固塊)と離してガイドワイヤを位置付けることによって、血液自体の、又は血管壁若しくは他の必要とされる背景の広帯域放射測定値が取得可能である。これによって基線が形成可能であり、この基線に対して、懸念閉塞物(例えば、血液凝固塊)からのスペクトルが参照可能である。そして、スペクトル間での減算を行う、又は、スペクトル間の比率を決定するといった通常の照合技法が使用可能である。しかしながら、このような基線は、必ずしも必要ではないが、患者間での取得されたスペクトルにおける相違を考慮に入れるのに役立つ可能性がある。よって、確かに閉塞物が存在しているかどうかが決定可能であり、その位置を決定可能である。閉塞物が存在している場合、これが血液凝固塊であるかどうかが決定可能であり、存在する血液凝固塊のタイプが決定可能である。
【0088】
図5は、豚の血液からのスペクトルの例、及び豚の血液における血液凝固塊を示し、上で論じられるように、波長範囲は必要に応じて300nm又は200nmまで及ぶことが可能であり、便宜上、400nmまでの波長範囲のみがここでは示されている。
図5は、豚の血液(新しいもの及び約1日経ったもの)からの、及び豚の凝固塊における2つのタイプの血液凝固塊の、測定された拡散反射スペクトルを示す。2つのタイプの凝固塊は、1)非ヘパリン化血液において自然発生する凝固塊、及び2)ヘパリン化血液におけるクエン酸塩誘導の凝固塊である。
【0089】
図4を参照すると、閉塞物が血液凝固塊の形で存在していると仮定すれば、光学スペクトル(ここで光学はUV及びIR、並びに可視光線範囲も意味する可能性がある)は、コンソールの評価及び出力ユニットにおける処理ユニットによって解析される。光学スペクトル、及びこの光学スペクトルの血液凝固塊との関係のこの解析又は評価は、血液凝固塊の形成に関連しているさまざまな生理的パラメータの決定を含む。これらのパラメータは、ヘモグロビン量、ヘモグロビン酸素飽和度、散乱量、血管パッケージングパラメータ、含水量、及び、メトヘモグロビンなどのヘモグロビン誘導体の量である。
【0090】
これらのパラメータは、拡散理論から導出された光学モデルを測定されたスペクトルに適合させることによってスペクトルから決定される。この決定についてのさらなる詳細には、上で言及された以下の、R.Nachabe、B.H.W.Hendriks、A.E.Desjardins、M.van der Voort、M.B.van der Mark、及びH.J.C.M.Sterenborgによる、及びRami Nachabe、Benno H.W.Hendriks、Marjolein van der Voort、Adrien E.Desjardins、及びHenricus J.C.M.Sterenborgによる2つの論文において見つけることができる。しかしながら、他の技法を使用して、PCAなどの多変量解析ツール、部分最小二乗識別解析、サポートベクタマシン、又は深層学習アルゴリズムを適用するなどして、これらのパラメータを決定することができる。
【0091】
パラメータが決定された後、(赤血球「RBC」が豊富である又はフィブリンが豊富である)血液凝固塊タイプの分類アルゴリズムは、血液凝固塊クラスをその血液凝固塊についての取得されたデータに割り当てる。この割り当ては、ヘモグロビン量、酸素飽和度、血管パッケージング因子、散乱量、含水量、及び、ヘモグロビン誘導体の量の推定に基づくことができる。決定された又は割り当てられた血液凝固塊クラスの結果は、
図4の評価及び出力ユニットの一部として示される、コンソールのUI又はディスプレイ上で出力される。ルックアップテーブルは凝固塊タイプのパラメータをリンクさせるために使用される。使用される血栓摘出デバイスに関するアドバイスも、血液凝固塊タイプに関連する情報に加えて提示される。
【0092】
よって、関心パラメータ及びそれらの有意性は、以下のように要約できる。
-全ヘモグロビン濃度:これはRBCが豊富な凝固塊中でより高い。
-ヘモグロビン酸化:これは、凝固塊が血液循環に関与していないため、周囲の血液中よりも凝固塊中で低い。
-メトヘモグロビン:これは、ヘモグロビンの分解が開始されたため、凝固塊中でより高い。
-血管半径:これは、血管パッケージングに対する代替の又はさらに増強するパラメータである。
-散乱パラメータ:散乱パラメータは大部分が粒子サイズに頼っている。RBCが豊富である凝固塊は基本的に、大粒子(RBC)の緩やかな集まりである。従って、有効な粒子サイズは大きい。結果として、これらは、Mie比が大きく、おそらく、増大したMie傾きも有するものとする。フィブリンが豊富である凝固塊は、より多くの同種の塊を形成するため、散乱は大部分がより小さい異種物上で発生することになる。これによって、よりMie比は小さくなり、Mie傾きは低減されることになる。
-水濃度:これは周囲の血液中よりも凝固塊中の方が低い。
【0093】
血液凝固塊タイプの割り当て
ここで、取得されたスペクトルから決定された情報を使用して、赤血球が豊富である血液凝固塊タイプとフィブリンが豊富である血液凝固塊との間を区別する。具体的には、スペクトル評価を使用して、血液凝固塊タイプを分類するために使用される上述されたパラメータの推定値を決定する。
【0094】
これらの血液凝固塊タイプにはスペクトルの相違があるが、これは例えば以下に起因する。
-赤血球が豊富である血液凝固塊は通常の血液より高いヘマトクリット値を有する。ヘマトクリット値は赤血球と全血漿量との比率である。人間の通常の範囲は、性別によって38~43%の間で変動する。ヘマトクリット値が0.38~0.43の範囲になる血液全体からのスペクトルに関して、血液凝固塊に関連する取得されたスペクトルは、このような基準スペクトルと比較可能であり、これにより、血液凝固塊がより多い量の赤血球を有するか否かが決定可能である。とりわけ、血液凝固塊の方へのカテーテルの挿入中に通常の血液の基線測定を利用することによって、通常の血液と比較した血液凝固塊の上昇のヘマトクリット値は精確に検出可能である。この値は、血液凝固塊の特徴付けに重要であり、この値にリンクされたルックアップテーブルを使用することによって、血栓摘出デバイスの選択アドバイスが医師に与えられ得る。
-フィブリンが豊富である血液凝固塊について、赤血球の量は通常の全血より低い。また、赤血球が豊富である血液凝固塊と比較した凝固塊組織のフィブリン構造により、散乱量は異なっている。フィブリン量はまた、フィブリン吸収が高いUV波長範囲において検出可能である。
【0095】
血液凝固塊タイプに基づいて、医師は、使用する処置デバイスをどのタイプにするか(例えば、血栓摘出術を使用するかどうか(及びどの特定のデバイスにするか)、血栓溶解、又は別の技法を使用するかどうか)について決断する必要がある。
図4に示される評価及び出力ユニット内の処理ユニットは、医師にこの選定に対する提案を与える。これが重要である理由は、フィブリンが豊富である凝固塊が固く粘着性があるため、容易に変形せず、吸引だけの従来のステント回収装置によって除去することが難しい可能性があることに起因する。対照的に、赤血球が豊富である凝固塊は、柔らかく、脆く、滑りやすく、これは、それらが、除去するのはより容易だが、その代わりに同じ又は以前に影響されなかった区域内に塞栓形成がより生じやすいことを意味する。従って、種々の凝固塊タイプは除去のための種々の技術を必要とする可能性がある。例えば、ある特定のフィブリンが豊富である凝固塊に適する可能性があるデバイスの一例は、MERCI回収装置であるが、赤血球が豊富である凝固塊に対して、適する可能性があるある種のデバイスの一例は、PENUMBRAなどの吸引デバイスである。中間の凝固塊に適し得るデバイスは、Solitaire又はTREVOのような標準的な回収装置である可能性がある。さらに又は代替的には、パラメータ推定に基づく凝固塊の物理的硬度、及び/又は凝固塊の密度若しくはフィブリン含有量の査定が、医師に対して表示され、医師は次いで、自らの専門知識を使用してどのように進めるかを決定することができる。このような情報は、とりわけ、ヘモグロビン含有量、及びスペクトルから決定される散乱から導出できる。
【0096】
図4に示される評価及び出力ユニットはスタンドアロンモードで動作することができ、この場合、血液凝固塊タイプを決定するために以前に取得されたデータを処理することができる。
【0097】
上記のシステムは、可視波長を使用して実現可能であるが、赤血球の高含有量における凝固塊に関して、1100nm~1500nmの近赤外波長は特定の有利点を有することができる。これは、青色及び緑色の波長領域における血液の高吸収が凝固塊から反射した光の低減をもたらすことができることで、全ヘモグロビン濃度の正確な測定の潜在的な困難さをもたらす。さらに、可視光は生物組織における貫通の深さが少ない可能性があり、赤外光を使用することは血液凝固塊へのより良い貫通をもたらし、これによって、不均一組成についての査定が可能になる。また、可視領域に適用される散乱特性によって、赤外領域は少なくなる可能性がある。従って、システムは理想的には、可視及び近赤外領域において動作する。
【0098】
近赤外ベースの可視領域において動作するシステムは、
図4に関して上述されるようなものとすることができる。しかしながら、以下に要約されるようなさらなる進展がある可能性がある。よってシステムは、(1100nm~1500nmの波長の光を含むことができる)白色光をデバイスの先端に、及びデバイスの先端からの反射光を、分光計などのスペクトル分解素子、及びスペクトルを評価し、且つ1つ又は複数の位置依存パラメータP(x)を決定する処理ユニットを含有するコンソールに案内する、少なくとも1つの光ファイバーを含有する、人間の血管において使用するのに適したガイドワイヤ又はカテーテルを有する。
【0099】
処理ユニットは
図4に関して上述されるような特徴に関する分類を実行する。
【0100】
しかしながら、処理ユニットはまた、「不可解な」吸収ピークをもたらす未知の吸収体に関する散乱及び吸収を決定するアルゴリズムを起動させ、処理ユニットは、
図4に関して上述されるそれらの特徴に加えてこれらの特徴に関する分類を実行することができる。
【0101】
ここで可視及び近赤外システムについてより詳細に説明し、ここでは
図6~
図12を具体的に参照する。
【0102】
図6は、血液凝固塊の測定されたスペクトルを適合させるために使用される典型的な吸収曲線を示す。血液の典型的な組成物(酸化ヘモグロビン、脱酸化ヘモグロビン、水、及びメトヘモグロビン)のみならず、およそ1180nm及び1380nmでいくつかの追加の未確認の吸収ピークを適合させることが必要であることが分かった。
【0103】
図7は、血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と、血液凝固塊試料に対する脱酸化及び酸化ヘモグロビンの適合合計濃度(任意の単位におけるy軸)との間の関係がさまざまな組成であることを示している。S1は、より高い及びより低い赤血球濃度のエリアを有する不均一試料である。低い赤血球分画に対してこのパラメータは非常に特徴的であり、より高い赤血球分画に対して吸収が非常に大きくなって、適合アルゴリズムは飽和問題に突き当たり、追加のパラメータが必要とされる場合がある。
【0104】
図8は、さまざまな組成の血液凝固塊試料に対して、血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と、メトヘモグロビンの適合濃度(y軸)との間の関係を示す。S1は、より高い及びより低い赤血球濃度のエリアを有する不均一試料である。従属関係は全濃度範囲にわたってほぼ直線状である。
【0105】
図9は、さまざまな組成の血液凝固塊試料に対して、血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と、800nmにおける適合散乱(y軸)との間の関係を示す。散乱が複数のパラメータによって表される複雑な挙動であるため、他の散乱パラメータも考慮に入れる必要があることは留意されたい。
【0106】
図10は、さまざまな組成の血液凝固塊試料に対して、血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と、適合させた血管半径パラメータ(y軸)との間の関係を示す。S1は、より高い及びより低い赤血球濃度のエリアを有する不均一試料である。
【0107】
図11は、血液凝固塊試料における赤血球濃度(x軸)と、2つの未確認吸収体の適合濃度(y軸)との間の関係を示し、上図はおよそ1380nmの吸収体に関するもので、下図はおよそ1180nmの吸収体に関するものである。これは、1180nm及び1380nmにおける吸収を担う未知の発色団の濃度を示し、血液凝固塊における赤血球の濃度と逆の相関がある(及び、従って、血液凝固塊におけるフィブリンの濃度と相関する)。
【0108】
図6~
図11は、さまざまな適合パラメータ(全ヘモグロビン及びメトヘモグロビン濃度、散乱、及び血管半径パラメータ)が、測定される試料に対するグラウンドトルースとどのように相関しているのかを示す。これは、これらの適合パラメータが血液凝固塊組成を決定するために使用可能であることを実証している。
【0109】
上で論じられる具体的な事例について、未知の発色団の吸収曲線が、
図12に示されるように、およそ1180nm及び1380nmの強力な吸収特性も示しているコレステロールの吸収と置き換え可能であることは留意されたい。未知の発色団の吸収曲線はまた、およそ1180nmの強力な吸収特性も示しているエラスチンの吸収と(部分的に)置き換え可能である。吸収曲線情報を含むエラスチンに関するさらなる情報は、米国特許出願公開第2013/0245616(A1)号において見つけることができる。
【0110】
上記は部分的に、1180nm及び1380nmの未知の吸収体に関して説明されているが、上記はまた、他の波長の未知の吸収体について実行可能である。
【0111】
要約
要約すると、血液凝固塊に関連する情報を決定するためのシステムの詳細な例は、神経学的使用に適するガイドワイヤから成る。このガイドワイヤは、
-光ファイバー、好ましくは単一の光ファイバーを含有し、該光ファイバーは、
-(好ましくは、300nm~800nmの波長の光を含む)白色光をガイドワイヤの先端に、及びガイドワイヤの先端からの反射光をコンソールに案内し、
-コンソールは、
-分光計などのスペクトル分解素子、
-スペクトルを評価する処理ユニット、及び
-評価の結果に基づいて、凝固塊がワイヤの正面で検出されたかどうかを表示する出力ユニットを含有し、
-血液凝固塊が検出された場合、
-血液凝固塊のタイプが決定され且つ医師に出力され、
-血栓摘出デバイスが凝固塊の除去に最も適しているかの提案又は評価がもたらされ且つ出力される、又は凝固塊が、血栓溶解、
-凝固塊の物理的硬度又は密度の査定、及び/又は
-凝固塊のフィブリン含有量の査定によって処置されるべきであることが決定され、
-血液の基準測定は凝固塊の付近で行うことが可能であり、これは、凝固塊の測定が比較されるベース参照として使用される。このように、患者間の血液組成における自然発生する変動はより堅牢な識別信号をもたらすことが考慮される。
【0112】
要約すれば、血液凝固塊に関連する情報を決定するためのシステムの別の詳細な例は、神経学的使用に適するガイドワイヤから成る。このガイドワイヤは、
-光ファイバー、好ましくは単一の光ファイバーを含有し、該光ファイバーは、
-(好ましくは、1100nm~1500nmの波長の光を含む)白色光をガイドワイヤの先端に、及びガイドワイヤの先端からの反射光をコンソールに案内し、
-コンソールは、
-分光計などのスペクトル分解素子、
-スペクトルを評価し、且つ1つ又は複数の位置依存パラメータを決定する処理ユニットであって、
-およそ1180nm及び/又は1380nmにおける吸収を決定するアルゴリズムを起動する、処理ユニット、及び
-評価の結果に基づいて、凝固塊がワイヤの正面で検出されたかどうかを表示する出力ユニットを含有し、
-血液凝固塊が検出された場合、
-血液凝固塊のタイプが決定され且つ医師に出力され、
-血栓摘出デバイスが凝固塊の除去に最も適しているかの提案又は評価がもたらされ且つ出力される、又は凝固塊が、血栓溶解、
-凝固塊の物理的硬度又は密度の査定、及び/又は
-凝固塊のフィブリン含有量の査定によって処置されるべきであることが決定され、
-血液の基準測定は凝固塊の付近で行うことが可能であり、これは、凝固塊の測定が比較されるベース参照として使用される。このように、患者間の血液組成における自然発生する変動はより堅牢な識別信号をもたらすことが考慮される。
【0113】
別の例示の実施形態では、適切なシステム上で、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法のステップを実行するように構成されることによって特徴付けられる、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0114】
コンピュータプログラム要素は従って、一実施形態の一部でもあるコンピュータユニット上に記憶される。このコンピューティングユニットは、上述される方法のステップを行うように又は行うことを誘導するように構成され、また、上述される装置及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成される。コンピューティングユニットは、ユーザの指図を自動的に動作させる及び/又は実行するように構成可能である。コンピュータプログラムはデータプロセッサのワーキングメモリにロードされる。データプロセッサはよって、前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するために装備される。コンピュータプログラム又は出力ユニットは、画像又はナビゲーションシステムに統合される場合がある。
【0115】
本発明の例示の実施形態は、本発明を最初から使用するコンピュータプログラム、及び、更新によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムの両方を包含する。
【0116】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上述されるような方法の例示の実施形態の手順を履行するための全ての必要なステップを提供することが可能である。
【0117】
本発明のさらなる例示の実施形態によると、CD-ROM又はUSBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示され、この場合、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読媒体にコンピュータプログラム要素が、前述の節によって説明されるように記憶されている。
【0118】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はこれの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適した媒体上に記憶及び/又は配布されるが、またインターネット、又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形式で配布される。
【0119】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、World Wide Webのようなネットワーク上で提示され、且つネットワークなどからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロード可能である。本発明のさらなる例示の実施形態によると、コンピュータプログラム要素をダウンロードに利用可能にする媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の先に説明した実施形態のうちの1つによる方法を行うように配置される。
【0120】
本発明の実施形態が種々の主題に関して説明されることは留意されなければならない。とりわけ、いくつかの実施形態は方法タイプの請求項に関して説明されるのに対し、他の実施形態はデバイスタイプの請求項に関して説明される。しかしながら、当業者は、別段通知されない限り、他のタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、種々の主題に関連する特徴間の任意の組み合わせも本出願によって開示されるとみなされると、上記の及び以下の説明から推察するであろう。しかしながら、特徴の単純な要約を上回っている相乗効果を提供する全ての特徴が組み合わせ可能である。
【0121】
本発明は、図面及び先述の説明において詳細に例証され且つ説明されているが、このような例証及び説明は、例証又は例示とみなされるものとし、制限するものではない。本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び従属請求項を検討することによって、特許請求された発明を実践する際に当業者によって理解され且つ成し遂げられることが可能である。
【0122】
特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という単語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、「a」又は「an」の不定冠詞は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に挙げられるいくつかの項目の機能を果たす。ある特定の基準が相互に異なっている従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの基準の組み合わせが利益をもたらすように使用できないことを指示するものではない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、その範囲を限定するとして解釈されるべきではない。