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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷方法、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 213
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020000465
(22)【出願日】2020-01-06
(65)【公開番号】P2021109312
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】村井 厚介
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/027561(WO,A1)
【文献】特開2017-149113(JP,A)
【文献】特開2001-162784(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115576(WO,A1)
【文献】特開2002-144549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式で印刷を行う印刷システムであって、
複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、
印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示す吐出指定データを生成する吐出データ生成部と、
予め設定された主走査方向へ印刷対象の媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる主走査駆動部と、
前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる副走査駆動部と、
前記吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる吐出制御部と
を備え、
前記媒体の各位置に対して複数回の前記主走査動作を行うマルチパス方式での印刷を行い、
前記吐出指定データは、各回の前記主走査動作においてそれぞれの前記ノズルからインクを吐出する前記吐出位置を少なくとも示すデータであり、
吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている前記ノズルを異常ノズルと定義した場合、前記吐出データ生成部は、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在するか否かに応じて、生成する前記吐出指定データを異ならせ、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在しない場合には、前記異常ノズルの特性を考慮せずに生成される前記吐出指定データである正常時用吐出指定データを生成し、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合には、前記異常ノズルを示す情報である異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルの特性を考慮して生成される前記吐出指定データであり、前記正常時用吐出指定データと少なくとも一部が異なる異常時用吐出指定データを生成し、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合、前記吐出制御部は、前記異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
かつ、前記異常時用吐出指定データに基づき、少なくとも一部の前記吐出位置に対し、前記異常ノズルにインクを吐出させ
印刷の解像度に応じて設定される前記吐出位置の並びに関し、前記副走査方向における位置を揃えて前記主走査方向へ並ぶ前記吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場
合、
前記インクジェットヘッドは、前記吐出制御部の制御に応じて、1回の前記主走査動作において前記主走査方向ラインにおける一部の前記吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の前記主走査動作を行うことで前記主走査方向ラインにおける全ての前記吐出位置への前記ドットの形成が可能になるように、前記主走査動作及び前記副走査動作を行い、
一つの前記主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる前記吐出位置に対して前記複数回の主走査動作においていずれかの前記ノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義した場合、
前記吐出データ生成部は、前記異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインへインクを吐出するノズルのうち、前記異常ノズル以外の他のノズルによりインクを吐出する前記吐出位置を変化させることで、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける前記単位吐出回数が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なり、かつ、前記正常時用吐出指定データを用いる場合よりも前記異常ノズルの影響が低減されるような前記異常時用吐出指定データを生成することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
インクジェット方式で印刷を行う印刷システムであって、
複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、
印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示す吐出指定データを生成する吐出データ生成部と、
予め設定された主走査方向へ印刷対象の媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる主走査駆動部と、
前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる副走査駆動部と、
前記吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる吐出制御部と
を備え、
前記媒体の各位置に対して複数回の前記主走査動作を行うマルチパス方式での印刷を行い、
前記吐出指定データは、各回の前記主走査動作においてそれぞれの前記ノズルからインクを吐出する前記吐出位置を少なくとも示すデータであり、
吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている前記ノズルを異常ノズルと定義した場合、前記吐出データ生成部は、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在するか否かに応じて、生成する前記吐出指定データを異ならせ、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在しない場合には、前記異常ノズルの特性を考慮せずに生成される前記吐出指定データである正常時用吐出指定データを生成し、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合には、前記異常ノズルを示す情報である異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルの特性を考慮して生成される前記吐出指定データであり、前記正常時用吐出指定データと少なくとも一部が異なる異常時用吐出指定データを生成し、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合、前記吐出制御部は、前記異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
かつ、前記異常時用吐出指定データに基づき、少なくとも一部の前記吐出位置に対し、前記異常ノズルにインクを吐出させ、
印刷の解像度に応じて設定される前記吐出位置の並びに関し、前記副走査方向における位置を揃えて前記主走査方向へ並ぶ前記吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場
合、
前記インクジェットヘッドは、前記吐出制御部の制御に応じて、1回の前記主走査動作において前記主走査方向ラインにおける一部の前記吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の前記主走査動作を行うことで前記主走査方向ラインにおける全ての前記吐出位置への前記ドットの形成が可能になるように、前記主走査動作及び前記副走査動作を行い、
一つの前記主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる前記吐出位置に対して前記複数回の主走査動作においていずれかの前記ノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義した場合、
前記吐出データ生成部は、前記異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインに対し、前記異常ノズル以外の他のノズルにもインクを吐出させつつ、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインに対して前記他のノズルによりインクを吐出する前記吐出位置は変化させずに、前記異常ノズルにインクによりインクを吐出する前記吐出位置のみを変化させることで、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける前記単位吐出回数が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なり、かつ、前記正常時用吐出指定データを用いる場合よりも前記異常ノズルの影響が低減されるような前記異常時用吐出指定データを生成することを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
単位面積に対して一つの前記ノズルから吐出するインクの量を単位吐出量と定義した場合、前記吐出制御部は、前記異常時用吐出指定データに基づいて前記異常ノズルにインクを吐出させることで、前記異常ノズルの前記単位吐出量について、前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異ならせることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記異常時用吐出指定データの生成時において、前記吐出データ生成部は、前記異常ノズル情報に基づき、前記正常時用吐出指定データを用いる場合よりも前記異常ノズルの影響が小さくなるように、前記異常時用吐出指定データの少なくとも一部を前記正常時用吐出指定データと異ならせ、
前記吐出制御部は、前記異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させることで、前記異常ノズルによりインクを吐出する位置が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と比べてより目立たなくなるように、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記吐出データ生成部は、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける前記単位吐出回数が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なることで前記異常ノズルにおいて吐出するインクの量のズレ方が補償される前記異常時用吐出指定データを生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項6】
前記吐出データ生成部は、
前記主走査方向ラインにおける一部の前記吐出位置を選択するマスクを用いて、前記主走査方向ラインにおけるそれぞれの前記吐出位置へいずれの回の前記主走査動作で前記ドットを形成するかを決定し、
かつ、前記正常時用吐出指定データの生成時に用いる前記マスクと少なくとも一部が異なる前記マスクを用いて、前記異常時用吐出指定データを生成することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項7】
前記インクジェットヘッドは、それぞれの前記ノズルから吐出するインクの容量を複数段階で変更可能であり、
前記吐出指定データは、各回の前記主走査動作においてそれぞれの前記ノズルからインクを吐出する前記吐出位置と、それぞれの前記吐出位置へ吐出するインクの容量とを少なくとも示すデータであり、
印刷の解像度に応じて設定される前記吐出位置の並びに関し、前記副走査方向における位置を揃えて前記主走査方向へ並ぶ前記吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場合、
前記吐出データ生成部は、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける少なくとも一部の前記吐出位置へ吐出するインクの容量が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なる前記異常時用吐出指定データを生成することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項8】
前記異常ノズル情報は、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルを用いて所定のテストパターンを印刷することで得られる情報であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の印刷システム。
【請求項9】
インクジェット方式で印刷を行う印刷方法であって、
印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示す吐出指定データを生成して、
複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを用い、
予め設定された主走査方向へ印刷対象の媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作と、前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作とを前記インクジェットヘッドに行わせることで、前記媒体の各位置に対して複数回の前記主走査動作を行うマルチパス方式での印刷を行い、
前記吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの
それぞれにインクを吐出させ、
前記吐出指定データは、各回の前記主走査動作においてそれぞれの前記ノズルからインクを吐出する前記吐出位置を少なくとも示すデータであり、
吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている前記ノズルを異常ノズルと定義した場合、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在するか否かに応じて、生成する前記吐出指定データを異ならせ、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在しない場合には、前記異常ノズルの特性を考慮せずに生成される前記吐出指定データである正常時用吐出指定データを生成し、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合には、前記異常ノズルを示す情報である異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルの特性を考慮して生成される前記吐出指定データであり、前記正常時用吐出指定データと少なくとも一部が異なる異常時用吐出指定データを生成し、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合、前記異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
かつ、前記異常時用吐出指定データに基づき、少なくとも一部の前記吐出位置に対し、前記異常ノズルにインクを吐出させ
印刷の解像度に応じて設定される前記吐出位置の並びに関し、前記副走査方向における位置を揃えて前記主走査方向へ並ぶ前記吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場
合、
前記インクジェットヘッドに、1回の前記主走査動作において前記主走査方向ラインにおける一部の前記吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の前記主走査動作を行うことで前記主走査方向ラインにおける全ての前記吐出位置への前記ドットの形成が可能になるように、前記主走査動作及び前記副走査動作を行わせ、
一つの前記主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる前記吐出位置に対して前記複数回の主走査動作においていずれかの前記ノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義した場合、
前記異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインへインクを吐出するノズルのうち、前記異常ノズル以外の他のノズルによりインクを吐出する前記吐出位置を変化させることで、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける前記単位吐出回数が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なり、かつ、前記正常時用吐出指定データを用いる場合よりも前記異常ノズルの影響が低減されるような前記異常時用吐出指定データを生成することを特徴とする印刷方法。
【請求項10】
インクジェット方式で印刷を行う印刷方法であって、
印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示す吐出指定データを生成して、
複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを用い、
予め設定された主走査方向へ印刷対象の媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作と、前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作とを前記インクジェットヘッドに行わせることで、前記媒体の各位置に対して複数回の前記主走査動作を行うマルチパス方式での印刷を行い、
前記吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの
それぞれにインクを吐出させ、
前記吐出指定データは、各回の前記主走査動作においてそれぞれの前記ノズルからインクを吐出する前記吐出位置を少なくとも示すデータであり、
吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている前記ノズルを異常ノズルと定義した場合、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在するか否かに応じて、生成する前記吐出指定データを異ならせ、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在しない場合には、前記異常ノズルの特性を考慮せずに生成される前記吐出指定データである正常時用吐出指定データを生成し、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合には、前記異常ノズルを示す情報である異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルの特性を考慮して生成される前記吐出指定データであり、前記正常時用吐出指定データと少なくとも一部が異なる異常時用吐出指定データを生成し、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合、前記異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
かつ、前記異常時用吐出指定データに基づき、少なくとも一部の前記吐出位置に対し、前記異常ノズルにインクを吐出させ、
印刷の解像度に応じて設定される前記吐出位置の並びに関し、前記副走査方向における位置を揃えて前記主走査方向へ並ぶ前記吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場
合、
前記インクジェットヘッドに、1回の前記主走査動作において前記主走査方向ラインにおける一部の前記吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の前記主走査動作を行うことで前記主走査方向ラインにおける全ての前記吐出位置への前記ドットの形成が可能になるように、前記主走査動作及び前記副走査動作を行わせ、
一つの前記主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる前記吐出位置に対して前記複数回の主走査動作においていずれかの前記ノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義した場合、
前記異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインに対し、前記異常ノズル以外の他のノズルにもインクを吐出させつつ、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインに対して前記他のノズルによりインクを吐出する前記吐出位置は変化させずに、前記異常ノズルにインクによりインクを吐出する前記吐出位置のみを変化させることで、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける前記単位吐出回数が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なり、かつ、前記正常時用吐出指定データを用いる場合よりも前記異常ノズルの影響が低減されるような前記異常時用吐出指定データを生成することを特徴とする印刷方法。
【請求項11】
インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であって、
複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、
予め設定された主走査方向へ印刷対象の媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる主走査駆動部と、
前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる副走査駆動部と、
印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示す吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる吐出制御部と
を備え、
前記媒体の各位置に対して複数回の前記主走査動作を行うマルチパス方式での印刷を行い、
前記吐出指定データは、各回の前記主走査動作においてそれぞれの前記ノズルからインクを吐出する前記吐出位置を少なくとも示すデータであり、
吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている前記ノズルを異常ノズルと定義した場合、前記吐出制御部は、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在するか否かに応じて、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる制御を異ならせ、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在しない場合には、前記異常ノズルの特性を考慮せずに生成される前記吐出指定データである正常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合には、前記異常ノズルを示す情報である異常ノズル情報に基づくことで前記異常ノズルの特性を考慮して生成される前記吐出指定データであり、前記正常時用吐出指定データと少なくとも一部が異なる異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
かつ、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合において、前記異常時用吐出指定データに基づき、少なくとも一部の前記吐出位置に対し、前記異常ノズルにインクを吐出させ
印刷の解像度に応じて設定される前記吐出位置の並びに関し、前記副走査方向における位置を揃えて前記主走査方向へ並ぶ前記吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場
合、
前記インクジェットヘッドは、前記吐出制御部の制御に応じて、1回の前記主走査動作において前記主走査方向ラインにおける一部の前記吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の前記主走査動作を行うことで前記主走査方向ラインにおける全ての前記吐出位置への前記ドットの形成が可能になるように、前記主走査動作及び前記副走査動作を行い、
一つの前記主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる前記吐出位置に対して前記複数回の主走査動作においていずれかの前記ノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義した場合、
前記異常時用吐出指定データは、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインへインクを吐出するノズルのうち、前記異常ノズル以外の他のノズルによりインクを吐出する前記吐出位置を変化させることで、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける前記単位吐出回数が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なり、かつ、前記正常時用吐出指定データを用いる場合よりも前記異常ノズルの影響が低減されるようなデータであることを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であって、
複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、
予め設定された主走査方向へ印刷対象の媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる主走査駆動部と、
前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる副走査駆動部と、
印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示す吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる吐出制御部と
を備え、
前記媒体の各位置に対して複数回の前記主走査動作を行うマルチパス方式での印刷を行い、
前記吐出指定データは、各回の前記主走査動作においてそれぞれの前記ノズルからインクを吐出する前記吐出位置を少なくとも示すデータであり、
吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている前記ノズルを異常ノズルと定義した場合、前記吐出制御部は、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在するか否かに応じて、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる制御を異ならせ、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在しない場合には、前記異常ノズルの特性を考慮せずに生成される前記吐出指定データである正常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合には、前記異常ノズルを示す情報である異常ノズル情報に基づくことで前記異常ノズルの特性を考慮して生成される前記吐出指定データであり、前記正常時用吐出指定データと少なくとも一部が異なる異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、
かつ、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合において、前記異常時用吐出指定データに基づき、少なくとも一部の前記吐出位置に対し、前記異常ノズルにインクを吐出させ,
印刷の解像度に応じて設定される前記吐出位置の並びに関し、前記副走査方向における位置を揃えて前記主走査方向へ並ぶ前記吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場
合、
前記インクジェットヘッドは、前記吐出制御部の制御に応じて、1回の前記主走査動作において前記主走査方向ラインにおける一部の前記吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の前記主走査動作を行うことで前記主走査方向ラインにおける全ての前記吐出位置への前記ドットの形成が可能になるように、前記主走査動作及び前記副走査動作を行い、
一つの前記主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる前記吐出位置に対して前記複数回の主走査動作においていずれかの前記ノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義した場合、
前記異常時用吐出指定データは、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインに対し、前記異常ノズル以外の他のノズルにもインクを吐出させつつ、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインに対して前記他のノズルによりインクを吐出する前記吐出位置は変化させずに、前記異常ノズルにインクによりインクを吐出する前記吐出位置のみを変化させることで、前記異常ノズルに対応する前記主走査方向ラインにおける前記単位吐出回数が前記正常時用吐出指定データを用いる場合と異なり、かつ、前記正常時用吐出指定データを用いる場合よりも前記異常ノズルの影響が低減されるようなデータであることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷方法、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドを用いて印刷を行う印刷装置であるインクジェットプリンタが広く用いられている。インクジェットヘッドを用いて印刷を行う場合、高い品質での印刷を行うためには、インクジェットヘッドにおけるノズルの特性のバラツキによる影響を低減することが求められる。
【0003】
これに対し、従来、インクジェットヘッドの個体差の影響を低減する方法として、インクジェットヘッドの駆動に用いる駆動信号の波形(ヘッド駆動波形)の電圧を調整する方法やインクを加温する温度(インク加温温度)を調整して安定化させる方法等が知られている。このような方法を用いる場合、例えば、形成されるインクのドットの径についてインクジェットヘッドの個体差の影響を低減することで、印字濃度のムラを低減することができる。また、従来、インクジェットヘッドの制御の仕方に関し、吐出特性が正常範囲から外れた異常ノズル(不良ノズル)の代わりに他のノズルを使用するリカバリ処理等も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-172260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッド駆動波形の電圧やインク加温温度の安定化によりインクジェットヘッドの個体差の影響を低減しようとする場合、電圧や加温温度の調整を行うための構成が必要になることで、装置のコストが上昇することが考えられる。また、印刷装置の機種等によっては、これらの構成を用いることが難しい場合もある。
【0006】
また、異常ノズルの代わりに他のノズルを使用して印刷を行う場合、例えば、印刷対象の媒体(メディア)に対してインクが着弾するタイミングが正常時と異なることで、印刷結果において、リカバリ処理を行った箇所が目立ちやすくなる場合がある。特に、近接した位置にある複数のノズルを対象にしてリカバリ処理を行う場合等には、印刷の品質への影響が大きくなるおそれがある。そのため、従来、インクジェットヘッドにおけるノズルの特性のバラツキによる影響について、より適切な方法で低減することが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷システム、印刷方法、及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明者は、インクジェットヘッドにおける異常ノズルの影響を低減する方法について、鋭意研究を行った。そして、吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている異常ノズルが存在する場合に関し、インクジェットヘッドにインクを吐出させる吐出位置等を示すデータ(吐出指定データ)の生成時に、異常ノズルの特性を考慮することを考えた。このように構成した場合、例えば、異常ノズルの特性を補償するように調整をした吐出指定データを生成することで、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0008】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、インクジェット方式で印刷を行う印刷システムであって、複数のノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示す吐出指定データを生成する吐出データ生成部と、前記吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる吐出制御部とを備え、吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れている前記ノズルを異常ノズルと定義した場合、前記吐出データ生成部は、前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在するか否かに応じて、生成する前記吐出指定データを異ならせ、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在しない場合には、前記異常ノズルの特性を考慮せずに生成される前記吐出指定データである正常時用吐出指定データを生成し、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合には、前記異常ノズルを示す情報である異常ノズル情報に基づき、前記異常ノズルの特性を考慮して生成される前記吐出指定データであり、前記正常時用吐出指定データと少なくとも一部が異なる異常時用吐出指定データを生成し、前記複数のノズルの中に前記異常ノズルが存在する場合、前記吐出制御部は、前記異常時用吐出指定データに基づいて前記インクジェットヘッドにおける前記複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、かつ、前記異常時用吐出指定データに基づき、少なくとも一部の前記吐出位置に対し、前記異常ノズルにインクを吐出させる。
【0009】
この構成において、異常ノズル情報としては、例えば、異常ノズルの位置及び特性を示す情報等を用いることが考えられる。この場合、異常ノズルの位置については、例えば、インクジェットヘッド内での異常ノズルの位置等と考えることができる。また、より具体的に、インクジェットヘッドは、例えば、所定のノズル列方向に複数のノズルが並ぶノズル列を有する。この場合、異常ノズルの位置については、例えば、ノズル列内での異常ノズルの位置等と考えることができる。また、異常ノズル情報において、異常ノズルの特性としては、例えば、異常ノズルが吐出するインクの量と所定の基準量との大小関係や差を示す情報等を用いることが考えられる。
【0010】
このように構成した場合、例えば、異常ノズルの特性を考慮して生成される異常時用吐出指定データを用いることで、異常ノズルの特性を考慮して、インクジェットヘッドにおける複数のノズルにインクを吐出させることができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。また、この場合、異常ノズルも使用して印刷を行うことで、例えば、異常ノズルの代わりに他のノズルを使用する場合と比べ、印刷の品質への影響を抑えつつ、異常ノズルの影響を低減することができる。そのため、このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッドにおける複数のノズルの中に異常ノズルが存在する場合にも、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0011】
また、この構成において、単位面積に対して一つのノズルから吐出するインクの量を単位吐出量と定義した場合、吐出制御部は、例えば、異常時用吐出指定データに基づいて異常ノズルにインクを吐出させることで、異常ノズルの単位吐出量について、正常時用吐出指定データを用いる場合と異ならせる。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの特性を考慮したインクの吐出をインクジェットヘッドにおける複数のノズルに適切に行わせることができる。
【0012】
尚、正常時用吐出指定データを用いる場合については、例えば、異常ノズルが存在するインクジェットヘッドに対し、正常時用吐出指定データを用いてインクを吐出させる場合等と考えることができる。また、正常時用吐出指定データを用いる場合の異常ノズルの単位吐出量については、例えば、異常時用吐出指定データを用いずに、正常時用吐出指定データをそのまま用いることで異常が生じる状態での単位吐出量等と考えることができる。また、単位吐出量については、例えば、一つのノズルにより単位面積に対して吐出する平均のインクの量等と考えることもできる。また、この場合、平均の吐出量については、例えば、一連の印刷の動作を行う中での平均の吐出量等と考えることができる。
【0013】
また、異常時用吐出指定データの生成時において、吐出データ生成部は、例えば、異常ノズル情報に基づき、正常時用吐出指定データを用いる場合よりも異常ノズルの影響が小さくなるように、異常時用吐出指定データの少なくとも一部を正常時用吐出指定データと異ならせる。この場合、吐出制御部は、例えば、異常時用吐出指定データに基づいてインクジェットヘッドにおける複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させることで、異常ノズルによりインクを吐出する位置が正常時用吐出指定データを用いる場合と比べてより目立たなくなるように、インクジェットヘッドにおける複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの影響をより適切に低減することができる。
【0014】
また、この構成において、印刷システムは、例えば、予め設定された主走査方向へ印刷対象の媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作をインクジェットヘッドに行わせる主走査駆動部と、主走査方向と直交する副走査方向へ媒体に対して相対的に移動する副走査動作をインクジェットヘッドに行わせる副走査駆動部とを更に備える。また、この場合、吐出指定データとしては、例えば、各回の主走査動作においてそれぞれのノズルからインクを吐出する吐出位置を少なくとも示すデータを用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッドにおける複数のノズルのそれぞれに適切にインクを吐出させることができる。
【0015】
また、この構成において、媒体への印刷については、例えば、マルチパス方式で行うことが考えられる。この場合、マルチパス方式については、例えば、媒体の各位置に対して複数回の主走査動作を行う方式等と考えることができる。また、より具体的に、印刷の解像度に応じて設定される吐出位置の並びに関し、副走査方向における位置を揃えて主走査方向へ並ぶ吐出位置の並びを主走査方向ラインと定義した場合、マルチパス方式の動作において、インクジェットヘッドは、例えば、吐出制御部の制御に応じて、1回の主走査動作において主走査方向ラインにおける一部の吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の主走査動作を行うことで主走査方向ラインにおける全ての吐出位置へのドットの形成が可能になるように、主走査動作及び副走査動作を行う。
【0016】
また、この場合、一つの主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる吐出位置に対して複数回の主走査動作においていずれかのノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義すると、吐出データ生成部は、例えば、異常ノズル情報に基づき、異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける単位吐出回数が正常時用吐出指定データを用いる場合と異なり、かつ、正常時用吐出指定データを用いる場合よりも異常ノズルの影響が低減されるような異常時用吐出指定データを生成する。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの特性を考慮した異常時用吐出指定データを適切に生成することができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。異常ノズルに対応する主走査方向ラインについては、例えば、異常ノズルによりインクを吐出する吐出位置を含む主走査方向ライン等と考えることができる。また、単位吐出回数については、例えば、印字濃度に応じて決まる単位長さあたりの吐出回数等と考えることもできる。
【0017】
また、吐出データ生成部は、例えば、異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける単位吐出回数が正常時用吐出指定データを用いる場合と異なることで異常ノズルにおいて吐出するインクの量のズレ方が補償される異常時用吐出指定データを生成する。この場合、異常ノズルにおいて吐出するインクの量のズレ方が補償されることについては、例えば、必ずしも厳密にズレ分を補償する場合に限らず、異常ノズルの影響がより低減されること等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0018】
また、この構成において、吐出データ生成部は、例えば、主走査方向ラインにおける一部の吐出位置を選択するマスクを用いて、主走査方向ラインにおけるそれぞれの吐出位置へいずれの回の主走査動作でドットを形成するかを決定する。そして、この場合において、吐出データ生成部は、例えば、正常時用吐出指定データの生成時に用いるマスクと少なくとも一部が異なるマスクを用いて、異常時用吐出指定データを生成する。このように構成すれば、例えば、正常時用吐出指定データと異なる異常時用吐出指定データを適切に生成することができる。また、この場合、例えば、異常時用吐出指定データの生成時に使用するマスクを異常ノズルの特性に応じて選択することで、異常ノズルの特性に応じた異常時用吐出指定データを生成すること等も可能になる。
【0019】
また、異常ノズルの影響の低減については、例えば、ノズルから吐出するインクの容量を変化させることで実現すること等も考えられる。この場合、インクジェットヘッドとして、例えば、それぞれのノズルから吐出するインクの容量を複数段階で変更可能なインクジェットヘッドを用いることが考えられる。また、吐出指定データとしては、例えば、各回の主走査動作においてそれぞれのノズルからインクを吐出する吐出位置と、それぞれの吐出位置へ吐出するインクの容量とを少なくとも示すデータを用いることが考えられる。そして、この場合、吐出データ生成部は、例えば、異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける少なくとも一部の吐出位置へ吐出するインクの容量が正常時用吐出指定データを用いる場合と異なる異常時用吐出指定データを生成する。このように構成した場合も、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0020】
また、この構成において、異常ノズル情報としては、例えば、インクジェットヘッドにおける複数のノズルを用いて所定のテストパターンを印刷することで得られる情報を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの特性を適切に検知することができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を低減するために用いる異常ノズル情報を適切に作成することができる。
【0021】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する印刷方法や印刷装置を用いることも考えられる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、例えば、インクジェットヘッドにおける異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システム10の構成の一例を示す図である。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、印刷システム10における印刷実行部12の構成の一例を示す。
図2】異常時用RIPデータの生成の仕方の一例を示すフローチャートである。
図3】ドットサイズ補正及びマスクパターン補正の動作について説明をする図である。図3(a)は、ドットサイズ補正の動作の一例を示す。図3(b)は、マスクパターン補正の動作の一例を示す。
図4】媒体上に形成されるインクのドット302の並びについて説明をする図である。図4(a)は、印刷実行部12において行う印刷の実行時に媒体上に形成されるインクのドット302の並びの一例を示す。図4(b)、(c)は、マルチパス方式での印刷の動作に関し、一つの主走査方向ラインにおける吐出位置に対して複数回の主走査動作でインクを吐出する動作の一例を示す。
図5】マスクパターン補正の動作の例を示す図である。図5(a)~(c)は、吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない異常ノズルが存在する場合におけるマスクパターン補正の動作の例を示す。
図6】マスクパターン補正の動作の例を示す図である。図6(a)~(c)は、吐出するインクの量が正常範囲よりも多い異常ノズルが存在する場合におけるマスクパターン補正の動作の例を示す。
図7】ドットサイズ補正について更に詳しく説明をする図である。図7(a)は、正常時用RIPデータを用いる場合に一つの主走査方向ラインに形成されるインクのドット302の並びの一例を示す。図7(b)、(c)は、ドットサイズ補正の動作の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システム10の構成の一例を示す。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、印刷システム10における印刷実行部12の構成の一例を示す。また、以下において説明をする点を除き、本例の印刷システム10は、公知の印刷システムと同一又は特徴を有してよい。
【0025】
本例において、印刷システム10は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクジェット方式で印刷を行う印刷システムであり、印刷実行部12及びRIP処理部14を備える。印刷実行部12は、媒体50に対してインクを吐出する印刷の動作を実行する部分である。印刷実行部12については、例えば、印刷システム10において印刷装置として機能する部分等と考えることができる。また、印刷実行部12について、例えば、インクジェットプリンタの本体部分等と考えることもできる。
【0026】
本例において、印刷実行部12は、RIP(Raster Image Processor)処理を行うことで生成されるデータであるRIP生成データをRIP処理部14から受け取り、RIP生成データに従ってインクの吐出を行うことで、媒体50に対する印刷の動作を実行する。また、印刷実行部12は、複数のインクジェットヘッド102、プラテン104、主走査駆動部106、副走査駆動部108、及び制御部110を有する。
【0027】
複数のインクジェットヘッド102のそれぞれは、インクジェット方式でインクを吐出する吐出ヘッドであり、印刷に使用する各色のインクを吐出する。この場合、複数のインクジェットヘッド102のそれぞれにより、互いに異なる色のインクを吐出することが考えられる。より具体的に、複数のインクジェットヘッド102のそれぞれは、例えば、カラー印刷での基本色であるプロセスカラーの各色のインクを吐出する。プロセスカラーの各色のインクとしては、例えば、シアン色(C色)、マゼンタ色(M色)、イエロー色(Y色)、及びブラック色(K色)の各色のインクを用いることが考えられる。また、それぞれのインクジェットヘッド102は、所定のノズル列方向に複数のノズルが並ぶノズル列を有し、ノズル列における各ノズルからインクを吐出する。また、より具体的に、本例において、ノズル列方向は、印刷実行部12において予め設定された副走査方向(図中のX方向)と平行な方向である。
【0028】
また、本例において、それぞれのインクジェットヘッド102としては、それぞれのノズルから吐出するインクの容量を複数段階で変更可能なインクジェットヘッドを用いる。この場合、例えば、大(L)サイズのインクのドットを形成するための容量、中(M)サイズのインクのドットを形成するための容量、及び小(S)サイズのインクのドットを形成するための容量の3種類の容量でのインクの吐出が可能なインクジェットヘッド102等を好適に用いることができる。また、このようなインクジェットヘッド102については、例えば、吐出するインクの容量が可変なバリアブルヘッド等と考えることもできる。
【0029】
プラテン104は、媒体50を上面に載置する台状部材であり、複数のインクジェットヘッド102と対向させた状態で媒体50を保持する。主走査駆動部106は、複数のインクジェットヘッド102に主走査動作を行わせる駆動部である。この場合、主走査動作とは、予め設定された主走査方向へ媒体50に対して相対的に移動しつつインクを吐出する動作のことである。また、本例において、主走査方向は、副走査方向と直交する方向(図中のY方向)である。また、主走査動作時において、主走査駆動部106は、制御部110の制御に応じて、印刷の解像度に応じて設定される吐出位置に対し、複数のインクジェットヘッド102のそれぞれにおけるそれぞれのノズルにインクを吐出させる。副走査駆動部108は、複数のインクジェットヘッド102に副走査動作を行わせる駆動部である。この場合、副走査動作とは、媒体50に対して相対的に副走査方向へ移動する動作のことである。また、副走査動作については、例えば、主走査動作の合間に副走査方向へ媒体50を送る動作等と考えることもできる。
【0030】
制御部110は、例えば印刷実行部12におけるCPU等を含む部分であり、印刷実行部12の各部の動作を制御する。また、上記においても説明をしたように、本例において、主走査駆動部106は、制御部110の制御に応じて、複数のインクジェットヘッド102のそれぞれにおけるそれぞれのノズルにインクを吐出させる。この場合、制御部110について、各ノズルからのインクの吐出の制御をしていると考えることができる。また、より具体的に、本例において、制御部110は、吐出制御部の一例であり、RIP生成データに基づき、それぞれのインクジェットヘッド102におけるそれぞれのノズルにインクを吐出させる。また、これにより、制御部110は、例えば、印刷すべき画像に応じて決まる吐出位置へ、それぞれのインクジェットヘッド102におけるそれぞれのノズルに、インクを吐出させる。このように構成すれば、例えば、RIP生成データに基づく印刷の動作を適切に実行することができる。
【0031】
また、上記においても説明をしたように、本例において、印刷実行部12は、RIP生成データを、RIP処理部14から受け取る。この場合、RIP処理部14は、例えば、印刷実行部12の構成や印刷実行部12において実行する印刷の動作の設定等に合わせてRIP処理を行うことにより、RIP生成データを生成する。より具体的に、本例において、RIP処理部14は、RIP生成データとして、印刷の解像度に応じて設定される複数の吐出位置においてインクを吐出すべき位置を少なくとも示すデータを生成する。この場合、RIP生成データについて、例えば、吐出指定データの一例と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、本例において、印刷実行部12における複数のインクジェットヘッド102のそれぞれは、ノズルから吐出するインクの容量を複数段階で変更可能なインクジェットヘッドである。そのため、本例において、RIP生成データとしては、各回の主走査動作においてそれぞれのノズルからインクを吐出する吐出位置と、それぞれの吐出位置へ吐出するインクの容量とを少なくとも示すデータを用いる。
【0032】
また、本例において、RIP処理部14は、吐出データ生成部の一例である。RIP処理部14としては、例えば、RIP処理用のソフトウェアを実行するコンピュータ等を好適に用いることができる。RIP処理部14については、例えば、印刷実行部12の動作を制御するコンピュータ等と考えることもできる。また、上記においても説明をしたように、本例において、印刷実行部12における複数のインクジェットヘッド102は、主走査動作を行うことで、媒体50へのインクの吐出を行う。この場合、RIP処理部14は、RIP生成データとして、各回の主走査動作においてそれぞれのインクジェットヘッド102のそれぞれのノズルからインクを吐出する吐出位置を少なくとも示すデータを生成する。
【0033】
また、本例において、RIP処理部14は、それぞれのインクジェットヘッド102におけるそれぞれのノズルの吐出特性を更に考慮して、RIP生成データを生成する。より具体的に、吐出するインクの量が所定の正常範囲から外れているノズルを異常ノズルと定義した場合、RIP処理部14は、インクジェットヘッド102における複数のノズルの中に異常ノズルが存在するか否かに応じて、生成するRIP生成データを異ならせる。この場合、インクジェットヘッド102における複数のノズルの中に異常ノズルが存在することについては、例えば、印刷実行部12におけるいずれかのインクジェットヘッド102において異常ノズルが存在すること等と考えることができる。
【0034】
また、この場合、異常ノズルが存在しない場合に生成されるRIP生成データを正常時用RIPデータとし、異常ノズルが存在する場合に生成されるRIP生成データを異常時用RIPデータとして区別すれば、RIP処理部14の動作について、例えば、異常ノズルが存在しない場合には正常時用RIPデータを生成し、異常ノズルが存在する場合には異常時用RIPデータを生成すると考えることができる。また、この場合、正常時用RIPデータは、異常ノズルの特性を考慮せずに生成される吐出指定データである正常時用吐出指定データの一例である。異常時用RIPデータは、異常ノズルの特性を考慮して生成される吐出指定データである異常時用吐出指定データの一例である。異常時用RIPデータについては、例えば、正常時用RIPデータと少なくとも一部が異なるRIP生成データ等と考えることもできる。
【0035】
また、本例において、異常ノズルが存在する場合、RIP処理部14は、予め作成された異常ノズル情報に基づき、異常時用RIPデータを生成する。この場合、異常ノズル情報とは、異常ノズルを示す情報のことである。異常ノズル情報としては、例えば、異常ノズルの位置及び特性を示す情報等を用いることが考えられる。この場合、異常ノズルの位置については、例えば、インクジェットヘッド内での異常ノズルの位置等と考えることができる。また、異常ノズルの位置については、例えば、それぞれのインクジェットヘッド102におけるノズル列内での異常ノズルの位置等と考えることもできる。また、異常ノズル情報において、異常ノズルの特性としては、例えば、異常ノズルが吐出するインクの量と所定の基準量との大小関係や差を示す情報等を用いることが考えられる。
【0036】
また、より具体的に、本例において、異常ノズル情報としては、例えば、それぞれのインクジェットヘッド102における複数のノズルを用いて所定のテストパターン(調整用パターン)を印刷することで得られる情報を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの特性を適切に検知することができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの位置及び特性等を示す異常ノズル情報を適切に作成することができる。
【0037】
また、上記のように、RIP処理部14としては、例えば、RIP処理用のソフトウェア等を実行するコンピュータ等を好適に用いることができる。この場合、異常ノズル情報については、例えば、RIP処理部14の記憶装置(例えば、HDD等)に予め格納しておき、異常時用RIPデータの生成時に使用することが考えられる。また、印刷実行部12において異常ノズルが存在しない場合、RIP処理部14は、例えば、公知のRIP処理用のコンピュータ等と同一又は同様にして、正常時用RIPデータを生成する。また、印刷実行部12において異常ノズルが存在する場合、RIP処理部14は、異常ノズル情報に基づき、上記のように、正常時用RIPデータと少なくとも一部が異なる異常時用RIPデータを生成する。
【0038】
本例によれば、例えば、上記のような異常時用RIPデータを用いることで、異常ノズルが存在する場合における媒体50へのインクの吐出の仕方について、異常ノズルの特性に合わせて、異常ノズルが存在しない場合と異ならせることができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に抑えることができる。また、本例においては、異常ノズルが存在する場合において、異常ノズルの代わりに他のノズルを使用するのではなく、異常ノズル自体も用いつつ、異常ノズルの影響を抑えるための補正(異常ノズルの吐出特性に対する補正)の動作を行う。より具体的に、いずれかのインクジェットヘッド102における複数のノズルの中に異常ノズルが存在する場合、印刷実行部12における制御部110は、異常時用RIPデータに基づいてインクジェットヘッド102における複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させ、かつ、異常時用RIPデータに基づき、少なくとも一部の吐出位置に対し、異常ノズルにインクを吐出させる。
【0039】
本例によれば、例えば、異常ノズルの特性を考慮して生成される異常時用RIPデータを用いることで、異常ノズルの特性を考慮して、それぞれのインクジェットヘッド102における複数のノズルにインクを吐出させることができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。また、この場合において、異常ノズルも使用して印刷を行うことで、例えば、異常ノズルの代わりに他のノズルを使用する場合と比べ、印刷の品質への影響を抑えつつ、異常ノズルの影響を低減することができる。そのため、本例によれば、例えば、インクジェットヘッド102における複数のノズルの中に異常ノズルが存在する場合にも、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0040】
続いて、異常時用RIPデータを用いる場合の動作等について、更に詳しく説明をする。図2は、異常時用RIPデータの生成の仕方の一例を示すフローチャートである。上記においても説明をしたように、本例においては、印刷実行部12のそれぞれのインクジェットヘッド102(図1参照)における複数のノズルを用いて所定のテストパターンを印刷することで、異常ノズル情報を取得する。この場合、テストパターンについて、例えば、異常ノズルの特性に応じた調整を行うために用いる調整用パターン等と考えることができる。
【0041】
そして、この場合、先ず、印刷実行部12を用いて複数のテストパターン(調整用パターン)を印刷する(S102)。この場合、印刷実行部12における複数のインクジェットヘッド102のそれぞれ毎にテストパターンを印刷することが考えられる。また、この場合、それぞれのインクジェットヘッド102におけるそれぞれのノズルに同じ条件でインクを吐出させることで、ノズルの状態を反映するテストパターンをインクジェットヘッド102に描かせることが考えられる。それぞれのノズルに同じ条件でインクを吐出させることについては、例えば、ノズルの状態を確認するという目的に応じて実質的に同じ条件であること等と考えることができる。
【0042】
また、より具体的に、この場合、一つのインクジェットヘッド102による1回の主走査動作で一つのテストパターンを描くように、複数のインクジェットヘッド102のそれぞれにそれぞれが対応する複数のテストパターンを印刷することが考えられる。また、この場合、一つのインクジェットヘッド102に対応するテストパターンについて、そのインクジェットヘッド102における全てのノズルを用いて描くことが考えられる。また、テストパターンとしては、例えば、ノズルの状態の確認用の公知のテストパターンと同一又は同様のパターンを用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、それぞれのインクジェットヘッド102における複数のノズルの状態を適切に確認することができる。
【0043】
また、テストパターンを印刷した後には、印刷されたテストパターンに基づき、テストパターンの印刷に用いたノズルの状態を確認する。また、これにより、例えば、吐出特性に対する補正が必要な異常ノズルの範囲(補正対象ノズルの範囲)を確認する(S104)。この場合、例えば、テストパターンにおいてそれぞれのノズルで描いた部分の状態に基づき、それぞれのノズルの状態を確認することが考えられる。より具体的に、この場合、例えば、テストパターンを構成しているインクのドットの径(印字ドット径)が大きくなっている箇所や小さくなっている箇所を確認することで、異常ノズルにより描かれた箇所を識別することが考えられる。また、この場合、ドットの径の確認については、作業者が目視で行ってもよく、カメラ等を用いて自動的に行ってもよい。
【0044】
また、この場合、ドットの径が大きくなっている箇所や小さくなっている箇所について、ノズルの状態を判別して、その箇所へインクを吐出したノズルの位置と対応付けることが考えられる。また、本例においては、このように対応付けを行った結果に基づき、異常ノズル情報を作成する。この場合、ノズルの状態としては、例えば、吐出するインクの量が過大であることや、過小であることを判別することが考えられる。また、インクの量について、予め設定された複数段階の量のいずれであるかを判別すること等も考えられる。
【0045】
ここで、それぞれのノズルの特性について、より高い精度で確認するためには、テストパターンの各位置を描いたノズルをノズル単位(一つのノズル毎)に識別することが考えられる。しかし、この場合、テストパターンを詳細に確認することが必要になるため、テストパターンの確認に要する工数が増大することが考えられる。また、ノズル単位での確認を可能にするためには、例えば大きめの間隔を空けて線が並ぶパターン等を用いることが必要になり、テストパターンのサイズが大きくなること等も考えられる。
【0046】
そのため、ノズルの状態については、ノズル単位での確認をするのではなく、複数のノズルを含む領域単位で行うこと等も考えられる。この場合、例えば、ノズル列において近接した位置にある所定の数のノズルで描く範囲毎(領域毎)に、テストパターンの各部の状態を確認すること等が考えられる。また、この場合、ノズルの吐出特性に対する補正についても、領域単位で行うことが考えられる。この場合、異常ノズルについて、必ずしもノズル単位での位置の特定をしなくても、補正の対象となる領域単位で、いずれの領域に含まれているかを判断すればよい。そのため、このように構成すれば、例えば、補正の対象とするノズルをより容易かつ適切に決定することができる。また、これにより、例えば、インクジェットヘッド102においていずれのノズルが異常ノズルになっているかをノズル単位で特定することなく、異常ノズルの吐出特性の補正を適切に行うことができる。また、この場合、異常ノズルの吐出特性の補正について、例えば、異常ノズルの影響で生じる濃淡を領域単位でマクロ的に把握し、その領域毎に濃淡を補正すると考えることもできる。
【0047】
また、図中に示す動作のうち、ステップS102及びステップS104の動作については、例えば、RIP処理部14においてRIP処理を行う前に予め行っておく動作等と考えることができる。また、この場合、以下において説明をするステップS106以降の動作では、ステップS102及びステップS104の動作等を行うことで作成された異常ノズル情報を用いて、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行う。
【0048】
また、本例においては、媒体50への印刷をマルチパス方式で行うか否かにより、補正の仕方を異ならせる。この場合、マルチパス方式については、例えば、媒体50の各位置に対して複数回の主走査動作を行う方式等と考えることができる。また、本例の印刷実行部12において、マルチパス方式の動作としては、印刷の解像度に応じて設定されるそれぞれの吐出位置へインクを吐出可能になる主走査動作の数が2以上になる動作を実行する。また、印刷実行部12は、設定される印刷の条件等に応じて、1パスでの印刷の動作と、マルチパス方式での印刷の動作とを、切り替えて実行する。この場合、1パスでの印刷の動作については、例えば、媒体の各位置と対向する位置をインクジェットヘッド102が通過する回数が1回のみになる印刷の動作等と考えることができる。また、本例において、RIP処理部14は、印刷実行部12において実行する印刷の条件に合わせて、RIP生成データを生成する。そして、上記においても説明をしたように、印刷実行部12におけるいずれかのインクジェットヘッド102に異常ノズルが存在する場合、RIP処理部14は、RIP生成データとして、異常時用RIPデータを生成する。
【0049】
また、この場合、RIP処理部14は、印刷実行部12においてマルチパス方式での印刷の動作を行うか否かに応じて(S106)、異常時用RIPデータの生成の仕方を異ならせる。より具体的に、印刷実行部12においてマルチパス方式での印刷の動作を行う場合(S106:Yes)、RIP処理部14は、各回の主走査動作においてインクを吐出する吐出位置を決定するために用いるマスクのパターンを正常時用RIPデータの生成時に用いるマスクのパターンと異ならせる方法であるマスクパターン補正により、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行う(S108)。マスクパターン補正については、例えば、パターンの濃度を濃く又は薄くしたマスクを用いることで異常ノズルの吐出特性に対する補正を行う動作等と考えることができる。マスクパターン補正の動作については、後に更に詳しく説明をする。
【0050】
また、印刷実行部12において1パスでの印刷の動作を行う場合(S106:No)、RIP処理部14は、一部の吐出位置に形成されるインクのドットのサイズを変化させる方法であるドットサイズ補正により、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行う(S110)。ドットサイズ補正については、例えば、少なくとも一部の吐出位置に形成されるインクのドットのサイズを大きく又は小さくすることで異常ノズルの吐出特性に対する補正を行う動作等と考えることができる。ドットサイズ補正の動作についても、後に更に詳しく説明をする。
【0051】
また、この場合、マスクパターン補正又はドットサイズ補正を行って生成した異常時用RIPデータを印刷実行部12へ供給し、印刷実行部12に印刷の動作を行わせることで、マスクパターン補正又はドットサイズ補正により補正を行った結果を印刷動作の制御に反映させる(S112)。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの影響を低減させる印刷の動作を印刷実行部12に適切に実行させることができる。
【0052】
続いて、ドットサイズ補正及びマスクパターン補正の動作について、更に詳しく説明をする。図3は、ドットサイズ補正及びマスクパターン補正の動作について説明をする図である。図3(a)は、ドットサイズ補正の動作の一例を示す図であり、異常ノズルが存在する一つのインクジェットヘッド102(図1参照)で印字濃度を100%にして印刷を行う場合に媒体上に描かれるパターンの濃度について、ドットサイズ補正を行わない場合の結果と、ドットサイズ補正を行う場合の結果とを比較して示す。この場合、印字濃度を100%にして印刷を行うことについては、例えば、印刷の解像度に応じて設定されるそれぞれの吐出位置に対して所定の容量でのインクの吐出を1回ずつ行うこと等と考えることができる。
【0053】
より具体的に、図3(a)において、左側の図は、ドットサイズ補正を行わずに1回の主走査動作を行う場合に媒体上に描かれるパターンの濃度分布の例を示す。左側の図については、例えば、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行わずに1パスでの印刷を行う場合の印刷結果を示す図等と考えることもできる。また、右側の図は、ドットサイズ補正を行って1回の主走査動作を行う場合に媒体上に描かれるパターンの濃度分布の例を示す。
【0054】
ドットサイズ補正を行わない場合、左側の図に示すように、異常ノズルで描く部分において、他の部分と濃度の差が生じることになる。より具体的に、図中に示す場合において、左側の図では、異常ノズルの吐出特性の影響により、パターンの一部に薄い箇所が生じている。これに対し、ドットサイズ補正を行う場合には、異常ノズルにより形成する複数のインクのドットのうち、少なくとも一部のインクのドットについて、そのドットの形成時にノズルから吐出するインクの容量を変化させることで、ドットのサイズを変更する。また、この場合において、異常ノズルの特性を補償するようにドットのサイズを変更することで、例えば図3(a)における右側の図のように、異常ノズルで描く部分の濃度を補正して、異常ノズルの影響を低減する。
【0055】
図3(b)は、マスクパターン補正の動作の一例を示す図であり、異常ノズルが存在する一つのインクジェットヘッド102を用いて、マルチパス方式で印字濃度を100%にして印刷を行う場合に媒体上に描かれるパターンの濃度について、マスクパターン補正を行わない場合の結果と、マスクパターン補正を行う場合の結果とを比較して示す。また、図3(b)においては、マルチパス方式でのパス数を2にする場合について、上記の事項を図示している。
【0056】
より具体的に、図3(b)において、左側の図は、マスクパターン補正を行わずにパス数分の2回の主走査動作を行う場合について、各回の主走査動作で媒体上に描かれるパターンの濃度分布の例を示す。左側の図については、例えば、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行わずにマルチパス方式での印刷を行う場合の印刷結果を示す図等と考えることもできる。また、右側の図は、ドットサイズ補正を行う場合について、各回の主走査動作で媒体上に描かれるパターンの濃度分布の例を示す。
【0057】
マスクパターン補正を行わない場合、左側の図に示すように、各回の主走査動作において異常ノズルで描く部分において、他の部分と濃度の差が生じることになる。より具体的に、図中に示す場合において、左側の図では、異常ノズルの吐出特性の影響により、パターンの一部に薄い箇所が生じている。これに対し、マスクパターン補正を行う場合、各回の主走査動作においてインクを吐出する吐出位置を決定するために用いるマスクのパターンを正常時用RIPデータの生成時に用いるマスクのパターンと異ならせることで、異常ノズルで描く部分の濃度を変化させる。また、この場合において、異常ノズルの特性を補償するマスクを使用することで、例えば図3(b)における右側の図のように、異常ノズルで描く部分の濃度を補正して、異常ノズルの影響を低減する。
【0058】
続いて、本例において行うドットサイズ補正及びマスクパターン補正の動作のより具体的な例について、説明をする。先ず、ドットサイズ補正及びマスクパターン補正の動作に関連して、本例のRIP処理部14において行うRIP処理の動作について、更に詳しく説明をする。
【0059】
図4は、媒体上に形成されるインクのドット302の並びについて説明をする図である。図4(a)は、印刷実行部12(図1参照)において行う印刷の実行時に媒体上に形成されるインクのドット302の並びの一例を示す図であり、印字濃度を100%にして印刷を行う場合について、一つのインクジェットヘッド102(図1参照)で媒体の一部の上に形成されるインクのドットの並びの一例を示す。この場合、例えば図中に示すように、印刷の解像度に応じて設定されるそれぞれの吐出位置に、所定のサイズの一つのインクのドット302が形成されることになる。また、以下においては、印刷の解像度に応じて設定される吐出位置の並びに関し、副走査方向(X方向)における位置を揃えて主走査方向(Y方向)へ並ぶ吐出位置の並びについて、主走査方向ラインという。また、本例において、印刷実行部12は、それぞれの主走査方向ラインにおけるそれぞれの吐出位置へインクを吐出することで、媒体上にインクのドット302の並びを形成する。
【0060】
この点に関し、上記においても説明をしたように、本例において、印刷実行部12は、設定される印刷の条件等に応じて、1パスでの印刷の動作、又はマルチパス方式での印刷の動作を実行する。そして、1パスでの印刷の動作を実行する場合、印刷実行部12は、一つの主走査方向ラインにおける吐出位置に対し、いずれかの1回の主走査動作でインクを吐出する。また、本例において、マルチパス方式での印刷の動作を実行する場合、印刷実行部12は、例えば図4(b)、(c)に示すように、一つの主走査方向ラインにおける吐出位置に対し、いずれかの複数回の主走査動作でインクを吐出する。
【0061】
図4(b)、(c)は、マルチパス方式での印刷の動作に関し、一つの主走査方向ラインにおける吐出位置に対して複数回の主走査動作でインクを吐出する動作の一例を示す。また、より具体的に、図4(b)においては、一つの主走査方向ラインにおける吐出位置に形成される複数のインクのドット302a、bについて、同じ回の主走査動作で形成されるドットの網掛け模様を同じにして、異なる回の主走査動作で形成されるドットの網掛け模様を互いに異ならせて図示をしている。
【0062】
より具体的に、図4(b)に示す場合、印刷実行部12は、同じ網掛け模様で示す複数のドット302aをいずれかの1回の主走査動作で形成し、他の同じ網掛け模様で示す複数のドット302bを他のいずれかの1回の主走査動作で形成することで、一つの主走査方向ラインを構成する複数の吐出位置に対して、2回の主走査動作でインクを吐出する。また、本例において、印刷実行部12は、この2回の主走査動作を行う間に、少なくとも1回の副走査動作を行う。そして、この場合、一つの主走査方向ラインの一部の吐出位置に対し、インクジェットヘッド102におけるいずれかの一つのノズルでインクを吐出して、その主走査方向ラインの他の一部の吐出位置に対し、インクジェットヘッド102における他のいずれかの一つのノズルでインクを吐出することになる。また、更に具体的に、この場合、例えば図4(c)に示すように、図4(b)における複数のドット302aについて、インクジェットヘッド102におけるいずれかのノズルAで形成し、複数のドット302bについて、ノズルA以外のいずれかのノズルBで形成していると考えることができる。
【0063】
ここで、各回の主走査動作においてインクを吐出する吐出位置の決定の仕方等について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、印刷実行部12におけるインクジェットヘッド102は、制御部110(図1参照)の制御に応じて、吐出位置へのインクの吐出を行う。また、マルチパス方式の動作において、インクジェットヘッド102は、制御部110の制御に応じて、1回の主走査動作において主走査方向ラインにおける一部の吐出位置にインクのドットが形成され、かつ、予め設定された複数回の主走査動作を行うことで主走査方向ラインにおける全ての吐出位置へのドットの形成が可能になるように、主走査動作及び副走査動作を行う。そして、この場合、制御部110は、RIP処理部14(図1参照)から受け取るRIP生成データに基づき、それぞれのインクジェットヘッド102におけるそれぞれのノズルにインクを吐出させる。
【0064】
また、本例において、RIP処理部14は、印刷すべき画像を示す画像データである印刷画像データに基づいてRIP処理を行うことで、RIP生成データを生成する。より具体的に、RIP処理部14は、印刷画像データに対するRIP処理として、例えば、解像度変換処理、色変換処理、分版処理、量子化処理、及びパス分割処理等を行う。そして、異常ノズルが存在しない場合、解像度変換処理、色変換処理、分版処理、量子化処理、及びパス分割処理等については、公知のRIP処理における各処理と同一又は同様に行うことが考えられる。また、この場合、解像度変換処理とは、例えば、印刷実行部12において実行する印刷の解像度に合わせて印刷画像データの解像度を変換する処理である。色変換処理とは、例えば、印刷実行部12において使用するインクの色に合わせた色の変換を行う処理のことである。色変換処理において、RIP処理部14は、例えば、印刷実行部12において使用するインクの色に合わせて作成されたプロファイル(例えば、ICCプロファイル等)に従って、色の変換を行う。分版処理とは、色変換処理での色の変換後の印刷画像データをインクの色毎のデータである分版データに分ける処理である。この場合、分版データについては、例えば、一つの色のインクで描くべき画像を示すデータ等と考えることができる。それぞれのインクの色に対応する分版データとしては、グレースケール画像(例えば、8ビットグレースケール画像)等を用いることが考えられる。
【0065】
量子化処理とは、例えば、インクジェットヘッドを用いて描くことが可能な網点画像のデータに分版データを変換する処理である。量子化処理については、例えば、インクジェットヘッドを用いて表現可能な階調数への変換を行う処理等と考えることもできる。また、より具体的に、本例において、RIP処理部14は、量子化処理により、各色のインクに対応する分版データに対応する2値画像のデータを生成する。この場合、2値画像については、例えば、解像度に応じて設定されるそれぞれの吐出位置に0又は1のいずれかの値が設定されている画像等と考えることができる。また、2値画像については、例えば、インクを吐出すべき吐出位置を示す画像等と考えることもできる。また、上記においても説明をしたように、本例において、インクジェットヘッド102としては、それぞれのノズルから吐出するインクの容量を複数段階で変更可能なインクジェットヘッドを用いる。この場合、量子化処理では、例えば、それぞれの容量に対して、2値画像を生成することが考えられる。それぞれの容量に対応する2値画像については、例えば、それぞれの容量でインクを吐出すべき吐出位置を示す画像等と考えることができる。
【0066】
また、パス分割処理は、例えば、各回の主走査動作でインクを吐出すべき吐出位置を決定する処理である。パス分割処理において、RIP処理部14は、例えば、パス数等の印刷の条件に基づき、量子化処理で生成される2値画像でインクを吐出する値が設定されている吐出位置について、いずれの回の主走査動作でインクを吐出するかを決定する。また、これにより、RIP処理部14は、印刷実行部12において実行する印刷の条件に合わせて、RIP生成データを生成する。また、本例において、RIP処理部14は、主走査方向ラインにおける一部の吐出位置を選択するマスクを用いて、主走査方向ラインにおけるそれぞれの吐出位置へいずれの回の主走査動作でドットを形成するかを決定する。
【0067】
本例によれば、例えば、各回の主走査動作においてインクを吐出する吐出位置を適切に決定して、例えば、印刷すべき画像に対応するRIP生成データを適切に生成することができる。また、印刷実行部12においてRIP生成データに従って印刷の動作を行うことで、媒体への印刷の動作を適切に行うことができる。
【0068】
また、上記においても説明をしたように、本例において、RIP処理部14は、印刷実行部12におけるインクジェットヘッド102に異常ノズルが存在するか否かに応じて、生成するRIP生成データを異ならせる。また、マルチパス方式での印刷を行う場合には、マスクパターン補正により、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行う。そこで、以下、本例において行うマスクパターン補正について、更に詳しく説明をする。
【0069】
図5及び図6は、マスクパターン補正の動作の例を示す図である。インクの吐出量が正常範囲から外れている異常ノズルが存在する場合を異常ノズル存在時とし、全てのノズルが正常な場合を全ノズル正常時として区別した場合、例えば、異常ノズル存在時において、全ノズル正常時と同じようにインクの吐出を行うと、実際に媒体へ吐出されるインクの量について、意図した状態との間に差が生じることが考えられる。
【0070】
より具体的に、上記においても説明をしたように、本例において、RIP処理部14は、全ノズル正常時用のRIP生成データとして、正常時用RIPデータを生成する。そして、仮に、異常ノズル存在時における印刷実行部12での印刷の動作を正常時用のRIP生成データに従って行えば、異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおいて、インクが不足又は過剰になることが考えられる。そのため、上記においても説明をしたように、本例のRIP処理部14は、異常ノズル存在時において、異常ノズルの特性を考慮して、正常時用RIPデータと異なる異常時用RIPデータを生成する。
【0071】
また、上記においても説明をしたように、本例において行うマスクパターン補正において、RIP処理部14は、各回の主走査動作においてインクを吐出する吐出位置を決定するために用いるマスクのパターンを正常時用RIPデータの生成時に用いるマスクのパターンと異ならせることで、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行う。また、この場合、RIP処理部14は、パス分割処理において、正常時用RIPデータの生成時に用いるマスクと少なくとも一部が異なるマスクを用いて、異常時用RIPデータを生成する。このように構成すれば、例えば、正常時用RIPデータと異なる異常時用RIPデータを適切に生成することができる。また、この場合、例えば、異常ノズル情報に基づき、異常時用RIPデータの生成時に使用するマスクを異常ノズルの特性に応じて選択することで、異常ノズルの特性に応じた異常時用RIPデータを生成することができる。
【0072】
また、一つの主走査方向ラインにおける単位長さあたりに含まれる吐出位置に対して複数回の主走査動作においていずれかのノズルによりインクを吐出する回数を単位吐出回数と定義すると、RIP処理部14が異常時用RIPデータを生成する動作について、正常時用RIPデータを用いる場合と比べて単位吐出回数が変化する異常時用RIPデータを生成する動作等と考えることができる。より具体的に、本例において、RIP処理部14は、異常ノズル情報に基づき、異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける単位吐出回数が正常時用RIPデータを用いる場合と異なり、かつ、正常時用RIPデータを用いる場合よりも異常ノズルの影響が低減されるような異常時用RIPデータを生成する。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの特性を考慮した異常時用RIPデータを適切に生成することができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0073】
尚、正常時用RIPデータを用いる場合については、例えば、異常ノズルが存在するインクジェットヘッド102(図1参照)に対し、正常時用RIP定データを用いてインクを吐出させる場合のこと等と考えることができる。単位吐出回数については、例えば、マルチパス方式における複数回の主走査動作で一つの主走査方向ライン内の吐出位置へインクを吐出する回数を主走査方向ラインの長さ(主走査方向の長さ)で除した値等と考えることもできる。また、単位吐出回数については、例えば、印字濃度に応じて決まる単位長さあたりの吐出回数等と考えることもできる。異常ノズルに対応する主走査方向ラインについては、例えば、異常ノズルによりインクを吐出する吐出位置を含む主走査方向ライン等と考えることができる。
【0074】
続いて、マスクパターン補正の動作の例について、更に詳しく説明をする。先ず、吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない異常ノズルが存在する場合におけるマスクパターン補正の動作の例について、図5(a)~(c)を用いて、更に具体的に説明をする。図5(a)~(c)は、吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない異常ノズルが存在する場合におけるマスクパターン補正の動作の例を示す。
【0075】
例えば、全ノズル正常時に図4(b)、(c)に示すように一つの主走査方向ラインの吐出位置へ2回の主走査動作でインクを吐出する画像を印刷する場合において、その主走査方向ラインへインクを吐出するいずれかのノズルが吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない場合、各回の主走査動作でインクを吐出する位置について、図5(a)~(c)のいずれかに示すように変化させることが考えられる。図5(a)~(c)においては、一つの主走査方向ラインへ互いに異なる回の主走査動作でインクを吐出する複数のノズルA、Bのうち、ノズルAが吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない場合について、ノズルA、Bのそれぞれにおいて異常時用RIPデータに従ってインクを吐出する吐出位置の例を示している。また、図5(a)~(c)では、全ノズル正常時にはインクを吐出しない吐出位置について、矢印を付している。
【0076】
また、これらのうち、図5(a)は、異常ノズル自身(ノズルA)によりインクを吐出する位置を多くする場合の例である。この場合、例えば、パス分割処理においてノズルAによりインクを吐出する位置を決定するためのマスクとして、正常時用RIPデータの生成時よりも多くの吐出位置が選択されるマスクを用いる。また、図5(b)は、異常ノズル及び他のノズル(ノズルA、B)によりインクを吐出する位置を多くする場合の例である。この場合、例えば、パス分割処理においてノズルA、Bによりインクを吐出する位置を決定するためのマスクとして、正常時用RIPデータの生成時よりも多くの吐出位置が選択されるマスクを用いる。図5(b)に示す例については、例えば、異常ノズル以外の正常なノズルによりインクを吐出する位置を更に変化させる例等と考えることもできる。また、図5(c)は、異常ノズルに対応する主走査方向ラインへインクを吐出する他のノズル(ノズルB)によりインクを吐出する位置を多くする場合の例である。この場合、例えば、パス分割処理においてノズルBによりインクを吐出する位置を決定するためのマスクとして、正常時用RIPデータの生成時よりも多くの吐出位置が選択されるマスクを用いる。図5(c)に示す例については、例えば、異常ノズルによりインクを吐出する位置は変更せずに、異常ノズル以外の正常なノズルによりインクを吐出する位置を変化させる例等と考えることもできる。
【0077】
これらのように構成すれば、例えば、吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない異常ノズルが存在する場合において、インクを吐出する吐出位置が多くなる異常時用RIPデータを生成することができる。そのため、例えば、異常ノズルでの1回の吐出の動作でのインクの吐出量が少なくなっている場合にも、主走査方向ラインでの単位長さあたりのインクの量について、異常ノズルが存在しない場合のインクの量に近づけることができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0078】
続いて、吐出するインクの量が正常範囲よりも多い異常ノズルが存在する場合におけるマスクパターン補正の動作の例について、図6(a)~(c)を用いて、更に具体的に説明をする。吐出するインクの量が正常範囲よりも多い異常ノズルが存在する場合には、上記と反対に、インクを吐出する吐出位置が少なくなる異常時用RIPデータを生成することが考えられる。図6(a)~(c)は、吐出するインクの量が正常範囲よりも多い異常ノズルが存在する場合におけるマスクパターン補正の動作の例を示す。図6(a)~(c)においては、一つの主走査方向ラインへ互いに異なる回の主走査動作でインクを吐出する複数のノズルA、Bのうち、ノズルAが吐出するインクの量が正常範囲よりも多い場合について、ノズルA、Bのそれぞれで異常時用RIPデータに従ってインクを吐出する吐出位置の例を示している。また、図6(a)~(c)では、全ノズル正常時にはインクを吐出していて、図6(a)~(c)の動作ではインクを吐出しない吐出位置について、矢印を付している。
【0079】
また、これらのうち、図6(a)は、異常ノズル自身(ノズルA)によりインクを吐出する位置を少なくする場合の例である。この場合、例えば、パス分割処理においてノズルAによりインクを吐出する位置を決定するためのマスクとして、正常時用RIPデータの生成時よりも少ない吐出位置が選択されるマスクを用いる。また、図6(b)は、異常ノズル及び他のノズル(ノズルA、B)によりインクを吐出する位置を少なくする場合の例である。この場合、例えば、パス分割処理においてノズルA、Bによりインクを吐出する位置を決定するためのマスクとして、正常時用RIPデータの生成時よりも少ない吐出位置が選択されるマスクを用いる。図6(b)に示す例については、例えば、異常ノズル以外の正常なノズルによりインクを吐出する位置を更に変化させる例等と考えることもできる。また、図6(c)は、異常ノズルに対応する主走査方向ラインへインクを吐出する他のノズル(ノズルB)によりインクを吐出する位置を少なくする場合の例である。この場合、例えば、パス分割処理においてノズルBによりインクを吐出する位置を決定するためのマスクとして、正常時用RIPデータの生成時よりも少ない吐出位置が選択されるマスクを用いる。図6(c)に示す例については、例えば、異常ノズルによりインクを吐出する位置は変更せずに、異常ノズル以外の正常なノズルによりインクを吐出する位置を変化させる例等と考えることもできる。
【0080】
これらのように構成すれば、例えば、異常ノズルでの1回の吐出の動作でのインクの吐出量が多くなっている場合にも、主走査方向ラインでの単位長さあたりのインクの量について、異常ノズルが存在しない場合のインクの量に近づけることができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0081】
ここで、上記のようなマスクパターン補正の動作については、例えば、単位面積に対して一つのノズルから吐出するインクの量を変化させる動作等と考えることもできる。より具体的に、例えば、単位面積に対して一つのノズルから吐出するインクの量を単位吐出量と定義した場合、印刷実行部12における制御部110の動作に関し、例えば、異常時用RIPデータに基づいて異常ノズルにインクを吐出させることで、異常ノズルに対応する主走査方向ラインの形成に用いるいずれかのノズルの単位吐出量について、正常時用RIPデータを用いる場合と異ならせていると考えることができる。また、より具体的に、例えば図5(a)、(b)や図6(a)、(b)に示した場合等のように、異常ノズルでインクを吐出する位置を変更する場合、異常ノズルの単位吐出量について、正常時用RIPデータを用いる場合と異ならせていると考えることができる。
【0082】
また、この場合、正常時用RIPデータを用いる場合の異常ノズルの単位吐出量については、例えば、異常時用RIPデータを用いずに、正常時用RIPデータをそのまま用いることで異常が生じる状態での単位吐出量等と考えることができる。また、単位吐出量については、例えば、一つのノズルにより単位面積に対して吐出する平均のインクの量等と考えることもできる。また、この場合、平均の吐出量については、例えば、一連の印刷の動作を行う中での平均の吐出量等と考えることができる。
【0083】
また、異常時用RIPデータを生成するRIP処理部14の動作については、例えば、異常ノズル情報に基づくことで、正常時用RIPデータを用いる場合よりも異常ノズルの影響が小さくなるように、異常時用RIPデータの少なくとも一部を正常時用RIPデータと異ならせる動作と考えることもできる。このようにして異常時用RIPデータを生成することにより、例えば、異常ノズルの特性を考慮したインクの吐出を印刷実行部12のインクジェットヘッド102における複数のノズルに適切に行わせることができる。また、この場合、印刷実行部12における制御部110は、例えば、異常時用RIPデータに基づいてインクジェットヘッド102における複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させることで、異常ノズルによりインクを吐出する位置が正常時用RIPデータを用いる場合と比べてより目立たなくなるように、インクジェットヘッド102における複数のノズルのそれぞれにインクを吐出させる。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0084】
また、異常ノズルの特性と、異常時用RIPデータとの関係に関し、上記のように、吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない異常ノズルが存在する場合、RIP処理部14は、例えば、インクを吐出する吐出位置が多くなる異常時用RIPデータを生成する。また、吐出するインクの量が正常範囲よりも多い異常ノズルが存在する場合、RIP処理部14は、例えば、インクを吐出する吐出位置が少なくなる異常時用RIPデータを生成する。そして、この場合、生成される異常時用RIPデータについて、例えば、異常ノズルにおいて吐出するインクの量のズレ方が補償されるデータ等と考えることができる。
【0085】
この場合、異常ノズルにおいて吐出するインクの量のズレ方が補償されることについては、例えば、必ずしも厳密にズレ分を補償する場合に限らず、異常ノズルの影響がより低減されること等と考えることができる。また、このような補償については、例えば、異常ノズルの特性に応じた調整を行うために用いるテストパターン(調整用パターン)の各位置の濃度を測定し、測定結果から異常ノズルにおいて吐出するインクの量のズレの大きさを検知することで、検知されるズレの大きさに応じて補償を行うことが考えられる。また、この場合、異常時用RIPデータについて、単位吐出回数に着目して考えると、例えば、異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける単位吐出回数が正常時用RIPデータを用いる場合と異なることで異常ノズルにおいて吐出するインクの量のズレ方が補償されるデータ等と考えることもできる。
【0086】
また、上記においても説明をしたように、本例の印刷システム10(図1参照)では、印刷実行部12において1パスでの印刷の動作を行う場合に、異常ノズルの吐出特性に対する補正として、ドットサイズ補正を行う。図7は、ドットサイズ補正について更に詳しく説明をする図である。図7(a)は、正常時用RIPデータを用いる場合(ドットサイズ補正を行わない場合)に一つの主走査方向ラインに形成されるインクのドット302の並びの一例を示す。図7(b)、(c)は、ドットサイズ補正の動作の例を示す。
【0087】
上記においても説明をしたように、本例の印刷実行部12におけるインクジェットヘッド102(図1参照)としては、それぞれのノズルから吐出するインクの容量を複数段階で変更可能なインクジェットヘッドを用いる。また、この場合、インクジェットヘッド102は、それぞれのノズルから、大(L)サイズのインクのドットを形成するための容量、中(M)サイズのインクのドットを形成するための容量、及び小(S)サイズのインクのドットを形成するための容量の3種類の容量で、インクを吐出する。そのため、実際の印刷時において、主走査方向ラインには、印刷する画像に応じて、例えば図7(a)に示すように、様々なサイズのインクのドット302が混在して並ぶことになる。また、この場合、吐出するインクの量が正常範囲から外れている異常ノズルが存在していると、その異常ノズルで形成するインクのドット302の大きさについて、ノズルが正常である場合の本来の大きさとの間にズレが生じることになる。
【0088】
これに対し、ドットサイズ補正では、少なくとも一部の吐出位置へ異常ノズルから吐出するインクの容量を変化させることで、異常ノズルの影響を低減する。より具体的に、この場合、RIP処理部14は、例えば、異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける少なくとも一部の吐出位置へ吐出するインクの容量が正常時用RIPデータを用いる場合と異なる異常時用RIPデータを生成する。
【0089】
更に具体的に、吐出するインクの量が正常範囲よりも少ない異常ノズルが存在する場合、例えば図7(b)において矢印を付して示す吐出位置のように、その異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける一部の吐出位置へ吐出するインクの容量について、正常時用RIPデータを用いる場合よりも大きくする。また、吐出するインクの量が正常範囲よりも多い異常ノズルが存在する場合、例えば図7(c)において矢印を付して示す吐出位置のように、その異常ノズルに対応する主走査方向ラインにおける一部の吐出位置へ吐出するインクの容量について、正常時用RIPデータを用いる場合よりも小さくする。このように構成すれば、例えば、異常ノズルに対応する主走査方向ラインに対して吐出されるインクの量の合計について、ノズルが正常である場合の量に適切に近づけることができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【0090】
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明や、変形例の説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例によれば、例えば、マスクパターン補正やドットサイズ補正等を行うことで、異常ノズルの吐出特性に対する補正を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、いずれかのインクジェットヘッド102において異常ノズルが存在する場合にも、そのインクジェットヘッド102においてインクを吐出する位置に印刷の濃度にムラが生じること等を適切に防いで、高い品質での印刷を適切に行うことができる。そして、この場合、上記の説明等から理解できるように、本例においては、異常ノズルの吐出特性に対する補正について、ヘッド駆動波形の電圧の調整やインク加温温度の調整等を行うことなく、実現することができる。そのため、インクジェットヘッドの機種や印刷実行部の装置構成等についての制約がなく、様々な構成において、異常ノズルの吐出特性に対する補正を行うことができる。
【0091】
また、上記において説明をしたように、本例において、印刷システム10は、印刷実行部12及びRIP処理部14を備える。この場合、印刷実行部12及びRIP処理部14としては、例えば図1等を用いて上記において説明をしたように、個別の装置を用いることが考えられる。また、この場合、印刷システム10について、例えば、複数の装置により構成されていると考えることができる。
【0092】
これに対し、印刷システム10の構成の変形例においては、例えば、1台の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。この場合、例えば、印刷実行部12及びRIP処理部14の機能を有する1台のインクジェットプリンタにより印刷システム10を構成すること等が考えられる。また、この場合、印刷システム10を構成するインクジェットプリンタについて、例えば、RIP処理部14の機能を制御部110が有する印刷実行部12に対応する印刷装置等と考えることもできる。また、印刷システム10の構成の更なる変形例においては、3台以上の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。この場合、例えば、複数の印刷実行部12及びRIP処理部14により印刷システム10を構成すること等が考えられる。また、例えば、印刷実行部12又はRIP処理部14の一部の機能を有する他の装置を更に用いて、3台以上の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。
【0093】
また、上記においては、異常ノズルの吐出特性に対する補正に関し、主に、1パスでの印刷を行う場合にはドットサイズ補正を行い、マルチパス方式での印刷を行う場合にはマスクパターン補正を行う場合の動作について、説明をした。この場合、印刷システム10の動作について、例えば、パス数に応じてドットサイズ補正又はマスクパターン補正のいずれかを行う動作等と考えることができる。また、印刷システム10の動作の変形例においては、例えばマルチパス方式での印刷を行う場合において、ドットサイズ補正及びマスクパターン補正の両方を行うこと等も考えられる。このように構成すれば、例えば、異常ノズルの吐出特性に対する補正をより高い精度で行うことができる。また、印刷システム10の動作の変形例においては、例えば、マルチパス方式での印刷を行う場合において、マスクパターン補正を行わずに、ドットサイズ補正のみを行うこと等も考えられる。また、印刷システム10において複数種類でのパス数でのマルチパス方式での動作を実行可能な場合等には、例えば、一部のパス数でのマルチパス方式の動作において、ドットサイズ補正のみを行うこと等も考えられる。
【0094】
また、上記においても説明をしたように、本例において、異常ノズルの吐出特性に対する補正については、異常ノズルの代わりに他の正常なノズルを使用する方法である代替処理ではなく、異常ノズル自体にもインクを吐出させることで補正を行う。そして、この場合、異常ノズルの数が多い場合等にも、異常ノズルの吐出特性に対する補正より適切に行うことができる。より具体的に、例えば、異常ノズルに対する代替処理を行う場合、一部の吐出位置に対してインクを吐出するタイミングに変化が生じることで、代替処理を行った位置が目立ちやすくなる場合がある。そのため、例えば異常ノズルの数が多い場合において、代替処理を行うと、代替処理を行った位置が目立つ状態になり、印刷の品質が低下するおそれがある。特に、近接した位置に複数の異常ノズルが存在する場合、代替処理を行った位置が特に目立ちやすくなると考えられる。これに対し、本例においては、異常ノズルも使用しつつ印刷の動作を行うことで、例えば、補正の対象となった位置を目立ちにくくすることができる。また、これにより、例えば、異常ノズルの数が多い場合等にも、異常ノズルの吐出特性に対する補正より適切に行うことができる。
【0095】
また、上記においても説明をしたように、マスクパターン補正やドットサイズ補正については、一つのノズル単位ではなく、複数のノズルを含む領域単位で行うこと等も考えられる。これに対し、本例のようにマスクパターン補正やドットサイズ補正を行う場合、近接する複数のノズルを対象に補正を行ったとしても、補正の対象となった位置を目立ちにくくすることができる。そのため、本例によれば、例えば、複数のノズルを含む領域単位で補正を行ったとしても、高い品質での印刷を適切に行うことができる。
【0096】
また、上記においては、主に、異常ノズルの特性に応じた調整を行うために用いるテストパターン(調整用パターン)を印刷することでインクジェットヘッド102におけるそれぞれのノズルの状態を確認する動作について、説明をした。この場合、上記においても説明をしたように、例えば、作業者の目視やカメラ等を用いた自動的な動作により、テストパターンを構成するインクのドットの径の確認を行う。また、自動的にドットの径の確認を行う動作については、例えば、テストパターンをスキャニングして自動的に補正を行う動作等と考えることもできる。また、マスクパターン補正やドットサイズ補正については、例えば、テストパターンを印刷して異常ノズルを確認する構成以外の構成で行うこと等も考えられる。例えば、印刷すべき画像を示す画像データ内のデューティー(Duty)に応じて、マスクパターン補正やドットサイズ補正を行うこと等も考えられる。また、例えば、インクジェットヘッドにおける各部の温度を測定して、インクジェットヘッド内に生じる温度ムラに応じて、マスクパターン補正やドットサイズ補正を行うこと等も考えられる。
【0097】
また、上記においては、印刷システム10について、主に、媒体に対してインクを吐出する場合の構成を説明した。この場合、印刷システム10における印刷実行部12ついて、媒体上に2次元の画像を描くインクジェットプリンタ等と考えることができる。また、印刷システム10の変形例においては、印刷実行部12として、立体的な造形物を造形する3Dプリンタ(3D印刷装置)等を用いることも考えられる。このような場合も、例えば、上記と同一又は同様にしてマスクパターン補正やドットサイズ補正等を行うことで、異常ノズルの影響を適切に低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、例えば印刷システムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0099】
10・・・印刷システム、12・・・印刷実行部、14・・・RIP処理部、50・・・媒体、102・・・インクジェットヘッド、104・・・プラテン、106・・・主走査駆動部、108・・・副走査駆動部、110・・・制御部、302・・・ドット
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