IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】真空包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/02 20060101AFI20240126BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B65B31/02 B
F04C25/02 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020001967
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021109666
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 義之
(72)【発明者】
【氏名】横山 千穂
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-009893(JP,A)
【文献】特開2013-239656(JP,A)
【文献】特開平11-062846(JP,A)
【文献】特開2005-059779(JP,A)
【文献】特開2002-070775(JP,A)
【文献】特開2008-008144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0005107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/00
F04C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空包装のための密閉空間を形成し得るチャンバと、
前記チャンバ内を負圧化させる真空ポンプと、
前記チャンバ内の圧力を検出して圧力データを出力する真空センサと、
前記チャンバ内に入れた包装袋の開口周縁部を封止する封止装置とを備え、
前記真空ポンプにより前記チャンバ内を負圧化させた状態で前記封止装置により包装袋の開口周縁部を封止することで包装袋を真空包装する真空包装機であって、
前記真空包装に必要な複数の所定機能の適正動作の可否を判定し得るコントローラであって、前記複数の所定機能の一つとして、前記圧力データに基づいて算出した真空度から前記チャンバが前記密閉空間を適正に形成したか否かを判定するコントローラと、
を備え、前記真空センサが交換された場合、
前記コントローラは、交換後の前記真空センサに固有の前記圧力データに起因した前記真空度の誤差を補正する補正値を求めるとともに、前記複数の所定機能の適正動作の可否判定として、前記チャンバが前記密閉空間を適正に形成したか否かだけを判定し、他の適正動作の可否判定は行わないことを特徴とする真空包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記真空ポンプは油循環式の油回転真空ポンプであり、
前記油回転真空ポンプが交換された場合、
前記コントローラは、前記油回転真空ポンプに関するデータとして、前記油回転真空ポンプの累積使用時間、前記油回転真空ポンプ内を循環する油の累積使用時間、及び、前記油に混入した異物を捕捉するフィルタの累積使用時間のすべてを初期値に設定することを特徴とする真空包装機。
【請求項3】
請求項1に記載の真空包装機において、
前記真空ポンプは油循環式の油回転真空ポンプであり、
前記コントローラは、
当該真空包装機が前記油回転真空ポンプ内を循環する油をユーザが交換可能に構成されている場合には前記ユーザの操作による前記油の累積使用時間の初期化を可能にし、
前記真空包装機が前記油を前記ユーザが交換可能に構成されていない場合には前記ユーザの操作による前記油の累積使用時間の初期化を不能にすることを特徴とする真空包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプにより負圧化させるチャンバ内の圧力を真空センサにより検出する真空包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に開示されている真空包装機では、チャンバ内の圧力を真空センサ(真空計)で検出し、その圧力に基づいて真空ポンプ(油回転真空ポンプ)を制御している。センサは、一般的には個々に検出特性が異なることが多いため、出力データが一律に揃うことは極めて希である。つまり、センサの出力データにはバラツキがあり、真空センサもその例外ではない。そのため、特許文献1には開示されていないが、真空包装機では、真空センサが出力する圧力データを必要に応じて補正して真空ポンプの制御に用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-47916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、真空包装機で使用される真空センサは使用頻度が高い。真空包装時にチャンバ内の圧力を検出するだけでなく、真空ポンプの油に含まれる水を気化させて水抜きをする水抜き運転時においてもチャンバ内の圧力を検出する必要があるため使用される。また経年劣化もあり得る。そのため、真空センサは真空包装機の使用中等に故障する可能性がある。故障時には、例えばメーカ等のメンテナンス作業を行う作業者(以下「メンテナンス作業者」という)が真空センサの交換作業を行った後、所定の設定作業として真空センサの補正作業を行う必要がある。
【0005】
このような所定の設定作業では、真空包装に必要な複数の所定機能(例えば、チャンバが密閉空間を適正に形成する機能や、封止装置が包装袋の開口を適正に封止する機能等)の全てをチェックする場合がある。しかし、そのような複数の所定機能には、包装袋の封止機能等の真空センサに直接関係しないものも含まれているため、メンテナンス作業者が時間を無駄に費やしてしまうおそれがあった。
【0006】
また、真空センサと同様に真空ポンプも使用頻度が高い。そのため、真空ポンプの故障時には、メンテナンス作業者は真空ポンプの交換作業を行った後、真空ポンプに関するデータ(例えば、ポンプの累積使用時間等)を全て初期化する作業を行う必要がある。しかし、真空ポンプに関するデータの種類が多い場合にその全てを個々に初期化する操作は、メンテナンス作業者にとって面倒で手間がかかる。つまり、作業効率が良くないばかりか設定漏れの可能性も生じるおそれがあった。
【0007】
さらに、真空ポンプが油回転真空ポンプであるときには、ポンプ内を循環する油に異物が混入したり油自体が劣化したりする。そのため、真空ポンプの累積使用時間が一定時間を超えると油を交換する作業も行う必要がある。しかし、真空ポンプの累積使用時間は真空包装機の稼働頻度に左右されることから、例えば、真空包装機の稼働頻度とユーザニーズとの兼ね合いによって、油の交換作業をユーザでも行うことができるように構成されている機種と、ユーザでは油の交換作業を行うことができないように構成されている機種とが販売されている場合がある。
【0008】
このような場合に油の交換作業に伴う設定(例えば、油の累積使用時間の初期化)作業を可能にする機能を前述の機種に応じて設けたりまたは設けなかったりすると、制御ソフトウェアの管理が煩雑になり得る。また、このような設定作業を可能にする機能を機種に関係なく一律に設けると、ユーザでは油の交換作業を行うことができないように構成されている機種においても油の交換作業に伴う設定作業をユーザが行うことが可能になってしまう。そのため、ユーザによる誤設定を招くおそれがあった。
【0009】
本発明は、メンテナンス時の作業効率を向上することを目的とする。また別の目的は、設定漏れや誤設定を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、真空包装のための密閉空間を形成し得るチャンバと、チャンバ内を負圧化させる真空ポンプと、チャンバ内の圧力を検出して圧力データを出力する真空センサと、チャンバ内に入れた包装袋の開口周縁部を封止する封止装置とを備え、真空ポンプによりチャンバ内を負圧化させた状態で封止装置により包装袋の開口周縁部を封止することで包装袋を真空包装する真空包装機であって、真空包装に必要な複数の所定機能の適正動作の可否を判定し得るコントローラであって、複数の所定機能の一つとして、圧力データに基づいて算出した真空度からチャンバが密閉空間を適正に形成したか否かを判定するコントローラと、を備え、真空センサが交換された場合、コントローラは、交換後の真空センサに固有の圧力データに起因した真空度の誤差を補正する補正値を求めるとともに、複数の所定機能の適正動作の可否判定として、チャンバが密閉空間を適正に形成したか否かだけを判定し、他の適正動作の可否判定は行わないことを特徴とする真空包装機を提供するものである。
【0011】
上記のように構成した真空包装機においては、真空センサが交換された場合、コントローラは、交換後の真空センサに固有の圧力データに起因した真空度の誤差を補正する補正値を求める(真空センサの補正)とともに、複数の所定機能の適正動作の可否判定として、チャンバが密閉空間を適正に形成したか否か(のリークチェック)だけを判定し、他の適正動作の可否判定は行わないようにした。これにより、真空センサが交換された場合には、真空センサの補正とリークチェックだけが行われて、他の適正動作の可否判定を行う時間が削減されたので、メンテナンス作業者は無駄な時間を費やすおそれがない。したがって、メンテナンス時の作業効率を向上することができた。なお、真空センサが交換されたか否かは、例えば、真空センサが交換された旨の情報が外部から入力(ユーザによるボタン操作等)されることにより、コントローラが把握する。
【0012】
上記のように構成した真空包装機においては、真空ポンプは油循環式の油回転真空ポンプであり、油回転真空ポンプが交換された場合、コントローラは、油回転真空ポンプに関するデータとして、油回転真空ポンプの累積使用時間、油回転真空ポンプ内を循環する油の累積使用時間、及び、油に混入した異物を捕捉するフィルタの累積使用時間のすべてを初期値に設定するのが好ましい。このように構成したときには、油回転真空ポンプが交換された場合、コントローラは、油回転真空ポンプに関するデータ(油回転真空ポンプの累積使用時間、油の累積使用時間及びフィルタの累積使用時間)のすべてを初期値に設定するようにした。これにより、油回転真空ポンプの交換後にメンテナンス作業者が油回転真空ポンプに関するこれらのデータをそれぞれ設定する場合に比べて、これらのデータはコントローラにより自動的に初期値に設定されるので、メンテナンス作業者による作業時間を大幅に短縮することができた。したがって、メンテナンス時の作業効率をさらに向上することができ、また設定漏れや誤設定も抑制することができた。なお、真空ポンプが交換されたか否かは、例えば、真空ポンプが交換された旨の情報が外部から入力(ユーザによるボタン操作等)されることにより、コントローラが把握する。
【0013】
また、上記のように構成した真空包装機においては、真空ポンプは油循環式の油回転真空ポンプであり、コントローラは、当該真空包装機が油回転真空ポンプ内を循環する油をユーザが交換可能に構成されている場合にはユーザの操作による油の累積使用時間の初期化を可能にし、当該真空包装機が油をユーザが交換可能に構成されていない場合にはユーザの操作による油の累積使用時間の初期化を不能にするのが好ましい。このように構成したときには、当該真空包装機が油回転真空ポンプ内を循環する油をユーザが交換可能に構成されている場合には、コントローラはユーザの操作による油の累積使用時間の初期化を可能にするようにした。また、当該真空包装機が油をユーザが交換可能に構成されていない場合には、コントローラはユーザの操作による油の累積使用時間の初期化を不能にするようにした。これにより、ユーザによる油の交換が可能な構成である場合に限ってユーザは油の累積使用時間を初期化する操作が可能になる。換言すれば、ユーザによる油の交換が可能な構成でない場合にはユーザは油の累積使用時間を初期化する操作ができない。したがって、メンテナンス時の作業効率を向上することが可能になることに加えて、ユーザによる誤設定を抑制することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の真空包装機の斜視図である。
図2図1のチャンバカバーを開放した状態の斜視図である。
図3】A-A断面図である。
図4】真空包装機の概略図である。
図5】操作パネルの概略図である。
図6】制御装置のブロック図である。
図7】操作パネルに表示されるトップメニューの説明図である。
図8】包装プログラムのフローチャートである。
図9】出荷検査プログラムのフローチャートである。
図10】検査開始時に操作パネルに表示される画面の説明図である。
図11】検査の工程ごとに表示される各画面の説明図である。
図12】サービス用設定プログラムのフローチャートである。
図13】操作パネルに表示されるサービス用設定メニューの説明図である。
図14】サービス用設定メニューの使用時間初期化においてオイル使用時間やフィルタ使用時間を選択した場合に表示される各画面の説明図である。
図15】サービス用設定メニューの使用時間初期化においてポンプ使用時間を選択した場合に表示される画面や、サービス用設定メニューにおいて真空センサ補正やリークチェックを選択した場合に表示される各画面の説明図である。
図16】技術用設定プログラムのフローチャートである。
図17】操作パネルに表示される技術用設定メニューの説明図である。
図18】技術用設定メニューの回数初期化において包装回数や水抜き回数を選択した場合に表示される各画面の説明図である。
図19】技術用設定メニューにおいて総ポンプ使用時間初期化、技術用設定初期化や全初期化を選択した場合に表示される各画面の説明図である。
図20】メンテナンスプログラムのフローチャートである。
図21】操作パネルに表示されるトップメニューの説明図である。
図22】メンテナンスメニューにおいて表示される各画面の説明図である。
図23】メンテナンスメニューのオイル使用時間やフィルタ使用時間を選択した場合に表示される各画面の説明図である。
図24】ジャンプ機能の有無における画面遷移の例を表した説明図である。
図25】ジャンプ機能がある場合における画面遷移の例を表した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の真空包装機の一実施形態を添付図面を参照して説明する。図1図4に示したように、本発明の真空包装機10は、チャンバ20内を真空ポンプ40により脱気して負圧化させ、チャンバ20内に収容した包装袋の開口周縁部を封止装置30によって封止することにより、包装袋内を脱気した状態にて密封して真空包装するものである。真空包装機10は、ケーシング11の上部に設けられたチャンバ20と、チャンバ20内にて包装袋の開口周縁部を密封する封止装置30と、ケーシング11でチャンバ20の下側となる下部にチャンバ20内を脱気して負圧化させる真空ポンプ40とを備えている。
【0016】
図1図3に示したように、ケーシング11は略直方体形状をし、ケーシング11の上部にはチャンバ20が設けられている。チャンバ20は、ケーシング11の上部に設けたチャンバベース21と、チャンバベース21の上側で水平軸線回りに回動可能に支持されたチャンバカバー22とを備え、チャンバベース21の上側をチャンバカバー22により開閉自在に塞ぐことで内部に包装袋を収容する密閉空間が形成されている。
【0017】
図2に示したように、チャンバベース21は、上面が開口した浅い箱形をし、ステンレス等の板金部材をプレス加工によって形成したものである。図3に示したように、チャンバベース21の前部には他の部分より浅く形成された段部21aが形成されており、段部21aの上側には封止装置30を構成する下側ブロック31が上下に移動可能に設けられている。
【0018】
図1及び図2に示したように、チャンバカバー22は、チャンバベース21の上面開口を開閉自在に塞ぐ耐圧性のアクリル材等の透明性のある材料を用いた蓋体であり、チャンバベース21との間に包装袋を収容する密閉空間を形成するものである。チャンバカバー22の後端部はケーシング11の後端部に水平軸線回りに回動可能に軸支されており、チャンバカバー22の前部は上下に回動可能となっている。図1に示したように、チャンバカバー22は水平位置にあるときにはチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置となっている。また、図2に示したように、チャンバカバー22の前部を上側に回動させると、チャンバカバー22は傾斜位置になってチャンバベース21の上面を開放する開放位置となる。
【0019】
図2及び図3に示したように、チャンバカバー22の下面の周縁部にはシール部材としてゴム製のパッキン23が設けられており、パッキン23はチャンバカバー22を閉じて閉塞位置としたときにチャンバベース21とチャンバカバー22との間を気密にシールする。ケーシング11の後部にはガススプリング12が設けられている。ガススプリング12は、チャンバカバー22の前部を上方に付勢し、チャンバカバー22をチャンバベース21から開放する開放位置に付勢している。ケーシング11の右側面の前端部にはストッパ13が水平軸線回りに回動可能に設けられており、ストッパ13はチャンバカバー22の前部上面に係止して、チャンバカバー22が開放位置に回動するのを防ぐ機能を有している。
【0020】
図4に示したように、ケーシング11の後部にはチャンバカバー22の開閉状態を検知するカバーセンサ14が設けられている。カバーセンサ14はリードスイッチ等の近接スイッチを用いたものであり、チャンバカバー22の後部にはカバーセンサ14によりチャンバカバー22が閉止状態であることを検知させる磁石15が設けられている。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を塞ぐ閉塞位置にあるときには、磁石15はカバーセンサ14に近接して、カバーセンサ14はオン信号を出力することで閉止状態を検知する。チャンバカバー22がチャンバベース21の上面開口を開放する開放位置にあるときには、磁石15はカバーセンサ14から離間し、カバーセンサ14はオフ信号を出力することで開放状態を検知する。
【0021】
図3及び図4に示したように、チャンバ20の前部には封止装置30が設けられている。封止装置30はチャンバ20内に収容した包装袋Bの開口周縁部を熱溶着によって封止して包装袋Bを密封するものである。封止装置30は包装袋Bの開口周縁部を挟持する下側及び上側ブロック31,32を備えている。下側ブロック31はアルミニウム製の角パイプ部材よりなり、チャンバベース21の段部21aの上側に着脱可能かつ上下に移動可能に支持されている。下側ブロック31の上面にはニクロム材よりなる帯板形状のヒータ33が設けられている。上側ブロック32は弾性変形可能なシリコーン製のブロック体よりなり、下側ブロック31の上側に対向する位置にて、チャンバカバー22の下面前部に取り付けられている。
【0022】
図3及び図4に示したように、チャンバベース21の段部21aの下面には下側ブロック31を上下に昇降させる左右一対の昇降機構34が設けられている。各昇降機構34はチャンバベース21の段部21aの底壁を貫通する支持軸35と、支持軸35を上下動させる昇降シリンダ36とを備えている。図4に示したように、支持軸35の軸方向の中間部には鍔部37が設けられており、鍔部37は昇降シリンダ36内を上部空間36aと下部空間36bとに気密に仕切っている。昇降シリンダ36の上部空間36aには支持軸35の外周にばね部材38が介装されており、ばね部材38は鍔部37を介して支持軸35を下側に付勢している。
【0023】
図3及び図4に示したように、ケーシング11内の下部には真空ポンプ40が設けられている。真空ポンプ40は、主としてチャンバ20内を吸引し、チャンバ20内の密閉空間の空気を排気して、チャンバ20内を負圧吸引するものである。この実施形態では、真空ポンプ40はオイル(油)によりロータ、ステータ、翼板等の機械部品の間の気密及び無効空間の減少を図っている容積位相式真空ポンプであり、油回転真空ポンプとも呼ばれる。真空ポンプ40内にはこのような機械部品が収容されてオイルが循環する。そのため、オイルに異物が混入した場合には当該異物が機械部品間の微小な隙間に入り込んだり噛み込んだりして真空ポンプ40の正常な動作を妨げる原因になり得る。そのため、真空ポンプ40には、オイルに混入した異物を捕捉するオイルフィルタ(以下「フィルタ」という)が設けられている。
【0024】
図4に示したように、ケーシング11内には真空ポンプ40とチャンバ20とを接続する吸引管(吸引経路)41が設けられており、吸引管41には真空弁42が介装されている。チャンバ20内の空気は真空弁42の開放によって真空ポンプ40に吸引可能となる。吸引管41にはチャンバ20と真空弁42との間に外気を導入する外気導入管43が接続されており、外気導入管43は第1管部43aと、第1管部43aから分岐した第2管部43bとを備えている。第1及び第2管部43a,43bにはこれらを開閉する第1及び第2外気導入弁44,45が介装されている。第1外気導入弁44は第2外気導入弁45より弁口径が大きく形成されており、第1外気導入弁44を開放したときにはチャンバ20内に速く外気が導入され、第2外気導入弁45を開放したときには、第1外気導入弁44を開放したときよりもチャンバ20内にゆっくりと外気が導入される。なお、第2外気導入弁45は後述する水抜き運転時の暖気工程後の換気工程で、真空ポンプ40を作動させた状態で開放されてもチャンバ20内の圧力が5kPa(真空度95%)を維持することができる程度の細い径となっている。
【0025】
吸引管41には外気導入管43の第1管部43aを介して圧力検出管46が接続されており、圧力検出管46にはチャンバ20の圧力を検出する真空センサ47が設けられている。真空センサ47は、少なくとも0kPa~100kPa(abs)の範囲を計測可能な真空計であり、例えば、検出した圧力に対して線形特性のアナログ電圧(固有の圧力データ)を出力するものである。真空センサ47が出力するアナログ電圧は、当該真空センサ47に固有の誤差を有し得るため、後述するように補正が必要となる。
【0026】
真空センサ47は、チャンバ20内を真空ポンプ40により脱気していないときには、真空センサ47により検出されるチャンバ20内の圧力は大気圧と同じ100kPa(abs)であり、このときの真空度は0%である。チャンバ20内を真空ポンプ40により脱気して負圧化させ、真空センサ47により検出されるチャンバ内の圧力が0kPa(abs)であるときには、真空度は100%である。
【0027】
なお、真空センサ47によって直接検出されるのはチャンバ20内の圧力であるが、以後の説明では、真空センサ47によって検出された圧力をチャンバ20内の真空度Pに置き換えて説明をする。この実施形態では、真空センサ47の出力は線形特性のアナログ電圧であるため、その出力電圧はA/D変換器(図示省略)によりデジタル値(例えば10ビット前後)に変換されてコントローラ70のCPUに出力される。
【0028】
吸引管41には真空ポンプ40と真空弁42との間からシリンダ管48が分岐しており、シリンダ管48は昇降シリンダ36の上部空間36aに接続されている。シリンダ管48には三方弁49が介装されており、三方弁49の2つのポートはシリンダ管48の真空ポンプ40側と昇降シリンダ36側に接続され、三方弁49の残る1つのポートは外気側に開放されている。三方弁49の真空ポンプ40側と昇降シリンダ36側を連通状態で真空ポンプ40を作動させると、昇降シリンダ36の上部空間36aは負圧化され、支持軸35はばね部材38の付勢力に抗して上昇する。三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを連通状態にすると、昇降シリンダ36の上部空間36aは負圧化されないようになり、支持軸35はばね部材38の付勢力によって下降する。
【0029】
図3及び図4に示したように、チャンバ20には収容した包装袋の膨らみを検知する膨らみ検知部50が設けられている。膨らみ検知部50はチャンバカバー22の下面前部に水平軸線回りに回動可能に支持された膨らみ検知板51と、膨らみ検知板51の後端に固定した磁石52と、磁石52を介して膨らみ検知板51の位置を検出するリードスイッチ等の近接スイッチよりなる膨らみセンサ53とを備えている。
【0030】
膨らみ検知板51は下側及び上側ブロック31,32と同様に左右方向に広がる帯板形状をしている。膨らみ検知板51は、チャンバカバー22の下面の上側ブロック32の直ぐ後側に配置され、後側が上下動するように前部が水平軸線回りに回動可能に支持されている。膨らみ検知板51の左端部の後端には磁石52が固定されており、磁石52は膨らみ検知板51の回動によって上下動する。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんでいないときには、膨らみ検知板51は斜め下方に傾斜しており、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の下部に位置(下位置)する(図3及び図4の実線にて示した)。チャンバ20内に収容した包装袋が膨らんだときには、膨らみ検知板51は膨らんだ包装袋によって持ち上げられて回動し、膨らみ検知板51の後端の磁石52はチャンバ20内の上部に位置(上位置)する(図3及び図4の二点鎖線で示した)。
【0031】
膨らみセンサ53は、包装袋が膨らんだときに上側に回動する膨らみ検知板51の後端の磁石52の位置を検知することで包装袋の膨らみを検知するものである。膨らみセンサ53はチャンバベース21の外側にて上位置となった膨らみ検知板51の磁石52に対向する位置に配置されている。包装袋が膨らんでなくて膨らみ検知板51の磁石52が下位置にあるときには、膨らみセンサ53は下位置にある磁石52が離間していることでオフ信号を出力する。包装袋が膨らんで膨らみ検知板51の磁石52が上位置にあるときには、膨らみセンサ53は上位置にある磁石52が近接することでオン信号を出力する。
【0032】
図1及び図2に示したように、ケーシング11の前面には操作パネル60が設けられており、操作パネル60には各種操作スイッチ61と、カラーまたはモノクロの液晶パネルよりなる表示パネル62とが設けられている。図5に示したように、操作スイッチ61は第1~第6操作スイッチ61a~61fを備えている。
【0033】
第1操作スイッチ61aは後述する包装プログラムを実行可能なアクティブ状態と実行不能なスリープ状態とを切り替える切替操作スイッチである。第2操作スイッチ61bは表示パネル62にて選択項目を決定する操作スイッチである。第3操作スイッチ61cは後述する水抜き運転プログラムを実行するための操作スイッチである。第4操作スイッチ61dは表示パネル62にて表示されている階層を1つ上の階層に戻すための操作スイッチである。第5及び第6操作スイッチ61e,61fは表示パネル62にて表示される各種選択項目を選択するのに用いる操作スイッチである。
【0034】
なお、この実施形態では、第1操作スイッチ61aを「運転」スイッチ、第2操作スイッチ61bを「決定」スイッチ、第3操作スイッチ61cを「水抜」スイッチ、第4操作スイッチ61dを「戻る」スイッチ、第5操作スイッチ61eを「上」スイッチ、第6操作スイッチ61fを「下」スイッチ、とそれぞれ符号を省略して記載する場合がある。
【0035】
真空包装機10はコントローラ70を備えており、図6に示したように、このコントローラ70はカバーセンサ14と、ヒータ33と、真空ポンプ40と、真空弁42と、第1及び第2外気導入弁44,45と、真空センサ47と、三方弁49と、膨らみセンサ53と、操作パネル60とに接続されている。コントローラ70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM、EEPROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0036】
コントローラ70は、包装袋を脱気した状態で密封して真空包装する包装プログラムがROMに記憶されている。コントローラ70のROMには、常温以下の温度の食材及び調理物の包装に適した通常の包装プログラムと、常温より温度の高い食材及び調理物の包装に適したホットパック用の包装プログラムとが記憶されている。通常の包装プログラムとホットパック用の包装プログラムの各々は真空度等の制御条件の異なる複数の包装プログラムが設定されており、真空度等の制御条件を調理物に応じて変更可能としている。なお、この実施形態では、コントローラ70のROMには、後述するような機能を有する、出荷検査プログラム、サービス設定用プログラム、技術設定用プログラム、メンテナンスプログラム等も記憶されている。
【0037】
これらのプログラムのうち、通常の包装プログラム、ホットパック用の包装プログラムやメンテナンスプログラムは、ユーザが真空包装機10を通常使用する際に表示パネル62に表示されるメニュー項目62aで選択されることによって処理が開始される。真空包装機10は真空包装等が可能な状態に準備が整うと、例えば、図7(a)に示したように表示パネル62にトップメニューのメニュー項目62aを表示するので、通常の包装プログラムやホットパック用の包装プログラムはこれらのメニュー項目62aから選択されて起動する。
【0038】
項目バーの選択は、画面右端の操作ガイド62bに表示されている「▲選択▼」に対応した「上」スイッチ(第5操作スイッチ61e)や「下」スイッチ(第6操作スイッチ61f)をオン操作することで変更可能であり、現在、選択中のメニュー項目62aは項目バーの背景色が変わる。図7では図面表現上の便宜のため、現在選択中のメニュー項目62aの背景色をグレーに着色している。選択中の項目バー(背景色がグレー)に表示されているプログラムは、「決定」スイッチ(第2操作スイッチ61b)がオン操作されると処理を開始する。
【0039】
図7(a)の例では、メニュー項目62aとして、「標準」バー、「ホットパック」バー、「ガス充填」バー、「含浸」バー及び「点検」バーが表示されており、「標準」バーの背景色がグレーで表されているため、この状態で「決定」スイッチがオン操作されると、通常の包装プログラムの処理が開始される。この例では、表示パネル62に一度に表示可能なメニューの項目数(項目バーの数)は5である。そのため、例えば、図7(a)に示したように、項目バーの数が6以上の場合には、「下」スイッチをオン操作し続けることにより6つ目以降の項目バーが表示されて選択中の場合には背景色が変わる。
【0040】
図7(b)の例では、メニュー項目62aとして、「ガス充填」バー、「含浸」バー、「点検」バー、「機器設定」バー及び「メンテナンス」バーが表示されており、「メンテナンス」バーの背景色がグレーで表されているため、この状態で「決定」スイッチがオン操作される(処理の開始を決定する)と、後述するようにメンテナンスプログラムの処理が開始される。なお、「ホットパック」バーを選択して「決定」スイッチにより処理の開始を決定すると、ホットパック用の包装プログラムの処理が開始される。
【0041】
なお、「ガス充填」バーは包装袋内に窒素ガスを充填する際に選択され、また「含浸」バーは包装袋内の食材や調理物に液状の調味料を浸透させる際に選択され、さらに「点検」バーは真空包装機10の諸機能を点検する際に選択される。ここでは、図7(a)において選択されている通常の包装プログラムの処理について、図4図6及び図8を参照しながら説明する。
【0042】
通常の包装プログラムの実行前は、真空弁42、第2外気導入弁45が閉止状態となっており、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とが連通されている(真空ポンプ40側が閉止状態となっている)。コントローラ70は、この状態において、通常の包装プログラムの処理を開始すると、まずステップ101によりカバーセンサ14からオン信号が入力されたか否かを判定する。そして、チャンバカバー22が閉じられるまでは、カバーセンサ14からオン信号が入力されないので、コントローラ70は包装プログラムを終了する(ステップ101;NO)。
【0043】
チャンバカバー22が閉じられて磁石15がカバーセンサ14に接近すると、カバーセンサ14からコントローラ70にオン信号が入力されるため(ステップ101;YES)、コントローラ70は次のステップ102に処理を進める。このときチャンバ20内では、下側ブロック31の上側に開口周縁部が載るような姿勢で寝かせられた包装袋B(図3の二点鎖線で示した)がチャンバベース21に載置されている。
【0044】
コントローラ70は、ステップ102にて、真空弁42を開放させ、第1外気導入弁44を閉止させるとともに真空ポンプ40を作動させると、チャンバ20内は真空ポンプ40によって脱気されて負圧化していく。コントローラ70は、ステップ103にて、真空センサ47によって検出されるチャンバ20内の真空度Pが予め設定された真空度Px以上(所定圧力以下)となったか否かを繰り返し判定する。
【0045】
チャンバ20内の圧力が徐々に低下し、真空センサ47によって検出されるチャンバ20内の真空度Pが予め設定された真空度Px以上(所定圧力以下)となると、コントローラ70は検出真空度Pが真空度Pxであると判定し(ステップ103;YES)、次のステップ104により真空弁42を閉止させてチャンバ20内の脱気を中止する。コントローラ70は、続くステップ105にて、三方弁49の昇降シリンダ36側と真空ポンプ40側とを連通させる(外気側を閉止状態とする)。
【0046】
これにより、昇降シリンダ36の上部空間36aは真空ポンプ40によって負圧化されるため、支持軸35は、ばね部材38の付勢力に抗して上昇するとともに下側ブロック31を上昇させる。上昇した下側ブロック31が上側ブロック32に押しつけられることで包装袋Bの開口周縁部は下側ブロック31と上側ブロック32とによって挟持される。この状態で、コントローラ70がステップ106にてヒータ通電させてヒータ33を発熱させると、包装袋Bの開口周縁部は熱溶着によって閉じられて、包装袋Bが脱気された状態(真空状態)で密封される。
【0047】
続くステップ107により、真空ポンプ40の作動を停止させるとともに第1外気導入弁44を開放する。これにより、チャンバ20内は第1外気導入弁44から導入される外気によって大気圧に戻されると、負圧吸引されなくなったチャンバ20のチャンバカバー22はガススプリング12の付勢力によって上方に押し上げられて開放される。
【0048】
さらにステップ108にて、三方弁49の昇降シリンダ36側と外気側とを連通させる(真空ポンプ40側を閉止状態とする)ことにより、昇降シリンダ36の上部空間36aに外気が導入されて負圧状態が解除されると、支持軸35は、ばね部材38の付勢力によって下降する。これにより、下側ブロック31は上側ブロック32から離間し、包装袋Bの開口周縁部は下側及び上側ブロック31,32から挟持された状態が解除される。このようにして、包装袋Bは脱気された状態(真空状態)で密封される。
【0049】
なお、このようなステップ105からステップ108に至るまでの一連の処理を「包装袋のシール処理」と記載する。また、「ホットパック」バーが選択されて「決定」スイッチのオン操作によりホットパック用の包装プログラムの処理が開始された場合の説明は省略する。これらの通常やホットパック用の包装は、その真空包装した回数がコントローラ70にカウントされてEEPROMに包装回数として記憶されている。ここで、真空包装機10を製造する工場において出荷前に実行される出荷検査プログラムについて図9を参照しながら説明する。
【0050】
この出荷検査プログラムでは、真空包装機10のユーザが利用する機能は提供されていないため、図7に示したような通常の使用時に表示パネル62に表示されるメニュー項目62aには含まれていない。そのため、例えば、コントローラ70のEEPROMに機種番号が書き込まれていない場合に限って、当該真空包装機10の主電源スイッチ17がオン操作された直後に起動する。
【0051】
主電源スイッチ17は、商用電源に接続されている電源ラインに直結された開閉器であり、例えば、ケーシング11の側面に設けられている。このような主電源スイッチ17に対して、操作パネル60に設けられている「運転」スイッチ(第1操作スイッチ61a)は、主電源スイッチ17がオン操作されたオン状態にある場合に真空包装機10の運転の開始(アクティブ状態)と終了(スリープ状態)を制御し得るようにコントローラ70に管理されているスイッチである。
【0052】
なお、機種番号は、真空包装機10の工場出荷前にコントローラ70のEEPROMに書き込まれることから、ユーザによる真空包装機10の通常使用時においては、この出荷検査プログラムが起動されることはない。また、出荷検査プログラムの処理において行われる各スイッチの操作等は、当該真空包装機10の製造工場における出荷検査の担当者(以下「検査担当者」という)が行うことを前提にしている。
【0053】
[出荷検査プログラム]
コントローラ70は、出荷検査プログラムの処理を開始すると、まずステップ201により、図10に示したように、これから工場出荷検査を開始する旨を検査担当者に視覚的に告知するタイトルバー62cを操作パネル60の表示パネル62に表示させる。またチャンバカバー22を閉じる操作を当該検査担当者に促すメッセージ「カバーを閉じてください」も表示パネル62に表示させる。
【0054】
コントローラ70は、チャンバカバー22が閉じられてカバーセンサ14からオン信号が入力されるまで待機する(ステップ202;NO)。このような待機は、例えば、タイマ機能により時間を設定して所定時間(例えば3分間)が経過してもカバーセンサ14からオン信号が入力されない場合には本出荷検査プログラムによる処理を終了するように構成してもよい。
【0055】
オン信号が入力されると(ステップ202;YES)、コントローラ70は、続くステップ203により真空センサ47の補正を行う。例えば、真空ポンプ40を所定時間運転した場合に真空センサ47により検出されるチャンバ20内の圧力値(以下「100%みなし圧力値」という)を100%の真空度に対応する圧力値とみなして、このステップ以降において真空センサ47により検出される圧力値に対応する真空度を補正する。100%みなし圧力値は、例えば、真空センサ47が出力した複数の圧力値の平均値を採用することで、圧力値のバラツキによる誤差を抑止している。また、所定時間は、真空ポンプ40の真空引きによりチャンバ20内の圧力がほぼ0kPa(abs)になるために要する時間(例えば60秒間)である。
【0056】
例えば、真空度100%に対応して予め定められた圧力基準値と、100%みなし圧力値との差(補正値)をステップ203により求めてEEPROMに記憶し、このステップ以降の処理においては、この記憶した補正値に基づいて真空センサ47から出力された圧力値の真空度を補正する。また、例えば、100%みなし圧力値に基づいて真空センサ47から出力された圧力値の真空度を直接換算して求めてもよい。また、100%みなし圧力値に基づいて真空センサ47の圧力値と真空度との対応関係を導き出し得るデータテーブルをステップ203により生成してEEPROMに記憶してもよい。
【0057】
なお、この実施形態では、ステップ203により、真空センサ47から出力される100%みなし圧力値に基づいて真空センサ47の良否判定も行う。例えば、真空センサ47が出力する圧力値が当該センサの製品仕様上の許容誤差よりも大きい誤差を有するか否かの判定を行い、その判定結果を後述するステップ205の検査結果表示により行う。またステップ203では、例えば、図11(a)に示したような情報を表示パネル62に表示する。真空センサ47の出力電圧はA/D変換器によりデジタル値に変換されるため、この画面ではその値が「AD値 257」として表示されている。また処理に要する「残り時間 29秒」も表示されている。
【0058】
次のステップ204ではリークチェックが行われる。リークチェックは、チャンバ20が形成する密閉空間の気密度を検査するものであり、チャンバ20が密閉空間を適正に形成したか否かを確認する。例えば、真空ポンプ40の動作(真空引き)を一定時間(例えば30秒間)停止させてその期間における真空度の低下の有無からチャンバ20の気密度を検査する。より具体的には、例えば、真空ポンプ40を停止させると同時に真空弁42を閉止させて一定時間経過後に真空センサ47により検出したチャンバ20内の真空度が所定の許容範囲内であるか否かを判定する。またステップ204では、例えば、図11(b)に示したような情報を表示パネル62に表示する。真空センサ47により検出された真空度がこの画面では「現在の真空度 99.9%」として表示されている。また処理に要する「残り時間 26秒」も表示されている。
【0059】
ステップ205では、ステップ202及びステップ203による各検査による判定結果が表示パネル62に表示される。例えば、図11(c)に示したように、「真空センサ補正結果 198 成功」及び「リークチェック結果 99.9% 成功」と表示される。真空センサ補正結果の数値は、A/D変換器による変換後のデジタル値であり、当該真空センサ47の許容誤差範囲内の値(つまり真空センサ47が良品)であればそれに続いて「成功」と表示され、許容誤差範囲外の値(つまり真空センサ47が不良品)であればそれに続いて「失敗」と表示される。また、リーク結果の数値(単位%)はリークチェック時の真空度を表しており、真空度の低下が所定の許容範囲内であれば「成功」と表示され、真空度の低下が所定の許容範囲外であれば「失敗」と表示される。
【0060】
また、ステップ205では「決定」スイッチのオン操作を当該検査担当者に促すメッセージ「決定ボタンを押してください」も表示パネル62に表示するとともに、第1外気導入弁44を開放する。これにより、チャンバ20内は第1外気導入弁44から導入される外気によって大気圧に戻されて、負圧吸引されなくなったチャンバ20のチャンバカバー22はガススプリング12の付勢力によって上方に押し上げられて開放される。この実施形態では、工場出荷時の検査工程に包装袋のシールチェックも含まれることから、チャンバ20内において包装袋を下側ブロック31の上側に開口周縁部が載るような姿勢で寝かせるようにチャンバベース21に載置することを、このような表示とチャンバカバー22の開放により当該検査担当者に促す。
【0061】
そして、ステップ206により「決定」スイッチがオン操作されたとコントローラ70が判定した場合には(ステップ206;YES)、コントローラ70は次のステップ207によりシールチェックを行う。
【0062】
ステップ207によるシールチェックは、図11(d)に示したように「シールチェック中です」、「現在の真空度」や「残り時間」等が表示パネル62に表示される以外は、図8を参照しながら説明した包装袋のシール処理(ステップ105~ステップ108)とほぼ同様に行われる。そのため、ここではシールチェックに関する処理の説明を省略する。シールチェックが終了すると、チャンバ20内は大気圧になり、チャンバカバー22が開放状態になることから、コントローラ70はステップ207により工場出荷検査画面(図10参照)を表示パネル62に表示させる。
【0063】
ステップ208では、タイトルバー62cの「工場出荷検査」とともにカバー22を閉じる操作を当該検査担当者に促すメッセージ「カバーを閉じてください」を表示パネル62に表示させる。そのため、コントローラ70は、続くステップ209により、チャンバカバー22が閉じられてカバーセンサ14からオン信号が入力されるか、または予め設定された所定時間(例えば3分間)を経過するまで待機し(ステップ209;NO)、チャンバカバー22が閉じられたり所定時間が経過したりすると(ステップ209;YES)、コントローラ70は本出荷検査プログラムによる処理を終了する。
【0064】
このように工場出荷検査においては、真空センサ補正、リークチェック及びシールチェックが一連の検査工程に含まれるように構成されているが、これらの中には、真空包装機10の出荷後においてもメンテナンス作業時等に行われるものがある。例えば、真空センサ47が劣化したり故障したりした場合には、メーカ等のメンテナンス作業において真空センサ47が交換される。そのため、メンテナンス作業者は、真空センサ47の交換時には真空センサ補正とリークチェックを行う必要があるものの、包装袋のシールチェックまでは行う必要がない。
【0065】
その一方で、真空ポンプ40が劣化や故障により交換する必要が生じた場合には、真空ポンプ40に関するデータ値として、例えば、ポンプの使用時間(当該真空ポンプ40の累積使用時間)、オイルの使用時間(当該真空ポンプ40内を循環するオイルの累積使用時間)及びフィルタの使用時間(当該真空ポンプ40に設けられるフィルタの累積使用時間)のすべてを初期値に設定する必要がある。しかし、これらの設定値をその都度、メンテナンス作業者が初期値に設定するのは面倒で手間がかかるし、設定漏れや誤設定等が生じる可能性がゼロであるとは言えない。
【0066】
そこで、この実施形態の真空包装機10では、メンテナンス作業者が使用し得るサービス用設定プログラムを図12に示すアルゴリズムで構成した。ここからは図12も参照しながら説明する。このサービス用設定プログラムでは、真空包装機10のユーザが利用する機能は提供されていない。そのため、図7に示したような通常使用時に表示パネル62に表示されるメニュー項目62aには含まれていないことから、例えば、特殊な操作を伴いながら真空包装機10の「運転」スイッチがオン操作された場合にのみ起動する。特殊な操作は、例えば、第1操作スイッチ61a~第6操作スイッチ61fの中から、予め定められた複数のスイッチを同時にオンする操作である。なお、サービス用設定プログラムの処理において行われる各スイッチの操作等は、メンテナンス作業者が行うことを前提にしている。
【0067】
[サービス用設定プログラム]
コントローラ70は、サービス用設定プログラムの処理を開始すると、まずステップ300により、図13に示したサービス用設定メニューを表示パネル62に表示させる。図13(a)には、タイトルバー62cの「サービス用設定」と、選択可能な設定項目として「使用時間初期化」、「真空センサ補正」、「機器設定」及び「包装回数」がタイトルバー62cの下方に表示されている。現在、選択されている設定項目はカーソル62dの位置により明示される。カーソル62dは、「下」スイッチをオン操作により下方に移動し、また「上」スイッチをオン操作により上方に移動する(図13(b)参照)。また選択可能な設定項目が5つ以上存在する場合には、「下」スイッチのオン操作によるカーソル62dの移動とともにメニュー項目62aが上方にスクロールすることによって5項目以降の設定項目が表示パネル62に表示される(図13(c)参照)。
【0068】
<使用時間初期化>
ステップ300のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「使用時間初期化」が選択され(図13(a)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ300;使用時間初期化)、ステップ301の使用時間初期化メニュー表示により、例えば、図14(a)に示した画面が表示パネル62に表示される。図14(a)には、タイトルバー62cの「使用時間初期化」と、選択可能な設定項目として「オイル使用時間」、「フィルタ使用時間」及び「ポンプ使用時間」がタイトルバー62cの下方に表示されている。また各項目に対応してそれぞれの使用時間が表示される。なお、ステップ301において「戻る」スイッチ(第4操作スイッチ61d)がオン操作された場合には、ステップ300のメニュー表示に戻る(図13(a)参照)。
【0069】
「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により、例えば「オイル使用時間」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ301;オイル使用時間)、ステップ311により、例えば、図14(b)に示した画面が表示パネル62に表示される。図14(b)には、タイトルバー62cの「オイル使用時間」と、その下方に使用時間等が表示されている。例えば、前回の初期化から現在に至るまでのオイル使用時間として「6789時間」と表示され、また当該時間を初期化するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで初期化します」や初期化の注意事項として「※オイル交換時に実施してください」のメッセージが表示される。
【0070】
ステップ310において「水抜」スイッチ(第3操作スイッチ61c)が例えば3秒間以上連続して押下(つまり長押し)された場合には、ステップ311により真空ポンプ40内を循環するオイルの使用時間が初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されているオイル使用時間の情報を0時間に書き換える。なお、ステップ310において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ301の使用時間初期化メニュー表示に戻る(図14(a)参照)。ステップ311のオイル使用時間初期化が終了する。これによりオイル使用時間は0時間になるため、メンテナンス作業者は初期化されたことがわかる。そして、本サービス用設定プログラムの処理を終了する。なお、例えば「戻る」スイッチがオン操作されると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示するように構成してもよい(図13(a)参照)。
【0071】
また、図14(c)に示したように「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により、例えば「フィルタ使用時間」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ301;フィルタ使用時間)、ステップ312により、例えば、図14(d)に示した画面が表示パネル62に表示される。図14(d)には、タイトルバー62cの「フィルタ使用時間」と、その下方に使用時間等が表示されている。例えば、前回の初期化から現在に至るまでのフィルタ使用時間として「8765時間」と表示され、また当該時間を初期化するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで初期化します」や初期化の注意事項として「※フィルタ交換時に実施してください」のメッセージが表示される。
【0072】
ステップ312において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ313により真空ポンプ40に設けられているフィルタの使用時間が初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されているフィルタ使用時間の情報を0時間に書き換える。なおここでも、ステップ312において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ301の使用時間初期化メニュー表示に戻る(図14(c)参照)。ステップ313のフィルタ使用時間初期化が終了する。これによりフィルタ使用時間は0時間になるため、メンテナンス作業者は初期化されたことがわかる。そして、本サービス用設定プログラムの処理を終了する。なお、例えば「戻る」スイッチがオン操作されると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示するように構成してもよい(図13(a)参照)。
【0073】
さらに、図15(a)に示したように「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により、例えば「ポンプ使用時間」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ301;ポンプ使用時間)、ステップ314により、例えば、図15(b)に示した画面が表示パネル62に表示される。図15(b)には、タイトルバー62cの「ポンプ使用時間」と、その下方に使用時間等が表示されている。例えば、前回の初期化から現在に至るまでのポンプ使用時間として「45678時間」と表示され、また当該時間を初期化するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで初期化します」や初期化の注意事項として「※ポンプ交換時に実施してください」のメッセージが表示される。
【0074】
ステップ314において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ315により真空ポンプ40の使用時間が初期化されるとともに真空ポンプ40に関する他のデータとして、真空ポンプ40内を循環するオイルの使用時間(ステップ316)及び真空ポンプ40に設けられているフィルタの使用時間(ステップ317)が初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されているポンプ使用時間の情報、オイル使用時間の情報、フィルタ使用時間の情報をそれぞれ0時間に書き換える。なおここでも、ステップ314において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ301の使用時間初期化メニュー表示に戻る(図15(a)参照)。なお、ステップ314における「水抜」スイッチの長押しは、真空ポンプ40が交換された旨の情報であって外部から入力(ユーザによるボタン操作等)された情報に相当する。
【0075】
また、この実施形態では、これらの真空ポンプ40に関するデータ(ポンプ使用時間、オイル使用時間、フィルタ使用時間)に加えて、包装回数や水抜き回数もそれぞれ初期化される。すなわち、前述した通常の包装プログラムやホットパック用の包装プログラムにより食材や調理物を真空包装した回数(包装回数)はEEPROMに記憶されているため、コントローラ70は、ステップ318の包装回数初期化により包装回数を0回に書き換える。通常の包装回数とホットパック用の包装回数とが個別にEEPROMに記憶されている場合にはコントローラ70がそれぞれの包装回数を0回に書き換える。
【0076】
水抜き回数は水抜き運転プログラムが実行された回数である。水抜き運転は真空ポンプ40のオイルに含まれる水分を気化させるものであり、コントローラ70は、オイルに含まれる水を加熱気化させる暖気工程と、暖気工程で気化させた水を排気とともに外部に放出する換気工程とを交互に実行する。真空包装機10ではこのような水抜き運転を行った回数をコントローラ70がEEPROMに記憶していることから、コントローラ70は、ステップ319の水抜き回数初期化により水抜き回数を0回に書き換える。ステップ319の水抜き回数初期化が終了する。これにより水抜き回数は0回になるため、メンテナンス作業者は初期化されたことがわかる。そして、本サービス用設定プログラムの処理を終了する。なお、例えば「戻る」スイッチがオン操作されると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示するように構成してもよい(図13(a)参照)。
【0077】
<真空センサ補正>
次にステップ300のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「真空センサ補正」が選択され(図13(b)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ300;真空センサ補正)、ステップ302により、例えば、図15(c)に示した画面が表示パネル62に表示される。図15(c)には、タイトルバー62cの「真空センサ補正」と、その下方にAD値等が表示されている。例えば、前回のAD値として「199」と表示され、また当該AD値を補正するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで補正します」や補正時の注意事項として「※真空センサ交換時に実施してください」のメッセージが表示される。なお、ステップ302において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ300のメニュー表示に戻る(図13(b)参照)。
【0078】
ステップ302において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ320により真空センサ47が補正される。なお、ステップ302における「水抜」スイッチの長押しは、真空センサ47が交換された旨の情報であって外部から入力(ユーザによるボタン操作等)された情報に相当する。真空センサ47の補正については、図9に示した出荷検査プログラムのステップ203において既に説明しているので省略する。ステップ320の真空センサ補正が終了すると、続いてステップ321のリークチェックが行われる。リークチェックについても、図9の出荷検査プログラムのステップ204において既に説明しているので省略する。なお、ここでのリークチェックは、後述するステップ309によるリークチェックのように、メンテナンス作業者が「水抜」スイッチが長押しをする必要がなく、ステップ320の真空センサ補正に連続して自動的に行われる。ステップ321のリークチェックが終了すると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示する(図13(a)参照)。
【0079】
<機種設定>
続いてステップ300のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「機種設定」が選択され、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ300;機種設定)、ステップ303により機種設定表示が行われる。図示されていないが、タイトルバーの「機種設定」と、その下方に、例えば「機種番号 XX-YYY-ZZ」のように表示パネル62に表示され、さらに「水抜きボタンの長押しで機種番号を設定します」や初期化の注意事項として「※基板交換時に実施してください」のメッセージが表示される。なお、ステップ303において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ300のメニュー表示に戻る。
【0080】
この実施形態の真空包装機10は、包装袋内に窒素ガスを充填する機能等の所定のオプション機能の有無によって制御基板等や機種番号が異なる。そのため、例えば、ユーザニーズにより出荷後にオプション機能を追加したり変更したりする必要が生じた場合には、制御基板等を交換する作業において機種番号も設定(変更)される。ステップ303において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ330により機種番号が設定(変更)される。ステップ330の機種番号設定は、例えば、交換後の新たな制御基板等に保持されている機種情報をコントローラ70が読み出してEEPROMにそれを記憶することにより行われる。なお、「上」スイッチ、「下」スイッチや「決定」スイッチにより英数字や記号を任意に選択可能なソフトウェアキーボードを表示パネル62に表示することによりメンテナンス作業者が手動で機種番号をEEPROMに書き込み得るように真空包装機10を構成してもよい。
【0081】
機種番号設定が終わると、続いてステップ331により真空センサ補正が行われ、さらに続けてステップ332によりリークチェックが行われる。真空センサ補正やリークチェックについては、既に説明しているので省略する。なお、ここでのリークチェックも、後述するステップ309によるリークチェックのように、メンテナンス作業者が「水抜」スイッチが長押しをする必要がなく、ステップ331の真空センサ補正に連続して自動的に行われる。ステップ332のリークチェックが終了すると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0082】
<包装回数>
またステップ300のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「包装回数」が選択され、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ300;包装回数)、ステップ304により包装回数表示が行われる。図示されていないが、タイトルバーに「包装回数」と表示され、その下方に、例えば「包装回数 123回」のように表示パネル62に表示される。ステップ304において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ300のメニュー表示に戻る。
【0083】
なお、ステップ304において「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージを表示パネル62に表示させるとともに、「水抜」スイッチが長押しされた場合に前述したステップ318のように、続くステップ340(図示省略)により、EEPROMに記憶されている包装回数をコントローラ70が0回に書き換えることにより包装回数を初期化するようにアルゴリズムを構成してもよい。このように構成した場合には、ステップ340の包装回数初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0084】
<水抜き回数>
さらにステップ300のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「水抜き回数」が選択され、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ300;水抜き回数)、ステップ305により水抜き回数表示が行われる。図示されていないが、タイトルバーに「水抜き回数」と表示され、その下方に、例えば「水抜き回数 10回」のように表示パネル62に表示される。ステップ305において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ300のメニュー表示に戻る。
【0085】
なお、ステップ305において「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージを表示パネル62に表示させるとともに、「水抜」スイッチが長押しされた場合に前述したステップ319のように、続くステップ350(図示省略)により、EEPROMに記憶されている水抜き回数をコントローラ70が0回に書き換えることにより水抜き回数を初期化するようにアルゴリズムを構成してもよい。このように構成した場合には、ステップ350の水抜き回数初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0086】
<リークチェック>
またステップ300のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「リークチェック」が選択され(図13(c)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ300;リークチェック)、ステップ309により、例えば、図15(d)に示した画面が表示パネル62に表示される。図15(d)には、タイトルバー62cの「リークチェック」と、その下方に「水抜きボタンの長押しで開始します」のメッセージが表示される。なお、ステップ309において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ300のメニュー表示に戻る(図13(c)参照)。
【0087】
ステップ309において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ390によりリークチェックが行われる。リークチェックは、図9の出荷検査プログラムのステップ204において既に説明しているので省略する。ステップ390のリークチェックが終了すると、コントローラ70は、ステップ300のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示する(図13(a)参照)。
【0088】
このように実施形態の真空包装機10では、サービス用設定において、真空センサ47が交換された場合には(ステップ302;「水抜」スイッチの長押し)、コントローラ70は、交換後の真空センサ47に固有の圧力データに起因した真空センサ47の誤差を補正する補正値を求める(ステップ320)とともに、複数の所定機能の適正動作の可否判定として、チャンバ20が密閉空間を適正に形成したか否かだけを判定し(ステップ321)、他の適正動作の可否判定(例えば、シールチェック(ステップ207)等)は行わないようにした。
【0089】
また、この真空包装機10では、真空ポンプ40が油回転真空ポンプであり、当該真空ポンプ40が交換された場合には(ステップ314;「水抜」スイッチの長押し)、コントローラ70は、真空ポンプ40に関するデータとして、真空ポンプ40の使用時間(ステップ315)、真空ポンプ40内を循環するオイルの使用時間(ステップ316)、真空ポンプ40に設けられるフィルタの使用時間(ステップ317)、包装回数(ステップ318)及び水抜き回数(ステップ319)を初期値に設定するようにした。
【0090】
この実施形態の真空包装機10は、このようなサービス用設定とは別に技術用設定の機能も備えている。技術用設定では、真空包装機10が有する諸機能に対してサービス用設定よりも詳細な設定や設定の初期化を可能にしている。この実施形態では、例えば、メンテナンス作業者が使用し得る技術用設定プログラムを図16に示すようなアルゴリズムで構成した。ここからは図16も参照しながら説明する。この技術用設定プログラムでは、真空包装機10のユーザが利用する機能は提供されていない。そのため、図7に示したような通常使用時に表示パネル62に表示されるメニュー項目62aには含まれていないことから、例えば、特殊な操作を伴いながら真空包装機10の「運転」スイッチがオン操作された場合にのみ起動する。特殊な操作は、例えば、第1操作スイッチ61a~第6操作スイッチ61fの中から、予め定められた複数のスイッチを同時にオンする操作である。なお、技術用設定プログラムの処理において行われる各スイッチの操作等は、メンテナンス作業者が行うことを前提にしている。
【0091】
[技術用設定プログラム]
コントローラ70は、技術用設定プログラムの処理を開始すると、まずステップ400により、図17に示した技術用設定メニューを表示パネル62に表示させる。図17(a)には、タイトルバー62cの「技術用設定」と、選択可能な設定項目として「オイル水分チェック時間」、「水抜き仕上げ時間」、「*************」及び「回数初期化」がタイトルバー62cの下方に表示されている。なお、「*************」は、任意の設定項目であり、図面表現上の便宜からその内容を省略していることを表している。現在、選択されている設定項目はカーソル62dの位置により明示される。カーソル62dは、「下」スイッチをオン操作により下方に移動し、また「上」スイッチをオン操作により上方に移動する(図17(b)参照)。また選択可能な設定項目が5つ以上存在する場合には、「下」スイッチのオン操作によるカーソル62dの移動とともにメニュー項目62aが上方にスクロールすることによって5項目以降の設定項目が表示パネル62に表示される(図17(c)参照)。
【0092】
<回数初期化>
ステップ400のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「回数初期化」が選択され(図17(a)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ400;回数初期化)、ステップ403の回数初期化メニュー表示により、例えば、図18(a)に示した画面が表示パネル62に表示される。図18(a)には、タイトルバー62cの「回数初期化」と、選択可能な設定項目として「包装回数」及び「水抜き回数」がタイトルバー62cの下方に表示されている。また各項目に対応してそれぞれの回数が表示される。なお、ステップ403において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ400のメニュー表示に戻る(図17(a)参照)。
【0093】
「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により、例えば「包装回数」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ403;包装回数)、ステップ430により、例えば、図18(b)に示した画面が表示パネル62に表示される。図18(b)には、タイトルバー62cの「包装回数」と、その下方に回数等が表示されている。例えば、前回の初期化から現在に至るまでの包装回数として「123回」と表示され、また当該回数を初期化するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージが表示される。
【0094】
ステップ430において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ431によって通常の包装プログラムやホットパック用の包装プログラムが実行されることによりカウントされる包装回数が初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されている包装回数の情報を0回に書き換える。なお、ステップ430において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ403の回数初期化メニュー表示に戻る(図17(a)参照)。ステップ431の包装回数初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ400のメニュー表示に戻って技術用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0095】
また、図18(c)に示したように「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により、例えば「水抜き回数」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ403;水抜き回数)、ステップ433により、例えば、図18(d)に示した画面が表示パネル62に表示される。図18(d)には、タイトルバー62cの「水抜き回数」と、その下方に回数等が表示されている。例えば、前回の初期化から現在に至るまでの水抜き回数として「10回」と表示され、また当該回数を初期化するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージが表示される。
【0096】
ステップ433において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ434によって水抜き運転プログラムが実行されることによりカウントされる水抜き回数が初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されている水抜き回数の情報を0回に書き換える。なおここでも、ステップ433において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ403の回数初期化メニュー表示に戻る(図18(c)参照)。ステップ434の水抜き回数初期化が終了する。これにより水抜き回数は0回になるため、メンテナンス作業者は初期化されたことがわかる。そして、本技術用設定プログラムの処理を終了する。なお、例えば「戻る」スイッチがオン操作されると、コントローラ70は、ステップ400のメニュー表示に戻って技術用設定メニューを表示パネル62に表示するように構成してもよい。
【0097】
<総ポンプ使用時間初期化>
次にステップ400のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「総ポンプ使用時間初期化」が選択され(図17(b)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ400;総ポンプ使用時間初期化)、ステップ404により、例えば、図19(a)に示した画面が表示パネル62に表示される。図19(a)には、タイトルバー62cの「総ポンプ使用時間初期化」と、その下方に総ポンプ使用時間等が表示されている。例えば、前回の初期化から現在に至るまでの間に交換されたものも含めて使用された全ての真空センサ47の使用時間(総ポンプ使用時間)として「890123時間」と表示され、また当該時間を初期化するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージが表示される。
【0098】
ステップ404において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ440により過去に交換されたもの含めてこれまで使用されてきた全ての真空センサ47の総ポンプ使用時間が初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されている総ポンプ使用時間の情報を0時間に書き換える。ステップ440の総ポンプ使用時間初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ400のメニュー表示に戻って技術用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0099】
<技術用設定初期化>
続いてステップ400のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「技術用設定初期化」が選択され、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ400;技術用設定初期化)、ステップ405により技術用設定初期化表示が行われる。図示されていないが、タイトルバーに「技術用設定初期化」と表示され、その下方に、例えば「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージが表示される。なお、ステップ405において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ400のメニュー表示に戻る。
【0100】
ステップ405において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ450により技術用の設定項目の全てが初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されている技術用の設定項目の全ての情報を所定の初期値に書き換える。ステップ450の技術用設定初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ400のメニュー表示に戻って技術用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0101】
<全初期化>
次にステップ400のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「全初期化」が選択され(図17(c)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ400;全初期化)、ステップ406により、例えば、図19(c)に示した画面が表示パネル62に表示される。図19(c)には、タイトルバー62cの「全初期化」と、その下方に、例えば「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージが表示される。
【0102】
ステップ406において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ460により全ての設定項目が初期化される。すなわち、真空包装機10を工場出荷時の状態に戻す。そのため、図9を参照して説明した出荷検査プログラムのうちの真空センサ補正(ステップ203)、リークチェック(ステップ204)及びシールチェック(ステップ207)と、図12を参照して説明したサービス用設定プログラムの機種番号設定(ステップ330)が行われる。また、コントローラ70は、EEPROMに記憶されている技術用及びサービス用の設定項目の全ての情報を所定の初期値に書き換える。ステップ460の全初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ400のメニュー表示に戻って技術用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0103】
<オイル水分チェック時間>
またステップ400のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「オイル水分チェック時間」が選択され、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ400;オイル水分チェック時間)、ステップ401によりオイル水分チェック時間表示が行われる。オイル水分チェック時間は、真空センサ47のオイルに含まれる水分量を確認するために所定条件下において真空センサ47を一時的に運転させる時間のことである。図示されていないが、タイトルバーに「オイル水分チェック時間」と表示され、その下方に、例えば「オイル水分チェック時間 xx秒」のように表示パネル62に表示される。ステップ401において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ400のメニュー表示に戻る。
【0104】
なお、ステップ401において「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージを表示パネル62に表示させるとともに、「水抜」スイッチが長押しされた場合に続くステップ410(図示省略)により、EEPROMに記憶されているオイル水分チェック時間をコントローラ70が所定の初期値に書き換えることによりオイル水分チェック時間を初期化するようにアルゴリズムを構成してもよい。このように構成した場合には、ステップ410のオイル水分チェック時間初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ400のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0105】
<水抜き仕上げ時間>
さらにステップ400のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「水抜き仕上げ時間」が選択され、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ400;水抜き仕上げ時間)、ステップ402により水抜き仕上げ時間表示が行われる。水抜き仕上げ時間は、前述した水抜き運転において行われる交互に暖気工程と換気工程に要する総合計時間のことである。図示されていないが、タイトルバーに「水抜き仕上げ時間」と表示され、その下方に、例えば「水抜き仕上げ時間 yy分」のように表示パネル62に表示される。ステップ402において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ400のメニュー表示に戻る。
【0106】
なお、ステップ402において「水抜きボタンの長押しで初期化します」のメッセージを表示パネル62に表示させるとともに、「水抜」スイッチが長押しされた場合に続くステップ420(図示省略)により、EEPROMに記憶されている水抜き仕上げ時間をコントローラ70が所定の初期値に書き換えることにより水抜き仕上げ時間を初期化するようにアルゴリズムを構成してもよい。このように構成した場合には、ステップ420の水抜き仕上げ時間初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ400のメニュー表示に戻ってサービス用設定メニューを表示パネル62に表示する。
【0107】
このように実施形態の真空包装機10では、技術用設定において、コントローラ70は、真空包装機10を工場出荷時の設定状態に戻す場合には(ステップ460)、真空センサ補正(ステップ203)、リークチェック(ステップ204)、シールチェック(ステップ207)及び機種番号設定(ステップ330)の全てを行うとともに、EEPROMに記憶されている技術用及びサービス用の設定項目の全ての情報を所定の初期値に書き換えるようにした。
【0108】
この実施形態の真空包装機10は、このような技術用設定やサービス用設定の機能を備えているが、ユーザにおいて操作可能な範囲において、メンテナンスプログラムにより実現されるメンテナンス機能が開放されている。メンテナンスプログラムは、前述したように、通常の包装プログラムやホットパック用の包装プログラムと同様に、ユーザが真空包装機10を通常使用する際に表示パネル62に表示されるメニュー項目62aから選択することにより起動可能に構成されている(図7(b)参照)。
【0109】
しかし、前述したように、真空包装機10は機種によりオプション機能の有無が異なる。例えば、包装袋内に窒素ガスを充填する機能等の所定のオプション機能の有無があり、所定のオプション機能には、例えば、真空ポンプ40内を循環するオイルの交換作業をユーザに許容可能な機能の有無がある。つまり、真空包装機10には、ユーザによるオイル交換が可能な機種とそうでない機種(ユーザによるオイル交換が不能な機種)とがある。
【0110】
このため、この実施形態では、ユーザによるオイル交換が可能な機種については、例えば、図20(a)に示したようにメンテナンスプログラムのアルゴリズムを構成し、ユーザによるオイル交換が不能な機種については、例えば、図20(b)に示したようにメンテナンスプログラムのアルゴリズムを構成した。
【0111】
図20(a)に示したように、ユーザによるオイル交換が可能な機種では、例えば、図21に示したように表示パネル62に表示されるトップメニューのメニュー項目62aからメンテナンスが選択されてメンテナンスプログラムが起動すると、コントローラ70は、まずステップ500により、図22に示したメンテナンスメニューを表示パネル62に表示させる。図22(a)には、タイトルバー62cの「メンテナンス」と、選択可能な設定項目として「毎日のお手入れ」、「オイル交換の目安」、「オイル使用時間」及び「フィルタ使用時間」がタイトルバー62cの下方に表示されている。現在、選択されている設定項目はカーソル62dの位置により明示される。カーソル62dは、「下」スイッチをオン操作により下方に移動し、また「上」スイッチをオン操作により上方に移動する(図22(b)及び図22(c)参照)。
【0112】
<毎日のお手入れ>
ステップ500のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「毎日のお手入れ」が選択され(図22(a)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ500;毎日のお手入れ)、ステップ501の毎日のお手入れ表示により、例えば、ユーザが毎日行った方が望ましい真空包装機10の清掃方法等について文章やアニメーション等で表現された説明内容が表示パネル62に表示される。ステップ501において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ500のメニュー表示に戻る(図22(a)参照)。
【0113】
<オイル交換の目安>
ステップ500のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「オイル交換の目安」が選択され、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ500;オイル交換の目安)、ステップ502によりオイル交換目安表示が行われる。図示されていないが、例えば「オイル交換の目安は3か月または500時間に1回です」と「包装物により、オイルの劣化が目安よりも早くなることがあります」等のメッセージが表示パネル62に表示される。ステップ502において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ500のメニュー表示に戻る。
【0114】
<オイル使用時間>
ステップ500のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「オイル使用時間」が選択され(図22(b)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ500;オイル使用時間)、ステップ503により、例えば、図23(a)に示した画面が表示パネル62に表示される。図23(a)には、タイトルバー62cの「オイル使用時間」と、その下方に使用時間等が表示されている。例えば、前回の初期化から現在に至るまでのオイル使用時間として「67890時間」と表示され、また当該時間を初期化するための操作案内として「水抜きボタンの長押しで初期化します」や初期化の注意事項として「※オイル交換時に実施してください」のメッセージが表示される。ステップ503において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ500のメニュー表示に戻る。
【0115】
ステップ503において「水抜」スイッチが長押しされた場合には、ステップ530により真空ポンプ40内を循環するオイルの使用時間が初期化される。すなわち、コントローラ70は、EEPROMに記憶されているオイル使用時間の情報を0時間に書き換える。ステップ530のオイル使用時間初期化が終了すると、コントローラ70は、ステップ500のメニュー表示に戻ってメンテナンスメニューを表示パネル62に表示する(図22(a)参照)。
【0116】
また、図22(c)に示したように「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により、例えば「フィルタ使用時間」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作された場合には(ステップ500;フィルタ使用時間)、ステップ504により、例えば、図23(c)に示した画面が表示パネル62に表示される。図23(c)には、タイトルバー62cの「フィルタ使用時間」と、その下方に、例えば、「フィルタ交換の目安は3000時間です」のメッセージが表示される。ステップ504において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ500のメニュー表示に戻る(図22(c)参照)。
【0117】
これに対して、図20(b)に示したように、ユーザによるオイル交換が不能な機種では、例えば、図21に示したように表示パネル62に表示されるメニュー項目62aからメンテナンスが選択されてメンテナンスプログラムが起動すると、コントローラ70は、まずステップ500により、図22に示したメンテナンスメニューを表示パネル62に表示させ、図22(a)~(c)に示したように、タイトルバー62cの「メンテナンス」や、選択可能な設定項目の「毎日のお手入れ」、「オイル交換の目安」、「オイル使用時間」及び「フィルタ使用時間」がタイトルバー62cの下方に表示される。これらについては、図20(a)に示したユーザによるオイル交換が可能な機種の場合と同様である。
【0118】
しかし、ステップ500のメニュー表示において、「上」スイッチや「下」スイッチにより「オイル使用時間」が選択され(図22(b)参照)、かつ「決定」スイッチがオン操作された場合(ステップ500;オイル使用時間)が異なる。ユーザによるオイル交換が不能な機種では、ユーザではオイル交換をすることができないため、ステップ503により、例えば、図23(b)に示した画面が表示パネル62に表示される。
【0119】
すなわち、図23(a)のように、オイル使用時間や、オイル使用時間を初期化するための操作案内は表示パネル62に表示されることはなく、図23(b)に示したように、タイトルバー62cの「オイル使用時間」と、その下方に、「オイル交換の目安は3か月または500時間に1回です」と「包装物により、オイルの劣化が目安よりも早まることがあります」のメッセージが表示パネル62に表示される。ステップ503において「戻る」スイッチがオン操作された場合には、ステップ500のメニュー表示に戻る(図22(b)参照)。
【0120】
このように実施形態の真空包装機10では、真空ポンプ40は油回転真空ポンプであり、コントローラ70は、当該真空包装機10が真空ポンプ40内を循環するオイルをユーザが交換可能に構成されている場合にはユーザの操作によるオイルの使用時間の初期化を可能にするように構成し(図20(a)、図23(a))、オイルをユーザが交換可能に構成されていない場合にはユーザの操作による使用時間の初期化を不能にするように構成した(図20(b)、図23(b))。
【0121】
なお、この実施形態では、このような2つの機能を1つのメンテナンスプログラムにより実現している。例えば、真空包装機10の機種番号の構成の違いをコントローラ70が判定することによって、ユーザによるオイル交換が可能な機種に対応したり、ユーザによるオイル交換が不能な機種に対応したりする。つまり、ユーザによるオイルセルフ交換機能の有無に対応する。
【0122】
例えば、機種番号が「XX-YYY-ZZ」のように構成されている場合においては、その末尾に「-O」が付いている場合、つまり機種番号の構成が「XX-YYY-ZZ-O」である場合には、コントローラ70は、当該真空包装機10がユーザによるオイル交換が可能な機種であると判定してオイルセルフ交換機能を可能にする(図20(a)、図23(a))。これに対して、機種番号の末尾に「-O」が付いていない場合、つまり機種番号の構成が「XX-YYY-ZZ」である場合には、コントローラ70は、当該真空包装機10がユーザによるオイル交換が不能な機種であると判定してオイルセルフ交換機能を不能にするように機能する(図20(b)、図23(b))。
【0123】
上記のように構成した真空包装機10においては、真空センサ47が交換された場合には(ステップ302;「水抜」スイッチの長押し)、コントローラ70は、交換後の真空センサ47に固有の圧力データに起因した真空センサ47の誤差を補正する補正値を求める(ステップ320)とともに、複数の所定機能の適正動作の可否判定として、チャンバ20が密閉空間を適正に形成したか否かだけを判定し(ステップ321)、他の適正動作の可否判定(例えば、シールチェック(ステップ207)等)は行わないようにした。これにより、真空センサ47が交換された場合には、ステップ320による真空センサ47の補正とステップ321によるリークチェックだけが行われて、他の適正動作の可否判定を行う時間が削減されるので、メンテナンス作業者は無駄な時間を費やすおそれがない。したがって、メンテナンス時の作業効率を向上することができた。
【0124】
また、この真空包装機10においては、真空ポンプ40が油回転真空ポンプであり、当該真空ポンプ40が交換された場合には(ステップ314;「水抜」スイッチの長押し)、コントローラ70は、真空ポンプ40に関するデータとして、真空ポンプ40の使用時間(ステップ315)、真空ポンプ40内を循環するオイルの使用時間(ステップ316)、真空ポンプ40に設けられてオイルに混入した異物を捕捉するフィルタの使用時間(ステップ317)、包装回数(ステップ318)及び水抜き回数(ステップ319)を初期値に設定するようにした。これにより、真空ポンプ40の交換後にメンテナンス作業者が真空ポンプ40に関するこれらのデータをそれぞれ設定する場合に比べて、これらのデータはコントローラ70により自動的に初期値に設定されるので、メンテナンス作業者による作業時間を大幅に短縮される。したがって、メンテナンス時の作業効率をさらに向上することができ、また設定漏れや誤設定も抑制することができた。なお、包装回数(ステップ318)及び水抜き回数(ステップ319)の初期化は設けなくてもよい。
【0125】
また、上記のように構成した真空包装機10においては、真空ポンプ40は油回転真空ポンプであり、コントローラ70は、当該真空包装機10が真空ポンプ40内を循環するオイルをユーザが交換可能に構成されている場合にはユーザの操作によるオイルの累積使用時間の初期化を可能にし(図20(a)、図23(a))、当該真空包装機10がオイルをユーザが交換可能に構成されていない場合にはユーザの操作による累積使用時間の初期化を不能にする(図20(b)、図23(b))。これにより、ユーザによるオイルの交換が可能な構成である場合に限ってユーザはオイルの累積使用時間を初期化する操作が可能になる。換言すれば、ユーザによるオイルの交換が可能な構成でない場合にはユーザはオイルの累積使用時間を初期化する操作ができない。したがって、メンテナンス時の作業効率を向上することが可能になることに加えて、ユーザによる誤設定を抑制することができた。
【0126】
ところで、これまで図12図16図20を参照しながら説明したように、真空包装機10が有するサービス用設定プログラム、技術用設定プログラムやメンテナンスプログラムは、いずれも表示パネル62にメニュー項目62aを表示させている(ステップ300,400,500)。そして、これらのプログラムでは、このメニュー項目62aを頂点に画面表示が段階的に遷移する表示の階層構造を採用している。
【0127】
このため、例えば、図23(a)や図23(b)に示したメンテナンス機能のオイル使用時間を表示パネル62に表示させている状態において、チャンバ20の真空状態に関する情報をユーザが参照する必要が生じた場合には、当該ユーザは、「戻る」スイッチ、「上」スイッチ、「下」スイッチや「決定」スイッチを何回も操作しなければ目的の真空状態に関する情報が表示される画面にたどり着くことができない。つまり、表示の階層構造は、深い階層位置の画面間を移動する場合には遷移する画面数が多くならざるを得ないため、このような画面遷移に伴う操作はユーザにとっては煩雑であり時間もかかる。
【0128】
そこで、この実施形態の真空包装機10では、図21図23に示したように表示パネル62において、メニュー項目62aやタイトルバー62cの画面上方に点検ガイド62eを表示させることにした。この点検ガイド62eは、当該真空包装機10において点検を要する不具合等が発生したことをコントローラ70が検知した場合には、その不具合に関連した情報を表示可能な画面に直接遷移することができるジャンプ機能表示である。この実施形態では、ジャンプ機能表示には点検をイメージさせる「開いたマニュアル」の点検マークが表されている。
【0129】
例えば、図24(a)に示した表示パネル62では、トップメニューのメニュー項目62aにおいて「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により「点検」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作されると、図24(b)に示したタイトルバー62cが「点検」の点検メニューが表示パネル62に表示される。そして、点検メニューにおいて「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により「点検01 真空不良」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作されると、図24(c)に示したタイトルバー62cが「点検01 真空不良」の点検01に関するガイダンスが表示パネル62に表示される。このようにジャンプ機能表示を選択しない場合には、「上」スイッチ、「下」スイッチや「決定」スイッチを複数回操作しなければ、目的の「点検01 真空不良」のガイダンスを表示パネル62に表示させることができない。
【0130】
これに対して、図24(a)に示したトップメニューのメニュー項目62aにおいてジャンプ機能表示を選択した場合には、「上」スイッチや「下」スイッチのオン操作により点検ガイド62eの「点検01 真空不良」が選択された後に「決定」スイッチがオン操作されると、図24(c)に示したタイトルバー62cが「点検01 真空不良」の点検01に関するガイダンスが表示パネル62に表示される。つまり、図24(b)に示したタイトルバー62cが「点検」の画面が表示パネル62に表示されることなく、点検内容を表示した画面に表示パネル62の表示を一気に遷移させることができる。
【0131】
また、例えば、図24(f)に示した表示パネル62では、含浸1のプログラム内容を表示している状態から、図24(c)の画面に遷移するためには、図24(e)の含浸のプログラムリストの画面、図24(d)や図24(a)のトップメニューの画面及び図24(b)の点検メニューの画面を経なければ、図24(c)の画面に到達することができない。しかし、図24(f)に示した含浸1のプログラム内容を表示した画面において点検ガイド62e(ジャンプ機能表示)を選択した場合には、これら図24(e),(d),(a),(b)の各画面が表示パネル62に表示されることなく、図24(c)の画面に表示パネル62の表示を一気に遷移させることができる。
【0132】
なお、図24(a),(b),(d),(e)の各画面において点検ガイド62eを選択した場合においても、図24(c)の画面に表示パネル62の表示を一気に遷移させることができる。つまり、図24(b),(e),(f)の各画面の場合には、図25に示したように、点検ガイド62eを選択することで図24(c)の画面に遷移することができる。なお、図24(b)及び図25(a)の場合には、点検ガイド62eを選択しなくても、「点検01 真空不良」を選択することで図24(c)や図25(b)の画面に遷移することができる。
【0133】
なお、例えば、図24(c)の画面から図24(f)の画面に戻る場合においては、「戻る」スイッチ、「上」スイッチ、「下」スイッチや「決定」スイッチを操作することにより、図24(b),(a),(d),(e)の各画面を経由した後、図24(f)の画面を表示パネル62に表示させることになる。
【0134】
ところで、真空センサ47は使用中等に故障する可能性がある。真空センサ47は前述したように検出した圧力に対して線形特性のアナログ電圧を出力する。例えば、圧力が高いほど出力電圧が増加し、圧力が低いほど出力電圧が減少する特性を真空センサ47が有する場合、出力電圧が高い状態を維持する故障モード(例えば、断線故障)においては、大気圧における真空センサ47の正常時の出力電圧Vnと、故障時の出力電圧Vfとの差が小さくなる(Vn≒Vf)。そのため、真空センサ47の故障を見つけることが難しい。真空包装機10の起動直後はチャンバ20は大気圧相当であり、真空センサ47はこのような故障の有無にかかわらず高い電圧を出力するからである。
【0135】
例えば、真空ポンプ40が動作して真空引きを開始した後、所定時間経過後における真空センサ47の出力電圧が、大気圧における真空センサ47の正常時の出力電圧Vn(固定値)から予め定められた所定の閾値電圧Vn-Vt(固定値)以上である場合には、真空センサ47が故障をしていると判定することが可能ではある。しかし、正常時の出力電圧Vnや閾値電圧Vtはいずれも予め定められた固定値である一方で真空センサ47の出力電圧は個体差によるバラツキがある。そのため、このような固定電圧を基準にした故障判定では個体差による誤判定が生じ得る。
【0136】
そこで、この実施形態の真空包装機10では、コントローラ70において、真空ポンプ40が動作する前に検出した真空センサ47の出力電圧Vbと、真空ポンプ40が動作した後、所定時間(例えば5秒間)経過後に検出した真空センサ47の出力電圧Vaと、を比較する。そして、両電圧差Vd(=Vb-Va)が予め定められた所定の閾値電圧Vt未満である場合には(Vd<Vt)、コントローラ70は真空センサ47が故障していると判定する。これにより、真空センサ47の出力電圧に個体差によるバラツキがあってもそれを吸収することが可能になるので誤判定が生じ難くなり、また真空センサ47が出力電圧が高い状態を維持するモードで故障しても、コントローラ70はそのようなモードで故障した真空センサ47を検知することが可能になった。
【0137】
なお、この実施形態の真空包装機10では、真空ポンプ40として、油回転真空ポンプを用いたが、チャンバ20内を負圧吸引することが可能なものであれば、ドライ真空ポンプ等を用いてもよい。
【0138】
また、この実施形態の真空包装機10では、第3操作スイッチ61d~第6操作スイッチ61fを使用してカーソル62dの位置を変更したり選択したり前(一つ上)の画面表示に戻ったりしたが、例えば、表示パネル62がタッチパネル式の液晶画面である場合には、ユーザやメンテナンス作業者等が直接画面を指等で触れることによってカーソル62dの位置を変更等することが可能になる。そのため、この場合には、第3操作スイッチ61d~第6操作スイッチ61fを使用する必要はなく、操作パネル60の構成から第3操作スイッチ61d~第6操作スイッチ61fを除外することができる。
【0139】
さらに、この実施形態の真空包装機10では、ユーザやメンテナンス作業者等に対して表示パネル62に文字情報等を表示することにより真空包装機10の操作や機能等に関する情報を視覚を介してユーザ等に伝達したが、例えば、真空包装機10の操作や機能等に関する情報を合成音声により読み上げることにより聴覚を介してユーザ等に伝達し得るように真空包装機10を構成してもよい。また、視覚と聴覚の両方を介してユーザ等に伝達し得るように真空包装機10を構成してもよい。
【符号の説明】
【0140】
10…真空包装機、20…チャンバ、21…チャンバベース、22…チャンバカバー、30…封止装置、40…真空ポンプ、47…真空センサ、60…操作パネル、61…操作スイッチ、62…表示パネル、70…コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25