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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20240126BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H05K5/03 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020029656
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021136509
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】榊原 彰人
(72)【発明者】
【氏名】山口 英紀
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3113085(JP,U)
【文献】再公表特許第2017/056165(JP,A1)
【文献】特開2012-145606(JP,A)
【文献】特開2018-072548(JP,A)
【文献】特開2013-064806(JP,A)
【文献】特開2003-050556(JP,A)
【文献】特開2012-146466(JP,A)
【文献】特開2002-156874(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3515049(EP,A1)
【文献】特開2000-341421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/02-1/23
3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
H05K5/00-5/06
G08B17/00
19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面に、氏名を表示するネーム表示部が所定の態様で点灯可能に設けられたインターホン機器であって、
前記ネーム表示部が、並設された複数枚の導光板と、前記導光板を点灯させるための複数の発光部材と、前記導光板の前方を覆う透明なカバー部材と、前記発光部材の動作を制御する制御基板とを備え、
前記発光部材が、各前記導光板毎に対応づけて設けられており、
発光する前記発光部材の違いに応じて、点灯する前記導光板が異なるとともに、点灯する前記導光板の違いに応じて、前記ネーム表示部における点灯領域が異なることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記カバー部材と前記導光板との間に、透光性を有するスペーサ部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば玄関の壁面に設置され、来訪者により呼出操作されるインターホン子機等といったインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば玄関の壁面に設置されるインターホン子機としては、本体ケースの前面に居住者等の氏名を表示するためのネーム表示部を設けてなるものがある(たとえば特許文献1)。また、夜間等における視認性を向上すべく、ネーム表示部を点灯可能にしたものも考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-11583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、多様化する住居形態に対応すべく、ネーム表示部に複数の氏名を表示可能とすることがある。また、複数の氏名が表示されているネーム表示部を点灯させるにあたっては、来訪者の操作等に応じて必要な氏名の部分のみを点灯させたいという要望がある。しかしながら、ネーム表示部の後方に複数個の発光部材(LED等)をただ単に配するだけでは、必要のない氏名の部分までもが明るくなってしまう等、ネーム表示部の点灯態様が好ましくならないという問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、ネーム表示部に複数の氏名を表示していたとしても、必要な氏名のみを好適に点灯させることができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースの前面に、氏名を表示するネーム表示部が所定の態様で点灯可能に設けられたインターホン機器であって、ネーム表示部が、並設された複数枚の導光板と、導光板を点灯させるための複数の発光部材と、導光板の前方を覆う透明なカバー部材と、発光部材の動作を制御する制御基板とを備え、発光部材が、各導光板毎に対応づけて設けられており、発光する発光部材の違いに応じて、点灯する導光板が異なるとともに、点灯する導光板の違いに応じて、ネーム表示部における点灯領域が異なることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、点灯させる導光板の違いに応じて、ネーム表示部における点灯領域を異ならせることができるため、点灯領域に対応させて氏名を表示させておけば、ネーム表示部に複数の氏名を表示していたとしても、必要な氏名のみを好適に点灯させることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、カバー部材と導光板との間に、透光性を有するスペーサ部材が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、隣り合う複数の導光板を点灯させた際、点灯している導光板同士の境界を目立ちにくくすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光部材を、各導光板毎に対応づけて設けており、発光する発光部材の違いに応じて、点灯する導光板を異ならせるとともに、点灯する導光板の違いに応じて、ネーム表示部における点灯領域を異ならせるように構成しているため、点灯領域に対応させて氏名を表示させておけば、ネーム表示部に複数の氏名を表示していたとしても、必要な氏名のみを好適に点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インターホン子機を前面側から示した説明図である。
図2】インターホン子機の本体ケースを前面側から示した説明図である。
図3】分解状態にある本体ケースを前側から示した斜視説明図である。
図4】分解状態にある本体ケースを後側から示した斜視説明図である。
図5】本体ケースにおけるパネル部での垂直断面を示した説明図である。
図6】パネル部の点灯状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、インターホン子機1を前面側から示した説明図である。図2は、インターホン子機1の本体ケースを前面側から示した説明図である。図3は、分解状態にある本体ケースを前側から示した斜視説明図である。図4は、分解状態にある本体ケースを後側から示した斜視説明図である。図5は、本体ケースにおけるパネル部4での垂直断面を示した説明図である。図6は、パネル部4の点灯状態を示した説明図である。
【0012】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2、及び前ケース2の後面側に組み付けられる後ケース3で構成される本体ケースと、該本体ケースの前面に組み付けられる化粧カバー8とを備えてなり、該インターホン子機1の前面中央には、居住者の氏名を表示するネーム表示部としての機能と、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出操作部としての機能とを兼ね備えたパネル部4が設けられている。また、パネル部4の上側には、来訪者を含めた周囲を撮像するためのカメラ部5が設けられているとともに、カメラ部5の右側に、来訪者と居住者とが通話するためのマイク部6が設けられている。一方、パネル部4の下側には、来訪者と居住者とが通話するためのスピーカ部7が設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者によってパネル部4が操作されると、カメラ部5を作動させて撮像を開始するとともに、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すようになっている。
【0013】
ここで、本発明の要部となるインターホン子機1におけるパネル部4の点灯構造について説明する。
パネル部4は、最も前側に配される操作部材11と、前ケース2よりも前側で、且つ、操作部材11の後方に配されるスペーサ部材12と、本体ケース内において上下方向に並設される4枚の導光板13、13・・と、導光板13、13・・の後方に配される制御基板14とを備えてなる。
【0014】
操作部材11は、所謂タッチパネル(たとえば表面型静電容量方式のパネル)として構成された正面視矩形のパネル本体21と、パネル本体21の外周縁に沿って上下左右夫々外方へ突設された鍔部22とを備えた透明な板状部材であって、前ケース2の前面に凹設された第1の収納凹部41内に嵌め込み可能となっている。また、パネル本体21の後面には、前方へ凹んだ凹部23が設けられており、該凹部23は、操作部材11の後方にスペーサ部材12が配されて凹部23が被覆されることにより、居住者等の氏名が記載されるネームプレート(図示せず)を収納可能な空間として機能するようになっている。さらに、鍔部22における右側部には、凹部23内にネームプレートを出し入れするためのスリット24が開設されている。
【0015】
スペーサ部材12は、正面視矩形とされた透光性を有する合成樹脂板であって、凹部23を被覆可能であるとともに、前ケース2の第1の収納凹部41内において、更に後方へ凹設された第2の収納凹部42内に収納可能となっている。そして、第2の収納凹部42内に収納されることで、第2の収納凹部42内に開設された窓25を被覆可能となっている。また、スペーサ部材12の後面には、光を拡散させるための拡散印刷が施されている。
【0016】
導光板13は、透光性を有する合成樹脂により成形されており、左右方向へ長い板本体13aと、板本体13aの左右両側部に一体成形された脚部13bとを有している。そして、板本体13aや脚部13bの表面(特に板本体13aの後面及び脚部13bの前面)には、光を乱反射させるためのシボ加工が施されている。また、板本体13aの左右長さは、窓25の左右幅と略同じとされている一方、板本体13aの上下幅は、窓25の上下幅の略1/4とされており、4枚の導光板13、13・・を上下方向に並べると、板本体13a、13a・・が窓25内に位置し、脚部13b、13b・・が前ケース2後面における窓25の左右両外側に夫々位置するようになっている。
【0017】
制御基板14は、パネル部4の点灯状態等を制御するものであって、該制御基板14の前面には、板本体13a、13a・・を上下方向へ並べて保持する保持部27が設けられている。また、制御基板14の前面における保持部27の左右両外側であって、保持部27に保持されている各導光板13の脚部13b、13bの後側となる位置には、夫々LED26、26・・が搭載されている。
【0018】
そして、パネル部4を構成するにあたっては、前ケース2の後面側では、制御基板14の前面に導光板13、13・・を保持させた上で、導光板13、13・・の板本体13a、13a・・を窓25内に嵌め込みつつ、制御基板14を前ケース2の後面側に設置する。一方、前ケース2の前面側では、第2の収納凹部42内にスペーサ部材12を収納するとともに、第1の収納凹部41内に操作部材11を嵌め込んだ状態で、操作部材11を前ケース2の前面に貼着する。すると、操作部材11のパネル本体21の後方に、導光板13、13・・の板本体13a、13a・・がスペーサ部材12を挟んで位置するとともに、各導光板13の脚部13b、13bの後方にLED26、26・・が夫々位置した状態でパネル部4が構成されることになる。なお、スペーサ部材12の後面は、窓25内に位置している板本体13a、13a・・の前面に当接している。
【0019】
上述したようなパネル部4では、LED26、26・・を選択的に点灯させることによって、以下に記載の3つの点灯モードで点灯させることができる。なお、パネル部4をどの点灯モードで点灯させるかについては、図示しない設定スイッチによって設定可能となっている。
(1)4分割モード
4分割モードでは、操作部材11がタッチ操作された際、4枚の導光板13、13・・のうち、タッチ操作された箇所の後方に位置する導光板13のみを点灯させるモードである。このような4分割モードでは、点灯させる導光板13の脚部13b、13bの後方に位置するLED26、26・・のみを発光させることになるが、その際、LED26、26・・から発せられる光は、点灯する導光板13の上下に配されている導光板13、13へ略影響を及ぼさない。したがって、点灯する導光板13と、その上下にある点灯していない導光板13、13との境界が明瞭となる。そのため、4枚の導光板13、13・・を合わせて1枚の導光板としたものを採用した場合と比べると、パネル本体21において点灯している領域と点灯していない領域とが明確に区切られることになる。そこで、4分割モードで点灯させる場合には、パネル本体21に上下方向へ4つのネーム表示領域28D~28Gを形成することができ、たとえばネーム表示領域28Eがタッチ操作されると、ネーム表示領域28Eの後方にある導光板13のみが点灯し、結果としてネーム表示領域28Eのみが点灯した状態となる(図6(c))。
【0020】
(2)2分割モード
2分割モードでは、タッチ操作された箇所がパネル本体21における上側であるか下側であるかによって、4枚の導光板13、13・・のうち、上2枚の導光板13、13を点灯させたり、下2枚の導光板13、13を点灯させたりするモードである。この2分割モードでも、上記理由によって、点灯している導光板13と点灯していない導光板13との境界は明瞭となる。また、点灯している導光板13、13同士の境界については、導光板13、13・・と操作部材11との間に介在されている上記スペーサ部材12によって光が拡散して均一化されるため、目立ちにくくなる。そして、このような2分割モードで点灯させる場合には、パネル本体21に上下2つのネーム表示領域28B、28Cを形成することができ、たとえばネーム表示領域28Bがタッチ操作されると、上2枚の導光板13、13が点灯し(具体的には、上2枚の導光板13、13の脚部13b、13b・・の後方に位置するLED26、26・・が発光し)、ネーム表示領域28Bが点灯した状態となる(図6(b))。
【0021】
(3)全面モード
全面モードでは、タッチ操作された箇所がどこであるかに拘わらず、パネル本体21が全面的に点灯するモードである。すなわち、タッチ操作に応じて4枚の導光板13、13・・全てが点灯する(全てのLED26、26・・が発光する)ことになるが、点灯している導光板13、13同士の境界は、上記理由により、目立ちにくくなっている。そして、このような全面モードで点灯させる場合、パネル本体21には1つのネーム表示領域28Aのみが形成されることになり、パネル本体21がタッチ操作されると、パネル本体21の略全面(すなわちネーム表示領域28A)が点灯した状態となる(図6(a))。
【0022】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、ネーム表示部としての機能を有するパネル部4が、上下方向へ並設された4枚の導光板13、13・・と、各導光板13における脚部13b、13bの後方に夫々配され、発光することによって対応する導光板13を点灯可能な複数のLED26、26・・と、導光板13、13・・の前方を覆う透明な操作部材11と、LED26、26・・が搭載された制御基板14とを備えている。そして、発光させるLED26、26・・の違いにより、4枚の導光板13、13・・のうちどの導光板13を点灯させるかを制御可能であるとともに、点灯する導光板13、13・・の違いにより、パネル本体21においてどの領域を点灯させるかを制御することができる。したがって、たとえばパネル本体21における各導光板13の前方領域を夫々ネーム表示領域28D~28Gとすれば、パネル本体21全体として複数の氏名が表示されていたとしても、点灯させる導光板13の違いに応じて異なるネーム表示領域28D~28Gを点灯させることができ、ひいては必要な氏名のみを好適に点灯させることができる。
【0023】
また、操作部材11のパネル本体21と導光板13、13・・の板本体13a、13a・・との間に、透光性を有するとともに後面に光を拡散させるための印刷が施されたスペーサ部材12を介在させている。したがって、隣り合う複数の導光板13、13・・を点灯させた際、点灯している導光板13、13同士の境界が目立ちにくくなるため、パネル本体21におけるネーム表示領域の形成に係る自由度の向上を図ることができ、使い勝手の良いインターホン子機1とすることができる。
【0024】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、ネーム表示部に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0025】
たとえば上記実施形態では、上下方向に4枚の導光板を並設しているが、上下方向に限らず左右方向へ導光板を並設したり、マス目状に導光板を並設しても何ら問題はないし、その数も4枚に限定されることはない。
また、上記実施形態では、導光板の左右両側に脚部を設け、該脚部の後方に発光部材を配しているが、導光板の板本体の後方に発光部材を配してもよいし、導光板の左右側方に発光部材を配してもよく(導光板に対して左右方向に光を入射させるような構成)、導光板と発光部材との位置関係は適宜設計変更可能である。なお、1枚の導光板に対して何個の発光部材を配するかについても適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【0026】
さらに、上記実施形態では、ネーム表示部に操作部としての機能をももたせているが、ネーム表示部に操作部としての機能をもたせず、押し込み操作可能なボタンを別途設ける等し、当該ボタンの操作に応じてネーム表示部が点灯するように構成してもよい。
さらにまた、上記実施形態では、操作部材11と導光板13、13・・との間にスペーサ部材を介在させているが、用途等に応じてスペーサ部材を設置しないように構成することも可能であるし、スペーサ部材を設置するとしても、上述したような拡散印刷が施されたスペーサ部材ではなく、透明度の低い合成樹脂からなるスペーサ部材等の他のスペーサ部材を設置しても何ら問題はない。
加えて、上記実施形態ではインターホン子機について説明しているが、本体ケースの前面に点灯可能なネーム表示部が設けられてさえいれば、集合玄関機等の他のインターホン機器についても、本発明を好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1・・インターホン機器、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース(本体ケース)、4・・パネル部(ネーム表示部)、11・・操作部材(カバー部材)、12・・スペーサ部材、13・・導光板、13a・・板本体、13b・・脚部、14・・制御基板、21・・パネル本体、23・・凹部、24・・・スリット、25・・窓、26・・LED(発光部材)、27・・保持部、28A~28G・・ネーム表示領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6