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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】精算機
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20240126BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20240126BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20240126BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G07G1/12 361Z
G07G1/00 311D
G07G1/12 321P
G07G1/12 331A
G06K7/00 004
G06K7/00 021
G06K7/08 040
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020034555
(22)【出願日】2020-03-01
(65)【公開番号】P2021140213
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000222624
【氏名又は名称】株式会社アルメックス
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】竹原 広機
(72)【発明者】
【氏名】椎屋 聡士
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109723(JP,A)
【文献】特開2021-114069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
G06Q 20/18-20/20
G06Q 50/22
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードユニットと、制御部と、通信部を備えた精算機であって、
カードユニットは、カードリーダを備え、第1読取処理と、第2読取処理を実行可能とし、
第1読取処理は、カードリーダに挿入されたカードのカード情報を読み取り、カード情報に基づいて種別を判定し、
第1種別のカードが挿入された場合、読み取ったカード情報を第1暗号化方式で暗号化をした後、制御部に送信し、
第2種別のカードが挿入された場合、読み取ったカード情報を第1暗号化方式とは異なる暗号化方式で暗号化をした後、制御部に送信し、
第2読取処理は、カードリーダに挿入されたカードのカード情報を読み取り、カード情報に基づいて種別を判定し、
第1種別のカードが挿入された場合、制御部にエラーを通知し、
第2種別のカードが挿入された場合、読み取ったカード情報を第2暗号化方式で暗号化した後、制御部に送信し、
制御部は、第1読取処理で、カードユニットから暗号化されたカード情報を受信した場合、第1暗号化方式に対応する復号化方式で復号処理し、第2読取処理で、カードユニットから暗号化されたカード情報を受信した場合、暗号化されたカード情報を、通信部を使用して決済サーバに送信する
精算機。
【請求項2】
制御部は、復号化されたカード情報が、第1種別のカードである場合、カード情報に基づいて、管理コンピュータから支払金額を受信し、支払金額に関する精算を実行する
請求項1に記載の精算機。
【請求項3】
制御部は、カードユニットからエラーが通知された場合、カードユニットに対してカードを排出させる
請求項1から請求項の何れか1項に記載の精算機。
【請求項4】
第1暗号化方式とは異なる暗号化方式は、第2暗号化方式である
請求項1から請求項の何れか1項に記載の精算機。
【請求項5】
第1種別のカードは、クレジットカードとは異なるカードである
請求項1から請求項の何れか1項に記載の精算機。
【請求項6】
第2種別のカードは、クレジットカードである
請求項1から請求項の何れか1項に記載の精算機。
【請求項7】
通信部は、第1通信部と、第2通信部を有し、
第1通信部は、第1読取処理時におけるカード情報の送信に使用され、
第2通信部は、第2読取処理時におけるカード情報の送信に使用される
請求項1から請求項の何れか1項に記載の精算機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設、宿泊施設、飲食店等の各種施設において、支払を可能とする精算機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療施設、宿泊施設、飲食店等では、従業者に対して支払を行う形態以外に、精算機を使用した自動精算が行われている。このような精算機では、商品、サービスに対する対価を現金、あるいは、クレジットカード等を使用して支払うことが可能である。
【0003】
特許文献1には、金融機関との取引と会計精算とを同等の操作で行うことができ、会計精算の結果は、金融機関の口座へまとめて入金することができる会計精算機能付きATM装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-79846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような精算機においては、クレジットカード、診察券に記憶されたカード情報を取り扱うことが必要となる。また、精算機は精算処理等のため、外部に通信接続する必要がある。したがって、精算機で読み取られたカード情報が通信等によって外部に漏洩することは避けるべき事項である。本発明は、各種カード情報を取り扱う精算機において、カード情報の保護を図ることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の構成に係る精算機は、
カードユニットと、制御部と、通信部を備えた精算機であって、
カードユニットは、カードリーダを備え、第1読取処理と、第2読取処理を実行可能とし、
第1読取処理は、カードリーダに挿入されたカードのカード情報を読み取り、カード情報に基づいて種別を判定し、
第1種別のカードが挿入された場合、読み取ったカード情報を第1暗号化方式で暗号化をした後、制御部に送信し、
第2種別のカードが挿入された場合、読み取ったカード情報を第1暗号化方式とは異なる暗号化方式で暗号化をした後、制御部に送信し、
第2読取処理は、カードリーダに挿入されたカードのカード情報を読み取り、カード情報に基づいて種別を判定し、
第1種別のカードが挿入された場合、制御部にエラーを通知し、
第2種別のカードが挿入された場合、読み取ったカード情報を第2暗号化方式で暗号化した後、制御部に送信し、
制御部は、第1読取処理で、カードユニットから暗号化されたカード情報を受信した場合、第1暗号化方式に対応する復号化方式で復号処理し、第2読取処理で、カードユニットから暗号化されたカード情報を受信した場合、暗号化されたカード情報を、通信部を使用して決済サーバに送信する
【0007】
さらに第2の構成に係る精算機において、
制御部は、復号化されたカード情報が、第1種別のカードである場合、カード情報に基づいて、管理コンピュータから支払金額を受信し、支払金額に関する精算を実行する。
【0009】
さらに第4の構成に係る精算機において、
制御部は、カードユニットからエラーが通知された場合、カードユニットに対してカードを排出させる。
【0010】
さらに第5の構成に係る精算機において、
第1暗号化方式とは異なる暗号化方式は、第2暗号化方式である。
【0011】
さらに第6の構成に係る精算機において、
第1種別のカードは、クレジットカードとは異なるカードである。
【0012】
さらに第7の構成に係る精算機において、
第2種別のカードは、クレジットカードである。
【0013】
さらに第8の構成に係る精算機において、
通信部は、第1通信部と、第2通信部を有し、
第1通信部は、第1読取処理時におけるカード情報の送信に使用され、
第2通信部は、第2読取処理時におけるカード情報の送信に使用される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る精算機によれば、取り扱う各種カード情報が外部に漏洩すること等を抑制し、カード情報の適切な保護を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る精算システムの構成を示す図
図2】本実施形態に係る精算機の正面図
図3】本実施形態に係る精算機の構成を示すブロック図
図4】本実施形態に係る精算機で実行される精算処理を示すフロー図
図5】本実施形態に係るカードユニットで実行される第1読取処理を示すフロー図
図6】本実施形態に係るカードユニットで実行される第2読取処理を示すフロー図
図7】本実施形態に係る精算システムで使用する各種データ構成を示す図
図8】本実施形態に係る精算機に表示される精算画面を示す図
図9】本実施形態に係る精算機に表示される精算画面を示す図
図10】本実施形態に係る精算機に表示される精算画面を示す図
図11】本実施形態に係る精算機に表示される精算画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態に係る精算システムの構成を示す図である。本実施形態の精算システムは、病院等、各種医療施設に設置されるシステムであって、診療等に関する支払を自動で行うことのできるシステムである。なお、本発明に係る精算システムは、本実施形態のように医療施設に設置される形態のみならず、ホテル等の宿泊施設、あるいは、飲食店等の店舗等に設置される形態等、各種業種に適用することが可能である。
【0017】
本実施形態の精算システムは、医療施設の出入口72の近傍に位置するロビー内に設置されている。精算システムは、ロビー内に配置されユーザによって操作される精算機1a、1b、病院受付71内等に配置され、従業員によって操作される受付コンピュータ4、サーバ機能を有し、各種情報を記憶する管理コンピュータ3を有して構成されている。なお、複数のユーザに同時にサービスを提供できるように精算機1a、1bは複数台(本実施形態は2台)配置されている。
【0018】
精算機1a、1bと、受付コンピュータ4と、管理コンピュータ3は、LAN51を介して互いに通信可能に接続されている。受付コンピュータ4には、各種情報を表示するためのモニタ42、キーボード、マウス等、従業員による入力を受け付けるための入力装置41が接続されている。また、精算機1a、1b、受付コンピュータ4、管理コンピュータ3は、LAN51による内部ネットワークで通信可能に接続されている。また、精算機1a、1bは、ルータ52を介して、インターネット等、外部ネットワーク上に設置された各種サーバ(決済サーバ61等)と通信を行うことが可能となっている。
【0019】
図2は、本実施形態に係る精算機1の正面図である。精算機1は、それに対面して操作を行うユーザに対し、医療費の支払いを行う精算処理等、各種サービスを提供可能とする装置である。本実施形態の精算機1は、タッチパネルモニタ11、カード出入口12a、レシート取出口12b、テンキー22、硬貨入口12c、紙幣出入口12d、硬貨出口12eが設けられている。特に、カード出入口12aは、患者を判断するための診察券と、クレジットによる支払を行うためのクレジットカードの2種類が取り扱い対象となっている。
【0020】
図3は、本実施形態に係る精算機1の構成を示すブロック図である。精算機1は、その内部において2つの構成(カードユニット2、制御部17)に大別されている。2つの構成に大別される理由は、カードから読み取った個人情報の秘匿性の向上を図るためである。カードユニット2は、診察券、クレジットカード等、各種カードから情報を読み取る手段である。制御部17は、カードユニット2から読み取った情報等、各種情報に基づいて精算に関する各種処理を実行する手段である。
【0021】
カードユニット2は、カードリーダ21、テンキー22、ユニット基板23を有して構成されている。カードリーダ21は、図2に示されるカード出入口12aの背面に位置し、挿入されたカードから各種情報を読み取る手段である。前述したように、本実施形態では、1つのカードリーダ21で、診察券(第1種別のカード)と、クレジットカード(第2種別のカード)の2種類のカードから情報を読み取ることが可能である。また、本実施形態のカードリーダ21は、カード情報を磁気的に記憶したカード、及び、カード情報をICに記憶したカードの両方からカード情報を読み取ることができるハイブリッド仕様となっている。テンキー22は、クレジットカードのPIN(Personal Identification Number:暗証番号)を入力するための手段である。
【0022】
ユニット基板23は、インターフェイス23a、コントローラ23bを有して構成されている。インターフェイス23aは、カードリーダ21、テンキー22、制御部17に接続されており、各種情報の送受信を行うことが可能である。コントローラ23bは、ユニット基板23の各種構成、あるいは、ユニット基板23に接続された各種構成と連携して各種処理を実行する。
【0023】
制御部17は、タッチパネルモニタ11等、各種構成と接続されており、決済に関する各種処理を実行することが可能である。本実施形態では、制御部17には、タッチパネルモニタ11、レシートプリンタ13、紙幣処理部14、硬貨処理部15が接続されている。タッチパネルモニタ11は、表示部11aとタッチパネル11bを有して構成されている。タッチパネルモニタ11は、図2に示されるように、ユーザに対面して位置し、表示部11aにより各種視覚的情報を提供することが可能である。また、タッチパネル11bによりユーザからの入力を受け付けることも可能となっている。
【0024】
レシートプリンタ13は、レシートとして使用される感熱紙に印字する簡易なプリンタであって、図2のレシート取出口12bの背面に配置されている。レシートプリンタ13は、明細書、領収書等の印字に使用される。なお、印字部としてのレシートプリンタ13は、本実施形態のように感熱式の他、レーザ方式、インクジェット方式等、各種形態を採用することができる。紙幣処理部14は、図2の紙幣出入口12dの背面に配置されており、現金払い時における紙幣の挿入、返却に使用される。硬貨処理部15は、図2に示される硬貨入口12cに投入された硬貨の計算、並びに、硬貨出口12eからのつり銭の返却を管理する手段である。
【0025】
制御部17は、通信部18に接続されており、制御部17は
通信部18を介して外部と通信を行うことが可能となっている。また、カードユニット2も制御部17を介して通信部18を使用した外部との通信を行うことが可能である。本実施形態の通信部18は、LAN51に接続されており、LAN51に通信接続された管理コンピュータ3、あるいは、インターネット等の外部ネットワークを介して接続された決済サーバ61と通信を行うことが可能となっている。
【0026】
以上、医療施設における精算システムの構成について説明したが、医療施設を訪れたユーザ(患者等)は、精算機1を使用して医療費の支払いを行うことが可能となっている。ところで、現在、クレジットカードを扱うPOS(Point of Sales)システムでは、クレジットカード情報が外部漏洩する問題が指摘されている。このような問題は、POSシステムに、汎用性のあるPC(Personal Computer)が使用され、PCがマルウェアに感染する等が原因の一つとして認識されている。本実施形態の精算機1においても、その制御部17にPCを使用した場合、同様の問題が生じることが考えられる。本実施形態では、カード情報、特に、クレジットカードのカード情報の漏洩を抑制することを1つの課題としている。
【0027】
次に、精算機1で実行される精算処理について説明する。図4は、本実施形態に係る精算機1で実行される精算処理を示すフロー図である。診療を終えたユーザ(患者)は、精算機1を使用して診療等に関する費用を支払う。図8は、精算処理の開始時にタッチパネルモニタ11に表示される精算画面を示す図である。図8に示されるように、カード出入口12aに診察券を挿入することが要求される。
【0028】
ここで、カードを読み取るカードリーダ21は、診察券(第1種別のカード)の読み取り、並びに、クレジットカード(第2種別のカード)の読み取りを行うことが可能となっている。診察券に記憶されたカード情報、クレジットカードに記憶されたカード情報のどちらも個人情報であるため、どちらも外部に漏洩することは望ましくない。また、精算機1では、1つのカードリーダ21を使用しているため、診察券を読み取るべき処理において、クレジットカードが挿入される、あるいは、クレジットカードを読み取るべき処理において診察券が挿入される(誤挿入)が行われることが考えられる。本実施形態の精算処理では、通常の挿入、あるいは、誤挿入の両方において、カード情報の適切な保護を図ることとしている。
【0029】
精算処理の開始時において、タッチパネルモニタ11には、図8の精算画面に示されるように、カード出入口12aに診察券を入れるように指示が促される。精算処理において、制御部17は、カードユニット2に対して第1読取処理(S101)を指示した状態となっている。
【0030】
図5は、本実施形態に係るカードユニット2で実行される第1読取処理を示すフロー図である。第1読取処理では、カードが挿入されたか否かを判定する(S201)。カードが挿入された場合(S201:Yes)、カード種別の判定が行われる。カード種別の判定は、カードリーダ21で読み取ったカード情報を、インターフェイス23aを介してユニット基板23に送信する。ユニット基板23のコントローラ23bは、受信したカード情報に基づいて、カード種別の判定を行う(S202)。
【0031】
図7は、本実施形態に係る精算システムで使用する各種データ構成を示す図である。診察券のカード情報である診察券情報は、システムID、氏名、性別等を含んで構成されている。システムIDは、患者IDと医療施設IDを含んで構成されており、複数の医療施設を扱う場合場合においても患者を識別することが可能である。なお、診察券情報は、このような各種情報を含むものに限らず、患者を特定することのできる情報(患者ID)を少なくとも含むものであればよい。
クレジットカード情報は、カード番号を含んで構成されている。本実施形態では、主に診察券とクレジットカードを取り扱うことになるが、これらカード情報(診察券情報、クレジットカード情報)は、例えば、その先頭の数桁等、カード情報の形式に基づいてカード種別、すなわち、診察券情報であるのか、クレジットカード情報であるのかを識別することが可能となっている。
【0032】
カード種別の判定(S202)の結果、カード種別が診察券である場合(S203:No)、コントローラ23bは、第1暗号化方式でカード情報を暗号化する(S205)。制御部17は、第1暗号化方式に対応した第1復号化方式による復号化を実行可能としており、第1暗号化方式で暗号化されたカード情報を復号化することが可能となっている。
【0033】
一方、カード種別がクレジットカードである場合(S203:Yes)、コントローラ23bは、第2暗号化方式でカード情報を暗号化する(S204)。この第2暗号化方式は、決済サーバ61においてのみ復号化可能な暗号化方式である。したがって、第2暗号化方式で暗号化されたカード情報は、制御部17では復号化できない。なお、第1読取処理におけるクレジットカードに対する暗号化は、第2暗号化方式ではなく、第1暗号化方式以外の暗号化方式であってもよい。その場合、同様に、暗号化されたカード情報は、制御部17で復号化することはできない。このように、診察券(第1種別のカード)を取り扱い対象とする第1読取処理において、クレジットカード(第2種別のカード)が万一挿入された場合、制御部17では復号化できない暗号化方式でクレジットカード(第2種別のカード)のカード情報を暗号化することにより、クレジットカード(第2種別のカード)のカード情報を安全に保護することができる。
【0034】
第1読取処理では、第2暗号化方式で暗号化されたクレジットカード情報、もしくは、第1暗号化方式で暗号化された診察券情報を、インターフェイス23aを介して制御部17に送信(S206)し、制御部17からの排出指示の入力を待つ(S207)。コントローラ23bは、制御部17から排出指示を受信した場合、カードリーダ21にカードを排出させる(S208)。
【0035】
制御部17は、カードユニット2から受信した暗号化されたカード情報を第1復号化方式で復号化する(S103)。カード情報が診察券情報の場合、第1復号化方式で適切に復号化される。一方、カード情報がクレジットカード情報の場合、第2暗号化方式で暗号化されているため、第1復号化方式では正しく復号化できず、復号エラーを生じる、もしくは、意味の無い文字列に復号化されることになる。したがって、制御部17からクレジットカード情報が漏洩することはない。そして、暗号化されたカード情報が診察券情報以外の場合(S104a:No)、復号化された情報は診察券情報と判断されることはなく、制御部17は、カードユニット2に対して排出指示を出す(S106)。
【0036】
一方、復号化された情報が診察券情報の場合(S104a:Yes)、精算機1は、通信部18を使用して、管理コンピュータ3に対して、診察券情報中のシステムIDに対応する医療費情報を要求(S104b)し、それを受信(S104c:Yes)し、費用明細画面を表示する(S105)。図9は、受信した医療費情報に基づいて表示される精算画面である。図9の精算画面には、請求金額が表示されている。また、図9の精算画面では、現金による支払い方法が選択された状態となっている。精算画面の下方には、紙幣出入口12d、硬貨入口12cを指し示す矢印が示されている。
【0037】
現金による支払方法では、紙幣出入口12d、硬貨入口12cから、適切な金額(請求金額)が投入されること(S108:Yes)で、支払い完了画面(図示せず)が表示(S114)され、レシート印刷処理(S115)が実行され、一連の精算処理が完了する。
【0038】
支払方法としては、現金による支払方法以外に、クレジットカードによる支払方法を選択することが可能となっている。クレジットカードによる支払方法を選択する場合、ボタン111bを操作することで、図10に示される精算画面に遷移する。
【0039】
また、図9の精算画面には、医療費情報に含まれる明細情報を閲覧するためのボタン112、及び、精算処理を中止するためのボタン113が設けられている。
【0040】
図9の精算画面において、ボタン111bが操作され、支払方法がクレジットカードに変更された場合(S107:Yes)、図10に示される精算画面に遷移する。この精算画面には、現金による支払方法を選択するボタン111a、医療費情報に含まれる明細情報を閲覧するためのボタン112、精算処理を中止するためのボタン113が表示されている。
【0041】
制御部17は、カードユニット2に対して、排出指示を送信し(S110)、挿入されているカード(この場合、診察券)をカードリーダ21から排出させる。そして、カードユニット2に対して第2読取処理を実行する指示を送信する(S111)。
【0042】
図6は、本実施形態に係るカードユニット2で実行される第2読取処理を示すフロー図である。この第2読取処理は、クレジットカードを読み取り対象とした処理である。この場合においても、クレジットカード以外のカード(例えば、診察券)が挿入された場合、カード情報の保護を図ることが可能となっている。
【0043】
カードリーダ21にカードが挿入された場合(S221:Yes)、カードリーダ21は、読み取ったカード情報を、インターフェイス23aを介してコントローラ23bに送信する。コントローラ23bは、受信したカード情報に基づいてカード種別を判定する(S222)。このカード種別の判定は、第1読取処理のS202と同様である。判定したカード種別がクレジットカードでない場合(S223:No)、コントローラ23bは、制御部17にエラー送信を行う(S230)。エラー送信を受信(S112:エラー受信)した制御部は、カードユニット2に対して排出指示を送信し(S116)、再度第2読取処理を指示する(S111)。カードユニット2は、排出指示を受信する(S231:Yes)ことで、カードの排出を行う(S232)。
【0044】
一方、カード種別がクレジットカードの場合(S223:Yes)、挿入されたクレジットカードがPIN(Personal Identification Number:暗証番号)の入力を必要とするか否かを判断する(S224a)。クレジットカードの場合、磁気カードについては、PINの入力が不要であり、ICカードについてのみPINの入力が必要となっている。PINが必要な場合(S224a:Yes)、すなわち、クレジットカードがICカードの場合、PINの入力待ち状態となる(S224b)。図11は、PIN(暗証番号)の入力待ち状態時におけるタッチパネルモニタ11の画面である。PINが入力された場合(S224b:Yes)には、クレジットカード内の情報と入力されたPINの照合を実行する。照合が失敗した場合(S224c:No)、再度、PINの入力待ちとなる(S224b)。なお、PINの入力に所定回数失敗した場合、精算処理を終了することとしてもよい。
【0045】
一方、入力されたPINの照合が完了した場合(S224c:Yes)、カード番号、及び、医療費情報中の支払金額を含んだ支払情報を第2暗号化方式で暗号化する(S225)。なお、第2暗号化方式による暗号化は、支払情報中の少なくともカード番号を暗号化することであってもよい。カードユニット2のコントローラ23bは、暗号化された支払情報を決済サーバ61に、通信部18を使用して送信(S226)する。その際、暗号化された支払情報は、制御部17を介して送信されることになるが、支払情報は、第2暗号化方式で暗号化されているため、制御部17で復号化されることはない。送信後、カードユニット2は、決済サーバ61からの応答を待つ(S227)。決済サーバ61は、第2暗号化方式で暗号化された支払情報を復号化し、カード番号に対応するクレジットカードによる支払金額の支払可否の判定をする。支払が可能と判定された場合、クレジットカードによる支払を実行し、決済完了の応答を返信する。
【0046】
決済サーバ61から応答を受信した場合(S227:Yes)、決済サーバ61からの応答が決済完了であるか否かを判定する(S228)。決済サーバ61からの応答が決済完了では無い場合(S228:No)、制御部17にエラー送信(S230)を行い、クレジットカード以外が挿入された場合と同様、カードの排出を行う。一方、決済サーバ61において決済が適切に行われた場合、決済サーバ61は、カードユニット2に対して決済完了の旨を送信する。カードユニット2において、決済サーバ61からの応答が決済完了である場合(S228:Yes)、カードユニット2は、制御部17に対して決済完了の旨を送信する(S229)。
【0047】
制御部17において、カードユニット2から決済完了の旨を受信した場合(S112:完了受信)、カードユニット2に対して排出指示を送信する(S113)。排出指示を受信した(S231:Yes)カードユニット2は、カードリーダ21からカードを排出する(S232)。その後、精算機1は、支払いが完了した旨、及び、領収書がレシートプリンタ13から印刷される旨を伝える支払い完了画面(図示せず)を、タッチパネルモニタ11に表示する(S114)。そして、レシートプリンタ13に対し、医療費情報等に基づく領収書の印刷を実行させる(S115)。
【0048】
以上、本実施形態では、診察券(第1種別のカード)、クレジットカード(第2種別のカード)に記憶されるカード情報を適切に保護することが可能となる。なお、精算機としては、本実施形態のような医療施設に設置される精算機のみならず、ホテル、飲食店、遊技施設等に設置される精算機を対象とすることも可能である。その場合、第1種別のカードとしては、診察券ではなく、会員券、会員証等、個人を識別可能な各種カード(クレジットカードとは異なるカード)を対象とすることが可能である。
【0049】
また、本実施形態の精算機1は、診察券(第1種別のカード)のカード情報、及び、クレジットカード(第2種別のカード)のカード情報に関する処理について、どちらも通信部18を使用して送受信している。このような形態に代え、通信部18を、第1読取処理時におけるカード情報の送信に使用する第1通信部と、第2読取処理時におけるカード情報の送信に使用する第2通信部にハードウェア上で分けてもよい。この場合、第1通信部、第2通信部は、それぞれ、通信部18と同様、制御部17とLAN51間に位置する。このようにハードウェア上で分けることにより、診察券(第1種別のカード)、及び、クレジットカード(第2種別のカード)のカード情報をより強固に保護することが可能となる。
【0050】
以上、本発明に係る発明について、各種実施形態について説明を行ったが、本発明はこれら各種実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの各種実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0051】
1(1a、1b):精算機 18:通信部
2:カードユニット 21:カードリーダ
3:管理コンピュータ 22:テンキー
4:受付コンピュータ 23:ユニット基板
11:タッチパネルモニタ 23a:インターフェイス
11a:表示部 23b:コントローラ
11b:タッチパネル 41:入力装置
12a:カード出入口 42:モニタ
12b:レシート取出口 51:LAN
12c:硬貨入口 52:ルータ
12d:紙幣出入口 61:決済サーバ
12e:硬貨出口 71:病院受付
13:レシートプリンタ 72:出入口
14:紙幣処理部 111a、111b:ボタン
15:硬貨処理部 112、113:ボタン
17:制御部

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