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  • 特許-宅配ロッカーシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】宅配ロッカーシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20240126BHJP
   A47G 29/30 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B65G61/00 550
A47G29/30
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020067702
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160927
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 正樹
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-331176(JP,A)
【文献】特開2017-157004(JP,A)
【文献】特開2020-027669(JP,A)
【文献】特開2019-180588(JP,A)
【文献】特開2005-145655(JP,A)
【文献】特開2001-240337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B65G 1/00 - 1/20
A47G 29/00 - 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と通信するネットワーク接続装置を備えた宅配ロッカーと、通信ネットワークを介して前記宅配ロッカーと通信する管理サーバとを備えた宅配ロッカーシステムであって、
前記宅配ロッカーは、個々に電気錠を備えた複数の荷物収容部と、
前記電気錠を制御する少なくとも1つの電気錠制御装置と、
前記電気錠の施錠/解錠操作を行うための操作部と、
宅配ロッカー全体を制御するメイン制御装置とを有し、
前記メイン制御装置は、前記管理サーバから前記メイン制御装置、前記ネットワーク接続装置、前記電気錠制御装置、前記メイン制御装置のうち、少なくとも何れかの装置のソフトウェアの更新情報を受信したら、前記管理サーバから更新ソフトウェアを入手して対象装置のソフトウェア更新を予め設定された順序で開始し、
途中更新に失敗した装置が存在したら更新制御を終了して旧バージョンに戻すと共に、既に更新が終了した装置に関しては更新とは逆の順序で、ソフトウェアのバージョンを旧バージョンに戻す制御を装置自身により実施させることを特徴とする宅配ロッカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外部と通信する機能を備えた宅配ロッカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部と通信する機能を備えて、荷物の受取人に着荷を通知したり、宅配業者が配達前に宅配ロッカーの状態を把握できる機能を備えた宅配ロッカーシステムがある。
例えば特許文献1では、集合住宅のエントランスに設置された宅配ボックスが通信ネットワークを介してサーバと通信する機能を備えて、荷物が収容されたらその情報をサーバに通知し、収容した際に入力された情報を基に、帰宅した居住者がID等を認証装置に入力すると、着荷の有無が表示される宅配ロッカーシステムが開示されている。
また、このように外部と通信が可能な宅配ロッカーシステムは、そのソフトウェアを更新する場合、通信ネットワークを使用して外部からの更新が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-59228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、通信ネットワークに接続された宅配ロッカーシステムは、外部からソフトウェアの更新が可能であるが、以下のような問題があった。
宅配ロッカーが複数の装置で構成されている場合、全ての装置の更新を行う必要があるが、順次実施する過程で2台め以降で更新に失敗した場合には、1つのシステムの中に新旧のバージョンが混在する場合が発生した。これが、特にメーカサイドで動作保証をしていないバージョンとの組み合わせとなっている場合、意図しない不具合が発生する可能性があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、ソフトウェアの更新を実施した際に、旧バージョンと新バージョンの装置が混在することのない宅配ロッカーシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、外部と通信するネットワーク接続装置を備えた宅配ロッカーと、通信ネットワークを介して宅配ロッカーと通信する管理サーバとを備えた宅配ロッカーシステムであって、宅配ロッカーは、個々に電気錠を備えた複数の荷物収容部と、電気錠を制御する少なくとも1つの電気錠制御装置と、電気錠の施錠/解錠操作を行うための操作部と、宅配ロッカー全体を制御するメイン制御装置とを有し、メイン制御装置は、管理サーバからメイン制御装置、ネットワーク接続装置、電気錠制御装置、メイン制御装置のうち、少なくとも何れかの装置のソフトウェアの更新情報を受信したら、管理サーバから更新ソフトウェアを入手して対象装置のソフトウェア更新を予め設定された順序で開始し、途中更新に失敗した装置が存在したら更新制御を終了して旧バージョンに戻すと共に、既に更新が終了した装置に関しては更新とは逆の順序で、ソフトウェアのバージョンを旧バージョンに戻す制御を装置自身により実施させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、システム内にソフトウェアの更新対象装置が複数あった場合に、1台でも更新を失敗したら、既に更新が完了した装置のバージョンも含めて旧バージョンに戻すため、新旧のバージョンが混在することがない。よって、バージョンの混在による意図しない不具合の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る宅配ロッカーシステムの一例を示す構成図である。
図2】更新が正常に進む場合の流れを示すシーケンス図である。
図3】途中更新を失敗した場合の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る宅配ロッカーシステムの一例を示す構成図であり、1は宅配ロッカー、2は宅配ロッカー1を管理する管理サーバ、3は宅配ロッカー1の管理者が携行する携帯電話、Nは通信ネットワークである。
宅配ロッカー1と管理サーバ2とは、通信ネットワークNを介して例えばIP通信を実施し、宅配ロッカー1と携帯電話3とは例えばSNS(Social Network Service)通信を実施する。
【0010】
宅配ロッカー1は、荷物を保管する荷物収容部(図示せず)毎に設けられている電気錠11、収容部のグループ毎に電気錠11を制御する電気錠制御装置12、施錠/解錠操作を行う操作部14、通信ネットワークNを介して外部と通信するネットワーク接続装置13、宅配ロッカー1全体を制御するメイン制御装置15等を備え、メイン制御装置15は各装置のソフトウェアバージョン情報を記憶する設定情報記憶部16を具備している。
尚、ここでは、電気錠制御装置12は、第1電気錠制御装置12a、第2電気錠制御装置12bの2台で構成されている。またネットワーク接続装置13は、管理サーバ2に加えて宅配ロッカー1の管理者が携帯する携帯電話3と通信する機能を備えている。
【0011】
管理サーバ2は、更新するソフトウェア情報を記憶するソフトウェア情報記憶部21、管理対象の宅配ロッカー1と通信するためのアドレス情報等を記憶する宅配ロッカー情報記憶部22、管理サーバ2を制御する管理サーバ制御部23、通信ネットワークNを介して宅配ロッカー1と通信する管理サーバ通信IF24等を備えている。
【0012】
上記の如く構成された宅配ロッカーシステムにおいて、ファームウェア(ソフトウェア)の更新は次のように実施される。図2,3のシーケンス図を参照して説明する。
尚、ファームウェアの更新対象は、具体的に電気錠制御装置12であれば例えばIOユニット、ネットワーク接続装置13であれば例えばIoTゲートウェイ、メイン制御装15置は例えばパソコンである。また、2台ある電気錠制御装置12のIOユニット(図示せず)は親機と子機の関係にあり、第1電気錠制御装置12aのIOユニットが親機、第2電気錠制御装置12bのIOユニットが子機となっている。そのため、メイン制御装置15が第2電気錠制御装置12bを制御する場合、第1電気錠制御装置12aを介して行われる。
【0013】
まず全ての装置のファームウェア更新を失敗無く実施する場合の流れを、図2を参照して説明する。管理サーバ2とメイン制御装置15との間は、例えば1時間毎に定期通信を実施(S1)しており、ファームウェアのバージョンアップ情報(更新情報)があると、メイン制御装置15は定期通信によりそれを認識し、更新対象装置の情報等を合わせて入手する(S2)。
次に、管理サーバ2から更新ソフトウェアデータを一括ダウンロードし(S3)、入手した更新データを更新対象装置に対して順次送信する(S4,S5,S6)。そして、決められた日時において予め設定された順番で順次更新制御が実施される。
このように、予め更新ソフトウェアを対象機器に送信しておくことで、更新制御の短縮を図っている。
尚、ここではメイン制御装置15、ネットワーク接続装置13、電気錠制御装置12のファームウェアが更新される場合を示し、この順番で更新が行われる。
【0014】
決められた日時になったら、まずメイン制御装置15のファームウェア更新が開始され(S7)、更新が完了したら次にネットワーク接続装置13にファームウェア更新の指示を出す。
更新の指示を受けたネットワーク接続装置13は、既に入手している更新データによりファームウェア更新を実施する(S9)。
【0015】
ネットワーク接続装置13の更新が完了したら、第2電気錠制御装置12bを更新し、その後第1電気錠制御装置12aを更新する。何れも既に入手している更新データにより更新が行われる(S10)。こうして、更新対象の全ての装置の更新が完了したら、メイン制御装置15の設定情報記憶部16のソフトウェアバージョン情報が書き換えられ更新される(S11)。
また、ファームウェアの更新完了がネットワーク接続装置13を介して携帯電話3に通知される。
【0016】
次に、更新途中でエラーが発生して更新を失敗した場合の流れを図3を参照して説明する。ここでは、第2電気錠制御装置12bのファームウェア更新を失敗した場合を例に説明する。
ネットワーク接続装置13の更新までは、図2と同様の制御であるため説明を省略し、その後の制御の流れを説明する。メイン制御装置15からバージョンアップ指示(更新指示)を受けた第2電気錠制御装置12bは、既に入手している更新データにより更新制御を開始する。
しかしながら、更新に失敗すると、第2電気錠制御装置12bは旧バージョンに戻す。この旧バージョンに戻す制御は、第2電気錠制御装置12b自身で実施する。そして、更新失敗を、第1電気錠制御装置12aを介してメイン制御装置15に通知する(S12,S13)。
【0017】
失敗情報を受信したメイン制御装置15は、既にバージョンを更新した装置があったら、その装置に対して旧バージョンに戻す指示を出す。この指示は、更新とは逆の順序で行われ、ここではまずネットワーク接続装置13に指示が出される。
指示を受けたネットワーク接続装置13は、旧バージョンに戻す制御を実施する(S14)。この処理が完了したら、メイン制御装置15は自身のバージョンを旧バージョンに戻す(S15)。
こうして、ソフトウェア更新とは逆の順番でバージョンを前バージョンに戻し、全ての装置のソフトウェアバージョンを更新前の旧バージョンに戻して終了する。また、ファームウェア更新を失敗したことがネットワーク接続装置13を介して携帯電話3に通知される。
【0018】
このように、システム内にソフトウェアの更新対象装置が複数あった場合に、1台でも更新を失敗したら、既に更新が完了した装置のバージョンも含めて旧バージョンに戻すため、新旧のバージョンが混在することがない。よって、バージョンの混在による意図しない不具合の発生を防ぐことができる。
【0019】
尚、上記実施形態では、3番目に更新する第2電気錠制御装置12bが更新に失敗した場合を説明したが、他の装置の更新で失敗しても同様であり、更新とは逆の順序で旧バージョンに戻す制御が実施される。
【符号の説明】
【0020】
1・・宅配ロッカー、2・・管理サーバ、11・・電気錠、12・・電気錠制御装置、13・・ネットワーク接続装置、14・・操作部、15・・メイン制御装置、16・・設定情報記憶部、21・・ソフトウェア情報記憶部、22・・宅配ロッカー情報記憶部、23・・管理サーバ制御部、N・・通信ネットワーク。
図1
図2
図3