(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】洗浄体、洗浄装置および洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240126BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20240126BHJP
B08B 1/00 20240101ALI20240126BHJP
【FI】
H01L21/304 644Z
H01L21/304 648G
G03F1/82
B08B1/00
(21)【出願番号】P 2020085489
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000101710
【氏名又は名称】アルバック成膜株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100192773
【氏名又は名称】土屋 亮
(72)【発明者】
【氏名】金井 修一郎
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-039014(JP,A)
【文献】特開平11-207271(JP,A)
【文献】特開2013-210576(JP,A)
【文献】特開2017-178746(JP,A)
【文献】特開平07-187697(JP,A)
【文献】特開2020-61469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
G03F 1/82
B08B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクラブ洗浄によって被洗浄物を洗浄する洗浄器具を洗浄するための洗浄体であって、
前記洗浄器具と接触する器具洗浄面を備え、
前記器具洗浄面の表面粗さRaが、0.3nm~2.0nmの範囲である
ことを特徴とする洗浄体。
【請求項2】
前記器具洗浄面のζ電位が0となるpHが、5~10の範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄体。
【請求項3】
前記器具洗浄面が、クロムを含有する材料で形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の洗浄体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗浄体と、
前記洗浄器具と、
を備える
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
前記被洗浄物が配置される被洗浄物配置部と、
前記洗浄体が配置される洗浄体配置部と、
前記洗浄器具を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、前記被洗浄物配置部から前記洗浄体配置部までの区間で前記洗浄器具を移動させる
ことを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄体配置部が、前記洗浄体の前記器具洗浄面に薬液を供給して前記洗浄体をクリーニングする薬液供給クリーニング部を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測機を備える
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記計測機による計測結果に基づき、当該洗浄体で洗浄された前記洗浄器具による前記被洗浄物の洗浄をおこなわない判断をする判断部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
請求項6記載の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記洗浄体の前記器具洗浄面を薬液によりクリーニングするクリーニング工程と、
を有する
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項10】
請求項7記載の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
を有する
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項11】
請求項8記載の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
前記判断部によって、当該洗浄体で洗浄された前記洗浄器具による前記被洗浄物の洗浄をおこなわない判断をする判断工程と、
を有する
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項12】
請求項8記載の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
前記判断部によって、前記洗浄体により前記洗浄器具の洗浄をおこなわない判断をする判断工程と、
を有する
ことを特徴とする洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄体、洗浄装置および洗浄方法に関し、被洗浄物のスクラブ洗浄に使用される洗浄器具の洗浄に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
FPD(flat panel display,フラットパネルディスプレイ)の製造や、LSI(Large Scale Integraition)などの半導体デバイス製造においては、ガラス基板、シリコン基板、マスクブランクス、フォトマスク等の被洗浄物の表面を洗浄する工程を有する。この際、被洗浄物の洗浄方法としては、ブラシやパッド、スポンジからなる洗浄器具を被洗浄物に接触させるとともに擦りつけて異物(汚染物)を洗浄するスクラブ洗浄が知られている。
【0003】
スクラブ洗浄では、汚染物質などの異物が洗浄器具に付着する。このように、被洗浄物に接触する洗浄器具が汚れた状態でさらにスクラブ洗浄をおこなうと、洗浄効果が低下するとともに再汚染(逆汚染)のおそれがある。
このため、スクラブ洗浄では、異物の被洗浄物への再付着を防止するために、使用した洗浄器具を交換するか洗浄器具を洗浄することで、洗浄器具を清浄な状態に維持して洗浄可能にする必要がある。洗浄器具を清浄化する構成の例としては、特許文献1に記載されるように、洗浄液で満たされた洗浄槽内で洗浄器具を回転させることにより洗浄器具を洗浄する方法が知られている。
また、特許文献2に記載されるような洗浄バー42を有する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-092633号公報
【文献】特開2015-19024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載される技術では、洗浄器具そのものを削り、新たな表面を形成した場合、これがパーティクル等の汚染物(異物)の発生源となり、洗浄器具の清浄度が改善されないという問題があった。
また、特許文献2に記載される技術では、洗浄バー42の材料としてフッ素樹脂(たとえば、PFA),シリコンを含む材料(たとえば、シリコン、酸化シリコン等),石英等が挙げられているが、洗浄器具に対する洗浄作用が弱く、パーティクル等の汚染物が除去されず、洗浄器具の清浄度が改善されないという問題があった。
【0006】
ところで、洗浄器具は、例えばPVA(Polyvinyl Alcohol)やナイロン等で製造されている。ここで、有機物の除去に有効な硫酸やオゾン水等の薬品を洗浄液として用いると、洗浄器具は、ダメージを受けるおそれがある。このため、洗浄器具の洗浄には、これらの薬液を用いることは好ましくない。
特許文献1,2に記載される技術では、洗浄液として例えば純水が用いられており、洗浄器具の洗浄は回転による物理的な作用によってのみ行われていた。したがって、特許文献1,2に記載される技術では、洗浄器具に付着した有機物等の異物(汚染物)を十分に除去することができないという問題があった。
【0007】
このため、特許文献1,2に記載される技術では、洗浄部材に付着した汚染物(異物)が被洗浄物に再付着して汚染してしまい、逆汚染を防止できていない上に、洗浄効果を発現することができていない。
【0008】
さらに、特許文献1,2に記載される技術では、洗浄器具によって、被洗浄物の洗浄をおこなった際に、洗浄器具の汚染状態がわからないため、洗浄器具を交換するか洗浄器具を洗浄するタイミングが明らかではない。これにより、メンテナンスの作業時間が増大し、メンテナンス効率が悪くなる、あるいは、必要以上に洗浄器具を交換して、メンテナンスに必要なコストが増大するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.逆汚染の発生を防止する。
2.洗浄効率の向上を図る。
3.洗浄器具の清浄度の維持または向上を図る。
4.洗浄器具の交換、洗浄等、メンテナンスの効率を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の洗浄体は、スクラブ洗浄によって被洗浄物を洗浄する洗浄器具を洗浄するための洗浄体であって、
前記洗浄器具と接触する器具洗浄面を備え
前記器具洗浄面の表面粗さ(Ra)は、0.3nm~2.0nmの範囲である
ことにより、上記課題を解決した。
本発明の洗浄体は、前記器具洗浄面のζ電位が0となるpHが、5~10の範囲であることができる。
本発明の洗浄体は、前記器具洗浄面が、クロムを含有する材料で形成されていることができる。
本発明の洗浄装置は、上記いずれかの洗浄体と、
前記洗浄器具と、
を備えることができる。
本発明の洗浄装置は、前記被洗浄物が配置される被洗浄物配置部と、
前記洗浄体が配置される洗浄体配置部と、
前記洗浄器具を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、前記被洗浄物配置部から前記洗浄体配置部までの区間で前記洗浄器具を移動させることができる。
本発明の洗浄装置は、前記洗浄体配置部が、前記洗浄体の前記器具洗浄面に薬液を供給して前記洗浄体をクリーニングする薬液供給クリーニング部を備えることができる。
本発明の洗浄装置は、
前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測機を備えることができる。
本発明の洗浄装置は、前記計測機による計測結果に基づき、当該洗浄体で洗浄された前記洗浄器具による前記被洗浄物の洗浄をおこなわない判断をする判断部を有する
ことができる。
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記洗浄体の前記器具洗浄面を薬液によりクリーニングするクリーニング工程と、
を有する
ことができる。
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
を有する
ことができる。
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
前記判断部によって、当該洗浄体で洗浄された前記洗浄器具による前記被洗浄物の洗浄をおこなわない判断をする判断工程と、
を有する
ことができる。
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
前記判断部によって、前記洗浄体により前記洗浄器具の洗浄をおこなわない判断をする判断工程と、
を有する
ことができる。
【0011】
本願発明者らは、異物(汚染物)の除去、つまり、洗浄器具から洗浄体の器具洗浄面への転写効率を向上するために、まず、次の点を考察した。
すなわち、洗浄器具と、洗浄器具に付着した異物と、の間における物理的な結合状態の切断と、化学的な結合状態の切断とである。
付着した異物は、付着対象である洗浄器具の表面と、物理的あるいは化学的に結ばれているため、これらの結合を両方とも切断しなければ、異物を洗浄器具の表面から離脱させることはできない。
【0012】
さらに、このように離脱させた異物が、除去対象である洗浄器具の表面と再結合しないようにすることが、除去には必要である。
例えば、洗浄液による異物の移動などによって洗浄器具の表面と異物とを離間させてしまうことや、異物を器具洗浄面に吸着させてしまうこと、などの手法により、洗浄器具の表面と異物とが再結合することそのものを阻害可能とすることが、異物の除去における具体的手段としては重要であると考えた。
【0013】
ここで、器具洗浄面に異物を吸着させるためには、器具洗浄面と異物とが反発せずに接近して、互いに結合することが必要となる。この吸着においても、物理的あるいは化学的な結合のしやすさを考慮することが必要になる。
【0014】
このため、本発明者らは、物理的な結合に対する離脱・吸着の手法として、器具洗浄面の粗さに注目して、その範囲を設定するとともに、また、化学的な結合に対する離脱・吸着の手法として、器具洗浄面のゼータ電位(表面電位)に注目して、その範囲を設定した。
これにより、本発明者は、本発明を次のように完成した。
【0015】
本発明の洗浄体は、スクラブ洗浄によって被洗浄物を洗浄する洗浄器具を洗浄するための洗浄体であって、
前記洗浄器具と接触する器具洗浄面を備え、
前記器具洗浄面の表面粗さ(Ra)は、0.3nm~2.0nmの範囲である。
これにより、器具洗浄面には、洗浄器具から除去しようとするパーティクル等の異物の大きさに対して、所定の範囲となる凹凸を形成する。器具洗浄面に形成された凹凸によって、パーティクルや有機物である異物(汚染物)が洗浄器具から脱離しやすくなる。器具洗浄面に形成された凹凸によって、パーティクルや有機物である異物(汚染物)が洗浄器具に再付着しにくくなる。さらに、器具洗浄面に形成された凹凸によって、離脱したパーティクルや有機物である異物(汚染物)が、器具洗浄面に付着しやすくなる。
【0016】
すなわち、洗浄器具から器具洗浄面に異物を転写することが容易となる。このため、洗浄体の器具洗浄面に洗浄器具を接触させ、洗浄器具を器具洗浄面に押圧しながら相対的に移動(回転)させることにより、洗浄器具に付着した異物を器具洗浄面に転写して、確実に除去することができる。したがって、洗浄器具の清浄度を維持または向上することが可能となる。
【0017】
ここで、除去しようとするパーティクル等の異物の径寸法(大きさ)のうち、最も小さいものに対して、器具洗浄面の表面粗さ(Ra)の比を、0.006(0.3/50)~0.04(2.0/50)の範囲となるように設定することができる。
【0018】
本発明の洗浄体は、前記器具洗浄面のζ電位が0となるpHが、5~10の範囲である。
これにより、洗浄器具への使用制限から強い薬液を用いていない洗浄液中において、器具洗浄面では、洗浄器具から除去しようとするパーティクル等の異物のζ電位に対して、所定の範囲となるζ電位を設定する。器具洗浄面に設定されたζ電位によって、パーティクルや有機物である異物(汚染物)が洗浄器具から脱離しやすくなる。器具洗浄面に設定されたζ電位によって、パーティクルや有機物である異物(汚染物)が洗浄器具に再付着しにくくなる。さらに、器具洗浄面に設定されたζ電位によって、離脱したパーティクルや有機物である異物(汚染物)が、器具洗浄面に付着しやすくなる。
【0019】
ここで、異物と器具洗浄面とを付着させる場合には、これらの間に、それぞれのζ電位の絶対値の積に比例する斥力が働くことが知られている。
一方、器具洗浄面は、強い薬液中等に配置されていない状態、すなわち純水などの洗浄液中において、殆どpH7付近の中性であると考えられる。この中性液中において、器具洗浄面のζ電位は殆ど0となるように設定している。したがって、異物表面におけるζ転位と、器具洗浄面のζ電位との斥力が減少する。なお、上記のpH範囲でも同様である。
よって、器具洗浄面に強い薬液を使用することなくとも、異物と器具洗浄面との間に働くζ電位による斥力を抑制できる。これにより、離脱したパーティクルや有機物である異物(汚染物)が、器具洗浄面に対して付着しやすくなる。
このため、洗浄体の器具洗浄面に洗浄器具を接触させ、洗浄器具を器具洗浄面に押圧しながら相対的に移動(回転)させることにより、洗浄器具に付着した異物を器具洗浄面に転写して、確実に除去することができる。したがって、洗浄器具の清浄度を維持または向上することが可能となる。
【0020】
本発明の洗浄体は、前記器具洗浄面が、クロムを含有する材料で形成されている。
クロムを含有する材料で器具洗浄面を形成することにより、器具洗浄面を上記の表面粗さに設定することができる。また、クロムを含有する材料で器具洗浄面を形成することにより、器具洗浄面を上記のζ電位に設定することができる。
なお、本発明において、器具洗浄面は、クロムを含有する材料のうち、スパッタリングによって形成されたクロム酸化膜することが好ましい。これにより、表面粗さをRa0.3nm~2.0nmとすることができ、表面のζ電位が0となるpHを、5~10とすることができる。これにより、器具洗浄面に有機物を始めとする異物を付着しやすくできる。このため、洗浄体の器具洗浄面に洗浄器具を接触させ、器具洗浄面に押圧しながら相対的に移動(回転)させることにより、洗浄器具に付着した異物を確実に除去できる。したがって、洗浄器具の清浄度を維持するとともに、清浄度を向上することが可能となる。
【0021】
本発明の洗浄装置は、上記いずれかの洗浄体と、
前記洗浄器具と、
を備える。
洗浄装置が洗浄体を備えているので、被洗浄物の洗浄によって異物等が付着した洗浄器具の洗浄を、確実におこなうことができる。さらに、洗浄器具の洗浄において、異物の除去を確実にして洗浄効率を維持するとともに、洗浄効率を向上することが可能となる。
【0022】
本発明の洗浄装置は、前記被洗浄物が配置される被洗浄物配置部と、
前記洗浄体が配置される洗浄体配置部と、
前記洗浄器具を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、前記被洗浄物配置部から前記洗浄体配置部までの区間で前記洗浄器具を移動させる。
この洗浄装置は、被洗浄物配置部と洗浄体配置部とを備えることにより、被洗浄物配置部で被洗浄物を洗浄している間に、洗浄体配置部で洗浄器具を洗浄する準備を整えることができる。また、洗浄体配置部で洗浄器具を洗浄している間に、被洗浄物配置部で被洗浄物を洗浄する準備を整えることができる。したがって、洗浄装置による被洗浄物の洗浄を妨げることなく、洗浄器具の洗浄度を維持または向上することが可能となる。これにより、タクトタイムを短縮して、被洗浄物の洗浄における作業時間を短縮し、作業効率を向上して、製造コストを削減することが可能となる。
この洗浄装置は、洗浄器具を支持する支持体を備えている。支持体は、被洗浄物配置部から洗浄体配置部までの区間で洗浄器具を移動させる。これにより、被洗浄物を洗浄した洗浄器具をスムーズに洗浄体配置部まで移動できる。また、支持体は、洗浄体配置部から被洗浄物配置部までの区間で洗浄器具を移動させる。これにより、洗浄体により洗浄された洗浄器具をスムーズに被洗浄物配置部まで移動できる。
したがって、被洗浄物配置部と洗浄体配置部とを独立にかつ並列した処理をそれぞれおこなうことができる。被洗浄物の洗浄にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0023】
本発明の洗浄装置は、前記洗浄体配置部が、前記洗浄体の前記器具洗浄面に薬液を供給して前記洗浄体をクリーニングする薬液供給クリーニング部を備える。
これにより、洗浄器具には使用できない強い薬液を用いて、洗浄体をクリーニングすること、つまり、再生処理することが可能となる。したがって、洗浄器具を洗浄することで、洗浄体の器具洗浄面に付着した異物を効率よく除去することができ、次工程における洗浄器具の洗浄において、逆汚染の発生することがない。
なお、薬液供給クリーニング部は、洗浄器具の洗浄においては、洗浄体の器具洗浄面に純水等の洗浄液を供給する構成とすることもできる。
【0024】
本発明の洗浄装置は、前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測機を備える。
これにより、洗浄器具を洗浄した後、洗浄体の器具洗浄面の汚染度を計測できる。つまり、洗浄器具の洗浄が終了した後、当該洗浄器具の洗浄により、洗浄体の器具洗浄面に付着したパーティクル等の異物の量を測定することができる。これにより、器具洗浄面に付着した異物の量から、洗浄が終了した洗浄器具の汚染状態を推定することができる。
器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より少ない場合には、終了した洗浄によって、洗浄器具の汚染状態が軽微であり、この洗浄器具を、続けて被洗浄物の洗浄に使用することができると推定する。また、器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より多い場合には、終了した洗浄によって、洗浄器具の汚染状態が甚大であり、洗浄が完了されていないため、この洗浄器具を続けて被洗浄物の洗浄に使用することができない、あるいは、洗浄に使用できなくなると推定する。
洗浄器具が続けて使用できないと判断した場合には、洗浄器具の交換、あるいは、洗浄器具に対してさらなる洗浄を実施する。
このように、計測機の計測結果から、洗浄器具の汚染状態を推定して、次工程での使用可否の判断をおこなうことができる。
同時に、計測機の計測結果から、洗浄体における器具洗浄面の汚染状態が明らかになるため、次工程の洗浄器具の洗浄に対して、当該洗浄体の使用可否を判断することが可能となる。
つまり、器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より少ない場合には、終了した洗浄によって、器具洗浄面の汚染状態が軽微であり、この洗浄体を、続けて洗浄器具の洗浄に使用することができると判断する。また、器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より多い場合には、終了した洗浄によって、器具洗浄面の汚染状態が甚大であり、洗浄が完了されていないため、この洗浄体を続けて洗浄器具の洗浄に使用することができないと判断する。
洗浄体が続けて使用できないと判断した場合には、洗浄体の交換、あるいは、洗浄体に対するクリーニング(再生処理)を実施する。
このように、洗浄器具の洗浄に使用できないほど器具洗浄面が汚染された洗浄体を判別して、未使用の洗浄体に交換できる。または、洗浄体の器具洗浄面に対して異物を除去するクリーニング(再生処理)を行うことができる。したがって、未使用の洗浄体または器具洗浄面の汚染度が低い洗浄体を用いて洗浄器具を洗浄できるので、より確実に洗浄器具の洗浄度を維持または向上することが可能となる。
また、計測機の計測結果に基づいてクリーニング(再生処理)を行って、繰り返し洗浄体を使用することで、洗浄器具の洗浄に使用できる洗浄体を廃棄することがなくなる。このため、被洗浄物の洗浄にかかる費用を抑制することも可能となる。また、計測機の計測結果から、クリーニング(再生処理)を行う適切なタイミングを判断できるので、洗浄に係るコストを抑制しつつ、被洗浄物の洗浄にかかる作業時間を短縮することが可能となる。
【0025】
本発明の洗浄装置は、前記計測機による計測結果に基づき、当該洗浄体で洗浄された前記洗浄器具による前記被洗浄物の洗浄をおこなわない判断をする判断部を有する。
これにより、計測機は、器具洗浄面に付着したパーティクル等の異物の量を測定し、その結果を判断部に出力する。判断部は、器具洗浄面に付着した異物の量から、洗浄が終了した洗浄器具の汚染状態を推定する。
計測機が、器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より少ないと出力した場合には、判断部は、終了した洗浄によって、洗浄器具の汚染状態が軽微であり、この洗浄器具を、続けて被洗浄物の洗浄に使用することができると推定する。また、計測機が、器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より多いと出力した場合には、判断部は、終了した洗浄によって、洗浄器具の汚染状態が甚大であり、洗浄が完了されていないため、この洗浄器具を続けて被洗浄物の洗浄に使用することができない、あるいは、洗浄に使用できなくなると推定する。
判断部が、洗浄器具が続けて使用できないと判断した場合には、洗浄器具の交換、あるいは、洗浄器具に対してさらなる洗浄を実施する。
このように、計測機の計測結果から、判断部が洗浄器具の汚染状態を推定して、次工程での使用可否の判断をおこなうことができる。
同時に、計測機の計測結果から、洗浄体における器具洗浄面の汚染状態が明らかになるため、次工程の洗浄器具の洗浄に対して、判断部が、当該洗浄体の使用可否を判断する。
つまり、計測機が、器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より少ないと出力した場合には、判断部は、終了した洗浄によって、器具洗浄面の汚染状態が軽微であり、この洗浄体を、続けて洗浄器具の洗浄に使用することができると判断する。また、計測機が、器具洗浄面に付着した異物の量が所定値より多いと出力した場合には、判断部は、終了した洗浄によって、器具洗浄面の汚染状態が甚大であり、洗浄が完了されていないため、この洗浄体を続けて洗浄器具の洗浄に使用することができないと判断する。
洗浄体が続けて使用できないと判断した場合には、洗浄体の交換、あるいは、洗浄体に対するクリーニング(再生処理)を実施する。
これにより、洗浄における再付着、逆汚染の発生を防止して、洗浄による異物の除去を確実にすることが可能となる。さらに、洗浄における作業工程数を削減し、作業時間を削減して、洗浄における作業コストを低減することが可能となる。
【0026】
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記洗浄体の前記器具洗浄面を薬液によりクリーニングするクリーニング工程と、
を有する。
これにより、被洗浄物の洗浄と、洗浄器具の洗浄とを交互におこなうことができる。同時に、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体の汚染状態の測定、および、洗浄体の再使用の可否判断をおこなうことができる。また、被洗浄物の洗浄中に、洗浄器具の汚染状態の測定、および、洗浄器具の再使用の可否判断をおこなうことができる。あるいは、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体のクリーニング(再生処理)をおこなうことができる。
【0027】
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
を有する。
これにより、被洗浄物の洗浄と、洗浄器具の洗浄とを交互におこなうことができる。同時に、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体の汚染状態の測定、および、洗浄体の再使用の可否判断をおこなうことができる。また、被洗浄物の洗浄中に、洗浄器具の汚染状態の測定、および、洗浄器具の再使用の可否判断をおこなうことができる。あるいは、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体のクリーニング(再生処理)をおこなうことができる。
【0028】
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
前記判断部によって、当該洗浄体で洗浄された前記洗浄器具による前記被洗浄物の洗浄をおこなわない判断をする判断工程と、
を有する。
これにより、被洗浄物の洗浄と、洗浄器具の洗浄とを交互におこなうことができる。同時に、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体の汚染状態の測定、および、洗浄体の再使用の可否判断をおこなうことができる。また、被洗浄物の洗浄中に、洗浄器具の汚染状態の測定、および、洗浄器具の再使用の可否判断をおこなうことができる。あるいは、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体のクリーニング(再生処理)をおこなうことができる。
【0029】
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、
前記被洗浄物配置部において、前記洗浄器具により前記被洗浄物を洗浄する工程と、
前記洗浄体配置部において、前記計測機により前記洗浄体の前記器具洗浄面の汚染度を計測する計測工程と、
前記判断部によって、前記洗浄体により前記洗浄器具の洗浄をおこなわない判断をする判断工程と、
を有する。
これにより、被洗浄物の洗浄と、洗浄器具の洗浄とを交互におこなうことができる。同時に、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体の汚染状態の測定、および、洗浄体の再使用の可否判断をおこなうことができる。また、被洗浄物の洗浄中に、洗浄器具の汚染状態の測定、および、洗浄器具の再使用の可否判断をおこなうことができる。あるいは、被洗浄物の洗浄中に、洗浄体のクリーニング(再生処理)をおこなうことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、逆汚染の発生を防止するとともに、洗浄器具の清浄度を維持して、洗浄効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の平滑基板を洗浄する洗浄装置の実施形態を示す要部構成図である。
【
図2】本発明の洗浄装置の実施形態におけるスポンジ支持板を示す平面図である。
【
図3】本発明の洗浄体の実施例を示すグラフである。
【
図4】本発明の洗浄体の実施例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る洗浄体および洗浄装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の平滑基板(被洗浄物)を洗浄する洗浄装置を示す概略構成図である。図において、符号1は、平滑基板(被洗浄物)であり、符号1は、洗浄装置である。
平滑基板(被洗浄物)Mは、例えばLSI基板、FPD(Flat Panel Display)基板、LSI基板やFPD基板の製造工程にて使用されるフォトマスク、マスクブランクスおよびサブストレートである。
【0033】
洗浄装置1は、スクラブ洗浄によって平滑基板(被洗浄物)Mを洗浄する装置である。
本実施形態における洗浄装置1は、
図1に示すように、スポンジ(洗浄器具)Sによって平滑基板Mを洗浄する被洗浄物配置部10と、スポンジ(洗浄器具)Sを洗浄する洗浄体配置部20と、スポンジ(洗浄器具)Sを支持する支持体30と、制御部(判断部)70と、を備えている。
【0034】
被洗浄物配置部10は、洗浄中に平滑基板Mを支持する平滑基板支持部11と、基板支持シャフト12と、回転用モータ13と、洗浄液ノズル14と、洗浄槽15と、を有する。
【0035】
平滑基板支持部11は、例えば4本とされて平滑基板Mを水平状態に支持する基板支持アーム11aと、基板支持アーム11aを上端部で支持する基板支持シャフト12と、基板支持シャフト12の下端部に設けられた回転用モータ13と、を有している。
基板支持アーム11aは、基板支持シャフト12の上端部に固定されている。4本の基板支持アーム11aは、基板支持シャフト12の上端から、径方向外側に向けて略水平に配置される。4本の基板支持アーム11aは、互いに周方向の間隔が等しくなるよう設置される。
【0036】
基板支持アーム11aには、平滑基板Mの縁部を側方から挟持して固定するための基板支持ピン11bが設けられている。基板支持ピン11bは、基板支持アーム11aの径方向外側端部から上方に向けて立設される。基板支持ピン11bは、基板支持ピン11bの先端が基板支持アーム11aに対して拡径するように揺動可能である。基板支持ピン11bは、先端が揺動することで平滑基板Mの側面を挟み込むことにより、平滑基板Mを基板支持アーム11aに支持固定可能である。
【0037】
基板支持アーム11aは、平滑基板Mの主表面Maの法線方向が鉛直方向と一致するように平滑基板Mを支持する。基板支持アーム11aは、上下方向に延びる基板支持シャフト12によって、回転可能に支持されている。
基板支持シャフト12は、回転用モータ13の駆動によって回転する。平滑基板Mと基板支持アーム11a、基板支持ピン11b、基板支持シャフト12は、一体となって基板支持シャフト12を中心に回転する。回転用モータ13は、正逆の回転駆動が可能な構成とされる。回転用モータ13は、制御部70に接続される。回転用モータ13は、制御部70によって、駆動を制御される。
【0038】
平滑基板支持部11の径方向外側で上方および下方となる位置には、それぞれ洗浄液ノズル14が設けられている。
洗浄液ノズル14は、平滑基板Mの洗浄中に平滑基板Mの表面Maおよび裏面Mbに対して洗浄液を噴射する。洗浄液ノズル14は、洗浄液供給部14aに接続される。洗浄液供給部14aは、例えばアルカリ性または中性の界面活性剤や超純水等である洗浄液を洗浄液ノズル14に供給する。
【0039】
平滑基板支持部11は、洗浄槽15の内部に配置されている。洗浄槽15は、平滑基板支持部11と同軸で、平滑基板支持部11の周囲に配置された側壁部を有する有底円筒状とされる。なお、基板支持シャフト12は、洗浄槽15の底部を貫通している。また、洗浄液ノズル14は、噴射位置が洗浄槽15の内部付近とされていれば、洗浄槽15を貫通するか否かは、どちらでもよい。洗浄槽15の上端は、径方向内側に屈曲していてもよい。洗浄槽15は、洗浄液ノズル14から噴射された洗浄液が外部に飛び散ることを抑制する。
【0040】
被洗浄物配置部10では、平滑基板支持部11に支持固定された平滑基板MをスポンジSに接触させて、互いに相対移動させて擦ることによって平滑基板Mを洗浄する。
【0041】
スポンジSは、平滑基板Mに接触してスクラブ洗浄を行う洗浄器具とされる。
スポンジSは、例えば、0.1mm程度、あるいは、ミクロンオーダーの細孔が均一に形成された多孔質材である。スポンジSは、例えばPVA(Polyvinyl Alcohol)やナイロン等の樹脂材料を発泡させて形成することができる。
なお、平滑基板Mを洗浄する洗浄器具として、樹脂性のスポンジ以外に、不織布等のパッドや毛ブラシ等を用いることも可能である。
スポンジSは、支持体30によって、被洗浄物配置部10と洗浄体配置部20との間を移動可能に支持されている。
【0042】
支持体30は、スポンジSを支持する支持アーム31と、回転用モータ32と、支持シャフト33と、上下移動用モータ34と、を有している。
支持アーム31は、先端にスポンジSを支持する。支持アーム31の基端部は、回転用モータ32に連結されて、回転用モータ32を中心として水平面内で回転動作が可能である。回転用モータ23は、正逆の回転駆動が可能な構成とされる。回転用モータ32は、制御部70に接続される。回転用モータ32は、制御部70によって、駆動を制御される。回転用モータ32は、鉛直方向に伸びる支持シャフト33の上端に配置される。
支持シャフト33の下端は、上下移動用モータ34に連結される。上下移動用モータ34は、支持シャフト33を上下方向に往復動作可能である。上下移動用モータ34は、制御部70に接続される。上下移動用モータ34は、制御部70によって駆動を制御される。
【0043】
支持アーム31は、スポンジ支持板35と、鉛直シャフト36と、回転用モータ37と、水平シャフト38と、を有している。
水平シャフト38は、水平方向に延在し、その基端部が回転用モータ32に連結される。水平シャフト38は、回転用モータ32によって、水平面内で回動される。水平シャフト38の先端には、回転用モータ37が配置される。
回転用モータ37は、鉛直方向の回転軸線を有する。回転用モータ37には、鉛直シャフト36を回転駆動する。回転用モータ37は、正逆の回転駆動が可能な構成とされる。回転用モータ37は、制御部70に接続される。回転用モータ37は、制御部70によって駆動を制御される。
鉛直シャフト36は、鉛直方向に延在する。鉛直シャフト36は、その上端が回転用モータ37に連結される。鉛直シャフト36の下端には、スポンジ支持板35が連結固定される。
スポンジ支持板35は、水平方向に主面を有する略円板状とされる。スポンジ支持板35の上面中央には、鉛直シャフト36の下端が固定される。スポンジ支持板35の下面には、複数のスポンジSが固定される。
【0044】
図2は、本発明のスポンジ支持板を示す下面図である。
スポンジ支持板35は、
図1,
図2に示すように、法線方向が上下方向に一致するように配置されている。スポンジ支持板35の下面には、複数のスポンジSが装着されている。
例えば、複数のスポンジSは、いずれも直方体状に成形される。スポンジSは、スポンジ支持板35に対して、互いに軸対称に配置される。スポンジSは、スポンジ支持板35に互いに間隔を有するように装着される。複数のスポンジSは、いずれもその下面がスポンジ支持板35の下面と平行となるように固定される。
スポンジ支持板35の下面には、
図2に示すように、4個のスポンジSが設けられる。4個のスポンジSは、上下方向から見て十字状となるように配置されてもよい。スポンジSの個数およびスポンジ支持板35における配置は、適宜選択可能である。
【0045】
鉛直シャフト36の下端部は、スポンジ支持板35の上面に固定されている。鉛直シャフト36の上端部は、回転用モータ37に連結されている。鉛直シャフト36は、回転用モータ37の駆動により回転する。これにより、スポンジSとスポンジ支持板35と鉛直シャフト36とは、一体となって鉛直シャフト36を中心に回転する。回転用モータ37には、水平方向に延びる水平シャフト38の一端部が連結されている。水平シャフト38の一端部は、回転用モータ37に固定されている。水平シャフト38の他端部には、回転用モータ32が連結されている。
【0046】
回転用モータ32は、後述する支持シャフト33を回転中心として支持アーム31を回転させる。回転用モータ32には、上下方向に延びる支持シャフト33の上端部が連結されている。
支持シャフト33の下端部には、上下移動用モータ34が連結されている。上下移動用モータ34は、支持シャフト33を上下方向に伸縮させることにより、支持シャフト33に連なる回転用モータ32および支持アーム31を上下方向に移動させる。
【0047】
支持体30は、回転用モータ32の駆動により支持シャフト33を中心として、支持アーム31を回転させる。
支持体30は、支持アーム31の回転により、平滑基板Mを洗浄したスポンジSを、平滑基板Mを洗浄する被洗浄物配置部10から、スポンジ(洗浄器具)Sを洗浄する洗浄体配置部20まで移動させる。また、支持体30は、支持アーム31の回転により、洗浄体配置部20で洗浄されたスポンジSを、洗浄体配置部20から、平滑基板Mを洗浄する被洗浄物配置部10まで移動させる。
【0048】
洗浄体配置部20は、スポンジSを洗浄する洗浄用基板支持部40と、洗浄用基板(洗浄体)Rの汚染度を計測する計測機50と、洗浄用基板(洗浄体)Rを交換する洗浄体交換部60と、を有する。
【0049】
洗浄用基板支持部40は、洗浄用基板(洗浄体)Rが搭載される搭載台41と、支持シャフト42と、回転用モータ43と、洗浄液ノズル44と、洗浄槽45と、を有している。
洗浄用基板(洗浄体)Rは、平面視して、スポンジ支持板35に固定された全てのスポンジSよりも大きな輪郭形状を有する平板とされる。
搭載台41は、洗浄用基板(洗浄体)Rが上面に載置される。搭載台41は、洗浄用基板(洗浄体)Rを支持固定する。搭載台41には、洗浄用基板(洗浄体)Rを固定するための固定ピン41aが複数設けられている。
【0050】
固定ピン41aは、洗浄用基板(洗浄体)Rの側面を挟み込むことより、洗浄用基板(洗浄体)Rを搭載台41に対して固定する。搭載台41には、洗浄用基板(洗浄体)Rが、表裏面の法線方向を上下方向と一致するように固定される。搭載台41の下側中央は、支持シャフト42の上端部に固定されている。
【0051】
支持シャフト42は、鉛直方向に延在する。支持シャフト42は、洗浄槽45を貫通する。支持シャフト42の下端は、回転用モータ43の回転軸に連結されている。回転用モータ43の回転軸は、鉛直方向に延在する。支持シャフト42は、回転用モータ43の駆動により回転する。回転用モータ43は、正逆の回転駆動が可能な構成とされる。回転用モータ43は、制御部70に接続される。回転用モータ43は、制御部70によって駆動を制御される。これにより、洗浄用基板(洗浄体)Rと搭載台41と固定ピン41aと支持シャフト42とは、一体となって支持シャフト42を中心に回転する。
【0052】
搭載台41の径方向外側で上方となる位置には、洗浄液ノズル44が設けられている。
洗浄液ノズル44は、スポンジSの洗浄中あるいは洗浄用基板(洗浄体)Rのクリーニング中に、洗浄用基板(洗浄体)Rの表面R1に対して洗浄液を噴射する。洗浄液ノズル44は、洗浄液供給部44aに接続される。
【0053】
洗浄液供給部44aは、スポンジSの洗浄中には、超純水等である洗浄液を洗浄液ノズル44に供給する。洗浄液供給部44aは、洗浄用基板(洗浄体)Rのクリーニング(再生処理)中には、例えばアルカリ性または中性の界面活性剤や超純水、強酸、強アルカリ、オゾン水、UV/O3、US等である洗浄液を洗浄液ノズル44に供給する。特に洗浄体に付着した有機異物や有機汚染を除去するには、オゾン水、硫酸、UV/O3を採用することが好ましい。
洗浄液ノズル44および洗浄液供給部44aは、洗浄用基板(洗浄体)Rのクリーニング、つまり、再生処理をおこなう薬液供給クリーニング部を構成する。
【0054】
搭載台41は、洗浄槽45の内部に配置されている。洗浄槽45は、搭載台41と同軸で、搭載台41の周囲に配置された側壁部を有する有底円筒状とされる。洗浄槽45の上端は、洗浄用基板(洗浄体)Rの表面R1よりも上方となるように形成される。洗浄槽45は、スポンジSの洗浄中に、スポンジSが洗浄液に浸漬される。
【0055】
計測機50は、洗浄用基板(洗浄体)Rの表面R1の汚染度を計測する。計測機50は、制御部70に接続される。計測機50は、計測した結果を制御部70に出力する。
計測機50は、例えば、コンフォーカル/微分干渉方式を応用した光学系をマルチビームレーザーに適用することにより、欠陥検出感度および機能を有するものとされる。その他光散乱方式による計測器50を採用することもできる。
計測機50は、スポンジ支持板35、スポンジS、支持アーム31等の移動に支障がない位置に設定される。
なお、計測機50は、搭載台41とは離間した位置で、洗浄用基板(洗浄体)Rの表面R1の汚染度を計測する構成とすることもできる。
【0056】
洗浄用基板(洗浄体)Rは、表面R1の法線方向が上下方向に一致するように、搭載台41に搭載される。
洗浄用基板(洗浄体)Rは、耐久性および耐薬品性に優れた基板である。
洗浄用基板(洗浄体)Rの表面には、スポンジSと接触し、スポンジSに付着した異物を除去するための器具洗浄面R1が形成される。器具洗浄面R1は、クロムを含有する材料で形成されることができる。
【0057】
器具洗浄面R1は、洗浄用基板(洗浄体)Rの上面の全域に形成される。器具洗浄面R1は、洗浄用基板(洗浄体)Rの縁部に形成しないこともできる。この場合、器具洗浄面R1は、平面視して、スポンジ支持板35に固定された全てのスポンジSよりも大きな輪郭形状を有する領域に形成される。
【0058】
具体的な洗浄用基板(洗浄体)Rとしては、石英ガラス基板に、クロム酸化膜を形成して、器具洗浄面R1とした構成を挙げることができる。
【0059】
洗浄用基板(洗浄体)Rとしては、非反応性、耐薬品性および耐変形性に優れた材料が用いられ、例えば、石英ガラス基板を用いることができる。
【0060】
また、石英ガラス基板の表面を研磨することで、石英ガラス基板のフラットネスを低減するようにしてもよい。石英ガラス基板のフラットネスは、例えば、20μm以下とすることができる。さらにフラットネスは10μm以下と、小さい方が良好である。
【0061】
器具洗浄面R1となるクロム酸化膜としては、Cr(クロム)、O(酸素)を主成分とするものであり、さらに、C(炭素)およびN(窒素)を含むものとされる。
この場合、器具洗浄面R1となるクロム酸化膜として、Crの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物および酸化炭化窒化物から選択される1つ、または、2種以上を積層して構成することもできる。さらに、器具洗浄面R1となるクロム酸化膜が厚み方向に異なる組成を有することもできる。
器具洗浄面R1となるクロム酸化膜は、後述するように、所定の表面粗さ(Ra)、所定の表面電位特性が得られるようにその厚み、および、Cr,N,C,O,Si等の組成比(atm%)および厚さ寸法が設定される。
【0062】
また、器具洗浄面R1としては、金属シリサイド膜、例えば、Ta、Ti、W、Mo、Zrなどの金属や、これらの金属どうしの合金とシリコンとを含む膜とすることができる。特に、金属シリサイドの中でもモリブデンシリサイドを用いることが好ましく、O(酸素)およびN(窒素)を含有するモリブデンシリサイド膜とすることもできる。
この場合、器具洗浄面R1となるモリブデンシリサイド膜としては、MoSiX(X≧2)膜(例えばMoSi2膜、MoSi3膜やMoSi4膜など)が挙げられる。
さらに、器具洗浄面R1となるモリブデンシリサイド膜は、C(炭素)含有することもできる。
【0063】
洗浄用基板(洗浄体)Rでは、器具洗浄面R1の表面粗さ(Ra)を、0.3nm~2.0nmの範囲に設定する。また、器具洗浄面R1における表面のζ電位が0となるpHを、5~10となるように設定する。
【0064】
洗浄用基板(洗浄体)Rでは、器具洗浄面R1となるクロム酸化膜を、公知のスパッタリング成膜方法によって形成することができる。
【0065】
洗浄体交換部60は、洗浄体配置部20で使用する洗浄用基板(洗浄体)Rを交換するための構成とされる。
洗浄体交換部60は、
図1に示すように、複数の洗浄用基板(洗浄体)Rを準備する洗浄体準備部61と、洗浄体準備部61と洗浄用基板支持部40との間で洗浄用基板(洗浄体)Rを搬送する洗浄体搬送部62と、洗浄体搬送部62を駆動する洗浄体駆動部63と、を有する。
【0066】
洗浄体準備部61は、複数の洗浄用基板(洗浄体)Rを収納する。洗浄体準備部61は、収納された複数の洗浄用基板(洗浄体)Rから、そのうちの一枚を選択して搬出される。また、洗浄体準備部61は、搬入された洗浄用基板(洗浄体)Rが、パーティクル等によって、汚染されないように収納する。洗浄体準備部61は、複数の洗浄用基板(洗浄体)Rを互いに離間した状態で収納可能である。洗浄体準備部61は、密閉可能である。また、洗浄体準備部61は、ケミカルフィルター等によって、所定の内部雰囲気を維持可能となっている。
なお、洗浄体準備部61は、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rと使用済みの洗浄用基板(洗浄体)Rとを、互いに異なる雰囲気で収納可能である。
【0067】
洗浄体搬送部62は、例えば、ロボットハンド等の搬送手段とされる。洗浄体搬送部62は、洗浄体準備部61から取り出した洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40まで搬送し、洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40の搭載台41に載置できる。また、洗浄体搬送部62は、搭載台41に載置された洗浄用基板(洗浄体)Rを取り出して、洗浄体準備部61まで搬送し、洗浄体準備部61の収容場所に洗浄用基板(洗浄体)Rを収納することができる。
【0068】
洗浄体駆動部63は、洗浄体搬送部62を上述したように駆動する。洗浄体駆動部63は、制御部70に接続される。洗浄体駆動部63は、制御部70によって駆動を制御される。
【0069】
以下、洗浄装置1における洗浄方法について説明する。
【0070】
まず、洗浄体配置部20において、制御部70によって洗浄体駆動部63を駆動し、洗浄体搬送部62によって、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄体準備部61から洗浄用基板支持部40まで搬送する。次いで、制御部70によって洗浄体駆動部63を駆動し、洗浄体搬送部62によって、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40の搭載台41に搭載し、固定ピン41aによって、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40の搭載台41に対して固定する。
【0071】
次いで、洗浄体配置部20においては、スポンジSの洗浄をおこなう。
このスポンジSの洗浄は、被洗浄物配置部10における平滑基板Mの洗浄に対する準備工程である。
【0072】
まず、1セット目の洗浄として、制御部70によって回転用モータ32を駆動して支持アーム31を移動させ、スポンジSを洗浄体配置部20に移動させる。支持アーム31の移動によって、スポンジSは洗浄用基板支持部40の上方に移動する。スポンジSは、洗浄用基板(洗浄体)Rの上方に配置される。
【0073】
続いて、制御部70によって上下移動用モータ34を駆動して支持アーム31を下方に移動させる。すると、支持アーム31のスポンジ支持板35に装着されたスポンジSは、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に圧接される。このとき、制御部70によって洗浄液供給部44aから洗浄液を供給された洗浄液ノズル44は、洗浄用基板(洗浄体)Rに向けて洗浄液を噴射する。あるいは、洗浄槽45に洗浄液を貯留してもよい。
【0074】
スポンジSと器具洗浄面R1とが圧接された状態で、制御部70によって回転用モータ37を駆動し、スポンジ支持板35とともにスポンジSを回転させる。スポンジ支持板35の回転速度は、例えば50rpm程度である。このとき、同時に制御部70によって回転用モータ43を駆動し、搭載台41とともに洗浄用基板(洗浄体)Rを回転させる。なお洗浄用基板(洗浄体)Rを静止したままとすることもできる。
洗浄用基板(洗浄体)Rは、スポンジ支持板35およびスポンジSと反対方向に回転する。洗浄用基板(洗浄体)Rの回転速度は、スポンジ支持板35の回転速度と同程度に設定する。洗浄用基板(洗浄体)Rの回転速度は、例えば50rpmである。
この回転状態で、スポンジSおよび洗浄用基板(洗浄体)Rを、所定のセット時間回転させる。1セット時間は、例えば2minとされる。これにより、スポンジSのうち器具洗浄面R1と接触した先端部を1セット分だけ洗浄する。
つまり、スポンジSに付着した汚染物が器具洗浄面R1に転写される。
【0075】
次に、使用済みの洗浄用基板(洗浄体)Rを、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rと交換する。
制御部70によって洗浄体駆動部63を駆動し、洗浄体搬送部62によって、使用済みの洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40の搭載台41から洗浄体準備部61まで搬送する。次いで、制御部70によって洗浄体駆動部63を駆動し、洗浄体搬送部62によって、洗浄用基板(洗浄体)Rを使用済みの収納場所に対応した洗浄体準備部61に収納する。
【0076】
さらに、制御部70によって洗浄体駆動部63を駆動し、洗浄体搬送部62によって、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄体準備部61から洗浄用基板支持部40まで搬送する。次いで、制御部70によって洗浄体駆動部63を駆動し、洗浄体搬送部62によって、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40の搭載台41に搭載し、固定ピン41aによって、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40の搭載台41に対して固定する。
【0077】
次いで、2セット目の洗浄として、制御部70によって回転用モータ32を駆動して支持アーム31を移動させ、スポンジSを洗浄用基板支持部40の上方に移動させる。スポンジSは、洗浄用基板(洗浄体)Rの上方に配置される。続いて、制御部70によって上下移動用モータ34を駆動して支持アーム31を下方に移動させる。すると、支持アーム31のスポンジ支持板35に装着されたスポンジSは、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に圧接される。このとき、洗浄液ノズル44は、洗浄用基板(洗浄体)Rに向けて洗浄液を噴射する。あるいは、洗浄槽45に洗浄液を貯留してもよい。
【0078】
スポンジSと器具洗浄面R1とが圧接された状態で、制御部70によって回転用モータ37を駆動し、スポンジ支持板35とともにスポンジSを回転させる。スポンジ支持板35の回転速度は、例えば50rpm程度である。このとき、同時に制御部70によって回転用モータ43を駆動し、搭載台41とともに洗浄用基板(洗浄体)Rを回転させる。なお洗浄用基板(洗浄体)Rを静止したままとすることもできる。
洗浄用基板(洗浄体)Rは、スポンジ支持板35およびスポンジSと反対方向に回転する。洗浄用基板(洗浄体)Rの回転速度は、スポンジ支持板35の回転速度と同程度に設定する。洗浄用基板(洗浄体)Rの回転速度は、例えば50rpmである。
【0079】
2セット目の洗浄においては、スポンジSおよび洗浄用基板(洗浄体)Rの回転方向は、1セット目の洗浄とは、いずれも逆方向となるように設定する。
この回転状態で、スポンジSおよび洗浄用基板(洗浄体)Rを、所定のセット時間回転させる。なお洗浄用基板(洗浄体)Rを静止したままとすることもできる。2セット目の洗浄時間は、1セット目の洗浄と同じに設定する。2セット目の洗浄時間は、例えば2minとされる。これにより、スポンジSのうち器具洗浄面R1と接触した先端部が2セット分だけ洗浄される。
つまり、スポンジSに付着した汚染物が器具洗浄面R1に転写される。
【0080】
スポンジSの洗浄は、洗浄用基板(洗浄体)Rを付け替えて10セット程度おこなうことができる。
【0081】
これにより、スポンジSは、平滑基板Mの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得る。
【0082】
10セット目の洗浄が終了したら、計測工程として、最後に用いた洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の汚染度を、計測機50により計測する。計測機50は、計測した結果を制御部70に出力する。
器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を超えていた場合、制御部70は、判断工程として、スポンジSが平滑基板Mの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていないと判断する。
この場合、制御部70は、再度スポンジSの洗浄を行うよう制御信号を出力する。
また、器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を下回っていた場合、制御部70は、判断工程として、スポンジSが平滑基板Mの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていると判断する。
【0083】
なお、10セットのうち、いずれかのセットの洗浄が終了した時点で、計測工程として、計測機50により、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の汚染度を計測することもできる。この場合も、器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を下回っていた場合、制御部70は、判断工程として、スポンジSが平滑基板Mの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていると判断し、それ以降のセットの洗浄をおこなわないことができる。
【0084】
続いて、被洗浄物配置部10において、平滑基板Mを洗浄する。
平滑基板Mの洗浄では、まず、被洗浄物である平滑基板Mを平滑基板支持部11にセットする。ここで、基板支持ピン11bにより、平滑基板Mの縁部を側方から挟持して固定する。
この状態で、制御部70は、回転用モータ32を駆動して支持アーム31を移動させ、スポンジSを被洗浄物配置部10に移動させる。支持アーム31の移動によって、スポンジSは平滑基板支持部11の上方に移動させる。スポンジSは、平滑基板Mの上方に配置される。
【0085】
続いて、制御部70によって上下移動用モータ34を駆動して支持アーム31を下方に移動させる。すると、支持アーム31のスポンジ支持板35に装着されたスポンジSは、平滑基板Mの一方主面Maに圧接される。このとき、洗浄液ノズル14は、平滑基板Mに向けて連続的に洗浄液を噴射している。
【0086】
スポンジSと一方主面Maとが圧接された状態で、制御部70によって回転用モータ37を駆動し、スポンジ支持板35とともにスポンジSを回転させる。このとき、同時に制御部70によって回転用モータ13を駆動し、平滑基板支持部11とともに平滑基板Mを回転させる。平滑基板支持部11および平滑基板Mは、スポンジ支持板35およびスポンジSと反対方向に回転する。
【0087】
これにより、平滑基板Mの一方主面Maは、洗浄される。平滑基板Mの一方主面Maの洗浄が終了した後、洗浄液ノズル14からの洗浄液の噴射を停止する。
続いて、平滑基板Mを反転させて平滑基板支持部11で支持する。平滑基板Mの他方主面MbをスポンジS側に向けた配置とする。この状態で、平滑基板Mの他方主面Mbを、一方主面Maと同様の手法で洗浄する。
【0088】
ここで、洗浄体配置部20においては、被洗浄物配置部10での平滑基板Mの洗浄中に、洗浄用基板(洗浄体)Rを交換し、洗浄用基板支持部40に未使用の新しい洗浄用基板(洗浄体)Rを取り付ける。
または、洗浄体配置部20においては、被洗浄物配置部10での平滑基板Mの洗浄中に、クリーニング工程として、使用済みの洗浄用基板(洗浄体)Rに対して、使用済みの洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の再生処理、つまり、クリーニングを行う。
つまり、被洗浄物配置部10での平滑基板Mの洗浄と、洗浄体配置部20での洗浄用基板(洗浄体)Rのリフレッシュとを、並行して同時におこなう。
ここで、洗浄用基板(洗浄体)Rのリフレッシュとは、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rへの交換と、使用済みの洗浄用基板(洗浄体)Rのクリーニングとを含む。
【0089】
洗浄体配置部20における器具洗浄面R1の再生処理では、器具洗浄面R1に付着した異物を除去する。器具洗浄面R1の再生処理としては、例えば強酸や強アルカリ、オゾン水を用いて洗浄する方法や、UV/O3処理、US洗浄等をあげることができる。
ここでは、洗浄液供給部44aから上記の薬液を洗浄液ノズル44を介して供給し、器具洗浄面R1に対する再生処理、つまり、クリーニングを行う。ここで、再生処理、つまり、クリーニングにおける処理は、処理液を洗浄槽45に貯留して行うこともできる。
【0090】
器具洗浄面R1の再生処理により、洗浄用基板(洗浄体)RからスポンジSへ異物が展着すること(クロスコンタミ)を抑制することができる。また、器具洗浄面R1の再生処理により、異物によって器具洗浄面R1の表面粗さや電気特性などの表面特性が変化することを防止できる。さらに、この器具洗浄面R1の表面特性変化によって生じる洗浄用基板(洗浄体)Rの洗浄効果の低下も抑制することができる。
【0091】
続いて、被洗浄物配置部10において平滑基板Mの洗浄が終了したら、制御部70によっては回転用モータ32を駆動して支持アーム31を移動させ、スポンジSを洗浄体配置部20側に移動する。
被洗浄物配置部10においては、平滑基板支持部11による洗浄の終了した平滑基板Mの支持を解除し、次工程へと搬送する。このとき、次の処理をおこなう未処理の平滑基板Mを平滑基板支持部11にセットしてもよい。
【0092】
洗浄体配置部20においては、平滑基板Mの洗浄により汚染されたスポンジSの洗浄をおこなう。
このスポンジSの洗浄は、被洗浄物配置部10における次の平滑基板Mの洗浄に対する準備工程となる。
【0093】
上述したスポンジSの洗浄と同様に、制御部70によって回転用モータ32を駆動して支持アーム31を移動させ、スポンジSをスポンジ支持板35とともに洗浄用基板支持部40の上方に移動させる。スポンジSは、スポンジ支持板35とともに洗浄用基板(洗浄体)Rの上方に配置される。
このとき、洗浄用基板(洗浄体)Rは交換、あるいは、再生処理されてリフレッシュした状態となっている。
【0094】
続いて、制御部70によって上下移動用モータ34を駆動して支持アーム31を下方に移動させる。すると、支持アーム31のスポンジ支持板35に装着されたスポンジSは、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に圧接される。
【0095】
スポンジSと器具洗浄面R1とが圧接された状態で、制御部70によって回転用モータ37を駆動し、スポンジ支持板35とともにスポンジSを回転させる。スポンジ支持板35の回転速度は、上述したスポンジSの洗浄と同様に、例えば50rpm程度となるように設定する。このとき、同時に制御部70によって回転用モータ43を駆動し、搭載台41とともに洗浄用基板(洗浄体)Rを回転させる。洗浄用基板(洗浄体)Rは、スポンジ支持板35およびスポンジSと反対方向に回転する。なお洗浄用基板(洗浄体)Rを静止したままとすることもできる。
洗浄用基板(洗浄体)Rの回転速度は、上述したスポンジSの洗浄と同様に、スポンジ支持板35の回転速度と同程度に設定する。洗浄用基板(洗浄体)Rの回転速度は、例えば50rpm程度に設定する。
この回転状態で、スポンジSおよび洗浄用基板(洗浄体)Rを2min回転させる。これにより、スポンジSのうち器具洗浄面R1と接触した先端部を洗浄する。
つまり、スポンジSに付着した汚染物が器具洗浄面R1に転写される。
ここで、スポンジSの洗浄は、上述したスポンジSの洗浄と同様に、1セットの洗浄を2minとして、セット毎に交互に逆回転となるように設定ながら、10セットの洗浄をおこなう。
【0096】
10セット目の洗浄が終了したら、計測工程として、最後に用いた洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の汚染度を、計測機50により計測する。計測機50は、計測した結果を制御部70に出力する。
器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を超えていた場合、制御部70は、判断工程として、スポンジSが平滑基板Mの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていないと判断する。
この場合、制御部70は、再度スポンジSの洗浄を行うよう制御信号を出力する。
また、器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を下回っていた場合、制御部70は、判断工程として、スポンジSが平滑基板Mの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていると判断する。
【0097】
同様に、10セットのうち、いずれかのセットの洗浄が終了した時点で、計測工程として、計測機50により、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の汚染度を計測することもできる。この場合も、器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を下回っていた場合、制御部70は、スポンジSが平滑基板Mの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていると判断し、それ以降のセットの洗浄をおこなわないことができる。
【0098】
なお、洗浄体配置部20におけるスポンジSの洗浄中に、被洗浄物配置部10において、平滑基板支持部11に次に洗浄する平滑基板Mを取り付ける。ここで、基板支持ピン11bにより、平滑基板Mの縁部を側方から挟持して固定しておく。
【0099】
続いて被洗浄物配置部10において、次の平滑基板Mを洗浄する。
この平滑基板Mの洗浄では、被洗浄物である平滑基板Mは、洗浄体配置部20におけるスポンジSの洗浄中に、既に、平滑基板支持部11にあらかじめセットされている。
この状態で、同様にして、制御部70は、回転用モータ32を駆動して支持アーム31を移動させ、スポンジSを被洗浄物配置部10に移動して、上記と同様の手法で平滑基板Mを洗浄する。
【0100】
ここで、洗浄体配置部20では、被洗浄物配置部10での平滑基板Mの洗浄中に、計測工程として、スポンジSを洗浄した洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の汚染度を、計測機50により測定する。計測機50は、計測工程で計測した結果を制御部70に出力する。
被洗浄物配置部10での平滑基板Mの洗浄中において、制御部70は、判断工程として、洗浄用基板(洗浄体)RがスポンジSの洗浄に引き続き使用できるか判断する。
器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を超えていた場合、制御部70は、判断工程として、洗浄用基板(洗浄体)RがスポンジSの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていないと判断する。
この場合、制御部70は、洗浄用基板(洗浄体)Rのリフレッシュ、つまり、洗浄用基板(洗浄体)Rの交換または再生処理を行うよう制御信号を出力する。
また、器具洗浄面R1の汚染度が所定の値を下回っていた場合、制御部70は、判断工程として、洗浄用基板(洗浄体)RがスポンジSの洗浄に用いるために十分な洗浄度を得ていると判断する。
【0101】
洗浄用基板(洗浄体)RがスポンジSの洗浄に使用できない場合、器具洗浄面R1に再生処理を行うか新しい洗浄用基板(洗浄体)Rを洗浄用基板支持部40に取り付ける。
以上の工程を繰り返し行い、複数の平滑基板Mを洗浄する。
【0102】
本実施形態の洗浄用基板(洗浄体)Rは、器具洗浄面R1において表面粗さを上記の範囲に設定したことにより、スポンジSから異物の離脱をより一層促進することができる。これにより、スポンジSからの異物除去率を向上することができ、スポンジSの清浄度を向上できる。同時に、器具洗浄面R1への異物の付着をより一層容易にすることができる。これにより、スポンジSへの異物の再付着を抑制することができる。
本実施形態の洗浄用基板(洗浄体)Rは、器具洗浄面R1において表面粗さを上記の範囲に設定したことにより、器具洗浄面R1に形成された凹凸が、パーティクルや有機物などの異物あるいは汚染物を捕獲しやすくなる。すなわち、器具洗浄面R1に異物が付着しやすくなる。このため、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1にスポンジSを接触させ、器具洗浄面R1に押圧しながら回転させることにより、スポンジSに付着した異物を確実に除去できる。したがって、スポンジSの洗浄度を維持または向上することが可能となる。
【0103】
本実施形態の洗浄用基板(洗浄体)Rは、器具洗浄面R1において、表面電位の状態を上述した範囲に設定したことで、異物を器具洗浄面R1に付着させる際に、異物と器具洗浄面R1との間に働く斥力を低減して、器具洗浄面R1への異物の付着をより一層容易にすることができる。
器具洗浄面R1において、表面電位の状態を上述した範囲に設定したことにより、例えば純水等洗浄水に対応したほぼ中性である器具洗浄面R1のζ電位は殆ど0となる。
したがって、スポンジSに悪影響のあるような強い薬液を用いた特別な環境下に器具洗浄面R1を置くことなく、異物と器具洗浄面R1との間に働くζ電位による斥力を抑制することができる。このため、器具洗浄面R1には異物が付着しやすくなる。これにより、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1にスポンジSを接触させ、器具洗浄面R1に押圧しながらスポンジSを相対回転させることにより、スポンジSに付着した異物を確実に除去できる。したがって、スポンジSへの洗浄効果を向上することが可能となる。また、器具洗浄面R1における洗浄効果の低減を防止し、器具洗浄面R1の洗浄効果を維持することが可能となる。
【0104】
本実施形態の洗浄用基板(洗浄体)Rは、クロム酸化膜によって形成された器具洗浄面R1を有する。このクロム酸化膜をスパッタリングにより形成することで、上述した表面粗さnの範囲と表面電位状態の範囲とを設定することが可能となる。これにより、器具洗浄面R1が、パーティクルや有機物である異物を付着しやすくなる。このため、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1にスポンジSを接触させ、器具洗浄面R1に押圧しながら回転させることにより、スポンジSに付着した異物を確実に除去できる。したがって、スポンジSの洗浄における異物除去の程度を維持または向上することが可能となる。
【0105】
本実施形態の洗浄装置1は、洗浄用基板(洗浄体)Rを備えている。これにより、スポンジ(洗浄器具)Sの清浄度を維持または向上することが可能となる。
【0106】
本実施形態では、洗浄装置1が被洗浄物配置部10と洗浄体配置部20とを備えることで、平滑基板Mの洗浄と、スポンジ(洗浄器具)S洗浄の準備とを、並行して同時におこなうことが可能となる。また、平滑基板Mの洗浄と、洗浄用基板(洗浄体)Rの交換または再生としてのリフレッシュとを、並行して同時におこなうことが可能となる。さらに、平滑基板Mの洗浄と、器具洗浄面R1またはスポンジ(洗浄器具)Sの洗浄結果の判断とを、並行して同時におこなうことが可能となる。
本実施形態では、洗浄装置1が、平滑基板支持部11と洗浄用基板支持部40とを備えている。これにより、平滑基板支持部11で平滑基板Mを洗浄している間に、洗浄用基板支持部40でスポンジSを洗浄する準備を整えることができる。また、洗浄用基板支持部40でスポンジSを洗浄している間に、平滑基板支持部11で平滑基板Mを洗浄する準備を整えることができる。したがって、洗浄装置1による平滑基板Mの洗浄を妨げることなく、スポンジSの洗浄における異物除去の度合いを維持または向上することが可能となる。
洗浄装置1は、スポンジSを支持する支持体30を備えている。支持体30は、平滑基板支持部11から洗浄用基板支持部40までの区間でスポンジSを移動させる。これにより、平滑基板Mを洗浄したスポンジSをスムーズに洗浄用基板支持部40まで移動できる。また、洗浄用基板(洗浄体)Rにより洗浄されたスポンジSをスムーズに平滑基板支持部11まで移動できる。したがって、平滑基板Mの洗浄にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0107】
洗浄装置1は、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の汚染度を計測する計測機50を備えることができる。
これにより、スポンジSを洗浄した後、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1の汚染度を計測できる。このため、スポンジSの洗浄に使用できないほど器具洗浄面R1が汚染された洗浄用基板(洗浄体)Rを判別して、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rに交換できる。または、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に対して異物を除去する再生処理を行うことができる。したがって、未使用の洗浄用基板(洗浄体)Rまたは器具洗浄面R1の汚染度が低い洗浄用基板(洗浄体)Rを用いてスポンジSを洗浄できるので、より確実にスポンジSの洗浄をおこなって、スポンジSの清浄度を維持または向上することが可能となる。
また、器具洗浄面R1に対する再生処理が可能となるため、スポンジSの洗浄に使用できる洗浄用基板(洗浄体)Rを廃棄することがなくなるため、平滑基板Mの洗浄にかかるコストを抑制することも可能となる。また、計測機50の側的に基づいた制御部(判断部)70の判断により再生処理を行う適切なタイミングを判断できるので、洗浄に係る費用を抑制しつつ、洗浄用基板(洗浄体)Rの洗浄にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
さらに、本発明は上記の実施形態における個々の構成を適宜選択して、それぞれ組み合わせることも可能樽。
【0109】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【実施例】
【0110】
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
なお、本発明における洗浄用基板(洗浄体)Rに関する具体例として、確認試験について説明する。
【0111】
<実験例1>
実験例1では、まず、スポンジSを洗浄する洗浄用基板(洗浄体)Rとして、酸化クロム薄膜付きガラス基板Rを10枚準備した。基板Rは、両主表面及び端面が精密研磨された約152.1mm×約152.1mm×約6.25mmの石英ガラス基板に、クロムを含有する薄膜を有している。この膜は、例えば、酸化窒化クロム(CrON)であり、その組成比は、Crの含有率が30atm%、Oの含有率が45atm%、Nの含有率が25atm%である。また、クロム含有膜は、膜厚が25nmである。
準備した10枚の薄膜付き洗浄用基板(洗浄体)Rのうちの1枚に対し、表面粗さRaと、表面の電荷零点(または等電点)pH0とを測定した。なお、pH0の値はいずれも電気泳動法や流動電位法などの界面動電測定により,ゼータ電位が零の点として測定した値である。
この薄膜表面の表面粗さRaは、0.3nm~2.0nmであった。
この薄膜表面でのpH0の値は、5~10であった。
【0112】
<実験例2>
次に、実験例2の条件3として、PVA製スポンジからなる新品のスポンジ(アイオン社製)を準備した。
このスポンジSを
図1に示す洗浄装置1に取り付けて、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に対して、互いに逆回転で2分間擦りつける処理を、それぞれの回転方向を逆にして交互に行い、このような処理を10セット繰り返して、合計20分の処理をおこなった。なお、洗浄用基板(洗浄体)Rは、1セット毎に新しいものに交換した。
【0113】
次に、実験例2の条件2として、同様に、スポンジSを準備した。
また、洗浄用基板(洗浄体)Rに変えて、清浄なガラス基板として、洗浄用基板(洗浄体)Rのクロム膜を形成していない石英ガラス基板を用意し、スポンジSを
図1に示す洗浄装置1に取り付けて、石英ガラス基板に対して、互いに逆回転で2分間擦りつける処理を、それぞれの回転方向を逆にして交互に行い、このような処理を10セット繰り返して、合計20分の処理をおこなった。なお、石英ガラス基板は、1セット毎に新しいものに交換した。
この薄膜表面の表面粗さRaは、0.1nm~0.2nmであった。
この薄膜表面でのpH
0の値は、~2であった。
【0114】
次に、実験例2の条件1として、同様に、スポンジSを用意し、超音波が印加されている純水(DIW:Deionized Water)中にスポンジを20分間浸漬させる処理をおこなった。
【0115】
実験例2として、これらの条件において、条件3で使用したものとは異なる洗浄用基板(洗浄体)Rを検証用としてそれぞれ用意し、スポンジ洗浄工程前後において、検証用の器具洗浄面R1に付着している異物の個数をそれぞれ測定し、異物の除去度合い、つまり、スポンジSの清浄度を得た。
実験例2の結果を
図3および表1に示す。
【0116】
異物の個数の測定には、マスクブランク検査装置(レーザーテック株式会社製 M1320)を使用した。
図3および表1において、サイズ別の異物欠陥個数におけるサイズdは、予め粒径が分かっているPSL粒子を散布した基板を用いて較正したマスクブランク検査装置で判定された異物のサイズのことを指す。
【0117】
【0118】
図3および表1に示す結果から、条件1に対して、ガラス基板を用いる条件2では、異物数が減少しているが、本発明である条件3ではさらに、異物を除去できていることがわかる。
また、条件1で残っていた0.1μmよりも小さい異物が、条件3では、条件1に比べて1割程度になるまで除去できていることがわかる。つまり、小さなパーティクルを除去することが容易であることも解る。
【0119】
<実験例3>
つぎに、スポンジ洗浄工程として、PVA製スポンジからなる新品のスポンジ(アイオン社製)を準備した。
このスポンジSを
図1に示す洗浄装置1に取り付けて、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に対して、互いに逆回転で2分間擦りつける処理を、それぞれの回転方向を逆にして交互に行い、このような処理を10セット繰り返して、合計20分の処理をおこなった。なお、洗浄用基板(洗浄体)Rは、1セット毎に新しいものに交換した。
その結果を
図4および表2に示す。
【0120】
【0121】
実験例2と同様に、スポンジ洗浄工程において、各セットで使用した洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に付着している異物の個数をそれぞれ測定した結果である。
【0122】
図4および表2に示す結果から、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1にスポンジSを擦りつけるセットが増えるにつれて、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に付着した異物の個数は徐々に減少している。また、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1に付着している異物のサイズも、セットが多くなるにつれて小さくなってきている。この結果より、洗浄用基板(洗浄体)Rの器具洗浄面R1にスポンジSを接触させることによって、スポンジSに付着している異物を器具洗浄面R1に転写することができることを確認できた。
【0123】
さらに、1セット目で残っていた0.1μmよりも小さい異物が、10セット目ではまったくなく、1セット目に比べて1割以下になるまで除去できていることがわかる。つまり、小さなパーティクルを除去することが容易であることも解る。
【符号の説明】
【0124】
M…平滑基板(被洗浄物)
1…洗浄装置
10…被洗浄物配置部
11…平滑基板支持部
14a…洗浄液供給部
15…洗浄槽
20…洗浄体配置部
30…支持体
35…スポンジ支持板
40…洗浄用基板支持部
41…搭載台
44…洗浄液ノズル(薬液供給クリーニング部)
44a…洗浄液供給部(薬液供給クリーニング部)
45…洗浄槽
50…計測機
60…洗浄体交換部
61…洗浄体準備部
62…洗浄体搬送部
63…洗浄体駆動部
70…制御部(判断部)
110…製造装置
R…洗浄用基板(洗浄体)
R1…器具洗浄面
S…スポンジ(洗浄器具)