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特許7426899放射線撮影装置、放射線撮影システム、放射線撮影装置の制御方法、および、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】放射線撮影装置、放射線撮影システム、放射線撮影装置の制御方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240126BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240126BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
A61B6/00 300S
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020091443
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021186001
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 重夫
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-171199(JP,A)
【文献】特開2005-046203(JP,A)
【文献】特開2020-065727(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0146192(US,A1)
【文献】特開2005-211488(JP,A)
【文献】特開平04-129482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
G01T 1/00 - 7/12
H04N 5/30 - 5/325
H04N 25/00 -25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影モードのそれぞれのモードに応じた複数の第1ゲイン補正データを予め記憶した第1メモリと、前記第1メモリよりも読み出し速度が速い第2メモリと、制御部と、を含み、前記複数の撮影モードで撮影可能な放射線撮影装置であって、
前記制御部は、
前記放射線撮影装置の起動後に、前記第1メモリに格納された前記複数の第1ゲイン補正データに基づいて、前記複数の第1ゲイン補正データのそれぞれに対応する複数の第2ゲイン補正データを前記第2メモリに格納し、
前記放射線撮影装置の起動から前記複数の第2ゲイン補正データのすべてを前記第2メモリに格納するまでの格納期間において、ユーザから撮影要求があり、かつ、前記複数の第2ゲイン補正データのうち撮影要求に係る要求撮影モードに応じた要求ゲイン補正データが前記第2メモリに格納済みである場合、前記要求撮影モードでの放射線画像データおよびオフセット補正データの取得と、前記放射線画像データに対して前記オフセット補正データおよび前記第2メモリに格納された前記要求ゲイン補正データを用いた補正処理と、を行うことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記複数の第1ゲイン補正データは、それぞれ1つ以上のゲイン補正データを含む第1グループおよび第2グループを構成し、
前記制御部は、
前記複数の第1ゲイン補正データのうち前記第1グループに含まれる第1グループデータに基づいて、前記第1グループデータに対応する前記複数の第2ゲイン補正データのうち第1グループ対応データを前記第2メモリに格納した後に、前記複数の第1ゲイン補正データのうち前記第2グループに含まれる第2グループデータに基づいて、前記第2グループデータに対応する前記複数の第2ゲイン補正データのうち第2グループ対応データを前記第2メモリに格納し、
前記格納期間のうち前記第1グループデータを前記第2メモリに格納した後の期間において、ユーザから撮影要求があり、かつ、前記要求ゲイン補正データが前記第1グループ対応データに含まれる場合、前記要求撮影モードで放射線画像データおよびオフセット補正データの取得を開始することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2メモリに前記第1グループ対応データのすべてが格納されるまで、ユーザから撮影要求を受け付けないことを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記放射線撮影装置は、報知部をさらに含み、
前記報知部は、前記第1グループ対応データのすべてが、前記第2メモリに格納されたことを報知することを特徴とする請求項2または3に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記放射線撮影装置は、報知部をさらに含み、
前記報知部は、前記格納期間において、前記複数の第2ゲイン補正データのうち前記第2メモリに格納された第2ゲイン補正データを報知することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記報知部が、前記複数の第2ゲイン補正データのすべてが前記第2メモリに格納されたことを報知することを特徴とする請求項4または5に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記放射線撮影装置は、前記要求撮影モードで放射線画像データを取得する前に、前記要求撮影モードでオフセット補正データの取得を行うことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1メモリに格納された前記複数の第1ゲイン補正データを所定の順番で読み出し、前記複数の第1ゲイン補正データに対応する前記複数の第2ゲイン補正データを前記所定の順番で前記第2メモリに格納し、
前記所定の順番が、ユーザによって設定可能であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記第2メモリが、揮発性メモリを含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記放射線撮影装置が、前記要求撮影モードで取得したオフセット補正データを記憶する第3メモリをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記第3メモリが、前記第1メモリよりも読み出し速度が速いことを特徴とする請求項10に記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記第3メモリが、揮発性メモリを含むことを特徴とする請求項10または11に記載の放射線撮影装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の放射線撮影装置と、
前記放射線撮影装置に放射線を照射する放射線発生装置と、
を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項14】
複数の撮影モードのそれぞれのモードに応じた複数の第1ゲイン補正データを予め記憶した第1メモリと、前記第1メモリよりも読み出し速度が速い第2メモリと、を含み、前記複数の撮影モードで撮影可能な放射線撮影装置の制御方法であって、
前記放射線撮影装置の起動後に、前記第1メモリに格納された前記複数の第1ゲイン補正データに基づいて、前記複数の第1ゲイン補正データのそれぞれに対応する複数の第2ゲイン補正データのすべてを前記第2メモリに格納する工程を含み、
前記工程において、ユーザから撮影要求があり、かつ、前記複数の第2ゲイン補正データのうち撮影要求に係る要求撮影モードに応じた要求ゲイン補正データが前記第2メモリに格納済みである場合、
前記要求撮影モードでの放射線画像データおよびオフセット補正データの取得と、
前記放射線画像データに対して前記オフセット補正データおよび前記第2メモリに格納された前記要求ゲイン補正データを用いた補正処理と、
を行うことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
コンピュータに、請求項14に記載の制御方法の各工程を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影装置、放射線撮影システム、放射線撮影装置の制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療画像診断や非破壊検査において、放射線撮影装置が広く使用されている。特許文献1には、動画や静止画の撮影など、複数の撮影モードによる撮影が可能な放射線撮影装置が示されている。複数の撮影モードによる撮影において、それぞれの撮影モードに適した放射線画像を得るために、オフセット補正やゲイン補正が行われる。オフセット補正用のデータは、温度などの環境によってオフセット量などの特性が変化しやすいため、放射線撮影装置の電源が投入された後に放射線を照射しない状態で取得される。また、ゲイン補正用のデータは、温度などの影響を受け難いため、不揮発性メモリなどに予め記録され、放射線撮影装置の電源が投入された後に演算用の高速メモリに読み出されて使用されうる。撮影モードの数が多くなると、オフセット補正用のデータの取得やゲイン補正用のデータの読み出しに時間がかかり、放射線撮影装置の電源の投入から撮影が可能になるまでの時間が長くなってしまう。特許文献1では、優先順位の高い撮影モードからオフセット補正用のデータの取得とゲイン補正用のデータの高速メモリへの読み出しとを含む撮影準備を行い、撮影準備中であっても、撮影準備が完了した撮影モードは、その撮影モードによる撮影を許可されることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-198209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電源の投入後に順次、すべての撮影モードのオフセット補正用のデータを取得するため、すべての撮影モードの撮影準備が完了するまでの時間が長くなりうる。また、オフセット補正は、温度などの環境によって特性が変化しやすいため、オフセット補正用のデータを取得した後、実際に撮影を行うまでの間に、オフセット量などの特性が変化してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、放射線撮影装置において、撮影が可能になるまでの時間を抑制し、かつ、取得される放射線画像の画質の向上に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る放射線撮影装置は、複数の撮影モードのそれぞれのモードに応じた複数の第1ゲイン補正データを予め記憶した第1メモリと、第1メモリよりも読み出し速度が速い第2メモリと、制御部と、を含み、複数の撮影モードで撮影可能な放射線撮影装置であって、制御部は、放射線撮影装置の起動後に、第1メモリに格納された複数の第1ゲイン補正データに基づいて、複数の第1ゲイン補正データのそれぞれに対応する複数の第2ゲイン補正データを第2メモリに格納し、放射線撮影装置の起動から複数の第2ゲイン補正データのすべてを第2メモリに格納するまでの格納期間において、ユーザから撮影要求があり、かつ、複数の第2ゲイン補正データのうち撮影要求に係る要求撮影モードに応じた要求ゲイン補正データが第2メモリに格納済みである場合、要求撮影モードでの放射線画像データおよびオフセット補正データの取得と、放射線画像データに対してオフセット補正データおよび第2メモリに格納された要求ゲイン補正データを用いた補正処理と、を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によって、放射線撮影装置において、撮影が可能になるまでの時間を抑制し、かつ、取得される放射線画像の画質の向上に有利な技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る放射線撮影装置を含む放射線撮影システムの構成例を示す図。
図2図1の放射線撮影装置の画像データの補正動作を説明するブロック図。
図3図1の放射線撮影装置の撮影モードを示す図。
図4図1の放射線撮影装置の撮影モードの優先度を示す図。
図5図1の放射線撮影装置のゲイン補正データの展開処理の概略を示すフロー図。
図6図1の放射線撮影装置のゲイン補正データの展開処理を示すフロー図。
図7図1の放射線撮影装置の撮影処理を示すフロー図。
図8図1の放射線撮影装置の撮影モードごとの展開順を示す図。
図9図1の放射線撮影装置のゲイン補正データの展開処理を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
また、本発明における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども含みうる。
【0011】
第1実施形態
図1~7を参照して、本実施形態による放射線撮影装置の構成、および、動作について説明する。図1は、第1実施形態における放射線撮影装置100を備える放射線撮影システムSYSの全体構成例を示すシステムブロック図である。放射線撮影システムSYSは、放射線撮影装置100、コンピュータ104、放射線発生装置105、放射線制御装置106、表示装置107、制御卓108を含み、被写体109を撮影する構成である。
【0012】
放射線撮影装置100は、シンチレータ101、撮影パネル102、制御部103、メモリ203、204、205を含む。シンチレータ101は、放射線を撮影パネル102に配された検出素子が検出可能な波長帯域の光に変換する変換部である。制御部103は、放射線撮影装置100の全体を制御する機能を備える。より具体的には、制御部103は、不図示の外部電源や内蔵バッテリから電力の供給を受け放射線撮影装置100全体に電力を供給するレギュレータ機能を備える。また、制御部103は、撮影パネル102を駆動する機能と、撮影パネル102で取得された放射線画像データを読み出す機能と、撮影パネル102から読み出した放射線画像データに対して補正処理を行う機能と、を有する。制御部103が行う補正処理は、オフセット補正およびゲイン補正を含む。オフセット補正は、放射線を照射しない状態で取得した画像データをオフセット補正データとし、放射線画像データに対してオフセット補正データを用いて補正を行う方法が知られている。また、ゲイン補正は、被写体109を介さずに放射線を照射して取得した画像データをゲイン補正データとし、放射線画像データに対してゲイン補正データを用いて補正を行う方法が知られている。
【0013】
コンピュータ104は、ユーザによる設定などに従って、放射線撮影システムSYSの全体を制御する機能を備える。ユーザは、制御卓108を介して、放射線画像を撮影する際の撮影モードなどの設定をコンピュータ104に入力する。コンピュータ104は、設定された撮影モードに応じて放射線撮影装置100および放射線制御装置106を制御する。放射線制御装置106は、コンピュータ104からの制御に従って、放射線発生装置105を動作させる。放射線発生装置105は、放射線制御装置106の制御に従って、放射線撮影装置100に放射線を照射する。
【0014】
図2は、放射線撮影装置100のメモリ203、204、205の構成と制御部103における補正処理の流れとをブロック図で表したものである。放射線撮影装置100における複数の撮影モードでの撮影を可能にするために、不揮発性のメモリ205には、複数の撮影モードのそれぞれのモードに応じた複数の第1ゲイン補正データが予め記憶されている。制御部103は、放射線撮影装置100の起動後に、メモリ205に格納された複数の第1ゲイン補正データに基づいて、複数の第1ゲイン補正データのそれぞれに対応する複数の第2ゲイン補正データをメモリ204に格納する。ここで、第1ゲイン補正データのうち注目データに対応する第2ゲイン補正データを対応データとする。このとき、注目データと対応データとは、同じデータであってもよい。つまり、メモリ204に格納された対応データは、メモリ205に記憶された注目データが転送されたデータであってもよい。また、例えば、注目データは、対応データを圧縮したデータであり、制御部103は、注目データを解凍、展開した対応データをメモリ204に格納してもよい。メモリ204は、不揮発性のメモリ205よりも読み出し速度が速い高速メモリであり、例えば、揮発性メモリでありうる。以下、メモリ205に記憶されたデータとメモリ204に格納されたデータとを区別する場合、上述のように、「第1ゲイン補正データ」、「第2ゲイン補正データ」と記載する。また、単に「ゲイン補正データ」と示す場合は、メモリ204に格納されたゲイン補正を行うためのデータのことを意味する。
【0015】
オフセット補正用のオフセット補正データは、ユーザによる撮影要求があり、放射線画像データを取得する際に取得し、メモリ203に記憶される。メモリ203は、不揮発性のメモリ205よりも読み出し速度が速い高速メモリであり、例えば、揮発性メモリでありうる。図1、2に示される構成では、メモリ203とメモリ204とは、別々の構成として示されているが、これに限られることはなく、1つのメモリが、メモリ203およびメモリ204として機能してもよい。
【0016】
ユーザからの撮影要求があると、制御部103は、放射線画像データおよびオフセット補正データの取得とを行い、オフセット補正データは、メモリ203に記憶される。次いで、制御部103は、放射線画像データに対してメモリ203に記憶されたオフセット補正データおよびメモリ204に格納された第2ゲイン補正データを用いた補正処理を行う。例えば、図2に示されるように、撮影パネル102から読み出された放射線画像データを入力画像として、まず、制御部103のオフセット補正部201において、メモリ203に記憶されたオフセット補正データを用いてオフセット補正処理が施される。続いて、制御部103のゲイン補正部202において、メモリ204に格納されたゲイン補正データを用いてゲイン補正処理が施され、出力画像としてコンピュータ104に転送される。
【0017】
次に、図3、4を参照して放射線撮影装置100の撮影モードについて説明する。図3、4は、ユーザが使用状況などに応じて編集して使用可能な撮影モードの例を示す。図3は、放射線撮影装置100において撮影可能な撮影モードの一覧を示す表である。放射線撮影装置100は、撮影手技に応じた画角、フレームレート、感度などを組み合わせた複数の撮影モードを備え、それぞれの撮影モードには、撮影モード番号が割り当てられ管理される構成となっている。第1ゲイン補正データは、この撮影モード番号に紐づけられ、不揮発性のメモリ205に記憶されている。図4は、図3に示す撮影モードを優先度によりグループ分けした一例である。図3において、放射線撮影装置100の起動後、すぐに使用する必要性がある撮影モードを優先撮影モードグループ、それ以外の撮影モードを通常撮影モードグループとして分類する。優先撮影モードグループと通常撮影モードグループとのグループ分けは、例えば、製品出荷時に設定されていてもよいし、放射線撮影装置100の使用状況に応じて、ユーザによって設定可能であってもよい。
【0018】
次いで、図5に示すフロー図を用いて、放射線撮影装置100の起動から複数のゲイン補正データのすべてをメモリ204に格納するまでの格納期間の放射線撮影装置100の動作について説明する。
【0019】
まず、S101において、制御部103は、図4に示す優先撮影モードグループに属する撮影モード番号を取得する。次に、S102において、制御部103は、メモリ205に格納された複数の第1ゲイン補正データのうち優先撮影モードグループの撮影モードに応じたデータを所定の順番で読み出し、第1ゲイン補正データに対応する第2ゲイン補正データを所定の順番でメモリ204に格納する。メモリ204への優先撮影モードグループに応じたすべてのゲイン補正データの格納が終了すると、制御部103は、優先撮影モードグループのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことをコンピュータ104に通知する(S103)。これに応じて、コンピュータ104は、表示装置107を用いて、優先撮影モードグループに応じたすべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことを報知してもよい。換言すると、表示装置107が、放射線撮影装置100の報知部として機能してもよい。また、例えば、放射線撮影装置100がディスプレイやランプなどを備え、これらのディスプレイやランプが報知部として機能し、優先撮影モードグループに応じたすべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことを報知してもよい。
【0020】
優先撮影モードグループに対応するゲイン補正データの格納が終了すると、フローはS104に遷移し、制御部103は、図3に示す通常撮影モードグループに属する撮影モード番号を取得する。次に、S105において、メモリ205に格納された複数の第1ゲイン補正データのうち通常撮影モードグループの撮影モードに応じたデータを所定の順番で読み出し、第1ゲイン補正データに対応する第2ゲイン補正データを所定の順番でメモリ204に格納する。メモリ204への通常撮影モードグループに応じたすべてのゲイン補正データの格納が終了すると、制御部103は、すべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことをコンピュータ104に通知する(S106)。これに応じて、コンピュータ104は、表示装置107を用いて、すべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことを報知してもよい。また、上述のように、放射線撮影装置100がディスプレイやランプなどを備え、これらのディスプレイやランプが報知部として機能し、すべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことを報知してもよい。以上によって、放射線撮影装置100の起動後に、メモリ205に格納された複数の第1ゲイン補正データに基づいて、複数の第1ゲイン補正データのそれぞれに対応する複数の第2ゲイン補正データのすべてをメモリ204に格納する工程が終了する。
【0021】
次に、図6、7に示すフロー図を用いて、放射線撮影装置100の起動から複数のゲイン補正データのすべてをメモリ204に格納するまでの格納期間において、ユーザから撮影要求があった場合の放射線撮影装置100の動作について説明する。まず、S201~S203は、上述のS101~S103と同様であってもよいため、ここでは説明を省略する。
【0022】
制御部103は、優先撮影モードグループのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことをコンピュータ104に通知した後、S204においてユーザから撮影要求あるか否かを判定する。S204においてユーザから撮影要求がある場合、制御部103は、S205に遷移し、撮影要求に係る要求撮影モードが優先撮影モードグループに含まれているか否かを判定する。また、S204において、制御部103は、ユーザから撮影要求がない場合、S207に遷移する。
【0023】
S205において、要求撮影モードが優先撮影モードグループに含まれている場合、制御部103は、S206に遷移し、撮影工程を実施する。撮影工程については、図7を用いて後述する。S205において、要求撮影モードが優先撮影モードグループに含まれていない場合、制御部103は、S207に遷移する。
【0024】
次に、S207以降の工程について説明する。S207において、制御部103は、すべての撮影モードのゲイン補正データが、メモリ204に格納されているか否かを判定する。S207において、すべての撮影モードのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了していない場合、制御部103は、S208に遷移する。S208において、制御部103は、通常撮影モードグループのうちゲイン補正データの格納が完了していない撮影モードの情報を取得する。次いで、S209において、制御部103は、S208で得られた撮影モードの第1ゲイン補正データをメモリ205から読み出し、対応する第2ゲイン補正データをメモリ204に格納する。S209の終了後、制御部103は、S204でのユーザからの撮影要求の判定に戻り、S204から処理工程を繰り返す。
【0025】
S207において、すべての撮影モードのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了している場合、制御部103は、S210に遷移する。S210において、上述のS106と同様に、制御部103は、すべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことをコンピュータ104に通知する。次いで、S211において、制御部は、格納期間が終了しすべての撮影モードが使用可能な装置稼働状態となる。
【0026】
続いて、図7に示すフロー図を用いて、図6のS206の撮影工程ついて説明する。まず、S301において、制御部103は、撮影要求された要求撮影モードに応じた画角、フレームレート、感度などの撮影条件を設定する。次に、S302において、制御部103は、放射線を照射しない状態で撮影を実施することによって、オフセット補正データを取得しメモリ203に記憶する。次に、S303において、制御部103は、放射線を照射して被写体109の撮影を行い、放射線画像データを取得する。次に、S304において、制御部103は、S303で得られた放射線画像データを入力画像として上述の図2にて示したオフセット補正およびゲイン補正処理を実施し、得られた出力画像をコンピュータ104に転送し撮影工程を終了する。図7に示すフローにおいて、放射線撮影装置100は、撮影要求された要求撮影モードで放射線画像データを取得する前に、要求撮影モードでオフセット補正データの取得を行うが、これに限られることはない。放射線画像データを取得した後に、オフセット補正データの取得を行ってもよい。
【0027】
本実施形態において、複数の撮影モードのそれぞれのモードに応じた複数の第1ゲイン補正データは、それぞれ1つ以上のゲイン補正データを含む優先撮影モードグループに応じた優先グループおよび通常撮影モードグループに応じた通常グループを構成している。制御部103は、放射線撮影装置100の起動後、まず、第1ゲイン補正データのうち優先グループに含まれる優先グループデータに基づいて、優先グループデータに対応する第2ゲイン補正データのうち優先グループ対応データをメモリ204に格納する(S201~S203)。次いで、制御部103は、第1ゲイン補正データのうち通常グループに含まれる通常グループデータに基づいて、通常グループデータに対応する第2ゲイン補正データのうち通常グループ対応データをメモリ204に格納する(S207~S209)。このとき、制御部103は、優先グループデータをメモリ204に格納した後の期間において、ユーザから撮影要求があり、かつ、第2ゲイン補正データのうち撮影要求に係る要求撮影モードに応じた要求ゲイン補正データが優先グループ対応データに含まれる場合、撮影要求された要求撮影モードで放射線画像データおよびオフセット補正データの取得を開始する(S206)。
【0028】
このように、放射線撮影装置100において撮影可能な撮影モードのうち優先度が高い優先撮影モードに応じた第1ゲイン補正データに対応する第2ゲイン補正データが、先にメモリ204へ格納される。次いで、通常撮影モードに応じた第1ゲイン補正データに対応する第2ゲイン補正データが、メモリ204へ格納される。この、優先撮影モードに応じた第1ゲイン補正データに対応する第2ゲイン補正データがメモリに格納された後の期間において、優先撮影モードでの撮影要求がユーザからあった場合、放射線画像データを取得することができる。このため、例えば、通常撮影モードに対応する第2ゲイン補正データがメモリ204へ格納される期間において、優先撮影モードでの撮影要求がユーザからあった場合、放射線画像データを取得することができる。これによって、放射線撮影装置100の起動後に、優先撮影モードでの撮影が可能となるまでの時間が短くなる。さらに、本実施形態において、放射線画像データを取得する際に、オフセット補正データを取得する。オフセット量は、温度などの環境によって特性が変化しやすいため、放射線画像データの取得に前後してオフセット補正データを取得することによって、特性の変化に対応することが可能となり、補正後の放射線画像の画質が向上しうる。また、本実施形態において、放射線撮影装置100の起動後に、すべての撮影モードに応じたオフセット補正データを取得しないため、すべての撮影モードが撮影可能となるまでの時間も短縮することができる。
【0029】
本実施形態において、制御部103は、メモリ204に優先撮影モードグループに対応する優先グループ対応データのすべてが格納されるまで、ユーザから撮影要求を受け付けなくてもよい。つまり、図6に示されるようにS203で優先撮影モードグループのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了し、S204に遷移するまで、制御部103は、ユーザから撮影要求あるか否かを判定しなくてもよい。
【0030】
第2実施形態
図8、9を参照して、放射線撮影装置100の起動からゲイン補正データのすべてをメモリ204に格納するまでの格納期間において、ユーザから撮影要求があった場合の放射線撮影装置100の動作の上述の第1実施形態に対する変形例について説明する。図8は、第2実施形態におけるゲイン補正データをメモリ204に格納する順番を示す図である。図9は、第2実施形態における、放射線撮影装置100の起動からゲイン補正データのすべてをメモリ204に格納するまでの格納期間において、ユーザから撮影要求があった場合の放射線撮影装置100の動作を説明するフロー図である。放射線撮影装置100の構成や撮影モードの種類などについては、上述の第1実施形態と同様であってもよいため、ここでは、説明を省略する。
【0031】
図8は、図3に示される撮影モードを、放射線撮影装置100の電源を投入し起動した後にメモリ204に格納する順番に並べ替えた一覧である。制御部103は、メモリ205に格納された複数の第1ゲイン補正データを所定の順番で読み出し、複数の第1ゲイン補正データに対応する複数の第2ゲイン補正データを所定の順番でメモリ204に格納する。第2ゲイン補正データをメモリ204に格納する順番は、ユーザによって設定可能であってもよい。使用頻度が高い、または、緊急時に使用される可能性が高い撮影モードに対応する第2ゲイン補正データが先にメモリ204に格納されるようにする。これによって、放射線撮影装置100の起動から、使用頻度が高い、または、緊急時に使用される可能性が高い撮影モードでの撮影が可能になるまでの時間が短縮されうる。
【0032】
次に、図9に示すフロー図を用いて、放射線撮影装置100の起動から複数のゲイン補正データのすべてをメモリ204に格納するまでの格納期間に、ユーザから撮影要求が入力された場合の動作を説明する。放射線撮影装置100の起動後、複数のゲイン補正データのメモリ204への格納が開始され、まず、S401において、制御部103は、ユーザから撮影要求あるか否かを判定する。S401において、ユーザから撮影要求がある場合、制御部103は、S402に遷移する。S402において、制御部103は、複数のゲイン補正データのうち撮影要求に係る要求撮影モードに応じた要求ゲイン補正データがメモリ204に格納済みであるか否か判定する。S401において、撮影要求がない場合、制御部103は、S404に遷移する。
【0033】
S402において、撮影要求のあった撮影モードに応じた要求ゲイン補正データがメモリ204に格納済みである場合、制御部103は、S403に遷移し、撮影工程を実施する。S403の撮影工程は、上述の図6に示すS206と同様であってもよく、図7のS301~S304のそれぞれの工程を行ってもよい。S402において、要求ゲイン補正データがメモリ204に格納されていない場合、制御部103は、S404に遷移する。
【0034】
次に、S404以降の工程について説明する。S404において、制御部103は、すべての撮影モードに体操するゲイン補正データのメモリ204に格納が完了しているか否かを判定する。
【0035】
S404において、すべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了していない場合、制御部103は、S405に遷移する。S405において、制御部103は、ゲイン補正データの格納が完了していない撮影モードの情報を取得する。次いで、S406において、制御部103は、S405で得られた撮影モードの第1ゲイン補正データをメモリ205から読み出し、対応する第2ゲイン補正データをメモリ204に格納する。次に、S407において、制御部103は、S406で格納したゲイン補正データに対応する撮影モードが使用可能なことをコンピュータ104に通知する。これに応じて、コンピュータ104は、表示装置107を用いて、複数のゲイン補正データのうちメモリ204に格納されたゲイン補正データを報知してもよい。換言すると、表示装置107が、放射線撮影装置100の報知部として機能してもよい。また、例えば、放射線撮影装置100がディスプレイやランプなどを備え、これらのディスプレイやランプが報知部として機能し、複数のゲイン補正データのうちメモリ204に格納されたゲイン補正データを報知してもよい。
【0036】
制御部103は、S402において要求ゲイン補正データがメモリ204に格納されていない場合、S405、S406において要求ゲイン補正データに対応するデータを図8に示される順番に優先してメモリ205から読み出し、メモリ204に格納してもよい。さらに、S407において、要求ゲイン補正データがメモリ204に格納されたことが、表示装置107や放射線撮影装置100がディスプレイやランプなどを用いて報知されてもよい。これによって、ユーザにとって使い勝手により優れた放射線撮影装置が実現できる。
【0037】
S407の終了後、制御部103は、S401でのユーザからの撮影要求の判定に戻り、S401からの処理工程を繰り返す。S404において、すべての撮影モードのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了している場合、制御部103は、S408に遷移する。S408においてすべての撮影モードのゲインデータ展開が完了したことをコンピュータ104に通知する。これに応じて、コンピュータ104は、表示装置107を用いて、すべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことを報知してもよい。また、上述のように、放射線撮影装置100がディスプレイやランプなどを備え、これらのディスプレイやランプが報知部として機能し、すべてのゲイン補正データのメモリ204への格納が完了したことを報知してもよい。次いで、S409において、制御部は、格納期間が終了しすべての撮影モードが使用可能な装置稼働状態となる。
【0038】
放射線撮影装置100の起動後に、制御部103は、メモリ205に格納された複数の第1ゲイン補正データに基づいて、複数の第1ゲイン補正データのそれぞれに対応する複数の第2ゲイン補正データをメモリ204に格納する。本実施形態において、放射線撮影装置100の起動からゲイン補正データのすべてをメモリ204に格納するまでの格納期間において、ユーザから撮影要求があり、かつ、ゲイン補正データのうち撮影要求に係る要求撮影モードに応じた要求ゲイン補正データがメモリ204に格納済みである場合、制御部103は、要求撮影モードでの放射線画像データおよびオフセット補正データの取得を行う。次いで、制御部103は、放射線画像データに対してメモリ204に格納された要求ゲイン補正データおよびオフセット補正データを用いた補正処理を行う。これによって、放射線撮影装置100の起動後に、使用頻度が高い、または、緊急時に使用する可能性が高い撮影モードでの撮影が可能となるまでの時間が短くなる。また、本実施形態においても、放射線画像データを取得する際に、オフセット補正データを取得する。これによって、オフセット量などの特性の変化に対応することが可能となり、補正後の放射線画像の画質が向上しうる。また、本実施形態においても、放射線撮影装置100の起動後に、すべての撮影モードに応じたオフセット補正データを取得しないため、すべての撮影モードが撮影可能となるまでの時間も短縮することができる。
【0039】
本発明は、上記の実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、システム又は装置のコンピュータ(CPUやMPUなど)がプログラムを読み出すことにより実行されてもよい。また、本発明は、システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能であり、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0040】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0041】
100:放射線撮影装置、103:制御部、203~205:メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9