(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】物品データと物品の位置との対応付けを生成および維持する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/48 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
B65G47/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020119076
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2021-04-07
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】313015812
【氏名又は名称】ボイマー グループ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ベーリング
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヨーゼフ イェスパー
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016489(JP,A)
【文献】特開2017-186106(JP,A)
【文献】特表2007-523811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B07C 3/00 - 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕分け装置(2)において物品の物品データと、前記物品(20)の変化する物理的位置との対応付けを生成および維持する方法であって、前記仕分け装置(2)は、前記仕分け装置(2)に物品を供給する少なくとも1つの入口(4)と、選択された物品(20)を前記仕分け装置(2)から排出可能な複数の引渡点(10)とを有し、
・物品(20)を前記仕分け装置の入口(4)に供給し、前記物品(20)の少なくとも1つの識別マークが前記物品(20)の物品データの一部として記憶可能であり、供給の前または供給の間または供給の後に識別データを検出し、前記物品(20)の物品データの一部として前記識別データを記憶するステップと、
・前記物品(20)の仕分け目標点を物品(20)毎に導出可能な仕分けデータに基づいて、前記物品(20)に対応付けられている引渡点(10)を特定するステップと、
・特定された前記引渡点(10)まで前記物品(20)を搬送するステップと、
・特定された前記引渡点(10)において前記物品(20)を排出するステップと、
・前記仕分け装置(2)におけるあらかじめ設定された位置、前記引渡点(10)におけるあらかじめ設定された位置、または前記引渡点(10)から取出点(14)まで延在する排出路に沿ったあらかじめ設定された位置に前記物品(20)が到達した場合、前記引渡点(10)において排出されるそれぞれの物品(20)の光学的オブジェクトデータを検出し、前記光学的オブジェクトデータを前記物品(20)の前記物品データの別の一部として記憶するステップであって、前記光学的オブジェクトデータの検出が、2つまたは3つの座標方向において実行される、ステップと、
・前記排出路に沿って前記物品(20)を前進させるステップと、
・前記前進の間に、トラッキングにより、前記光学的オブジェクトデータに基づいて、排出される前記物品(20)を追跡し、ここで前記トラッキングは、前記物品(20)の取り出しまで前記排出路に沿いかつ時間間隔を置いて順次に繰り返して前記物品(20)の位置を特定することであり、前記物品(20)の前記物品データの別の一部として、前記物品(20)の最新位置を記憶するステップと
前記物品(20)の前記トラッキングの際に、前記排出路に沿った位置において、前記物品データと、前記物品(20)の前記物理的位置との前記対応付けが失われた場合、
前記対応付けが失われた後、可能な限り迅速に前記物品(20)の別の光学的オブジェクトデータを検出し、前記光学的オブジェクトデータと照合するステップと、
前記光学的オブジェクトデータと、前記別の光学的オブジェクトデータとが、設定された許容範囲内で一致する場合、前記光学的オブジェクトデータに基づいて、前記トラッキングを継続するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
それぞれの位置特定についての前記トラッキングには、前記物品(20)の光学的な検出が含まれており、
それぞれの位置特定の際に、特定の時間間隔を置いて、または前記物品(20)の前記取り出し時に、前記光学的オブジェクトデータとの照合を行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
物品の供給の前、供給の間または供給の後、物品(20)の1つ以上の寸法および/または1つ以上の画像および/または重量を検出し、前記物品データの一部として記憶することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記排出路に沿って能動的に前記物品(20)を能動的に搬送するか、または前記物品(20)が、滑走するか、転がるかまたは落下することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記物品(20)の前記排出路からの取出位置および/または取出時点を検出して記憶することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記光学的オブジェクトデータを検出する前記ステップを、あらかじめ設定された時点で実行するか、または前記引渡点(10)において前記仕分け装置(2)から前記物品(20)を排出した場合に実行することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
排出される複数の物品(20)が同時に前記排出路に存在し、それぞれ個別の物品(20)を前記トラッキングによって追跡することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記物品データと、前記物品(20)の前記物理的位置との前記対応付けが繰り返して失われる場合、前記照合するステップと前記トラッキングを継続するステップとを改めて実行することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記別の光学的オブジェクトデータと、前記光学的オブジェクトデータとが、前記許容範囲を超えて相違している場合、前記物品データにエラー情報を付け加えることを特徴とする、請求項1または8記載の方法。
【請求項10】
前記引渡点(10)と前記取出点(14)との間の前記排出路内にあるすべての物品(20)を連続して検出して前記トラッキングによって追跡し、前記排出路において1つの物品が別の物品によって覆い隠される場合、前記物品がもはや覆い隠されなくなると直ちに、覆い隠された前記物品の前記トラッキングを継続することを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
1つの引渡点(10)の排出路に同時に存在しかつまだ取り出されていないすべての物品(20)の前記物品データを、前記仕分け装置に存在するすべての物品データの部分集合として前記引渡点(10)に対応付け、前記別の光学的オブジェクトデータと、前記光学的オブジェクトデータとを照合する際に、前記引渡点(10)に対応付けられている、物品データの前記部分集合の前記光学的オブジェクトデータを使用することを特徴とする、請求項1または8から1
0のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記排出路から取り出される物品(20)の前記識別データもしくは前記物品データおよび/または前記識別データもしくは前記物品データから導出された情報を、前記物品を取り出す人間または取出装置に通知することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
仕分け装置(2)において物品の物品データと、前記物品(20)の変化する物理的位置との対応付けを生成および維持する装置であって、前記仕分け装置(2)は、前記仕分け装置(2)に物品を供給する少なくとも1つの入口(4)と、選択された物品(20)を前記仕分け装置(2)から排出可能な複数の引渡点(10)と、さらに、
・前記物品データ、位置および光学的オブジェクトデータを記憶する記憶装置と、
・特定の引渡点(10)において前記仕分け装置(2)から特定の物品を排出する排出装置と、
・光学的オブジェクトデータを検出し、前記引渡点(10)において排出される1つ以上の物品(20)をトラッキングする、前記引渡点(10)の領域に配置された検出装置(12)と、
・前記仕分け装置(2)を制御して、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を実施するように構成された制御部と
を有する、装置。
【請求項14】
前記仕分け装置(2)は、傾斜トレイユニット、ドロップダウンフラップユニット、横方向ベルトコンベヤユニット、または無人搬送車を有することを特徴とする、請求項13記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分け装置において物品の物品データと、この物品の変化する物理的位置との対応付けを生成および維持する方法および装置であって、仕分け装置は、この仕分け装置に物品を供給する少なくとも1つの入口と、選択された物品を仕分け装置から排出可能な複数の引渡点とを有する、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仕分け設備、例えば仕分けコンベヤから排出される物品を識別するためには、仕分けコンベヤの制御部を介して得られる、仕分けコンベヤ上にある物品の仕分けデータを使用することができ、ここでは、例えば、画像照合、または例えばバーコードなどのようなその他の識別マークの照合を行うことが可能である。このような対応付けは繁雑である。さらに、物品を排出する際、物品が互いに追い越し合ったりまたは互いに押し合ったりするため、物品と位置との間の一意の対応付けが失われることも多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、仕分け装置において、排出過程に続く物品の移動経過中に、排出される物品とその位置との対応付けが、可能な限り簡単に、いずれの時点においても失われないようにし、さらに、対応付けが一旦失われてしまっても、実質的に労力を費やすことなくこの対応付けを再度、形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明は、仕分け装置において物品の物品データと、この物品の変化する物理的位置との対応付けを生成および維持する方法であって、仕分け装置は、この仕分け装置に物品を供給する少なくとも1つの入口と、選択された物品を仕分け装置から排出可能な複数の引渡点とを有し、
・物品を仕分け装置の入口に供給し、物品の少なくとも1つの識別マークを物品データの一部として記憶可能であり、供給の前、供給の間または供給の後に識別データを検出し、物品の物品データの一部として識別データを記憶するステップと、
・物品の仕分け目標点を物品毎に導出可能な仕分けデータに基づいて、物品に対応付けられている引渡点を特定するステップと、
・特定された引渡点まで物品を搬送するステップと、
・特定された引渡点において物品を排出するステップと、
・仕分け装置におけるあらかじめ設定された位置、引渡点におけるあらかじめ設定した位置、または引渡点から取出点まで延在する排出路に沿ったあらかじめ設定した位置に物品が到達した場合、引渡点において排出されるそれぞれの物品の光学的オブジェクトデータを検出し、光学的オブジェクトデータを物品の物品データの別の一部として記憶するステップと、
・排出路に沿って物品を前進させるステップと、
・前進の間に、トラッキングにより、光学的オブジェクトデータに基づいて、排出される物品を追跡し、ここでこのトラッキングは、物品の取り出しまで排出路に沿いかつ時間間隔を置いて順次に繰り返して物品の位置を特定することであり、物品の物品データの別の一部として、物品の最新位置を記憶するステップと
を含む、方法を提案している。
【0005】
特定の引渡点、例えば仕分けコンベヤの特定の排出装置における物品のこのような識別では、有利には、仕分け対象の物品がすでに仕分けコンベヤに供給される際に、または仕分けコンベヤ自体において識別され、ひいては物品が、この物品に対応付けられている特定の引渡点において排出可能であるということを利用している。
【0006】
特定の物品の物品データには、好ましくは、少なくともこの物品の識別データが含まれており、この識別データは、仕分け装置の上位の制御部に記憶可能である。識別データは、物品の識別マークに対応するかまたはここから導出可能である。上記の方法の流れにおいて、別のデータ、特に、光学的オブジェクトデータと、位置データの形態の、物品の少なくとも1つの最新位置とを物品データとして検出し、好適にはさらに記憶する。
【0007】
特定の物品の仕分け目標点を導出できるようにするかまたは仕分け目標点を間接的に表す仕分けデータは、例えば物品におけるバーコードによって、例えば光学的に検出可能であるか、または制御部にすでに記憶されて識別データに対応付けられていてよく、これにより、この識別データに基づいて仕分けデータを探し出すことができる。仕分けデータも同様に、それぞれの物品の物品データの一部として記憶可能である。
【0008】
仕分け装置は、少なくとも1つの入口と、選択された物品を排出する複数の引渡点とが設けられている、物品を仕分けるのに適した任意の装置、設備またはシステムであってよい。例えば、仕分け装置は、傾斜トレイ、ドロップダウンフラップまたは横方向ベルトコンベヤ要素が装備されたコンベヤユニットを有する連続コンベヤ、例えばリングソータコンベヤユニットであってよい。その一方、例えば無人搬送車(FTF:Fahrerloses Transportfahrzeug)を有する仕分けシステムのような不定期的に動作する技術も含まれる。引渡点は、ソータまたは連続コンベヤの排出装置であってよく、この引渡点には、例えばコンベヤ、シュート、ローラコンベヤおよび/またはコンテナの形態の排出路が接続されており、この排出路に物品が落下するかまたは投下される。引渡点、例えば仕分けコンベヤの排出装置と、コンベヤこの排出装置に接続されている排出路との組み合わせは、終端箇所とも称され、排出路は、取出点まで延在し、例えば取出コンベヤによって形成することができる。
【0009】
排出装置は、例えば押し出し装置、プッシャまたはフリップを有していてよい。
【0010】
物品の光学的オブジェクトデータは、少なくとも1つのカメラおよび/または少なくとも1つのスキャナ、特にレーザスキャナによって検出可能である。
【0011】
上記のトラッキングには、時間間隔を置いて連続する位置特定が含まれ、この時間間隔は、例えば0.1ms~10sの時間間隔で固定に設定できるか、または別のパラメタから形成されるものであって直接に設定することができないかのいずれかである。
【0012】
物品の1つ以上の寸法を検出する場合、例えば、1つまたは2つまたは3つのすべての座標方向において、例えば少なくとも1つの測定カメラ、レーザ測定装置を用いて、または光電センサ装置を用いて、光学的な検出プロセスを実行可能である。付加的または択一的には、物品の1つ以上の画像を記録可能であり、また、例えば入口ベルトコンベヤの領域に組み込まれた重量計測装置を用いて物品の重量を検出可能である。好ましくは、寸法、画像および/または重量について検出されたデータを、物品に対応付けられている物品データの一部として記憶する。
【0013】
ここで、排出路に沿って能動的に物品を搬送するか、または物品が、駆動されることなく移動し、例えば滑走するか、転がるかまたは落下することであるように構成可能である。
【0014】
トラッキングの範囲内において、短い時間間隔を置いて繰り返される位置特定は、好適には、物品の光学的な検出を用いて、特に1つ以上のカメラまたはスキャナによって行われ、画像データまたは光学的トラッキングデータが生成され、これらのデータと、前もって検出されかつ記憶されている光学的オブジェクトデータとを照合することによって行われる。この照合は、それぞれの位置特定の際に、例えば2回、5回、10回または100回毎のそれぞれの回数での位置特定の後に、あらかじめ設定された時間間隔を置いて、またはいずれにせよ遅くとも物品の取り出しの際に行うことができ、これにより、遅くとも取り出しの際に一意に物品が識別されるか、または少なくともそのデータが対応付け可能となるように、遅くともこの時点では、物品の前もって検出された光学的オブジェクトデータおよび/または物品のその他の物品データと、トラッキングの範囲内で検出されたオブジェクトデータ、特に画像データとの間の結び付けまたは対応付けが形成される。
【0015】
好適には、光学的オブジェクトデータの検出に対しても、トラッキングの範囲内における物品の繰り返しの光学的検出に対しても同一のカメラまたはスキャナ装置が設けられている。
【0016】
好ましくは、排出路から排出される物品の取出位置および/または取出時点を検出し、好ましくはさらに特に物品の物品データの別の一部として記憶するように構成される。
【0017】
光学的オブジェクトデータは、あらかじめ設定された位置における検出に代えて、あらかじめ設定された時点で検出可能であるか、または引渡点において仕分け装置から物品を排出した場合に検出可能である。
【0018】
本発明の範囲内にあるのは、排出される複数の物品が同時に排出路に存在し、それぞれ個別の物品をトラッキングによって追跡することである。ただ1つの物品のトラッキングを行うか、または複数の物品のトラッキングを同時に行うかとは無関係に、このことは、本発明の範囲内において、(例えば1ms、10msまたは100msよりも短い)実質的に連続的な短い時間間隔を置いて、1つの物品もしくはそれぞれ個別の物品の画像検出および位置特定が行われることを意味し、これにより、排出路における1つまたはそれぞれの物品の位置は、つねに既知であるか、またはより正確にいうと短い間隔を置いて連続する時点において既知である。物品のそれぞれ最後の位置または最新位置を、物品データの一部として記憶するだけで十分であり、この最新位置は、つぎの最新位置によって上書き可能である。上記の時間間隔は、実質的に連続的な位置検出が行われるような短さであってよい。
【0019】
同一の引渡点において、数多くの物品を迅速に、かつ連続して引き渡す場合には、1つの物品のトラッキングの際に、物品データと、排出路に沿ったある位置における物品の物理的位置との対応付けが失われてしまうことがあり、これは、例えば、物品が、1つ以上の別の物品によって、トラッキングに使用される画像検出装置もしくはカメラの視野から一時的に完全に、または部分的に覆い隠されてしまうからであり、または物品が、例えば排出路から落下したり、または手動で取り出されて排出路から取り除かれ、続いて排出路に手動で戻されたりするからであり、このような場合、対応付けが失われた後、可能な限り迅速に、すなわち、特に、物品が、画像検出装置の視野からもはや覆い隠されていないようになるかまたは戻された際に直ちに、特に、別の光学的オブジェクトデータを検出し、また好適には物品の物理的位置も検出して光学的オブジェクトデータと照合することによってトラッキングを設定し、光学的オブジェクトデータと、別の光学的オブジェクトデータとが、設定された許容範囲内で一致する場合、前に検出された光学的オブジェクトデータに基づいてトラッキングを継続し、ここで、このトラッキングには、排出路に沿いかつ物品の取り出しが行われるまで、時間間隔を置いて連続して繰り返して物品の位置を特定することと、物品の物品データの別の一部として、物品の最新位置を記憶することとが含まれている、ように構成される。
【0020】
物品データと、物品の物理的位置との対応付けが繰り返して失われる場合、上記のステップを改めて実行することができる。
【0021】
別の光学的オブジェクトデータと光学的オブジェクトデータとが、あらかじめ設定された許容範囲を超えて相違している場合、物品データにエラー情報を付け加えることができる。
【0022】
ここでは、引渡点と取出点との間の排出路内にあるすべての物品を連続して検出してトラッキングによって追跡し、排出路において1つの物品が別の物品によって覆い隠されるかまたは排出路から物品が取り出された場合、特に物品がもはや覆い隠されなくなるかまたは排出路に戻された後、直ちに、物品のトラッキングが可能な限り早く継続されるように構成可能である。
【0023】
本発明の範囲内にあるのは、1つの引渡点の排出路に同時に存在しかつまだ取り出されていないすべての物品の物品データを、仕分け装置に存在するすべての物品データの部分集合として引渡点に対応付け、別の光学的オブジェクトデータと光学的オブジェクトデータとを照合する際に、引渡点に対応付けられている、物品データの部分集合の光学的オブジェクトデータを使用することである。
【0024】
本発明によって好適には、排出路から取り出される物品の識別データもしくは物品データおよび/またはここから導出された情報を、物品を取り出す人間または取出装置に通知するように構成される。導出された情報は、例えば、荷物車両のドライバの発送走行の順序における物品の位置であってよく、その知識があれば、より都合よく車両に積載可能である。荷物車両における正確な荷降ろし位置を伝達することも可能である。したがって本発明によって有利に可能になるのは、物品を取り出す人間または取出装置が物品の識別を再度、確認する必要なく、物品の位置追跡によってすでに検出された識別データと、場合によりさらに別の複数の情報とが直接に得られることである。
【0025】
ここでは、入口において、例えば搬入装置において、または仕分け装置自体において、物品の寸法および/または重量を検出し、物品データの一部として記憶し、必要に応じて制御部に伝達するように構成可能である。
【0026】
装置の観点において、本発明の課題は、仕分け装置において物品の物品データと、物品の変化する物理的位置との対応付けを生成および維持する装置であって、この仕分け装置は、仕分け装置に物品を供給するための少なくとも1つの入口と、選択された物品を仕分け装置から排出可能な複数の引渡点と、
・物品データ、位置および光学的オブジェクトデータを記憶する記憶装置と、
・特定の引渡点において仕分け装置から特定の物品を排出する排出装置と、
・光学的オブジェクトデータを検出し、引渡点において排出される1つ以上の物品をトラッキングによって追跡する、引渡点の領域に配置された検出装置と、
・仕分け装置を制御して、本発明による方法を実施するように構成された制御部と
を有する、装置によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の別の利点および特徴は、以下の一実施例の図面を参照した説明から明らかになる。
【
図1】仕分けコンベヤの上方に配置された、物品の画像データおよび識別マーク用の検出装置を有する、引渡点の領域における仕分けコンベヤの部分図である。
【
図2】排出路上に存在しかつ排出される複数の物品と、引渡点の領域に配置されているカメラとを有する、仕分けコンベヤから分岐する排出路を示す図である。
【
図3】後の時点であって複数の物品が異なる位置にある、
図2の終端箇所を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、搬入装置4の形態の少なくとも1つの入口を有する仕分けコンベヤ2の形態の仕分け装置が部分的に示されており、搬入装置4では、仕分け対象の複数の物品20を個別に仕分けコンベヤ2に供給可能であり、また
図1では、搬入装置4のうち、コンベヤにいままさに搬入される物品20を有する、仕分けコンベヤ2に当接した最前の端部だけが示されている。
図1にはさらに、仕分けコンベヤ2における物品データとして、それぞれの個別の物品20の第1画像データおよび識別マークを検出可能な、例えばカメラ、スキャナまたはこれらの組み合わせの形態の検出装置6が示されている。好適には、検出装置6は、物品の寸法を検出するように、また重量を特定するようにも構成されている。
【0029】
仕分けコンベヤ2には、図示の実施形態において、搬送方向8に移動する複数の搬送ユニット8aが含まれており、これらの搬送ユニット8aのそれぞれには、搬送方向8に対して横方向に駆動可能な横方向ベルトコンベヤ要素が設けられており、この横方向ベルトコンベヤ要素では、1つずつの物品が受け取られて搬送され、また特定の引渡点または特定の終端箇所に配送することが可能である。引渡点10は、ここでは、それ自体公知の排出装置によって形成されている。
【0030】
図2には、引渡点10に続く排出路を有し、かつ搬送方向8に対して横方向に、またはこれに対して所定の角度で仕分けコンベヤ2の側方に接続されている引渡点10が示されている。それぞれ個別に搬入された物品の物品データもしくは最初の画像データおよび識別マークが伝送される、仕分け装置の中央制御部は、それぞれ個別の物品の仕分けデータを同時に有しており、この仕分けデータから、どの引渡点において、もしくはどの終端箇所において、仕分けコンベヤ2上に存在するそれぞれ個別の物品を排出すべきかを引き出すことが可能である。
【0031】
さらに制御部は、搬入装置の既知の位置と、同様に既知の仕分けコンベヤの速度とに基づき、連続して、仕分けコンベヤ上に存在するそれぞれ個別の物品の論理的かつ/または物理的位置データを受け取るか、または仕分けコンベヤの速度に基づいてこの論理的かつ/または物理的位置データを特定可能であり、すなわち、物品と、これを運ぶ仕分けコンベヤの搬送ユニットとの対応付けに関連して、論理的位置データおよび/または物理的位置データを特定可能である。
【0032】
制御部には、上記の仕分けデータによって、それぞれの物品の仕分け目標点、ひいては物品を排出すべき引渡点が既知であるため、制御部は、特定の引渡点への到達時または到達する少し前に、特定の物品を運ぶ仕分けコンベヤもしくは搬送ユニットに排出信号を伝送することができ、これに続いて横方向ベルトコンベヤ要素が始動され、物品が特定の引渡点10において排出される。
【0033】
当然のことながら、仕分けコンベヤ上に物品を供給する複数の搬入装置を設けることができ、また1つ以上の搬入装置に直接に検出装置を設けることができ、この検出装置は、搬入時もしくは搬入の直前に、例えば識別データ、画像データ、一般に光学的オブジェクトデータおよび/または寸法または重量のような、物品の特定の物品データ検出するために、
図1に示したように搬入装置の下流において仕分けコンベヤに設けられるか、または搬入装置に直接、設けられるかのいずれかである。
【0034】
図2に示したように、引渡点10の領域には、この場合には引渡点10に続く排出路のほぼ中央の上方に、カメラ12の形態の画像検出装置が配置されており、カメラ12により、例えば、引渡点10において排出されるべきまたは排出されたそれぞれの物品の画像データのような光学的オブジェクトデータが、すでに前もって検出されていない場合には、検出される。カメラもしくは画像検出装置は、制御部に接続されており、光学的オブジェクトデータを制御部に伝送するか、またはこれらのデータは、制御部により、画像検出装置から取り出し可能である。
【0035】
対応付けられている引渡点において物品を排出する前、排出する間、または排出した後、排出装置のこの実施形態では、制御部により、排出された物品が、特定の引渡点に存在するかまたは後に特定の引渡点に存在する物品として記録され、このような特定の引渡点に対応付けられる物品の物品データは、仕分け装置に存在するすべての物品データの部分集合として記憶可能である。
図2の実施形態では4つの物品が引渡点10において排出されており、これにより、物品データの部分集合は、引渡点10と結び付けられて、または引渡点10に対応付けられて、これらの4つの物品の画像データもしくは光学的オブジェクトデータおよび識別データのような物品データを有する。
【0036】
排出されたそれぞれの物品は、引渡点10の後、取出点14におけるその最終的な取り出しまで、排出路に沿い、その位置がトラッキングによって追跡される。トラッキングによるこの追跡は、カメラ12を用いて、例えば1msよりも短い、または10msよりも短くてよい短い時間間隔を置いて、物品の画像を検出し、それぞれ少し前に記録した画像と照合することにより、それ自体公知の手法で行われ、ここから物品の最新位置が特定される。物品のそれぞれの最新位置は、物品の物品データの一部として記憶され、これにより、どの時点においても物品の物品データと位置との対応付けが存在する。
【0037】
物品は、上記のトラッキングによって、排出路からの取り出しまで、特に取出点14まで追跡され、この取出点14は、引渡点10で排出されたそれぞれの物品が、定期的に取り出されるように構成可能である。択一的には、排出路に沿った任意の点において、この排出路から物品を取り出すことが可能である。
【0038】
物品をトラッキングする際には、排出路に沿って物品が移動する間、例えば、物品が短時間の間、別の物品によって覆い隠されてしまいカメラに見えないかまたは完全には見えない場合、物品データと、物品の物理的位置との対応付けが失われてしまうことがある。このような場合、対応付けが失われた後、特に、この物品がもはや他の物品によって覆い隠されなくなりかつカメラに改めて見えるようになると直ちに、物品の別の光学的オブジェクトデータ、特に画像データを検出し、この別の光学的オブジェクトデータまたは画像データと、前もって検出された元々の光学的オブジェクトデータまたは画像データとを照合するように構成されている。ここで、あらかじめ設定された許容範囲内で、この別の画像データまたは光学的オブジェクトデータと、これに適合する、前もって検出された画像データまたは光学的オブジェクトデータとの一致が見られる場合、この物品のトラッキングを継続可能である。ここでは、この別の光学的オブジェクトデータに基づいて、例えば物品データの別の一部として記憶することができるか、または前に検出された光学的オブジェクトデータに基づいてトラッキングを継続することができる。
【0039】
制御部には、終端箇所10におけるそれぞれ個別の物品の物品データが記憶されているため、終端箇所または排出路もしくは取出点から物品を取り出す際に、この情報を利用し、これにより、例えば、1つの仕分け目標点に属する複数の物品を一緒にさらに搬送もしくは格納するか、または異なる複数の仕分け目標点に属する物品を同一の排出路または取出点から取り出し、物品毎に既知の仕分け情報に基づき、個別の異なる仕分け目標点に対応付けて、別々にさらに搬送することができる。これにより、同一の引渡点に複数の仕分け目標点を対応付け、これにより引渡点を省略したりもしくは多重に利用したりすることが可能である。
【0040】
図4には、複数の引渡点もしくは終端箇所10.1、10.2、10.3、…、の配置構成が側面図で説明されており、図示したこの実施形態では、終端箇所10もしくは10.1は、「宛先#32」と称されており、
図1にも示されているように、ここでは、4つの物品(#4、#15、#99、#171)が、仕分け目標点「宛先#32」に対応付けられている。