(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】排水路用の継手装置、およびドレン配管の満水試験方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20240126BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16L55/00 Z
(21)【出願番号】P 2020134135
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】加納 一啓
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-127671(JP,A)
【文献】特開2010-203521(JP,A)
【文献】特開2012-233675(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2005-0090068(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12 - 1/33
F16L 3/00 - 3/26
F16L 51/00 - 55/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水路の途中に位置する頂部部分に配置され、前記排水路を形成する上流側排水管および下流側排水管が接続されて、前記排水路の一部となる継手と、蓋部材と、閉塞部材とを備え、
前記継手は、内部空間と、その内部空間を外部に臨ませる開口と、前記内部空間と連通する排水流入部と、前記上流側排水管が接続される、前記排水流入部側の上流側接続口と、前記内部空間と連通する排水流出部と、前記下流側排水管が接続される、前記排水流出部側の下流側接続口とを備え、
前記蓋部材は、前記開口を閉鎖するよう、その開口に着脱可能に取り付けられ、
前記閉塞部材は、前記排水流入部を閉塞するよう、その排水流入部を形成する排水流入部形成部に取付け可能であり、かつ、その排水流入部形成部から取外し可能であって、
満水試験時に、前記閉塞部材が前記排水流入部形成部に取り付けられることにより、前記排水流出部を通って前記下流側排水管へと流れるように前記開口から前記内部空間に入れられた水が、前記排水流入部を通って前記上流側排水管へと逆流するのが防止される、排水路用の継手装置。
【請求項2】
前記排水流入部における前記内部空間に臨む側を内側に有する中空筒部が、前記内部空間内に突出するように設けられて、その中空筒部が、前記排水流入部形成部の一部となり、
前記閉塞部材は、前記中空筒部の外側または内側に嵌合するようにしてその中空筒部に取り付けられる、請求項1に記載の排水路用の継手装置。
【請求項3】
前記開口は、前記内部空間の上方側に設けられ、前記排水流入部は、前記内部空間の下方側であって前記開口と対向する位置に設けられる、請求項1または2に記載の排水路用の継手装置。
【請求項4】
前記排水流入部またはその排水流入部と前記内部空間との境界部分には、前記上流側排水管からの排水の流入がないときは、虫等の生き物が前記内部空間から前記排水流入部を通って前記上流側排水管へと侵入するのを防止するよう前記排水流入部を閉塞し、前記上流側排水管からの排水の流入があるときは前記排水流入部を開放する、弁体が設けられ、
前記閉塞部材は、前記弁体を除去することなく前記排水流入部形成部に取付け可能である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の排水路用の継手装置。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記閉塞部材を前記排水流入部形成部に取り付けた状態で前記開口に取付け可能である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の排水路用の継手装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の継手装置における継手が、空調機器のドレン排出口と、下り勾配をもって設置された排水主管との間の排水路の途中に、その排水路の一部となるように配置されたドレン配管における、満水試験方法であって、
前記排水路において、前記ドレン排出口と、そのドレン排出口よりも上方に配置された前記継手の前記上流側接続口とが前記上流側排水管によって連結され、前記継手の前記下流側接続口と、前記継手よりも下方に位置する前記排水主管とが前記下流側排水管によって連結され、
前記排水主管に接続された排水路よりも下流で、その排水主管が閉塞された状態とし、
前記継手において、前記排水流入部形成部に前記閉塞部材を取り付けた状態で、前記開口から前記内部空間を通して前記下流側排水管および前記排水主管に水を入れ、その後に、その入れた水の水位の変化の有無を確認する、ドレン配管の満水試験方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の継手装置における継手が、複数の空調機器のドレン排出口のそれぞれと、下り勾配をもって設置された排水主管との間の、それぞれの排水路の途中に、その排水路の一部となるように配置されたドレン配管における、満水試験方法であって、
各前記排水路において、前記ドレン排出口と、そのドレン排出口よりも上方に配置された前記継手の前記上流側接続口とが前記上流側排水管によって連結され、前記継手の前記下流側接続口と、前記継手よりも下方に位置する前記排水主管とが前記下流側排水管によって連結され、
前記排水主管の最も下流側に接続された排水路よりも下流で、その排水主管が閉塞された状態とし、
複数の前記排水路のうち、1の排水路を除く他の排水路の前記継手は、その排水流入部形成部に前記閉塞部材が取り付けられ、その開口に前記蓋部材が取り付けられた状態として、
前記1の排水路の前記継手において、前記排水流入部形成部に前記閉塞部材を取り付けた状態で、前記開口から前記内部空間を通して前記下流側排水管および前記排水主管に水を入れ、その後に、その入れた水の水位の変化の有無を確認する、ドレン配管の満水試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、満水試験を容易に行うことができる、排水路用の継手装置、およびドレン配管の満水試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置に接続されるドレン配管に、ドレンアップ配管を含むものがあった(例えば、特許文献1参照)。
図12に示すように、このドレン配管102は、その主な構成となる勾配管部103と、その勾配管部103と空調装置101との間のドレンアップ配管を形成する上方迂回部104とで構成されていた。ここで、上方迂回部104は、空調装置101のドレン口101aから上方へ延びる上行部105と、上行部105の上端部から勾配管部103の入口部103aへ向けて延びる下行部106とを有し、空調装置101には、ドレンアップのためのポンプが設けられた。そして、上行部105と下行部106との間には、継手107が設けられた。この継手107は、点検口107aを有し、その点検口107aには、蓋部材108が開閉可能に取り付けられていた。そこで、ドレン配管102の施工を完了した後に、継手107の点検口107aから水を流し込むことで、漏水試験を行うことができた。この漏水試験の詳細は、特許文献1には開示されていないが、一般には、下行部106に透明パイプを採用した上で、点検口107aから下行部106(透明パイプ)の途中まで水を入れ、その水位が一定時間維持されることを確認することで、それよりも下流に接続不良が無いことを判断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記ドレン配管102においては、漏水試験(満水試験)にあたって、水を、点検口107aから下行部106へと流し込む際に、注意しないと、水が上行部105を通って空調装置101へと逆流してしまう虞があった。このため、水を、気を付けながらゆっくり入れる必要があり、時間がかかり、手間であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、満水試験を簡単に行うことができる、排水路用の継手装置、およびドレン配管の満水試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る排水路用の継手装置、およびドレン配管の満水試験方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る排水路用の継手装置は、排水路の途中に位置する頂部部分に配置され、前記排水路を形成する上流側排水管および下流側排水管が接続されて、前記排水路の一部となる継手と、蓋部材と、閉塞部材とを備える。ここで、前記継手は、内部空間と、その内部空間を外部に臨ませる開口と、前記内部空間と連通する排水流入部と、前記上流側排水管が接続される、前記排水流入部側の上流側接続口と、前記内部空間と連通する排水流出部と、前記下流側排水管が接続される、前記排水流出部側の下流側接続口とを備える。前記蓋部材は、前記開口を閉鎖するよう、その開口に着脱可能に取り付けられる。そして、前記閉塞部材は、前記排水流入部を閉塞するよう、その排水流入部を形成する排水流入部形成部に取付け可能であり、かつ、その排水流入部形成部から取外し可能である。そこで、満水試験時に、前記閉塞部材が前記排水流入部形成部に取り付けられることにより、前記排水流出部を通って前記下流側排水管へと流れるように前記開口から前記内部空間に入れられた水が、前記排水流入部を通って前記上流側排水管へと逆流するのが防止される。
【0007】
この継手装置によると、継手は、排水路の頂部部分に配置される。この継手は、内部空間と連通する、排水流入部と排水流出部とを備え、排水流入部側の上流側接続口に上流側排水管が接続され、排水流出部側の下流側接続口に下流側排水管が接続される。そして、継手は、内部空間を外部に臨ませる開口を備え、その開口を閉鎖するように、蓋部材が着脱可能に取り付けられる。また、排水流入部を閉塞する閉塞部材が、取付け可能かつ取外し可能に設けられ、満水試験時には、閉塞部材が取り付けられて排水流入部が閉塞されることで、開口から内部空間に入れられた水が、排水流入部を通って上流側排水管へと逆流するのが防止され、その水を、確実に排水流出部から下流側排水管へと導くことができる。そして、満水試験においては、下流側の適宜箇所を閉塞した上で、開口から水を入れて一定時間経過後に、入れた水の水位の下降がなければ、水で満たされた範囲に接続不良が無いと判断される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る排水路用の継手装置は、請求項1に記載の継手装置において、前記排水流入部における前記内部空間に臨む側を内側に有する中空筒部が、前記内部空間内に突出するように設けられて、その中空筒部が、前記排水流入部形成部の一部となる。そして、前記閉塞部材は、前記中空筒部の外側または内側に嵌合するようにしてその中空筒部に取り付けられる。閉塞部材を、内部空間内に突出する中空筒部に取り付けることで、この閉塞部材を、開口を通して容易に着脱することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る排水路用の継手装置は、請求項1または2に記載の継手装置において、前記開口は、前記内部空間の上方側に設けられ、前記排水流入部は、前記内部空間の下方側であって前記開口と対向する位置に設けられる。排水流入部を、開口と対向する位置に設けることで、排水流入部を閉塞する閉塞部材を、開口を通して容易に着脱することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る排水路用の継手装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の継手装置において、前記排水流入部またはその排水流入部と前記内部空間との境界部分には、前記上流側排水管からの排水の流入がないときは、虫等の生き物が前記内部空間から前記排水流入部を通って前記上流側排水管へと侵入するのを防止するよう前記排水流入部を閉塞し、前記上流側排水管からの排水の流入があるときは前記排水流入部を開放する、弁体が設けられる。そして、前記閉塞部材は、前記弁体を除去することなく前記排水流入部形成部に取付け可能である。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る排水路用の継手装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の継手装置において、前記蓋部材は、前記閉塞部材を前記排水流入部形成部に取り付けた状態で前記開口に取付け可能である。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係るドレン配管の満水試験方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の継手装置における継手が、空調機器のドレン排出口と、下り勾配をもって設置された排水主管との間の排水路の途中に、その排水路の一部となるように配置されたドレン配管における、満水試験方法であって、前記排水路において、前記ドレン排出口と、そのドレン排出口よりも上方に配置された前記継手の前記上流側接続口とが前記上流側排水管によって連結され、前記継手の前記下流側接続口と、前記継手よりも下方に位置する前記排水主管とが前記下流側排水管によって連結される。ここで、前記排水主管に接続された排水路よりも下流で、その排水主管が閉塞された状態とする。そこで、前記継手において、前記排水流入部形成部に前記閉塞部材を取り付けた状態で、前記開口から前記内部空間を通して前記下流側排水管および前記排水主管に水を入れ、その後に、その入れた水の水位の変化の有無を確認する。
【0013】
この満水試験方法によると、排水路の継手において、開口から内部空間を通して下流側排水管、さらには排水主管へと水を入れると、水は、排水主管を上昇し、さらに排水路の下流側排水管を上昇する。そこで、一定時間経過後に、排水路において、水位の下降がなければ、水で満たされた範囲に、接続不良が無いと判断される。
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係るドレン配管の満水試験方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の継手装置における継手が、複数の空調機器のドレン排出口のそれぞれと、下り勾配をもって設置された排水主管との間の、それぞれの排水路の途中に、その排水路の一部となるように配置されたドレン配管における、満水試験方法であって、各前記排水路において、前記ドレン排出口と、そのドレン排出口よりも上方に配置された前記継手の前記上流側接続口とが前記上流側排水管によって連結され、前記継手の前記下流側接続口と、前記継手よりも下方に位置する前記排水主管とが前記下流側排水管によって連結される。ここで、前記排水主管の最も下流側に接続された排水路よりも下流で、その排水主管が閉塞された状態とする。そして、複数の前記排水路のうち、1の排水路を除く他の排水路の前記継手は、その排水流入部形成部に前記閉塞部材が取り付けられ、その開口に前記蓋部材が取り付けられた状態とする。そこで、前記1の排水路の前記継手において、前記排水流入部形成部に前記閉塞部材を取り付けた状態で、前記開口から前記内部空間を通して前記下流側排水管および前記排水主管に水を入れ、その後に、その入れた水の水位の変化の有無を確認する。
【0015】
この満水試験方法によると、複数の排水路のうち1の排水路の継手において、開口から内部空間を通して下流側排水管、さらには排水主管へと水を入れると、水は、排水主管を上昇し、さらに1の排水路の下流側排水管を上昇する。そして、他の排水路の下流側では、閉塞部材および蓋部材と上昇する水で空気が密閉状態となり、水は、空気との圧力のバランスが取れたところで、その上昇が止まる。そこで、一定時間経過後に、1の排水路において、水位の下降がなければ、水で満たされた範囲とか空気が密閉された範囲とかに、接続不良とか、蓋部材や閉塞部材の気密不良とかが無いと判断される。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る排水路用の継手装置、およびドレン配管の満水試験方法によれば、閉塞部材により、上流側排水管への逆流を防止して、入れた水を確実に下流側排水管へと導くことで、満水試験を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の一実施の形態の、排水路の正面図である。
【
図2】同じく、閉塞部材を取り外した、通常の排水路を示す断面図である。
【
図3】同じく、蓋部材を取り外し閉塞部材を取り付けた、満水試験時の排水路を示す断面図である。
【
図5】同じく、継手における本体部に組付け部を設けた斜視図である。
【
図6】同じく、継手における本体部に組付け部を設けた平面図である。
【
図7】同じく、継手における接続体の斜視図である。
【
図8】同じく、継手における取付体の斜視図であって、(a)は、表側から見た斜視図、(b)は、裏側から見た斜視図である。
【
図11】この発明の継手装置を、複数の排水路のそれぞれに適用した例を示す、一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る排水路用の継手装置、およびドレン配管の満水試験方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1~
図10は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、エアコン機器等の空調機器を示す。1aは、前記空調機器1のドレン排出口を示す。2は、前記空調機器1を吊り下げる吊り具としての吊りボルトを示す。3は、構造物その他の支持体を示す。4は、排水主管を示す。5は、排水路を示す。6は、前記排水路5における上流側排水管を示す。7は、前記排水路5における下流側排水管を示す。8は、排水路用の継手装置を示す。
【0020】
ここで、継手装置8は、継手9と蓋部材10と閉塞部材11とを備える。継手9は、排水路5の途中に位置する頂部部分に配置され、前記排水路5を形成する上流側排水管6および下流側排水管7が接続されて、前記排水路5の一部となる。この継手9は、内部空間9aと、その内部空間9aを外部に臨ませる開口9bと、内部空間9aと連通する排水流入部9cと、上流側排水管6が接続される、排水流入部9c側の上流側接続口9dと、内部空間9aと連通する排水流出部9eと、下流側排水管7が接続される、排水流出部9e側の下流側接続口9fとを備える。図示実施の形態においては、上流側接続口9dは、排水流入部9cの少なくとも一部を内側に有し、また、下流側接続口9fは、排水流出部9eの少なくとも一部を内側に有しており、上流側排水管6は、排水流入部9cの少なくとも一部を内側に有する、排水流入部9c側の上流側接続口9dに接続され、また、下流側排水管7は、排水流出部9eの少なくとも一部を内側に有する、排水流出部9e側の下流側接続口9fに接続される。
【0021】
蓋部材10は、継手9の開口9bを閉鎖するものであって、その開口9bを閉鎖するよう、その開口9bに着脱可能に取り付けられる。
【0022】
閉塞部材11は、継手9の排水流入部9cを閉塞するよう、その排水流入部9cを形成する排水流入部形成部9hに取付け可能であり、かつ、その排水流入部形成部9hから取外し可能となっている。そこで、
図3に示すように、満水試験時に、閉塞部材11が排水流入部形成部9hに取り付けられることにより(つまり、閉塞部材11によって排水流入部9cが閉塞されることにより)、排水流出部9eを通って下流側排水管7へと流れるように継手9の開口9bから内部空間9aに入れられた水が、排水流入部9cを通って上流側排水管6へと逆流するのが防止される。
【0023】
詳細には、継手9には、排水流入部9cにおける内部空間9aに臨む側を内側に有する中空筒部9iが、内部空間9a内に突出するように設けられて、その中空筒部9iが、前記排水流入部形成部9hの一部となっている。そこで、閉塞部材11は、中空筒部9iの外側または内側に嵌合するようにしてその中空筒部9i(詳しくは、中空筒部9iの先端部分)に取り付けられる。
【0024】
また、継手9の開口9bは、内部空間9aの上方側に設けられ、排水流入部9cは、内部空間9aの下方側であって開口9bと対向する位置に設けられる。そして、前記中空筒部9iは、内部空間9aの底面を形成する底板9jから上方に突出している。
【0025】
また、蓋部材10は、閉塞部材11を排水流入部形成部9h(詳しくは、中空筒部9iに)に取り付けた状態で開口9bに取付け可能となっている。
【0026】
また、排水流入部9cまたはその排水流入部9cと内部空間9aとの境界部分には、上流側排水管6からの排水の流入がないときは、虫等の生き物が内部空間9aから排水流入部9cを通って上流側排水管6へと侵入するのを防止するよう排水流入部9cを閉塞し、上流側排水管6からの排水の流入があるときは排水流入部9cを開放する、弁体12が設けられる。このとき、閉塞部材11は、弁体12を除去することなく排水流入部形成部9h(詳しくは、中空筒部9i)に取付け可能となっている。
【0027】
具体的には、排水路5は、空調機器1のドレン排出口1aと、下り勾配(排水勾配)をもって設置された排水主管4との間を繋ぐように設けられる。そこで、空調機器1は、排水を圧送するポンプを備えており、排水は、一旦、そのポンプにより排水路5の頂部部分まで押し上げられて、その後に降下する。
【0028】
上流側排水管6は、管本体6aと、その管本体6aを覆う筒状の覆い材6bとで構成され、同様に、下流側排水管7は、管本体7aと、その管本体7aを覆う筒状の覆い材7bとで構成される。ここで、管本体6a、7aは、例えば合成樹脂製であって、覆い材6b、7bは、断熱性を有する部材からなる。そして、上流側排水管6とドレン排出口1aとは、第1継手13を介して繋がる。同様に、下流側排水管7と排水主管4とは、第2継手14を介して繋がる。
【0029】
継手9は、上流側接続口9dの向きと、下流側接続口9fの向きとの角度が、直角またはそれよりも小さい角度となるように(図示実施の形態においては、直角となるように)形成される。そこで、上流側接続口9dと下流側接続口9fとは、上流側接続口9dが鉛直下方を向き、下流側接続口9fが水平方向またはそれよりも下方(図示実施の形態においては、水平方向)を向くように設けられる。
【0030】
また、継手9は、前記内部空間9aと前記開口9bと前記排水流入部9cと前記上流側接続口9dと前記排水流出部9eと前記下流側接続口9fとを有する継手本体9xに加えて、支持体3に固定可能な固定部9yを備える。
【0031】
継手本体9xは、下流側接続口9fを有する筒状の接続体9kが別体となっており、その接続体9kを除いた本体部9mに、接続体9kが連結ナット9nを介して連結される。詳細には、本体部9mは、本体筒部9pと、その本体筒部9pから側方に延びる延設筒部9qとを有し、その延設筒部9qの外周面に、雄ネジ部9rが形成されている。そして、接続体9kに、その外周回りに連結ナット9nが空転可能に装着されて、雄ネジ部9rと連結ナット9nとの螺合により、本体部9mに接続体9kが連結される。より詳細には、接続体9kの外周部には、U字状の止め輪9sが取り付けられている。そして、連結ナット9nは、水まわり用の袋ナットからなり、その連結ナット9nが、前記止め輪9sによって、接続体9kの外周面から抜け止めされて、延設筒部9qの雄ネジ部9rに締め付けられる。このとき、接続体9kの基端部分は、延設筒部9qに挿入され、その挿入された基端部分の外周部に嵌められたリング状の止水部材9tが、延設筒部9qの内周面に密接する。そして、延設筒部9qの内側と接続体9kの内側が、前記排水流出部9eとなり、接続体9kの先端部分が、前記下流側接続口9fとなる。
【0032】
また、継手本体9x(詳しくは、本体筒部9p)には、前記上流側接続口9dが、底板9jから下方に突出するように形成されている。この上流側接続口9dは、同心状に並ぶ、内側筒部9uと中間筒部9vと外側筒部9wとで構成される。そして、内側筒部9uは、前記排水流入部形成部9hの一部となっている。そこで、上流側排水管6の管本体6aは、内側筒部9uと中間筒部9vとの間に差し入れられ、上流側排水管6の覆い材6bは、中間筒部9vと外側筒部9wとの間に差し入れられて、例えば接着等により、この上流側接続口9dに固定される。同様に、下流側接続口9fは、同心状に並ぶ、内側筒部90aと中間筒部90bと外側筒部90cとで構成される。そこで、下流側排水管7の管本体7aは、内側筒部90aと中間筒部90bとの間に差し入れられ、下流側排水管7の覆い材7bは、中間筒部90bと外側筒部90cとの間に差し入れられて、例えば接着等により、この下流側接続口9fに固定される。
【0033】
また、継手本体9x(詳しくは、本体筒部9p)に設けられた前記中空筒部9iには、その先端と中心部とを繋ぐように複数のリブ90d、90dが放射状に設けられ、それらリブ90d、90dが集まる中心部には、通孔90eがあけられている。そこで、排水は、これらリブ90d、90d間を通って内部空間9aへと進入する。そして、通孔90eに、前記弁体12が取り付けられる。詳細には、弁体12は、軟質材からなって撓み変形可能であり、円板状の弁本体12aと、その弁本体12aの中心部分から突出する取付突部12bとを備える。そこで、弁本体12aが、中空筒部9iの先端に載せられ、取付突部12bが、通孔90eに挿入されて係止される。
【0034】
固定部9yは、支持体3に取り付けられる取付部90fを有して継手本体9xとは別体の取付体90gと、継手本体9xとは一体に設けられて取付体90gに組付け可能な組付け部90hとを備える。図示実施の形態においては、固定部9yは、継手9の、下流側接続口9fとは反対側に設けられる。そして、固定部9yは、空調機器1の近傍に配置された支持体3となる吊りボルト(図示実施の形態においては、空調機器1を吊り下げる吊りボルト2)に固定可能であり、その固定された状態で、上流側排水管6が、継手9から下方に延びるように配置される。
【0035】
また、取付体90gにあっては、取付部90fは、支持体3を受け止める受け部90iと、その受け部90iの前面から延出して支持体3を抱えるように湾曲した包持部90jとから構成される。そして、取付体90gは、取付部90fの他に、受け部90iの後面から突出する被組付け部90kを有する。一方、前記組付け部90hは、継手本体9x(詳しくは、本体筒部9p)から側方に突出する脚部90mと、その脚部90mの先端から上下に延びる腕部90nとを有する。そして、腕部90nには、取付孔90pがあけられている。そこで、被組付け部90kが、取付孔90pに挿入されて係止されることで、組付け部90hは、取付体90gに組み付けられる。
【0036】
蓋部材10は、継手本体9x(詳しくは、本体筒部9p)に設けられた開口9bに嵌まるようにして取り付けられて、弁体12と対向位置する。この蓋部材10は、有底円筒状に形成されて、その内側に、平板状の摘み部10aが設けられる。そして、蓋部材10は、その外周部にリング状の止水部材10bが嵌められて、その止水部材10bが、開口9bの内周面に密接する。
【0037】
閉塞部材11は、例えば、ゴムとか軟質の合成樹脂等からなり、継手9の開口9bを通して着脱される。この閉塞部材11は、円板状の閉塞部材本体11aと、その閉塞部材本体11aの周縁全周から起立するように突出する円筒状の嵌合部11bとを備える。そこで、閉塞部材11は、嵌合部11bが継手9における中空筒部9iの外側に嵌合することで、その中空筒部9iに取り付けられる。
【0038】
ドレン配管の満水試験方法は、継手装置8における継手9が、空調機器1のドレン排出口1aと、下り勾配をもって設置された排水主管4との間の排水路5の途中に、その排水路5の一部となるように配置されたドレン配管における(
図2参照)、満水試験方法であって、前記排水路5において、ドレン排出口1aと、そのドレン排出口1aよりも上方に配置された継手9の上流側接続口9dとが上流側排水管6によって連結され、継手9の下流側接続口9fと、継手9よりも下方に位置する排水主管4とが下流側排水管7によって連結される。ここで、排水主管4に接続された排水路5よりも下流で、その排水主管4が閉塞された状態とする。そこで、
図3に示すように、継手9において、排水流入部形成部9hに閉塞部材11を取り付けた状態で、開口9bから内部空間9aを通して下流側排水管7および排水主管4に水を入れ、その後に、その入れた水の水位の変化の有無を確認する。
【0039】
次に、以上の構成からなる排水路用の継手装置8、およびドレン配管の満水試験方法の作用効果について説明する。継手装置8においては、継手9は、排水路5の頂部部分に配置される。この継手9は、内部空間9aと連通する、排水流入部9cと排水流出部9eとを備え、排水流入部9c側の上流側接続口9dに上流側排水管6が接続され、排水流出部9e側の下流側接続口9fに下流側排水管7が接続される。そして、継手9は、内部空間9aを外部に臨ませる開口9bを備え、その開口9bを閉鎖するように、蓋部材10が着脱可能に取り付けられる。また、排水流入部9cを閉塞する閉塞部材11が、取付け可能かつ取外し可能に設けられ、満水試験時には、閉塞部材11が取り付けられて排水流入部9cが閉塞されることで、開口9bから内部空間9aに入れられた水が、排水流入部9cを通って上流側排水管6へと逆流するのが防止され、その水を、確実に排水流出部9eから下流側排水管7へと導くことができる(
図3参照)。そして、満水試験においては、下流側の適宜箇所を閉塞した上で、開口9bから水を入れて一定時間経過後に、入れた水の水位5xの下降がなければ、水で満たされた範囲に接続不良が無いと判断される。図示実施の形態においては、排水主管4が設けられており、その排水主管4に接続された排水路5よりも下流で、その排水主管4が閉塞された状態とする。そして、排水路5の継手9において、開口9bから内部空間9aを通して下流側排水管7、さらには排水主管4へと水を入れると、水は、排水主管4を上昇し、さらに排水路5の下流側排水管7を上昇する。そこで、一定時間経過後に、排水路5において、水位5xの下降がなければ、水で満たされた範囲に、接続不良が無いと判断される。
【0040】
すなわち、満水試験の際に、閉塞部材11により、上流側排水管6への逆流を防止して、入れた水を確実に下流側排水管7へと導くことで、この満水試験を簡単に行うことができる。ここで、入れた水の水位5xは、内部空間9aにおける適宜高さ位置にあることで、開口9bからその水位5xを確認することができるが、継手9を透明あるいは半透明とすることで、その水位5xを横から確認することもできる。また、水位5xの位置が下流側排水管7内にある場合であっても、下流側排水管7を透明あるいは半透明とすることで、その水位5xを確認することが可能となる。
【0041】
また、閉塞部材11を、継手9の内部空間9a内に突出する中空筒部9iに取り付けることで、この閉塞部材11を、開口9bを通して容易に着脱することができる。そして、排水流入部9cは、開口9bと対向する位置に設けられており、これによっても、排水流入部9cを閉塞する閉塞部材11を、開口9bを通して容易に着脱することができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、排水路5は、空調機器1のドレン排出口1aと排水主管4とを繋ぐものでなくても、頂部部分を有する排水路であれば、どのようなものでもよい。
【0043】
また、閉塞部材11は、ゴムとか軟質の合成樹脂とかからならなくても、硬質の合成樹脂等からなって、閉塞部材11と中空筒部9i(排水流入部形成部9h)との間に、止水部材が設けられてもよい。
【0044】
また、上述した実施の形態においては、一つの排水路5に着目して、その排水路5に用いられる継手装置8について説明したが、
図11に示すように、複数の排水路5、5のそれぞれに継手装置8を適用して、満水試験を行ってもよい。すなわち、継手装置8における継手9が、複数の空調機器1、1のドレン排出口1aのそれぞれと、下り勾配(排水勾配)をもって設置された排水主管4との間の、それぞれの排水路5の途中に、その排水路5の一部となるように配置されたドレン配管における、満水試験方法であって、各排水路5において、ドレン排出口1aと、そのドレン排出口1aよりも上方に配置された継手9の上流側接続口9dとが上流側排水管6によって連結され、継手9の下流側接続口9fと、継手9よりも下方に位置する排水主管4とが下流側排水管7によって連結される。ここで、前記排水主管4の最も下流側に接続された排水路5よりも下流で、その排水主管4が閉塞された状態とする。そして、複数の排水路5、5のうち、1の排水路5(図示実施の形態においては、1の排水路5として、排水主管4の最も上流側に接続される排水路を選択しているが、それ以外の排水路を選択してもよい。)を除く他の排水路5、5の前記継手9は、その排水流入部形成部9h(詳しくは、中空筒部9i)に前記閉塞部材11が取り付けられ、その開口9bに蓋部材10が取り付けられた状態とする。そこで、前記1の排水路5の継手9において、排水流入部形成部9h(詳しくは、中空筒部9i)に閉塞部材11を取り付けた状態で、開口9bから内部空間9aを通して下流側排水管7および排水主管4に水を入れ、その後に、その入れた水の水位5xの変化の有無を確認する。
【0045】
この満水試験方法によると、複数の排水路5、5のうち1の排水路5の継手9において、開口9bから内部空間9aを通して下流側排水管7、さらには排水主管4へと水を入れると、水は、排水主管4を上昇し、さらに1の排水路5の下流側排水管7を上昇する。そして、他の排水路5、5の下流側では、閉塞部材11および蓋部材10と上昇する水で空気が密閉状態となり、水は、空気との圧力のバランスが取れたところで、その上昇が止まる(このときの水面を、符号5yで示す)。そこで、一定時間経過後に、1の排水路5において、水位5xの下降がなければ、水で満たされた範囲とか空気が密閉された範囲とかに、接続不良とか、蓋部材10や閉塞部材11の気密不良とかが無いと判断される。また、この満水試験においては、複数の排水路5、5の満水試験を一度に行うことができ、このため、この満水試験を効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 空調機器
1a ドレン排出口
4 排水主管
5 排水路
5x 水位
6 上流側排水管
7 下流側排水管
8 継手装置
9 継手
9a 内部空間
9b 開口
9c 排水流入部
9d 上流側接続口
9e 排水流出部
9f 下流側接続口
9h 排水流入部形成部
9i 中空筒部
10 蓋部材
11 閉塞部材
12 弁体